JP2003004945A - 偏光子 - Google Patents

偏光子

Info

Publication number
JP2003004945A
JP2003004945A JP2001189682A JP2001189682A JP2003004945A JP 2003004945 A JP2003004945 A JP 2003004945A JP 2001189682 A JP2001189682 A JP 2001189682A JP 2001189682 A JP2001189682 A JP 2001189682A JP 2003004945 A JP2003004945 A JP 2003004945A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
polarizer
laminated
oxide
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001189682A
Other languages
English (en)
Inventor
Osamu Yamashita
治 山下
Akira Makita
顕 槇田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Special Metals Co Ltd filed Critical Sumitomo Special Metals Co Ltd
Priority to JP2001189682A priority Critical patent/JP2003004945A/ja
Publication of JP2003004945A publication Critical patent/JP2003004945A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐久性に優れた積層型偏光子を提供する。 【解決手段】 第1の層3および第2の層4を含む積層
構造を備えた積層型偏光子であって、第1の層3は、選
択された範囲内の波長を持つ光を実質的に透過する誘電
体材料から形成されており、第2の層4は、磁化容易軸
が面内に位置する酸化物磁性材料から形成されている。
これにより、y方向に振動する磁界成分が減衰し、電場
ベクトル振動面がy−z面に平行な偏光が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光通信用光アイソ
レータなどに好適に用いられる偏光子に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバを伝送路として使用する光伝
送システムにおいては、半導体レーザ(LD:レーザダ
イオード)の光源から光ファイバに入射した光が光ファ
イバ同士の接続部で反射して一部光源に戻ることがあ
る。このような反射帰還光が生じると、半導体レーザの
動作が不安定になるため、伝送品質の劣化は避けられな
くなる。このことは半導体レーザが高速に動作している
場合に顕著となる。このような問題を解決するために
は、反射帰還光を除去するための光アイソレータが必要
になる。
【0003】光アイソレータとしては、一対の偏光子
と、偏光子間に配置されたファラデー素子とを備えたも
のが良く知られている。ファラデー素子は、磁場中にお
けるファラデー効果により、第1の偏光子を透過した入
射光の偏光面を例えば45°だけ回転させる。第2の偏
光子は、偏光面の回転した光を透過するように配置され
る。第2の偏光子を透過し、光アイソレータを出射した
光のうち、なんらかの理由で反射した光(戻り光)は、
第2の偏光子を透過して再びファラデー素子により偏光
面の回転を受ける。この偏光面の回転は、最初の偏光面
の回転と同じ向きに同じ角度だけ生じるため、戻り光は
第1の偏光子の吸収軸に平行な偏光面をもつことにな
る。その結果、戻り光は第1の偏光子でカットされ、光
アイソレータを透過することはできない。このような光
アイソレータの性能は、ファラデー素子のファラデー回
