JP2002541934A - 二重チャンバー式貯蔵器を備えている薬物供給装置 - Google Patents

二重チャンバー式貯蔵器を備えている薬物供給装置

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JP2002541934A JP2000611991A JP2000611991A JP2002541934A JP 2002541934 A JP2002541934 A JP 2002541934A JP 2000611991 A JP2000611991 A JP 2000611991A JP 2000611991 A JP2000611991 A JP 2000611991A JP 2002541934 A JP2002541934 A JP 2002541934A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は哺乳類動物の身体表面部分(例えば、皮膚または粘膜)を通して活性薬剤を供給するための装置(100)に関し、当該装置はハウジング(102)を貫通する供給オリフィス(134)を有するハウジングと、当該ハウジング内において活性薬剤を収容するための活性薬剤貯蔵器(120)を備えており、当該活性薬剤貯蔵器が上記供給オリフィスに対して連通しており、さらに、上記ハウジング内において流体を収容するための流体貯蔵器(110)と、上記活性薬剤貯蔵器および流体貯蔵器に対して連通していて、当該活性薬剤貯蔵器と流体貯蔵器との間における流体の移動を可能にすると共に活性薬剤貯蔵器と流体貯蔵器との間における活性薬剤の移動を実質的に阻止するための半透過性の膜(108)を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は哺乳類動物の皮膚表面(例えば、人間の皮膚または粘膜)を通して活
性薬剤を輸送するための受動的な電気補助式供給システムに関する。このシステ
ムは従来の受動的または電気輸送式のシステムよりもさらに効率良く活性薬剤を
供給する。
【0002】
【発明の背景】
皮膚およびその下層組織に関連する症状および病気を含む全身系の病気および
局在的な症状の治療においてここ数十年にわたり経皮的および局所的な投薬形態
が広く報告されている。受動的な供給処理において、活性薬剤が障壁膜を通して
濃度勾配方式(例えば、経皮的な受動的拡散)により哺乳類動物の体内に供給さ
れる。例えば、高濃度で薬物を含有しているパッチが患者の皮膚に固定される。
このような経皮的供給システムはスコポラミン、ニトログリセリン、クロニジン
、17−B−エストラジオール、フェンタニール、ニコチン、およびテストステ
ロンの投与の場合に米国において許可されている。
【0003】 皮膚障壁を通して薬物を輸送することを容易にするために電気を利用すること
も可能である。電気補助式の経皮的薬物供給において、一定の電位(電圧)が薬
物輸送を容易にするために皮膚に印加される。皮膚障壁を介する電気補助式薬物
輸送方式には、イオン導入法(iontophoresis)、電気浸透法(electro-osmosis
)、およびエレクトロポレーション(electroporation)という3種類の主な方
法がある。経皮的イオン導入法においては、イオン化した薬物が印加された一定
の電位勾配により移動して皮膚の内部に輸送される。電気浸透法においては、供
給するための非イオン性の薬物が流体により輸送されて、印加された一定の電位
勾配により皮膚を通して移動する。また、エレクトロポレーションは高電圧およ
び低電流の極めて短いパルスによる皮膚障壁の微視的な孔あけ処理である。これ
らの方法はSunによる「熱、超音波、および電気等の物理的手段による皮膚吸収
性の向上(Skin Absorption Enhancement by Physical Means: Heat, Ultrasoun
d, and Electricity)」(Transdermal and Topical Drug Delivery Systems、G
hosh他編集、Interpharm Press社、1997年、第327頁乃至第355頁)、
およびRoberts他の「イオン導入式輸送の決定因子としての溶質構造(Solute St
ructure as a Determinant of Iontrophoretic Transport)」(Mechanisms of
Transdermal Drug Delivery、Potts他編集、Marcel Dekker社、1997年、第
291頁乃至第349頁)等の最近の文献において記載されている。
【0004】 実際に使用する場合に、1個の薬物供給システムに対して2種類以上の電気補
助式の薬物供給方法が利用される場合が多い。例えば、一定の電気輸送システム
がイオン導入法と電気浸透法の両方を同時に利用して活性薬剤を実際に供給する
ことが可能である。同様に、皮膚の浸透性を高めるためにエレクトロポレーショ
ンを先ず用いた後に、皮膚障壁を通して活性薬剤を輸送するためにイオン導入法
が使用できる。このような場合の大部分において、装置(例えば、薬物貯蔵器、
導体電極、および対電極)の構成におけるこれら3種類の電気補助式供給方法の
間には、電流供給ユニットを除いて、ほとんど差異がない。
【0005】
【発明の概要】
態様の一例において、本発明は哺乳類動物(例えば、人間)の身体表面部分(
例えば、皮膚または粘膜)を通して活性薬剤を供給するための装置に関し、当該
装置はハウジングを貫通する供給オリフィスを有するハウジングと、活性薬剤(
例えば、イオン化した薬物)を収容するための上記ハウジング内における活性薬
剤貯蔵器を備えており、この活性薬剤貯蔵器が上記供給オリフィスに連通してお
り、さらに、流体(例えば、蒸留水等の低電解質性の水性溶液)を収容するため
の上記ハウジング内における流体貯蔵器と、上記活性薬剤貯蔵器と流体貯蔵器と
の間における流体(例えば、非活性薬剤のイオンが溶解している水)の移動を可
能にすると共に上記活性薬剤貯蔵器と流体貯蔵器との間における活性薬剤の移動
を実質的に阻止する(例えば、活性薬剤貯蔵器から流出して流体貯蔵器に流入す
る活性薬剤の初期的な量における約75%乃至約100%、好ましくは約95%
乃至約100%を阻止する)ために活性薬剤貯蔵器および流体貯蔵器に対して連
通している半透過性の膜を備えている。上記活性薬剤貯蔵器の容積は上記流体貯
蔵器の容積よりも小さい(例えば、5倍または10倍小さい)。
【0006】 実施形態の一例において、上記ハウジングはさらに流体を上記流体貯蔵器に入
れることを可能にするための入口(例えば、針を受容するための隔膜)、および
/または、活性薬剤を上記活性薬剤貯蔵器に入れることを可能にするための入口
を備えている。別の実施形態においては、上記活性薬剤貯蔵器が活性薬剤により
構成されている。実施形態の一例において、上記半透過性の膜は柔軟(例えば、
拡張可能)であり、上記流体貯蔵器は流体吸収性の材料(例えば、流体を吸収し
ながら拡張する材料)により構成されている。
【0007】 実施形態の一例において、上記装置はさらに上記流体貯蔵器内に電極を備えて
おり、この電極は電流供給ユニットに対して電気的に連通可能である。また、別
の実施形態においては、上記装置はさらに上記ハウジング内にセンサーを備えて
おり、このセンサーは電流供給ユニットに対して電気的に連通可能である。この
センサーはpH値の測定、導電率、インピーダンス、活性薬剤、イオン、および
生物学的化合物についての各センサーから成る群から選択できる。実施形態の一
例において、上記電流供給ユニットはセンサーからのフィードバック情報に基づ
いて上記電極における電気的パラメータを変更できる。実施形態の一例において
、上記の電気的パラメータは電流強度、電流モード、電流波形、電圧、および極
性から成る群から選択される。
【0008】 別の実施形態において、上記装置はさらに上記供給オリフィスの近傍において
突起部分(例えば、針または直線状の刃先または湾曲状の刃先を有するブレード
)を備えており、この突起部分は哺乳類動物の角質層を孔あけすることができる
。また、別の実施形態においては、これらの突起部分は角質層を孔あけできるが
、真皮を実質的に孔あけすることはできない。
【0009】 別の態様において、本発明は哺乳類動物の身体表面部分を通して活性薬剤を供
給するためのシステムを特徴とし、当該システムは電流供給ユニットおよび第1
の装置を備えており、この第1の装置は(a)ハウジングを貫通する第1の供給
オリフィスを有する第1のハウジングと、(b)第1の活性薬剤を収容するため
の上記第1ハウジング内における第1の活性薬剤貯蔵器を有しており、当該第1
の活性薬剤貯蔵器が上記第1の供給オリフィスに連通しており、さらに、(c)
第1の流体を収容するための上記第1ハウジング内における第1の流体貯蔵器と
、(d)上記第1の活性薬剤貯蔵器と第1の流体貯蔵器との間における上記(第
1の)流体の移動を可能にすると共に上記第1の活性薬剤貯蔵器と第1の流体貯
蔵器との間における上記第1の活性薬剤の移動を実質的に阻止するために上記第
1の活性薬剤貯蔵器および第1の流体貯蔵器に対して連通している第1の半透過
性の膜と、(e)上記第1の流体貯蔵器内における第1の電極を有しており、こ
の第1の電極が上記電流供給ユニットに電気的に接続しており、さらに、上記電
流供給ユニットに電気的に接続している第2の電極を有している。実施形態の一
例において、上記活性薬剤貯蔵器の容積は上記流体貯蔵器の容積よりも小さい(
例えば、5倍または10倍小さい)。上記電流供給ユニットは電気的な(例えば
、この供給により極性を逆転できる)電圧/電位を供給すると共に、上記貯蔵器
から上記オリフィスを経て哺乳類動物の身体表面部分を通して当該哺乳類動物の
身体内に活性薬剤を電気的に輸送する(例えば、イオン導入、電気浸透、および
エレクトロポレーションにより供給する)ために必要な電流を供給する。この電
