JP2003003027A - ポリプロピレン系複合樹脂組成物 - Google Patents

ポリプロピレン系複合樹脂組成物

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JP2003003027A
JP2003003027A JP2001185132A JP2001185132A JP2003003027A JP 2003003027 A JP2003003027 A JP 2003003027A JP 2001185132 A JP2001185132 A JP 2001185132A JP 2001185132 A JP2001185132 A JP 2001185132A JP 2003003027 A JP2003003027 A JP 2003003027A
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polypropylene
carboxylic acid
acid group
resin composition
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JP2001185132A
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English (en)
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Haruhito Sato
治仁 佐藤
Takeshi Iwasaki
猛 岩崎
Harumi Nakajima
晴美 中島
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Idemitsu Petrochemical Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Petrochemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高温における剛性の低下が起こらず、且
つ耐熱性があるポリプロピレン系複合樹脂組成物を提供
すること。 【解決手段】 末端カルボン酸基で修飾された立体規則
性ポリプロピレン、層状化合物、及び場合によりポリプ
ロピレン系重合体からなるポリプロピレン系複合樹脂組
成物である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、末端カルボン酸基
で修飾された立体規則性ポリプロピレンと、層状化合物
とからなるポリプロピレン系複合樹脂組成物に関するも
のである。又、本発明は、末端カルボン酸基で修飾され
た立体規則性ポリプロピレン、層状化合物及びポリプロ
ピレン系重合体とからなるポリプロピレン系複合樹脂組
成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】オレフィン系樹脂に層状化合物を配合し
て機械的性質を改良する技術は知られている。例えば、
特開平10−182892号公報には、有機化層状化合
物と特定量の水素結合性官能基を含有するポリオレフィ
ン系オリゴマー、及びポリオレフィン樹脂を溶融混練し
てなる粘土複合材料が開示されている。ポリオレフィン
系オリゴマーを修飾する好ましい官能基として、特に無
水マレイン酸基が挙げられ、種々の実施例が開示されて
いる。しかし、無水マレイン酸変性ポリプロピレンと有
機化層状化合物を配合したポリプロピレン系複合樹脂
は、常温では高剛性を示すが、高温領域(例えば、14
0℃程度)では剛性が著しく低下する。このため、耐熱
性を必要とする用途への適用性は十分とはいえない。
又、変性するポリオレフィン系オリゴマーの立体規則性
についての記載は何らない。国際公開番号WO00/6
1676号公報には、ポリオレフィン系樹脂の機械的強
度、熱的特性及びガスバリヤ性改良を目的とした、化学
修飾したポリオレフィン系樹脂と有機化層状化合物を含
むポリオレフィン系樹脂複合材料が開示されている。化
学修飾したポリオレフィン系樹脂は、過酸化物を用いて
