JP2002534476A - 胎児性腎臓移植片機能改善のための組成物および方法 - Google Patents

胎児性腎臓移植片機能改善のための組成物および方法

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JP2002534476A JP2000593323A JP2000593323A JP2002534476A JP 2002534476 A JP2002534476 A JP 2002534476A JP 2000593323 A JP2000593323 A JP 2000593323A JP 2000593323 A JP2000593323 A JP 2000593323A JP 2002534476 A JP2002534476 A JP 2002534476A
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マーク・アール・ハマーマン
シャロン・エイ・ロジャーズ
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Abstract

(57)【要約】 胎児性後腎組織をレシピエントへ移植した際に得られる腎機能量を増加させるように処理するための方法および組成物を開示する。本発明は、単離された胎児性後腎および後腎の発達のための成長因子を1またはそれ以上含有する成長因子含有組成物の組み合わせを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、国立衛生研究所許可/連絡番号P50 DK45181による政府
の支援の下に為された。米国政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【0002】 (発明の背景) 後腎はヒトでは妊娠5週目に、ラット発生においては胎生12日目に、そして
豚発生においては胎生20-28日目に形成される。このとき、尿管芽と呼ばれ
る中腎管からの派生物が、その末端の周辺、中腎の尾側に位置する中間中胚葉(
後腎胚種質)に集合する。派生物は後腎胚種質の実質を放射状に押し、腎臓の集
合管が生じる。尿管芽の近位末端から尿管および腎盤が生じる。後腎胚種質は成
人のネフロン中、集合管系を除く全ての尿細管系へと分化する。腎糸球体血管の
起源の一部は、後腎外である。
【0003】 後腎臓器培養研究により、インビトロにおける腎臓の発達は、発達する臓器中
における複数のポリペプチドの発現に依存していることが示されている。トラン
スフォーミング成長因子α(TGF-α)、肝細胞成長因子(HGF)、インシ
ュリン様成長因子I(IGF I)またはインシュリン様成長因子II(IGF
II)のうちのいずれかの発現または作用をブロックすると、インビトロにおけ
る後腎の成長および発達が阻害される (Hammerman M.R. (1995), Seminars in N
ephrology 15:291-299)。血管内皮成長因子(VEGF)もまた、発達する腎臓
により産生される。インビボでVEGF活性をブロックすると、腎臓血管新生が
阻害される(Kitamano et al. (1997), J. Clin. Invest. 99:2351-2357)。イン
ビトロで発達中の後腎をビタミンAに暴露すると、糸球体腎炎が誘導される(Vil
ar et al. (1995), Kidn. Intl. 49:1478-1487)
【0004】 哺乳類において腎臓の発達が完了した後は、新たなネフロンが生成されること
はない。腎臓機能部分の消失は成人腎臓障害が、残存ネフロンの肥大および機能
亢進により短期間修復された後に生じる。しかしながら、このような修復的変化
は一過性であり、ある条件下では不適応を生じ、さらに腎機能が消失することも
ある。
【0005】 慢性腎不全の末期症状には米国においてだけでも300,000名もの人々が
悩まされており、これらの人々のほとんどは、かなり割合で透析を用いた治療を
受けている。他の治療には、同種腎臓移植があるが、これは移植のための臓器の
数により限りがある。臓器の入手可能性の低さという問題に対する解決策のひと
つは、異種腎臓移植である。現在まで行われた臨床上の異種腎臓移植は、霊長類
をドナーとして用いたものである、というのは、系統発生学的にはより近い種に
おいて、異種移植がより容易に受容されるからである。霊長類を腎臓のドナーと
して用いた臨床試験は1960年代から行われている。しかしながら、腎臓の異
種移植は不満足な結果に終わっており、この技術は30年の間単なる実験上のも
のにとどまっている。
【0006】 臓器不足を解消するためのその他の解決策としては、発達期の腎臓の移植(後
腎同種または異種移植)を行うことである。発達期の後腎を成体動物に同種移植
することは、複数の研究者により試みられている。Woolf et al. (1990), Kidn.
Intl. 38:991-997)は胎生(E)13-E14マウス由来の後腎のトンネル様切
片を、異系交配マウス新生仔の腎皮質へ移植した。ドナーのネフロンの分化およ
び成長がホスト腎内で生じた。糸球体内には血管新生が認められ、成熟近位尿細
管が形成され、後腎管の腎髄質中への延長が観察された。ドナーのネフロンにお
ける糸球体濾過作用を、蛍光ラベルしたデキストランを近位尿細管への濾過マー
カーとして用いて測定した。しかしながら、血漿浄化が生じるために必要な、ド
ナーのネフロンとホストの集合管系への接続は認められなかった。新生仔マウス
のケースとは違い、成体マウス腎臓内へ移植した後腎組織は成長も分化もせず、
ほとんど分化しない腫瘍に似た塊として腎皮膜下へ突出していた。これによって
、未分化髄質片縁(造腎性部分)を有している新生仔腎は、胎児性移植片を分化
させ得るが、完全に分化した成体腎にはその能力が無いことがわかる。
【0007】 Abrahamson et al. (1991), Lab. Invest 64:629-639はE17ラット胎児由来
の後腎を、5匹の成体ラットホストの腎皮膜下へ移植した。移植後9-10日目
までに、全ての移植片に血管新生が認められ、新しいネフロンが糸球体から誘導
され、尿細管細胞分化が生じた。移植された後腎からの糸球体は、ホスト腎の径
の2/3しかなくこれと区別できるものであった。抗ラミニンIgGのホスト血
管内投与により、移植腎の糸球体構成要素がラベルされたことから、ホストの血
管が移植片へ灌流していることが示された。
【0008】 Robert et al. (1996), Am. J. Physiol. 271:F744-F753はE12マウス胎児
の後腎を成体および新生仔ROSA26マウスホストの腎皮質内へ移植した。R
OSA26マウスは一様にβ-ガラクトシダーゼ導入遺伝子を発現しており、こ
れは組織切片の染色により同定することができるので、ホスト組織と移植片を区
別することができる。新生仔および成体ホストのいずれへ移植したものも、移植
後7日目に観察したところ、ドナーおよびホスト両方に由来する血管新生が認め
られた。
【0009】 Koseki et al. (1991), Am. J. Physiol C550-C554は、Lac Zレポーター
遺伝子をレトロウイルスによりトランスフェクトしたラットの腎原発性間葉組織
細胞を、新生仔ラットの腎皮膜下に移植した。
【0010】 Armstrong et al. (1993) Exp. Nephrol. 1:168-174は先にマウスの腎皮膜下
に移植された後腎中に嚢胞が生成することを報告している。著者らは発達したド
ナーの後腎中に嚢胞があることと、ドナーとホストの集合管系とが結合しないこ
とを結びつけて、移植された後腎が皮膜下部位で妨害されている可能性を指摘し
ている。
【0011】 Barakat and Harrison (1971), J. Anat. 110:393-407は胎生ラット後腎を近
縁種および近縁でない種の成体ラットの腹壁皮下部位に移植した。移植片へのリ
ンパ球の浸潤、および移植片の繊維化が近縁および非近縁ラットの両方で生じた
が、非近縁ラットのほうが発生が早かった。
【0012】 成長因子を移植片拒絶を減少させ、移植片の機能を向上させるために用いた。
Czarnieckiらの米国特許第5135915号は、移植片を移植前にトランスフォ
ーミング成長因子を含有する処方中に数分から数日の間浸けることを開示する。
TGF-βによる前処理も移植片の拒絶を減少させるとの評判である。Halloran
の米国特許第5728676号はインシュリン様成長因子(IFG)を臓器移植
の前、最中および後に、移植拒絶を抑制する目的のために投与することを開示し
ている。イヌの自家移植モデルにおいては、IGF Iを添加した保存液に取り
出した腎臓を24時間浸け、その後同じイヌに戻した場合に、移植後最初の5日
