JP2003011030A - 工作物搬送装置および加工システム - Google Patents

工作物搬送装置および加工システム

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JP2003011030A JP2001201031A JP2001201031A JP2003011030A JP 2003011030 A JP2003011030 A JP 2003011030A JP 2001201031 A JP2001201031 A JP 2001201031A JP 2001201031 A JP2001201031 A JP 2001201031A JP 2003011030 A JP2003011030 A JP 2003011030A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】設置面積および高さを増加させることなく設置
することができ、作業者の安全性にも配慮した工作物搬
送装置および加工システムを提供する。 【解決手段】主軸移動型立形工作機械1a,1bに工作
物を搬送するための工作物搬送装置であって、主軸移動
型立形工作機械の基体2a,2bに対して作業者の作業
領域の反対側の位置に、第2の方向と平行に延設された
案内部材71と、案内部材に第2の方向に移動可能に設
けられた走行本体72と、走行本体に対して昇降移動可
能に設けられ、工作物を把持可能な工作物把持部材72
1,722と、主軸の第2の方向の移動軌跡上の第1の
授受位置Aにおいてチャックとの間で工作物を授受可能
であるとともに、工作物把持部材の移動軌跡上の第2の
授受位置Bにおいて工作物把持部材との間で工作物を授
受可能であり、かつ、第1の授受位置と第2の授受位置
との間で工作物を移動可能な工作物移動部3a,3bと
を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主軸が略鉛直方向
の軸線を有し主軸先端のチャックにより工作物の授受お
よび搬送を行う主軸移動型立形工作機械、または、この
主軸移動型立形工作機械を複数台並設した加工システム
において、工作機械や加工システムの設置面積および高
さを増加させることなく設置することができ、また、作
業者の安全性にも配慮した工作物搬送装置、および、そ
の工作物搬送装置を使用した加工システムに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】主軸が水平方向を向いている通常の旋盤
を用いた加工システムにおいては、旋盤のスプラッシュ
ガードの上方に走行路を設け、その走行路上に工作物把
持部材を備えた走行体を走行させて工作物を搬送し、未
加工の工作物を旋盤に搬入するとともに、加工済みの工
作物を旋盤から搬出することが従来から行われている。
このような工作物搬送装置は、特開2000−2465
79号公報、特開平7−251346号公報等に記載さ
れている。
【0003】また、これ以外の構成の工作物搬送装置と
しては、工作機械の前面側に走行路を設けた工作物搬送
装置が特公昭50−7788号公報、特開平5−111
802号公報、特開平6−190602号公報等により
公知であり、さらに、工作機械の加工領域内に走行路の
区画を設けた工作物搬送装置が特開平6−126585
号公報により公知である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】一方、主軸が略鉛直方
向の軸線を有し主軸先端のチャックにより工作物の授受
および搬送を行う主軸移動型立形工作機械は、工作機械
としては種々の利点があるが、主軸がほぼ鉛直方向を向
いており、さらに主軸台が主軸軸線方向に移動可能な構
成であるために、工作機械の設置高さが高くなる傾向に
ある。そして、その主軸台の上方に走行路を設けるよう
にすると、加工システム全体の全高がかなり増大するこ
とになり、天井の高さが高い工場にしか設置できなくな
るという問題点があった。
【0005】工作機械の前面側に走行路を設けた工作物
搬送装置であれば、主軸移動型立形工作機械に設置して
も加工システムの全高は増大しないが、工作機械の前面
側は作業者が作業を行う領域であり、この領域を走行体
が走行すると作業者の安全性に問題を生じるおそれがあ
った。また、工作機械の加工領域内に走行路の区画を設
けた工作物搬送装置でも、加工システムの全高は増大し
ないが、やはり作業者の安全性に問題点があり、また、
工作物を搬送したり、工作物搬送装置と工作機械との間
で工作物の授受を行ったりするための開閉機構等の構成
や制御が複雑化するという問題点があった。
【0006】そこで、本発明は、主軸移動型立形工作機
械、または、この主軸移動型立形工作機械を複数台並設
した加工システムにおいて、工作機械や加工システムの
設置面積および高さを増加させることなく設置すること
ができ、また、作業者の安全性にも配慮した工作物搬送
装置、および、その工作物搬送装置を使用した加工シス
テムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の工作物搬送装置は、前端にチャックを備え
た主軸を回転可能に、かつ、主軸軸線がほぼ鉛直方向に
向くように支持する主軸支持体が、少なくとも前記主軸
軸線と平行な第1の方向および前記第1の方向と直交す
る第2の方向に移動可能な主軸移動型立形工作機械に工
作物を搬送するための工作物搬送装置であって、前記主
軸移動型立形工作機械の基体に対して作業者の作業領域
の反対側の位置に、前記第2の方向と平行に延設された
案内部材と、前記案内部材に前記第2の方向に移動可能
に設けられた走行本体と、前記走行本体に対して昇降移
動可能に設けられ、工作物を把持可能な工作物把持部材
と、前記主軸の前記第2の方向の移動軌跡上の第1の授
受位置において前記チャックとの間で工作物を授受可能
であるとともに、前記工作物把持部材の移動軌跡上の第
2の授受位置において前記工作物把持部材との間で工作
物を授受可能であり、かつ、前記第1の授受位置と前記
第2の授受位置との間で工作物を移動可能な工作物移動
部とを有するものである。
【0008】また、上記の工作物搬送装置において、前
記案内部材は、前記主軸支持体の最大高さよりも低い位
置に設けられているものであることが好ましい。
【0009】また、上記の工作物搬送装置において、前