ポリオレフィン系樹脂に反応性官能基を導入して製造さ
れている。官能基を導入する目的で、ポリオレフィン樹
脂と不飽和基含有化合物を過酸化物の存在下、溶融混練
すると、ポリオレフィン樹脂(特に、ポリプロピレン)
の分子量が低下し、従って、樹脂複合材料の機械物性も
低下する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記事情に
鑑みなされたもので、末端カルボン酸基で修飾された立
体規則性ポリプロピレン及び層状化合物とからなるポリ
プロピレン系複合樹脂組成物を提供することを目的とす
るものである。又、本発明は、末端カルボン酸基で修飾
された立体規則性ポリプロピレン、層状化合物及びポリ
プロピレン系重合体からなるポリプロピレン系複合樹脂
組成物を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、高立体規則性
で高分子量、かつ特定のカルボン酸基含有量の末端カル
ボン酸基修飾ポリプロピレンを使用すると、層状化合物
を有機化処理しなくても、ポリプロピレン系複合樹脂組
成物が高温度領域において高剛性で、且つ耐熱性がある
ことを見出し、本発明を完成させたものである。即ち、
本発明は、末端カルボン酸基で修飾された立体規則性ポ
リプロピレン及び層状化合物とからなるポリプロピレン
系複合樹脂組成物に関するものである。又、本発明は、
末端カルボン酸基で修飾された立体規則性ポリプロピレ
ン、層状化合物及びポリプロピレン系重合体とからなる
ポリプロピレン系複合樹脂組成物に関するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の末端カルボン酸基で修飾
された立体規則性ポリプロピレン(以下、末端カルボン
酸基修飾ポリプロピレンと略記する。)において、ポリ
プロピレン部位の立体規則性[mmmm]は70%以
上、好ましくは90%以上、特に好ましくは95%以上
がよい 又、末端カルボン酸基修飾ポリプロピレンの分子量は、
数平均分子量として1万〜50万、好ましくは1万〜1
0万がよい。末端カルボン酸基の量としては、ポリプロ
ピレンに対し、0.01〜1重量%、好ましくは0.0
6〜0.6重量%がよい。本発明の末端カルボン酸基修
飾ポリプロピレンは、固体状チタン触媒成分を用いて製
造した立体規則性ポリプロピレンを変性して製造するこ
とができる。即ち、チタン、ハロゲン及びマグネシウム
を必須とし、カルボン酸エステル等の電子供与体を任意
成分とする固体状チタン触媒成分及び有機亜鉛化合物を
必須とする触媒を用いて、プロピレンの重合を行い、ア
イソタクチックポリプロピレンのポリマー鎖末端(P
―)にアルキル亜鉛基を導入する(P―ZnR)。重合
反応の後、脱圧し、カルボン酸基導入剤[炭酸ガス又は
ハロ炭酸アルキルエステル(X−COOR)]を系内に
送入し、ポリプロピレン末端をカルボン酸基に変換す
る。カルボン酸エステルとしては、ジエチルフタレー
ト、ジブチルフタレート、トルイル酸メチル、安息香酸
メチル、ナフタレンジカルボン酸ブチル等が挙げられ
る。ポリプロピレンの立体規則性の向上には、重合時に
任意成分として添加される電子供与性化合物の選択が重
要であり、特に、アルキルアルコキシシランが好まし
く、ジアルキルジアルコキシシランが特に好ましい。ジ
アルキルジアルコキシシランの具体例としては、シクロ
ヘキシルメチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジ
メトキシシラン、1,1−ジエトキシ−シラシクロペン
タ−3−エンジイソプロピルジメトキシシラン等が挙げ
られる。固体状チタン触媒成分の製造時に使用する電子
供与体の種類や添加量、重合時に使用する電子供与性化
合物の種類や添加量を選択することにより、アイソタク
チックポリプロピレンの立体規則性を変化させることが
できる。立体規則性[mmmm]を70%以上に向上さ
せるには、電子供与体や電子供与性化合物として、カル
ボン酸エステルやアルキルアルコキシシランを用いるの
が好ましい。アルキルアルコキシシランの使用量として
