JP2002540773A - 昆虫ウイルスベクター及びその使用 - Google Patents

昆虫ウイルスベクター及びその使用

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グッドマン,ロバート
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、植物、昆虫及び他の宿主への遺伝子の導入に有用な昆虫ウイルスベクターを提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】政府の権利声明文 この発明は、アメリカ合衆国政府の補助金(環境保護局の補助金番号CR82
2902、米国農務省の補助金番号58−3148−6−029及び94−34
190−1204、並びにAGRICCREEの奨学金番号94−39210−
0559)で行われた。政府は本発明において一定の権利を有しうる。
【0002】本発明の背景 植物において有用な化合物、例えば治療剤、化学的供給材料、化粧品及び他の
消費財の合成、並びに作物改良のための遺伝子操作、例えば遺伝子操作した病原
耐性植物は、増大している経済的重要性及び世界中での研究の注目がある、2つ
の領域の植物生物工学である(Miele, 1997 ; Franken et al., 1997 ; Beachy,
1997 ; Ma et al., 1996, Estruch et al., 1997 ; Palmgren, 1997)。更に、
植物ゲノム及びESTライブラリーの利用可能性は、商業的な植物生物工学の可
能性を変化させている(Briggs et al., 1997 ; McKusick, 1997 ; 及び Evans
et al., 1997)。特に、多くの植物の特性、例えば収穫量、収穫指数、雑種強勢
、及び環境的ストレス耐性が複数の遺伝子の一斉の働きによって制御されるのは
、遺伝子配列のタグ及びゲノムライブラリーの利用が、商業的な注目の遺伝子を
同定する手段、又はそのための準備ができた供給源を提供するためである。
【0003】 複数の植物ウイルス、例えばタバコモザイクウイルス(TMV)、カウピーモ
ザイクウイルス(CpMV)、ブロモウイルス(例えば、BMV)及びポチウイ
ルス(Potyviruse)に基づいたベクター(Yusibov et al., 1997 ; R
eimann - Phillip et al., 1993 ; Porta et al., 1996 ; Johnson et al., 199
7 ; Kollar et al., 1993 ; Pruss et al., 1997)は、有用な化合物の合成のた
めに、選択した遺伝子を植物に導入して開発されている。ウイルスに基づいたベ
クターは、アグロバクテリウムによる形質転換及び原子衝突(particle bombard
ment)法を補足する遺伝子導入のために、複数の特有の利点を提供する。ウイル
スベクターは容易に操作され;それらは単純な接種によって導入されることがあ
り、そしてそれらはトランスフェクションした植物において高レベルの発現を認
める。しかし、存在している植物ウイルスに基づいたベクター系は、それらの限
界を有している。それらは、それらの植物宿主において、軽微なものから、破滅
的なものに及ぶ病気をもたらしうる。また、それらは天然において、土壌のある
植物から別のものへと自然に拡散し、そしていくつかの場合において、それらは
花粉又は種子を介して次の世代に拡散しうる。更に、これらのウイルスの多くが
、狭い宿主範囲を有し、そして外来遺伝子の不定の発現によって利用が限定され
ている。
【0004】 ノダウイルスは、昆虫起源の小さい、無外被の正二十面体ウイルスである。カ
(Culex tritaeniorhynchus, Aedesa egypti, Culex Tarsalis, Aedes albopict
us 及び Toxorhynchites amboinesis)、ノシメマダラメイガ及びヒトカツオブ
シムシの幼虫(Plodia interpunctella:鱗翅類及びAt
tagenus picens:甲虫類)、ハチミツガの幼虫(Galleri
a mellonella:鱗翅類)並びにミツバチ(Apis mellif
era)は、ノダウイルスによって感染しうることが知られている昆虫宿主のう
ちのいくつかであり、このウイルス感染は麻痺及び死をもたらす(Tesh, 1980 ;
Bailey and Scott, 1972)。例示的なノダウイルスは、コバネゴキブリウイルス
(BBV)、フロックハウス(Flock House)ウイルス(FHV)、
ブーララ(Boolarra)ウイルス(BOV)及びノダムラ(Nodamu
ra)ウイルス(NOV)を含む。これらのウイルスは、高等又は下等動物の、
唯一知られているメッセンジャーセンスの、二連のゲノムRNAウイルスである
(概説のために、Hendry, 1991を参照のこと)。二連のゲノム植物ウイルスは知
られているが、それらのゲノム部分は、別々のビリオン内でキャプシドに覆われ
ている(Bruening, 1977)。
【0005】 ノダウイルスの天然の宿主は昆虫であるが、ノダウイルスは動物で増殖するこ
とができ(例えば、NOVはマウス及び恐らくはブタにも感染しうる。Bailey a
nd Scott, 1972 ; Scherer and Hurlbut, 1967 ; Scherer et al., 1968 を参照
のこと)、そして近年、海の魚において発見されたが(Mori et al., 1992 ; Ni
shizawa et al., 1995 ; Frerichs et al., 1996)、FHVは高等動物細胞にお
いて全く増殖しない。更に、FHVは病気の兆候を生じさせること無しに植物に
おいて容易に複製する(Selling et al., 1990)。FHVは葉を機械的に摩擦す
ることによって植物に導入されることがあり、又は前記ウイルスを含む溶液を葉
に噴霧することによって導入されてもよい。しかし、FHVは感染部位からほと
んど又は全く移動しない。
【0006】 この様に、必要とされているものは、所望の、又はあらかじめ選択した核酸セ
グメント又は配列を全身的又は局所的に伝達することができ、それらの植物に病
気にもたらさないベクターである。
【0007】本発明の要約 本発明は、植物及び動物、例えば昆虫に遺伝子を伝達するのに有用な、組換え
ウイルス核酸に基づいて遺伝子導入ベクターを提供する。好ましくは、前記ベク
ターは一本鎖直線状RNAを含んで成る二連のゲノムを有するウイルス、例えば
ノダウイルス(Hendry, 1991)、ジアンソウイルス(Dianthovirus
)、トブラウイルス(Tobravirus)(Matthews, 1991)等に由来する
。この様に、本発明は、連結した核酸配列を含んで成る、生物学的に活性な遺伝
子導入ベクターを提供する。前記の連結した核酸配列は、ウイルス核酸の5′末
端、例えばノダウイルスRNA−1又はノダウイルスRNA−2の5′末端に由
来する核酸配列; 少なくとも1つの注目の核酸セグメントを含んで成る核酸配列;及びウイルス核
酸の3′末端、例えばノダウイルスRNA−1又はノダウイルスRNA−2の3
′末端に由来する核酸配列を含む。注目の核酸セグメントを含んで成る核酸配列
は、好ましくは植物ウイルスの移動タンパク質、植物ウイルスのコートタンパク
質(例えば、天然のコートタンパク質又は異なる特性を有する、天然のコートタ
ンパク質以上に改良されたコートタンパク質)、成長ホルモン、毒素、例えば亜
致死性毒素、例えばオーキシン又はフォトラブダス(Photorhabdus
)毒素、サイトカイン、病気耐性、害虫耐性、雄性不稔性、ワクチンの製造にと
って有用なウイルスの表面上の抗原性部位、又は殺虫剤耐性をコードし、そして
/あるいは合成遺伝子、植物の特性を改良するための、標的化したアンチセンス
RNA配列/酵素、マーカー遺伝子若しくは選択マーカー、又はそれらのいずれ
かの組み合わせを含んで成る。好ましくは、核酸セグメントは、植物における増
大した発現のために改良した配列を含んで成る。前記核酸セグメントは、好まし
くは融合ポリペプチドが生じる様に連結する。あるいは、タンパク質分解部位を
コードする核酸配列は、各核酸セグメント間に導入されうる。任意に、各核酸セ
グメントは、転写調節単位、例えばプロモーターに作用可能に連結されうる。本
発明のベクターは、他の動物ウイルスに基づいたベクター、植物ウイルスに基づ
いたベクター又は他の昆虫ウイルスに基づいたベクター、例えばタバコモザイク
ウイルスに基づいたベクター(Beachy, 1997)、バキュロウイルスに基づいたベ
クター(Schneemann et al., 1993)又はワクシニアウイルスに基づいたベクター
(Ball, 1992)と組み合わせられうる。
【0008】 本発明の好ましいベクターは、前記ベクターの5′及び3′末端でノダウイル
スの核酸を含んで成り、そして植物ウイルスの移動タンパク質(MP)をコード
する。MPは、ウイルス又はウイルス核タンパク質(遺伝的材料+「輸送タンパ
ク質」)の植物細胞から植物細胞への転移を手伝う。この様に、本発明のベクタ
ーを有する植物細胞におけるMPの発現は、ベクター配列の、周囲の植物細胞へ
の伝達を導き、これはそれらの配列の局所的又は一過性伝達及び発現をもたらす
。この様に、一過性又は集中的な発現が望ましく、又はそれが十分である場合(
高処理量スクリーニング/ゲノム科学において)、本発明のベクターの伝達は、
遺伝子組換え的なアプローチと比較して、発現をスクリーニングする時間を劇的
に減少させうる。更に、ノダウイルス、ジアンソウイルス及びトブラウイルスが
葉の単純な機械的摩擦によって伝達されうるので、これらのウイルスに基づいた
ベクターは、遺伝子組換えをしたものを調製する必要無しに様々な植物を存在さ
せるのに使用されうる。特に、本発明は、遺伝子組換え作物を調製するために必
要な、時間がかかり、かつ高価な方法を避け、そして遺伝子組換え的なアプロー
チと関連している、外来遺伝子を有する種子バンク及び生殖質の集合物の混入の
可能性を避ける、作物改良するためのアプローチを提供する。
【0009】 本発明は更に、あらかじめ選択した核酸配列を宿主細胞に導入するための方法
を提供する。前記方法は、感染性のウイルス粒子を産生すること無しに、あらか
じめ選択した核酸配列を発現するのに有効な量の本発明のベクターと、宿主細胞
とを接触させることを含んで成る。前記宿主が生物体ならば、感染性ウイルスの
不在は、宿主、例えば昆虫又はヒトにとって予期されない、かつ不所望な結果の
いずれかについての脅威を完全に排除する。好ましくは、植物宿主にとって、前
記接触は、例えば葉の機械的摩擦を含む。
【0010】 本発明はまた、遺伝子を宿主細胞に導入するのに有用な組成物を提供する。本
発明の組成物の1つの態様は、(a)ウイルスポリメラーゼ(レプリカーゼ)を
コードする大量の核酸、例えばノダウイルスRNA−1;及び(b)大量の組換
え核酸を含む。前記組換え核酸は、ウイルス核酸の5′末端、例えばノダウイル
スRNA−2の5′末端由来の核酸配列;少なくとも1つの注目の核酸セグメン
トを含んで成る核酸配列;及びウイルス核酸の3′末端、例えばノダウイルスR
NA−2由来の核酸配列を含んで成る。ウイルスレプリカーゼをコードする核酸
、例えばノダウイルスのRNA−1の、本発明の組成物中での存在は、前記レプ
リカーゼをコードする核酸と一緒に宿主細胞に共輸送される核酸分子の増幅を許
容する。あるいは、前記レプリカーゼは前記宿主細胞によってコードされうる。
レプリカーゼをコードする好ましい核酸配列は、FHV RNA−1を含む。R
NA分子は、in vitroで、例えばT7,T3又はSP6ポリメラーゼを
用いて、あるいは本発明のRNA若しくはDNA分子、又は組成物を用いてトラ
ンスフェクション又は接触した、ビリオン又は培養細胞、例えばげっ歯類、ショ
ウジョウバエ若しくは昆虫細胞からRNAを単離することによって調製されうる
【0011】 注目の遺伝子の全身的導入が所望ならば、本発明の組成物中の核酸配列の1つ
は、好ましくはCPをコードし、そして任意にMPもコードし、その結果、前記
ベクターが維管束組織(師部)に伝達される。CP及びMPの発現は高収率の所
望の化合物の合成を許容することができ、そして全ての植物組織への病気耐性の
付与をもたらしうる。後述する様に、タバコモザイクウイルスの30kDa の移動
タンパク質(TMV MP;Deom et al., 1992)及びムラサキツメクサ(Red
Clover)壊死性モザイクウイルス(RCNMV;Xiong et al., 1993)
のコートタンパク質を含む、植物の全身的な感染のためのFHVに基づくベクタ
ーが調製されうる。前記植物中での前記ベクターの移動を監視するために、マー
カー遺伝子を前記ベクターに導入してもよく、例えば緑色蛍光タンパク質(GF
P, Epel et al., 1996;及びCasper et al., 1996)である。GFPは、オワン
クラグ(Aequorea victoria(Av))から元々単離した23
8アミノ酸残基のタンパク質である。それは395nmの最大吸収で青色光を吸収
し、そして590nmのピーク発光で緑色光を放射する。GFPが原核又は真核細
胞のいずれかで発現する場合、青色光によって励起したときに、それは強力な緑
色蛍光を産生することができ、そしてこの蛍光はその宿主からの追加の遺伝子生
成物を必要としない。
【0012】 この様に、本発明のベクター及び組成物は、所望の薬理学的化合物又は他の薬
剤、例えば昆虫耐性をコードする薬剤を合成するために、そして特徴づけられて
いない遺伝的材料、例えば有用な性質をコードする、殺虫剤耐性植物又は昆虫の
核酸由来の、特徴づけられていない遺伝的材料の高処理量スクリーニングのため
に使用されうる。例えば、害虫耐性植物由来の特徴づけられていない遺伝的材料
は本発明のベクターに導入され、続いてRNAがそれから発現し、そして本発明
の組成物が調製される。害虫に影響されやすい植物は、好ましくは噴霧によって
前記組成物に暴露され、そして続いて害虫の侵入にさらされる。耐性の兆候を示
す葉は、導入された遺伝的材料が害虫耐性をコードしうることを示している。
【0013】 この様に、本発明はまた、発生遺伝子、制御遺伝子、並びに昆虫及びヒトにお
ける薬剤耐性及び毒性のための遺伝子のための素速いアッセイ系を提供する。
【0014】 組換えタンパク質が発現し、そして続いて宿主植物から単離されうる利用のた
めに、例えば医薬化合物、本発明の組成物は、好ましくは摩擦又は噴霧によって
植物に適用される。例えば、前記植物の接触領域は、塊茎の葉が商業的価値を持
たない様な植物の葉のみが前記組成物にさらされる状態であってもよい。一度、
前記タンパク質が前記植物で発現すると、組換えタンパク質は、前記植物又はそ
の組織から単離され、そして/あるいは精製されうる。
【0015】 また、あらかじめ選択した核酸分子を宿主細胞又は宿主において発現する方法
が提供される。前記方法は、宿主細胞又は宿主を、大量の本発明の組成物と接触
させることを含んで成る。好ましい組成物は、組換えウイルス、単離したビリオ
ンRNA、in vitroで調製したRNA転写物、又はそれらのいずれかの
組み合わせを含む。続いて、注目の遺伝子の発現が検出又は決定される。故に、
本発明は更に遺伝子組換え宿主を提供し、このゲノムは本発明のベクターによっ
て増大する。
【0016】 遺伝子導入ベクター及び本発明の組成物にとって好ましい植物宿主は、遺伝子
組換え及び非遺伝子組換え単子葉植物及び双子葉植物、例えばアブラナ属、トウ
モロコシ、キュウリ、オオムギ、アカザ・アリタソウ、例えばウスバアカザ、サ
サゲ、タバコ及びニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benth
amiana)等を含む。好ましくは、前記宿主は、ノダウイルスの感染に影響
を受けやすい。
【0017】本発明の詳細な説明 I.ノダウイルスの複製及び伝達 A.ノダウイルスのゲノムの構成 代表的なノダウイルス、FHVのゲノム戦略を図1に示す。RNA−1及びR
NA−2は、単一のビリオン内でキャプシドに覆われているセンスRNAである
。FHVのRNA−1(3106塩基)は、ポリメラーゼ(レプリカーゼ)活性
に重要な、Aと称されるタンパク質(112kDa )をコードする。FHVのRN
A−2(1400塩基)は、成熟コートタンパク質(ベータと称される;39kD
a )及びガンマと称される小さい4.4kDa のタンパク質に処理される、アルフ
ァと称されるビリオンキャプシド前駆体(44kDa )の合成を指示する。FHV
に感染した細胞は、Bと称されるタンパク質(11.6kDa )をコードする、追
加のメッセンジャー、RNA−3(389塩基)を生成する。RNA−3は、ビ
リオン内でキャプシド形成されないRNA−1の3′末端に含まれる、サブゲノ
ムメッセンジャーRNAである。タンパク質Bは、ポリメラーゼ機能に関与する
。全てのノダウイルスのRNAがそれらの5′末端でキャップ形成され(m7G
pppGp)、そして他の既知のRNAウイルスのいずれとも異なり、それらの
3′末端は、変性条件下であっても修飾に対して耐性があることによって証明さ
れる様にマスキング又はブロッキングされる(Dasgupta et al., 1984)。
【0018】 両方のゲノムRNAのcDNAクローンが入手可能であり、そしてこれらのク
ローンから生成したin vitroのRNA転写物は感染性があり、そして複
製が忠実な子孫のビリオンを産生する(Dasmahapatra et al., 1986)。
【0019】B.DI RNAの持続的な感染及び発生 In vitroで、ノダウイルスはキイロショウジョウバエ(Drosop
hila melanogaster)細胞において非常に増殖し(Friesen an
d Rueckert, 1981)、そしてプラーク形成によって定量的にアッセイされうる(
Selling and Rueckert, 1984)。キイロショウジョウバエ細胞が、低い又は高い
感染多重度(m.o.i)、例えば0.1〜10でFHVに感染する場合、前記
ウイルスは広範な細胞変性効果及び細胞死を3日以内にもたらす。しかし、約1
%の感染細胞が各感染周期ごとに生き残る。これらの細胞は、FHV並びに他の
関連ノダウイルス、例えばBBV(Longworth and Archibald, 1975)及びBOV
(Reinganum et al., 1985)による重感染に耐性がある。これらの感染細胞は、
同様の効率で新鮮な細胞を溶解しうるウイルスの源である。これらの細胞は、そ
れ故に溶解せずに持続的に感染する。
【0020】 これらの持続的に感染している細胞系のうちの10個に由来するウイルスRN
Aを、アクチノマイシンDの存在下で3H−ウリジンで標識し、そしてアガロー
スゲル上で解析した。オートラジオグラムは、10個の系のうち少なくとも4個
の系において、ゲノムRNAに加えて、小さいRNAの存在を示した(Selling,
1986)。これらのより小さいRNAのいくつかは、持続的に感染した細胞から精
製した細胞から精製したビリオンにおいて発見され、これはこれらのより小さい
RNAが複製及びパッケージングのためのシグナルを含むことを示唆している。
これらのRNAとビリオンRNAとによる新鮮なショウジョウバエ細胞のトラン
スフェクションは、野生型FHVと比較して、プラーク形成における1000倍
の阻害をもたらした。このことは、これらのRNAがゲノムRNAの複製と競合
し、そしてこれを妨害し、そして恐らくは複製及びキャプシド形成にとって良好
な鋳型であることを示している。これらのRNAは不完全干渉(DI)RNA分
子と称される。
【0021】C.DI RNAの構造 DI RNAの酵素的配列決定(Dasgupta et al., 1980)は、それらがビリオ
ンRNAの3′及び5′末端と同一の配列を保持していることを示した。FHV
RNA−1(Dasmahapatra et al., 1985)及びRNA−2配列(Dasgupta an
d Sgro, 1989)の末端に相当するオリゴヌクレオチドプライマーは、pUC13
及びpBS+ベクターにおいてcDNAクローンを作製するために使用した。引
き続いて、これらのcDNAは配列決定酵素(Sequenase)を用いるジ
デオキシヌクレオチドチェーンターミネーター法によって配列決定した(United
States Biochemicals, Kraft et al., 1988)。7個のDI RNA分子を配列
決定した。これらのうちの6個がゲノムRNA−2由来であり、そしてこれらの
うち1個がゲノムRNA−1由来であった。RNA−2由来のDI RNAは、
それらの構造に従い3個の群に分けられ:RNA−2の2つの主要な欠失から生
じ、図2に示す最も単純なD1の型(DI−634)は、5′末端からの最初の
249塩基、中央部分(塩基517〜728)及びRNA−2の3′末端(塩基
1228〜1400)を保持していた。前記配列の再配列は無かった。
【0022】 RNA−2由来のDI RNA配列の別の型は、更に複雑な構造を有していた
。それらは、ゲノムRNAの5′末端由来の最初の15又は41塩基、これに続
く塩基75〜249及びゲノムRNA−2の中央部分に由来する塩基517〜7
28を保持していた。これらのDI分子の3′半分はRNA−2の5′及び3′
末端からの配列の再編成を含んだ。3′末端の48塩基(1353〜1400)
は、ゲノムRNA−2と同一線上にあった。
【0023】 RNA−2由来のDIの再に別の型は、5′末端から249塩基の範囲を保持
し、そして残りの構造は上文で言及した再編成を含んだ。
【0024】 RNA−1由来のDI RNAは、ゲノムRNA由来の3つの部分;2つの末
端部分及び中央部分を保持していた。興味深いことに、構造の変化にもかかわら
ず、これらのDI RNAの全てが類似の長さであり;それらの相当するゲノム
RNAの約半分であった。例えば、ゲノムRNA−2由来のDIは630〜68
0塩基長であり、そしてRNA−1由来のあるDIは1395塩基長であった(
ゲノムRNA−1及びRNA−2は、それぞれ3106及び1400塩基である
)。
【0025】D.FHV RNA−2の複製及びキャプシド形成のためのシグナル FHV RNA−2及びDI RNAのcDNAクローンは、一連の欠失及び
in vitroでの突然変異導入を介して修飾され、そしてそれらの複製及び
キャプシド形成活性についてアッセイされた。図3は、RNA−2のcDNAク
ローンから構築した欠失変異体を示す略図である。これらの変異体に由来する転
写物は、ショウジョウバエ細胞を感染させるために使用し、そして12時間後に
合成されたRNAを測定した(Zhong et al., 1992)。5′末端から60塩基の
範囲、147塩基の内部領域(塩基470〜616)、及び3′末端の最後の5
1塩基(1350〜1400)は、FHV RNA−2の効率的な複製にとって
重要であることが明らかとなった(パネルB;それぞれセグメントI,II及びIII
)。RNA−2のin vivoでの複製は、これらの領域が欠失した場合にほ
とんど無かった(図3Aにおいて矢印で示した)。
【0026】 DI RNA(図2に示したDI−634)を用いるキャプシド形成シグナル
に対する同様の研究は、RNA−2の32塩基の領域(塩基186〜217)は
、ビリオン内への効率的なパッケージングに必要であることを示した。この領域
の欠失は、ビリオン内へのDI RNAのパッケージングを完全に排除したが、
複製に対しては効果を示さなかった。図4に示したステムループ構造の形成はこ
の配列を予測し、これは全てのノダウイルスRNA−2で保存されていた(Zhon
g et al., 1992)。同様のステムループ構造は、バクテリオファージQB及びR
17、酵母のL−Aウイルス並びにコロナウイルスにおけるパッケージングに使
用されることが明らかとなった。
【0027】E.植物におけるFHVの増殖 宿主植物におけるウイルスの増殖は、組織の異なる配置におけるウイルスの移
動/複製に関与する。前記ウイルスは、感染後に傷ついた細胞に侵入し、そして
それ自身のタンパク質を合成する。非構造的な、ウイルスがコードするタンパク
質の1つ、移動タンパク質(MP)は、感染が維管束組織に達するまで、感染性
核タンパク質を細胞から細胞へと移動させる。
【0028】 維管束又は長距離の移動として知られる第2段階の間に、植物全体が感染し始
める。これを達成するために、感染性の核タンパク質は内部に侵入し、移動し、
そして維管束組織を去らねばならない。研究は、MPが細胞から細胞への移動に
必要であるが、MP単独では全身的な感染を引き起こすのに十分ではないことを
示している。多くの植物ウイルスにおいて、コートタンパク質(CP)及び宿主
因子は長距離の移動に必要である(概説のために、Seron et al., 1996 ; Deom
et al., 1992を参照のこと)。
【0029】 FHVが植物で複製するかどうかを決定するために、植物はFHV RNAで
接種される。新規に合成したビリオンはオオムギ(Hordeum vulga
re)ササゲ(Vigna sinesis)、アカザ・アリタソウ(ウスバア
カザ)、ニコチアナベンサミアナ(Selling, 1990)、コメ、アルファルファ、ト
ウモロコシ、アブラナ、キュウリ及びシロイヌナズナ(図17及びデータ無し)
の植物全体、並びにFHV RNAに暴露されたオオムギ及びタバコの葉(図5
及び表1)由来のプロトプラストにおいて検出されてきた。
【表1】
【0030】 オオムギのプロトプラストにおけるウイルスの収率は、ビリオンを合成する約
3%のプロトプラストの最小評価を表すプロトプラスト当たり130pfu であっ
た。植物において生成したビリオンは、新規に合成されたRNA及び新規に合成
されたキャプシドタンパク質を含んだ。時間経過の実験は、オオムギのプロトプ
ラストにおけるFHVの合成が、比較可能なトランスフェクションの条件下で、
FHVの天然の昆虫細胞系宿主(キイロショウジョウバエ)において見出された
ものに極めて匹敵していた(Selling et al., 1990)。約1.4mgのFHVが、
非常に高レベルの発現を示す1gのオオムギのプロトプラストから生成した。
【0031】 2枚の接種したオオムギの葉において、FHVの収率は、1枚当たりの葉に1
80及び3800pfu であった(ショウジョウバエ細胞上での標準的なFHVプ
ラークアッセイに基づく)。葉当たり3.4×105 、4.2×105 及び1.
