JP2003011861A - 無限軌道帯用弾性体付き鉄製履帯 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性を向上させた無限軌道帯用弾性体付き
鉄製履帯の提供。 【解決手段】 一対のリンク３をピンとブッシュによ
り複数対連結したリンクベルト２と、リンクベルト２の
各対のリンク３にボルト・ナット６、７にて固定された
平板でかつ鉄製のジョイントプレート８と、ラグ無しで
平板の鉄製芯金１０と該芯金１０の接地面側面に固定さ
れ接地面が開口していない弾性体１１とからなり前記ジ
ョイントプレート８にボルト・ナット１２、１３にて固
定された弾性体付き履板９と、からなる無限軌道帯用弾
性体付き鉄製履帯１。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、無限軌道帯用弾性
体付き鉄製履帯に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、建設機械の無限軌道帯（履帯）
は、通常、その接地面に履帯の進行方向に対して直交方
向に続く単数または複数のラグを突出させた履板を多数
のリンクにより、ブッシュおよびピンを介して相互に無
端状に連結した鉄製のものが用いられている。ところ
が、舗装路面上の走行に際しては路面を著しく損傷する
ために、最近では接地面を弾性体にした鉄製の履帯が用
いられている。主なものはつぎの通りである。 （ａ） 無限軌道帯用コーティング履板タイプ鉄履帯
（図８〜図１０） 履板３１にゴムパット３２を直接加硫接着したコーティ
ング履板３６を、ゴムパット３２に形成した穴３３を利
用してボルト・ナット３５を挿入して、リンク３４にボ
ルト・ナット３５にて固定した鉄履帯３０。 （ｂ） 無限軌道帯用パットタイプ鉄製履帯Ａ（図１１
〜図１３） リンクベルト２０にラグ２４付きの履板２５をボルト・
ナット２６にてリンク２０に固定した鉄履帯２９に、履
板２５のラグ２４に沿った形に折り曲げられた鉄板２１
にゴム２２を加硫接着したパット２３を、鉄履帯２９の
履板２５の長手方向端部に穿設された穴を介してボルト
・ナット２６にて固定した鉄履帯２９。 （ｃ） 無限軌道帯用パットタイプ鉄製履帯Ｂ（図１
４、図１５） プレート４１にリンクへの取付け穴をあけ、それにゴム
４２を加硫接着したゴムパット４３を、ゴムパット４３
に形成した穴４４を利用してボルト・ナット３５を挿入
してリンクベルト２０にボルト・ナットにて固定した鉄
履帯４０。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記（ａ）、
（ｂ）、（ｃ）の無限軌道帯用弾性体付き鉄製履帯に
は、それぞれ、つぎの問題がある。 （ａ） 無限軌道帯用コーティング履板タイプ鉄履帯 ゴムコーティング履板３６をリンク３４に取り付け
るためのボルト・ナット３５のために、ゴムパット３２
に穴３３があいているため、走行中にこの穴３３に土石
が浸入して弾性体（ゴム）３２の破損原因になる。 一般に、ゴムコーティング履板３６の耐久性（寿
命）はラグ部３１からの厚さによって決まる。したがっ
て、このタイプは、シュー２５にラグ部３１があるた
め、弾性体（ゴム）３７の厚さが他の箇所よりも薄くな
り、必要な耐久性が得られない。 リンクにあけられているボルト穴ピッチは、メーカ
ーごとにまちまちであり、この多くのリンクの種類と同
じだけの種類の弾性体履板を用意しなければならない。 （ｂ） 無限軌道帯用パットタイプ鉄製履帯Ａ 上記の問題点は解消されたが、上記の問題点は解消
されない。上記の問題点は残っている。 （ｃ） 無限軌道帯用パットタイプ鉄製履帯Ｂ 上記の問題点は解消されたが、上記の問題点は解消
されない。上記の問題点は残っている。本発明の目的
は、上記の問題点と上記の問題点の両方を解消する
ことにより耐久性を向上させた無限軌道帯用弾性体付き
鉄製履帯を提供することにある。本発明のもう一つの目
的は、上記の問題点と上記の問題点の両方を解消す
ることにより耐久性を向上させるとともに、リンクの種
類のよるリンクのボルト穴ピッチの変化を吸収でき用意
すべき弾性体付き履板の種類を少なくできる無限軌道帯
用弾性体付き鉄製履帯を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明はつぎの通りである。 （１） 一対のリンクをピンとブッシュにより複数対連
結したリンクベルトと、リンクベルトの各対のリンクに
ボルト・ナットにて固定された平板でかつ鉄製のジョイ
ントプレートと、ラグ無しで平板の鉄製芯金と該芯金の
接地面側面に固定され接地面が開口していない弾性体と
からなり前記ジョイントプレートにボルト・ナットにて
固定された弾性体付き履板と、からなる無限軌道帯用弾
性体付き鉄製履帯。 （２） 前記ジョイントプレートには、該ジョイントプ
レートをリンクに取り付けるボルトが挿通する内側ボル
ト穴と、前記弾性体付き履板を該ジョイントプレートに
取り付ける外側ボルト穴があけられており、前記内側ボ
ルト穴のピッチはリンクの種類に応じて変えられ、前記
外側ボルト穴のピッチはリンクの種類とは無関係に一定
とされ、前記弾性体付き履板には、リンクの種類によっ
てピッチが変化する、前記ジョイントプレートをリンク
に取り付けるボルト・ナットとの、干渉を逃がす逃がし
部が設けられている（１）記載の無限軌道帯用弾性体付
き鉄製履帯。