は、下記の有機アルミニウム化合物1モルに対し0.0
1〜2.0モル、好ましくは0.05〜1.0モルがよ
い。有機亜鉛化合物としては、ジメチル亜鉛、ジエチル
亜鉛、エチルブチル亜鉛及びジブチル亜鉛等が挙げられ
る。固体状チタン触媒成分の活性化剤としての有機アル
ミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、ト
リエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、ト
リイソブチルアルミニウム及びジエチルアルミニウムク
ロリド等が挙げられる。末端カルボン酸基修飾ポリプロ
ピレンの分子量の調節法としては、連鎖移動剤である水
素及び有機亜鉛化合物の種類や量、有機アルミニウム化
合物の種類や量、更に重合温度、重合圧力を調節するこ
とにより、ポリマー鎖長(末端カルボン酸基修飾ポリプ
ロピレンの分子量)を制御することができる。ハロ炭酸
アルキルエステル(X−COOR)において、Xのハロ
ゲン原子としては、弗素、塩素、臭素が挙げられ、好ま
しくは塩素がよい。Rのアルキル基としては、炭素数1
〜20が挙げられ、好ましくは1〜4がよい。カルボン
酸基の導入条件としては、炭酸ガスを使用する場合は、
窒素雰囲気下で、触媒としては、N−メチルイミダゾー
ル、N−メチルピラゾール、ピリジン及びN,N'−ジ
メチルアニリン等が用いられる。圧力としては、0.1
〜50MPa、好ましくは1〜5MPaがよい。反応温
度としては、常温〜100℃、好ましくは50〜80℃
がよい。ハロ炭酸アルキルエステルを使用する場合は、
有機亜鉛共存下でプロピレンの重合を行い、アイソタク
チックポリプロピレンのポリマー鎖末端(P―)にアル
キル亜鉛基を導入する(P―ZnR)した後、in s
ituで所定量のハロ炭酸アルキルエステルを添加すれ
ばよい。尚、末端カルボン酸基の導入方法としては、特
開平は2―218705号公報、特開平8―10921
8号公報、Makromol.Chem.193,27
51〜2761(1992)及びPoIymer Jo
urnaI.Vo1.31,No.4,332―335
(1999)等が知られている。プロピレンの重合条件
としては、通常、常圧〜10MPa(ゲージ圧)、好ま
しくは0.1〜6MPa(ゲージ圧)がよい。重合温度
は−80〜180℃、好ましくは20〜150℃がよ
い。重合方法、触媒調整方法及び触媒成分の配合比等は
特に制限はない。本発明のポリプロピレン系複合樹脂組
成物において、末端カルボン酸基修飾ポリプロピレンと
層状化合物の質量比は、100:1〜1:10、好まし
くは100:1〜10:1がよい。
【0006】本発明において、層状化合物としては、
1:1型層状層状化合物のカオリナイト、ハロイサイ
ト、2:1型層状層状化合物のタルク、パイロフィライ
ト、モンモリロナイト、サボナイト、ヘクトライト、バ
ーミキュライト及び雲母が挙げられる。合成物として
は、弗素四珪素雲母及び合成ヘクトライトが挙げられ
る。層状化合物は、特に有機化処理を施す必要がない
が、処理を施しても、剛性発現の見地からはなんら支障
はない。有機化処理を施すことができる粘土類として
は、スメクタイトと呼ばれる粘土鉱物群(含、モンモリ
ロナイト)と水膨閏性を示す弗素四珪素雲母が挙げられ
る。有機化処理剤としては、第四級アルキルアンモニウ
ムが使用されることが多い。具体的には、ドデシルトリ
メチルアンモニウムクロリド、ドデシルジメチルアンモ
ニウムクロリド、ステアリルトリメチルアンモニウムク
ロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロリド、
ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリド及び
パルミチルベンジルジメチルアンモニウムクロリド等が
挙げられる。
【0007】本発明のポリプロピレン系複合樹脂組成物
は、末端カルボン酸基修飾ポリプロピレン及び層状化合
物とから調製しても、高剛性の組成物が得られるが、耐
衝撃性、成形性等の物性のバランスを確保する必要があ
