JP2002539087A - フィブリノーゲンおよびフィブロネクチンをベースとする製剤を生成するための方法ならびにこの方法により入手可能なタンパク質組成物 - Google Patents

フィブリノーゲンおよびフィブロネクチンをベースとする製剤を生成するための方法ならびにこの方法により入手可能なタンパク質組成物

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Abstract

(57)【要約】 フィブリノーゲンおよびフィブロネクチンを含むタンパク質組成物の製造方法が開示される。この方法において、フィブリノーゲンおよびフィブロネクチンを含有する出発溶液を、フィブリノーゲンおよび/またはフィブロネクチンの溶解度を改変する2つの異なる成分を含む沈殿組成物で処理し、それにより単一工程の沈殿においてフィブリノーゲンおよびフィブロネクチンを含む沈殿物が形成され、そして形成された沈殿物は、必要に応じて、それ自体が公知の方法によってさらに処理される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、フィブロネクチンおよびフィブリノーゲンならびに必要に応じてさ
らなる成分を含むタンパク質組成物の製造方法、ならびにこの方法によって得ら
れ得るタンパク質組成物に関する。
【0002】 フィブリノーゲンをベースとする組織接着剤(「フィブリン接着剤」)は以前
から知られている。これらは、ヒトまたは動物の組織または器官の一部を、創傷
の封止、止血および創傷治癒の補助のために、縫い目なしあるいは縫合で支持し
て接合するために役立つ。
【0003】 その作用様式は血液凝固の最終相の模倣に基づく。
【0004】 トロンビンの作用によって、最初は(可溶性の)フィブリノーゲンがフィブリ
ンモノマーに転換され、これが自発的に凝集して粘着性の塊、いわゆるフィブリ
ン凝塊を形成する。同時に、存在する第XIII因子(F XIII)がカルシ
ウムイオンの存在下でトロンビンによって活性化されて、XIIIa因子となる
。後者によって、凝集したフィブリンモノマーと、また、おそらく存在するであ
ろうフィブロネクチンが新しいペプチド結合の形成によって架橋して、高分子と
なる。この架橋反応によって、形成された凝塊の強度が実質的に増大する。一般
に、凝塊は創傷および組織表面に対して良く接着し、これにより、とりわけ、接
着および止血効果をもたらす。
【0005】 従って、フィブリン接着剤はしばしば2成分接着剤として用いられ、これはフ
ィブリノーゲン成分をトロンビン溶液(これは追加的にカルシウムイオンを含む
)と共に含む。
【0006】 フィブリン接着剤の特に有利な点は、後で施用部位に外来異物として残らない
が、自然な創傷治癒と全く同じように完全に再吸収され、そして新たに形成され
た組織で置換されることである。種々の細胞、例えばマクロファージ、そして引
き続き線維芽細胞が凝塊中に移動して凝塊物質を溶解および再吸収し、そして新
しい組織を形成する。
【0007】 創傷治癒の複雑な過程はこれまでに完全に解明されたわけではないが、凝塊中
のフィブロネクチンの存在が、細胞の増殖と、それゆえ創傷の治癒に対して決定
的に重要であることは確かであると考えられている。
【0008】 従って、フィブリン凝塊の至適な組成もまた、ある量のフィブロネクチンをそ
の主成分であるフィブリノーゲンと共に含むべきである。
【0009】 フィブリン接着剤の作用様式は天然の血液凝固のプロセスに実質的に対応する
が、十分な効力(接着強度、止血効果)のためには、血液中に存在するよりも実
質的に高濃度の活性成分(特にフィブリノーゲン)が必要とされる。ヒトの血中
のフィブリノーゲン濃度はおよそ2.5〜3mg/mlに達する。
【0010】 PEG沈殿の手段によって、人工的な試験系において30mg/ml未満のフ
ィブリノーゲン濃度ですでに十分な接着強度を達成できるフィブリノーゲン溶液
が得られ得たことが報告されているが(WO 92/13495)、これによっ
ても、多くの組織接着の目的のために、高密度のフィブリンネットワーク(そし
て後者は組織接着剤における高フィブリノーゲン濃度によってのみ実質的に達成
され得る)は確実にはできない。
【0011】 従って、至適な効力を確実にするためには、フィブリン接着剤中のフィブリノ
ーゲン含量は少なくとも70mg/mlであるべきである。しかしながら、この
ような濃縮したすぐ使用できる(ready−to−use)のフィブリノーゲ
ンまたはフィブリン接着剤溶液の製造は、各々、いくつかの困難を伴う: このすぐ使用できる溶液は長期間にわたる貯蔵安定性がないので、必要時に、
凍結乾燥製剤からの再構成か、あるいは液体を急速凍結(deep−froze
n)した溶液を融解することによって、調製しなければならない。
【0012】 フィブリノーゲンは比較的溶解度に乏しく、そして同時に、効果的なフィブリ
ン接着剤においては高いフィブリノーゲン濃度が要求されるので、その改良のた
めの多様な提案がなされているにもかかわらず、一般に、フィブリン接着剤はユ
ーザーが求めているものよりも未だなお扱いにくく、時間がかかるものである。
特に緊急手術の分野においては、特に迅速かつ簡単に利用可能なフィブリン接着
剤が必要とされることは理解できる。
【0013】 さらに、濃縮したフィブリン接着剤溶液は一般に、高いフィブリノーゲン濃度
のせいで高粘度である。しかし、単に取り扱いの容易さのためばかりでなく、フ
ィブリン接着剤が特定の施用様式、例えば、スプレー装置(例えば、添付のスプ
レーセット付きのDuploject(登録商標))、またはカテーテルによっ
て施用される場合のためにも、比較的低濃度が望ましい。
【0014】 このすぐ使用できるフィブリン接着剤溶液の両方の必要条件(すなわち、迅速
な利用可能性および低粘度)を満たすことは、その調製(溶解または解凍の各々
)がさらなる補助的手段(例えば、加熱および/または攪拌器具)なしで室温で
行われなければならないならば、そしてフィブリン接着剤製剤がさらに高分子量
物質(特にフィブロネクチン)を含むならば、さらにより困難である。フィブロ
ネクチンもまた(特にフィブリノーゲンと組み合わせると)溶解が比較的困難で
あり、そして一般に、さらになお溶解度に乏しいさらに粘度の高いフィブリン接
着剤をもたらす。
【0015】 組織接着剤として用いられ得るフィブリノーゲン含有製剤の製造方法は、とり
わけ、寒冷沈降物からの製造(任意に、エタノール、硫酸アンモニウム、ポリエ
チレングリコール、グリシンまたはβ−アラニンを用いるさらなる洗浄および沈
殿工程を含む)、および公知の血漿分画法の範囲内での血漿からの製造を各々、
包含する(例えば、「Methods of plasma protein
fractionation」、1980、Curling編、Academi
c Press、3−15頁、33−36および57−74、またはBlomb
aeck B.およびM.「Purification of human a
nd bovine fibrinogen」、Arkiv Kemi 10,
1959、415f頁.参照)。
【0016】 先行技術においても、高度に濃縮されたフィブリノーゲン溶液の粘度を低減す
るために種々の示唆がなされている。従って、例えば、尿素またはグアニジン残
基を含む物質のような溶解剤の添加、例えばアルギニン(DE 3203775
−A1参照)、または非生理学的に高い塩濃度の添加が知られている。しかし、
このような組織接着剤は、細胞傷害性および増殖阻害特性を各々、有することが
示されている(Redlら、Med.Welt 36、1985,769−77
6頁)。
【0017】 EP 0 804 933によれば、フィブリノーゲンの溶解度を向上させる
物質の添加が示唆されている。このような物質は、例えば、ビタミン、芳香族化
合物(例えばベンゼンまたはフェノールから誘導される化合物か、あるいは複素
環式化合物(例えばピペリジン、ピリジンまたはピリミジン)から誘導される化
合物)である。
【0018】 従って、本発明の目的は、公知の製剤の欠点を克服することにあり、さらに公
知の製剤を改良することの各々にあり、そして高含量のフィブリノーゲンを含み
、かつフィブリノーゲンとフィブロネクチンとの割合を容易に調整でき、そして