記案内部材は、前記主軸移動型立形工作機械の前記基体
と、前記主軸移動型立形工作機械の動作を制御するため
の制御装置との間の空間部に設けられているものである
ことが好ましい。
【0010】また、上記の工作物搬送装置において、未
加工の工作物を載置する第1の載置部と、加工済みの工
作物を載置する第2の載置部とを有し、前記案内部材
は、前記工作物把持部材が前記第1の載置部との間で工
作物を授受可能な位置まで移動可能であり、かつ、前記
工作物把持部材が前記第2の載置部との間で工作物を授
受可能な位置まで移動可能であるように延設されている
ものであることが好ましい。
【0011】また、上記の工作物搬送装置において、前
記工作物移動部には、未加工の工作物を載置可能な未加
工工作物載置部と、加工済みの工作物を載置可能な加工
済工作物載置部が設けられており、前記走行本体には、
複数の前記工作物把持部材が昇降移動可能に設けられて
おり、前記工作物把持部材は、前記工作物移動部との間
で未加工の工作物および加工済みの工作物の授受を同時
に行うことが可能なものであることが好ましい。
【0012】また、本発明の加工システムは、前端にチ
ャックを備えた主軸を回転可能に、かつ、主軸軸線がほ
ぼ鉛直方向に向くように支持する主軸支持体が、少なく
とも前記主軸軸線と平行な第1の方向および前記第1の
方向と直交する第2の方向に移動可能な主軸移動型立形
工作機械が複数並設された加工システムであって、未加
工の工作物を載置する第1の載置部と、加工済みの工作
物を載置する第2の載置部と、前記主軸移動型立形工作
機械の基体に対して作業者の作業領域の反対側の位置
に、前記第2の方向と平行に延設された案内部材と、前
記案内部材に前記第2の方向に移動可能に設けられた走
行本体と、前記走行本体に対して昇降移動可能に設けら
れ、工作物を把持可能な工作物把持部材と、複数の前記
主軸移動型立形工作機械のそれぞれに対して設けられた
工作物移動部とを有し、さらに、複数の前記主軸移動型
立形工作機械は、前記第2の方向に並ぶように配置され
ており、前記工作物移動部は、各前記主軸移動型立形工
作機械の前記主軸の前記第2の方向の移動軌跡上の第1
の授受位置において前記チャックとの間で工作物を授受
可能であるとともに、前記工作物把持部材の移動軌跡上
の第2の授受位置において前記工作物把持部材との間で
工作物を授受可能であり、かつ、前記第1の授受位置と
前記第2の授受位置との間で工作物を移動可能なもので
ある。
【0013】また、上記の加工システムにおいて、前記
案内部材は、各前記主軸移動型立形工作機械の前記主軸
支持体の最大高さよりも低い位置に設けられているもの
であることが好ましい。
【0014】また、本発明の加工システムは、前端にチ
ャックを備えた主軸を回転可能に、かつ、主軸軸線がほ
ぼ鉛直方向に向くように支持する主軸支持体が、少なく
とも前記主軸軸線と平行な第1の方向および前記第1の
方向と直交する第2の方向に移動可能な主軸移動型立形
工作機械が複数並設された加工システムであって、未加
工の工作物を載置する第1の載置部と、加工済みの工作
物を載置する第2の載置部と、各前記主軸移動型立形工
作機械の前記主軸支持体の最大高さよりも低い位置に、
前記第1の方向および前記第2の方向と直交する第3の
方向に延設された案内部材と、前記案内部材に前記第3
の方向に移動可能に設けられた走行本体と、前記走行本
体に対して昇降移動可能に設けられ、工作物を把持可能
な工作物把持部材と、複数の前記主軸移動型立形工作機
械のそれぞれに対して設けられた工作物移動部とを有
し、さらに、複数の前記主軸移動型立形工作機械は、前
記第3の方向に並ぶように配置されており、前記工作物
移動部は、各前記主軸移動型立形工作機械の前記主軸の
前記第2の方向の移動軌跡上の第1の授受位置において
前記チャックとの間で工作物を授受可能であるととも
に、前記工作物把持部材の移動軌跡上の第2の授受位置
において前記工作物把持部材との間で工作物を授受可能
であり、かつ、前記第1の授受位置と前記第2の授受位
置との間で工作物を移動可能なものである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図面
を参照して説明する。図1は、本発明の加工システムの
例を示す正面図である。この加工システムには、複数の
主軸移動型立形工作機械1a,1bが並設されている。
主軸移動型立形工作機械1a,1bはほぼ同じ構成の工
作機械であるが、主軸移動型立形工作機械1aは第1工
程の加工を行い、主軸移動型立形工作機械1bは第2工
程の加工を行う。図2は、この加工システムを上から見
た平面図である。そして、図3は、この加工システムを
図1における右側から見た側面図である。工作機械とし
ては鉛直方向に主軸軸線を有する立て旋盤の場合の例で
ある。
【0016】主軸移動型立形工作機械1a,1bは、ベ
ッド2a,2bに刃物台23a,23bが設けられてい
る。刃物台23a,23bには割り出し回転可能なタレ
ット21a,21bが設けられており、タレット21
a,21bの外周部には外径加工用バイト、内径加工用
工具等の加工工具が保持されている。また、主軸移動型
立形工作機械1a,1bには、後述の直交する2方向
(X,Z軸方向)に移動可能に主軸台4a,4bが設け
られている。主軸台4a,4bには鉛直方向(Z軸方
向)の回転軸線を有する主軸5a,5bが回転可能に軸
支されており、主軸5a,5bの下端にはチャック6
a,6bが設けられている。チャック6a,6bはチャ
ックシリンダ28a,28bの駆動力により把持爪が開
閉動作する。また、主軸5a,5bは、ビルトイン型の
主軸モータ(図示せず)によって所望の回転速度に回転
制御される。
【0017】主軸5a,5bの回転軸線と平行な方向
(Z軸方向)と直交する水平方向(X軸方向)に沿っ
て、X軸ガイドレール11a,11bが設けられてお
り、X軸ガイドレール11a,11b上にはサドル12
a,12bがX軸方向に移動可能に設けられている。X
軸ガイドレール11a,11bは、ベッド2a,2bの
後部およびベッド2a,2bの後部に固定されたブラケ
ット10a,10bに設けられている。ベッド2a,2
bとブラケット10a,10bとは一体であってもよ
い。
【0018】サドル12a,12bは、X軸用サーボモ
ータ29a,29bにより歯付プーリ・歯付ベルト機構
