JP2003012628A - グリオキシムおよびジクロログリオキシムの製造方法 - Google Patents

グリオキシムおよびジクロログリオキシムの製造方法

Info

Publication number
JP2003012628A
JP2003012628A JP2001205876A JP2001205876A JP2003012628A JP 2003012628 A JP2003012628 A JP 2003012628A JP 2001205876 A JP2001205876 A JP 2001205876A JP 2001205876 A JP2001205876 A JP 2001205876A JP 2003012628 A JP2003012628 A JP 2003012628A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
glyoxime
dichloroglyoxime
solution
aqueous
producing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001205876A
Other languages
English (en)
Inventor
Katsuji Tsuji
勝次 辻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Katayama Chemical Inc
Original Assignee
Katayama Chemical Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Katayama Chemical Inc filed Critical Katayama Chemical Inc
Priority to JP2001205876A priority Critical patent/JP2003012628A/ja
Publication of JP2003012628A publication Critical patent/JP2003012628A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 この発明は、塩を生成させることなくグリオ
キサール水溶液にヒドロキシルアミンを作用させてグリ
オキシム水性懸濁液を得ること、また、得られたグリオ
キシム水性懸濁液からグリオキシムを単離することな
く、オキシム化と塩素化の2工程を連続して、1ポット
で実施してジクロログリオキシムを安全に、簡便な操作
で容易に、かつ高収率で製造する方法を提供することを
課題とする。 【解決手段】 グリオキサールをオキシム化してグリオ
キシムを製造するにあたり、グリオキサール水溶液と硫
酸ヒドロキシルアミンとをアルカリで中和しないで反応
させることを特徴とするグリオキシムの製造方法および
上記の方法により得られたグリオキシムの水性懸濁液を
塩素化剤と処理することを特徴とするジクロログリオキ
シムの製造方法が提供される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、殺菌剤として、
特に工業用殺菌剤、防腐剤、紙・パルプ工場のスライム
コントロール剤として有用なジクロログリオキシムとそ
の原料であるグリオキシムを、安全にかつ簡便な操作で
容易に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ジクロログリオキシムは、殺菌剤、特に
工業用殺菌剤、防腐剤、スライムコントロール剤などと
して有用なことが知られている(例えば、特開平8−2
0505号公報参照)。
【0003】従来、ジクロログリオキシムは、グリオキ
サール水溶液にフリーのヒドロキシルアミンを作用させ
て得られたグリオキシムを塩素化する方法により製造さ
れることが知られている。また、グリオキシムの製造に
用いられるフリーのヒドロキシルアミンは製造工程での
加熱や紫外線により爆発・火災等の危険があることから
使用上好ましくないので、グリオキサール水溶液中で、