間の腎機能が顕著に改善された(Petrinec et al. (1996), Surgery 120(2):221-
226)
【0013】 (発明の要旨) 胎児性後腎組織をレシピエントに移植した際に得られる機能性腎量を増加させ
るための方法および組成物を開示する。本発明は、単離された胎児性後腎組織を
、1またはそれ以上の後腎発達のための成長因子を含む成長因子含有組成物と共
に含む。かかる成長因子としては、以下に限定されないがインシュリン様成長因
子I(IGF I)、インシュリン様成長因子II(IGF II)、血管内皮成
長因子(VEGF)、トランスフォーミング成長因子アルファ(TGFα)、ト
ランスフォーミング成長因子ベータ(TGFβ)、肝細胞成長因子(HGF)、
繊維芽細胞成長因子類(FGF類)、血小板由来成長因子(PDGF)、神経成
長因子(NGF)、ビタミンA、成長ホルモン(GH)、レチノイン酸(RA)
、タムホースフォール糖タンパク質(tamm Horsfall glycoprotein(THG)、
上皮成長因子(EGF)、白血病抑制因子(LIF)、アンジオポエチン1およ
び2、および骨形成タンパク質類(bone morphogenetic proteins(BMPs)
が含まれる。
【0014】 本発明はさらに、成長因子含有組成物により予め処理された胎児性後腎組織を
提供する。かかる組織は発達能を有しており、この発達能はかかる処理をされて
いない胎児性後腎組織と相違する。さらに詳細には、1またはそれ以上の成長因
子で処理された後腎組織の腎発達または機能は、かかる処理をされていない後腎
組織と比して増強される。
【0015】 本発明にはまた、胎児性後腎組織をレシピエント内へ移植する前、即ちエキソ
ビボでの成長および発達のための医薬品を調製するために、成長因子含有組成物
を使用することを提供する。かかる組成物には後腎発達のための少なくとも1の
成長因子が含まれている。かかる成長因子としては以下に限定されないがインシ
ュリン様成長因子I、インシュリン様成長因子II、血管内皮成長因子、トラン
スフォーミング成長因子アルファ、トランスフォーミング成長因子ベータ、肝細
胞成長因子、繊維芽細胞成長因子類、血小板由来成長因子、神経成長因子、ビタ
ミンA、成長ホルモン、レチノイン酸、タムホースフォール糖タンパク質(tamm
Horsfall glycoprotein) 、上皮成長因子、白血病抑制因子(LIF)、アン
ジオポエチン1および2、および骨形成タンパク質類(BMPs)が含まれる。
【0016】 本発明の他の態様は、かかる成長因子含有組成物の、胎児性後腎組織の成長お
よび発達を増強するための医薬品であって、レシピエントへの移植後に使用する
ものの製造における使用である。本発明の一部の態様においては、成長因子組成
物にはIGF Iを含まない。
【0017】 レシピエント内へ移植した後に後腎組織を処置する、インビボ方法もまた開示
される。この方法には、1またはそれ以上のIGF I以外の成長因子を含有す
る成長因子組成物を組織と接触させることを含む。本発明の一部の態様において
は、移植時の処置にVEGFを含有しない成長因子組成物が用いられる。
【0018】 また別の態様において、成長因子組成物は1または複数の成長因子を含有する
が、IGF Iおよび/またはVEGFは含まない場合がある。しかしながら、
2またはそれ以上の成長因子を含み、第2の成長因子がIGF Iおよび/また
はVEGFから選択される組み合わせもまた、本発明に含まれる。
【0019】 (発明の詳細な解説) 欧州特許公開公報第0853942A2に記載されている方法を本発明に適用
することができ、この文献は引用により本願に含まれる。まとめると、このEP
O公開公報は後腎組織を哺乳類胎児ドナーから同種または異種哺乳類レシピエン
トへの移植について開示するものである。レシピエントは幼若もしくは成体のど
の発達段階にあってもよい。好ましいレシピエントは、腎機能が弱ったヒトであ
る。後腎組織は適当な発達段階にあるドナー、典型的には後腎形成の1から5日
後以内のドナーから採取し、そしてレシピエントの腹腔中、好ましくはホスト腎
臓の隣接部位もしくはホスト腎臓の腎皮膜下に移植する。後腎組織は成長し、血
管が新生され、大部分のレシピエントにおいてキメラ腎が生成する。キメラ腎は
尿管を含む成熟構造へ発達し、尿管がホストの排泄系とつながることによりキメ
ラ腎で生成した尿は排泄される。ラット後腎を、近交系でない成体ラットホスト
の腹腔内へ同種移植した実験において、後腎組織は移植後32週までホストに拒
絶されず、機能するキメラ腎へと発達した。これに対して、成体ドナーからの発
達した腎臓を非近交系ラットホストへ移植した場合には、7日以内に拒絶された
。レシピエントによる後腎組織中への血管新生により、移植の許容度が増すと考
えられる。
【0020】 さらに、EPO審判番号0853942号はインシュリン様成長因子I(IG
F I)をすでにレシピエント中へ移植された胎児性後腎の成長および発達を増
強する目的のために用いることを開示する。詳細には、IGF Iを尿管尿管吻
合術中に連続的に注入する。さらに、血管内皮成長因子(VEGF)を移植部位
へ移植時に投与することによって血管新生を促進することも開示されている。
【0021】 本発明は後腎組織を移植の前、最中および/または後に成長因子により処理す
ることによって、キメラ腎の発達および機能が増強されるという知見に関する。
さらに、ホスト腎組織をドナーの後腎の移植前に除くことにより、キメラ腎の発
達がさらに増強される。
【0022】 本明細書において後腎発達のための「成長因子」という語句は、後腎組織の成
長、増殖および/または分化を促進するいかなる分子をも含むものとする。即ち
、この語句は成長因子、成長因子受容体に結合するリガンド、ビタミン、および
その他後腎組織の発達を補助する分子を包含する。この語句は、後腎組織のドナ
ーまたは移植されるレシピエントのいずれかにおける、後腎発達のための成長因
子の内因性産生を刺激する分子も含む。例えば、成長ホルモンはIGF Iの産
生を刺激することが知られている。特定の成長因子が後腎発達に関与しているか
どうかについては、本明細書において説明した方法を用いたルーチンの実験で容
易に決定できる。
【0023】 現在好ましいとされている成長因子には、タムホースファール糖タンパク質(
THG)、トランスフォーミング成長因子α、上皮成長因子(EGF)およびア
ンフィレグリン(amphiregulin)などのEGF受容体のリガンド、
インシュリン様成長因子類(IGFs)特にIGF IおよびIGF II、繊維
芽細胞成長因子類、特にFGF2、血小板由来成長因子、白血病抑制因子(LI
F)、アンジオポエチン1および2特にアンジオポエチン1、および骨形成タン
パク質類(BMPs)特にBMP7、ビタミンAおよびその誘導体、例えばレチ
ノイン酸;血管内皮成長因子(VEGF)、肝細胞成長因子(HGF)、神経成
長因子(NGF)、サイトカイン類、例えばTGF-βおよびTGF-βファミリ
ーの他の物質(Atrisano et al. (1994), J. Biochemica et Biophysica Acta 1
222:71-80参照)および成長ホルモン(GH)(Hammerman, M.R. (1995), Semin
ars in Nephrology参照)が例示される。その他の成長因子としては、亜セレン
酸ナトリウム、トランスフェリンおよびプロスタグランジンE(PGE)が
挙げられる。この後腎成長因子の説明に記載した各用語は、そのファミリーの全
ての物質を含むことを意図する。例えば、繊維芽細胞成長因子ファミリーは少な
くとも15の構造上関連したポリペプチド成長因子からなる(Szebenyi and Fall
on (1999) Int. Rev. Cytol., 185:45-106)。既知の方法を用いて、特定の因子
が後腎の成長因子として働くか否かを容易に調べることができる。例えば、後腎
培養物中において、特定の因子の作用があるのなら、これをブロックするのに抗
体を用いることができる。抗体でブロックしたものとコントロールとを比較した
場合の発達の抑制の有無により、該因子が後腎の成長因子として作用するか否か
が示される。他には、添加物の存在下および不存在下での後腎の培養物の発達を
比較するという手段も用い得る(Hammerman et al. (1993), Pediatr Nephrol 7
(5):616-620); Hammerman MR (1995), Seminars in Nephrology 15:291-299; Sc
hofield PN and Boulter CA (1996), Exp'l Nephrology 4:97-104; Pugh et al.