流供給ユニットは外部の電流供給源に接続するか、バッテリーを備えることがで
きる。
【0010】 実施形態の一例において、上記システムはさらに第2の装置を備えており、こ
の第2の装置は第2の供給オリフィスを有する第2のハウジングおよび当該第2
のハウジング内において第2の電極を収容している第2の貯蔵器を備えており、
この第2の貯蔵器は上記第2の供給オリフィスに連通している。また、別の実施
形態においては、上記第2の貯蔵器は第2の活性薬剤を収容するための第2の活
性薬剤貯蔵器を有しており、当該第2の活性薬剤貯蔵器が上記第2の供給オリフ
ィスに連通しており、さらに、流体を収容するための第2の流体貯蔵器、および
上記第2の活性薬剤貯蔵器と第2の流体貯蔵器との間における上記流体の移動を
可能にすると共に上記第2の活性薬剤貯蔵器と第2の流体貯蔵器との間における
上記第2の活性薬剤の移動を実質的に阻止するために上記第2の活性薬剤貯蔵器
および第2の流体貯蔵器に対して連通している第2の半透過性の膜を有している
。さらに別の実施形態においては、上記第2の活性薬剤貯蔵器が上記第2の流体
貯蔵器の容積よりも小さい。実施形態の一例において、上記第1の流体貯蔵器お
よび/または上記第2の流体貯蔵器が流体吸収性の材料(例えば、流体を吸収し
ながら拡張する材料)により構成されている。なお、上記第2の活性薬剤は上記
第1の活性薬剤と同一でもよく、異なっていてもよい。
【0011】 実施形態の一例において、上記第1の装置はさらに上記第1のハウジング内に
おける第1のセンサーを備えており、この第1のセンサーは電流供給ユニットに
電気的に接続しており、この電流供給ユニットは第1のセンサーからのフィード
バック情報に基づいて上記第1の電極における電気的パラメータ(例えば、極性
、電流強度および電流モードまたは波形等の電気的パラメータ)を変更できる。
実施形態の一例において、上記第2の装置はさらに上記第2の貯蔵器内における
第2のセンサーを備えており、この第2のセンサーは電流供給ユニットに電気的
に接続しており、この電流供給ユニットは第2のセンサーからのフィードバック
情報に基づいて上記第2の電極における電気的パラメータを変更できる。実施形
態の一例において、上記システムは電流供給ユニットに電気的に接続している3
個以上の電極(例えば、3個乃至10個の電極)を備えている。
【0012】 別の態様において、本発明は哺乳類動物の身体表面部分を通して活性薬剤を供
給するための方法を特徴とし、当該方法は上記装置のオリフィスを哺乳類動物(
例えば、人間の皮膚)の身体表面部分に固定する工程を含む。さらに別の態様に
おいて、本発明は哺乳類動物の身体表面部分を通して活性薬剤を供給するための
方法を特徴とし、当該方法は上記システムにおける第1のオリフィスを哺乳類動
物の身体表面部分(例えば、皮膚)に固定する工程と、上記システムにおける(
例えば、上記第1のオリフィスの近傍における)第2の電極を上記哺乳類動物の
身体表面部分に取り付けて電流が当該哺乳類動物の身体を通して上記第1の電極
から上記第2の電極に流通できるようにする工程を含む。
【0013】 本発明の上記以外の特徴および利点は以下の本発明の詳細な説明および特許請
求の範囲により明らかになる。
【0014】 当該技術分野における熟練者であれば、本明細書における説明に基づいて、本
発明をその完全な範囲において利用可能であると考えられる。以下の特定の各実
施形態は単に例示を目的とし、(本発明の)開示全体における残りの部分につい
て何ら制限することを目的としていない。
【0015】 特別に定義しない限り、本明細書において使用する全ての技術的および科学的
な用語は本発明が属する技術分野における通常の熟練者により一般的に理解され
ている意味と同一の意味を有する。また、本明細書において記載される全ての刊
行物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は本明細書に参考文献として含
まれる。
【0016】 本発明はシステムの供給装置内に半透過性の膜を備えている改善された受動的
および電気輸送式の供給システムに関する。受動的供給処理において、身体表面
部分のすぐ近くにおける貯蔵器内の活性薬剤が当該貯蔵器と哺乳類動物の身体部
分との間の濃度勾配により哺乳類動物の体内にその身体表面部分を通して供給さ
れる。この流体貯蔵器と活性薬剤貯蔵器との間の柔軟な半透過性の膜および流体
貯蔵器内の流体吸収性の材料(例えば、膨潤可能なポリマー)の存在により流体
貯蔵器の容積が増加するために、活性薬剤貯蔵器の容積が減少する。さらに、こ
の活性薬剤貯蔵器の容積が減少することにより、活性薬剤の濃度が増加して活性
薬剤の供給効率が高まる。
【0017】 電気輸送式供給処理において、身体表面部分のすぐ近くにおける活性薬剤貯蔵
器内の活性薬剤の供給は電極に電位を印加することにより供給される電気的な斥
力により増進する。貯蔵器内に流体貯蔵器および活性薬剤貯蔵器を分離する半透
過性の膜を備えることにより、活性薬剤貯蔵器内の競合イオンの濃度が減少でき
る。この改善により、緩衝剤、酸化防止剤、キレート化剤、保存剤、および張度
調節用の塩類等の電解質を一般に含有している注射可能な薬剤製品の直接的な使
用が可能になる。イオン導入法による薬物供給においては、これら非薬物の電解
質が競合イオンとして作用して、薬物イオンの輸送において強い競合作用を示す
ためにこのイオン導入による薬物供給効率が低下する。例えば、Roberts他の「
イオン導入式輸送の決定因子としての溶質構造(Solute Structure as a Determ
inant of Iontrophoretic Transport)」(Mechanisms of Transdermal Drug De
livery、Potts他編集、Marcel Dekker社、1997年、第329頁乃至第331
頁)を参照されたい。実施形態の一例において、後述するように、本発明の半透
過性の膜の存在により上記のような競合イオンの流体貯蔵器内への輸送が可能に
なるので、活性薬剤貯蔵器内におけるこれらのイオン濃度が活性薬剤に比して減
少する。
【0018】 さらに、上記の装置を介する電流の供給により、特定のイオン(例えば、水素
イオン、水酸基イオン、ハロゲン・イオン等)またはガス(例えば、酸素、水素
、塩素等)の増減を含む流体内における特定の組成における変化が生じる。また
、装置内におけるセンサーの追加によりこれらの変化を検出して信号を電流供給
ユニットに送ることが可能になり、実施形態の一例においては、このような処理
により所定の制限値に従って各導体電極における電気的な極性を逆転してイオン
導入法による供給における不所望な競合イオンの作用を最少にすることができる
。別の実施形態においては、各センサーから送られる信号により電流供給ユニッ
トを補助して、電流のモードおよび強度を変更して所望の供給速度を達成するこ
とも可能である。
【0019】 本発明によるイオン導入法による供給に対応する電流の波形は従来的な直流電
流(DC)、当該DCと従来的な交流電流(AC)との組合せおよび米国特許第
5,135,478号に開示されているような重畳信号、米国特許第5,042
,975号に開示されているようなパルス化DC、およびSun他の文献(Proceed
. Intern. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater.17:第202頁乃至第203
頁、1990年)、および米国特許第5,224,927号および同第5,01
3,293号において記載されているような周期的に逆転する極性を有するDC
およびパルス化DC等を含むがこれらに限らない。これらの電流または電位の波
形は任意の変化点においてテーパー状にして(すなわち、急激な電流/電位の変
化を避けるため)、付随的な不快で不所望な皮膚感覚を低減することができる。
実施形態の一例において、本発明における電流の波形は周期的に極性が逆転する
DC、またはパルス化DCである。また、実施形態の一例において、上記電流の
密度(例えば、皮膚の単位面積当たりの電流強度)はセンサーにより約0.5m
A/cm2 よりも小さい(例えば、約0.4mA/cm2 よりも小さい)値に維
持される。
【0020】 本明細書において使用するように、用語の「活性薬剤(active agents)」は
局所的または全身的に病気を治療するための薬物、栄養物またはその他の生物学
的に活性な化合物またはハーブ抽出物、および一般的な健康または局所的な皮膚
/粘膜組織の状態を改善するためのミネラル類を言う。本発明の装置により供給
できる活性薬剤はポリペプチド、蛋白質、およびDNAを含む核酸物質のような
有機化合物および高分子化合物を含むがこれらに限らない治療薬、および栄養物
等の人体に生物学的作用を与えることのできる任意の材料を含むがこれに限らな
い。ポリペプチドおよび蛋白質の活性薬剤の例はチロトロピン(甲状腺刺激ホル
モン)−放出ホルモン(TRH)、バソプレシン、ゴナドトロピン(性腺刺激ホ
ルモン)−放出ホルモン(GnRHまたはLHRH)、メラノトロピン−刺激ホ
ルモン(MSH)、カルシトニン、成長ホルモン放出因子(GRF)、インシュ
リン、エリトロポイエチン(EPO)、インターフェロン・アルファ、インター
フェロン・ベータ、オキシトシン、カプトプリル、ブラジキニン、アトリオペプ
チン、コレシストキニン、エンドルフィン、神経成長因子、メラノサイト抑制因
子−I、ガストリン拮抗薬、ソマトタチン、エンセファリン、シクロスポリンお
よびその誘導体(例えば、生物学的に活性なフラグメントまたは類似体)を含む
。その他の活性薬剤としては、麻酔薬、鎮痛薬(例えば、フェンタニールおよび
クエン酸フェンタニールのようなその塩類)、精神医学的異常症状、癲癇、およ
び偏頭痛を治療するための薬物、薬物依存症および薬物乱用を停止するための薬
物、抗炎症剤、高血圧、心臓血管病、胃酸過多および胃潰瘍を治療するための薬
物、ホルモン補充療法のための薬物および避妊薬、抗生物質およびその他の抗菌