ヒドロキシルアミンの硫酸塩や塩酸塩をアルカリで中和
する方法が採用されている(英国特許第GB13072
23号公報、米国特許第4539405号)。
【0004】英国特許第GB1307223号公報に記
載の発明は、沈殿したグリオキシムをろ取して単離し、
その希塩酸水溶液との懸濁水溶液中に、塩素を吹き込む
方法であるが、反応が遅く収率も低く満足できるもので
はない。また、米国特許第4539405号記載の発明
も、沈殿したグリオキシムをろ取して単離し、グリオキ
シムのエタノ−ルの溶液中に塩素を吹き込む方法である
が、−20℃という極低温条件下で短時間に塩素を吹き
込まなければ収率が低いという欠点がある。また、これ
らの方法は、いずれもグリオキシムを結晶として単離し
ているため機械的な衝撃や摩擦などにより爆発の危険性
も指摘されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】グリオキサール水溶液
にヒドロキシルアミンを作用させて得られたグリオキシ
ム水性懸濁液からグリオキシムを単離することなく、オ
キシム化と塩素化の2工程を連続して、1ポットで実施
してジクロログリオキシムを製造するのが好ましい。し
かし、グリオキサール水溶液中で、ヒドロキシルアミン
の硫酸塩や塩酸塩をアルカリで中和してグリオキシムを
得る方法では、中和するためにアルカリが必要となると
ともに中和反応により塩が生成され、このまま塩素化す
ると得られるジクロログリオキシムの収率が低くなるた
め、塩素化工程に至るまでにこの塩を濾過する工程が必
要であった(本願比較例1および特開平7−33728
号公報実施例1参照)。
【0006】工業的に製造する工程において、上記濾過
工程の存在は、高価な装置と煩雑な操作(グリオキシム
の溶媒抽出操作)を含み、経済的な観点からも好ましく
ない。この発明は、塩を生成させることなくグリオキサ
ール水溶液にヒドロキシルアミンを作用させてグリオキ
シム水性懸濁液を得ること、また、得られたグリオキシ
ム水性懸濁液からグリオキシムを単離することなく、オ
キシム化と塩素化の2工程を連続して、1ポットで実施
してジクロログリオキシムを安全に、簡便な操作で容易
に、かつ高収率で製造する方法を提供することを課題と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】この発明の発明者らは、
上記の課題について鋭意研究した結果、ヒドロキシルア
ミン鉱酸塩の中でも硫酸ヒドロキシルアミンを用い、ア
ルカリで中和しないでグリオキサール水溶液と反応させ
ることにより塩を生成させることなく高収率でグリオキ
シム水性懸濁液が得られること、また、得られたグリオ
キシム水性懸濁液中のグリオキシムを塩素化剤で処理す
ることにより、安全に、簡便な操作で容易に、かつ高収
率でジクロログリオキシムが得られることを見出し、本
発明を完成するに到った。
【0008】この発明によるグリオキシムの収率は、硫
酸ヒドロキシルアミンに換えて塩酸ヒドロキシルアミン
を用いた場合と比較して顕著に高いこと、また、この発
明によるジクロログリオキシムの収率は、原料であるグ
リオキシムの製造に、アルカリでの中和を行なう従来技
術を用いた場合の収率と比較して顕著に高いことは意外
な事実であった(実施例5と比較例1参照)。
【0009】かくしてこの発明によれば、グリオキサー
ルをオキシム化してグリオキシムを製造するにあたり、
グリオキサール水溶液と硫酸ヒドロキシルアミンとをア
ルカリで中和しないで反応させることを特徴とするグリ
オキシムの製造方法(請求項1)、
【0010】および上記の方法により得られたグリオキ
シムの水性懸濁液を塩素化剤で処理することを特徴とす
るジクロログリオキシムの製造方法(請求項2)が提供
される。
【0011】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明で用いるグ
リオキサール水溶液は一般に市販されている40%水溶液
を、硫酸ヒドロキシルアミンは一般に市販されている粉
末品を好適に用いることができる。