転能や偏光子の偏光特性に大きく依存する。
【0004】偏光子は、基本的には受光素子であり、光
アイソレータ以外にも広く用いられている。偏光子には
多くの種類がある。例えば、グラントムソン、グランテ
ーラなどの複屈折プリズム偏光子、ワイヤグリッド偏光
子、ダイクロイック偏光フィルム、複屈折回折格子、偏
光ガラス、積層型偏光子等がある。これらの多くは、長
さが数mm程度であるが、厚さ数十μmの積層型偏光子
も製造されている。
【0005】積層型偏光子の基本的構成は、S.Kaw
akami、Appl.Opt.22(1983)24
26、および特開昭55−117108号公報に開示さ
れている。また、改良された積層型偏光子が特開平4−
256904号公報、特開平6−265834号公報に
開示されている。
【0006】これらの積層型偏光子は、ガラスなどの基
板上に厚さ1μm程度の誘電体層(二酸化珪素など)と
厚さ5〜10μm程度の金属層(または半導体層)とを
交互に積層した積層構造を有している。このような積層
型偏光子は、多層膜が形成された基板をダイシングソー
などで切断することにより、複数の薄板状部分(厚さ:
10μm程度)を切り出した後、各薄板状部分を研磨す
ることにより製造される。
【0007】上記積層型偏光子は、半導体レーザを組み
込んだタイプの光アイソレータに広く利用されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
積層型偏光子には、光吸収特性および偏光特性が必ずし
も優れず、また、これらの特性が経時的に劣化し、耐久
性に劣るという問題がある。この問題は金属層や半導体
層が酸化することによって生じると考えられる。この酸
化は、スパッタリング法または真空蒸着法などによって
多層膜を基板上に形成する際に生じ得るとともに、成膜
後に大気中の酸素や水が積層型偏光子と接触し、金属層
や半導体層の境界面を通って各層の表面を酸化すること
によって生じるものと考えられる。特に、小型の積層型
偏光子では、その光路方向のサイズが10μm程度と小
さいため、金属層や半導体層の表面酸化が容易に内部ま
で進行してしまう。このような酸化が進行すると、金属
層や半導体層のうち導電体として機能しうる部分が減少
してゆくため、素子の偏光特性は著しく低下してしまう
ことになる。
【0009】上記の酸化を抑制するため、積層型偏光子
の表面を耐酸化物層でコートすることが行われている
が、耐酸化物層の存在は偏光子の消光比を低下させてし
まう。
【0010】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、耐久性に優れた積層
型偏光子を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明よる積層型偏光子
は、第1の層および第2の層を含む積層構造を備えた積
層型偏光子であって、前記第1の層は、選択された範囲
内の波長を持つ光を実質的に透過する誘電体材料から形
成されており、前記第2の層は、酸化物から形成されて
いる。
【0012】好ましい実施形態において、前記第2の層
は酸化物磁性材料から形成されている。
【0013】好ましい実施形態において、前記酸化物磁
性材料の磁化容易軸は前記第2の層に平行であり、磁化
困難軸は前記第2の層に垂直である。
【0014】好ましい実施形態において、前記第2の層
は、酸化物導電体から形成されている。
【0015】好ましい実施形態において、前記第2の層
に平行な方向における前記金属酸化物の電気比抵抗は、
所定の温度範囲において1.0Ω・cm以下である。
【0016】好ましい実施形態において、前記酸化物導
電体は超伝導体である。
【0017】好ましい実施形態において、前記第2の層
は、層厚方向における格子定数の整数倍に等しい厚さを
有している。
【0018】好ましい実施形態では、前記積層構造を支
持する誘電体基板を備えている。
【0019】本発明による偏光子は、入射光のうち、伝
搬方向に垂直な第1の方向に沿って振動する磁場成分を
減衰させる複数の層を備え、前記第1の方向に偏光した
