JP2002533120A - A.フミガーツスアセチル補酵素aカルボキシラーゼの遺伝子およびポリペプチド、ならびにその使用 - Google Patents

A.フミガーツスアセチル補酵素aカルボキシラーゼの遺伝子およびポリペプチド、ならびにその使用

Info

Publication number
JP2002533120A
JP2002533120A JP2000591179A JP2000591179A JP2002533120A JP 2002533120 A JP2002533120 A JP 2002533120A JP 2000591179 A JP2000591179 A JP 2000591179A JP 2000591179 A JP2000591179 A JP 2000591179A JP 2002533120 A JP2002533120 A JP 2002533120A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polypeptide
nucleic acid
afacc1
seq
test compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000591179A
Other languages
English (en)
Inventor
パトリック ケイ. ドーア
ターニャ パーキンソン
クリスティン ブラワ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Pfizer Ltd
Original Assignee
Pfizer Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Pfizer Ltd filed Critical Pfizer Ltd
Publication of JP2002533120A publication Critical patent/JP2002533120A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N9/00Enzymes; Proenzymes; Compositions thereof; Processes for preparing, activating, inhibiting, separating or purifying enzymes
    • C12N9/93Ligases (6)
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/10Antimycotics
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12QMEASURING OR TESTING PROCESSES INVOLVING ENZYMES, NUCLEIC ACIDS OR MICROORGANISMS; COMPOSITIONS OR TEST PAPERS THEREFOR; PROCESSES OF PREPARING SUCH COMPOSITIONS; CONDITION-RESPONSIVE CONTROL IN MICROBIOLOGICAL OR ENZYMOLOGICAL PROCESSES
    • C12Q1/00Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions
    • C12Q1/02Measuring or testing processes involving enzymes, nucleic acids or microorganisms; Compositions therefor; Processes of preparing such compositions involving viable microorganisms
    • C12Q1/18Testing for antimicrobial activity of a material
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2319/00Fusion polypeptide
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/37Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from fungi
    • G01N2333/38Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from fungi from Aspergillus

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Enzymes And Modification Thereof (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)の補酵素Aカルボキシラーゼ遺伝子およびポリペプチド、ならびに例えば抗真菌薬剤の同定におけるその使用を開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】関連出願に関する相互参照 本出願は、米国成文法(U.S.C.)35§119の下に、1998年12月31日に出願され
た米国特許出願第60/114,580号からの優先権を主張するものである。
【0002】発明の分野 本発明は、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)菌のア
セチル補酵素Aカルボキシラーゼ遺伝子、および抗真菌薬剤の同定におけるその
使用に関する。
【0003】発明の背景 アセチル補酵素Aカルボキシラーゼ(ACCアーゼ(ACCase))は、アセチルCoA
からのマロニルCoAの合成の原因となる酵素である。ACCアーゼは脂肪酸の合成に
必須である。
【0004】 背景として、菌類界は真菌類(Eumycota)および変形菌類(Myxomycota)、即
ち真菌類(true mold)および粘菌類(slime mold)という2つの区分からなる。
真菌類は、菌糸性である種、または菌糸性の種と明らかに関連がある種であり、
ライフサイクルの大部分または全体を通じて細胞壁を有し、機能の点では完全に
吸収性である。粘菌類は菌糸を形成しない生物であり、栄養分を得て成長し、且
つ食作用によって粒子状の栄養分を摂取しうる時期には細胞壁を持たない。
【0005】 ほとんどの種が遊走子として知られる運動性細胞を生じる、真菌の最も重要な
2つの種類に、卵菌類およびツボカビ類がある。遊走子を持たない菌類は、真菌
類のライフサイクルの有性相に従って分類される。性のプロセスによって、種々
の群で特徴的な胞子が形成される。接合胞子を形成する菌類は、接合菌類と分類
され、子嚢胞子を形成するものは、子嚢菌類と分類され、担子胞子を形成するも
のは、担子菌類と分類される。菌糸に細胞壁が存在することから高等菌として認
識され、無性胞子を形成するが有性相がみられない種も数多く存在する。これら
は不完全菌類として知られ、その分類にはそれらの無性胞子形成の詳細が用いら
れている。不完全菌類の代表的なメンバーにはカンジダ・アルビカンス(Candid
a albican)が含まれる。これらの種については、「菌類(The Fungi)」(M J
CarlileおよびSC Watkinson編、1994、Acad Press Ltd)および「増殖性菌類(T
he Growing Fungus)」(NAR GowおよびGM Gadd編、1995、ChapmanおよびHall)
に詳細に概説がなされている。
【0006】 酵母は、通常は単細胞性であって発芽によって繁殖する菌類であるが、通常は
真菌性である菌類の一部で酵母相がみられることがあるのと同じく、その一部は
適切な条件下では菌糸を形成する。すべての酵母の中でも最もよく知られたもの
はサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)であり、これは子
嚢菌類のメンバーである。これは、子嚢胞子の発芽から通常間もなく交配が起こ
ることから二倍体酵母と一般にみなされている。しかし、単細胞を用いて、永続
的な一倍体培養物を樹立することも可能である。
【0007】 菌類および他の真菌性病原体は、ヒト、動物および植物における種々の疾患の
原因となる。真菌感染症は獣医学においても重大な問題である。動物に感染する
菌類の一部は動物からヒトに伝染しうる。真菌の感染または侵入は農業でも極め
て深刻な問題であり、野菜および果実ならびに禾穀類を保護するために抗真菌薬
剤が用いられている。菌類による木製品の侵食も経済的に重大である。真菌の侵
入を受けやすいそのほかの製品には、布地、プラスチック、紙および塗料が含ま
れる。真菌のこれらの標的のいくつかは国際公開公報第95/11969号に詳細に概
説がなされている。
【0008】 真菌感染症の発生率が1980年代から1990年代にかけて倍増し、血液感染症が5
倍に高まっており、死亡率の観測値が50%であることが統計によって示されてい
る(Tallyら、1997、Int. Conference Biotechnol Microb. Prods:Novel Pharm
acol. Agrobiol. Activities、Williamsburg、VA Abstr S5 p19)。これらには
、すべての個人に感受性があるカンジダ症などの真菌感染症のほか、特に免疫不
全状態にある患者に生じるクリプトコッカス症およびアスペルギルス症などの感
染症も含まれる。
【0009】 例えば、カンジダ・アルビカンス(C. albicans)菌はヒトで最も多い真菌病
原体の一つであることが示されている。この菌は極めてさまざまな免疫不全宿主
に対する日和見感染能を有し、ヒトの体内のさまざまな組織に侵入する能力を有
する。多くの場合、この菌は抗生物質療法および免疫系による攻撃を免れて生存
する。カンジダ・アルビカンスは気道、消化管および女性生殖器官における粘膜
の正常細菌叢の構成要素の一つであるが、このような部位では優勢となって病的
状態の原因となることがある。衰弱患者または免疫抑制患者では、特に細胞性免
疫が障害されている場合、この菌が時に進行性の全身性疾患を引き起こすことが
ある。癌化学療法を受けている患者、またはリンパ腫、AIDSもしくは他の疾患の
患者などの細胞性免疫不全の患者では敗血症が起こることもある。管、針、麻薬
乱用などによって静脈内に導入された場合には、カンジダは血流侵入、血栓静脈
炎、心内膜炎、または眼および事実上すべての臓器もしくは組織の感染を引き起
こすことがある。
【0010】 カンジダ・アルビカンスは平衡致死性を有する二倍体であることが示されてお
り、このため、有性相または減数分裂サイクルを経ないと考えられる。この酵母
菌には少なくとも7種類の一般的な表現型を高い頻度で自発的および可逆的に切
り替える能力があるように思われる。切り替えは標準的な実験株だけでなく、健
康な個人の口腔から分離された株でも起こることが示されている。
【0011】 ニスタチン、ケトコナゾールおよびアムホテリシンBは、口腔および全身性の
カンジダ感染症を治療するために用いられてきた薬剤である。しかし、経口投与
されるニスタチンの胃内投与は制限されており、全身投与は行うことができない
。全身感染症の一部にはケトコナゾールまたはアムホテリシンBによる治療に対
する感受性があるが、これらの薬剤はこのような治療において別の薬剤と併用し
ないと有効でないことがある。アムホテリシンBは治療指数が比較的低く、悪心
および嘔吐から治療濃度でも起こる腎障害および毒性に至るまでの多くの望まし
くない副作用がある。ケトコナゾールおよび他のアゾール系抗真菌薬剤に認めら
れる毒性は著しく低いが、それらの作用機序はある種の酵素(その一部はヒトに
認められる)にあるシトクロムP450補欠分子団を不活性化することにあるため、
体内のシトクロムP450酵素によって代謝される他の薬剤を同時投与される患者に
は使用できない。これらの有害作用は、局所性または表在性の感染に対するそれ
らの使用が一般に制限されることを意味する。さらに、これらの化合物に対する
耐性も出現しており、将来は重大な問題になる可能性がある。さらに最近になっ
て開発されたフルコナゾールなどのトリアゾール系薬剤は副作用が少ないと考え
る者もいるが、すべての病原体に十分に有効というわけではない。
【0012】 アスペルギルス・フミガーツス(A. fumigatus)によって引き起こされる侵入
性アスペルギルス症も日和見感染症として増加しつつある。剖検による検出では
過去12年にその発生率は14倍に上昇しており、その治療に有効な薬剤は現在2種
類に過ぎないが、そのいずれも完全に満足いくものではない。アムホテリシンB
は静脈内に投与する必要があり、有害な副作用が数多くある。イトラコナゾール
は経口投与を行えるが、しばしば軽率に投与され、耐性菌株の出現を助長してい
る(Dunn-ColemanおよびPrade、Nature Biotechnology、1998、16:5)。合成ア
ゾール系薬剤(フルコナゾールおよびフルシトシンなど)に対する耐性も生じて
おり、天然ポリエン類(アムホテリシンBなど)は毒性のために使用が制限され
ている。
【0013】 抗真菌薬剤耐性は一般に、当初は抗真菌薬剤に対する感受性が高かった真菌細
胞または真菌集団で、抗真菌薬剤に一定期間曝露された後に遺伝性変化によって
感受性が低下した場合に生じる。
【0014】 農業などのある種の分野では、抗真菌薬剤の変更または抗真菌薬剤の混合物の
使用によって耐性に対処することが可能である。耐性病原体集団の蓄積の防止ま
たは遅延のためには、個々の疾患に有効なさまざまな薬剤を使用できる必要があ
る。使用可能な薬剤の数を増加させる方法の一つは、新たな部位特異的阻害薬を
検索することである。
【0015】 その結果として、抗真菌薬剤の探索の取り組みは、真菌に特有であって、その
ため宿主細胞に不必要な毒性を与えずに真菌病原体に作用する新たな薬剤の治療
標的として用いうる可能性のある、真菌細胞またはその代謝の構成要素に向けら
れている。このような有望な標的には、真菌細胞壁の構成に必須な酵素(US-A-5
194600)のほか、トポイソメラーゼ(真菌DNAの複製に必要な酵素)が含まれる
。エキノカンジン類および関連したニューモカンジン類などの2種類の半合成抗
真菌薬剤が後期臨床試験の段階にある。これはいずれも真菌によって産生される
環状リポペプチドであり、(1,3)-グルカンを非競合的に阻害することによって真
菌細胞壁の生合成を妨げる。これらの臨床的候補物質は一般に、天然の親化合物
よりも水溶性が高く、薬物動態が改善されている上に抗菌スペクトルが広く、カ
ンジダ・アルビカンスを含む多くのカンジダ属、およびアスペルギルス属を含む
活性スペクトルを有する。
【0016】 しかし、すべての真菌病原体に有効な単一のアプローチは存在しないと思われ
る上、これまでは有効であった抗真菌化合物に対しても耐性が生じている可能性
があるため、新たな作用機序を有し、活性プロフィールが改善されているか異な
る新たな抗真菌薬剤に対する需要は依然としてある。また、哺乳動物細胞に対す
る毒性は宿主(例えば患者)における治療指数の低さおよび望ましくない副作用
につながるおそれがあるため、真菌に対する活性はあるが哺乳動物細胞に対する
毒性はない薬剤に対する需要も存在する。この需要を満たす重要な一局面は、真
菌の構造または代謝の適切な構成要素を治療標的として選択することである。
【0017】 特定の細胞内標的が選択された後であっても、新たな抗真菌薬剤を同定する手
段にはある種の難題が伴う。合理的薬物設計が使用される機会は増えているが、
好ましい方法は現在も、真菌病原体の培養物を被験化合物に曝露させて増殖阻害
をアッセイすることにより、有効な薬剤に対して化合物「ライブラリー」のマス
・スクリーニングを行うことである。しかし、数千種ないし数万種の化合物の試
験を行う際には、対応する多数の真菌培養物を、ほとんどの細菌培養時間と比べ
て相対的に長い期間にわたって増殖させる必要がある。さらに、培養下で真菌の
増殖を阻害することが見いだされた化合物が望ましい標的には作用せずに、それ
とは異なる特殊性が低い真菌成分に作用することにより、その化合物が宿主細胞
に対しても作用し、それによって容認できない副作用をもたらす可能性もある。
このため、特定の細胞内標的に作用するような薬剤をより特異的に同定するアッ
セイまたはスクリーニングの方法に対する需要もある。さらに、スループットが
大きいアッセイ法、すなわち関心対象の各化合物を検査するために必要な時間お
よび材料が少なくて済むアッセイ法に対する需要も存在する。
【0018】 真菌によって産生される環状リポペプチドは有望な抗真菌薬剤として後期臨床
試験が進められているが、真菌における脂質の生合成および分解の経路に関する
研究はわずかに過ぎない。この分野の総説はウェーテ(Weete)(1980、「真菌
および他の生物の脂質生化学(Lipid Biochemistry of Fungi and Other Organi
sms」)、Plenum New York)ならびにチョプラ(Chopra)およびクラー(Khulle
r)(1984、Crit Rev Microbiol 11:209〜250)になされている。真菌の脂肪酸
生合成は細胞質で起こり、アセチル-CoAのマロニル-CoAへのカルボキシル化によ
って始まることが知られている。7種類の異なる酵素活性を有する複雑な脂肪酸
シンターゼ複合体によって、このマロニル-CoAからアセチルCoAまたは伸長性脂
肪酸-CoAエステルに連続的なC2単位が付加される。これに対して、脂質の生合成
および分解に関する知識は他の生物での研究によるものである。
【0019】 例えば、真菌以外の生物における超長鎖脂肪酸の生合成には、アセチル補酵素
A(CoA)カルボキシラーゼ、脂肪酸シンテターゼ、脂肪酸不飽和化酵素および脂
肪族アシル鎖伸長系という4つの酵素系が必要なことが認識されている。脂肪酸
のデノボ合成の律速段階は、これらのうち最初のものであるアセチル-CoAカルボ
キシラーゼ(EC 6.4.1.2)の制御下にある。この酵素はアセチルCoAのATP依存性
カルボキシル化を触媒し、その後に脂肪酸シンターゼ複合体によって長鎖脂肪酸
が合成される際に2炭素単位の供与体として働くマロニル CoAを生成させる。新
たに合成される脂肪酸の鎖長は、脂肪酸シンターゼ複合体の活性よりもマロニル
-CoAの濃度に依存するように思われる。このように、アセチル-CoAカルボキシラ
ーゼは、長鎖脂肪酸のデノボ合成の全体的速度および鎖長分布の両方を調節する
【0020】 アセチル-CoAカルボキシラーゼは、ニワトリ肝臓(BucknerおよびKolattakudy
1976、Biochem 15:1948〜1957;Manningら 1976、Biochem J 153:463〜468;
Ahmadら 1978、J Biol Chem 253:1733〜1737;liardieおよびCohen 1978、FEBS
Lett 91:1〜7);ラット心臓(Thampy 1989、J Biol Chem 264:17631〜17634
);褐色および白色脂肪組織(Bianchiら 1990、J Biol Chem 265:1502〜1509
;Iversonら 1990、Biochem J 269:365〜371);ニワトリ胚脳(ThampyおよびK
oshy 1991、J Lipid Res 32:1667〜1673)から単離されており、免疫学的手法
によってラット横隔膜筋(Bianchiら 1990、同上)で認められている。また、ア
セチル-CoAカルボキシラーゼはヒトの骨格筋および脂肪組織(Wittersら 1994、
Int J Biochem 26:589〜594)ならびにラット骨格筋(Trumbleら 1991、Life S
ci 49:39〜43)でも見いだされている。
【0021】 アセチル-CoAカルボキシラーゼの種々のアイソフォームの特徴を示すデータが
いくつかの研究室から集積されつつある。タムピー(Thampy)(1989、同上)お
よびビアンキ(Bianchi)ら(1990、同上)は、ラット心臓および横隔膜筋から
得たアセチル-CoAカルボキシラーゼの分子量がそれぞれ280kDaであることを報告
している。さらに最近、2種類のアイソフォーム(HACC275およびHACC265)がヒ
ト組織で同定されている。HACC275型はヒト骨格筋で支配的なものである(Witte
rsら 1994、同上)。ラット骨格筋のアイソフォームは分子量の点でヒトのACC27
5型と類似しているように思われる。しかし、アセチル-CoAカルボキシラーゼ遺
伝子が各組織からクローニングされてmRNA種の特徴が決定されるまでは、分子量
からアイソフォームの同等性を想定することは推測的に過ぎないことが認識され
ている(Trumbleら 1995、Eur J Biochem 231:192〜198)。
【0022】 サッカロミセス属酵母由来のアセチル-CoAカルボキシラーゼ(Acc1p)に対す
る予備的研究から、(i)サブユニット分子量が250kDaであること、(ii)四量
体として作用すること、および(iii)リン酸化によって短期的調節を受けるこ
とが示されている(Al-Feelら 1992、Proc Natl Acad Sci 89:4534〜4538;Obe
rnayerおよびLynen 1976:Trends Biochem Sci 1:169〜171;Wittersら 1990、
Biochem Biophys Res Commun 169:369〜376)。サッカロミセス・セレビシエ(
Saccharomyces cerevisiae)の脂肪酸合成変異株および条件的mRNA輸送変異株AC
C1-7-1の遺伝的および生化学的分析からも、アセチル-CoAカルボキシラーゼの酵
素的産物であるマロニル-CoAの連続的合成がアセチル-CoAカルボキシラーゼ(AC
C1)遺伝子の必須な機能であることが示されている(Schneiterら 1996、Mol an
d Cell Biol 16:7161〜7172)。
【0023】発明の概要 本発明は、生存のために必須である、アスペルギルス・フミガーツス(Asperg
illus fuinigatus)菌におけるACCアーゼ遺伝子(afACC1)の発見に基づく。必
