JPH07294738A - 偏光素子 - Google Patents

偏光素子

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JPH07294738A
JPH07294738A JP9097894A JP9097894A JPH07294738A JP H07294738 A JPH07294738 A JP H07294738A JP 9097894 A JP9097894 A JP 9097894A JP 9097894 A JP9097894 A JP 9097894A JP H07294738 A JPH07294738 A JP H07294738A
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thin film
polarizing element
island
layer
film
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JP9097894A
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Masato Shintani
真人 新谷
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】本発明は、誘電体薄膜と複素誘電体薄膜を交互
に積層化して構成した偏光素子の薄膜剥離の問題点を解
決し、安価でかつ耐久性に優れた高性能な偏光素子を提
供する。 【構成】本発明は、誘電体基板上に、島状金属薄膜を成
膜し、その上にSi薄膜を蒸着し、さらにその上にSi
2 薄膜を蒸着する工程を繰り返して、島状金属薄膜と
Si薄膜とSiO2 薄膜を交互に積層した密着度の高い
多層膜を形成し、かつ誘電体基板の軟化点温度近傍の温
度で加熱しながら機械的に延伸して島状金属粒子を配向
させ、さらに還元処理することによって偏光特性を持た
せた偏光素子である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、誘電体基板上に島状金
属薄膜とSi薄膜とSiO2 薄膜を交互に積層した偏光
素子の製法ならびに応用素子に関する。さらに本発明
は、光ファイバ通信用あるいは光ファイバセンサ用部品
等として使用される偏光素子に関する。
【0002】
【従来技術】従来の偏光素子としては、複屈折性の大き
な結晶で構成されたグラントムソンプリズムに代表され
る偏光プリズムや、ブリュースター条件を利用して偏光
成分を分離するPBS(偏光ビームスプリッタ)や、高
分子を一方向に配向させ一方向の偏光成分を吸収する偏
光フィルムが主流を占めていた。また誘電体薄膜と複素
誘電体薄膜を交互に積層化したものや光学的に透明な媒
質に金属粒子を分散させ、所定の温度および所定の圧力
で押し出し、金属粒子を伸長させて偏光特性を持たせた
ものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の偏光プリズムに
おいては、ルチルや方解石などのように天然に存在する
結晶を利用しているが結晶の加工が難しく、使用上の制
限が多い上、その大きさに限りがあり大型のものが得難
く偏光素子の大面積化が困難である上に大変高価であっ
た。またPBSにおいては、誘電体膜の積層数に制限が
あるため高性能のものを得るのが難しく、偏光板は有機
物質を延伸して作製しているため、強い光に対して光吸
収に伴う発熱作用で破壊が生じる場合があり信頼性に欠
け、安価であるが消光比が低く耐久性に問題があった。
誘電体薄膜と複素誘電体薄膜を交互に積層化したものは
大面積化が難しいことや薄膜の剥離など耐久性の点が問
題となっている。光学的に透明な媒質に金属粒子を分散
させ、所定の温度および所定の圧力で押し出し、金属粒
子を伸長させて偏光特性を持たせたものは、金属粒子の
形状制御を行うために製造温度の管理がたいへん厳しく
特性の安定性が低いとの問題があった。