光を透過させることを特徴とする。
【0020】好ましい実施形態において、前記複数の層
は、前記光の伝搬方向と前記第1の方向の両方に平行で
ある。
【0021】好ましい実施形態において、前記複数の層
は、磁性材料から形成されている。
【0022】好ましい実施形態において、前記磁性材料
は、面内に平行な磁化容易軸を有している。
【0023】好ましい実施形態において、前記複数の層
の間には、誘電体層が配置されている。
【0024】本発明による積層型偏光子は、第1の層お
よび第2の層を含む積層構造を備えた積層型偏光子であ
って、前記第1の層は、選択された範囲内の波長を持つ
光を実質的に透過する誘電体材料から形成されており、
前記第2の層は、磁性材料から形成されている。
【0025】本発明による光アイソレータは、一対の偏
光子と、前記一対の偏光子の間に配置されたファラデー
回転子とを備えた光アイソレータであって、前記一対の
偏光子のうち、少なくとも一方は上記いずれかの偏光子
であることを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明では、積層型偏光子におい
て、従来用いられていた金属層や半導体層に代えて酸化
物層を用いる。酸化物は、金属や半導体に比べて安定で
あり、耐久性に優れた材料であるが、従来、偏光子にお
ける光吸収層として機能し得るとは全く考えられていな
かった。
【0027】本発明の第1の実施形態では、従来の金属
層や半導体層に代えて電気絶縁性を有する磁性酸化物を
用いる。磁性酸化物は、後述するように、入射光の特定
磁界成分に作用し、これを減衰させる。
【0028】本発明の第2の実施形態では、従来の金属
層や半導体層の代えて酸化物導電体を用いる。酸化物導
電体は、金属や半導体と同様に光の特定電界成分に作用
し、これを減衰させる。
【0029】以下、図面を参照しながら本発明による積
層型偏光子の実施形態を説明する。
【0030】図1は、本実施形態における偏光子1を示
している。この偏光子1は、誘電体層3と磁性酸化物層
4が交互に積層された多層構造を有している。この多層
構造は、石英ガラスなどから形成されたプレート状誘電
体基板(不図示)に支持される。
【0031】図1に示される誘電体層3および磁性酸化
物層4の数は、簡単のため、いずれも数層だけである
が、実際の偏光子は、多数の層(例えば、200〜40
0層)が積層された構造を有している。図中、光はz軸
方向に沿って偏光子に入射する。図示されている例にお
いて、入射光は偏光しておらず、x軸方向に振動する電
場成分とy軸方向に振動する電場成分とが同程度に混在
している。なお、図1において、光軸上に記載されてい
る細い矢印は光の偏光方向(電場ベクトルの振動方向)
を示している。図に示されている「td」は誘電体層3
の厚さ、「tm」は絶縁性磁性酸化物層4の厚さであ
る。
【0032】上記の多層構造は、例えばスパッタリング
や真空蒸着などの公知の薄膜堆積技術によって形成され
得る。誘電体層3および磁性酸化物層4は、z−y面を
主面とする基板の上でx軸方向に成長させられる。誘電
体層3および磁性酸化物層4の厚さは、いずれも1μm
以下であるのに対し、偏光子1のz軸方向サイズ(L)
は10μm程度のオーダを有している。わかりやすさの
ため、図1では、誘電体層3および磁性酸化物層4の厚
さを実際よりも誇張して記載している。
【0033】本実施形態では、従来の金属層(または半
導体層)に代え、z−y面(以下、「主面」と称する)
に平行な磁化容易軸を有する磁性酸化物層4を用いてい
る。この磁性酸化物層4は、電気絶縁性を有し、酸化に
よる劣化の問題を引き起こさず、しかも、高い偏光特性
を発揮し得る。
【0034】従来の積層型偏光子においては、誘電体層
3に挟まれた薄い金属層が光吸収層として機能する。よ
り具体的には、金属層内の存在する自由電子(伝導電
子)と入射光との相互作用により、入射光のうち、主面
に平行な方向に電場が振動する成分が減衰する。その結
果、電場が主面に垂直な方向に振動する成分だけが偏光
子を透過することになり、偏光が形成される。従来の積
