JP2003007197A - 電子放出素子、その製造方法、及び電子放出素子を備えた画像表示装置 - Google Patents

電子放出素子、その製造方法、及び電子放出素子を備えた画像表示装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 配列方向が揃ったエミッタ電極を有し、信頼
性が高く、電子放出特性の均一性に優れた電界放出型の
電子放出素子、その製造方法、及びこの電子放出素子を
用いた画像表示装置を提供する。 【解決手段】 本発明にかかる電子源アレイ(電子放出
素子)16は、支持基板10上に、カソード電極層11
と、伸長方向が揃った複数の細孔13を有する保持部材
12とが順次積層されてなり、細孔13内には一定方向
(細孔の伸長方向)に配列して針状の電極部材14が挿
入されてなる。針状の電極部材14は、保持部材12の
細孔13を封孔処理して形成される封孔部材15、ここ
では細孔13の孔壁をなす成分の水和物、により一定方
向の配列を保持するように孔壁にて固定され、また、カ
ソード電極層11と針状の電極部材14とが電気的に接
続されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界放出の原理に
基づき電子を放出し、薄型表示装置(画像表示装置)等
の構成部材として用いられる電子放出素子(電子源アレ
イなど)、その製造方法、及びこの電子放出素子を用い
た画像表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電界放出型の電子源(電子放出素
子)の研究、開発が盛んに行われている。この電子源を
用いた薄型表示装置は自発光型であるために、液晶表示
装置のようにバックライトを装着する必要がなく、原理
的にCRT(Cathod Ray Tube)と同等の見やすさ、明る
さが得られる。さらには、この電子源の微細性を活かし
た非常に高精細な表示装置を実現できる可能性がある。
【0003】電界放出型の電子源としては、蒸着法で形
成された高融点金属材料を用い、C.A. Spindtらにより
開発された円錐形状の電子源(USP3,665,24
1)等が良く知られている。しかし、これを大型の表示
装置等に用いるべく大面積の電子源アレイとすれば、そ
の製造方法に起因する理由により形状のバラツキが多く
なり、電子源としての均一性や信頼性の点で問題が生じ
る。
【0004】一方、電界放出型の他の電子源として、低
電界の印加で電子を放出する新規の電子放出材料を採用
したものも研究されている。これら新規の電子放出材料
には、種々の材料からなる超微粒子状物質、あるいは微
細繊維状物質があり、中でも、炭素系の材料が盛んに研
究されている。特に、遠藤らの解説(固体物理:Vol.12,
No.1, 1977 : 株式会社アグネ技術センター発行)等に
記載の、気相成長法によるナノメーターオーダーの炭素
繊維、あるいは飯島らにより確認されたアーク放電法に
よるカーボンナノチューブ(Nature,354,56,1991) 等
は、グラファイトを丸めた円筒形の物質であり、電子源
用としても優れた特性を有する材料として非常に期待さ
れている。また、カーボンナノチューブからの電界放出
に関しては、R. E. Smalley ら(Science,269,1550,199
5) 、及び W. A. de Heerら(Science,270,1179,1995)
の研究グルーブ等による報告がある。
【0005】電子源用の材料としてカーボンナノチュー
ブを用いた表示装置は、例えば特開2000−9081
3号公報に記載されている。本技術は、導電層(カソー
ド電極)上に、カーボン材料(例えばカーボンナノチュ
ーブ)を主成分とする電子放出物質を固着材(ビーク
ル)にて固着させる方法であり、電子を効率的に放出可
能な安定性の高い電子放出素子を低製造コストで提供す
ることを目的としている。この表示装置は、図12に模
式的に示すように、ガラス基板110、ガラス基板11
0上に格子状に配された絶縁層114、絶縁層114に
より取り囲まれたガラス基板110上の領域に配された
クロム電極(第一の電極:カソード電極)111、クロ
ム電極111上に形成された電子放出部(エミッタ電
極)116、絶縁層114上に配されたアルミニウム電
極(第二の電極:アノード電極)115、及び、クロム
電極111・アルミニウム電極115間に電圧を印加す
る電源、を含んでなる。
【0006】図12に示す電子放出部116は、カーボ
ン材料、例えばカーボンナノチューブを主成分とする電
子放出物質113を含んで構成される。より具体的に
は、電子放出物質113を分散媒中に分散させ、クロム
電極111上に設けた固着材(図示せず)にスピナーな
どにより塗布し、乾燥させることにより形成される(従
来方法1と称する)。この構造では、電子放出物質11
3がクロム電極111上の固着材により強固に固定され
ているので、クロム電極111との接触抵抗が小さくな
り、低電圧でより多くの電子を安定に放出可能な電子放
出素子を提供可能とする。
【0007】その他にカーボンナノチューブを用いて電
子放出素子を形成する方法として、例えば、特開200
0−100312号公報には、針状の電極部材であるカ
ーボンナノチューブを固着材(ビークル)に混入し、次
いで、その混合液を凹凸構造を有するカソード電極層に
滴下または塗布し、乾燥させることにより電子放出素子
を形成する方法、等が開示されている(従来方法2と称
する)。
【0008】また、特開2000−251614号公報
には、VIII族元素及びI族元素からなる群より選択され
た元素の化合物とカーボンナノチューブとを含む電着液
に、カソード導体(負電極)を含むカソード基板と正電
極とを浸漬して電圧を印加し、電着形成された上記元素
を含む層(電着層)を介してカーボンナノチューブをカ
ソード導体に固着させ、電子放出素子を形成する方法、
等が開示されている(従来方法3と称する)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記従来方法1は、電
子放出素子やこれを備えた表示装置を低コストで製造可
能とするが、電子放出物質113であるカーボンナノチ
ューブの先端がガラス基板110に垂直な方向を向く
(すなわち、電子放出方向に配向する)確率が低くなる
という課題を有する。これは、カーボンナノチューブの
形状が一軸性に近いので、分散媒中に分散させてスピナ
ー等で塗布を行うと、遠心力の影響を強く受けるためで
ある。また、たとえ、ガラス基板110に垂直に配向す
るカーボンナノチューブが存在しても、この配向を保持
する保持部材がないので、固着材が乾燥するまでの間に
配向が乱れるという課題を有する。これより、低電圧で
電子を安定に放出する電子放出素子を製造することが困
難となる。
【0010】一方、上記従来方法2では、カソード電極
層に凹凸構造を設けることで、塗布されたカーボンナノ
チューブ(針状の電極部材)の配向に規則性を与えるよ
うになっている。しかし、凹凸構造の凸部は針状であ
り、例えば、凹部の深さがカーボンナノチューブの長さ
より大きく、凸部頂部の幅がカーボンナノチューブの長
さより小さくなるという複雑な形状となっており、本構
造を作製することは容易ではない。また、凸部に固着さ
れるカーボンナノチューブの数および向きは、カーボン
ナノチューブ・固着材の混合液の塗布工程に依存するの
で、各凸部でのカーボンナノチューブの固着状態は一定
とならず、再現性がとれないという課題を有している。
これより、電子放出特性が均一かつ安定である電子放出
素子を形成することがやはり困難となる。
【0011】また、上記従来方法3では、電着時の電流
密度のバラツキなどが原因となって電着層の膜厚を一定
に制御することが容易ではなく、この結果、カーボンナ
ノチューブの先端をカソード基板と垂直方向に配向させ
て固着することは困難となる。さらに、カーボンノチュ
ーブを固着する金属元素(電着層)の電着と、カーボン
ナノチューブの誘引とが同時に行われるので、カーボン
ナノチューブの先端の向きがカソード基板と垂直な方向
(電子放出方向)ではない状態で固着される虞がある。
つまり、従来方法3では、電子放出特性が均一かつ安定
である電子放出素子を形成することは困難であり、製造
歩留まりが低くなるという課題を有する。
【0012】また、上記従来方法1〜3を用いて製造さ
れた電子放出素子ではいずれも、カーボンナノチューブ
などの電子放出物質全体が露出しており、例えば、化学
的、物理的な要因により電子放出物質の特性が劣化した
り、その配向が乱れやすくなる虞があった。
【0013】本発明は、上述の課題を解決するためにな
