JP2003011806A - 自動車の姿勢制御装置 - Google Patents
自動車の姿勢制御装置Info
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Abstract
難であるから、車両が走行している地理環境に基づいて
姿勢制御介入の開始しきい値を変更することに着目し、
地理環境に対応して姿勢制御介入のタイミングを変更す
ることで、安全性とドライブフィーリングとを高い次元
で両立することができる自動車の姿勢制御装置の提供を
目的とする。 【解決手段】車両1前方の道路状況を提供可能な道路状
況提供手段2と、車両1のヨーレート挙動を制御する姿
勢制御手段とを備えた自動車の姿勢制御装置であって、
上記道路状況提供手段2からの道路状況提供に基づいて
車両1が現在走行している地理環境および車両1前方の
地理環境を判定する地理環境判定手段9と、上記地理環
境判定手段9の判定結果に基づいて姿勢制御介入の開始
しきい値を変更する変換手段とを備えたことを特徴とす
る。
Description
時の姿勢を制御してアンダーステア傾向(ドリフトアウ
ト)やオーバーステア傾向(スピン)を回避・抑制する
ようにした自動車の姿勢制御装置に関する。
置として、例えば特開平6―183288号や特開平7
―223520号の各公報に示されるように、ハンドル
舵角および車速に基づいて目標ヨーレートを設定すると
共に、車両の実際のヨーレートをヨーレートセンサによ
り検出し、この検出された実際のヨーレートが上記目標
ヨーレートに対し所定以上の偏差を持つと、車両のアン
ダーステア傾向を抑制するアンダーステア制御またはオ
ーバーステア傾向を抑制するオーバーステア制御の各介
入をそれぞれ行うようにしたものは知られている。
きい値を加えた値よりも目標ヨーレートが大きい場合に
は、アンダーステア制御の介入を、また目標ヨーレート
に所定のしきい値を加えた値よりも実際のヨーレートが
大きい場合には、オーバーステア制御の介入をそれぞれ
行うようになっている。
においては姿勢制御介入の開始しきい値は車速を基準と
して略一律に設定されているので、運転が下手な人にと
っては姿勢制御介入が遅く感じられ、運転が上手な人に
とっては姿勢制御介入が早く感じられ、運転の上手下手
に関係なく安全性とドライブフィーリングとの両立を満
足することが困難であった。
の運転の上手下手を判別することは困難であるから、車
両が走行している地理環境に基づいて姿勢制御介入の開
始しきい値を変更することに着目し、地理環境に対応し
て姿勢制御介入のタイミングを変更することで、安全性
とドライブフィーリングとを高い次元で両立することが
できる自動車の姿勢制御装置の提供を目的とする。
姿勢制御装置は、車両前方の道路状況を提供可能な道路
状況提供手段と、車両のヨーレート挙動を制御する姿勢
制御手段とを備えた自動車の姿勢制御装置であって、上
記道路状況提供手段からの道路状況提供に基づいて車両
が現在走行している地理環境および車両前方の地理環境
を判定する地理環境判定手段と、上記地理環境判定手段
の判定結果に基づいて姿勢制御介入の開始しきい値を変
更する変換手段とを備えたものである。上記構成の他の
地理環境は、直進路、旋回路、下り坂、上り坂、路面の
摩擦係数(いわゆる路面μ)、道路の旋回曲率などに設定
することができる。また、上記構成の地理環境判定手段
は、DVDその他によるナビゲーション装置で構成して
もよい。
両前方の道路状況(車両が現在走行している道路の状況
を含む)を車両に提供し、姿勢制御手段は車両のヨーレ
ート挙動を制御し、地理環境判定手段は上述の道路状況
提供手段から受信した道路状況に基づいて車両が現在走
行している地理環境および車両前方の地理環境を判定す
るが、上述の変更手段は地理環境判定手段の判定結果に
基づいて姿勢制御介入の開始しきい値を変更する。
姿勢制御介入のタイミングが早くなり、逆に、開始しい
き値を上げた場合には、姿勢制御介入のタイミングが遅
くなる。このように、車両が走行している地理環境に対
応して姿勢制御介入の開始しきい値を変更するので、安
全性とドライブフィーリングとを高い次元で両立するこ
とができる。
理環境判定手段は車両が現在走行している道路が直進路
か旋回路かを判定し、直進路では上記変更手段が姿勢制
御介入の開始しきい値を低く設定するものである。
は本来車両が姿勢をくずすような領域ではないので、開
始しきい値を低く設定し、車両が少しでも姿勢をくずす
(例えば横風により姿勢をくずす)と姿勢制御を早く介入
させることができ、安全性を確保することができる。
理環境判定手段は車両が現在走行している道路が下り坂
か否かを判定し、下り坂では上記変更手段が姿勢制御介
入の開始しきい値を下げるものである。
の荷重がフロント側へ移行し、リヤ側の荷重が減少し
て、車両がもつ運動特性がヨー運動を起こしやすくなる
ので、開始しきい値を下げることで、姿勢制御の介入を
早めて、安全性を確保することができる。
理環境判定手段は車両前方の路面の摩擦係数を判定し、
上記路面の摩擦係数が低い時、上記変更手段は姿勢制御
介入の開始しきい値を下げるものである。上記構成によ
れば、車両前方が低μ路である場合、変更手段は予め姿
勢制御介入の開始しきい値を下げるので、車両が低μ路
に侵入しても安全に走行することができる。つまり、低
μ路を検出してから開始しきい値を下げたのでは、車両
の姿勢がくずれるので、車両前方が低μ路であること雅
判定されると、予め開始しきい値を下げるものである。
理環境判定手段は車両前方のカーブの存在を判定し、カ
ーブ近傍になる程、上記変更手段は姿勢制御介入のしき
い値を上げるものである。
る場合には本来車両の姿勢がくずれるものであって、姿
勢制御の介入が早すぎると、車両はカーブを曲がること
ができなくなる。このためカーブ近傍になる程、開始し
きい値を上げて、姿勢制御介入のタイミングを遅らせる
ことで、良好な姿勢制御の介入状態を確保することがで
きる。
カーブ走行時、上記変更手段は姿勢制御介入の開始しき
い値をさらに上げるものである。上記構成によれば、車
両のカーブ走行時においては前後の旋回外輪に作用する
コーナリングフォースと遠心力とが釣り合っており、車
両は比較的安定しているので、開始しきい値をさらに上
げて、姿勢制御が早く入り過ぎることによる違和感を防
止して、ドライブフィーリングを確保することができ
る。
理緩急判定手段が判定した旋回曲率と、車両が現在走行
している道路の旋回曲率との間の旋回偏差が大きくなる
程、上記変更手段は敏感制御感度を高めるものである。
姿勢制御本来の制御力よりも上限ブレーキ圧力を低い圧
力(例えば約15bar)とすることによって、車両のヨー
イング方向の姿勢が僅かに変化するものの、運転者がほ
とんど気付かない程度の制御であって、『敏感制御感度
を高める』とは上記上限ブレーキ圧力を上記低い圧力よ
りも高めることを意味する。
旋回偏差が大きい程、敏感制御の感度を高めるので、運
転者がほとんど気付かないように上記偏差をなくすこと
ができ、旋回軌跡に対するトレース性の向上を図ること
ができる。
理環境判定手段は車両が現在走行している旋回路の旋回
曲率を判定し、旋回曲率が大きい程、上記変更手段は姿
勢制御介入の開始しきい値を上げるものである。
上記開始しきい値を上げて、姿勢制御介入のタイミング
を遅らせるので、姿勢制御が早く介入され過ぎることに
よる違和感をなくすことができる。
理環境判定手段の故障時には上記変更手段による開始し
