JP2002540134A - 抗菌性義歯洗浄組成物 - Google Patents

抗菌性義歯洗浄組成物

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Abstract

(57)【要約】 義歯洗浄組成物は、モノペルオキシサルフェート化合物；歯石除去用で、溶液（水）中で約３〜５のｐＨを組成物にもたらす、シトレート化合物のような、有効量の金属イオン封鎖剤；および、義歯でみられる細菌または他の微生物を有効に殺せる抗菌活性を組成物にもたらす、ベンゾエート化合物のような、有効量の抗菌剤を含有している。行われた試験では、その組成物が接触から２０分間以内でStreptococcus mutans、Streptococcus pyogenes、Candida albicansおよびActinomyces viscosusの微生物株を殺す上で特に有効であることを示している。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】
【技術分野】
本発明は、義歯洗浄組成物、更に詳しくは他の義歯洗浄組成物と比較して改善
された抗菌活性を有する義歯洗浄組成物に関する。特に、本発明は、モノペルサ
ルフェート化合物、金属イオン封鎖剤、および、義歯でよくみられる細菌および
他の微生物を有効に殺せる抗菌剤、例えばベンゾエート化合物を含有した、義歯
にとり安全で有効な洗浄剤としての使用に適した組成物に関する。
【０００２】
【発明の背景】
義歯上の蓄積または歯石は、義歯使用者の口内における分泌のせいで生じる。
耳下腺は第一および第二臼歯間に位置するStenson管から物質を分泌する。顎下
腺は舌下に位置するWharton管から追加物質を分泌する。最後に、舌下腺は口の
底部に位置するRivina管から分泌する。これら３つの腺は、歯が抜けた後も機能
しつづける。これらの分泌液は義歯上にアミラーゼおよびムチン（唾液）沈着物
を残して、義歯上で蓄積を生じる。もちろん、食物粒子および、例えばコーヒー
、ティーおよび喫煙による汚れも義歯上で生じる。
【０００３】 義歯上の蓄積を避けるか、または義歯からこのような蓄積および汚れを取り除
くために、義歯はときどき洗浄されねばならない。義歯洗浄は、義歯をペースト
でブラッシングするか、または典型的には一夜にわたり義歯を洗浄水溶液に浸す
ことにより、通常行われる。義歯洗浄剤水溶液は公知であって、錠剤、顆粒また
は粉末から通常作られ、これらを水に溶解して、水で洗浄浴または洗浄系を形成
させる。
【０００４】 典型的には錠剤または粉末形態で供給される多くの義歯洗浄組成物は、この目
的について当業界で周知である。伝統的に、これらの組成物は洗剤、酸化剤など
として様々なサルフェート塩、例えばビサルフェート、モノペルサルフェートお
よびサルフェートを含有しており、ブリーチとしてアルカリ金属およびアルカリ
土類金属ハライドも利用していた。このような組成物は、発泡および洗浄活性を
発揮させるために、様々な量でペルボレート、カーボネートおよびホスフェート
塩も含有していた。
【０００５】 残念ながら、これらの組成物で作られた洗浄系は、水に溶解されたときに、多
くの点で不十分である。義歯から歯石および他の沈着物を取り除くことはしばし
ば非常に難しく、義歯の有効な洗浄は義歯のケアにとり極めて難かしい問題とし
て継続している。
【０００６】 例えばモノペルオキシ硫酸ナトリウムおよびモノペルオキシ硫酸カリウムのよ
うなモノペルサルフェートは、義歯洗浄組成物でよく用いられる周知の洗浄剤で
ある。モノペルサルフェートは、有機物質の有効な洗浄剤であることが知られた
活性過酸化物（酸素）ブリーチであり、消毒剤としても働く。しかしながら、特
にペルオキシ硫酸カリウムを含めたモノペルサルフェートは、他の剤を加えなく
ても非常に活性であると、当業界では理解されている。更に、モノペルオキシサ
ルフェートの洗浄活性は選択的でもあり、有機物質に対してはかなり大きい。こ
のように、ある種の他の洗浄剤が加えられたときには、モノペルサルフェートの
