JP2002542201A - シュードマイシン抗真菌組成物およびその使用方法 - Google Patents

シュードマイシン抗真菌組成物およびその使用方法

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Abstract

(57)【要約】 シュードマイシンまたは関連する抗真菌剤とシクロデキストリンとの処方製剤を含有する、真菌感染を処置するための方法および組成物を記載する。組成物は、副作用を減少させるための医薬適用において特に有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、シュードマイシンまたはリポデプシデカペプチドと、シクロデキス
トリン、特にヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンまたはスルホブチル
エーテル−β−シクロデキストリンとの処方(製剤)を含む、真菌感染を処置す
るための方法および組成物に関する。
【0002】 (背景技術) 真菌感染は、疾患、生活の質の崩壊およびヒト(特に免疫無防備状態(易感染
性)の患者(immune compromised patient))の死因の重要な原因である。ヒト
における真菌感染の発病率は、過去20年の間に非常に増加している。これは、臓
器移植、癌の化学療法、AIDS、加齢および他の類似する疾患または状態によ
り免疫系が弱体化されたり障害を受けている人々の数が増加していることに一部
、起因している。このような患者は、人々の間に広まっており、機能している免
疫系では抑制された状態にある真菌病原体によって発症する傾向がある。既存の
抗真菌剤は非常に毒性が強いか、または真菌の活動を単に阻害するかのいずれか
なので、これらの病原体を制御することは困難である。例えば、ポリエン類は殺
真菌性であるが毒性であり;他方、アゾール類は毒性ははるかに低いものの単に
静真菌性を有するにすぎない。さらに重要なことには、近年、アゾールおよびポ
リエン耐性株のカンジダ(Candida)が報告されており、そのような株に対する
処置の選択肢は非常に制限されている。
【0003】 あるクラスの新規な抗真菌剤であるシュードマイシン(類)(pseudomycins)
は、種々の患者における真菌感染の処置に関して非常に有望とされている。シュ
ードマイシンはシュードモナス・シリンガエ(Psedomonas syringae)の単離物
に由来する天然産物である。P.シリンガエは、いくつかの生物活性物質(例えば
、バシトラシンおよびシリンゴマイシン(syringomycin))の供給源である、植
物細菌の大きい科(family)である。P.シリンガエの天然株およびトランスポゾ
ン生成型変異体は、抗真菌活性を有する化合物を産生する。MSU 16H(ATCC 6702
8)として知られるP.シリンガエ174の野生型株のトランスポゾン生成型の通
常の変異型は、いくつかのシュードマイシンを産生する。例えば、シュードマイ
シンA、B、CおよびC’はそれぞれ単離および精製されており、アミノ酸配列
決定、NMRおよび質量分析法を含む方法によりその構造が特徴付けられており
、ヒトおよび植物の両方において重要な真菌病原体に対する活性を含む広域スペ
クトルの抗真菌活性を有することが示されている。例えば、Ballioら“Novel bi
oactive lipodepsipeptides from Pseudomonas syringae: the pseudomycins”F
EBS Lett.355, 96-100 (1994)および米国特許第5,576,298号を参照の
こと。シュードマイシン、シリンゴマイシン、シリンゴトキシン(syringotoxin
)およびシリンゴスタチン(syringostatin)は、構造的に区別されるファミリ
ーの抗真菌化合物を示している。
【0004】 これまでのところ、抗真菌治療に有効であるP.シリンガエ由来のシュードマイ
シンおよび関連する(同族の)抗真菌剤の製剤は開発されていない。通常、シュ
ードマイシンの注射は、注射部位における刺激のような、許容しがたい有害な副
作用を伴う。特定のシュードマイシン製剤で観察される有害な副作用を伴わずに
真菌感染の処置のために使用し得るシュードマイシンまたは関連の抗真菌剤の組
成物に対する必要性が存在する。
【0005】 (発明の要旨) 本発明は、シュードマイシンまたは関連する抗真菌剤を、それらを必要とする
患者に投与するために有効な方法および組成物に関する。この方法は、シュード
マイシン(例えば、シュードマイシンB)または関連する抗真菌剤、およびヒド
ロキシプロピル−β−シクロデキストリンまたはスルホブチルエーテル−β−シ
クロデキストリンを含む組成物を有効量、投与することにより真菌感染を処置す
ることを含む。この方法は、真菌感染の症状の減少に有効であり、好ましくは感
染を引き起こす真菌を殺傷する。この方法は、カンジダ種、クリプトコッカス・
ネオフォーマンス(Cryptococcus neoformans)、アスペルギルス・フミガツス
(Aspergillus fumigatus)およびヒストプラズマ・カプスラツム(Histoplasma
capsulatum)を含む真菌感染に対して有効である。第2の実施態様において、
この方法は、シュードマイシン(例えば、シュードマイシンB)または関連する
抗真菌剤を、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンまたはスルホブチル
エーテル−β−シクロデキストリンを含む組成物中で投与することにより、シュ
ードマイシンまたは関連する抗真菌剤の注射の有害反応(副作用)を減少させる
。別の実施態様において、この方法は、毒性学的に関連する用量のシュードマイ
シン(例えば、シュードマイシンB)または関連する抗真菌剤を、シュードマイ
シンおよびヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンまたはスルホブチルエ
ーテル−β−シクロデキストリンを含む組成物中で投与することを含む。
【0006】 この方法における組成物は、シュードマイシン(例えば、シュードマイシンB
)または関連する抗真菌剤、およびヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリ
ンまたはスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンを含む。このような組
成物は真菌感染の症状の処置または軽減、シュードマイシン(例えば、シュード
マイシンB)または関連する抗真菌剤の注射の有害反応の減少、および毒性学的
に関連する用量のシュードマイシン(例えば、シュードマイシンB)または関連
する抗真菌剤の投与に有効である。この組成物は、シュードマイシンまたは関連
する抗真菌剤に対して過剰モル量、好ましくは少なくとも約2倍のモル過剰のシ
クロデキストリンを含有しており、経口投与に適している。この組成物は、組成
物の毒性を調整する塩化ナトリウム、マンニトールまたはデキストロースのよう
な賦形剤を含みうる。シュードマイシンまたはリポデプシデカペプチド抗真菌剤
あるいは製薬上許容されるそれらの塩、水和物またはエステルを、ヒドロキシア
ルキル−β−シクロデキストリンまたはスルホアルキルエーテル−β−シクロデ
キストリンと組み合わせて含む組成物は、真菌感染の処置のための医薬の製造に
有用であり得る。
【0007】 (定義) 本明細書中で使用される用語「シュードマイシン」とは、式I:
【化1】 (式中、Rは親油性部分である)] により表される化合物を意味する。親油性部分としては、C〜C15アルキル
、C〜C15ヒドロキシアルキル、C〜C15ジヒドロキシアルキル、C 〜C15アルケニル、C〜C15ヒドロキシアルケニルまたはC〜C15
ヒドロキシアルケニルが挙げられる。シュードマイシン化合物A、A’、B、B
’、C、C’は、上記の式IにおいてRが以下のように定義される。 シュードマイシンA R=3,4−ジヒドロキシテトラデカノイル シュードマイシンA’ R=3,4−ジヒドロキシペンタデカノエート シュードマイシンB R=3−ヒドロキシテトラデカノイル シュードマイシンB’ R=3−ヒドロキシドデカノエート シュードマイシンC R=3,4−ジヒドロキシヘキサデカノイル シュードマイシンC’ R=3−ヒドロキシヘキサデカノイル。
【0008】 本明細書中で使用する用語「リポデプシデカペプチド」とは、式II:
【化2】 (式中、Rは親油性部分である) で表される化合物を意味する。親油性部分としては、C〜C15アルキル、C 〜C15ヒドロキシアルキル、C〜C15ジヒドロキシアルキル、C〜C 15 アルケニル、C〜C15ヒドロキシアルケニルまたはC〜C15ジヒド
ロキシアルケニルが挙げられる。好ましくは、親油性部分はC11アルキルであ
る。アルキル、ヒドロキシアルキル、ジヒドロキシアルキル、アルケニル、ヒド
ロキシアルケニルまたはジヒドロキシアルケニル基は、分枝または非分枝であり
得る。好ましくは、デプシデカペプチド環のアミノ酸配列は、スレオニン−アラ
ニン−スレオニン−グルタミン−ホモセリン−デヒドロアミノ酪酸−アラニン−
デヒドロアラニン−スレオニン−アルギニン(これは本明細書中「25−B1デ
カペプチド」と称する)または「Thr−Ala−Thr−Gln−Xaa−X
aa−Ala−Xaa−Thr−Arg(配列番号1)」である。本明細書中で
用いる用語「25−B1デカペプチド抗真菌剤A」とは、好ましいアミノ酸配列
である配列番号1を有する特定のデプシデカペプチドを意味し、Rは非分枝型C 11 アルキル(すなわち、R=−(CH10CH)である。
【0009】 上記のシュードマイシンおよび関連するシュードマイシン(例えば、リポデプ
シデカペプチド)の誘導体またはアナログもまた、本発明の範囲内にあるとみな
される。特定の構造について上に記載したが、他の立体異性体およびジアステレ
オマーもまた、本発明の範囲内にあると意図される。
【0010】 (詳細な説明) (シュードマイシンおよび関連する抗真菌剤) 本明細書中で使用するシュードマイシン(PS)とは、細菌シュードモナス・
シリンガエから単離されている抗真菌剤のファミリーの1つ以上のメンバーを意
味する。シュードマイシンはリポデプシペプチドであり、1つ以上の珍しい(変
わった)アミノ酸を含み、1つ以上の付属する疎水性または脂肪酸側鎖を有する