剤、抗腫瘍剤、免疫抑制剤および免疫刺激剤、および造血剤および抗凝固剤、血
栓崩壊剤、および抗血小板薬を含む血液および血液形成器官に作用する薬物が含
まれる。さらに、本発明の供給装置により体内に供給できる別の活性薬剤として
は、インフルエンザ、エイズ、肝炎、はしか、おたふくかぜ、風疹、狂犬病、ア
ベルセラ(avercella)、破傷風、低ガンマグロブリン血症、Rh病、ジフテリ
ア、ボツリヌス中毒、ヘビによる咬傷、バック・ウィドウ(back widow)による
咬傷およびその他の虫による咬傷/刺傷、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
、慢性リンパ性白血病、サイトメガロウイルス(CMV)感染症、急性腎性拒否
反応、経口ポリオ、結核、百日咳、ヘモフィルス菌症、肺炎菌症、および黄色ブ
ドウ球菌症等に対応するワクチンを含む種々の病気に対応するワクチンが含まれ
る。例えば、R. Ulrich他の文献(Vaccine、16巻、19号、第1857頁乃至
第1864頁、1998年)を参照されたい。また、ブドウ球菌中毒に対するワ
クチンの例がPCT国際公開第WO 00/02523号に記載されている。さ
らに、M. Roberts他の「イオン導入式輸送の決定因子としての溶質構造(Solute
Structure as a Determinant of Iontrophoretic Transport)」(Mechanisms
of Transdermal Drug Delivery、R.O. PottsおよびR.H. Guy編集、Marcel Dekke
r社、1997年、第291頁乃至第349頁)において記載されているような
その他のカチオン性およびアニオン性の活性薬剤が本発明の装置、例えば、イオ
ン導入法または受動拡散法により供給できる。加えて、非イオン化状態または正
味の電荷がゼロに等しい活性薬剤もまた電気浸透法または受動拡散法により本発
明の装置を用いて供給できる。
【0021】 図1において、装置100は供給オリフィス134を被覆している取り外し可
能なリリース−ライナー104を有するハウジング102を備えている。この取
り外し可能なリリース−ライナー104は電気輸送供給の前に取り外されてオリ
フィス134を露出させてから、装置100が接着剤層132により皮膚表面部
分106に固定される。ハウジング102はシリコーン・ゴム、合成ゴム、また
はポリ(イソプレン)、ポリ(ブタジエン−コ−スチレン)、ポリ(イソブテン
−コ−イソプレン)、およびポリ(クロロプレン)等の天然ゴム、ポリウレタン
、ナイロン、ポリスチレン、ポリカーボネート、およびアクリル・ポリマーによ
り構成できる。このハウジング102は任意の形状(例えば、円形、卵形、また
は長方形)および寸法(例えば、供給する活性薬剤の量および装置が患者に装着
される場合の利便性に応じて決まる)にすることができる。また、皮膚表面部分
106に対するハウジング102の接触表面部分は任意の形状(例えば、円形、
卵形、または長方形)にすることができ、その面積は約1cm2 乃至約50cm 2 (例えば、約5cm2 乃至約30cm2 または約12cm2 )である。オリフ
ィス134もまた任意の形状(例えば、円形、卵形、または長方形)にできる。
実施形態の一例において、ハウジング102は2個以上のオリフィス134、例
えば、活性薬剤貯蔵器120および皮膚表面部分106に連通する当該ハウジン
グ内における種々の小孔(図示せず)を備えている。
【0022】 接着剤層132は供給処理中に上記装置を身体の表面部分に固着する。この接
着剤層における接着剤はポリマー状、感圧性、および/または、非導電性とする
ことができ、水に対して長い間曝した後でも接着性を保持できる。一般に、この
ような接着剤は一定の広い動作温度範囲を有している。適当な接着剤の材料とし
て、シリコーン、ポリイソブチレンおよびその誘導体、アクリル樹脂、天然ゴム
、およびこれらの組み合わせ物が含まれるがこれらに限らない。さらに、適当な
シリコーン接着剤としては、Dow Corning(登録商標)355(ミシガン州、ミッド
ランドのDow Corning社から入手可能)、Dow Corning(登録商標)X7-2920、Dow
Corning(登録商標)X7-2960、GE 6574(ニューヨーク州、ウオーターフォード
のGeneral Electric Company社から入手可能)、および米国特許第2,857,
356号、同第4,039,707号、同第4,655,767号、同第4,8
98,920号、同第4,925,671号、同第5,147,916号、同第
5,162,410号、および同第5,232,702号に開示されているよう
なシリコーン感圧接着剤が含まれるがこれらに限らない。適当なアクリル樹脂接
着剤としては、Gelva(登録商標)7371(ミズーリ州、セント・ルイスのMonsant
o Company社から入手可能)、Gelva(登録商標)7881、Gelva(登録商標)2943
、オハイオ州、ペイネスビルのAvery Dennison社から入手可能なI-780医療グレ
ード接着剤を含むビニル・アセテート−アクリレート・マルチポリマー、および
米国特許第4,994,267号、同第5,186,938号、同第5,573
,778号、同第5,252,334号、および同第5,780,050号に開
示されているようなアクリル樹脂感圧接着剤が含まれるがこれらに限らない。
【0023】 取り外し可能なリリース−ライナー104は保管中に接着剤層132に対して
貼付けられている。このリリース−ライナー104は使用時における接着剤の種
類に応じて選択され、その選択基準については当該技術分野における熟練者にお
いて周知である。一般に、リリース−ライナー104はポリマー・シートまたは
ポリマーをコーティングした紙であり、接着剤層132に対してかなり弱い粘着
性を有しているために、電気輸送供給処理の前に接着剤層132を破損すること
なくこれ自体を容易に取り外すことができる。接着剤層132に加えて、あるい
は、その代わりに、装置100を弾性バンド、バックル付きバンド(レザー・ウ
ォッチ・バンドに類似している)、またはVelcro(登録商標)バンド等(図示せ
ず)により身体表面部分に固定できる。
【0024】 皮膚表面部分106(例えば、人間の皮膚)は無傷の状態にすることができ、
この場合に、上記の活性薬剤は皮膚の付属物(例えば、汗腺および毛髪小胞)お
よび角質層におけるケラチノサイトの間の細胞間空間部分を通して供給される。
また、この身体表面部分は特定の皮膚病(例えば、乾癬の皮膚部位)、傷、およ
び磨耗性または鋭利な物体により作られた擦傷または穿孔を含む損傷した状態で
あってもよい。さらに、身体部分の破裂を装置の皮膚接触面部(例えば、上記装
置のオリフィスの近接領域)に突起部分を取り付けることにより適宜に行なって
、(例えば、米国特許第3,964,482号および同第5,250,023号
、PCT国際公開第WO 96/17648号、同第WO 97/48441号
、同第WO 97/48442号、同第WO98 /11937号、同第WO
98/46124号、および同第WO 98/28037号、およびHenry他の
文献(J. Pharm. Sci.87巻、8号、第922頁乃至第925頁(1998年)
)に開示されているような)活性薬剤の皮膚透過性を高めることも可能である。
【0025】 実施形態の一例において、上記ハウジングは多数個のオリフィスおよび多数個
のブレードを備えている。これらのオリフィスおよびブレードは単一シートの材
料(例えば、ステンレス・スチール等の金属の薄いシート材)により形成されて
いる。さらに、このシート材を孔あけするためのペネトレータ(例えば、丸形ま
たは平坦面付きの突き錐)を用いて通路(channel)が形成される。ペネトレー
タがシート材を孔あけする際に、シート材に孔をあけるまでペネトレータにより
シート材が延伸されてオリフィスおよびテーパー状の尖端部付きのブレード(例
えば、各ブレードの幅が当該ブレードの上部または先端部におけるよりも当該ブ
レードの下部において広くなっていて、各ブレードのエッジ部の厚さが当該ブレ
ードの上部におけるよりもその下部において厚くなっている)が形成される。従
って、これらのブレードは各オリフィスの周辺を囲っている。形成するブレード
の数はペネトレータの形状により決まる(例えば、4個の面を有するペネトレー
タは4個のブレードを形成する)。また、これらのブレードを上記通路に向けて
湾曲状にすることもできる(例えば、円錐形状またはピラミッド形状のペネトレ
ータを用いた場合)。なお、上記のようなオリフィスおよびブレードの製造方法
はPCT国際公開第WO 98/11937号に記載されている。
【0026】 必要に応じて、使用時に半透過性の膜(図示せず)を活性薬剤貯蔵器120と
取り外し可能なリリース−ライナー104または皮膚表面部分106との間に備
えることができる。このような半透過性の膜により、活性薬剤は受動的な電気輸
送供給時に皮膚内部に自由に通過できるが、その他のあらゆる成分(例えば、懸
濁剤)は活性剤貯蔵器120の中に留まる。
【0027】 流体貯蔵器110は流体を保持するための保持材料を収容できる。適当な保持
材料は親水性で高吸収性の多孔質材料を含む。適当な多孔質材料の例としては、
コットン基材のガーゼ、レーヨンまたはレーヨンの混合物、ポリエステルおよび
/またはその他のポリマー線維により作成した不織パッド、ポリウレタン、ポリ
エステルおよび/またはその他のポリマーにより構成されている発泡体およびス
ポンジ状の材料、およびポリアクリルアミド、ポリビニル・アルコール、ゼラチ
ン、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルセルロース、メチルセルロース、およびカルボキシメチルセルロースを含
む架橋状態および無架橋状態のゲル化材料が含まれるがこれらに限らない。