洗浄活性は減少して、加えられた追加洗浄剤のタイプおよび量に応じて、これが
組成物の効力に有意な影響を与えうることがよく知られている。
【０００７】 例えば、多官能性有機酸のような金属イオン封鎖剤、例えばクエン酸、マレイ
ン酸、フマル酸、ホスフェート、ホスホネート、ピロホスフェートおよびそれら
の対応塩はモノペルサルフェート化合物の活性を減少させることが知られている
が、その安定性は増加させる。モノペルサルフェート化合物は、特に酸溶液中で
、生体物質および／または金属イオンにより分解されうることが知られている。
モノペルサルフェート化合物は溶液中で酸を形成することから、多官能性有機酸
の塩のような緩衝剤の添加は、溶液の酸度を減少させることで、モノペルサルフ
ェート化合物の寿命を伸ばす。加えて、これらの塩は金属イオンと錯化すること
が知られているため、モノペルサルフェート化合物の分解は一層抑制される。他
方、これら塩の添加は、多すぎる割合で加えられたとき、それを防御するよりも
むしろモノペルサルフェートを分解しはじめる。そのため、組成物中でモノペル
サルフェート化合物対他の活性剤の割合は組成物の洗浄効力にとりしばしば重要
であるとみなされており、慎重にコントロールされねばならない。
【０００８】 加えて、義歯使用者、特に養護ホーム居住者および老人の口腔および歯肉で感
染および再感染問題を引き起こしうる細菌、真菌および他の微生物が義歯上で増
殖しうることが、次第に知られるようになってきた。義歯でよくみられる注目す
べき細菌の中には、Candida albicans、Actinomyces viscosus、Streptococcus
pyogenesおよびStreptococcus mutansがある。
【０００９】 そのため、洗浄剤として有効であるのみならず、義歯使用者にとり安全なよう
に細菌、真菌および他の微生物も有効に除去して殺せる、義歯洗浄組成物につい
てニーズが存在している。
【００１０】 当業界において、モノペルサルフェート含有洗浄剤組成物は周知である。ＵＳ
特許４，８５７，２２４および５，４８６，３０４は双方ともこのような組成物
について開示している。これらの組成物は、１日に義歯上にたまる歯石中に存在
するカルシウムと反応する程度に、追加洗浄剤として機能する金属イオン封鎖剤
も含有している。しかしながら、これらいずれの文献も抗菌消毒剤としてのニー
ズは取り扱っていない。しかしながら、ＵＳ特許５，４８６，３０４では安息香
酸ナトリウムが約０．１〜約０．８重量％範囲の量で滑沢剤および／または圧縮
助剤として用いうることを示している。ベンゾエートのこの少ない量では、しか
しながら、組成物に十分な抗菌活性をもたらす上で不十分である。
【００１１】
【発明の要旨】
このように、本発明の目的は、安全で有効な義歯洗浄組成物を提供することで
ある。 本発明のもう１つの目的は、歯石蓄積を解消しうる、上記のような義歯洗浄組
成物を提供することである。 本発明の更にもう１つの目的は、ブラッシングせずに洗浄しうる、上記のよう
な義歯洗浄組成物を提供することである。 本発明の更に別な目的は、洗浄前に義歯でよくみられる細菌および他の微生物
を滅失させる上で有効な、上記のような義歯洗浄組成物を提供することである。 本発明の更に別な目的は、約２０分間以内で細菌および微生物を有効に殺せる
、上記のような義歯洗浄組成物を提供することである。 本発明のこれらおよび他の目的、並びに義歯洗浄組成物に関して先行技術には
ない利点は、以下の記載から明らかになり、以下において記載および請求された
改善により実現される。
【００１２】 一般的に、本発明は、モノペルサルフェート化合物；歯石除去用で、約３〜約
５範囲の組成物ｐＨを溶液でもたらす、有効量の金属イオン封鎖剤；および義歯
の洗浄中に細菌および他の微生物を有効に殺せる抗菌活性を組成物にもたらす、
有効量の抗菌剤を含有した、義歯洗浄組成物を提供する。
【００１３】 本発明は、少くとも約７５重量％のモノペルサルフェート化合物；多官能性有
機酸およびそれらの対応塩からなる群より選択される、約２５重量％以内の金属