環状ペプチドである。具体的には、シュードマイシンはラクトン結合により閉環
した環状ペプチド部分を有するリポデプシナノペプチドであり、珍しいアミノ酸
である4−クロロスレオニン(ClThr)、3−ヒドロキシアスパラギン酸(
HOAsp)、2,3−デヒドロ−2−アミノ酪酸(Dhb)および2,4−ジ
アミノ酪酸(Dab)を含む。これらの珍しいアミノ酸はシュードマイシンの生
物学的な特徴(例えば、血清中での安定性および殺傷作用)に関連すると考えら
れている。シュードマイシンには、シュードマイシンA、シュードマイシンA’
、シュードマイシンB(PSB)、シュードマイシンB’、シュードマイシンC
およびシュードマイシンC’が含まれる。これらのシュードマイシンは、それぞ
れ、同一の環状ペプチド核を有するが、この核に結合した疎水性側鎖部分で異な
っている。
【0011】 シュードマイシンA、A’、B、B’、CおよびC’は、それぞれ単離および
精製されており、それらの構造は、配列決定、NMRおよび質量分析法を含む方
法により特徴付けられている。例えば、Strobelらの米国特許第5,57
6,298号(1996年11月19日発行);Harrisonら、“Pseudomycins,
a family of novel peptides from Pseudomonas Syringae possessing broad-sp
ectrum antifungal activity”J. Gen. Microbiology 137, 2857-2865(1991);B
allioら、“Novel bioactive lipodepsipeptides. from Pseudomonas syringae:
the pseudomycins”FEBS Lett.355, 96-100(1994);およびCoiro, V. M.ら、“
Solution conformation of the Pseudomonas syringae MSU 16H phytotoxic lip
odepsipeptide Pseudomycin A determined by computer simulations using dis
tance geometry and molecular dynamics from NMR data”Eur. J. Biochem., 2
57(2), 449-456(1998)を参照のこと。シュードマイシンに起因する抗真菌活性は
、カナマイシン耐性をコードするTn903として知られているP.シリンガエ保有ト
ランスポゾンに由来する。トランスポゾンTn903の配列およびその操作方法は公
知である。Okaら、J. Mol. Biol. 147, 217-226 (1981);“Nucleotide sequenc
e of the kanamycin resistance transposon Tn 903”。P.シリンガエの種々の
株を増殖させる方法および抗真菌剤(例えばシュードマイシン)を製造する際の
それらの使用は、米国特許出願第PCT/US00/08728号、Matthew D. Hiltonら、表
題「Pseudomycin Production By Pseudomonas Syringae」(本出願と同日出願)
に開示されており、そして寄託されている生物材料からのシュードマイシンおよ
びリポデプシデカペプチドの生産に関しては以下に記載する(実施例を参照のこ
と)。シュードマイシンA’およびB’は、米国特許出願第PCT/US00/08727号[
Palaniappan Kulanthaivelら、表題「Pseudomycin Natural Products」(本出願
と同日出願)]に記載されており、後述の一般的な手順を使用して製造され得る
。この章に引用される参考文献を、特に、本明細書中に参照して組み込む。
【0012】 シュードマイシンは、構造および特性が異なる。シュードマイシンは、広範な
種々の真菌に対する活性を示し、また、一般的に許容し得る毒性を示す。他のシ
ュードマイシンと比較すると、シュードマイシンBは特定の真菌に対してより強
力な効力を有し、より低いレベルの毒性を有する。従って、本発明の製剤および
方法に関しては、シュードマイシンBが好ましい。シュードマイシンBの構造は
上記の式I(式中、R=3−ヒドロキシテトラデカノイル)により表される。シ
ュードマイシンBは、配列Ser-Dab-Asp-Lys-Dab-Thr-Dhb-HOAsp-ClThr、より具
体的には、L-Ser-D-Dab-L-Asp-L-Lys-L-Dab-L-aThr-Z-Dhb-L-Asp(3-OH)-L-Thr(4
-Cl)を有する環状ノナペプチド環を有し、これはClThrのカルボキシル基とセリ
ンのヒドロキシル基とがラクトン結合で閉環している。セリンのアミン基は、3-
モノヒドロキシテトラデカノイル部分のカルボキシルとアミド結合を形成する。
セリンのカルボキシル基は環のDabとアミド結合を形成する。
【0013】 本明細書中で使用するシュードマイシンに関連するに抗真菌剤には、シュード
モナス・シリンガエにより産生されるリポデプシデカペプチド抗真菌剤が挙げら
れる。このクラスの化合物の代表である25-B1デカペプチド抗真菌剤Aは精製さ
れ、構造が決定されている。リポデプシデカペプチド抗真菌剤(例えば、25-B1
デカペプチド抗真菌剤A)は、米国特許出願第PCT/US00/08724号、Palaniappan
kulanthaivelら、表題「Antifungal Agents isolated From pseudomonas Syring
ae」(本出願と同日出願)に記載されており、以下に記載する一般的な手順を使
用して産生され得る。この特許出願を、本明細書中に参照して具体的に組み込む
【0014】 (シュードマイシン産生方法) 野生型または変異株のP.シリンガエから1つ以上のシュードマイシンを産生す
るために、生物を、3種類以下のアミノ酸を有効な量で含む水性栄養培地中で攪
拌しながら培養する。好ましくは、3種類以下のアミノ酸はグルタミン酸、グリ
シン、ヒスチジンまたはそれらの組み合わせである。1つの好ましい実施態様に
おいて、このアミノ酸には、グリシンおよび場合により1つ以上のポテト産物お
よび脂質が含まれる。培養は、P.シリンガエの増殖および所望のシュードマイシ
ンの産生に有効な条件下で行われる。有効な条件としては、約22℃〜約27℃
の温度、および約36時間〜約96時間の時間が挙げられる。本明細書中に記載
したような培地で培養すると、P.シリンガエは約10〜15g/L乾燥重量の細胞
密度まで増殖し、シュードマイシンを少なくとも合計約10μg/mL、好ましくは
少なくとも約40μg/mL、より好ましくは約500μg/mL以上産生することが
できる。
【0015】 P.シリンガエの培養の間、培地中の酸素濃度を制御することは、シュードマイ
シンの産生にとって有利である。好ましくは、酸素レベルを約5%〜約50%飽
和、より好ましくは約30%飽和に維持する。空気、純粋な酸素、または酸素を
含む気体混合物を散布することにより、培地中の酸素濃度を調節することができ
る。さらに、攪拌速度を調整することにより酸素移動速度を調節することができ
る。
【0016】 P.シリンガエの培養の間に培地のpHを制御することは、シュードマイシンの
産生に有利である。シュードマイシンは塩基性のpHでは不安定であり、約12時
間以上の間、培養培地のpHが約6を超えると重篤な分解が生じ得る。好ましくは
、培養培地のpHは約6未満、より好ましくは約5.5未満で維持され、最も好ま
しくは4.0より上で維持される。好ましくは、pHは約5〜約5.4、より好ま
しくは約5.0〜約5.2で維持される。本発明に対する限定ではないが、塩基
性pHでのシュードマイシンの分解はラクトン環の開裂およびClの遊離に起因す
ると考えられている。
【0017】 P.シリンガエは、バッチ培養で増殖させると1種以上のシュードマイシンを産
生し得る。しかしながら、グルコース、および場合によりpHを制御するための酸
または塩基(例えば、水酸化アンモニウム)の流加培養法(フェッドバッチ、fe
d-batch)または半連続供給培養は、シュードマイシンの産生を増強する。P.シ
リンガエによるシュードマイシン産生は、グルコースおよび、場合によりpHを制
御するための酸または塩基(例えば、水酸化アンモニウム)を自動的に供給する
連続供給法を使用することにより、さらに増強することができる。
【0018】 P.シリンガエを使用することにより1つ以上のシュードマイシンを実質的な量
で製造することができる。すなわち、1つ以上のシュードマイシンの総量は、少
なくとも約200μg/mL〜約900μg/mL、好ましくは約600μg/mL〜約90
0μg/mL、より好ましくは約800μg/mL〜約900μg/mLである。シュードマ
イシンAの産生に関しては、シュードマイシンAは、好ましくは少なくとも総量
約10μg/mL〜約400μg/mL、より好ましくは約300μg/mL〜約400μg/
mL、もっとも好ましくは約350μg/mL〜約400μg/mLで産生される。シュー
ドマイシンBの産生に関しては、シュードマイシンBは、好ましくは少なくとも
総量約10μg/mL〜約300μg/mL、より好ましくは約200μg/mL〜約300
μg/mL、もっとも好ましくは約250μg/mL〜約300μg/mLで産生される。シ
ュードマイシンCの産生に関しては、シュードマイシンCは、好ましくは少なく
とも総量約5μg/mL〜約100μg/mL、より好ましくは約5μg/mL〜約50μg/
mL、もっとも好ましくは約10μg/mL〜約50μg/mLで産生される。シュードマ
イシンC’の産生に関しては、シュードマイシンC’は、好ましくは少なくとも
総量約1μg/mL〜約50μg/mL、より好ましくは約10μg/mL〜約50μg/mL、
もっとも好ましくは約30μg/mL〜約50μg/mLで産生される。シュードマイシ
ンA’および/またはB’の産生のための有効な条件には、約22℃〜約27℃
、および約36時間〜約96時間の間の時間が挙げられる。本明細書中に記載さ
れる培地で培養する場合、P.シリンガエは約10〜15g/Lの乾燥重量の細胞密
度まで増殖することができ、そしてシュードマイシンA’および/またはB’を
少なくとも合計約10μg/mL産生することができる。
【0019】 P.シリンガエ株の選択は、本明細書中に記載の条件下での培養により産生され
るシュードマイシンの量および分布に影響を与え得る。例えば、株MSU 16Hおよ