層型偏光子では、伝導電子を有する金属または半導体の
層を光吸収層として用いることが不可欠であると信じら
れていた。
【0035】本発明者は、このような技術的常識に束縛
されることなく、入射光の電場成分を減衰させる代わり
に、磁場成分を減衰させることによっても偏光子を実現
できることを見出して、本発明を想到するに到った。
【0036】本発明の第1の実施形態では、図1に示す
ように、主面内に磁化容易軸をもつ絶縁性磁性酸化物層
4を金属層に代えて用いている。このような磁性酸化物
層4は、通常、入射光の振動電場に応じて振動する自由
電子を持ってはいない。しかし、磁性酸化物層4内には
磁気モーメントを持つ原子が存在し、この磁気モーメン
トが入射光の振動磁場によって揺さぶられる。その結
果、磁気モーメントは磁場の向きと同じ方向に向く。入
射光がこのような磁気モーメントと相互作用を続ける
と、磁気モーメントの回転運動に対して抵抗が働き、そ
の回転運動が邪魔されて最終的に平衡状態になる振幅で
浸透し続ける。磁気モーメントは、回転運動による抵抗
を受けるため、運動エネルギの一部はジュール損失によ
って熱として放出され、回転運動は衰えていくことにな
るが、入射光から絶えず回転のエネルギが供給されるの
で、回転運動は存続し、その結果、面内に容易軸をもつ
磁性酸化物層を通過した光のエネルギは磁性酸化物層に
当たる前の光のエネルギと比べて減少し、その出射光強
度は弱められる。
【0037】磁性酸化物層4の磁気モーメントは、磁化
容易軸が主面内に位置するため、主に主面内でしか回転
しない。その結果、磁性酸化物層4は主に主面に平行な
磁場成分を吸収することになり、主面に垂直な磁場成分
のみを有する光が大きく減衰することなく、偏光子1を
通過することになる。光の振動磁場と振動電場は垂直な
関係を有しているため、偏光子1を通り抜ける光の偏光
面(電場ベクトル振動面)は、磁性酸化物層に平行であ
る。すなわち、本実施形態によれば、従来の積層型偏光
子によって得られる偏光に対して、偏光面が90°回転
した偏光が得られる。
【0038】なお、磁性酸化物層4における入射光の減
衰は、すべての波長帯域において同じ割合で生じるわけ
ではない。光の減衰は、入射光の波長が磁性酸化物層4
の磁気共鳴周波数に等しい場合に最も大きくなるが、磁
気共鳴周波数に等しくない場合であっても、その波長が
磁気共鳴周波数に比較的近い大きさを持つ場合、光強度
の減少が生じる。用いる光の波長に応じて磁性酸化物層
の材料を適切に選択すれば、充分に実用的な偏光子が実
現できる。なお、光の減衰率が大きい場合、磁性酸化物
層4の厚さtmを数nm程度までに薄くでき、小型化に
有利である。
【0039】本発明に好適に用いられ得る磁性酸化物
は、磁化困難軸が膜面(すなわち主面)に対して垂直と
なることが好ましい。磁化困難軸が等方的であれば、偏
光方向に関係なく、光が磁性酸化物層4に吸収されてし
まうからである。また、磁性酸化物の磁気共鳴周波数
は、可能な限り入射光の周波数に近いことが望ましい。
さらに、磁性酸化物層4の磁化容易軸は膜面内にあり、
磁化困難軸の異方性エネルギが高いことが望ましい。
【0040】本発明に好適に用いられる磁性酸化物の具
体例は、例えば、マグネトプランバイト型フェライトで
ある。なかでも、Z型(Ba3Me2Fe2441)やY型
(Ba2Me2Fe1222)のフェライトが好適である。
ここで、Meは、Ni、Mg、Co、Mn、および/ま
たはZnの二価の金属イオンである。
【0041】上記のフェライトは、いずれも六方晶の結
晶構造を有し、C軸方向に平行な磁化困難軸とC面に平
行な磁化容易軸を持つ。これらのフェライトの磁気共鳴
周波数は数GHzであり、光の周波数に比べてかなり低
いが、充分に減衰効果を発揮することができる。また、
上記フェライトは、比透磁率および比誘電率がともに1
0程度であるため、光吸収効率も比較的高い。
【0042】上記のマグネトプランバイト型フェライト
は、蒸着時に結晶のC面のエネルギを下げるように成長
する。そのため、C軸が基板主面に対して垂直になるよ