2×105 の最大平均収率は、それぞれアカザ、ササゲ及びN.ベンサミアナで
観察された(図17)。
【0032】 N.ベンサミアナにおいて、FHV RNAによる接種から生じるビリオンは
、接種した葉だけでなく、接種した植物の他の葉においても検出され、これはビ
リオンがこの植物種において移動しうることを示唆している。しかし、N.ベン
サミアナにおける移動は、接種した葉の上下3枚に限定されていた。更に、時間
に伴い感染力が低下した。このことは、植物におけるビリオンの不安定性及び/
又は接種の部位から離れてのビリオンの拡散によるものであろう。これらの結果
は、植物の細胞内環境が通常昆虫にのみ常在しているウイルスの合成に適してい
るが、植物における細胞から細胞への移動にとって必要な、ウイルスがコードし
ているタンパク質は、FHVによっておそらくコードされていないことを示した
【0033】II.本発明のベクター A.ウイルスの配列 本発明のベクターは、細胞への配列の伝達に必要なウイルス配列、及び前記ウ
イルス配列に連結している注目の配列を含んで成る。この様に、前記ベクターは
、シス、すなわちノダウイルス、トブラウイルス又はジアンソウイルスの核酸の
5′及び3′末端に必要な非コード配列、並びに他の細胞への前記ベクターの伝
達に必要なトランス活性化配列、すなわちウイルスMP及び/又はCPをコード
する配列を含む。ジアンソウイルスは、カーネーションリング輪点ウイルス、ム
ラサキツメクサ壊死性モザイクウイルス、スイートクローバー壊死性モザイクウ
イルス、及びファークレア(furcraea)壊死性条斑ウイルスを含む。ト
ブラウイルスは、エンドウアーリーブラウニング(pea early bro
wning)ウイルス、コショウ輪点ウイルス、タバコ茎えそウイルス、及びコ
タニワタリシダウイルスを含む。細胞内でのベクター配列の増幅のために、ウイ
ルスレプリカーゼも適用されうる。レプリカーゼは宿主細胞のゲノムによって、
前記ベクターの導入前、それと同時又はその後に宿主細胞に導入される核酸配列
によって、あるいは前記ベクターによってコードされうる。
【0034】 本発明のベクターは、ウイルスMPのいずれかをコードすることがあり、これ
は、限定しないがCoMYV(Commelina yellow mottle virus)、CaMV、S
cBV(Sugarcane bacilliform virus)、RTBV(rice tungro bacilliform
virus)、CERV(Carnation etched ring virus)、FMV(figwort mosai
c virus)、SoyCMV(Soybean chlorotic mottle virus)、サンヘンプモザ
イクウイルス(Deom et al., 1997)、タバコ壊死性ウイルス(Molnar et al.,
1997)、タバコモザイクウイルス(Slovyev et al., 1996)、ジェミニウイルス
(Sung et al., 1995)、ポテクスウイルス(potex virus)、ホルデウイルス(
horde virus)及びビートイエローウイルス(Agranovsky et al., 1998)、アル
ファルファモザイクウイルス(van der Vossen et al., 1995)、ピーナッツ白化
条斑ウイルス(Ducasse et al., 1995)、アーチチョークモットルクリンクルウ
イルス(artichoke mottle crinkle)ウイルス(Tarassa et al., 1994)、オオ
ムギストライプモザイクウイルス(Weiland et al., 1994)、ササゲモザイクウ
イルス(Wellink et al., 1993)、ビートイエローモザイクウイルス(Karasev
et al., 1992)、及びカブクリンクルウイルス(Hacker et al., 1992)の移動タ
ンパク質を含む。
【0035】 植物の全身及び/又は局所的な感染のために、本発明のベクターは、好ましく
は植物ウイルスのCPをコードする。例示的なコートタンパク質は、限定しない
がTBSV(tomato bushy stunt virus)、BSMV(barley stripe mosaic v
irus)、RCNMV(red clover necrotic mosaic virus)、CNV(Cucumber
necrosis virus)、TGMV(tomato golden mosaic virus)、BGMV(bea
n golden mosaic virus)、TLCV(tomato leat curl virus)、SqLCV(
Squash leat curl virus)、ACMV(African cassava mosaic virus)、ポチ
ウイルス(Poty virus)、スカッシュモザイクウイルス、ガーリックウイルスA
(Helguera et al., 1997)、グレープクロムモザイクウイルス(Torregrosa et
al., 1997)、ジャガイモウイルスY及びジャガイモリーフロールウイルス(Zh
ang et al., 1997)、コメドワーフウイルス(rice dwart virus)(Zheng et a
l., 1997)、ビート壊死性イエローベインウイルス(Fecker et al., 1996)、モ
ンタナオオムギイエロードワーフウイルス(Geske et al., 1996)、パパイヤ輪
点ウイルス(Scorza et al., 1995)、エンドウアーリーブラウニングウイルス(
MacFarlane et al., 1995)、コメイエローモットルウイルス(Brugidou et al.
, 1995)、リンゴ及びナシステムピッティングウイルス(Jelkmann, 1994)、レ
タス感染性イエローウイルス、ビートイエローウイルス及びカンキツトリステザ
ウイルス(Klassen et al., 1994)、ジャガイモウイルスX(Truve et al., 19
93)、プラムポックスウイルス(Ravelonandro et al., 1992)、シンビジウム
モザイクウイルス及びシロクローバーモザイクウイルス(Chia et al., 1992)、
キュウリモザイクウイルス(Slinghtom, 1991)アルファルファモザイクウイルス
(Neelman et al., 1991)、ササゲ白化モットルウイルス(Allison et al., 19
90)、及びブロモモザイクウイルス(Sacher et al., 1989)、タバコモザイクウ
イルス、カリフラワーモザイクウイルス、カブイエローモザイクウイルス、トマ
トアスペルミイウイルス、ビート壊死性イエローベインウイルス、カブクリンク
ルウイルス、タバコ茎えそウイルス、シンビジウム輪点ウイルス、ササゲ白化モ
ットルウイルス、タバコエッチウイルス、ビートウェスタンイエローウイルス、
サザンビーンモザイクウイルス、サンヘンプモザイクウイルス、タバコエッチウ
イルス、ササゲモザイクウイルス、メイズストリークウイルス、ビートカーリー
トップウイルス、及びトマトリーフカールウイルスのコートタンパク質(例えば
、Nelson and van Bel, 1998の表1,2及び3を参照のこと)を含み、これらの
開示は引用によって本明細書に組み入れられる。
【0036】B.植物における発現のための他の配列 植物におけるあらかじめ選択した遺伝子の発現は、プロモーター、エンハンサ
ー、イントロン、リーダー配列、及び3′配列の挿入、並びに非植物遺伝子の天
然のコドンの、植物において好ましいコドンによる置換(Murry et al., 1989 ;
Perlak et al., 1991)、並びにAT豊富配列の除去、潜在性ポリA配列の除去
又は変更、及びmRNA脱安定化配列の除去又は変更を含む、多くの因子又は機
構によって増強されうる。
【0037】1.プロモーター、エンハンサー、イントロン、リーダー配列及び他の制御配列 好ましくは、本発明のベクターにおけるあらかじめ選択した核酸セグメントは
、あらかじめ選択した核酸セグメントの発現を提供するプロモーターに作用可能
に連結する。前記プロモーターは好ましくは、前記ベクターが、例えば植物及び
/又は種子に導入される宿主細胞において機能的なプロモーターである。あらか
じめ選択した核酸配列は、前記プロモーターから下流に位置する場合に、前記プ
ロモーターに作用可能に連結する。
【0038】 ほとんどの遺伝子が、遺伝子の発現を制御する、プロモーターとして知られる
核酸の領域を有する。ゲノムDNAにコードされる遺伝子のためのプロモーター
領域は、典型的に原核及び真核細胞、その両方のコード配列から上流の隣接して
いるDNAにおいて見出される。プロモーター配列は、下流の遺伝子配列の転写
の制御を提供し、そして典型的に約50〜約2,000のヌクレオチド塩基対を
含む。プロモーター配列はまた、遺伝子の発現レベルに影響しうる制御配列、例
えばエンハンサー配列を含む。いくつかの単離したプロモーター配列は、天然又
は同種のDNAと異なるDNAである、異種のDNAの遺伝子発現を提供しうる
【0039】 プロモーター配列は、強い又は弱い、あるいは誘導性であることも知られてい
る。強力なプロモーターは高レベルな遺伝子発現を提供し、一方、弱いプロモー
ターは非常に低いレベルな遺伝子発現を提供する。誘導性プロモーターは、外部
から加えられた薬剤、又は環境的若しくは発生的な刺激に応じての遺伝子発現の
切り替えを提供するプロモーターである。細菌性プロモーター、例えばPtac
ロモーターは、形質転換した細菌細胞に加えられるイソチオプロピルガラクトシ
ドのレベルに依存する、遺伝子発現のレベルの変化を誘導しうる。プロモーター
はまた、組織特異的又は発生的な制御を提供しうる。異種の核酸にとって強力な
プロモーターである単離したプロモーター配列が有利なのは、それが形質転換し
た細胞の容易な検出及び選別を許容するのに十分なレベルの遺伝子発現を提供し
、そして所望の場合に高レベルな遺伝子発現を提供するためである。
【0040】 好ましい植物プロモーターは、限定しないが、CaMV 35Sプロモーター
(Odell et al., 1985)、増大型(enhanced)35Sプロモーター(Kay et al.
, 1987)又は他のもの、例えばCaMV 19S(Lawton et al., 1987)、no
s、Adhl(Walker et al., 1987)、スクロース合成酵素(Yang et al., 1990
)、α−チューブリン、ユビキチン、アクチン(Wang et al., 1992)、cab(S
ullivan et al., 1989)、PEPCase(Hudspeth et al., 1989)又はR遺伝
子複合体と関連しているもの(Chardler et al., 1989)の様なプロモーターを含
む。更に適当なプロモーターは、Z4の22kDのα−ゼインタンパク質をコード
する遺伝子由来のZ4プロモーター、10kDのゼインタンパク質をコードする遺
伝子由来のZ10プロモーター、27kDのゼインタンパク質をコードする遺伝子
由来のZ27プロモーター、19kDのα−ゼインタンパク質をコードする遺伝子
由来のA20プロモーター、誘導性プロモーター、例えばエンドウマメのrbc
S遺伝子由来の光誘導性プロモーター(Coruzzi et al., 1991)及びコメ由来の
アクチンプロモーター(McElroy et al., 1990)を含み;種子特異的プロモータ
ー、例えば、マメ由来のファゼオリンプロモーターも使用されうる(Sengupta-G
opalan, 1985)。本発明の実施に有用な他のプロモーターは当業者に知られてい
る。
【0041】 あらかじめ選択した核酸、例えばDNA配列は、発現カセットを生成せしめる
ために、既に引用されている、Sambrook等によって記載されている標準的な方法
によって前記プロモーターと組み合わせられうる。簡単に述べると、プロモータ
ー、例えば35S CaMVプロモーターを含むプラスミドは、Jefferson (198
7 )によって記述された様に構築されるか、又はClontech Lab (Palo Alto, Cal
ifornia )から得られる(例えば、pBI121又はpBI221)。典型的に
、これらのプラスミドは、前記プロモーターから下流の異なる制限酵素への特異
性を有するマルチクローニング部位を持つ様に構築される。あらかじめ選択した
DNA配列は、制限酵素を用いて前記プロモーターから下流にサブクローン化さ
れ、そして前記DNAがセンス又はアンチセンスRNAとして発現できる様に、
前記プロモーターに対して適当な配向で前記DNAが挿入されるのを保証すべく
据えられうる。一度あらかじめ選択したDNA配列がプロモーターに作用可能に
連結すると、その様に形成した発現カセットは、本発明のベクターにサブクロー
ン化されうる。
【0042】 一度あらかじめ選択したセンスDNA配列が得られると、前記配列の全て又は
一部が反対の配向(すなわち3′から5′)で発現ベクター(以下を参照のこと
)にサブクローン化されうる。同様に、あらかじめ選択したDNA配列の全て又
は一部がセンスの配向でサブクローン化されうる。あらかじめ選択したDNA配
列は、発現カセットを形成するためにプロモーターから下流にサブクローン化さ
れる。
【0043】 制御因子、例えばAdhイントロン1(Callis et al., 1987)、スクロース合
成酵素のイントロン(Vasil et al., 1989)又はTMVオメガ因子(Gallie et a
l., 1989)、及びウイルスのサブゲノム配列、例えばウイルスのサブゲノムRN
A配列は更に、所望な場合に含まれうる。
【0044】 転写開始部位と前記コード配列の開始部位との間のDNA配列、すなわち非翻
訳リーダー配列が遺伝子の発現に影響しうる場合、特定のリーダー配列を適用す
ることを望みうる。好ましいリーダー配列は、加えた遺伝子の最適な発現を方向
づけることが予期される配列を含むものを含むこと、すなわちmRNAの安定性
を増大又は維持し、そして不適当な翻訳の開始を防ぎうる好ましい共通リーダー
配列を含むことが意図される。その様な配列の選択は、本開示と照らし合わせて
当業者に理解されるだろう。植物で高度に発現する遺伝子に由来する配列が最も
好ましい。
【0045】 本発明に従う使用のためのベクターは、ocsのエンハンサー因子を含むべく
構築されうることが予想される。この因子は、アグロバクテリウムのオクトピン
合成酵素(ocs)から16bpのパリンドロームのエンハンサーとして最初に同
定され、そして少なくとも10個の他のエンハンサーに存在している(Bouchez
et al., 1989)。エンハンサー因子、例えばocs因子及び特に多コピーの前記
因子の使用が、隣接しているプロモーターからの転写レベルを増大せしめるべく
働くことが提案されている。
【0046】 究極的に、植物への導入にとって最も望ましい核酸セグメントは、所望の性質
(例えば、エーカー当たりの収量の増大)をコードし、そして新規プロモーター
又はエンハンサー等の調節下で、あるいは恐らく同種の組織特異的(例えば、根
、頸領/葉鞘、輪生、茎、穂柄(earshank)、穀粒又は葉特異的)プロモーター
又は調節因子の下であっても導入される同種遺伝子又は遺伝子ファミリーであっ
てもよい。実際、本発明の特定の使用が組織特異的な方法で遺伝子の標的となる
ことが予想される。例えば、昆虫耐性遺伝子は、ECBのそれぞれ第1及び第2
鱗芽の標的である輪生及び頸領/葉鞘において特異的に発現しうる。同様に、ル
ートワームに対して特定の活性を有するタンパク質をコードする遺伝子が、根の
組織に対して直接標的とされうる。
【0047】 遺伝子組換え植物における遺伝子の組織特異的なターゲッティングにおける使
用のためのベクターは、典型的に組織特異的プロモーターを含み、そしてまた組
織特異的調節因子、例えばエンハンサー配列を含むだろう。ある植物組織におい
て特異的又は増大型発現を指示するプロモーターは、本開示をかんがみて当業者
に認識されるだろう。これらは、例えば緑色の組織に特異的なrbcSプロモー
ター;根又は傷ついた葉の組織において高い活性を有するocs,nos、及び
masプロモーター;根における増大した発現を指示する短かい(−90〜+8
)35Sプロモーター、根における発現を指示するα−チューブリン遺伝子及び
胚乳における発現を指示するゼイン貯蔵タンパク質遺伝子に由来するプロモータ
ーを含む。根において増大型の発現を達成するために、オクトピン合成酵素(o
cs)遺伝子(Bonchez et al., 1989)由来の16bpのocsエンハンサー因子
が、特に複数のコピーが存在する場合に有利に使用されうることが特に考慮され
る。
【0048】 組織特異的な発現が、前記構成的に発現している遺伝子(全組織)を、遺伝子
生成物を望まないそれらの組織でのみ発現するアンチセンス遺伝子と組み合わせ
て導入することによって機能的に達成されうることも考慮される。例えば、B.
