JP3564469B2 - 硫酸化フカンオリゴ糖 - Google Patents
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Description
【本発明の属する技術分野】
本発明は糖鎖工学分野において有用な硫酸化フカンオリゴ糖、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
褐藻類には何種類もの硫酸化多糖が含まれている。これらの多糖はフコイダンあるいはフコイジンと総称されることが多いが、その構造は由来となる海藻により異なることが多い。例えば、ヒバマタ、マコンブ、オキナワモズク、モズク、ワカメメカブそれぞれから抽出される硫酸化多糖は異なる構造を持つ(例えば、非特許文献1参照。)。そのため、硫酸化多糖を酵素的に分解してそのオリゴ糖を得たりその構造を決定したりするにはそれぞれを分解する酵素を取得する必要がある。
【0003】
硫酸化多糖の分子種としては、硫酸化フカン(例えば、特許文献1参照。)、硫酸化フコグルクロノマンナン(例えば、特許文献2参照。)、硫酸化フコガラクタン(例えば、特許文献3参照。)等、またそれらの他にも何種類もの分子種(例えば、特許文献4参照。)が報告されている。硫酸化フカン画分には強い抗凝血活性(例えば、特許文献1参照。)、硫酸化フコグルクロノマンナン画分には癌細胞に対するアポトーシス誘導活性(例えば、特許文献5参照。)が報告されているなど、硫酸化多糖は一般に何らかの生物活性を持つことが多い。
【0004】
硫酸化多糖を医薬品として開発する場合、その構造を決定する必要が生じるが、その硫酸化多糖を分解する酵素を用いれば構造を決定する際に非常に有利である。しかしながら褐藻類の硫酸化多糖を分解する酵素は市販されておらず、しかも褐藻類の硫酸化多糖は海藻の種によって異なることが多いため、1種類の硫酸化多糖の構造を決めるにはその硫酸化多糖を特異的に分解する分解酵素が必要となる。コンブ目海藻由来の硫酸化多糖の構造が研究されているが、多くの分子種のうち数種類の構造が判明しているに過ぎない(例えば、特許文献6、7、非特許文献2、3、4参照。)。
【0005】
【特許文献1】
国際公開第99/41288号パンフレット
【特許文献2】
国際公開第96/34004号パンフレット
【特許文献3】
国際公開第00/50464号パンフレット
【特許文献4】
国際公開第01/81560号パンフレット
【特許文献5】
国際公開第97/26896号パンフレット
【特許文献6】
特開平7−215990号公報
【特許文献7】
特開平8−92303号公報
【非特許文献1】
酒井武、外1名、「バイオサイエンスとインダストリー」、2002年6月、第60巻、第6号、p.377−380
【非特許文献2】
柴田英之、外6名、「薬理と治療」、1998年8月、第26巻、第8号、p.1211−1215
【非特許文献3】
田幸正邦、外4名、「応用糖質科学」、1996年2月、第43巻、第2号、p.143−148
【非特許文献4】
ナガオカ(Nagaoka,M.)、外8名、「グリココンジュゲート・ジャーナル(Glycoconjugate Journal)」、第16巻、p.19−26
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
以上のことから、コンブ目海藻由来の新規な硫酸化多糖を分解する酵素、すなわち硫酸化フカンを特異的に分解する酵素を使用して酵素的に製造した構造が均一な硫酸化フカンオリゴ糖が求められていた。
すなわち、本発明の目的は、コンブ目海藻由来の新規な硫酸化多糖を分解する硫酸化フカン分解酵素を硫酸化フカンに作用させて得られる低分子化物及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の発明は、下記の理化学的性質を有することを特徴とする硫酸化フカン又はその塩に関する。
(1)構成糖:フコースを含有し、
(2)下記一般式(I)で表される硫酸化糖を構成糖の必須成分とする:
【化15】
(式中、RはH又はSO3Hであって、Rの少なくとも1つはSO3Hであり、nは1以上の整数である)、
(3)Alteromonas sp. SN−1009由来の硫酸化フカン分解酵素により低分子化され、下記一般式(II)、(III)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)で表される化合物より選択される1種類以上の化合物が生成する:
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
(全式中、RはH又はSO3Hであり、Rの少なくとも1つはSO3Hである。)
【0008】
本発明の第2の発明は、下記一般式(I)中、nが1〜5であることを特徴とする硫酸化フカンオリゴ糖に関する。
【化22】
(式中、RはH又はSO3Hであり、Rの少なくとも1つはSO3Hである。)
【0009】
本発明の第3の発明は、本発明の第1または第2の発明の硫酸化フカンにAlteromonas sp. SN−1009由来の硫酸化フカン分解酵素を作用させてその分解物を採取することを特徴とする硫酸化フカンオリゴ糖の調製方法に関する。
本発明の第3の発明において、上記硫酸化フカンはガゴメ(Kjellmaniella crassifolia)、マコンブ(Laminaria japonica)、あるいはレッソニア ニグレッセンス(Lessonia nigrescens)由来であってもよい。
【0010】
本発明の第4の発明は、本発明の第3の発明の方法で調製される硫酸化フカンオリゴ糖に関する。
【0011】
本発明の第5の発明は、下記一般式(II)、(III)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)から選択される化学構造を有する硫酸化フカンオリゴ糖またはその塩に関する。
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
(全式中、RはH又はSO3Hであり、Rの少なくとも1つはSO3Hである。)
【0012】
すなわち、本発明者らは鋭意研究の結果、硫酸化フカン分解酵素を用いて、コンブ目海藻由来の新規な硫酸化多糖を分解し、糖鎖工学用試薬として利用できる、構造の均一な硫酸化フカンオリゴ糖を製造する方法を見出し、また、それらのオリゴ糖の構造を決定し本発明を完成させた。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明に関して具体的に説明する。
【0014】
本発明において、特に限定はされないが例えば、コンブ目海藻由来の硫酸化フカンを使用することができる。該多糖は硫酸基とフコースを主要構成成分とする。また、コンブ目海藻由来の硫酸化フカンの主鎖は一般の糖よりも酸に対して弱いL−フコースからなるため、加熱や酸処理により容易に低分子化することができる。
【0015】
本発明において、前述の特徴を備えた硫酸化フカンを使用することができる。その由来は特に限定されるものではないが、例えば、ガゴメ(Kjellmaniella crassifolia)、マコンブ(Laminaria japonica)、あるいはレッソニア ニグレッセンス(Lessonia nigrescens)等コンブ目の海藻は硫酸化フカンの含有量が多く原料として好適である。
【0016】
本発明の硫酸化フカン分解酵素とは、硫酸化フカン及び硫酸化フカンオリゴ糖などに作用してフコースとフコースの間のα−L−フコシル結合をエンド的に加水分解し、還元性末端にL−フコースを持つオリゴ糖を生成させる。
本発明の硫酸化フカンオリゴ糖とは、硫酸化フカンに本発明の硫酸化フカン分解酵素を作用させて得られるオリゴ糖であり、還元性末端糖がL−フコースである。
【0017】