イオン封鎖剤；および洗浄開始から約半時間以内に細菌または他の微生物を有効
に殺すために十分な抗菌活性を組成物にもたらせる、ベンゾエート化合物からな
る群より選択される、有効量の抗菌剤を含有した、義歯洗浄組成物も提供する。
【００１４】
【発明を実施するための好ましい態様】
前記のように、本発明はモノペルサルフェート化合物、金属イオン封鎖剤、お
よび、義歯でよくみられる細菌、真菌および他の微生物を殺す上で有効な抗菌剤
、例えばベンゾエート化合物を含有した、改善された義歯洗浄組成物に関する。
更に詳しくは、その組成物は義歯の安全で有効な洗浄性を示しながら、更には、
Candida albicans、Actinomyces viscosus、Streptococcus pyogenesおよびStre
ptococcus mutansを含めた、義歯上で増殖することがよく知られた細菌および他
の微生物を有効に滅失させる。
【００１５】 好ましくは、組成物は粉末または顆粒形態をとるが、必ずしもそれに限定され
ず、好ましくはその粉末を水に溶解して洗浄浴または洗浄液を形成することによ
り用いられる。その溶液の義歯洗浄作用は、義歯を溶液中に一夜にわたりまたは
わずか約２０分間だけでも浸すことにより生じる。同時に、組成物は有効な抗菌
活性も洗浄液に付与するはずである。
【００１６】 しかも、他の義歯洗浄組成物とは異なり、本発明の組成物は、好ましくは、発
泡および活性を発揮することが知られた過ホウ酸化合物または他の化合物を欠い
ている。本発明の組成物は、義歯の安全で有効な洗浄性、および義歯に対して有
効な抗菌活性を発揮する。
【００１７】 本発明の組成物は、好ましくは、全洗浄組成物の少くとも７５重量％、更に好
ましくは約７５〜約９８重量％の量で、モノペルサルフェート化合物を含有して
いる。最も好ましくは、モノペルサルフェート化合物は全洗浄組成物の約７５〜
約８５重量％の量で存在する。
【００１８】 組成物で用いられるモノペルサルフェート化合物は、好ましくはアルカリ金属
モノペルサルフェートまたはアルカリ土類金属モノペルサルフェートである。好
ましい塩は、一過硫酸ナトリウムまたは一過硫酸カリウム、特に重硫酸カリウム
および硫酸カリウムとの三重塩化合物の形で存在するときには、例えばＫＨＳＯ ５ ・ＫＨＳＯ４・Ｋ２ＳＯ４である。この粒状で安定な三重カリウム塩はE.I.Du
Pont DeNemours & Co.Inc.から市販されており、商標名”OXONE”でモル比２：
１：１で販売されている。特に、一過硫酸カリウム化合物、即ち”OXONE”は、
有機物質の有効な洗浄剤および消毒剤である、活性過酸化物（酸素）ブリーチを
含有している。ペルオキシ硫酸カリウム化合物は、他の剤を加えなくとも非常に
活性であるが、その化合物は約１．５のｐＨレベルを有する強酸溶液を形成し、
そのため、すすいだ後も義歯上に組成物がなお存在して、モノペルサルフェート
化合物の酸度が義歯使用者の口および口腔に障害を起こしうることから、義歯洗
浄剤として単独では用いえないことが知られている。加えて、モノペルサルフェ
ートの洗浄活性は選択的であり、有機物質および他の物質に対してかなり大きい
。
【００１９】 本発明の組成物は、溶液透明度を維持し、歯石(calculus)、即ち歯石(tartar)
の除去を促し、モノペルサルフェートの酸度を弱めるために、金属イオン封鎖剤
も含有している。本発明のこれら金属イオン封鎖剤は、好ましくは約３〜約５、
更に好ましくは約３〜約４．５の範囲へ溶液中における組成物のｐＨを高めるた
めに十分な量で、本発明の組成物中へ配合される。本発明の組成物において、用
いられる金属イオン封鎖剤の量は好ましくは約２５重量％以内であり、好ましく
は約１〜約２５重量％の範囲内であり、約１２〜約２５重量％の金属イオン封鎖
剤が最も好ましい。 好ましい金属イオン封鎖剤には、多官能性有機酸、例えばクエン酸、マレイン
酸、フマル酸、ホスフェート、ホスホネート、ピロホスフェート、エチレンジア
ミン四酢酸およびそれらの対応塩がある。更に好ましいものは、アルカリ金属お