されたものであって、その目的は、配列方向が揃った針
状の電極部材をエミッタ電極として有し、電子放出特性
の均一性に優れた電界放出型の電子放出素子、電子放出
素子の効率的な製造方法、及び、電子放出素子を備えて
なる画像表示装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明にかかる電子放出
素子は、上記の課題を解決するために、伸長方向が揃っ
た複数の細孔を有する多孔質部材と、該細孔の底部側に
配された導電部材と、該細孔に挿入された針状の電極部
材とを含み、針状の電極部材が導電部材と電気的に接続
されてなる電子放出素子において、上記針状の電極部材
を一定方向に配列した状態で固定し、かつ、この細孔を
封鎖する封孔部材を含んでなることを特徴としている。
【0015】上記の構成によれば、エミッタ電極となる
上記針状の電極部材が、一定方向(細孔の伸長方向:電
子放出方向)に配列し、さらに、この配列状態を保持す
るべく封孔部材を介して細孔内に固定されているので、
信頼性がより高く、また電子放出特性の均一性に優れた
電子放出素子を提供することが可能となる。加えて、封
孔部材により細孔が封鎖されているので、例えば、化学
的、物理的な要因により、多孔質部材、針状の電極部
材、導電部材(カソード電極となる)などの構成が劣化
する虞や、針状の電極部材の配向性が低下する虞も大幅
に低減される。
【0016】本発明にかかる電子放出素子は、上記の構
成において、上記封孔部材が、上記多孔質部材の水和物
を含んでなることがより好ましい。
【0017】多孔質部材の水和物からなる封孔部材は、
例えば、針状の電極部材を細孔内に挿入した後に、加圧
水蒸気または温水を用いた処理を行うことで容易に形成
できる。よって、上記電子放出素子を効率的に製造可能
となる。また、この封孔部材は細孔の一部構成から形成
したもの(細孔の孔壁表面に形成されたもの)であるの
で、別途、封孔部材を形成する場合のように細孔の孔壁
と封孔部材との固着性などを考慮する必要がなくなり、
電子放出素子を効率的に製造可能となる。
【0018】本発明にかかる電子放出素子は、さらに、
上記導電部材より電気抵抗率が高い電気抵抗部材をさら
に備えてなり、上記導電部材と針状の電極部材とが、上
記電気抵抗部材を介して電気的に接続されている構成で
あってもよい。
【0019】上記の構成によれば、多孔質部材の細孔に
挿入された各々の針状の電極部材は、上記電気抵抗部材
(抵抗層)を介して導電部材(カソード電極となる)に
並列に接続される。そのため、針状の電極部材からの放
出電流にともなう抵抗層での電圧降下により電子放出特
性が緩和される。よって、例えば、大面積の電子放出素
子を形成した場合にもその電子放出を均一化、安定化さ
せることができる。
【0020】また、伸長方向が揃った複数の細孔(貫通
孔)を容易に形成可能であるという観点から、上記多孔
質部材はアルミナ膜、特にアルミニウムを陽極酸化して
なるアルミナ膜であることがより好ましい。アルミナ膜
は、細孔径や細孔の分布密度の均一性、および再現性が
非常に高く、そのような細孔内にカーボンナノチューブ
などの針状の電極部材を挿入・配列すれば、電子放出特
性が良好で、かつ均一性により優れた電子放出素子を構
成することができる。また、陽極酸化条件により細孔の
分布密度を適宜変更可能であり、電子放出素子からの電
子放出密度を容易に調整することができる。
【0021】さらに、上記針状の電極部材はカーボンナ
ノチューブであることがより好ましい。カーボンナノチ
ューブは、比較的低電界で電子を放出し、化学的に安
定、かつ、別途、安価に大量生産され得る材料であるの
で、電子放出特性が良好で、均一性に優れ、かつ生産性
に優れた電子放出素子を容易に提供可能となる。
【0022】本発明にかかる電子放出素子の製造方法
は、上記の課題を解決するために、多孔質部材が有する
伸長方向が揃った複数の細孔内に針状の電極部材を挿入
する工程と、次いで、上記複数の細孔を封鎖する封孔処
理を行うことにより、上記針状の電極部材を一定方向に
配列した状態で固定する工程と、を含んでなることを特
徴としている。
【0023】上記の方法によれば、複数の細孔を封鎖す
る封孔処理を行うと同時に、封孔処理により形成された
封孔部材により針状の電極部材が細孔内に固定されるの
で、化学的、物理的な要因により、多孔質部材、針状の
電極部材、導電部材(カソード電極)などの構成が劣化
する虞や、針状の電極部材の配向性が低下する虞が大幅
に低減されてなる電子放出素子をより効率的に(優れた
生産性かつ低コストで)製造可能となる。
【0024】なお、上記多孔質部材は、導電部材(カソ
ード電極)と一体化された状態、すなわち、多孔質部材
の有する細孔の底部側に導電部材が一体的に配された状
態で封孔処理に供されてもよく、場合によっては、封孔
処理により針状の電極部材が固定された多孔質部材に、
導電性ペーストなどを用いて導電部材を貼り付けてもよ
い。
【0025】また、上記封孔処理が、加圧水蒸気、また
は温水を用いて多孔質部材の表面に水和物を形成する処
理であれば、この処理が容易となるのでより好ましい。
なお、「多孔質部材の表面」には、多孔質部材が有する
細孔の孔壁も含まれ、ここに多孔質部材の水和物が形成
されることで、細孔が封鎖されるとともに、針状の電極
部材が固定される。
【0026】また、上記加圧水蒸気とは常圧(1気圧)
を超える水蒸気であればよいが、封孔効果や生成する水
和物の安定性を考慮して、3気圧〜6気圧の範囲内にあ
る加圧水蒸気であることがより好ましい。また、上記温
水とは常温(20℃)を超え、上記水和物が生成可能な
温度の水であればよいが、封孔効果や生成する水和物の
安定性を考慮して、80℃以上の温水(高温水)である
ことがより好ましく、沸騰水であることが特に好まし
い。
【0027】本発明にかかる電子放出素子の製造方法
は、さらに、上記封孔処理に次いで、多孔質部材の加熱
処理を行う工程を含んでなることがより好ましい。
【0028】上記の方法によれば、多孔質部材中に含ま
れる、不要な水分(上記水和物が有する結晶水も含む)
やガスを放出させることができる。これにより、例え
ば、上記加熱処理を経て製造された電子放出素子を用
い、真空封止により画像表示装置を形成した場合に、多
孔質部材からのガス(水蒸気含む)などの放出による真
空度の低下を防ぐことができ、画像表示装置の信頼性を
より高めることが可能となる。
【0029】本発明にかかる画像表示装置は、上記の課
題を解決するために、複数の上記電子放出素子と、上記
複数の電子放出素子から放出された電子により画像を形
成する画像形成部と、を含んでなることを特徴としてい
る。
【0030】上記の構成によれば、信頼性がより高く、
また電子放出特性の均一性に優れた電子放出素子を備え
てなり、良好な画像表示を行うことができる画像表示装
置を提供することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】〔実施の形態1〕本発明の実施の
一形態について図面に基づいて詳細に説明すれば以下の
通りである。なお、本発明の範囲は、特にこの実施の形
態の記載のみに限定されるものではない。
【0032】本実施の形態にかかる電界放出型の電子源
アレイ(電子放出素子)16は、アノード電極基板(図
示せず)と対向配置して使用されるものであって、図1
(a)・(b)に示すように、支持基板10と、金属材
料や半導体材料などの導電性材料からなるカソード電極
層(カソード電極:導電部材)11と、該カソード電極
層11上に形成され、伸長方向が揃った複数の細孔13
を有する層状の保持部材(多孔質部材)12と、該保持
部材12の有する複数の細孔13内に先端部が保持部材
12から突出するように挿入され、エミッタ電極として
機能する針状の電極部材(微細繊維状物質)14と、を
含んで構成されている。
【0033】また、図1(b)に部分断面を示すよう
に、保持部材12の細孔13には、細孔13を封鎖する
封孔部材15が孔壁の一部構成として形成されており、
細孔13内に挿入された針状の電極部材14は、封孔部
材15を介して孔壁に固定される。なお、針状の電極部
材14とカソード電極層11との電気的な接続は、細孔
13の底部側で確保されており、また、封孔部材15が
導電性を有する場合には、封孔部材15を介しても確保
されている。
【0034】上記の保持部材12は絶縁性材料(例え
ば、非導電性の金属酸化膜)からなり、電子源アレイ1
6の使用時にアノード電極(図示せず)とカソード電極
層11とを電気的に隔離する絶縁膜として機能させても
よい。また、上記の複数の細孔13は、保持部材12の