【0028】 別の実施形態において、流体吸収性の材料は流体貯蔵器110の中に存在して
いて、隣接する活性薬剤貯蔵器120から半透過性の膜108を介して流体を吸
収することが可能であり、これにより、機械的または浸透圧により薬物貯蔵器1
20の容積を減少できる。この流体吸収性の材料はポリマーとすることができる
。実施形態の一例において、上記の半透過性の膜108は流体吸収性の材料およ
び活性薬剤に対して透過性ではないが、流体およびその他の小さい非活性物質(
例えば、電解質)に対して透過性である。この半透過性の膜108は十分な弾性
または柔軟性を有していて、その構造の完全性および透過性を損なうことなくそ
の形状および寸法を変えることができる。流体が薬物貯蔵器120から流出して
流体貯蔵器110に流入する際に、半透過性の膜108はその形状を変えて減少
した薬物貯蔵器の容積および増加した流体貯蔵器の容積に適合できる。薬物貯蔵
器の容積が減少することにより、当該薬物貯蔵器120内の活性薬剤の濃度が高
まり、この結果、活性薬剤の障壁膜内への供給効率が高まる。
【0029】 上記流体吸収性材料の例として、N. A. Peppasの「薬剤および薬物におけるヒ
ドロゲル(Hy(d)rogels in Medicine and Pharmacy)」(CRC Press社、I巻、
1986年、II巻およびIII巻、1987年)において記載されているよう
な架橋状態および無架橋状態のポリマー、メチルセルロース(MC)、ヒドロキ
シエチル・メチルセルロース(HEMA)、ヒドロキシプロピル・メチルセルロ
ース(HPMC)、エチルヒドロキシエチル・セルロース(EHEC)、ヒドロ
キシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、
カルボキシメチルセルロース(CMC)およびそのナトリウム塩(NaCMC)
を含む水膨潤性のセルロース誘導体を含む膨潤性ポリマー、ポリビニル・アルコ
ール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレン・オキシド(
PEO)、ヒドロキシエチル・メタクリレート(HEMA)、ヒドロキシエトキ
シエチル・メタクリレート(HEEMA)、ヒドロキシジエトキシエチル・メタ
クリレート(HDEEMA)、メトキシエチル・メタクリレート(MEMA)、
メトキシエトキシエチル・メタクリレート(MEEMA)、メチルジエトキシエ
チル・メタクリレート(MDEEMA)、エチレン・グリコール・ジメタクリレ
ート(EGDMA)、n−ビニル−2−ピロリドン(NVP)、メタクリル酸(
MA)、酢酸ビニル(Vac)、ポリアクリルアミド、ゼラチン、アラビア・ゴ
ム、カラヤ・ゴム(gum karaya)、トラガカント・ゴム、グアー・ゴム、パパヤ
・ゴム、ベンゾイン・ゴム、アルギン酸およびその塩類を含むゴムおよび多糖類
が含まれるがこれらに限らない。さらに、流体吸収性ポリマーの例として、ポリ
エチレン・グリコール(PEG)およびポリプロピレン・グリコール(PPG)
が含まれる。また、上記の流体吸収性材料はクレー、またはベントナイトおよび
モンモリロナイトを含むがこれらに限らないその他の膨潤性のミネラルとするこ
ともできる。
【0030】 上記の活性薬剤貯蔵器120は供給時に溶液の状態で活性薬剤を収容していて
、半透過性の膜108を介して流体貯蔵器110から分離している。流体貯蔵器
110において流体を保持するための上記の保持材料は活性薬剤貯蔵器120の
中に存在していてもよい。一般に、半透過性の膜108は溶媒および低分子量の
緩衝剤物質および張度調整イオンのような低分子量の賦形剤に対して透過性であ
るが、供給する活性薬剤に対しては不透過性である。実施形態の一例において、
上記活性薬剤の分子量の半分以下(例えば、約1/4以下)の分子量を有する粒
子のみが半透過性の膜108の中を通過できる。
【0031】 上記半透過性の膜108はセルロース、Spectra/Por(登録商標)透析膜(テ
キサス州、ヒューストンのSpectrum社から入手可能)再生セルロース、酢酸セル
ロース、および硝酸セルロースを含むセルロース誘導体、セルロース/ポリエス
テルおよびセルロース/プロピレン等のセルロースと別のポリマー材料との混合
物、ポリエチレン、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)、ポリテトラフルオ
ロエチレン、弗化ポリビニリデン、ナイロン、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、キュプロファン(cuprophan)、ポリメチル・メタクリレート、エチレン
・ビニル・アルコール、ポリスルホン、およびポリアクリロニトリルにより構成
できる。
【0032】 図2の別の実施形態において、電極112が流体貯蔵器110の中に導入され
ている。この電極112はプラチナまたは金のような貴金属、チタン、炭素等の
導電性材料により作成可能であり、あるいは基板上に導電性材料をめっき処理す
ることにより作成できる。導電性ポリマーもまた電極112において使用できる
。適当な導電性ポリマーは炭素埋込シリコーン・ゴム、炭素埋込天然ゴム、およ
びハロゲン化銀粉埋込ポリマー等の導電性充填剤埋込ポリマーを含むがこれらに
限らない。種々の炭素基材電極がガラス状炭素、レチクル状のガラス質炭素、グ
ラファイト/エポキシ複合材料、熱分解グラファイト、カーボン・ペースト、カ
ーボン・パウダー、および炭素繊維により構成できる。電極112として使用で
きる別の材料として、ハロゲン化銀コーティング銀(例えば、AgCl−Ag、
AgBr−Ag、AgI−Ag)、耐腐食性合金(例えば、ステンレス・スチー
ルおよびTiコーティング合金)等が含まれるがこれらに限らない。さらに、電
極112は上記の各材料の任意の物の組合せにより作成することもできる。水の
電気分解を利用するために、上記導電性電極は例えばプラチナ電極のように電気
化学的に不活性である必要がある。
【0033】 電極112を収容するための電極チャンバーとして作用している流体貯蔵器1
10は電極112、センサー118、および(半透過性の膜108を介して)活
性薬剤貯蔵器120に対して連通している。ケーブル116は電極112と電流
供給ユニット(図示せず)との間を電気的に接続している。同様に、ケーブル1
14はセンサー118と電流供給ユニット(図示せず)との間を接続している。
【0034】 身体表面部分を通して移動する電荷に対応して活性薬剤イオンに対して競合す
る電極媒体中のイオンを最少にするために、電極媒体中のイオン電荷量を低下す
るまたは皆無にすることが必要である。一般に、電極媒体は1%以下(例えば、
0.1重量%以下または0.01重量%以下)の電解質を含有する水溶液により
構成されている。実施形態の一例において、上記の電極媒体は水である。また、
この電極媒体は約0.1重量%乃至約90重量%のグリセリン、プロピレン・グ
リコール、ヘキシレン・グリコール、ポリエチレン・グリコール、ポリプロピレ
ン・グリコール、および低級炭素鎖アルコール(エタノールおよびイソプロピル
・アルコール等)を含むがこれらに限らない別の非イオン性の溶媒を含有してい
てもよい。
【0035】 一般に、活性薬剤貯蔵器120と流体貯蔵器110との間の容積比率が低いほ
ど、活性薬剤貯蔵器120から流体貯蔵器110の中に多くの競合イオンが移動
する。この結果、この容積比率が低下するのに従って、活性薬剤の供給効率が高
まる。例えば、活性薬剤貯蔵器と流体貯蔵器との間の容積比率が1:9の場合に
おいて、競合イオンが半透過性の膜108を透過して流体貯蔵器110内におい
て平衡状態に到達した後における、活性薬剤貯蔵器120内の競合イオン濃度は
半透過性の膜108および上記の容積比率を有する分離した流体貯蔵器110の
無い同一の装置における濃度の1/10になる。さらに、この容積比率が1:4
9であれば、活性薬剤貯蔵器120内の競合イオン濃度は1/50に減少する。
それゆえ、流体貯蔵器110に対する活性薬剤貯蔵器120の容積比率を最小に
することが好ましい。実施形態の一例において、この容積比率は約1:1よりも
小さい(例えば、約1:10以下、約1:20以下、または約1:50以下であ
る)。
【0036】 活性薬剤の電気化学的反応により、当該活性薬剤の劣化または電極112の表
面上における活性薬剤の析出がしばしば生じて、活性薬剤の治療効果が低下また
は消失する。上記半透過性の膜108は活性薬剤が電極112の表面に接触する
ことを阻止するので、活性薬剤の劣化または電極112の表面上における活性薬
剤の析出による活性薬剤の損失を防ぐことができる。
【0037】 大抵の蛋白質およびペプチドの薬物は注射により投与される。このような注射
可能な薬物製剤は一般にクレゾール、クロロクレゾール、ベンジル・アルコール
、メチル・p−ヒドロキシベンゾエート、プロピル・p−ヒドロキシベンゾエー
ト、フェノール、チメロサール、塩化ベンズアルコニウム、塩化ベンゼトニウム
、および硝酸フェニル水銀等の保存剤、安定化剤、アスコルビン酸、アスコルビ
ン酸エステル、ブチルヒドロキシ・アニソール、ブチルヒドロキシ・トルエン、
システイン、N−アセチルシステイン、亜硫酸水素ナトリウム、二亜硫酸ナトリ
ウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、アセトン亜硫酸水素ナトリ
ウム、トコフェロール、およびノルジヒドログアヤク脂酸等の酸化防止剤、緩衝
剤、エチレンジアミン四酢酸およびその塩等のキレート化剤、酢酸、クエン酸、
リン酸、グルタミン酸、およびこれらの塩等の緩衝剤、塩化ナトリウム、硫酸ナ
トリウム、デキストロースおよびグリセリン等の張度調節剤を含むイオン性の賦
形剤を含有している。これらイオン性の賦形剤は電流を運ぶ場合に活性薬剤に対
して競合する。これらの競合イオン(すなわち、イオン性の賦形剤)は通常にお
いて活性薬剤よりも小さく重量が軽いために、相当量の電流を運ぶことができる