(図示せず)を介して回転駆動されるX軸送りねじ13
a,13b、ナット14a,14bによりX軸ガイドレ
ール11a,11bに案内されてX軸方向に移動され
る。サドル12a,12bにはZ軸ガイドレール(図示
せず)によりZ軸方向に移動可能に主軸台4a,4bが
設けられており、Z軸用サーボモータ26a,26bに
よってZ軸送りねじ(図示せず)を回転駆動することに
より主軸台4a,4bをZ軸方向に移動する。これによ
り、主軸5a,5bおよび主軸台4a,4bはX,Z軸
方向に移動可能となっている。主軸5a,5bをNC
(数値制御)装置15a,15bにより回転制御すると
ともにX,Z軸方向に移動制御して、チャック6a,6
bに把持した工作物をタレット21a,21b上の加工
工具により加工する。
【0019】加工中に主軸台4a,4bが移動する領域
は加工領域17a,17bとして、カバー、スプラッシ
ュガード61a,61bに覆われている。そして、この
加工領域17a,17bに隣接して、工作物授受領域1
8a,18bが設けられている。主軸台4a,4bおよ
び主軸5a,5bは、加工領域17a,17bと工作物
授受領域18a,18bとの間を相互に移動できる。ま
た、主軸台4a,4bが加工領域17a,17bにある
ときには、加工領域17a,17bと工作物授受領域1
8a,18bとの間は仕切手段により遮蔽されている。
すなわち、加工中は切削屑や切削油剤等が工作物授受領
域18a,18bに漏れ出ないようにされている。
【0020】それぞれの工作機械の工作物授受領域18
a,18bには、工作物移動部3a,3bが設置されて
いる。工作物移動部3a,3bの上面には、移動部材3
0a,30bがX軸およびZ軸方向に直交するY軸方向
に移動可能に設けられている。移動部材30a,30b
は一対のガイドバー36a,36bに案内されて、流体
圧シリンダ35a,35bによってY軸方向に移動す
る。移動部材30a,30bには、未加工の工作物を載
置する未加工工作物載置部31a,31bおよび加工済
みの工作物を載置する加工済工作物載置部32a,32
bが設けられている。
【0021】この移動部材30a,30bは、工作物授
受領域18a,18b内の主軸5a,5bのX軸方向の
移動軌跡上の第1の授受位置Aに移動でき、かつ、そこ
で停止することができる。また、移動部材30a,30
bは、後述の工作物搬送装置7との間で工作物の授受を
行うための第2の授受位置Bにも移動することができ、
第1の授受位置Aと第2の授受位置Bとの間で工作物を
移動させることができる。
【0022】移動部材30a,30bと、未加工工作物
載置部31a,31bおよび加工済工作物載置部32
a,32bとの間には、各載置部について少なくとも3
本の圧縮ばね等が設けられており、これらの載置部が所
定量の傾斜動作および水平移動を行うことが可能となっ
ている。また、これによりチャック6a,6bとの間で
工作物の授受を行う際に、工作物をチャック6a,6b
に押し付けることができる。
【0023】なお、ここでは、移動部材30a,30b
の案内部として、ガイドバーと無限直線運動するころが
り軸受により構成したものを説明しているが、直動ころ
がり案内等のころがり案内やすべり案内を使用してもよ
い。また、駆動部としては、流体圧シリンダを使用する
ものと説明しているが、モータの回転運動をねじ機構、
ラックピニオン機構等により直線運動に変換するもので
もよい。要するに、移動部材を第1の授受位置Aと第2
の授受位置Bに移動させることができるものであればよ
い。さらに、移動部材は、未加工工作物載置部と加工済
工作物載置部を一体に移動させるものとして説明してい
るが、未加工工作物載置部を移動させるための移動部材
と加工済工作物載置部を移動させるための移動部材とを
別体に設けるようにしてもよい。
【0024】X軸ガイドレール11a,11bは、X軸
方向に工作物移動部3a,3bの位置まで延びている。
すなわち、主軸5a,5bは第1の授受位置Aの直上位
置に移動可能である。この第1の授受位置Aにおいて、
チャック6a,6bと未加工工作物載置部31a,31
bおよび加工済工作物載置部32a,32bとの間で工
作物の授受を行うことができる。未加工工作物載置部3
1a,31bから受け取った未加工の工作物は加工領域
17a,17bに移動して加工され、加工が終了した工
作物は加工済工作物載置部32a,32bに戻される。
【0025】主軸移動型立形工作機械1a,1bの正面
側は、スプラッシュガード61a,61bに開閉ドアが
設けられている。作業者は、開閉ドアを開けて保守作業
や工具交換作業等を行ったり、開閉ドアを閉じたままス
プラッシュガード61a,61bの前面に設けられた操
作盤65a,65bを操作して工作機械の動作を指示し
たりする。このように、主軸移動型立形工作機械1a,
1bの正面側は、作業者が種々の作業を行うための作業
領域となっている。
【0026】主軸移動型立形工作機械1a,1bのベッ
ド2a,2bの背面側には、主軸移動型立形工作機械1
a,1bの動作を制御するためのNC装置15a,15
bが取付部材19aを介して設けられている。そして、
NC装置15a,15bが発生する熱がサドル12a,
12bおよび主軸台4a,4bの移動および位置決め精
度に影響をおよぼさないように、NC装置15a,15
bはサドル12a,12bが設置されているベッド後部
20aとは、所定の間隔をもって設置されている。な
お、NC装置15a,15bは背面側に保守用の開閉ド
アが設けられている。
【0027】主軸移動型立形工作機械1a,1bに対し
て工作物の搬入および搬出を行うために、工作物搬送装
置7が設けられている。工作物搬送装置7の案内部材7
1は、NC装置15a,15bとベッド後部20aとの
間の空間部を利用して、この空間部を貫通するように各
工作機械にまたがって延設されている。案内部材71が
NC装置15a,15bとベッド後部20aとの間の空
間部に設けられているため、工作物搬送装置7を設けて
も、作業領域と干渉せず作業者の安全性が低下すること
がない。また、加工システム全体の設置面積はほとんど
増加することがない。また、NC装置15a,15bの
開閉ドアは背面側に設けられているため、案内部材71
によってNC装置15a,15bの保守作業が妨げられ
ることもない。
【0028】案内部材71は、支柱部材70によって支
持され、各工作機械が並設されている方向すなわちX軸