(1995), Kidney Int 47(3):774-781); Humes et al. (1991), Lab Invest 64(4
):538-545); および Vilar et al. (1996), Kidney Int. 49(5):1478-1487参照)
【0024】 成長因子の候補となる物質の作用は、あるとすれば、(1)該因子で前処理さ
れた;(2)移植術中、該因子に接触させた;(3)移植後に該因子に接触させ
た;および(4)尿管尿管吻合術時に接触させたものである、移植された後腎を
試験して判断することもできる。移植された後腎の腎臓の発達および/または腎
機能を、かかる処理をされていないものと比較すればよい。腎臓の発達は腎臓の
重量、血管新生および腎組織、例えば腎糸球体、尿細管、腎乳頭および尿管など
、の形成により判断すればよい。腎機能はイヌリンまたはクレアチニンクリアラ
ンスにより測定し得る。「成長因子」で処理された後腎組織は未処理後腎と、移
植後の腎発達および/または腎機能に寄与する能力が増強されるという点で区別
される。
【0025】 後腎は、その発達を増強する単一の成長因子で処理しても、成長因子の組み合
わせをそれぞれ順に投与してもまたは成長因子カクテルとして投与して処理して
もよい。好ましい成長因子カクテルには2またはそれ以上の以下の成長因子が含
まれる:レチノイン酸(RA)、タムホースフォール糖タンパク質 (THG)
、上皮成長因子(EGF)、神経成長因子、繊維芽細胞成長因子類、特にFGF
2、血小板由来成長因子(PDGF)、白血病抑制因子(LIF)、アンジオポ
エチン1および2、特にアンジオポエチン1、および骨形成タンパク質類(BM
Ps)特にBMP7、IGF I、IGF II、TGF-α、TGF-β、HGF
および/またはVEGF。トランスフェリン、PGE1、亜セレン酸ナトリウム
および成長ホルモンもまた、いくつかの態様において用いることができる。成長
因子は生理的に許容される溶液中に溶解し、ここへ後腎を浸漬すればよい。
【0026】 ダルベッコの改変イーグル培地とハムのF12の50:50混合物など、さま
ざまな細胞培養用培地を用いることができる。生理的食塩水もまた好適に用いる
ことができ、特に成長因子を移植術中もしくは移植術後に移植レシピエントへ投
与する場合にはこれが好ましい。成長因子は通常約1fg/mlから1mg/m
lの濃度範囲のものが用いられる。ほとんどの成長因子においては1から10n
g/mlの濃度で十分である。特定の成長因子の最適濃度を決定するために簡単
な力価決定法を行えばよい。
【0027】 好ましい一態様において、胎児性後腎組織を以下の物質を1またはそれ以上含
む成長因子組成物: 10−7M IGF I;10−7M IGF II;10−8M TGFα;1
−9M HGF;5-25μg/25μl VEGF;1μM RA;0.5μ
g/25μl FGF 2;0.25ng/25μl NGF;5μg/25μ
l THG;50-100ng/ml LIF;または1μg/25μl EG
Fにて処理する。他の態様において、成長因子組成物には1またはそれ以上の上
記成長因子を含有するが、特にIGF Iおよび/またはVEGFを含有しない
ものが用いられる。さらに他の態様において、成長因子組成物は2またはそれ以
上の成長因子を含有しており、第2成長因子がIGF Iおよび/またはVEG
Fである。
【0028】 好ましい一態様において、成長因子組成物はIGF I、IGF II、TGF
α、HGFおよびVEGFからなる群の物質からなる。これに代わる態様におい
ては、組成物は上記からIGF Iおよび/またはVEGFを除いた物質からな
る。
【0029】 好ましい一態様において、成長因子組成物はIGF I、IGF II、TGF
α、HGF、VEGFおよびRAからなる群の物質からなる。これに代わる態様
においては、組成物は上記からIGF Iおよび/またはVEGFを除いた物質
からなる。
【0030】 好ましい一態様において、成長因子組成物はIGF I、IGF II、TGF
α、HGF、VEGFおよびNGFからなる群の物質からなる。これに代わる態
様においては、組成物は上記からIGF Iおよび/またはVEGFを除いた物
質からなる。
【0031】 好ましい一態様において、成長因子組成物はIGF I、IGF II、TGF
α、HGF、VEGF、RAおよびNGFからなる群の物質からなる。これに代
わる態様においては、組成物は上記からIGF Iおよび/またはVEGFを除
いた物質からなる。
【0032】 好ましい一態様において、成長因子組成物はIGF I、IGF II、TGF
α、HGF、VEGF、RA、FGF2およびNGFからなる群の物質からなる
。これに代わる態様においては、組成物は上記からIGF Iおよび/またはV
EGFを除いた物質からなる。
【0033】 好ましい一態様において、成長因子組成物はIGF I、IGF II、TGF
α、HGF、VEGF、RA、FGF2、NGFおよびTHGからなる群の物質
からなる。これに代わる態様においては、組成物は上記からIGF Iおよび/
またはVEGFを除いた物質からなる。
【0034】 好ましい一態様において、成長因子組成物はIGF I、HGF、VEGF、
およびEGFからなる群の物質からなる。これに代わる態様においては、組成物
は上記からIGF Iおよび/またはVEGFを除いた物質からなる。
【0035】 好ましい一態様において、成長因子組成物はIGF I、IGF II、HGF
、VEGF、FGF2、およびEGFからなる群の物質からなる。これに代わる
態様においては、組成物は上記からIGF Iおよび/またはVEGFを除いた
物質からなる。
【0036】 好ましい一態様において、成長因子組成物はIGF I、TGFα、HGFお
よびVEGFからなる群の物質からなる。これに代わる態様においては、組成物
は上記からIGF Iおよび/またはVEGFを除いた物質からなる。
【0037】 本発明の方法は、胎児性後腎がレシピエントへ移植された後のその成長および
発達を増強するように、胎児性後腎を処置するために用いられる。胎児性組織は
移植前、移植中、移植後またはこれらを組み合わせた時期に処置すればよい。
【0038】 好ましい態様において、胎児性後腎組織は移植前に前処理される。「前処理」
という用語は本明細書では、単離された後腎を1またはそれ以上の成長因子を含
有する溶液中に接触させることを意味する。即ち、単離された後腎をエキソビボ
で処理し、前処理された組織が、1またはそれ以上の成長因子を含有する溶液と
接触されなかった組織と違った発達能を有するようにすることを意味する。
【0039】 好ましい態様において、胎児性後腎組織の移植中または移植後に1または複数
の成長因子を含有する組成物で処理される。かかる処置には、移植された後腎組
織を1または複数の成長因子と、移植時、移植後および/または尿管尿管吻合術
時に接触させる。
【0040】 移植時の処置には、後腎をインビボで1またはそれ以上の成長因子を含有する
溶液に浸けることが含まれる。この態様の一部において、成長因子組成物にVE
GFが含まれない。しかしながら、この態様においてVEGFを他の1またはそ
れ以上の他の成長因子と組み合わせて用いる場合もある。
【0041】 移植後の処置には1またはそれ以上の成長因子を含有する溶液をホストへ、例
えば浸透圧ポンプを用いて注入することを含む。尿管尿管吻合術時の処置は好ま
しくは後腎組織を外科手術時に該溶液へ浸けることである。好ましい態様におい
て、成長因子含有組成物を尿管尿管吻合術の後であるが、手術創が閉じる前に投
与する。この態様の一部において、成長因子組成物にはIGF Iを含まないも
のを用いる。しかしながら、この態様においてIGF Iを他の1またはそれ以
上の成長因子と組み合わせて用いる場合もある。
【0042】 移植術前に、後腎組織は1またはそれ以上の、適当な胎児発達期の哺乳類ドナ
ーより採取される。好ましくは後腎組織は後腎部の形成後すぐで、後腎に起因す
る、または後腎の内部もしくは外部からの血管が存在するようになる前のもので
ある。胎児性腎組織の発達段階の早すぎる時期に採取した場合、レシピエントに
移植した後、髪や腸などの非腎臓組織へと分化する可能性がある。組織採取時期
が、遅すぎて後腎が発達しすぎた場合、例えば腎組織に血管が認められる場合に
は、より抗原提示細胞および細胞表面抗原をより多く提示するようになり、それ
ゆえレシピエントによる拒絶される可能性がより高くなる。好ましくは、採取さ
れた後腎は後腎胚種質、尿管の断片およびネフロン前駆体を含んでおり、糸球体
を含まないものである。
【0043】 後腎を採取する好ましいステージはドナーの種による。一般に、後腎は後腎形
成1から5日後に採取される。好ましくは、後腎は後腎形成1から4日後に採取
され、より好ましくはより約2から4日後に、採取される。ラットにおいて、後
腎は妊娠12.5から22日目に形成され、マウスでは11から19日目である
。これらの種においては、ラットまたはマウスのドナーの後腎を採取する好まし
い時間枠は典型的には後腎が形成されて第2目から第4日目の間である。好まし
くは、後腎形成が生じた後3日以内に採取する。
【0044】 より長い妊娠期間を有する種において、後腎形成後に後腎を採取する好ましい
時間枠は長くなり得る。一般に、後腎が採取される時間枠は、ドナーの全妊娠期
間の約1/5未満であり、好ましくはドナーの全妊娠期間の約1/7未満であり
、より好ましくはドナーの全妊娠期間の役1/10未満である。表1に脊椎動物
の後腎の発達および妊娠期間(日数)を挙げた。
【0045】
【表1】
【0046】 ブタはヒトの異種移植ドナーとして好ましい、というのは臓器サイズが類似し
ており、入手しやすいからである。さらに、ブタの消化器系、循環器系、呼吸器
系および腎臓の生理学的特徴がヒトのものと非常に類似している。腎機能につい
ては、ミニブタの最大腎濃縮能(1080mOsm1-1)、全腎血流(3.0-4.