本発明で使用する硫酸化フカンを製造する際にはまず、褐藻類の水溶性画分抽出液を得る。その際硫酸化フカンの低分子化を防ぐためには、pHは4〜9、温度は100℃以下が好ましい。また、上記抽出液中のアミノ酸や低分子性の色素等は限外ろ過により効率良く除去できる。疎水性物質の除去には活性炭処理等も有効である。
【0018】
このようにして褐藻類の硫酸化多糖画分を得ることができる。該画分を硫酸化フカン画分として例えば本発明の硫酸化フカン分解酵素の基質として使用可能である。該画分を陰イオン交換カラムにより分離すればより純度の高い硫酸化フカンを得ることもできる。上記の硫酸化多糖画分も陰イオン交換カラムで精製した硫酸化フカンもともに本発明の硫酸化フカンオリゴ糖製造時の原料として使用できる。
【0019】
本発明の硫酸化フカンの主骨格は、下記一般式(I)に表される。下記一般式において、nは1以上の整数であり、例えば1〜20,000の範囲、さらに好ましくは1〜10,000の範囲のものが本発明の硫酸化フカンに含まれる。また、本発明の硫酸化フカンには、上記範囲であれば、下記一般式(I)が連続的に繰り返した構造を持つもの、及び他の構造が介在して、非連続的に下記一般式(I)が含有される構造を持つもののいずれもが含まれる。
【化29】
(式中、RはH又はSO3Hであり、Rの少なくとも1つはSO3Hである。)
【0020】
本発明で用いる硫酸化フカン分解酵素を生産する菌株は、バージーズ マニュアル オブ ディターミネィティブ バクテリオロジー(Bergey’s Manual of Determinative Bacteriology)、第9巻(1994)に記載の基本分類によればアルテロモナス属細菌に分類される。しかしながらアルテロモナス属細菌は近年分類の再編成が行われており、細菌学的性質のみで分類するのは適当ではない。そこで、本菌株の16S rDNAの塩基配列を決定し、既知の細菌と相同性を比較したところ最も相同性が高い細菌はThalassomonas属であった。しかしながらその遺伝距離は0.05(change/average nucleotide position)以上であり、同属とは判定できなかった。そこで、本発明者らは、16S rDNA配列の相同性から、本菌株は既知の属に属さない新属の細菌であると断定し、本菌株をフカノバクター リィティカス SN−1009と命名した。本明細書において、アルテロモナス sp.SN−1009(Alteromonas sp. SN−1009)は、フカノバクター リィティカス SN−1009と同じものである。
【0021】
なお、上記菌株はAlteromonas sp. SN−1009として、〒305−8566日本国茨城県つくば市東1−1−1中央第6、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターにFERM BP−5747として、平成8年2月13日(原寄託日)より寄託され、ブタベスト条約に基づき平成8年11月15日(移管日)より国際寄託されている。配列表の配列番号1に本菌株の16S rDNAの配列を示す。
【0022】
従って、16S rDNAの配列より、フカノバクター リィティカス SN−1009と同属と判断される細菌を培養して本発明に使用する硫酸化フカン分解酵素を製造することができる。また、本発明においては、上記Alteromonas sp. SN−1009株の他にAlteromonas sp. SN−1009株の自然的又は人工的変異株、その他アルテロモナス属、フカノバクター属に属する菌種等であって、本発明に使用する硫酸化フカン分解酵素生産能を有する微生物を利用することができる。
本発明で用いる硫酸化フカン分解酵素は、上記微生物より実施例1記載の方法で取得することができる。
【0023】
本発明の硫酸化フカンオリゴ糖は、硫酸化フカン分解酵素を硫酸化フカン含有物に作用させることによって調製することができる。硫酸化フカン含有物としては、例えば硫酸化フカンの部分精製品、褐藻類由来の硫酸化フコース含有多糖画分、褐藻類の水性溶媒抽出物、若しくは褐藻類藻体が好適に使用できる。
【0024】
本発明の硫酸化フカンオリゴ糖を調製するにあたり、硫酸化フカン、若しくは硫酸化フカン含有物の溶解は通常の方法で行えばよく、溶解液中の本発明の硫酸化フカン、若しくは該硫酸化フカン含有物はその最高溶解濃度でもよいが、通常はその操作性、反応に使用する本発明の硫酸化フカン分解酵素の量を考慮して選定すればよい。硫酸化フカンの溶解液としては、水、緩衝液等より目的に応じて選択すればよい。溶解液のpHは通常中性付近で、酵素反応は通常30℃付近で行う。反応に使用する本発明の硫酸化フカン分解酵素の配合比率や使用量、反応液の組成、反応時間等を調整することによって、硫酸化フカンオリゴ糖の分子量を調整することもできる。上記の様にして得られた本発明の硫酸化フカンオリゴ糖を分子量分画あるいは陰イオン交換カラムにより分画することによって、更に均一な分子量あるいは均一な荷電密度分布の本発明の硫酸化フカンオリゴ糖を調製することができる。分子量分画は通常よく使用されている方法を適用することができ、例えばゲルろ過法や分子量分画膜を使用すればよい。低分子化物は、必要に応じて更にイオン交換樹脂処理、活性炭処理等の精製操作を行ってもよく、必要に応じて脱塩処理、無菌処理、凍結乾燥処理をすることもできる。この方法により、後述するごとく、NMR分析により構造決定可能な均一な構造の本発明の硫酸化フカンオリゴ糖を得ることができる。
【0025】
本発明の硫酸化フカンオリゴ糖としては、特に限定はされないが例えば、下記一般式(II)、(III)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XVI)から選択される化学構造を有する硫酸化フカンオリゴ糖またはその塩が例示される。
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
(全式中、RはH又はSO3Hであり、Rの少なくとも1つはSO3Hである。)
【0026】
本発明の硫酸化フカンオリゴ糖は、硫酸基を分子中に有しており、該基は種々の塩基と反応し、塩を形成する。本発明の硫酸化フカンオリゴ糖は、塩になった状態が安定であり、通常ナトリウム及び/又はカリウム及び/又はカルシウム等の塩の形態で提供される。これらの物質の塩はダウエックス50W等の陽イオン交換樹脂を利用することによって遊離の本発明の硫酸化フカンオリゴ糖に導くことが可能である。また、これらは、必要に応じ公知慣用の塩交換を行い所望の種々の塩に交換することができる。
【0027】
本発明の硫酸化フカンオリゴ糖の塩としては、薬学的に許容される塩を用いることができ、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム、亜鉛等のアルカリ土類金属、アンモニウム等の塩が挙げられる。
【0028】
また、本発明の硫酸化フカンオリゴ糖は糖鎖工学用試薬として使用することができる。例えば、特公平5−65108号公報記載の方法により2−アミノピリジル化(PA化)を行い、該オリゴ糖のPA−化物を調製すれば、硫酸化フカンオリゴ糖の蛍光標識標準物質として使用できるなど糖鎖工学用試薬として極めて有用な物質を提供することができる。
【0029】
【実施例】
以下に本発明を実施例をもって具体的に示すが、本発明は以下の実施例の範囲のみに限定されるものではない。
本実施例において硫酸化フカンオリゴ糖の分子量は、質量分析結果から算出された平均分子量である。
【0030】
参考例1 ガゴメ由来フコイダンの調製