サーリンジェンシス(Bt)由来の結晶性の毒素タンパク質をコードする遺伝子
は、それがカリフラワーモザイクウイルス由来の35Sプロモーターを用いて全
ての組織で発現する様に導入されうる。例えばゼインプロモーターを用いる、ト
ウモロコシの穀粒におけるBt遺伝子のアンチセンス転写物の発現は、種子にお
けるBtタンパク質の蓄積を妨げるだろう。従って、導入した遺伝子によってコ
ードされるタンパク質は、穀粒を除く全ての組織に存在するだろう。
【0049】 あるいは、ある者が本発明に従う使用のための新規な組織特異的プロモーター
配列の獲得を望むこともあるだろう。このことを達成するために、ある者は最初
に、関心のある組織からcDNAクローンを単離し、そして、例えばノーザンブ
ロットを用いて、その組織で特異的に発現するクローンを同定しうる。好ましく
は、ある者は高コピー数で存在していないが、この遺伝子生成物が特異的な組織
で比較的大量である遺伝子を同定することを望むであろう。相当するゲノムクロ
ーンのプロモーター及び調節因子は、続いて当業者に知られている技術を用いて
局在化されうる。
【0050】 遺伝子組換え植物におけるいくつかの遺伝子の発現が、特定の条件下でのみ望
まれることを考慮している。例えば、環境ストレス因子、例えば干ばつに対して
耐性を与えるある遺伝子の発現が、実際のストレス条件下でのみ望まれることも
提案している。植物の形成を通じてのその様な遺伝子の発現が、有害な効果を有
しうることは考慮されている。環境に応じて多くの遺伝子が存在していることは
知られている。例えば、いくつかの遺伝子、例えばリブロース二リン酸カルボキ
シラーゼの小さいサブユニットをコードするrbcSは、フィトクロームを介し
て媒介される様に、光によって制御される。他の遺伝子は、二次的な刺激によっ
て誘導される。例えば、アブシジン酸(ABA)の合成は、限定しないが水のス
トレスを含むある環境要因によって誘導される。多くの遺伝子が、ABAによっ
て誘導されることが示されて来た(Skriver and Mundy, 1990)。昆虫の補食に対
する耐性を与える遺伝子の発現が、実際の昆虫の侵襲の条件でのみ望まれること
も予期している。従って、いくつかの所望な性質のために、遺伝子組換え植物に
おける遺伝子の誘導性発現が望まれるだろう。
【0051】 本発明のいくつかの態様において、遺伝子組換え植物における遺伝子の発現が
、植物の形成の間のある期間においてのみ望まれることが提案される。形成のタ
イミングは、しばしば組織特異的な遺伝子発現と関連している。例えば、ゼイン
貯蔵タンパク質の発現は、受粉から約15日後に胚乳において開始する。
【0052】2.細胞内又は細胞外のターゲッティング配列 更に、発現カセットは、あらかじめ選択した核酸配列又はセグメントの生成物
を、植物細胞内の細胞内画分にターゲッティングするために、又はタンパク質を
細胞外環境に送るために構築され、そして適用されうる。このことは、輸送又は
シグナルペプチドをコードするDNA配列を、あらかじめ選択したDNA配列の
コード配列と連結することによって通常達成されうる。結果として生じる輸送又
はシグナルペプチドは、それぞれ特定の細胞内、又は細胞外の目的地に前記タン
パク質を輸送し、そして引き続いて翻訳後に除去されるだろう。輸送ペプチドは
、細胞内膜、例えば液胞、小胞、色素体及びミトコンドリアの膜を通過するタン
パク質の輸送を容易にすることによって働き、一方、シグナルペプチドはタンパ
ク質の細胞外膜の通過を指示する。細胞の内側又は外側の区画へのタンパク質の
輸送を容易にすることによって、これらの配列は特定の位置における特定の遺伝
子生成物の蓄積を増大しうる。例えば、米国特許第5,258,300号を参照
のこと。
【0053】 その様な使用の特定の例は、除草剤耐性遺伝子、例えばEPSPS遺伝子を、
特定の細胞小器官、例えば細胞質ではなく葉緑体へと方向づけることに関する。
このことは、タンパク質の色素体特異的なターゲッティングを与えるrbcS輸
送ペプチドの使用によって例示される。更に、雄性不稔性に重要なある遺伝子を
ミトコンドリアにターゲッティングし、又は植物病原性生物に対する耐性のため
の遺伝子を細胞外空間に標的化し、又はタンパク質を液胞にターゲッティングす
ることが望まれうることを提案する。
【0054】 DNA自身を細胞内でターゲッティングすることが有用であろうことも考慮さ
れる。例えば、導入したDNAを核にターゲッティングすることは、これが形質
転換の頻度を増大させうる場合に有用であるだろう。核自身において、部位特異
的組込みを達成するために遺伝子をターゲッティングすることは有用であるだろ
う。例えば、細胞内に存在している遺伝子の代わりに、形質転換を介して遺伝子
を導入させることは有用であるだろう。
【0055】3.3′配列 前記発現カセットが植物細胞内に導入されうる場合、前記発現カセットは、転
写を終結させ、そして生じたmRNAのポリアデニル化を許容するシグナルとし
て働く、3′非翻訳制御DNA配列も任意に含みうる。3′非翻訳制御DNA配
列は、好ましくは約50〜約1,000、更に好ましくは約100〜約1,00
0のヌクレオチド塩基対を含み、そして植物の転写及び翻訳終結配列を含む。好
ましい3′因子は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobact
erium tumefaciens)のノパリン合成酵素遺伝子由来のもの(
Bevan et al., 1983)、アグロバクテリウム・ツメファシエンスのオクトピン合
成酵素遺伝子由来のT7転写物のためのターミネーター、及びジャガイモ又はト
マト由来のプロテアーゼ阻害剤I又はIIの3′末端であるが、当業者に知られて
いる他の3′因子も利用されうる。これらの3′非翻訳制御配列は、An(1987
)によって記載された様に得ることができ、又は商業的な供給源、例えばClo
ntech(Palo Alto, California)から入手可能なプラスミドに既に存在して
いる。3′非翻訳制御配列は、標準的な方法によってあらかじめ選択したDNA
配列の3′末端と作用可能に連結しうる。
【0056】4.選択又はスクリーニングマーカー 形質転換体を同定する能力を向上させるために、あらかじめ選択した核酸配列
又はセグメントとして、又はそれに加えて、選択又はスクリーニングマーカーの
適用が望まれることもある。「マーカー遺伝子」は、異なる表現型を、前記マー
カー遺伝子を発現している細胞に与え、そしてその結果、その様に形質転換した
細胞を、前記マーカーを持たない細胞と区別する遺伝子である。その様な遺伝子
は、前記マーカーが化学的手段によって、すなわち選択的薬剤(例えば、除草剤
、抗生物質等)の使用を介して選択されうる性質を与えるかどうか、又はそれが
観察又は試験を介して、すなわち「スクリーニング」によって同定されうる単純
な性質であるかどうか(例えば、R遺伝子座の性質)に依存して、選択又はスク
リーニングマーカーのいずれかをコードするだろう。もちろん、適当なマーカー
遺伝子の多くの例が当業界で知られ、そして本発明の実施に利用されうる。
【0057】 選択又はスクリーニングマーカーの用語に含まれる遺伝子は、分泌が形質転換
した細胞の同定又は選択によって検出されうる「分泌マーカー」をコードする遺
伝子でもある。例として、抗体の相互作用によって同定されうる分泌抗原、又は
自身の触媒活性によって検出されうる分泌酵素をコードするマーカーを含む。分
泌タンパク質は、例えばELISAによって検出可能な小さい、拡散性のタンパ
ク質;細胞外溶液中で検出可能な小さい活性酵素(例えば、α−アミラーゼ、β
−ラクタマーゼ、ホスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ);及び細胞
壁に挿入され又は補捉されているタンパク質(例えば、エクステンシン又はタバ
コPR−Sの発現単位において見出される様なリーダー配列を含むタンパク質)
を含む、多くのクラスに分類される。
【0058】 選択可能な分泌マーカーに関して、細胞壁で隔絶されるポリペプチドをコード
し、そしてこのポリペプチドが独特のエピトープをコードする遺伝子の使用は、
特に有利であるとみなされる。その様な分泌された抗原マーカーは理想として、
植物組織において低いバックグラウンドを提供するエピトープ配列、効率的な発
現及び原形質膜を横切ってのターゲッティングを与え、そして細胞壁で結合し、
そして更に抗体と接触しうるタンパク質を産生するプロモーター−リーダー配列
を利用するだろう。独特のエピトープを含む様に修飾される、正常に分泌される
細胞壁タンパク質は、全てのその様な要求を満たすであろう。
【0059】 この方法における修飾に適したタンパク質の一例は、エクステンシン、又はヒ
ドロキシプロリンリッチ糖タンパク質(HPRG)である。トウモロコシのHP
RG(Stiefel et al., 1990)の使用は、この分子が分子生物学の観点から、発
現、及びタンパク質の構造についてよく特徴づけられている場合に好ましい。し
かし、様々なエクステンシン及び/又はグリシンリッチな細胞壁タンパク質(Kel
ler et al., 1989)のいずれか1つは、スクリーニングマーカーを作製するため
に、抗原部位の追加によって修飾されうる。
【0060】 本開示の因子は、特定のマーカー遺伝子の使用を通じて詳細に例示される。し
かし、この開示を鑑み、多くの他の可能な選択及び/又はスクリーニングマーカ
ー遺伝子は、前記のものに加えて当業者にとって明白であろう。従って、以下の
考察は網羅的なものではなく例示であると理解されるだろう。本明細書で開示し
た技術及び当業界で知られている一般的な組換え技術に鑑み、本発明はマーカー
遺伝子を含むいずれかの遺伝子の、受容細胞への導入の可能性を与え、形質転換
した植物細胞、例えば単子葉植物を生成せしめる。
【0061】 本発明と関連する可能な選択マーカーは、限定しないが、カナマイシン耐性を
コードし、そしてカナマイシンを用いて選択されうるneo遺伝子(Potrykus et
al., 1985)、プレオマイシン等に対する耐性をコードする遺伝子、G418;
ビアラフォス耐性をコードするbar遺伝子;グリフォセート耐性を与える、変
化したEPSP合成酵素タンパク質をコードする遺伝子(Hinchee et al., 1988
);ニトリラーゼ遺伝子、例えばブロモキシニルに対する耐性を与えるクレブシ
エラ・オザエス(Klebsiella ozaenae)由来のbxn(Stalker et al., 1988)
;イミダゾリノン、スルホニルウレア又は他のALS阻害化学物質(欧州特許出
願第154,204号、1985)に対する耐性を与える変異アセトラクターゼ合成
酵素遺伝子(ALS);メトトレキセート耐性DHFR遺伝子(Thillet et al.
, 1988);除草剤、ダラポンに対する耐性を与えるダラポンデトロゲナーゼ遺伝
子;又は5−メチルトリプトファンに対する耐性を与える変異型アントラニル酸
合成酵素遺伝子を含む。変異EPSP合成酵素遺伝子を適用する場合、追加の利
益が適当なクロロプラスト輸送ペプチド、CTP(欧州特許出願第0 218
571号、1987)の組み込みを介して実現されうる。
【0062】 形質転換体を選択するための系において使用されうる選択マーカー遺伝子の例
示的な態様は、酵素、フォスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼをコー
ドする遺伝子、例えばストレプトマイセス・ヒグロスコピカス(Strepto
myces hygroscopicus)をコードするbar遺伝子又はスト
レプトマイセス・ビリドクロモジェネス(Streptomyces viri
dochromogenes)由来のpat遺伝子(引用によって本明細書に組
み入れられる、米国特許第5,550,318号)である。酵素、フォスフィノ
スリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)は、除草剤ビアラフォスの活性
成分、ホスフィノスリシン(PPT)を不活性化する。PPTは、アンモニアの
素速い蓄積及び細胞死をもたらすグルタミン合成酵素(Murakami et al., 1986
; Twell et al., 1989)を阻害する。単子葉と一緒の、この選択系の使用におけ
る成功が特に驚くべきことであったのは、穀物の形質転換において報告されてい
た重大な困難性にある(Potrykus, 1989)。
【0063】 利用されうるスクリーニングマーカーは、限定しないが、様々な色素原性基質
が知られている酵素をコードするβ−グルクロニダーゼ又はuidA遺伝子(G
US);植物組織においてアントシアニン色素(赤色)の産生を制御する生成物
をコードするR−遺伝子座位の遺伝子(Dellaporta et al., 1988);様々な色素
原性基質が知られている(例えばPADAC、色素原性セファロスポリン)、酵
素をコードするβ−ラクタマーゼ遺伝子(Sutcliffe, 1978);色素原性カテコー
ルを変換しうるカテコールジオキシゲナーゼをコードするxylE遺伝子(Zuko
wsky et al., 1983);α−アミラーゼ遺伝子(Ikuta et al., 1990);チロシン
をドーパ及びドーパキノンに酸化し、続いて重合して容易に検出可能な化合物メ
ラニンを形成することができる酵素をコードするチロシナーゼ遺伝子(Katz et a
l., 1983);存在している色素原性基質のための酵素をコードする、β−ガラク
トシダーゼ遺伝子;生物発光検出を許容するルシフェラーゼ(lux)遺伝子(O
w et al., 1986);あるいはカルシウム感受性生物発光検出に利用されうるエク
オリン遺伝子(Prasher et al., 1985)、又は緑色蛍光タンパク質遺伝子(Nied
z et al., 1995)を含む。
【0064】 トウモロコシのR遺伝子群由来の遺伝子は、スクリーニングマーカーとして特
に有用であると予期されている。トウモロコシのR遺伝子群は、多くの種子及び
植物組織におけるアントシアニン色素の産生を制御すべく働くタンパク質をコー
ドする。トウモロコシの系は、発生及び組織特異的に色素沈着を制御するために
組み合わされる、1又は4つものR対立遺伝子を有することがある。R遺伝子群
由来の遺伝子がトウモロコシの形質転換にかけられるのは、形質転換した細胞に
おけるこの遺伝子の発現が細胞に害を与えないためである。この様に、前記細胞
に導入されたR遺伝子は、赤色の色素の発現をもたらし、そして安定に取り込ま
れるならば、赤い領域として視覚的に印をつけられるであろう。トウモロコシの
系がアントシアニン生合成経路における酵素的中間生成物をコードする遺伝子に
とっての優性対立遺伝子を有し(C2,A1,A2,Bz1及びBz2)、しか
しR遺伝子座位で劣性対立遺伝子を有するならば、Rによるその系由来のいずれ
かの細胞の形質転換は、赤い色素の形成をもたらすであろう。例示的な系は、r
g−スタッドラー(Stadler)対立遺伝子及びTR212,r−g,b,
PlであるK55誘導体を含むウィスコンシン22を含む。あるいは、トウモロ
コシのいずれかの遺伝子型は、C1及びR対立遺伝子が一緒に導入されるならば
利用されうる。
【0065】 R遺伝子の制御領域が、キメラ遺伝子の発現を調節するための機構を提供する
ためにキメラコンストラクトにおいて利用されうることを更に提案する。表現型
発現の更なる多様性は、他のいずれかの遺伝子座よりもR遺伝子座で知られてい
る(Coe et al., 1988)。5′領域から構造R遺伝子までで得られる制御領域は
、遺伝子、例えば昆虫耐性、乾燥耐性、除草剤耐性又は他のタンパク質をコード
する領域の発現を指示する価値のあるものであることが予期される。本発明の目
的のために、様々なR遺伝子ファミリーのメンバーのうちのいずれかが首尾よく
利用されうることが信じられている(例えば、P,S,Lcなど)。しかし、多
くの好ましいものは、通常Sn(特にSn:bol3)であるだろう。SnはR
遺伝子群の優性なメンバーであり、そして機能的にR及びBの遺伝子座に類似し
ており、ここで、Snはある実生及び植物細胞におけるアントシアニン色素の組
織特異的な沈着を調節し、その結果、その表現型がRと類似する。
【0066】 本発明における使用が予期される更なるスクリーニングマーカーは、lux遺
伝子によってコードされるホタルのルシフェラーゼである。形質転換した細胞に
おけるlux遺伝子の存在は、例えばX線フィルム、シンチレーションカウンタ
ー、蛍光分光光度計、低光量ビデオカメラ、光子計数カメラ又はマルチウェルル
ミノメトリー(multiwell luminometry)を用いて検出さ
れうる。この系が、例えば組織培養プレート上での生物発光の個体群スクリーニ
ングのため、又は植物全体のスクリーニングのためにも発展しうることも予想さ
れる。
【0067】5.プラスミド及び非ウイルスベクター配列 本発明のベクターはまた、更にプラスミドDNAを含んで成る。プラスミドベ
クターは、原核及び真核細胞における発現カセットの容易な選択、増幅、及び形
質転換を提供する追加のDNA配列、例えばpUC誘導型ベクター、例えばpU
C8,pUC9,pUC18,pUC19,pUC23,pUC119、及びp
UC120,pSK誘導型ベクター、pGEM誘導型ベクター、pSP誘導型ベ
クター、又はpBS誘導型ベクターを含む。追加のDNA配列は、前記ベクター
の自律複製を提供するための複製起点、好ましくは抗生物質又は除草剤耐性をコ
ードする追加の選択マーカー遺伝子、発現カセットにコードされているDNA配
列又は遺伝子を挿入するための複数の部位を提供する独特のマルチクローニング
サイト、並びに原核及び真核細胞の形質転換を増強する配列を含む。
【0068】 植物及び原核細胞、その両方における発現に有用な別のベクターは、ベクター
pGA582によって例示される様に、バイナリーTiプラスミド(Schilperoo
rt等の米国特許第4,940,838号に開示されている)である。このバイナ
リーTiプラスミドベクターは、上述した様にAnによって既に特徴づけられて
おり、そしてAn博士から入手可能である。このバイナリーTiベクターは原核
細菌、例えばE.コリ(Coli)及びアグロバクテリウムにおいて複製されう
る。アグロバクテリウムのプラスミドベクターは、双子葉植物細胞、及びある条
件下では単子葉細胞、例えばコメ細胞に発現カセットを導入するために使用され
うる。前記のバイナリーTiベクターは、好ましくは効率的な植物細胞の形質転
換を提供するためのノパリンT DNAの右側及び左側の境界、選択マーカー遺
伝子、T境界領域における独特なマルチクローニングサイト、ColE1複製起
点及び幅広い宿主範囲のレプリコンを含む。本発明の発現カセットを有するバイ
ナリーTiベクターは、原核及び真核細胞、その両方を形質転換するために使用
されうるが、好ましくは双子葉植物細胞を形質転換するのに使用される。
【0069】 事実上、本発明に従い最終的に繁殖性の遺伝子組換え植物を産生するために、
いずれかのDNAが受容細胞への輸送に使用されうる。例えば、ベクター及びプ
ラスミド、又は直鎖DNAフラグメントの形態のDNAセグメントであって、い
くつかの場合においては植物細胞で発現するDNA因子のみを含むもの等が利用
されうる。
【0070】 前記細胞の形質転換における使用のためのベクター、プラスミド、コスミド、
YAC(酵母人工染色体)及びDNAセグメントは、もちろん、細胞への導入が
望まれるcDNA、1又は複数の遺伝子を含んで成るだろう。これらのDNAコ
ンストラクトは、プロモーター、エンハンサー、ポリリンカー、又は所望ならば
制御遺伝子の様な構造を含みうる。細胞内への導入のために選択したDNAセグ
メント又は遺伝子は、しばしば生じた組換え細胞で発現するタンパク質をコード
し、例えばスクリーニング可能又は選択可能な性質をもたらし、そして/あるい
は改良された表現型を再分化した植物に与えられるだろう。しかし、常にこの様
な事になるわけではなく、そして本発明はまた、非発現型の導入遺伝子を組み込
んでいる遺伝子組換え植物を含む。
【0071】6.他のあらかじめ選択した核酸セグメント 本発明の好ましい態様は、植物に対して所望の農学的特性をコードするベクタ
ー、例えば作物の生産に関する性質の向上のための単一な遺伝子を提供する。例
えば、その様な核酸セグメント又は「遺伝子」は、例えばLundquist et al.(米
国特許第5,484,956号)、Lundguist et al.(米国特許第5,508,
468号)、Dobres(国際出願PCT/US95/11231)及び K. Weisin
g et al.((1988)、表1,2、及び3を参照のこと)に開示されており、これ
らの全てが引用によって本明細書に組み入れられる。しかし、本発明は所望の農
学的特性をコードする、あらかじめ選択した核酸セグメントの範囲に限定されず
、所望の特性を植物に与えるタンパク質をコードする多くの他の核酸セグメント
又はRNA転写物は本発明の範囲内である。
【0072】 受容細胞に輸送されるべき特定の核酸セグメントの選択は、しばしば形質転換
の目的に依存する。作用の形質転換の主な目的の1つは、複数の商業的に望まし
い、農学的に重要な性質を植物に追加することである。その様な望ましい1又は
複数の性質を与える1又は複数の遺伝子、例えば除草剤耐性をコードする1又は
複数の遺伝子を組み入れることが望まれうる。あらかじめ選択したDNAセグメ
ントにコードされる好ましい農業的特性は、限定しないが昆虫耐性若しくは寛容
性、除草剤耐性若しくは寛容性(Christou, 1997)、病気耐性若しくは寛容性、
例えば、タバコ若しくはジャガイモにおける病原耐性、Btエンドトキシン遺伝
子(Schell, 1997 ; Vaeck et al., 1987 ; 及びLundquist et al., 米国特許第
5,484,956号)、フォトラブダス・ルミネセンスから分泌されるPht
毒素、ウイルス耐性のためのウイルス由来タンパク質(Reimann - Phillip et a
l., 1993)を用いるウイルス、菌類若しくは細菌の病原に対する耐性、限定しな
いが乾燥、過剰な水分、冷気、凍結、高温、塩、及び酸化的ストレスを含む環境
的ストレスに対する耐性、収率の増大、食品の成分及び構成、天然の外観、雄性
不稔、ドライダウン(drydown)、直立能、多産生、澱粉特性、油の量及
び質等を含む。例えば、遺伝子の研究は、特定の植物病原による感染に耐える植
物にとって、病原のゲノムに存在する単一の非病原性(avr)遺伝子と直接又
は間接的に相互作用する耐性(R)遺伝子を持たねばならないことを示した。こ
の様に、R遺伝子を含んで成るあらかじめ選択したDNAセグメントの、R遺伝
子を欠く植物への導入は、相当するavr遺伝子を発現する病原に対する耐性を
植物に与えうる。
【0073】 菌類の感染に対して増大した耐性は、病原関連(PR)タンパク質をコードす
るあらかじめの選択したDNAセグメントを植物に導入することによって得られ