【0012】反応は常温下、グリオキサール水溶液を撹
拌しながら粉末の硫酸ヒドロキシルアミンをそのままま
たは水で希釈して添加し、10分から2時間撹拌するこ
とによりグリオキシム水性懸濁液が得られる。特に30
℃から40℃に加温しながら撹拌すると反応時間を短縮
することができるので好ましい。通常、グリオキサール
水溶液中のグリオキサール1モルに対して硫酸ヒドロキ
シルアミンを2モルとなるように添加するのが好まし
い。硫酸ヒドロキシルアミンを中和するためにアルカリ
剤を添加することは、中和工程そのものが余分な工程で
あり、さらに塩素化のために鉱酸を別途加える必要が生
じる。また、収率の点で好ましくない。収率を向上させ
るためには、グリオキシムを単離する必要がある。
【0013】請求項2に記載の発明によると、得られた
グリオキシム水性懸濁液中のグリオキシムを塩素化剤で
処理することによりジクロログリオキシムが得られる。
塩素化剤での処理としては、グリオキシムの酸性溶液中
に塩素ガスを吹き込んだり、次亜塩素酸アルカリ塩から
発生する塩素と反応させる公知の塩素化方法が挙げられ
る。
【0014】特に、非水混和性有機溶剤の存在下、塩素
化剤で処理することにより、または、塩素化剤で処理し
た後非水混和性有機溶剤を添加することによりジクロロ
グリオキシムの非水混和性有機溶剤溶液として得る方法
(請求項3および4記載の発明)が安全に、簡便な操作
で容易に、かつ高収率でジクロログリオキシムが得られ
る点で好ましい。
【0015】また、この発明の方法を採用することによ
り、グリオキシム水性懸濁液からグリオキシムを単離す
ることなく、そのまま塩素剤で処理してジクロログリオ
キシムを収率よく製造することができる。すなわち、オ
キシム化と塩素化の2工程を連続して、1ポットで行う
ことができる。
【0016】請求項3および4記載の発明で使用する非
水混和性有機溶剤としては、水との相溶性が実質的にな
いかまたは低く、ジクロログリオキシムを1%以上溶解
することができ、かつ塩素に対して不活性であるものが
好ましい。
【0017】具体的にはコハク酸ジメチルエステル、コ
ハク酸ジエチルエステル、グルタル酸ジメチルエステ
ル、グルタル酸ジエチルエステル、アジピン酸ジメチル
エステル、アジピン酸ジエチルエステルおよび 7,12-ジ
メチル-7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボン酸ジメ
チルエステルなどの脂肪族ジカルボン酸エステル類、な
らびに酢酸エチル、酢酸ブチルなどの脂肪族モノカルボ
ン酸エステル類が挙げられる。また、ベンゼン、キシレ
ン、トルエンおよびケロシンのような炭化水素類も用い
ることができ、これらの非水混和性有機溶剤は、単独で
あるいは2種以上を混合して用いることができる。
【0018】上記の非水混和性有機溶剤のなかでも、脂
肪族ジカルボン酸エステル類としてコハク酸ジメチルエ
ステル、グルタル酸ジメチルエステル、アジピン酸ジメ
チルエステルもしくはこれらの混合物、脂肪族モノカル
ボン酸エステル類として酢酸エチル、酢酸ブチルもしく
はこれらの混合物が好ましい。より具体的には、コハク
酸ジメチルエステルとグルタル酸ジメチルエステルとア
ジピン酸ジメチルエステルとの混合溶液(例えば、デュ
ポン社製、DBE)および酢酸エチルを好適に用いるこ
とができる。なお、クロロホルムはジクロログリオキシ
ムの溶解度が低く、これらの発明の非水混和性有機溶剤
としては好ましくない。
【0019】非水混和性有機溶剤の使用量は、該有機溶
剤の種類、すなわちそのジクロログリオキシムに対する
溶解能により異なるが、生成されるジクロログリオキシ
ムを反応時の温度で実質的に溶解し得る量以上であるの
が好ましい。例えば、非水混和性有機溶剤としてDBE
を用いる場合、DBEはグリオキシム1kgに対して
3.8〜76kg程度であればよい。また、酢酸エチル
を用いる場合、同様に3.8〜76kg程度であればよ
い。上記の使用量の上限は、特にないが、反応効率や経
済性の面からなるべく必要量の少過剰が望ましい。ま
た、得られたジクロログリオキシムの有機溶剤溶液をそ