養殖した乾燥ガゴメ2kgを穴径1mmのスクリーンを装着させたカッターミル(増幸産業社製)で破砕し、20リットルの80%エタノール中に懸濁後25℃で3時間攪拌し、ろ紙でろ過した。得られた残さを40リットルの100mM塩化ナトリウムを含む30mMリン酸緩衝液(pH6.5)に懸濁し、95℃で2時間処理後、穴径106μmのステンレス製ふるいでろ過した。得られたろ液に200gの活性炭、4.5リットルのエタノール、12,000Uのアルギン酸リアーゼK(ナガセ生化学工業社製)を添加し、25℃で20時間攪拌後、遠心分離した。得られた上清を排除分子量10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機で4リットルに濃縮後、遠心分離により不溶物を除去し5℃で24時間放置した。生じた沈殿を遠心分離により除去し、得られた上清を限外ろ過機により100mM塩化ナトリウムに溶媒置換した。この溶液を4℃以下に冷却後、塩酸によりpHを2.0とし、生じた沈殿を遠心分離により除去した。得られた上清のpHを水酸化ナトリウムにより8.0とし、4リットルに濃縮後、限外ろ過機により20mM塩化ナトリウムに溶媒置換した。この溶液中の不溶物を遠心分離により除去後、凍結乾燥し、ガゴメ由来フコイダンの乾燥物76gを得た。
【0031】
参考例2 硫酸化フカン画分の調製
参考例1記載のフコイダン乾燥物7gを、50mM塩化ナトリウムと10%エタノールを含む20mMイミダゾール塩酸緩衝液(pH8.0)700mlに溶解し、遠心分離により不溶物を除去した。得られた上清を、同緩衝液で平衡化したDEAE―セルロファインA−800カラム(11.4×48cm)にかけ、同緩衝液で洗浄後、50mMから1.95Mの塩化ナトリウム濃度勾配により溶出させた。溶出液は250mlずつ分取した。各フラクションの総糖量をフェノール硫酸法により、ウロン酸量をカルバゾール硫酸法により測定した。溶出順に、フラクション43−49、50−55、56−67の画分をまとめ、それぞれを電気透析により脱塩後凍結乾燥し、フラクション43−49から340mg、50−55から870mg、56−67から2.64gの乾燥物を得た。フラクション56−67から得た画分を硫酸化フカン画分とした。
【0032】
参考例3 硫酸化フカン分解酵素活性測定方法
12μlの2.5%の硫酸化フカン画分溶液と、60μlの50mMイミダゾール−塩酸緩衝液(pH7.5)と、9μlの4M塩化ナトリウムと、6μlの1M塩化カルシウムと、21μlの水と、12μlの本発明の硫酸化フカン分解酵素溶液とを混合し、30℃で3時間反応させた後、反応液を100℃で10分間処理し、遠心分離後100μlをHPLCにより分析し、低分子化の程度を測定した。対照として、硫酸化フカン分解酵素溶液の代わりに、その酵素溶液を溶解している緩衝液を用いて反応させたもの及び硫酸化フカン画分の代わりに水を用いて反応させたものを同様にHPLCで分析した。
【0033】
1単位の硫酸化フカン分解酵素活性は上記反応系において1分間に1μmolの硫酸化フカンのフコシル結合を切断する酵素量とした。硫酸化フカン分解酵素活性は下記式により求めた。
{(12×1000×2.5/100)/MG}×{(MG/M)−1}×{1/(180×0.012)}=U/ml
12×1000×2.5/100:添加した硫酸化フカン画分(μg)
MG:基質硫酸化フカンの平均分子量
M:反応生成物の平均分子量
(MG/M)−1:1分子の硫酸化フカンが酵素により切断された部位の数
180:反応時間(分)
0.012:酵素液量(ml)
【0034】
なお、HPLC条件は下記によった。
装置:L−6200型(日立製作所製)
カラム:OHpak SB−806HQ(8×300mm、昭和電工社製)
溶離液:5mMのアジ化ナトリウムを含む50mMの塩化ナトリウム
検出:視差屈折率検出器(Shodex RI−71、昭和電工社製)
流速:1ml/分
カラム温度:25℃
【0035】
反応生成物の平均分子量の測定のために、市販の分子量既知のプルラン(STANDARD P−82、昭和電工社製)を上記のHPLC分析と同条件で分析し、プルランの分子量と保持時間との関係を曲線に表し、上記反応生成物の分子量測定のための標準曲線とした。また、蛋白質の定量は、酵素液の280nmの吸光度を測定することにより行った。その際1mg/mlの蛋白質溶液の吸光度を1.0として計算した。
【0036】
実施例1 硫酸化フカン分解酵素の調製
フカノバクター リィティカス SN−1009を参考例1の方法で調製したフコイダン0.2%とペプトン0.3%を含む人工海水(ジャマリンラボラトリー製)pH8.2からなる培地4mlを120℃、20分間オートクレーブ処理した培地に接種し、25℃で24時間培養して種培養液とした。グルコース 0.25%、ペプトン 1%、酵母エキス 0.05%及び消泡剤(KM70、信越化学工業製)を含む人工海水pH8.2からなる培地600mlを2リットルの三角フラスコに入れ、120℃、20分間オートクレーブ処理した培地に上記の種培養物を接種した、25℃で20時間培養したものを、ペプトン 1%、酵母エキス 0.02%及び消泡剤(KM70、信越化学工業製)を含む人工海水pH8.2からなる培地20リットルを30リットルのジャーファーメンターに入れ、120℃、20分間オートクレーブ処理した培地に、参考例1の方法で調製したフコイダンを100℃、20分間処理したものを混合し、上記の種培養物を接種した。培養は25℃で28時間行った。培養終了後、培養液を遠心分離して菌体及び培養上清を得た。
【0037】
得られた培養上清を排除分子量1万のホロファイバーを装着させた限外ろ過装置により濃縮後、10mM 塩化カルシウム及び150mM 塩化ナトリウムを含む20mM トリス塩酸緩衝液(pH8.2)に溶媒置換し、遠心分離して上清を得た。
【0038】
得られた上清を同じ緩衝液で平衡化した2リットルのDEAE−セルロファインA−800のカラムにかけ、同じ緩衝液で洗浄後、150mMから400mM塩化ナトリウムの濃度勾配により溶出させ、溶出液を63mlずつに分画し、活性画分を集めた。
【0039】
得られた活性画分を排除分子量1万のホロファイバーを装着させた限外ろ過装置により濃縮後、10mM 塩化カルシウム及び100mM 塩化ナトリウムを含む20mM トリス塩酸緩衝液(pH8.2)に溶媒置換した。この酵素溶液を同じ緩衝液で平衡化した200ml DEAE−セルロファインA−800のカラムにかけ、同じ緩衝液で洗浄後、100mMから300mM塩化ナトリウムの濃度勾配により溶出させ、溶出液を19mlずつに分画し、活性画分を集めた。
【0040】
得られた活性画分を排除分子量1万の限外ろ過膜を装着させた限外ろ過装置により濃縮後、4Mとなるように塩化ナトリウムを添加し、100mM 塩化カルシウム及び4M 塩化ナトリウムを含む20mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)で平衡化したフェニルセファロースCL−4Bのカラムにかけ、同じ緩衝液で洗浄後、4Mから1M 塩化ナトリウムの濃度勾配により溶出させ、溶出液を9.4mlずつに分画した。こうして硫酸化フカン分解酵素の精製物を得た。
【0041】
実施例2 硫酸化フカン分解酵素を用いた硫酸化フカンオリゴ糖の調製、精製、及び構造解析
(1)調製
養殖したガゴメ乾燥物200gを10リットルの45mM 塩化カルシウムと500mM 塩化ナトリウムと9% エタノールを含む18mM イミダゾール塩酸緩衝液(pH7.0)にひたし、硫酸化フカン分解酵素を30U添加し、室温で2日間攪拌後、ろ紙でろ過し排除分子量10万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機を用いて、低分子画分を回収し硫酸化フカンオリゴ糖画分1とした。
【0042】
(2)精製
実施例2−(1)で得られた硫酸化フカンオリゴ糖画分1を脱塩装置(マイクロアシライザー G3、旭化成工業製)により脱塩後、ロータリーエバポレーターで濃縮した。この硫酸化フカンオリゴ糖溶液1に10mMとなるようにイミダゾールを、300mMとなるように塩化ナトリウムを添加し、300mM 塩化ナトリウムを含む10mM イミダゾール−塩酸緩衝液(pH6.0)で平衡化した1リットルのDEAE−セルロファインA−800のカラムにかけ、同じ緩衝液で充分洗浄後、300mMから1200mMの塩化ナトリウムの濃度勾配により溶出させた。溶出させたフラクションは総て、総糖量をフェノール−硫酸法で、総ウロン酸量をカルバゾール−硫酸法で測定した。その結果、溶出フラクションの中には少なくとも4個の明瞭なピークが存在していたのでそれぞれのピーク部分について質量分析を行った。また、各ピークの糖組成を調べたところフコースのみで、ウロン酸を含まなかった。糖組成から考えられる各質量のオリゴ糖は表1に示すような組成のものと考えられた。