上面側(表面側)から下面側(細孔の底部側、すなわち
カソード電極層11側)にかけて略垂直に貫通し、かつ
針状の電極部材14を挿入可能な大きさに形成されてい
る。つまり、電子源アレイ16では、電子を放出する為
の針状の電極部材14はそれぞれ、その長手方向が細孔
13の伸長方向に沿うように挿入されており、また、細
孔13の伸長方向は略同一に揃っていることから、同一
方向に配列(配向)したエミッタ電極を備えることとな
る。よって電子放出効率のより優れた電子源アレイ16
を提供可能となる。
【0035】また、封孔部材15により細孔13が封鎖
され、かつ、上記針状の電極部材14が一定方向(細孔
の伸長方向:電子放出方向)に配列した状態を保持して
固定されるので、化学的、物理的な要因により、保持部
材12、針状の電極部材14、カソード電極層11など
の構成が劣化する虞や、針状の電極部材14の配向性が
低下する虞が大幅に低減される。つまり、信頼性がより
高く、また電子放出特性の均一性に優れた電子源アレイ
を提供することが可能となる。
【0036】尚、伸長方向が揃った複数の細孔13を容
易に形成可能で、かつ、細孔13の径、及び細孔13の
分布密度の均一性、並びに再現性が非常に高いという観
点から、上記保持部材12は金属膜を陽極酸化してなる
陽極酸化膜であることがより好ましく、中でもアルミナ
膜が特に好ましい。
【0037】また、上記の針状の電極部材14として
は、エミッタ電極として使用可能な金属材料や半導体材
料からなる針状物質、並びにカーボンナノチューブなど
の一方向に伸長した針状の電極部材(電子放出部材)が
挙げられ、特に化学的に安定であり、1.0V/μm程
度の低電界の印加でも優れた電子放出効率を確保可能と
いう観点から、カーボンナノチューブがより好適であ
る。また、これら針状の電極部材14の先端形状や寸法
なども特に限定されるものではなく、エミッタ電極とし
て最適な特性を有するように設計して製造すればよい。
【0038】また、封孔部材15は、針状の電極部材1
4が挿入された細孔13を封鎖可能であり、かつ、この
電極部材14を固着する、または機械的に挟持する部材
であればよいが、形成が容易であるという観点から、保
持部材12を加圧水蒸気、または、温水により封孔処理
して生じる水和物を含んでなるものがより好ましい。ま
た、この水和物は細孔の一部構成から生じるため、別
途、封孔部材を形成する場合のように細孔の孔壁と封孔
部材との固着性を考慮する必要がなくなり、電子源アレ
イを効率的に製造可能となる。なお、この水和物の形成
方法については後述する。
【0039】以下に、電子源アレイ16の製造方法の一
例に関し、図面に基づいて説明を行う。図2(a)は、
支持基板10上にカソード電極層11、金属膜22を順
次積層してなる積層基板を用い、金属膜22を陽極酸化
して、カソード電極層11上に複数の細孔13(図2
(b)参照)を有する陽極酸化膜25(図1に示す保持
部材12に相当)を製造する工程の一例を示すものであ
り、図2(b)は陽極酸化処理後の支持基板10をその
一面に垂直な平面で切断した部分断面形状を拡大して示
すものである。なお、これらの図は陽極酸化膜の製造工
程の概要を示すものであり、実際に使用する際には、生
産性等を考慮して適切な構造の装置を構築すればよい。
【0040】陽極酸化膜25を製造する際には、従来公
知の方法を採用可能である。まず、支持基板10上にカ
ソード電極層11、金属膜22をそれぞれスパッタ法等
の一般的な成膜方法で順次形成し、次いで、化成液21
で満たされた陽極酸化用容器20内で、陽極酸化処理前
の金属膜22と、陽極酸化用の対向電極23とをある一
定間隔で対向させて配置する。続いて、カソード電極層
11が陽極で、対向電極23が陰極となるように電源2
4から電圧を印加すれば、支持基板10(カソード電極
層11)上に、複数の細孔13を有する陽極酸化膜25
(図2(b)参照)が形成される。
【0041】形成される陽極酸化膜25の厚さは、電子
放出部に用いる針状の電極部材14(図1参照)の大き
さによって選定すればよく、針状の電極部材14として
数〜10μm長さのカーボンナノチューブを用いる場合
には、陽極酸化膜25の厚さをおおよそ2〜5μm程度
を目安に設定することが好ましい。これにより、細孔1
3に挿入された針状の電極部材14(図1参照)の先端
部が確実に陽極酸化膜25から突出し、エミッタ電極と
しての機能を十分に発揮することができる。
【0042】なお、化成液21の種類は、陽極酸化され
る金属膜22の組成や形成する陽極酸化膜25の仕様な
どに応じて適宜選択すればよい。例えば、金属膜22と
してアルミニウム膜を用いる場合には、化成液21とし
て10〜20重量%の硫酸を一般的に用い、浴温を0〜
10℃程度に維持し、印加電圧を10〜20V程度とし
て陽極酸化を行う。その他の化成液としては、シュウ
酸、クロム酸、の水溶液等を用いることもできる。
【0043】このように、アルミニウムを陽極酸化する
ことで、規則正しいアルミナのセル(陽極酸化膜25に
相当:通常は6角形で蜂の巣構造となる)ができ、その
中央部に細孔13が形成される。細孔13の直径、深
さ、ピッチ、等の形状制御は、印加電圧値、電圧印加時
間、等の陽極酸化条件により設定でき、規則性、再現性
が高い。なお、均一な細孔13を形成することが容易で
あり、かつ経済的であるという観点から、陽極酸化処理
が施される金属膜22はアルミニウム膜であることが特
に望ましいが、これに限定されるものではなく、半導体
材料であるシリコン等を用いても構わない。
【0044】なお、カソード電極層11が形成される上
記支持基板10の構成材料は、画像表示装置を構成する
場合の真空封止方法、その他製造工程上の耐熱条件等を
考慮して選定すればよく、例えば、ガラス基板等が好ま
しい。また、支持基板10上にカソード電極層11を形
成する方法は特に限定されるものではないが、例えば、
上記のように、電極材料として適当な材料をスパッタ法
等を採用して均一な膜厚で成膜すればよい。さらに、カ
ソード電極層11と陽極酸化処理前の金属膜22とは異
なる金属材料で形成できるので、例えば、カソード電極
層11の構成材料には銅などの電気抵抗の比較的低い金
属材料を用いるか、あるいは複数種の金属材料を積層し
た構造としてもよい。
【0045】カソード電極層11、陽極酸化処理前の金
属膜22はいずれも支持基板10上に形成されているの
で、各種リソグラフィー法を用いて所望の形状にパター
ニングすることができる。例えば、電子源アレイ16
(図1参照)を画像表示装置に使用する場合には、マト
リクス状の電極を形成するために、支持基板10上のカ
ソード電極層11や陽極酸化処理前の金属膜22を複数
のライン状にパターニングする等、目的に合わせて電極
形状を決定すればよい。これにより、目的に合わせた所
望のパターンを有するカソード電極層11や陽極酸化膜
25が形成可能となる。
【0046】また、カソード電極層11を所望の形状に
パターニングした後に、金属膜22を成膜及び陽極酸化
して陽極酸化膜25を形成し、この陽極酸化膜25を所
望の形状(カソード電極層と同じ形状でなくてもよい)
にパターニングしてもよく、さらに他の例としては、カ
ソード電極層11と金属膜22とを成膜し、次いで、金
属膜22を陽極酸化して得た陽極酸化膜25を所望の形
状にパターニングしてから、カソード電極層11を所望
の形状(ライン状など)にパターンニングしてもよい。
すなわち、電子源アレイ16(図1参照)の構成や用途
に応じて成膜、パターニングのプロセスを組めばよい。
【0047】また、エミッタ電極として機能する針状の
電極部材14(図1参照)の製造方法は特に限定される
ものではなく、従来公知のエミッタ電極の製造方法に従
い、金属材料、半導体材料、炭素系材料などを一方向に
伸長した針形状に成形すればよい。ここでは、針状の電
極部材14として、例えば、カーボンナノチューブを用
いる場合を例に挙げて説明する。
【0048】カーボンナノチューブを製造する方法は特
に限定されるものではないが、一例として、メタン、ア
セチレンなどの炭化水素ガスを、水素、アルゴン、窒素
などから選択される不活性キャリアガスに同伴させて反
応容器内に導入し、ニッケル、コバルト、鉄などの金属
単体、またはそれらの合金であるインバーやステンレ
ス、等の触媒作用を有する基板(触媒基板)を使用し
て、プラズマCVD法などで基板上に生成可能である。
ここでは、プラズマCVD装置の反応容器内にメタンを
20sccm(約3.3775×10-2 Pa・m3
-1)、水素を80sccm(約1.351×10-1
Pa・m3 ・s-1)の流量で供給し、反応容器内の圧力
を2.0Torr(約266Pa)に維持し、印加電圧