うる。PRタンパク質は、複数の病原性菌類による感染に応じて、穀物によって
合成されるタンパク質である(Scott, 1994)。他の抗菌遺伝子は、限定しないが
キチナーゼ(例えば、エキソキチナーゼ及びキチナーゼG);グルカナーゼ;タ
ンパク質合成阻害剤(PSI)又は抗菌タンパク質(AFP)を含む。
【0074】 ウイルス感染に対して増大した耐性は、ウイルスのコートタンパク質をコード
するあらかじめ選択したDNAセグメントを植物に導入することによって得られ
うる。例えば、Nelson等(1988)は、トマト植物におけるタバコモザイクウイル
ス(TMV)のコートタンパク質の発現が、TMV及びトマトモザイクウイルス
(ToMV)、TMV関連ウイルスに対する耐性を前記植物に与える。Clark 等
(国際特許出願PCT/EP92/03001)は、トウモロコシにおけるトウ
モロコシドワーフモザイクウイルスのコートタンパク質の発現が、そのウイルス
に暴露されたときの病気の症候の低下を示す植物をもたらしたことを開示してい
る。
【0075】 更に、1以上のあらかじめの選択した核酸セグメントが植物に導入されうるこ
とが予想される。例えば、選択マーカー及び、特定のウイルス、例えばコムギイ
エロードワーフウイルス、ジャガイモリーフロールウイルス、又はタバコモザイ
クウイルスに対する耐性を与える遺伝子を含むベクターが植物細胞に導入されう
る。
【0076】 ある態様において、本発明は1以上の有利な導入遺伝子による受容細胞の形質
転換を考慮する。2又はそれ以上の導入遺伝子は、別々の導入遺伝子をコードす
るベクター、又は2若しくはそれ以上の遺伝子のコード配列を組み込んでいる単
一のベクターのいずれかを用いて、一回形質転換を行うことによって提供されう
る。例えば、集中、分散、又は共直線性のいずれかの配向でbar及びaroA
発現単位を有するプラスミドは、特に有用であると思われる。更に好ましい組み
合わせは、昆虫耐性遺伝子、例えばBt遺伝子と、プロテアーゼ阻害剤遺伝子、
例えばpinIIとが一緒のもの、又はbarと上記遺伝子のいずれかとの一緒の
使用である。もちろん、いずれかに記載のうちのいずれか2つ又はそれ以上の導
入遺伝子、例えば除草剤、昆虫、病気(ウイルス、細菌、菌類、線虫)又は乾燥
耐性、雄性不稔、ドライダウン、直立能、多産性、澱粉特性、油の量若しくは質
、収率又は栄養的な質を増大せしめるものが、所望の場合に利用されうる。
【0077】a.除草剤耐性 フォスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼをコードする遺伝子(ba
r及びpat)、グリフォセート耐性EPSP合成酵素遺伝子、グリフォセート
酸化還元酵素をコードするグリフォセート分解酵素遺伝子gox、deh(ダラ
ポンを不活性化する脱ハロゲン化酵素をコードしている)、除草剤耐性(例えば
スルホニルウレア及びイミダゾリノン)アセトラクターゼ合成酵素、及びbxn
遺伝子(ブロモキシニルを分解するニトリラーゼ酵素をコードしている)は、形
質転換における使用のための除草剤耐性遺伝子の好例である。前記のbar及び
pat遺伝子は、酵素フォスフィノスリシンアセチルトランスフェラーゼ(PA
T)をコードする遺伝子であり、これは除草剤フォスフィノスリシンを不活性化
し、そしてグルタミン合成酵素の阻害からこの化合物を守る。酵素5−エノール
ピルビルシキミン酸3−リン酸合成酵素(EPSP合成酵素)は通常、除草剤N
−(フォスホノメチル)グリシン(グリフォセート)によって阻害される。しか
し、グリフォセート耐性EPSP合成酵素をコードする遺伝子は知られている。
これらの遺伝子は、単子葉の形質転換における使用が予想される。前記deh遺
伝子は酵素ダラポン脱ハロゲン化酵素をコードし、そして除草剤ダラポンに対す
る耐性を与える。前記bxn遺伝子は、ブロモキシニルを非除草剤分解生成物に
変換する特異的なニトリラーゼ酵素をコードする。
【0078】b.昆虫耐性 本発明の重要な観点は、単子葉植物、例えばトウモロコシへの、昆虫耐性を与
える遺伝子の導入に関する。導入されうる潜在的な昆虫耐性遺伝子は、バチルス
・サーリンジェンシス結晶毒素遺伝子又はBt遺伝子(Watrud et al., 1985)を
含む。Bt遺伝子は、鱗翅目又は甲虫目の害虫、例えばアワノメイガ(ECB)
に対する耐性を提供しうる。その様な態様における使用にとって好ましいBt遺
伝子は、CrylA(b)及びCrylA(c)遺伝子を含む。昆虫の生育又は
発生に影響するB.サーリンジェンシスの他の種由来のエンドトキシン遺伝子も
、これに関して利用されうる。
【0079】 植物における原核生物のBt毒素遺伝子の乏しい発現は、文書でよく証明され
た現象であり、そして異なるプロモーター、融合タンパク質、及びリーダー配列
の使用は、Btタンパク質の発現において有意な増大をもたらさなかった(Barto
n et al., 1987)。従って、本明細書で開示した形質転換プロトコールの使用に
とって最も有利なBt遺伝子は、コード配列が植物において増大した発現に効果
を及ぼす様に修飾されたもの、及び更に具体的には、トウモロコシが好むコドン
が使用されたものであろうことが予想される。その様な修飾されたBt毒素遺伝
子の例は、IAb6と称される変異体Bt CrylA(b)遺伝子(Perlak et
al., 1991)並びに1800a及び1800bと称される合成CrylA(c)
遺伝子を含む。
【0080】 プロテアーゼ阻害剤も、昆虫耐性を提供することがあり(Johnson et al., 19
89)、そしてその結果、トウモロコシの形質転換における有用性を有するだろう
。トマト又はジャガイモ由来のプロテアーゼ阻害剤II遺伝子、pinIIの使用は
、特に有用であると思われる。より一層有利なのは、Bt毒素遺伝子と一緒のp
inII遺伝子の使用であり、これらの組み合わせた効果は、本発明者によって相
乗的な殺虫活性を生むことが発見された。昆虫の消化系の阻害剤をコードする他
の遺伝子、又は阻害剤の生成を容易にする酵素若しくは補因子をコードするもの
も有用でありうる。この群は、オリザシスタチン及びアミラーゼ阻害、例えばコ
ムギ及びオオムギ由来のものによって例示されうる。
【0081】 また、レクチンをコードする遺伝子は、追加又は別の殺虫特性を与えうる。レ
クチン(元々、フィトヘコグルチニンと称されている)は、様々な種に由来する
赤血球細胞を凝集させる能力を有する多価の炭水化物結合タンパク質である。レ
クチンは最近、ゾウムシ、ECB、及びルートワームに対する活性を有する殺虫
剤として同定された(Murdock et al., 1990 ; Czapla & Lang, 1990)。有用と
思われるレクチン遺伝子は、例えばオオムギ及びコムギ胚芽凝集素(WGA)並
びにコメレクチン(Gatehouse et al., 1984)を含み、WGAが好ましい。
【0082】 害虫に導入される場合の、昆虫に対して活性な大きい又は小さいポリペプチド
、例えば溶解性ペプチド、ペプチドホルモン及び毒素及び毒液の生成を調節する
遺伝子は、本発明の別の観点を形成する。例えば、特異的な害虫へと向けられる
幼若ホルモンエステラーゼの発現も、殺虫活性を生じ、又は恐らく変態の休止を
もたらしうることも予想される(Hammock et al., 1990)。
【0083】 昆虫の角皮の完全性に作用する酵素をコードする遺伝子を発現している遺伝子
組換えトウモロコシは、本発明の更に別な観点を形成する。その様な遺伝子は、
例えばキチナーゼ、プロテアーゼ、リパーゼをコードするもの、及び更にはキチ
ン合成を阻害する化合物、ニッコマイシンの生成のための遺伝子を含み、これら
のうちのいずれかの導入が、昆虫耐性トウモロコシ植物を生成することが予想さ
れる。昆虫の脱皮に作用する活性をコードする遺伝子、例えばエクジステロイド
UDP−グルコシルトランスフェラーゼの生成に作用するものも、本発明の有用
な導入遺伝子の範囲内に分類される。
【0084】 害虫に対する宿主植物の栄養学的な質を低下する、化合物の生成を容易にする
酵素をコードする遺伝子も、本発明に含まれる。例えば、そのステロール構成を
変化させることによって、植物に殺虫活性を与えることは可能でありうる。ステ
ロールは、昆虫が自身の餌から獲得し、そしてホルモン合成及び膜の安定性のた
めに使用される。それ故に、新規遺伝子、例えば不所望なステロールの生成を直
接的に促進するもの又は所望なステロールを不所望な形態へと変換させるものの
発現による植物のステロール組成の変化は、昆虫の生育及び/又は発生に対して
ネガティブな効果を有することがあり、そしてこのために殺虫活性を有する植物
が賦与されうる。リポキシゲナーゼは、昆虫に対する抗栄養学的作用を示し、そ
してそれらの餌の栄養学的な質を低下させることが示されてきた天然の植物酵素
である。従って、本発明の更なる態様は、昆虫の給餌に耐えうる、増大したリポ
キシゲナーゼ活性を有する遺伝子組換え植物に関する。
【0085】 本発明はまた、植物の二次代謝産物における定性的又は定量的変化を達成する
ための方法及び組成物を提供する。ある例は、アワノメイガ、ルートワーム及び
複数の他のトウモロコシの害虫に対する耐性を与えることが予想される、DIM
BOAを生成するための、トウモロコシの形質転換に関する。これに関する使用
が特に考慮される候補遺伝子は、合成DIMBOA経路に関与することが知られ
ているbx遺伝子座の遺伝子を含む。メイシン(maysin)の生成を制御し
うる遺伝子、及びソルガムにおける青酸配糖体の生成に関与する遺伝子の導入も
、イヤーワーム及びルートワーム、それぞれに対する耐性を促進するために使用
されるものであると予想される。
【0086】 トリプサクム・ダクチロイデス(Tripsacum dactyloides)は、ルートワームを
含む、ある昆虫に対して耐性がある草の一種である。昆虫に対して毒性があり、
又は昆虫に対して毒性がある化合物の生合成に関与するタンパク質をコードする
遺伝子がトリプサクムから単離され、そしてこれらの新規遺伝子が、昆虫に対す
る耐性の賦与に有用であることが予期される。トリプサクムにおける昆虫耐性の
基礎が遺伝的なものであるのは、前記耐性が有性交配を介してトウモロコシ(Z
ea mays)に導入されたためであることが知られている(Branson and Gu
ss, 1972)。
【0087】 更に、強力な殺虫活性を有するとして特徴づけられているタンパク質をコード
する遺伝子も、本明細書に従う導入遺伝子として使用されうる。その様な遺伝子
は、例えばルートワームの抑止に使用されうるササゲトリプシン阻害剤(CpT
I;Hilder et al., 1987);コーンルートワームの抑止に特に有用であること
を証明しうるアベルメクチン(Avermectin及びAbamectin., Campbell, W.C., Ed
., 1989 ; Ikeda et al., 1987)をコードする遺伝子;リボソーム不活性化タン
パク質遺伝子;及び更には植物の構造を制御する遺伝子を含む。抗昆虫抗体遺伝
子及び植物の外側に適用される非毒性殺虫剤(殺虫剤前駆体(pro−inse
cticide))を植物の内部で殺虫剤に変換しうる酵素をコードする遺伝子
を含む遺伝子組換えトウモロコシも考慮される。
【0088】c.環境又はストレス耐性 様々な環境ストレス、例えば、限定しないが乾燥、過剰な水分、冷却、冷凍、
高温、塩、及び酸化的ストレスを寛容するトウモロコシの能力の改良も、新規遺
伝子の発現を介して達成されうる。「不凍化」タンパク質、例えばカレイのもの
(Winter Flounder)(Cutler et al., 1989)又はその合成遺
伝子誘導体の導入を介しての、凍結温度に対する耐性の増大による利益が実現さ
れうることが提案される。改良型の低温寛容性は、葉緑体におけるグリセロール
−3−リン酸アセチルトランスフェラーゼの増大した発現を介して賦与されうる
(Wolter et al., 1992)。酸化的ストレスに対する耐性(しばしば、強い光強度
と組み合わせた低温の様な条件で悪化する)は、スーパーオキシドジスムターゼ
の発現によって賦与されることがあり(Gupta et al., 1993)、そしてグルタチ
オン還元酵素によって改良されうる(Bowler et al., 1992)。この戦略は、新
規に出現した土地における凍結及びより高度な多様性を生む後期の成熟領域から
、初期の比較的成熟している領域への拡張に対する耐性を考慮しうる。
【0089】 植物の含水比、水の全ポテンシャル、浸透ポテンシャル、及び膨圧に良好に作
用する新規遺伝子の発現が、植物の乾燥を寛容する能力を増強することが予想さ
れる。本明細書で使用する場合、「乾燥耐性」及び「乾燥寛容性」は、正常な環
境と比較した場合、水の利用能の低下によって誘導されるストレスに対する植物
の増大した耐性又は寛容性、並びにより低い水環境において機能し、そして生存
する植物の能力を言及するために使用する。本発明のこの観点において、例えば
、浸透圧的に活性な溶質の生合成をコードする遺伝子の発現が、乾燥に対する保
護を与えうることが提案される。この場合、遺伝子はマンニトール脱水素酵素(L
ee and Saier, 1982)及びトレハロース−6−リン酸合成酵素(Kaasen et al.,
1992)をコードしている。その結果として起こる細胞内の天然ホスファターゼ
の働きを介して又は特異的なホスファターゼの導入及び共発現によって、これら
の導入される遺伝子は、それぞれマンニトール又はトレハロースのいずれかの蓄
積をもたらし、ここで、この2つはストレス効果を緩和することができる保護化
合物として文書で詳細に発表されてきたものである。遺伝子組換えタバコにおけ
るマンニトールの蓄積は証明されており、そして高レベルなこの代謝物を発現す
る植物が、適用される浸透圧のストレスを寛容することができるという示唆を予
備的にもたらしている(Tarczynski et al., 1992, 1993)。
【0090】 同様に、酵素機能(例えば、アラノピン又はプロピオン酸)又は膜完全性(例
えばアラノピン)のいずれかを保護する場合の他の代謝物の有効性は文書で説明
されており(Loomis et al., 1989)、そしてその結果、これらの化合物の生合成
をコードする遺伝子の発現は、マンニトールと類似的又は相補的な方法で乾燥耐
性を賦与しうる。干ばつ及び/又は乾燥の間、浸透圧的に活性であり、そして/
あるいは複数の直接的な保護効果を提供する天然の代謝物の他の例は、フルクト
ース、エリスリトール(Coxson et al., 1992)、ソルビトール、ズルシトール
(Karsten et al., 1992)、グルコシルグリセロール(Reed et al., 1984 ; Er
dmann et al., 1992)、スクロース、スタキオース(Koster and Leopold, 1988
; Blackman et al., 1992)、ラフィノース(Bernal - Lugo and Leopold, 199
2)、プロリン(Rensburg et al., 1993)及びグリシンベタイン(Wyn - Jones
and Storey, 1982)、オノニトール及びピントール(Vernon and Bohnert, 1992
)を含む。ストレス期間中の持続性の林冠の成長及び再生の適合性は、上文で論
じた浸透圧的に活性な化合物及び他のその様な化合物を調節する遺伝子の導入及
び発現によって、酵素ミオイノシトール0−メチルトランスフェラーゼによって
1つの例示的な態様において表される様に増大するであろう。
【0091】 特異的なタンパク質の発現も、乾燥寛容性を増大させうることが予想される。
3つのクラスの胚形成後期タンパク質が、構造的類似性に基づいて指定された(D
ure et al., 1989を参照のこと)。3つ全てのクラスのLEAが、成熟(すなわ
ち乾燥)種子中で証明されてきた。これら3つの型のLEAタンパク質において
、II型(デヒドリン型)が栄養性の植物部分における干ばつ及び/又は乾燥寛容
性と一般的に結びつけられてきた(すなわち、Mundy and Chua, 1988 ; Piatkow
ski et al., 1990 ; Yamaguchi - Shinozaki et al., 1992)。最近、タバコに
おけるIII 型LEA(HVA−1)の発現が、植物の高さ、成熟度及び乾燥耐性
に影響することが見出された(Fitzpatrick, 1993)。それ故に、3つ全てのLE
A群に由来する構造遺伝子の発現は、乾燥寛容性を与えうる。水のストレスの間
に誘導される他の型のタンパク質は、乾燥ストレスの間に様々な保護的及び/又
は修復型の機能を与えうる、チオールプロテアーゼ、アルドラーゼ及び膜貫通輸
送体(Guerrero et al., 1990)を含む。また、脂質の生合成に作用し、そしてそ
の結果膜の組成に作用する遺伝子も、植物への乾燥耐性の賦与において有用であ
ろうと予想される。
【0092】 これらの遺伝子の多くがまた、凍結寛容性(又は耐性)を改良し;凍結及び乾
燥の間に受ける物理的なストレスは天然のものと類似しており、そして類似の様
式で緩和されうる。これらの遺伝子の構成的発現を介して利益が賦与されうるが
、これらの新規遺伝子を発現する好ましい手段は、膨圧誘導型プロモーター(例
えば、引用によって本明細書に組み入れられる、Guerrero et al., 1987及びSha
gan et al., 1993に記載の、膨圧誘導型遺伝子のプロモーター)の使用によるも
のでありうる。これらの遺伝子の空間的かつ時間的な発現パターンは、トウモロ
コシがストレスに対してより抵抗することを可能にしうる。
【0093】 乾燥している土壌からの水の抽出の増大を許容する特異的な形態学的性質に関
与する遺伝子の発現が、有益なものであることが提案される。例えば、根の特性
を変える遺伝子の導入及び発現は、水の取り込みを増強しうる。また、ストレス
期間中に再生の適合性を増強する遺伝子の発現が、重大な価値を有すると予想さ
れる。例えば、花粉の飛散の同期性及び雌花部分、すなわち絹の受容性を改良す
る遺伝子の発現は有益であるだろう。更に、ストレス期間中に穀粒の発育不全を
最小化する遺伝子の発現は、収穫されうる穀物の量を増大させるので、有益なも
のであるであろう。
【0094】 収率の決定において、水の全体的な役割を与えることで、新規遺伝子の導入及
び発現を介して、トウモロコシが更に効率的に水を利用することが可能になるこ
とは、土壌の水利用能が限定されない場合でさえ、全体的な性能を改良すると予
想される。水利用性、収率安定性又は収率能力の一貫性に関する全てのストレス
の全範囲以上に、水の利用を最大化するトウモロコシの能力する遺伝子を導入す
ることによって実現されうる。
【0095】d.病気耐性 病気に対する耐性の増大は、単子葉植物、例えばトウモロコシへの遺伝子の導
入を介して実現されうることを提案される。ウイルス、細菌、菌及び線虫によっ
て引き起こされる病気に対する耐性を生成することも可能である。マイコトキシ
ン産生生物の調節が、導入した遺伝子の発現を介して実現されうることも予想さ
れる。
【0096】 ウイルスに対する耐性は、新規遺伝子の発現を介して生成されうる。例えば、
遺伝子組換え植物におけるウイルスコートタンパク質の発現は、そのウイルス及
び恐らくは他の密接に関連しているウイルスによる植物の感染に対する耐性を与
えうることが証明されてきた(Cuozzo et al., 1988, Hemenway et al., 1988,
Abel et al., 1986 )。重要なウイルス機能をターゲッティングするアンチセン
ス遺伝子の発現は、前記ウイルスに対する耐性を賦与しうると予想される。例え
ば、ウイルスの核酸の複製に重要な遺伝子をターゲッティングするアンチセンス
遺伝子は、前記の複製を阻害し、そしてウイルスに対する耐性をもたらしうる。
アンチセンス遺伝子の使用を介する他のウイルス機能による干渉も、ウイルスに
対する耐性を増大させうると信じられている。更に、限定しないがサテライトウ
イルスの使用を含む、他のアプローチを介してウイルスに対する耐性が達成され
うることも提案される。
【0097】 細菌及び菌によって起こされる病気に対する耐性の増大が、新規遺伝子の導入
を介して実現されうることも提案される。いわゆる「ペプチド抗生物質」、病原
関連型(PR)タンパク質、毒素耐性、及び宿主と病原との相互作用、例えば形
態学的特性に影響するタンパク質をコードする遺伝子が有用であることが予想さ
れている。ペプチド抗生物質は、細菌及び他の微生物の増殖に対して阻害的であ
るポリペプチド配列である。例えば、セクロピン及びマガイニンとして言及され
るペプチドのクラスは、細菌及び菌の多くの種の増殖を阻害する。単子葉植物、
例えばトウモロコシにおけるPRタンパク質の発現が、細菌性の病気に対する耐
性の賦与において有用でありうると提案されている。これらの遺伝子は、宿主植
物上での、病原の攻撃の後に誘導され、そして少なくとも5つのクラスのタンパ
ク質に分けられてきた(Bol, Linthorst, and Cornelissen, 1990 )。PRタン
パク質に含まれるのは、β−1、3−グルカナーゼ、キチナーゼ、及びオスモチ
ン並びに病気の生物に対して耐性のある植物において機能すると信じられている
他のタンパク質である。抗菌特性を有する、例えばUDA(イラクサのレクチン
)及びヘベイン(Broakaert et al., 1989 ; Barkai-Golan et al., 1978)の様
な他の遺伝子が同定されてきた。ある植物の病気が、植物毒素の生成によって生
じることが知られている。これらの病気に対する耐性が、植物毒素を分解し、又
は他の方法で不活性化することができる酵素をコードする新規遺伝子の発現を介
して達成されうると提案されている。宿主植物と病原との間の相互作用を変える
新規遺伝子の発現が、宿主植物の組織に侵入する病気の生物の能力の低下、例え
ば葉の角皮のロウ質性又は他の形態学的特性の増大において有用でありうること
も予想される。
【0098】 植物寄生性の線虫は、トウモロコシを含む多くの植物における病気の原因であ
る。新規遺伝子の発現を介して、これらの生物に対してトウモロコシ植物を耐性
にすることが可能であると提案されている。線虫の侵襲の調節が、宿主植物を認
識するか又はそれに付着する線虫の能力を変え、そして/あるいは、限定しない
がタンパク質を含む殺線虫性化合物の生成を植物にさせることによって達成され
ることも予想される。
【0099】e.マイコトキシンの生成/除去 単子葉植物、例えばトウモロコシに付着する菌による、アフラトキシン及びフ
モニシンを含むマイコトキシンの生成は、穀実を無用なものにする重要な因子で
ある。これらの菌の生物は病気の徴候を引き起こさず、そして/あるいは植物の
生育を妨害しないが、それらは動物にとって有毒な化学物質(マイコトキシン)
を生成する。これらの菌の増殖の阻害がこれらの毒素物質の合成を減少させ、そ
してその結果、マイコトキシンの混入により穀実の損失が減少すると予想される