る場合には、ポリプロピレン系重合体を添加することが
できる。本発明において、ポリプロピレン系重合体とし
ては、プロピレン単独重合体及び/又はプロピレン−α
−オレフィンブロック共重合体が挙げられる。α−オレ
フィンとしては、炭素数2及び4〜20のものが好まし
く、特に2及び4〜10のものが好ましい。α−オレフ
ィンの具体例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペ
ンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1
−オクテン、1−デセン等を挙げることができ、より好
ましくはエチレンを挙げることができる。ポリプロピレ
ン系重合体の分子量としては、1万〜50万、好ましく
は1万〜10万がよい。ポリプロピレン系重合体として
は、メルトフローレートが、0.01〜1000g/1
0分、好ましくは0.1〜100g/10分のものがよ
い。プロピレン単独重合体の立体規則性[mmmm]
は、80%以上、好ましくは95%以上がよい。プロピ
レン−α−オレフィンブロック共重合体としては、プロ
ピレン含有量が70〜90%以上がよい。プロピレン−
α−オレフィンブロック共重合体の場合、ポリプロピレ
ン部位の立体規則性[mmmm]は、95%以上、好ま
しく97%以上がよい。ポリプロピレン系複合樹脂組成
物に対するポリプロピレン系重合体の含有量としては0
〜70質量%がよい。尚、プロピレン単独重合体は、特
開平11−269218号公報等によって製造すること
ができる。又、プロピレン−α−オレフィン共重合体
は、特開平11−130809号公報等によって製造す
ることができる。
【0008】末端カルボン酸基修飾ポリプロピレン、層
状化合物及び場合によりポリプロピレン系重合体からな
るポリプロピレン系複合樹脂組成物の製造法について以
下に述べる。末端カルボン酸基修飾ポリプロピレン、層
状化合物、及び場合によりポリプロピレン系重合体を熱
時混練し製造することができる。又、末端カルボン酸基
修飾ポリプロピレンと層状化合物を混合後、予め熱時混
練し、更にポリプロピレン系重合体と混練し、製造する
こともできる。混練とは、せん断力を作用させる操作を
言う。その操作には、ヘンシェルミキサー、単軸又は多
軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロール、
プラストミル等を使用することができる。回転数として
は、5〜200rpm、好ましくは10〜100rpm
が良い。混練処理圧力としては、0〜40MPa、好ま
しくは、0.1〜10MPaが挙げられる。混練処理温
度としては、末端カルボン酸基修飾ポリプロピレン及び
ポリプロピレン系重合体が溶融する温度でよいが、一般
に100〜300℃、好ましくは180〜230℃がよ
い。混練処理時間としては、10秒〜1時間でよい。混
練処理時には、不活性ガス雰囲気下におくことが好まし
い。場合により、スチームを添加したり、減圧下揮発分
を除去してもよい。混練処理後の成形条件は一般に、成
形圧力としては、2〜40MPaが挙げられる。成形温
度は、一般に100〜300℃の範囲、好ましくは16
0〜230℃がよい。成形機としては、単軸又は多軸押
出機、二軸押出機等が使用される。又、せん断操作は、
押出成形機、射出成形機等を使用し、せん断処理と成形
を同時に行うこともできる。
【0009】
【実施例】次に、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はこれらの例によってなんら限定される
ものではない。 実施例1 参考例1の末端カルボン酸基で修飾された立体規則性ポ
リプロピレン2g、Na−弗素四珪素雲母[コープケミ
カル(株)製、商品名ソマシフME−100]1g及び
参考例3記載の方法で製造したポリプロピレン17gの
混合物を、内容積30mlのプラストミルにて210℃
及び回転速度50rpmの条件で、5分間熱せん断処理
した。この混練物を成形温度210℃で熱プレスし、シ
ート(横1.5cm、縦4.0cm及び厚み1.0m