び67 H1、ならびに類似の株は、それぞれ主にシュードマイシンAを産生するが
、シュードマイシンBおよびCも、一般に、ほぼ4:2:1の比で産生する。し
かしながら、株67 H1および類似の株は、普通、株MSU 16Hにより産生される場合
よりも約3〜5倍高いレベルでシュードマイシンを産生する。株MSU 16Hおよび6
7 H1と比較すると、株25-B1および類似の株はシュードマイシンBをより多く、
そしてシュードマイシンCをより少なく産生する。株7H9-1および類似の株は主
にシュードマイシンBを産生するという点で特徴的であり、他の株よりも大量の
シュードマイシンBを産生する。例えば、この株はシュードマイシンBを、シュ
ードマイシンAまたはCのいずれかよりも少なくとも10倍過剰に産生することが
できる。シュードマイシンA’および/またはシュードマイシンB’は、P.シリ
ンガエの変異体から産生され得る。変異体は、シュードマイシンA’および/ま
たはB’を過剰産生する、シュードマイシンA’および/またはB’を他のシュ
ードマイシンよりも過剰に産生する、あるいは増殖に有利な条件下でシュードマ
イシンA’および/またはB’を産生する変異株を作製するのに有効な量の突然
変異誘発剤で細菌を処理することにより作製される。用いられる突然変異誘発剤
のタイプおよび量は変更され得るが、好ましい方法は、1〜100μg/mlの範囲
のレベルまでNTGを段階希釈することである。変異体はシュードマイシンA’
および/またはB’を、好ましくは少なくとも約10μg/mLまで過剰産生する。
【0020】 シュードマイシンまたはシュードマイシンの混合物は、それぞれ、当業者に公
知の種々の方法のいずれかにより、検出され、測定され、単離され、および/ま
たは精製され得る。例えば、ブロス中または単離もしくは精製された組成物中で
のシュードマイシンの活性のレベルは、カンジダのような真菌に対する抗真菌作
用により測定され得る。シュードマイシンの調製および分析に関する多数の方法
が公知である。例えば、HPLCのようなクロマトグラフィーにより1つ以上のシュ
ードマイシンを単離し、精製することができる。
【0021】 (P.シリンガエリポデプシデカペプチドの製造方法) P.シリンガエの野生型または変異株から1つ以上のP.シリンガエリポデプシデ
カペプチド(例えば、25-B1デカペプチド抗真菌剤A)を産生するため、生物を
、有効な量の3種類以下のアミノ酸を含む水性栄養培地中で攪拌しながら培養す
る。好ましくは、3種類以下のアミノ酸はグルタミン酸、グリシン、ヒスチジン
またはそれらの組み合わせである。1つの好ましい実施態様において、このアミ
ノ酸には、グリシンおよび場合により1つ以上のポテト産物および脂質が含まれ
る。培養は、P.シリンガエの増殖および所望のP.シリンガエリポデプシデカペプ
チド(例えば、25-B1デカペプチド抗真菌剤A)の産生に有効な条件下で行われ
る。有効な条件としては、約22℃〜約27℃の温度、および約36時間〜約9
6時間の時間が挙げられる。本明細書中に記載したような培地で培養すると、P.
シリンガエは約10〜15g/Lの乾燥重量の細胞密度まで増殖することができ、
そしてP.シリンガエリポデプシデカペプチド(例えば、25-B1デカペプチド抗真
菌剤A)を、少なくとも合計約10μg/mL、好ましくは約50μg/mL産生するこ
とができる。
【0022】 P.シリンガエの培養の間の培地中の酸素濃度の制御は、P.シリンガエリポデプ
シデカペプチド(例えば、25-B1デカペプチド抗真菌剤A)の産生に有利である
。好ましくは、酸素レベルを約5%〜約50%飽和で、より好ましくは約30%
飽和に維持する。空気、純粋な酸素、または酸素を含む気体混合物を散布するこ
とにより、培地中の酸素濃度を調節することができる。さらに、攪拌速度の調整
は酸素移動速度を調整するために使用され得る。
【0023】 P.シリンガエの培養の間、培地のpHを制御することは、P.シリンガエリポ
デプシデカペプチド(例えば、25-B1デカペプチド)抗真菌剤Aの産生に有利で
ある。培養培地のpHは約6未満、および4.0より上で維持される。
【0024】 P.シリンガエは、バッチ培養で増殖させるとP.シリンガエリポデプシデカペプ
チド(例えば、25-B1デカペプチド抗真菌剤A)を産生し得る。しかしながら、
グルコース、および場合によりpHを制御するための酸または塩基(例えば、水酸
化アンモニウム)のフェッドバッチまたは半連続供給により、P.シリンガエリポ
デプシデカペプチド(例えば、25-B1デカペプチド抗真菌剤A)の産生を増強す
る。P.シリンガエによるP.シリンガエリポデプシデカペプチド(例えば、25-B1
デカペプチド抗真菌剤A)の産生は、さらに、グルコースおよび、場合によりpH
を制御するための酸または塩基(例えば、水酸化アンモニウム)が自動的に供給
される連続培養法を使用することにより、増強することができる。好ましくは、
pHは、約5〜約5.4、より好ましくは約5.0〜約5.2に維持される。
【0025】 P.シリンガエ株の選択は、本明細書中に記載の条件下での培養により産生され
るP.シリンガエリポデプシデカペプチド(例えば、25-B1デカペプチド抗真菌剤
A)の量および分布に影響を与え得る。例えば、株25 B1は、主に25-B1デカペプ
チド抗真菌剤Aを産生し得る。
【0026】 P.シリンガエリポデプシデカペプチドの環状デカペプチド核は、親油性部分を
、例えば、脱アシル化により開裂することにより製造されうる。開裂および脱ア
シル化方法は、デアシラーゼ酵素の使用のように当業者に周知である。
【0027】 (シクロデキストリン) 本明細書中で使用する「シクロデキストリン」は、環状α(1→4)結合型D
−グルコピラノース単位を含む化合物を意味する。代表的には、シクロデキスト
リンはデンプンに対するアミラーゼの作用により形成される。α−シクロデキス
トリンは、6環式結合型D−グルコピラノース単位を有するシクロデキストリン
を意味し、β−シクロデキストリンは7環式結合型D−グルコピラノース単位を
有し、そしてγ−シクロデキストリンは8環式結合型D−グルコピラノース単位
を有する。これらの環式結合型D−グルコピラノース単位は、疎水性中空部分を
規定し、そしてシクロデキストリンは、固体状態または水溶液中のいずれかで他
の有機分子、塩およびハロゲンとの抱接化合物を形成することが知られている。
ほとんどの天然の置換されていないシクロデキストリンは、医薬組成物中で許容
できない毒性を示し、一旦患者の血流に入ると簡単には排除することができない
。シクロデキストリンを製造する方法は当業者に周知である。
【0028】 シクロデキストリンには、置換型シクロデキストリンが含まれる。本明細書中
で使用される「置換型シクロデキストリン」とは、シクロデキストリン上の1ヵ
所以上の位置への側鎖の付加により形成されるシクロデキストリンの誘導体を意
味する。側鎖は有機部分またはへテロ有機部分であり得る。置換型シクロデキス
トリンには、アルキル化されている、ヒドロキシアルキル化されている、または
スルホアルキルエーテルを形成するように反応しているようなシクロデキストリ
ンが挙げられる。置換型シクロデキストリンとしては、ヒドロキシプロピルシク
ロデキストリン、ヒドロキシエチルシクロデキストリン、グルコシルシクロデキ
ストリン、マルトシルシクロデキストリンおよびスルホブチルエーテルシクロデ
キストリンが挙げられる。シクロデキストリン誘導体を製造する方法は当該分野
において公知であり、特定の方法が米国特許第4,727,064号(Pith
aら、1988年2月23日発行)および同第5,134,127号(Stel
laら、1992年7月28日発行)、欧州特許出願公開番号0499322A
1およびPithaら、Int.J.Pharm.,29、73〜82(198
6)に記載されている。この段落に引用した文献の開示は、それぞれ、本明細書
中に参照して具体的に組み込む。
【0029】 シクロデキストリンは、構造および特性が異なる。例えば、疎水性中空部分の
サイズ(例えば、直径および深さ)ならびに官能性(例えば、疎水性、電荷、反
応性および水素結合し得る能力)は、置換型および非置換型α−、β−およびγ
−シクロデキストリンの間で異なっている。代表的には、製剤に関して選択した
シクロデキストリンは、他の製剤の成分に適合する(compliment)サイズおよび
官能性を有する。本発明の製剤および方法に関しては、ヒドロキシアルキルシク
ロデキストリンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリンのような置換
型シクロデキストリンは、他の製剤の成分(例えば、シュードマイシンBのよう
なシュードマイシンまたは関連する抗真菌剤)に適合するサイズおよび官能性を
有すると考えられている。好ましいシクロデキストリンとしては、ヒドロキシプ
ロピル−β−シクロデキストリン(HP-CD)およびスルホブチルエーテル−β−
シクロデキストリン(SBE-CD)が挙げられる。
【0030】 スルホブチルエーテルシクロデキストリンは市販されており、そして当該分野
において公知の方法により合成され得る。本明細書中の場合、スルホブチルエー
テルシクロデキストリン、すなわちSBE-CDとは、代表的には平均約1〜約8個、
好ましくは約6〜約7個のスルホブチルエーテル基を、β−シクロデキストリン
環の2、3および6位に含むβ−シクロデキストリンのスルホブチルエーテル誘
導体を意味する。ヒドロキシプロピルシクロデキストリンは市販されており、当
該分野において公知の方法により合成され得る。本明細書中で使用されるヒドロ
キシプロピルシクロデキストリン、すなわちHP-CDとは、代表的には平均約8個
の2−ヒドロキシプロピル基をβ−シクロデキストリン環の2、3および6位に
含むβ−シクロデキストリンの2−ヒドロキシプロピル誘導体を意味する。
【0031】 (シュードマイシンおよび関連する抗真菌剤の生物学的活性) シュードマイシンは、種々の真菌(例えば、植物および動物の真菌病原体)を
殺傷する活性を含む、いくつかの生物学的活性を有する。特に、シュードマイシ
ンまたは関連する抗真菌剤は、免疫妥協個体において日和見感染を引き起こす真
菌に対して活性な抗糸状菌剤である。これらの真菌には、クリプトコッカス・ネ
オフォーマンス、アスペルギルス・フミガツス、ヒストプラズマ・カプスラツム
ならびにC.パラプシロシス(parapsilosis)、C. アルビカン(albicans)、C.