4ml min-1-1)および糸球体濾過速度(126-175ml min-1
0kg)は事実上ヒトと同等である(Sachs DH (1994), Veterinary Immunology
and Immunopathology 43:185-191参照)。移植片拒絶の危険性を減少させるため
に「ヒト化」するよう遺伝子を組替えたブタからの後腎を用いると、より有利で
ある(例えばPierson et al. (1997), J. Heart Lung Transplant 16:231-239)。
ブタの後腎は約10mmの段階で採取される。これはおよそ胎生期20日から胎
生期30日の間に生じる。ヒト組織を同種移植用として用いてもよい。
【0047】 後腎を解剖顕微鏡下で外科的に取り出し、適当な保持溶液、例えばダルベコの
改変イーグル培地とハムズF12培地の1:1混合物へ浸ける(Rogers et al. (19
91), J. Cell Biol. 113:1447-1453)、そして移植まで滅菌条件下に置く。無傷
の腎皮膜をつけたままの後腎全体を移植に用いるのが好ましい。レシピエントが
必要とするネフロン量増加度に応じて、1レシピエントあたり1またはそれ以上
の後腎を使用し得る。
【0048】 後腎を移植前に成長因子で処理する場合、成長因子を直接保持溶液へ添加して
もよい。前処理に用いる場合、成長因子組成物は驚くべき短時間で陽性効果を生
じる。移植片の発達における顕著な改良は、後腎組織をインビトロで成長因子と
24時間未満の期間接触させた場合に生じる。好ましくは後腎組織はインビトロ
で8時間未満、より好ましくは2時間未満の間、成長因子組成物と接触させる。
好ましいインビトロ処置の温度は0から10℃である。最適結果は通常、後腎組
織をレシピエントへ移植する前に、成長因子組成物と20から60分の短期間の
間、接触させた際に得られる。
【0049】 後腎組織移植のため、レシピエントの一方、もしくは両方の腎臓を剥き出しに
する手術を行う。腎臓移植の手術方法は当業者に良く知られている(例えばCohn
et al.(1982), Am. J. Physiol 24:F293-F299)。ドナーの後腎はレシピエント
の腎臓の腎皮膜下に移植するか、または網膜(omentum)の折りたたみ部分に移植
して、レシピエントの腎臓と独立して機能するキメラ腎を形成させてもよい。こ
こで網膜部は腸とつながっている膜状構造部分をいう。これは、移植に適した部
位であり、特に移植された後腎組織を、不調であるかまたは機能しない腎臓を、
移植時またはドナーの後腎組織が充分発達して充分に機能するキメラ腎を形成し
た後に除去してその代わりとしようとする場合に有用である。後腎組織を移植網
膜部へ移植することは、移植後に組織を成長因子で処置しようとする場合にも好
適である。移植後の成長因子処置の好ましい温度は37℃である。網膜はレシピ
エントの腎皮膜下より成長因子処置をはるかに行いやすい場所である。成長因子
を一定の速度で供給する浸透圧ポンプを移植組織の隣の網膜部へ設置してもよい
。または、レシピエントの移植部位近傍へ成長因子を定期的に注射しても、ある
いは成長因子を移植片を循環するレシピエント血中に存在させることによって供
給してもよい。
【0050】 ドナーの後腎を網膜のいずれの部分の近傍においてもよいが、網膜の折りたた
み部内に移植して、移植部位にて腎臓が発達するようにするのが好ましい。最も
好ましいのは、レシピエントの腎臓のいずれか一方の近傍、特に尿管近傍の網膜
の折りたたみ部に移植して、後腎から発達した尿管がレシピエントの排泄系と容
易に結合できるようにすることである。
【0051】 レシピエントの腎臓内に移植される場合、ドナー組織を受容するのに充分な大
きさの切開部を、レシピエントの腎臓を包む繊維質の腎皮膜へ形成する。切開部
分の部位はレシピエントの腎臓が生存し得る部位であればどこでもよいが、最も
簡便なのは腎臓と腎臓外との境界部位であって、ここは手術を行い易い。ドナー
組織はレシピエントの腎皮膜と腎皮質の間に置く。
【0052】 移植された後腎は、後腎組織内に血管が形成され、成熟機能性ネフロンへと発
達し得る条件下において、レシピエント内で増殖、分化する。好適な条件には術
前または術後に行う移植片の拒絶抑制処置が、成長因子による処置によって後腎
組織の発達および機能を容易にすることと共に含まれる。同種移植の一部の場合
には、移植された後腎のホスト拒絶作用が無い場合もある。しかしながら、異種
移植の場合には、典型的には拒絶防止処置が採用される。これは通常、移植後の
レシピエントの免疫抑制によって行われる。サイクロスポリンA(CSA)処置
により、充分な免疫抑制が得られ、ドナー組織の拒絶が防止される。医学界にお
いて、移植拒絶を予防するためのCSA処置のプロトコルは既知である。局所免
疫抑制手法は、Gruber (1992), Transplantation 54:1-11に開示されている。米
国特許第5560911号においては、天然由来のヒト抗動物抗体上のイディオタイプ
に対する抗体を、異種移植拒絶抑制のために用いる方法が開示されている。ヒト
抗ブタ抗体の抗イディオタイプ抗体が、ヒト患者によるブタ組織移植片の拒絶を
防止するために例示されている。抗リンパ球グロブリン類もまた移植片拒絶防止
に用いられることが知られている(Lacy et al. (1981), Diabetes 30:285-291)
。免疫抑制に代えて、移植される後腎の抗原性を減少するために前処理してもよ
い。移植片の免疫原性を減少するための典型的アプローチとして、表面改質をす
ることが、Faustman のWO 92/04033 (1992)に開示されている。最後に、移植片
組織の寛容(tolerance)を誘導すると考えられている剤、例えばCTLA4-Igを、レ
シピエントに投与してもよい(Lin et al. (1993), J. Exp. Med. 178:1801-1806
)。
【0053】 本明細書に記載した手法を用いて移植された後腎の腎臓は、成長し、ほとんど
の部分にレシピエントに由来する血管新生が認められ、キメラ腎臓を形成する。
レシピエントによる血管新生によって、移植された異種組織の受け入れが容易に
なると考えられる。レシピエントの腎臓中に移植した場合には、後腎はレシピエ
ントの腎臓の実質部に包埋されてゆく。ドナーの後腎はさまざまな成熟構造を形
成しはじめ、これらは隣接するレシピエント組織の構造と区別可能な構造である
。成熟構造には、成熟糸球体および尿細管、腎乳頭および尿管が含まれる。発達
に充分な期間の後、糸球体は明らかに血漿を濾過することができるようになる。
こうして、後腎組織の移植片はレシピエントのネフロン量の増加に寄与するので
ある。
【0054】 糸球体による濾過は、ドナー後腎内の尿を検出することによって立証できる。
これは、ドナー組織から吸引した液体中の尿素窒素のレベルおよび/またはクレ
アチニンのレベルを測定することにより実施し得る。かかる液体は、ドナー組織
に付随する1またはそれ以上ののう胞内に含まれているもので有り得る(実施例
1参照)。ここで、尿とはレシピエント血漿より高濃度のクレアチニンおよび/
または尿素窒素を含有する液体であると定義する。この濃度の差違は、レシピエ
ントの水和作用により変化し、またレシピエントの水和が増加すれば減少する。
しかしながら、一般にドナー後腎内のクレアチニン濃度はレシピエントの血漿中
の濃度の少なくとも2倍である。ドナー後腎中の尿素窒素の濃度は一般に、レシ
ピエント血漿中の濃度より少なくとも50%高い。
【0055】 キメラ腎臓で形成された尿の排泄を容易にするために、標準的な尿管尿管吻合
術を用いて、移植された後腎から形成された尿管とレシピエントの腎臓の尿管と
を接続すればよい。この術の間、キメラ腎を成長因子含有組成物へ暴露して、キ
メラ腎へ成長因子をさらに作用させてもよい。後腎がレシピエントの網膜内に移
植された場合、尿の排泄は尿管をレシピエントの尿管もしくは膀胱へ直接つない
で行わせてもよい。尿の排泄のためのかかる手法、および当業者に知られている
他の手法については、Adult and Pediatric Urology, 3rd Ed., Gillenwater, e
t al., Eds. 987-994 and 2369-2375 (1996)にまとめられている。ホストの集合
管系にドナーの腎が含まれるよう、腎臓内へ移植された場合には、移植後の手術
が不必要なこともある。
【0056】 以下に本発明に用いられる成長因子組成物の例を挙げる。移植前に用いる特に
好ましい成長因子の組み合わせを以下に示す。表の濃度は、実施例8で実際に用
いたものである。
【0057】
【表2】
【0058】 移植後に投与するために特に好ましい成長因子の組み合わせを以下に示す。表
の濃度は、実施例9で実際に用いたものである。
【0059】
【表3】
