JP2003002968A - 芳香族ポリイミドを含む弾性体 - Google Patents

芳香族ポリイミドを含む弾性体

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JP2003002968A
JP2003002968A JP2001192194A JP2001192194A JP2003002968A JP 2003002968 A JP2003002968 A JP 2003002968A JP 2001192194 A JP2001192194 A JP 2001192194A JP 2001192194 A JP2001192194 A JP 2001192194A JP 2003002968 A JP2003002968 A JP 2003002968A
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block copolymer
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bis
heat resistance
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Makoto Tokumizu
眞 徳水
Takeshi Futai
健 二井
Masaharu Fujimoto
雅治 藤本
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Mitsubishi Rayon Co Ltd
Original Assignee
Mitsubishi Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリイミド樹脂の有する高い耐熱性を維持し
つつ、かつ十分な柔軟性及び弾性回復性能等の機械的強
度を有する弾性体を提供すること。 【解決手段】 芳香族ポリイミドを構造中に有し、23
℃におけるショアA硬さが60〜95であり、かつ、J
IS−K−6301に準じ、120℃で72時間熱処理
して測定した圧縮永久歪が70%以下であることを特徴
とする弾性体を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、十分な耐熱性と機
械的強度を有する弾性体に関する。さらに詳しくは、長
期間高温にさらしても物性が変化しにくい熱可塑性弾性
体に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性弾性体は、その成形の容易性か
ら種々提案され、電気電子部品、自動車部品、宇宙航空
機機器及び輸送機器等の分野で使用されている。熱可塑
性弾性体としては、これまで、ポリエステル樹脂、及び
ポリエステルとポリエーテルを繰り返し単位とするブロ
ック共重合体等が主に使用されてきたが、耐熱性が17
0℃以下と低いため、さらに、耐熱性を付与した熱可塑
性弾性体の開発が進められている。このような耐熱性を
付与した熱可塑性弾性体としては、例えば、ポリアミド
樹脂及びポリイミド樹脂が、高い耐熱性に加え、力学的
強度、耐薬品性、難燃性、電気絶縁性などを合わせ持つ
熱可塑性弾性体として注目されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えば、特開平4−8
0229号公報では、上記耐熱性の低い熱可塑性弾性体
であるポリエステルにポリイミド骨格を導入したポリイ
ミド樹脂を弾性体として使用し、耐熱性を向上させる試
みが提案されている。しかしながら、この共重合体は、
柔軟性、弾性回復性能ともに不十分であった。また、特
開2000−17073号公報では、イミド骨格とポリ
シロキサン骨格とを有するポリアミドイミド樹脂が提案
されている。しかしこの樹脂は、通常ペースト状の組成
物であり、弾性体として必要な機械特性を有しない。ま
た、この樹脂を固化した組成物は、柔軟性を有するもの
の、硬化した組成物であり、弾性体とは言い難い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明の第1
の目的は、ポリイミド樹脂の有する高い耐熱性を維持し
つつ、かつ十分な柔軟性及び弾性回復性能等の機械的強
度を有する弾性体を提供することにある。また、本発明
の第2の目的は、耐熱性を更に向上させ、かつ、引張強
度等の物性が長期間高温にさらされた場合であっても変
化しにくいといった、経時変化に対する安定性を有する
熱可塑性弾性体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記目的を
達成するため、芳香族ポリイミドを構造中に有する熱可
塑性樹脂のショアA硬さと圧縮永久歪を調節することに
より、機械的強度に優れた弾性体が得られることを見出
し、本発明に至ったものである。又、本発明者らは、特