きい値変更または敏感制御感度の変更を規制する規制手
段を設けたものである。
環境判定手段の故障時(フェール時)に変更手段による開
始しきい値の変更または敏感制御感度の変更を規制す
る。したがって、地理環境の判定を行なうことができな
い故障時には、信頼性が得られないので、開始しきい値
の変更や敏感制御感度の変更を規制(または禁止)するこ
とができる。
述する。図面は自動車の姿勢制御装置を示すが、まず図
1を参照して姿勢制御装置全体の構成を概略的に説明す
る。
車両1が現在走行している道路の状況および車両1前方
の道路状況を地理環境データとして提供可能(送信可能)
な道路状況提供手段2を備えている。
ト3(コンピュータネットワークの集合体)に接続された
交通情報センタ4と、情報センタ5と、送受信手段6
と、人工衛星7とを備えている。
各種情報(例えば交通量、各種道路における平均車速、
渋滞情報その他)を提供することができ、また情報セン
タ5は地理環境としての直進路、旋回路、下り坂、上り
坂、路面の摩擦係数(いわゆる路面μ)、道路の旋回曲率
などのデータを提供することができる。なお、この情報
センタ5は必要に応じて気象情報を提供することもでき
る。
は、送受信手段6から人工衛星7を経由して送信しても
よく、或は送受信手段6から直接車両1にデータ送信し
てもよく、送受信手段6から地上アンテナまたはインフ
ラを介して車両1にデータ送信すべく構成してもいよ
い。
境データを受信するアンテナ8を設けているが、このア
ンテナ8に代えて携帯電話のアンテナを利用すべく構成
してもよい。
手段2からの道路状況の提供すなわち地理環境データの
受信に基づいて当該車両1が現在走行している地理環境
および当該車両1前方の地理環境を判定する地理環境判
定手段9と、図2に示すように車両のヨーレート挙動を
制御する制御手段としてのEUC10(なかんずく車両
安定性制御装置24参照)とを搭載している。ここで、
上述の地理環境判定手段9としてはDVDナビゲーショ
ン装置を用いることもできる。
で、まず、入力側の各装置について説明すると、11は
各車輪の車輪速度を検出する車輪速センサ、12はステ
アリングホイール(いわゆるハンドル)の操舵角を検出
する舵角センサ、13は車両に発生しているヨーレート
を検出するヨーレートセンサ、14は車両の横方向の加
速度を検出する横加速度センサ(いわゆる横Gセン
サ)、15はスロットル開度を検出するスロットル開度
センサ、16は後述するアンチロックブレーキシステム
の制御をキャンセルするためのストップランプスイッ
チ、17はエンジン回転数を検出するエンジン回転数セ
ンサであり、エンジン出力のフィードバック制御を行う
ために検出するようにしている。
の運転状態を検出するためにシフト位置を検出するシフ
ト位置センサ(AT)であり、このシフト位置検出セン
サ18は、リバースの場合には姿勢制御をキャンセルす
るキャンセルスイッチとしても用いるようにしている。
さらに、19は第1液圧発生源としてのマスターシリン
ダ(MC)の液圧を検出するMC液圧センサであり、こ
のMC液圧センサ19の検出結果に応じてブレーキ液圧
を運転者のブレーキペダル踏み力に対応した液圧に補正
するようにしている。加えて、20はリザーバ内のブレ
ーキ液の存在を検出するリザーバ液面レベルスイッチで
ある。
と、31は上記アンチロックブレーキシステム21が作
動していることを警報するアンチロックブレーキシステ
ムランプ、32は第2液圧発生源としての加圧ポンプに
備えられた加圧モータ、33,34はそれぞれ前輪およ
び後輪用に設けられたディスクブレーキ等のブレーキ装
置に対してブレーキ液を供給・排出するフロントソレノ
イドバルブおよびリヤソレノイドバルブ、35はマスタ
ーシリンダ側と上記各車輪のブレーキ装置側との間を遮
断・開放するTSWソレノイドバルブ、36は上記マス
ターシリンダと上記加圧ポンプとの間を遮断・開放する
ASWソレノイドバルブ、37はエンジン出力の制御を
行うエンジンコントローラ、38は車両の姿勢制御が行
われていることを運転者に対し、音あるいは表示によっ
て警報する警報手段としての警報装置である。
ッチ11〜20の信号が入力され、上記出力側の各装置
31〜38に制御信号を出力する制御手段としてのEC
U10について説明する。
ロックしそうになった時、その制動力を制御して車輪の
ロックを抑制するアンチロックブレーキシステム21
と、制動時に後輪がロックしないように、後輪に付与さ
れる制動力の配分を行う電子制動力配分装置22と、車
両の走行中に車輪が路面に対してスリップする現象を、
各車輪に対する駆動力あるいは制動力を制御することに
よって抑制するトラクションコントロールシステム23
と、例えばドリフトアウトやスピンといったヨーイング
方向の姿勢を制御する車両安定性制御装置24とを備え
ている。
説明すると、上記車輪速センサ11からの信号は車輪速
度演算部40および推定車体速演算部41において車輪
速度および推定車体速が演算され、また、上記ストップ
ランプスイッチ16からの信号はストップランプ状態判
断部42に入力され、そこから上記アンチロックブレー
キシステム21、電子制動力配分装置22、トラクショ
ンコントロールシステム23、および車両安定性制御装
置24にそれぞれ入力されるようになっている。
ロットル開度センサ15、およびシフト位置センサ18
からの各信号は、それぞれエンジン回転数演算部43、
スロットル開度情報取込み部44、およびシフト位置判
断部45に入力され、そこから上記トラクションコント
ロールシステム23、および車両安定性制御装置24に
入力されるようになっている。
センサ13、横Gセンサ14、およびMC液圧センサ1
9の信号は、それぞれ舵角演算部46、ヨーレート演算
部47、横G演算部48およびMC液圧演算部50によ
って舵角、ヨーレート、横加速度、およびMC液圧が演
算されて、上記車両安定性制御装置24に入力されるよ
うになっている。
20の信号は液面レベル判断部51を経て、上記トラク
ションコントロールシステム23および車両安定性制御
装置24にそれぞれ入力されるようになっている。
ム21は、各信号から制御量を演算し、アンチロックブ
レーキシステムランプ31および加圧モータ32、並び
に、フロントソレノイドバルブ33およびリヤソレノイ
ドバルブ34に信号を出力して、これらを制御するよう
になっている。
ヤソレノイドバルブ34を制御するようになっている。
3は、フロントソレノイドバルブ33、リヤソレノイド
バルブ34、加圧モータ32、TSWソレノイドバルブ
35およびエンジンコントローラ37に対し信号を出力
して、これらを制御するようになっている。
エンジンコントローラ37、フロントおよびリヤの各ソ
レノイドバルブ33,34、加圧モータ32、TSWお
よびASWの各ソレノイドバルブ35,36並びに警報
装置38に対し信号を出力して、これらを制御するよう
になっている。
制御装置24における車両の姿勢制御について説明す
る。この車両安定性制御装置24は、ドリフトアウトを
回避・抑制する制御であるアンダーステア制御、並び
に、スピンを回避・抑制する制御であるオーバーステア
制御を行うものであって、上記アンダーステア制御とし
て、第1アンダーステア制御、第2アンダーステア制御
およびエンジン制御の3つを備える一方、上記オーバー
ステア制御として、第1〜第3オーバーステア制御の3
つを備えている。
は制御目標ヨーレートTrψと実際のヨーレートψとの
偏差が所定の介入しきい値よりも大きい時に、旋回内側