【0043】
【表1】
【0044】
次に各ピークを形成するフラクションを集め、それぞれをエバポレーターにより濃縮後、下記の条件で精製した。
カラム:YMC Pack PolyamineII(20×250mm、YMC社製)
流速:8ml/分
カラム温度:30℃
平衡化溶液:10%のアセトニトリルを含む0.5M リン酸2水素ナトリウム
溶出溶液:10%のアセトニトリルを含む0.5M リン酸2水素ナトリウムから10%のアセトニトリルを含む1.5M リン酸2水素ナトリウムの濃度勾配による。但し、ピーク番号1−(4)に関しては、10%のアセトニトリルを含む787.5mM リン酸2水素ナトリウムから10%のアセトニトリルを含む1462.5mM リン酸2水素ナトリウムの濃度勾配による。
分取:1本あたり4ml
検出:フェノール硫酸法による
【0045】
上記のカラムクロマトグラフィーにより分取したフラクションについて質量分析を行ったところ、ピーク番号1−(1)からは質量1914の物質が、ピーク番号1−(2)からは質量2264の物質が、ピーク番号1−(3)からは質量2366の物質が、ピーク番号1−(4)からは質量3460の物質がそれぞれ主ピークとして得られた。各ピーク部分を集め、10% エタノールで平衡化させたセルロファインGCL−25のカラムにかけ、10% エタノールで溶出して脱塩した。こうして本発明の硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)〜(4)を得た。
【0046】
(3)構造解析
実施例2−(2)で得られた本発明の硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)〜(4)について、2−アミノピリジンを用いた蛍光標識法により還元末端糖及び糖組成の分析を行ったところ、オリゴ糖1−(1)〜(4)の還元性末端糖及び糖組成は総てフコースであった。次に、硫酸含量(塩化バリウムを用いた比濁法による)、ウロン酸含量(カルバゾール−硫酸法による)を測定した。また、JNMα−500型核磁気共鳴装置(日本電子社製)を用いてNMR分析を行った。分析試料は定法により重水で置換後、構造解析を行った。構成糖の結合様式は、1H−検出異種核検出法であるHMBC法を用いて行った。1H−NMRの帰属にはDQF−COSY法及びHOHAHA法を13C−NMRの帰属にはHSQC法を用いた。
【0047】
以下にオリゴ糖1−(1)〜(4)の物性を示す。
(a)オリゴ糖1−(1)の物性
質量分析及びNMR分析の帰属の結果を以下に示し、本発明の硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)の1H−NMRスペクトルを図1に、13C−NMRスペクトルを図2に、マススペクトルを図3にそれぞれ示した。図1、図2において縦軸はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。また、図3において、縦軸は相対強度を、横軸は、m/z値を示す。
分子量;1914
MS m/z 455.0[M−4Na+]4−、614.8[M−3Na+]3−、933.8[M−2Na+]2−
1H−NMR及び13C−NMRによる分析結果を表2及び表3に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
糖組成 L−フコースのみ(6分子)
硫酸基 10分子
ナトリウム 10分子
なお、1H−NMR及び13C−NMRにおけるピークの帰属の番号は下記式(IV)の通りである。
【0051】
【化36】
【0052】
(b)オリゴ糖1−(2)の物性
質量分析及びNMR分析の帰属の結果を以下に示し、本発明の硫酸化フカンオリゴ糖1−(2)の1H−NMRスペクトルを図4に、13C−NMRスペクトルを図5に、マススペクトルを図6にそれぞれ示した。図4、図5において縦軸はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。また、図6において、縦軸は相対強度を、横軸は、m/z値を示す。
分子量;2264
MS m/z 354.2[M−6Na+]6−、429.8[M−5Na+]5−、543.0[M−4Na+]4−、731.6[M−3Na+]3−
1H−NMR及び13C−NMRによる分析結果を表4、表5に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】
糖組成 L−フコースのみ(7分子)
硫酸基 12分子
ナトリウム 12分子
なお、1H−NMR及び13C−NMRにおけるピークの帰属の番号は下記式(V)の通りである。
【0056】
【化37】
【0057】
上記式(V)の硫酸化糖について、国際公開第00/62785号パンフレット、実施例1−(2)記載の方法で、HGF産生誘導活性を調べたところ、当該活性が確認できた。
【0058】
(c)オリゴ糖1−(3)の物性
質量分析の結果を以下に示し、本発明の硫酸化フカンオリゴ糖1−(3)の1H−NMRスペクトルを図7に、13C−NMRスペクトルを図8に、マススペクトルを図9にそれぞれ示した。図7、図8において縦軸はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。また、図9において、縦軸は相対強度を、横軸は、m/z値を示す。
分子量;2366
MS m/z 371.4[M−6Na+]6−、450.3[M−5Na+]5−、568.6[M−4Na+]4−、765.7[M−3Na+]3−
1H−NMR及び13C−NMRによる分析結果を表6及び表7に示す。
【0059】
【表6】
【0060】
【表7】
【0061】
糖組成 L−フコースのみ(7分子)
硫酸基 13分子
ナトリウム 13分子
なお、1H−NMR及び13C−NMRにおけるシグナルの帰属の番号は下記式(VI)の通りである。
【0062】
【化38】
【0063】
(d)オリゴ糖1−(4)の物性
質量分析の結果を以下に示し、本発明の硫酸化フカンオリゴ糖1−(4)の1H−NMRスペクトルを図10に、13C−NMRスペクトルを図11に、マススペクトルを図12にそれぞれ示した。図10、図11において縦軸はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。また、図12において、縦軸は相対強度を、横軸は、m/z値を示す。
分子量;3460
MS m/z 409.6[M−8Na+]8−、471.4[M−7Na+]7−、553.8[M−6Na+]6−、669.3[M−5Na+]5−、842.3[M−4Na+]4−、1130.8[M−3Na+]3−
1H−NMR及び13C−NMRによる分析結果を表8〜表10に示す。
【0064】
【表8】
【0065】
【表9】
【0066】
【表10】
【0067】
糖組成 L−フコースのみ(11分子)
硫酸基 18分子
ナトリウム 18分子
なお、1H−NMR及び13C−NMRにおけるシグナルの帰属の番号は下記式(VII)の通りである。
【0068】
【化39】
【0069】
実施例3 硫酸化フカン分解酵素を用いた硫酸化フカンオリゴ糖の調製、精製、及び構造解析
(1)調製