須遺伝子とは、生物の増殖(growth)(代謝、分裂または繁殖など)および生存
のために必要な遺伝子のことである。必須遺伝子は、治療用抗真菌薬剤を同定す
るために用いることができる。これらの治療薬は、生物の発育を抑制もしくは阻
害すること、または病原性もしくはビルレンスを低下させること、好ましくはそ
れを死滅させることが可能である。
【0024】 A.フミガーツス(A. fumigatus)ACCアーゼ(afACCアーゼ)のコード配列は図
1に配列番号:1として示されており、そのアミノ酸配列は配列番号:2によって
表されている。このため、本発明は新規ACCアーゼ(これはA.フミガーツスに特
異的である)およびそれをコードするヌクレオチド配列(afACC1)に関する。本
発明は、疾患の診断および治療におけるこの新規核酸およびアミノ酸配列の使用
にも関する。また、本発明は、ACCアーゼ活性を調節しうる薬剤の評価のため、
および/またはそのスクリーニングのための、新規核酸およびアミノ酸配列の使
用にも関する。本発明はさらに、ACCアーゼ活性を調節しうる薬剤の評価のため
、および/またはそのスクリーニングのための、新規核酸およびアミノ酸配列を
包含または発現する遺伝子組換え宿主細胞にも関する。
【0025】 本発明のACCアーゼは、A.フミガーツス菌株から入手しうる。このACCアーゼは
、ヒト骨組織および脂肪組織で同定されるアセチル-CoAカルボキシラーゼ、およ
びAcc1pとして知られる酵母(S.セレビシエ)アセチル-CoAカルボキシラーゼと
は区別することができる。
【0026】 本発明のACCアーゼは天然に生じる型と同じでもよく(この局面に関して、例
えばACCアーゼは非天然のアミノ酸配列でありうる)、またはその変異体、ホモ
ログ、断片、もしくは誘導体であってもよい。付加的または代替的に、本ACCア
ーゼは単離されたACCアーゼおよび/または精製されたACCアーゼである。本ACC
アーゼは、天然型であるか否かにかかわらず、任意の適切な供給源からの入手も
しくは産生が可能であり、またはそれは合成体、半合成体、もしくは組換え体で
あってもよい。
【0027】 本発明のACCアーゼ遺伝子は、A.フミガーツスの生存のために必須である。し
たがって、本発明のACCアーゼ核酸配列および本発明のACCアーゼポリペプチドは
、A.フミガーツスの阻害物質である化合物を同定するための有用な標的である。
このような阻害物質は、ACCアーゼポリペプチドの活性を阻害することにより、
または転写もしくは翻訳を阻害することにより、真菌増殖を低下させる。したが
って、1つの局面において、本発明は、A.フミガーツスACCアーゼポリペプチドま
たはその生物的活性部分をコードする単離核酸分子、ならびにACCアーゼをコー
ドする核酸を検出するためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブ
として適する核酸断片(例えば、少なくとも15ヌクレオチド(例えば、少なくと
も18、20または25ヌクレオチド)の断片)を提供する。
【0028】 本発明は、配列番号:1に示されたヌクレオチド配列、またはATCC(10801 Uni
versity Blvd.、Manassas、VA 209110〜2209、USA)に1998年12月15日にアクセ
ッション番号207005、207006、207007、207008もしくは207009として寄託された
プラスミドのcDNAインサート(「ATCC 207005、207006、207007、207008もしく
は207009のcDNA」)のヌクレオチド配列、またはその相補体との同一性が少なく
とも65%(または75%、85%、95%、98%もしくは100%)である核酸分子を特
徴とする。寄託された生物試料は、それぞれプラスミドEpAFACC-1、EpAFACC-2、
EpAFACC-3、EpAFACC-4およびEpAFACC-5を含む大腸菌細胞を含む。各EpAFACCプラ
スミドはA.フミガーツスACCアーゼの部分cDNA配列を含み、5つのプラスミドをま
とめることによってA.フミガーツスACCアーゼの完全cDNA配列が得られる。
【0029】 本発明は、配列番号:1に示されたヌクレオチド配列、またはcDNA ATCC 20700
5、207006、207007、207008もしくは207009のヌクレオチド配列、またはその相
補体の少なくとも300(例えば、325、350、375、400、425、450、500、550、600
、650、700、800、900、1000、1200、1400、1600または1770)ヌクレオチドの断
片を含む核酸分子を特徴とする。
【0030】 また、本発明は、配列番号:2のアミノ酸配列、またはATCC 207005、207006、
207007、207008もしくは207009のcDNAによってコードされるアミノ酸配列との同
一性%が少なくとも65%(または75%、85%、95%、98%もしくは100%)であ
るアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分
子も特徴とする。
【0031】 配列番号:2のアミノ酸配列を有するポリペプチドの断片であって、配列番号
:2またはATCCアクセッション番号207005、207006、207007、207008もしくは207
009のcDNAによってコードされるポリペプチドの少なくとも15個(25個、30個、5
0個、100個、150個、300個、400個または450個)の連続したアミノ酸を含む断片
をコードする核酸分子も本発明の範囲に含まれる。
【0032】 その他の態様において、本発明は、配列番号:2のアミノ酸配列との同一性%
が少なくとも約65%(例えば、75%、85%、95%、98%もしくは100%)である
アミノ酸配列を有する単離されたACCアーゼタンパク質;配列番号:1またはATCC
207005、207006、207007、207008もしくは207009のcDNAとの同一性%が少なく
とも約65%(例えば、75%、85%、95%または100%)であるヌクレオチド配列
を有する核酸分子によってコードされる単離されたACCアーゼタンパク質;およ
び配列番号:1またはATCC 207005、207006、207007、207008もしくは207009のcD
NAの非コード鎖のヌクレオチド配列を有する核酸分子とストリンジェントな条件
下でハイブリダイズするヌクレオチド配列を有する核酸分子によってコードされ
る単離されたACCアーゼタンパク質を特徴とする。
【0033】 本発明のもう1つの態様は、他のACCアーゼをコードする核酸分子に対してA.フ
ミガーツスACCアーゼ核酸分子を特異的に検出するACCアーゼ核酸分子を特徴とす
る。例えば、1つの態様において、A.フミガーツスACCアーゼ核酸分子は、配列番
号:1、またはATCC 207005、207006、207007、207008もしくは207009のcDNAのヌ
クレオチド配列、またはその相補体を含む核酸分子とストリンジェントな条件下
でハイブリダイズする。もう1つの態様において、A.フミガーツスACCアーゼ核酸
分子は長さが少なくとも300(例えば、400、500、700、900、1100または1300)
ヌクレオチドであって、配列番号:1に示されたヌクレオチド配列、ATCC 207005
、207006、207007、207008もしくは207009のcDNA、またはその相補体を含む核酸
分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。もう1つの態様におい
て、本発明は、A.フミガーツスACCアーゼ核酸のコード鎖に対するアンチセンス
である、単離核酸分子を提供する。
【0034】 本発明のもう1つの局面では、本発明のACCアーゼ核酸分子を含む、組換え発現
ベクターなどのベクターを提供する。もう1つの態様において、本発明はこのよ
うなベクターを含む宿主細胞を提供する。また、本発明は、ACCアーゼタンパク
質が産生されるように組換え発現ベクターを含む本発明の宿主細胞を適した培地
中で培養することにより、ACCアーゼタンパク質を産生させるための方法も提供
する。
【0035】 本発明のもう1つの局面では、単離されたまたは組換え型のACCアーゼタンパク
質およびポリペプチドを特徴とする。典型的なACCアーゼタンパク質およびポリ
ペプチドは、天然に生じるA.フミガーツスACCアーゼが有する生物活性の少なく
とも1つ、例えばアセチルCoAからマロニルCoAを合成する能力を有する。ACCアー
ゼポリペプチドの活性が野生型A.フミガーツスACCアーゼのものと同等である必
要はない。例えば、ACCアーゼポリペプチドは、野生型活性の20、50、75、90、1
00%またはそれ以上を有しうる。
【0036】 生存に必須であるA.フミガーツスACCアーゼ遺伝子が同定されたため、A.フミ
ガーツスACCアーゼをコードする核酸、およびA.フミガーツスACCアーゼタンパク
質を抗真菌薬剤の同定に用いることができる。このような抗真菌薬剤は、ACCア
ーゼ活性の阻害を検出するための高スループットアッセイ法を用いて検出可能で
ある。この阻害は例えば、低分子とACCアーゼポリペプチドとの直接的な結合に
よって、またはACCアーゼが関与する生化学経路における他の必須ポリペプチド
との低分子の結合によって、引き起こすことができる。
【0037】 また、本発明は、ACCアーゼの活性および/もしくは発現に影響を及ぼす、ま
たは選択的に影響を及ぼす(阻害する、または別の様式で修飾する)作用物質(
化合物、他の物質、または組成物など)を、ACCアーゼまたはそれをコードする
ヌクレオチド配列を作用物質と接触させた後にACCアーゼの活性および/または
その発現を測定することによって同定する方法も提供する。1つの関連した局面
において、本発明は、afACCアーゼの活性および/もしくは発現に影響を及ぼす
、または選択的に影響を及ぼす(阻害する、または別の様式で修飾する)作用物
質(化合物、他の物質または組成物など)を、(a)afACCアーゼ遺伝子(例えば
、配列番号:1)もしくはその対立遺伝子変異体のヌクレオチド配列を含む組換
え構築物が組み入れられた細胞系、または(b)afACCアーゼを天然の状態で選択
的に発現する細胞集団または細胞系において、作用物質の存在下または作用物質
の添加後にafACCアーゼの活性および/または発現を測定し、続いてafACCアーゼ
の活性および/またはその発現を測定することによって同定する方法も提供する
【0038】 アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)ACCアーゼ遺伝子が
同定されたため、細胞全体においてこの種のアッセイ法を行うために、これを種
々の宿主細胞(例えば、真菌、大腸菌、または酵母)にクローニングすることが
可能である。同様に、本発明のACCアーゼを用いて、ACCアーゼ活性に関する従来
のインビトロアッセイ法を行うこともできる。
【0039】 1つの態様において、本発明は、真菌感染症の治療のための化合物を同定する
ための方法であって、(i)ACCアーゼを発現することが可能な第1の細胞および
第2の細胞を調製する段階、(ii)第1の細胞を被験化合物と接触させる段階、(
iii)第1および第2の細胞におけるafACCアーゼの発現レベルを決定する段階、(
iv)第1の細胞における発現レベルを第2の細胞と比較する段階、ならびに(v)
第1の細胞におけるafACCアーゼの発現が第2の細胞におけるこの必須遺伝子の発
現よりも低い被験化合物を真菌感染症の治療のために選択する段階を順に必要と
し、afACCアーゼ遺伝子が配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは
その天然に生じる対立遺伝子変異体をコードする第1の核酸分子であって、該第1
の核酸分子が、配列番号:1のヌクレオチド配列を含む第2の核酸分子とストリン
ジェントな条件下でハイブリダイズする方法を特徴とする。afACCアーゼ遺伝子
の発現レベルの決定は、afACCアーゼ遺伝子から転写されるmRNAの量を測定する
ことによって行うことができる。または、afACCアーゼ遺伝子によってコードさ
れるafACCアーゼのレベルを測定することもできる。
【0040】 被験化合物としては低分子有機分子が可能である。または、被験化合物は被験
ポリペプチド(例えば、ランダムもしくは所定のアミノ酸配列を有するポリペプ
チド、または天然型もしくは合成性ポリペプチド)またはDNAもしくはRNA分子な
どの核酸であってもよい。被験化合物は天然に生じる化合物でもよく、合成的に
製造することもできる。ACCアーゼと結合する化合物を同定するために、合成物
質ライブラリー、化学物質ライブラリなどをスクリーニングすることもできる。
【0041】 もう1つの適した方法では、アセチルCoAカルボキシラーゼ(ACC)の活性また
はその発現に影響を及ぼしうる作用物質を同定するためのアッセイ法であって、
作用物質を本発明に係るアミノ酸配列または本発明に係るヌクレオチド配列と接
触させる段階、およびACCの活性または発現を測定する段階を含み、a)作用物質
の非存在下におけるACCアーゼの活性または発現と、b)作用物質の存在下におけ
るACCアーゼの活性または発現との間に活性の差があることからその作用物質がA
CCアーゼの活性または発現に影響を及ぼしうることが示されるようなアッセイ法
が提供される。
【0042】 抗真菌化合物を同定するためのもう1つの適した方法は、ACCアーゼと特異的に
結合する低分子に関するスクリーニングを含む。当技術分野では種々の適した結
合アッセイ法が知られており、これには例えば、参照として本明細書に組み入れ
られる米国特許第5,585,277号および第5,679,582号に記載されたものがある。例
えば、種々の従来のアッセイ法において、低分子がポリペプチドをアンフォール
ディング状態ではなくフォールディング状態に安定化させる能力を測定すること
により、被験化合物をポリペプチドとの結合能に関してアッセイすることができ
る。より詳細には、被験化合物によって付与されるアンフォールディングに対す
る保護の程度を測定することができる。afACCアーゼと高い親和性で結合する被
験化合物は、例えば、ポリペプチドが変性する温度の著しい変化を引き起こす。
ポリペプチドをフォールディング状態に安定化させる被験化合物を、標準的な感
受性アッセイ法で抗真菌活性に関してさらにアッセイすることができる。
【0043】 抗真菌化合物を同定するための1つの関連した方法では、ACCアーゼポリペプチ
ドを用いて、ACCアーゼポリペプチドと特異的に結合するペプチドまたは核酸リ
ガンドを単離する。続いて、これらのペプチドまたは核酸リガンドを、ACCアー
ゼポリペプチドと結合する低分子を同定するための変位スクリーニングに用いる
。このような結合アッセイ法は本明細書の記載の通りに行うことができる。
【0044】 A.フミガーツスACCアーゼポリペプチドを、本ポリペプチドと結合する被験化
合物を同定するために用いることもできる。続いて、ACCアーゼポリペプチドと
結合する被験化合物を、従来のアッセイ法で真菌増殖抑制能に関してアッセイし
うる。ACCアーゼポリペプチドと結合する被験化合物は、ACCアーゼポリペプチド
と結合しない化合物とは異なり、抗真菌薬剤の候補である。本明細書で述べる通
り、被験化合物とACCアーゼポリペプチドとの結合をアッセイするには、当技術
分野で知られた種々のアッセイの任意のものを用いることができる。
【0045】 本発明には、例えば、真菌感染症の治療に有用な化合物を同定するための方法
であって、(a)被験化合物の存在下で細胞におけるafACCアーゼ遺伝子の発現レ
ベルを測定する段階、(b)段階(a)で測定した発現レベルを被験化合物の非存
在下での細胞におけるafACCアーゼ遺伝子の発現レベルと比較する段階、および
(c)被験化合物の存在下におけるafACCアーゼ遺伝子の発現レベルが被験化合物
の非存在下におけるafACCアーゼ遺伝子の発現レベルよりも低い場合に、被験化
合物を真菌感染症の治療に有用なものとして選択する段階を必要とし、afACCア
ーゼ遺伝子が、配列番号:1の配列を有する方法が含まれる。望ましいならば、
発現レベルは本明細書に記載されるafACCアーゼ遺伝子のmRNAの量を測定するこ
とによって、または本明細書に記載されるafACCアーゼ遺伝子によってコードさ
れるタンパク質の量を測定することによって測定可能である。一般に、細胞はA.
フミガーツスまたはサッカロミセス属(例えば、サッカロミセス・セレビシエ)
である。
【0046】 上記の方法の変法において、本発明は、真菌感染症の治療に有用な化合物を同
定するための方法であって、(a)被験化合物の存在下で細胞におけるafACCアー
ゼ遺伝子の活性を測定する段階、(b)段階(a)で測定した活性を被験化合物の
非存在下での細胞におけるafACCアーゼ遺伝子の活性レベルと比較する段階、お
よび(c)被験化合物の存在下におけるafACCアーゼ遺伝子の活性レベルが被験化
合物の非存在下におけるafACCアーゼ遺伝子の活性レベルよりも低い場合に、被
験化合物を真菌感染症の治療に有用なものとして選択する段階を必要とし、afAC
Cアーゼ遺伝子が配列番号:1の配列を有する方法を特徴とする。
【0047】 1つの代替的な方法において、本発明は、真菌感染症の治療に有用な化合物を
同定するための方法であって、(a)被験化合物の存在下で、afACCアーゼ遺伝子
を発現するように操作された細胞試料の増殖を測定する段階、(b)段階(a)で
測定した増殖を被験化合物の非存在下での細胞試料の増殖と比較する段階、およ
び(c)被験化合物の存在下における細胞試料の増殖が被験化合物の非存在下に
おける細胞試料の増殖よりも遅い場合に、被験化合物を真菌感染症の治療に有用
なものとして選択する段階を必要とし、afACCアーゼ遺伝子が、配列番号:1の配
列を有する方法を特徴とする。一般に、細胞試料は真菌細胞(例えば、A.フミガ
ーツス)を含む。
【0048】 また、本発明には、抗真菌薬剤を同定するための方法であって、(a)ACCアー
ゼポリペプチドを被験化合物と接触させる段階、(b)被験化合物のポリペプチ
ドとの結合を検出する段階、および(c)被験化合物が抗真菌薬剤であることの
指標として、ポリペプチドと結合する被験化合物が被験化合物の非存在下で培養
した菌の増殖に対してA.フミガーツスの増殖を阻害するか否かを判定する段階を
必要とする方法も含まれる。望ましい場合には、被験化合物を基質上に固定し、
被験化合物とafACCアーゼとの結合を、固定された被験化合物上へのafACCアーゼ
の固定として検出することができる。被験化合物上へのafACCアーゼの固定は、a
fACCアーゼと特異的に結合する抗体を用いるイムノアッセイ法で検出することが
できる。
【0049】 さらにもう1つの方法では、被験化合物とACCアーゼポリペプチドとの結合を、
タンパク質/タンパク質相互作用を検出するための従来のツーハイブリッドシス
テム(例えば、酵母または哺乳動物細胞におけるもの)において検出することが
できる。afACCアーゼと結合することが見いだされた被験化合物はさらに、従来
の感受性アッセイ法で抗真菌活性に関して試験することができる。一般に、この
ようなツーハイブリッド法では、(a)afACCアーゼは(i)転写因子の転写活性
化ドメインまたは(ii)転写因子のDNA結合ドメインと融合したポリペプチドを
含む融合タンパク質として提供され;(b)被験ポリペプチドは(i)転写因子の
転写活性化ドメインまたは(ii)転写因子のDNA結合ドメインと融合した被験ポ
リペプチドを含む融合タンパク質として提供され;および(c)被験ポリペプチ
ドのポリペプチドとの結合は転写因子の再構成として検出される。転写因子の再
構成は、例えば、再構成された転写因子のDNA結合ドメインと結合したDNA配列と
機能的に結合している遺伝子の転写を検出することによって検出可能である(例
えば、White、1996、Proc. Natl. Acad.. Sci. 93:10001〜10003およびそれに
引用された参考文献、ならびにVidalら、1996、Proc. Natl. Acad. Sci. 93:10
315〜10320を参照のこと)。
【0050】 1つの代替的な方法では、ACCアーゼのインビボ発現(すなわち、A.フミガーツ
ス細胞におけるもの)を低下させる化合物を同定するために、ACCアーゼをコー
ドする単離核酸分子を用いる。このような化合物は、抗真菌薬剤として用いうる
。このような化合物を発見するためには、ACCアーゼを発現する細胞を培養し、
被験化合物(または被験化合物の混合物)に曝露させて、ACCアーゼの発現また
は活性レベルを、被験化合物に曝露されていないことを除いて同一の細胞におけ
るACCアーゼの発現または活性レベルと比較する。本発明のこの局面には、遺伝
子発現およびACCアーゼ活性に関する標準的な定量的アッセイ法を用いることが
できる。
【0051】 ACCアーゼの発現を調節する化合物を同定するために、被験化合物をA.フミガ
ーツスの培養液に種々の濃度で添加することが可能である。このような被験化合
物には、低分子(一般にはタンパク質でなく、多糖類でない化学的実体)、ポリ
ペプチドおよび核酸が含まれる。続いて、例えば、本発明の核酸分子をプローブ
として用いるノーザンブロットPCR分析またはRNアーゼ保護分析により、ACCアー
ゼの発現を測定する。被験分子の存在下における発現レベルをその非存在下にお
ける発現レベルと比較することにより、被験分子がafACCアーゼの発現を変化さ
せるか否かが示されると考えられる。ACCアーゼは生存のために必須であるため
、ACCアーゼの発現および/または機能を阻害する被験化合物は、ACCアーゼを発
現する細胞の増殖阻害または死滅を引き起こすと考えられる。
【0052】 より一般的には、被験化合物とACCアーゼポリペプチドとの結合はインビトロ
またはインビボで検出可能である。望ましいならば、本発明のACCアーゼポリペ
プチドの発現を調節する化合物を同定するための上記の方法を、例えば、上記の
通りにACCアーゼ活性のアッセイを行うことにより、または例えば、ACCアーゼと
結合する抗体を用いるウエスタンブロット分析を行うことにより、細胞における
ACCアーゼの発現レベルの測定と組み合わせることができる。本発明の方法によ
って同定された抗真菌薬剤は、多岐にわたる病原性または非病原性真菌株を抑制