任意にさらなる成分を含むタンパク質組成物を提供することにあり、これは、例
えば、すぐ使用できる組織接着剤の改良された製剤に適すると同時に、良好な細
胞適合性、またはトロンビン溶液と共に混合した後に生理学的なフィブリン構造
が形成されるなどの特性が特に維持される。同時に、またこのようなタンパク質
組成物または薬学的製剤の粘度特性は改良されるべきである。
【0019】 本発明のさらなる目的は、このようなタンパク質組成物の単純で、より迅速な
製造方法を提供することにある。特に、この方法を産業的規模で容易に行うこと
もまた可能である。
【0020】 本発明によれば、これらの目的は、フィブリノーゲンおよびフィブロネクチン
を含有するタンパク質組成物を製造するための方法によって達成され、この方法
は、フィブリノーゲンおよびフィブロネクチンを含有する出発溶液をフィブリノ
ーゲンおよび/またはフィブロネクチンの溶解度を改変する2つの異なる成分を
含む沈殿組成物で処理することを特徴とし、これにより、単一工程の沈殿におい
てフィブリノーゲンおよびフィブロネクチンを含む沈殿物が形成され、そして形
成された沈殿物は、任意に、それ自体公知の方法によってさらに処理される。こ
の方法は、高収率を与える効率的かつタンパク質保存性の製剤が沈殿組成物を用
いて単一工程の沈殿で製造され得ることを特徴とする。
【0021】 単一工程の沈殿の後、得られた沈殿物はそれ自体公知の方法によってさらに処
理されて、好ましくは薬学的製剤、特に組織接着剤(フィブリン接着剤)とされ
得る。
【0022】 溶解度を改変する成分とは、少なくとも1つのタンパク質、フィブリノーゲン
またはフィブロネクチンに対して、所定の他の条件(例えば、温度、pH、イオ
ン強度など)の下で、沈殿効果または溶解度を向上させる効果を有する物質であ
ると理解される。
【0023】 非常に驚くべきことに、本発明によれば、(互いに)異なる2つの溶解度を改
変する成分を協同して用いることで、沈殿物中のフィブリノーゲンおよびフィブ
ロネクチンの回収率が高収率となり、ここで本発明の単一工程沈殿は、非常に驚
くべきことに、各々の物質を独立して沈殿させる場合よりもタンパク質のダメー
ジが実質的に少ないことが見いだされた。
【0024】 さらに、本発明に従って沈殿され、フィブリノーゲンおよびフィブロネクチン
を含む組成物は、その実際上の適用の観点から、特にその粘度および再構成に関
してもまた非常に改良された特性を有し、そのためこれらの製剤のより容易な施
用が可能となることもまた示された。
【0025】 出発溶液を調製するための出発材料として、先行技術でこのようなタンパク質
組成物を調製するために今まで用いられてきた、あるいは使用可能であったもの
は各々、原則的に全て用いることができる。
【0026】 出発材料として、好ましくは、血漿、特にヒト血漿、またはフィブリノーゲン
およびフィブロネクチン含有血漿画分、好ましくは寒冷沈降物由来の画分が、出
発溶液の調製のために用いられ、あるいは直接、出発溶液として、各々、用いら
れ得る。
【0027】 しかし、他のフィブリノーゲンおよびフィブロネクチンを含有する出発材料ま
たは出発溶液、例えば、細胞培養上清もまた、各々、本発明に従って使用され得
る。
【0028】 溶解度を改変する成分は、単一工程沈殿において、フィブリノーゲンおよびフ
ィブロネクチンを所望の所定の割合の量で含む沈殿物が形成されるように選択さ
れる。
【0029】 本発明によれば、沈殿組成物中に含まれる成分は、所定の条件下でフィブリノ
ーゲンおよびフィブロネクチンの各々に対するその溶解度を改変する(すなわち
、溶解度を向上させるまたは沈殿させる)作用について互いに異なるように、選
択される。1つの成分は、例えば、2つのタンパク質のうちの1つ(すなわち、
フィブリノーゲンまたはフィブロネクチン)に対してのみ実質的に沈澱効果を有
し得る。
【0030】 しかし、この成分のうちの一方が両方のタンパク質に対して沈殿作用を有し、
他方、もう一方の成分が2つのタンパク質のうちの一方のみに対して沈殿作用を
有するか、あるいは他のタンパク質の溶解度を増大すらさせる(すなわち、沈殿
剤としてではなく溶解剤として作用する)こともまた、各々、可能である。
【0031】 特に、溶解度を改変する成分はアルコール、特に4個までの炭素原子を有する
アルコール、無機塩、有機塩、ポリオール、特にポリアルキレングリコール、ポ
リエーテルおよびアミノ酸からなる群から選択される物質である。また、エーテ
ル、ケトンおよび環式、複素環式または多環式有機化合物も用いられ得る。溶解
度を改変する成分として、特に、エタノール、ポリエチレングリコール、アンモ
ニアまたはアルカリ塩、各々、例えば、硫酸アンモニウムまたは硫酸アルカリ、
あるいはアミノ酸、グリシンおよび(β−)アラニンが好適に用いられる。
【0032】 有機ポリマーのなかでもとりわけ、特に線状ポリマー、特に平均分子量が約2
00と20,000との間のもの、例えばポリアルキレングリコールがある。ポ
リエチレングリコールは特に適切であることが立証されている。これらの非毒性
の水溶性合成ポリマー、特に分子量400〜10,000、好ましくは約4,0
00のものが、そのフィブリノーゲンおよびフィブロネクチンに対する保存効果
のために好適に沈殿に用いられる。沈殿組成物に用いられるべき成分は特に穏和
であること、およびその保存効果に加えて、ヒトに対して用いることに関してそ
の安全性もまた選択の際に考慮される。
【0033】 本発明に従って使用可能な一対の成分として、例えば、ポリエチレングリコー
ル(PEG)、特にPEG4000(これはフィブリノーゲンおよびフィブロネ
クチンの両方に対して沈殿作用を有する)と、第二成分としてグリシンが使用可
能であり、グリシンはさらなる成分(例えば、ポリエチレングリコール)の存在
下で、驚くべきことに、単にフィブリノーゲンをフィブロネクチンに比べて優先
的に沈殿させるのみならず、フィブロネクチンの溶解剤としてさえ作用する。0
.6Mより高い濃度範囲のグリシンは、この濃度で今までグリシンはタンパク質
の沈殿剤としてのみ知られていたが、特に良好なフィブロネクチンの溶解度を増
大させる効果を有する。
【0034】 もちろん、本発明はPEGとグリシンとの組合せに限定されるものではない。
なぜなら、当業者は本発明に適した他の成分または成分の対を、各々、単純な系
統的な試験によって容易に見いだすことができるからである。
【0035】 本発明の方法を実行するために、当業者は、例えば、適切な成分または成分の
対を、各々、以下の試験スキームに従って見いだし得る。規定された条件(例え
ば、温度、pH、イオン強度など)の下、かつ攪拌下で、一般的な方法によって
調製された出発溶液のアリコートを、第1の溶解度を改変する成分(例えばアミ
ノ酸)とそれとは異なる第2の成分(例えば、PEG4000、エタノールまた
は硫酸アンモニウム)とを含む沈殿組成物と混合する。この成分のうちの1つの
濃度を常に一定に保ち、他方を変化させながら、一連の沈殿を行う。形成された
沈殿物を遠心分離で取り出し、そして総タンパク質含量ならびにフィブリノーゲ
ン(Fbg)、フィブロネクチン(Fn)およびアルブミン(Alb)の相対含
量を、例えば非還元および還元試料のSDS PAGEで、クーマシーブルーで
染色し、デンシトメーターで評価することによって決定する。
【0036】 それで、所望のフィブリノーゲンおよびフィブロネクチンを含有するタンパク
質組成物をもたらす成分を本発明による沈殿組成物として選択する。各々の成分
系の至適化は簡単にチェックできるパラメータ、例えば、所定のフィブリノーゲ
ン含量(例えば、1ml当たり70または100mgのフィブリノーゲン)にお
ける、得られた製剤の、収率、フィブリノーゲンおよびフィブロネクチンの相対
含量、および粘度の各々によって行う。
【0037】 好適な実施形態において、沈殿組成物はポリアルキレングリコールを含み、こ
れは出発溶液と、特に最終濃度で1〜12%(重量/体積)(w/v)、好まし
くは4〜8%(重量/体積)まで混合される。
【0038】 さらに好適な実施形態において、沈殿組成物は1種以上のアミノ酸を含み、出
発溶液と、特に最終濃度で0.5〜3M、好ましくは0.75〜2M、特に0.