【0004】本発明は、上記課題のなかのひとつである
誘電体薄膜と複素誘電体薄膜を交互に積層化したものの
問題点を解決し、安価でかつ耐久性に優れた高性能な偏
光素子を提供し、かつその一応用製品を提案する。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、誘電体基板上
に、島状金属薄膜を成膜し、その上にSi薄膜を蒸着
し、さらにその上にSiO2 薄膜を蒸着する工程を繰り
返して、島状金属薄膜とSi薄膜とSiO2 薄膜を交互
に積層した密着度の高い多層膜を形成し、かつ誘電体基
板の軟化点温度近傍の温度で加熱しながら機械的に延伸
して島状金属粒子を配向させ、さらに還元処理すること
によって偏光特性を持たせた偏光素子である。
【0006】さらに本発明は、誘電体層と磁性体層を順
次積層して構成した交互積層構造の偏光素子であって、
交互積層体をキュリー温度以上に加熱して消磁した後
に、交互積層体に磁界を印加して磁性体層に分散した磁
性体を配向させた偏光素子である。
【0007】さらに本発明は、誘電体層と磁性体層を順
次積層して構成された交互積層構造の偏光素子であっ
て、磁性体層に分散した磁性体の長軸半径RLと短軸半
径RSが偏光した光の波長λに対して、(1/10)λ
<RL<(1/5)λ、(1/50)λ<RS<(1/
40)λの条件を満たす形状をなし、かつ各積層製造工
程で磁性体を磁界印加により配向させた偏光素子であ
る。
【0008】さらに本発明は、島状化した不連続な金属
薄膜と誘電体薄膜とを交互積層した多層膜により構成さ
れ、この多層膜に斜め入射する無偏光な光を特定の偏光
面を有する光として透過させる偏光素子である。
【0009】
【作用】薄膜の剥離は薄膜間の密着度が弱いためにおこ
る。一般的に誘電体薄膜と金属薄膜は密着性が乏しく、
高反射率のミラーを作製する場合には密着度を向上させ
るため誘電体薄膜と金属薄膜の間にその誘電体薄膜と密
着性の良い別種の金属薄膜を設けることで改善を図って
いた。そこでこの方法を誘電体薄膜と複素誘電体薄膜を
交互に積層化した偏光素子の製造に応用する。
【0010】そのとき間に介する薄膜は金属薄膜ではな
く誘電体薄膜とする。これは光学特性の劣化を極力避け
るためである。この付加された誘電体薄膜は化学的に誘
電体薄膜と金属薄膜のどちらにも結合しやすい性質をも
つことが特徴である。これにより密着性が大きく改善さ
れ、同時に島状金属粒子の形状も制御し易くなる。その
島状金属粒子が光を吸収するのは島状金属粒子中の自由
電子のためである。
【0011】島状金属粒子中には、自由電子があり、こ
の自由電子が多数の正イオンを互いに結び付ける役割を
する。一つの自由電子を、隣り合う二個の正イオンがひ
っぱって離さなければ間接的に二個の正イオンが結合し
たことになる。この電子は島状金属粒子中を動きまわっ
ているが、移動した自由電子の位置には別の自由電子が
位置するので外から見れば静止状態である。電場が作用
していないときの島状金属粒子は、静止したイオンの球
と静止した自由電子の球が重なっていて電気的に中性な
混合物である。
【0012】このような島状金属粒子に、どこでも同じ
大きさと向きをもつ一様な電場が加わると、これら静止
していた自由電子は電場から力を受けて、電場の向きと
は反対向きに動き出す。イオンの方は静止したままと考
える。一様な電場のもとでは、島状金属粒子中どこにい
る電子も同じだけ移動するから、電子は球の形を保った
まま、電場と反対向きに移動する。その結果、イオンの
作っている球と自由電子の作っている球とは中心がず
れ、自由電子のみ存在する部分と、取り残されたイオン
のみ存在する部分ができる。そうして、球の表面には、
負に帯電した部分と正に帯電した部分が生じ、誘導電荷
が発生する。
【0013】ここで今の場合電場は毎秒光の振動数に対
応して1015回も向きを変えるから、この電子の球も上
へ動いたり下へ動いたり、1015回も上下動する。この