のまま殺菌剤として使用する場合、使用時の濃度になる
ように調整することもできる。
【0020】塩素化剤としては、塩素ガスまたは次亜塩
素酸アルカリ塩から発生する塩素などが用いられ、さら
に、非水混和性有機溶剤溶液も使用される。非水混和性
有機溶剤溶液とは、例えば、次亜塩素酸アルカリ金属塩
の水溶液と前記の非水混和性有機溶剤の混合液を酸性化
し、分離して得られる非水層である。この酸性化には、
塩酸、硫酸、硝酸のような鉱酸、ギ酸、酢酸のような有
機酸を用いることができる。
【0021】塩素化剤は、有効塩素量として、通常、グ
リオキシムに対して1.5〜6モル当量、好ましくは3
〜5モル当量で用いられ、例えば3、4、5モル当量が
好ましい。この発明の塩素化は、酸性領域下で行うこと
が望ましい。この酸性領域は、グリオキシム水性懸濁液
に鉱酸、例えば硫酸を添加して形成するのが好ましい。
グリオキシム水性懸濁液を酸性領域にすることにより、
塩素化が阻害されず、収率が向上するので好ましく、特
に約pH2以下の酸性領域が好ましい。本発明の方法に
おける反応温度は、室温以下の温度、好ましくは−20
℃〜25℃、より好ましくは−10℃〜10℃である。
反応時間は、塩素化剤の種類や濃度、反応温度などによ
り異なるが、通常、1〜8時間である。
【0022】かくして、これらの発明の方法によれば、
ジクロログリオキシムは、使用した非水混和性有機溶剤
の溶液として得られる。
【0023】このようにこれらの発明の方法は、操作
上、危険性を伴う加熱を一切行わず、しかもグリオキシ
ムおよびジクロログリオキシムを結晶としてではなく、
水が共存する溶液として取り扱うので、安全にジクロロ
グリオキシムを得ることができる。また、これらの発明
の方法における反応環境は水層と非水層との混合系から
なるので、塩素化反応で生成する塩酸が反応混合液中の
水層に溶解(抽出)され、ジクロログリオキシムを含有
する非水層(有機溶剤溶液)から除かれる。したがっ
て、反応混合液に酸受容体を添加する必要がなく、反応
をスムーズに進行させることができ、得られるジクロロ
グリオキシムの有機溶剤溶液を殺菌剤として使用する場
合、あるいは貯蔵する場合に、塩酸による弊害(金属に
対する腐食性)を回避することができる。
【0024】また、これらの発明の方法は良好な塩素化
効率を有するので、グリオキシムを基準としてジクロロ
グリオキシムを60%以上の収率で得ることができる。
得られるジクロログリオキシムの有機溶剤溶液は、その
まま又は必要により他の殺菌剤を配合して、殺菌剤、特
に工業用殺菌剤として使用することができる。
【0025】
【実施例】この発明を以下の実施例、比較例により具体
的に説明するが、これらがこの発明の範囲を限定するも
のではない。
【0026】実施例1(グリオキシムの合成) 温度計および撹拌機を備えた三つ口フラスコにグリオキ
サール40%水溶液55g(0.38モル)温水30g
と硫酸ヒドロキシルアミン62.5g(0.38モル)
とを加えた。この混合液を35〜45℃に保ちながら撹
拌した。30分後グリオキシム水性懸濁液147.5g
を得た(グリオキシム収率99%以上)。
【0027】参考例1(塩素を含有する非水混和性有機
溶剤溶液の調製) 温度計および撹拌機を備えた三つ口フラスコに次亜塩素
酸ナトリウム水溶液460g(有効塩素として53g、
0.75モル)およびコハク酸ジメチルエステルとグル
タル酸ジメチルエステルとアジピン酸ジメチルエステル
の混合溶液(デュポン社製、DBE)690gを加え
た。この混合液を撹拌しながら冷却し、35%塩酸水溶
液150gを0〜5℃に保ちながら約20分間かけて滴
下した。滴下終了後、撹拌を止め、静置すると混合液は
2層に分離した。黄色層(非水層)の塩素を含有するD
BE溶液760gが得られた。
【0028】実施例2(ジクロログリオキシムの合成そ
の1) 実施例1で得られた酸性のグリオキシム水性懸濁液14
7.5gに、参考例1で得られた塩素を含有するDBE
溶液760g(グリオキシムに対する有効塩素量2モル
当量を含有)を、強い撹拌条件下、−5〜5℃で約1.