75〜1.5Mまで混合される。
【0039】 他の好適な実施形態において、有機または無機塩、例えば、硫酸アンモニウム
が、20%(重量/体積)まで、好ましくは2〜20%(重量/体積)の間、最
も好ましくは5〜15%(重量/体積)の間の濃度で含まれる。
【0040】 沈殿組成物は好ましくは液体形態で混合される。
【0041】 出発材料の他の成分(例えば、特に第XIII因子)もまた沈殿組成物によっ
て沈殿され得る。このようなさらなる物質を共沈殿させる溶解度を改変する組成
物の能力もまた、沈殿組成物の個別の成分の最終的選択に影響を与え得る。
【0042】 好適な実施形態によれば、沈殿タンパク質組成物中または薬学的製剤中の各々
におけるプラスミノゲンはかなり低く維持されるべく試みられる。従って、好ま
しくは、プラスミノゲンが大部分上清に残る沈殿組成物が用いられる。これは、
得られた沈殿物中で、プラスミノゲンが出発材料と比較した場合に、フィブリノ
ーゲンおよび/またはフィブロネクチンと比べて枯渇していることを意味する。
【0043】 さらに好適な実施形態によれば、さらなる成分、特に線維素溶解阻害剤、第X
III因子、抗生物質、増殖因子、疼痛軽減物質、抗炎症剤またはそれらの混合
物がタンパク質組成物に添加され得る。このような添加は、沈殿工程の前、最中
およびまたその後に可能であり、そして好ましくは、沈殿工程の後に行われる。
【0044】 さらなる処理の過程において、特に最終処方において、本発明によるタンパク
質組成物または本発明による薬学的製剤は、特に改良された貯蔵安定性を達成す
べき場合、好ましくは急速凍結または凍結乾燥される。本発明によるすぐ使用で
きる薬学的製剤は好ましくは液体形態で提供される。
【0045】 特に、本発明による方法は、明確に規定されたタンパク質組成物を単純な様式
で直接的に得ることができるという利点があり、他方、従来用いられてきたタン
パク質分画の方法、特に血漿分画では、つねにできる限り純粋な個別のタンパク
質を得ることを目的としており、そして必要に応じて、これらをその後で再び混
合して所望の混合物を得る。
【0046】 本発明による方法の単純さおよび簡潔さのため、製造の際の微生物による汚染
の危険および発熱物質の形成もまた最小限となる。さらに、感受性の高い血漿タ
ンパク質、例えば、フィブリノーゲンまたはフィブロネクチンが保存され、そし
て大部分が変性から保護され、これがおそらく本発明による製剤が改良された特
性を有する理由である。
【0047】 驚くべきことに、各々が本発明の単一工程の組合せ沈殿によって得ることがで
きる、タンパク質組成物または薬学的製剤は、同様に高いフィブリノーゲン濃度
で、同等の製剤、例えば、古典的製造方法で得られるフィブリン接着剤(特に1
つの薬剤のみで沈殿させたもの)よりも約25%、好ましくは30%、最も好ま
しくは40%低粘度であることが示された。
【0048】 同等の製剤とは、同様の含量のフィブリノーゲン、フィブロネクチンおよび必
要に応じてさらなる成分を有し、そして同等の程度の純度を有し、同様の良好な
細胞適合性を示し、そしてトロンビン溶液と混合した後に生理学的フィブリン構
造の凝塊を形成する製剤であることが理解される。
【0049】 特に好適な実施形態において、タンパク質組成物およびすぐ使用できる薬学的
製剤の各々は、それぞれ、フィブリノーゲンの溶解度を向上させる物質を実質的
に含まず、そしてこのような物質と混合されない。
【0050】 驚くべきことに、本発明による液体組成物は同等の既知の製剤と比べて顕著に
低い粘度を有することが示され、これにより特にフィブリン接着剤の取り扱いお
よび使用が促進される。特に室温において、本発明による凍結乾燥組成物は同等
の製剤よりも容易に、かつより迅速に再構成され得る。
【0051】 特に本発明の方法を大規模な技術的スケールで行う場合(これが本発明のさら
なる利点である)、これは非常に効率的に、かつコスト節約的な様式で大規模ス
ケールに適用でき、沈殿組成物を液体形態で混合することが好ましい。これは溶
液または懸濁液であり得る。
【0052】 単一工程沈殿の後に得られる沈殿物は少なくとも1回、洗浄緩衝液で洗浄する
ことが適切であることもまた立証された。適切な緩衝液系に加えて、洗浄緩衝液
は好ましくは、トラネキサム酸、リジン、ε−アミノカプロン酸、界面活性剤、
またはこれらの物質の混合物を含む。また、血漿、動物または植物起源の線維素
溶解阻害剤またはプロテアーゼ阻害剤の各々、あるいは遺伝子操作または合成に
よって産生された阻害剤の各々を含み得る。このような物質は別に混合してもよ
く、あるいは出発材料にすでに含まれていてもよい。
【0053】 好適なプロテアーゼ阻害剤は、例えば、アプロチニン、特に遺伝子操作にyっ
て調製されたアプロチニンである。さらなる好適な線維素溶解阻害剤は、トラネ
キサム酸(トランス−4−(アミノメチル)−シクロヘキサンカルボン酸、t−
AMCHA)である。
【0054】 得られたタンパク質沈殿物はそのままで用いられてもよく、あるいはこれをそ
れ自体公知の方法によってさらに処理して、さらなるタンパク質組成物または薬
学的製剤に各々してもよい。このような処理の方法は、例えば、多様な精製工程
、例えば、冷たい緩衝溶液を用いた処理(洗浄)、または薬学的製剤としての処
方を各々、包含する。
【0055】 特に、このような本発明の最終組成物または製剤は、各々、組織接着、止血、
および創傷治癒の補助または促進に適している。
【0056】 本発明のための出発材料として好適に用いられる血漿は、(例えば、WO 9
6/35437に従って)好ましくは十分に予備選択され、その結果、ウイルス
汚染はほぼ排除され得る。好ましくは、病原体、特にウイルスおよび/またはプ
リオンの非存在についてチェックされた出発材料のみが用いられる。
【0057】 さらに好ましい実施形態において、存在する可能性のある病原体を不活化また
は枯渇させるための少なくとも1工程が提供される。
【0058】 病原体を不活化させるために、好ましくはテンシド(tenside)および
/または熱処理(乾燥または蒸気処理)が行われる。例えば、固体状態での熱処
理、特にEP−0 159 311、またはEP−0 519 901、または
EP−0 674 531に従う蒸気処理が行われる。
【0059】 病原体不活化のためのさらなる処理はまた、化学的または化学的/物理的方法
、例えばWO94/13329、DE 4434538またはEP−01317
40(溶媒)に従う攪乱物質、あるいは光不活化を用いて処理を含む。
【0060】 また、濾過、特に限外濾過、好ましくはウイルス結合剤、例えば、Aeros
ilの存在下での濾過による枯渇が、本発明の範囲内のウイルスの枯渇のための
好ましい方法である。
【0061】 本発明によれば、熱処理、溶媒処理、界面活性剤処理、あるいはこれらの処理