160V、処理時間30分の条件の下、ニッケルと鉄と
の合金であるインバーを基板として使用し、この基板上
に直線性の高いカーボンナノチューブを生成した。
【0049】続いて、図3(a)・(b)を用いて、支
持基板10(カソード電極層11)上に形成された陽極
酸化膜25の細孔13に、カーボンナノチューブ33を
挿入する方法(電気泳動法)について説明する。なお、
該図は針状の電極部材(カーボンナノチューブ33)を
挿入する工程の概要を示すものであり、実際に使用する
際には、生産性等を考慮して適切な構造の装置を構築す
ればよい。さらに、図3(a)・(b)では、カソード
電極層11及び陽極酸化膜25が支持基板10の一面側
全体に形成されているが、電子源アレイの構成や目的に
応じて所望の形状にパターニングされていてもよい。
【0050】まず、電気泳動用容器30に入れたイソプ
ロピルアルコール(IPA)、アセトンなどの有機溶媒
(分散媒)中、または適当な添加剤等を加えた純水(分
散媒)中に、カーボンナノチューブ33が生成した触媒
基板(図示せず)を浸漬し、続いて超音波振動等を付与
することでカーボンナノチューブ33を分散媒中に十分
に分散させて分散液31を調製する。
【0051】続いて、支持基板10(カソード電極層1
1)上に形成された陽極酸化膜25と電気泳動用の対向
電極32とを、一定間隔をおいて互いに対向するよう分
散液31中に浸漬し、カソード電極層11を陰極、対向
電極32を陽極として、電源34より電圧を印加する。
カーボンナノチューブ33は、電圧の印加により発生し
た電界方向(電気力線方向)に対しチューブ軸(チュー
ブの長手方向)が平行となるよう、すなわちチューブの
長手方向がカソード電極層11に対して垂直な向きとな
るように配向し、陰極であるカソード電極層11に向っ
て移動する(図3(a))。この結果、支持基板10
(カソード電極層11)上に形成された陽極酸化膜25
の細孔13にカーボンナノチューブ33が挿入される
(図3(b))。
【0052】また、カーボンナノチューブが電界の印加
により配向し、誘引される性質を利用した方法(電気泳
動法)以外にも、磁界の印加により配向させ誘引する方
法も採用可能である。この方法では、図4に示すよう
に、上記分散液31を入れた容器30aの底部にマグネ
ット(磁界印加手段)40を配し、マグネット40から
印加される磁界が、陽極酸化膜25を貫きカーボンナノ
チューブ33にまで達するようにカソード基板を浸漬す
る。なお、ここでカソード基板とは、支持基板10、カ
ソード電極層11、および陽極酸化膜25よりなる積層
構造体であり、図4では、支持基板10におけるカソー
ド電極層11、陽極酸化膜25が形成されない面側に、
マグネット40を密着させている。
【0053】カーボンナノチューブ33は、チューブ軸
に対して垂直方向と平行方向とで磁化率に異方性を示
し、これによりチューブ軸が磁力線に沿って配向する。
つまり、カーボンナノチューブ33の長手方向が磁力線
と平行になる。また、ニッケル、コバルト、鉄などの金
属単体、またはそれらの合金であるインバーや、ステン
レス、などのような触媒を使用して、プラズマCVD法
などで生成したカーボンナノチューブ33はチューブ先
端に触媒(磁性金属触媒)が残存し、この触媒がマグネ
ット40の磁界により引きつけられる。これにより、カ
ーボンナノチューブ33はチューブ先端の触媒を先頭に
してカソード電極層11に向かって移動し、支持基板1
0(カソード電極層11)上に形成された陽極酸化膜2
5の細孔13内に挿入される(図3(b)参照)。
【0054】また、図示しないが、電界と磁界との双方
を印加して、針状の電極部材であるカーボンナノチュー
ブを細孔内に挿入することもできる。つまり、図3
(a)に示すような電気泳動装置の構成を用い、支持基
板のカソード電極層が形成されない面側(カソード電極
層の裏面側)にマグネットを配置して(図4参照)、電
界と磁界とを同時に分散液に印加してもよい。エミッタ
電極となる針状の電極部材の挿入方法は、その材料など
により適宜選択すればよく、また、磁界の印加方法は、
特に上記方法に限定されるものではない。
【0055】上記いずれかの方法、またはその他の挿入
方法を採用することで、カーボンナノチューブ33は、
その先端部を陽極酸化膜25から突出させた状態で、細
孔13の伸長方向に沿って配列する(図3(b))。こ
れにより、カソード基板面(陽極酸化膜25の表面)に
垂直方向(電子放出方向)に方向の揃った複数のカーボ
ンナノチューブ33を電子放出部とする電界放出型の電
子源アレイ16(図1(a)参照)が構成される。尚、
カーボンナノチューブ33は細孔13に挿入・保持され
ているので、電界または磁界の印加を中止しても、その
配列は崩れることなく保持される。
【0056】さらに、上記構成を採用すれば、針状の電
極部材として、別途、安価に大量生産可能な、電子放出
特性が良い材料を選択することができるので、電子源ア
レイを低コストで製造可能となる。例えば、カーボンナ
ノチューブ等の針状の電極部材を用いて電子源アレイが
作製可能となり、陽極酸化膜等に形成された細孔内にこ
の針状の電極部材を配列させることが可能である。ま
た、大型の画像表示装置に用いるために大面積の電子放
出素子を形成する場合にも、針状の電極部材が電子放出
方向に配列されているために電子放出特性の均一性が高
い。
【0057】加えて、電界または磁界の少なくとも一方
を印加することで、細孔内に針状の電極部材を挿入する
ため、電子源アレイ作製工程で真空プロセスを用いる必
要がなく、生産性に優れる。
【0058】さらに、カーボンナノチューブ等の針状の
電極部材と、これを支持する電子源アレイの基体部分と
は別工程で製造されるため、上記電子源アレイの基体部
分の特性(耐熱性)などに制限されることなく、針状の
電極部材を最良の条件で製造可能となる。例えば、カー
ボンナノチューブの場合、プラズマCVD法による生成
では基板上の温度を約600℃、その黒鉛化処理を28
00℃程度の高温で行うことで、エミッタ電極として良
質なものを形成することができる。これにより、電子源
アレイ作製時には、針状の電極部材の特性を改善する工
程をさらに追加する必要がなくなり、例えば、この工程
の温度をより低温化させることができ、電子源アレイを
構成する基板(支持基板)等を耐熱性の低いより安価な
材料で構成することが可能となる。
【0059】続いて、陽極酸化膜25の耐食性を向上さ
せるため、細孔13を封鎖する封孔処理を行い、同時
に、陽極酸化膜25の細孔13に挿入されたカーボンナ
ノチューブ(針状の電極部材)33をより安定的に固定
する(図3(b)、図5参照)。封孔処理の方法は特に
限定されないが、加圧水蒸気による封孔処理及び温水に
よる封孔処理が代表的である。前者は、ワーク(陽極酸
化膜25)を密閉耐圧容器内に入れ、常圧(1気圧)を
超える水蒸気、より好ましくは3〜6気圧の水蒸気で処
理して封孔する方法であり、後者は常温(20℃)を超
える温水、より好ましくは80℃以上の温水(高温
水)、特に好ましくは沸騰水にワーク(陽極酸化膜2
5)を浸漬して封孔する方法である。いずれの封孔処理
を行う場合でも、処理時間は、望まれる封孔処理の程
度、陽極酸化膜25の材質などに応じて決定すればよ
く、通常は数十分程度に設定される。また、封孔効果
は、加圧水蒸気による封孔処理がより優れているが、封
孔処理を行う際の設備が比較的簡素でよい点や、操作性
が容易である点で、電子源アレイの製造工程では、自動
化に向く高温水による封孔処理がより好ましい。以下、
温水による封孔処理の一例につき具体的に説明する。
【0060】まず、水の蒸発を防止する為の開閉容易な
蓋が付いた容器内に、イオン交換処理をしたpH6〜9
程度(中性〜やや中性に近い程度)の沸騰した純水を用
意する。次いで、細孔13にカーボンナノチューブ(針
状の電極部材)33が挿入された陽極酸化膜25、より
具体的には、図3(b)に示す積層構造体を、沸騰した
純水中に約30分程度浸漬させる。これにより、陽極酸
化膜25の表面(孔壁を含む)が水和反応を起こし、孔
壁に封孔部材(多孔質部材の水和物)15が形成されて
細孔13を封孔する。同時に、孔壁の成長(封孔部材1
5の形成)により、カーボンナノチューブ33が孔壁
(封孔処理後の水和物15を含む)に挟持された状態で
固定される(図5参照)。
【0061】使用される温水の種類は特に限定されるも
のではないが、塩素イオン、フッ素イオン、銅イオンな
どの封孔効果を低下させるイオンを含まないものである
ことがより好ましい。従って、塩素イオンなどを含む水
道水と比較して、イオン交換処理により得られる脱イオ