5時間かけて滴下した。なお、DBE溶液に含まれるD
BE690gは、水性懸濁液中のグリオキシム1kgに
対して21kgに相当する。滴下終了後、撹拌を止めて
静置すると、混合液は2層に分離した。淡黄色のDBE
溶液を分液し、その中のジクロログリオキシムを 1H−
NMRおよびHPLC(液体クロマトグラフィー)によ
り同定、定量した。
【0029】その結果は、 1H−NMR(DMSO)δ
で13.11ppmにヒドロキシプロトンの吸収を示し
たことにより、ジクロログリオキシムであると判定し
た。また、HPLCにより、得られたDBE溶液中には
ジクロログリオキシムを5.7w/w%含有しているこ
とを確認した。その収率は76%(グリオキシムを基に
した換算値、以下同じ)であった。
【0030】実施例3(ジクロログリオキシムの合成そ
の2) 実施例1で得られた酸性のグリオキシム水性懸濁液14
7.5gに、強い撹拌条件下、0〜5℃で、DBE55
0gを加え、次亜塩素酸ナトリウム水溶液620g(有
効塩素として71g、1.0モル、グリオキシムに対す
る有効塩素量2.4モル当量を含有)を約2.0時間か
けて滴下した。なお、DBE550gは、水性懸濁液中
のグリオキシム1kgに対して17kgに相当する。滴
下終了後、撹拌を止めて静置すると、混合液は2層に分
離した。淡黄色のDBE溶液を分液し、その中のジクロ
ログリオキシムを 1H−NMRおよびHPLCにより同
定、定量した。
【0031】その結果は、 1H−NMR(DMSO)δ
で13.11ppmにヒドロキシプロトンの吸収を示し
たことにより、ジクロログリオキシムであると判定し
た。また、HPLCにより、得られたDBE溶液中には
ジクロログリオキシムを7.7w/w%含有しているこ
とを確認した。その収率は78%であった。
【0032】実施例4(ジクロログリオキシムの合成そ
の3) 実施例1で得られた酸性のグリオキシム水性懸濁液14
7.5gにDBE溶液1000gを加え、強い撹拌条件
下に−10〜5℃で、塩素ガスを少量ずつ吹き込んだ。
なお、DBE1000gは、水性懸濁液中のグリオキシ
ム1kgに対して33kgに相当する。反応混合液中の
ジクロログリオキシムをHPLCで経時的に測定しなが
ら、ジクロログリオキシムの量が増加しなくなるまで塩
素ガスを吹き込んだ。塩素ガスの吹き込み時間は約3時
間であった。撹拌を止めて静置すると、混合液は2層に
分離した。淡黄色のDBE溶液を分液し、その中のジク
ロログリオキシムを 1H−NMRおよびHPLCにより
同定、定量した。
【0033】その結果は、 1H−NMR(DMSO)δ
で13.11ppmにヒドロキシプロトンの吸収を示し
たことにより、ジクロログリオキシムであると判定し
た。また、HPLCにより、得られたDBE溶液中には
ジクロログリオキシムを4.2w/w%含有しているこ
とを確認した。その収率は72%であった。
【0034】実施例5(ジクロログリオキシムの合成そ
の4) 実施例1で得られた酸性のグリオキシム水性懸濁液14
7.5gに強い撹拌条件下に0〜5℃で、次亜塩素酸ナ
トリウム水溶液620g(有効塩素として71g、1.