の組合せ(同時または逐次)、ならびに、任意に濾過による不活化が特に好まし
い。
【0062】 不活化は沈殿の前または後に行われ得る。好ましくは、2つの独立した不活化
が行われる。例えば、1つの処理は単一工程沈殿の前、そして第2の処理はその
後である。
【0063】 さらなる好適な実施形態において、タンパク質組成物は第XIII因子が含ま
れることによって特徴づけられる。好ましくは第XIII因子は混合され、そし
て第XIII因子の含量は、例えば、1gのフィブリノーゲン当たり少なくとも
80単位、好ましくは少なくとも100U/gフィブリノーゲンである。フィブ
リン架橋反応阻害物質、例えば抗生物質が製剤中に存在する場合、第XIII因
子含量は、好ましくは、少なくとも500U/gフィブリノーゲンまで増える。
好ましくは、第XIII因子は、精製された独立したウイルス不活化産物(特に
好ましくは、EP 0 637 451に従って製造された第XIII因子製剤
)として混合される。
【0064】 さらなる好適な実施形態において、タンパク質組成物は低いプラスミノゲン含
量によって特徴づけられる。プラスミノゲンの含量は好ましくは、多くて1.6
mg/gフィブリノーゲン、より好ましくは0.8mg/gフィブリノーゲン未
満、最も好ましくは0.3mg/gフィブリノーゲン未満である。
【0065】 本発明によるタンパク質組成物は、有利には、フィブロネクチンおよびフィブ
リノーゲンを0.02〜0.5、好ましくは0.02〜0.25、また好ましく
は0.02〜0.2、より好ましくは0.04〜0.16、最も好ましくは約0
.1(0.05〜0.15)の比率で含み、すなわち、高度に純粋なフィブリノ
ーゲン製剤(WO 94/20524)とは対照的であり、これはなおかなりの
部分のフィブロネクチンを含む。
【0066】 タンパク質組成物はさらに、活性成分、例えば、抗生物質、増殖因子、疼痛軽
減物質またはこれらの組合せを含み得る。
【0067】 好適な実施形態において、本発明によるタンパク質組成物は、 a)溶液として、少なくとも70mgのフィブリノーゲン/mlを含むか、ある
いは再構成または液化されて、各々、このような溶液となり得、 b)20℃で、好ましくは500mOsm未満、最も好ましくは400mOsm
未満の浸透圧モル濃度にて、多くて350cStの粘度を有し、 c)トロンビン−CaCl2溶液と混合した後、生理学的フィブリン構造の不透
明な凝塊を形成し、そして d)ベンゼン含有基、ピリジン含有基、ピペリジン含有基、ピリミジン含有基、
モルホリン含有基、ピロール含有基、イミダゾール含有基、ピラゾール含有基、
フラン含有基、チアゾール含有基またはプリン含有基を有する溶解度を向上させ
る物質の添加を含まないことによって特徴づけられる。
【0068】 さらなる好適な実施形態において、本発明によるタンパク質組成物は、 a)溶液として、少なくとも70mgのフィブリノーゲン/mlを含むか、ある
いは再構成または液化されて、各々、このような溶液となり得、 b)20℃で、好ましくは500mOsm未満、最も好ましくは400mOsm
未満の浸透圧モル濃度にて、多くて150cStの粘度を有し、 c)トロンビン−CaCl2溶液と混合した後、生理学的フィブリン構造の不透
明な凝塊を形成し、そして d)ベンゼン含有基、ピリジン含有基、ピペリジン含有基、ピリミジン含有基、
モルホリン含有基、ピロール含有基、イミダゾール含有基、ピラゾール含有基、
フラン含有基、チアゾール含有基またはプリン含有基を有する1つまたはいくつ
かの可溶化物質を全体で多くて150mMの濃度で含むことによって特徴付けら
れる。
【0069】 本発明のタンパク質組成物または薬学的製剤は、各々、用途が広い。特に、本
発明による製剤は組織接着、止血および/または創傷治癒のために用いられる。
【0070】 さらなる好適な実施形態において、本発明のタンパク質組成物または製剤は、
各々、フィブリンをベースとするバイオマトリックス(biomatrix)を
製造するために用いられ得る。この目的のために、本発明のタンパク質組成物ま
たは薬学的製剤の溶液は、各々、フィブリノーゲンをフィブリンに転換するのに
適した酵素、好ましくはトロンビンと混合され、そして形成されたフィブリンは
その新鮮な状態で、あるいは凍結乾燥し、再び湿らせた後のいずれかで、細胞の
増殖のための担体材料、あるいはいわゆるバイオマトリックス(例えば、WO9
9/15209参照)として用いられる。
【0071】 本発明のバイオマトリックスは、種々の形態で、例えば、スポンジ、フィルム
、マイクロビーズまたはフレークとして存在し得る。
【0072】 フィブリンをベースとするバイオマトリックスは、細胞、特にヒト細胞の増殖
に特に適している。ケラチノサイト、線維芽細胞、軟骨細胞がこのフィブリンマ
トリックスによって培養または増殖されることができる細胞の例として挙げられ
る。このようなバイオマトリックスはまた、創傷の被覆または組織代用物の各々
、特に皮膚代用物のために適している。
【0073】 本発明をここで以下の実施例および図面によってより詳細に説明するが、これ
によって限定されない。
【0074】 (実施例) (実施例1) それ自体が公知の方法によって調製したヒト血漿寒冷沈降物を、20mMクエ
ン酸ナトリウム、120mM塩化ナトリウム、5mMトラネキサム酸並びに12
00IUヘパリン/lを含む4倍量の緩衝溶液で溶解し、pHを7.3に調節し
、濾過して澄明にした。この溶液のアリコートと、グリシン及びポリエチレング
リコール4000(PEG4000)を含む溶液とを、室温で撹拌下で混合した
。その際各場合にグリシンの最終濃度が1Mで、PEG4000の最終濃度が1
〜10%(w/v)までの範囲の種々の濃度になるようにした。
【0075】 こうして生成した沈殿物を遠心分離して取り、フィブリノーゲン(Fbg)、
フィブロネクチン(Fn)及びアルブミン(Alb)の相対含有量を非還元及び
還元試料のSDS−PAGEによって測定した。その際クーマシーブルーで染色
し、濃度評価を行った(EP0345246、実施例1−37も参照されたい)
【0076】 結果を表1にまとめる。PEG濃度に依存した関係にあるフィブロネクチン:
フィブリノーゲンの比は、図1にもグラフで示される。
【0077】 (表1) 沈殿混合物中のPEG含量に対する沈殿物のタンパク質組成の依存関係(グリ
シン濃度:1M)
【0078】
【表1】 本実施例は、本発明によって血漿タンパク質混合物から、2成分(ここではグ
リシンとPEG)の混合物で一回沈殿させることにより、主成分であるフィブリ
ノーゲンの他に種々の量のフィブロネクチンを含むタンパク質沈殿物を入手し得
る方法を示す。その際作用物質類の濃度及びそれらの相互の比率をそれぞれ適切
に選択することによって、フィブロネクチン:フィブリノーゲンの比を或る範囲
内に所望通りに調節できる(例えば実施例1による作用物質の選択によって0.