方向と平行に延設されている。また、案内部材71は、
その高さが主軸台4a,4bの最大高さ(すなわち工作
機械の最大高さ)よりも低くなるように設置されてい
る。このように、案内部材71を低い位置に設けること
ができ、加工システムの全高を工作機械の全高に比べて
増加させることがない。すなわち、主軸移動型立形工作
機械が設置できる工場であれば、問題なく工作物搬送装
置も設置することができる。
【0029】案内部材71には、X軸方向に2本のガイ
ドレール71a,71aが設けられている。そして、こ
のガイドレール71a,71aには走行本体72,73
が移動可能に設けられている。また、案内部材71の上
面にはX軸方向にラック71bが設けられており、走行
本体72には走行用モータ72aが設けられている。走
行本体72は、走行用モータ72aによってラック・ピ
ニオン機構等を介して駆動され、ガイドレール71aに
沿って走行する。走行本体73も同様の駆動機構により
走行する。
【0030】そして、走行本体72には内蔵された流体
圧シリンダ(図示せず)により昇降移動可能に2つの工
作物把持部材721,722が設けられている。走行本
体73にも同様に昇降移動可能に2つの工作物把持部材
731,732が設けられている。工作物把持部材72
1,722,731,732は、圧力流体の供給によっ
て把持爪が開閉動作を行い、工作物の把持および把持解
除を行う。移動部材30a,30bの第2の授受位置B
は、これらの工作物把持部材721,722,731,
732の移動軌跡上に設定されている。
【0031】主軸移動型立形工作機械1aの図1におけ
る右方には、ワークフィーダ8が設置されている。ワー
クフィーダ8には、複数の工作物載置部81がチェーン
によって連接され旋回可能に設けられている。各工作物
載置部81には、未加工の工作物が載置されている。各
工作物載置部81を順次所定の第1の工作物授受位置1
00aに停止させ、走行本体72の工作物把持部材72
1,722によってその工作物を把持して搬送すること
ができる。
【0032】主軸移動型立形工作機械1bの図1におけ
る左方には、加工済みの工作物を搬出するためのコンベ
ア9が設置されている。加工済みの工作物は、走行本体
73の工作物把持部材731,732によって搬送され
てコンベア9上に載置され、コンベア9によって搬出さ
れる。以上のように、案内部材71は、第1の載置部と
してのワークフィーダ8、主軸移動型立形工作機械1
a,1b、第2の載置部としてのコンベア9のそれぞれ
の間で工作物を搬送可能となるように延設されている。
なお、第1の載置部、第2の載置部は、工作物が載置可
能な載置台であってもよい。その場合には、ロボット等
の他の搬送手段や作業者などによって、工作物が載置さ
れたり、取り出されたりすればよい。
【0033】次に、この加工システムにおける工作物の
搬送動作を説明する。ここで、主軸移動型立形工作機械
1aは未加工工作物(素材)の一方の側に第1工程の加
工を行い、主軸移動型立形工作機械1bは第1工程の加
工が終了した中間工作物の他方の側に第2工程の加工を
行う。それぞれの工作機械では、第1工程および第2工
程の加工が、並行してほぼ同時に行われているものとす
る。すなわち、主軸移動型立形工作機械1a,1bの加
工時間は、なるだけ差が少ない方が好ましい。また、移
動部材30aの加工済工作物載置部32aに第1工程の
加工が終了した中間工作物が、移動部材30bの加工済
工作物載置部32bに第1工程および第2工程の両方の
加工が終了した加工済工作物(完成品)が載置されてい
るものとする。さらに、移動部材30a,30bは、第
2の授受位置Bに位置しているものとする。このような
状態は、工作物を連続加工している途中の状態を示して
いる。
【0034】ワークフィーダ8の各工作物載置部81に
は未加工工作物が載置されている。未加工工作物が載置
された工作物載置部81は、所定の第1の工作物授受位
置100aに位置決めされる。工作物搬送装置7は、工
作物把持部材721,722を搬送位置に上昇させ、走
行本体72を第1の工作物授受位置100aまで走行さ
せる。そして、工作物把持部材721,722を授受位
置まで下降させ、工作物載置部81上の未加工工作物を
工作物把持部材721に把持させる。未加工工作物を把
持した工作物把持部材721は、搬送位置まで上昇した
後、走行本体72により第2の工作物授受位置100b
に移動される。それと同時に、ワークフィーダ8は、次
の未加工工作物が載置された工作物載置部81を第1の
工作物授受位置100aに移動位置決めする。
【0035】次に、工作物把持部材721,722を授
受位置まで下降させる。そして、工作物把持部材721
を把持解除して移動部材30aの未加工工作物載置部3
1aに搬送してきた未加工工作物を載置すると同時に、
加工済工作物載置部32aに載置されている中間工作物
を工作物把持部材722により把持する。次に、工作物
把持部材721,722を搬送位置まで上昇させ、第3
の工作物授受位置100cに移動させる。そして、工作
物把持部材722,721を授受位置まで下降させると
ともに、工作物把持部材722を把持解除して中間工作
物を工作物反転装置90に載置する。工作物反転装置9
0は中間工作物の向きを反転させる。この工作物把持部
材721,722の第3の工作物授受位置100cへの
移動と同時に、移動部材30aは流体圧シリンダ35a
の駆動により第2の授受位置Bから第1の授受位置Aに
移動する。
【0036】主軸移動型立形工作機械1aの主軸台4a
は、第1工程の加工が終了した後、工作物授受領域18
aに移動する。主軸台4aのZ軸方向、X軸方向の移動
により、第1工程の加工が終了した中間工作物を加工済
工作物載置部32a上に移動させた後、チャック6aを
把持解除して中間工作物を加工済工作物載置部32aに
載置する。続いて、未加工工作物を載置している未加工
工作物載置部31a上に移動し、チャック6aで未加工
工作物を把持する。このようにして未加工工作物を受け
取ると、主軸台4aは加工領域17aに移動し第1工程
の加工を行う。主軸台4aの加工領域17a側への移動
と同時に、移動部材30aは流体圧シリンダ35aの駆
動によって第2の授受位置Bに移動する。
【0037】一方、工作物反転装置90には向きが反転
された中間工作物が載置されている。工作物搬送装置7