ようして、入射光が島状金属粒子のところを通過すると
その振動電場によって自由電子が揺さぶられる。入射光
が島状金属粒子に当たり続けているとき、自由電子は一
方で振動電場によって揺さぶられ、他方では電気抵抗に
よって止められようとして、最終的に平衡の成り立つ振
幅で振動を続ける。
【0014】このとき、電気抵抗を受けながら振動する
電子は、ジュール損失によって熱を放出している。その
ままでは振動のエネルギーは熱に変わり振動が衰えてい
くが、入射光の方から絶えず振動のエネルギーが供給さ
れているため振動は続く。入射光のエネルギーは一部が
自由電子の振動エネルギーに変わり、それは次にジュー
ル熱として放出される。入射光のエネルギーが自由電子
に伝えられる結果、島状金属粒子を通過した後の入射光
のエネルギーは、島状金属粒子に当たる前と比べて減少
している。島状金属粒子のところを通過することにより
入射光は弱くなる。しかし、全ての波長の入射光が同じ
割合で弱まるわけではないので全ての波長で同じ強さを
もつ入射光が島状金属粒子に当たった場合、自由電子の
振幅を大きくする波長の入射光ほど多く吸収されてエネ
ルギーを失う。つまり、自由電子のプラズマ振動と共振
を起こす波長をもつ入射光が最も多く吸収されてエネル
ギーを失う。
【0015】いろいろな波長の入射光、言い換えると種
々の振動数の入射光が島状金属粒子に当たったとき、プ
ラズマ振動数と等しい振動数の入射光が最も多く吸収さ
れてエネルギーを失い、減衰が激しくなる。また、プラ
ズマ振動数に厳密に等しくなくとも、振動数がそれに近
いときは、大きなエネルギーの減少が起こる。これら一
連の現象により、偏光特性が生じる。
【0016】このことは、磁性体中においても同様であ
り、自由電子が多数の正イオンを互いに結び付ける役割
をする。一つの自由電子を、隣り合う二個の正イオンが
ひっぱって離さなければ、間接的に二個の正イオンが結
合したことになる。この電子は磁性体中を動きまわって
いる。電場が作用していないときの磁性体球は、静止し
たイオンの球と静止した自由電子の球が重なっていて電
気的に中性な混合物である。このような磁性体金属球
に、どこでも同じ大きさと向きをもつ一様な電場が加わ
ると、これら静止していた自由電子は電場から力を受け
て、電場の向きとは反対向きに動き出す。イオンの方は
静止したままと考える。一様な電場のもとでは、磁性体
球中どこにいる電子も同じだけ移動するから、電子は球
の形を保ったまま、電場と反対向きに移動する。
【0017】その結果、イオンの作っている球と自由電
子の作っている球とは中心がずれ、自由電子のみ存在す
る部分と、取り残されたイオンのみ存在する部分ができ
る。そうして、球の表面には、負に帯電した部分と正に
帯電した部分が生じ、誘導電荷ができる。
【0018】ここで今の場合電場は毎秒1015回も向き
を変えるから、この電子の球も上へ動いたり下へ動いた
り、1015回も上下する。このようして、入射光が磁性
体球のところを通過するとその振動電場によって自由電
子が揺さぶられる。入射光が磁性体球に当たり続けてい
るとき、自由電子は一方で振動電場によって揺さぶら
れ、他方では電気抵抗によって止められようとして、最
終的に平衡の成り立つ振幅で振動し続ける。このとき、
電気抵抗を受けながら振動する電子は、ジュール損失に
よって熱を放出している。そのままでは振動のエネルギ
ーは熱に変わり振動が衰えていくが、入射光の方から絶
えず振動のエネルギーが供給されているため振動は続
く。入射光のエネルギーは一部が伝導電子の振動エネル
ギーに変わり、それは次にジュール熱として放出され
る。入射光のエネルギーが自由電子に伝えられる結果、
磁性体球を通過した後の入射光のエネルギーは、磁性体
球に当たる前と比べて減少している。磁性体球のところ
を通過することにより入射光は弱くなる。
【0019】しかし、全ての波長の入射光が同じ割合で
弱まるわけではないため全ての波長で同じ強さをもつ入
射光が磁性体球に当たった場合、自由電子の振幅を大き