0モル、グリオキシムに対する有効塩素量2.4モル当
量を含有)を約2.0時間かけて滴下した。その後、D
BE550gを加えた。なお、DBE550gは、水性
懸濁液中のグリオキシム1kgに対して17kgに相当
する。撹拌を止めて静置すると、混合液は2層に分離し
た。淡黄色のDBE溶液を分液し、その中のジクロログ
リオキシムを 1H−NMRおよびHPLCにより同定、
定量した。
【0035】その結果は、 1H−NMR(DMSO)δ
で13.11ppmにヒドロキシプロトンの吸収を示し
たことにより、ジクロログリオキシムであると判定し
た。また、HPLCにより、得られたDBE溶液中には
ジクロログリオキシムを6.4w/w%含有しているこ
とを確認した。その収率は65%であった。
【0036】比較例1(ジクロログリオキシムの合成そ
の5) 3リットルの四つ口フラスコに、40%グリオキサ−ル
55g(0.38mol)と硫酸ヒドロキシルアミン6
2.5g(0.38mol)と水15mlを入れ、冷却
下10〜20℃で35%水酸化ナトリウム水溶液87g
(0.76mol)を滴下した。室温で一夜熟成し、グ
リオキシム水性懸濁液219.5gを得た。後、ここへ
塩酸20gを加え、強い撹拌条件下に0〜5℃で、次亜
塩素酸ナトリウム水溶液620g(有効塩素として71
g、1.0モル、グリオキシムに対する有効塩素量2.
4モル当量を含有)を約2.0時間かけて滴下した。そ
の後、DBE550gを加えた。なお、DBE550g
は、水性懸濁液中のグリオキシム1kgに対して17k
gに相当する。撹拌を止めて静置すると、混合液は2層
に分離した。淡黄色のDBE溶液を分液し、その中のジ
クロログリオキシムを1H−NMRおよびHPLCによ
り同定、定量した。
【0037】その結果は、 1H−NMR(DMSO)δ
で13.11ppmにヒドロキシプロトンの吸収を示し
たことにより、ジクロログリオキシムであると判定し
た。また、HPLCにより、得られたDPE溶液中には
ジクロログリオキシムを3.3w/w%含有しているこ
とを確認した。その収率は30%であった。
【0038】
【発明の効果】この発明により中和工程なく酸性グリオ
キシム水性懸濁液を調製することができる。また、これ
をそのまま塩素化することにより1ポットでジクロログ
リオキシムを高収率で製造することができる。この方法
によれば、危険性の高い製法のフリーヒドロキシルアミ
ンを使用する必要がなく、従来と比較して製造設備の軽
減、工程の簡素化、製造時間および作業時間の短縮を計
ることができる。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 グリオキサールをオキシム化してグ
    リオキシムを製造するにあたり、グリオキサール水溶液
    と硫酸ヒドロキシルアミンとをアルカリで中和しないで
    反応させることを特徴とするグリオキシムの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1で得られたグリオキシムの
    水性懸濁液を塩素化剤で処理することを特徴とするジク
    ロログリオキシムの製造方法。
  3. 【請求項3】 塩素化剤の処理が非水混和性有機溶
    剤の存在下で行われる請求項2に記載のジクロログリオ
    キシムの製造方法。
  4. 【請求項4】 塩素化剤で処理した後、非水混和性
    有機溶剤を添加する請求項2に記載のジクロログリオキ
    シムの製造方法。
  5. 【請求項5】 非水混和性有機溶剤が、脂肪族ジカ
    ルボン酸エステル類または脂肪族モノカルボン酸エステ
    ル類である請求項3または4に記載の方法。
JP2001205876A 2001-07-06 2001-07-06 グリオキシムおよびジクロログリオキシムの製造方法 Pending JP2003012628A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001205876A JP2003012628A (ja) 2001-07-06 2001-07-06 グリオキシムおよびジクロログリオキシムの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001205876A JP2003012628A (ja) 2001-07-06 2001-07-06 グリオキシムおよびジクロログリオキシムの製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003012628A true JP2003012628A (ja) 2003-01-15

Family

ID=19042107