。この結果、多量の電流が活性薬剤イオンではなくてイオン性賦形剤の移動に従
って流れるので、活性薬剤の供給効率が低下する。
【0038】 そこで、半透過性の膜108を使用することにより、本発明の電気輸送装置は
活性薬剤貯蔵器120内の競合イオン濃度を大幅に減少できるので、市場におけ
る注射可能な製剤を使用する場合においてもその活性薬剤の電気輸送供給を増加
できる。すなわち、競合イオンは活性薬剤貯蔵器120内の薬物製剤から半透過
性の膜108を通過して流体貯蔵器110内の電解質を全く含まないまたは極め
て低濃度の電解質を含む電極媒体中に容易に移動できる。それゆえ、活性薬剤貯
蔵器120内の競合イオンの数は大幅に少なくなる。この結果、身体表面部分の
中に流れる電流の大部分が競合イオンではなく活性薬剤イオンにより運ばれて、
活性薬剤の供給が増大する。
【0039】 図3に示す別の実施形態において、電流供給ユニット200は一対の電気輸送
装置100aおよび電気輸送装置100bに接続して電気輸送式活性薬剤供給シ
ステム300を形成している。本発明によれば、第1の電気輸送装置100aお
よび第2の電気輸送装置100bの中の導体電極112aおよび導体電極112
bに対して電流供給ユニット200からそれぞれ印加される電気的極性は各セン
サー118aおよび118bからのフィードバック情報に基づいて電流供給ユニ
ット200により周期的に逆転できる。センサー118aおよびセンサー118
bはケーブル114aおよびケーブル114bを介してそれぞれ電流供給ユニッ
ト200に接続している。上記の2個の能動電極は単純な直流電流(DC)また
はパルス化したDCにより同一の活性薬剤または異なる活性薬剤を同時または連
続的に供給できる。例えば、インシュリン分子はpH3において溶液内で陽性の
電荷を運び、pH7において陰性の電荷を運ぶ。これらのインシュリンの同時的
な電気輸送供給は陽極電極下にpH3のインシュリン溶液を配置して陰極電極下
にpH7の別のインシュリン溶液を配置することにより両方の電極において行な
うことができる。さらに、電気的な極性を逆転すると、イオン導入法によるイン
シュリン供給が両方の電極において停止し、さらに逆の極性に反転することによ
り再開する。このインシュリンを連続的な様式で供給するためには、同一のpH
値(例えば、pH7)のインシュリン溶液を両方の電極下に配置することにより
、任意時間において、一方の電極(例えば、陽極)のみにおいてインシュリンが
供給されている状態になる。その後、電気的極性を逆転すると、別の電極が次の
電気的極性の反転までインシュリンを供給している状態になる。同様に、それぞ
れの溶液中において同一の電荷または反対の電荷を運ぶ2種類の異なる活性薬剤
は、各溶液を上記2個の電極下にそれぞれ配置して上記のような極性逆転方式に
従ってイオン導入処理を行なうことにより、本発明による供給システムにおいて
供給可能である。
【0040】 上記の極性逆転方式(reversed polarity method)の利点はSun他の文献(Pro
ceed. Intern. Symp. Control. Rel. Bioact. Mater.17:第202頁乃至第2
03頁、1990年)において詳しく説明されている。つまり、一例として供給
システム内においてpH調整を行なうことにより、逆転した極性が各電極表面(
すなわち、導体材料の表面)において付随的に生じる電気化学的反応の方向を逆
にするので、水の電気分解の結果として各電極表面において生じる水素イオンお
よび水酸基イオンが中和して、不所望なpH値の変動が防止できる。例えば、導
体電極材料として貴金属を使用する場合に、水素イオン(H+ )が正電極(陰極
)において生成し、水酸基イオン(OH- )が負電極(陽極)において生じる。
第1の時間間隔における陰極に接近する水素イオンの蓄積によりその電極媒体の
pH値が酸性(すなわち、さらに低いpH値)に移行し、陽極に接近する水酸基
イオンの蓄積によりその電極媒体のpH値がアルカリ性(すなわち、さらに高い
pH値)に移行する。しかしながら、第2の時間間隔において、極性の逆転時に
上記の電気化学的反応がそれぞれの側に移り変わって、水酸基イオンが上記第1
の時間間隔において水素イオンが発生していた電極において生じて、その逆の現
象が別の電極において生じる。このようにして、各電極媒体は第2の時間間隔が
終了して極性変化のサイクルが完了した時に元のpH値に戻る。
【0041】 しかしながら、上記の一定の周波数(すなわち、上記実施例および従来技術に
おいて記載されているような各極性逆転時における一定の時間間隔)により極性
を逆転するイオン導入技法は理想的な状況においてのみ動作するものであり、薬
物供給装置の製品が直面している実際の状況下においては不都合な点が残る。す
なわち、溶液のpH値を初期的なpH値からずらして薬物の電気輸送供給を低下
する多くの要因が極性逆転方式のイオン導入技法に存在する。例えば、水に加え
て、電気輸送供給システム内の組成における別の成分もまた導体電極表面におけ
る電気化学的な諸反応に関与し、これにより各電極において生成される水素イオ
ンおよび水酸基イオンの量が変化してpH値が変動する。例えば、塩素イオンは
陰極において酸化されて塩素ガスになる。また、組成中の酸化防止剤もまた酸化
する可能性がある。このような不都合は、例えば、2種類の活性薬剤が各電極下
において供給される場合のように2種類の異なる組成が各電極に曝される場合、
あるいは、2種類の異なるpH領域において電気化学的反応が生じる場合にさら
に深刻になる。さらに、薬物配合中および電極構成要素中の不純物、並びに、2
個の電極間の流体容積における差異により、元の時点からのずれ、または最適な
電気輸送状態からのずれが生じる可能性がある。
【0042】 本発明の実施形態の一例はセンサーにより検出した流体内の組成変化または電
気的変化に基づいて極性逆転に対応する可変の時間間隔を使用することにより上
記の問題を解消している。この本発明の電気輸送装置は1個以上のセンサーを備
えている。これらのセンサーは流体、および図2に示すように流体貯蔵器110
内の電極媒体に接触しているか、活性薬剤貯蔵器120内の活性薬剤溶液に接触
している(図示せず)。
【0043】 図3に示すように、各センサー118aおよび118bは装置内を通過する電
流により生じる組成的変化または電気的変化を検出して、その信号を電流供給ユ
ニット200に送る。この信号を受信すると、電流供給ユニット200は装置1
00aおよび装置100b内の各電極112aおよび112bにおける電極の極
性をそれぞれ逆転するように動作する。このようにして、電流供給ユニット20
0は各反転処理の間の時間間隔の長さを決定してシステムが確実に最適な条件下
で動作するようにする。さらに、電流供給ユニット200は電流強度および電流
波形を調節して所望の供給速度にすることができる。流体内における組成変化の
例としては、溶液pH値、溶液導電率、活性薬剤、ハロゲン化イオン、種々の酸
(例えば、硫酸、硝酸、リン酸、酢酸およびクエン酸等)および塩類のアニオン
、金属イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、ストロンチウム、カ
ルシウム、亜鉛、マグネシウムおよびアルミニウム等)、アミン官能基を有する
化合物、カルボン酸官能基を有する化合物、ガス(例えば、酸素、水素、塩素、
二酸化炭素、アンモニア等)における変化、および色、粘度、密度、温度、圧力
、および導体電極における酸化還元処理の反応物および生成物(例えば、種々の
原子価の金属および非金属物質)における変化が含まれるがこれらに限らない。
上記のセンサーはさらに哺乳類動物の身体表面部分から装置内に入る尿素、乳酸
、クレアチニン、グルコース、プロスタグランジン、電解質、アミノ酸、ペプチ
ドおよびポリペプチド、蛋白質および蛋白質フラグメント、脂肪酸およびそれら
のエステル、酵素、ホルモン、およびその他の代謝産物を含む当該動物からの生
物学的/化学的な物質も検出する。本発明のセンサーはハウジング102の内容
物中における上記のあらゆる変化を測定してこれらの情報を信号として電流供給
ユニットに送ることができる。
【0044】 従って、上記センサーの例としては、導電率およびインピーダンス・センサー
、イオン選択電極センサー、pHセンサーおよびイオン選択電極のような電位差
測定に基づくセンサー(例えば、塩素、弗素、硫酸塩、銀、ナトリウム、カリウ
ム、リチウム、およびアンモニウム)、電流測定または電圧測定に基づくセンサ
ー(例えば、酸素および種々のアミン)、比色定量および分光測光に基づくセン
サー、圧力センサー、および温度センサー等が含まれるがこれらに限らない。こ
のようなセンサーの例がD.G. Buerkによる文献(Biosensors. Theory and Appli
cations)(ペンシルベニア州ランカスターのTechnomic Publishing Company(
1993年))、D. Ammannによる文献(Ion-Selective Micro-Electrodes. Pri
nciples, Design and Application)(ニューヨーク州、ニューヨークのSpringe
r-Verlag社、(1986年))、V.V. Cosofret他による文献(Pharmaceutical
Applications of membrane Sensors)(フロリダ州、ボカ・レイトンのCRC Pres
s社、(1992年))、およびL.J. Blum他編集の文献(Biosensor Principles
and Applications)(ニューヨーク州、ニューヨークのMarcel Dekker社、(1
991年))、および米国特許第5,591,124号、同第5,622,53
0号、および同第5,533,971号およびPCT国際公開第WO 98/1
46124号等において開示されている。さらに、外部センサーを伴う電気輸送