の前輪(旋回内前輪)あるいは旋回内側の後輪(旋回内
後輪)に対して制動力を付与する比較的強い制御(車両
の姿勢変化が比較的大きい制御)であるのに対し、エン
ジン制御は、基本的には制御目標ヨーレートTrψと実
際のヨーレートψとの偏差が所定の介入しきい値よりも
大きい時に、エンジン出力を低下させる制御である。
る遠心力の低下と、各車輪に付与される制動力のアンバ
ランスによる車両モーメントとが生じ、ドリフトアウト
を回避・抑制することができるようになる。
車両のハンドル舵角の変化に対して実際のヨーレートが
所定の変化をしない時に、旋回内側前輪に対して上記第
1アンダーステア制御に比べ弱い制御量で制動力を付与
する制御である。これにより、比較的弱いアンダーステ
ア傾向や、アンダーステアの成長、および運転者がアン
ダーステア傾向であると感じてしまうことを抑制するこ
とができるようになる。
には制御目標ヨーレートTrψと実際のヨーレートψと
の偏差が所定の介入しきい値よりも小さい時に、旋回外
側の前輪(旋回外前輪)に制動力を付与する比較的強い
制御である。このような制御によって、車両前部が旋回
外方向となるモーメントが生じ、スピンが回避・抑制で
きるようになる。
その制御介入しきい値が第1オーバーステア制御の制御
介入しきい値よりも小さく設定されている制御であり、
第3オーバーステア制御は、その制御介入しきい値が上
記第2オーバーステア制御の制御介入しきい値よりもさ
らに小さく設定されている制御である。そして、上記第
2および第3オーバーステア制御は共に、上記第1オー
バーステア制御よりも弱い制御(車両の姿勢変化が小さ
い制御)とされているが、第2オーバーステア制御は所
定のブレーキ圧を上限にしたオープン制御でブレーキ圧
を供給する制御であるのに対し、第3オーバーステア制
御は制御目標ヨーレートTrψと実際のヨーレートψと
の偏差に応じてブレーキ圧を供給するフィードバック制
御である。
御について、図3、図4、図5に示す一連のフローチャ
ートを参照して、さらに詳しく説明する。なお、図面で
は図示の便宜上、フローチャートを分割して示したが、
図3〜図5に示すフローチャートは一連のものである。
まず、ステップS1においては、上述した各種センサ等
11〜20からの信号の読込みを実行する。
づく第1目標ヨーレートψ(θ)、および横加速度Gy
に基づく第2目標ヨーレートψ(G)をそれぞれ演算す
る。
的には、車輪速センサ11の信号に基づき推定車体速演
算部41において演算される推定車体速Vと、舵角セン
サ12によって検出され舵角演算部46において演算さ
れる舵角θとを用い、次の式(1)によって算出する。 ψ(θ)=V×θ/{(1+K×V2)×L}……(1) ここで、Kはスタビリティファクタであり、このKは高
μ(摩擦係数)路の旋回から求めた定数である。また、
Lはホイールベースである。
は、上記推定車体速度V、および上記横Gセンサ14の
信号に基づき横G演算部48において演算される横加速
度Gyを用いて次の式(2)により演算する。 ψ(G)=Gy/V……(2) そして、ステップS3において、上記第2目標ヨーレー
トψ(G)の絶対値が第1目標ヨーレートψ(θ)の絶
対値よりも小さいか否かを判定する。この判定は上記第
1および第2目標ヨーレートψ(θ,G)のうちの何れ
を制御目標ヨーレートTrψとして設定するかを判定す
るステップであり、上記第1および第2目標ヨーレート
ψ(θ,G)のうちの絶対値の小さい方を制御目標ヨー
レートTrψとして設定し、車両の姿勢制御を行うよう
にしている。
定されると、ステップS4に移行する一方、YES判定
時には別のステップS5に移行する。
トψ(θ)を制御目標ヨーレートTrψとし、この制御
目標ヨーレートTrψと、ヨーレートセンサ13によっ
て検出されヨーレート演算部47において演算された実
ヨーレートψとの偏差Δψ(θ)を算出する。
ーレートψ(G)を制御目標ヨーレートTrψとする。
この時、制御目標ヨーレートTrψは、次の式(3)に
よって舵角成分を考慮した補正を行うようにする。すな
わち、 Trψ=ψ(G)+a×k1……(3) とする。ここで、a=ψ(θ)−ψ(G)であり、k1
は変数である。
Trψと実ヨーレートψとの偏差Δψ(G)を算出す
る。
標ヨーレートψ(G)を制御目標ヨーレートTrψとし
た場合に舵角成分の補正を行うことによって、運転者が
意図してアンダーステア傾向としている場合(駆動アン
ダーステア)には、姿勢制御の介入を抑制することがで
きるようになる。
向にあるときは、舵角θを一定にして駆動力を上げるよ
うな運転者が意図的に行っている駆動アンダーステア
と、運転者の操舵に対し車両の挙動が追従しないという
運転者の意図しないアンダーステアの2種類がある。こ
こで、例えば横加速度Gyに基づく第2目標ヨーレート
ψ(G)を制御目標ヨーレートTrψとする場合では、
車両に生じる横加速度Gyは上記2種類のアンダーステ
ア傾向のいずれの場合も同じであるため、上記駆動アン
ダーステアであっても姿勢制御が行われるようになって
しまう。そこで、第2目標ヨーレートψ(G)を制御目
標ヨーレートTrψとする時は舵角成分を補正すること
によって、運転者がハンドルが切り込んでいる時にのみ
姿勢制御が行われるようになり、駆動アンダーステアで
は姿勢制御を行わず、運転者が意図しないアンダーステ
ア傾向の場合にのみ姿勢制御を行うようにすることがで
きる。
ては、例えば図6に示すように、横加速度Gyに対し変
化する特性を有する値とする。すなわち、横加速度Gy
が小さい(氷面等、路面が低μの領域)あるいは横加速
度Gyが大きい(高μの領域)では小さな値とし、舵角
成分の補正割合を小さくするように設定してもよい。
S5で、制御目標ヨーレートTrψと実ヨーレートψと
の偏差Δψ(θ,G)が算出されれば、ステップS6に
移行し、このステップS6において、第1オーバーステ
ア制御を行うか否かのしきい値(第1の介入しきい値:
THOS)、アンダーステアを抑制するエンジン制御を
行うか否かのしきい値(THEUS)、第1アンダース
テア制御を行うか否かのしきい値(THUS)、第2オ
ーバーステア制御を行うか否かの第2しきい値(第2の
介入しきい値:THOSII)および第3オーバーステア
制御を行うか否かのしきい値(第3の介入しきい値:T
HOSIII)をそれぞれ設定する。
る。また、THOSII,THOSIIIは、THOSII<
THOSかつTHOSIII<THOSIIを満たすように
適宜設定すればよく、例えばTHOSIIは、THOSの
約10%ダウンとし、THOSIIIは、THOSの約2
0%ダウンとしてもよい。また、THOSIIを、THO
Sの約20%ダウンとし、THOSIIIを、THOSの
約30%ダウンとしてもよい。
値が設定されると、次のステップS7に移行する。
S7〜ステップS10は、第2アンダーステア制御に係
るステップとなっていて、まず、ステップS7におい
て、直進状態からの切り込み操舵であり、かつ上記制御
目標ヨーレートTrψと実ヨーレートψとの偏差Δψが
第3の介入しきい値THOSIIIよりも小さい(Δψ<
THOSIII)か否かを判定する。つまり、第2アンダ
ーステア制御は、直進状態からの切り込み操舵時の、横
Gの成長が小さく横Gの検出が困難な操舵初期における
弱いアンダーステア傾向や、運転者がアンダーステア傾
向であると感じてしまう状態を抑制することを目的とし
ており、このため、直進状態からの切り込み操舵である
か否かを判定している。