ン水や、蒸留により得られる蒸留水、などの純水がより
好適に使用される。一方、アンモニア、酢酸ニッケル、
酢酸コバルトなどの封孔剤を、純水中に適量添加する
と、封孔効果が高められるのでより好ましい。また、封
孔処理に用いる温水の温度は、常温(20℃)を超え、
水和物(封孔部材15)が形成可能な温度であれば特に
限定されないが、化学的に安定した水和物が確実に形成
されるという観点から80℃以上であることがより好ま
しく、特に好ましくは沸騰水、すなわち1気圧下で10
0℃程度の高温水を使用する。
【0062】なお、本実施の形態において「多孔質部材
(陽極酸化膜25)の水和物」とは、多孔質部材を組成
する少なくとも一元素または一化合物の水和物であれば
よい。例えば、多孔質部材(図5に示す陽極酸化膜2
5)がアルミナ(Al2 3 )である場合、80℃以上
の高温水や加圧水蒸気を用いて封孔処理を行えば、上記
水和物としてベーマイト(Al2 3 ・H2 O)が形成
される。なお、80℃未満の温水を使用して上記封孔処
理を行った場合には、化学的に不安定なバイヤライト
(Al2 3 ・3H2 O)が形成されるため、以下に説
明する「加熱処理」を行い結晶水の一部または実質的に
全部を放出させることが特に好ましい。
【0063】陽極酸化膜(多孔質部材)25が有する細
孔13に対し封孔処理を行うことで、カーボンナノチュ
ーブ(針状の電極部材)33は、細孔13の孔壁(封孔
処理にて生成した封孔部材(水和物)15を含む)にて
確実に固定され、また、カソード電極層11と電気的に
接続されているので、信頼性並びに電子放出特性の均一
性が高い電子源アレイを提供可能となる(図5参照)。
【0064】また、封孔処理を施すことで、細孔13に
挿入されたカーボンナノチューブ33が確実に固定され
るのみならず、陽極酸化膜25などの耐食性が向上し、
加えてガスなどによる汚染に対しても強くなる。すなわ
ち、化学的、物理的な要因により、多孔質部材、針状の
電極部材、導電部材(カソード電極)などの構成が劣化
する虞や、針状の電極部材の配向性が低下する虞が大幅
に低減されてなる電子放出素子をより効率的に製造可能
となる。
【0065】さらに、細孔13が封孔されるので、陽極
酸化膜25からのガスなどの放出量が低減する。よっ
て、得られた電子源アレイ16を用い、真空封止をして
形成した画像表示装置において、陽極酸化膜25からの
ガス放出による真空度の低下を防ぐことができるので、
信頼性の高い画像表示装置を提供可能となる。
【0066】加えて、カーボンナノチューブ33が封孔
部材15により孔壁に固定されているので、たとえ、細
孔13内に挿入されずに陽極酸化膜25上に付着したカ
ーボンナノチューブ33が存在しても、超音波処理等で
容易に除去可能となる。
【0067】また、必要に応じて、上記封孔処理に次い
で多孔質部材の加熱処理を行い、多孔質部材に含まれる
水分(上記水和物が有する結晶水を含む)やガスを放出
させてもよい。加熱処理の温度は特に限定されるもので
はないが、400℃〜600℃の範囲内であることが、
処理の効率上より好ましい。
【0068】なお、上記陽極酸化膜(多孔質部材)25
は、カソード電極層(導電部材)11と一体化された状
態、すなわち、陽極酸化膜25の有する細孔13の底部
側にカソード電極層11が一体的に配された状態(図3
(b)参照)で封孔処理に供されてもよく、場合によっ
ては、封孔処理により針状の電極部材が固定された多孔
質部材に、導電性ペーストなどを用いて導電部材を貼り
付けてもよい。ここで導電性ペーストとは、例えば、フ
リットガラスなどのバインダ、溶剤、及び添加剤の混合
物(接着性混合物)中に、各種金属微粒子などの導電性
粒子を分散してなり、所定温度以上に昇温し、冷却する
ことで硬化するものが挙げられる。
【0069】図6に部分断面として示すように、本発明
にかかる電界放出型の電子源アレイ(電子放出素子)1
6は、支持基板10上に、カソード電極層11と、金属
膜(図示せず)を陽極酸化してなる陽極酸化膜25とが
この順に積層されている。陽極酸化膜25は伸長方向の
揃った複数の細孔(図示せず)を有し、カーボンナノチ
ューブ(針状の電極部材)33を保持する保持部材を構
成する。この細孔にはカーボンナノチューブ33が挿入
され、各カーボンナノチューブ33はその先端部が陽極
酸化膜25から突出し、かつ、カソード基板(支持基板
10、カソード電極層11、及び陽極酸化膜25からな
る積層構造体)と略垂直方向(電子放出方向)に配列し
て固定されている。
【0070】エミッタ電極となるカーボンナノチューブ
33から実際に電子を放出させる場合には、例えば、真
空環境下で、所定の間隔をおいて、アノード電極層(ア
ノード電極)50を電子源アレイ16に対向配置し、ア
ノード電極層50とカソード電極層11との間に所定の
電圧を印加すればよい。針状の電極部材としてカーボン
ナノチューブ33を採用した場合には、真空中で、カソ
ード電極層11とアノード電極層50とを約1mmの距
離を離して対向配置し、両電極層間に1kV程度の電圧
を印加して、平行平板換算で1V/μm程度の電界を発
生させると、カーボンナノチューブ33の先端から電子
放出を開始する。
【0071】なお、本発明にかかる電子放出素子の用途
は特に限定されるものではなく、FED(Field Emissio
n Display)などの表示用デバイス、光源、各種陰極線
管、電子銃などの電界放出型エミッタ素子として使用可
能である。
【0072】〔実施の形態2〕本発明の他の実施の形態
について図面に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。尚、上記実施の形態1に記載のものと同一の構成、
機能を有する部材については同一の符号を付し、その説
明を省略する。
【0073】本実施の形態にかかる電子源アレイ16a
は、図7にその部分断面を示すように、図5に示す電子
源アレイ16において、カソード電極層11より電気抵
抗率が高い抵抗層(電気抵抗部材)60をさらに設け、
カーボンナノチューブ(針状の電極部材)33とカソー
ド電極層11とが抵抗層60を介して電気的に接続され
ている構成である。
【0074】より具体的には、支持基板10上に、カソ
ード電極層11、抵抗層60、及び金属膜(図示せず)
を陽極酸化してなる陽極酸化膜25がこの順に積層され
ている。陽極酸化膜25は伸長方向の揃った複数の細孔
(図示せず)を有し、カーボンナノチューブ(針状の電
極部材)33を保持する保持部材を構成する。この細孔
にはカーボンナノチューブ33が挿入され、各カーボン
ナノチューブ33はその先端部が陽極酸化膜25から突
出し、かつ、カソード基板(支持基板10、カソード電
極層11、抵抗層60、及び陽極酸化膜25からなる積
層構造体)と略垂直方向(電子放出方向)に配列して固
定されている。
【0075】カソード電極層11、抵抗層60などが形
成される支持基板10の構成材料は、実施の形態1と同
様に、画像表示装置を構成する場合の真空封止方法、そ
の他製造工程上の耐熱条件等を考慮して選定すればよ
く、例えば、ガラス基板等が好ましい。また、支持基板
10上にカソード電極層11を形成する方法は特に限定
されるものではないが、例えば、電極材料として適当な
材料をスパッタ等で均一な膜厚に成膜すればよい。
【0076】抵抗層60は、カソード電極層11上に形
成され、導電性は有するが、少なくともカソード電極層
11より電気抵抗率が高い層である。また、抵抗層60
は、電子源アレイ16aの使用上必要な所定の導電性を
有する限りにおいては、できうる限り電気抵抗率の高い
材料で形成することが好ましい。
【0077】例えば、カソード電極層11が良導体の金
属材料からなる電極層である場合、各種半導体材料や金
属酸化物にて抵抗層60を形成すればよい。一例とし
て、スパッタ法等で成膜したシリコン層を抵抗層60と
して用いれば、抵抗層60は、カーボンナノチューブ3
3とカソード電極層11との間の電気的な抵抗層として
のみならず、陽極酸化膜25形成時(陽極酸化処理時)
の酸化を止めるストップ層としての機能も兼ねられる。
抵抗層60の材料としては、シリコン以外に、例えば、
シリコン炭化物、シリコン窒化物、シリコン酸化物など
のシリコン系化合物やこれらの複合物、または、ITO
(インジウム・錫酸化物)やSnO2 (二酸化錫)など
の金属酸化物が挙げられる。
【0078】陽極酸化膜25としては、抵抗層60上に
スパッタ法などで成膜したアルミニウム膜を、例えば、
実施の形態1に記載の方法で陽極酸化して得たアルミナ
膜が好適に使用される。なお、実施の形態1に記載の通
り、アルミナ膜では、形成される細孔の径や分布密度の