よびアルカリ土類金属シトレートを含めたシトレート化合物である。最も好まし
いものは、クエン酸ナトリウムまたはクエン酸カリウムである。
【００２０】 クエン酸ナトリウムは、多くの無機化合物、主にカルシウムおよび鉄沈着物を
溶解および／または脱色する。更に重要なことには、クエン酸ナトリウムはモノ
ペルサルフェートにより影響されない化合物に対して作用する。そのため、一緒
に混和されたその二成分の洗浄作用は、それらの相補的洗浄作用のおかげで、い
ずれか一方のみよりも大きい。 理論に拘束されることなく、金属イオン封鎖剤、例えばクエン酸ナトリウムは
、義歯上に蓄積した歯石に存在するカルシウムまたは鉄と反応することにより、
本発明の溶液で機能すると考えられている。この反応により、義歯上に存在する
タンパク質性物質、即ち歯垢が、溶液中に存在するモノペルサルフェート化合物
による攻撃をうけやすくなる。こうしてモノペルサルフェート化合物は歯垢を攻
撃することで、より多くの歯石を金属イオン封鎖剤による攻撃にさらす。上記沈
着物に付着したいかなる汚れもそのプロセスで除去される。
【００２１】 義歯洗浄組成物中におけるモノペルサルフェート化合物および金属イオン封鎖
剤のこの相乗作用的な組合せは、義歯上の歯垢および歯石の双方で、より完全な
除去を行える。単独洗浄成分では対処しえなかった、吸着された汚れ、特に蓄積
した歯石に起因するものでも、本発明の組成物による除去をうけやすい。 しかしながら、この２種の化合物の組合せは、クエン酸ナトリウムの添加がペ
ルオキシサルフェートの活性を減少させても、その安定性は増すことから、慎重
にコントロールされねばならない。そのため、一過硫酸カリウムは溶液中で酸を
形成し、クエン酸ナトリウムのような緩衝剤の添加は酸度を減少させて、モノペ
ルサルフェートの寿命を伸ばすが、シトレート対モノペルサルフェートの比率が
大きすぎると、それを防御するよりもむしろモノペルサルフェートを分解しはじ
める。好ましくは、シトレート対モノペルサルフェートの比率は約１：３〜約１
：１０にすべきである。１：３比を超えてシトレート量を増すと、組成物に有害
な影響をおよぼすことがある。 換言すると、モノペルサルフェート化合物と有効に作用するクエン酸ナトリウ
ムの範囲は、好ましくは、一過硫酸カリウムが約９８〜７５％であるとき、全組
成物中でクエン酸ナトリウム約１〜２５重量％であると定められた。
【００２２】 前記成分に加えて、本発明は、義歯上で微生物増殖をコントロールするために
有効な量で、抗菌剤も含有している。ベンゾエート化合物は、義歯の洗浄中に細
菌および他の微生物を有効に減少させる上で有効な抗菌活性を組成物にもたらす
ことがわかった。好ましくは、抗菌剤は、洗浄開始から約半時間以内、更に好ま
しくは約２０分間以内に、細菌、真菌または他の微生物を有効に殺す。
【００２３】 本発明で用いられるベンゾエート化合物は、好ましくはアルカリ金属ベンゾエ
ートまたはアルカリ土類金属ベンゾエートであり、これは、必ずしも限定されな
いが、Candida albicans、Actinomyces viscosus、Streptococcus pyogenesおよ
びStreptococcus mutansを含めた様々な細菌に対して安全かつ有効であることが
わかった。その目的にとり、安息香酸ナトリウムは、少くとも約２重量％から約
４重量％までの範囲内で、優れた抗菌剤であることがわかった。組成物に抗菌活
性をもたらす上で有効な安息香酸ナトリウムの量が本発明で用いられるが、約３
重量％が最も好ましいとわかった。４重量％より多くのベンゾエート化合物も所
望であれば用いてよいが、約４重量％の上限が口内に通常存在する食物または他
の組成物向けに勧められる典型的最大量であることも、理解すべきである。
【００２４】 安息香酸ナトリウムの量が、滑沢剤および圧縮助剤として他の義歯洗浄剤に用
いられる場合よりも有意に多いことは、明らかであろう。これまで、安息香酸ナ
トリウムまたはカリウムのようなベンゾエート化合物が義歯に適した抗菌剤であ
ることは、誰も認識していなかった。事実、本発明が初めて義歯洗浄組成物で抗