グラブラタ(glabrata)、C. トロピカリス(tropicalis)ならびにC.クルセイ
(krusei)を含む種々の種のカンジダが挙げられる。真菌、特に真菌病原体の増
殖を阻害するよりも殺傷することが望ましくかつ好ましいシュードマイシンの生
物学的活性である。
【0032】 シュードマイシンはまた、リンコスポリウム・セカリス(Rynchosporium seca
lis)、セラトシスティス・ウルミ(Ceratocystis ulmi)、リゾクトニア・ソラ
ニ(Rizoctonia solani)、スクレロチニア・スクレロチルム(Sclerotinia scl
erotiorum)、バーチシリウム・アルボ−アトラム(Verticillium albo-atrum)
、バーチシリウム・ダーリアエ(Verticillium dahliae)、チエラビオピス・バ
シコラ(Thielaviopis basicola)、フサリウム・オキシスポルム(Fusarium ox
ysporum)およびフサリウム・クルモルム(Fusarium culmorum)を含む広範囲の
植物病原性真菌に対して毒性を示している(Harrison, L.ら、「Pseudomycins,
a family of novel peptides from Pseudomonas syringae possessing broad-sp
ectrum antifungal activity」J of General Microbiology, 7, 2857-2865 (199
1)を参照のこと)。さらに、P.シリンガエMSU 16Hは、セラトシスティス・ウル
ミ(これはニレ立ち枯れ病の原因因子である)に感染したニレにおいて、野生株
よりも強い保護を付与することを示した(例えば、Lamら、Proc. Natl. Sci. US
A, 84,6447-6451 (1987)を参照のこと)。
【0033】 シュードマイシンまたは関連する抗真菌剤は、特定の有害な生物学的活性、ま
たは有害(副)作用(adverse effect)を有する。本明細書中で使用する、シュ
ードマイシンまたは関連する抗真菌剤の有害作用とは、シュードマイシンまたは
関連する抗真菌剤の注射部位で、またはその周辺で生じる副作用を意味する。特
に重要なものは、シュードマイシン(例えば、シュードマイシンB)または関連
する抗真菌剤の副作用である。例えば、シュードマイシン(例えば、シュードマ
イシンB)の酢酸緩衝液製剤中での静脈内注射により、シュードマイシンが注射
される静脈に損傷が生じる。静脈の外側(すなわち管外遊出)で、シュードマイ
シンは注射部位に近い組織に損傷を与える。シュードマイシン(例えば、シュー
ドマイシンB)の、静脈および周辺組織に対する副作用には、静脈内皮の破壊、
組織破壊、炎症および宿主組織に対する局所的な毒性が挙げられる。本発明を制
限するわけではないが、シュードマイシンの静脈内注射は血管上皮の損失および
シュードマイシンの管外遊出を生じ、次いで静脈の周辺組織に対する副作用を生
じると考えられている。
【0034】 (シュードマイシンまたは関連する抗真菌剤の処方および抗真菌作用) 多数の異なるシュードマイシン(例えば、シュードマイシンB)または関連す
る抗真菌剤の製剤(酢酸緩衝液製剤、生理食塩水製剤、マイクロエマルジョン製
剤、エマルジョン製剤、ポビドン(Povidone)K12複合体製剤およびミセル製剤
を含む)の注射から、副作用が生じる。これらのビヒクルを用いて観察される副
作用のために、抗真菌に有効な量のシュードマイシンの投与が阻害される。代表
的には、副作用によりシュードマイシンまたは関連する抗真菌剤の投薬の休止が
、ほんの1回または少数回の注射の後、十分な抗真菌効果が得られる前に必要と
なる。より穏やかな形であっても、このような注射部位での副作用は、患者の有
効な投薬レジメに対するコンプライアンスを妨害し得る。従って、シュードマイ
シンまたは関連する抗真菌剤を利用する有効な抗真菌法には、反復投与量の投与
を可能とする製剤が必要である。そのような製剤は、シュードマイシンまたは関
連する抗真菌剤の、少なくとも約0.01mg/kg、好ましくは0.1mg/kgより
多く、好ましくは約0.1〜約5mg/kg、より好ましくは約0.1〜0.5mg/
kgでの反復投与量の投与を可能とし、注射部位での許容不可能な副作用を伴わな
い。
【0035】 また、観察される副作用は、シュードマイシン(例えば、シュードマイシンB
)または関連する抗真菌剤を、最大寛容投薬量(すなわち、宿主において重篤な
全身毒性または標的器官毒性を引き起こす最も低い投薬量)に近い用量で投与す
ること妨げる。このような高用量のシュードマイシンは、代表的には、約0.5
mg/kg、好ましくは約5mg/kg、より好ましくは約5〜約25−50mg/kgであ
る。酢酸緩衝液のようなビヒクル中ではシュードマイシンの単回投与でさえ副作
用を引き起こし、これはシュードマイシンまたは関連する抗真菌剤のさらなる投
与を妨害する。このような副作用は、シュードマイシンまたは関連する抗真菌剤
の毒性学的に関連した投薬量の投与を阻害し得る。そのことにより、抗真菌剤に
関する適切な毒性学的パラメータの測定が妨げられる。また、このような高用量
は、シュードマイシン(例えば、シュードマイシンB)または関連する抗真菌剤
に対して寛容性または耐性の株または生物に関する真菌感染の治療に必要でもあ
る。
【0036】 シュードマイシン(例えば、シュードマイシンB)または関連する抗真菌剤を
、シクロデキストリン(例えば、HP-CD、SBE-CDまたは類似のシクロデキストリ
ン)とともに処方することにより、薬剤の有効な抗真菌的なまたは毒性学的な投
薬が可能となる。このような製剤(処方)は、シュードマイシンまたは関連する
抗真菌剤注射の副作用を減少または予防する。シュードマイシンBは、水溶液に
少なくとも約15mg/mLまで可溶性であり、通常、この抗真菌剤の可溶性を上昇
させるためには、シクロデキストリンは必要でない。シュードマイシンBおよび
HP-CDまたはSPE-CDは、注射用生理食塩水のような水性ビヒクル、または公知の
マンニトールもしくはデキストロースビヒクル中に、適切な濃度で容易に溶解す
ることができる。要すれば製剤の毒性(toxicity)を、例えば、NaClを用いて調
整し、適切な生理学的な範囲内にする。
【0037】 好ましくは、HP-CD、SBE-CDまたは類似のシクロデキストリンと併用するシュ
ードマイシン(例えば、シュードマイシンB)または関連する抗真菌剤の製剤(
処方)は、シュードマイシンを約0.05mg/mL〜約20mg/mL、好ましくは、
約1〜約15mg/mLで含む。この製剤は、HP-CD、SBE-CDまたは類似のシクロデ
キストリンをシュードマイシンまたは関連する抗真菌剤の注射による副作用を減
少させるため、およびこの抗真菌剤の毒性学的または抗真菌的な投薬を可能にす
るために有効な量で含む。代表的には、HP-CD、SBE-CDまたは類似のシクロデキ
ストリンは、約0.5重量%(wt/vol溶液)〜約6重量%、好ましくは約1重
量%〜約5重量%、好ましくは約2重量%で製剤中に存在する。HP-CD、SBE-CD
または類似のシクロデキストリンは、シュードマイシン(例えばシュードマイシ
ンB)または関連する抗真菌剤に対して過剰モル、好ましくは少なくとも約2〜
4倍モル過剰で存在することが好都合である。このような有効な毒性学的または
抗真菌的な製剤の投薬は、約1〜7日間の間、1日あたり少なくとも約1〜5回
、好ましくは約2〜3回の注射で、注射部位での許容され得ない副作用を伴わず
に行われる。
【0038】 本発明を制限するわけではないが、シュードマイシンまたは関連する抗真菌剤
の注射の際の副作用は、部分的には薬剤の可溶性凝集物の影響に起因していると
考えられている。例えば、シュードマイシン(例えば、シュードマイシンB)ま
たは関連する抗真菌剤はペプチド環および長鎖脂肪酸(long fatty chain)を含
み、そして長鎖脂肪酸は水溶液中または血液中でミセルの形成を誘発し得ると考
えられている。このモデルに従い、シュードマイシンまたは関連する抗真菌剤の
可溶性凝集物のサイズを減少させることが望ましい。このことは、シュードマイ