供給装置のための回路の例が米国特許第5,213,568号に開示されている
。必要に応じて、イオン導入処理中に電極媒体を任意のpH値の範囲内に維持す
るために特定の緩衝剤を流体貯蔵器110の中に入れることができる。緩衝剤と
しては、ポリマー緩衝材、および周囲の液体に対して緩衝作用を有する固体材料
等が含まれるがこれらに限らない。一般に、ポリマー緩衝剤の大きな分子寸法お
よび固体緩衝材料の大きな粒径(例えば、半透過性の膜108を遮断する2倍の
分子量よりも大きい)のために、これらの緩衝剤は半透過性の膜108を通過し
て活性薬剤貯蔵器120に到達できない。上記のポリマー緩衝剤は水素イオンま
たは水酸基イオンを消費することにより任意のpH値においてイオン化して流体
貯蔵器110内の溶液のpH値を維持できる任意のポリマーとすることができる
。上記の固体緩衝材料は水に対して不溶性であるか、限られた水溶性を有する物
質とすることができる。適当な固体緩衝材料は炭酸カルシウムおよび酸化亜鉛を
含むがこれらに限らない。ポリマー緩衝剤は水溶性または水に対して不溶性のい
ずれであってもよい。実施形態の一例において、水に対して不溶性のポリマー緩
衝剤はそれらの表面積を最大にするために微粒子の形態を採っている。ポリマー
緩衝剤の小粒子は供給する活性薬剤が溶解または懸濁しているゲル基質内に懸濁
可能である。あるいは、上記の水に対して不溶性のポリマー緩衝剤は電極112
および/または流体貯蔵器110の内壁部を被覆する多孔質または非多孔質のポ
リマー膜として形成されている。さらに、この多孔質のポリマー膜は半透過性の
膜108としても使用できる。
【0045】 例えば、腸内コーティングに使用されるポリマーのようなアニオン性ポリマー
等の酸性官能基を有するポリマーは陽極イオン導入(すなわち、負電極により供
給される負に帯電した活性薬剤)の処理中における流体貯蔵器110内の電極媒
体のpH値増加を阻止するために使用できる。適当なアニオン性ポリマーとして
はRohm Tech社(マサチューセッツ州、モルデン)から入手可能なEudragit L、S
、RSおよびRLのようなメタクリル酸およびメタクリレートのコポリマー、および
Eastman Fine Chemical社(テネシー州、キングスポート)から入手可能なC-A-P
、C-A-T、およびHPMCP 50 & 55のようなセルロース・アセテート・フタレート、
セルロース・アセテート・トリメリテート、およびヒドロキシプロピル・メチル
セルロースが含まれるがこれらに限らない。実施形態の一例において、上記アニ
オン性ポリマーは薬剤品質級のグレードである。
【0046】 上記のアニオン性ポリマーの一例はEudragit S100である。7よりも低いpH
値において、このEudragit S100は固体である。一方、pH7以上において、こ
のEudragit S100はそのカルボキシル基のイオン化により溶解する。このカルボ
ン酸官能基のイオン化により、陽極イオン導入中の電気化学的反応により生じた
過剰の水酸基イオンが中和される。例えば、6.5乃至7のpH値範囲において
イオン導入法により投与することを目的とする薬物配合物においてEudragit S10
0が緩衝剤として利用できる。すなわち、6.5乃至7のpH値において、Eudra
git S100は固体であるために活性薬剤の供給処理に対して影響を及ぼさない。さ
らに、この陽極におけるイオン導入処理が進行すると、水酸基イオンが流体貯蔵
器110の溶液中に蓄積され始めて、これによりEudragit S100のポリマーが溶
解するために電極媒体のpHが維持される。
【0047】 塩基性官能基を有するポリマー、すなわち、アミン基を有するポリマーのよう
なカチオン性ポリマーは陰極イオン導入(正電極により供給される正に帯電した
活性薬剤)におけるpH値の減少を阻止するために使用できる。適当なカチオン
性ポリマーとして、Rohm Tech社から入手可能なEudragit Eのようなジメチルア
ミノエチル・メタクリレートおよびメタクリル酸エステルのコポリマーが含まれ
る。実施形態の一例において、このカチオン性ポリマーは薬剤品質級のグレード
である。上記のEudragit Eは5よりも高いpH値において固体であり、5以下の
pH値において溶解する。陰極の電気化学的な反応により水素イオン濃度が増加
すると、Eudragit Eが水素イオンを吸収してイオン化するために、電極媒体のp
H値が維持される。
【0048】 流体貯蔵器110内の電極媒体は糖質(saccharides)、シクロデキストリン
のような多糖類、非イオン性の界面活性剤、キレート化剤、酸化防止剤、および
抗菌剤を含むがこれらに限らない別の添加物も含有できる。
【0049】 さらに別の実施形態においては、流体貯蔵器110は2個以上の貯蔵器に分割
されていて、これらは異なる孔径の別の半透過性の膜により分離されて選択され
た材料のみが通過できるようになっている。このような実施例の一例を図4に示
す。第2の半透過性の膜107の存在により別の流体貯蔵器115が形成されて
おり、この貯蔵器115は(第2の半透過性の膜107を介して)流体貯蔵器1
10と連通しており、さらに(半透過性の膜108を介して)活性薬剤貯蔵器1
20と連通している。この流体貯蔵器115は上述したポリマー緩衝剤および固
体緩衝剤、並びに、イオン交換樹脂、さらに必要に応じて、上述した保持材料を
収容することができる。この流体貯蔵器115は競合イオンを除去すると共にこ
れらのイオンが活性薬剤貯蔵器120に到達することを阻止するために作用し得
る。さらに別の貯蔵器をこの電気輸送装置内に備えて、例えば、導体電極におけ
る電気化学的反応により発生するガスおよびその他の「廃棄物(wastes)」を除
去するため等の別の用途に使用することも可能である。これらの付加的な流体貯
蔵器はハウジング102の上部(供給オリフィスと反対側)と導体電極112と
の間に配置できる。
【0050】 図2における電流供給ユニット200は任意の形状および寸法にすることがで
き、システムを患者に装着する目的で使用する場合には一般的に小形になる。こ
の電流供給ユニットは外部供給源から(例えば、電流供給ユニットを標準的なウ
ォール・アウトレットに繋げて)そのエネルギーを受け取ることが可能であり、
あるいは、(例えば、患者に装着する場合に)バッテリーを備えることもできる
。実施形態の一例において、上記の電流供給ユニット、装置、および第2の電極
が全て同一のコンテナ内に収容されている。このようなシステムおよび当該シス
テムのための回路の例は、例えば、米国特許第4,141,359号、同第4,
744,788号、同第4,747,819号、同第5,224,927号、同
第4,752,285号、同第4,722,726号、同第4,731,049
号、5,042,975号、同第5,571,149号、および同第5,853
,383号、Parkの文献(J. Neuroscience Methods、29:第85頁乃至第8
9頁(1989年))、Zakzewski他の文献(Med. & Biol. Eng. & Compt.、3
4:第484頁乃至第488頁(1966年))、およびJaw他の文献(Med. En
g. Phys.、17:第385頁(1995年))等の従来技術において周知である
。さらに、極性逆転回路の例が米国特許第4,406,658号および同第5,
224,927号に開示されている。
【0051】 図5において、入口128は当該入口128を通して流体(例えば、電極媒体
)を流体貯蔵器110の中に導入することを可能にしている。実施形態の一例に
おいて、この入口128はカプセル130内に収容されている電極媒体を受容す
るように構成されている。カプセル130は任意の形状(例えば、円筒形または
球形)にできる。このカプセル130はガラス、プラスチック、または金属等の
薬剤的に許容可能な任意の材料により作成できる。ガラス・カプセルまたはその
他の破壊可能なカプセルの場合に、プランジャー124をチャンバー122内の
カプセル130に対して押し当てることによりこのカプセル130を押しつぶす
、または、カプセル壁部に孔を開けして破壊することができる。その後、カプセ
ル130内の溶液が入口128を通して流体貯蔵器110の中に流入する。
【0052】 上記入口128はガラス屑等のカプセル130の破片が流体貯蔵器110の中
に入り込むこと、および哺乳類動物の皮膚に接触することを防ぐためのフィルタ
ーを必要に応じて収容することができる。
【0053】 この実施形態における活性薬剤は、例えば、上記の多孔質材料(例えば、不織
パッドまたはポリウレタン発泡体)等の保持材料中において不動状態になってい
る粉体、あるいは、多孔質材料の存在下または非存在下において凍結乾燥(すな
わちフリーズ−ドライ処理)されている形態のいずれかの状態で活性薬剤貯蔵装
置120の中に予備充填することができる。このような実施形態において、固体
状態の薬物は電極媒体が流体貯蔵器110から半透過性の膜108を通して活性
薬剤貯蔵器120の中に流入する際に溶解する。凍結乾燥処理および保存中にお
ける薬物の安定性、迅速な溶解、および可溶化のために必要な薬剤用の賦形剤を
活性薬剤貯蔵器120内に存在させることができる。このような賦形剤の例とし
て、リン酸、クエン酸およびこれらの薬剤的に許容可能な塩、酸化防止剤、キレ
ート化剤、保存剤、ヒト血清アルブミン、ゼラチンおよびデキストロース、マン
ニトール、デキストラン、およびシクロデキストリン等の炭水化物が含まれるが
これらに限らない。
【0054】 次に、図6の電気輸送装置または図7の受動供給装置において示す別の実施形
態において、第1のカプセル130および第2のカプセル140がチャンバー1
22の中に挿入されている。第2のカプセル140は活性薬剤を含有している溶
液を収容している。一方、第1のカプセル130は電極媒体としての低イオン性
または非イオン性の液体(例えば、蒸留水)等の流体を収容している。これら2