くする波長の入射光ほど多くのエネルギーを失う。つま
り、自由電子のフ゜ラス゛マ振動と共振を起こす波長をもつ入
射光がいちばんエネルギーを失う。いろいろな波長の入
射光、言い換えるといろいろな振動数の入射光が磁性体
球に当たったとき、プラズマ振動数と等しい振動数の入
射光がいちばんエネルギーを失い、減衰が激しくなる。
また、プラズマ振動数に厳密に等しくなくとも、振動数
がそれに近いときは、大きなエネルギーの減少が起こ
る。
【0020】上述の磁性体球に生じる現象は磁性体が特
有の形状(例えば、楕円体形、円柱体形)を持つ場合で
も同様に起こる。そのとき磁性体の形状により独特の分
極が生じるため、たとえば長軸半径RLと短軸半径RS
を有する磁性体では長軸方向と短軸方向(誘電体膜積層
体のY軸方向とX軸方向にそれぞれ対応している)でそ
れぞれ異なる特定の波長を持つ入射光に対して共鳴振動
を起こし各方向で光の共鳴吸収が生じる。このとき長軸
半径RLと短軸半径RSを有する磁性体に対し入射する
入射光の長軸方向の偏光成分と短軸方向の偏光成分の吸
収量が異なることに起因して偏光素子としての機能を有
することができる。
【0021】
【実施例】以下図1ないし図3を参照しながら本発明の
第一の実施例について詳細に説明する。図1は本発明に
よる偏光素子の構造を示す略図、図2は本発明による偏
光素子の一製法を示す略図、図3は従来の偏光素子の構
成を示す略図である。
【0022】本発明は、支持体であるプレート型の誘電
体基板上に誘電率ε1 の島状化した金属薄膜1、誘電率
ε2 の誘電体薄膜2とさらに誘電率ε3 の誘電体薄膜3
をそれぞれ順次交互に積層した多層体で構成される。金
属薄膜1を非常に薄く蒸着すると初期段階では膜が不連
続である。この時の金属の性質は通常のバルクの時と異
なり、特定波長の光に対して光吸収が生じる。さらに、
吸収される光の波長は島状化した金属粒子の形状により
変化する。金属粒子を積層方向に対して垂直な方向に延
伸し配向させると、金属粒子の延伸配向方向と同一方向
の偏光成分の吸収が大きくなるため、透過した光は特定
の偏光成分を持つことになる。このようにして偏光素子
として機能する。上述した誘電体薄膜2を設けることに
より、金属薄膜1と誘電体薄膜3との間で生じていた薄
膜の剥離を防ぐことができ、かつ安定して加熱延伸が行
えるようになるため偏光素子が作製できる。
【0023】つぎに具体的な製法について詳細に説明す
る。支持体としてガラス基板(屈折率1.47)を用
い、基板上にAg層(屈折率0.392−j8.06)
とSi層(屈折率3.50)とSiO2 層(屈折率1.
47)を交互に積層してAg−Si−SiO2 積層体を
構成する。まず、ガラス基板上にに真空度1.0×10
-3Torr、蒸着速度0.02nm/secで真空蒸着
により膜厚5nmのAg層を形成し、蒸着後の膜を輻射
熱加熱法により膜を400℃前後に加熱し島状のAg粒
子の形状を球状に整える。そのAg層の上部に真空度
1.0×10-3Torr、蒸着速度0.2nm/sec
で膜厚20nmのSi層をスパッタ蒸着を行って形成す
る。さらに、真空度1.0×10-3Torr、蒸着速度
0.2nm/secで膜厚100nmのSiO2 層をス
パッタ蒸着を行って成膜する。SiとSiO2 は膜の加
熱を行わない。この工程を数回繰り返して、Ag層とS
i層とSiO2 層との交互層からなる積層体を作製す
る。これをガラス基板の軟化点近傍の温度約600℃で
加熱し、延伸を行い、島状金属粒子の形状に異方性を持
たせ、同時に粒子の配向化も行わせる。この結果、薄膜
の密着性が向上しているため粒子の形状がきわめて良く
揃い、偏光特性が所望の波長において安定して得られ
る。さらに薄膜の剥離もなくなるため耐久性も向上す
る。
【0024】また別の組み合わせとして、真空度1.0
×10-3Torr、蒸着速度0.015nm/secで
真空蒸着により、膜厚5nmのAu層を成膜する。さら
に、Ag膜と同様に蒸着後の膜を輻射熱加熱法により膜