定の脂肪族イミドセグメントと、ポリシロキサンを含有
するシロキサンイミドセグメントとを共重合することに
よって、耐熱性が極めて向上し、かつ物性の経時変化が
少ない熱可塑性弾性体が得られることを見出し、本発明
に至ったものである。すなわち、本発明の第一の態様
は、芳香族ポリイミドを構造中に有し、23℃における
ショアA硬さが60〜95であり、かつ、JIS−K−
6301に準じ、120℃で72時間熱処理して測定し
た圧縮永久歪が70%以下であることを特徴とする弾性
体に関する。本発明の第二態様は、 (A)芳香族テトラ
カルボン酸成分と、直鎖脂肪族ジアミン成分とをイミド
化してなる脂肪族イミドセグメント5〜60質量%;及
び(B) 芳香族テトラカルボン酸成分と、両末端にアミ
ノ基を有する重合度30以上のポリシロキサン成分とを
イミド化してなるシロキサンイミドセグメント95〜4
0質量%、とのブロック共重合体を含む、上記弾性体に
関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 <弾性体>本発明の弾性体は、少なくとも芳香族ポリイ
ミドを構造中に有するものである。本発明の弾性体の2
3℃におけるショアA硬さは、JIS K 7215に
準拠して測定した場合、60〜95、好ましくは、60
〜90、より好ましくは、60〜85である。60以上
であれば、機械的強度が低下することもなく、また耐磨
耗性に劣ることもない。また、95以下であれば、硬く
なりすぎたり、柔軟性や耐屈曲性が劣ることもなく、好
ましい。本発明の弾性体の圧縮永久歪は、JIS K
6301に準じ、120℃で72時間熱処理して測定し
た場合、70%以下、好ましくは、65%以下、より好
ましくは、0〜65%である。圧縮永久歪が70%以下
であれば、機械的強度が低下することもなく、良好な柔
軟性と弾性回復能が得られるので好ましい。本発明の弾
性体の軟化温度は、例えば、170℃以上、好ましく
は、180℃以上、より好ましくは、190〜300℃
であることが好適である。軟化温度が170℃以上であ
れば、十分な耐熱性が得られるので好ましい。また、3
00℃以下であれば、弾性体の溶融温度が高くなりすぎ
ず、成形温度が実用的範囲となるので好ましい。本発明
の弾性体の引張強度は、ASTM−638に準拠する引
張強度測定法により測定した場合、例えば、5〜20M
Pa、好ましくは、7〜20MPaであることが好適で
ある。引張強度が5MPa以上であれば、十分な機械的
強度を保持できるので好ましい。また、この引張強度
は、150〜200℃の高温下でも一定期間保持できる
ことが好ましい。例えば、引張強度の初期値をS0、1
70℃に120時間保持し、その後23℃で24時間静
置したときの引張強度をS1としたときの引張強度保持
率R:R=S1/S0×100が、80≦R、好ましく
は、90≦Rを満たすことが適当である。
【0007】本発明の弾性体は、脂肪族イミドセグメン
ト(A)と、シロキサンイミドセグメント(B)とのブロッ
ク共重合体から構成されていることが好ましい。 <脂肪族イミドセグメント(A)>このような脂肪族イミ
ドセグメント(A)は、芳香族テトラカルボン酸成分と、
直鎖脂肪族ジアミン成分とをイミド化して形成される。
具体的には、下記式(1)で示されるイミド構造を有す
る。 (式中、Xは、芳香族テトラカルボン酸二酸無水物残基
であり;Yは、直鎖脂肪族ジアミン残基、好ましくは、
炭素数1〜20、より好ましくは、炭素数1〜12の直
鎖アルキレン基を有するジアミン残基であり、lは、1
以上の整数、好ましくは、1〜45の整数、より好まし
くは、1〜25の整数である。)
【0008】芳香族カルボン酸成分としては、例えば、
ピロメリット酸二無水物、ベンゼン-1,2,3,4-テトラカ
ルボン酸二無水物、2,3,3',4'-ビフェニルテトラカルボ
ン酸二無水物、2,2',3,3'-ビフェニルテトラカルボン酸
二無水物、3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物、2,3,3',4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、2,2',3,3'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水
物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、
1,1-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、
1,1-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、
2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン二無水