きい値THOSIII以上のオーバーステア傾向にある時
には、まず、オーバーステア傾向を抑制する必要がある
と共に、アンダーステア傾向を抑制する第2アンダース
テア制御を介入させるとオーバーステア傾向を助長させ
る虞があることから、第2アンダーステア制御を介入さ
せないために、ヨーレート偏差Δψ(θ,G)が第3の
介入しきい値THOSIIIよりも小さいか否かを判定し
ている。
状態からの切り込み操舵でありかつΔψ<THOSIII
である時には、次のステップS8に移行する一方、上記
直進状態からの切り込み操舵でない、またはΔψ≧TH
OSIIIの時には、第2アンダーステア制御を行うこと
なく図4に示すステップS111(図2B参照)に移行
する。
標ヨーレートψ(θ)の変化率}−{実ヨーレートψの
変化率}]の値が正に増大しているか(第1目標ヨーレ
ートψ(θ)の変化に対して実ヨーレートψが所定の変
化をせずに(追従して変化せずに)、両者ψ(θ),ψ
が互いに離れつつあるか)否かを判定する。これは、ハ
ンドル操舵の変化に対して、実際のヨーレートが追従し
て変化しないような運転者がアンダーステア傾向である
と感じてしまう状態であるか否かを判定するものである
と共に、このまま第1目標ヨーレートψ(θ)と実ヨー
レートψとが、互いに離れると強いアンダーステア傾向
となってしまう状態(アンダーステアの初期状態)にあ
るか否かを判定するものである。そして、YES判定時
には次のステップS9に移行する一方、NO判定時には
図4に示すステップS11に移行する。
制御の介入ステップであり、上限のブレーキ圧を30b
arに設定して、ブレーキ圧ゲインKmaxでブレーキ圧
を旋回内前輪に対して供給する。ここで、ブレーキ圧ゲ
インKmaxは、最大のゲイン(最大のブレーキ圧供給率
(単位時間当たりのブレーキ圧供給量))である。但
し、ゲインKmaxでブレーキ圧を供給している時に、ス
リップが大きくなった時、または切り込み操舵が終了さ
れた時には、ブレーキ圧の供給を中止する。
あった[{第1目標ヨーレートψ(θ)の変化率}−
{実ヨーレートψの変化率}]が、減少傾向に切り換わ
れば、ブレーキ圧を減圧させる。なお、[{第1目標ヨ
ーレートψ(θ)の変化率}−{実ヨーレートψの変化
率}]が減少傾向にならない時には、ブレーキ圧を減圧
せずに保持する。このような制御により、ブレーキ圧の
時間に対する供給パターンは台形となる。
とは別に、アンダーステアの初期状態において第2アン
ダーステア制御を介入させることで、車両が強いアンダ
ーステア傾向となることが抑制されて、運転者が感じる
安定感を向上させることができる。これと共に、運転者
がアンダーステア傾向であると感じてしまう状態におい
て第2アンダーステア制御を介入させることで、運転者
の意図した方向に車両が姿勢変化するため、運転者が感
じる操縦性を向上させることができる。
ブレーキ圧が30barという比較的低い圧力に設定さ
れていると共に、[{第1目標ヨーレートψ(θ)の変
化率}−{実ヨーレートψの変化率}]が減少傾向にな
れば制御を中止するため、第2アンダーステア制御の介
入によって運転者の操舵に応じて車両の姿勢が僅かに変
化するものの、その姿勢変化は大きくはない。このよう
な弱い制御である第2アンダーステア制御が介入する
と、運転者は操舵に対して車両の挙動が追従したと感じ
るようになって、制御が介入したとは感じ難い。その結
果、運転者の違和感を防止しつつ、走り感の向上を図る
ことができる。
時のような、操舵に対して充分なヨーレート変化が得ら
れない場合に、第2アンダーステア制御が介入されるた
め、旋回路の入口付近において必要なヨーレート変化が
得られるようになる。その結果、旋回路の出口付近にお
いて小さな旋回Rを取らざるを得ない状況が回避され
る。すなわち、目標旋回軌跡に対するトレース性の向上
を図ることができる。
前輪のブレーキを制御するものであるため、アンダース
テア傾向の抑制に効果的であって、アンダーステア傾向
の抑制を確実かつ迅速に行うことができる。
横Gの成長が小さくかつ横Gセンサ14による横Gの検
出が困難であるために、横Gに基づく第2目標ヨーレー
トψ(G)によって第1アンダーステア制御の介入を行
うのが困難な旋回初期において特に有効な制御であり、
制御量を低下させた第2アンダーステア制御を、ハンド
ル舵角(第1目標ヨーレートψ(θ))と実ヨーレート
ψとに基づいて比較的早期に介入させることにより、ア
ンダーステア傾向の抑制が遅れてしまうことを防止する
ことができると共に、強い制御である第1アンダーステ
ア制御が急激に介入されることを回避することができ
る。しかも、第2アンダーステア制御は、制御量が低下
されていると共に、運転者の意図する方向に車両の姿勢
を変更させるため、第2アンダーステア制御を早期介入
させても、制御介入に運転者がほとんど気付かない。従
って、車両の高い安定性を確保しかつ運転者の違和感を
防止しつつも、運転者の感じる安定感および操縦性の向
上が図られる。
制御の各ステップS7〜S10の後のステップS11〜
ステップS18(図4参照)は、アンダーステア傾向を抑
制するエンジン制御に係るステップである。
ステアを抑制するエンジン制御を行うか否かのしきい値
THEUSが、第1目標ヨーレートψ(θ)と実ヨーレ
ートψとの偏差Δψ(θ)よりも大きいか否かを判定す
る。すなわち、エンジン制御を行うか否かを判定する。
は、上記ステップS3において目標ヨーレートとして第
2目標ヨーレートψ(G)を選択した場合であっても、
第1目標ヨーレートψ(θ)の値を基準として判定を行
う。
わち、舵角信号は位相が速いため、第1目標ヨーレート
ψ(θ)を制御目標ヨーレートTrψとして姿勢制御を
行えば、通常、その姿勢制御は早期に開始されるように
なる。この実施例においては、第1および第2目標ヨー
レートの2つを用いることによって、姿勢制御(第1ア
ンダーステア制御)の早期介入を防止するようにしてい
るが、エンジン出力を低下させてもブレーキを制御する
場合に比べて運転者が気づかない場合が多いことから、
エンジン制御に限っては早期に開始しても弊害が少な
い。
ーステア傾向の回避に有効であり、このためにエンジン
出力を早期に低下させて車両の減速をすれば、効果的な
アンダーステア回避を行うことができるようになる。
例関係にあるため、横加速度Gyに基づく第2目標ヨー
レートの値ψ(G)は、実ヨーレートψの値との差が小
さく、また、上記実ヨーレートψの値は、アンダーステ
ア傾向の場合は不安定になることから、第2目標ヨーレ
ートψ(G)を制御目標ヨーレートTrψとすれば適正
な制御介入が困難となってしまう。以上の理由から、エ
ンジン制御の開始判定は、上記第1目標ヨーレートψ
(θ)を制御目標ヨーレートTrψとしている。
ES判定されると、次のステップS12に移行する一
方、NO判定時には別のステップS13に移行し、第1
オーバーステア制御開始の判定を行う。
ト加速度が所定値以下であるか否かを判定する。これ
は、制御の誤介入防止を目的とするものであり、実際に
車両が所定量以上の姿勢変化を生じているか否かを判定
するようにしている。そして、YES判定時にはステッ
プS14に移行する一方、NO判定時にはステップS1
7にスキップして、エンジン制御を禁止して上記ステッ
プS13に移行する。
ーバーステア中であるか否かを判定する。これは、車両
が旋回方向に回転しながら旋回路外方に移動するオーバ
ーステア傾向とアンダーステア傾向とが同時に起きてい