02−0.2の範囲内に調節できる)。このようなタンパク質沈殿物は、例えば
フィブリノーゲンをベースとする組織接着剤(フィブリン接着剤)の製造に適し
ている。
【0079】 (実施例2) ヒト血漿寒冷沈降物を、実施例1と同様に溶解し、pHを7.3に調節し、濾
過して澄明にした。この溶液のアリコートを実施例1と同様に、グリシンとPE
G4000とを含む溶液と混合し、その結果、各場合に最終的PEG濃度が6.
5%(w/v)で、0.2Mから1Mまでの範囲の種々のグリシン濃度を得た。
生成した沈殿物を実施例1と同様に遠心分離して取り、分析した。
【0080】 全ての変法においてタンパク質の収率は約95%であった。グリシン濃度に依
存した関係にあるフィブロネクチン:フィブリノーゲンの比を表2にまとめ、さ
らに図2にグラフであらわす。
【0081】 (表2) 沈殿混合物中のグリシン濃度に対する沈殿物のタンパク質組成の依存関係(P
EG濃度:6.5%(重量/体積))
【0082】
【表2】 実施例1に追加して、この実施例はグリシン等のそれ自体が公知のタンパク質
沈殿剤がPEGと組み合わせて用いた際に単に沈殿剤として作用するだけでなく
、或る条件下では例えばグリシンは、これまでグリシンが単にタンパク質沈殿剤
として知られていた濃度範囲において、フィブロネクチンの溶解剤としても作用
し得ることを示している。
【0083】 下記の実施例3−5は先行技術によって得られる製剤の比較組成を示す。
【0084】 (実施例3) 血漿寒冷沈降物を実施例1のように溶解した。室温で撹拌しながらグリシンを
最終濃度2mol/lまで加えた。生成したタンパク質沈殿物を実施例1のよう
に遠心分離して取り、分析した。フィブリノーゲンはほとんど完全に沈殿した。
フィブリノーゲンの相対含有量は総タンパク質の85%に達し、フィブロネクチ
ンの相対含有量は1.5%であった。したがってフィブロネクチン:フィブリノ
ーゲンの比は0.017であった。
【0085】 (実施例4) 血漿寒冷沈降物を実施例1のように溶解した。室温で撹拌しながらPEG40
00を最終濃度10%(w/v)になるまで加えた。生成したタンパク質沈殿物
を遠心分離して取り、実施例1と同様に分析した。フィブリノーゲンはほとんど
完全に沈殿した。フィブリノーゲンの相対含有量は総タンパク質の72%に達し
た。フィブロネクチンの相対含有量は16%であった。したがってフィブロネク
チン:フィブリノーゲンの比は0.22であった。
【0086】 (実施例5) 血漿寒冷沈降物を実施例1のように溶解した。室温で撹拌しながらPEG40
00を最終濃度10%(w/v)になるまで加えた。生成したタンパク質沈殿物
を遠心分離して取り、再び溶解し、グリシンをその溶液に最終濃度2Mになるま
で撹拌下で室温で加えた。生成したタンパク質沈殿物を再び遠心分離して取り、
実施例1と同様に分析した。フィブリノーゲンの相対含有量は総タンパク質の9
3%に達し、フィブロネクチンの相対含有量は1.5%であった。したがってフ
ィブロネクチン:フィブリノーゲンの比は0.016であった。
【0087】 実施例3−5は、先行技術における公知の方法では、一工程においても連続す
る数工程においても、フィブロネクチン:フィブリノーゲンの定められた比を有
するタンパク質混合物を得ること(例えば、実施例1または2において使用した
濃度のグリシンとPEGとの組み合わせを用いて、0.02〜0.2の範囲の比
を得ること)は不可能であることを示す。
【0088】 (実施例6) (二つの独立したウイルス不活化工程を有する、本発明による凍結乾燥製剤の
製造) それ自体が公知の方法により調製されたヒト血漿寒冷沈降物を4倍量の、20
mMクエン酸ナトリウム、120mM塩化ナトリウム、5mMトラネキサム酸(
t−AMCHA)並びに1200IU ヘパリン/lを含む緩衝溶液(LP1)
で溶解し、濾過して澄明にした。その後いわゆる溶剤−界面活性剤(solve
nt−detergent)(SD)処理を行い、存在する可能性のあるエンベ
ロープに包まれたウイルス類を不活化した。このために、Triton X−1
00、Tween 80(Polysorbat−80K)及びトリ−n−ブチ
ルホスフェート(TNBP)の混合物をそれぞれ最終濃度1%、0.3%及び0
.3%(v/v)になるように混合した。室温で1時間撹拌後、それを再び濾過
して澄明にした。この溶液と、2Mグリシン及び13%(w/v)PEG400
0(沈殿組成物)を含む等量の溶液とを室温で撹拌しながら混ぜ合わせた。これ
を30分間撹拌し、遠心分離した。沈殿物を細かく砕き、1% Tween 8
0を含むLP1に再び溶解し、同じ方法で沈殿を繰り返した。次いで、SDと沈
殿試薬を除去するために、沈殿物を細かく砕き、冷却下(0−2℃)、少量のT
ween 80の存在下で、10倍量の、10mMクエン酸ナトリウム及び5m
Mt−AMCHAを含む緩衝溶液で2回処理した。洗浄された沈殿物をその後1
0mMクエン酸ナトリウム及び5mM t−AMCHAを含む緩衝溶液に溶解し
た。タンパク質濃度を40g/lに調節した後、その溶液を全体として凍結乾燥
した。さらにウイルスを不活化するために、上記凍結乾燥物質を残留水分7−8
%に調節し、酸素を排除して60℃で10時間、さらに80℃で1時間加熱した
。このように処理した凍結乾燥物をタンパク質濃度38g/lになるように20
mMナイアシンアミド溶液に溶解し、低温殺菌したヒトアルブミン6g/lと混
ぜ合わせ、pHを7.3に調節した。
【0089】 上記溶液を滅菌濾過し、無菌条件下で最終容器(小さいガラスびん)に5.0
mlづつ充填し、凍結乾燥した。
【0090】 こうして得られた最終製品は、注射用水(WFI)2.0ml、または50m
M t−AMCHA溶液2.0mlで溶解すると、70mg/mlより高いフィ
ブリノーゲン含有量を有するすぐに使用できる溶液を生じた。この溶液は例えば
組織接着剤として用いられ得る。
【0091】 原則として、純粋な水を使用する代わりに、例えばフィブリン溶解阻害剤、凝
固第XIII因子、抗生物質、増殖因子、疼痛軽減物質等の付加的活性物質を含
む水溶液で上記の凍結乾燥した最終製品を溶解してもよい。
【0092】 上記の方法によって調製された生成物は、そのタンパク質含有量及び組成がE
P804933A2に記載された組織接着剤と実質的に一致した(実施例2)。
そのフィブロネクチン:フィブリノーゲンの比は約0.09で、プラスミノーゲ
ン含有量は約0.15mg/gフィブリノーゲンに過ぎなかった。すぐに使用で
きる組織接着剤溶液を等量のトロンビン−CaCl2溶液と混合後、生理的な不
透明の粘弾性凝塊が形成された。
【0093】 このようにEP804933に記載の生成物と広く一致するにもかかわらず、
本発明による組織接着剤は、フィブリノーゲンの溶解度を改善する物質の含有量