シンまたは関連する抗真菌剤を凝集させる刺激を減少するためにビヒクルの成分
を操作することにより果たし得る。あるいは、ビヒクルは、シュードマイシンま
たは関連する抗真菌剤と複合体を形成し、凝集物が静脈および周辺組織を傷つけ
るのを防ぐ薬剤を含有することができる。このモデルに従い、例えば、シュード
マイシンまたは関連する抗真菌剤の脂肪鎖と、シクロデキストリンまたは置換型
シクロデキストリンとの複合体は、シュードマイシンまたは関連する抗真菌剤の
、注射部位での副作用を引き起こさない形態を提供しうる。
【0039】 有効な抗真菌的な量で投与する場合、シュードマイシン(例えば、シュードマ
イシンB)または関連する抗真菌剤と、シクロデキストリン(例えば、HP-CDま
たはSPE-CD)との組成物は、真菌感染の苦痛を減少し、真菌感染に伴う症状を減
少し、そして真菌感染の排除をもたらし得る。シュードマイシンは単に真菌の増
殖を減少させるというよりも真菌を殺傷することができるので、真菌感染が排除
され得る。
【0040】 シュードマイシン(例えば、シュードマイシンB)または関連する抗真菌剤お
よびHP-CD、SBE-CDまたは類似のシクロデキストリンの製剤を用いる抗真菌療法
を必要とする典型的な患者は、高熱のような重篤な感染症状を有し、そしておそ
らく集中的または重大な介護下にある。種々の真菌が重篤な感染を引き起こし得
る。例えば、カンジダは粘膜感染および深刻な全身感染を引き起こし、そしてこ
れにはアゾールおよびポリエン抗真菌剤に耐性である株が存在する。アスペルギ
ルスは、生命を脅かす全身感染を引き起こす。クリプトコッカスは髄膜炎の原因
菌である。このような深刻な真菌感染は、例えば、器官または骨髄移植を受けた
患者、癌の化学療法を受けている患者、大きな手術から回復中の患者、またはHI
V感染に罹患している患者のような、免疫無防備状態の患者で起こり得る。
【0041】 抗真菌療法としては、感染を停止させるためのシュードマイシン(例えば、シ
ュードマイシンB)または関連する抗真菌剤およびHP-CD、SBE-CDまたは類似の
シクロデキストリンの製剤の、数日間にわたる投与(通常、非経口投与、好まし
くは静脈内投与)が挙げられる。ほとんどの真菌感染に関して、感染症状の減少
は、熱の低下、意識の回復、および患者の幸福な(健康)状態の改善(increase
d well being)(例えば、患者が良好に行動するおよび気分がよい)を含む。好
ましくは、症状は真菌を殺傷して感染を取り除くか、または感染を、患者が許容
できる、もしくは患者の免疫系により制御されるレベルにすることにより減少さ
れる。
【0042】 (シュードマイシンまたは関連する抗真菌剤の製剤およびシクロデキストリン
を含む医薬組成物) また、シュードマイシン(例えば、シュードマイシンB)または関連する抗真
菌剤およびシクロデキストリン(例えば、SBE-CDまたはHP-CD)の製剤を含む医
薬組成物には、担体、賦形剤、ビヒクルおよび他の添加物を含有し得る。製剤は
、石油、動物、植物または合成起源のオイルを含む種々のオイル(例えば、ピー
ナッツオイル、大豆油、鉱油およびごま油)のような添加物を含有しうる。適切
な医薬用賦形剤としては、デンプン、セルロース、グルコース、ラクトース、シ
ョ糖、ゼラチン、麦芽、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、
モノステアリン酸グリセロール、塩化ナトリウム、乾燥脱脂乳、グリセロール、
プロピレングリコール、水およびエタノールが挙げられる。組成物は、常法の製
薬手段(例えば、滅菌)に供され得、従来的な医薬添加物(例えば、保存剤、安
定化剤、湿潤剤もしくは乳化剤、浸透圧を調節するための塩および緩衝液)を含
み得る。適切な医薬担体およびその製剤は、文献(Martin、「Remington's Phar
maceutical Sciences」第15版、Mack Publishing Co., Easton (1975)、例えば
、1405-1412頁および1461-1487頁を参照のこと)に記載されている。一般的に、
このような組成物は、宿主への適切な投与に適した適当な投薬形態を製造するの
に有効な量の活性化合物を、適切な量の担体と共に含む。
【0043】 一般に、組成物は真菌の複製を阻害するのに有効な量で、その必要性のある患
者[ヒトまたはネコ、ウマおよびウシを含む哺乳動物(これは決して限定ではな
い)および鳥類を含む他の動物]に投与される。全身投与に関しては、成人の処
置に使用される日用量は、投与経路および患者の状態に依存して、例えば、活性
成分5mg〜5000mg、好ましくは50mg〜2000mgの範囲であり、それを1
〜5日間毎日投与することができる。組成物が投薬単位を含む場合、各単位は、
活性成分を、好ましくは2mg〜2000mg、例えば、50mg〜500mg含有する
。深刻な感染については、例えば、活性成分0.01〜10mg/kg/時間の静脈
内注入により、化合物を投与し得る。
【0044】 (シュードマイシン−シクロデキストリン製剤の使用) また、本発明は、本発明の医薬組成物を含み、本発明の方法により使用される
キットを包含する。キットは、乾燥形または液体形のいずれかの形態で、本発明
の製剤と適切な担体とを含有するバイアルを含みうる。さらに、このキットはバ
イアル上のラベルの形態、および/またはバイアルを収納している箱内に挿入し
た形態で、化合物の使用および投与に関する説明書を含む。説明書はまた、バイ
アルが入っている箱の上に印刷されていてもよい。説明書は、当業者が薬物を投
与できるように、十分な投薬量および投与に関する情報のような情報を含んでい
る。当業者には、医者、看護婦または薬物を投与する可能性のある技師が含まれ
ると考えられる。
【0045】 また、本発明は、シュードマイシン(例えば、シュードマイシンB)または関
連する抗真菌剤およびシクロデキストリンの製剤を含む医薬組成物に関し、これ
は注射による投与に適している。本発明に従えば、シュードマイシン(例えば、
シュードマイシンB)または関連する抗真菌剤およびシクロデキストリンの製剤
を、注射による投与に適した形態のシュードマイシン(例えば、シュードマイシ
ンB)または関連する抗真菌剤およびシクロデキストリンの組成物を製造するた
めに使用することができる。例えば、液体または固体製剤は、常法を使用しての
いくつかの方法で製造され得る。液体製剤は、シュードマイシン(例えば、シュ
ードマイシンB)または関連する抗真菌剤およびシクロデキストリンを緩衝液ま
たは他の賦形剤を含む適切な溶媒(例えば、水)に、適切なpHで溶解すること
により製造され得る。
【0046】 (シュードマイシンまたは関連する抗真菌愛およびシクロデキストリンの製剤
を含む農業用組成物) 1つ以上のシュードマイシン、リポデプシデカペプチドまたはそれらの組み合
わせ(それらの水和物、溶媒和物およびエステルを含む)ならびにシクロデキス
トリン(例えば、SBE-CDまたはHP-CD)を含有する組成物を、直接処置または予
防処置のいずれかとして植物中の真菌(特に、V.アルボ−アトラム、リゾクトニ
ア・ソラニおよびF.オキシスポルム)を処置するために使用し得る。一般的に、
感染した植物は、P.シリンガエの抗真菌剤の水性懸濁物を植物に注射または噴霧
することにより処置される。注射手段は当業者に周知である(例えば、グージピ
ストル(gouge pistol))。有効な量の活性物質を植物表面に散布するような、
任意の懸濁物噴霧手段を使用し得る。また、懸濁物は、一般的に当業者により使
用される他の添加物(例えば、可溶化剤、安定化剤、湿潤化剤およびそれらの組
み合わせ)を含みうる。
【0047】 本発明は、以下の実施例を参照してより良好に理解され得る。これらの実施例
は、本発明の具体的な実施態様を示すことを意図しているが、本発明の範囲の制
限を意図するものではない。
【0048】 (実施例) (寄託した生物材料) P.シリンガエMSU 16Hは、アメリカンタイプカルチャーコレクション(Parklaw
n Drive, Rockville, MD, USA)から、登録番号ATCC 67028で入手可能である。P
.シリンガエ株25-B1、7H9-1および67 H1は、2000年3月23日にアメリカンタ