菌剤を用いたと考えられる。用いられた洗浄剤の一部が、残余効果として、義歯
洗浄剤に抗菌活性を付与していることは、明らかであろう。例えば、一過硫酸カ
リウムが、ある微生物、更には普通細菌の一部を有効に殺せることは周知である
。しかしながら、それは、特に義歯上でよくみられるStreptococcus株を含めた
、すべての普通細菌に対して、特に有効というわけではない。
【００２５】 しかも、理論に拘束されることなく、全部で３種の活性成分、即ちモノペルサ
ルフェート化合物、金属イオン封鎖剤、例えばクエン酸ナトリウム、および抗菌
剤、例えば安息香酸ナトリウムの存在のみで、水で溶液に調製されたときに、義
歯上で増殖することがよく知られた細菌を接触から半時間以内で有効に殺すため
に適正な酸度レベルおよび適切な手段をもたらす、適切な組成物を提供しうると
考えられている。更に詳しくは、ｐＨ３〜５、更に好ましくは４．５以下の酸度
レベルが好ましく、安息香酸ナトリウムがこの義歯組成物で用いられたときには
、Candida albicans、Streptococcus pyogenes、Actinomyces viscosusおよびSt
reptococcus mutansのような細菌は溶液との接触から２０分間以内に滅失される
ことがわかった。
【００２６】 追加活性成分は好ましくは用いられないが、必ずしも限定されることなく、フ
レーバー、フレグランス、着色料、香料、ｐＨ調整添加剤、滑沢剤、圧縮助剤お
よび界面活性助剤を含めた他の成分も、本発明の本質的性質に影響しないかぎり
用いてよいことは、明らかであろう。例えば、本発明の組成物に適した界面活性
助剤は約１重量％以内のホウ砂を含有している。 更に、フレーバーも、本発明では、組成物にフレーバーを付与する上で有効な
最少量で溶液に加えてよい。通常、５５ポンド（約２５ｋｇ）ドラムの化学組成
物に、約半カップの糖およびミントフレーバー溶液が典型的に加えられる。糖お
よびミントフレーバー溶液は、好ましくはテーブルスプーンで約半分の純粋ミン
トを２カップの糖と混ぜている。
【００２７】 本発明の更に詳しい理解は、本発明の下記実例および実験態様をみることで得
られるであろう。しかしながら、これらの態様は性質上例示であって、必ずしも
本発明の範囲の制限となるわけではなく、添付している特許請求の範囲および精
神により本発明が確定および規定されることは、明らかであろう。
【００２８】
【一般的実験】
本発明の実施を行うために、本発明の概念による義歯洗浄組成物のいくつかの
サンプルを調製した。本発明の各サンプルは、商標名”OXONE”で市販されてい
る一過硫酸カリウム約８５重量％、金属イオン封鎖剤、即ちクエン酸ナトリウム
約１２重量％、および抗菌剤、即ち安息香酸ナトリウム約３重量％を含有してい
る。最少量のフレーバー（＜０．１重量％）も組成物の一部として加えた。
【００２９】 この組成物のサンプル粉末および義歯チップ（４ｃｍ×０．３ｃｍ×２ｃｍ）
を、次の４種の公知細菌：Actinomyces viscosus（ＡＴＣＣ１５９８７）、Cand
ida albicans（ＡＴＣＣ１０２３１）、Streptococcus mutans（ＡＴＣＣ２５１
７５）およびStreptococcus pyogenes（ＡＴＣＣ１２３４４）に対して７日間に
わたり溶液中で組成物の抗菌活性を試験するために用意した。
【００３０】 Streptococcus mutansおよびStreptococcus pyogenesは３５℃で２４時間にわ
たりトリプチカーゼ大豆ブロス（ＴＳＢ）中で増殖させた。Candida albicansは
３５℃で７２時間にわたりSabourandデキストロースブロス（ＳＤＢ）中で増殖
させ、Actinomyces viscosusは３５℃で７２時間にわたりActinomycesブロス（
ＡＢ）中で増殖させた。等量の４種の培養物を組み合わせて、複合培養物を形成
した。複合培養物で各微生物の生存細胞の数を、標準プレートカウント法を用い
て調べた。５％脱繊維素ヒツジ血液寒天（ＳＢＡ）を２種のStreptococcus sp.