は、工作物把持部材731,732を搬送位置に上昇さ
せ、走行本体73を第3の工作物授受位置100cに走
行させる。そして、工作物把持部材731,732を授
受位置まで下降させ、工作物反転装置90上の中間工作
物を工作物把持部材731に把持させる。中間工作物を
把持した工作物把持部材731は、搬送位置まで上昇し
た後、第4の工作物授受位置100dに移動する。そし
て、工作物把持部材731,732を授受位置まで下降
させ、工作物把持部材731を把持解除して移動部材3
0bの未加工工作物載置部31bに搬送してきた中間工
作物を載置すると同時に、加工済工作物載置部32bに
載置されている加工済工作物を工作物把持部材732に
よって把持する。
【0038】次に、工作物把持部材731,732を搬
送位置まで上昇させ、第5の工作物授受位置100eに
移動させる。そして、工作物把持部材731,732を
授受位置まで下降させるとともに、工作物把持部材73
2を把持解除して加工済工作物をコンベア9に載置す
る。コンベア9は、加工済工作物を搬送する。工作物把
持部材731,732の第5の工作物授受位置100e
への移動と同時に、移動部材30bは流体圧シリンダ3
5bの駆動により第2の授受位置Bから第1の授受位置
Aに移動する。
【0039】主軸移動型立形工作機械1bの主軸台4b
は、第2工程の加工が終了した後、工作物授受領域18
bに移動する。主軸台4bのZ軸方向、X軸方向の移動
により、第2工程の加工が終了した加工済工作物を加工
済工作物載置部32b上に移動させた後、チャック6b
を把持解除して加工済工作物を載置する。続いて、中間
工作物を載置している未加工工作物載置部(中間工作物
載置部)31b上に移動し、チャック6bに中間工作物
を把持する。このようにして中間工作物を受け取ると、
主軸台4bは加工領域17bに移動し第2工程の加工を
行う。
【0040】主軸台4bの加工領域17bへの移動と同
時に、移動部材30bは流体圧シリンダ35bの駆動に
よって第2の授受位置Bに移動する。この状態は、以上
の動作の説明の最初の状態に戻っている。このような一
連の動作を繰り返すことにより、ワークフィーダ8に載
置された未加工工作物を順次搬送して、未加工工作物に
対して第1工程の加工、反転、第2工程の加工等の処理
を連続して施すことができる。そして、ワークフィーダ
8上の未加工工作物がなくなるまで連続して加工を行う
ことができる。
【0041】なお、第1工程の主軸移動型立形工作機械
1aと工作物把持部材721,722と移動部材30a
の動作は、第2工程の主軸移動型立形工作機械1bと工
作物把持部材731,732と移動部材30bの動作と
並行してほぼ同時に行われている。このように、第1工
程および第2工程の加工を並行して行うことにより高能
率の自動加工が可能となる。また、走行本体が2台設け
られているため、走行本体72がワークフィーダ8に未
加工工作物を受け取りに行く動作と、走行本体73が工
作物反転装置90に中間工作物を受け取りに行く動作を
ほぼ同時に実行でき、さらに、走行本体72が工作物反
転装置90に中間工作物を渡しに行く動作と、走行本体
73がコンベア9に加工済み工作物を渡しに行く動作を
ほぼ同時に実行でき、より高能率の自動加工が可能とな
っている。
【0042】このようにして、工作物搬送装置7によっ
て、ワークフィーダ8上の未加工工作物が順次、主軸移
動型立形工作機械1a、主軸移動型立形工作機械1bに
搬送されて、それぞれ第1工程、第2工程の加工が施さ
れる。加工が終了した加工済み工作物は、工作物搬送装
置7によってコンベア9上に載置され搬出される。工作
物の搬送が自動的に能率よく行われるために、高能率の
自動運転を長時間連続して行うことが可能である。
【0043】なお、ここでは工作物搬送装置7が2台の
走行本体72,73を備えているが、走行本体を1台と
してもよく、または、3台以上の走行本体を備えるよう
にしてもよい。また、主軸移動型立形工作機械を2台並
設した加工システムを示したが、主軸移動型立形工作機
械は1台でもよく、または、3台以上並設するようにし
てもよい。さらに、この例では、主軸移動型立形工作機
械の一方で第1工程、他方で第2工程の加工を行うよう
にしたが、第1工程の加工を2台の工作機械で行い、第
2工程の加工を1台の工作機械で行うというように、任
意の工程配分とすることができる。
【0044】また、ここでは1台の走行本体に対して工
作物把持部材を2つ設けているが、工作物把持部材は1
つであってもよい。この場合の移動部材(未加工工作物
載置部、加工済工作物載置部)との工作物授受動作を第
1の主軸移動型立形工作機械を例にして説明する。工作
物把持部材がワークフィーダから把持してきた未加工工
作物を移動部材の未加工工作物載置部上方に搬送する。
そして、工作物把持部材を授受位置に下降させ、把持解
除して未加工工作物を未加工工作物載置部に載置する。
次に、工作物把持部材を搬送位置に上昇させ、走行本体
を移動させて工作物把持部材を加工済工作物載置部上方
に位置させる。そして、工作物把持部材を授受位置に下
降させ、加工済工作物載置部に載置されている中間工作
物を把持する。次に、工作物把持部材を搬送位置に上昇
させ、中間工作物を工作物反転装置に搬送する。
【0045】なお、ここでは工作物把持部材を昇降動作
させる駆動部を流体圧シリンダとして説明を行っている
が、モータの回転力をラック・ピニオン機構、ねじ機構
等で直線運動に変換して昇降移動を行う昇降部材を設
け、その昇降部材に工作物把持部材を設けるようにして
もよい。昇降部材はリニアモータ等によって昇降させて
もよい。すなわち、工作物把持部材を昇降動作させる駆
動部は、工作物把持部材を昇降移動および位置決めでき
るものであればよい。駆動部に流体圧シリンダを使用し
たものでは、工作物把持部材を搬送位置(上昇位置)と
授受位置(下降位置)の2位置にのみ移動・位置決めさ
せるものであったが、駆動部のモータを制御可能なサー
ボモータ、ステッピングモータ等の制御モータにする
と、昇降方向の任意の位置に位置決めして授受動作を行
うことができる。
【0046】また、走行本体を走行移動させる駆動機構
をモータとラック・ピニオン機構として説明を行ってい
るが、モータとねじ機構、リニアモータ等の他の駆動機
構であってもよい。要するに、走行本体を移動・位置決
めできるものであればよい。
【0047】また、移動台上の未加工工作物載置部、加