イプカルチャーコレクションに寄託され、以下の登録番号を割当てられている。 25-B1 登録番号PTA-1622 7H9-1 登録番号PTA-1623 67 H1 登録番号PTA-1621。
【0049】 (実施例1−注射用生理食塩水中、シクロデキストリン無しでのシュードマイ
シンB製剤の静脈内注射による有害反応) シクロデキストリン無しで注射用生理食塩水中に処方したシュードマイシンB
を、静脈内注射の際の有害作用に関して1週間の試験研究で評価した。
【0050】 (材料および方法) CD-1マウス(雄性)を4匹のグループに分け、尾部外側静脈に0、1、5、10
、25または50mg/kg/日のPSB-TFAを、静脈内注射(低速ボーラス)として投与し
た。この研究に使用したビヒクルは注射用生理食塩水であった。シュードマイシ
ンBのトリフルオロ酢酸塩(PSB-TFA)の効力は、塩の形態で存在するトリフル
オロ酢酸に配慮して調節した。回収したデータは、生存相(すなわち、臨床所見
、体重および死亡率)、臨床化学、限定的な(limited)器官の重量および限定
的な組織病理学(腎臓、肝臓、心臓および注射部位)を含む。
【0051】 (結果) 全動物は、7日目のスケジュール最終日まで生存した。しかし、各マウスは注
射部位に重篤な有害反応を示した。これは、通常注射後6〜8時間以内に起る尾
部の著しい腫脹および暗色化(darkening)として始まった。≧10mg/kgの投
薬を受けた全動物で、組織反応の重篤度のために、2〜5回の投薬後に投薬を中
止した。これらには、注射部位の重篤な有害作用の証拠以外には、標的器官への
影響を示す顕著な臨床化学、著しい病理学または組織病理学的知見は観察されな
かった。
【0052】 (実施例2−シュードマイシンBおよび関連する化合物による動物細胞での有
害反応の評価) シュードマイシンBおよび関連する化合物を、哺乳動物細胞に対するインビボ
毒性について試験し、それらの毒性が化合物の構造に関連しているかどうかを評
価した。
【0053】 (材料および方法) シュードマイシンB(PSB)および関連する化合物であるシュードマイシン
A(PSA)を、L6骨格筋細胞に対するそれらの影響について0.5mg/mLの
濃度で試験した。このインビトロの筋肉モデルは、インビボ非経口抗生物質静脈
刺激との相関性が証明されている。Rosalki S. B., An Improved Procedure for
Serum Creatine Phosphokinase Determination. J. Lab. Clin. Chem. 69: 696
-705 (1967); D. M. Hooverら、Fundamental and Applied Toxic. 14: 589-597
(1990); Mosmann T., Rapid Colorimetric Assay for Cellular Growth and Sur
vival, J. Immunol. Method 65: 55-63 (1983)を参照のこと。
【0054】 細胞中のクレアチンホスホキナーゼ(CPK)およびMTTレダクターゼ活性
のレベルをモニターすることにより、検量線から毒性を決定した。
【0055】 (結果) データを以下の表1にまとめる。表1は、試験化合物、クレアチンホスホキナ
ーゼ保持量(コントロールに対する割合)、およびMTTレダクターゼ活性(コ
ントロールに対する割合)を示す。毒性が高ければ高いほど、測定したCPK保
持およびMTTレダクターゼ活性のレベルは低くなる。
【0056】 表1−シュードマイシンBおよび関連する化合物のインビトロ毒性
【表1】
【0057】 (結論) このシュードマイシンAおよびBのインビトロ細胞毒性は、これらの化合物の
製剤が静脈内注射される場合には副作用を減少させる必要があり得ることを示唆
している。
【0058】 (実施例3−種々の静脈内シュードマイシンB製剤の静脈内注射の際の副作用
およびその改善の評価) これらの3つの研究で、静脈内注射の際に、注射部位で観察される有害反応に
対する種々のシュードマイシンB製剤の効果、および有害反応の改善を検査した
【0059】 (研究1) この研究では、マイクロエマルジョン中、酢酸緩衝液中にシュードマイシンB
をSBE−CDと共に含有する製剤を評価した。
【0060】 (材料および方法) 動物は、上記の実施例1に記載したものと同様であった。選択した投薬量は、
図1で観察された有害作用に基づく。低用量は5mg/kgであり、これは実施例1
においてわずかに組織損傷を引き起こしたが、7日間全てにわたる投薬が可能で
あった。高用量は25mg/kgであり、これは実施例1において重篤な組織損傷を
生じ、投薬が制限された。この研究では、3つの製剤[酢酸緩衝液、マイクロエ
マルジョンビヒクルおよびスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン(S
BE−CD)ビヒクル]を、それぞれ、これらの2つの用量のPSB−TFAで
試験した。マイクロエマルジョンビヒクルは、ポリエングリコール(1.7重量
%)、エマルフォア(emulphor)EL(3.4重量%)、ホスホリポン(phosphol
ipon)90(1.4重量%)、分画ココナツ油(3.5重量%)を、0.05M
酢酸緩衝液中に、デキストロース1.75重量%とともにpH4.5で含む。
【0061】 SBE-CDは、Cydek, Inc., 12980 Metcalf Ave., Suite 470, Overland Park, K
ansas 66213から入手でき、0.05M酢酸緩衝液中にデキストロース(1.75重
量%)と共にpH4.5で、2重量%スルホブチルエーテル−シクロデキストリ
ンとして調製した。代表的には、SBE−CDストック溶液は、氷酢酸を脱イオ
ン水およびNaOHと混合して溶液(酢酸中0.05MおよびpH4.5)を形
成することにより調製する。固体のデキストロースおよびSBE-CDを所望の濃度ま
で酢酸緩衝液中に溶解する。次いで、シュードマイシンBを添加して所望の濃度
を達成し、溶液をシュードマイシンが溶解するまで攪拌する。
【0062】 (結果) 研究の設計および結果を表2にまとめる。 表2−種々のシュードマイシンB(PSB)製剤に対する反応
【表2】
【0063】 (結論) この研究の結果は、SBE−CDビヒクルが、25mg/kgまでの用量での静脈
内投与の際にシュードマイシンBにより示される有害作用を完全に改善すること
を示している。マイクロエルジョンは、両方の用量で副作用を減少した。しかし
ながら、より高い用量では、投薬を一時停止しなければならないほどの有害作用
があった。
【0064】 (研究2) この研究では、SBE−CD、HP−CD、γ―CDとともに、酢酸緩衝液中
のシュードマイシンBを、エマルジョン中、ポビドン製剤中、およびミセル製剤
中に含有する製剤を評価した。
【0065】 (材料および方法) 動物は実施例1と同様であり、3匹のグループで使用した。シュードマイシン
Bを25mg/kg/日の用量で、7日間、静脈内ボーラス投与で尾部外側静脈に1
0mL/kgで投与した。グループ1(ポジティブコントロール)に対するビヒクル
は、顕著な副作用を生じることが示されている(実施例1および実施例2の研究
1)酢酸緩衝液単独である。グループ2(ネガティブコントロール)に対するビ
ヒクルは、シュードマイシンBを酢酸緩衝液中で投与した場合に観察される有害
作用を完全に改善することが示されている(実施例2の研究1)、SBE−CD
(2重量%)を含有する酢酸緩衝液である。他のビヒクルは以下の通りである:
グループ3、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン(2重量%);グル
ープ4、γ−シクロデキストリン(2重量%);グループ5、リポシン(lyposi
n)IIエマルジョン(これは大豆油10%およびベニバナ油10%を含む);グ
ループ6、ポビドンK12エマルジョン(これはポリビニルピロリドン2000〜30
00m.w.を含む);ならびにグループ7、ポリソルベート80ミセル調製物(0.
5重量%)(これはデキストロース、ポリソルベート80、酢酸緩衝液pH4.