【0060】 全ての引用文献は引用により本願の一部となす。 ここで記載した発明の理解をより完全なものとするため、以下の実施例を示す
。以下の実施例は説明のためのものであり、本発明の範囲をいかなる意味におい
ても限定するものではない。
【0061】 実施例1 ホスト腎臓への後腎の同種移植 移植法: 解剖顕微鏡下、腎臓皮膜が無傷の全後腎をE15SDラットの胎児から手術に
より取り出し(Harlan, Indianapolis IN)、氷上の塩水溶液中に、滅菌条件下で
懸濁した。取り出した後45分以内に、6週齢の異系交配した正常(NL)メス
SDラットの正常腎臓の皮膜下に、レシピエント1匹につき4つの後腎を移植し
た。レシピエントラットの一部にはすでに、対側腎摘出(UNX)または片側腎
摘出および2分の1対側腎臓梗塞(1・1/2NX)を、すでに記載した方法(Rog
ers et al., supra; Rogers et al., (1998) Kidney Int. 54: 27-37)を用いて
施しておいた。移植した後腎は、発達のこの段階で期待される、直径にして約7
00μmであり、尿管芽といくらかの発達中のネフロンプレカーサーのセグメン
トを含んでいたが、糸球体は含まなかった。特に記載するとすれば、レシピエン
トラットには、移植後から開始して、サイクロスポリンA(CSA)のビヒクル
(ピーナッツオイル)溶液を施した(1日につき5mg/kg体重で皮下に注射し
た)。コントロールとしては、ビヒクルのみを注射した。
【0062】 後腎の構造発達: 4または6週間後、腎臓をラットから取り出した。レシピエントの腎臓を移植
後に試験すると、NL、UNXまたは1・1/2NXラットの皮膜下に後腎を移
植した部分を、透明な体液を含む嚢胞が包囲していた。直径約7mm(7000
μm)の、小腎に似た構造が嚢胞下に存在し、大きなレシピエント腎臓に食い込
んでいた。つまり、移植した後腎の直径は、10倍増大し、容積にして1000
倍増大していた。固定し、パラフィン包埋し、薄片化した、ヘマトキシリンおよ
びエオシンで染色した組織塊部分の組織学的試験により、該構造が移植レシピエ
ントの腎臓の柔組織に組み込まれ、リンパ球の集団が移植組織-レシピエントの
中間面に存在していることが明らかになった。
【0063】 UNXを施した、ビヒクル処置したラットの腎臓に移植した後腎はインビボで
、成長、発達および血管新生が認められた。それらは、そのサイズが小さいこと
およびヘマトキシリンおよびエオシンで染色したパラフィン切片の異なる染色特
性により隣接するレシピエントの腎臓組織の糸球体および尿細管から区別するこ
とができる、分化した糸球体および尿細管を含んだ。移植した後腎に血管が存在
した。一部は動脈であると認められた。移植した後腎の糸球体は赤血球細胞を含
み、血管新生が起こっていない臓器培養物中で成長したラット後腎の糸球体とは
異なっていた。嚢包が、腎乳頭に似た構造を含む移植した後腎の柔組織に存在し
た。他の構造は、尿管の特徴を有する移行上皮で裏打ちされていた。リンパ球が
移植した後腎の周辺付近に蓄積していたが、尿細管または血管要素の拒絶の形跡
はなかった。UNXを施したラットに、またはNLラットの腎臓に移植した後腎
に関し、似たような成長、発達および血管新生が観察された。
【0064】 CSA処置した1・1/2NXラットの腎臓に移植した後腎を、移植後4週で
試験した。この移植の結果は、周辺リンパ球が全く観察されないこと以外は、ビ
ヒクル処置した1・1/2ラットの腎臓に移植したものと同様であった。
【0065】 レシピエントの腎臓組織に移植した後腎の組込み 移植した後腎がレシピエントの腎臓に組み込まれたかどうかを確認するために
、移植後6週のNLラットの腎臓を試験した。臓器から血液を一掃するために、
腎臓に隣接する大動脈を閉塞し、下位大静脈を横断切開した後、腎臓動脈から離
れた大動脈に改変リンガー溶液を注射して、腎臓を潅流した。これにより、血液
が潅水で置き換わるために、腎臓が白くなる。通常は、全腎臓がBortz et al. (
1988), J. Cell Biol. 107: 811に開示されるように白くなる。しかし、移植し
た後腎を含む腎臓の潅流後は、血液はレシピエントの腎臓に対して移植した構造
の中に残った。これは、移植した後腎に供給することが示されている(移植組織
およびホスト腎臓由来の)キメラ血管における潅流が、ホストの腎臓に供給して
いる血管における潅流よりも程度の低いことを反映していることがもっとも考え
られる(Robert et al. (1996), Am. J. Physiol. 271: F744)。血液は、レシピ
エントの腎乳頭までたどることができた。
【0066】 腎臓を、Rogers et al. (1993), Am. J. Physiol. 264: F996に記載されてい
る、誕生前および誕生後数週の発達段階のラットの腎臓の集合管では発現される
が、成体ラット由来の腎臓の集合管では発現されないテトラゴノボーラス(tetra
gonobolus)紫レクチン(TPL)を用いて染色した。成体ラットの腎臓では、T
PLは、遠位尿細管および、ヘンレ係蹄の髄様厚上行部で発現される。レシピエ
ントの腎臓組織では、TPLは、期待通り、遠位尿細管および髄様厚上行部内の
皮質で発現された。しかしTPLは、移植した後腎からレシピエントの腎乳頭に
血管と共に広がる集合管群においても発現され、移植した後腎の集合系と血液供
給がレシピエントの腎乳頭に組み込まれることが明らかになった。
【0067】 キメラ腎臓の機能に関する試験 尿素窒素およびクレアチニンのレベルを、すでに記載した方法(Rogers et al.
、既出)を用い、吸引した嚢胞体液、および大動脈由来の血液、および1・1/2
NXビヒクル処置ラットの膀胱由来の尿において測定した。表2に示すように、
尿素窒素のレベルは嚢胞体液および膀胱の尿において、血液と比較してそれぞれ
2.6倍および15倍高く、および、クレアチニンのレベルはそれぞれ12倍お
よび28倍高かった(全測定は、屠殺時に行い、比較はC.W.Dounnett (1955), J
. Am. Statistical Assoc. 50: 1096に記載されている複合比較法を用いて行っ
た。)。こうして、尿素窒素およびクレアチニンの両方が、血液よりも嚢胞体液
で濃く、嚢胞体液が尿であることが示唆された。嚢胞体液中の尿素窒素およびク
レアチニンの濃度は膀胱の尿における濃度よりもかなり低く、嚢胞尿が漏出した
膀胱尿を起源とするものではないことが示された。これは、4週齢の腎臓(移植
した腎臓)の、血液から尿素窒素およびクレアチニンを取り除く能力が、10週
齢の腎臓(レシピエントの腎臓)よりも低いという報告(Aperia et al. (1975),
Am. J. Physiol. 228: 1319)と一致する。
【0068】
【表4】
【0069】 実施例2 ホスト腎臓への後腎の異種移植 N.I.Hスイスマウス後腎由来の後腎(E14)を1・1/2NX・SDラッ
トの腎臓皮膜の下に移植した。移植後、ホストラットをサイクロスポリンA(C
SA)(皮下に1日1回、5mg/kg体重で注射する)またはビヒクル(ピー
ナッツオイル)を用いて処置した。移植後4週で、CSA処置を施さなかったラ
ットの腎臓に移植した後腎に関して残っていたのは、繊維組織の塊だけであった
。しかし、CSA処置レシピエントでは、後腎は成長し、血管新生し、および発
達した。移植した後腎における腎乳頭を含む尿路上皮に裏打ちされた空洞の存在
により、糸球体濾過がドナーの腎臓組織で起こることが示唆された。
【0070】 実施例3 ホストの網膜への後腎の同種移植 実施例1にすでに記載したように後腎をE15SDラットから切り出し、6週
齢の異種交配したUNX・SDラットおよび、生来の腎臓組織を全く取り除かな
かったラットに、レシピエントの腎臓の近くの網膜のひだに移植した。レシピエ
ントには移植後、免疫抑制を施さなかった。
【0071】 6週後、移植した後腎を取り出し、試験した。それらはインサイチュで腎臓様
の形状をとり、無傷の尿管を有し、生来の腎臓の約3分の1の直径であった。移
植した後腎の切片を調製し、ヘマトキシリンおよびエオシンで染色した。皮質お
よび髄質組織の両方が存在した。皮質は赤血球細胞を含むよく発達した糸球体、
よく発達した刷子縁膜を有する近位尿細管および遠位尿細管を含んでいた。髄質
は、よく発達した集合管を含んでいた。尿管は、移行上皮で裏打ちされていた。
リンパ球のまばらな蓄積が観察されたが、尿細管または血管要素の拒絶の形成は
なかった。
【0072】 移植時に片側腎摘出を施したラットにおける所見と対照的に、生来組織を取り
除かなかったラットに後腎を移植した場合、後腎の成長はほとんど、あるいは全
く起こらなかった。
【0073】 実施例4 移植した後腎の膀胱への結合および、移植した後腎におけるイヌリン
クリアランスの確証 実施例1および3にすでに記載したように、後腎をE15SDラットの胎児か