養殖したガゴメ乾燥物を穴径1mmのスクリーンを装着させたカッターミル(増幸産業製)を用いてチップとした。250gのガゴメチップを5リットルの80%エタノールに懸濁し、室温で2時間攪拌後、ろ過した。この80% エタノール洗浄を4回繰り返しガゴメチップ洗浄物を得た。ガゴメチップ洗浄物 250gを5リットルの125mM 塩化カルシウムと250mM 塩化ナトリウムと10% エタノールを含む17mM イミダゾール塩酸緩衝液(pH7.5)に懸濁し、室温で24時間攪拌後、ろ過、遠心分離して、ガゴメフコイダン溶液を得た。この抽出液1リットルに、硫酸化フカン分解酵素を10U添加し室温で3日間攪拌後、ろ紙でろ過し、ろ液を遠心分離して上清を得、排除分子量1万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機を用いて、低分子画分を回収し硫酸化フカンオリゴ糖画分2とした。
【0070】
(2)精製
実施例3−(1)で得られた硫酸化フカンオリゴ糖画分2を、100mM 塩化ナトリウムを含む10mM イミダゾール−塩酸緩衝液(pH6.5)で平衡化した1リットルのDEAE−セルロファインA−800のカラムにかけ、同じ緩衝液で充分洗浄後、100mMから1Mの塩化ナトリウムの濃度勾配により溶出させた。溶出させたフラクションは総て、総糖量をフェノール−硫酸法で、総ウロン酸量をカルバゾール−硫酸法で測定した。その結果、溶出フラクションは2個のピークを形成したのでそれぞれのピーク部分について質量分析を行った。また、各ピークの糖組成を調べたところフコースのみで、ウロン酸を含まなかった。糖組成から考えられる各質量のオリゴ糖は表11に示すような組成のものと考えられた。
【0071】
【表11】
【0072】
次に各ピークを形成するフラクションを集め、それぞれをエバポレーターにより濃縮後、実施例2−(2)と同じ条件で精製した。
YMC パック ポリアミンII カラムを用いたクロマトグラフィーにより分取したフラクションについて質量分析を行ったところ、ピーク番号2−(1)からは、質量1914及び2016の物質が、ピーク番号2−(2)からは質量3110の物質がそれぞれ主要ピークとして得られた。
これら、質量1914、2016、及び3110の物質を含むピーク近辺のフラクションを集め、10%エタノールで平衡化させたセルロファインGCL−25のカラムにかけ、10%エタノールで溶出して脱塩した。こうして本発明の硫酸化フカンオリゴ糖2−(1)−1、2−(1)−2、及び2−(2)を得た。
【0073】
(3)構造解析
実施例3−(2)で得られた本発明の硫酸化フカンオリゴ糖2−(1)−1、2−(1)−2、及び2−(2)について、2−アミノピリジンを用いた蛍光標識法により還元性末端糖及び糖組成の分析を行ったところ、還元性末端糖及び糖組成は総てフコースであった。次に、硫酸含量(塩化バリウムを用いた比濁法による)、ウロン酸含量(カルバゾール−硫酸法による)を測定した。また、JNM α−500型核磁気共鳴装置(日本電子社製)を用いてNMR分析を行った。構成糖の結合様式は、1H−検出異種核検出法であるHMBC法を用いて行った。1H−NMRの帰属にはDQF−COSY法及びHOHAHA法を、13C−NMRの帰属にはHSQC法を用いた。
以下に本発明の硫酸化フカンオリゴ糖2−(1)−1、2−(1)−2、及び2−(2)の物性を示す。
【0074】
(a)硫酸化フカンオリゴ糖2−(1)−1の物性
上記分析の結果、硫酸化フカンオリゴ糖2−(1)−1は本発明の硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)と同じ物質であると判明した。
【0075】
(b)硫酸化フカンオリゴ糖2−(1)−2の物性
質量分析及びNMR分析の帰属の結果を以下に示し、1H−NMRスペクトルを図13に、13C−NMRスペクトルを図14に、マススペクトルを図15にそれぞれ示した。図13、図14において縦軸はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。また、図15において、縦軸は相対強度を、横軸は、m/z値を示す。
分子量;2016
MS m/z 313.1 [M−6Na+]6−, 380.3 [M−5Na+]5−, 481.1 [M−4Na+]4−, 649.1 [M−3Na+]3−, 985.0 [M−2Na+]2−
1H−NMR及び13C−NMRによる分析結果を表12及び表13に示す。
【0076】
【表12】
【0077】
【表13】
【0078】
糖組成 L−フコースのみ(6分子)
硫酸基 11分子
ナトリウム 11分子
なお、1H−NMR及び13C−NMRにおけるシグナルの帰属の番号は下記式(VIII)の通りである。
【0079】
【化40】
【0080】
(c)オリゴ糖2−(2)の物性
質量分析の結果を以下に示し、本発明の硫酸化フカンオリゴ糖2−(2)の1H−NMRスペクトルを図16に、13C−NMRスペクトルを図17に、マススペクトルを図18にそれぞれ示した。図16、図17において縦軸はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。また、図18において、縦軸は相対強度を、横軸は、m/z値を示す。
分子量;3111
MS m/z 365.8[M−8Na+]8−、421.4[M−7Na+]7−、495.2[M−6Na+]6−、599.1[M−5Na+]5−、755.0[M−4Na+]4−、1013.7[M−3Na+]3−
1H−NMR及び13C−NMRによる分析結果を表14〜表16に示す。
【0081】
【表14】
【0082】
【表15】
【0083】
【表16】
【0084】
糖組成 L−フコースのみ(10分子)
硫酸基 16分子
ナトリウム 16分子
なお、1H−NMR及び13C−NMRにおけるシグナルの帰属の番号は下記式(IX)の通りである。
【0085】
【化41】
【0086】
実施例4 硫酸化フカン分解酵素を用いたマコンブ硫酸化フカンオリゴ糖の調製、精製、及び構造解析
(1)調製
養殖したマコンブの乾燥物を穴径1mmのスクリーンを装着させたカッターミル(増幸産業製)を用いてチップとした。500gのマコンブチップを4.5リットルの80%エタノールに懸濁し、室温で24時間攪拌後、ろ過した。この80%エタノール洗浄を3回繰り返し、マコンブチップ洗浄物を得た。得られた洗浄物全量を、50mM塩化カルシウム、200mMの塩化ナトリウム、及び10%のエタノールを含む10リットルの50mMのイミダゾール−塩酸緩衝液pH8.0に懸濁し、そこに、硫酸化フカン分解酵素を2U添加し、室温で5日間攪拌後、ろ紙でろ過し、ろ液を遠心分離して、上清を得、排除分子量1万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機を用いて、低分子画分を回収しマコンブ硫酸化フカンオリゴ糖画分1とした。
(2)精製
上記(1)で得られたマコンブ硫酸化フカンオリゴ糖画分1に10%エタノールを加えて下記の平衡化用緩衝液と導電率を同じにし、200mMの塩化ナトリウム及び10%のエタノールを含む20mMのイミダゾール−塩酸緩衝液(pH6.5)で平衡化した500mlのDEAE−セルロファインA−800のカラムにかけ、同じ緩衝液で洗浄後、200mMから1.2Mの塩化ナトリウムの濃度勾配により溶出させた。溶出には4.5リットルの緩衝液を使用し、分取は1本あたり50mlとした。溶出させたフラクションは総べて、総糖量をフェノール−硫酸法で、総ウロン酸量をカルバゾール−硫酸法で測定した。その結果、溶出フラクションは3個のピークを形成した。2つめのピーク近辺のフラクション(44−48)を集め、エヴァポレーターにより40mlに濃縮後、10%エタノールにより平衡化させた4.1×90cmのセルロファインGCL−25のカラムにかけ、10%エタノールで溶出させた。溶出させたフラクションは総べて、総糖量をフェノール−硫酸法で測定した。糖が検出された画分を集め、エヴァポレーターにより8.4mlに濃縮後、下記の条件で精製した。
カラム:YMC Pack Polyamine II (20×250mm、YMC社製)
流速:8ml/分
カラム温度:30℃
平衡化溶液:10%のアセトニトリルを含む875mMのリン酸2水素ナトリウム
溶出:10%のアセトニトリルを含む875mMのリン酸2水素ナトリウムから10%のアセトニトリルを含む1.4Mのリン酸2水素ナトリウムの濃度勾配による