(50mMナイアシンアミド)が同一ながら、顕著に減少した粘度により特徴付
けられる。
【0094】 さらに驚くべきことは、本発明による製剤が一つだけでなく二つもの独立した
ウイルス不活化工程にさらされ、その上、悪条件(60℃ 10時間、+ 80
℃ 1時間)のもとで蒸気処理を受けていることである。経験によると、このよ
うな熱処理は溶解度の低下並びに粘度増加に導く。
【0095】 さらに驚くべきことに、t−AMCHAがその公知の抗フィブリン溶解効果に
加えて、フィブリノーゲン含有溶液の粘度を下げることが見いだされた。特に本
発明によって得られる組織接着剤溶液の粘度はt−AMCHAによってさらに低
下する(表3参照)。
【0096】 (表3) 50mMナイアシンアミドの存在下での粘度[cSt]
【0097】
【表3】 (実施例7) (二つの独立したウイルス不活化工程を有する、本発明による液体急速凍結−
組織接着剤の製造) この製造は滅菌濾過までは実施例6と同様に行われた。その後滅菌濾過溶液を
無菌条件下でもう一度凍結乾燥し、溶解して濃縮組織接着剤溶液にし、最終容器
(使い捨て注射器)に充填し、急速凍結状態で保存した。このような製剤を使用
前に融解しさえすればよい。
【0098】 上記のすぐに使用できる組織接着剤溶液は、実施例6の溶解した製剤と同じ特
性をもっていた。
【0099】 滅菌濾過し希釈した組織接着剤溶液を再び凍結乾燥して濃縮状態に溶解する代
わりに、それをおだやかな真空下で直接蒸発させ、濃縮した組織接着剤溶液にし
てもよい。
【0100】 (粘度測定法) 測定法を標準化するために、組織接着剤溶液の試料を最初に≦−20℃で凍結
する。その粘度を測定するために、その試料を所望測定温度の水浴中で融解し、
約30分間この温度でインキュベートし、それからその粘度を温度制御した毛細
管粘度計で測定する。その後上記試料を上記粘度計においてより高温度でインキ
ュベートし得、その温度で測定を繰り返し得る。個々の測定は温度を上げながら
連続的に行われる。これとは逆の順序で測定した場合、偽りの数値(低すぎる)
が得られ得る。なぜならば温度を下げていく場合には、遅くにしか平衡に達しな
いからである。
【0101】 (実施例8) 血漿寒冷沈降物を実施例1と同様に溶解し、pHを7.3に調節し、それを濾
過して澄明にした。実施例1と同様に、この溶液のアリコートを、β−アラニン
及びエタノールを含む溶液と混合し(ただし室温でなく0℃で)、その際各場合
にエタノール濃度は2%(v/v)で、β−アラニン濃度は0−1M範囲の種々
異なる濃度になるようにした。生成した沈殿物を実施例1と同様に遠心分離して
取り、分析した。図3において、β−アラニン濃度に依存した関係にある比Fn
/Fbgが、グラフに示される。
【0102】 (表4) 沈殿混合物中のβ−アラニン含量に対する沈殿物のタンパク質組成の依存関係
【0103】
【表4】 実施例2と同様に、この実施例も、β−アラニン等のそれ自体が公知のタンパ
ク質沈殿剤が、エタノールと組み合わせて用いた場合、沈殿剤として作用するだ
けでなく、或る条件下では、例えばβ−アラニンはフィブロネクチンの溶解剤と
しても作用し得ることを示している。
【0104】 下記の実施例9−11は、先行技術によって得られる製剤の比較組成を示す。
【0105】 (実施例9) 血漿寒冷沈降物を実施例1のように溶解した。0℃で攪拌しながら、β−アラ
ニンを最終濃度2Mまで添加した。形成したタンパク質沈殿物を遠心分離で取り
出し、そして実施例1と同様に分析した。フィブリノーゲンの相対含量は総タン
パク質の74%の量に達し、フィブロネクチンの相対含量は16%に達した。従
って、比Fn/Fbgは0.22であった。
【0106】 (実施例10) 血漿寒冷沈降物を実施例1のように溶解した。0℃で攪拌しながら、エタノー
ルを最終濃度2%(w/v)まで添加した。形成したタンパク質沈殿物を遠心分
離で取り出し、そして実施例1と同様に分析した。フィブリノーゲンの相対含量
は総タンパク質の67%の量に達し、フィブロネクチンの相対含量は29%に達
した。従って、比Fn/Fbgは0.43であった。
【0107】 (実施例11) 血漿寒冷沈降物を実施例1のように溶解した。0℃で攪拌したしながら、エタ
ノールを最終濃度2%(w/v)まで添加した。形成したタンパク質沈殿物を遠
心分離で取り出し、再び溶解し、そして0℃で攪拌しながらβ−アラニンをこの
溶液に最終濃度2Mまで添加した。形成したタンパク質沈殿物を再び遠心分離で
取り出し、そして実施例1と同様に分析した。フィブリノーゲンの相対含量は総
タンパク質の77%の量に達し、フィブロネクチンの相対含量は16%に達した
。従って、比Fn/Fbgは0.21であった。
【0108】 実施例9−11は、先行技術で公知の方法では、1回の工程でも、あるいはま
た複数の連続的な工程でも、所定のFn/Fbg比のタンパク質混合物に到達す
ること(例えば、β−アラニンとエタノールとの組合せを実施例8で用いた濃度
で用いた場合、0.23−0.34の範囲の比率に到達すること)は不可能であ
ることを示す。。
【0109】 (実施例12) 血漿寒冷沈降物を実施例1のように溶解し、pHを7.3に調節し、そしてこ
れを濾過して浄化した。実施例1と同様に、この溶液のアリコートをβ−アラニ
ンおよび硫酸アンモニウムを含む溶液と混合し、各場合においてβ−アラニン濃
度が1Mとなり、しかも異なる硫酸アンモニウム濃度が5−15%(w/v)の
範囲となるようにした。形成された沈殿物を実施例1と同様に遠心分離で取り出
し、そして分析した。結果を表5にまとめる。図4において、硫酸アンモニウム
濃度に依存するFn/Fbgの比がグラフで示される。
【0110】 (表5) 沈殿混合物中の硫酸アンモニウム含量に対する沈殿物のタンパク質組成の依存
関係(β−アラニン濃度:1M)
【0111】
【表5】 実施例1と同様に、この実施例は、タンパク質沈殿物を血漿タンパク質混合物
から、2つの成分(ここではβ−アラニンと硫酸アンモニウム)を含む沈殿組成
物を用いて単一の沈殿によって得ることができるやり方を示し、このタンパク質
沈殿物は可変量のフィブロネクチンを含み、ここでFn/Fbgの比は、成分の
濃度および互いの比を各々適切に選択することによって、所望に応じて特定の範
囲内で(例えば、実施例12に従って成分を選択すると0.07と0.21との
間の範囲で)調節できる。
【0112】 (実施例13) 血漿寒冷沈降物を実施例1のように溶解し、pHを7.3に調節し、そしてこ
れを濾過して浄化した。実施例1と同様に、この溶液のアリコートをβ−アラニ
ンおよび硫酸アンモニウムを含む溶液と混合し、各場合において硫酸アンモニウ
ム濃度が5%(w/v)となり、しかも異なるβ−アラニン濃度が0.6−1.