ら切り出し、45分以内に、麻酔した6週齢のメスUNX・SD(ホスト)ラッ
トの網膜に移植した。同手術中に、ホストラットに、Miller et al. (1990), Am
. J. Physiol 259: 749-751に記載される方法を用いて片側腎摘出を施した。
【0074】 移植後6週で、端と端をつなぐ尿管尿管吻合術を、移植した後腎の尿管と取り
出した腎臓の尿管の間に微小血管法(断続10-0縫合)を用いて行った。4週
間後、残る全生来腎臓組織(対側腎臓)をホストラットから取り出し、その後、
意識のあるラットにおいて、内在膀胱カテーテルおよび静脈ラインをMiller et
al. (1992), Proc. Natl. Acad. Sci. 89: 11876-11880に記載されているように
配置した後、イヌリンとクレアチニンのクリアランスを測定した。イヌリンのベ
ースラインの測定を、イヌリン注入開始前に得た尿および血液サンプルに関して
行った。これらの「バックグラウンド」値を、イヌリン注入開始後に行った測定
値から差し引いた。イヌリンの注入は、残る全生来腎臓組織の除去および、膀胱
に残っている全ての尿(10-20μl)の排液後にのみ開始した。移植した後
腎だけが膀胱に結合したまま残った。コントロールとして、両側腎摘出を行った
ラットにおいてクリアランスを測定する試みを行ったが、移植した後腎は膀胱に
結合しなかった。しかし、移植した後腎が膀胱に結合したラットにおける場合と
は対照的に(結果は以下に記載する)、後腎を移植しなかったラットにおいては
、3時間の回収時間に渡り、膀胱カテーテル中に尿は見られなかった。
【0075】 (全生来腎臓組織の除去後の)測定時の血漿クレアチニンは、1.3±0.06
mg/dlで正常値の約3倍であった。イヌリンおよびクレアチニンのクリアラ
ンスはそれぞれ、0.11±0.02および0.65±0.18μl/分/100g体
重であった(平均±SE)。ラットの平均体重は、238±3.0gであった。
後腎の平均重量は、71±15mgであった。3時間で集められた尿の平均容積
は49±13μlであった。似たようなサイズの5匹の正常ラットの群における
イヌリンおよびクレアチニンのクリアランスはそれぞれ、0.92±0.14およ
び0.84±0.12ml/分/100gであった。
【0076】 移植後の時間の長さと後腎によるイヌリンクリアランスの間の関係を明らかに
するために、移植後12-16、20-24および32週でクリアランスを測定し
た。表3にまとめるデータにより、後腎が、移植後32週もの長さの実験の全期
間で、ホストの循環物からイヌリンを除くことが立証される。クリアランスの大
きさに、時間の関数としての有意な変化はなかった。移植した後腎の重量および
外観にも、ホスト中での時間の関数としての変化はなかった。
【0077】
【表5】
【0078】 実施例5 移植時におけるホスト腎臓塊のさらなる除去または、後腎の発達を高めるため
の、ホストへのIGF-Iの投与 片側腎摘出を行った、移植時に部分的対側腎臓梗塞を有するラットの網膜に移
植した後腎の重量は、片側腎摘出を行った、部分的対側腎臓梗塞を有しないラッ
トで得られた値と比較して2倍以上大きく(145対71mg)および、腎臓重
量1gにつき示されるイヌリンクリアランスは12倍以上高かった。尿容積(1
45±24μl/3時間)も有意に大きかった(p<0.005、スチューデント
tテスト)。移植時に生来の腎臓塊を全く取り除かない場合、移植した後腎の成
長および発達が起こらないという所見と組み合わせて、これらの観察により、腎
臓塊除去後に出される補償的腎臓成長を生じる刺激により(Miller et al. (1990
), Am. J. Physiol. 259: 747-741を参照されたい)、移植した後腎の成長およ
び発達をさらに高めることができることが示唆される。
【0079】 さらなる実験において、後腎をE15SDラット胎児から手術により切り出し
、45分以内に、麻酔した6週齢のメスSD(ホスト)ラットの網膜に移植した
。同手術中、ホストラットに、実施例4で記載した同じ方法を用いて片側腎摘出
を行った。移植後4週で、端と端をつなぐ尿管尿管吻合術を、網膜に移植した後
腎の尿管と取り除いた腎臓の尿管の間に微小血管法を用いて行った。尿管尿管吻
合術3日後、組換えヒトIGF-I(Genentech Inc., South San Francisco, CA
)をAlzetポンプ注入(60μg/日/動物)により、一部のラットへ投与した。8
から12週後、残る全生来腎臓組織(対側腎臓)をホストラットから取り除いた
。IGF-I処置を施したラットに関して、対側腎臓除去の2日前に成長因子処
置を停止した。内在膀胱カテーテルと静脈ライン(Rogers et al. (1998), Kidne
y Inter'l 54: 27-37を参照されたい。)をラットに配置した。意識のあるラッ
トにおいて、イヌリンクリアランスを次いで測定した。イヌリンに関するベース
ラインの測定を、イヌリン注入開始前に得た尿および血液サンプルに関して行っ
た。これらの「バックグラウンド」値を、イヌリン注入開始後に行った測定値か
ら差し引いた。イヌリンの注入は、残る全生来腎臓組織の除去および、膀胱中に
残っている全尿(10-20μl)の排液後にのみ開始した。移植した後腎のみ
が膀胱に結合して残った。
【0080】 移植後12-16週でイヌリンクリアランスを、IGF-I処置したラットおよ
び、IGF-Iを全く施さなかったラット由来の後腎において測定した。以下の
表4に示すように、IGFの投与により、イヌリンクリアランスが有意に増大し
た。後腎の重量は、IGF-I処置したラットにおいては有意には増えなかった
。移植した後腎の外観は、IGF-I処置動物と非処置動物で似通っていた。Rog
ers et al. (1999) Dev. Genet. 24: 293-298を参照されたい。
【0081】
【表6】
【0082】 実施例6 キメラ腎臓の発達を高めるための単一成長因子の使用 外来性の血管内皮成長因子(VEGF)により、網膜へ移植した後腎の成長お
よび発達が高まるかどうかを確認するために、成体ラットの後腎を、網膜に移植
する前に(前処置)または、移植した後腎とホストの間の尿管尿管吻合術時(処
置後)にVEGFに暴露した。 後処置の暴露は、UNXラットの網膜への後腎移植4週後に行った。このとき
、端と端をつなぐ尿管吻合術は、移植した後腎の尿管とホストから取り除いた腎
臓の尿管の間で行った。尿管尿管吻合術後45分間、一部の後腎を、組換えヒト
VEGF(Genentech Inc. South San Francisco CA)を含むDulbeccoの改変イー
グル培地:Hams・F12(DMEM:HF12)または、添加物を含まないDM
EM:HF12の50:50混合液25μl中に浸した。
【0083】 VEGFを用いた処置により、非処置の後腎の重量と比較して、移植後12-
16週で測定した移植した後腎の重量に影響はなかった。しかし、イヌリンクリ
アランスおよび尿容積は、VEGFで前処置した後腎において有意に大きく、後
処置した後腎においてはさらに大きかった(表5)。
【0084】
【表7】
【0085】 我々の所見は、発達中の腎臓(7)の血管新生においてVEGFに関して提案
されている役割と一致し、移植した後腎の成長および機能を高めるための、VE
GFの医薬的使用の可能性が確証される。
【0086】 実施例7 キメラ腎臓の発達を向上させるための多数の成長因子処置の使用 1・1/2NXホストラットへの移植前45分間、15日目の胎児ラットから
採取した後腎を4℃にて、成長因子を含む、あるいは含まないDulbeccoの改変イ
ーグル培地:Hams・F12(DMEM:HF12)の50:50混合液25マ
イクロリットル中でインキュベートした。成長因子含有溶液は、10−7MのI
GF-I、10−7MのIGF-II、10−8MのTGF-α、10−9MのH
GFおよび25μgのVEGFを含んだ。後腎をレシピエントラットに、実施例
4に記載した方法を用いて移植した。尿管尿管吻合術を4週後に行った。尿管尿
管吻合術を行った12週後、イヌリンクリアランスを、残る全生来腎臓組織を取
り除いた後、ホストラットにおいて測定した。イヌリンクリアランスの測定後、
後腎をホストから取り出し、重量を測定した。
【0087】 表6に示すように、成長因子を含むDMEM:HF12中でインキュベートし
た後腎の重量は、成長因子を含まないDMEM:HF12中でインキュベートし
た後腎の重量と異ならなかった。しかし、イヌリンクリアランスと尿容積は、成
長因子と共にインキュベートした後腎では、成長因子なしでインキュベートした
後腎における値と比較して、3-4倍大きかった。
【0088】
【表8】
【0089】 もう一つの実験において、後腎を、網膜への移植前(前処置)または、移植4
週後の移植した後腎とホストの間の尿管尿管吻合術時(後処置)のいずれかで、