分取:1本あたり4ml
検出:フェノール−硫酸法による
【0087】
上記のカラムクロマトグラフィーにより分取したフラクション(3回分、フラクションナンバー50−59近辺)を集め、排除分子量3500の透析チューブを用いて10%エタノールに対して透析し、エヴァポレーターで約40mlに濃縮後、10%エタノールで平衡化したセルロファインGCL−25のカラムにかけ、10%エタノールで溶出させた。
溶出させたフラクションは総べて、総糖量をフェノール−硫酸法で測定した。主要ピークの近辺を集め、再度同様にセルロファインGCL−25により精製した。本溶出画分の主要ピークを集め、スピードバックで濃縮後、凍結乾燥し、マコンブ硫酸化フカンオリゴ糖1を得た。
【0088】
(3)構造解析
実施例2に記載の方法でオリゴ糖の構造解析を行ったところ、マコンブ硫酸化フカンオリゴ糖1の構造は、実施例2に記載の硫酸化フカンオリゴ糖1−(3)と同じであることがわかった。
【0089】
実施例5 レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖の調製、精製および構造解析
(1)調製
参考例1に記載の方法により、レッソニア ニグレッセンスの乾燥チップからレッソニア ニグレッセンス由来フコイダンを調製した。
すなわち、10gのレッソニア ニグレッセンス由来フコイダンを50mM塩化カルシウム、300mMの塩化ナトリウム、及び10%のエタノールを含む2リットルの50mMのイミダゾール−塩酸緩衝液pH8.0に溶解し、そこに、硫酸化フカン分解酵素を1U添加し、室温で40時間攪拌後、排除分子量1万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機を用いて、低分子画分を回収しレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖画分1とした。
【0090】
(2)精製
上記(1)で得られたレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖画分1を200mMの塩化ナトリウム及び10%のエタノールを含む10mMのイミダゾール−塩酸緩衝液(pH6.0)で平衡化した1000mlのDEAE−セルロファインA−800のカラムにかけ、同じ緩衝液で洗浄後、200mMから700mMの塩化ナトリウムの濃度勾配により溶出させた。溶出には5リットルの緩衝液を使用し、分取は1本あたり56mlとした。溶出させたフラクションは総べて、総糖量をフェノール−硫酸法で、総ウロン酸量をカルバゾール−硫酸法で測定した。その結果、溶出フラクションは7個のピークを形成した。それぞれのピーク近辺のフラクションを集め、エヴァポレーターにより40mlに濃縮後、(以下それらをレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)から1−(7)とする。)10%エタノールにより平衡化させた4.1×90cmのセルロファインGCL−25のカラムにかけ、10%エタノールで溶出させた。溶出させたフラクションは総べて、総糖量をフェノール−硫酸法で測定した。糖が検出された画分を集め、エバポレーターにより濃縮後、下記の条件で精製した。
カラム:YMC Pack Polyamine II (20×250mm、YMC社製)
流速:8ml/分
カラム温度:30℃
平衡化溶液:レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)、(2)、(3)の場合は10%のアセトニトリルを含む90mMのリン酸2水素ナトリウム。レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(4)、(5)の場合は10%のアセトニトリルを含む630mMのリン酸2水素ナトリウム。レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(6)の場合は10%のアセトニトリルを含む720mMのリン酸2水素ナトリウム。レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(7)の場合は10%のアセトニトリルを含む900mMのリン酸2水素ナトリウム
【0091】
溶出:レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)、(2)、(3)の場合は10%のアセトニトリルを含む90mMのリン酸2水素ナトリウムから10%のアセトニトリルを含む900mMのリン酸2水素ナトリウムの濃度勾配による。レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(4)、(5)の場合は10%のアセトニトリルを含む630mMのリン酸2水素ナトリウムから10%のアセトニトリルを含む1260mMのリン酸2水素ナトリウムの濃度勾配による。レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(6)の場合は10%のアセトニトリルを含む720mMのリン酸2水素ナトリウムから10%のアセトニトリルを含む1440mMのリン酸2水素ナトリウムの濃度勾配による。レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(7)の場合は10%のアセトニトリルを含む900mMのリン酸2水素ナトリウムから10%のアセトニトリルを含む1620mMのリン酸2水素ナトリウムの濃度勾配による。
【0092】
分取:1本あたり4ml
検出:フェノール−硫酸法による
【0093】
レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)から1−(7)の上記のカラムクロマトグラフィーにより分取したフラクションにおいて、それぞれの糖溶出画分を集め、エヴァポレーターで約40mlに濃縮後、10%エタノールで平衡化したセルロファインGCL−25のカラムにかけ、10%エタノールで溶出させた。
溶出させたフラクションは総べて、総糖量をフェノール−硫酸法で測定した。主要ピークの近辺を集め、再度同様にセルロファインGCL−25により精製した。但し、レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(7)に関しては、2種の主要ピークが認められたので、それぞれのピークをレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(7)−1及び1−(7)−2とした。それぞれの溶出画分の主要ピークを集め、スピードバックで濃縮後、凍結乾燥し、レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)から1−(7)−2を得た。
【0094】
(3)構造解析
実施例2に記載の方法でオリゴ糖の構造解析を行った。
以下に、レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)から1−(7)−2の物性を示す。
【0095】
(a)レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)の物性
質量分析及びNMR分析の帰属の結果を以下に示し、1H−NMRスペクトルを図19に、13C−NMRスペクトルを図20に、マススペクトルを図21にそれぞれ示した。図19、図20において縦軸はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。また、図21において、縦軸は相対強度を、横軸は、m/z値を示す。
分子量;718
MS m/z 216.5[M−3Na+]3−,336.0[M−2Na+]2−,695.0[M−Na+]−
1H−NMR及び13C−NMRによる分析結果を表17に示す。
【0096】