物、2,2-ビス(2,3-ジカルボキシフェニル)プロパン二無
水物、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン二無水
物、3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,
2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-
ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5-ナフタ
レンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテ
トラカルボン酸二無水物、2,6-ジクロルナフタレン-1,
4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,7-ジクロルナフタ
レン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-テ
トラクロルナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸二無
水物、フェナンスレン-1,8,9,10-テトラカルボン酸二無
水物、1,3-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)-1,1,3,3-
テトラメチルジシクロヘキサン二無水物、2,2-ビス(3,4
-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水
物、2,2-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニ
ル]プロパン二無水物、p-フェニレンビス(トリメリッ
ト酸モノエステル酸無水物)、1,2-(エチレン)ビス
(トリメリテート無水物)、1,3-(トリメチレン)ビス
(トリメリテート無水物)、1,4-(テトラメチレン)ビ
ス(トリメリテート無水物)、1,6-(ヘキサメチレン)
ビス(トリメリテート無水物)、1,8-(オクタメチレ
ン)ビス(トリメリテート無水物)、1,9-(ノナメチレ
ン)ビス(トリメリテート無水物)、1,10-(デカメチ
レン)ビス(トリメリテート無水物)、1,12-(ドデカ
メチレン)ビス(トリメリテート無水物)、およびこれ
らの混合物等が挙げられる。上記式中、Xとしては、例
えば、これら芳香族テトラカルボン酸成分の残基が挙げ
られる。
【0009】直鎖脂肪族ジアミン成分としては、例え
ば、炭素数1〜20、好ましくは、炭素数1〜12の直
鎖アルキレン基を有し、両末端にアミノ基を有するジア
ミンが挙げられる。具体的には、1,6-ジアミノへキサ
ン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノオクタン、1,
9-ジアミノノナン、1,10-ジアミノデカン、1,11-ジアミ
ノウンデカン、1,12-ジアミノドデカンの残基、および
これらの混合物等が挙げられる。上記式中、Yとして
は、例えば、これら直鎖脂肪族ジアミン成分の残基が挙
げられる。
【0010】<シロキサンイミドセグメント(B)>本発
明の好ましい弾性体を構成するシロキサンイミドセグメ
ント(B)は、芳香族テトラカルボン酸成分と、両末端に
アミノ基を有する重合度30以上のポリシロキサン成分
とをイミド化して形成され、具体的には、下記式(2)で
示されるイミド構造で表される。 (式中、R1は、2価の炭化水素基又はフェニレン基で
あり;R2及びR3は、炭素数1〜10、好ましくは炭素
数1〜5、より好ましくは1〜3のアルキル基又はフェ
ニル基であってそれぞれ独立であっても同一であっても
よく;mは、30以上の整数、好ましくは、30〜25
0の整数、より好ましくは、30〜200の整数であ
り、さらに好ましくは、30〜100の整数であり;n
は、1以上の整数、好ましくは、1〜200の整数、よ
り好ましくは、1〜170の整数である。)
【0011】芳香族テトラカルボン酸成分としては、上
記脂肪族イミドセグメント(A)で使用される芳香族テト
ラカルボン酸成分と同じものが使用できる。従って、上
記式中、Xとしては、例えば、この芳香族テトラカルボ
ン酸成分の残基が挙げられる。
【0012】両末端にアミノ基を有するポリシロキサン
成分は、一般にガラス転移温度が低いため、得られる弾
性体の弾性回復能を低下することなく耐熱性を向上させ
ることができ、かつ、耐加水分解性を向上することがで
きる。また、非結晶性であるため、引張強度の経時的な
変化が少なく、長期にわたって物性を保持できる。この
両末端にアミノ基を有するポリシロキサン成分は、具体
的には、以下の式(3)で示される。 式中、R1は、2価の炭化水素基又はフェニレン基であ