を300℃前後に加熱し島状のAu粒子の形状を球状に
整える。この工程を数回繰り返し、Au層とSi層とS
iO2 層の交互層からなる積層体を加熱延伸して偏光素
子を作製することも可能である。なお、これらに用いら
れている材質は全て安価で耐久性の高いものにより構成
されいる。
【0025】つぎに、図4ないし図7を参照しながら本
発明の第二の実施例について詳細に説明する。支持体と
してガラス基板を用い、基板上にSiO2 層とFe層を
交互に積層することでSiO2 −Fe積層体を構成す
る。まず、ガラス基板上に真空蒸着によりFe層を形成
し、そのFe層の上部にSiO2 層をスパッタ蒸着を行
って形成する。この工程を数回繰り返し、Fe層とSi
2 層の交互層およびガラス基板からなる積層体を製作
する。この作製工程において各Fe層の製作時にXY面
に対し平行なY軸方向の磁界を印加してY軸方向にFe
粒子を配向させることで積層方向と垂直な面XY面から
誘電体積層体内に偏光方向がX軸方向である偏光成分と
Y軸方向である偏光成分とを含む光を入射光として入射
させた場合、Fe層でY軸方向の偏光成分が効率よく吸
収されるようにFe粒子の配向方向を一方向に形成す
る。
【0026】その結果、Fe粒子の長軸半径RL(Y軸
方向の寸法)を200nmと短軸半径RS (X軸方向の
寸法)を25nmとすると、波長1.31μmの入射光
に対して長軸方向の偏光成分の吸収量が短軸方向の偏光
成分の吸収量より大きくなるので、高性能を有する偏光
素子として機能させることができる。
【0027】また誘電体媒質として石英ガラスを用い、
SiO2 内にγ−Fe2O3を分散することでも分散媒
質を構成することができる。まずγ−Fe2O3粒子
を、溶融したSiO2 内に混合し、磁場を印加しつつ冷
却工程を行う。この時、長軸方向に磁場を印加すること
で多数の粒子を一方向に配向させ、誘電体媒質内に偏光
方向が長軸方向である偏光成分と短軸方向である偏光成
分とを含む光を入射光として入射させた場合、γ−Fe
2O3粒子に長軸方向の偏光成分が効率よく吸収される
ように形成する。その後、水素雰囲気中で還元し針状金
属を形成する。その結果γ−Fe2O3粒子の長軸半径
RL(Y軸方向の寸法)を数100nmと短軸半径RS
(X軸方向の寸法)を数10nmで、波長1.31μm
の入射光に対して長軸方向の偏光成分の吸収量が短軸方
向の偏光成分の吸収量より大きくなるので、高性能な偏
光素子として機能させることができる。
【0028】つぎに、図8ないし図10を参照しながら
本発明の第三の実施例について詳細に説明する。図8は
従来の偏光素子の構造を示す略図、図9は本発明の偏光
素子の原理構成を示す略図、図10は本発明による偏光
素子の積層部の拡大略図である。
【0029】本発明は、支持体であるプリズム型もしく
はプレート型の誘電体基板上に誘電率ε1 の誘電体薄膜
1と誘電率ε2 の島状化した金属薄膜2を交互に積層し
た多層体で構成される。金属薄膜2を非常に薄く蒸着す
ると初期段階では膜が不連続である。この時の金属の性
質は通常のバルクの時と異なり、特定波長の光に対して
光吸収が生じる。さらに、吸収される光の波長は島状化
した膜と入射光とのなす角度により変化する。積層方向
に対して角度θで斜め入射する光のうち、入射面を基準
としたときP偏光にあたる光の成分の吸収がS偏光にあ
たる光の成分の吸収より大きくなるため、透過した光は
S偏光となる。このようにして偏光素子として機能す
る。
【0030】上述の島状金属粒子に生じる現象は、島状
粒子を有する不連続な金属薄膜全体に対しても同様に起
こる。その場合、入射光のP偏光成分の吸収量とS偏光
成分の吸収量は、つぎの二つの式、
【0031】
【数1】
【0032】の関係と入射光と膜とのなす角度によりそ
れぞれ求められる。これらのことから偏光素子として機
能をする。
【0033】支持体として、ガラスのプリズム(屈折率
1.47)を用いプリズム上にSiO2 層(屈折率1.