うに堆積できる。
【0043】磁性酸化物層4による光吸収効率を向上さ
せるためには、磁性酸化物層4の厚さtmを磁性酸化物
の格子定数の整数倍になるようにすることが望ましい。
なぜならば、磁性酸化物層の厚さtmが格子定数の整数
倍でなければ、磁化容易軸が格子位置によって変化する
可能性があるためである。
【0044】入射光の波長をλとした場合、磁性酸化物
層4の厚さtmおよび誘電体層3の厚さtdが以下の関係
を満足する場合に優れた偏光特性が得られる。 λ/300<tm<λ/50 λ/25<td<λ/2
【0045】磁性酸化物層4の膜さtmがλ/300以
下になると、磁気異方性エネルギが低下するので、偏光
特性が低下する。また、磁性酸化物層4の膜さtmがλ
/50以上になると、多層構造中に占める光吸収層の体
積比率が大きくなりすぎるため、透過光自体の強度が低
下してしまう。
【0046】一方、誘電体層3の厚さtdがλ/25以
下になると、誘電体層の厚さが薄すぎるために、本来透
過するべき偏光成分を持った電磁波までが吸収されて透
過できなくなる。また、誘電体層3の厚さtdがλ/2
以上になると、誘電体層が厚くなりすぎるため、本来吸
収されるべき偏光成分をもった電磁波までも透過し、偏
光特性が低下してしまう可能性がある。
【0047】上記実施形態では、誘電体層および磁性酸
化物層の2層を交互に積層しているが、本発明はこれに
限定されない。誘電体層と磁性酸化物層との間に、スト
レス緩和のための緩衝層、磁性酸化物の磁気的異方性を
制御するための下地層、および/または、密着性を向上
させるための層などを配置しても良い。
【0048】本発明による積層型偏光子は、表面に酸化
防止のためのコーティング膜を形成する必要は無いが、
素子表面の少なくも一部を保護膜で覆っても良い。
【0049】なお、本発明では複数の磁性酸化物層が光
の磁場成分を減衰させ、それによって偏光を形成する。
本実施形態では、隣接する磁性酸化物層の間に固体材料
から形成された誘電体層を配置しているが、この誘電体
層は、固体である必要はなく、空気、液体、または真空
の層であってもよい。その場合、薄い磁性酸化物層を支
持するために剛性部材を他に設けることになる。
【0050】また、本実施形態では、耐久性に優れた酸
化物磁性層を光吸収層として用いているが、この光吸収
層は、酸化物でなくとも、入射光と磁気的な相互作用を
行い得る磁性材料であれば偏光子を構成することが可能
である。さらに、このような光吸収層として機能する層
は、その層全体が磁性材料のみによって構成されている
必要はなく、誘電体材料と磁性材料とが複合した材料
(コンポジット材料)からなる層であってもよい。
【0051】以下、本発明の第1の実施形態について、
実施例を説明する。
【0052】(実施例1)まず、スパッタリングによっ
て厚さ70nmのSiO2層を石英基板上に堆積する。
堆積は、真空度2.7×10-2Pa、蒸着速度1nm/
secの条件下で行う。その後、真空蒸着法により、厚
さ5.2nmのCo2Z型Ba3Co2Fe2 441(c=
5.23nm)層をSiO2層上に形成する。この堆積
は、真空度2.7×10-2Pa、蒸着速度0.02nm
/secの条件下で行う。Ba3Co2Fe2441の磁性
酸化物層を堆積するとき、真空蒸着用のインゴットとし
て上記酸化物の焼結体を用いることができる。
【0053】上記の堆積工程を繰り返して行うことによ
り、SiO2層とCo2Z型層を交互に積層した多層膜を
形成する。
【0054】本実施例の偏光子によれば、波長λが13
10nmである場合、λ/300〜λ/50に対応する
4.36nm〜26.2nmの範囲内にtmがあり、ま
た、λ/25〜λ/2に対応する52.4nm〜655
nmの範囲内にtdがある。
【0055】このようにして得られた偏光子は35dB
以上の消光比を示し、所定の波長範囲において安定した
偏光特性を発揮する。
【0056】本実施例によれば、光吸収層として機能す
る磁性層が酸化物であるため、酸化による特性劣化の問
題がなく、耐食性および耐久性に優れている。