る。中でも好ましくは、R1は、プロピレン基である。
2及びR3は、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜
5、より好ましくは1〜3のアルキル基又はフェニル基
であってそれぞれ独立であっても同一であってもよい。
中でも好ましくは、R2及びR3は、共にメチル基であ
る。式中、mの値は、このポリシロキサン成分の重合度
を示す。mは、30以上の整数、好ましくは、30〜2
50の整数、より好ましくは、30〜200の整数であ
り、さらに好ましくは、30〜100の整数である。m
が30以上であれば、柔軟性と良弾性とを両立すること
ができる。
【0013】本発明の両末端にアミノ基を有するポリシ
ロキサン成分としては、例えば、ω,ω’−ビス(2−
アミノエチル)ポリジメチルシロキサン(R1=エチレン
基、R2及びR3=メチル基)、ω,ω’−ビス(3−ア
ミノプロピル)ポリジメチルシロキサン(R1=プロピレ
ン基、R2及びR3=メチル基)、ω,ω’−ビス(4−
アミノブチル)ポリジメチルシロキサン(R1=ブチレン
基、R2及びR3=メチル基)及びω,ω’−ビス(3−
アミノフェニル)ポリジフェニルシロキサン(R1=フェ
ニレン基、R2及びR3=フェニル基)等が挙げられる。
また、本発明の両末端にアミノ基を有するポリシロキサ
ン成分の数平均分子量は、例えば、1000〜1000
0、好ましくは2000〜5000であることが適当で
ある。本発明の両末端にアミノ基を有するポリシロキサ
ン成分は、アルコキシシランの加水分解及び縮合等、通
常公知の方法によって重合される。
【0014】<ブロック共重合体の構成>本発明の弾性
体は、上記脂肪族イミドセグメント(A)と、シロキサン
イミドセグメント(B)とのブロック共重合体からなり、
具体的には、以下の式(4)に示される共重合体である。 (式中、X、Y、m、R1、R2及びR3は、上記式(1)及
び式(2)に記載のものと同一である。また、式中、p
は、1以上の整数、好ましくは、1〜25の整数であ
り;qは、1以上の整数、好ましくは、1〜200の整
数、より好ましくは、1〜170の整数である。)
【0015】<ブロック共重合体の製造>本発明のブロ
ック共重合体は、脂肪族イミドセグメント(A)及びシロ
キサンイミドセグメント(B)に含まれる芳香族テトラカ
ルボン酸成分(X)と、脂肪族イミドセグメント(A)に含
まれる直鎖脂肪族ジアミン成分(Y)と、シロキサンイミ
ドセグメント(B)に含まれるポリシロキサン成分(S)と
を同時に混合し、又は任意の順序で混合し、イミド化し
及びブロック共重合することによって得られる。ブロッ
ク共重合体は、いかなる公知の製造方法を用いてもよい
が、例えば、以下のようにして製造される。すなわち、
不活性ガス雰囲気下、好ましくは、窒素又はアルゴンガ
ス雰囲気下、上記X、Y及びSの3成分を、有機溶媒中で
同時又は逐次的に混合し、100℃以下、好ましくは、
60〜90℃の温度で0.1〜1時間撹拌する。その
後、0.1〜0.5時間かけて150〜180℃の温度
に昇温し、さらに昇温した温度を一定に保ち、生成する
水を除去しながら0.5〜3時間反応させる。反応後、
室温まで冷却し、反応物をアセトン中に添加して沈殿物
を得、沈殿物を濾別・乾燥することによって得られる。
得られたブロック共重合体を、例えばアルコール類及び
純水のような貧溶媒中で再沈精製を行ったり、再度クロ
ロホルムのような溶媒で低分子量成分を除去し、高分子
量成分を抽出してもよい。
【0016】ここで使用される有機溶媒の例としては、
N-メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチ
ルホルムアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、1,3-ジ
メチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン、1,
3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、スルホラン、ジメチ
ルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクト
ン、γ-カプロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクト
ン、ε-カプロラクトン、ジオキサン、1,2-ジメトキシ
エタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリ
エチレングリコールジメチルエーテル、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、グ
リセリン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、
トリエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン、フェノール、クレゾール、酢酸エチル、酢
酸ブチル、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソ
ルブアセテート、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼ
ン、シクロヘキサン、トリクロロエタン、テトラクロロ
エタン、モノクロルベンゼン等、及びこれらの混合が挙
げられる。溶解性、環境安全性を考慮すると、ジオキサ
ン、テトラヒドロフラン及びN-メチルピロリドン等、
特にN−メチル−2−ピロリドンを用いることが好まし
い。
【0017】本発明の上記ブロック共重合体の数平均分
子量は、7000〜400000、好ましくは、100
00〜200000であることが適当である。7000
以上であれば、得られる弾性体の機械的特性、特に引張
り強度、弾性回復性能、耐熱性、及びブロック共重合体
の生産のしやすさの面から好ましい。40000以下で
あれば、本発明の弾性体の製造時に要する加熱及び溶解
等のエネルギーを抑制できるので好ましい。また、本発
明の上記ブロック共重合体において、脂肪族イミドセグ
メント(A)の重合度、すなわち式(4)中のpは、例え
ば、1以上の整数、好ましくは、1〜25の整数である
ことが適当である。また、脂肪族イミドセグメント(A)
の数平均分子量は、例えば、300〜10000、好ま
しくは350〜5000であることが適当である。数平
均分子量が、300以上であれば脂肪族イミドセグメン
トのブロック性が低下することもなく、得られる弾性体
の耐熱性及び機械強度が損なわれることもない。また、
10000以下であれば、得られる弾性体の溶融粘度が
高くなることもなく、成形性のよい弾性体を得ることが
できる。一方、シロキサンイミドセグメント(B)の重合
度、すなわち式(4)中のqの値は、例えば、1以上の整
数、好ましくは、1〜200の整数、より好ましくは、
1〜170の整数であることが適当である。
【0018】また、本発明のブロック共重合体の融点
は、例えば、180℃以上、好ましくは、180〜34
0℃、より好ましくは、200〜330℃であることが
好適である。融点が180℃以上であれば、十分な耐熱
性が得られるので好ましい。また、340℃以下であれ
ば、弾性体の溶融温度が高くなりすぎず、成形温度が実
用的範囲となるので好ましい。本発明のブロック共重合
体において、脂肪族イミドセグメント(A)及びシロキサ
ンイミドセグメント(B)の質量の割合は、得られる弾性
体に要求される弾性特性によって任意に選択することが
できる。例えば、脂肪族イミドセグメント(A)の質量
は、ブロック共重合体の全質量に対し、5〜60質量
%、好ましくは、5〜50質量%、より好ましくは10
〜40質量%である。また、シロキサンイミドセグメン
ト(B)の質量は、ブロック共重合体の全質量に対し、9
5〜40質量%、好ましくは、65〜50質量%、より
好ましくは90〜60質量%である。脂肪族イミドセグ
メント(A)の割合が5質量%以上であれば、得られる弾
性体の耐熱性および機械的強度が不足することもない。
また、脂肪族イミドセグメント(A)の割合が60質量%
以下であれば、、相溶性不足による重合度の低下も回避
でき、機械的強度が不十分となることもないので好まし
い。
【0019】<添加剤>このようにして得られたブロッ
ク共重合体は、単独で、又は種々の添加剤を加えること
によって、弾性体を構成する。添加され得る添加剤とし
ては、例えば、シリカ、タルク、カオリン又は炭酸カル
シウム等の無機粒子;酸化チタン、カーボンブラック等
の顔料;その他、染料、紫外線吸収剤、耐候性安定化
剤、滑剤、離型剤、熱安定剤、抗酸化剤、帯電防止剤及
び難燃剤等が挙げられる。
【0020】<弾性体の成形>以上の方法によって製造
されたブロック共重合体からなる本発明の弾性体は、例
えば、射出成形によって容器に成形され、押出成形によ
ってシート等に成形され、また、ブロー成形によって容
器等に成形される。このようにして得られた成形品に、
さらに特定の性能を付与するために従来公知の各種加工
処理を施すことができる。加工処理の例としては、紫外
線、α線、β線、γ線又は電子線等の照射;コロナ処
理、プラズマ照射処理又は火炎処理等の処理;塩化ビニ
リデン、ポリビニルアルコール、ポリアミド又はポリオ
レフィン等の樹脂の塗布;その他、ラミネート又は金属
の蒸着等が挙げられる。また、本発明の弾性体を樹脂改
質剤として、熱可塑性樹脂に混合することができる。混
合の手段は公知の種々の方法を用いることができるが、
例えば、ダブルコーンブレンダー、リボンブレンダー等
で混合する方法、また、このような方法で混合した両樹