5を含む)。
【0066】 (結果) 試験の結果を以下の表3に示す。 表3−種々のシュードマイシン製剤に対する反応
【表3】
【0067】 この研究の結果により、酢酸緩衝液中で投与した場合のシュードマイシンBの
刺激の可能性を確認した。グループ1は1回目の投薬の後に尾部の腫脹および変
色を示し、このため2日目および3日目の投薬は行えなかった。4日目まで、有
害反応により動物へのさらなる投薬が阻害された。SBE−CDは、グループ1
で観察された有害反応を予防した。グループ2は、7日間、毎日シュードマイシ
ンB(25mg/kg)を投与したが、有害反応の形跡は観察されなかった。また、
グループ3および4(ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンまたはγ−
シクロデキストリンを含む製剤)は、シュードマイシンBにより引き起こされる
有害反応からの保護を示した。リポシンIIエマルジョンは部分的な保護のみを示
した。7日間毎日動物に投薬したが、尾部の腫脹により研究最後の3日間の投薬
は行えなかった。ポビドンK12複合体およびポリソルベート80(0.5重量
%)ミセル調製物は、酢酸緩衝液単独に比べて保護を示さなかった。
【0068】 (結論) この研究は、さらなるシクロデキストリン(例えば、ヒドロキシプロピル−β
−シクロデキストリンおよびγ−シクロデキストリン)も防御効果を示すことを
示した。しかし、γ−CDを用いての結果は、尾部の発赤およびこのグループの
1匹の動物で観察された予想外の死亡に起因して不確かなものであり得る。
【0069】 (研究3) この研究では、注射用生理食塩水中にシュードマイシンBを含有する製剤を2
つのpHで、プルロニックF68中、ソルトール(solutol)中およびポリソル
ベート中で評価した。
【0070】 (材料および方法) 動物は、確立されているプロトコールに従って扱った雌性CD1マウスであっ
た。このマウスを3匹のグループに分けた。シュードマイシンBを、25mg/kg/
日の用量で7日間、静脈内ボーラス投与により10mL/kgで、尾部外側静脈に投
与した。グループ2のビヒクルは0.9重量%NaCl(注射用生理食塩水、p
H4.5)であった。グループ3のビヒクルは0.9重量%NaCl(注射用生
理食塩水、pH6.5)であった。グループ4のビヒクルは、0.05重量%プ
ルロニックF68中0.9重量%NaClであり、これは、種々の分子量の酸化
プロピレンおよび酸化エチレンのコポリマーならびにHLB(pH6.5)を含
む。グループ5のビヒクルは、0.5重量%プルロニックF68中0.9重量%
NaCl(pH6.5)であった。グループ6のビヒクルは、0.05重量%ソ
ルトール中0.9重量%NaClであり、これは12−ヒドロキシステアリン酸
ポリグリコールエステル(70%)およびポリエチレングリコール(30%)を
含む(pH6.5)。グループ7のビヒクルは0.05重量%ポリソルベート2
0中0.9重量%NaCl(pH6.5)であった。
【0071】 (結果) この研究の結果を表4に示す。全ての処置グループに影響を与える臨床知見に
は、腫脹および変色した尾が挙げられる。さらに、グループ03〜07の個々の
動物は、組織壊死の形跡を示した。3匹の動物が研究中に死亡した(動物605
1は試験5日目に、動物2053および6052は試験6日目に死亡した)。こ
れらの死亡は全て、投薬の間に受けた物理的な損傷の結果であり、従って化合物
に関連するとはみなされなかった。
【0072】 表4−種々のシュードマイシンB製剤に対する反応
【表4】
【0073】 (結論) 本研究で試験した製剤は、いずれもシュードマイシンB注射の有害作用を完全
に改善しなかった。完全な改善はSBE−CDを用いて示されている。
【0074】 (実施例4−種々の濃度のシュードマイシンBを有するSBE−CD製剤のイ
ンビボ毒性学的評価) この研究では、注射部位でのなんらかの有害作用を含む潜在的な毒性を、4つ
の濃度でのシュードマイシンと、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリ
ンとの製剤の動物モデルで評価した。
【0075】 (材料および方法) このラット研究に使用したシュードマイシンBの用量は0、1、10または5
0mg/kg/日であり、静脈内ボーラス投与として14日間投与した。SBE−C
D製剤は2重量%であり、用いた投薬量は5mL/kgであった。標準的な方法でモ
ニターした毒性学的パラメータには、体重、臨床知見、死亡率、血液学、臨床化
学、特定の病理学(肝臓、腎臓、心臓および注射部位)ならびに骨髄小核(遺伝
毒性の予備評価として)が含まれていた。
【0076】 (結果) 生存期の初めの2日以内に、さらなる投薬が不可能な点まで高用量動物の尾部
が腫脹し、変色した(表5)。これらの動物を研究から除き、高用量毒性評価に
使用する方法および製剤を再評価することを決定した。1および10mg/kg/日
の用量グループでは、完全に2週間実施したが、明らかな毒性の形跡は示されな
かった。
【0077】 表5−3つの濃度のシュードマイシンBでのSBE−CD製剤投与の結果
【表5】
【0078】 最後の時点では、高用量動物は非常に顕著な尾部静脈刺激を示した。このこと
は、体重の減少、ならびに注射部位の炎症および静脈ネクローシスの組織学的知
見と関連していた。また、これらの動物では肝臓および腎臓の重量は減少してい
た。中−および低用量の動物ではこのような知見は存在しない。骨髄小核試験は
低−および中用量の動物ではネガティブであった(早めに終了したので、高用量
グループでは骨髄小核は評価しなかった)。他の唯一の知見は、高用量動物で観
察された尿細管のわずかな空胞形成(vacuolization)の組織病理学的観察であ
った。
【0079】 (結論) 実施例2で報告した研究は、SBE−CDを含む製剤がシュードマイシンBの
注射の有害作用を改善することを実証したが、本研究のSBE−CD製剤では有
害作用が観察された。しかしながら、シュードマイシンBの投薬量および濃度は
本研究の場合で著しく高い。本研究では、シュードマイシンBの50mg/kgまで
の用量[これは実施例2で報告した研究中で試験した用量(25mg/kg)の2倍
である]を評価した。さらに、本研究では、この2倍の用量のシュードマイシン
Bを、実施例2で報告した研究で用いたものの僅か1/2の容量で注射した。従
って、製剤中でのシュードマイシンBの濃度は4倍まで上昇していた。これらの
研究において、SBE−CDの濃度は2重量%で一定のままであり、それゆえシ
ュードマイシンBの濃度はSBE−CDの濃度と比較して4倍に増加していた。 この研究は、注射の副作用の改善は、シュードマイシンB濃度に比して少なく
とも一定の最小濃度のSBE−CDが必要であることを示している。本発明を制
限することを目的とはしないが、この観察はSBE−CDおよびシュードマイシ
ンBの複合体の形成と一致する。
【0080】 (実施例5−高用量のシュードマイシンBでのSBE−CDの濃度の増加は副
作用を改善する) この研究は、高用量のシュードマイシンBと増加した量のSBE−CDとの毒
性を調査し、そしてより高い濃度のシクロデキストリンが実施例4で認められた
高用量シュードマイシンBの有害作用を改善することを決定した。
【0081】 (材料および方法) 動物は実施例4に記載したものと同様である。この研究に使用したシュードマ
イシンBの用量は0.25または50mg/kg/日であり、これは、試験物品の周
辺組織への管外遊出を最小にするためにコンピュータ制御ポンプを用いて静脈内
低速注入として14日間投与した。この研究に用いたビヒクルはSBE−CD(
4重量%)であり、投薬容量は10mL/kgであった。これらSBE−CDの濃度
および投薬容量の増大により、実施例3で報告した研究でのシュードマイシンB
対SBE−CDの割合に合わせた。コントロールグループにはSBE−CD(4
重量%)のみを投与した。体重、臨床観察、死亡率、血液学、臨床化学、特定の
病理学(肝臓、腎臓、心臓および注射部位)ならびに骨髄小核を標準的な方法に
よりモニターした。
【0082】 (結果) この研究では、表6に報告した結果により示されるように、明らかな毒性の形
跡を伴わずに生存期が完了した。
【0083】 表6−高濃度のシュードマイシンBを含有するSBE−CD(4重量%)製剤
の投与の結果
【表6】
【0084】 (結論) 製剤中のSBE−CD対シュードマイシンBの比の上昇により、実施例4で報
告した研究中での50mg/kg/日の投薬群で見出された刺激は完全に改善された
。このことは、シュードマイシンBおよびシクロデキストリンを含む複合体の形
成(これは血管内皮の保護を生じる)に関連するシクロデキストリン媒介性保護
のメカニズムと一致する。
【0085】 注射部位の副作用の改善により、シュードマイシンBの最も高い試験用量での
明らかな標的器官への影響を観察することが初めて可能となった。血液学、臨床
化学および組織病理学的データは、シュードマイシンBの投与に関連する標的器
官への影響を示す。軽い貧血の発症は、赤血球細胞または骨髄の赤血球細胞産生
要素に対する影響を示唆する。肝酵素の漏出、ならびに肝細胞の損傷および死の
形跡から、肝臓もまた潜在的な標的器官であることが明らかとなった。これらの
影響は両方とも、最も高用量である50mg/kg/日でのみ観察された。腎臓重量
の上昇および尿細管でのわずかな空胞形成が25および50mg/kg/日の両方で
観察され、これはシュードマイシンBの腎臓への影響を示唆しているかもしれな
い。
【0086】 (実施例6−SBE−CD製剤の静脈内注射後のシュードマイシンB代謝の評
価) この研究では、ラットへの静脈内注射後のシュードマイシンBおよびスルホブ
チルエーテル−β−シクロデキストリンの製剤の代謝を評価する。
【0087】 (材料および方法) このラット研究に使用したシュードマイシンBの用量は5および25mg/kgで
あり、これは静脈内ボーラス投与として1回で投与した。SBE−CD製剤は2
重量%であり、用いた投薬容量は5mL/kgであった。標準的な方法によりモニタ
ーしたパラメータには、検出可能なレベルの持続期間に関する曲線下面積(AU
C)、半減期およびCmaxが含まれていた。
【0088】 (結果) この研究の結果を表7に報告する。
【0089】 表7−シュードマイシンBおよびSBE−CDの製剤の代謝研究
【表7】
【0090】 (結論) シュードマイシンBの血漿濃度は、酢酸ナトリウム緩衝液中またはSBE−C
D(2重量%)含有製剤中、5mg/kg投薬後と類似していた。酢酸緩衝液と比較
して、SBE−CD(2重量%)の存在はシュードマイシンBの血漿薬物動態プ
ロフィールに影響を与えなかった。製剤は、測定した薬物動態パラメータのいず
れをも変化させなかった。SBE−CD(2重量%)製剤中では、シュードマイ
シンBの用量の上昇(5〜25mg/kg)にほぼ比例して、CmaxおよびAUC
が上昇した。シュードマイシンBの血漿半減期は試験した用量とは無関係であっ
た。投薬量の投与後24時間の間、測定可能な血漿濃度でシュードマイシンBが
存在した。
【0091】 (実施例7−シュードマイシンBのHP−CDおよびγ−シクロデキストリン
製剤のインビボ毒性学的評価) さらに、この研究では、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンおよび
γ−シクロデキストリン製剤の、シュードマイシンBの静脈内注射の有害作用か
らの保護提供能力を評価した。
【0092】 (材料および方法) 動物は実施例4に記載されている雄性ラットであり、これを5匹づつの4つの
グループに分けた。この研究に使用したシュードマイシンBの用量は、0および
50mg/kg/日であり、これを14日間、66mL/時間の速度で10mL/kgの投
薬体積で、静脈内ボーラスとして投与した。ヒドロキシプロピル−β−シクロデ
キストリンはCyclodextrin Technology Inc.から入手した。γ−シクロデキス