【０００５】上記（１）の本発明の無限軌道帯用弾性体
付き鉄製履帯では、弾性体付き履板の芯金はラグ無しで
あり、かつ弾性体付き履板の弾性体はシューボルト穴が
無く接地面が開口していないので、穴に土石が侵入して
弾性体を損傷させる問題とラグに対応する弾性体部分が
薄くなって弾性体が損傷する問題との両方を共に解消す
ることができる。また、ジョイントプレートを介して弾
性体付き履板をリンクベルトに取り付けたので、取付け
部の強度が上がる。上記（２）の本発明の無限軌道帯用
弾性体付き鉄製履帯では、ジョイントプレートを設け、
ジョイントプレートでリンクのボルト穴ピッチの変化を
吸収し、弾性体付き履板を該ジョイントプレートに取り
付ける外側ボルト穴のピッチは一定とし、弾性体付き履
板には、ジョイントプレートをリンクに取り付けるボル
ト・ナットとの干渉を逃がす逃がし部を設けたので、用
意すべき弾性体付き履板の種類は１種類で済むか、少な
くすることができる。なお、ジョイントプレートは弾性
体付き履板に比べて安価なので、リンクの種類と同数の
種類の在庫をもったとしても大きな負担にはならない。

【０００６】

【発明の実施の形態】本発明実施例の無限軌道帯用弾性
体付き鉄製履帯を図１〜図７を参照して説明する。本発
明実施例の無限軌道帯用弾性体付き鉄製履帯１は、一対
のリンク３をピン４とブッシュ５により複数対連結した
リンクベルト２と、リンクベルト２の各対のリンク３に
ボルト・ナット６、７にて固定された平板でかつ鉄製の
ジョイントプレート８と、ラグ無しで平板の鉄製芯金１
０と該芯金１０の接地面側に固定され接地面が開口して
いない弾性体１１とからなりジョイントプレート８にボ
ルト・ナット１２、１３にて固定された弾性体付き履板
９と、からなる。

【０００７】無限軌道帯用弾性体付き鉄製履帯１は、リ
ンクベルト２の両端を連結して無端状とされていてもよ
いし、あるいはリンクベルト２の両端を連結する前の段
階にあってもよいし、あるいはリンクベルト２の両端を
連結する前の段階の一部であってもよい。リンクピッチ
は１３５ｍｍ以上であることが望ましい。一対のリンク
３は、鍛造リンク、または鋳造リンク、平板を曲げ加工
し必要に応じて成形加工および／または機械加工を施し
た板曲げリンク、の何れからなる。リンクの熱処理仕様
は、リンク素材が低炭素低合金鋼の場合は焼入れまま、
リンク素材が中または高炭素低合金鋼の場合は焼入れ・
焼もどしである。一対のリンク３には各リンクに２個づ
つ、合計４個のボルト穴１４が設けられる。

【０００８】ジョイントプレート８は、平板で矩形状の
プレートからなる。ジョイントプレート８は、各対のリ
ンク３毎に１枚づつ設けられる。各ジョイントプレート
８は、ジョイントプレート８の長手方向をリンクベルト
２の連結方向に対して直交する方向に向けて配置され、
一対のリンク３とボルト・ナット６、７により連結され
る。ジョイントプレート８の素材は、低炭素低合金鋼
（たとえば、低炭素ボロン鋼）、または中炭素低合金鋼
（たとえば、中炭素ボロン鋼）、または高炭素低合金鋼
（たとえば、高炭素ボロン鋼）である。ジョイントプレ
ート８の熱処理仕様は、熱処理なしか、素材が低炭素低
合金鋼の場合は焼入れまま、素材が中または高炭素低合
金鋼の場合は焼入れ・焼もどしである。ジョイントプレ
ート８には、一対のリンク３との連結のために４個のボ
ルト穴（内側ボルト穴）１５が設けられ、さらに弾性体
付き履板９との連結のために４個のボルト穴（外側ボル
ト穴）１６が設けられる。ボルト穴１６は、ボルト穴１
５よりジョイントプレート８の長手方向に外側に設けら
れている。内側ボルト穴１５のピッチはリンク３の種類
に応じて変えられ、外側ボルト穴１６のピッチはリンク
３の種類とは無関係に一定とされている。