。また、単子葉植物、例えばトウモロコシに、菌の増殖を妨害すること無くマイ
コトキシンの合成を阻害する新規遺伝子を導入することが恐らく可能であると提
案されている。更に、マイコトキシンを無毒化することができる酵素をコードす
る新規遺伝子の発現が、穀実のマイコトキシン混入の減少を達成するために有用
であろうと予想される。上記の機構のうちのいずれかの結果が、穀実上でのマイ
コトキシンの存在を低下させるだろう。
【0100】f.穀実の組成又は質 穀物が主に生育する穀実を改良するために、単子葉植物、特に商業的に重要な
穀物、例えばトウモロコシに遺伝子が導入されうる。この方法で生成する広範な
新規組換え植物は、穀実の特定の最終用途に依存して構想されうる。
【0101】 トウモロコシの穀実の最大の用途は飼料又は食物である。穀実の組成を変える
遺伝子の導入は、飼料又は食物の価値を大きく増大させうる。トウモロコシの穀
実の主な組成は、デンプン、タンパク質、及び油である。トウモロコシの穀実の
これらの主な組成のそれぞれが、そのレベル又は組成を変えることによって改良
されうる。複数の例が例示のために言及されうるが、決して全可能性の網羅的な
例を提供するものではない。
【0102】 トウモロコシを含む穀物の穀実のタンパク質は、飼料及び食物の目的にとって
、特にブタ、家禽、及びヒトに与える場合に次善のものである。前記タンパク質
は、穀実への添加物の追加を必要とする、これらの種の食餌において必須の複数
のアミノ酸が欠失している。制限アミノ酸は、リジン、メチオニン、トリプトフ
ァン、スレオニン、バリン、アルギニン、及びヒスチジンを含みうる。いくつか
のアミノ酸は、トウモロコシが飼料調製物のために他の投入物を添加された後に
のみ、制限アミノ酸となる。例えば、トウモロコシがリジン要求性を満たすため
に大豆の食事とともに添加される場合、メチオニンは制限アミノ酸となる。種子
及び穀実におけるこれらの必須アミノ酸のレベルは、限定しないが、アミノ酸の
生合成を増大させ、アミノ酸の分解を低下させ、タンパク質におけるアミノ酸の
保存を増大させ、又は種子又は穀実へのアミノ酸の輸送を増大させるための遺伝
子の導入を含む機構によって増大しうる。
【0103】 アミノ酸の生合成を増大させるための1つの機構は、植物が生み出すレベルを
もはや適当に調節できない様に、アミノ酸の生合成経路を調節解除する遺伝子を
導入することである。このことは、前記経路のアミノ酸最終生成物のレベルによ
って正常に制御されるアミノ酸生合成経路の段階を調節解除するか又は迂回する
ことによって行われうる。例えば、リジン及びスレオニン生成のための酵素、ア
スパラギン酸キナーゼ又はジヒドロジピコリン酸(DHDP)合成酵素の調節解
除型、並びにトリプトファン生成を増大させるためのアントラニル酸合成酵素を
コードする遺伝子の導入を含む。アミノ酸の異化作用の減少は、異化経路におけ
る段階を触媒する酵素、例えば酵素リジン−ケトグルタル酸還元酵素をコードす
る遺伝子の発現を低下又は排除するDNA配列の導入によって達成されうる。
【0104】 前記穀実のタンパク質組成は、天然タンパク質の発現を高め、貧しい組成を有
するものの発現を低下させ、天然タンパク質の組成を変化させ、又はより優れた
組成を有する全く新しいタンパク質をコードする遺伝子を導入することを含む、
様々な方法においてアミノ酸の平衡を改良するために変えられうる。例えば、貯
蔵タンパク質のゼインファミリーのメンバーの発現を低下させるDNAの導入を
含みうる。このDNAは、ゼインタンパク質の発現又はゼインの発現の制御因子
、例えばopaque−2遺伝子産物の発現を損わせるリボザイム又はアンチセ
ンス配列をコードしていてもよい。前記穀実のタンパク質組成は、共抑制の現象
、すなわち同一の構造遺伝子又は形質転換を介する内因性遺伝子の発現の阻害を
介して修飾されうることも提案されている(Goring et al., 1991)。更に、導入
したDNAはゼインを分解する酵素をコードしていてもよい。達成されるゼイン
の発現の低下は、更に所望のアミノ酸組成を有するタンパク質の増大又は他の種
子構成成分、例えばデンプンの増大を伴うことがある。あるいは、適当なアミノ
酸組成の天然タンパク質、例えばトウモロコシのグロブリンタンパク質又は10
kDのゼインのコード配列及び前記タンパク質の発現を増大させるために設計した
プロモーター又は他の制御配列を含んで成るキメラ遺伝子が導入されうる。前記
遺伝子のコード配列は、必須アミノ酸の追加の又は置換したコドンを含みうる。
更に、他の種から得られるコード配列、又は、種子のアミノ酸組成を増強するた
めに設計した完全に他と異なるペプチド配列をコードする、部分的若しくは完全
に合成した配列が利用されうる。
【0105】 前記穀実の油の成分を変える遺伝子の導入は有用なことがある。油成分の増大
は、飼料及び食物における使用のための種子の、代謝可能なエネルギー成分及び
密度の増大をもたらしうる。導入した遺伝子は、脂肪酸又は脂質の生合成におけ
る律速又は制御段階を除去又は低下させる酵素をコードしうる。その様な遺伝子
は、限定しないが、アセチル−CoAカルボキシラーゼ、ACPアシルトランス
フェラーゼ、β−ケトアシル−ACP合成酵素、及び他の公知の脂肪酸生合成活
性をコードするものを含みうる。他の可能性があるものは、酵素活性を持たない
タンパク質、例えばアシルキャリアータンパク質をコードする遺伝子である。更
に健康的な又は栄養のある飼料を提供する油に存在する脂肪酸の平衡を変える遺
伝子も導入されうる。導入した遺伝子はまた、後述する様な穀実に存在する脂肪
酸の比率を変える、脂肪酸の生合成に関与する酵素の発現を防ぐ配列をコードし
うる。
【0106】 例えば、枝分かれの程度を増大させ、その代謝を遅らせてウシにおけるデンプ
ンの利用の改良をもたらすことによって、前記穀実のデンプン成分の栄養価値を
増強する遺伝子が導入されうる。
【0107】 前記穀実の主要成分に影響を及ぼす以外にも、飼料又は食物に使用する場合の
穀実の様々な他の栄養上の、処理的な、又は他の質的な観点に影響を及ぼす遺伝
子が導入されうる。例えば、前記穀実の色素沈着が増大又は減少しうる。黄色の
色素沈着の増強及び安定性は、いくつかの動物飼料において望ましく、そしてキ
サントフィル及びカロテンの生成における律速段階を排除することによりそれら
の生成の増大をもたらす遺伝子の導入によって達成されうる。その様な遺伝子は
、酵素、フィトエン合成酵素、フィトエン不飽和化酵素、又はリコピン合成酵素
の改質型をコードしうる。あるいは、着色されていない白色のトウモロコシは多
くの食物製品の製造にとって望ましく、そして色素生成経路の段階を防ぎ、又は
排除するDNAの導入によって生成しうる。
【0108】 主にトウモロコシ又は他の穀物の穀実を含んで成る飼料又は食物は不十分な質
のビタミンを有し、そして適当な栄養価を提供するために添加されなければなら
ない。例えば、ビタミンA、E、B12、コリン等を含む、種子におけるビタミン
の生合成を増強する遺伝子の導入が想定されうる。トウモロコシの穀実も、適当
な栄養価にとって十分な無機成分を持たない。数ある中でもリン、硫黄、カルシ
ウム、マンガン、亜鉛、及び鉄を含む化合物の蓄積又は利用性に影響を及ぼす遺
伝子が有用だろう。例えば、フィチン酸の生成を低下させ、又はフィチン酸の分
解を増強する酵素、フィターゼをコードする遺伝子の導入であってもよい。これ
らの遺伝子は、食物中の利用可能なリン酸のレベルを増大させ、無機リン酸の添
加の必要性を減少させるだろう。
【0109】 飼料及び食物のためのトウモロコシ又は他の穀物の改良の他の多くの例が説明
されうる。前記の改良は必ずしも穀実にとらわれないが、例えば、サイレージの
ためにトウモロコシの価値を改良しうる。これを達成するためのDNAの導入は
、リグニンの生成を変える配列、例えばウシにとっての優れた飼料価値を伴う「
ブラウンミッドリブ(brown midrib)」の表現型をもたらすものを
含みうる。
【0110】 飼料又は食物の価値の向上を方向づけることに加えて、トウモロコシの処理を
向上させ、そして前記処理から生じる生成物の価値を向上させる遺伝子も導入さ
れうる。トウモロコシを処理する主な方法は、湿式磨砕を介するものである。ト
ウモロコシは、例えば浸漬時間を減少させることによって、処理の効率を増大さ
せ、そして経費を減少させる新規遺伝子の発現を介して改良されうる。
【0111】 湿式磨砕生成物の価値の向上は、デンプン、油、トウモロコシのグルテンの粗
びき粉の量若しくは質、又はトウモロコシのグルテンの飼料の成分を変えること
を含みうる。デンプンの増大は、デンプンの生合成における律速段階の同定及び
排除を介して、又はデンプンの一定の増大をもたらす、穀実の他の成分のレベル
を減少させることによって達成されうる。前者の例は、変化した制御活性を有し
、又はより高レベルで発現するADP−グルコースピロホスホリラーゼ酵素をコ
ードする遺伝子の導入であってもよい。後者の例は、穀粒の発育の後期に発現す
るタンパク質又は油の生合成の選択的阻害剤を含みうる。
【0112】 デンプンの特性は、アミロペクチンに対するアミロースの比率、デンプン分子
のサイズ、又はそれらの枝分かれパターンを変化させることによって有利に変え
られうる。これらの変化を介して、限定しないがゼラチン化温度、ゼラチン化熱
、フィルム及びペーストの透明性、流体力学的特性等における変化の広範な特性
が修飾されうる。これらの特性の変化を達成するために、顆粒結合性又は可溶性
デンプン合成酵素活性あるいは分枝酵素活性をコードする遺伝子が単独で、又は
組み合わせて導入されうる。DNA、例えばアンチセンスのコンストラクトも、
これらの酵素の内因性の活性レベルを低下させるために使用されうる。導入した
遺伝子又はコンストラクトは、デンプンの生合成及びデンプン顆粒の発生の特異
的な間隔に対してそれらの発現の時期を選ぶ制御配列を有することがある。更に
、デンプン分子のグルコース部分のin viroでの誘導体化、又は他の修飾
をもたらす遺伝子を導入し、そして発現させることが有用だろう。デンプン顆粒
中の適当な基質の誘導体化及び接触性を触媒する酵素の存在によってのみ制限さ
れる、いずれかの分子の共有結合も想定されうる。重要な誘導の例は、次のin
vitroでの誘導体化のための部位を提供し、又はイオン電荷の導入を介し
てデンプンの特性に影響を及ぼす官能基、例えばアミン、カルボキシル、又はリ
ン酸基の追加を含みうる。他の修飾の例は、グルコース単位の直接的変化、例え
ばヒドロキシル基の損失又はアルデヒド若しくはカルボキシル基へのそれらの酸
化を含みうる。
【0113】 油は、トウモロコシの湿式磨砕の別の生成物であり、この価値は遺伝子の導入
及び発現によって改良されうる。湿式磨砕によって抽出されうる油の量は、上文
で飼料及び食物のために記載した様なアプローチによって増大しうる。油の特性
も、料理用油、ショートニング、潤滑剤又は他の油由来の生成物の製造及び使用
において、その性能を改良するために変えることがあり、あるいは食物に関連し
ている利用において使用される場合、その健康の向上に寄与する。抽出により、
化学合成のための出発材料として役割を果たしうる、新規脂肪酸も合成されうる
。油の特性の変化は、油に存在する脂肪酸の型、レベル、又は脂質の配合を変え
ることによって達成されうる。このことは、それらを有する新規脂肪酸及びそれ
らを有する脂質の合成を触媒する酵素をコードする遺伝子の追加によって、又は
天然脂肪酸のレベルを増大させ、同時に場合によっては前駆体のレベルを低下さ
せることによって順次達成されうる。あるいは、前駆体脂肪酸の中間生成物の増
大をもたらす脂肪酸の生合成における段階を遅らせ又は妨害するDNA配列が導
入されうる。加えられうる遺伝子は、不飽和酵素、エポキシダーゼ、加水酵素、
脱水酵素、及び脂肪酸の中間生成物に関与する反応を触媒する他の酵素を含む。
妨害されうる触媒段階の代表例は、ステアリン酸及びオレイン酸のそれぞれの蓄
積をもたらす、ステアリン酸からオレイン酸及びオレイン酸からリノレン酸への
不飽和を含む。別の例は、C8 〜C12の飽和脂肪酸の蓄積をもたらす伸長段階の
妨害である。
【0114】 他の主なトウモロコシの湿式磨砕生成物、トウモロコシのグルテンの粗びき粉
及びトウモロコシのグルテンの飼料の改良も、新規なトウモロコシ植物を得るた
めに、遺伝子の導入によって達成されうる。代表的な可能性のあるものは、限定
しないが、飼料及び食物の価値の向上のために上文で記載したものを含む。
【0115】 加えて、トウモロコシ植物が、これまでにトウモロコシ植物において全く生成
されていないか、又は同一のレベルで生成されていない、そのいずれかであった
有用な生物学的化合物の生成又は製造のために使用されると更にみなされうる。
これらの化合物を生成する新規トウモロコシ植物は、トウモロコシの形質転換法
による遺伝子の導入及び発現によって可能となる。可能性のある非常に多くのも
のが、限定しないが、いずれかの生物によって現在生成するいずれかの生物学的
化合物、例えばタンパク質、核酸、一次代謝物及び中間代謝物、炭水化物ポリマ
ー等を含む。前記化合物は植物によって生成し、採集及び/又は処理の際に抽出
され、そして現在認識されている有用な目的のいずれか、例えば医薬、芳香剤、
産業用酵素のために使用されうる。
【0116】 組換え植物において導入される遺伝子によって潜在的にコードされる穀実の性
質又は特性の範囲を例示するための更なる可能性は、γ−ゼイン合成を増大する
遺伝子の導入を介して、輸出目的のためにあまり分解しない感受性又は乾式磨砕
によって処理する場合により大きな粉のサイズを有する穀実、果皮の厚さを増大
させる遺伝子を介して、改良されたはじける質及び膨張した体積を有するポップ
コーン、色素生成経路に関与する酵素の発現を有効に防ぐ遺伝子の導入を介して
、食物の使用のためにより白い穀実を有するトウモロコシ、及び風味に影響を及
ぼす遺伝子、例えばスイートコーンのためのshrunken遺伝子(スクロー
ス合成酵素をコード)の導入を介して、質が改良されたアルコール飲料又はスイ
ートコーンを含む。
【0117】g.植物の農学的特性 トウモロコシが生育しうる場所を決定する要因のうちの2つは、生育する季節
の日平均気温及び霜の期間である。トウモロコシを生育することが可能な領域内
で、成熟するまで生育し、そして収穫されることが考慮される最長の時間につい
ての制限は変化する。特定の領域で生育しうるトウモロコシは、最大限可能な収
率で、必要な期間内に収穫可能な水分の下限まで成熟し、そして乾燥するその能
力について選択される。それ故に、様々な成熟度のトウモロコシが、異なる生育
場所で発生する。最大限乾燥させることが望ましい収穫を考慮して十分に乾燥さ
せる必要性を除き、収穫後の追加の乾燥に必要なエネルギー量を最小化するため
のことが畑で行われる。また、穀実の乾燥が容易になるほど、生育及び穀粒の内
容量のためにかかる時間が増える。成熟度及び/又は乾燥に影響する遺伝子が、
異なる生育環境又は同一の生育環境に適合する新規なトウモロコシの変種を作製
するために同定され、そして形質転換技術を用いてトウモロコシに導入されうる
が、収穫時に収率と水分の比を改良すると予想される。植物の発育の制御に関与
する遺伝子、例えばトウモロコシで同定された葉舌無し(liguleless
)及び粗い葉鞘(rough sheath)の遺伝子が特に有用だろう。
【0118】 直立性及び植物の他の生育特性を改良しうる遺伝子がトウモロコシに導入され
うることも予想される。より強い柄、改良された根系を与え、あるいは穂の落下
を防ぎ又は低下させる新規遺伝子の発現は、農場主にとって非常に価値があるだ
ろう。例えば、光の分布及び/又は妨害を増大させることによって利用可能な光
合成産物の全量を増大させる遺伝子の導入及び発現が有利であると予想される。
更に、光合成の効率及び/又は林冠を増大させる遺伝子の発現も、生産性におけ
る利益を更に増大させるだろう。その様な試みは、野外における植物群の増大を
許容するだろう。
【0119】 後期の植物の老化の遅れは、穀実内への同化されたものの流れを増大させ、そ
してこの様に収率を増大させるだろう。「ステイグリーン(Stay gree
n)」と関連するトウモロコシ内の遺伝子の過剰発現又は老化を遅らせる遺伝子
のいずれかの発現が有利であると予想される。例えば、黄色くならない変異体が
ヒロハノウシノケグサで同定された(Davies et al., 1990)。この遺伝子及びこ
れ以外のものの発現は、成熟前のクロロフィルの分解を防ぎ、そしてその結果、
林冠の機能を維持しうる。
【0120】h.栄養素の利用 利用可能な栄養素を利用する能力は、単子葉植物、例えばトウモロコシの生育
における限定要因でありうる。新規遺伝子の導入によって、栄養素の取り込みを
変え、pHの極値、植物内での流動、貯蔵プール、及び代謝活性のための利用性を
寛容することが可能であると提案されている。これらの修飾は、植物、例えばト
ウモロコシが利用可能な栄養素を更に効率的に利用することを可能にさせるだろ
う。例えば、植物に通常存在し、そして栄養素の利用に関与する酵素の活性の増
大が、栄養素の利用性を増大させることが予想される。その様な酵素の例にはフ
ィターゼがある。また、新規遺伝子の発現が、これまで利可できなった栄養素、
例えば、より複雑な分子、恐らくは高分子から栄養価の構成要素を放出する酵素
を利用可能なものにすることも予想される。
【0121】i.雄性不稔性 雄性不稔性は、雑種種子の生成に有用である。雄性不稔性が新規遺伝子の発現
を介して生成されうることが提案されている。例えば、雄性花序及び/又は配偶
体の形成を妨害するタンパク質をコードする遺伝子の発現が雄性不稔性をもたら
すことが示されてきた。遺伝子組換えタバコ及びアブラナの葯において発現する
キメラリボヌクレアーゼ遺伝子は、雄性不稔性を導くことが示された(Mariani
et al., 1990)。
【0122】 原形質の雄性不稔性を与える多くの変異が発見された。特に、T原形質と称さ
れるある変異も、サザンコーンリーフブライト(Southern corn
leaf blight)に対する感受性と相関している。TURF−13(Le
vings, 1990)と表されるDNA配列は、T原形質と相関すると同定された。病
気感受性から雄性不稔性を分別することは、形質転換によるTURF−13の導
入を介して可能であると提案されている。育種目的及び穀実の産生のために雄性
不稔性を回復できることが必要なので、雄性不稔性の回復をコードする遺伝子も
導入されうると提案される。
【0123】j.ネガティブ選択マーカー 対抗して選択されうる性質をコードする遺伝子の導入は、不所望な連結遺伝子
を排除するのに有用だろう。2又はそれ以上の遺伝子が同時形質転換によって一
緒に導入される場合、前記遺伝子は宿主の染色体上で一緒に連結すると予想され
る。例えば、植物に昆虫耐性を与えるBt遺伝子をコードする遺伝子は、選択マ
ーカーとして有用であり、そして植物において除草剤Ignite(商標)に対
する耐性を与えるbar遺伝子と一緒に植物に導入されうる。しかし、除草剤I
gnite(商標)に対しても耐性がある昆虫耐性植物を有するのは望ましくな
いだろう。bar遺伝子の発現が望まれていない組織において、例えば全ての植
物の部分で発現するアンチセンスbar遺伝子が導入されうることも提案されて
いる。それ故に、bar遺伝子は発現し、そして選択マーカーとして有用である
が、全植物において除草剤耐性を与えるのに有用ではない。barアンチセンス
遺伝子はネガティブな選択マーカーである。
【0124】 遺伝子ターゲッティングを介して生成した珍しい相同組換え体について形質転
換体の集団をスクリーニングするために、ネガティブ選択が必要であることも予
想されている。例えば、相同組換えは、その細胞で既に発現した遺伝子の不活性
化を介して同定されうる。ネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(nptII
)に対するアンチセンス遺伝子は、タバコ(Nicotiana tabacu
m)及びアラビドプシス・サリアナ(Arabidopsis thalian
a)(Xiang, C. and Guerra, D.J. 1993)のネガティブ選択マーカーとして研究
されてきた。この例において、センス及びアンチセンス、その両方のnptII遺
伝子が形質転換を介して植物に導入され、そして生じた植物は抗生物質カナマイ
シンに対して感受性がある。アンチセンスnptII遺伝子の部位で宿主細胞の染
色体内に組み込み、そして前記アンチセンス遺伝子を不活性化する導入された遺
伝子は、植物をカナマイシン及び他のアミノグリコシド抗生物質耐性にするだろ
う。それ故に、珍しい部位特異的組換え体は、抗生物質耐性についてスクリーニ
ングすることによって同定されうる。同様に、植物にとって天然であり、又は形
質転換により導入される、不活性化した場合に耐性を化合物に与える遺伝子のい
ずれかが、ネガティブな選択マーカーとして有用だろう。
【0125】 ネガティブな選択マーカーは、他の方法でも有用であると予想される。1つの
利用として、未連結部位への転移について選択されうる遺伝子組換え系の構築が
ある。ターゲッティング方法において、同一染色体上で遺伝的に連結している部
位に移動することが、転移因子にとって最も一般的である。未連結部位への転移
が起きた珍しい植物の回収のために、選択マーカーが有用だろう。例えば、酵素
シトシンデアミナーゼは、この目的のために有用だろう(Stouggard, J., 1993)
。この酵素の存在下において、化合物5−フルオロシトシンは植物及び動物細胞
にとって毒性がある5−フルオロウラシルに変換する。転移因子が、酵素シトシ
ンデアミナーゼのための遺伝子と連結するならば、生じた植物が5−フルオロシ
トシンに対して現に耐性がある、転移事象について選択することによって、未連
結部位への転移が選択されうる。連結部位への転移を含む、1又は複数の親植物
は、5−フルオロシトシンに対して感受性を維持するだろう。5−フルオロシト
シンに対する耐性は、転移因子とシトシンデアミナーゼ遺伝子との遺伝子の分離
を介する、シトシンデアミナーゼ遺伝子の欠損による。植物に、ある化合物に対
する感受性を与えるタンパク質をコードする他の遺伝子も、本分において有用だ
ろう。例えば、アグロバクテリウム・ツメファシエンス由来のT−DNA遺伝子
2は、α−ナフタレンアセトアミド(NAM)からα−ナフタレン酢酸(NAA
)への変換を触媒するタンパク質をコードし、高濃度のNAMに対する感受性を
植物細胞に与えるタンパク質をコードする。
【0126】 また、ネガティブ選択マーカーがトランスポゾンのタギング系の構築において
有用であろうと予想されている。例えば、自律転移因子、例えばAc、マスター
Mu、又はEn/Spnをネガティブ選択マーカーによってマーキングすること
によって、自律因子がゲノムに安定に組み込まれていない形質転換体が選択され
うる。自律因子の一過性の発現が、欠損転移因子、例えばDsの転移をトランス