するために用いうる。
【0053】 また、本発明は、抗真菌薬剤を同定するための方法であって、(a)afACCアー
ゼポリペプチドを被験化合物と接触させる段階、(b)被験化合物と接触したafA
CCアーゼの活性の低下を検出する段階、(c)afACCアーゼの活性を低下させるも
のとして真菌感染症の治療に有用な化合物を選択する段階、および選択的に(d
)増殖阻害によって被験化合物が抗真菌薬剤であることが示されるような、接触
したafACCアーゼポリペプチドの活性を低下させる被験化合物が、接触したACCア
ーゼポリペプチドの活性を低下させる被験化合物の非存在下で培養した菌の増殖
に対して菌の増殖を阻害するか否かを判定する段階を必要とし、afACCアーゼが
配列番号:1の配列を有する遺伝子によってコードされる方法も特徴とする。被
験化合物は非制限的にポリペプチド、リボ核酸、低分子、デオキシリボ核酸、ア
ンチセンスオリゴヌクレオチド、またはリボザイムでありうる。
【0054】 さらにもう1つの態様において、本発明は、真菌感染症の治療に有用な化合物
を同定するための方法であって、(a)ACCアーゼポリペプチドの変異体、ホモロ
グまたはオルソログを被験化合物と接触させる段階、(b)被験化合物とafACCア
ーゼの変異体、ホモログ、またはオルソログとの結合を検出する段階、および(
c)afACCアーゼの変異体、ホモログ、またはオルソログと結合するものとして真
菌感染症の治療に有用な化合物を選択する段階を必要とし、afACCアーゼが、配
列番号:1の配列を有する遺伝子によってコードされる方法を特徴とする。選択
的には、本方法は(d)増殖阻害によって被験化合物が抗真菌薬剤であることが
示されるような、afACCアーゼの変異体、ホモログ、またはオルソログと結合す
る被験化合物が、afACCアーゼの変異体、ホモログ、またはオルソログと結合す
る被験化合物の非存在下で培養した菌の増殖に対して菌の増殖を阻害するか否か
を判定する段階も含みうる。変異体、ホモログ、またはオルソログは非病原性ま
たは病原性の真菌に由来するものであってよい。
【0055】 本発明のいくつかの特定の態様は、全細胞調製物およびエクスビボ無細胞系の
双方に用いうる、抗真菌薬剤に関するアッセイ法を用いる抗真菌薬剤の同定のた
めのアッセイ法に関する。いずれの場合にも、アッセイ標的はACCアーゼヌクレ
オチド配列(これは真菌の生存のために必須である)および/またはACCアーゼ
ポリペプチドである。このため、本発明のいずれかのアッセイ法において標的ヌ
クレオチド配列および/またはafACCアーゼを阻害することが見いだされた候補
作用物質は、抗真菌薬剤の可能性のあるものとして同定される。本発明のアッセ
イ法は、被験化合物の小規模および大規模なスクリーニングのほか、標的ACCア
ーゼヌクレオチド配列またはACCアーゼポリペプチドを一定範囲の濃度の候補作
用物質に曝露させる段階希釈試験などの定量的アッセイ法にも適すると考えられ
る。
【0056】 本発明のアッセイ法を全細胞アッセイ法として行う場合には、標的ACCアーゼ
ヌクレオチド配列および/またはACCアーゼポリペプチドならびに生きた真菌細
胞全体を、増殖に通常適した条件下で候補作用物質に曝露させるとよい。必須栄
養素、至適温度および他のパラメーターを含む至適条件は用いる個々の真菌株に
よって決まり、適した条件は当技術分野で周知である。標的ヌクレオチド配列の
発現および/またはafACCアーゼの活性の阻害は、細胞培養物の増殖またはその
欠如を観察することを含む、数多くの方法で判定しうる。このような観察は、徒
手的または自動化の別にかかわらず、光学濃度測定もしくは他の吸光性/光散乱
性手段により、またはさらに他の適した手段により、視覚的に行ってもよい。
【0057】 上記の全細胞アッセイ法において、観察される細胞増殖の欠如は標的ヌクレオ
チド配列および/もしくはafACCアーゼの阻害による可能性もあり、または候補
作用物質の全く異なる作用による可能性もあるため、作用機序を立証するため、
および候補作用物質が標的の特異的阻害物質であるか否かを決定するためにさら
に評価が必要なことがある。このため、および本発明の1つの態様においては、
それぞれの被験化合物の試験を、第1の真菌細胞が第2の真菌細胞と比べて阻害に
対する感受性が高くなるような特性の変化した標的を有するという2つの異なる
真菌細胞に対して別々に行う、細胞対(paired-cell)アッセイ法として本方法
を行いうる。
【0058】 差異を伴う感受性を実現するための1つの様式は、改変された標的ACCアーゼポ
リペプチドを発現する変異株を用いることによる。特に有用な菌株は、標的の高
温(すなわち、至適温度よりも高いが依然として野生型細胞の増殖を許容する温
度)での機能喪失が野生型標的よりも生じやすいことの結果として、温度感受性
(「ts」)変異を有するものである。半許容温度で増殖させた場合、ts変異株の
標的の活性は低下するものの増殖には十分であると思われる。
【0059】 代替的または上記と併用して、野生型細胞に比べて阻害に対する感受性が低く
なるような変化した特性を有する第2の真菌細胞、例えば、標的の過剰発現が生
じるような遺伝的操作を受けた真菌細胞を用いることにより、阻害物質のターゲ
ティングのための差異を伴う感受性を得ることもできる。このような過剰発現は
、標的のヌクレオチド配列を有するプラスミドを野生型細胞に導入することによ
って実現可能である。温度感受性変異株の作製のため、特異的プラスミドの調製
のため、およびこのようなプラスミドによる細胞系の形質転換のための技法は当
技術分野で周知である。
【0060】 代替的または上記と併用して、細胞または生物に対する透過障壁の原因となる
1つまたは複数のタンパク質をコードする1つまたは複数の遺伝子の変異または欠
失により、候補作用物質の細胞または生物への到達を促進させることもできる。
【0061】 また、本発明は、1つまたはいくつかの転写/翻訳構成要素への擾乱に対して
感受性のある真菌細胞系を用いて抗真菌薬剤を同定するための方法にも関する。
【0062】 例えば、本発明は、1つまたは複数の転写/翻訳構成要素が対応する野生型細
胞と比べて変化した型として、または異なる量で存在する変異型真菌細胞を作製
する方法に関する。本方法はさらに、変異型および野生型細胞の増殖に対するそ
の影響を評価することにより、転写/翻訳を擾乱する能力に関して候補作用物質
を検討することを含む。転写/翻訳に関与する特定の構成要素に作用することに
よって転写/翻訳を擾乱する作用物質は、その構成要素の型または量が変化した
変異型真菌細胞に対しては対応する野生型細胞とは異なる増殖を引き起こすが、
転写/翻訳に関与する他の構成要素に変化のある他の変異型細胞の増殖には野生
型細胞に対して影響を及ぼさないと思われる。このため、この方法は、候補作用
物質が転写/翻訳を擾乱するか否かを識別するための手段だけでなく、それが影
響を及ぼす部位の指標も提供する。候補作用物質によって増殖が影響される細胞
において型または量が変化した状態で存在する転写/翻訳構成要素は、その作用
物質の作用部位である可能性が高い。
【0063】 例えば、本発明は、翻訳時に適切なリーディングフレームを維持し、停止コド
ンで翻訳を終結させるといった正確な翻訳過程に障害を与える抗真菌薬剤を同定
するための方法を提供する。本方法は、1つのリーディングフレームに留まる、
または停止コドンで翻訳を終結させるという正常過程が破壊された場合のみに検
出可能なレポーターポリペプチドが産生されうるような変異型真菌細胞を作製す
ることを含む。本方法はさらに、変異型真菌細胞を候補作用物質と接触させ、そ
れがレポーターポリペプチドの産生を増加させるか減少させるかを検討すること
を含む。
【0064】 また、本発明は、作用物質をafACCアーゼ(またはその誘導体、ホモログ、変
異体もしくは断片)またはそれをコードするヌクレオチド配列(誘導体、ホモロ
グ、変異体またはその断片を含む)との特異的結合親和性に関してスクリーニン
グする方法であって、a)候補作用物質を提供する段階;b)結合するのに十分な
時間にわたって適切な条件下でafACCアーゼ(またはその誘導体、ホモログ、変
異体もしくは断片)またはそれをコードするヌクレオチド配列(またはその誘導
体、ホモログ、変異体もしくは断片)を候補作用物質と組み合わせる段階であっ
て、ACCアーゼポリペプチドまたはそれをコードするヌクレオチド配列の作用物
質との結合または相互作用に応じて検出可能なシグナルを提供しうる第2の構成
要素がこのような結合または相互作用に付随している段階、およびc)作用物質
のafACCアーゼ(またはその誘導体、ホモログ、変異体、もしくは断片)または
それをコードするヌクレオチド配列(またはその誘導体、ホモログ、変異体もし
くは断片)との結合および/または相互作用によって生じるシグナルの有無を検
出することにより、作用物質がそれと結合または相互作用してACCアーゼ(また
はその誘導体、ホモログ、変異体もしくは断片)の活性またはそれをコードする
ヌクレオチド配列(またはその誘導体、ホモログ、変異体もしくは断片)の発現
を活性化または阻害するか否かを判定する段階を含む方法も提供する。
【0065】 その他の態様において、細胞系は規定条件下で増殖させた真菌細胞の抽出物で
あり、方法は転写または翻訳をインビトロで測定することを含む。このような規
定条件は、転写阻害物質または翻訳阻害物質を細胞抽出物に添加することによっ
てレポーターの転写または翻訳が上昇または低下するように選択される。
【0066】 抗真菌薬剤を同定するためのこのような方法の一つは、転写応答性遺伝子産物
に依拠する。本方法は、全体的転写の比率として計測されるレポーター分子の産
生が、真菌細胞の全体的転写が低下する条件下で増加または減少するような真菌
細胞を作製することを含む。具体的には、レポーター分子は作製される配列と転
写的に結合した核酸によってコードされ、全体的転写が低下した際にレポーター
分子の産生の相対的増加または減少を引き起こすように配置される。典型的には
、全体的転写は、全体的転写が低下した際にも全体的転写の比率として計測した
場合に発現が一定に保たれる第2の指標遺伝子の発現によって計測される。本方
法はさらに、真菌細胞を候補作用物質と接触させること、および作用物質が真菌
細胞における第1のレポーター分子の産生を増加または減少させるか否かを判定
する段階を含む。
【0067】 1つの態様において、レポーター分子はそれ自体が、全体的転写が低下した際
にその産生が増加または減少する転写応答性遺伝子産物である。もう1つの態様
において、レポーターは、その産生が転写応答性遺伝子産物のものと連結してい
る異なる分子である。レポーターと転写応答性遺伝子産物とのこのような連結は
いくつかの方法で実現しうる。例えば、レポーターをコードする遺伝子配列を、
転写応答性遺伝子産物をコードする遺伝子の一部もしくは全体、および/または
遺伝子産物の産生を制御する遺伝因子の一部もしくは全体と融合させてもよい。
または、転写応答性遺伝子産物が、レポーターをコードする遺伝子の転写を直接
的または間接的に刺激してもよい。
【0068】 または、抗真菌薬剤を同定するための方法は翻訳応答性遺伝子産物に依拠する
。本方法は、全体的翻訳の比率として計測されるレポーター分子の産生が、真菌
細胞の全体的翻訳が低下する条件下で増加または減少するような真菌細胞を作製
することを含む。具体的には、レポーター分子は作製される配列と翻訳的に結合
した、または転写的に結合した核酸によってコードされ、全体的翻訳が低下した
際にレポーター分子の産生の相対的増加または減少を引き起こすように配置され
る。典型的には、全体的翻訳は、全体的翻訳が低下した際にも全体的翻訳の比率
として計測した場合に発現が一定に保たれる第2の指標遺伝子の発現によって計
測される。本方法はさらに、真菌細胞を候補作用物質と接触させること、および
作用物質が真菌細胞における第1のレポーター分子の産生を増加または減少させ
るか否かを判定することを含む。
【0069】 1つの態様において、レポーター分子はそれ自体が、全体的翻訳が低下した際
にその産生が増加または減少する翻訳応答性遺伝子産物である。もう1つの態様
において、レポーターは、その産生が翻訳応答性遺伝子産物のものと連結してい
る異なる分子である。レポーターと翻訳応答性遺伝子産物とのこのような連結は
いくつかの方法で実現しうる。例えば、レポーターをコードする遺伝子配列を、
翻訳応答性遺伝子産物をコードする遺伝子の一部もしくは全体、および/または
遺伝子産物の産生を制御する遺伝因子の一部もしくは全体と融合させてもよい。
または、翻訳応答性遺伝子産物が、レポーターをコードする遺伝子の翻訳を直接
的または間接的に刺激してもよい。
【0070】 一般に、さまざまなレポーターを用いうるが、代表的なレポーターは検出可能
なシグナル(例えば、分光法により)を都合よく提供するものである。例えば、
レポーター遺伝子は、吸光特性を変化させる反応を触媒する酵素をコードしても
よい。
【0071】 レポーター分子の例には、-ガラクトシダーゼ、インベルターゼ、緑色蛍光タ
ンパク質、ルシフェラーゼ、クロラムフェニコール、アセチルトランスフェラー
ゼ、β-グルクロニダーゼ、エキソ-グルカナーゼおよびグルコアミラーゼが非制
限的に含まれる。または、放射標識または蛍光タグ標識ヌクレオチドを新生転写
物に取り込ませ、オリゴヌクレオチドプローブと結合した際にそれらを同定する
こともできる。例えば、-ガラクトシダーゼなどのレポーター遺伝子産物の酵素
活性により、レポーター分子の産生を測定することが可能である。
【0072】 本発明のもう1つの態様では、選択された真菌生物の遺伝子の所定の集団に対
応するハイブリダイゼーションプローブの選択を用いて、選択された生物または
その細胞を候補作用物質に曝露させることに起因する遺伝子転写の変化を特異的
に検出しうる。この態様においては、作用物質が恒常性を維持するために細胞に
おける遺伝子転写の変化を引き起こすような条件下で、生物に由来する1つまた
は複数の細胞をインビボまたはエクスビボで候補作用物質に曝露させる。その後
、その1つまたは複数の細胞の遺伝子転写物、主としてmRNAを従来の手段によっ
て単離する。続いて、単離された転写物またはそれに対して相補的なcDNAを、各
プローブが転写物の個別の1つに対して特異的であるハイブリダイゼーションプ
ローブの規則的マトリックス(ordered matrix)と、転写物のそれぞれが対応す
るプローブの1つとハイブリダイズしてハイブリダイゼーション対を形成する条
件下で接触させる。プローブの規則的マトリックスは全体として、生物の候補作
用物質に対する転写応答性をモデル化するのに十分な、生物の遺伝子集合に対す
る相補体を提供する。プローブは一般に、マイクロタイタープレートなどの固体
基質上に固定および配列化される。特異的ハイブリダイゼーションは、例えば、
ハイブリダイズしたマトリックスを過剰量の非特異的オリゴヌクレオチドで洗浄
することによって行いうる。続いて、転写シグナルのプロファイルを得るために
、各ハイブリダイゼーション対でのハイブリダイゼーションシグナルを検出する
。多岐にわたるハイブリダイゼーションシグナルを用いてよい。1つの態様にお
いては、遺伝子転写物がハイブリダイゼーション対において検出可能な放射性シ
グナルをもたらすように、細胞を放射性核種であらかじめ標識しておく。続いて
、候補作用物質に対する特異的転写応答プロファイルを得るために、作用物質で
処理した細胞の転写シグナルプロファイルを陰性対照細胞の転写シグナルプロフ
ァイルと比較する。
【0073】 afACCアーゼの発現を本タンパク質に特異的なポリクローナル抗体またはモノ
クローナル抗体を用いて検出および測定するための種々のプロトコールが当技術
分野で知られている。その例には、固相酵素免疫アッセイ法(ELISA)、ラジオ
イムノアッセイ法(RIA)および蛍光活性化細胞分取法(FACS)が含まれる。afA
CCアーゼポリペプチド上の2つの非干渉性エピトープと反応するモノクローナル
抗体を用いる2部位モノクローナルベースのイムノアッセイ法が適している。ま
たは、競合結合アッセイ法を用いてもよい。上記および他のアッセイ法は例えば
、ハンプトン(Hampton R)ら(1990、血清学の方法、実験マニュアル(Serolog
ical Methods、Laboratory Manual)、APS Press、St Paul MN)およびマドック
ス(Maddox DE)ら(1983、J. Exp. Med. 158:121)に記載されている。
【0074】 本発明の1つの態様では、afACCアーゼもしくはその変異体、ホモログ、断片も
しくは誘導体、および/またはafACCアーゼもしくはその変異体、ホモログ、断
片もしくは誘導体を発現する細胞系を、afACCアーゼ活性の修飾因子(modulator
)として作用する抗体、ペプチドまたは有機もしくは無機分子などの他の作用物
質に関してスクリーニングし、それによってafACCアーゼの活性を調節しうる治
療的作用物質を同定するために用いることができる。例えば、ACCアーゼポリペ
プチドと特異的に結合し、afACCアーゼの活性を中和しうる抗体は、afACCアーゼ
活性の阻害のために用いうる。または、コンビナトリアルケミストリーによって
作製したペプチドライブラリーまたは有機分子ライブラリーを、組換え的に発現
されたACCアーゼポリペプチドもしくはその変異体、ホモログ、断片、もしくは
誘導体、またはACCアーゼもしくはその変異体、ホモログ、断片、もしくは誘導
体を発現する細胞系によってスクリーニングすることは、afACCアーゼ活性を調
節することによって作用する治療的作用物質の同定のために有用と思われる。合
成化合物、天然物および生物的活性物質のその他の供給源のスクリーニングは数
多くの方法で行うことができ、これは当業者にとってはルーチン的であると思わ
れる。例えば、afACCアーゼのN末端領域をコードするヌクレオチド配列を細胞系
で発現させ、afACCアーゼ活性のアゴニストまたはアンタゴニストであるアロス
テリック修飾因子のスクリーニングに用いることができる。
【0075】 したがって、本発明は、複数の作用物質を提供する段階、結合するのに十分な
時間にわたって適切な条件下でafACCアーゼまたはその一部、変異体、ホモログ
、断片、もしくは誘導体を複数の作用物質のそれぞれと組み合わせる段階、およ
びafACCアーゼまたはその一部、変異体、ホモログ、断片、もしくは誘導体の複
数の作用物質のそれぞれとの結合を検出する段階によって、複数の作用物質をaf
ACCアーゼまたはその一部、変異体、ホモログ、断片、もしくは誘導体との特異
的結合親和性に関してスクリーニングし、それによってafACCアーゼと特異的に
結合する1つまたは複数の作用物質を同定するための方法を提供する。このよう
なアッセイ法において、当業者に知られたコンビナトリアルケミストリー法によ
って多数の作用物質を作製してもよい。
【0076】 もう1つのスクリーニング法により、afACCアーゼポリペプチドに対する適切な
結合親和性を有する作用物質の高スループットスクリーニングがもたらされるが
、これは国際公開公報第84/03564号に詳細に記載された方法に基づく。簡潔に
述べると、多数の異なる低分子ペプチド被験化合物を、プラスチックピンまたは
何らかの他の表面などの固体基質上に合成する。このペプチド被験作用物質をaf
ACCアーゼ断片と反応させ、洗浄する。続いて、当業者に周知の方法を適切に適
合させることなどにより、結合したACCアーゼポリペプチドを検出する。精製さ
れたACCアーゼポリペプチドを、上記の薬物スクリーニング法に用いるためにプ
レート上に直接コーティングすることもできる。または、非中和性抗体を用いて
ペプチドを捕捉し、それを固体支持体上に固定することもできる。
【0077】 抗真菌薬剤の探索プロセスでは、新たな抗真菌薬剤の可能性があるものを、本
発明の精製された発現産物のインビトロ活性を阻害する能力に関して生化学的ア
ッセイ法において試験することが一般的である。続いて、阻害活性を有する作用
物質に対して、標準的なMIC(増殖阻害最小濃度)試験(M27-A NCCLSで承認され
た方法に基づく)を用いるインビトロ抗真菌活性スクリーニングを行うことがで
きる。この時点で同定された抗真菌活性のある作用物質を、続いて、全身カンジ
ダ感染症/アスペルギルス感染症の齧歯類モデルなどを用いることにより、イン
ビボでの抗真菌活性に関して試験する。有効性は、作用物質を投与(これは経口
的または静脈内経路によって行いうる)されていない対照動物と比べて、作用物
質が宿主動物の全身感染症に対する生存率を高める能力、および/または感染組
織における真菌負荷量を減少させる能力を測定することによって測定される。
【0078】 また、本発明は、afACCアーゼ活性に起因する疾患(またはafACCアーゼ活性の
阻害によって治療しうるもの)に対するこのような治療を必要とする個体を治療
するための医薬組成物も提供する;この治療法は、活性に影響を及ぼす(阻害す
る、など)作用物質の治療的有効量、および薬学的に許容される担体、希釈剤、
賦形剤またはアジュバントを投与することを必要とする。
【0079】 本医薬組成物はヒトまたは動物に対して用いることができ、典型的には、薬学
的に許容される希釈剤、担体、賦形剤またはアジュバントの1つまたは複数を含
むと考えられる。医薬担体、賦形剤または希釈剤の選択は、投与しようとする経
路および標準的な薬事業務の観点から行うことができる。医薬組成物には、担体
、賦形剤または希釈剤として(またはそれに加えて)、任意の適した結合剤、潤
滑剤、懸濁化剤、コーティング剤、可溶化剤を含めることができる。
【0080】 本発明には、薬学的に許容される賦形剤、および本明細書に記載した方法を用
いて同定される抗真菌薬剤を含む医薬製剤が含まれる。特に、本発明には、病原
性真菌株(例えば、病原性アスペルギルス・フミガーツス株)の増殖阻害または
死滅を引き起こす抗真菌薬剤を含む医薬製剤が含まれる。このような医薬製剤は
、生物における真菌感染症の治療方法に用いることができる。このような方法は
、医薬製剤の治療的有効量、すなわち、真菌感染症の徴候および/または症状を
寛解させるのに十分な量を生物に投与することを含む。特に、このような医薬製
剤は、ヒトおよび家畜哺乳動物(例えば、ウシ、ブタ、イヌおよびネコ)などの
哺乳動物ならびに植物における真菌感染症を治療するために用いることができる