【0057】(実施例2)まず、実施例1と同様にし
て、スパッタリングによって厚さ100nmのSiO2
層を石英基板上に堆積する。堆積は、真空度2.7×1
-2Pa、蒸着速度1nm/secの条件下で行う。そ
の後、真空蒸着法により、厚さ8.7nmのCo2Y型
のBa2Co2Fe1222(c=4.36nm)層をSi
2層上に形成する。この堆積は、真空度2.7×10
-2PaTorr、蒸着速度0.02nm/secの条件
下で行う。Ba2Co2Fe1222の磁性酸化物層を堆積
するとき、真空蒸着用のインゴットとして上記酸化物の
焼結体を用いることができる。
【0058】上記の堆積工程を繰り返して行うことによ
り、SiO2層とCo2Y型層を交互に積層した多層膜を
形成する。
【0059】本実施例の偏光子によれば、波長λが13
10nmである場合、λ/300〜λ/50の範囲内に
mがあり、λ/25〜λ/2の範囲内にtdがある。
【0060】このようにして得られた偏光子は37dB
以上の消光比を示し、所定の波長範囲において安定した
偏光特性を発揮する。
【0061】本実施例によれば、光吸収層として機能す
る磁性層が酸化物であるため、酸化による特性劣化の問
題がなく、耐食性および耐久性に優れている。
【0062】次に、本発明による積層型偏光子の第2の
実施形態を説明する。
【0063】本実施形態の偏光子5では、図2に示すよ
うに、第1の実施形態における磁性酸化物層4の代わり
に金属酸化物層6を用いている。
【0064】従来の積層形偏光子における光吸収は、前
述したように、薄い金属層または半導体層中の伝導電子
と入射光とが相互作用を行うことにより行われる。これ
に対して、本発明の第2の実施形態では、光の吸収層と
して金属酸化物層6を利用している。金属酸化物は、誘
電体層3として好適に用いられるとSiO2などの誘電
体酸化物との相性が良く、整合性に優れた界面が形成さ
れ、密着性も良い。また、金属層の堆積には、通常、高
真空が必要であるのに対し、酸化物層の堆積にはそれほ
ど高い真空度が求められないため、製造効率が向上す
る。
【0065】金属酸化物層6には、スパッタリングや真
空蒸着などによって堆積した場合、面内方向の電気抵抗
が低いことが求められる。積層構造を構成する各層は非
常に薄く、金属酸化物層6中の電子は主に面内でしか動
けないために、適当な酸化物膜材料を選択すれば、面内
での電気抵抗を充分に低くすることが可能である。金属
酸化物層6に求められる他の条件は、電子のプラズマ振
動数が可能な限り入射光の周波数に近いことである。
【0066】上記要件を満足する金属酸化物として、ル
チル型の結晶構造を持つ一連の酸化物が挙げられる。な
かでも、CrO2は室温で強磁性を示し、電気抵抗の温
度依存性は金属的であるため、本実施形態に用いて良好
な特性を発揮する。また、V、Ru、Os、Nb、S
n、Pb、Fe、Mnなどの酸化物もルチル型構造を示
すため、これら金属の酸化物も好適に用いられ得る。
【0067】酸化物の導電体として、上記の金属酸化物
以外に超伝導薄膜を用いてもよい。例えば、M2CuO4
(Mはアルカリ金属や希土類など)系の高温超伝導体の
薄膜は、CuOのチェーンが面内に垂直となるように形
成され得るために光吸収層として好適である。超伝導体
層を用いると、マイスナー効果によって磁場が超伝導体
中に進入できないため、偏光子としての特性が向上す
る。
【0068】なお、入射光の波長をλ、金属酸化物層6
の厚さをtoとすると、本実施形態でも、金属酸化物層
6の厚さtoおよび誘電体層3の厚さtdが以下の関係を
満足する場合に優れた偏光特性が得られる。 λ/300<to<λ/50 λ/25<td<λ/2
【0069】(実施例3)まず、スパッタリングによっ
て厚さ70nmのSiO2層を石英基板上に堆積する。
堆積は、真空度2.7×10-2Pa、蒸着速度1nm/
secの条件下で行う。その後、真空蒸着法により、厚
さ5.2nmのルチル構造のCrO2(a=0.44n
m、c=0.29nm)層をSiO2層上に形成する。
この堆積は、真空度2.7×10-2Pa、蒸着速度0.