成長促進剤/成長因子混合液に暴露した。 10−7MのIGF-I;10−7MのIGF-II;10−8MのTGF-α
;10−9MのHGFおよび10−7MのVEGFを用いた前処置の後、10 MのIGF-I;10−8MのTGF-α;10−9MのHGFおよび10−7 MのVEGFを用いた後処置を行ったが、非処置の後腎(移植組織)の重量と比
較して、移植後12-16週で測定した移植した後腎の重量に影響はなかった。
しかし、(μl/分/100として表す)イヌリンクリアランスは正常の約6%ま
で有意に増大した(100倍以上)。
【0090】
【表9】
【0091】 実施例8 イヌリンクリアランスが増す成長因子前処置 他の実験において、後腎を前(例えば実施例7)に記載するように、次の成長
因子含有溶液の一つの中でインキュベートした。: 1.0.25ng/25μlのNGF 2.1μMのRA 3.0.5μg/25μlのFGF2 4.5μg/25μlのTHG 5.10−7MのIGF-I、10−7MのIGF-II、10−8MのTGFα
、10−9MのHGFおよび25μg/25μlのVEGF 6.10−7MのIGF-I、10−7MのIGF-II、10−8MのTGFα
、10−9MのHGF、5-25μg/25μlのVEGFおよび1μMのRA 7.10−7MのIGF-I、10−7MのIGF-II、10−8MのTGFα
、10−9MのHGF、5-25μg/25μlのVEGFおよび0.25ng/2
5μlのNGF 8.10−7MのIGF-I、10−7MのIGF-II、10−8MのTGFα
、10−9MのHGF、5-25μg/25μlのVEGF、1μMのRAおよび
0.25ng/25μlのNGF 9.10−7MのIGF-I、10−7MのIGF-II、10−8MのTGFα
、10−9MのHGF、5-25μg/25μlのVEGF、1μMのRA、0.
5μg/25μlのFGF2および0.25ng/25μlのNGF 10.10−7MのIGF-I、10−7MのIGF-II、10−8MのTGF
α、10−9MのHGF、5-25μg/25μlのVEGF、1μMのRA、0
.5μg/25μlのFGF2、0.25ng/25μlのNGFおよび5μg/2
5μlのTHG。 前記成長因子含有溶液のいずれかを用いた後腎の前処置により、成長因子なし
でインキュベートした後腎と比較して、イヌリンクリアランスが増大した。
【0092】 実施例9 イヌリンクリアランスが増す、成長因子前処置/後処置の組み合わせ 他の実験において、後腎を移植前に前処置し、移植後に後処置した。一つの実
験において、後腎を、10−7MのIGF-I、10−7MのIGF-II、10 −8 MのTGFα、10−9MのHGFおよび5-25μg/25μlのVEGF
、1μMのRA、0.5μg/25μlのFGF2および0.25ng/25μlの
NGFを用いて前処置した後、10−7MのIGF-I、10−9MのHGFお
よび5-25μg/25μlのVEGFおよび1μM/25μlのEGFを用いて
尿管尿管吻合術時に後処置した。同様の実験において、後腎を、10−7MのI
GF-I、10−7MのIGF-II、10−8MのTGFα、10−9MのHG
Fおよび5-25μg/25μlのVEGF、1μMのRA、0.5μg/25μl
のFGF2、0.25ng/25μlのNGFおよび5μg/25μlのTHGを
用いて前処置した後、10−7MのIGF-I、10−9MのHGF、5-25μ
g/25μlのVEGFおよび1μM/25μlのEGFを用いて尿管尿管吻合術
時に後処置した。両実験において、前処置の後、後処置を行うことにより、成長
因子なしでインキュベートした後腎と比較して、イヌリンクリアランスが増大し
た。
【0093】 もう一つの実験で、後腎を10−7MのIGF-I、10−7MのIGF-II
、10−8MのTGFα、10−9MのHGFおよび5-25μg/25μlのV
EGF、1μMのRA、0.5μg/25μlのFGF2および0.25ng/25
μlのNGFを用いて前処置した。後処置は、10−7MのIGF-I、10
MのHGF、5-25μg/25μlのVEGFおよび1μM/25μlのEG
Fを含む成長因子溶液に、尿管尿管吻合術時に、移植した後腎を暴露した後、3
日後に10−7MのIGF-I、10−7MのIGF-II、10−9MのHGF
、5-25μg/25μlのVEGF、0.5μg/25μlのFGF2および1μ
g/25μlのEGFを含む溶液を注入することから成る。
【0094】 同様の実験において、後腎を10−7MのIGF-I、10−7MのIGF-I
I、10−8MのTGFα、10−9MのHGF、5-25μg/25μlのVE
GF、1μMのRA、0.5μg/25μlのFGF2、0.25ng/25μlの
NGFおよび5μg/25μlのTHGを用いて前処置した。後処置は、10
MのIGF-I、10−9MのHGF、5-25μg/25μlのVEGFおよ
び1μM/25μlのEGFを含む成長因子溶液へ、尿管尿管吻合術時に、移植
した後腎を暴露した後、3日後に10−7MのIGF-I、10−7MのIGF-
II、10−9MのHGF、5-25μg/25μlのVEGF、0.5μg/25
μlのFGF2および1μg/25μlのEGFを含む溶液を注入することから
成る。 両実験において、前処置の後、後処置を行うことにより、成長因子なしでイン
キュベートした後腎と比較してイヌリンクリアランスが増大した。
【0095】 実施例10 ブタ後腎の移植 後腎を取り出す方法、後腎をレシピエントに移植する方法および、ホスト腎臓
塊を除去する方法は、顕微手術法が必要でないことを除き、実施例1-6に記載
した、マウスおよびラットで用いた方法と同様である。むしろ、手術は、大きな
動物に適する通常の手術法を用いて、手術室で行う(Cohn et al、既出を参照さ
れたい)。 後腎を、切開顕微鏡下で、初期発生の適当な段階(約4-6週の妊娠週)で、
ブタの胎児から手術により切り出す。後腎中の血管の発達が明らかであり、およ
び/またはかなりの数の抗原提示細胞が存在している場合、もう少し発達程度の
低い後腎を得る。後腎が移植において十分に区別できない場合、後腎は、もう少
し後の発生段階で得る。ドナー動物から取り出した45分以内に、麻酔した成体
(ホスト)ブタの網膜に後腎を移植する。同じ手術中、1つの腎臓をホストブタ
から取り出し(UNX)、片側腎摘出および部分的対側腎臓梗塞(1・1/2NX)
を施す。
【0096】 成体ラットへの後腎の、前記方法を用いる対側移植が移植拒絶を生じないとい
う事実に照らして、ホストブタによるブタ後腎の拒絶は起こらないことが期待さ
れる。しかし、拒絶が起こる場合、免疫抑制プロトコルを常套法を用いて案出す
ることができる。
【0097】 移植した後腎が、尿管が形成する程度まで発達した後、端と端をつなぐ尿管尿
管吻合術を、網膜に移植した後腎の尿管と取り出した腎臓の尿管の間に手術法(
中断縫合)を用いて行う。同時にまたは、移植した後腎のサイズおよび発達段階
により約6週後までに、残る全生来腎臓組織(すなわち、残っている対側腎臓)
を、移植した後腎のみが膀胱に結合したまま残るように取り除く。
【0098】 イヌリンに関するベースライン測定を、イヌリン注入を開始する前に得た尿お
よび血液サンプルに関して行った。これらの「バックグラウンド」値を、イヌリ
ン注入開始後に行った測定値から差し引く。対側腎臓の取り出し後の様々な時間
点で、イヌリンおよびクレアチンのクリアランスを、前のラット試験のように(R
ogers et al., 既出)、動脈内、静脈内、および恥骨上部膀胱カテーテルのブタ
への配置後に測定する。該方法から生じたキメラ腎臓は、イヌリンクリアランス
が正常の10%より大きいか、またはそれに等しい場合に機能しているとみなす
。移植した後腎の直径および、分化した糸球体および尿細管の存在または不在を
含む追加的パラメータは、後腎の成長および発達を評価するものとみなす。 ブタの同種移植法に関して開発された技術および方法を、末期慢性腎不全のヒ
トへのブタ後腎の異種移植のための臨床試験に適用する。加えて、免疫抑制法を
使用する。
【0099】 実施例11 移植したブタ後腎のイヌリンクリアランスを増すための成長因子処置 実施例8に記載した方法を用いて、ブタの後腎を成体ブタに移植する。移植し
た後腎の糸球体濾過速度を増すために、成長因子をホストまたは後腎に、移植前
および/または移植後に投与する。 1つの成長因子処置プロトコルにおいて、ブタにおいてIGF-I産生を刺激
するブタのソマトトロピン(GH)(Monsanto Chemicals, St. Louis, MO)を、移
植時から開始して、または尿管尿管吻合術後に、ホストに2mg/日、IMで投
与する。別に、IGF-Iをブタに投与する。
【0100】 別の成長因子処置同様、ブタ胎児由来の後腎を切り出した後すぐ、後腎をイン
ビトロで24時間まで、10−7MのIGF-I、10−7MのIGF-II、1