活性化するのに望まれるが、自律因子の安定な組み込みを望まない場合に、この
ことが望ましいと提案されている。自律因子の存在は、欠損因子を安定化するた
めに、すなわち更なる転移からそれを守るために望まれることはないだろう。し
かし、自律転移因子の安定な組み込みが植物において望まれるならば、ネガティ
ブ選択マーカーの存在は育種過程における自律因子の排除を可能にすると提案さ
れている。
【0127】k.タンパク質を発現しない配列 1.RNA発現 まだタンパク質に翻訳されていない、植物の表現型に作用するべく機能するR
NA転写物を発現させるために、核酸がトウモロコシ及び他の単子葉植物に導入
されうる。2つの例として、アンチセンスRNA及びリボザイム活性を有するR
NAがある。両者は、天然又は導入型の植物遺伝子の発現を低下させ、又は排除
することにおいての機能を果たしうる。
【0128】 転写されるときに、ターゲッティングされたメッセンジャーRNAの全部又は
一部に相補的なアンチセンスRNAを生成する遺伝子が構築され、又は単離され
うる。アンチセンスRNAは、メッセンジャーRNAのポリペプチド生成物の生
成を減少させる。前記ポリペプチド生成物は、植物ゲノムによってコードされる
タンパク質のいずれかでありうる。前述の遺伝子は、アンチセンス遺伝子として
言及されるだろう。この様に、アンチセンス遺伝子は、注目の選択タンパク質の
発現の低下により、新規な遺伝子組換え植物を生成するために、形質転換法によ
って植物に導入されうる。例えば、前記タンパク質は植物における反応を触媒す
る酵素であってもよい。酵素活性の低下は、植物において酵素的に合成された化
合物のいずれか、例えば脂肪酸、アミノ酸、炭水化物、核酸等を含む、反応生成
物を減少させ又は排除することがある。あるいは、前記タンパク質は貯蔵タンパ
ク質、例えばゼイン、又は構造タンパク質であってもよく、この発現の低下は、
種子のアミノ酸組成の変化又は植物の形態学的な変化をそれぞれもたらす。上述
した可能性は例示のためにのみ提供され、そして完全な利用範囲を表していない
【0129】 転写されるときにRNA酵素、又はリボザイムを生成し、エンドヌクレアーゼ
として働き、そして選択した配列を有するRNA分子の開裂を触媒する遺伝子も
構築され、又は単離されうる。選択したRNA分子の開裂は、それらがコードさ
れたポリペプチド生成物の生成の低下をもたらしうる。これらの遺伝子は、それ
らを有する、新規な組換え植物を調製するために使用されうる。前記組換え植物
は、限定しないが、アンチセンスRNAによって影響されうる上述したポリペプ
チドを含む、低下したレベルのポリペプチドを持つことがある。
【0130】 同時抑制の機構によって低下した天然遺伝子生成物の発現を有する新規な遺伝
子組換え植物を生成するために、遺伝子が導入されうることも予想される。タバ
コ、トマト、及びペチュニアにおいて、天然遺伝子のセンス転写物の発現が、ア
ンチセンス遺伝子で観察されたものと類似の様式で、天然遺伝子の発現を低下さ
せ、又は排除すると証明されてきた(Goring et al., 1991 ; Smith et al., 199
0 ; Napoli, C. et al., 1990 ; vander krol et al., 1990)。導入した遺伝子
はターゲッティングした天然タンパク質の全部又は一部をコードしうるが、その
翻訳はその天然タンパク質のレベルの低下に必要ではないだろう。
【0131】2.非RNA発現 例えば、転移因子、例えばDs、Ac、又はMuを含むDNA因子は遺伝子に
導入され、そして変異をもたらしうる。これらのDNA因子は、遺伝子を不活性
化(又は活性化)し、そしてそれによって特定の性質を「付加」するために挿入
されうる。この例において、前記転移因子が付加された変異の不安定性をもたら
さないのは、前記因子の有用性がゲノムにおけるその移動能力に依存しないため
である。一度所望の性質が付加されると、導入したDNA配列は、例えばRCR
遺伝子クローニング技術と一緒に、PCRプライマーとして導入したDNA配列
を用いて、相当する遺伝子をクローン化するために使用されうる(Shapiro, 1983
; Dellaporta et al., 1988)。一度同定されると、所望の調節又は制御領域を
含む、特定の性質のための全遺伝子が、所望の場合に単離され、クローン化され
、そして操作されうる。遺伝子の付加のために生物に導入されるDNA因子の有
用性は前記DNA配列から独立しており、そして前記DNA配列の生物学的活性
のいずれか、すなわちRNAへの転写又はタンパク質への翻訳に依存しない。前
記DNA因子の唯一の機能は、前記遺伝子のDNA配列を分裂させることである
【0132】 新規の合成配列を含む、発現しなかったDNA配列が、細胞並びにその植物及
び種子の特有の「標識」として、細胞に導入されうることが予想される。標識D
NA因子にとって、このDNAの唯一の機能が生物の起源を同定することである
場合、宿主生物にとって内因性の遺伝子の機能を破壊する必要はないだろう。例
えば、独特のDNA配列が植物に導入されうるならば、このDNA因子は、その
標識された供給源に起因する場合、全ての細胞、植物、及びこれらの細胞の子孫
を同定するだろう。標識DNAの封入は、特有の生殖質又はその様なものに由来
する生殖質を、標識されていない生殖質と区別することを可能にするだろう。
【0133】 別の導入される可能性のある因子はマトリックス付着領域因子(MAR)、例
えばニワトリのリゾチームA因子(Stief, 1989)であり、これは前記遺伝子の
全体的な発現の増大に作用し、そして植物ゲノム内への組み込みに対する効果に
依存している位置を減少させるために、注目の発現可能遺伝子へ周囲に位置する
ことがある(Stief et al., 1989 ; Phi - Van et al., 1990)。
【0134】 好ましくは植物の含水比、水の全ポテンシャル、浸透ポテンシャル、及び膨圧
に作用する、新規のあらかじめ選択したDNAセグメントの発現は、植物が乾燥
を寛容する能力を増強しうる。本明細書で使用する場合、用語「乾燥耐性」及び
「乾燥寛容性」は、正常な環境と比較した場合、水の利用能の低下によって誘導
されるストレスに対する植物の増大した耐性又は寛容性、並びにより低い水環境
において機能し、かつ生存し、そして比較的優れた挙動で行う植物の能力を言及
するために使用する。本発明のこの観点において、例えば、浸透圧的に活性な溶
質の生合成をコードする、あらかじめ選択したDNAセグメントの発現が、乾燥
に対する保護を与えうることが提案される。このクラス内のあらかじめ選択した
DNAセグメントは、マンニトール脱水素酵素(Lee and Saier, 1982)及びトレ
ハロース−6−リン酸合成酵素(Kaasen et al., 1992)をコードしているDN
Aである。その結果として起こる細胞内の天然ホスファターゼの働きを介して又
は特異的なホスファターゼの導入及び共発現によって、これらの導入されるあら
かじめ選択した遺伝子は、それぞれマンニトール又はトレハロースのいずれかの
蓄積をもたらし、ここで、この2つはストレス効果を緩和することができる保護
化合物として文書で詳細に発表されてきたものである。遺伝子組換えタバコにお
けるマンニトールの蓄積は証明されており、そして高レベルなこの代謝物を発現
する植物が、適用される浸透圧のストレスを寛容することができるという示唆を
予備的にもたらしている(Tarczynski et al., 1992, 1993)。
【0135】 同様に、酵素機能(例えば、アラノピン又はプロピオン酸)又は膜完全性(例
えばアラノピン)のいずれかを保護する場合の他の代謝物の有効性は文書で説明
されており(Loomis et al., 1989)、そしてその結果、これらの化合物の生合成
をコードするあらかじめ選択したDNAセグメントの発現は、マンニトールと類
似的又は相補的な方法で乾燥耐性を賦与しうる。干ばつ及び/又は乾燥の間、浸
透圧的に活性であり、そして/あるいは複数の直接的な保護効果を提供する天然
の代謝物の他の例は、フルクトース、エリスリトール(Coxson et al., 1992)
、ソルビトール、ズルシトール(Karsten et al., 1992)、グルコシルグリセロ
ール(Reed et al., 1984 ; Erdmann et al., 1992)、スクロース、スタキオー
ス(Koster and Leopold, 1988 ; Blackman et al., 1992);オノニトール及び
ピニトール(Vernon and Bohnert, 1992);並びにラフィノース(Bernal - Lug
o and Leopold, 1992)を含む。糖ではない、他の浸透圧的に活性な溶質は、限
定しないがプロリン(Rensburg et al., 1993)及びグリシンベタイン(Wyn - J
ones and Storey, 1982)を含む。ストレス期間中の持続性の林冠の成長及び再
生の適合性は、上文で論じた浸透圧的に活性な化合物及び他のその様な化合物を
調節する、あらかじめ選択したDNAセグメントの導入及び発現によって、酵素
ミオイノシトール0−メチルトランスフェラーゼによって1つの例示的な態様に
おいて表される様に増大するであろう。
【0136】 特異的なタンパク質の発現も、乾燥寛容性を増大させうることが予想される。
3つのクラスの胚形成後期タンパク質が、構造的類似性に基づいて指定された(D
ure et al., 1989を参照のこと)。これらのタンパク質の、3つ全てのクラスが
、成熟(すなわち乾燥)種子中で証明されてきた。これら3つの型のタンパク質
において、II型(デヒドリン型)が栄養性の植物部分における干ばつ及び/又は
乾燥寛容性と一般的に結びつけられてきた(すなわち、Mundy and Chua, 1988 ;
Piatkowski et al., 1990 ; Yamaguchi - Shinozaki et al., 1992)。最近、
タバコにおけるIII 型LEA(HVA−1)の発現が、植物の高さ、成熟度及び
乾燥耐性に影響することが見出された(Fitzpatrick, 1993)。それ故に、3つ全
ての群に由来する構造遺伝子の発現は、乾燥寛容性を与えうる。水のストレスの
間に誘導される他の型のタンパク質は、乾燥ストレスの間に様々な保護的及び/
又は修復型の機能を与えうる、チオールプロテアーゼ、アルドラーゼ及び膜貫通
輸送体(Guerrero et al., 1990)を含む。また、脂質の生合成に作用し、そして
その結果膜の組成に作用するあらかじめ選択したDNAセグメントも、植物への
乾燥耐性の賦与において有用であろう。
【0137】 乾燥耐性を改良する多くの遺伝子が、相補的な作用形式を有する。従って、こ
れらの遺伝子の組み合わせは、トウモロコシにおいて乾燥耐性を向上する、追加
的及び/又は相乗的な効果を有することがある。これらの遺伝子の多くがまた、
凍結寛容性(又は耐性)を改良し;凍結及び乾燥の間に受ける物理的なストレス
は天然のものと類似しており、そして類似の様式で緩和されうる。これらの遺伝
子の構成的発現を介して利益が賦与されうるが、これらの新規遺伝子を発現する
好ましい手段は、膨圧誘導型プロモーター(例えば、引用によって本明細書に組
み入れられる、Guerrero et al.(1990)及び Shagan et al.,(1993)に記載の
、膨圧誘導型遺伝子のプロモーター)の使用によるものでありうる。これらの遺
伝子の空間的かつ時間的な発現パターンは、トウモロコシがストレスに対してよ
り抵抗することを可能にしうる。
【0138】 乾燥している土壌からの水の抽出の増大を許容する特異的な形態学的性質に関
与する遺伝子の発現が、有益なものであることが提案される。例えば、根の特性
を変える遺伝子の導入及び発現は、水の取り込みを増強しうる。また、ストレス
期間中に再生の融合性を増強するDNAの発現が、重大な価値を有すると予想さ
れる。例えば、花粉の飛散の同期性及び雌花部分、すなわち絹の受容性を改良す
る遺伝子の発現は有益であるだろう。更に、ストレス期間中に穀粒の発育不全を
最小化する遺伝子の発現は、収穫されうる穀実の量を増大させるので、有益なも
のであるであると提案される。適当な制御配列によるイソペンテニルトランスフ
ェラーゼの導入及び発現による、単子葉植物、例えばトウモロコシのサイトカイ
ニンレベルの制御が、単子葉植物のストレス耐性及び収率を増大させうると予想
される(Gan et al., Science, 270, 1986 (1995))。
【0139】 収率の決定において、水の全体的な役割を与えることで、新規遺伝子の導入及
び発現を介して、トウモロコシが更に効率的に水を利用することが可能になるこ
とは、土壌の水利用能が限定されない場合でさえ、全体的な性能を改良すると予
想される。水利用性、収率安定性又は収率能力の一貫性に関する全てのストレス
を越えて、水の利用を最大化するトウモロコシの能力する遺伝子を導入すること
によって実現されうる。
【0140】III .宿主細胞への本発明のベクターの導入 本発明は、形質転換した細胞を作製するために、受容細胞、例えば植物細胞に
あらかじめ選択した核酸配列を導入することを指示する段階を通常含む。本発明
のベクター又は組成物が、噴霧又は摩擦によって、植物、植物の部分又は植物組
織と接触するのは好ましいが、前記ベクター又は組成物は、他の方法によってi
n vitroで植物細胞に導入されうる。この目的のために、植物組織のもと
となる細胞は、好ましくは稔性の組換え植物及び/又は種子を再生しうる胚形成
細胞又は細胞系である。前記細胞は、単子葉植物又は双子葉植物のいずれかに由
来しうる。植物種の適当な例は、コムギ、コメ、シロイナズナ、タバコ、トウモ
ロコシ、ダイズなどを含む。好ましい細胞型は単子葉植物細胞、例えばトウモロ
コシ細胞であり、これは懸濁細胞培養液にあってもよく、あるいは完全な植物部
分、例えば未成熟胚、又は特殊分化した植物組織、例えばカルス、例えばI型若
しくはII型カルスにあってもよい。
【0141】 植物組織のもととなる細胞の形質転換は、当業者に知られている多くの方法の
いずれか1つによって行われうる。例えば、エレクトロポレーションによる植物
細胞への直接的なDNA導入(引用によって本明細書に組み入れられる米国特許
第5,384,253号及び米国特許第5,472,869号;Dekeyser et al
., 1990 );PEG沈澱による植物細胞への直接的なDNA導入(Hayashimoto
et al., 1990);微粒子銃による植物細胞への直接的なDNA導入(McCabe et
al., 1988 ; Gordon-Kamm et al., 1990;引用によって本明細書に組み入れられ
る米国特許第5,489,520号;米国特許第5,538,877号;及び米
国特許第5,538,880号);リポソーム;並びにアグロバクテリウムによ
る感染を介した植物細胞へのDNA導入である。微粒子銃又はエレクトロポレー
ションの様な方法は、前記発現カセットがE.コリ由来のプラスミドのクローニ
ングベクターのいずれかに簡単に収容されうる、「ネイキッド(naked)」
DNAを用いて行われうる。ウイルスベクターの場合、前記系は複製機能を保持
しているが、病気の誘導のための機能を欠いていることが望ましい。
【0142】 双子葉植物の形質転換にとって好ましい方法は、リーフディスク(leaf−
disk)プロトコールを用いる、アグロバクテリウム・ツメファシエンスによ
る植物細胞の感染を介するものである(Horsch et al., 1985)。単子葉植物、例
えばトウモロコシは、胚形成カルス組織又は未成熟胚の微粒子銃を介して、ある
いはペクチナーゼ含有酵素による細胞壁の部分的酵素分解後のエレクトロポレー
ションによって形質転換されうる(米国特許第5,384,253号;及び米国
特許第5,472,869号)。例えば、未成熟なトウモロコシの胚に由来する
胚形成細胞系は、上文で列記したGordon-Kamm et al., (1990)又は米国特許第5
,489,520号;米国特許第5,538,877号及び米国特許第5,53
8,880号に記載の促進された粒子処理によって形質転換されうる。摘出され
た未成熟な胚も、米国特許出願第08/112,245号及びPCT公開番号W
O95/06128に記載の、組織培養誘導、選択及び再生の前の、形質転換の
ための標的として使用されうる。更に、アグロバクテリウム・ツメファシエンス
を利用する単子葉植物の形質転換方法は、Hiei等(欧州特許0604662、1
994)及びSaito 等(欧州特許0672752、1995)によって記載され
てきた。
【0143】 微粒子銃又はエレクトロポレーションの様な方法は、前記発現カセットがE.
コリ由来のプラスミドのクローニングベクターのいずれかに簡単に収容されうる
、「ネイキッド」DNAを用いて行われる。ウイルスベクターの場合、前記の系
は複製機能を保持するが、病気の誘導のための機能を欠いていることが望ましい
【0144】 エレクトロポレーションによる形質転換を達成するために、もろい組織、例え
ば懸濁細胞培養物、又は胚形成カルスのいずれかを使用してもよく、あるいは未
成熟胚又は他の器質化した組織を直接形質転換してもよい。あらかじめ選択した
細胞又は器官の細胞壁は、ペクチン分解酵素(ペクチナーゼ又はペクトリアーゼ
)にそれらを暴露するか、調節した様式でそれらを機械的に傷つけることによっ
て部分的に分解されうる。その様な細胞は、その結果、この段階で行われうるエ
レクトロポレーションによってDNAの取り込みに対して受容性となり、そして
形質転換した細胞は、新規に組み込んだDNAの性質に依存した適当な選択又は
スクリーニングプロトコールによって同定されるだろう。
【0145】 形質転換するDNAセグメントを植物細胞に輸送するための更に有利な方法は
、微粒子銃である。この方法において、微粒子はDNAでコーティングされ、そ
して推進力によって細胞に輸送されうる。例示的な粒子は、タングステン、金、
白金などから成るものを含む。
【0146】 いくつかの例において、金属粒子上でのDNA沈澱が、微粒子銃を用いる受容
細胞へのDNA輸送にとって必要ではないと予想される。また、粒子がDNAで
コーティングされるというよりもむしろ、DNAを含むであろうと予想されてい
る。故に、粒子がDNA輸送のレベルを増大しうるが、DNAを植物細胞に導入
するために、それら自身が必要でないと予想されている。
【0147】 微粒子銃の利点は、単子葉植物を再現性よく安定に形質転換するのに有効な手
段であることに加えて、プロトプラストの単離(Christon et al., 1988)、部分
的に分解した細胞の形成、又はアグロバクテリウムに対する感受性が必要なこと
である。促進によってトウモロコシ細胞にDNAを輸送するための方法の例示的
な態様は、Biolistics Particle Delivery Sy
stemであり、これはDNAでコーティングした粒子又は細胞を、懸濁培養し
たトウモロコシ細胞で覆った膜表面上に、スクリーン、例えばステンレス鋼又は
ナイテックススクリーンを介して推進させるために使用されうる(Gordon-Kamm
et al., 1990)。前記スクリーンは、粒子が巨大な集合体として受容細胞に輸送
されない様にそれらを分散する。噴出装置と砲撃される細胞との間に介在するス
クリーンは、噴出装置の大きさを縮小し、そして集合した粒子により受容細胞が
負う損傷を減少させることによって、高頻度な形質転換に寄与しうると信じられ
ている。
【0148】 砲撃のために、懸濁状態の細胞は、好ましくはフィルター又は固形の培養培地
上で濃縮される。あるいは、未成熟胚又は他の標的細胞は固形の培養培地上で並
べられうる。砲撃される細胞は、巨大粒子停止プレートの下方から適度に離れて
位置している。所望ならば、1又は複数のスクリーンも、促進装置と砲撃される
細胞との間に位置する。本明細書で前述した技術の使用を介して、1000又は
それ以上の、マーカー遺伝子を一過的に発現している注目の細胞が得られうる。
外来の遺伝子生成物を、砲撃から48時間後に発現する注目の細胞の数は、しば
しば約1〜10に及び、そして平均1〜3である。
【0149】 砲撃による形質転換において、最大数の形質転換体を生成するために、砲撃前
の培養条件及び砲撃パラメーターが最適化されうる。砲撃のための物理的かつ生
物学的パラメーターは、共にこの技術において重要である。物理的因子は、DN
A/微粒子の沈澱の操作に関与するもの、又は巨大粒子若しくは微粒子のいずれ
かの経路及び速度に作用するものである。生物学的な因子は、砲撃の前及び直後
の細胞の操作に関与する全ての段階、砲撃に伴う外傷の緩和を助けるための、標
的細胞の浸透圧的調節、並びに形質転換するDNA、例えば直鎖化したDNA又
は無傷のスーパーコイル状のプラスミドDNAの性質を含む。砲撃前の操作は、
未成熟胚の形質転換の成功にとって特に重要であると信じられている。
【0150】 従って、前記の条件を十分に最適化するために、小規模な研究において様々な
砲撃パラメーターを調節することが望まれうると予想される。特に、物理的パラ
メーター、例えばギャップの距離、飛行距離、組織の距離、及びヘリウムの圧力
を調節することが望まれうる。また、受容細胞の物理的状態に影響し、そしてそ
の結果、形質転換及び組み込みの効率に影響しうる条件を修飾することによって
、外傷減少因子(TRF)が最小化されうる。例えば、前記受容細胞の浸透圧状
態、組織の水和及び継代培養の段階又は細胞周期は、最適な形質転換のために調
節されうる。その様な小規模の最適化研究の結果は本明細書で開示されており、
そして他のルーチンな調節の実行は、本開示に鑑みて当業者に明らかとなるであ
ろう。
【0151】 形質転換のための植物組織源の選択は、宿主植物の性質及び形質転換プロトコ
ールに依存するだろう。有用な組織源は、カルス、懸濁培養細胞、プロトプラス
ト、葉のセグメント、茎のセグメント、房、花粉、胚、胚軸、塊茎のセグメント
、成長点の領域等を含む。組織源は、それが形質転換後に稔性の植物全体を再生
する能力を保持、すなわち全能性の細胞を含む様に選択され、そして形質転換さ
れる。I型又はII型の胚性トウモロコシカルス及び未熟性胚は、好ましいトウモ
ロコシ組織の源である。単子葉植物の形質転換のための組織源の選択は、米国特
許出願第08/112,245号及びPCT公報WO95/06128(引用に
よって本明細書に組み入れられる)において詳細に記載されている。
【0152】 形質転換は、選択した植物組織を指示する条件下で行われる。植物細胞又は組
織は、あらかじめ選択したDNA配列を有するDNAに、効果的な期間暴露され
る。これは、エレクトロポレーションの場合の1秒未満の電気パルスから、プラ
スミドを有するアグロバクテリウム細胞の存在下での共培養に及ぶだろう。使用
する緩衝液及び培地も、植物組織源及び形質転換プロトコールにより変化するだ
ろう。多くの形質転換プロトコールが、滅菌フィルターディスクによって、植物
細胞又は形質転換する組織と離された、固体培地プレートの表面上の懸濁培養細