の検出に、ポテトデキストロース寒天（ＰＤＡ）をC.albicansの検出に、および
Actinomyces寒天（ＡＡ）をA.viscosusの検出に用いた。各プレートを３５℃で
各々２４〜４８、４８〜９６および４８〜７２時間インキュベートした。
【００３１】 ０日目に、本組成物粉末の溶液を、滅菌気密容器において、３分間にわたり攪
拌しながら、１tsp.（７ｇ）の粉末を加温滅菌蒸留水２４０ｍｌに溶解させて調
製した。滅菌蒸留水２４０ｍｌを含有したもう１つの容器はコントロールとして
用いた。本組成物を含有した溶液および滅菌蒸留水溶液を室温で７日間にわたり
気密容器中に入れた。
【００３２】 各日に、３つの義歯チップを水道水でよく洗浄し、７０％エチルアルコールで
１５分間衛生処理し、滅菌蒸留水ですすいだ。３つのチップに、片側で、チップ
当たり約１０８コロニー形成単位（ｃｆｕ）のレベルで接種し、３５℃で１５分
間にわたり風乾させた。３チップのうち１つは、微生物の存在を確認するために
、何も処理せず分析した。第二のチップは本組成物を含有した溶液に、三番目は
滅菌蒸留水に２０分間入れてから、分析した。加えて、本組成物を含有した溶液
および水のループフル(loopful)（集落白金耳量）を義歯チップの２０分間処理
前および後にストリークした。上記ステップの各々は、毎日の処理向けに同様の
組成物および蒸留水溶液を用いて、７日間にわたり毎日行った。
【００３３】 各２０分間処理前および後の各溶液（本発明／組成物およびコントロール／蒸
留水）のループフル、および３つの義歯チップを、３タイプの微生物種用の前記
培地に接種した。プレートを３５℃でインキュベートし、接種の２４、４８、７
２時間目および６日目に接種微生物の存在または不在について試験した。同様の
ことを７日間以内で２４時間毎に繰り返した。 この実験の結果は表Ｉで示されている。
【表１】
【表２】
【表３】
【表４】
【表５】
【表６】
【表７】
【表８】
【００３４】 義歯チップ（チップ＃１）を汚染するために用いられたすべての接種微生物が
、未処理サンプルから回収された；こうして、初期接種を確認した。 接種微生物は、７日間にわたり（本発明の組成物を含有した）作業用ストレン
グス溶液で２０分間処理後に、本発明の組成物を含有した義歯チップ（チップ＃
２）からは回収されなかった。逆に、すべての接種微生物が、すべての時点で、
蒸留水へ２０分間曝露後に、義歯チップ（チップ＃３）から回収された。 本発明の組成物自体を含有した溶液は、２０分間チップ処理前後において、７
日間にわたり全生物について陰性であった。比較すると、蒸留水では最初の２０
分間チップ処理前に陰性であった；その後、すべての微生物（処理前後）が１〜
７日目に回収された。 その結果、本発明の組成物の溶液が７日間にわたり抗菌活性を示したことは、
明らかと考えられる。その溶液は７日間にわたりStreptococcus mutans、Strept
ococcus pyogenes、Candida albicansおよびActinomyces viscosusの毎日の接種
を不活化させた。
【００３５】 上記試験に加えて、安全な飲用水としての化学標準に“ぴったり合う”水を用
いて追加試験を行ったが、その水はこの試験操作用に特別に調製した。本質的に
、同様の試験を非滅菌ガラス製品および“ワーストケース”水道水を用いて繰り
返し、本発明の組成物を用いて溶液を調製した。この追加７日間試験の結果とし
て、生物は本発明の組成物を含有した溶液から回収されなかった。これは（ａ）
チップ自体上で生物の総死滅および（ｂ）洗浄液中へ入り込んだ生物の総死滅を
実証している。“ワーストケース”水道水の例としての特製水の使用は、本発明
の溶液の抗菌活性に悪影響をおよぼさなかった。
【００３６】 本発明の組成物および溶液が義歯でみられる細菌、真菌および他の微生物を殺
す上で高度に有効であることは、明らかであろう。本発明は、水に溶解して義歯
の洗浄向け洗浄液を用意するための粉末として特に適しているが、必ずしもそれ