工済工作物載置部に、工作物を保持可能なチャック等の
部材を設けてもよい。このようにすると、工作物の回転
方向の位相を保持しながら加工システムで加工すること
ができる。さらに、加工システムの工作物搬送装置の工
作物把持部材の移動軌跡上に計測装置、位相位置決め装
置等を設けてもよい。計測装置を設けると、工作物の加
工寸法の合否判定をして、不良品をコンベアとは別のN
G用シュータ(NG用コンベア)に搬出することもでき
る。位相位置決め装置を設けると、未加工工作物(素
材)に被位置決め部がある工作物の位相位置決めができ
る。
【0048】次に、本発明の加工システムおよび工作物
搬送装置の変形例を説明する。図4は、主軸移動型立形
工作機械1を1台だけ設置した場合の加工システムを示
す平面図である。この加工システムでは、第1の載置部
と第2の載置部が一体に構成されたものとしてのワーク
フィーダ8と、1台の主軸移動型立形工作機械1とが並
設されている。工作物搬送装置7は、ワークフィーダ8
と工作物移動部3との間で工作物を搬送する。
【0049】主軸移動型立形工作機械1の構成および工
作物移動部3の構成は、図1から図3で説明したものと
同様であるため説明は省略する。工作物搬送装置7の案
内部材71は、NC装置15とベッド後部およびサドル
12との間の空間部に延設されている。案内部材71
は、支柱部材70によって支持され、X軸方向と平行に
延設されている。また、案内部材71は、その高さが主
軸台4の最大高さ(すなわち工作機械の最大高さ)より
も低くなるように設置されている。この案内部材71に
は、X軸方向に移動可能に走行本体72が設けられてい
る。そして、走行本体72には昇降移動可能に2つの工
作物把持部材721,722が設けられている。
【0050】次に、この加工システムにおける工作物の
搬送動作を説明する。説明の都合上、ワークフィーダ8
の第1の工作物授受位置101には未加工工作物が載置
された工作物載置部81が、第2の工作物授受位置10
2には加工済工作物を載置するため空の工作物載置部8
1が位置決めされているものとする。また、主軸移動型
立形工作機械1では工作物に対する加工が開始されてい
る。そして、工作物移動部3の移動部材30は、未加工
工作物載置部31が空の状態、加工済工作物載置部32
には加工済工作物が載置されている状態で、第2の授受
位置Bに位置しているものとする。
【0051】工作物把持部材721,722は、ワーク
フィーダ8との工作物授受位置103に移動し、工作物
把持部材721は未加工工作物を把持し、工作物把持部
材722は加工済工作物を渡す。そして、工作物把持部
材721,722は工作物移動部3との工作物授受位置
104に移動し、ワークフィーダ8は工作物載置部を1
ピッチ割り出す。
【0052】工作物把持部材721,722は工作物授
受位置104に移動後、工作物把持部材721を把持解
除して未加工工作物載置部31に未加工工作物を載置す
ると同時に、工作物把持部材722で加工済工作物を把
持する。そして、工作物把持部材721,722は、搬
送位置まで上昇した後、工作物授受位置103に移動
し、ワークフィーダ8の第1の工作物授受位置101の
工作物載置部81から未加工工作物を把持すると同時
に、第2の工作物授受位置102の工作物載置部81に
加工済工作物を載置する。
【0053】一方、加工済工作物を渡し未加工工作物を
載置された移動部材30は、第2の授受位置Bから第1
の授受位置Aに移動する。主軸移動型立形工作機械1に
おける加工が終了した後、主軸台4は加工領域から工作
物授受領域に移動し、加工の終了した工作物を加工済工
作物載置部32に載置する。その後、未加工工作物載置
部31から未加工工作物を受け取り、加工領域に移動し
て加工を行う。主軸台4が加工領域側に移動すると、移
動部材30は第1の授受位置Aから第2の授受位置Bに
移動する。以下、同様の手順にして、ワークフィーダ8
上の全ての未加工工作物を連続して加工することができ
る。
【0054】図5は、NC装置15の設置位置を変更し
た加工システムを示す平面図である。この加工システム
の構成は、図4のものとほとんど同じであるが、NC装
置15を主軸移動型立形工作機械1の背面側でなく、右
側に設置した点が異なる。NC装置15をこの位置に設
置した場合でも、図4の加工システムと同様の作用効果
を奏する。
【0055】図6は、主軸移動型立形工作機械の配置を
変更した加工システムを示す平面図である。この加工シ
ステムでは、複数の主軸移動型立形工作機械1a,1
b,…がY軸方向に並ぶように配置されている。したが
って、工作物搬送装置7の案内部材71は、Y軸方向と
平行に延設されている。また、案内部材71は、その高
さが主軸台4の最大高さ(すなわち工作機械の最大高
さ)よりも低くなるように設置されている。この案内部
材71には、Y軸方向に移動可能に走行本体72が設け
られている。そして、走行本体72には昇降移動可能に
1つの工作物把持部材723が設けられている。
【0056】工作物移動部33は、複数の工作物載置部
34がチェーン等により連接されたものである。工作物
載置部34を互いに連動して旋回させることにより、工
作物を第1の授受位置Aと第2の授受位置Bとの間で移
動させることができる。なお、図6では図示を省略して
いるが、案内部材71の搬送路端部には、図1から図3
に示した加工システムと同様に第1の載置部としてのワ
ークフィーダ等、および、第2の載置部としてのコンベ
ア等が設けられている。工作物の搬送は、図1から図3
に示した加工システムにおける搬送とほぼ同様である。
【0057】なお、図6の加工システムにおける工作物
移動部33は、移動部材が第1の授受位置Aと第2の授
受位置Bとの間を移動するようなものでもよい。この場
合、移動部材には未加工工作物載置部と加工済工作物載
置部を設けることが好ましい。この場合はさらに、走行
本体72に工作物把持部材を2つ設けるようにした方
が、工作物把持部材と移動部材の未加工工作物載置部お
よび加工済工作物載置部との間で、工作物の把持、把持
解除を同時に行えるので好ましい。
【0058】以上に説明したような加工システムによ
り、ワークフィーダ等に載置された未加工工作物を、順
次、1台または2台以上の主軸移動型立形工作機械に搬
送し、連続的に加工を施すことができる。加工が終了し
た加工済み工作物は、再びワークフィーダ等に戻される