る状態が考えられるためであり、このような場合は、ま
ず、オーバーステア傾向を回避して車両の姿勢を直す必
要がある。そこで、YES判定時にはステップS17に
スキップしてエンジン制御を禁止してステップS13に
移行する一方、NO判定時にはステップS15に移行す
る。
が非操作か否かを判定する。これは、運転者がブレーキ
操作を行っている場合には駆動力は発生しておらず、エ
ンジン制御を行っても効果が少ないばかりか、もしエン
ジン制御を行えば、次にアクセルを踏み込んだときに加
速できなくなるため、不要なエンジン制御を行わないよ
うにするためである。そして、YES判定時にはステッ
プS16に移行し、エンジン制御を行うべくエンジン抑
制制御量を算出する。次に、ステップS18に移行し、
エンジンコントローラ37に信号を出力してエンジン制
御を実行、すなわちエンジン出力を低減させる。一方、
上記ステップS15においてNO判定されるとステップ
S17にスキップしてエンジン制御を禁止する。上記ス
テップS18が終了すれば、ステップS13に移行す
る。
S13,ステップS19〜ステップS21は、第1オー
バーステア制御に係るステップであって、上記ステップ
S13においては、第1オーバーステア制御を行うか否
かを判定する。この第1オーバーステア制御の判定は、
ステップS4またはステップS5において算出したヨー
レート偏差Δψ(θ,G)が、第1の介入しきい値TH
OSよりも大きいか否かを判定することによって行う。
すなわち、ヨーレート偏差Δψ(θ,G)によって表さ
れるオーバーステア傾向が、上記第1の介入しきい値T
HOSで表される第1の設定基準よりも強いか否かによ
って判定する。そしてYES判定時にはステップS19
に移行し、オーバーステア傾向を回避すべく外前輪、す
なわち、ヨーレートの回転方向に対して外側の前輪に付
与する制動量を、上記ヨーレート偏差Δψ(θ,G)に
応じて設定する。
移行して制動力制御を実行する。これは、加圧モータ3
2、フロントおよびリヤソレノイドバルブ33,34、
TSWおよびASWソレノイドバルブ35,36をそれ
ぞれ制御することによって行う(図7の下図参照)。次
いで、ステップS21に移行し、第1オーバーステア制
御の終了判定を行いリターンする。
記ステップS13においてNO判定された場合は、ステ
ップS22に移行するが、このステップS22〜ステッ
プS27は、第2および第3オーバーステア制御に係る
ステップである。
バーステア制御を行うか否かを判定する。この第2オー
バーステア制御の判定は、上記ステップS4またはステ
ップS5において設定したヨーレート偏差Δψ(θ,
G)が、第2の介入しきい値THOSII<Δψであるか
否かを判定することによって行う。すなわち、上記ヨー
レート偏差Δψ(θ,G)によって表されるオーバース
テア傾向が、上記第2の介入しきい値THOSIIで表さ
れる第2の設定基準よりも強いか否かによって判定す
る。THOSII<ΔψのYES判定時には、ステップS
23に移行する一方、THOSII≧ΔψのNO判定時に
は、別のステップS24に移行する。
ーステア傾向を抑制する第2オーバーステア制御の介入
ステップであって、図7に示すブレーキ圧P2(15b
ar)を上限として、ゲインKmaxでブレーキ圧を、旋
回外前輪に対して一気に供給する。そして、ブレーキ圧
の供給中にヨーレート偏差Δψが小さくなった時はブレ
ーキ圧の供給を中止してブレーキ圧を減圧に転じる。従
って、ヨーレート偏差Δψが大きくなっている時は、上
限のブレーキ圧P2までブレーキ圧が供給される。
テア制御の終了判定を行う。つまり、このステップS2
6においては、Δψが収束したか否か(Δψが小さくな
ったか)を判定する。この第2オーバーステア制御を介
入させることによって、Δψが小さくなった時、つまり
YES判定時には、ステップS27に移行し、制御を徐
々に終了させてリターンする。一方、Δψが収束してい
ないNO判定時には、ステップS27に移行することな
くリターンして、第2オーバーステア制御を継続させ
る。
OSII≧Δψのと判定された時(NO判定時)にはステッ
プS24に移行し、この場合は、該ステップS24にお
いて、第3オーバーステア制御を行うか否かを判定す
る。この第3オーバーステア制御介入の判定は、THO
SIII<Δψか否かを判定することにより行う。すなわ
ち、上記ヨーレート偏差Δψ(θ,G)によって表され
るオーバーステア傾向が、上記第3の介入しきい値TH
OSIIIで表される第3の設定基準よりも強いか否かに
よって判定する。THOSIII<ΔψのYES判定時に
は、ステップS25に移行する一方、THOSIII≧Δ
ψのNO判定時には、別のステップS28(図5参照)
に移行する。
制御の介入ステップにおいては、まず、上限ブレーキ圧
(油圧)P1(5bar)まで、ブレーキ圧ゲインKma
xでブレーキ圧を、旋回外前輪に対して一気に供給す
る。その後、ゲインK1(K1<Kmax)でΔψに応じて
ブレーキ圧を供給するフィードバック制御を行う。この
時の上限のブレーキ圧はP2(15bar)に設定され
ている(図7参照)。このように第3オーバーステア制
御においては、ブレーキ圧ゲインK1でブレーキ圧を供
給するため、第2オーバーステア制御におけるブレーキ
圧の供給率(ゲインKmax)よりも低いブレーキ圧の供
給率になっている。
供給を行った後は、上記ステップS26で終了判定を行
い、Δψが収束しているYES判定時にはステップS2
7に移行して、制御を徐々に終了させる一方、Δψが収
束していないNO判定時にはステップS27に移行する
ことなくリターンして、第3オーバーステア制御を継続
させる。
向にあるとき(THOSII,THOSIII<Δψの時)
に、第2または第3オーバーステア制御が介入されるこ
とで、比較的弱いオーバーステア傾向およびオーバース
テアの成長が共に抑制されて、運転者が感じる安定感を
向上させることができると共に、運転者が感じる操縦の
容易さを向上させることができる。
ステア制御は、上限のブレーキ圧が低く設定されて制御
量が低下されている弱い制御であるため、制御が過剰に
なることがなく、また、不要動作が強くなってしまうこ
とを回避することができる。
しても、車両のオーバーステアが成長した(強くなっ
た)時には(THOSII<Δψ)、第2オーバーステア
制御が上記第3オーバーステア制御に代わって介入さ
れ、また、上記第2オーバーステア制御が介入しても、
車両のオーバーステアが成長した時には(THOS<Δ
ψ)、第1オーバーステア制御が、記第2オーバーステ
ア制御に代わって介入される。これにより、強い制御で
ある第1オーバーステア制御が急激に介入されることな
く、弱い制御である第2および第3オーバーステア制御
から強い制御である第1オーバーステア制御に連続的に
移行される。
することができる。これと共に、第1オーバーステア制
御の前に予め第2または第3オーバーステア制御が介入
されることで、ブレーキ系の遊びがなくなっている(例
えばディスクロータにブレーキパッドが密着した状態に
なっている)ため、上記第1オーバーステア制御の応答
性を向上させることができる。さらに、第3および第2
オーバーステア制御に続いて第1オーバーステア制御が
介入した場合は、制御開始のしきい値を小さくしたこと
と同様の結果となり、車両の姿勢の変化が連続的になる
と共に、車両のより一層の安定性を確保することができ
る。
キ圧を最大のゲインKmaxでオープン制御により供給す
るようにされているため、制御の応答性が向上する。ま