【表17】
【0097】
糖組成 L−フコースのみ(2分子)
硫酸基 4分子
ナトリウム 4分子
なお、1H−NMR及び13C−NMRにおけるシグナルの帰属の番号は下記式(X)の通りである。
【0098】
【化42】
【0099】
(b)レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(2)の物性
質量分析及びNMR分析の帰属の結果を以下に示し、1H−NMRスペクトルを図22に、13C−NMRスペクトルを図23に、マススペクトルを図24にそれぞれ示した。図22、図23において縦軸はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。また、図24において、縦軸は相対強度を、横軸は、m/z値を示す。
分子量;966
MS m/z 459.9[M−2Na+]2−,942.9[M−Na+]−
1H−NMR及び13C−NMRによる分析結果を表18に示す。
【0100】
【表18】
【0101】
糖組成 L−フコースのみ(3分子)
硫酸基 5分子
ナトリウム 5分子
なお、1H−NMR及び13C−NMRにおけるシグナルの帰属の番号は下記式(XI)の通りである。
【0102】
【化43】
【0103】
(c)レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(3)の物性
質量分析及びNMR分析の帰属の結果を以下に示し、1H−NMRスペクトルを図25に、13C−NMRスペクトルを図26に、マススペクトルを図27にそれぞれ示した。図25、図26において縦軸はシグナルの強度を、横軸は化学シフト値(ppm)を示す。また、図27において、縦軸は相対強度を、横軸は、m/z値を示す。
分子量;1068
MS m/z 332.9[M−3Na+]3−,511.0[M−2Na+]2−,1045.0[M−Na+]−
1H−NMR及び13C−NMRによる分析結果を表19に示す。
【0104】
【表19】
【0105】
糖組成 L−フコースのみ(3分子)
硫酸基 6分子
ナトリウム 6分子
なお、1H−NMR及び13C−NMRにおけるシグナルの帰属の番号は下記式(XII)の通りである。
【0106】
【化44】
【0107】
(d)レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(4)の物性
実施例2に記載の方法で構造解析を行ったところ、レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(4)の構造は、実施例2に記載の硫酸化フカンオリゴ糖1−(2)と同じであることがわかった。
【0108】
(e)レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(5)の物性
実施例2に記載の方法で構造解析を行ったところ、レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(5)の構造は、実施例2に記載の硫酸化フカンオリゴ糖1−(3)と同じであることがわかった。
【0109】
(f)レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(6)の物性
本発明のレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(6)の質量分析の結果を以下に示す。
分子量;3461
MS m/z 361.5[M−9Na+]9−,409.62[M−8Na+]8−,471.42[M−7Na+]7−,553.81[M−6Na+]6−,669.31[M−5Na+]5−,842.32[M−4Na+]4−,1130.83[M−3Na+]3−
糖組成 L−フコースのみ(11分子)
硫酸基 18分子
ナトリウム 18分子
【0110】
(g)レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(7)−1の物性本発明のレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(7)−1の質量分析の結果を以下に示す。
分子量;4659
MS m/z 442.82[M−10Na+]10−,494.72[M−9Na+]9−,559.32[M−8Na+]8−,642.62[M−7Na+]7−,753.52[M−6Na+]6−,908.82[M−5Na+]5−,1141.43[M−4Na+]4−
糖組成 L−フコースのみ(15分子)
硫酸基 24分子
ナトリウム 24分子
【0111】
(h)レッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(7)−2の物性本発明のレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(7)−2の質量分析の結果を以下に示す。
分子量;3564
MS m/z 373.12[M−9Na+]9−,422.52[M−8Na+]8−,486.32[M−7Na+]7−,571.01[M−6Na+]6−,689.61[M−5Na+]5−,868.02[M−4Na+]4−,1164.93[M−3Na+]3−
糖組成 L−フコースのみ(11分子)
硫酸基 19分子
ナトリウム 19分子
【0112】
実施例6 硫酸化フカン分解酵素を用いた硫酸化フカンオリゴ糖の調製、精製、及び構造解析
(1)調製
参考例1記載の養殖したガゴメ由来フコイダン10gを4.8リットルの125mM 塩化カルシウムと250mM 塩化ナトリウムと10% エタノールを含む17mM イミダゾール塩酸緩衝液(pH7.5)に溶解後、硫酸化フカン分解酵素を10U添加し、室温で72時間攪拌して、ガゴメフコイダンオリゴ糖溶液を得た。排除分子量1万のホロファイバーを装着させた限外ろ過機を用いて、低分子画分を回収し硫酸化フカンオリゴ糖画分3とした。
【0113】
(2)分析
上記(1)で得られた硫酸化フカンオリゴ糖画分3を100mM 塩化ナトリウムを含む10mM イミダゾール−塩酸緩衝液(pH6.5)で平衡化した1リットルのDEAE−セルロファインA−800のカラムにかけ、同じ緩衝液で充分洗浄後、100mMから1Mの塩化ナトリウムの濃度勾配により溶出させた。溶出させたフラクションは総て、総糖量をフェノール−硫酸法で、総ウロン酸量をカルバゾール−硫酸法で測定した。その結果、溶出フラクションは2個のピークを形成したのでそれぞれのピーク部分について質量分析を行った。また、その糖組成を調べたところフコースのみで、ウロン酸を含まなかった。糖組成から考えられる各質量のオリゴ糖は表20に示すような組成のものと考えられた。
【0114】
【表20】
【0115】
硫酸化フカンオリゴ糖画分3には上表に示すような種々の硫酸化フカンオリゴ糖が入っていることが判明した。
【0116】
実施例7 硫酸化フカン分解酵素を用いた硫酸化フカンオリゴ糖の調製、精製、構造解析及び生理活性
(1)実施例2−(2)で得られたDEAE−セルロファインの4個の明瞭なピークの他に、それらよりも高い塩濃度で溶出される幅広いピークも認められたのでオリゴ糖4として採取し、実施例2と同様の方法でNMR分析を行った。その結果、硫酸化フカンオリゴ糖1−(2)とほぼ同じスペクトルが得られた。この結果から、オリゴ糖4はオリゴ糖1−(2)が数分子結合した構造を持つことが強く示唆された。そこで、オリゴ糖4を実施例1記載の硫酸化フカン分解酵素により分解し、分解物をHPLCにより分析したところ、反応生成物の多くが硫酸化フカンオリゴ糖1−(2)と同じ位置に溶出されてきた。
プルランを標準物質としたゲル濾過法により、上記オリゴ糖4の分子量を測定したところ、オリゴ糖4の分子量はオリゴ糖1−(2)の3倍程度であることが判明した。
【0117】
また、7糖残基の繰り返しの結合位置は、オリゴ糖4の1H−NMRスペクトルを詳細に検討することにより、式(IV)中のF6のフコースの3位にα−(1→3)結合でつながっていることが明らかとなった。