。このような抗真菌薬剤のヒトにおける有効性は、当技術分野で周知の動物モデ
ル系(例えば、真菌感染症のマウス系)で評価可能である。
【0081】 また、本発明は(i)標的(標的はヒトなどの哺乳動物などの生体でもよく、
または繊維片、紙、プラスチックなどの非生物標的でもよい)における糸状菌お
よび/または真菌感染症の治療の方法であって、本発明のヌクレオチド配列の発
現パターンまたはその発現産物の活性を調節しうる作用物質の有効量を送達する
こと(投与または曝露など)を必要とする方法、ならびに(ii)標的(標的はヒ
トなどの哺乳動物などの生体でもよく、または繊維片、紙、プラスチックなどの
非生物標的でもよい)における糸状菌および/または真菌感染症の治療の方法で
あって、本発明によるアッセイ法によって同定された作用物質の有効量を送達す
ること(投与または曝露など)を必要とする方法も含む。本明細書で用いる「治
療すること」「治療する」または「治療」という用語は、特に、真菌感染症の予
防的(preventative)(例えば、予防的(prophylactic))、緩和的および治癒
的治療を含む。
【0082】 本発明は、個体、特に哺乳動物において免疫学的応答を誘発させるための方法
であって、本明細書に記載される1つまたは複数のACCアーゼ遺伝子またはポリペ
プチドを、一般に糸状菌、真菌感染症または侵入から個体を保護する抗体性およ
び/またはT細胞性免疫応答を生じさせるのに十分な量で接種することを必要と
する方法も特徴とする。もう1つの局面において、本発明は、疾患が個体内です
でに成立しているか否かにかかわらず、個体を疾患から保護する目的で、免疫学
的応答を誘発させるため、例えば抗体性および/またはT細胞性免疫応答を生じ
させるために、本明細書に記載されるACCアーゼ遺伝子またはその変異体、ホモ
ログ、断片もしくは誘導体を含むベクターをインビボで個体に送達することを必
要とする、個体において免疫学的応答を誘発させる方法に関する。
【0083】 微生物膜を透過しうる種々の親和性試薬(すなわち、抗体および抗体断片)は
、本発明の方法を実施する上で有用である。例えば、A.フミガーツスACCアーゼ
ポリペプチドと特異的に結合するポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体
により、種々の真菌株(またはその抽出物)におけるA.フミガーツスACCアーゼ
ポリペプチドの検出が容易となる。これらの抗体は、(例えば、本明細書に記載
されるアッセイ法を用いて)被験化合物のACCアーゼとの結合を検出するために
も有用である。さらに、A.フミガーツスACCアーゼと特異的に結合するモノクロ
ーナル抗体は、それ自体を抗真菌薬として用いることが可能である。
【0084】 もう1つの局面において、本発明は、試料中のA.フミガーツスACCアーゼポリペ
プチドを検出するための方法を特徴とする。本方法は以下の段階を含む:A.フミ
ガーツスACCアーゼポリペプチドを含む疑いのある試料を入手する段階;抗体とA
CCアーゼポリペプチドとの複合体の形成が可能な条件下で、試料をA.フミガーツ
スACCアーゼポリペプチドと特異的に結合する抗体と接触させる段階;および試
料中のA.フミガーツスACCアーゼポリペプチドの存在の指標として複合体(もし
あれば)を検出する段階。
【0085】 前記の方法のすべてにおいて、本明細書に記載されるACCアーゼ遺伝子および
ポリペプチドのホモログ、オルソログまたは変異体を代用可能である。「ホモロ
グ」とは同じ菌種に含まれる構造的に類似した遺伝子のことであり、「オルソロ
グ」とは、他の種属(任意の種属、例えば大腸菌などに属するもの、またはそれ
以外のもの)に由来する機能的に等価な遺伝子のことである。本発明のACCアー
ゼのアミノ酸配列に関する「変異体」「ホモログ」または「断片」という用語に
は、結果としてACCアーゼポリペプチドが得られる配列からの、またはそれに対
する、1つまたは複数のアミノ酸の任意の置換、変異、修飾、交換、欠失もしく
は付加が含まれる。
【0086】 本発明はいくつかの利点を提供する。本発明は、必須な機能に基づき、A.フミ
ガーツスおよび他の関連した真菌種によって生じる日和見感染症の有効な治療の
ための有望な作用物質を同定するための標的を提供する。また、抗真菌薬剤を同
定するための方法を、抗真菌薬剤の多数の候補の高スループットスクリーニング
用に設定することもできる。本明細書に開示されるACCアーゼ遺伝子は高度に保
存的であると考えられているため、この遺伝子またはこの遺伝子産物を標的とす
る抗真菌薬は広域スペクトルの抗真菌活性を有すると期待される。
【0087】 別に定義する場合を除き、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語
は、本発明が属する当業者が一般的に理解しているものと同じ意味を持つ。本発
明の実施または検討のために本明細書に記載したものと同様または同等の方法お
よび材料を用いることができるが、適した方法および材料は以下に説明するもの
である。本明細書で言及するすべての刊行物、特許出願、特許およびその他の参
考文献は、それらの全体が参照として本明細書に組み入れられる。対立が生じた
場合には、定義を含め、本明細書が支配的であると考えられる。さらに、材料、
方法および実施例は例示のためのものであって発明の範囲の制限を意図したもの
ではなく、それは請求の範囲によって規定される。
【0088】 本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および請求の範囲から
明らかになると思われる。
【0089】発明の詳細な説明 アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)のアセチル補酵素A
カルボキシラーゼをコードする遺伝子が同定されており、これはA.フミガーツス
の生存のために必須である。ACCアーゼ遺伝子およびポリペプチドは、ACCアーゼ
ポリペプチドが発現する真菌の阻害物質である化合物を同定するための有用な標
的である。
【0090】 本明細書に記載された核酸には、ゲノムDNAおよび合成(例えば化学合成され
た)DNAを含む、RNAならびにDNAの両方が含まれる。核酸は二本鎖でも一本鎖で
もよい。一本鎖の場合、核酸はセンス鎖でもアンチセンス鎖でもよい。核酸は、
オリゴヌクレオチド類似体または誘導体(例えば、イノシンまたはホスホロチオ
エートヌクレオチド)を用いて合成されうる。このようなオリゴヌクレオチドは
、例えば、塩基対形成能が変化した、またはヌクレアーゼに対する抵抗性が高ま
った核酸を調製するために用いることができる。
【0091】 単離核酸とは、それが由来する生物の天然のゲノム中で直に隣接するコード配
列(5'端に一つ、3'端に一つ)のいずれとも直に隣接していないDNAまたはRNAの
ことである。したがって、1つの態様において、単離核酸分子は、コード配列と
直に隣接する5'非コード(例えばプロモーター)配列の一部または全体を含む。
このため、この用語には、例えばベクター中、自律複製プラスミドもしくはウイ
ルス中、または、原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA中に組み入れられた組
み換えDNA、またはその他の配列とは独立して分離した分子(例えば、PCRもしく
は制限酵素処理により作製されたゲノムDNA断片)として存在する組換えDNAが含
まれる。また、別のポリペプチド配列をコードする雑種遺伝子の一部である組換
えDNAも、これに含まれる。「単離された」および「精製された」という用語は
、それに天然の状態で付随する細胞材料もしくはウイルス材料、または培養培地
(組換えDNA技術を用いて作製する場合)もしくは化学的前駆物質もしくは他の
化学物質(化学合成する場合)を実質的に含まない核酸またはポリペプチドのこ
とを指す。さらに、単離された核酸断片とは、断片として天然には生じず、天然
の状態では見いだされないと思われる核酸断片のことである。
【0092】 ACCアーゼ核酸配列と実質的に同一な核酸配列は、図1に示された配列番号:1
によって表されるACCアーゼのヌクレオチド配列と少なくとも80%の同一性を持
つ。核酸を比較するための基準となる核酸配列の長さは一般に少なくとも40ヌク
レオチドであり、例えば少なくとも60ヌクレオチドまたはそれ以上のヌクレオチ
ド長であってよい。
【0093】 2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性%を決定するには、最適な比
較がなされるように配列を整列化する(例えば、第2のアミノ酸または核酸配列
との最適な整列化のために、第1のアミノ酸または核酸にギャップが挿入されう
る)。続いて、対応するアミノ酸の位置またはヌクレオチドの位置でアミノ酸残
基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列におけるある位置を、第2の配列に
おける対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドが占めている場合に
は、その位置において2つの分子は同一である。2つの配列間の同一性%(percen
t identity)は、2つの配列が共有する同一な位置の数の関数である(すなわち
、同一性=(同一な位置の数/重複する位置の総数)×100)。2つの配列の長さ
は同一であることが好ましい。
【0094】 2つの配列間の同一性または相同性は、数学的アルゴリズムを用いて決定され
うる。2つの配列の比較に用いられる数学的アルゴリズムの好ましい非制限的な
一例に、カーリン(Karlin)およびアルトシュル(Altschul)(1993)Proc. Na
t'l Acad. Sci. USA 90:5873〜5877で改変された、カーリン(Karlin)および
アルトシュル(Altschul)(1990)Proc. Nat'l Acad. Sci. USA 87:2264〜226
8のアルゴリズムがある。この種のアルゴリズムは、アルトシュル(Altschul)
ら(1990)J. Mol. Biol. 215:403〜410のNBLASTおよびXBLASTプログラムに組
み入れられている。本発明のACCアーゼ核酸分子と相同なヌクレオチド配列を得
るには、スコア=100、ワード長(wordlength)=12の条件でNBLASTプラグラム
を用いてBLASTヌクレオチド検索を行うとよい。本発明のACCアーゼタンパク質分
子と相同なアミノ酸配列を得るには、XBLASTプラグラムをスコア=50、ワード長
=3の条件で用いてBLASTヌクレオチド検索を行うとよい。比較のためのギャップ
が挿入された整列を得るためには、アルトシュル(Altschul)ら(1997)Nuclei
c Acids Res. 25:3389〜3402に記載されたギャップ(Gapped)BLASTを用いるこ
とができる。BLASTおよびギャップ(Gapped)BLASTプログラムを用いる際には、
それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)のデフォルトパラメータ
ーが用いられうる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.を参照されたい。配列の比較
のための数学的アルゴリズムのもう1つの好ましい非制限的な例は、マイヤーズ
(Myers)およびミラー(Miller)、CABIOS(1989)のアルゴリズムである。こ
の種のアルゴリズムは、GCG配列整列化ソフトウエアパッケージの一部であるALI
GNプログラム(バージョン2.0)に組み込まれている。ALIGNプログラムをアミノ
酸配列の比較のために用いる場合には、PAM120荷重残基表(weight residue tab
le)、ギャップ長ペナルティ(gap length penalty)12およびギャップペナルテ
ィ(gap penalty)4を用いることができる。
【0095】 2つの配列間の同一性%は、ギャップを許容する場合、許容しない場合とも、
前述のものと同様の技法を用いて決定されうる。同一性%の算出に際しては、正
確に一致するもののみを算定する。
【0096】 本発明のafACCアーゼをコードするヌクレオチド配列に関する「変異体」「ホ
モログ」または「断片」という用語には、ACCアーゼ遺伝子の配列からの、また
はそれに対する、1つ(または複数)のヌクレオチドの任意の置換、変異、修飾
、交換、欠失もしくは付加が含まれる。典型的には、結果として得られるヌクレ
オチド配列は、基準ACCアーゼポリペプチド(例えば、配列番号:2によって表さ
れるもの)と一般に少なくとも同じ生物活性を有するACCアーゼポリペプチドを
コードする、またはコードする能力を持つ。特に、「ホモログ」という用語は、
結果として得られるヌクレオチド配列が、配列番号:1として示した配列によっ
てコードされるafACCアーゼと少なくとも同等の生物活性を有するACCアーゼポリ
ペプチドをコードする、またはコードする能力を持つという条件で、構造および
/または機能に関する相同性をカバーする。配列相同性に関しては、配列番号:
1に示された配列と少なくとも75%(例えば、85%、90%、95%、98%もしくは1
00%)の相同性がある。本明細書で用いられる「相同性」という用語は、「同一
性(identity)」という用語と同等でありうる。相対的配列相同性(すなわち配
列同一性)は、2つまたはそれ以上の配列間の相同率を算出できる市販のコンピ
ュータプログラムによって決定されうる。このようなコンピュータプログラムの
典型的な例はCLUSTALである。
【0097】 相同性が配列同一性を示す場合の「実質的相同性」とは、直接的な配列整列化
および比較によって判断される、少なくとも80%の配列同一性を意味する。BLAS
Tアルゴリズムによって評価する場合の「実質的相同性」とは、少なくとも7、例
えば少なくとも約9、10またはそれ以上の期待値(EXPECT value)で一致する配
列と同等である。BLAST検索における期待値のデフォルト閾値は通常10である。
【0098】 afACCアーゼ遺伝子の対立遺伝子もまた本発明の範囲内に含まれる。本明細書
で用いる「対立遺伝子(allele)」または「対立遺伝子配列」とは、afACCアー
ゼの代替的形態のことである。対立遺伝子は変異、すなわちヌクレオチド配列の
変化に起因し、変化したmRNAまたはポリペプチドを一般的に生じるが、その構造
または機能は変化してもしなくてもよい。任意の所定の遺伝子は、対立遺伝子型
を持たなくてもよく、又は、1つもしくは複数持っていてもよい。対立遺伝子を
もたらす、共通した変異性変化は一般に、アミノ酸の欠失、付加または置換に起
因する。これらの種類の変化はそれぞれ単独で起こることができ、他のものと組
み合わさることもでき、任意の配列において1回または複数回生じることもでき
る。
【0099】 本発明のACCアーゼポリペプチドには、組換えポリペプチドおよび天然ポリペ
プチドが含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。また天然型のアミノ酸配
列が変更または除去された形態のACCアーゼポリペプチドをコードする核酸配列
も含まれる。好ましい核酸は、通常の生理的条件下で可溶性のポリペプチドをコ
ードする。ACCアーゼポリペプチドの一部を、融合タンパク質を作製するための
無関係なポリペプチド(例、マーカーポリペプチドまたは融合パートナー)と融
合させた融合タンパク質をコードする核酸もまた、本発明の範囲に含まれる。例
えば、本ポリペプチドを、細菌的に発現したポリペプチドの精製を容易にするた
めにヘキサヒスチジンタグと融合させること、または真核細胞内で発現したポリ
ペプチドの精製を容易にするために赤血球凝集素タグと融合させることが可能で
ある。また、本発明には、例えば、第1の部分がACCアーゼポリペプチドを含んで
いて、第2の部分が免疫グロブリン定常(Fc)領域または検出可能なマーカーを
含む、第1の部分および第2の部分を含む単離ポリペプチド(およびこれらのポリ
ペプチドをコードする核酸)も含まれる。
【0100】 融合パートナーは、例えば分泌配列などの、分泌を促進するポリペプチドであ
ってよい。このような融合ポリペプチドは一般にプレタンパク質と呼ばれる。こ
の分泌配列は宿主細胞によって分解されて成熟タンパク質を生じうる。不活性型
タンパク質が産生されるようにACCアーゼポリペプチドを何らかのポリペプチド
と融合させたものをコードする核酸も本発明の範囲に含まれる。プレタンパク質
は不活性化配列の除去によってタンパク質の活性型へと変換されうる。
【0101】 本発明にはまた、例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下
(本明細書中に記載)で、配列番号:1に示されたヌクレオチド配列もしくはそ
の相補体の全体または一部とハイブリダイズする核酸も含まれる。ハイブリダイ
ズする核酸のハイブリダイズ部分の長さは、通常少なくとも15(例えば、20、30
または50)ヌクレオチドである。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分
の、ACCアーゼポリペプチドをコードする核酸またはその相補体との同一性%は
少なくとも60%であり、例えば、少なくとも70%、80%、95%または少なくとも
98%もしくは100%である。本明細書に記載された種類のハイブリダイズする核
酸は、例えば、クローニング用プローブ、プライマー(例えばPCRプライマー)
または診断用プローブとして用いられうる。配列番号:1に示されたヌクレオチ
ド配列とハイブリダイズする核酸は、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」とみ
なされる。
【0102】 また、本明細書に記載されたACCアーゼ核酸を含む、形質転換宿主細胞などの
種々の操作された細胞も本発明において有用である。形質転換細胞とは、組換え
DNA技術により、ACCアーゼポリペプチドをコードする核酸が内部に(またはその
前駆細胞の内部に)導入された細胞のことである。これには、例えば真菌、およ
び大腸菌などの細菌など、原核細胞および真核細胞の両方が含まれる。
【0103】 また、例えば発現ベクターなど、発現を可能にする転写配列および/または翻
訳配列と動作可能的に結合された本発明の核酸を含む遺伝子構築物(例えばベク
ターおよびプラスミド)も、本発明の範囲において有用である。選択された核酸
、例えばACCアーゼポリペプチドをコードするDNA分子は、それが、配列の転写お
よび/または翻訳を指示する、プロモーターなどの1つまたは複数の配列要素と
、該配列要素が選択された核酸の転写および/または翻訳を制御しうるように近
接して位置する場合に、転写および/または翻訳配列と「動作可能的に結合して
いる」という。
【0104】 本発明はまた、A.フミガーツスACCアーゼのコード配列によってコードされる
精製または単離されたポリペプチドも特徴とする。「タンパク質」または「ポリ
ペプチド」という用語はいずれも、長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル
化またはリン酸化)とは無関係に、アミノ酸の任意の鎖を意味する。したがって
、ACCアーゼポリペプチドという用語には、それぞれ完全長で天然型の単離され
たACCアーゼタンパク質および、完全長の天然型タンパク質または天然型もしく
は合成ポリペプチドの一部に対応する、組換え的または合成的に生産されたポリ
ペプチドが含まれる。
【0105】 精製または単離された化合物とは、重量当たり少なくとも60%が、例えばACC
アーゼポリペプチドまたは抗体などの関心対象の化合物である組成物のことであ
る。好ましくは、調製物は重量当たり少なくとも75%(例えば、少なくとも90%
、95%、またはさらには99%)が関心対象の化合物である。例えばカラムクロマ
トグラフィー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはHPLC分析などの任意の適
当な標準的方法によって純度が測定されうる。
【0106】 好ましいACCアーゼポリペプチドには、例えば、図1に示された配列の全体また
は一部を含む、天然型のA.フミガーツスACCアーゼポリペプチドの全体または一
部と実質的に同一な配列が含まれる。本明細書に記載されたACCアーゼポリペプ
チド配列と「実質的に同一な」ポリペプチドは、配列番号:2によって表されるA
CCアーゼポリペプチドのアミノ酸配列と、少なくとも65%の同一性を持つアミノ
酸配列を有する(本明細書に記載されたように測定された)。また、新たなポリ
ペプチドが、例えば85%、90%、95%またはそれ以上など、より高い同一性を持
っていてもよい。比較のために、基準となるACCアーゼポリペプチド配列の長さ
は一般に少なくとも16アミノ酸であり、例えば少なくとも20アミノ酸または25ア
ミノ酸と考えられる。
【0107】 基準配列と100%未満の同一性を持つポリペプチド配列の場合、同一でない部
位は、必ずしも必要なわけではないが、基準配列の保存的置換物であることが好
ましい。保存的置換には、一般的に以下の各群の内部での置換が含まれる:グリ
シンおよびアラニン;バリン、イソロイシンおよびロイシン;アスパラギン酸お
よびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;セリンおよびトレオニン;
リジンおよびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン。
【0108】 特定のポリペプチドが、所定の長さの基準ポリペプチドと一定の同一性を持つ
場合、該同一性は基準ポリペプチドに相関する。したがって、長さ100アミノ酸
の基準ポリペプチドと50%の同一性を持つポリペプチドは、基準ポリペプチドの
長さ50アミノ酸の部分と完全に同一な50アミノ酸のポリペプチドでありうる。ま
た、その全長にわたって基準ポリペプチドと50%の同一性を持つ長さ100アミノ
酸のポリペプチドであってもよい。当然ながら、他のポリペプチドもまた同じ基
準を満たすと考えられる。
【0109】 また本発明は、A.フミガーツスACCアーゼポリペプチドと特異的に結合する精
製または単離された抗体も特徴とする。抗体は、それがACCアーゼポリペプチド