胞(例えば、タバコ又はブラックメキシカンスィートコーン)の支持細胞層を利
用している。
【0153】 あらかじめ選択した核酸配列を植物に導入するための好ましい方法は、本発明
の組成物を用いて植物又は植物の一部を噴霧又は摩擦することである。好ましい
単子葉植物は、トウモロコシ、カラスムギ、コメ、トウモロコシ、コムギ、アル
ファルファ、クローバー、ウシノケグサ、ソルガム、キビ、オオムギ、ライ、又
はオオアワガエリを含む。好ましい双子葉植物は、アブラナ、キュウリ、タバコ
、ジャガイモ、トマト、セイヨウアブラナ、イチゴ、ダイズ、ヒマワリ、シロイ
ナズナ、ペチュニア、エンドウマメ、アブラナ、マメ、レタス、ホウレンソウ、
アルファルファ、ワタ、ルピナス及びニンジンを含む。
【0154】IV.あらかじめ選択した核酸セグメントの検出 再生している植物において、あらかじめ選択した核酸セグメント又は「導入遺
伝子」の存在を確認するために、様々なアッセイが行われる。その様なアッセイ
は、例えば当業者に公知の「分子生物学的」アッセイ、例えばサザン及びノーザ
ンブロッティング、in situハイブリダイゼーション及び核酸に基づいた
増幅方法、例えばPCR又はRT−PCR;「生化学的」アッセイ、例えば、タ
ンパク質生成物の存在の検出、例えば免疫学的手段によるもの(ELISA及び
ウエスタンブロット)又は酵素機能によるもの;植物の一部のアッセイ、例えば
葉子は根のアッセイ;並びに、再生した植物全体の表現型、例えば病気又は害虫
耐性について解析するものも含む。
【0155】 DNAは、当業者に公知の技術の使用によって、あらかじめ選択した核酸セグ
メントの存在を決定するために、細胞系又は植物の一部のいずれかから単離され
うる。完全な配列が、恐らくは細胞における配列の再編成又は欠失によって、常
には存在しないことを注意すべきである。
【0156】 本発明の方法により導入した核酸因子の存在は、ポリメラーゼ連鎖反応(PC
R)によって決定されうる。この技術を用いて、目立たない核酸フラグメントが
増幅され、そしてゲル電気泳動によって検出される。この型の解析は、あらかじ
め選択した核酸セグメントが安定な形質転換体に存在するかどうか決定すること
を可能にするが、導入した、あらかじめ選択した核酸セグメントの、宿主細胞の
ゲノムへの組み込みを証明しない。更に、PCR技術を用いて、形質転換体がゲ
ノムの異なる部位に導入された外来遺伝子を有するかどうか、すなわち形質転換
体が本来のものから独立しているかどうかを決定することは不可能である。PC
R技術を用いて、導入した、あらかじめ選択したDNAセグメントと隣接してい
る宿主のゲノムDNAのフラグメントをクローン化することは可能であろうと予
想される。
【0157】 宿主ゲノムへのDNAの組み込み及び形質転換体の独立した同一性のポジティ
ブな証明は、サザンハイブリダイゼーションの技術を用いて決定されうる。この
技術を用いて、宿主ゲノム及び側方の宿主DNA配列に導入された特異的なDN
A配列が同定されうる。従って、賦与された形質転換体のサザンハイブリダイゼ
ーションパターンは、その形質転換体の特徴を同定する役割を果たす。更に、サ
ザンハイブリダイゼーションによって、導入した、あらかじめ選択したDNAセ
グメントの、高分子量DNAにおける存在を示すこと、すなわち導入した、あら
かじめ選択したDNAセグメントが宿主細胞のゲノムに組み込まれたことを確認
することが可能である。サザンハイブリダイゼーションの技術は、PCRを用い
て得られる情報、例えばあらかじめ選択したDNAセグメントの存在を提供する
が、また、ゲノムへの組み込みを証明し、そして個々の形質転換体をそれぞれ特
徴づける。
【0158】 サザンハイブリダイゼーション技術を修飾したドット又はスロットブロットハ
イブリダイゼーション技術を用いて、PCR由来の同一の情報、例えばあらかじ
め選択したDNAセグメントの存在が得られうる。
【0159】 PCR及びサザンハイブリダイゼーション技術は共に、子孫へのあらかじめ選
択したDNAセグメントの伝達を示すために使用されうる。多くの場合において
、与えられた形質転換体にとって特徴的なハイブリダイゼーションパターンは、
遺伝子の安定した遺伝を示す、1又は複数のメンデルの遺伝子として(Spencer e
t al., 1992 ; Laurser et al., 1994)、子孫において分離するだろう。カルス
及び親の形質転換体(R0 )の非キメラ的な性質は、生殖系列の伝達並びにカル
ス、R0 植物及び形質転換した遺伝子を分離したR1 子孫において形質転換して
いるDNAの同一なサザンハイブリダイゼーションパターン及び強度によって示
された。
【0160】 DNA解析の技術は植物の一部のいずれかから単離したDNAを用いて行われ
うるが、RNAは特定の細胞又は組織型でのみ発現しうるので、これらの組織由
来の解析のために、RNAを調製することが必要だろう。PCR技術も、導入し
た、あらかじめ選択したDNAセグメントから生成したRNAの検出及び定量に
使用されうる。このPCRの利用において、まず最初に酵素、例えば逆転写酵素
を用いて、RNAをDNAに逆転写し、そして次に、常用のPCR技術の使用を
介して前記DNAを増幅することが必要である。ほとんどの例において、PCR
は有用であるが、RNA生成物の完全性を証明しないだろう。前記RNA生成物
の性質についての更なる情報は、ノーザンブロッティングによって得られる。こ
の技術はRNA種の存在を示し、そしてそのRNAの完全性についての情報を与
えるだろう。RNA種の存在又は欠如も、ドット又はスロットブロットノーザン
ハイブリダイゼーションを用いて決定されうる。これらの技術はノーザンブロッ
ティングを修飾したものであり、そしてRNA種の存在又は欠如のみを示すだろ
う。
【0161】 サザンブロッティング及びPCRは、問題のあらかじめ選択したDNAセグメ
ントを検出するのに使用されうるが、それらはあらかじめ選択したDNAセグメ
ントが発現するかどうかについての情報は提供しない。発現は、導入した、あら
かじめ選択したDNAセグメントのタンパク質生成物を特異的に同定し、又はそ
れらの発現によってもたらされた表現型の変化を評価することによって評価され
うる。
【0162】 特異的なタンパク質の生成及び同定のための解析は、前記タンパク質の物理的
−化学的、構造的、機能的又は他の特性の使用を可能にする。独特な物理的−化
学的又は構造的特性は、電気泳動的方法、例えば未変性若しくは変性ゲル電気泳
動又は等電点電気泳動によって、あるいはクロマトグラフィー技術、例えばイオ
ン交換又はゲル排除クロマトグラフィーによって、タンパク質を分離し、そして
同定することを可能にする。個々のタンパク質の独特の構造は、ELISAアッ
セイの様な形式でその存在を検出するために、特異的な抗体の使用の機会を提供
する。アプローチの組み合わせが、ウエスタンブロットの様に更に大きな特異性
により利用されてもよく、ここで、抗体は電気泳動技術によって離された個々の
遺伝子生成物を位置づけるために使用される。追加の技術は、注目の生成物の同
一性を絶対的に確認するために利用されることがあり、例えば精製後のアミノ酸
配列決定による評価である。これらは中でも最も一般的に利用されているが、他
の方法も追加的に使用されうる。
【0163】 アッセイ方法はまた、その機能、特に特異的な基質及び生成物に関与する特異
的な化学反応を触媒する酵素の能力によって、前記タンパク質の発現を同定する
ために使用されうる。これらの反応の後、物理的又は化学的方法によって基質の
損失又は反応生成物の生成が提供され、そして同定されうる。例えば、解析され
うる酵素により変化し、そして2つの例としてホスフィノスリシン及び14C−ア
セチルCoA由来の放射性標識したホスフィノスリシンの結果として起こる生成
によるPAT酵素活性又はアントラニル酸の結果として起こる蛍光の損失による
アントラニル酸合成活性についてのアッセイを含みうる。
【0164】 非常に頻繁に、遺伝子生成物の発現はその発現の表現型の結果を評価すること
によって決定される。これらのアッセイはまた、限定しないが植物の化学的組成
、形態、又は生理学的特性における変化の解析を含む、多くの形態を取りうる。
化学的組成は、アミノ酸組成を変化させる酵素又は貯蔵タンパク質をコードする
、あらかじめ選択したDNAセグメントの発現によって変化し、あるいはアミノ
酸解析によって、又は近赤外反射分光法によって解析されうるデンプン量を変化
させる酵素によって検出されうる。形態学的変化は、より大きな身長又はより厚
い柄を含みうる。課された処理に応じる植物又は植物の一部の大概の変化は、バ
イオアッセイと称される、慎重に調節された条件下で評価される。
【0165】 本明細書で生成した遺伝子組換え植物は、様々な商業及び研究目的にとって有
用であることが予想される。遺伝子組換え植物は、伝統的な農業における使用の
ために栽培者にとって有益な性質(例えば、農業上の性質、例えば水不足に対す
る耐性、害虫耐性、除草剤耐性又は収率の増大)、前記植物から収穫される穀実
の、消費者にとって有益な性質(例えば、ヒトの食物又は動物の飼料において向
上した栄養成分)、又は食品加工業者にとって有益な性質(例えば、改良された
処理の性質)を有する様に作られうる。その様な使用において、前記植物は、通
常ヒト又は動物の食物におけるそれらの穀実の使用のために生育される。しかし
、柄、外皮、栄養部分等を含む、植物の他の部分も、動物のサイレージの一部と
しての又は観賞目的での使用を含む利用性を有するだろう。しばしば、トウモロ
コシ及び他の作物の化学成分(例えば、油又はデンプン)は、食物又は産業上の
利用のために抽出され、そしてその様な成分が増強され、又は改良された遺伝子
組換え植物が創作されうる。
【0166】 遺伝子組換え植物は、タンパク質又は他の分子の商業的な製造における使用が
見出されることもあり、ここで、注目の分子は植物の一部、種子等から抽出され
、又は精製される。前記植物由来の細胞又は組織はまた、その様な分子を製造す
るために培養され、in vitroで生育され、又は発酵されうる。
【0167】 遺伝子組換え植物はまた、商業的な育種プログラムにおいて使用されることが
あり、あるいは関連作物種の植物と交雑されるか、又は交配されうる。あらかじ
め選択したDNAセグメントによってコードされる改良は、例えばトウモロコシ
細胞から他の種の細胞へ、例えばプロトプラスト融合によって伝達されうる。
【0168】 遺伝子組換え植物は、伝統的突然変異及び選択によって後に創作されうる有益
な突然変異を同定するために、挿入突然変異を介する新規な変異植物の創作を含
む、研究又は育種における多くの使用を有することがある。例えば、遺伝的変化
の生成に使用されうる転移因子をコードする組換えDNA配列の導入があるだろ
う。本発明の方法はまた、独特な「サイン(Signature)配列」あるい
は特有の系又は変種を同定するために使用されうる他のマーカー配列を有する植
物を創作するために使用されうる。
【0169】 本発明は更に、本発明の範囲を限定することを意図していない以下の例によっ
ても説明されるだろう。
【0170】例1 植物における局所的又は全身的な拡散のための、FHVを基にした発現ベクター 存在している植物ウイルスを基にしたベクターに伴う問題を乗り越え、そして
植物における遺伝子発現にとって高度に効率的なウイルスベクター系を開発する
ために、ノダウイルスを基にしたベクターを調製した。前記ベクター(図8)は
、緑色蛍光タンパク質(GFP;Epel et al., 1996 ; Casper et al., 1996)と
称されるマーカー遺伝子がキャプシド前駆体の開裂部位(ベータ/ガンマ、図1
)に導入され、その結果、FHV又はFHV RNA:FHVコートタンパク質
:GFPの核タンパク質複合体が、異なる時間の間隔で接種された葉において、
緑色蛍光を測定することによって監視することができる様になった、FHV R
NA−2配列を含む。GFPは、元々クラゲ(オワンクラゲ)(Av)から単離
された238アミノ酸残基のタンパク質である。それは395nmの最大吸光で青
色光を吸収し、そして最大発光で緑色光を放射する。GFPが原核又は真核細胞
のいずれかで発現すると、それは青色光(紫外線)によって励起した場合、強力
な緑色蛍光を生みだすことができ、そしてこの蛍光はその宿主由来の追加の遺伝
子生成物を必要としない。
【0171】 ベクターpF2G3(図8)を構築するために、ブルースクリプトファージミ
ドベクター(Stratagene,California)におけるFHV
RNA−2のcDNAクローン(pBWD2)を使用した。このプラスミドを制
限酵素NsiIにより開裂部位で開裂させた。GFP(植物における発現のため
に最適化した、707bpのサイクル3のGFP)配列を、NsiI部位を含む特
異的プライマーを用いてTMV cDNAクローンp30BGFPC3(pUC
19ファージミドベクターにおいてTMV RNA配列とGFP配列を含む)か
らPCR増幅した。このPCR生成物を精製し、そしてpBWD2(図8)のN
siI部位に挿入した。
【0172】 野生型(TRS1)及びTMV MP(H3NB3)又はRCNMV MPを
発現している遺伝子組換え型の両方の、2週齢のニコチアナ・ベンサミアナ植物
を、100μlの10ng/μl FHV RNA又は100μlの、pF2G3
から調製した50ng/mlのRNA転写物とFHVレプリカーゼ源としての100
ng/mlのFHV RNA−1とを用いて接種した。In vitroで転写した
RNAは、T3又はT7 RNAポリメラーゼを用いてベクターDNAから調製
した。TMV MP遺伝子組換えN.ベンサミアナ植物は、TMV MPを発現
している遺伝子組換えN.ベンサミアナのFHV RNAによる接種が、コント
ロールと比較して、遺伝子組換えN.ベンサミアナの葉における100倍以上高
いレベルの蓄積をもたらしたと決定された場合に利用した(図17)。この結果
は、TMV MPが、FHVの細胞から細胞への移動を容易にすることを示した
。全RNAのRT−PCRはこの結果を確認した。
【0173】 植物は、12時間の明期で、23〜25℃のグロースチャンバーで生育した。
コントロール実験を平行して行い、ここで、葉をp30BGFPC3から生成し
たRNA転写物で接種した。葉は、(1)葉から抽出した全RNAの逆転写ポリ
メラーゼ連鎖反応(RT−PCR)、及び(2)ハンドヘルドのUVランプを葉
に照らすことによる、異なる時間間隔での緑色蛍光測定により、FHV RNA
及びGFPの合成について監視された。
【0174】 葉は接種から15日後に刈取られ、全RNAは、ホモジェナイズ、続く熱いフ
ェノール抽出によって、100mgの葉(液体窒素中で凍結したもの)から抽出し
た(Verwored et al., 1989)。PCRによるcDNAへの逆転写(RT)及び増
幅は、それぞれSuperscriptII(Gibco/BRL,Bethes
da,MD)及びTaqポリメラーゼ(Promega,Madison,WI
)を用いて行った。RT反応は42℃で1時間行った。PCRのサイクリングパ
ラメーターは:94℃で1分間、続いて94℃で30秒間、55℃で1分間、7
2℃で1.5分間を35サイクル、そして次に72℃で2分間を1サイクルとし
た。使用したプライマーは、FHV2R1400(配列番号1:ACCTTAG
TCTGTTGAC)及びFHV2F1(配列番号2;GTAAACAATTC
CAAG)である。PCR生成物は、1%アガロースゲル上での電気泳動にかけ
た(図12)。
【0175】 上述した様に、TMV MP遺伝子組換え植物におけるFHVの力価の100
倍の増大が観察された。この結果は、接種したTMV MP及びRCNMV M
P遺伝子組換え植物由来のRNAのRT−PCR解析によって確認した。TMV
MP及びRCNMV MPは共に、接種していない2次葉にFHVを移動させ
た(図12、レーン5〜8)。非遺伝子組換え植物において、FHV配列は接種
した葉でのみ検出され、接種しなかった2次葉においては検出されなかった(図
12、レーン3及び4)。FHVのRNA合成が異なる接種後の時間に観察され
た場合、野生型植物におけるFHV配列の存在は7dpi でピークに達したが、そ
れは実際には14及び21dpi で検出不可能であった。これは細胞から細胞への
移動無しでのウイルス又はウイルス性核タンパク質の不活性化によるものであろ
う。しかし、組換え植物における合成は、接種した葉を介するFHVの移動によ
り、10から21dpi まで続いた。FHVのRNAによる半分の葉の接種、続く
RT−PCRによる観察も、FHV配列が組換え植物における接種されていない
葉に移動するが、野生型植物と比較して非常に乏しいことを示した。RT−PC
Rによる植物におけるFHV配列の存在は、FHV RNA−1及びFHV R
NA−2に特異的なプライマーを用いて決定した。
【0176】 RT−PCR解析は、N.ベンサミアナ細胞及び一次(感染した)葉における
NOVの複製を検出するのにも適用した。PCNMV MPを発現している野生
型及び遺伝子組換え植物をNOVのRNAで接種し、一次、二次及び三次葉を7
〜10日後に回収した。ウイルスは二次又は三次葉で検出されなかったが、遺伝
子組換え植物由来の一次葉は、非組換え植物と比較して大量のウイルスを示した
(非遺伝子組換えのそれよりも約5〜10倍以上)。
【0177】 緑色蛍光によるGFPの測定は、10dpi の日から開始してF2G3(図8を
参照のこと)から生成したRNA転写物で接種した葉において、小さい範囲の斑
点の緑色蛍光を示した。対照的に、接種しなかった植物はその様な蛍光を全く示
さなかった。高いGFP発現が可能なベクター、例えばFHV DI 634を
基にしたベクターを構築した(図7及び9)。これらのコンストラクトによる緑
色蛍光の形成(図13に示した様に、図14の接種してない葉と比較した、30
BGFPC3由来のRNA転写物で接種した植物由来の葉)は、FHV配列並び
にMP及びGFPがその様な植物において発現していることの証拠である。
【0178】 植物を介する植物ウイルスの長距離移動は、コートタンパク質に依存している
ことが示されてきた。それ故に、FHVを基にしたベクターの全身的な拡散は、
植物ウイルスのコートタンパク質(cp)を前記ベクターに導入することによっ
て更に増強されうる。FHVに類似のゲノム戦略を有する植物ウイルス、ムラサ
キツメクサ壊死性モザイクウイルス(RCNMV)のCPは、この様にpF2T
mG3に導入され、その結果pFdTmRcG3を生成しうる(図10)。RC
NMVは球状植物ウイルスであり、このゲノムは2つのメッセンジャーRNAに
分けられる(Xiong et al., 1993)。RCNMV RNA−1(3.9kb)がコ
ートタンパク質(CP,37kDa )をコードし、そしてRNA−2(1.5kb)
がRCNMV移動タンパク質(35kDa )をコードする。
【0179】 FHVを基にしたベクターにおけるTMV MP,RCNMV CP及びGF
P配列は、融合タンパク質として発現しうる。あるいは、タンパク質分解的開裂
配列は、発現したタンパク質が翻訳後に別々のタンパク質へと処理される様に、
これらの遺伝子間に導入されうる。最初に、GFP配列は、GFP発現が上流配
列(すなわち、TMV MP及びRCNMV CP)の完全な発現の指標となる
様に3′末端に配置される。しかし、本発明は導入遺伝子のある特定の順番に限
定されない。
【0180】例2 病気耐性を植物に導入するための、FHVを基にしたベクターの使用 全身性後天的耐性(SAR)は、植物が病原の感染に耐えるために使用する多
くの機構のうちの1つである。タバコにおける病原関連(PR)タンパク質をコ
ードする9個の遺伝子ファミリーは、SARの間に協調して誘導される(概設の
ために、Ryals et al., 1996を参照のこと)。あるSAR関連タンパク質(PR
1a及びSAR8.2)は、卵菌類フィトフソラ・パラシチカ(Phytoph
thora parasitica)(Alexander et al ., 1992;Alexander et
al., 1993, Alexander et al., 1993)及びフィチウム・トルロサム(Phyt
ium torulosum)によって引き起こされるタバコにおける植物の病
気を抑制することが示されてきた。この様に、本発明のベクターを介する、タバ
コ又はジャガイモへのSAR関連タンパク質の導入は、卵菌類によって引き起こ
されるタバコ又はジャガイモの植物の病気(例えば、フィトフソラ・インフェス
タンス(infestans)によって引き起こされる胴枯れ病)を抑制又は予
防するのに有用だろう。
【0181】 本発明のベクターにSAR遺伝子を導入するために、既知の配列及び制限部位
を有するプラスミド(pCGN1788A)中のSAR8.2遺伝子のcDNA
クローン(図15)が利用されうる。SAR8.2遺伝子を含むこのプラスミド
由来のBamHI−SstIフラグメントをPCR増幅し、そしてこのPCR生
成物をFHVを基にしたベクター内でライゲーションした。3〜6週齢の植物の
タバコ又はジャガイモの葉を、前記ベクターから誘導したRNA及びFHV R
NA−1を用いて同時トランスフェクションする。CP:MP:SAR8.2:
GFP融合タンパク質の発現は、蛍光測定及びRT−PCRによって一定間隔で
監視される。SAR発現の開始時に、植物は蒸留水中のフィチウム又はフィトラ
フソラの遊走子(1ml当たり300の遊走子)を用いて土壌を浸し、又は葉に噴
霧することによって接種される。FHV−SAR8.2キメラでトランスフェク
ションしていないコントロール植物も、同様の方法で遊走子を用いて接種される
。感染した植物は、23〜25℃の温度で、12時間の明期で維持された温室に
おいて7〜9日間保たれ、そして病気の兆候、例えば立ち枯れ病、しおれ又は発
育阻止の抑制と比較される。
【0182】例3 殺虫性タンパク質のドメインマッピングのための、FHV由来ベクターの使用 機能的ゲノム科学の出現領域は、コード配列及び遺伝子制御配列の推定上の生
物学的機能を試験するために、高処理量系を要求する。ゲノム科学が特に有用な
3つの技術は、アンチセンスノックアウト、RNA干渉(同時抑制)及び巨大遺
伝子のドメインマッピングを含む(Briggs et al., 1997 ; McKusick, 1997 ; E
vans et al., 1997)。7〜10kbの長さの、4つのPht(細菌フォトラブダ
ス・ルミネセンスによって分泌される殺虫性タンパク質)遺伝子は毒性と関連し
ているが、毒性に必要な最低限の配列は同定されていなかった。4つの毒素の複
合遺伝子座、tca,tcb,tcc及びtcdの遺伝子地図が知られている(
図16)。これらの遺伝子の領域が必要であることを決定するために、Pht遺
伝子の特異的配列、及びそれらの組み合わせは、Phtの機能的ドメインをスク
リーニングするために、FHVを基にしたベクターに導入される(Bowen et al.