に限定されない。本発明の組成物および溶液は、ある細菌、真菌または微生物が
増殖することが知られている他の目的のために別に用いてもよい。
【００３７】 前記開示に基づき、ここで記載された義歯洗浄組成物の使用が前記目的を果た
すことは、明らかであろう。したがって、いかなる自明なバリエーションも特許
請求の範囲内に属し、そのため特定の構成要素の選択がここで開示および記載さ
れた本発明の精神から逸脱せずに決めうることが理解されるであろう。特に、本
発明によるモノペルサルフェート化合物は必ずしも一過硫酸カリウムに限定され
ない。更に、前記のように、クエン酸ナトリウム以外の他の金属イオン封鎖剤も
用いてよく、他のベンゾエート化合物も抗菌剤としてここで開示された安息香酸
ナトリウムの代わりに用いてよい。このように、本発明の範囲には添付された請
求の範囲に属するすべての改変およびバリエーションを含む。
【手続補正書】
【提出日】平成１３年１０月１１日（２００１．１０．１１）
【手続補正１】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＴＺ，ＵＧ，ＺＷ )，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ， ＴＪ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ， ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，Ｃ Ｒ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＤＭ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ ，ＧＢ，ＧＤ，ＧＥ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ， ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，Ｋ Ｚ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＡ ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ， ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，Ｓ Ｋ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＴＺ，ＵＡ，ＵＧ ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，ＺＡ，ＺＷ (71)出願人 デンチャー、ダイナミックス、インコーポ レーテッド ＤＥＮＴＵＲＥ ＤＹＮＡＭＩＣＳ ＩＮ Ｃ． アメリカ合衆国オレゴン州、カイザー、グ リーンウッド、エヌイー、1259 (72)発明者 シー．ダグラス、ワトキンズ アメリカ合衆国オレゴン州、カイザー、グ リーンウッド、エヌイー、1259 Ｆターム(参考） 4C083 AB351 AB352 AB361 AB362 AB411 AB412 AC231 AC301 AC311 AC312 AD191 BB45 BB49 BB60 CC42 EE31 EE37

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 モノペルサルフェート化合物； 歯石除去用で、約３〜約５範囲の組成物ｐＨを溶液でもたらす、有効量の金属
    イオン封鎖剤；および 義歯の洗浄中に細菌および他の微生物を有効に殺せる抗菌活性を組成物にもた
    らす、有効量の抗菌剤； を含有してなる、義歯洗浄組成物。
  2. 【請求項２】 モノペルサルフェート化合物が、アルカリ金属モノペルサルフェートおよびア
    ルカリ土類金属モノペルサルフェートからなる群より選択される、請求項１に記
    載の義歯洗浄組成物。
  3. 【請求項３】 モノペルサルフェート化合物が、一過硫酸カリウムおよび一過硫酸ナトリウム