などの特定の抗原とは結合するが、ACCアーゼポリペプチドを天然の状態で含む
生物試料などの試料中の他の分子を実質的に認識せず、それらと結合しない場合
に、その抗原と「特異的に結合する」という。さらに、抗体は、他の属(例えば
、サッカロミセス)由来のACCアーゼポリペプチド、特に本発明の方法によって
治療しようとする生物(例えば、ヒトまたは家畜)のACCアーゼポリペプチドと
実質的に結合しない場合に、A.フミガーツスACCアーゼポリペプチドと特異的に
結合する。
【0110】アスペルギルス・フミガーツスACCアーゼ遺伝子の同定 以下に記載する実験によって示される通り、アスペルギルス・フミガーツスAC
Cアーゼ遺伝子は生存のために必須である。アスペルギルス・フミガーツスはATC
Cから入手されうる。A.フミガーツスACCアーゼ遺伝子は、ポリメラーゼ連鎖反応
法およびサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ACCアーゼ
遺伝子に基づく縮重プライマーを用いてクローニングされた。縮重プライマーは
、94℃ 1分間、40℃ 2分間および72℃ 3分間の35サイクルによりアスペルギルス
・フミガーツスのゲノムDNAを増幅するために用いられた。得られたPCR産物をpB
luescriptクローニングベクター(Stratagene;La Jolla、CA)中にサブクロー
ニングした後、シークエンシングを行った。得られた配列に基づいて2つの完全
一致(exact-match)プライマーを作製し、該完全一致プライマーを用いて、ア
スペルギルス・フミガーツスcDNAライブラリーからのafACCアーゼの5'側および3
'側の半分ずつのPCR増幅を行った。cDNAライブラリーをベクターpYES2(Invitro
gen;Palo Alto、CA)を用いて作製した。PCR増幅のために、一方の完全一致プ
ライマーを、pYES2のマルチクローニング部位の3'配列とハイブリダイズするプ
ライマーと対にした。他方の完全一致プライマーは、pYES2中のpGAL配列とハイ
ブリダイズするプライマーとの対とした。ACCアーゼ遺伝子の5'側および3'側の
半分ずつのPCR増幅は、94℃ 30秒間、55℃ 30秒間、72℃ 2.5分間の30サイクル
により行った。得られたPCR産物をpBluescriptベクター中にクローニングし、シ
ークエンシングを行ってアスペルギルス・フミガーツスACCアーゼのcDNA配列を
得た。続いて、ACCアーゼのオープンリーディングフレーム全体を、ACCアーゼの
オープンリーディングフレームの(a)第1のメチオニンコドン、および(b)停
止コドンのそれぞれと完全一致するプライマーを用いて増幅した。この後に、増
幅されたオープンリーディングフレームを、TAクローニング法(Invitrogen)を
用いてpCRTOPOベクター(Invitrogen)中にクローニングした。
【0111】別の真菌株におけるACCアーゼ遺伝子の同定 アスペルギルス・フミガーツスACCアーゼ遺伝子が同定されたことから、更に
他の生物における相同遺伝子を検出するために、この遺伝子またはその断片を用
いることができる。ACCアーゼポリペプチド(またはそれに対して相補的な配列
)をコードする核酸(DNAまたはRNA)の断片は、種々の生物における従来の核酸
ハイブリダイゼーションアッセイ法でプローブとして用いられうる。例えば、核
酸プローブ(典型的には8ヌクレオチド〜30ヌクレオチド長、または通常15ヌク
レオチド〜2ヌクレオチド長)を、サザンブロット法、ノーザンブロット法、ド
ットまたはスロットブロット、PCR増幅法、コロニーハイブリダイゼーション法
などの当技術分野で知られた分子生物学的方法でACCアーゼ遺伝子を検出するた
めに用いることができる。典型的には、本明細書に記載された核酸配列またはそ
の断片に基づくオリゴヌクレオチドプローブを標識し、関心対象の真菌株から得
たmRNAから構築したゲノムライブラリーのスクリーニングに用いる。適当な標識
法には、プローブとして用いるオリゴヌクレオチドに32P標識ATPを付加するため
にポリヌクレオチドキナーゼを用いることが含まれる。この方法は当技術分野で
周知であり、いくつかの他の適した方法(例えば、ビオチン化および酵素標識)
についても同様である。
【0112】 オリゴヌクレオチドプローブと、ライブラリーまたは他の核酸試料とのハイブ
リダイゼーションは、一般的に中程度から高度のストリンジェントな条件下で行
われる。核酸二本鎖またはハイブリッドの安定性は、プローブが標的DNAと解離
する温度である融解温度またはTmとして表現される。この融解温度は、必要なス
トリンジェントな条件を規定するために用いられる。プローブと関連した、同一
というよりは実質的に同一な配列を同定しようとする場合には、塩(例えば、SS
CまたはSSPE)の特定の濃度で相同的ハイブリダイゼーションのみが生じる最低
の温度をまず確認することが有用である。続いて、1%のミスマッチがTmにおけ
る1℃の低下をもたらすと仮定し、ハイブリダイゼーション反応における最終洗
浄温度をそれに従って下げる(例えば、プローブと95%以上の同一性を持つ配列
を探索する場合には、最終洗浄温度を5℃下げる)。実際には、Tmの変化は、1%
のミスマッチ当たり0.5℃〜l.5℃の範囲である。
【0113】 高ストリンジェントな条件とは、68℃の5×SSC/5×デンハルト溶液/1.0%SD
S中、または0.5M NaHPO(pH 7.2)/1mM EDTA/7%SDS中、または50%ホルム
アミド/0.25M NaHPO(pH 7.2)/0.25M NaCl/1mM EDTA/7%SDS中でのハイ
ブリダイズおよび、室温もしくは42℃の0.2×SSC/0.1%SDS中または68℃の0.1
×SSC/0.1%SDS 中または50℃の40mM NaHPO(pH 7.2)/1 mM EDTA/5%SDS
中または50℃の40mM NaHPO(pH 7.2)1mM EDTA/1%SDS中での洗浄である。ス
トリンジェントな条件には、42℃の3×SSC中での洗浄が含まれる。塩濃度および
温度のパラメーターを、プローブと標的核酸との間に至適レベルの同一性が得ら
れるように変化させることができる。当技術分野ではこのような条件に関するこ
のほかの手引きが入手可能であり、例えば、サムブルック(Sambrook)ら、1989
、「分子クローニング、実験室マニュアル(Molecular Cloning、Laboratory Ma
nual)」、Cold Spring Harbor Press、N.Y.;およびアウスユーベル(Ausubel
)ら(編)、1995、「分子生物学における最新プロトコール(Current Protocol
s in Molecular Biology)」(John Wiley & Sons、N.Y.)のユニット(Unit)2
.10などがある。
【0114】 1つのアプローチにおいては、病原性または非病原性の真菌株から構築された
ライブラリーのスクリーニングを行う。例えば、ノーザンブロット分析により、
本発明のACCアーゼ遺伝子の発現に関してこのような菌株のスクリーニングを行
うことができる。ACCアーゼ遺伝子の転写産物が検出されれば、当業者に周知の
標準的な技法を用いて、適切な菌株より単離したRNAからライブラリーが構築さ
れうる。または、ACCアーゼ遺伝子プローブを用いて全ゲノムDNAライブラリーを
スクリーニングすることができる。
【0115】 例えば、本明細書に示したACCアーゼ遺伝子内部のヌクレオチド配列に基づい
て設計された、2つの縮重オリゴヌクレオチドプライマープールを用いてPCRを行
うことによって、新たな遺伝子配列を単離することができる。反応のためのテン
プレートは、本発明のACCアーゼ遺伝子を発現することが知られた、またはその
疑いがある菌株から得られるDNAであってよい。PCR産物は、サブクローニングお
よびシークエンシングされうる。
【0116】 抗原として用いるため、またはその他の目的のための、種々のACCアーゼポリ
ペプチド(またはその抗原性断片)の合成を、当技術分野で知られた任意の種々
の技法を用いて行うことができる。例えば、ACCアーゼポリペプチドまたは抗原
性断片は、インビトロで化学的に、または酵素的に(例えば、インビトロ転写お
よび翻訳による)合成されうる。または、数多くの使用可能な任意の遺伝子発現
系を用いることにより、遺伝子を細胞(例えば、培養細胞)で発現させ、そこか
らポリペプチドを精製することもできる。例えば、ポリペプチド抗原は、原核生
物宿主(例えば、大腸菌)または酵母細胞などの真核細胞で産生されうる。
【0117】 また、望ましいならば、タンパク質およびポリペプチドを植物細胞で産生させ
ることもできる。植物細胞の場合には、ウイルス発現ベクター(例えば、カリフ
ラワーモザイクウイルスおよびタバコモザイクウイルス)およびプラスミド発現
ベクター(例えば、Tiプラスミド)が適している。このような細胞はさまざまな
供給源から入手可能である(例えば、American Type Culture Collection、Rock
land、MD;また例えば、Ausubelら、「分子生物学における最新プロトコール(C
urrent Protocols in Molecular Biology)」、John Wiley & Sons、New York、
1994も参照)。形質転換またはトランスフェクションの最適な方法および発現媒
体の選択は、選択された宿主系に依存すると考えられる。形質転換およびトラン
スフェクションの方法は、例えばアウスユーベル(Ausubel)ら(前記)に記載
されており、発現媒体は例えば、「クローニングベクター:実験室マニュアル(
Cloning Vector:A Laboratory Manual)」(P.M. Pouwelsら、1985、Supp. 198
7)において提供されたものから選択されうる。発現媒体を有する宿主細胞は、
選択した遺伝子の活性、選択した遺伝子の抑制、形質転換体の選択、または選択
された遺伝子の増幅のための望ましいならば適合させた、従来の栄養培地で培養
されうる。
【0118】 望ましいならば、ACCアーゼポリペプチドは融合タンパク質として産生されう
る。例えば、発現ベクターpUR278(Rutherら、EMBO J.、2:1791、1983)を用い
て、lacZ融合タンパク質を作製することができる。当技術分野で知られたpGEXベ
クターを用いて、外因性ポリペプチドをグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GS
T)との融合タンパク質として発現させることができる。一般にこのような融合
タンパク質は可溶性であり、グルタチオン-アガロースビーズに吸着させた後に
遊離グルタチオンの存在下で溶出させることによって可溶化細胞から容易に精製
されうる。pGEXベクターは、クローニングされた標的遺伝子産物をGST部分から
遊離させられるようにするため、トロンビンまたは第Xa因子プロテアーゼ切断部
位を含むように設計されている。
【0119】 1つの例示的な発現系では、ヨトウガ(Spodoptera frugiperda)細胞内で増殖
するオートグラファカリフォルニカ(Autographa californica)核多面体ウイル
ス(AcNPV)などのバキュロウイルスを、外因性遺伝子を発現させるためのベク
ターとして用いることができる。ACCアーゼポリペプチドをコードするコード配
列をウイルスゲノムの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)内にクローニ
ングし、例えば、ポリヘドリンプロモーターまたは外因性プロモーターなどのプ
ロモーターの制御下に置くことができる。ACCアーゼポリペプチドをコードする
遺伝子がうまく挿入されると、ポリヘドリン遺伝子の不活性化、および非閉塞性
組換えウイルス(すなわち、ポリヘドリン遺伝子によってコードされる蛋白性外
被を欠くウイルス)の産生が生じうる。その後、これらの組換えウイルスは一般
に、挿入遺伝子を発現させる昆虫細胞(例えば、ヨトウガ細胞)を感染させるた
めに用いられる(例えば、Smithら、J. Virol.、46:584、1983;Smith、米国特
許第4,215,051号を参照のこと)。望ましいならば、ACCアーゼポリペプチドをコ
ードする遺伝子が哺乳動物細胞で活性のあるプロモーターの制御下に置かれるよ
うに操作されたウイルスが提供されるという条件で、昆虫細胞の代わりに哺乳動
物細胞を用いることもできる。
【0120】 哺乳動物宿主細胞では、ウイルスを用いる多数の発現系が利用されうる。アデ
ノウイルスを発現ベクターとして用いる場合には、ACCアーゼポリペプチドをコ
ードする核酸配列を、後期プロモーターおよび三部からなるリーダー配列などの
アデノウイルス転写/翻訳制御複合体と連結させることが可能である。続いて、
インビトロまたはインビボ組換えによって、このキメラ遺伝子をアデノウイルス
ゲノムに挿入することができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば、領域E1
またはE3)への挿入により、感染宿主内で生存可能であってACCアーゼ遺伝子産
物を発現することが可能な組換えウイルスが得られると考えられる(例えば、Lo
gan、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、81:3655、1984を参照のこと)。
【0121】 挿入された核酸配列の効率的な翻訳のために、特定の開始シグナルが必要にな
ることがある。これらのシグナルには、ATG開始コドンおよび隣接配列が含まれ
る。一般には、ATG開始コドンを含むと思われる外因性翻訳制御シグナルを提供
する必要がある。さらに、配列全体の翻訳を確実に行わせるためには、開始コド
ンが所要コード配列のリーディングフレームと同じ位相になければならない。こ
れらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンの由来はさまざまな起源であっ
てよく、天然物および合成物のいずれであってもよい。適切な転写エンハンサー
配列または転写終結因子を含めることによって発現効率を高めることができる(
Bittnerら、Methods in Enzymol.、153:516、1987)。
【0122】 ACCアーゼポリペプチドを個別に発現させることもでき、タンパク質またはポ
リペプチドのN末端および/またはC末端に特異的切断部位を有するシグナル配列
または他のポリペプチドなどの異種ポリペプチドとの融合物として発現させるこ
ともできる。選択される異種シグナル配列は、融合タンパク質が発現される宿主
細胞によって認識されてプロセシングを受ける、すなわちシグナルペプチダーゼ
によって切断されるものである必要がある。
【0123】 特定の望ましい様式で、挿入配列の発現を調節するまたは遺伝子産物の修飾お
よびプロセシングを行う宿主細胞を選択することが可能である。タンパク質産物
のこのような修飾およびプロセシング(例えば切断)により、タンパク質の最適
な機能発現を容易にすることができる。種々の宿主細胞が、タンパク質および遺
伝子産物の翻訳後プロセシングおよび修飾のための特徴的および特異的な機構を
有する。分子生物学の当業者に公知の適切な細胞系または宿主系を選択すること
により、発現される外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実に行
わせることができる。この目的のために、一次転写物のプロセシングおよび遺伝
子産物のリン酸化を適切に行う細胞機構を有する真核宿主細胞を用いることがで
きる。このような哺乳動物宿主細胞には、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDCK、2
93、3T3、W138および脈絡叢細胞系が非制限的に含まれる。
【0124】 望ましいならば、安定的トランスフェクションを受けた哺乳動物細胞系によっ
てACCアーゼポリペプチドを産生させることが可能である。哺乳動物細胞の安定
的トランスフェクションのために適した数多くのベクターが広く利用可能であり
、例えば、パウエルズ(Pouwels)ら(前記)を参照のこと。このような細胞系
を作製するための方法も公知であり、例えば、アウスユーベル(Ausubel)ら(
前記)に記載されている。1つの例においては、タンパク質をコードするcDNAを
、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)遺伝子を含む発現ベクター中にクローニン
グする。このプラスミドの組み込み、すなわちafACCアーゼポリペプチドをコー
ドする遺伝子の宿主細胞の染色体への組み込みが起こったものは、細胞培養液に
0.01〜300μMメトトレキサートを添加することによって選択される(Ausubelら
、前記に記載)。この優性選択法はほとんどの種類の細胞において行われうる。
【0125】 組換えタンパク質の発現は、トランスフェクトされた遺伝子のDHFRを介した増
幅によって増強させれうる。遺伝子増幅を伴う細胞系の選別の方法は、アウスユ
ーベル(Ausubel)ら(前記)に記載されており、このような方法には一般に、
培地中のメトトレキサートの量を徐々に増加させていく持続培養が含まれる。こ
の目的のために最も用いられることの多いDHFR含有性発現ベクターには、pCVSEI
I-DHFRおよびpAdD26SV(A)が含まれる(Ausubelら、前記に記載)。
【0126】 それぞれtk、hgprtまたはaprt細胞において用いうる、単純ヘルペスウイルス
チミジンキナーゼ遺伝子、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフ
ェラーゼ遺伝子およびアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子を非制
限的に含む、多くの他の選択系も用いることができる。さらに、ミコフェノール
酸に対する耐性を付与するgpt(Mulliganら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、78
:2072、 1981)、アミノグリコシドG-418に対する耐性を付与するneo(Colberr
e-Garapinら、J. Mol. Biol., 150:1, 1981)およびハイグロマイシンに対する
耐性を付与するhygro(Santerreら、Gene, 30:147, 1981)も用いることができ
る。
【0127】 または、発現される融合タンパク質と特異的に結合する抗体または他の分子を
用いることにより、任意の融合タンパク質を容易に精製することもできる。例え
ば、ヤンクネヒト(Janknecht)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 88:8972(1
981)により記載された系により、ヒト細胞系において発現された非変性融合タ
ンパク質を容易に精製することが可能である。この系では、関心対象の遺伝子を
、その遺伝子のオープンリーディングフレームが6個のヒスチジン残基からなる
アミノ末端タグと翻訳的に融合されるように、ワクシニア組換えプラスミド中に
サブクローニングする。組換えワクシニアウイルスに感染した細胞からの抽出物
がNi2+ニトリロ酢酸-アガロースカラムにかけられ、ヒスチジンタグが付加され
たタンパク質がイミダゾール含有緩衝液によって選択的に溶出される。
【0128】 または、ACCアーゼポリペプチドまたはその一部を免疫グロブリンFcドメイン
と融合させることもできる。このような融合タンパク質は、例えばプロテインA
カラムを用いて容易に精製されうる。さらに、このような融合タンパク質により
、インビボでの安定性が高まったキメラ型のACCアーゼポリペプチドポリペプチ
ドの産生も可能となる。
【0129】 組換えACCアーゼポリペプチドがいったん発現されると、それを単離する(す
なわち精製する)ことができる。分泌型のポリペプチドは細胞培養液から単離可
能であるが、非分泌型は宿主細胞から単離されねばならない。ポリペプチドはア
フィニティクロマトグラフィーによって単離することができる。例えば、抗ACC
アーゼ抗体(例えば、本明細書の通りに作製されたもの)をカラムに付着させ、
これを用いてタンパク質を単離することができる。アフィニティクロマトグラフ
ィー前のタンパク質を有する細胞の可溶化および分画は、標準的な方法によって
実施されうる(例えばAusubelら、前記を参照)。または、融合タンパク質を作
製し、これを用いてACCアーゼポリペプチドタンパク質を単離することもできる
(例えば、ACCアーゼ-マルトース結合融合タンパク質、ACCアーゼ-β-ガラクト
シダーゼ融合タンパク質、またはACCアーゼ-trpE融合タンパク質;例えばAusube
lら、前記;New England Biolabs Catalog、Beverly、MAを参照のこと)。望ま
しいならば、例えば標準的な技法を用いた高速液体クロマトグラフィーなどによ
って、組換えタンパク質をさらに精製することもできる(例えば、Fisher、生化
学および分子生物学における実験技法(Laboratory Techniques In Biochemistr
y And Molecular Biology)、WorkおよびBurdon編、Elsevier、1980を参照のこ
と)。
【0130】 本明細書に記載されたアミノ酸配列が与えられれば、本発明の実施において有
用なポリペプチド、特にafACCアーゼの断片を、標準的な化学合成(例えば、「
固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis)」、第2版、The Pierce C
hemical Co.、Rockford、IL、1984に記載された方法による)によって製造する
ことができる。
【0131】抗体 ACCアーゼポリペプチド(またはこのようなポリペプチドの抗原性断片もしく
は類似体)を、本発明において有用な抗体を産生させるために用いることができ
、このようなポリペプチドは組換え法またはペプチド合成法によって生産可能で
ある(例えば、固相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis)、前記;A
usubelら、前記を参照)。一般にポリペプチドは、アウスユーベル(Ausubel)