02nm/secの条件下で行う。
【0070】上記の堆積工程を繰り返して行うことによ
り、SiO2層とCrO2層を交互に積層した多層膜を形
成する。CrO2層の面内方向における電気抵抗(室
温)は0.01Ω・cmであった。
【0071】本実施例の偏光子によれば、波長λが13
10nmである場合、λ/300〜λ/50の範囲内に
oがあり、λ/25〜λ/2の範囲内にtdがある。
【0072】このようにして得られた偏光子は35dB
以上の消光比を示し、所定の波長範囲において安定した
偏光特性を発揮する。
【0073】本実施例によれば、光吸収層として機能す
る磁性層が酸化物であるため、酸化による特性劣化の問
題がなく、耐食性および耐久性に優れている。
【0074】(実施例4)まず、分子線エビタキシーに
よって厚さ100nmのSiO2層を石英基板上に堆積
する。堆積は、真空度2.7×10-2Pa、蒸着速度
0.1nm/secの条件下で行う。その後、真空蒸着
法により、厚さ8.7nmのLa2CuO4(a=0.3
8nm、c=1.32nm)層をSiO2層上に形成す
る。この堆積は、真空度2.7×10-2Pa、堆積速度
0.02nm/secの条件下で行う。
【0075】上記の堆積工程を繰り返して行うことによ
り、SiO2層とLa2CuO4層を交互に積層した多層
膜を形成する。多層膜全体を50K以下に冷却したとき
のLa2CuO4層は超伝導状態となる。
【0076】本実施例の偏光子によれば、波長λが13
10nmである場合、λ/300〜λ/50範囲内にt
oがあり、またλ/25〜λ/2の範囲内にtdがある。
【0077】このようにして得られた偏光子は、温度5
0K程度において37dB以上の消光比を示し、所定の
波長範囲において安定した偏光特性を発揮する。
【0078】本実施例によれば、光吸収層として機能す
る磁性層が酸化物であるため、酸化による特性劣化の問
題がなく、耐食性および耐久性に優れている。
【0079】以上、本発明による積層型偏光子を説明し
てきたが、このような積層型偏光子をファラデー回転素
子と組み合わせて用いれば、小型で信頼の高い光アイソ
レータを提供することができる。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、酸化物により光吸収層
を構成しているため、素子表面を耐酸化物層で被覆しな
い状態でも、酸化による劣化が生じにくく、耐久性に優
れた積層型偏光子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による偏光子の第1の実施形態を示す図
である。
【図2】本発明による偏光子の第2の実施形態を示す図
である。
【符号の説明】 1 本発明による偏光子(第1の実施形態) 3 誘電体層 4 酸化物磁性層 5 本発明による偏光子(第2の実施形態) 6 金属酸化物層(酸化物導電体層)

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の層および第2の層を含む積層構造
    を備えた積層型偏光子であって、 前記第1の層は、選択された範囲内の波長を持つ光を実
    質的に透過する誘電体材料から形成されており、 前記第2の層は、酸化物から形成されている積層型偏光
    子。
  2. 【請求項2】 前記第2の層は酸化物磁性材料から形成
    されている請求項1に記載の積層型偏光子。
  3. 【請求項3】 前記酸化物磁性材料の磁化容易軸は前記
    第2の層に平行であり、磁化困難軸は前記第2の層に垂
    直である請求項2に記載の積層型偏光子。
  4. 【請求項4】 前記第2の層は酸化物導電体から形成さ
    れている請求項1に記載の積層型偏光子。
  5. 【請求項5】 前記第2の層に平行な方向における前記
    金属酸化物の電気比抵抗は、所定の温度範囲において
    1.0Ω・cm以下である請求項4に記載の積層型偏光
    子。
  6. 【請求項6】 前記酸化物導電体は超伝導体である請求
    項4に記載の積層型偏光子。
  7. 【請求項7】 前記第2の層は、層厚方向における格子
    定数の整数倍に等しい厚さを有している請求項1から6
    のいずれかに記載の積層型偏光子。
  8. 【請求項8】 前記積層構造を支持する誘電体基板を備
    えている請求項1から7のいずれかに記載の積層型偏光
    子。
  9. 【請求項9】 入射光のうち、伝搬方向に垂直な第1の
    方向に沿って振動する磁場成分を減衰させる複数の層を
    備え、前記第1の方向に偏光した光を透過させる偏光
    子。
  10. 【請求項10】 前記複数の層は、前記光の伝搬方向と
    前記第1の方向の両方に平行である請求項9に記載の偏
    光子。
  11. 【請求項11】 前記複数の層は、磁性材料から形成さ
    れている請求項8または9に記載の偏光子。
  12. 【請求項12】 前記磁性材料は、面内に平行な磁化容
    易軸を有している請求項11に記載の偏光子。
  13. 【請求項13】 前記複数の層の間には、誘電体層が配