た、上限のブレーキ圧P2が第1オーバーステア制御に
おけるブレーキ圧(ブレーキ系が供給可能なブレーキ
圧)よりも低い圧力(15bar)に設定されているた
め、第1オーバーステア制御よりも制御量が低下したオ
ーバーステア制御が実現する。
キ圧をヨーレート偏差Δψに応じたフィードバック制御
で供給するようにされているため、オーバーステア傾向
の抑制が過剰になることなく、最適な制御を実現するこ
とができる。これにより、走り感を損なうことがない。
における上限ブレーキ圧P2を15barとすることに
よって、車両のヨーイング方向の姿勢が僅かに変化する
ものの、運転者がほとんど気付かない程度に制御を行う
ことが可能になる。なお、上限ブレーキ圧は、10〜2
5barの範囲で設定してもよいが、車両の姿勢制御の
効果と、運転者が気付くことによる違和感とを比較考慮
すると、15barが最も好ましい。また、第2オーバ
ーステア制御における上限のブレーキ圧は、路面μに応
じて変更してもよい。例えば低μ路においては、上記上
限のブレーキ圧を15barとするのに対し、高μ路に
おいては、上限のブレーキ圧を50barとするように
してもよい。
えて、第2および第3オーバーステア制御を設けること
で、車両の高い安定性を確保しつつも、運転者の感じる
安定感および操縦の容易さを向上させることができる。
テップS28〜ステップS34は第1アンダーステア制
御に係るステップであって、上記ステップS24(図4
参照)においてNO判定されて図5のステップS28に
移行した時は、このステップS28において第1アンダ
ーステア制御を開始するか否かを判定する。そして、上
記ステップS28において開始するYES判定時であれ
ば次のステップS29に移行する一方、開始しないNO
判定時であればリターンする。
ダーステア傾向が小さいか(弱いか)否かを判定する。
小さい場合はステップS30に移行する一方、大きい場
合はステップS31に移行する。
動量を演算する。一方、ステップS31においては内後
輪の制動量を演算する。これはアンダーステア傾向が弱
い時は、前輪にはグリップ力がある状態と考えられ、ま
た、前輪に制動力を付与することは後輪に制動力を付与
する場合に比べて、より制動効率が良い、すなわち車両
をより効率的に減速できるためである。このため、アン
ダーステア傾向が弱い場合には内前輪に制動を行うこと
によって、確実かつ迅速なアンダーステア制御を行うこ
とが可能になる。
輪のグリップ力がないものと考えられることから、内後
輪に対し制動力を付与する。このように制動量が演算さ
れれば、ステップS32に移行して、制動力制御を実行
する。
アンダーステア制御の終了判定を行う。これは、上記ヨ
ーレート偏差Δψ(θ,G)がしきい値THUSよりも
小さくなったか否かを判定することによって行う。そし
て、YES判定時にはステップS34に移行して制御を
終了させてリターンする。一方、NO判定時には制御を
終了することなくリターンする。
ーバーステア制御開始判定について説明する。第1〜第
3オーバーステア制御の開始判定は、制御目標ヨーレー
トとして、第1および第2目標ヨーレートψ(θ,G)
のうちの絶対値の小さい方を制御目標ヨーレートTrψ
とし、この制御目標ヨーレートTrψと実ヨーレートψ
との偏差Δψ(θ,G)が、オーバーステア制御の介入
しきい値(第1〜第3の介入しきい値)THOS,TH
OSII,THOSIIIよりも大きいか否かによって行う
ようにしている。
レートψ(G)の絶対値が、第1目標ヨーレートψ
(θ)の絶対値よりも小さい時は、上記第2目標ヨーレ
ートψ(G)を制御目標ヨーレートTrψとする(同図
のT1参照)。ここで、制御目標ヨーレートTrψ(同
図の破線参照)が第2目標ヨーレートψ(G)(同図の
実線参照)に比べて大きくなっているのは、制御目標ヨ
ーレートTrψに対して舵角成分を考慮した補正を行っ
ているためである(式(3)参照)。
しきい値THOSIIIよりも大きくなれば、第3オーバ
ーステア制御を介入させる。この第3オーバーステア制
御は、上述したように、上限ブレーキ圧P1(5ba
r)まで、ブレーキ圧ゲインKmaxでブレーキ圧を一気
に供給する。そしてその後、ゲインK1(K1<Kmax)
でΔψに応じてブレーキ圧を供給するフィードバック制
御を行う(図4のステップS25参照)。また、ヨーレ
ート偏差Δψが第2の介入しきい値THOSIIよりも大
きくなれば、第2オーバーステア制御を介入させる。こ
の第2オーバーステア制御は、上述したように、上限の
ブレーキ圧P2(15bar)まで、ゲインKmaxでブ
レーキ圧を一気に供給するオープン制御を行う(図4の
ステップS23参照)。さらに、ヨーレート偏差Δψが
第1の介入しきい値THOSよりも大きくなれば、第1
オーバーステア制御を介入させる。
しようと運転者がカウンターステアを行った場合には、
第1目標ヨーレートψ(θ)の値が、上記第2目標ヨー
レートψ(G)よりも小さくなる場合がある。この時
は、制御目標ヨーレートTrψを第2目標ヨーレートψ
(G)から第1目標ヨーレートψ(θ)に変更する(同
図のT2参照)。
には、第1目標ヨーレートψ(θ)の変化に伴い実ヨー
レートψの値が第2目標ヨーレートψ(G)の値よりも
小さくなる。ここで、例えば、第2目標ヨーレートψ
(G)を制御目標ヨーレートTrψとしたままであれ
ば、オーバーステア制御からアンダーステア制御に変更
されてしまう。このようにアンダーステア制御となって
しまえば、車両のヨーイング方向の姿勢としては未だオ
ーバーステア傾向であり、かつ、運転者がカウンタース
テアとしているにも拘わらず、そのカウンターステアの
効果が生じないような、つまりオーバーステア傾向を助
長する制御となってしまう。ところが、第1および第2
目標ヨーレートψ(θ,G)のうちの小さい方を制御目
標ヨーレートTrψとすれば、カウンターステアを行っ
た場合でもオーバーステア制御(第1オーバーステア制
御)が継続して行われ、上記の不都合が解消される。
値が中立点を通過し、この第1目標ヨーレートψ(θ)
の値と第2目標ヨーレートψ(G)の値との符号が異な
る時には、制御目標ヨーレートTrψの値を所定値で一
定にし(同図のT3参照)、その後、上記第1および第
2目標ヨーレートψ(θ,G)の値が同符号となれば、
上記第1および第2目標ヨーレートψ(θ,G)のうち
の絶対値の小さい方、図7では上記第2目標ヨーレート
ψ(G)の値を制御目標ヨーレートTrψに設定する
(同図のT4参照)。
値を一定値で保持するようにするのは、舵角が中立点を
越えるような状態遷移の時に制御ゲインが大きくなって
しまうことを回避するためである。また、例えば第1目
標ヨーレートψ(θ)の値をそのまま制御目標ヨーレー
トTrψとすれば、制御量が大きくなってしまい、車両
が逆方向にスピンしてしまう虞れがあるためである。こ
のように、車両が逆方向にスピンするようになると、そ
の逆方向スピンの回避が困難となることから、上記第1
および第2目標ヨーレートψ(θ,G)の値が異符号と
なる時には、制御目標ヨーレートTrψを所定値で保持
する。
まうと、その後、車両がヨーイング方向の姿勢変化を起
こさなくなってしまうため、上記所定値は中立点に対し
てオフセットした値としている。
開始しきい値および敏感制御感度を変更するフローチャ
ートを示す。この実施例では図3のフローチャートにお
けるステップS6で示した各しきい値THOS、THU
S、THEUS、THOSII、THOSIIIのうち、敏