【0118】
さらに上記方法に準じ、硫酸化多糖の分解物中より、(I)で表される硫酸化糖の1〜5量体、すなわち下記一般式(I)においてn=1〜5で表される硫酸化糖を得た。
【化45】
(式中、RはH又はSO3Hであり、Rの少なくとも1つはSO3Hである。)
【0119】
以上のことから、ガゴメ昆布のような褐藻類から得られた硫酸化フカン含有多糖を、硫酸化フカン分解酵素で処理することにより低分子化され、上記一般式で表される硫酸化糖を構成糖の必須成分とする硫酸化多糖が得られることが確認できた。また、該硫酸化多糖の分子量をゲル濾過法を用いて、測定したところ、抽出条件がpH6〜8、95℃ 約2時間の場合は、平均分子量は約20万であった。
【0120】
(2)上記(1)で得られた硫酸化糖について、生理活性を調べた。その結果、式(I)で示される硫酸化糖は、国際公開第00/62785号パンフレット、実施例1−(2)記載の方法で、HGF産生誘導活性を調べたところ、当該活性が確認できた。また、式(I)の硫酸化糖について、国際公開第99/41288号パンフレット、実施例8ならびに実施例9記載の方法で保湿性を調べたところ、非常に有用であることが確認できた。
【0121】
【発明の効果】
本発明により硫酸化フカン分解酵素を使用した糖鎖工学用試薬として有用な様々な分子量の硫酸化フカンオリゴ糖の製造方法が提供される。また、構造が解明された種々の硫酸化フカンオリゴ糖が提供される。
【0122】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図2】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図3】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)の質量分析(マス)スペクトルを示す図である。
【図4】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖1−(2)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図5】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖1−(2)の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図6】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖1−(2)の質量分析(マス)スペクトルを示す図である。
【図7】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖1−(3)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図8】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖1−(3)の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図9】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖1−(3)の質量分析(マス)スペクトルを示す図である。
【図10】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖1−(4)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図11】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖1−(4)の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図12】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖1−(4)の質量分析(マス)スペクトルを示す図である。
【図13】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖2−(1)−2の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図14】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖2−(1)−2の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図15】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖2−(1)−2の質量分析(マス)スペクトルを示す図である。
【図16】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖2−(2)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図17】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖2−(2)の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図18】本発明により得られる硫酸化フカンオリゴ糖2−(2)の質量分析(マス)スペクトルを示す図である。
【図19】本発明により得られるレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図20】本発明により得られるレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図21】本発明により得られるレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(1)の質量分析(マス)スペクトルを示す図である。
【図22】本発明により得られるレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(2)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図23】本発明により得られるレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(2)の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図24】本発明により得られるレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(2)の質量分析(マス)スペクトルを示す図である。
【図25】本発明により得られるレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(3)の1H−NMRスペクトルを示す図である。
【図26】本発明により得られるレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(3)の13C−NMRスペクトルを示す図である。
【図27】本発明により得られるレッソニア ニグレッセンス硫酸化フカンオリゴ糖1−(3)の質量分析(マス)スペクトルを示す図である。
Claims (6)
- 硫酸化フカンがガゴメ(Kjellmaniella crassifolia)、マコンブ(Laminaria japonica)、あるいはレッソニア ニグレッセンス(Lessonia nigrescens)由来である請求項3記載の硫酸化フカンオリゴ糖の調製方法。
- 請求項3記載の方法で調製される硫酸化フカンオリゴ糖。
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