【０００９】弾性体付き履板９の弾性体１１は、ゴム、
またはウレタン等を含むエラストマー、または樹脂など
からなる。弾性体１１は芯金１０の接地面側部位におい
て、ボルト頭部の部位を除き、一様な厚さを有する。弾
性体１１の接地面側面は開口しておらず、ボルト頭部の
部位にも、接地面側面から芯金１０までにわたって延び
る穴は設けられていない。弾性体１１は芯金１０に、接
地面側から、加硫接着により、または接着剤により、ま
たは機械的固定により、固定されている。

【００１０】芯金１０は、平板で矩形状のプレートから
なる。芯金１０の素材は、低炭素低合金鋼（たとえば、
低炭素ボロン鋼）、または中炭素低合金鋼（たとえば、
中炭素ボロン鋼）、または高炭素低合金鋼（たとえば、
高炭素ボロン鋼）である。芯金１０の熱処理仕様は、熱
処理なしか、素材が低炭素低合金鋼の場合は焼入れま
ま、素材が中または高炭素低合金鋼の場合は焼入れ・焼
もどしである。

【００１１】芯金１０には、ジョイントプレート８のボ
ルト穴１５、１６に対応する位置に、それぞれ複数個
（たとえば、４個）づつの穴１７、１８（たとえば、内
側穴１７、外側穴１８）が設けられる。弾性体付き履板
９をジョイントプレート８に取り付ける外側ボルト穴１
８のピッチはリンク３の種類によらず一定であり、弾性
体付き履板９のボルト１２の相互位置も一定である。ジ
ョイントプレート８にあけられたジョイントプレート８
をリンク３に取り付ける内側ボルト穴１５のピッチは、
リンク３の種類によって変化する。弾性体付き履板９に
設けられたジョイントプレート８の内側ボルト穴１５に
対応する４個の内側穴１７は、ジョイントプレート８を
リンク３に固定するボルト６の頭部との干渉を避けるた
めの穴である。ボルト６の頭部の位置はリンク３の種類
によって変わるので、内側穴１７のサイズは弾性体付き
履板９の長手方向およびそれと直交する方向に（ボルト
６に対応する規定のボルト穴サイズに比べて）拡大され
ている。内側穴１７は、リンク３の種類によってピッチ
が変化する、ジョイントプレートをリンクに取り付ける
ボルト・ナット６、７との、干渉を逃がす逃がし部１７
（内側穴と同じ符号とする）である。弾性体付き履板９
の、ジョイントプレート８の外側ボルト穴１６に対応す
る位置に設けられた４個の外側穴１８には、接地面側か
らボルト１２を通し該ボルト１２の頭部が芯金１０の接
地面側面に溶接付けされている。ボルト１２頭部は弾性
体１１により接地面側から覆われており、弾性体１１に
はボルト１２頭部に対応する位置にボルト１２差し込み
用の穴が設けられていない。

【００１２】無限軌道帯用弾性体付き鉄製履帯１の組立
ては、まず、リンクベルト２を組み立てる。ついで、リ
ンクベルト２にボルト・ナット６、７によりジョイント
プレート８を取付ける。ついで、弾性体付き履板９を、
ナット１３をボルト１２に螺合することにより、ジョイ
ントプレート８に固定する。

【００１３】つぎに、無限軌道帯用弾性体付き鉄製履帯
１の作用・効果を説明する。弾性体付き履板９の弾性体
１１の接地面側面には穴がなく開口していないので、建
設車両走行中に土石が弾性体１１の穴に侵入して弾性体
１１を破損することがなくなる。また、芯金１０にはラ
グが無いので、弾性体１１の厚さがラグによって薄くな
ることがなく、弾性体１１の耐久性がラグによる肉厚の
減少によって損なわれることがない。したがって、無限
軌道帯用弾性体付き鉄製履帯１の耐久性、とくに弾性体
１１の耐久性が大幅に改善される。

【００１４】ジョイントプレート８を設け、ジョイント
プレート８でリンク３のリンク種類によるボルト穴ピッ
チの変化を吸収し、弾性体付き履板９をジョイントプレ
ート８に取り付ける外側ボルト穴１６のピッチは一定と
し、弾性体付き履板９には、ジョイントプレート８をリ
ンク３に取り付けるボルト・ナット６、７との干渉を逃
がす逃がし部１７を設けたので、用意すべき弾性体付き
履板の種類は１種類で済むか、少なくすることができ
る。なお、ジョイントプレート８は弾性体付き履板９に
比べて安価なので、リンク３の種類と同数の種類の在庫
をもったとしても大きな負担にはならない。