か、または、コンベア等に載置され搬出される。工作物
の搬送が自動的に能率よく行われるために、高能率の自
動運転を長時間連続して行うことが可能である。
【0059】なお、以上の実施の形態においては、主軸
移動型立形工作機械としては立て旋盤を例にして説明し
たが、本発明は、立て旋盤以外にも、主軸支持体が少な
くとも第1の方向(Z軸方向)と第2の方向(X軸方
向)に移動可能な工作機械、例えば、ターニングセン
タ、研削盤、マシニングセンタ等の他の任意の工作機械
にも適用できる。本発明をマシニングセンタに適用する
場合には、工作物が固定されたパレット等を回転可能に
する軸が本発明の主軸に相当し、パレット等をクランプ
する部材が本発明のチャックに相当する。
【0060】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下のような効果を奏する。
【0061】工作物搬送装置の案内部材が、主軸移動型
立形工作機械の基体に対して作業者の作業領域の反対側
の位置に延設されているので、工作物搬送装置を設けて
も作業者の安全性が低下することがなく、また、加工シ
ステム全体の全高および設置面積はほとんど増加するこ
とがない。すなわち、主軸移動型立形工作機械が設置で
きる工場であれば、問題なく工作物搬送装置も設置する
ことができる。
【0062】工作物搬送装置の案内部材が主軸支持体の
最大高さよりも低い位置に設けられているので、工作物
搬送装置を含む加工システム全体の全高が主軸移動型立
形工作機械の全高よりも増加することがなく、主軸移動
型立形工作機械が設置できる工場であれば、問題なく工
作物搬送装置も設置することができる。
【0063】工作物搬送装置の案内部材が主軸移動型立
形工作機械の基体と制御装置との間の空間部に設けられ
ているので、工作物搬送装置を設けても作業者の安全性
が低下することがなく、また、加工システム全体の全高
および設置面積はほとんど増加することがない。そし
て、制御装置の保守用開閉ドアは背面側に設けることが
でき、工作物搬送装置によって制御装置の保守作業が妨
げられることもない。
【0064】未加工の工作物を載置する第1の載置部
と、加工済みの工作物を載置する第2の載置部とを備え
ているので、工作物搬送装置により工作物を第1の載置
部から順次1台または2台以上の主軸移動型立形工作機
械に搬送し連続的に加工を施すことができる。加工が終
了した加工済み工作物は、第2の載置部に搬送され載置
される。工作物の搬送が自動的に能率よく行われるため
に、高能率の自動運転を長時間連続して行うことが可能
である。
【0065】工作物移動部には未加工工作物載置部と加
工済工作物載置部が設けられており、走行本体には複数
の工作物把持部材が設けられているので、未加工工作物
の授受と加工済工作物の授受を同時に行うことができ、
工作物の搬送時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の加工システムの例を示す正面
図である。
【図2】図2は、加工システムの平面図である。
【図3】図3は、加工システムの側面図である。
【図4】図4は、主軸移動型立形工作機械が1台の場合
の加工システムを示す平面図である。
【図5】図5は、NC装置の設置位置を変更した加工シ
ステムを示す平面図である。
【図6】図6は、主軸移動型立形工作機械の配置を変更
した加工システムを示す平面図である。
【符号の説明】
1,1a,1b…主軸移動型立形工作機械 2a,2b…ベッド 3,3a,3b…工作物移動部 4,4a,4b…主軸台 5a,5b…主軸 6a,6b…チャック 7…工作物搬送装置 8…ワークフィーダ 9…コンベア 10a,10b…ブラケット 11a,11b…X軸ガイドレール 12,12a,12b…サドル 13a,13b…X軸送りねじ 14a,14b…ナット 15,15a,15b…NC装置 17a,17b…加工領域 18a,18b…工作物授受領域 19a…取付部材 20a…ベッド後部 21,21a,21b…タレット 23,23a,23b…刃物台 26a,26b…Z軸用サーボモータ 28a,28b…チャックシリンダ 30,30a,30b…移動部材 31,31a,31b…未加工工作物載置部 32,32a,32b…加工済工作物載置部 33…工作物移動部 34…工作物載置部 61a,61b…スプラッシュガード 65a,65b…操作盤 70…支柱部材 71…案内部材 72,73…走行本体 81…工作物載置部 721,722,723,731,732…工作物把持
部材

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】前端にチャック(6a,6b)を備えた主
    軸(5a,5b)を回転可能に、かつ、主軸軸線がほぼ
    鉛直方向に向くように支持する主軸支持体(4,4a,
    4b)が、少なくとも前記主軸軸線と平行な第1の方向
    および前記第1の方向と直交する第2の方向に移動可能
    な主軸移動型立形工作機械(1,1a,1b)に工作物
    を搬送するための工作物搬送装置であって、 前記主軸移動型立形工作機械(1,1a,1b)の基体
    (2a,2b)に対して作業者の作業領域の反対側の位
    置に、前記第2の方向と平行に延設された案内部材(7
    1)と、 前記案内部材(71)に前記第2の方向に移動可能に設
    けられた走行本体(72,73)と、 前記走行本体(72,73)に対して昇降移動可能に設
    けられ、工作物を把持可能な工作物把持部材(721,
    722,731,732)と、 前記主軸(5a,5b)の前記第2の方向の移動軌跡上
    の第1の授受位置(A)において前記チャック(6a,
    6b)との間で工作物を授受可能であるとともに、前記
    工作物把持部材(721,722,731,732)の
    移動軌跡上の第2の授受位置(B)において前記工作物
    把持部材(721,722,731,732)との間で
    工作物を授受可能であり、かつ、前記第1の授受位置
    (A)と前記第2の授受位置(B)との間で工作物を移
    動可能な工作物移動部(3,3a,3b)とを有する工
    作物搬送装置。
  2. 【請求項2】請求項1に記載した工作物搬送装置であっ
    て、 前記案内部材(71)は、前記主軸支持体(4,4a,