, 1998)。特に、tca及びtcdの欠失が毒性を消すことが示されたので(Bow
en, 1998)、これらの遺伝子をFHV誘導ベクターにサブクローン化する。最初
に、部分的な又は完全な制限分解によって生成するtca及びtcd遺伝子の約
500〜1500bpのフラグメントが前記ベクターに導入される。N.ベンサミ
アナ植物は、これらのコンストラクトから生成したRNA転写物を接種され、そ
して毒素遺伝子の発現を、植物の一部を昆虫(タバコスズメガ)に与え、そして
48時間以内の昆虫の体重の減少を測定することによって監視する。
【0183】例4 昆虫の機能的ゲノム科学のための本発明のベクターの使用 本発明のベクターのための宿主として昆虫細胞系又は昆虫を利用するために、
修飾したウイルス、修飾した昆虫細胞系又は非天然の昆虫宿主、例えばショウジ
ョウバエが、細胞変性効果、すなわち感染又はトランスフェクション後の溶解に
対する耐性について選択される。変異又は複数回の継代によるウイルスの弱毒化
はアプローチの1つである。別のアプローチは、溶解で生存する細胞系を選択す
ることである。約1%のショウジョウバエ細胞が、FHV感染後の溶解で生存し
、そして持続的に感染する様になる。生存細胞はFHVを有し、ノダウイルスに
よる重感染に対して耐性が有り、そして新鮮な細胞において増殖することができ
る(Dasgupta et al., 1994)。FHVのゲノムRNAの配列解析は、持続性の感
染の確立の間、ウイルスゲノムの変異を示さず、これは、ウイルスゲノムではな
く、ショウジョウバエ細胞(全集団の1%)における修飾が、持続性の感染へと
導かれうることを示している。別のアプローチは、FHV及びNOV、その両方
に由来するコートタンパク質の配列を用いて混成ウイルスを構築することである
。NOV RNAは、細胞変性効果を生まずに、トランスフェクションした昆虫
細胞において複製しうる(Ball et al., 1992)。RNA−1によってコードされ
るポリメラーゼは、FHV又はNOVのいずれかに由来する配列を認識する。
【0184】 これらのアプローチのいずれかのために、注目の遺伝子を有するFHVを基に
したベクター、又は遺伝子ライブラリーが、感染/トランスフェクションによっ
て宿主細胞に導入され、そして表現型の変化が検出される。例えば、病気の増大
又は抑制、眼の形状及び色、発生、増殖及び体重等の変化を導くタンパク質生成
物の遺伝子も、この様に短時間で同定され、そして解析されうる。
【0185】例5 参考文献
【表2】
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【表8】
【表9】
【0186】 全ての刊行物、特許及び特許出願が引用によって本明細書に組み入れられる。
本明細書において、この発明はそれらのある好ましい態様に関して記載され、そ
して多くの詳細が例示目的で述べられたが、当業者にとって、本発明が追加の態
様に影響を受け、そして本明細書に記載した詳細のいくつかが本発明の基本的な
精神を逸脱すること無しに大きく変更されうることは明らかだろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 フロックハウスウイルス(FHV)のゲノム構成。FHVは、二連のゲノムを
有する直径30nmの小さい正二十面体のウイルスである。RNA−1はキャップ
され、約3.1kbの長さであり、そして約112kDa のレプリカーゼをコードす
る。RNA−2はキャップされ、約1.4kbの長さであり、そしてコート/キャ
プシドタンパク質の44kDa の前駆体をコードする。RNA−3もキャップされ
、約0.39kbの長さであり、そして11.6kDa のタンパク質をコードする。
3′末端の黒丸は、これらの末端がマスキングされ、又はブロッキングされてい
ることを示している。RNA−1及びRNA−2は共に、同一のビリオンでキャ
プシドに覆われている。
【図2】 FHV RNA−2の構造及びRNA DI−634を妨害する欠損。DI−
634は、効率的に複製され、そしてビリオンに充填されるRNA−2の、63
4塩基の自発性欠失生成物である。I,II,III と標識したセグメントは、FH
V RNA−2の5′末端、中間部及び3′末端に相当し;細い線はRNA−2
から欠失している領域を表す。
【図3】 FHV RNA−2の複製に必要なシス作動性配列。白棒はFHV RNA−
2の完全長のcDNAクローン又は欠失変異のあるcDNAの配列を示す。細い
線は、各コンストラクトの右側に示した、欠失した(Δ)塩基を示している。完
全長のクローン(100%)と比較した、欠失変異体の複製効率は、Zhong 等に
よって記載された様に(1992)測定された。非常に乏しい複製効率を有する変異
体を矢印で示す。
【図3B】 FHV RNA−2の複製に必要なシス作動性活性。白棒はFHV RNA−
2の複製に必須の3つのセグメントを示す。
【図4】 ノダウイルスのRNA−2における推定のキャプシド形成配列の、コンピュー
ターが予測したステムループ構造。FHV,BBV,BOV及びNOVのRNA
−2の全長は、それぞれ1400,1399,1305及び1355塩基である
(Dasgupta and Sgro, 1989)。
【図5】 植物におけるFHV合成の検出のための手順を示す略図。多くの植物種の1枚
の葉を、Selling 等によって記載された様に(1990)、FHV RNAで接種し
た。プラークアッセイによって検出される場合のFHVの感染度は、オオムギ、
アカザ、ササゲ及びニコチアナ・ベンサミアナの接種された葉に由来するほとん
どのホモジェネートに見出された。
【図6】 RCNMVのゲノムの構成。RNA−1及びRNA−2は、箱で表したORF
と一緒に直線で表す。ORFの上下の数字は、ORFの開始及び終止コドンの位
置を表す。RNA−1におけるリポソームのフレームシフト領域は斜線の箱とし
て表す。推定され、そして観察されるタンパク質生成物は、黒線で表す。RCN
MVタンパク質の既知の機能(Matthews, 1991)を、それぞれのタンパク質の下
方に記載する。
【図7】 ベクターの構築、RNAの調製、接種及び検出のための通常の戦略。
【図8】 緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする、ノダウイルスのRNA−2を基
にしたベクターの構築。GFP配列は、NsiI部位を含むプライマーを用いる
PCRによって、TMVのcDNAクローンp30BGFPC3から増幅される
。このPCR生成物及びFHVのcDNAクローンpBWD2の、NsiIによ
る消化、続くライゲーション及び形質転換は、FHV RNA−2:GFPキメ
ラpF2G3をもたらす。ヌクレオチドの位置及び独特の制限部位を示す。
【図9】 タバコモザイクウイルスの移動タンパク質(TMV MP)及びGFPをコー
ドする、ノダウイルスDIを基にしたベクターの構築。GFP及びMP配列は、
SacI部位を含むプライマーを用いるPCRによって、TMVのcDNAクロ
ーンp30BGFPC3から増幅される。このPCR生成物及びFHV DIの
cDNAクローンpD1634の、SacIによる消化、続くライゲーション及
び形質転換は、FHV DI:TMV MP:GFPキメラpFdTmG3をも
たらす。ヌクレオチドの位置及び独特の制限部位を示す。
【図10】 TMV MP、ムラサキツメクサ壊死性モザイクウイルスコートタンパク質(
RCNMV CP)及びGFPをコードする、ノダウイルスDIを基にしたベク
ターの構築。RCNMVのコートタンパク質配列は、RCNMVのcDNAクロ
ーンpRC1から増幅され、そしてpFdTmRcG3を作製するために上述し
た様に、pFdTmG3のMPとGFP配列との間に挿入される。T3=T3プ
ロモーター;T7=T7プロモーター;RBZ=リボザイム。
【図11】 ニコチアナ・ベンサミアナ植物上での、FHVを基にしたベクターコンストラ
クトの発現の監視。葉は、T3又はT7 RNAポリメラーゼを用いてin v
itroで生成したRNA転写物で葉をこすることによって接種される。全ての
植物が、FHVレプリカーゼ源としてのFHV RNA−1と一緒に接種される
【図12】 TMV MP又はRCNMV MP遺伝子組換え植物の接種し、かつ二次的な
N.ベンサミアナの葉から抽出したRNAのRT−PCR。レーン1;鋳型とし
て使用した、精製FHV RNA−2(800ng)。レーン2;モック(緩衝液
)を接種した葉。レーン3;野生型(非遺伝子組換え)植物の接種した葉。レー
ン4;野生型植物の接種していない二次葉。レーン5;TMV MP遺伝子組換
え植物の接種した葉。レーン6;TMV MP遺伝子組換え植物の接種していな
い二次葉。レーン7;RCNMV MP遺伝子組換え植物の接種した葉。レーン
8;RCNMV MP遺伝子組換え植物の接種していない二次葉。レーン9;マ
ーカー。矢印は、完全長のFHV RNA−2(1.4kb)に相当するPCR生
成物を指す。TMV MP及びRCNMVは共に、FHVを接種していない二次
葉に移動させた。
【図13A】 GFPを発現しているN.ベンサミアナ植物の葉。TMV MPを発現してい
る2週齢の遺伝子組換え植物は、TMV発現ベクター30BGFPC3(TMV
レプリカーゼ、30kDa のMP、GFP及びCPを含む10.4kbのプラスミド
)由来の1μgのRNA転写物で接種した。接種から10日後、前記植物を2つ
の長波UVランプ間に据え、そしてSonyの3CCDカラービデオカメラ(モ
デルDXC−960MD)を用いて写真をとった。
【図13B】 GFPを発現しているN.ベンサミアナ植物の写真。条件は図13Aと同一と
し、但し、写真はMinolta MaMaxxum 7000iカメラ及び1
000 ASA Kodak Ectachromeフィルムを用いてとった。
前記フィルムは4秒間暴露した。
【図14】 図13に記載のものと同一の条件下で生育し、そして写真をとった、接種して
いないN.ベンサミアナの葉。葉はUV光により紫色に見えるが、緑色蛍光は観
察されなかったことに注意すること。
【図15】 全身性後天的耐性遺伝子SAR8.2を含むプラスミド、pCGN1788
Aの地図。BamHI−SstIフラグメント(529bp)が、FHVを基にし
たベクターpFdTmRcG3に導入されている。
【図16】 4つのフャトラブダス毒素(Pht)の遺伝子座:tca,tcb,tcc及
びtcdの地図。遺伝子の分断に使用する制限部位は各遺伝子座の下方に示す。
濃淡は、推定のプロテアーゼ開裂部位を覆う、TcaB,TcbA及びTcdA
の間の類似の領域を示す。遺伝子座tca及びtcd由来のフラグメント(Bowe
n et al., 1998)は、我々のFHVを基にしたベクターpFdTmRcG3内に
サブクローン化し、そして毒性を試験した。
【図17】 植物におけるFHVの収率。収率は、ショウジョウバエ細胞の単層上での葉の
ホモジェネートのプラークアッセイによって決定される。収率は葉の組織(10
0〜500mg)の1mg当たりのプラーク形成単位(pfu )で表す。非形質転換型
(野生型)植物と比較して、遺伝子組換えN.ベンサミアナ植物における10倍
の増大に注意すること。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 15/00 ZNAA 7/00 5/00 C B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AG,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EE ,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR, HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,K P,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU ,LV,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX, NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,S G,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ ,UA,UG,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 2B030 CA15 CA17 CA19 4B024 AA20 BA03 BA21 BA38 CA01 DA01 DA02 EA02 GA11 4B065 AA88X AA89X AA95X AA95Y AC14 CA24 CA47 CA53 4H011 AA01 AB03 AC01 BA01 BB21 BB22 BC21 DD03

Claims (65)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 連結した核酸配列を含んで成る生物学的に活性な遺伝子導入
    ベクターであって、 (a)ノダウイルスRNA−1又はノダウイルスRNA−2の5′末端由来の
    核酸配列; (b)少なくとも1つの注目の核酸セグメントを含んで成る核酸配列; (c)ノダウイルスRNA−1又はノダウイルスRNA−2の3′末端由来の
    核酸配列、 を含んで成るベクター。
  2. 【請求項2】 前記の(b)の核酸配列が、マルチクローニングサイトを有
    する核酸セグメントを含んで成る、請求項1に記載のベクター。
  3. 【請求項3】 前記の(b)の核酸配列が、更に植物ウイルスの移動タンパ
    ク質をコードする第2核酸セグメントを含んで成る、請求項2に記載のベクター
  4. 【請求項4】 前記の(b)の核酸配列が、更に植物ウイルスのコートタン
    パク質をコードする第2核酸セグメントを含んで成る、請求項2に記載のベクタ
    ー。
  5. 【請求項5】 前記の(b)の核酸配列が、更にマーカー遺伝子又は選択マ
    ーカーを含んで成る第2核酸セグメントを含んで成る、請求項2に記載のベクタ
    ー。
  6. 【請求項6】 前記の(b)の核酸配列が、更にマーカー遺伝子又は選択マ
    ーカーを含んで成る第3核酸セグメントを含んで成る、請求項3又は4に記載の
    ベクター。
  7. 【請求項7】 前記の(b)の核酸配列が、更に植物ウイルスのコートタン
    パク質をコードする第3核酸セグメントを含んで成る、請求項3又は5に記載の
    ベクター。
  8. 【請求項8】 前記の(b)の核酸配列が、更に植物ウイルスの移動タンパ
    ク質をコードする第3核酸セグメントを含んで成る、請求項4又は5に記載のベ
    クター。
  9. 【請求項9】 前記の(b)の核酸配列が、更に植物ウイルスの移動タンパ
    ク質をコードする核酸セグメントを含んで成る、請求項1に記載のベクター。
  10. 【請求項10】 前記の(b)の核酸配列が、更にマーカー遺伝子又は選択
    マーカーを含んで成る核酸セグメントを含んで成る、請求項1に記載のベクター
  11. 【請求項11】 前記の(b)の核酸配列が、更に植物ウイルスのコートタ
    ンパク質をコードする核酸セグメントを含んで成る、請求項1に記載のベクター
  12. 【請求項12】 前記核酸セグメントが、融合ポリペプチドを生成せしめる
    ように連結する、請求項6に記載のベクター。
  13. 【請求項13】 前記核酸セグメントが、融合ポリペプチドを生成せしめる
    ように連結する、請求項7に記載のベクター。
  14. 【請求項14】 前記核酸セグメントが、融合ポリペプチドを生成せしめる
    ように連結する、請求項8に記載のベクター。
  15. 【請求項15】 RNAである、請求項1に記載のベクター。
  16. 【請求項16】 前記の(b)の核酸配列が、アンチセンスの核酸セグメン
    トを含んで成る、請求項1に記載のベクター。
  17. 【請求項17】 前記核酸セグメントがタバコモザイクウイルスの移動タン
    パク質をコードする、請求項3に記載のベクター。
  18. 【請求項18】 前記核酸セグメントがタバコモザイクウイルスの移動タン
    パク質をコードする、請求項8に記載のベクター。
  19. 【請求項19】 前記核酸セグメントがタバコモザイクウイルスの移動タン
    パク質をコードする、請求項9に記載のベクター。
  20. 【請求項20】 前記の(b)の核酸配列が、毒素をコードする核酸セグメ
    ントを含んで成る、請求項1に記載のベクター。
  21. 【請求項21】 前記核酸セグメントがフォトラブダス・ルミネセンス(P
    hotorhabdus luminescens)毒素、キセノラブダス(X
    enorhabdus)毒素、ボツリヌス(Botulinum)毒素又はコレ
    ラ(Cholera)毒素をコードする、請求項20に記載のベクター。
  22. 【請求項22】 (a)大量のノダウイルスRNA−1;及び (b)大量の請求項15に記載のベクター、 を含んで成る核酸組成物。
  23. 【請求項23】 (a)大量のノダウイルスRNA−1;並びに (b)ノダウイルスRNA−1又はノダウイルスRNA−2の5′末端由来の
    RNA; 植物ウイルスの移動タンパク質をコードするRNA;及び ノダウイルスRNA−1又はノダウイルスRNA−2の3′末端由来のRNA
    、 を含んで成る連結したRNA配列を含んで成る、大量の組換えRNA分子、 を含んで成る核酸組成物。
  24. 【請求項24】 (a)大量のノダウイルスRNA−1;並びに (b)ノダウイルスRNA−1又はノダウイルスRNA−2の5′末端由来の
    RNA; 植物ウイルスのコートタンパク質をコードするRNA;及び ノダウイルスRNA−1又はノダウイルスRNA−2の3′末端由来のRNA
    、 を含んで成る連結したRNA配列を含んで成る、大量の組換えRNA分子、 を含んで成る核酸組成物。
  25. 【請求項25】 宿主細胞において、組換えRNA分子がコードするタンパ
    ク質を発現させる方法であって、 (a)宿主細胞を、大量の請求項23又は24に記載の組成物と接触させ;そ
    して (b)前記タンパク質が発現するかどうかを検出又は決定すること、 を含んで成る方法。
  26. 【請求項26】 前記宿主細胞が双子葉植物細胞である、請求項25に記載
    の方法。
  27. 【請求項27】 前記宿主細胞が単子葉植物細胞である、請求項25に記載
    の方法。
  28. 【請求項28】 前記宿主細胞が昆虫細胞である、請求項25に記載の方法
  29. 【請求項29】 前記宿主細胞が動物細胞である、請求項25に記載の方法
  30. 【請求項30】 宿主細胞において、核酸セグメントを含んで成る核酸配列
    を発現させる方法であって、 (a)宿主細胞を、大量の請求項1に記載のベクターと接触させ;そして (b)前記核酸セグメントが発現しているかどうかを検出又は決定すること、
    を含んで成る方法。
  31. 【請求項31】 前記宿主細胞が双子葉植物細胞である、請求項30に記載
    の方法。
  32. 【請求項32】 前記宿主細胞が単子葉植物細胞である、請求項30に記載
    の方法。
  33. 【請求項33】 前記宿主細胞が昆虫細胞である、請求項30に記載の方法
  34. 【請求項34】 前記宿主細胞が動物細胞である、請求項30に記載の方法
  35. 【請求項35】 核酸セグメントを含んで成る核酸配列を植物に導入する方
    法であって、植物を生成せしめるための大量の請求項1に記載のベクターを植物
    と接触させることを含んで成り、ここで、この細胞が請求項1に記載のベクター
    を含んで成る方法。
  36. 【請求項36】 前記核酸セグメントが成長ホルモン、毒素、サイトカイン
    、病気耐性、害虫耐性、雄性不稔性、又は殺虫剤耐性をコードする、請求項35
    に記載の方法。
  37. 【請求項37】 前記植物が噴霧又は摩擦によって接触する、請求項35に
    記載の方法。
  38. 【請求項38】 組換えRNA分子を植物に導入する方法であって、植物を
    生成せしめるための大量の請求項23又は24に記載の組成物を植物と接触させ
    ることを含んで成り、ここで、この細胞が組換えRNA分子を含んで成る方法。
  39. 【請求項39】 前記組換えRNA分子が成長ホルモン、毒素、サイトカイ
    ン、病気耐性、害虫耐性、雄性不稔性、又は殺虫剤耐性をコードする、請求項3
    8に記載の方法。
  40. 【請求項40】 前記植物が噴霧又は摩擦によって接触する、請求項38に
    記載の方法。
  41. 【請求項41】 核酸セグメントを動物細胞に導入する方法であって、 (a)動物細胞を大量の請求項1に記載のベクターと接触させ;そして (b)前記動物細胞における前記核酸セグメントの存在を検出又は決定するこ
    と、 を含んで成る方法。
  42. 【請求項42】 核酸セグメントを昆虫細胞に導入する方法であって、 (a)動物細胞を大量の請求項1に記載のベクターと接触させ;そして (b)前記昆虫細胞における前記核酸セグメントの存在を検出又は決定するこ
    と、 を含んで成る方法。
  43. 【請求項43】 前記核酸セグメントが成長ホルモン、毒素又はサイトカイ
    ンをコードする、請求項41又は42に記載の方法。
  44. 【請求項44】 感染性の第1 RNA分子;ウイルスコートタンパク質、
    ウイルス移動タンパク質、又はそれらの組み合わせをコードする第2組換えRN
    A分子を含んで成る組換えノダウイルス。
  45. 【請求項45】 ゲノムが請求項1に記載のベクターで増大する、遺伝子組
    換え植物。
  46. 【請求項46】 請求項45に記載の植物に由来する植物の部分。
  47. 【請求項47】 種子である、請求項46に記載の植物の部分。
  48. 【請求項48】 請求項47に記載の種子によって生成する植物。
  49. 【請求項49】 請求項35に記載の方法によって生成する植物。
  50. 【請求項50】 請求項49に記載の方法によって生成する植物の部分。
  51. 【請求項51】 種子である、請求項50に記載の植物の部分。
  52. 【請求項52】 請求項51に記載の種子によって生成する植物。
  53. 【請求項53】 請求項36に記載の方法によって生成する植物。
  54. 【請求項54】 請求項53に記載の方法によって生成する植物の部分。
  55. 【請求項55】 種子である、請求項54に記載の植物の部分。
  56. 【請求項56】 請求項55に記載の種子によって生成する植物。
  57. 【請求項57】 前記核酸セグメントがムラサキツメクサ(red clo
    ver)壊死性モザイクウイルスのコートタンパク質をコードする、請求項3に
    記載のベクター。
  58. 【請求項58】 前記核酸セグメントがムラサキツメクサ壊死性モザイクウ
    イルスのコートタンパク質をコードする、請求項8に記載のベクター。
  59. 【請求項59】 前記核酸セグメントがムラサキツメクサ壊死性モザイクウ
    イルスのコートタンパク質をコードする、請求項9に記載のベクター。
  60. 【請求項60】 前記植物のゲノムがタバコモザイクウイルスのコートタン
    パク質をコードするDNAで増大する、ノダウイルスと接触した遺伝子組換え植
    物。
  61. 【請求項61】 前記植物のゲノムがタバコモザイクウイルスのコートタン
    パク質をコードするDNAで増大する、請求項1のベクターと接触した遺伝子組
    換え植物。
  62. 【請求項62】 前記植物のゲノムがムラサキツメクサ壊死性モザイクウイ
    ルスのコートタンパク質をコードするDNA分子で増大する、ノダウイルスと接
    触した遺伝子組換え植物。
  63. 【請求項63】 前記植物のゲノムがタバコモザイクウイルスのコートタン
    パク質をコードするDNAで増大する、請求項1に記載のベクターと接触した遺
    伝子組換え植物。
  64. 【請求項64】 ニコチアナ・ベンサミアナ(Nicotiana benthamiana)であ
    る、請求項60,61,62又は63に記載の遺伝子組換え植物。
  65. 【請求項65】 ノダウイルスと接触する、請求項61又は63に記載の遺
    伝子組換え植物。
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