4Mの範囲となるようにした。形成された沈殿物を実施例1と同様に遠心分離で
取り出し、そして分析した。図5において、β−アラニン濃度に依存するFn/
Fbgの比がグラフで示される。
【0113】 (表6) 沈殿混合物中のβ−Ala含量への沈殿物のタンパク質組成の依存関係(硫酸
アンモニウム濃度:1M)
【0114】
【表6】 実施例2と同様に、この実施例は、それ自体公知のタンパク質沈殿剤(例えば
β−アラニン)を、硫酸アンモニウムと組み合わせて用いた場合、沈殿剤として
作用するだけではなく、特定の条件下では、β−アラニンは、例えば、フィブロ
ネクチンの溶解剤としても作用し得ることを示す。
【0115】 以下の実施例14−16は先行技術に従って得られる製剤の比較のための組成
を示す。
【0116】 (実施例14) 血漿寒冷沈降物を実施例1のように溶解した。室温で攪拌しながら、β−アラ
ニンを最終濃度2Mまで添加した。形成したタンパク質沈殿物を遠心分離で取り
出し、そして実施例1と同様に分析した。フィブリノーゲンの相対含量は総タン
パク質の82%の量に達し、フィブロネクチンの相対含量は1%に達した。従っ
て、比Fn/Fbgは0.01であった。
【0117】 (実施例15) 血漿寒冷沈降物を実施例1のように溶解した。室温で攪拌しながら、硫酸アン
モニウムを最終濃度15%(w/v)まで添加した。形成したタンパク質沈殿物
を遠心分離で取り出し、そして実施例1と同様に分析した。フィブリノーゲンの
相対含量は総タンパク質の76%の量に達し、フィブロネクチンの相対含量は1
6%に達した。従って、比Fn/Fbgは0.21であった。
【0118】 (実施例16) 血漿寒冷沈降物を実施例1のように溶解した。室温で攪拌しながら、硫酸アン
モニウムを、硫酸アンモニウム濃度5%(w/v)まで添加した。形成したタン
パク質沈殿物を遠心分離で取り出し、再び溶解し、そして室温で攪拌しながらβ
−アラニンをこの溶液に最終濃度2Mまで添加した。形成したタンパク質沈殿物
を再び遠心分離で取り出し、そして実施例1と同様に分析した。フィブリノーゲ
ンの相対含量は総タンパク質の84%の量に達し、フィブロネクチンの相対含量
は1%に達した。従って、比Fn/Fbgは0.01であった。
【0119】 実施例14−16は、先行技術で公知の方法では、1回の工程でも、あるいは
また複数の連続的な工程でも、所定のFn/Fbg比のタンパク質混合物に到達
すること(例えば、β−アラニンと硫酸アンモニウムとの組合せを実施例13で
用いた濃度で用いた場合、0.04−0.19の範囲の比率に到達すること)は
不可能であることを示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、沈殿混合物中のPEG濃度に対する沈殿物中のフィブロネクチンのフ
ィブリノーゲンに対する比(Fn/Fbg)の依存関係を示す(グリシン濃度:
1M)。
【図2】 図2は、沈殿混合物中のグリシン濃度に対する沈殿物中のフィブロネクチンの
フィブリノーゲンに対する比(Fn/Fbg)の依存関係を示す(PEG濃度:
6.5%(重量/体積))。
【図3】 図3は、沈殿混合物中のβ−アラニン濃度に対する沈殿物中のフィブロネクチ
ンのフィブリノーゲンに対する比(Fn/Fbg)の依存関係を示す(エタノー
ル濃度:2%(重量/体積))。
【図4】 図4は、沈殿混合物中の硫酸アンモニウム濃度に対する沈殿物中のフィブロネ
クチンのフィブリノーゲンに対する比(Fn/Fbg)の依存関係を示す(β−
アラニン濃度:1M)。
【図5】 図5は、沈殿混合物中のβ−アラニン濃度に対する沈殿物中のフィブロネクチ
ンのフィブリノーゲンに対する比(Fn/Fbg)の依存関係を示す(硫酸アン
モニウム濃度:5%(重量/体積))。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 14/78 A61L 15/04 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C R,CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI ,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID, IL,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,K Z,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA ,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ, PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,S K,SL,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG ,US,UZ,VN,YU,ZA,ZW Fターム(参考) 4C081 AA02 AA12 AB19 AC04 BA16 CD171 CD18 CE02 CE03 DA02 DA05 4H045 AA10 AA20 CA42 DA65 EA24 GA05 GA10

Claims (31)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フィブリノーゲンおよびフィブロネクチンを含むタンパク質
    組成物の製造方法であって、フィブリノーゲンおよびフィブロネクチンを含有す
    る出発溶液をフィブリノーゲンおよび/またはフィブロネクチンの溶解度を改変
    する2つの異なる成分を含む沈殿組成物で処理し、その結果、単一工程の沈殿に
    おいてフィブリノーゲンおよびフィブロネクチンを含む沈殿物が形成され、そし
    て形成された該沈殿物は、必要に応じて、それ自体が公知の方法によってさらに
    処理される、方法。
  2. 【請求項2】 得られた前記タンパク質組成物が、それ自体が公知の方法に
    よって、薬学的製剤へと、特に組織接着剤へと処方される、請求項1に記載の方
    法。
  3. 【請求項3】 血漿、特にヒト血漿、またはフィブリノーゲンおよびフィブ
    ロネクチンを含有する血漿画分、好ましくは寒冷沈降物由来の溶液が、前記出発
    溶液を調製するための出発材料として用いられる、請求項1または2に記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 前記溶解度を改変する成分が、4個までの炭素原子を有する
    アルコール、無機塩、有機塩、有機ポリマー、ポリオール、特にポリアルキレン
    グリコール、ポリエーテルおよびアミノ酸からなる群から選択される、請求項1
    〜3のうちのいずれか1項に記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記溶解度を改変する成分が、エタノール、ポリエチレング
    リコール、硫酸アンモニウム、硫酸アルカリまたはアミノ酸、特にグリシンまた
    はアラニンである、請求項1〜4のうちのいずれか1項に記載の方法。
  6. 【請求項6】 前記沈殿組成物がポリアルキレングリコールを含み、そして