m)を作製した。次に、作製したシートから横4.0m
m、縦4.0cmのシートを切り出し、固体粘弾性測定
を行った。測定装置としては、岩本製作所(株)製の全
自動測定型、固体粘弾性測定装置、粘弾性スペクトロメ
ータtypeVES7−F−IIIを使用した。測定条件
は、歪み変位範囲0.02mm、チャック間隔20m
m、初期荷重9.8N、周波数10Hz、開始温度0
℃、終了温度160℃である。20℃及び140℃にお
ける貯蔵弾性率の測定結果を表1−1に示す。
【0010】実施例2 実施例1において、末端カルボン酸基修飾ポリプロピレ
ン、Na−弗素四珪素雲母及びポリプロピレンの配合量
をそれぞれ7g、1g及び12gにかえた他は、実施例
1と全く同様にして熱せん断処理を行い、熱プレスシー
トを作成し、固体粘弾性の測定を行なった。20℃及び
140℃における貯蔵弾性率の測定結果を表1−1に示
す。
【0011】実施例3 Na−弗素四珪素雲母を、Na−弗素四珪素雲母と四級
アルキルアンモニウム塩との反応で得られた市販の有機
化粘土[コープケミカル(株)製、商品名MAE]にか
えた他は、実施例2と全く同様にして熱せん断処理を行
い、熱プレスシートを作成し、固体粘弾性の測定を行な
った。20℃及び140℃における貯蔵弾性率の測定結
果を表1−1に示す。
【0012】実施例4 Na−弗素四珪素雲母を、Na−ヘクトライトと四級ア
ルキルアンモニウム塩との反応で得られた市販の有機化
粘土[コープケミカル(株)製、商品名SAN]にかえ
た他は、実施例2と全く同様にして熱せん断処理を行
い、熱プレスシートを作成し、固体粘弾性の測定を行な
った。20℃及び140℃における貯蔵弾性率の測定結
果を表1−1に示す。
【0013】実施例5 参考例1の末端カルボン酸基で修飾された立体規則性ポ
リプロピレン19g及びNa−弗素四珪素雲母[コープ
ケミカル(株)製、商品名ソマシフME−100]1g
を、実施例1と全く同様にして熱せん断処理を行い、熱
プレスシートを作成し、固体粘性の測定を行なった。2
0℃及び140℃における貯蔵弾性率の測定結果を表1
−1に示す。
【0014】比較例1 参考例1の末端カルボン酸基で修飾された立体規則性ポ
リプロピレンを、参考例2の末端カルボン酸基で修飾さ
れた立体規則性のないポリプロピレンにかえた他は、実
施例2と全く同様にして熱せん断処理を行い、熱プレス
シートを作成し、固体粘弾性の測定を行なった。20℃
及び140℃における貯蔵弾性率の測定結果を表1−2
に示す。末端カルボン酸基で修飾された立体規則性ポリ
プロピレンを使用すると、低温及び高温の領域で、ポリ
プロピレン系樹脂組成物の剛性が低下した。
【0015】比較例2 参考例1の末端カルボン酸基で修飾された立体規則性ポ
リプロピレンを、市販の無水マレイン酸変性ポリプロピ
レン[プロントン(株)製造、白石カルシウム(株)販
売、商品名ポリボンド3002]に代えた他は、実施例
3と全く同様にして熱せん断処理を行い、熱プレスシー
トを作成し、固体粘弾性の測定を行なった。20℃及び
140℃における貯蔵弾性率の測定結果を表1−2に示
す。無水マレイン酸変性ポリプロピレンを使用すると、
高温の領域で、ポリプロピレン系樹脂組成物の剛性が著
しく低下した。
【0016】参考例1(末端カルボン酸基で修飾された
立体規則性ポリプロピレンの製造) 固体触媒成分の調製 窒素で置換した内容積5リットルの攪拌機付き三つ口フ
ラスコにジエトキシマグネシウム160gを投入し、脱
水処理したヘプタン600ミリリットルを加えた。40
℃に加熱し、四塩化ケイ素24ミリリットルを加え、2
0分間攪拌し、ジエチルフタレート23ミリリットルを
加えた。この溶液を80℃まで昇温後、滴下ロートを用
いて、四塩化チタン770ミリリットルを滴下した。内
温を110℃として、2時間接触させた。その後、90
℃の脱水ヘプタンを用いて7回洗浄を行った。更に、四
塩化チタン1220ミリリットルを加え、内温を110
℃とし、2時間接触させた。その後、90℃の脱水ヘプ
タンを用いて6回洗浄を行い、固体触媒成分を得た。 プロピレン重合及び末端修飾 十分に乾燥した内容積1リットルの投入管と攪拌機付き