感制御に相当する第2の介入しきい値THOSIIおよび
第3の介入しきい値THOSIIIを変更するが、このし
きい値変更に代えて、いわゆる姿勢制御の本制御に相当
するしきい値THOS、THUS、THEUSを変更し
てもよいので、以下の説明においては姿勢制御介入の開
始しきい値として説明する。
9は車両安定性制御装置24に接続されると共に、この
地理環境判定手段9は図1で既に説明したように、道路
状況提供手段2からの道路状況データの提供すなわち地
理環境データの受信に基づいて車両1が現在走行してい
る地理環境(直進路、旋回路、下り坂、上り坂、路面
μ、道路の旋回曲率など)および当該車両1前方の地理
環境を判定するものである。
は前記両者2,9の送受信系)が故障か否かが判定さ
れ、YES判定時(故障時)にはステップQ2に移行する
一方、NO判定時(正常時)には別のステップQ4に移行
する。
段9の故障により、信頼性が得られないことに対応し
て、開始しきい値の補正を禁止し、次のステップQ3
で、基準となる基本開始しきい値を設定する。
められた略一律の値(つまり勾配や道路曲率などが考慮
されていない値)であって、車速が高い程、その値が低
くなるように予め設定されたものである。詳しくは、該
基本開始しきい値は横軸に車速をとり、縦軸に目標すべ
り角β0と実際のすべり角βとの偏差(Δβ=β0−β)
をとって、偏差Δβを超えた時に姿勢制御を実行するよ
うに設定したものである。
3と同様に基本開始しきい値が設定される。次にステッ
プQ5で道路曲率に対応した補正値bを求める。図中
「1.0」は基本開始しきい値に対して補正を行なわな
いことを意味しており、この補正値bは道路曲率が小さ
い程、小さい値となり、道路曲率が大きい程、大きい値
となる。
(直線路)または直進路と見なされることを示しており、
この直進路αの範囲においては姿勢制御介入の開始しき
い値が「1.0」よりも低く設定され、旋回路の曲率が
大きくなる程、開始しきい値は順次高い値に設定されて
いる。
路状況提供手段2から直進路、旋回路、下り坂、上り
坂、路面μ、道路の旋回曲率などの地理環境データを受
信するので、この地理環境判定手段9が受信したデータ
に基づいて、車両1が現在走行している道路が直進路か
旋回路(カーブ)かを判定し、直進路では変更手段として
の該ステップQ5が開始しきい値を低く設定し、旋回路
では開始しきい値を順次高く設定するものである。
ような領域ではないので、開始しきい値を低く設定し、
車両が少しでも姿勢を崩すと姿勢制御を早く介入させる
ためである。
補正値cを求める。この補正値cは所定以上の上り坂で
はその勾配が大きい程、大きい値に設定され、所定以上
の下り坂ではその勾配が大きい程、「1.0」よりも小
さい値に設定されている。
在走行している道路が下り坂か否かを判定し、下り坂で
は変更手段としての該ステップQ6が下り勾配に対応し
て開始しきい値を下げるように、補正値cを設定するも
のである。
がヨー運動を起こしやすくなるので、開始しきい値を下
げるように補正値cを設定して、姿勢制御の介入を早め
て、安全性を確保するためである。
応した補正値dを求める。この補正値dは前方路面μが
低い程、すなわち低いμ路になる程、小さい値に設定さ
れている。つまり、地理環境判定手段9は車両前方の路
面μを判定し、路面μが低い程、変更手段としての該ス
テップQ7は姿勢制御介入の開始しきい値を下げるよう
に、補正値dを設定するものである。
やすいので姿勢制御の介入を早めるためである。しか
も、低μ路を検出してから開始しきい値を下げたので
は、車両の姿勢がくずれるので、車両前方が低μ路であ
ることが判定されると、予め開始しきい値を下げるよう
に補正値dを設定することで、運転者は路面μが低下し
たことを意識せずに車両1を走行させることができる。
対応した補正値eを求める。この補正値eはカーブ近傍
になる程、相対的に姿勢制御介入の開始しきい値を上げ
るように、カーブまでの距離が長い場合に対して大きい
値に設定されている。
メータ(変数)とする複数の特性を有し、車速が小さい場
合と比較して、車速が大きい場合にはカーブまでの距離
が小でも、開始しきい値が小さくなるような特性に設定
している。これは、車速が大の場合にはカーブに到達す
るまでの時間が短く、かつ高速でカーブに侵入する場合
には減速して姿勢が変化する領域が早いので、これに対
応し得るように補正値eの特性を設定したものである。
カーブの存在を判定し、カーブ近傍になる程、変更手段
としての該ステップQ8は姿勢制御介入の開始しきい値
を相対的に上げるように、補正値eを設定するものであ
る。
が判定した旋回曲率と、車両1が現在走行している道路
の旋回曲率との間の旋回偏差の大小に基づいて、敏感制
御補正量fを求める。
程、敏感制御の感度を高めるように図7で示した上限ブ
レーキ圧P2(たとえば15bar)からブレーキ圧を徐々
に高めるように補正量fを設定している。つまり、変更
手段としてのステップQ9は上記旋回偏差が大きくなる
程、敏感制御の感度を徐々に高めるような補正量fを設
定するものである。
大きい程、敏感制御の感度を高めて、運転者がほとんど
気付かないように上記偏差をなくして、旋回軌跡に対す
るトレース性の向上を図るためである。
始しきい値の演算と、敏感制御量の演算とを実行する。
開始しきい値は、基本開始しきい値(ステップQ4参照)
に対して各ステップQ5,Q6,Q7,Q8で求められ
たそれぞれの補正値b,c,d,e(但し全て零以外の
数値)を乗算して算出され、図3のステップS6に反映
され、敏感制御量はステップQ9で求められた補正量f
に基づいて算出され、ブレーキ圧力に反映される。な
お、図8の各ステップQ5〜Q9中に図示した黒丸のポ
イントを満たす条件下において、それぞれの特性の傾き
を変えてもよいことは勿論である。
は、車両前方の道路状況を提供可能な道路状況提供手段
2と、車両のヨーレート挙動を制御する姿勢制御手段
(ECU10参照)とを備えた自動車の姿勢制御装置であ
って、上記道路状況提供手段2からの道路状況提供に基
づいて車両1が現在走行している地理環境および車両前
方の地理環境を判定する地理環境判定手段9と、上記地
理環境判定手段9の判定結果に基づいて姿勢制御介入の
開始しきい値を変更する変換手段(各ステップQ5,Q
6,Q7,Q8参照)と備えたものである。
車両前方の道路状況を車両に提供し、姿勢制御手段(E
CU10参照)は車両1のヨーレート挙動を制御し、地
理環境判定手段9は上述の道路状況提供手段2から受信
した道路状況に基づいて車両1が現在走行している地理
環境および車両前方の地理環境を判定するが、上述の変
更手段は地理環境判定手段9の判定結果に基づいて姿勢
制御介入の開始しきい値を変更する。
姿勢制御介入のタイミングが早くなり、逆に、開始しい
き値を上げた場合には、姿勢制御介入のタイミングが遅
くなる。このように、車両が走行している地理環境に対
応して姿勢制御介入の開始しきい値を変更するので、安
全性とドライブフィーリングとを高い次元で両立するこ
とができる。
現在走行している道路が直進路か旋回路かを判定し、直
進路では上記変更手段(ステップQ5参照)が姿勢制御介
入の開始しきい値を低く設定するものである。
勢をくずすような領域ではないので、開始しきい値を低
く設定し、車両が少しでも姿勢をくずすと姿勢制御を早
く介入させることができ、安全性を確保することができ
る。
現在走行している道路が下り坂か否かを判定し、下り坂