個のカプセルを分離している区画膜135は液体に対して不透過性であるが、(
例えば、横隔膜のように)十分に弾性を有していて、(例えば、ピストンのよう
に)移動可能であって、プランジャー124により力を加えることにより第1の
カプセル130および第2のカプセル140の両方を破壊可能にしている。この
ような電気輸送供給のための装置を準備するために、プランジャーがチャンバー
122の中に押し入れられて第1のカプセル130および第2のカプセル140
を破壊する。その後、第2のカプセル140から薬物溶液が入口138を介して
活性薬剤貯蔵器120の中に流入し、第1のカプセル130から電極媒体が入口
128を介して流体貯蔵器110の中に流入する。活性薬剤貯蔵器120から非
薬物イオンが半透過性の膜108を通して流体貯蔵器110の中に移動する際に
、その薬物貯蔵器内の競合イオン濃度は上述した理由により大幅に減少して電気
輸送供給の効率が大幅に増大する。上記の流体吸収材料は流体貯蔵器110の中
に存在していてもよく、膨張時に活性薬剤貯蔵器120の容積が減少して、当該
活性薬剤貯蔵器120から流体貯蔵器100の中に流体として流れ込む活性薬剤
の濃度が増加する。この活性薬剤濃度の増加により、薬物供給の効率がさらに高
まる。この電気輸送装置に適する薬物含有溶液は標準的な非経口投与用の液体製
剤とすることができる。十分な商品寿命に対応して薬物を安定化するために、種
々の安定化剤、多くはイオン性の緩衝剤、酸化防止剤、キレート化剤、および保
存剤等が上記の製剤に配合される。塩化ナトリウム等の電解質を注射可能な製剤
に添加してこれらを等張性にする場合もある。このような実施形態の電気輸送装
置は大幅に高められた供給効率を有する注射可能な製剤の直接的な使用を可能に
する。また、別の実施形態において、上記の電極媒体および/または活性薬剤の
溶液が入口(例えば、隔壁(septum)等の自己シール式の入口)を通して注射器
により流体貯蔵器110および活性薬剤貯蔵器120の中にそれぞれ注入される
。さらに、別の実施形態においては、(例えば、ハウジング102の壁部に10
0μmよりも小さい直径を有する)1個以上のオリフィスが存在していて、これ
らが液体貯蔵器の充填時に空気の出口として作用する。この小さなオリフィスは
液体貯蔵器が充填された後に封じることができる。さらに、これらの小さいオリ
フィスは(例えば、弁を使用する等により)電気輸送時に生じるガスを放出する
ためにも使用できる。
【0055】 本発明の装置を利用するために、上記の装置および第2の電極(例えば、本発
明の第2の装置)を電流供給ユニットに接続して活性薬剤供給システムを形成す
る必要がある。この電流供給ユニットは装置内の電極に対する電流供給源である
。さらに、この電流供給ユニットはセンサーからのフィードバック情報に基づい
て電極における種々のパラメータを変更できる(例えば、電極における電流強度
および極性を変更する)。
【0056】 実施形態の一例において、図8に示すように上記システムは供給動作時に一対
の上述した装置を備えている。電流供給ユニット200は他の装置から分離して
各対の装置を動作させることができるが、全体的な薬物供給システムにおける全
体の供給処理も制御可能である。これらの組合わされた対の装置の配列および形
状は正方形、円形、卵形、長方形、または三角形等のように変更可能である。こ
の内の長方形の形態における実施例の一例を図8に示している。幾つかの対の電
気輸送装置(例えば、100a1および100b1)が単一の電気輸送供給シス
テム400を形成しているので、各装置の供給オリフィスのそれぞれの寸法(す
なわち、装置のオリフィスの寸法)を単一対型の供給システムにおけるオリフィ
スよりも小さくできる。例えば、皮膚の10cm2 を覆うオリフィスを有する1
種類の活性薬剤を含有している装置を備えている単一対型の供給システムを利用
する代わりに、図8に示すような5対型のシステムは5個の装置(すなわち、1
00a1乃至100a5)において同一の、すなわち、10cm2 の皮膚を被覆
できる。しかしながら、この5対型システムにおけるそれぞれの電極下(例えば
、100a1)の各オリフィスは、単一対型システムの場合の10cm2 の皮膚
とは異なり、2cm2 の皮膚を被覆しているのみである。このような多対方シス
テムの利点は電流分布の改善された調整、改善された薬物供給、および全体の供
給領域にわたる火傷等の組織損傷の危険性を低減することである。さらに、上記
電流供給ユニットが各対(すなわち、全体の供給領域における各部分)を分離し
て調整可能であって、その隣接対に基づいて印加電位について必要な調節を行な
うことができるので、結果として得られる供給領域上の電流分布状態がさらに均
一になる。例えば、特定対の装置下における皮膚領域が損傷して皮膚の抵抗力が
低下した場合、あるいは、装置自体がその構成部品の一部における損傷および欠
陥により誤動作する場合に、電流供給ユニットは各センサーからの信号に基づい
て電流強度または極性逆転の時間間隔を変更するか、あるいは、その特定の装置
における電流を停止することにより、皮膚組織の障害の可能性を回避する。さら
に、上記の電流供給ユニットは別の装置を調節して欠陥のある装置により生じる
変化を補うことにより全体の薬物供給を改善することもできる。
【0057】 図9において、薬物供給システム500の別の実施形態は3個の上述したよう
な装置(すなわち、100a,100bおよび100c)を備えている。実施形
態の一例において、装置100aおよび100bが活性薬剤を収容し、装置10
0cが活性薬剤を収容せずに緩衝剤溶液または緩衝剤懸濁液により充填されてい
て、例えば、この装置100cの流体貯蔵器は緩衝剤含有液体(例えば、上述し
たポリマー緩衝剤または固体緩衝剤)により充填されており、その活性薬剤貯蔵
器には電解質含有液体のみが収容されている。このような配列構成の一例が米国
特許第5,540,669号に開示されている。電流供給ユニット200は装置
100a,100bおよび100cの各電極および装置100aおよび100b
の各センサーに接続している。また、別の実施形態においては、電流供給ユニッ
ト200は装置100cのセンサーにも電気的に接続している。
【0058】 上記3個装置型の電気輸送供給システム500により電気輸送式薬物供給を行
なうための種々の方法がある。本明細書においてはその内の2種類の実施例を説
明し、その動作モードを例示する。第1の動作モードにおいて、電気輸送供給処
理を上記2個装置型の電気輸送システム300の場合に図3において説明した様
式(すなわち、電気的な極性を装置100aおよび装置100bにおける各セン
サーからの信号に基づいて電流供給ユニット200により決定された逆転間隔時
間に従って逆転する様式)と同様の様式で行なう。図8におけるシステム500
と図3におけるシステム300との差異を以下に説明する。システム500にお
ける装置100aおよび装置100bの中の各センサーにより検出した特定の時
点において、これらの電気輸送装置100aおよび電気輸送装置100bの間に
おけるイオン導入処理は一時的に保留される。その後、第3の装置100cが電
気輸送装置100aまたは電気輸送装置100bのいずれかに対して電気的に連
携して各装置100aまたは100bにおける貯蔵器内の流体中のイオン組成を
調節することにより各電極における電気化学的反応(例えば、水の電気分解)に
よる電気輸送条件(例えば、特定のpH値)を最適にする。センサーが目的とす
る組成調節の完了を示すと、装置100aおよび装置100bの間で行なわれて
いる電気輸送式薬物供給が再開する。あるいは、装置100cが電気輸送装置1
00aまたは電気輸送装置100bのいずれかに対して電気的に連携してこれら
の電気輸送装置の間における電気輸送供給処理を保留することなく関連している
各装置内の電気化学的反応を促進することにより(すなわち、当該装置を通過す
る電流を単に増加することにより)そのイオン組成を調節することができる。
【0059】 第2の動作モードにおいて、電気輸送装置100aおよび電気輸送装置100
bは共に装置100cに同時に連携しており、装置100cは共通の対電極とし
て作用する。システム全体の電気輸送供給は装置100aおよび装置100cの
間および装置100bおよび装置100cの間の極性を周期的に逆転することに
より行なわれる。各逆転時間間隔の長さが各センサーおよび電流供給ユニット2
00により決定されて、両方の装置100aおよび100b内の各薬物組成が電
気輸送供給のための最適範囲内に常に確実に調整できる。さらに、例えば、上述
したポリマー緩衝剤および/または固体緩衝剤等の緩衝剤溶液の存在により、装
置100c内の組成を生物学的に許容可能な一定の条件内に維持して皮膚刺激等
の不所望なあらゆる副作用を回避できる。また、任意数の薬物収容装置(例えば
、1個乃至10個の装置)を装置100cに連携してこのような電気輸送の動作
モードを行なうことが可能である。
【0060】 図8に示すような多対型電気輸送供給システム400のシステム構成と同様に
、それぞれが図9における電気輸送供給システム500の形態を有する3個装置
型ユニットの多数個の組を一体に組み合わせて多3個ユニット型の薬物供給シス
テムを形成することも可能である。
【0061】 以上において本発明をその詳細な説明により開示したが、上記の説明が例示を
目的としていて、本発明の範囲を制限しないこと、および、当該本発明の範囲が
特許請求の範囲により定められることが理解されると考える。すなわち、本明細
書に記載した以外の本発明の態様、利点および変更例はこの特許請求の範囲に含
まれる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による受動的供給装置の実施形態の概略図である。
【図2】 本発明による電気輸送装置の実施形態の概略図である。
【図3】 本発明による一対の電気輸送装置を備えている薬剤供給システムの別の実施形
態の概略図である。
