JP2002542344A - 安定性を強化した水性ポリマー分散物 - Google Patents

安定性を強化した水性ポリマー分散物

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JP2002542344A JP2000612343A JP2000612343A JP2002542344A JP 2002542344 A JP2002542344 A JP 2002542344A JP 2000612343 A JP2000612343 A JP 2000612343A JP 2000612343 A JP2000612343 A JP 2000612343A JP 2002542344 A JP2002542344 A JP 2002542344A
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ベルント、パペンフース
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クラリアント・ゲーエムベーハー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、陰イオン系基を有するラテックス粒子を含む水性ポリマー分散物であって、陰イオン系基の少なくとも一部が、対イオンとして、プロトン化された形態にあるアミノ化された糖アルコールを有することを特徴とする分散物、それらの製造法、並びにそれらの使用に関する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、陰イオン系基により静電気的に安定化させた、例えば乳化重合によ
り形成できる水性ポリマー分散物、その製造法およびその使用に関するものであ
る。
【0002】 熱力学的な観点から不安定な系からなるラテックスは、適切な処理により、で
きるだけ効果的に安定化させる必要があることが分かっている。せん断負荷、電
解質添加または極端に高い固体含有量により引き起こされる凝析または点形成に
対して安定化させる方法の一つは、モノマーを酸基と共重合させることにより達
成できる。一般的に、これらの酸基を中和するには、無機塩基、例えばアルカリ
金属水酸化物またはアンモニアを使用する。DE−A−1956509明細書か
らは、対イオンとして特定のアルカノールアミン(すなわちモノヒドロキシアル
キル置換されたアンモニア誘導体)で中和された分散物が公知である。
【0003】 ここで驚くべきことに、ラテックス粒子の表面に存在する酸基を、アミノ化さ
れた糖アルコールで中和することにより、先行技術と比較して明らかに安定化さ
れたポリマー分散物が得られることが分かった。
【0004】 そこで本発明の目的は、陰イオン系基を有するラテックス粒子を含む水性ポリ
マー分散物であって、陰イオン系基の少なくとも一部が、対イオンとして、プロ
トン化された形態にあるアミノ化された糖アルコールを有することを特徴とする
分散物である。
【0005】 好ましくは、アミノ化された糖アルコールとして、N−アルキルグルカミンま
たはD−グルカミン、特に好ましくはアルキル基が1〜4個の炭素原子を有する
N−アルキルグルカミン、特にN−メチルグルカミン、を使用する。さらに、ジ
グルカミンも使用することができる。
【0006】 十分に負荷解離させ、それによって安定化させる必要がある酸性ポリマー分散
物の中和は、その際に生じる局所的な高いイオン濃度のために、通常は非常に危
険な処理工程であり、多かれ少なかれ点が形成されるか、あるいは最悪の場合に
は完全な凝析を引き起こすこともある。
【0007】 これに対して、ポリマー分散物の部分的または完全な中和に、塩基としてアミ
ノ化された糖アルコール、好ましくはN−アルキルグルカミン、特にN−メチル
グルカミン(NMG)を使用するか、またはこれらのアミノ化された糖アルコー
ルを少なくとも部分的に使用することにより、これまで一般的な中和剤で得られ
た生成物と比較して、安定性が著しく向上する。すなわち、各種の塩基で中和さ
れたラテックスを濾過して凝析物の量を測定すると、重合に使用したモノマー系
に関係なく、アミノ化された糖アルコールで処理した生成物は篩残分の値が常に
最小である。
【0008】 還元性アミノ化により対応する炭水化物から直接得られるこれらの化合物の、
後から生じる原料塩基も有用である。
【0009】 例えばWO93/03004明細書に記載されている、通常は界面活性剤用の