ら、前記に記載された通り、KLHなどのキャリアタンパク質と結合され、アジュ
バントと混合されて、宿主哺乳動物に注入されることができる。「担体」とは、
随伴分子に安定性を付与する、および/またはその輸送もしくは免疫原性を補助
もしくは増強する物質である。抗体は例えば、ポリペプチド抗原が樹脂上に固定
されたアフィニティークロマトグラフィー法によって精製することができる。
【0132】 特に、ACCアーゼポリペプチドまたはポリペプチドの注射によって、種々の宿
主動物を免疫化することができる。適した宿主動物の例には、ウサギ、マウス、
モルモットおよびラットが含まれる。宿主種に応じて、免疫反応性を高めるため
に、フロイントアジュバント(完全および不完全アジュバント)、水酸化アルミ
ニウムなどのアジュバント鉱質ゲル、リゾレシチンなどの界面活性物質、プルロ
ニック系ポリオール(pluronic polyol)、ポリアニオン、ペプチド、油性乳剤
、キーホールリンペットヘモシアニン、ジニトロフェノール、BCG(カルメット-
ゲラン菌)およびコリネバクテリウムパルブム(Corynebacterium parvum)など
の有用な可能性のあるヒトアジュバントを非制限的に含む、種々のアジュバント
を用いることができる。ポリクローナル抗体は、免疫化された動物の血清に由来
する抗体分子の不均質な集団である。
【0133】 本発明において有用な抗体には、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、
ヒト化またはキメラ性の抗体、一本鎖抗体、Fab断片、F(ab')断片、およびFab発
現ライブラリーを用いて生産された分子が含まれる。
【0134】 モノクローナル抗体(mAb)は、特定の抗原に対する抗体の均質な集団であり
、ACCアーゼおよび標準的なハイブリドーマ技術を用いて調製することができる
(例えば、Kohlerら、Nature, 256:495、1975、Koblerら、Eur. J. Immunol.、
6:511、1976、Xohlerら、Eur. J. Immunol.、6:292、1976、Hammerlingら、モ
ノクローナル抗体およびT細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T C
ell Hybridomas)、Elsevier, NY, 1981、Ausubelら、前記を参照のこと)。
【0135】 特に、モノクローナル抗体は、コーラー(Kohler)ら、Nature、256;495、19
75および米国特許第4,376,110号、ヒトB細胞ハイブリドーマ法(Kosborら、Immu
nology Today, 4:72, 1983;Coleら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 80:2026
, 1983)ならびにEBV-ハイブリドーマ法(Coleら、「モノクローナル抗体および
癌療法(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)」、Alan R. Liss, Inc
., pp.77〜96, 1983)などに記載された、培養下にある連続的継代細胞系によっ
て抗体分子の産生が得られる任意の技法によって入手することができる。このよ
うな抗体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgDおよびそれらの任意のサブクラスを含む
、任意の免疫グロブリンのクラスのものであってよい。本発明のmAbを産生する
ハイブリドーマは、インビトロでもインビボでも培養が可能である。
【0136】 ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が作製された場合、例えばアウ
スユーベル(Ausubel)ら、前記に記載されたものなどの標準的な方法によるウ
エスタンブロット法または免疫沈降分析により、A.フミガーツスACCアーゼの特
異的認識に関して検討する。ACCアーゼポリペプチドまたはその保存的変異体と
特異的に結合する抗体は、本発明において有用である。例えば、このような抗体
は、病原性真菌株または非病原性真菌株におけるACCアーゼポリペプチドを検出
するためのイムノアッセイ法に用いることができる。
【0137】 好ましくは、本発明の抗体は、荷電残基の頻度が高いといった基準から抗原性
である可能性が高いと思われるACCアーゼの断片を用いて産生される。1つの特定
の例では、このような断片はPCRの標準的な技法によって作製され、続いてpGEX
発現ベクター中にクローニングされる(Ausubelら、前記)。融合タンパク質は
大腸菌内で発現され、アウスユーベルら、前記に記載されたグルタチオンアガロ
ースアフィニティーマトリックスを用いて精製される。
【0138】 望ましいならば、それぞれのタンパク質に関していくつか(例えば、2種また
は3種)の融合物を作製することができ、それぞれの融合物を少なくとも2匹のウ
サギに注射することができる。好ましくは少なくとも3回の追加免疫注射が含ま
れる、一連の注射によって抗血清を産生させることができる。一般に、抗血清は
、組換えACCアーゼポリペプチド、またはグルココルチコイド受容体、CATもしく
はルシフェラーゼといった関連のない対照タンパク質との免疫沈降能についても
検査される。
【0139】 適切な抗原特異性を有するマウス抗体分子からの遺伝子をスプライスして、適
切な生物活性を有するヒト抗体分子からの遺伝子と連結するために、「キメラ抗
体」(Morrisonら、Proc. Natl. Acad. Sci., 81:6851, 1984;Neubergerら、N
ature, 312:604, 1984;Takedaら、Nature, 314:452, 1984)の作製のために
開発された技法を用いることができる。キメラ抗体とは、マウスmAbに由来する
可変領域およびヒト免疫グロブリンの定常領域を有するもののように、異なる部
分が異なる動物種に由来する分子のことである。
【0140】 または、ACCアーゼポリペプチドに対する一本鎖抗体を作製するために、一本
鎖抗体の作製のために記載された技法(米国特許第4,946,778号、ならびに米国
特許第4,946,778号および4,704,692号)を適合化することもできる。一本鎖抗体
は、Fv領域の重鎖断片および軽鎖断片をアミノ酸架橋を介して連結させて、一本
鎖ポリペプチドを得ることによって形成される。
【0141】 特異的エピトープを認識して結合する抗体断片は、既知の技法によって作製さ
れうる。例えば、このような断片には、抗体分子のペプシン消化によって生じる
F(ab')2断片、およびF(ab')2断片のジスルフィド架橋を還元することによって生
じるFab断片が非制限的に含まれる。または、望ましい特異性を有するモノクロ
ーナル性Fab断片を迅速かつ容易に同定しうるように、Fab発現ライブラリーを作
製することもできる(Huseら、Science, 246:1275, 1989)。
【0142】 ACCアーゼポリペプチドと特異的に結合するポリクローナル抗体およびモノク
ローナル抗体は、例えば、別の真菌株におけるACCアーゼの発現を検出するため
に用いうる。例えば、ACCアーゼポリペプチドは真菌細胞または抽出物の従来の
イムノアッセイ法において検出可能である。適したアッセイ法の例には、ウエス
タンブロット法、ELISA、放射性イムノアッセイ法などが非制限的に含まれる。
【0143】抗真菌薬剤に関するアッセイ法 本発明は、抗真菌薬剤を同定するための方法を提供する。本発明者らはこれに
関与する生物機構に関していかなる特定の理論にも拘束されないが、新規抗真菌
薬剤は(1)ACCアーゼポリペプチドの機能、または(2)ACCアーゼ遺伝子の発現
、を特異的に阻害すると考えられている。好ましい方法において、抗真菌薬剤の
スクリーニングは、ACCアーゼポリペプチドの活性またはACCアーゼ遺伝子の発現
を阻害するような化合物(例えば小型の有機分子)を同定することによって容易
に達成されうる。ACCアーゼはA.フミガーツスの生存に必須であるため、このよ
うなアッセイ法においてACCアーゼを阻害する化合物は抗真菌薬剤であると考え
られ、望ましいならば、従来の感受性アッセイ法でさらに試験を行うことができ
る。
【0144】 種々の適した方法において、抗真菌薬剤に関するスクリーニングは、(i)ACC
アーゼと結合する化合物を同定すること、および(ii)該化合物がインビトロま
たはインビボで菌発育を阻害する能力をさらに試験すること、によって行われる
【0145】 被験化合物のポリペプチドとの特異的結合は、例えば、インビトロでにおいて
96ウェルポリスチレン製マイクロタイタープレートのウェルの表面などの基質の
上に被験化合物を可逆的または非可逆的に固定することによって検出されうる。
ポリペプチドおよび他の低分子を固定するための方法は当技術分野では周知であ
る。例えば、溶液中のポリペプチド(典型的には、1μl〜100μlの容積中に0.05
mg/ml〜1mg/mlの濃度)を各ウェルに添加し、プレートを室温から37℃で0.1時
間〜36時間インキュベートすることにより、ACCアーゼポリペプチドでマイクロ
タイタープレートをコーティングすることができる。プレートと結合していない
ポリペプチドは、余分な溶液を振盪してプレートから流し、続いてプレートを水
または緩衝液で一回又は繰り返して洗うことによって除去されうる。典型的には
、ポリペプチドは水または緩衝液中におかれる。続いてプレートを、結合型ポリ
ペプチドを含まない緩衝液で洗う。プレート上の未結合タンパク質結合部位をブ
ロックするために、結合型ポリペプチドとは関連のないタンパク質でプレートを
ブロックする。例えば、Tris-HCl中の2mg/mlの濃度のウシ血清アルブミン(BSA
)300μlが適している。適した基質には、規定の架橋化学構造を含むような基質
が含まれる(例えば、Corning Costar Corp.(Cambridge、MA)のポリスチレン
、スチレン、又はポリプロピレンなどの合成樹脂基質など)。望ましいならば、
ビーズ状の粒子、例えばビーズ状アガロースまたはビーズ状セファロースを基質
として用いることもできる。続いて、コーティングされたプレートにACCアーゼ
を添加し、被験化合物と結合させる(例えば、37℃で0.5時間〜12時間)。その
後プレートを上記の通りにすすぎ洗いする。
【0146】 被験化合物のACCアーゼとの結合は、当技術分野で知られた種々の方法のうち
任意のものによって検出されうる。例えば、ACCアーゼポリペプチドと特異的に
結合する抗体をイムノアッセイ法に用いることができる。望ましいならば、抗体
は標識されることもでき(例えば、蛍光的に、または放射性同位体により)、直
接検出することもできる(例えば、WestおよびMcMahon、J. Cell Bio. 74:264
、1977を参照のこと)。または、検出のために第2抗体を用いることもできる(
例えば、抗YphC抗体のFc部分と結合する標識抗体)。1つの代替的な検出法にお
いては、ACCアーゼポリペプチドを標識し、(例えば、ACCアーゼポリペプチドを
放射性同位体、蛍光体、発色団などで標識することによって)標識を検出する。
さらに別の方法では、ACCアーゼポリペプチドを、緑色蛍光タンパク質(UV光で
検出可能)などの光学的に検出可能なタンパク質との融合タンパク質として作製
する。1つの代替的な方法においては、ポリペプチドを、西洋ワサビペルオキシ
ダーゼ、アルカリホスファターゼ、β-ガラクトシダーゼまたはグルコースオキ
シダーゼなどの検出可能な酵素活性をもつ酵素との融合タンパク質として作製す
ることができる。これらの酵素の全体をコードする遺伝子はクローニングされて
おり、当業者には容易に入手可能である。望ましいならば、融合タンパク質は抗
原を含むことができ、該抗原は、従来の方法を用いてポリクローナル抗体または
モノクローナル抗体によって検出または測定されうる。適した抗原には、酵素(
例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼおよびβ-ガラ
クトシダーゼ)および非酵素性ポリペプチド(例えば、BSAおよびグロブリンな
どの血清タンパク質、ならびにカゼインなどの乳タンパク質)が含まれる。
【0147】 ACCアーゼと結合するポリペプチドを同定するための種々のインビボでの方法
には、タンパク質/タンパク質相互作用に関する従来のツーハイブリッドアッセ
イ法が用いられうる(例えば、Chienら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、88:957
8、1991、Fieldsら、米国特許第5,283,173号、FieldsおよびSong、Nature、340
:245、1989、Le Douarinら、Nucleic Acids Research、23:876、1995、Vidal
ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、93:10315〜10320、1996およびWhite、Proc.
Natl. Acad. Sci. USA、93:10001〜10003、1996を参照のこと)。一般に、ツ
ーハイブリッド法には、転写因子における2つの分離可能なドメインの、インビ
トロ再構成が含まれる。一方の融合タンパク質は、転写因子(例えば、Gal4)の
トランス活性化ドメインまたはDNA結合ドメインのいずれかと融合したACCアーゼ
ポリペプチドを含む。もう一方の融合タンパク質は、転写因子のDNA結合ドメイ
ンまたはトランス活性化ドメインのいずれかと融合した被験ポリペプチドを含む
。1つの細胞(例えば、酵母細胞または哺乳動物細胞)内に集められると、一方
の融合タンパク質はトランス活性化ドメインを含み、もう一方の融合タンパク質
はDNA結合ドメインを含む。このため、ACCアーゼポリペプチドの被験ポリペプチ
ド(すなわち、抗真菌薬剤の候補)との結合により、転写因子が再構成される。
転写因子の再構成は、転写因子のDNA結合ドメインにより結合したDNA配列と動作
可能的に結合している遺伝子(すなわち、レポーター遺伝子)の発現を検出する
ことによって検出されうる。種々のツーハイブリッド法を実施するためのキット
が市販されている(例えば、Clontech、Palo Alto、CA)。
【0148】 前述の方法は、抗真菌薬剤の候補を同定するための数多くの被験化合物の高ス
ループットスクリーニングのために用いられうる。被験化合物を抗真菌薬剤の候
補として同定すれば、望ましいならば、その抗真菌薬剤の候補をさらに菌発育の
阻害に関してインビトロまたはインビボでアッセイすることができる(例えば、
齧歯類、モデル系などの動物を用いて)。これらの方法の当技術分野で公知の他
の変法を用いることにより、被験化合物として用いる核酸(例えばDNAまたはRNA
)のACCアーゼとの結合能を試験することができる。
【0149】 インビトロでは、酵素阻害アッセイ法または全細胞菌発育阻害アッセイ法(wh
ole-cell fungal growth inhibition assay)などの当業者に公知の手段によっ
てさらなる試験を行うことができる。例えば、寒天希釈アッセイ法により、菌発
育を阻害する物質が同定される。段階希釈した被験化合物によりマイクロタイタ
ープレートを調製し、この調製物に所定量の成長基質を添加し、真菌調製物を供
給する。菌成長の抑制は、例えば、真菌培養物の吸光度の変化を観察することに
よって判定する。
【0150】 菌成長の抑制は、例えば、(被験化合物の存在下と非存在下において)真菌細
胞の発育速度または絶対的成長を比較することによって示される。阻害には、成
長速度または絶対的成長の少なくとも20%の減少が含まれる。特に効力のある被
験化合物は成長速度をさらに減少させることができる(例えば、少なくとも25%
、30%、40%、50%、75%、80%または90%)。
【0151】 真菌感染症の動物(例えば、マウスなどの齧歯類)モデルは当業者に公知であ
り、このような動物モデル系はヒト患者における治療効果の表れとして、抗真菌
薬剤をスクリーニングするために受け入れられている。典型的なインビボアッセ
イ法において、例えば、菌吸入などによって動物を病原性真菌株に感染させ、通
常の方法および基準を用いて、その哺乳動物が真菌感染症に罹患していることを
診断する。続いて、抗真菌薬剤の候補を1mg/kg体重〜100mg/kg体重の用量で哺
乳動物に投与し、疾患の回復の徴候に関してその哺乳動物のモニタリングを行う
。または、哺乳動物に真菌を感染させる前に該哺乳動物に被験化合物を投与し、
処置された哺乳動物の感染に対する抵抗能を測定することもできる。当然ながら
、被験化合物の存在下で得られた結果は、被験化合物を投与されていない対照動
物における結果と比較される必要がある。哺乳動物への抗真菌薬剤の候補の投与
は、例えば、下記のように行われうる。
【0152】医薬製剤 治療には、該治療を必要とする対象に対して、抗真菌薬剤を含む組成物の薬学
的有効量を投与し、それによって対象における菌増殖を抑制することが含まれる
。このような組成物は典型的には、重量当たり約0.1%〜90%(1%〜20%または
1%〜10%など)の本発明の抗真菌薬剤を、薬学的に許容される担体中に含む。
【0153】 経口投与用の組成物の固体製剤は、コーンスターチ、ゼラチン、ラクトース、
アラビアゴム、スクロース、微結晶性セルロース、カオリン、マンニトール、リ
ン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウムまたはアルギン酸などの適
した担体または賦形剤を含みうる。用いられる崩壊剤には、微結晶性セルロース
、コーンスターチ、グリコール酸ナトリウムスターチおよびアルギン酸が含まれ
るが、これらに限定されない。用いられうる錠剤結合剤には、アラビアゴム、メ
チルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルピロリド
ン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、スクロース、スターチ
およびエチルセルロースが含まれる。用いられうる潤滑剤には、ステアリン酸マ
グネシウム、ステアリン酸、シリコーン油、タルク、ロウ、油およびコロイドシ
リカが含まれる。
【0154】 水または他の水性溶剤中で調製された経口投与用の組成物の液体製剤には、メ
チルセルロース、アルギン酸、トラガカント、ペクチン、ケルギン、カラゲニン
、アラビアゴム、ポリビニルピロリドンおよびポリビニルアルコールなどの種々
の懸濁剤が含まれうる。液体製剤にはまた、有効な化合物とともに湿潤剤、甘味
料ならびに着色剤および着香料を含む、液剤、乳濁剤、シロップ剤およびエリキ
シル剤が含まれうる。治療しようとする哺乳動物の肺への吸入用の種々の液体製
剤および粉末製剤を従来の方法によって調製することができる。
【0155】 組成物の注入可能な製剤には、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホル
ムアミド、乳酸エチル、炭酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、エタノール、
ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコー
ルなど)などの種々の担体が含まれうる。静脈内注射のためには、抗真菌薬およ
び生理的に許容されうる賦形剤を含む薬学的製剤を注入する点滴法により、水溶
性タイプの化合物を投与することができる。生理的に許容されうる賦形剤には、
例えば、5%ブドウ糖、0.9%生理食塩水、リンゲル液または他の適当な賦形剤が
含まれうる。筋肉内投与用製剤では、適切な可溶性塩形態にある化合物の無菌製
剤を注射用水、0.9%生理食塩水または5%グルコース溶液などの薬学的賦形剤中
に溶解させ投与することができる。適切な可溶性塩形態にある化合物は、水を基
剤とする、または長鎖脂肪酸(例えば、オレイン酸エチル)エステルなどの薬学
的に許容されうる油を基剤とする懸濁液として調製され、投与されうる。
【0156】 局所用の半固体軟膏製剤は一般に、薬学的クリーム基剤などの担体中に有効成
分を約1%〜20%、例えば5%〜10%の濃度で含む。局所用の種々の製剤には、有
効成分ならびに種々の支持体および溶媒を含む滴剤、チンキ剤、ローション剤、
クリーム剤、液剤および軟膏が含まれる。
【0157】 薬学的製剤それぞれにおける抗真菌薬の最適な比率は、製剤それ自体ならびに
特定の病態における所望の治療効果および関連した治療措置によって異なる。抗
真菌薬の適切な投与量は、疾患の回復または抑制の徴候に関して哺乳動物をモニ
タリングし、投与量および/または投与頻度を適宜増減させることによって医学
分野の当業者により決定されうる。真菌感染症に起因するまたは一因がある病状
の治療に用いられる抗真菌化合物の最適な量は、投与様式、対象の年齢および体
重ならびに治療対象の病状に依存する。一般に抗真菌化合物は1mg/kg体重〜100
mg/kg体重の用量、典型的には1mg/kg体重〜10mg/kg体重の用量で投与される
【0158】実験 ACCase(アセチルCoAカルボキシラーゼ)調製の詳細な例示を以下に記載する
【0159】材料と方法 以下に示す試薬と機器が使用された。本明細書で列挙されたものは類似の試薬
や機器で代替することができる。
【0160】
【0161】ストック溶液 1M トリス(pH7.5) [121.4gの固形トリス塩にdI水500mlを添加し、濃塩酸でpH
7.5に調節し、dI水を用いて1Lにする。]10N NaOH 40gの粒にあらかじめ冷却した90mlのdI水を添加し、氷上で激しく攪
拌し、100mlにする。ガラスではなくねじぶた式のポリプロピレンボトルで保存
する。]0.5M Na2EDTA(pH8.0) [46.5gの固体を200mlのdI水に懸濁する。pHは10N Na
OHを用いて調製する。250mlにする。溶解するまで激しく攪拌する。]1M MgCl2 [51gのMgCl2・6H2Oを250mlのdI水に溶解する]1Mグリシン(pH2.8) [18.75gのグリシンを150mlのdI水に溶解し、濃塩酸でpH
を調節し、250mlに調製する。ナルゲン250ml滅菌フィルターユニットを用いて0.