脂を一軸押出機、二軸押出機、ベント式押出機等により
溶融混練し造粒する方法を採用することも可能である。
【0021】
【実施例】以下に実施例により本発明を詳述する。な
お、実施例中、「部」とは「質量部」を示す。
【0022】[実施例1]窒素雰囲気下、撹拌機付反応
容器中に、1,12−ドデカメチレンジアミン3.7部
と、ω,ω'-ビス(3−アミノプロピル)ポリジメチルシ
ロキサン(質量平均分子量=3000、重合度=38、
信越化学工業(株)社製)21.0部とを、90℃に加
温したジオキサン150部中で溶解した。その後、ピロ
メリット酸二無水物5.5部を添加し、90℃で1時間
攪拌した。次いで、N-メチル−2−ピロリドン150
部をこの混合物に添加し、1時間かけて180℃に昇温
した後、180℃の温度に保持して少量の窒素を通流さ
せ、かつ、生成する水をN-メチル−2−ピロリドン溶
媒の一部とともに除去しながら3時間反応させた。反応
後、室温まで冷却し、得られた反応生成物に対して約5
倍容量のアセトン中に反応性生物(スラリー状)を添加
して沈殿物を得た。得られた沈殿を濾別してジオキサン
及びN-メチル−2−ピロリドンと分離し、アセトンで
十分洗浄し、180℃で乾燥してブロック共重合体1
9.7部を得た。
【0023】[実施例2]窒素雰囲気下、攪拌機付反応
容器中で、ピロメリット酸二無水物8.44部を、60
℃に加温したテトラヒドロフラン300部とN-メチル
−2−ピロリドン100部の溶媒混合溶液中で溶解し
た。その後、この混合物にω,ω'-ビス(3−アミノプロ
ピル)ポリジメチルシロキサン(質量平均分子量=300
0、重合度=38、信越化学工業(株)社製)30.0
部を添加し、60℃で30分間撹拌した。次いで、1,
12−ドデカメチレンジアミン3.88部をN-メチル
−2−ピロリドン200部に溶解した溶液を準備し、こ
れを上記混合物中に1時間かけて滴下した。その後、混
合物の温度を80℃まで徐々にあげて先に添加したテト
ラヒドロフラン300部を除去した。さらに、0.5時
間かけて180℃に昇温した後、180℃の温度に保持
して少量の窒素を通流させ、かつ、生成する水をN-メ
チル−2−ピロリドン溶媒の一部とともに除去しながら
3時間反応させた。反応後、室温まで冷却し、得られた
反応生成物に対して約5倍容量のアセトン中に反応性生
物(スラリー状)を添加して沈殿物を得た。得られた沈
殿を濾別してテトラヒドロフラン及びN-メチル−2−
ピロリドンと分離し、アセトンで十分洗浄し、180℃
で乾燥してブロック共重合体24.6部を得た。
【0024】[比較例1]1,12−ドデカメチレンジ
アミン3.7部のかわりに、p−フェニレンジアミンを
2.0部用いる以外は実施例1と同様に重合してブロッ
ク共重合体19.9部を得た。 [比較例2]ω,ω'-ビス(3−アミノプロピル)ポリジ
メチルシロキサン21.0部のかわりに1,3-ビス(3−
アミノプロピル)テトラジメチルシロキサン(重合度=
3)21.0部用いる以外は実施例1と同様に重合してブ
ロック共重合体16.5部を得た。
【0025】<ブロック共重合体の評価>上述のように
して得られた各ブロック共重合体の数平均分子量及び融
点を、以下のようにして測定した。 [数平均分子量]数平均分子量は、MILIPORE社
製 Waters510 HPLCシステムを使用し、
N−メチルピロリドンを移動相とするGPCで、ポリス
チレン換算により求めた。 [融点]示差走査熱量計(SEIKO Instrument Inc.、DS
C220C)を用い、窒素雰囲気中20℃/分の昇温速
度下で測定を行い、吸熱ピークのピーク温度を融点とし
た。
【0026】<成形品の評価>得られたブロック共重合
体からなる弾性体を120℃で5時間減圧乾燥し、32
0℃で射出成形してASTM D―638 タイプ1試
験片(以下試験片)を得た。各試験片について、ショアA
硬度、圧縮永久歪、耐熱性、機械的強度及び経時変化評
価を以下のようにして行った。 [ショアA硬度]ショアA硬度は、JIS K 721
5に準拠して測定を行った(単位はない)。ただし、上
記試験片を2枚重ねて厚さを6.4mmとし、23℃にお
いて測定した。 [圧縮永久歪]圧縮永久歪は、JIS K 6301に
準拠して測定した。ただし、上記試験片を13mm×13
mmに切り取り、4枚重ねて正確に初期厚さを測り、12
0℃で72時間熱処理した後に測定した。試験後、23
℃において30分間放冷し、厚さを測定した。 [耐熱性]耐熱性評価は、JIS K 7206のビカ
ット軟化温度測定試験により軟化温度を測定して評価し
た。ただし、荷重を1.5Nとし、測定には上記試験片
を10mm×10mmに切り取って測定した。 [機械的強度]機械的強度は、ASTM−638に準拠
して引張強度を測定することにより評価した。 [経時変化]経時変化の評価は、成形品を170℃の環