47)とAg層(屈折率0.065−j4.0)とAu
層(屈折率0.15−j3.2)を交互に積層すること
でSiO2 −Ag−Au積層体を構成する。
【0034】まずプリズム上に真空度1.0×10-3
orr、蒸着速度0.2Å/secで真空蒸着により膜
厚50ÅのAg層を形成し、蒸着後の膜を輻射熱加熱法
により膜を200℃前後に加熱し島状のAg粒子の形状
を球状に整える。そのAg層の上部に真空度1.0×1
-3Torr、蒸着速度2.0Å/secで膜厚100
0ÅのSiO2 層をスパッタ蒸着を行って形成する。こ
の時は膜の加熱は行わない。
【0035】さらに真空度1.0×10-3Torr、蒸
着速度0.15Å/secで真空蒸着により、そのSi
2 層の上部に膜厚50ÅのAu層を成膜する。さらに
Ag膜と同様にし、蒸着後の膜を輻射熱加熱法により膜
を300℃前後に加熱し島状のAu粒子の形状を球状に
整える。この工程を数回繰り返し、Ag層とSiO2
とAu層の交互層からなる積層体をガラスプリズムで挟
み込んだ素子を製作する。このとき、ガラスプリズムの
角度により積層体への光の入射角度が調整できる。また
ガラスプリズムの角度を26度とすることにより、波長
0.6μmの入射光に対してP偏光成分の吸収量がS偏
光成分の吸収量より大きくなるので、消光比25dB以
上の性能を有する偏光素子として機能させることができ
る。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、薄膜の密着性を改善し
たことにより、従来と異なり誘電体薄膜と複素誘電体薄
膜を交互に積層化した場合に生じる薄膜の剥離を防ぐこ
とができ、かつ加熱延伸による金属粒子の形状制御が精
度良く行えるため、薄膜積層型偏光素子を安価でかつ耐
久性に優れた高性能な偏光素子として提供できる。
【0037】さらに本発明によれば、比較的容易な作製
法を用いて偏光素子の大面積化が図れ、また使用する誘
電体および磁性体の種類や誘電体積層体の屈折率の制御
等により様々な特性のものを設計することができる。そ
の結果、安価でかつ耐久性に優れた高性能な偏光素子を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
図1ないし図3は本発明の第一の実施例に関し、
【図1】本発明による偏光素子の構造を示す略図、
【図2】本発明による偏光素子の一製法を示す略図、
【図3】従来の偏光素子の構造を示す略図。図4ないし
図7は本発明の第二の実施例に関し、
【図4】本発明による偏光素子の基本構成を示す略図、
【図5】本発明による偏光素子の動作原理を示す略図、
【図6】本発明による偏光素子の製作工程の実施例(断
面方向)を示す図、
【図7】本発明による偏光素子の製作工程の実施例(上
面方向)を示す図。図8ないし図10は本発明の第三の
実施例に関し、
【図8】従来の偏光素子の原理構成図を示す図、
【図9】本発明による偏光素子の構造を示す図、
【図10】本発明による偏光素子の積層部の拡大図。
【符号の説明】
1 誘電体薄膜層 2 Si薄膜層 3 島状金属薄膜層 4 球形金属粒子 5 Si薄膜層 6 針状金属粒子 11 誘電体層 12 磁性体層 13 入射光 14 所望の形状の磁性体 15 出射光 16 石英基板 17 Fe粒子 18 SiO2 層

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】誘電体基板上に、島状金属薄膜を成膜し、
    その上にSi薄膜を蒸着し、さらにその上にSiO2
    膜を蒸着する工程を繰り返して、島状金属薄膜とSi薄
    膜とSiO2 薄膜を交互に積層した密着度の高い多層膜
    を形成し、かつ誘電体基板の軟化点温度近傍の温度で加
    熱しながら機械的に延伸して島状金属粒子を配向させ、
    さらに還元処理することによって偏光特性を持たせたこ
    とを特徴とする偏光素子。
  2. 【請求項2】誘電体層と磁性体層を順次積層して構成し
    た交互積層構造の偏光素子において、交互積層体をキュ
    リー温度以上に加熱して消磁した後に、交互積層体に磁
    界を印加して磁性体層に分散した磁性体を配向させたこ
    とを特徴とする偏光素子。
  3. 【請求項3】誘電体層と磁性体層を順次積層して構成さ
    れた交互積層構造の偏光素子において、磁性体層に分散
    した磁性体の長軸半径RLと短軸半径RSが偏光した光
    の波長λに対して、(1/10)λ<RL<(1/5)
    λ、(1/50)λ<RS<(1/40)λの条件を満
    たす形状をなし、かつ各積層製造工程で磁性体を磁界印
    加により配向させたことを特徴とする偏光素子。
  4. 【請求項4】島状化した不連続な金属薄膜と誘電体薄膜
    とを交互積層した多層膜により構成され、この多層膜に
    斜め入射する無偏光な光を特定の偏光面を有する光とし
    て透過させることを特徴とする偏光素子。
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