均一性、及び再現性が非常に高くなる。
【0079】陽極酸化膜25には、図7に示すように、
細孔13が形成されており、上記実施の形態1に記載の
方法(図3(a)または図4参照)により、細孔13に
カーボンナノチューブ33を挿入し、このカーボンナノ
チューブ33をカソード基板と実質的に垂直方向(電子
放出方向)に配列させて電子源アレイ16aを構成す
る。針状の電極部材として、例えばカーボンナノチュー
ブ33を採用した場合、電子源アレイ16aの電子放出
の開始条件などは、抵抗層60があっても上記実施の形
態1に記載の通りであり、詳細な説明は省略する。
【0080】また、陽極酸化膜25に対し、上記実施の
形態1に記載の封孔処理を施すことで、封孔部材(ここ
では、少なくとも水和物を含んでいる孔壁)15でカー
ボンナノチューブ(針状の電極部材)33を固定する。
これにより、化学的、物理的な要因で、陽極酸化膜2
5、カーボンナノチューブ33、カソード電極層11な
どの構成が劣化する虞や、カーボンナノチューブ33の
配向性が低下する虞が大幅に低減されてなる電子源アレ
イ16aをより効率的に製造可能となる。
【0081】加えて、カーボンナノチューブ33が封孔
部材15により孔壁に固定されているので、たとえ、細
孔13内に挿入されずに陽極酸化膜25上に付着したカ
ーボンナノチューブ33が存在しても、超音波処理等で
容易に除去可能となる。
【0082】また、カーボンナノチューブ33とカソー
ド電極層11との間に抵抗層60が挿入されることで、
カソード電極層11とエミッタ電極(カーボンナノチュ
ーブ等の針状の電極部材)とが抵抗層60を介して並列
に接続されていることになる。これにより、エミッタ電
極(カーボンナノチューブ33)からの放出電流にとも
なう抵抗層60での電圧降下が生じて電子放出特性が緩
和され、大面積の電子源アレイを形成した場合にも電子
放出を均一化、安定化させることができる。
【0083】尚、実施の形態1で記載したように、カソ
ード電極層11の構成材料には銅などの電気抵抗の比較
的低い金属材料を用いるか、あるいは複数種の金属材料
を積層した構造としてもよい。
【0084】また、カソード電極層11、抵抗層60、
陽極酸化処理前の金属膜(図示せず)はいずれも支持基
板10上に形成されているので、各種リソグラフィー法
を用いて所望の形状にパターニングすることができる。
例えば、電子源アレイ16aを画像表示装置に使用する
場合には、マトリクス状の電極を形成するために、支持
基板10上のカソード電極層11、抵抗層60や陽極酸
化処理前の金属膜を複数のライン状にパターニングする
等、目的に合わせて電極形状を決定すればよい。これに
より、目的に合わせた所望のパターンを有するカソード
電極層11、抵抗層60、及び陽極酸化膜25が形成可
能となる。
【0085】また、カソード電極層11を所望の形状に
パターニングした後に抵抗層60および金属膜を成膜
し、次いで、金属膜を陽極酸化して陽極酸化膜25を形
成し、さらに、抵抗層60や陽極酸化膜25を所望の形
状(カソード電極層11と同じ形状でなくてもよい)に
パターニングしてもよい。すなわち、電子源アレイ16
aの構成や用途に応じて成膜、パターニングのプロセス
を組めばよい。
【0086】さらに、電子源アレイ16bのように、陽
極酸化膜25の各々の細孔13内(底部)に、抵抗層
(電気抵抗部材)60aを形成してもよい(図8参
照)。抵抗層60aを細孔13内に形成する場合には、
Al2 3 (アルミナ;酸化アルミニウム)、ITO
(インジウム・錫酸化物)、SnO2 (二酸化錫)など
の金属酸化物の微粒子を材料とし、この微粒子を適切な
添加材を混入した純水(分散媒)中、または、エチルア
ルコールなどのアルコール類に代表される溶媒(分散
媒)中に分散させ、電着法などの電界析出技術により、
細孔13の底部に堆積させればよい。
【0087】上記の構成では、エミッタ電極となるカー
ボンナノチューブ33の各々に対応して抵抗層60aが
設けられているので、各カーボンナノチューブ33から
の放出電流にともなう各抵抗層60aでの電圧降下によ
って、カーボンナノチューブ1本1本の電子放出特性
(電子放出のし易さ)のバラツキとは無関係に電子放出
特性が緩和される。よって、図7に示すように陽極酸化
膜25の下に一枚の抵抗層60が形成されている構成と
比較して、電子放出特性の均一性、安定性がよりいっそ
う向上する。
【0088】〔実施の形態3〕本発明の他の実施の形態
について図面に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。尚、上記実施の形態1・2に記載のものと同一の構
成、機能を有する部材については同一の符号を付し、そ
の説明を省略する。
【0089】本実施の形態にかかる電子源アレイ16c
・16dは、図9(a)・(b)にその部分断面を示す
ように、上記実施の形態1・2に示す電子源アレイ16
・16a・16bとは異なり、カーボンナノチューブ
(針状の電極部材)33の固定強度を更に増すために、
低融点金属材料層70が陽極酸化膜25の各細孔13内
に形成されている点である。
【0090】例えば、図9(a)に示す電子源アレイ1
6cは、実施の形態1に示す電子源アレイ16の製造工
程において、細孔13を有する陽極酸化膜25を製造す
る工程に引き続き、細孔13の底部(カソード電極層1
1上)に低融点金属材料層70を形成する工程を追加
し、次いで、細孔13内にカーボンナノチューブ33を
挿入し、封孔処理を行うことにより製造される。また、
図9(b)に示す電子源アレイ16dでは、実施の形態
2に示す電子源アレイ16bの製造工程において、陽極
酸化膜25の有する各細孔13内(カソード電極層11
上)に抵抗層60aを形成する工程に引き続き、各抵抗
層60a上に低融点金属材料層70を形成する工程を追
加し、次いで、細孔13内にカーボンナノチューブ33
を挿入し、封孔処理を行うことで製造される。なお、図
7に示す電子源アレイ16aのように、陽極酸化膜25
の下に抵抗層60が形成されている場合には、細孔13
の底部(抵抗層60上)に低融点金属材料層70を形成
すればよい。
【0091】陽極酸化膜25の細孔13内に低融点金属
材料層70を形成する方法としては、例えば、電気メッ
キ法などが挙げられる。また、低融点金属材料層70
は、後工程で加熱して一旦融解(溶融)させ、続いて硬
化(冷却固化)することで、カーボンナノチューブ(針
状の電極部材)33を固定するために形成されるので、
支持基板10の構成材料、あるいはカソード電極層11
の構成材料等の、他の構成要素に比較して低融点である
ことを基準に構成材料を選定すればよい。一般的には、
低融点金属材料層70を形成するための金属材料とし
て、インジウム(融点約156.6℃)、錫(融点約2
32℃)、亜鉛(融点419.6℃)などが好適に用い
られる。
【0092】例えば、カソード電極層11の構成材料と
してアルミニウム(例えば、アルミニウムを陽極酸化し
た時の非酸化部)(融点660.4℃)を使用する場
合、低融点金属材料層70を錫(融点約232℃)など
で形成すれば、大気中ではカソード電極層11であるア
ルミニウムの融点以下の温度で融解させることができ
る。また、環境条件により低融点金属材料が融解可能な
温度で加熱すれば良い。
【0093】そして、低融点金属材料層70を加熱して
低融点金属材料を一旦融解させ、次いで硬化させること
によりカーボンナノチューブ(針状の電極部材)33を
固定することができる。さらに、細孔13を封鎖する封
孔処理を施すことで、カーボンナノチューブ33の固定
強度が向上し、信頼性のより高い電子源アレイ16c・
16dを提供することができる。
【0094】低融点金属材料層70を形成する方法は特
に限定されるものではないが、化学メッキ法、電着法、
等の方法を採用して細孔13内に形成してもよく、ま
た、陽極酸化膜25上に低融点金属材料をコートし融解
させ、低融点金属材料を細孔13内に注入して形成して
もよく、さらには、陽極酸化膜25上に低融点金属材料
をコートし、陽極酸化膜25上の表面にある低融点金属
材料のみをエッチングして取り除き、細孔13内のみに
低融点金属材料層70を形成してもよい。
【0095】また、支持基板10やカソード電極層11
の構成材料、陽極酸化処理前の金属膜の材料、陽極酸化
処理方法、並びにカーボンナノチューブ(針状の電極部
材)33の挿入方法については、上記実施の形態1・2
に記載の通りであり、詳細な説明は省略する。さらに、
カソード電極層11や陽極酸化膜25などのパターン形
状についても上記実施の形態1・2に記載の通りであ
り、電子放出素子の用途や目的に応じて最適な形状とす