    4b)の最大高さよりも低い位置に設けられているもの
    である工作物搬送装置。
  3. 【請求項3】請求項1,2のいずれか1項に記載した工
    作物搬送装置であって、 前記案内部材(71)は、前記主軸移動型立形工作機械
    (1,1a,1b)の前記基体(2a,2b)と、前記
    主軸移動型立形工作機械(1,1a,1b)の動作を制
    御するための制御装置(15,15a,15b)との間
    の空間部に設けられているものである工作物搬送装置。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載した工
    作物搬送装置であって、 未加工の工作物を載置する第1の載置部(8)と、 加工済みの工作物を載置する第2の載置部(9)とを有
    し、 前記案内部材(71)は、前記工作物把持部材(72
    1,722,731,732)が前記第1の載置部
    (8)との間で工作物を授受可能な位置まで移動可能で
    あり、かつ、前記工作物把持部材(721,722,7
    31,732)が前記第2の載置部(9)との間で工作
    物を授受可能な位置まで移動可能であるように延設され
    ているものである工作物搬送装置。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載した工
    作物搬送装置であって、 前記工作物移動部(3,3a,3b)には、未加工の工
    作物を載置可能な未加工工作物載置部(31,31a,
    31b)と、加工済みの工作物を載置可能な加工済工作
    物載置部(32,32a,32b)が設けられており、 前記走行本体(72,73)には、複数の前記工作物把
    持部材(721,722,731,732)が昇降移動
    可能に設けられており、 前記工作物把持部材(721,722,731,73
    2)は、前記工作物移動部(3,3a,3b)との間で
    未加工の工作物および加工済みの工作物の授受を同時に
    行うことが可能なものである工作物搬送装置。
  6. 【請求項6】前端にチャック(6a,6b)を備えた主
    軸(5a,5b)を回転可能に、かつ、主軸軸線がほぼ
    鉛直方向に向くように支持する主軸支持体(4a,4
    b)が、少なくとも前記主軸軸線と平行な第1の方向お
    よび前記第1の方向と直交する第2の方向に移動可能な
    主軸移動型立形工作機械(1a,1b)が複数並設され
    た加工システムであって、 未加工の工作物を載置する第1の載置部(8)と、 加工済みの工作物を載置する第2の載置部(9)と、 前記主軸移動型立形工作機械(1a,1b)の基体(2
    a,2b)に対して作業者の作業領域の反対側の位置
    に、前記第2の方向と平行に延設された案内部材(7
    1)と、 前記案内部材(71)に前記第2の方向に移動可能に設
    けられた走行本体(72,73)と、 前記走行本体(72,73)に対して昇降移動可能に設
    けられ、工作物を把持可能な工作物把持部材(721,
    722,731,732)と、 複数の前記主軸移動型立形工作機械(1a,1b)のそ
    れぞれに対して設けられた工作物移動部(3a,3b)
    とを有し、さらに、 複数の前記主軸移動型立形工作機械(1a,1b)は、
    前記第2の方向に並ぶように配置されており、 前記工作物移動部(3a,3b)は、各前記主軸移動型
    立形工作機械(1a,1b)の前記主軸(5a,5b)
    の前記第2の方向の移動軌跡上の第1の授受位置(A)
    において前記チャック(6a,6b)との間で工作物を
    授受可能であるとともに、前記工作物把持部材(72
    1,722,731,732)の移動軌跡上の第2の授
    受位置(B)において前記工作物把持部材(721,7
    22,731,732)との間で工作物を授受可能であ
    り、かつ、前記第1の授受位置(A)と前記第2の授受
    位置(B)との間で工作物を移動可能なものである加工
    システム。
  7. 【請求項7】請求項6に記載した加工システムであっ
    て、 前記案内部材(71)は、各前記主軸移動型立形工作機
    械(1a,1b)の前記主軸支持体(4a,4b)の最
    大高さよりも低い位置に設けられているものである加工
    システム。
  8. 【請求項8】前端にチャックを備えた主軸を回転可能
    に、かつ、主軸軸線がほぼ鉛直方向に向くように支持す
    る主軸支持体(4)が、少なくとも前記主軸軸線と平行
    な第1の方向および前記第1の方向と直交する第2の方
    向に移動可能な主軸移動型立形工作機械(1a,1b)
    が複数並設された加工システムであって、 未加工の工作物を載置する第1の載置部と、 加工済みの工作物を載置する第2の載置部と、 各前記主軸移動型立形工作機械(1a,1b)の前記主
    軸支持体(4)の最大高さよりも低い位置に、前記第1
    の方向および前記第2の方向と直交する第3の方向に延
    設された案内部材(71)と、 前記案内部材(71)に前記第3の方向に移動可能に設
    けられた走行本体(72)と、 前記走行本体(72)に対して昇降移動可能に設けら
    れ、工作物を把持可能な工作物把持部材(723)と、 複数の前記主軸移動型立形工作機械(1a,1b)のそ
    れぞれに対して設けられた工作物移動部(33)とを有
    し、さらに、 複数の前記主軸移動型立形工作機械(1a,1b)は、
    前記第3の方向に並ぶように配置されており、 前記工作物移動部(33)は、各前記主軸移動型立形工
    作機械(1a,1b)の前記主軸の前記第2の方向の移
    動軌跡上の第1の授受位置(A)において前記チャック
    との間で工作物を授受可能であるとともに、前記工作物
    把持部材(723)の移動軌跡上の第2の授受位置
    (B)において前記工作物把持部材(723)との間で
    工作物を授受可能であり、かつ、前記第1の授受位置
    (A)と前記第2の授受位置(B)との間で工作物を移
    動可能なものである加工システム。
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