    ポリアルキレングリコールが前記出発溶液と、最終濃度1〜12%(重量/体積
    )に、好ましくは4〜8%(重量/体積)に混合される、請求項1〜5のうちの
    いずれか1項に記載の方法。
  7. 【請求項7】 前記沈殿組成物が1種以上のアミノ酸を含み、そして前記出
    発溶液と、最終濃度0.5〜3Mに、好ましくは0.75〜2Mに、特に0.7
    5〜1.5Mに混合される、請求項1〜6のうちのいずれか1項に記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記沈殿組成物が液体形態で混合される、請求項1〜7のう
    ちのいずれか1項に記載の方法。
  9. 【請求項9】 プラスミノゲンが大部分上清に残る沈殿組成物が用いられる
    、請求項1〜8のうちのいずれか1項に記載の方法。
  10. 【請求項10】 前記出発材料のさらなる成分、特に第XIII因子もまた
    、前記沈殿組成物によって沈殿する、請求項1〜9のうちのいずれか1項に記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 前記出発材料および/または前記出発溶液が病原体、特に
    ウイルスおよび/またはプリオンの非存在に関してチェックされる、請求項1〜
    10のうちのいずれか1項に記載の方法。
  12. 【請求項12】 存在する可能性のある病原体の不活化または枯渇のための
    少なくとも1工程が、前記沈殿の前または後に行われる、請求項1〜11のうち
    のいずれか1項に記載の方法。
  13. 【請求項13】 熱処理、溶媒による処理、界面活性剤による処理またはこ
    れらの処理の組合せが不活化のために行われる、請求項1〜12のうちのいずれ
    か1項に記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記枯渇が、濾過、特に限外濾過によって、好ましくはウ
    イルス結合剤の存在下で行われる、請求項12または13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 さらなる成分、特に線維素溶解阻害剤、第XIII因子、
    抗生物質、増殖因子、疼痛軽減物質、抗炎症剤またはそれらの混合物が、前記単
    一工程沈殿の後に前記タンパク質組成物に混合される、請求項1〜14のうちの
    いずれか1項に記載の方法。
  16. 【請求項16】 前記タンパク質組成物または薬学的製剤がさらなる処理の
    過程で急速凍結または凍結乾燥される、請求項1〜15のうちのいずれか1項に
    記載の方法。
  17. 【請求項17】 請求項1〜16のうちのいずれか1項に記載の方法に従っ
    て得られる、フィブリノーゲンおよびフィブロネクチンを含むタンパク質組成物
  18. 【請求項18】 凍結乾燥形態、液体形態、または液体急速凍結形態で存在
    する、請求項17に記載のタンパク質組成物。
  19. 【請求項19】 少なくとも1つの線維素溶解阻害剤がその中に含まれる、
    請求項17または18に記載のタンパク質組成物。
  20. 【請求項20】 第XIII因子がその中に含まれる、請求項17〜19の
    うちのいずれか1項に記載のタンパク質組成物。
  21. 【請求項21】 0.02〜0.5の範囲、好ましくは0.02〜0.25
    の範囲、また好ましくは0.02〜0.2の範囲、より好ましくは0.04〜0
    .16の範囲、特に0.1であるフィブリノーゲンに対するフィブロネクチンの
    比を有する、請求項17〜20のうちのいずれか1項に記載のタンパク質組成物
  22. 【請求項22】 そのプラスミノゲン含量が、多くても1.6mg/gフィ
    ブリノーゲン、好ましくは0.8mg/gフィブリノーゲン未満、最も好ましく
    は0.3mg/gフィブリノーゲン未満である、請求項17〜21のうちのいず
    れか1項に記載のタンパク質組成物。
  23. 【請求項23】 活性物質、例えば抗生物質、増殖因子または疼痛軽減物質
    あるいはそれらの組合せがその中に含まれる、請求項17〜22のうちのいずれ
    か1項に記載のタンパク質組成物。
  24. 【請求項24】 請求項17〜23のうちのいずれか1項に記載のタンパク
    質組成物であって、 a)溶液として、少なくとも70mgフィブリノーゲン/mlを含むか、あるい
    は再構成または液化されて、各々、このような溶液となり得、 b)20℃で、好ましくは500mOsm未満、最も好ましくは400mOsm
    未満の浸透圧モル濃度にて、多くて350cStの粘度を有し、 c)トロンビン−CaCl2溶液と混合した後、生理学的フィブリン構造の不透
    明な凝塊を形成し、そして d)ベンゼン含有基、ピリジン含有基、ピペリジン含有基、ピリミジン含有基、
    モルホリン含有基、ピロール含有基、イミダゾール含有基、ピラゾール含有基、
    フラン含有基、チアゾール含有基またはプリン含有基を有する溶解度を向上させ
    る物質の添加を含まない、 タンパク質組成物。
  25. 【請求項25】 請求項17〜23のうちのいずれか1項に記載のタンパク
    質組成物であって、 a)溶液として、少なくとも70mgフィブリノーゲン/mlを含むか、あるい
    は再構成または液化されて、各々、このような溶液となり得、 b)20℃で、好ましくは500mOsm未満、最も好ましくは400mOsm
    未満の浸透圧モル濃度にて、多くて150cStの粘度を有し、 c)トロンビン−CaCl2溶液と混合した後、生理学的フィブリン構造の不透
    明な凝塊を形成し、そして d)ベンゼン含有基、ピリジン含有基、ピペリジン含有基、ピリミジン含有基、
    モルホリン含有基、ピロール含有基、イミダゾール含有基、ピラゾール含有基、
    フラン含有基、チアゾール含有基またはプリン含有基を有する1つまたはいくつ
    かの可溶化物質を全体で多くて150mMの濃度で含む、 タンパク質組成物。
  26. 【請求項26】 組織接着、止血および/または創傷治癒のための、請求項
    17〜25のうちのいずれか1項に記載のタンパク質組成物の使用。
  27. 【請求項27】 フィブリンをベースとするバイオマトリックスを製造する
    ための、請求項17〜26のうちのいずれか1項に記載のタンパク質組成物の使
    用。
  28. 【請求項28】 前記バイオマトリックスが、フィルム、不織布および/ま
    たはスポンジとして形成される、請求項27に記載の使用。
  29. 【請求項29】 前記バイオマトリックスが細胞、特にヒト細胞の増殖に適
    している、請求項27または28に記載の使用。
  30. 【請求項30】 創傷の被覆のため、および/または組織代用物、特に皮膚
    代用物としての、請求項27〜29のうちのいずれか1項に記載のバイオマトリ
    ックスの使用。
  31. 【請求項31】 請求項17〜25のうちのいずれか1項に記載のタンパク
    質組成物から得られる、バイオマトリックス。
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