トリンはWackerから入手した。ビヒクル調製で使用したシクロデキストリン濃度
は、pH4.5の酢酸緩衝液(0.05M)中で4重量%であった。コントロー
ル群には、シュードマイシンBを含まないγ−CD(4重量%)またはヒドロキ
シプロピル−CD(4重量%)のいずれかを投与した。
【0093】 (結果) この研究の結果を表8に報告する。
【0094】 (表8−2つの濃度のシュードマイシンBでのヒドロキシプロピル−β−シク
ロデキストリンおよびγ−シクロデキストリン製剤の投与の結果)
【表8】
【0095】 この研究では、γ−CDビヒクルはシュードマイシンBの副作用からの適切な
保護を提供しなかった。ほんの1回の投与の後、尾部の腫脹および変色が示され
た。これは、2日目の投薬を妨げるに十分なほど重篤であった。
【0096】 ヒドロキシプロピル−β−CDビヒクルは、シュードマイシンBの副作用から
の保護を提供した。結果として、ヒドロキシプロピル−β−CD製剤の日用量を
、2週間の全研究期間の間、投与した。エリトロン成分、肝臓、腎臓および脂質
代謝に対する有害作用は、SBE−CD−ベースのビヒクルを用いる50mg/kg
のレベルでの2週間の投薬後の先の知見(実施例5)と一致する。本研究では、
肉眼および顕微鏡レベルで注射部位にわずかに有害作用の形跡が存在している。
このことは、先のSBE−CDビヒクル研究で報告されておらず、試験した条件
下では、SBE−CDがヒドロキシプロピル−β−CDビヒクルよりも程度の高
い保護を提供し得ることが示された。
【0097】 (結論) この研究では、γ−CDはシュードマイシンBの注射の有害作用からの保護を
提供しなかった。ヒドロキシプロピル−β−CDは、これらの動物をシュードマ
イシンB注射の副作用から保護した。
【0098】 本発明を種々の具体的かつ好ましい実施態様および方法に関して記載した。し
かし、多数の改変および修飾を、本発明の精神および範囲内で行い得ることが理
解されるであろう。
【0099】 本明細書に記載の全ての刊行物および特許出願は、本発明が属する分野におけ
る当業者のレベルの指標である。全ての刊行物および特許出願は、それらの刊行
物または特許出願が、それぞれ、参照として具体的かつ個別に記載される場合と
同程度に、その全てを本明細書中に参照して組み込む。
【配列表】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW (72)発明者 トーマス・ウォーレン・ジョーンズ アメリカ合衆国46256インディアナ州イン ディアナポリス、ティンバーライン・ドラ イブ9547番 (72)発明者 マイケル・ジョン・ロドリゲス アメリカ合衆国46278インディアナ州イン ディアナポリス、ゴードンシャー・コート 7649番 (72)発明者 ステファニー・アン・スウィータナ アメリカ合衆国47408インディアナ州ブル ーミントン、サラトガ・ドライブ4112番 Fターム(参考) 4C076 AA17 BB11 CC32 DD41Z DD67A EE39Q FF02 FF04 4C086 AA01 AA02 BC76 MA02 MA05 MA22 MA66 NA14 ZB35

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シュードマイシンまたはリポデプシデカペプチド抗真菌剤、
    あるいは製薬上許容されるそれらの塩、水和物またはエステルと、ヒドロキシア
    ルキル−β−シクロデキストリンまたはスルホアルキルエーテル−β−シクロデ
    キストリンとを含有する組成物を有効な量で患者に投与することを含む、真菌感
    染の症状を減少させることを必要とする患者において真菌感染の症状を減少させ
    る方法。
  2. 【請求項2】 前記症状の減少が真菌感染の苦痛を減少させることを含む、
    請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記症状の減少が真菌を殺傷することを含む、請求項1に記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 前記真菌感染が、C.パラプシロシス、C. アルビカン、C. グ
    ラブラタ、C. トロピカリス、C.クルセイ、クリプトコッカス・ネオフォーマン
    ス、アスペルギルス・フミガツスまたはヒストプラズマ・カプスラツムによる感
    染を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記組成物がヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン
    を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記組成物がスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリ
    ンを含む、請求項1に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記患者が、シュードマイシンまたはリポデプシデカペプチ
    ド抗真菌剤あるいは製薬上許容されるそれらの塩、水和物またはエステルの注射
    の許容できない有害作用の苦しみを伴わない、請求項1に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記シュードマイシンまたはリポデプシデカペプチド抗真菌
    剤あるいは製薬上許容されるそれらの塩、水和物またはエステルの毒性学的に関
    連する用量が投与される、請求項1に記載の方法。
  9. 【請求項9】 前記組成物が、投与されるシュードマイシンまたはリポデプ
    シデカペプチド抗真菌剤と比較して少なくとも約1モル比のシクロデキストリン
    を含む請求項1に記載の方法。
  10. 【請求項10】 さらに、シュードマイシンまたはリポデプシデカペプチド
    抗真菌剤を投与する必要性を決定すること、および シュードマイシンまたはリポデプシデカペプチド抗真菌剤の管外遊出の兆候に
    ついて患者をモニターすることを含む、請求項1に記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記投与が、1日あたり約1〜約3回の約0.1〜約5mg
    /kgのシュードマイシンまたはリポデプシデカペプチド抗真菌剤の非経口投与を
    含む、請求項1に記載の方法。
  12. 【請求項12】 真菌感染の症状の減少として熱の低下および患者の全般的
    な状態の改善が含まれる、請求項1に記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記シュードマイシンまたはリポデプシデカペプチド抗真
    菌剤の有効量が有効な抗真菌量である請求項1に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記シュードマイシンが、シュードマイシンA、シュード
    マイシンA’、シュードマイシンB、シュードマイシンB’、シュードマイシン
    C、シュードマイシンC’それらの組み合わせあるいは製薬上許容されるそれら
    の塩、水和物またはエステルを含む、請求項1に記載の方法。
  15. 【請求項15】 前記シュードマイシンが、シュードマイシンBあるいは製
    薬上許容されるそれらの塩、水和物またはエステルを含む、請求項14に記載の
    方法。
  16. 【請求項16】 前記リポデプシデカペプチド抗真菌剤が、25−B1デカ
    ペプチド抗真菌剤Aあるいは製薬上許容されるそれらの塩、水和物またはエステ
    ルを含む、請求項1に記載の方法。
  17. 【請求項17】 ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンまたはスル
    ホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、および有効な抗真菌量のシュード
    マイシン、リポデプシデカペプチド抗真菌剤あるいは製薬上許容されるそれらの
    塩、水和物またはエステルを含む抗真菌組成物であって、該ヒドロキシプロピル
    −β−シクロデキストリンまたはスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリ
    ンがシュードマイシン、リポデプシデカペプチド抗真菌剤あるいは製薬上許容さ
    れるそれらの塩、水和物またはエステルを超えるモル過剰で存在する、抗真菌組
    成物。
  18. 【請求項18】 ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンを含有する
    請求項17に記載の抗真菌組成物。
  19. 【請求項19】 スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンを含有す
    る請求項17に記載の抗真菌組成物。
  20. 【請求項20】 前記組成物が、ヒドロキシプロピル−β−シクロデキスト
    リンまたはスルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンを、シュードマイシ
    ンまたはリポデプシデカペプチド抗真菌剤と比較して少なくとも約2:1のモル
    比で含有する、請求項17に記載の抗真菌組成物。
  21. 【請求項21】 デキストロースおよび酢酸緩衝液をさらに含む、請求項1
    7に記載の抗真菌組成物。
  22. 【請求項22】 前記シュードマイシンが、シュードマイシンA、シュード
    マイシンA’、シュードマイシンB、シュードマイシンB’、シュードマイシン
    C、シュードマイシンC’それらの組み合わせあるいは製薬上許容されるそれら
    の塩、水和物またはエステルを含む、請求項17に記載の抗真菌組成物。
  23. 【請求項23】 前記シュードマイシンが、シュードマイシンBあるいは製
    薬上許容されるそれらの塩、水和物またはエステルを含む請求項23に記載の抗
    真菌組成物。
  24. 【請求項24】 前記リポデプシデカペプチド抗真菌剤が、25−B1デカ
    ペプチド抗真菌剤Aあるいは製薬上許容されるそれらの塩、水和物またはエステ
    ルを含む、請求項17に記載の方法。
  25. 【請求項25】 シュードマイシンまたはリポデプシデカペプチド抗真菌剤
    あるいは製薬上許容されるそれらの塩、水和物またはエステルの、ヒドロキシア
    ルキル−β−シクロデキストリンまたはスルホアルキルエーテル−β−シクロデ
    キストリンと組み合わせての、真菌感染の処置用の医薬の製造のための使用。
  26. 【請求項26】 前記シュードマイシンが、シュードマイシンA、シュード
    マイシンA’、シュードマイシンB、シュードマイシンB’、シュードマイシン
    C、シュードマイシンC’それらの組み合わせあるいは製薬上許容されるそれら
    の塩、水和物またはエステルを含む、請求項25に記載の使用。
  27. 【請求項27】 前記リポデプシデカペプチド抗真菌剤が、25−B1デカ
    ペプチド抗真菌剤Aあるいは製薬上許容されるそれらの塩、水和物またはエステ
    ルを含む、請求項25に記載の使用。
  28. 【請求項28】 前記ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリンまたは
    スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリンが、シュードマイシンまたはリ
    ポデプシデカペプチド抗真菌剤と比較して少なくとも約2:1のモル比で医薬中
    に存在する、請求項25に記載の使用。
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