境下で120時間放置し、その後23℃で24時間静置
した経時変化後の成形品について経時変化を測定した。
まず、共重合されなかった成分や、添加剤が、成形品か
ら滲出してくるいわゆるブリードアウト等による外観変
化を目視で観察した。評価は、○:ブリードが確認でき
ない、×:ブリードが確認できる、とした。また、上記
引張強度測定の値を引張強度の初期値S0とし、上記経
時変化後の成形品を上記引張強度測定と同様にして測定
した引張強度をS1とし、引張強度保持率R(%):R=
1/S0×100を求めた。評価は、○:90≦R、△
80≦R<90、×:R≦80、とした。これらの実施
例及び比較例のブロック共重合体の組成及び各評価結果
を以下の表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】表1に示すように、比較例1で得られた弾
性体は、高い融点及び軟化温度を有するため耐熱性に優
れ、かつ経時変化も少ないが、高硬度であるため、ショ
アA硬さ及び圧縮永久歪が測定できず、本発明の弾性体
としては使用できなかった。また、比較例2で得られた
弾性体は、高い融点及び軟化温度を有するため耐熱性に
優れるが、ショアA硬さ及び圧縮永久歪が本発明の範囲
外であり、また、経時変化が大きかった。これに対し、
実施例で得られた熱可塑性弾性体は、本発明の範囲内の
ショアA硬さと圧縮永久歪の値を有するので良好な柔軟
性と優れた弾性回復能を有していた。また、良好な融点
および軟化温度を有するため、耐熱性にも優れていた。
さらに、経時変化も少なく、特に170℃の温度におい
ても引張強度ほとんどが変化しないので、良好な耐熱性
と機械的強度を有していた。
【発明の効果】本発明の弾性体は、通常のポリイミド熱
可塑性樹脂と同様の耐熱性及び成形のしやすさを有する
熱可塑性樹脂弾性体であるとともに、適度の柔軟性と弾
性回復能を有するものである。また、本発明の弾性体
は、約170℃の高温にさらした後でも引張強度等の物
性の変化が少なく、良好な経時変化特性を有するもので
ある。従って、電気電子用途、自動車部品用途、耐熱性
を要求されるシート、フィルム、チューブ、パッキン等
の各種工業材料に有用である。さらに、本発明の弾性体
は、従来から使用されている溶液重合装置をそのまま使
用できるといった利点を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤本 雅治 広島県大竹市御幸町20番1号 三菱レイヨ ン株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4J043 PA09 PB03 PB19 PC166 PC196 QB31 QB50 RA35 SA06 SB03 TA14 TB03 UA122 UB012 UB152 UB242 WA09 WA16 XA03 XA13 XA14 XA16 XA19

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ポリイミドを構造中に有し、23
    ℃におけるショアA硬さが60〜95であり、かつ、J
    IS−K−6301に準じ、120℃で72時間熱処理
    して測定した圧縮永久歪が70%以下であることを特徴
    とする弾性体。
  2. 【請求項2】(A)芳香族テトラカルボン酸成分と、直鎖
    脂肪族ジアミン成分とをイミド化してなる脂肪族イミド
    セグメント5〜60質量%;及び(B)芳香族テトラカル
    ボン酸成分と、両末端にアミノ基を有する重合度30以
    上のポリシロキサン成分とをイミド化してなるシロキサ
    ンイミドセグメント95〜40質量%、とのブロック共
    重合体を含む、請求項1に記載の弾性体。
  3. 【請求項3】 前記ブロック共重合体が、7000〜4
    00000の数平均分子量及び180〜340℃の融点
    を有する、請求項2に記載の弾性体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006182854A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Toyobo Co Ltd ポリイミドシリコーン樹脂及びその前駆体
KR101424850B1 (ko) 2010-05-25 2014-08-01 코오롱패션머티리얼 (주) 폴리이미드 다공성 나노섬유 웹 및 그 제조방법

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JP2006182854A (ja) * 2004-12-27 2006-07-13 Toyobo Co Ltd ポリイミドシリコーン樹脂及びその前駆体
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