2 mを通してろ過する]1M NaHCO3 [8.4gの固体NaHCO3を90mlのdI水に激しく攪拌しながら溶解する。1
00mlに調製する]1M DTT [2.31gの固形DTTを15mlのdI水に溶解する。0.75mlずつに分注し−20℃
にて保存する]200mM ATP [13.2gを100mlのdI水に溶解する。10N NaOHを用いてpH7に調節す
る(ナローレンジpH試験紙を用いる。2mlの塩基を添加し、pHをチェックし、100
lきざみで添加する)。200ml調製する。40mlずつ分注し、それぞれ50mlファル
コンチューブ中で−80℃にて保存する]15mM アセチルCoA [100mgNa2(AcCoA)を5回、40mlのdI水に溶解する。10mlず
つ分注し、それぞれ-80℃にて保存する]3mM ミリストイルCoA [5mgミリストイルCoAを1.7mlのDMSOに溶解する。-20℃
で保存する]
【0162】実際に用いた溶液 (A)UltraLink(商標)単量体アビジンカラム平衡化 リン酸緩衝生理食塩水(PBS) 0.1M リン酸塩、0.15M NaCl(pH7.2)[ピアス社製PubH(商標)混合物を用い
て調製]再生緩衝液 0.1M グリシン(pH2.8)[30mlの1Mストックを300mlに調製]ビオチンブロッキング溶出緩衝液 PBS中の2mM ビオチン[48.9mgのD−ビオチンをPBSを用いて100mlに調製]
【0163】 (B)細胞増殖 オートクレーブし、60℃に冷却し、クリーンベンチ中でディスポーザブルプラス
チックペトリ皿に分注する。プレートはプラスチック袋に入れて4℃にて保存す
る。20%(w/v)グルコース [1Lを作製] 200gのグルコースを1LのdI水に溶解し、オートクレーブする。10X SD+ウリジン増殖培地 [1Lを作製] 67gのアミノ酸不含有酵母窒素ベース 300mgウリジン 20%(w/v)グルコース溶液を加え、1Lに調製する。0.2ミクロンのろ過ボトル
を用いてろ過滅菌する。
【0164】(C)酵素調製 4℃で保存する。用時調製。 4℃で保存する。用時調製。 4℃で保存する。用時調製。
【0165】(D)高スループットスクリーニング 20%(v/v)DMSO [1Lを作る]ACCaseアッセイ用緩衝液(−DTT) [1Lを作るためには] 83.33mMトリス(pH7.5) [83.3ml 1Mストック] 8.33mM MgCl2 [8.33ml 1Mストック] dI水 [1Lにする]ACCaseアッセイ用緩衝液 [25プレートに十分な、250mlを作るためには] [833 lの1M DTTを250mlのアセチルCoAカルボキシラーゼアッセイ用緩衝液(−D
TT)に添加する(最終DTT濃度3.33mM)]5Xコールド基質緩衝液 [150プレートに十分な、390mlを作るためには] 20.5mM ATP [40ml 200mM ATP(pH7)] 5.13mM NaHCO3 [2ml 1M NaHCO3] 384 M アセチルCoA [10ml 15mMアセチルCoA] dI水 [390mlまで] 39mlずつ分注して、−80℃で保存。5X放射分析基質緩衝液 [15プレートに十分な、40mlを作るためには]5X放射分析基質緩衝液 [39ml、上述] NaH[14C]O3 [1ml 2mCi/mlストック]14 C重炭酸塩が大気中のCO2と交換されるため、スクリーニングプレートへ添加直
前に調製。停止溶液(2N HCl) [10Lを作製] [1.67Lの濃塩酸を攪拌しながら7Lのあらかじめ冷却したdI水に氷上で徐々に加え
る。dI水で10Lにする] 10L ナルゲンカーボイで室温にて保存する。
【0166】 方法 (A)アスペルギルス・フミガータス(A.fumigatus)からの酵素の調製(1) 細胞の増殖 アスペルギルス・フミガータス(A.fumigatus)の1つの株を2mlの冷凍用バイ
アル中にグリセロールストックとして−80℃にて保存した。細胞は10 l白金耳を
用いてYPDプレート上に画線展開され30℃にて24〜48時間インキュベートした。
【0167】 アスペルギルス・フミガータス(A.fumigatus)株をプレートから50mlのSD+
ウリジン培地に植菌し、30℃にて振盪しながら一晩インキュベートした。細胞を
250mlのSD+ウリジン培地に植え継ぎ、30℃で8〜9時間振盪した。培養液は、SD
+ウリジン培地を含む2つの10Lの発酵槽に開始時のOD600が0.01から0.015になる
ように(同時に)植菌された [発酵槽は9LのdI水を入れてオートクレーブされ、
植菌30分前に1Lの10XSD+ウリジンが添加された] 。細胞を最終のOD600が2.0〜2
.5(中期から対数増殖期)になるように30℃で一晩増殖し、遠心分離により回収
した(J6−MI遠心分離機、JS-4.0ローター、3,000rpmで10分間)。発酵は約17時
間要し、回収時間は植菌時のOD、誘導時間、および倍加時間より計算することが
できる(正確さは±0.5時間)。典型的な行程では発酵槽は午後6時に植菌され、
翌日の午前10時に回収された。時間のずれは15分以下であり、倍加時間は2時間
であった。2つ目の発酵槽は若干低いODにて植菌され、(最初の発酵槽を回収す
る時間を見込んで)最初の発酵槽が回収される準備ができた約45分から1時間後
に細胞が回収される準備ができた。約160gの集菌した細胞が2つの10L発酵槽から
得られた。
【0168】 コーニング社の250mlディスポーザブル式遠心分離チューブに回収した後、細
胞はただちに−80℃に凍結され、処理されるまで保存した。
【0169】(2)細胞溶菌と40%硫酸アンモニウム沈殿の調製 全ての操作は4℃にて行われた。プロテアーゼ阻害剤が緩衝液A(細胞破壊緩衝
液)に添加され1容量の本混合液が1容量の集菌した細胞に添加された(75gの細
胞が150mlの懸濁液を生じ、ビードビーターのチャンバーを満たすのに十分であ
った)。細胞は短時間のボルテックスにより再懸濁され、細胞懸濁液は(既にあ
らかじめ湿潤されたガラスビーズで半分が満たされていた)ビードビーターチャ
ンバーに移された。ガラスビーズ/細胞懸濁液の混合液は気泡を除くためにガラ
ス棒で攪拌された。ビードビーターのチャンバーが組み立てられ、可能な限り多
くの空気がチャンバーから除かれた。細胞はパルスの間に4分間の冷却をはさむ
ビードビーターの1分間のパルス2回により破壊された。溶解物は(ガラスビーズ
を除くために)デカンテーションによりあらかじめ冷却された250mlのエルレン
マイヤーフラスコに移された。新しいPMSFとペプスタチンが添加され、溶解物は
50mlのねじぶた式遠心チューブに移され、未破壊の細胞、細胞壁断片、およびミ
トコンドリアを除くために10,000Xgで20分間遠心分離された。上清は100,000Xg
で60分間遠心分離され(ベックマン社製 Ultra−Clear25x89mm、SW−28ロータ
ーを使用)、あらかじめ冷却された250mlのエルレンマイヤーフラスコにデカン
テーションにより移された。固形硫酸アンモニウムが40%飽和度(24.2g/100ml
)まで高速遠心分離で得られた上清に段階的に添加された。本混合物を、時々緩
やかに攪拌しながら、平衡化するために4℃で30分間放置した。硫酸アンモニウ
ム沈殿は、15,000Xg30分間の遠心分離で回収され、上清は廃棄された。得られた
沈殿は(40%飽和硫酸アンモニウムを含む緩衝液Aを5ml添加することにより沈殿
が乾かないようにする)、翌日の再懸濁のために遠心分離チューブ内で4℃にて
一晩放置した。しかし、中止することなくタンパク質をカラム精製の段階に進め
ることが好ましい。
【0170】 溶菌処理は一日に2回繰り返すことが可能であり、2つの発酵槽に対応する細胞
を処理することを可能にしている。ガラスビーズは2%のMicro(商標)洗浄液で
リンスし必要に応じて再利用することが可能である。
【0171】(3)ピアス社ImmunoPure(商標)単量体アビジンゲルでのカラムクロマトグラ
フィー (a)カラムの前処理と平衡化 カラムは室温。ゲルはdI水を用いて33%(v/v)に希釈し、対応するスラリー
を使用し、カラムに注いだ(便利なディスポーザブルカラムと説明書は樹脂と共
に供給された)。ゲルを沈殿させた後(注いでいる間カラムは底で栓をされてい
た)、カラムと共に供給された適切な大きさの血清セパレーターを用いてプラス
ティックフリットが静かにベッド上端に置かれた。カラムは2倍のCV(カラム容
積)の(ピアス社製BupH(商標)PBSパックを用いて調製された)リン酸緩衝食
塩水を2回注いだ後、平衡化された。樹脂内の全ての強固なビオチン結合部位を
ブロックするために、カラムをビオチンブロッキング溶出緩衝液(1CVで3回)で
洗浄した。続いて緩く結合する部位からビオチンを除くために、2CVの再生緩衝
液を3回用いた。カラムを保存のために2CVのPBSで2回洗浄し、ビオチン化BSAを
用いて結合能を検査することができる(好ましくは、カラムは測定後再生される
べきである)。
【0172】 5mlのカラムは2つの発酵槽に対応する細胞から全ての酵素を精製するのに十分
である。単量体アビジンゲルは使用前4℃にてPBS(33%v/vゲル)中で保存され
る。
【0173】 (b)ビオチン含有タンパク質の精製 全ての操作は4℃で行われた。硫酸アンモニウム沈殿を最小容量の緩衝液B+プ
ロテアーゼ阻害剤に入れた。5mlのポッター・エルベージェムホモジナイザーを
沈殿の再懸濁を容易にするために使用した。ホモジナイズ後、タンパク質溶液を
全ての不溶性物質を除くために遠心分離した(100,000xg、60分)。2つの発酵槽
に対応する細胞からの硫酸アンモニウム沈殿は約48mlの緩衝液Bに再懸濁可能で
あり、それは4つの超遠心チューブ(16x89mm、SW41−Tiローター)を満たすのに
十分な液体であった。15mlの33%ゲルスラリーを一つにまとめた超遠心分離上清
に加え、混合物を50mlのファルコンチューブ内にて回転振盪器で(60rpm)1.5時
間(4℃)緩やかに振盪することで、ビオチン化タンパク質は単量体アビジンゲ
ルにバッチ法でロードされた。混合物はただちに(ピアス社よりゲルと共に供給
された)10mlのカラムに注がれた。ゲルが沈殿する時間を置いた後、カラムにキ
ャップをし穏やかに振盪することにより、1CVの緩衝液Bに再懸濁した。その後、
ゲルが再度完全に沈殿するように4℃にて放置した。45分後、ゲルがベッドを形
成し、プラスティックフリットを乾燥を防ぐために静かにカラムの上端に置いた
。カラムは約5CVの緩衝液Bで[ブラッドフォード法により判定され、フロースル
ーから本質的にタンパク質がなくなるまで]洗浄された。−1CVの緩衝液B中の2m
Mビオチンがカラムにアプライされ、結合したタンパク質が遊離したビオチンと
交換されるようにカラムは1時間キャップをされた。タンパク質は緩衝液B中の2m
Mのビオチンで溶出され、タンパク質はブラッドフォード法によりモニターされ
た。画分はタンパク質が溶出されなくなるまで収集され、プールされた。プール
された画分を(50%のグリセロールを含む)保存緩衝液に対して一晩透析した。
タンパク質を−20℃で保存した。
【0174】 各酵素調製液は、下記に記す放射分析にて活性を試験した。さらに(45分間以
上の)アッセイ法において許容される、ノイズに対するシグナルおよび直線性に
必要な最低酵素量が各バッチについて決定された。いくつかのバッチがプールさ
れ再度分取されたが、許容できる範囲のノイズに対するシグナルおよび直線性を
保証するためにスクリーニングで用いられるのと同一の条件下で再度試験された
【0175】 (A)高スループットスクリーニング (I)スクリーニングの実施 試薬と量は以下の表にまとめられている。スクリーニングは下記に詳述された
プロトコールに基づき行われる。 *ブタノールで1:10に希釈され、アッセイ用緩衝液が添加される前に25 lがフ
ードにてアッセイ用プレート内で乾燥された試験化合物ストック。ウェルは2.5
lの100%DMSOに各0.5nmolの試験化合物(20種/ウェル)を含んでいる。
【0176】 阻害剤の力価は陽性対照(酵素なし、100%阻害)と陰性対照(阻害剤なし、0
%阻害)に関して、定量することができる。下記の公式を使用することができる
。 阻害率(%)=[1−(A450−陽性対照)/(陰性対照−陽性対照)]X100
【0177】 (B)アセチルCoAカルボキシラーゼの放射分析 アッセイ用構成要素の濃度: 20 lの20%DMSOが各マイクロタイタープレートの全ウェルにTitertec(商標)マ
ルチドロップを用いて分注される。1 lの3mMミリストイルCoA(DMSO中)が適切
な対照ウェルに添加される(D3およびD9)。無酵素対照(D2およびD8)のウェル
は粘着性のホイルで覆われ、(アセチルCoAカルボキシラーゼアッセイ用緩衝液
であらかじめ希釈された)60 lの酵素がTitertec(商標)により全てのウェルに
添加される。その対照のウェルでは酵素溶液はホイルの上でビーズを形成し、隣
接するウェルに飛沫は入らない。酵素が添加された後でホイルの上のビーズはキ
ムワイプ(商標)で取り除かれ、ホイルは引き続く添加のために取り除かれる。
続いて60 lのアセチルCoAカルボキシラーゼ分析緩衝液(無酵素)がD2およびD8
ウェルに添加される。
【0178】 5X放射分析用基質緩衝液は5Xコールド基質緩衝液にNaH[14C]O3を添加すること
により調製される。放射性重炭酸塩が添加された後、直ちに、タイターテック(
商標)マルチドロップ分注器を用いて20 lの5X放射分析基質緩衝液を添加するこ
とにより分析反応が開始される。基質緩衝液を分注した後、直ちに、Titertec(
商標)はアッセイの停止段階に備えて2N 塩酸(停止溶液)でリンスされる。反
応は40分のインキュベーション時間(室温)の後、(Titertec(商標)を用いて
)100 lの停止溶液を添加することにより停止する。
【0179】 プレートを一晩45℃のスライドウォーマー上で乾燥する。10プレートを各スラ
イドウォーマー上に広げて配置することができる。反応産物を再溶解するために
Titertec(商標)を用いて乾燥したウェルに100 lのdI水が添加し、80 lの同物
質をOptiPlate(商標)に移送する。移送段階は、Tomtec(商標)自動分注器を
用いて実行される。150 lのMicroscint(商標)40が(専用の分注ヘッドの)Tit
ertec(商標)を用いて添加される。プレートをパッカード社のTopCountを用い
て(12時間の平衡化の後)計測する(60秒間計測、プレートを読取りする前に1
分間の猶予)。データをマイクロソフトExcel(商標)による分析のためにファ
イルに保存する。
【0180】 粗溶解物からのアセチルCoAカルボキシラーゼの精製 14Cで標識した重炭酸塩および硫酸アンモニウムは、ICNバイオメディカルズ社
より入手する。ポリアクリルアミドゲル電気泳動とストレプトアビジンブロット
のための全ての装置、ゲルは、バイオラッド社より購入する。その他の全ての純
度の高い薬品はシグマ社から購入する。セファロースCL−4Bはファルマシア社よ
り購入する。プロメガSoft−Link、Soft−Releaseアビジン親和性樹脂はフィッ
シャーサイエンティフィック社より購入する。
【0181】 真菌溶解物は、225mM マンニトール、75mM ショ糖、10mM トリス/塩酸(p
H7.5)、0.05mM EDTA、5mM クエン酸カリウム、2.5mM MnCl2、各10mg/lのア
プロチニン、ロイペプチン、およびアンチトリプシン(緩衝液A)にて調製され
、グラス・ウールに通してろ過され、攪拌しながら粉末の硫酸アンモニウムが35
%飽和度まで添加された(200g硫酸アンモニウム/l)。連続した45分間の攪拌
の後、沈殿したタンパク質を遠心分離により回収した(30分、17,000Xg)。沈殿
を、攪拌しながら、最低容量の100mMトリス/塩酸(pH7.5)、0.5M NaCl、1.0m
M EDTA、0.1mM ジチオスレイトール、および10% グリセロール(緩衝液B)
に緩やかに再懸濁する。そして不溶性物質は遠心分離(20分、40,000Xg)で取り
除かれ、清澄上清は150倍容量の100mMトリス/塩酸、0.5M NaCl、1.0mM EDTA
、0.1mM ジチオスレイトール、および5%グリセロール(緩衝液C)に対してク
エン酸を除くために3時間透析される。
【0182】 透析された懸濁液(約30ml)は、その後、[Beaty and Lane 1982(J Biol Chem
257: 924-929)の処理で調製される]40mlの親和性カラム物質および30mlの緩衝
液Cとともに3時間振盪され、濾斗中で2リットルの緩衝液Cで攪拌しながら3時間
リンスし、連続したリンス(10〜15ml/時間)により安定したベースラインが得
られるまでカラムに充填される。カラムからの溶出液は、ISCO社UA−6吸光検出
器を用いて280nmでモニターされる。アビジン結合物質は緩衝液C(ビオチン0.2m
M)で5−8ml/時間の流速で溶出される。
【0183】 ACCaseアッセイ法 真菌アセチルCoAカルボキラーゼは以下のようにサムピー(Thampy)とウェイ
キル(Wakil) (1985 J Biol Chem 260: 6318-6323)による14CO2固定アッセイ法
を改変された方法により分析される。精製酵素(0.05g)が、反応混合液[50mM
Hepes(pH7.5)、1.5mM 硫酸マグネシウム、2.0mM ジチオスレイトール、0.25
mM アセチルCoA、4.0mM ATP、12.5mM KHCO3(2X106 cpm NaH[14C]O3)、0.
75g/l無脂肪酸ウシ血清アルブミン、20mMクエン酸ナトリウム、20mM酢酸マグネ
シウム、総容量は200 l]に37℃、2分間添加される。反応は50 lの5M塩酸の添加
により停止する。アリコート(200 l)は移され、(フード内の緩やかな気流下
で80℃にて)蒸発乾燥される。冷却後、蒸留水(400 l)が添加され、5.5mlのSc
intiverse II (フィッシャー社製)が続いて添加される。放射活性はベック
マン社製LS6500シンチレーションシステムにより決定される。分析ブランクは酵
素添加前に塩酸を添加した標準分析からなる。典型的なバックグランド活性は、
平均すると50cpmである。1ユニットの活性とは、37℃において1分間あたりにお
ける酸に安定な物質に取り込まれる1molのNaH[14C]O3に等しい。比活性はユニッ
ト/mgタンパク質である。
【0184】 タンパク質定量 タンパク質は、ウシ血清アルブミンを標準として用い、バイオラッド社製タン
パク質分析色素キットを使用して定量する。
【0185】 ポリアクリルアミドゲル電気泳動 タンパクサンプルは62.5mMトリス(pH6.8)、10% グリセロール、2.5%(質
量/容積)SDS、5%(容積で)2−メルカプトエタノール、0.025%(質量/容積
)ブロモフェノールブルー(SDSサンプル緩衝液)にて希釈され、加熱(95℃、4
分)することにより調製される。ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、Mini‐Pr
otean II 4−15% 勾配プレキャストゲル(バイオラッド社製)を用いてバイ
オラッド社製Mini‐Protean II Dualスラブ縦型電気泳動システムを用いて行
われる。ゲルは、0.1% SDS、25mMトリス、192mMグリシン(pH8.3)存在下で20
0Vにて60分間泳動される。
【0186】 ゲル染色 プールされたカラム分画は、高レンジ分子量標準品(銀染色)およびビオチン
化高レンジ分子量標準品(ウエスタンブロッティング)と同時に泳動される。両
セットの標準品はバイオラッド社より得る。(銀染色のためのものと同時に泳動
された)ゲルは確立した操作に従い銀染色法で染色される。銀染色の試薬はキッ
トとして得る(シグマ社)。
【0187】 ウエスタンブロッティング タンパク質は以下のようにニトロセルロース(バイオラッド社製Mini Trans
−Blot電気泳動転写システム)に転写される。ゲルは緩衝液[25mM トリス、192
mM グリシン、20% メタノール(pH8.3)]中で一晩、冷却ウェル(30V、モデ
ル1000/500パワーサプライ、バイオラッド社製)を用いて、ニトロセルロース
膜に接して挟まれる。
【0188】 ビオチン含有タンパク質はストレプトアビジンアルカリフォスフォターゼコン
ジュゲート(バイオラッド社製)を用いて検出される。ストレプトアビジン特異
的タンパク質はバイオラッド社から得られるストレプトアビジンアルカリフォス
フォターゼコンジュゲート基質キットで供給される色素試薬を用いて比色法によ
り可視化される。膜は蒸留水中で保存される。
【0189】 抗体 抗体は本発明のアセチルCoAカルボキシラーゼ酵素に対して従来法により作製
することができる。
【0190】 ノーザンハイブリダイゼーションおよびプローブの調製 ノーザンブロットは、クロンテック社(Clontech Laboratories、1020、 East
Meadow Circle、 Palo Alto、 California、 94303、 USA)より得て、Express
hybハイブリダイゼーション溶液(クロンテック社−Clontech Laboratories、 1
020、 East Meadow Circle、 Palo Alto、 California、 94303、 USA)中にて
、放射性標識アセチルCoAカルボキシラーゼ断片(DNAはMegaprimeランダムラベ
リングシステム(アマシャム社製(Amersham place、 Little Chalfont、 Bucks
、 HP7 9NA、 UK))を用いてメーカーの使用説明書に厳密に従い50Ciの32P−dA
TPを用いて標識された)が新たなExpresshybへ添加され、55℃で一晩ハイブリダ
イズされる前に、緩やかに振盪しながら55℃で1時間プレハイブリダイズされる
。そしてブロットは室温にて各々10分間2XSSC(150mM NaCl、30mM クエン酸ナ
トリウム)中で3回洗浄され、続いて55℃にて20分間、各々は0.2XSSC(15mM Na
Cl、3mM クエン酸ナトリウム)を用いて2回洗浄される。ブロットはその後、オ
ートラジオグラフィーフィルムに露光される。
【0191】 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR) PCR反応は標準的な試薬と条件を用いて行われる。簡略には、全ての緩衝液と
酵素はキットで[cDNA末端の迅速増幅反応(RACE)については]クロンテック社(
Clontech Laboratories、 1020、 East Meadow Circle、 Palo Alto、 Californ
ia、 94303、 USA)または標準的なPCRはライフテクノロジー社(3 Fountain Dr
ive、 Inchinnan Business Park、 Paisley、 PA4 9RF、 UK)から入手する。オ
リゴヌクレオチドはメーカー(OSWEL DNA services、 Lab 5005、 Medical And
Biological Sciences Building、 University of Southampton、 Bolderwood、
Bassett Crescent East、 Southampton、 SO16 7PX、 UK)から得て、400nMの濃
度で用いる。反応は、使用しているキットのメーカーの推奨するサイクリングパ
ラメーターを用いてMJ Research社のPTC−200サーマルサイクラーで行われる。
【0192】 PCR産物のクローニング PCR由来のDNA断片は、メーカーの方法書に概説されている方法に従い供給され
る試薬を用いて、インビトロジェン社(De Schelp 12、 9351、 NV Leek、 The
Netherlands)から供給されるTOPOクローニングシステム(カタログ番号K3001−
0−1)によりクローニングされる。
【0193】 他の態様 本発明は、本発明の詳細な記載をもって述べられているが、前述の記載は添付
された特許請求の範囲で規定される本発明の範囲を例説することを意図しており
、本発明の範囲をなんら制限するものではないことは理解されなければならない
。他の局面、利点、および改変は以下の特許請求の範囲である。例えば、試験化
合物とタンパク質の相互作用を検出するまたは真菌の増殖阻害を検出する他の技
術分野で既知の分析もアセチルCoAカルボキシラーゼ遺伝子を用いて行うことが
できる。本発明はまたアスペルギルス・フミガータス(A.fumigatus)を阻害す
る用途の薬品成分を作製する方法も含む。特に、本方法は、本明細書で述べられ
ているような抗菌薬剤を含む薬学的に許容できる賦形剤を調合することを含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アスペルギルス・フミガーツス(afACCアーゼ)のヌクレオチド
配列(配列番号:1)および予想されるアミノ酸配列(配列番号:2)の一覧であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 48/00 A61P 31/10 4C084 A61P 31/10 C07K 16/40 4C085 C07K 16/40 C12N 9/00 4C086 C12N 5/10 C12Q 1/18 4H045 9/00 1/25 C12Q 1/18 1/68 A 1/25 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 Z G01N 33/15 33/53 D 33/50 M 33/53 33/566 C12N 15/00 ZNAA 33/566 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA, BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR,C U,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,GB ,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL, IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,L C,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MA,MD ,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL, PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,S L,TJ,TM,TR,TT,TZ,UA,UG,US ,UZ,VN,YU,ZW (71)出願人 Ramsgate Road, Sand wich, Kent, England (72)発明者 パーキンソン ターニャ イギリス国 ケント ドーバー アシュレ イ チャペル レーン ローズ ビラ (72)発明者 ブラワ クリスティン アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ア ーリントン グランドビュー ロード 11 Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 BB01 BB05 BB07 BB10 BB20 BB48 BB50 BB51 DA13 DA36 FB02 FB03 FB05 FB08 4B024 AA01 AA13 BA07 CA04 CA09 CA11 CA20 DA02 GA11 HA03 HA13 HA14 4B050 CC01 CC03 DD03 EE01 FF03E FF04E FF05E FF14E LL03 LL05 4B063 QA06 QQ21 QQ41 QQ53 QQ61 QQ89 QR08 QR32 QR39 QR42 QR56 QR62 QR76 QR77 QR80 QR82 QS16 QS25 QS33 QS34 QX02 QX10 4B065 AA60Y AA72X AA90X AB01 AC14 BA02 BD50 CA27 CA44 CA46 4C084 AA13 AA17 NA14 ZB35 4C085 AA13 AA14 BA49 BB11 4C086 AA01 EA16 MA01 MA04 NA14 ZB35 4H045 AA11 AA30 CA15 DA75 EA29 EA52 FA71

Claims (49)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)図1に示されるような配列番号:2のアミノ酸配列を含