【図4】 本発明による2個の流体貯蔵器および1個の活性薬剤貯蔵器を備えている電気
輸送装置の別の実施形態の概略図である。
【図5】 本発明による1個の貯蔵カプセルを備えている電気輸送装置の別の実施形態の
概略図である。
【図6】 本発明による2個の貯蔵カプセルを備えている電気輸送装置の別の実施形態の
概略図である。
【図7】 本発明による2個の貯蔵カプセルを備えている受動的装置の別の実施形態の概
略図である。
【図8】 本発明による多対式電気輸送供給システムの実施例としての5対の装置を備え
ている電気輸送式活性薬剤供給システムの別の実施形態の概略図である。
【図9】 本発明による3個の装置を備えている電気輸送式活性薬剤供給システムの別の
実施形態の概略図である。
【符号の説明】
100 装置 102 ハウジング 104 リリース−ライナー 106 皮膚の表面部分 108 半透過性の膜 110 流体貯蔵器 120 活性薬剤貯蔵器 132 接着剤層 134 供給オリフィス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,UZ,VN,YU,ZA,ZW (71)出願人 Grandview Road,Skil lman,New Jersey 08558, United States of Am erica (72)発明者 サン・イン アメリカ合衆国、08876 ニュージャージ ー州、サマービル、ウッドビル・テラス 19 (72)発明者 オークソン・ラルフ・ダブリュ アメリカ合衆国、53406−2236 ウィスコ ンシン州、レイシン、ナンバー203、マー ジェリー・ドライブ 5835 (72)発明者 ウィスニュースキー・ステファン・ジェイ アメリカ合衆国、18901 ペンシルベニア 州、ドイレスタウン、ポート・プレザン ト・パイク 6280 (72)発明者 ワン・ジョナス・シー・ティー アメリカ合衆国、08961 ニュージャージ ー州、ウェスト・ウィンザー、エルズワー ス・ドライブ 23 Fターム(参考) 4C053 HH02 4C077 AA08 DD30 FF10 JJ04 JJ11 JJ12 KK15 PP02 PP07 PP08 PP10 PP12 PP13 PP14 PP16 PP24 PP29 4C167 AA71 BB23 BB42 BB62 CC01 EE08 GG02 GG03 GG04 GG06 GG07 GG08 GG11 GG16 GG21 GG22 GG23 GG26 HH19

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳類動物の身体表面部分を通して活性薬剤を供給するため
    の装置において、 (a)ハウジングを貫通する供給オリフィスを有するハウジングと、 (b)前記ハウジング内に配置されて活性薬剤を収容するための活性薬剤貯蔵
    器であって、前記供給オリフィスに対して連通している活性薬剤貯蔵器と、 (c)前記ハウジング内に配置されて流体を収容するための流体貯蔵器と、 (d)前記活性薬剤貯蔵器および前記流体貯蔵器に対して連通していて、当該
    活性薬剤貯蔵器と流体貯蔵器との間における流体の移動を可能にすると共に活性
    薬剤貯蔵器と流体貯蔵器との間における前記活性薬剤の移動を実質的に阻止する
    ための半透過性の膜とを備え、 前記活性薬剤貯蔵器の容積が前記流体貯蔵器の容積よりも小さい装置。
  2. 【請求項2】 前記流体貯蔵器の容積が前記活性薬剤貯蔵器の容積の少なく
    とも2倍である請求項1に記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記ハウジングがさらに前記流体貯蔵器の中に流体を入れる
    ことを可能にするための入口を有している請求項1に記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記ハウジングが前記活性薬剤貯蔵器の中に前記活性薬剤を
    入れることを可能にするための入口を有している請求項1に記載の装置。
  5. 【請求項5】 前記半透過性の膜が柔軟であって、前記流体貯蔵器が流体吸
    収性の材料を備えている請求項1に記載の装置。
  6. 【請求項6】 前記装置がさらに、 (e)前記流体貯蔵器内に電極を備えており、当該電極が電流供給ユニットに
    対して電気的に接続可能である請求項1に記載の装置。
  7. 【請求項7】 前記装置がさらに、 (f)前記ハウジング内にセンサーを備えており、当該センサーが前記電流供
    給ユニットに対して電気的に接続可能である請求項6に記載の装置。
  8. 【請求項8】 前記センサーがpH値、導電率、インピーダンス、前記活性
    薬剤、イオン、および生物学的な化合物の測定用の各センサーから成る群から選
    択される請求項7に記載の装置。
  9. 【請求項9】 前記装置がさらに前記供給オリフィスの近傍に突起部を備え
    ており、当該突起部が哺乳類動物の角質層に孔あけ可能である請求項1に記載の
    装置。
  10. 【請求項10】 哺乳類動物の身体表面部分を通して活性薬剤を供給するた
    めのシステムにおいて、 (i)電流供給ユニットと、(ii)第1の装置とを備え、 前記第1の装置が、 (a)ハウジングを貫通する第1の供給オリフィスを有する第1のハウジング
    と、 (b)前記第1のハウジング内に配置されて第1の活性薬剤を収容するための
    第1の活性薬剤貯蔵器であって、前記第1の供給オリフィスに対して連通してい
    る第1の活性薬剤貯蔵器と、 (c)前記第1のハウジング内に配置されて第1の流体を収容するための第1
    の流体貯蔵器と、 (d)前記第1の活性薬剤貯蔵器および前記第1の流体貯蔵器に対して連通し
    ていて、前記第1の活性薬剤貯蔵器と前期第1の流体貯蔵器との間における流体
    の移動を可能にすると共に前記第1の活性薬剤貯蔵器と前記第1の流体貯蔵器と
    の間における前記第1の活性薬剤の移動を実質的に阻止するための第1の半透過
    性の膜と、 (e)前記第1の流体貯蔵器内に配置されている第1の電極であって、前記電
    流供給ユニットに対して電気的に接続している第1の電極と、 (f)前記電流供給ユニットに対して電気的に接続している第2の電極とを備
    え、 前記活性薬剤貯蔵器の容積が前記流体貯蔵器の容積よりも小さいシステム。
  11. 【請求項11】 前記システムがさらに第2の装置を備えており、当該第2
    の装置が第2の供給オリフィスを有する第2のハウジング、および当該第2のハ
    ウジング内において前記第2の電極を収容している第2の貯蔵器を有しており、
    当該第2の貯蔵器が前記第2の供給オリフィスに対して連通している請求項10
    に記載のシステム。
  12. 【請求項12】 前記第2の貯蔵器が第2の活性薬剤を収容するための第2
    の活性薬剤貯蔵器を有しており、当該第2の活性薬剤貯蔵器が前記第2の供給オ
    リフィスに対して連通しており、さらに前記第2の貯蔵器が流体を収容するため
    の第2の流体貯蔵器、および前記第2の活性薬剤貯蔵器および前記第2の流体貯
    蔵器に対して連通していて、当該第2の活性薬剤貯蔵器と第2の流体貯蔵器との
    間における流体の移動を可能にすると共に第2の活性薬剤貯蔵器と第2の流体貯
    蔵器との間における前記第2の活性薬剤の移動を実質的に阻止するための第2の
    半透過性の膜を有している請求項11に記載のシステム。
  13. 【請求項13】 前記流体貯蔵器の容積が前記活性薬剤貯蔵器の容積の少な
    くとも2倍である請求項10に記載のシステム。
  14. 【請求項14】 前記第1の装置がさらに前記第1のハウジング内において
    第1のセンサーを有しており、当該第1のセンサーが前記電流供給ユニットに対
    して電気的に接続しており、当該電流ユニットが前記第1のセンサーからのフィ
    ードバック情報に基づいて前記第1の電極における電気的なパラメータを変更可
    能である請求項10に記載のシステム。
  15. 【請求項15】 前記第2の装置がさらに前記第2の貯蔵器内において第2
    のセンサーを有しており、当該第2のセンサーが前記電流供給ユニットに対して
    電気的に接続しており、当該電流ユニットが前記第2のセンサーからのフィード
    バック情報に基づいて前記第2の電極における電気的なパラメータを変更可能で
    ある請求項11に記載のシステム。
  16. 【請求項16】 前記システムが前記電流供給ユニットに対して電気的に接
    続している第3の電極を備えている請求項10に記載のシステム。
  17. 【請求項17】 前記電流供給ユニットがバッテリーを有している請求項1
    0に記載のシステム。
  18. 【請求項18】 哺乳類動物の身体表面部分を通して活性薬剤を供給するた
    めの方法において、請求項1に記載の前記装置の前記オリフィスを前記哺乳類動
    物の身体表面部分に対して固定する工程を含む方法。
  19. 【請求項19】 哺乳類動物の身体表面部分を通して活性薬剤を供給するた
    めの方法において、 (a)請求項10に記載の前記システムにおける前記第1のオリフィスを前記
    哺乳類動物の身体表面部分に対して固定する工程と、 (b)請求項10に記載の前記システムにおける前記第2の電極を前記哺乳類
    動物の身体表面部分に取り付けて、当該哺乳類動物の身体を通して前記第1の電
    極から前記第2の電極に電流を流す工程を含む方法。
  20. 【請求項20】 前記第1のオリフィスおよび前記第2の電極が前記哺乳類
    動物の皮膚に固定されて、前記活性薬剤がエリスロポイエチンまたは生物学的に
    活性なフラグメントまたはその類似体である請求項19に記載の方法。
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