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001205876A Pending JP2003012628A (ja) 2001-07-06 2001-07-06 グリオキシムおよびジクロログリオキシムの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003012628A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104829548A (zh) * 2015-03-30 2015-08-12 北京理工大学 一种5,5’-联四唑-1,1’-二氧羟胺盐的合成方法
JP6229244B1 (ja) * 2017-01-30 2017-11-15 フジ産業株式会社 ジクロログリオキシムの製造方法
KR101845624B1 (ko) 2016-09-22 2018-04-04 국방과학연구소 고순도 고수율의 디클로로글리옥심의 제조방법
CN109232306A (zh) * 2018-11-06 2019-01-18 航天特种材料及工艺技术研究所 一种二氯乙二肟固体的制备方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104829548A (zh) * 2015-03-30 2015-08-12 北京理工大学 一种5,5’-联四唑-1,1’-二氧羟胺盐的合成方法
KR101845624B1 (ko) 2016-09-22 2018-04-04 국방과학연구소 고순도 고수율의 디클로로글리옥심의 제조방법
JP6229244B1 (ja) * 2017-01-30 2017-11-15 フジ産業株式会社 ジクロログリオキシムの製造方法
WO2018139485A1 (ja) * 2017-01-30 2018-08-02 フジ産業株式会社 ジクロログリオキシムの製造方法
CN109232306A (zh) * 2018-11-06 2019-01-18 航天特种材料及工艺技术研究所 一种二氯乙二肟固体的制备方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5958955A (en) Method for the synthesis of a benzimidazole compound
TW201642742A (zh) 製備硝磺草酮之方法
KR20140113927A (ko) (5-플루오로-2-메틸-3-퀴놀린-2-일메틸-인돌-1-일)-아세트산에스테르의 제조 방법
NZ207238A (en) Quinolone carboxylic acid derivatives and pharmaceutical compositions
JP5815507B2 (ja) 1−メチルピラゾール−4−カルボン酸エステルの精製のためのプロセス
TW201625537A (zh) 用於製備3-羥基吡啶甲酸的方法
JP2003012628A (ja) グリオキシムおよびジクロログリオキシムの製造方法
JP2008291008A (ja) 2,5−ジメチルアセトフェノン誘導体、2,5−ジメチルアセトフェノン誘導体から得られる2,5−ジメチルフェニル酢酸及びその誘導体の製造方法
TW448147B (en) Process for preparing hydroxamic acids
AU783255B2 (en) Novel process for the preparation of alpha-(2-4-disulfophenyl)-N-tert-butylnitrone and pharmaceutically acceptable salts thereof
JP2717620B2 (ja) ジクロログリオキシム有機溶剤溶液の製造法
JP2683106B2 (ja) N‐ヒドロキシピラゾールの製法
JP2015526507A (ja) フルボキサミン遊離塩基の精製方法およびそれを用いた高純度フルボキサミンマレイン酸塩の製造方法
JPH11236362A (ja) ジクロログリオキシムの製造方法
JP2022184396A (ja) 1-アルキル-5-ヒドロキシピラゾールの製造方法
JP3997261B2 (ja) モノクロログリオキシムの製造方法
RU2227137C2 (ru) СПОСОБ ПОЛУЧЕНИЯ α, α-ДИМЕТИЛФЕНИЛУКСУСНОЙ КИСЛОТЫ ИЗ α, α-ДИМЕТИЛБЕНЗИЛЦИАНИДА БЕЗ ДАВЛЕНИЯ
JP5232335B1 (ja) 1−置換−3−フルオロアルキルピラゾール−4−カルボン酸エステルの製造方法
TW201326116A (zh) 2,6-二乙基-4-甲基苯醋酸之製造方法
CN110494417B (zh) N-取代的芳族羟胺的生产
JP4371416B2 (ja) 高純度2,4−ジクロロ−3−アルキル−6−tert−ブチルフェノール類およびその製造方法
JP3235914B2 (ja) 4,5−ジクロロフタル酸又はその塩の製造方法
JP2907520B2 (ja) 界面活性剤の製造方法
KR960011386B1 (ko) 퀴놀론 유도체의 제조방법
JP6341107B2 (ja) 12,14−ジイソチオシアナトデヒドロアビエチン酸類およびその製造方法