ステンレス製オートクレーブに、脱水n−ヘプタン36
0ml、トリエチルアルミニウム2ミリモル、シクロヘ
キシルメチルジメトキシシラン0.25ミリモル及びジ
エチル亜鉛2ミリモルを入れ、50℃に昇温し、全圧が
0.8MPaになるようにプロピレンを導入した。投入
管に脱水n一ヘプタン20ミリリットル、Ti原子換算
で0.02ミリモルの固体触媒を入れ、圧バランスによ
り、オートクレーブ内に導入し、全圧が一定に保たれる
ようにプロピレンを追加、導入しながら、1時間重合を
行なった。重合器内のプロピレンを脱圧し、窒素雰囲気
下でN−メチルイミダゾール10ミリモル加えた後、全
庄が5MPaとなるように、炭酸ガスを導入した。攪拌
しながら50℃で5時間反応させた。投入管からメタノ
ール20ミリリットルを導入し、その後、降温、脱圧
し、内容物を2リットルのメタノール中に取出し、ろ
過、真空乾燥して重合体29gを得た。得られた重合体
の物性を測定したところ、固有粘度[η]=0.8、数
平均分子量Mn=25000、立体規則性[mmmm]
97.0モル%であった。又、末端カルボン酸基の定量
は、ステアリン酸を内部標準に用いた赤外吸収スペクト
ル法により、検量線を作成し、分子末端修飾ポリプロピ
レンの割合を測定したところ、90%であった。又、末
端カルボン酸基は0.16重量%であった。
【0017】参考例2(末端カルボン酸基で修飾された
立体規則性のないポリプロピレンの製造) 特開平7―3164633号公報の記載に従って製造し
た。窒素で置換した内容積1.6リットルの攪拌機付き
オートクレーブにヘプタン400ミリリットルを加え、
−50〜−60℃に冷却した。同温度でプロピレン10
0gを充填し、次いで、ジエチルアルミニウムクロライ
ド50ミリモルのヘプタン溶液と、トリス(2−メチル
1,3−ブタンジオナト)バナジウム0.6ミリモルの
トルエン溶液を添加し、20時間攪拌を続けた。更に、
同温度でメタクリル酸クロライド750ミリモルを添加
後、4時間攪拌を行った。その後、20質量%水酸化ナ
トリウム溶液750mlを添加したアセトン1250m
l中に、反応溶液を注ぎ、ポリマーを析出させた。得ら
れたポリマーを再度n−ヘプタンに溶解させ、遠心分離
により上澄み液を得た。この上澄み液を1250mlの
アセトンに注ぎ、再度ポリマーを析出させた。次に、こ
のポリマーをTHFに溶解し、pHが7以下になるまで
塩酸を加え攪拌した。この溶液を1250mlのアセト
ンに注いでポリマーを析出させ、アセトンで5回洗浄し
た後、室温で乾燥して、末端カルボン酸修飾ポリプロピ
レン1.2gを得た。生成した末端カルボン酸修飾ポリ
プロピレンの赤外吸収スペクトルを測定したところ、1
700cm-1付近にカルボン酸のカルボニル基に基づく
吸収が見られた。末端カルボン酸基は、1.1重量%で
あった。
【0018】参考例3 固体触媒成分の調製 窒素で置換した内容積5リットルの攪拌機付き三つ口フ
ラスコにジエトキシマグネシウム160gを投入し、脱
水処理したオクタン600ミリリットルを加えた。40
℃に加熱し、四塩化ケイ素24ミリリットルを加え、2
0分間攪拌し、ジブチルフタレート16ミリリットルを
加えた。この溶液を80℃まで昇温後、滴下ロートを用
いて、四塩化チタン770ミリリットルを滴下した。内
温を125℃として、2時間接触させた。その後、攪拌
を停止して固体を沈降させ、上澄み液を抜き出した。1
00mlの脱水オクタンを加え、攪拌しながら125℃
まで昇温し、1分間保持した後、攪拌を停止して固体を
沈降させ、上澄みを抜き出した。この洗浄操作を7回繰
り返した。更に、四塩化チタン1220ミリリットルを
加え、内温を125℃とし、2時間接触させた。その
後、125℃の脱水オクタンを用いて6回洗浄を行い、
固体触媒成分を得た。 プロピレン重合 十分に乾燥した内容積1リットルの投入管と攪拌機付き
ステンレス製オートクレーブに、脱水オクタン400m
l、トリエチルアルミニウム2ミリモル、ジシクロペン
チルジメトキシシラン0.1ミリモル及びTi原子換算
で0.005ミリモルの固体触媒を入れ、水素を49.