原料として工業的に使用される(DE−A−3538451明細書)、グルコー
スから得られる該アミノ化された糖アルコールは、水に僅かに可溶であり、この
形態で市販されてもいる。
【0010】 本発明のポリマー分散物の長所は、従来の製品より安定性が明らかに高いこと
であり、これは、塗料、漆喰、ラッカーまたは接着剤の様な最終製品を製造する
際に有利である。
【0011】 これによって、顔料、電解質、増粘剤、等を後添加する際、および平行して生
じるせん断負荷の際に観察されることが多い凝析物または点形成が大幅に低下す
る、ないしほとんど生じない。これらの長所は、製品の応用技術的特性に悪影響
を全く及ぼさない。
【0012】 本発明の分散物は、好ましくは、該アミノ化された糖アルコールの水溶液(5
〜70%)を、酸性の、ないし他の塩基ですでに部分的に中和したラテックス中
に単純に攪拌しながら混合することにより製造される。その際、温度は一般的に
0℃〜100℃、好ましくは20℃〜80℃、である。無論、酸性の、ないし他
の塩基ですでに部分的に中和したラテックスを、該アミノ化された糖アルコール
の水溶液に攪拌しながら混合することもできる。
【0013】 ポリマー分散物の基礎となるモノマー系およびモノマー比は、あまり重要では
なく、従来のラテックス製造法(分散物粉末の再乳化、乳化重合、懸濁重合、等
)と同様である。
【0014】 本発明の水性ポリマー分散物は、塗料、漆喰、ラッカーおよび接着剤に応用す
るのが好ましい。
【0015】 本発明を以下に実施例により説明するが、これらの例に限定するものではない
【0016】 例および比較例 篩残分の測定 対イオンに依存するラテックスの様々な安定性の尺度として、モデル分散物を
各種の塩基で中和した後に、いわゆる篩残分を測定する。より詳しくは、pH調
節の直後、乾燥庫中、50℃で14日間保存した後、ないし中和の直後に、強い
せん断負荷を2分間試料に加える。
【0017】 篩残分は、重合体分散物中の粗い点および凝析物の量に対応し、下記の様に測
定する。均質化した供試分散物試料100.0gを蒸留水500.0gで、泡が
生じない様に注意深く希釈する。続いてこの混合物を、予め風袋を計量した、脱
脂した鋼製網(高級鋼細線網番号375VA140K、「マルチ」型、製品番号
00100540−15、製造業者Fa. Haver & Boecker, 47400 Oelde/Westfal
en)を適切に張った、メッシュサイズ0.04mmの篩を通し、残留物を、試料
容器の洗浄(定量処理)に使用する蒸留水で泡が生じなくなるまで「後洗浄」す
る。濡れている篩を清浄なペトリ皿の上に載せ、105℃〜135℃で少なくと
も1時間乾燥させる。続いて、冷却した篩を再度計量し、正味から重量%を計算
する。表に示す値は、その様に行った二重測定の平均値に相当する。
【0018】 せん断安定性の測定 せん断安定性を測定するために、各分散物試料を、分散ディスク(直径5cm
)および金属容器(直径8.5cm、容積約800ml)を備えたCowles-Disso
lver中で、5000回転/分で120秒間せん断する。ラテックスが凝析した時
(粘度が極度に高くなる)、直ちにせん断を停止し、その時までに経過した時間
を記録する。せん断負荷をかけている際に分散物の凝析が起こらなかった場合、
分散物をねじ蓋の付いた500mlのガラスビンに移し、気泡が消えた後、上記
の様に篩残分を測定する。
【0019】 モデル分散物として、Clariant GmbHの下記の2種類の製品を選択した。 RMowilith LDM 7250、約50%は、アクリル酸およびメタクリル酸エステルを
基剤とする、可塑剤を含まない水性分散物であり、例えば光沢ホイルの内張りや
外張り用の接着剤として使用する。 RMowilith VDM 7830、約50%は、主要モノマーとしてアクリル酸エステルお
よびスチレンを基剤とする、やはり可塑剤を含まない水性分散物であり、家具工
業で装飾および仕上げホイルまたは垂直面の含浸に使用する。
【0020】 両ラテックス共、安定化コモノマーとしてアクリル酸およびメタクリル酸を含
み、これらの酸は、重合の後、通常は苛性ソーダ(RMowilith LDM 7250)ないし
水性アンモニア(RMowilith VDM 7830)で中和する。これらの両塩基に加えて、
試験では、表に示す化合物、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンおよび
本発明のN−メチルグルカミンを使用する。中和剤はすべて、pH値を約6.5
に調節するために、10%水溶液としてゆっくり攪拌しながら30℃で供試分散
物試料に滴下して加える。続いて、蒸留水を加えて固体含有量を一律の約48%
に調節する。
【0021】 例1: RMowilith LDM 7250 a)製造後 中和剤 NaOH NH3 H2N(CH2CH2OH) HN(CH2CH2OH)2 HN(CH3)R*) 固体含有量 48.2% 48.1% 47.8% 48.3% 48.0% pH値 6.5 6.7 6.4 6.7 6.3 篩残分 0.002% 0.002% 0.002% 0.001% <0.001% *) R=2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル残基 b)保存後 中和剤 NaOH NH3 H2N(CH2CH2OH) HN(CH2CH2OH)2 HN(CH3)R*) 篩残分 0.002% 0.005% 0.003% 0.004% <0.001% c)せん断負荷後 中和剤 NaOH NH3 H2N(CH2CH2OH) HN(CH2CH2OH)2 HN(CH3)R*) 篩残分 0.004% 0.006% 0.004% 0.004% 0.001%
【0022】 例2: RMowilith VDM 7830 a)製造後 中和剤 NaOH NH3 H2N(CH2CH2OH) HN(CH2CH2OH)2 HN(CH3)R*) 固体含有量 48.3% 48.0% 47.8% 48.1% 48.1% pH値 6.3 6.6 6.5 6.6 6.4 篩残分 0.004% 0.004% 0.003% 0.003% 0.001% *) R=2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシヘキシル残基 b)保存後 中和剤 NaOH NH3 H2N(CH2CH2OH) HN(CH2CH2OH)2 HN(CH3)R*) 篩残分 0.005% 0.007% 0.004% 0.005% 0.001% c)せん断負荷後 中和剤 NaOH NH3 H2N(CH2CH2OH) HN(CH2CH2OH)2 HN(CH3)R*) 篩残分 0.007% 0.008% 0.005% 0.006% 0.001%
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/00 C09J 201/00 C09J 105/00 C08J 3/03 201/00 Fターム(参考) 4F070 AA01 AA18 AA29 AA32 CA02 CB01 CB02 CB12 4J002 AB052 BG011 4J038 BA012 CC021 CG011 CG141 GA09 MA08 MA10 NA26 4J040 BA142 DB021 DF011 DF041 GA14 JA03 KA22

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰イオン系基を有するラテックス粒子を含んでなる水性ポリマー分散物であっ
    て、陰イオン系基の少なくとも一部が、対イオンとして、プロトン化された形態
    にあるアミノ化された糖アルコールを有することを特徴とする水性ポリマー分散
    物。
  2. 【請求項2】 アミノ化された糖アルコールとしてN−アルキルグルカミンまたはD−グルカ
    ミンを使用する、請求項1に記載の水性ポリマー分散物。
  3. 【請求項3】 アミノ化された糖アルコールとしてN−メチルグルカミンを使用する、請求項
    2に記載の水性ポリマー分散物。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性ポリマー分散物の製造法であって
    、アミノ化された糖アルコールの水溶液を、酸性の、ないし他の塩基ですでに部
    分的に中和したラテックス中に攪拌しながら混合することを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか一項に記載の水性ポリマー分散物の、塗料、漆喰、ラ
    ッカーおよび接着剤における使用。
JP2000612343A 1999-04-16 2000-04-13 安定性を強化した水性ポリマー分散物 Pending JP2002542344A (ja)

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