ればよい。
【0096】〔実施の形態4〕本発明の他の実施の形態
について図面に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。尚、上記実施の形態1〜3に記載のものと同一の構
成、機能を有する部材については同一の符号を付し、そ
の説明を省略する。
【0097】本発明にかかる電界放出型の電子源アレイ
(電子放出素子)を用いて構成される画像表示装置は、
図10および図11に示すように、電子放出側基板10
0と発光側基板104とが対向配置されてなる構成であ
る。なお、各電極構造に電圧を印加する電源は図示して
いない。
【0098】この画像表示装置では、電子放出側基板1
00側に、図7に示す電子源アレイ16aと類似した構
成の電子源アレイ(電子放出素子)16eを採用してい
る。すなわち、電子源アレイ16eは、支持基板10上
に、カソード電極層11、抵抗層60、陽極酸化膜25
を順次形成し、陽極酸化膜25の細孔(図示せず)には
カーボンナノチューブ(針状の電極部材)33が挿入さ
れてなる構成である。また、カーボンナノチューブ33
は、封孔処理により形成された水和物を含んでなる孔壁
(図示せず、図7参照)により、先端部が陽極酸化膜2
5から突出した状態で固定され、さらに、抵抗層60を
介してカソード電極層11と電気的に接続されている。
加えて、カソード電極層11、抵抗層60、陽極酸化膜
25はいずれも一方向に伸び、互いに平行に配された複
数のラインとなるようパターニングされ、複数個の電子
源アレイ16eが形成されている。
【0099】また、電子源アレイ16e上には、複数の
矩形状の開口部103がマトリクス状に設けられた絶縁
層101が形成されるとともに、絶縁層101上には、
開口部103に対応して開口し、カソード電極層11と
直交する方向に伸びた複数のゲート電極102が形成さ
れている。つまり、カソード電極層11とゲート電極1
02とが直交するように形成されたライン状電極をもっ
て、マトリクスが形成されている。
【0100】一方、発光側基板104は、表示部側とな
るガラス基板(透明基板)105と、ガラス基板105
上に形成されたITOなどの透明電極膜(アノード電
極)106と、透明電極膜106上に形成された複数の
蛍光体(発光体)107とから構成されている。また、
複数の蛍光体107はそれぞれ、カーボンナノチューブ
33を備えた陽極酸化膜25の表出領域(開口部10
3)と対向配置され、カーボンナノチューブ33から放
出された電子を受けて発光する画像形成部を構成してい
る。
【0101】カラー表示を行う場合には、蛍光体107
は、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3
種類で構成し、それぞれの蛍光体領域を分割するように
ブラックマトリクス108を形成する。また、図示しな
いが、蛍光体107からの放出ガスを抑制するために、
発光側基板104の蛍光体107形成面側に、アルミニ
ウムなどでメタルバックを形成してもよい。次いで、電
子放出側基板100と発光側基板104とを対向配置
し、図示しないスペーサを介して挟まれた両基板間(空
間)を真空排気し、真空状態で封止して電界放出型の画
像表示装置を形成する。
【0102】この画像表示装置では、カソード電極層1
1とゲート電極102とで構成するマトリクスにより、
電子放出箇所、すなわち発光箇所(発光画素)を選択・
非選択して画像表示を行う。
【0103】例えば、エミッタ電極としてカーボンナノ
チューブ33を使用する場合、カーボンナノチューブは
低電界(1.0V/μm以下)の印加で電子放出を開始
する。よって、電子放出(エミッタ電極から電子を引き
出す)の際には、透明電極膜(アノード電極)106に
印加する電圧によりエミッタ電極にかかる電界、また
は、ゲート電極102に印加する電圧によりエミッタ電
極にかかる電界のいずれにより電子を引き出してもよ
い。
【0104】さらに、図10に示す電子放出側基板10
0は、発光側基板104の1画素(1蛍光体)に対して
1つの開口部103を有する構成であるが、電子放出特
性のさらなる均一化、および安定化の為に、1画素に対
して複数の開口部を有する構成としてもよい。この場
合、絶縁層101が、保持部材である陽極酸化膜25上
に形成されることもある。
【0105】また、開口部103の形状も、特に四角形
に限定されるものではなく、丸型などであってもよい。
さらに、ゲート電極102の開口の大きさも絶縁層10
1の開口部103より小さくても、または略同等であっ
てもよい。アノード電極106のパターン形状も、例え
ば、一体(ベタ)電極またはライン状電極であってもよ
い。
【0106】また、電子放出側基板100を構成する電
子放出素子は、もちろん、上記実施の形態1〜3に記載
の電子源アレイ16〜16dであってもよい。ただし、
電子源アレイ16〜16dのように、カソード電極層1
1がライン状電極ではなく一体電極の場合には、電子放
出側基板100においてゲート電極102とのマトリク
スを形成することができない。この場合、必要に応じ
て、図10に示すゲート電極(第一のゲート電極)10
2上に第二の絶縁層及び第二のゲート電極(図示せず)
を形成し、第一、第二のゲート電極によって形成される
マトリクスにより、電子放出箇所、すなわち発光箇所
(発光画素)を選択・非選択する構成としてもよい。
尚、画像表示装置を構成する電子源アレイの構成材料、
およびその製造方法は、上記実施の形態1〜3に記載の
通りであり、詳細な説明は省略する。
【0107】以上のように、画像表示装置を構成する本
発明の電子源アレイ(電子放出素子)は何れも、先端部
が保持部材から突出した状態で、カーボンナノチューブ
などの針状の電極部材が固定され、かつ、針状の電極部
材がカソード電極層と電気的に接続されているので、信
頼性が高く、また電子放出特性の均一性が高い。よっ
て、良好な画像表示を行うことができる画像表示装置を
提供可能となる。
【0108】また、本発明にかかる電子放出素子は、伸
長方向が揃った複数の細孔(貫通孔)を有する層状の多
孔質部材と、該細孔の底部側(つまり、層状の多孔質部
材の一方面側)に配された層状の導電部材と、該細孔に
挿入された針状の電極部材とを含み、針状の電極部材が
導電部材と電気的に接続されてなる構成において、さら
に、上記細孔の孔壁から構成され、上記針状の電極部材
を一定方向に配列した状態で固定し、かつ、この細孔を
封鎖する封孔部材を含んでなる構成である。
【0109】より具体的には、本発明にかかる電子放出
素子は、上記細孔の孔壁を中心(細孔の管軸)方向に成
長させることにより構成され、上記針状の電極部材を一
定方向に配列した状態で挟持し、かつ、この細孔を封鎖
する封孔部材を含んでなる構成である。また、換言すれ
ば、本発明にかかる電子放出素子は、上記多孔質部材に
対し、加圧水蒸気、または温水を用いて封孔処理して細
孔の孔壁に形成される封孔部材により挟持され、かつ、
この細孔を封鎖する封孔部材を含んでなる構成である。
【0110】本発明にかかる電子放出素子は、支持基板
上にカソード電極層と、伸長方向が揃った複数の細孔を
有する保持部材と、針状の電極部材と、を少なくとも具
備する構成において、上記針状の電極部材が、ある一定
方向に配列して上記保持部材の細孔に挿入されており、
上記針状の電極部材が少なくとも水和物を含んでいる上
記保持部材の細孔の孔壁により固定され、上記針状の電
極部材が上記カソード電極層と電気的に接続されている
構成である。
【0111】上記何れかの構成によれば、低電界で電子
を放出する電子放出材料である針状の電極部材(カーボ
ンナノチューブなど)を用いて電子放出素子を作製可能
となる。また、細孔等の所定の箇所に、エミッタ電極と
なる針状の電極部材をカソード基板に垂直(電子放出方
向)に配列させ、この配列を保持した状態で固定し、カ
ソード電極層と針状の電極部材とを電気的に接続するこ
とができる。また、大型の画像表示装置に用いるために
大面積の電子放出素子を形成する場合にも、信頼性を高
く、また電子放出特性を良好、かつ均一とすることがで
きる。
【0112】本発明にかかる電子放出素子の製造方法
は、以上のように、支持基板上に伸長方向が揃った複数
の細孔を有する保持部材を形成する工程と、針状の電極
部材を上記保持部材の細孔に挿入する工程と、上記針状
の電極部材を固定する工程と、を少なくとも含んでなる
方法である。
【0113】また、本発明にかかる電子放出素子の製造
方法は、上記の方法において、上記支持基板上に伸長方
向が揃った複数の細孔を有する保持部材を形成する工程
は、アルミニウムを陽極酸化する工程であることがより