では上記変更手段(ステップQ6参照)が姿勢制御介入の
開始しきい値を下げるものである。
1の荷重がフロント側へ移行し、リヤ側の荷重が減少し
て、車両1がもつ運動特性がヨー運動を起こしやすくな
るので、開始しきい値を下げることで、姿勢制御の介入
を早めて、安全性を確保することができる。
方の路面μを判定し、上記路面μが低い時、上記変更手
段(ステップQ7参照)は姿勢制御介入の開始しきい値を
下げるものである。この構成によれば、車両前方が低μ
路である場合、変更手段(ステップQ7参照)は予め姿勢
制御介入の開始しきい値を下げるので、車両が低μ路に
侵入しても安全に走行することができる。つまり、低μ
路を検出してから開始しきい値を下げたのでは、車両の
姿勢がくずれるので、車両前方が低μ路であること雅判
定されると、予め開始しきい値を下げるものである。
のカーブの存在を判定し、カーブ近傍になる程、上記変
更手段(ステップQ8参照)は姿勢制御介入のしきい値を
上げるものである。
する場合には本来車両の姿勢がくずれるものであって、
姿勢制御の介入が早すぎると、車両はカーブを曲がるこ
とができなくなる。このためカーブ近傍になる程、開始
しきい値を上げて、姿勢制御介入のタイミングを遅らせ
ることで、良好な姿勢制御の介入状態を確保することが
できる。
手段(ステップQ5参照)は姿勢制御介入の開始しきい値
をさらに上げるものである。この構成によれば、車両1
のカーブ走行時においては前後の旋回外輪に作用するコ
ーナリングフォースと遠心力とが釣り合っており、車両
は比較的安定しているので、開始しきい値をさらに上げ
て、姿勢制御が早く入り過ぎることによる違和感を防止
して、ドライブフィーリングを確保することができる。
た旋回曲率と、車両1が現在走行している道路の旋回曲
率との間の旋回偏差が大きくなる程、上記変更手段(ス
テップQ9参照)は敏感制御感度を高めるものである。
旋回偏差が大きい程、敏感制御の感度を高めるので、運
転者がほとんど気付かないように上記偏差をなくすこと
ができ、旋回軌跡に対するトレース性の向上を図ること
ができる。
現在走行している旋回路の旋回曲率(道路曲率と同意)を
判定し、旋回曲率が大きい程、上記変更手段(ステップ
Q5参照)は姿勢制御介入の開始しきい値を上げるもの
である。
上記開始しきい値を上げて、姿勢制御介入のタイミング
を遅らせるので、姿勢制御が早く介入され過ぎることに
よる違和感をなくすことができる。
には上記変更手段(各ステップQ5〜Q9参照)による開
始しきい値変更または敏感制御感度の変更を規制する規
制手段(ステップQ2参照)を設けたものである。
ップQ2参照)は地理環境判定手段9の故障時(フェール
時)に変更手段による開始しきい値の変更または敏感制
御感度の変更を規制する。したがって、地理環境の判定
を行なうことができない故障時には、信頼性が得られな
いので、開始しきい値の変更や敏感制御感度の変更を規
制(または禁止)することができる。
開始しきい値および敏感制御感度を変更するフローチャ
ートの他の実施例を示し、この図9の実施例においても
ステップQ1〜Q10は図8の実施例と同一であるか
ら、異なる点についてのみ説明する。
きい値および敏感制御量がそれぞれ演算された後に、次
のステップQ11に移行する。このステップQ11で、
演算された開始しきい値(演算値)と予め設定された上限
値とを比較して、演算値>上限値のYES判定時には次
のステップQ12に移行する一方、NO判定時には別の
ステップQ13に移行する。
ードをかける。つまり上限値を姿勢制御介入の開始しき
い値とする。一方、ステップQ13では、演算された開
始しきい値(演算値)と予め設定された下限値とを比較し
て、演算値<下限値のYES判定時には次のステップQ
14に移行する一方、NO判定時にはステップQ1にリ
ターンする。
ードをかける。つまり下限値を姿勢制御介入の開始しき
い値とする。
下限値と比較してガード処理を行なうと、開始しきい値
の過大補正、過小補正が防止され、より一層最適な開始
しきい値に基づいて姿勢制御の介入を実行することがで
きる。
その他の構成、作用、効果については先の実施例と同様
であるから、図9において図8と同一の部分には同一符
号を付して、その詳しい説明を省略する。
において、この発明の姿勢制御手段は、実施例の車両安
定性制御装置24を含むECU10に対応し、以下同様
に変更手段は、図8、図9に示す各ステップQ5〜Q9
に対応し、規制手段は、ステップQ2に対応するも、こ
の発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるもので
はない。
算された開始しきい値の演算値に対して所定の係数を乗
算すべく構成してもよい。
地理環境に基づいて姿勢制御介入の開始しきい値すなわ
ち姿勢制御介入のタイミングを変更するので、安全性と
ドライブフィーリングとを高い次元で両立することがで
きる効果がある。
ムを示す概略図。
レート、制御目標ヨーレートおよび実ヨーレートの変動
の一例を示す説明図、下部は、第1〜第3オーバーステ
ア制御におけるブレーキ圧供給の一例を示す説明図。
示すフローチャート。
他の実施例を示すフローチャート。
Claims (9)
- 【請求項1】車両前方の道路状況を提供可能な道路状況
提供手段と、車両のヨーレート挙動を制御する姿勢制御
手段とを備えた自動車の姿勢制御装置であって、上記道
路状況提供手段からの道路状況提供に基づいて車両が現
在走行している地理環境および車両前方の地理環境を判
定する地理環境判定手段と、上記地理環境判定手段の判
定結果に基づいて姿勢制御介入の開始しきい値を変更す
る変換手段とを備えた自動車の姿勢制御装置。 - 【請求項2】上記地理環境判定手段は車両が現在走行し
ている道路が直進路か旋回路かを判定し、直進路では上
記変更手段が姿勢制御介入の開始しきい値を低く設定す
る請求項1記載の自動車の姿勢制御装置。 - 【請求項3】上記地理環境判定手段は車両が現在走行し
ている道路が下り坂か否かを判定し、下り坂では上記変
更手段が姿勢制御介入の開始しきい値を下げる請求項1
記載の自動車の姿勢制御装置。 - 【請求項4】上記地理環境判定手段は車両前方の路面の
摩擦係数を判定し、上記路面の摩擦係数が低い時、上記
変更手段は姿勢制御介入の開始しきい値を下げる請求項
1記載の自動車の姿勢制御装置。 - 【請求項5】上記地理環境判定手段は車両前方のカーブ
の存在を判定し、カーブ近傍になる程、上記変更手段は
姿勢制御介入のしきい値を上げる請求項1記載の自動車
の姿勢制御装置。 - 【請求項6】車両のカーブ走行時、上記変更手段は姿勢
制御介入の開始しきい値をさらに上げる請求項5記載の
自動車の姿勢制御装置。 - 【請求項7】上記地理環境判定手段が判定した旋回曲率
と、車両が現在走行している道路の旋回曲率との間の旋
回偏差が大きくなる程、上記変更手段は敏感制御感度を
高める請求項1記載の自動車の姿勢制御装置。 - 【請求項8】上記地理環境判定手段は車両が現在走行し
ている旋回路の旋回曲率を判定し、旋回曲率が大きい
程、上記変更手段は姿勢制御介入の開始しきい値を上げ
る請求項1記載の自動車の姿勢制御装置。 - 【請求項9】上記地理環境判定手段の故障時には上記変
更手段による開始しきい値変更または敏感制御感度の変
更を規制する規制手段を設けた請求項1,2,3,4,
5,6,7または8記載の自動車の姿勢制御装置。
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