    からなる群より選択される、請求項２に記載の義歯洗浄組成物。
  4. 【請求項４】 金属イオン封鎖剤が、多官能性有機酸およびそれらの対応塩からなる群より選
    択される、請求項１に記載の義歯洗浄組成物。
  5. 【請求項５】 金属イオン封鎖剤がクエン酸の塩である、請求項４に記載の義歯洗浄組成物。
  6. 【請求項６】 塩が、クエン酸ナトリウムおよびクエン酸カリウムからなる群より選択される
    、請求項５に記載の義歯洗浄組成物。
  7. 【請求項７】 抗菌剤が、ベンゾエート化合物からなる群より選択される、請求項１に記載の
    義歯洗浄組成物。
  8. 【請求項８】 ベンゾエート化合物が安息香酸ナトリウムである、請求項７に記載の義歯洗浄
    組成物。
  9. 【請求項９】 糖およびミントフレーバー溶液を更に含んでいる、請求項１に記載の義歯洗浄
    組成物。
  10. 【請求項１０】 少くとも約７５重量％のモノペルサルフェート化合物； 多官能性有機酸およびそれらの対応塩からなる群より選択される、約２５重量
    ％以内の金属イオン封鎖剤；および 洗浄開始から約半時間以内に細菌および／または他の微生物を有効に殺すため
    に十分な抗菌活性を組成物にもたらす、ベンゾエート化合物からなる群より選択
    される、有効量の抗菌剤； を含有してなる、義歯洗浄組成物。
  11. 【請求項１１】 モノペルサルフェート化合物が、アルカリ金属モノペルサルフェートおよびア
    ルカリ土類金属モノペルサルフェートからなる群より選択される、請求項１０に
    記載の義歯洗浄組成物。
  12. 【請求項１２】 モノペルサルフェート化合物が、一過硫酸カリウムおよび一過硫酸ナトリウム
    からなる群より選択される、請求項１１に記載の義歯洗浄組成物。
  13. 【請求項１３】 金属イオン封鎖剤がクエン酸の塩である、請求項１０に記載の義歯洗浄組成物
    。
  14. 【請求項１４】 塩が、クエン酸ナトリウムおよびクエン酸カリウムからなる群より選択される
    、請求項１３に記載の義歯洗浄組成物。
  15. 【請求項１５】 ベンゾエート化合物が安息香酸ナトリウムである、請求項１０に記載の義歯洗
    浄組成物。
  16. 【請求項１６】 組成物が、約７５〜約９８重量％のモノペルサルフェート化合物、約１〜約２
    ５重量％の金属イオン封鎖剤、および少くとも約２重量％のベンゾエート化合物
    を含有している、請求項１０に記載の義歯洗浄組成物。
  17. 【請求項１７】 組成物が、 約７５〜約８５重量％のモノペルサルフェート化合物；但し、該モノペルサル
    フェートは一過硫酸ナトリウムおよび一過硫酸カリウムからなる群より選択され
    る； 約１２〜約２５重量％の金属イオン封鎖剤；但し、該金属イオン封鎖剤はクエ
    ン酸ナトリウムおよびクエン酸カリウムからなる群より選択される；および 約２〜約４重量％のベンゾエート化合物；但し、該ベンゾエート化合物は安息
    香酸ナトリウムおよび安息香酸カリウムからなる群より選択される； を含有している、請求項１０に記載の義歯洗浄組成物。
  18. 【請求項１８】 全洗浄組成物５５ポンド当たり約半カップの糖およびミントフレーバー溶液を
    更に含み、そのミントフレーバー溶液がテーブルスプーンで約半分の純粋ミント
    を２カップの糖と混ぜて含有している、請求項１７に記載の義歯洗浄組成物。
  19. 【請求項１９】 組成物が、洗浄中にStreptococcus mutans、Streptococcus pyogenes、Candid
    a albicansおよびActinomyces viscosusの微生物株を有効に殺す、請求項１０に
    記載の義歯洗浄組成物。
  20. 【請求項２０】 株が、組成物との接触から２０分間以内に殺される、請求項１９に記載の義歯
    洗浄組成物。
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