03kPa(ゲージ圧)張り込み、続いてプロピレンを
導入しながら、80℃、全圧784.5kPa(ゲージ
圧)まで昇温昇圧してから、2時間重合を行なった。そ
の後、降温、脱圧し、内容物を2リットルのメタノール
中に取出し、ろ過、真空乾燥して重合体50gを得た。
得られた重合体の物性を測定したところ、固有粘度
[η]=3.5、数平均分子量Mn=5万、メルトフロ
ーレート=1g/10分、立体規則性[mmmm]98
モル%以上であった。
【0019】参考例4 参考例1の末端カルボン酸基で修飾された立体規則性ポ
リプロピレン2gを、実施例1と全く同様にして熱せん
断処理を行い、熱プレスシートを作成し、固体粘弾性の
測定を行なった。20℃及び140℃における貯蔵弾性
率の測定結果を表1−2に示す。
【0020】参考例5 参考例3記載の方法で製造したポリプロピレン17g
を、実施例1と全く同様にして熱せん断処理を行い、熱
プレスシートを作成し、固体粘弾性の測定を行なった。
20℃及び140℃における貯蔵弾性率の測定結果を表
1−2に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、高温における剛性の低
下が起こらず、且つ耐熱性があるポリプロピレン系複合
樹脂組成物を得ることができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 BB201 BB211 DJ006 DJ056 FA016 FD016 4J028 AA01A AB01A AC05A BA00A BA01B BA02B BC09B BC15B BC16B CA11A CA15A CB44A CB44B CB92B EB02 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EC01 EC02 GA01 GA15 4J100 BA15H BA16H CA01 CA04 CA31 DA01 DA41 HA61 HB35 HC27 4J128 AA01 AB01 AC05 BA00A BA01B BA02B BC09B BC15B BC16B CA11A CA15A CB44A CB44B CB92B EB02 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EC01 EC02 GA01 GA15

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 末端カルボン酸基で修飾された立体規則
    性ポリプロピレン中のカルボン酸基の含有量が0.01
    〜1重量%であるカルボン酸基修飾立体規則性ポリプロ
    ピレン及び層状化合物からなるポリプロピレン系複合樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記末端カルボン酸基修飾ポリプロピレ
    ン、層状化合物及びポリプロピレン系重合体からなる請
    求項1に記載のポリプロピレン系複合樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記末端カルボン酸基修飾ポリプロピレ
    ンと層状化合物の質量比が100:1〜1:10である
    請求項1又は2に記載のポリプロピレン系複合樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 前記末端カルボン酸基修飾ポリプロピレ
    ンのポリプロピレン部位の立体規則性[mmmm]が7
    0%以上である請求項1〜3のいずれかに記載のポリプ
    ロピレン系複合樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 前記末端カルボン酸基修飾ポリプロピレ
    ンのポリプロピレン部位の立体規則性[mmmm]が9
    0%以上である請求項1〜4のいずれかに記載のポリプ
    ロピレン系複合樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 前記末端カルボン酸基修飾ポリプロピレ
    ンの分子量が、数平均分子量として1万〜50万である
    請求項1〜5のいずれかに記載のポリプロピレン系複合
    樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 前記末端カルボン酸基修飾ポリプロピレ
    ンが、固体状チタン触媒成分を用いて製造した立体規則
    性ポリプロピレンにカルボン酸基を導入したことを特徴
    とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリプロピレン
    系複合樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 前記末端カルボン酸基修飾ポリプロピレ
    ンが、固体状チタン触媒成分と有機亜鉛化合物を含む重
    合触媒の存在下、プロピレンの重合を行った後、カルボ
    ン酸基導入剤を添加して製造したことを特徴とする請求
    項1〜7のいずれかに記載のポリプロピレン系複合樹脂
    組成物。
  9. 【請求項9】 カルボン酸基導入剤が炭酸ガス又はハロ
    炭酸アルキルエステルである請求項7又は8記載のポリ
    プロピレン系複合樹脂組成物。
  10. 【請求項10】 層状化合物が、ヘクトライト、モンモ
    リロナイト、水膨潤性合成雲母及びこれらの有機化合物
    処理体から選ばれる1種以上の化合物である請求項1〜
    9のいずれかに記載のポリプロピレン系複合樹脂組成
    物。
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JPWO2004009697A1 (ja) * 2002-07-19 2005-11-17 旭化成ライフ&リビング株式会社 ポリオレフィン樹脂組成物
EP1553136A4 (en) * 2002-07-19 2006-03-15 Asahi Chemical Ind polyolefin resin

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