好ましい。
【0114】さらに、本発明にかかる電子放出素子の製
造方法は、上記の方法において、上記針状の電極部材を
上記保持部材の細孔に挿入する工程は、上記針状の電極
部材を分散させた分散液中において、上記保持部材に少
なくとも電界または磁界を印加してなることがより好ま
しい。
【0115】また、本発明にかかる電子放出素子の製造
方法において、上記針状の電極部材を固定する工程は、
上記保持部材の細孔を封孔処理することで実現される。
【0116】
【発明の効果】本発明にかかる電子放出素子は、以上の
ように、針状の電極部材を一定方向に配列した状態で固
定し、かつ、この細孔を封鎖する封孔部材を含んでなる
構成である。
【0117】上記の構成によれば、針状の電極部材(エ
ミッタ電極)が、配列状態を保持するべく封孔部材によ
り固定されているので、信頼性がより高く、また電子放
出特性の均一性に優れた電子放出素子を提供することが
可能となる。加えて、封孔部材により細孔が封鎖されて
いるので、多孔質部材、針状の電極部材、導電部材など
の構成が劣化する虞や、針状の電極部材の配向性が低下
する虞も大幅に低減されるという効果を奏する。
【0118】本発明にかかる電子放出素子は、上記の構
成において、上記封孔部材が、上記多孔質部材の水和物
を含んでなることがより好ましい。
【0119】多孔質部材の水和物からなる封孔部材は、
加圧水蒸気または温水を用いた処理により容易に形成で
きるので、効率的に製造可能な電子放出素子を提供する
ことができるという効果を加えて奏する。
【0120】本発明にかかる電子放出素子は、上記の構
成において、導電部材と針状の電極部材とが、導電部材
より電気抵抗率が高い電気抵抗部材を介して電気的に接
続されている構成であってもよい。
【0121】上記の構成によれば、針状の電極部材から
の放出電流にともなう電気抵抗部材での電圧降下により
電子放出特性が緩和されるという効果を加えて奏する。
【0122】本発明にかかる電子放出素子の製造方法
は、以上のように、多孔質部材が有する複数の細孔内に
針状の電極部材を挿入する工程と、次いで、複数の細孔
を封鎖する封孔処理を行うことにより、針状の電極部材
を一定方向に配列した状態で固定する工程と、を含んで
なる方法である。
【0123】上記の方法によれば、複数の細孔を封鎖す
る封孔処理を行うと同時に、封孔処理により形成された
封孔部材により針状の電極部材が細孔内に固定されるの
で、化学的、物理的な要因により、多孔質部材、針状の
電極部材、導電部材などの構成が劣化する虞や、針状の
電極部材の配向性が低下する虞が大幅に低減されてなる
電子放出素子をより効率的に製造可能となるという効果
を奏する。
【0124】また、上記封孔処理が、加圧水蒸気、また
は温水を用いて多孔質部材の表面に水和物を形成する処
理であれば、この処理が容易となるという効果を加えて
奏する。
【0125】本発明にかかる電子放出素子の製造方法
は、さらに、上記封孔処理に次いで、多孔質部材の加熱
処理を行う工程を含んでなることがより好ましい。
【0126】上記の方法によれば、多孔質部材中に含ま
れる、不要な水分やガスを放出させることができるとい
う効果を加えて奏する。
【0127】本発明にかかる画像表示装置は、以上のよ
うに、複数の上記電子放出素子と、上記複数の電子放出
素子から放出された電子により画像を形成する画像形成
部と、を含んでなる構成である。
【0128】上記の構成によれば、信頼性がより高く、
また電子放出特性の均一性に優れた電子放出素子を備え
てなり、良好な画像表示を行うことができる画像表示装
置を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の実施の一形態に係る電子源
アレイ(電子放出素子)の概略構成の一部を示す斜視図
であり、(b)は(a)の部分を示す断面図である。
【図2】(a)は、図1に示す電子源アレイを製造する
一工程を説明する図であり、(b)は、この工程後の部
材の要部を示す断面図である。
【図3】(a)は、図1に示す電子源アレイを製造する
他の一工程を説明する図であり、(b)は、この工程後
の部材の要部を示す断面図である。
【図4】図1に示す電子源アレイを製造する際に、図3
(a)に示す工程に代えて採用される工程を説明する図
である。
【図5】図1に示す電子源アレイの要部を示す断面図で
ある。
【図6】図1に示す電子源アレイをアノード電極と対向
配置した状態を説明する図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る電子源アレイの
要部を示す断面図である。
【図8】図7に示す電子源アレイの一変形例の要部を示
す断面図である。
【図9】(a)・(b)は、本発明のさらに他の実施の
形態に係る電子源アレイの要部を示す断面図である。
【図10】本発明の実施の一形態に係る画像表示装置の
要部構成を示す斜視図である。
【図11】図10に示す画像表示装置を、A−A’線で
切断した要部を示す断面図である。
【図12】従来の電界放出型電子放出素子の要部を説明
する図である。
【符号の説明】
11 カソード電極膜(導電部材) 12 保持部材(多孔質部材) 13 細孔 14 針状の電極部材 15 封孔部材(水和物) 16 電子源アレイ(電子放出素子) 16a〜16e 電子源アレイ(電子放出素子) 25 陽極酸化膜(多孔質部材) 33 カーボンナノチューブ(針状の電極部
材) 60・60a 抵抗層(電気抵抗部材) 107 蛍光体(画像形成部)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大木 博 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 浦山 雅夫 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 5C031 DD17 DD19 5C035 BB01 5C036 EE02 EF01 EF06 EG12 EH01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】伸長方向が揃った複数の細孔を有する多孔
    質部材と、該細孔の底部側に配された導電部材と、該細
    孔に挿入された針状の電極部材とを含み、針状の電極部
    材が導電部材と電気的に接続されてなる電子放出素子に
    おいて、 上記針状の電極部材を一定方向に配列した状態で固定
    し、かつ、この細孔を封鎖する封孔部材を含んでなるこ
    とを特徴とする電子放出素子。
  2. 【請求項2】上記封孔部材が、上記多孔質部材の水和物
    を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の電子放
    出素子。
  3. 【請求項3】上記導電部材より電気抵抗率が高い電気抵
    抗部材をさらに備えてなり、 上記導電部材と針状の電極部材とが、上記電気抵抗部材
    を介して電気的に接続されていることを特徴とする請求
    項1または2に記載の電子放出素子。
  4. 【請求項4】上記多孔質部材がアルミナ膜であることを
    特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の電子
    放出素子。
  5. 【請求項5】上記針状の電極部材がカーボンナノチュー
    ブであることを特徴とする請求項1ないし4の何れか一
    項に記載の電子放出素子。
  6. 【請求項6】多孔質部材が有する伸長方向が揃った複数
    の細孔内に針状の電極部材を挿入する工程と、次いで、 上記複数の細孔を封鎖する封孔処理を行うことにより、
    上記針状の電極部材を一定方向に配列した状態で固定す
    る工程と、を含んでなることを特徴とする電子放出素子
    の製造方法。
  7. 【請求項7】上記封孔処理が、加圧水蒸気、または温水
    を用いて多孔質部材の表面に水和物を形成する処理であ
    ることを特徴とする請求項6に記載の電子放出素子の製
    造方法。
  8. 【請求項8】上記封孔処理に次いで、多孔質部材の加熱
    処理を行う工程を含んでなることを特徴とする請求項7
    に記載の電子放出素子の製造方法。
  9. 【請求項9】請求項1ないし5の何れか一項に記載の複
    数の電子放出素子と、 上記複数の電子放出素子から放出された電子により画像
    を形成する画像形成部と、を含んでなることを特徴とす
    る画像表示装置。
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