    置されている請求項8から12のいずれかに記載の偏光
    子。
  14. 【請求項14】 第1の層および第2の層を含む積層構
    造を備えた積層型偏光子であって、前記第1の層は、選
    択された範囲内の波長を持つ光を実質的に透過する誘電
    体材料から形成されており、 前記第2の層は、磁性材料から形成されている積層型偏
    光子。
  15. 【請求項15】 一対の偏光子と、前記一対の偏光子の
    間に配置されたファラデー回転子とを備えた光アイソレ
    ータであって、 前記一対の偏光子のうち、少なくとも一方は請求項1か
    ら14いずれかに記載の偏光子である、光アイソレー
    タ。
JP2001189682A 2001-06-22 2001-06-22 偏光子 Pending JP2003004945A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001189682A JP2003004945A (ja) 2001-06-22 2001-06-22 偏光子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001189682A JP2003004945A (ja) 2001-06-22 2001-06-22 偏光子

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003004945A true JP2003004945A (ja) 2003-01-08

Family

ID=19028571

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001189682A Pending JP2003004945A (ja) 2001-06-22 2001-06-22 偏光子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003004945A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008203848A (ja) * 2007-02-16 2008-09-04 Samsung Electronics Co Ltd 光学装置及びそれを用いた液晶表示装置

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008203848A (ja) * 2007-02-16 2008-09-04 Samsung Electronics Co Ltd 光学装置及びそれを用いた液晶表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4521609B2 (ja) 磁気光学体及びこの磁気光学体を用いた光アイソレータ
JP3979138B2 (ja) 光アイソレータおよび偏光子
US4525028A (en) Enhanced magnetic mirror
JP2002296554A (ja) ファラデー回転子
KR101014737B1 (ko) 자기 광학 소자
US8254745B2 (en) Optical device, optical integrated device, and method of manufacturing the same
US6590694B2 (en) Faraday rotator
JP2003004945A (ja) 偏光子
TW201140192A (en) Optical device
JPH06324294A (ja) ファラデー回転子および光アイソレータ
JP2002311403A (ja) ファラデー回転子
Vasiliev et al. Effect of oblique light incidence on magnetooptical properties of one-dimensional photonic crystals
JPH06273621A (ja) 偏光子およびその製造方法
JP3245702B2 (ja) 磁気光学多層膜及び磁気光学体
JP5725212B2 (ja) 可変光減衰器
JPS6120926A (ja) 磁気光学素子材料
JP2000019474A (ja) 多層膜ファラデー回転子
JPS63198005A (ja) 導波路型アイソレ−タ
JP4270852B2 (ja) 導波路型偏光素子及びその製造方法
JP2005286490A (ja) 圧電薄膜共振子ならびに該圧電薄膜共振子を用いた圧電フィルタ、デュプレクサ及び通信装置
JPH11133230A (ja) 偏光子及びその製造方法
JPH07294738A (ja) 偏光素子
JP2004302407A (ja) 磁気光学体と光アイソレータ
JP2002174797A (ja) 光デバイスとその光学素子の製造方法
JP2005121715A (ja) 光スイッチ

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20070608