−8MのTGF-α、10−9MのHGFおよび1mg/mlのVEGFを含む
DMEM:HF12中でインキュベートする。
【0101】 更なるプロトコルでは、インビトロおよび/またはインビボ成長因子処置は1
またはそれ以上の以下の成長因子を使用する:インシュリン様成長因子I、イン
シュリン様成長因子II、トランスフォーミング成長因子アルファ、トランスフ
ォーミング成長因子ベータ、酸性繊維芽細胞成長因子、塩基性繊維芽細胞成長因
子、血管内皮成長因子、血小板由来成長因子、神経成長因子、トランスフェリン
、プロスタグランジンE、亜セレン酸ナトリウム、ビタミンAおよび成長ホル
モン。 移植した後腎の機能をさらに高めるために、生来腎臓組織の除去を実施例1に
記載するように用いて組み合わせた成長因子処置の使用を用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/06 C12N 5/00 E (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ, BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,C U,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD ,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN, IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,L K,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK ,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO, RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,T M,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VN ,YU,ZA,ZW (72)発明者 シャロン・エイ・ロジャーズ アメリカ合衆国62025イリノイ州エドワー ズビル、エルパイン・ロード7736番 Fターム(参考) 4B065 AA90X AA91X AB10 AC20 BA30 BB01 BB40 BC03 BD50 CA44 4C084 AA02 CA31 DB52 DB54 DB58 DB59 DB60 DB62 MA02 MA66 NA05 NA14 ZA81 4C087 AA01 AA02 BB41 MA02 MA66 NA05 NA14 ZA81 4C206 AA01 AA02 BA04 KA01 MA02 MA86 NA05 NA14 ZA81

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レシピエントの機能性ネフロン量を増加させるための方法に
    おいて、少なくとも1の後腎発達のための成長因子を含有する成長因子組成物と
    共に用いるための、適当な胎児発達ステージにあるドナーから採取された、単離
    された胎児性後腎組織。
  2. 【請求項2】 成長因子がインシュリン様成長因子I、インシュリン様成長
    因子II、血管内皮成長因子、トランスフォーミング成長因子アルファ、トラン
    スフォーミング成長因子ベータ、肝細胞成長因子、繊維芽細胞成長因子類、血小
    板由来成長因子、白血病抑制因子、アンジオポエチン1および2、骨形成タンパ
    ク質類、神経成長因子、ビタミンAおよび成長ホルモンからなる群から選択され
    る、請求項1記載の単離された胎児性後腎組織。
  3. 【請求項3】 少なくとも1の後腎発達のための成長因子を含有する成長因
    子組成物により前処理された胎児性後腎組織であって、該前処理された後腎組織
    は、該成長因子組成物により前処理をされなかった後腎組織と比較して増強され
    た腎臓の発達または機能をレシピエント内において有する。
  4. 【請求項4】 成長因子がインシュリン様成長因子I、インシュリン様成長
    因子II、血管内皮成長因子、トランスフォーミング成長因子アルファ、トラン
    スフォーミング成長因子ベータ、肝細胞成長因子、繊維芽細胞成長因子類、血小
    板由来成長因子、白血病抑制因子、アンジオポエチン1および2、骨形成タンパ
    ク質類、神経成長因子、ビタミンAおよび成長ホルモンからなる群から選択され
    る、請求項4記載の胎児性後腎組織。
  5. 【請求項5】 胎児性後腎組織の成長および発達を増強するために、レシピ
    エントへ移植する前に用いる医薬品を調製するための、少なくとも1の後腎発達
    のための成長因子を含有する成長因子組成物である成長因子組成物の使用。
  6. 【請求項6】 成長因子がインシュリン様成長因子I、インシュリン様成長
    因子II、血管内皮成長因子、トランスフォーミング成長因子アルファ、トラン
    スフォーミング成長因子ベータ、肝細胞成長因子、繊維芽細胞成長因子類、血小
    板由来成長因子、白血病抑制因子、アンジオポエチン1および2、骨形成タンパ
    ク質類、神経成長因子、ビタミンAおよび成長ホルモンからなる群から選択され
    る、請求項5記載の使用。
  7. 【請求項7】 胎児性後腎組織の成長および発達を増強するために、レシピ
    エントへ移植した後に用いる医薬品を調製するための、少なくとも1の後腎発達
    のための成長因子であって、インシュリン様成長因子I以外のものを含有する成
    長因子組成物である成長因子組成物の使用。
  8. 【請求項8】 成長因子が、インシュリン様成長因子II、トランスフォー
    ミング成長因子アルファ、トランスフォーミング成長因子ベータ、肝細胞成長因
    子、繊維芽細胞成長因子類、血小板由来成長因子、白血病抑制因子、アンジオポ
    エチン1および2、骨形成タンパク質類、神経成長因子、ビタミンAおよび成長
    ホルモンからなる群から選択される、請求項7記載の使用。
  9. 【請求項9】 適当な胎児発達ステージにあるドナーから採取された胎児性
    後腎組織を後腎発達のための成長因子を含有する成長因子組成物と接触させるこ
    とを含む、胎児性後腎組織のエキソビボ処置方法。
  10. 【請求項10】 成長因子がインシュリン様成長因子I、インシュリン様成
    長因子II、血管内皮成長因子、トランスフォーミング成長因子アルファ、トラ
    ンスフォーミング成長因子ベータ、肝細胞成長因子、繊維芽細胞成長因子類、血
    小板由来成長因子、白血病抑制因子、アンジオポエチン1および2、骨形成タン
    パク質類、神経成長因子、ビタミンAおよび成長ホルモンからなる群から選択さ
    れる、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 後腎組織と、1またはそれ以上の後腎発達のための成長因
    子であってインシュリン様成長因子I以外のものを含有する成長因子含有組成物
    とを接触させることを含む、レシピエント内へ移植後の後腎組織をインビボで処
    置する方法。
  12. 【請求項12】 成長因子含有組成物がインシュリン様成長因子II、血管
    内皮成長因子、トランスフォーミング成長因子アルファ、トランスフォーミング
    成長因子ベータ、肝細胞成長因子、繊維芽細胞成長因子類、血管内皮成長因子、
    血小板由来成長因子、白血病抑制因子、アンジオポエチン1および2、骨形成タ
    ンパク質類、神経成長因子、ビタミンAおよび成長ホルモンからなる群から選択
    される成長因子を1またはそれ以上含有する、請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 後腎組織と、1またはそれ以上の後腎発達のための成長因
    子であって血管内皮成長因子以外のものを含有する成長因子含有組成物とを接触
    させることを含む、レシピエント内へ後腎組織を移植する際に後腎組織をインビ
    ボで処置する方法。
  14. 【請求項14】 成長因子含有組成物がインシュリン様成長因子I、インシ
    ュリン様成長因子II、トランスフォーミング成長因子アルファ、トランスフォ
    ーミング成長因子ベータ、繊維芽細胞成長因子類、血管内皮成長因子、血小板由
    来成長因子、白血病抑制因子、アンジオポエチン1および2、骨形成タンパク質
    類、神経成長因子、ビタミンAおよび成長ホルモンからなる群から選択される成
    長因子を1またはそれ以上含有する、インビボ処置方法。
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