【００１５】

【発明の効果】請求項１の無限軌道帯用弾性体付き鉄製
履帯によれば、弾性体付き履板の芯金はラグ無しであ
り、かつ弾性体付き履板の弾性体はシューボルト穴が無
く接地面が開口していないので、穴に土石が侵入して弾
性体を損傷させる問題とラグに対応する弾性体部分が薄
くなって弾性体が損傷する問題との両方を共に解消する
ことができ、無限軌道帯用弾性体付き鉄製履帯の耐久性
を向上させることができる。また、ジョイントプレート
を介して弾性体付き履板をリンクベルトに取り付けたの
で、取付け部の強度が上がる。請求項２の無限軌道帯用
弾性体付き鉄製履帯によれば、ジョイントプレートを設
け、ジョイントプレートでリンクのボルト穴ピッチの変
化を吸収し、弾性体付き履板を該ジョイントプレートに
取り付ける外側ボルト穴のピッチは一定とし、弾性体付
き履板には、ジョイントプレートをリンクに取り付ける
ボルト・ナットとの干渉を逃がす逃がし部を設けたの
で、用意すべき弾性体付き履板の種類は１種類で済む
か、少なくすることができる。なお、ジョイントプレー
トは弾性体付き履板に比べて安価なので、リンクの種類
と同数の種類の在庫をもったとしても大きな負担にはな
らない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の無限軌道帯用弾性体付き鉄製履
帯のリンク、ジョイントプレート、弾性体付き履板のア
ッセンブリーの側面図である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿う断面図である。

【図３】図１のジョイントプレートの平面図である。

【図４】図３のジョイントプレートの側面図である。

【図５】図１の弾性体付き履板の平面図である。

【図６】図５の弾性体付き履板の側面図である。

【図７】本発明実施例の無限軌道帯用弾性体付き鉄製履
帯の一部の平面図である。

【図８】従来の無限軌道帯用コーティング履板タイプ鉄
履帯の平面図である。

【図９】従来の無限軌道帯用コーティング履板タイプ鉄
履帯の側面図である。

【図１０】従来の無限軌道帯用コーティング履板タイプ
鉄履帯の履板の平面図である。

【図１１】従来の無限軌道帯用パットタイプ鉄製履帯Ａ
の平面図である。

【図１２】従来の無限軌道帯用パットタイプ鉄製履帯Ａ
の側面図である。

【図１３】従来の無限軌道帯用パットタイプ鉄製履帯Ａ
の断面図である。

【図１４】従来の無限軌道帯用パットタイプ鉄製履帯Ｂ
の側面図である。

【図１５】従来の無限軌道帯用パットタイプ鉄製履帯Ｂ
の履板の平面図である。

【符号の説明】

１ 無限軌道帯用弾性体付き鉄製履帯 ２ リンクベルト ３ リンク３ ４ ピン ５ ブッシュ ６、７ ボルト・ナット ８ ジョイントプレート ９ 弾性体付き履板 １０ 芯金 １１ 弾性体 １２、１３ ボルト・ナット １４、１５、１６ ボルト穴 １７、１８ 穴（内側穴１７、外側穴１８）

フロントページの続き (72)発明者 新津 坦克 東京都千代田区四番町５番地９ トピー工 業株式会社内 (72)発明者 竹野 裕之 東京都千代田区四番町５番地９ トピー工 業株式会社内 (72)発明者 丹羽 清和 東京都千代田区四番町５番地９ トピー工 業株式会社内

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 一対のリンクをピンとブッシュにより複
   数対連結したリンクベルトと、 リンクベルトの各対のリンクにボルト・ナットにて固定
   された平板でかつ鉄製のジョイントプレートと、 ラグ無しで平板の鉄製芯金と該芯金の接地面側面に固定
   され接地面が開口していない弾性体とからなり前記ジョ
   イントプレートにボルト・ナットにて固定された弾性体
   付き履板と、からなる無限軌道帯用弾性体付き鉄製履
   帯。
2. 【請求項２】 前記ジョイントプレートには、該ジョイ
   ントプレートをリンクに取り付けるボルトが挿通する内
   側ボルト穴と、前記弾性体付き履板を該ジョイントプレ
   ートに取り付ける外側ボルト穴があけられており、 前記内側ボルト穴のピッチはリンクの種類に応じて変え
   られ、前記外側ボルト穴のピッチはリンクの種類とは無
   関係に一定とされ、 前記弾性体付き履板には、リンクの種類によってピッチ
   が変化する、前記ジョイントプレートをリンクに取り付
   けるボルト・ナットとの、干渉を逃がす逃がし部が設け
   られている請求項１記載の無限軌道帯用弾性体付き鉄製
   履帯。