    むポリペプチドをコードする核酸分子; (b)配列番号:2の少なくとも15個の連続したアミノ酸を含むポリペプチドをコ
    ードする核酸分子;および (c)配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に生じる対立遺伝子
    変異体をコードする核酸分子であって、図1に示されるような配列番号:1、また
    は配列番号:1の相補体のヌクレオチド配列を含む核酸分子とストリンジェント
    な条件下でハイブリダイズする核酸分子 からなる群より選択される、単離核酸分子。
  2. 【請求項2】 (a)配列番号:1のヌクレオチド配列を含む核酸分子; (b)「T」が「U」によって置換された、配列番号:1のヌクレオチド配列を含む
    核酸分子; (c)(a)または(b)に対して相補的な核酸分子;および (d)配列番号:1または配列番号:1の相補体の少なくとも30個の連続したヌク
    レオチドを含む、(a)、(b)または(c)の断片 からなる群より選択される、単離核酸分子。
  3. 【請求項3】 (a)GCGソフトウエアパッケージ中のGAPプログラムをギャ
    ップ荷重(gap weight)5.000および長さ荷重(length weight)0.100で用いて
    算出した同一性(%)で、配列番号:1またはその相補体のヌクレオチド配列と
    の同一性が少なくとも約75%であるヌクレオチド配列を含む核酸分子; (b)配列番号:1のヌクレオチド配列を含む核酸分子とストリンジェントな条件
    下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、またはその相補体を含む核酸分子;
    および (c)ATCCにアクセッション番号207005、207006、207007、207008もしくは20700
    9として寄託されたプラスミドのcDNAインサートのヌクレオチド配列を含む核酸
    分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズするヌクレオチド配列、また
    はその相補体を含む核酸分子 からなる群より選択される、単離核酸分子。
  4. 【請求項4】 ベクター核酸配列をさらに含む、請求項1、2または3記載の
    核酸分子。
  5. 【請求項5】 異種ポリペプチドをコードする核酸配列をさらに含む、請求
    項1、2または3記載の核酸分子。
  6. 【請求項6】 請求項1、2または3記載の核酸分子を含む宿主細胞。
  7. 【請求項7】 細胞が哺乳動物宿主細胞である、請求項6記載の宿主細胞。
  8. 【請求項8】 細胞が非哺乳動物宿主細胞である、請求項6記載の宿主細胞
  9. 【請求項9】 (a)配列番号:2の少なくとも15個の連続したアミノ酸の配
    列を含むポリペプチド; (b)配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチド、またはATCCにアクセッシ
    ョン番号207005、207006、207007、207008もしくは207009として寄託されたプラ
    スミドのcDNAインサートによってコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド
    であって、配列番号:1のヌクレオチド配列を含む核酸分子の相補体とストリン
    ジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によってコードされるポリペプ
    チドの天然に生じる対立遺伝子変異体;ならびに (c)GCGソフトウエアパッケージ中のGAPプログラムをギャップ荷重5.000および
    長さ荷重0.100で用いて算出した同一性(%)で、配列番号:1のヌクレオチド配
    列との同一性が少なくとも約75%であるヌクレオチド配列を含む核酸分子によっ
    てコードされるポリペプチド からなる群より選択される、単離ポリペプチド。
  10. 【請求項10】 異種アミノ酸配列をさらに含む、請求項9記載のポリペプ
    チド。
  11. 【請求項11】 請求項9記載のポリペプチドと選択的に結合する抗体。
  12. 【請求項12】 請求項6記載の宿主細胞を核酸分子が発現される条件下で
    培養する段階を含む、ポリペプチドを産生するための方法であって、該ポリペプ
    チドが (a)配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチド、 (b)配列番号:2の少なくとも15個の連続したアミノ酸を含むポリペプチド、お
    よび (c)配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドであって、配列番号:1を
    含む核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸分子によっ
    てコードされるポリペプチドの天然に生じる対立遺伝子変異体 からなる群より選択され、 請求項6記載の宿主細胞を核酸分子が発現される条件下で培養する段階を含む方
    法。
  13. 【請求項13】 抗真菌薬剤を同定するための方法であって、 (a)afACC1を発現することが可能な第1および第2の細胞である、第1の細胞およ
    び第2の細胞を調製する段階; (b)第1の細胞を被験化合物と接触させる段階; (c)第1および第2の細胞におけるafACC1の発現レベルを決定する段階; (d)第1の細胞における発現レベルを第2の細胞と比較する段階;ならびに (e)第1の細胞におけるafACC1の発現が第2の細胞におけるafACC1の発現よりも
    低い場合に、被験化合物を真菌感染症の治療のための抗真菌薬剤として選択する
    段階 を含み、afACC1が、配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配
    列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に生じる対立遺伝子変異体
    をコードする第1の核酸分子であって、該第1の核酸分子が、配列番号:1または
    配列番号:1の相補体のヌクレオチド配列を含む第2の核酸分子とストリンジェン
    トな条件下でハイブリダイズする方法。
  14. 【請求項14】 発現レベルが、細胞におけるafACC1 mRNAの量を測定する
    段階によって測定される、請求項13記載の方法。
  15. 【請求項15】 発現レベルが、afACC1によってコードされるタンパク質の
    量を測定する段階によって測定される、請求項13記載の方法。
  16. 【請求項16】 真菌感染症の治療のための抗真菌薬剤を同定するための方
    法であって、 (a)afACC1を発現することが可能な第1および第2の細胞を調製する段階; (b)第1の細胞を被験化合物と接触させる段階; (c)第1および第2の細胞におけるafACC1の発現レベルを決定する段階; (d)第1の細胞における発現レベルを第2の細胞と比較する段階;ならびに (e)第1の細胞におけるafACC1によってコードされるポリペプチドの活性が第2
    の細胞におけるafACC1によってコードされるポリペプチドの活性よりも低い場合
    に、被験化合物を真菌感染症の治療のための抗真菌薬剤として選択する段階 を含み、afACC1が、配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたは配列
    番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に生じる対立遺伝子変異体を
    コードする第1の核酸分子であって、該第1の核酸分子が、配列番号:1または配
    列番号:1の相補体のヌクレオチド配列を含む第2の核酸分子とストリンジェント
    な条件下でハイブリダイズする方法。
  17. 【請求項17】 真菌感染症の治療のための抗真菌薬剤を同定するための方
    法であって、 (a)被験化合物の存在下でafACC1を発現することが可能な第1および第2の細胞
    試料を調製する段階、 (b)第1の細胞試料を被験化合物と接触させる段階、 (c)第1の細胞試料の増殖を第2の細胞試料と比較する段階、 (d)第1の細胞試料の増殖が第2の細胞試料の増殖よりも遅い場合に、被験化合
    物を真菌感染症の治療のための抗真菌薬剤として選択する段階 を含み; afACC1が、配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチド、または配列番号
    :2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に生じる対立遺伝子変異体をコー
    ドする第1の核酸分子であって、該第1の核酸分子が、配列番号:1または配列番
    号:1の相補体のヌクレオチド配列を含む第2の核酸分子とストリンジェントな条
    件下でハイブリダイズする方法。
  18. 【請求項18】 第1および第2の細胞試料が真菌細胞を含む、請求項17記載
    の方法。
  19. 【請求項19】 請求項13、16または17記載の方法を用いて同定された有効
    量の抗真菌薬剤を患者に投与する段階を含む、患者における真菌感染症を治療す
    る方法。
  20. 【請求項20】 化合物が、ポリペプチド、リボ核酸、低分子、およびデオ
    キシリボ核酸からなる群より選択される、請求項19記載の方法。
  21. 【請求項21】 化合物がアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請求項
    19記載の方法。
  22. 【請求項22】 化合物がリボザイムである、請求項19記載の方法。
  23. 【請求項23】 真菌感染症の治療に有用な抗真菌薬剤を同定するための方
    法であって、 (a)afACC1によってコードされるポリペプチドを被験化合物と接触させる段階
    ;および (b)被験化合物のポリペプチドとの結合を検出する段階 を含み、afACC1ポリペプチドと結合する化合物が、真菌感染症の治療のために有
    用であり、且つ該ポリペプチドが、配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプ
    チドまたは配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に生じる対立
    遺伝子変異体をコードする第1の核酸分子であって、第2の核酸分子とストリンジ
    ェントな条件下でハイブリダイズする第1の核酸分子、配列番号:1または配列番
    号:1の相補体のヌクレオチド配列を含む第2の核酸分子からなる群より選択され
    る遺伝子によってコードされ、結合によって被験化合物が抗真菌薬剤であること
    が示される方法。
  24. 【請求項24】 増殖阻害によって被験化合物が抗真菌薬剤であることが示
    される、afACC1ポリペプチドと結合する被験化合物が、被験化合物の非存在下で
    増殖した真菌の増殖に対して真菌の増殖を阻害するか否かの判定をさらに含む、
    請求項23記載の方法。
  25. 【請求項25】 被験化合物を基質上に固定し、且つ被験化合物とafACC1と
    の結合を、固定された被験化合物上へのafACC1ポリペプチドの固定として検出す
    る、請求項23記載の方法。
  26. 【請求項26】 被験化合物上へのafACC1ポリペプチドの固定を、afACC1ポ
    リペプチドと特異的に結合する抗体を用いるイムノアッセイ法で検出する、請求
    項25記載の方法。
  27. 【請求項27】 被験化合物が、ポリペプチド、リボ核酸、低分子、および
    デオキシリボ核酸からなる群より選択される、請求項23記載の方法。
  28. 【請求項28】 afACC1ポリペプチドが、(i)転写因子の転写活性化ドメ
    インまたは(ii)転写因子のDNA結合ドメインと融合したafACC1ポリペプチドを
    含む第1の融合タンパク質として提供され;および 被験化合物が、(i)転写因子の転写活性化ドメインまたは(ii)転写因子のD
    NA結合ドメインと融合した被験化合物を含む第2の融合タンパク質として提供さ
    れて、第1の融合タンパク質との相互作用するポリペプチドであり;および 被験化合物とafACC1ポリペプチドとの結合が、転写因子の再構成として検出さ
    れる、 請求項23記載の方法。
  29. 【請求項29】 請求項23記載の方法によって同定される抗真菌薬剤および
    薬学的に許容される賦形剤を含む、真菌感染症の治療のための医薬製剤。
  30. 【請求項30】 真菌感染症を有する生物の治療のための方法であって、請
    求項29記載の治療的有効量の医薬製剤を生物に投与する段階を含む方法。
  31. 【請求項31】 生物がヒトである、請求項27記載の方法。
  32. 【請求項32】 生物における真菌感染症の治療方法であって、請求項11記
    載の治療的有効量の抗体を生物に投与する段階を含む方法。
  33. 【請求項33】 抗体がモノクローナル抗体である、請求項32記載の方法。
  34. 【請求項34】 請求項22記載のリボザイムおよび薬学的に許容される賦形
    剤を含む、生物における真菌感染症の治療のための医薬製剤。
  35. 【請求項35】 請求項21記載のアンチセンス核酸および薬学的に許容され
    る賦形剤を含む、生物における真菌感染症の治療のための医薬製剤。
  36. 【請求項36】 真菌感染症の治療に有用な化合物を同定するための方法で
    あって、 (a)afACC1ポリヌクレオチドを被験化合物と接触させる段階;および (b)被験化合物とafACC1ポリヌクレオチドとの結合を検出する段階 を含み、afACC1ポリヌクレオチドと結合する化合物が真菌感染症の治療に有用で
    あり、且つafACC1ポリヌクレオチドが (i)配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸分子、お
    よび (ii)配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に生じる対立遺伝
    子変異体をコードする核酸分子であって、配列番号:1または配列番号:1の相補
    体のヌクレオチド配列を含む核酸分子とストリンジェントな条件下でハイブリダ
    イズする核酸分子 からなる群より選択される方法。
  37. 【請求項37】 増殖阻害によって被験化合物が抗真菌化合物であることが
    示される、afACC1ポリペプチドと結合する被験化合物が、被験化合物の非存在下
    で増殖した真菌の増殖に対して真菌の増殖を阻害するか否かの判定をさらに含む
    、請求項36記載の方法。
  38. 【請求項38】 被験化合物が、ポリペプチド、低分子、リボ核酸、および
    デオキシリボ核酸からなる群より選択される、請求項36記載の方法。
  39. 【請求項39】 被験化合物がアンチセンスオリゴヌクレオチドである、請
    求項36記載の方法。
  40. 【請求項40】 被験化合物がリボザイムである、請求項36記載の方法。
  41. 【請求項41】 真菌感染症の治療に有用な化合物を同定するための方法で
    あって、 (a)afACC1のホモログを被験化合物と接触させる段階、および (b)真菌感染症の治療に有用である、被験化合物とafACC1のホモログとの結合
    を検出する段階を含み、化合物が、配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプ
    チドまたは配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドの天然に生じる対立
    遺伝子変異体のいずれかをコードする第1の核酸分子であって第2の核酸分子とス
    トリンジェントな条件下でハイブリダイズする第1の核酸分子、配列番号:1また
    は配列番号:1の相補体のヌクレオチド配列を含む第2の核酸分子からなる群より
    選択されるafACC1のホモログと結合する方法。
  42. 【請求項42】 増殖阻害によって被験化合物が抗真菌薬剤であることが示
    される、afACC1のホモログと結合する被験化合物の非存在下で増殖した真菌の増
    殖に対して、真菌の増殖を阻害するか否かの判定をさらに含む、請求項41記載の
    方法。
  43. 【請求項43】 afACC1のホモログが非病原性真菌に由来する、請求項41記
    載の方法。
  44. 【請求項44】 afACC1のホモログが病原性真菌に由来する、請求項41記載
    の方法。
  45. 【請求項45】 被験化合物を基質上に固定し、被験化合物とafACC1のホモ
    ログとの結合を、固定された被験化合物上へのafACC1のホモログの固定として検
    出する、請求項41記載の方法。
  46. 【請求項46】 被験化合物上へのafACC1のホモログの固定を、afACC1のホ
    モログと特異的に結合する抗体を用いるイムノアッセイ法で検出する、請求項45
    記載の方法。
  47. 【請求項47】 被験化合物が、ポリペプチド、リボ核酸、低分子、および
    デオキシリボ核酸からなる群より選択される、請求項41記載の方法。
  48. 【請求項48】 真菌感染症の治療のための化合物を同定するための方法で
    あって、 (a)afACC1を発現することが可能な第1の細胞および第2の細胞を調製する段階
    ; (b)第1の細胞を被験化合物と接触させる段階; (c)第1および第2の細胞におけるafACC1遺伝子の発現レベルを決定する段階; (d)第1の細胞におけるafACC1遺伝子の発現レベルを第2の細胞と比較する段階
    ;ならびに (e)第1の細胞におけるafACC1遺伝子の発現が、第2の細胞におけるafACC1遺伝
    子の発現レベルよりも低い場合に、被験化合物を真菌感染症の治療に有用なもの
    として選択する段階 を順に含み、 afACC1遺伝子が、配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチドまたはその
    天然に生じる対立遺伝子変異体をコードする第1の核酸分子であって、該第1の核
    酸分子が、配列番号:1のヌクレオチド配列を含む第2の核酸分子とストリンジェ
    ントな条件下でハイブリダイズする方法。
  49. 【請求項49】 真菌感染症の治療のための化合物を同定するための方法で
    あって、 (a)afACC1のホモログを発現することが可能な第1および第2の細胞を調製する
    段階; (b)第1の細胞を被験化合物と接触させる段階; (c)第1および第2の細胞におけるafACC1遺伝子のホモログの発現レベルを決定
    する段階; (d)第1の細胞におけるafACC1遺伝子のホモログの発現レベルを第2の細胞と比
    較する段階;ならびに (e)第1の細胞におけるafACC1遺伝子のホモログの発現が第2の細胞におけるafA
    CC1遺伝子のホモログの発現レベルよりも低い場合に、被験化合物を真菌感染症
    の治療に有用なものとして選択する段階 を順に含み、 afACC1遺伝子のホモログが、配列番号:2のアミノ酸配列を含むポリペプチド
    またはその天然に生じる対立遺伝子変異体をコードする第1の核酸分子であって
    、該第1の核酸分子が、配列番号:1のヌクレオチド配列を含む第2の核酸分子と
    ストリンジェントな条件下でハイブリダイズする方法。
JP2000591179A 1998-12-31 1999-12-29 A.フミガーツスアセチル補酵素aカルボキシラーゼの遺伝子およびポリペプチド、ならびにその使用 Pending JP2002533120A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US11458098P 1998-12-31 1998-12-31
US60/114,580 1998-12-31
PCT/US1999/031041 WO2000039287A2 (en) 1998-12-31 1999-12-29 A. fumigatus acetyl coenzyme-a carboxylase genes and polypeptides and uses thereof

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002533120A true JP2002533120A (ja) 2002-10-08

Family

ID=22356136

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000591179A Pending JP2002533120A (ja) 1998-12-31 1999-12-29 A.フミガーツスアセチル補酵素aカルボキシラーゼの遺伝子およびポリペプチド、ならびにその使用

Country Status (6)

Country Link
US (1) US6514726B1 (ja)
EP (1) EP1141268A2 (ja)
JP (1) JP2002533120A (ja)
AU (1) AU2392200A (ja)
CA (1) CA2356608A1 (ja)
WO (1) WO2000039287A2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6783985B1 (en) 2000-02-18 2004-08-31 Elitra Pharmaceuticals Inc. Gene disruption methodologies for drug target discovery
US6403372B1 (en) * 2000-11-27 2002-06-11 Cytokinetics, Inc. Aspergillus fumigatus profilin
US6743897B1 (en) 2000-11-27 2004-06-01 Cytokinetics, Inc. Aspergillus fumigatus profilin
EP1572722B1 (en) 2002-08-05 2009-03-11 Cropsolution, Inc. Recombinant biotin carboxylase domains for identification of acetyl coa carboxylase inhibitors
KR20150040359A (ko) 2012-08-10 2015-04-14 오피엑스 바이오테크놀로지스, 인크. 지방산 및 지방산 유도된 산물의 생산을 위한 미생물 및 방법
EP2970988A4 (en) * 2013-03-15 2016-12-07 Cargill Inc CONTROL OF PHASES OF GROWTH INDUCTION PRODUCTION
US10047383B2 (en) 2013-03-15 2018-08-14 Cargill, Incorporated Bioproduction of chemicals
JP6603658B2 (ja) 2013-07-19 2019-11-06 カーギル インコーポレイテッド 脂肪酸及び脂肪酸誘導体の製造のための微生物及び方法
US11408013B2 (en) 2013-07-19 2022-08-09 Cargill, Incorporated Microorganisms and methods for the production of fatty acids and fatty acid derived products
EP2993228B1 (en) 2014-09-02 2019-10-09 Cargill, Incorporated Production of fatty acid esters
EP3577227A4 (en) 2017-02-02 2020-12-30 Cargill Inc. GENETICALLY MODIFIED CELLS PRODUCING C6-C10 FATTY ACID DERIVATIVES

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB9325819D0 (en) * 1993-12-17 1994-02-23 Ciba Geigy Ag Fungi resistant to soraphen a
US5925805A (en) * 1994-05-24 1999-07-20 Board Of Trustees Operating Michigan State University Methods of increasing oil content of seeds
FR2727129A1 (fr) * 1994-11-21 1996-05-24 Rhone Poulenc Agrochimie Systeme de criblage permettant de selectionner des molecules ayant une activite specifiquement dirigee contre une cible biochimique determinee

Also Published As

Publication number Publication date
US6514726B1 (en) 2003-02-04
CA2356608A1 (en) 2000-07-06
WO2000039287A3 (en) 2000-11-16
EP1141268A2 (en) 2001-10-10
AU2392200A (en) 2000-07-31
WO2000039287A2 (en) 2000-07-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Stearns et al. γ-Tubulin is a highly conserved component of the centrosome
Nakano et al. The small GTP‐binding protein Rho1 is a multifunctional protein that regulates actin localization, cell polarity, and septum formation in the fission yeast Schizosaccharomyces pombe
JP2002533120A (ja) A.フミガーツスアセチル補酵素aカルボキシラーゼの遺伝子およびポリペプチド、ならびにその使用
US6221597B1 (en) Essential genes of yeast as targets for antifungal agents, herbicides, insecticides and anti-proliferative drugs
US6437108B1 (en) Essential bacterial genes and their use
US6200803B1 (en) Essential genes of yeast as targets for antifungal agents, herbicides, insecticides and anti-proliferative drugs
US20040167066A1 (en) Cleavage and polyadenylation complex of precursor mrna
JP2004511756A (ja) 抗真菌性化合物および使用法
US20020119509A1 (en) Essential fungal genes and their use
JP2002524069A (ja) 必須細菌遺伝子およびその使用
JP2002142787A (ja) スタフィロコッカス・アウレウス由来の新規プロリル−tRNAシンセターゼ
US6251596B1 (en) Aspergillus N-myristoyl transferase genes and polyeptides and uses thereof
WO2000039342A9 (en) Use of essential saccharomyces genes and polypeptides
US20030013106A1 (en) CCL1 polynucleotides and polypeptides and uses thereof
US6197517B1 (en) Essential genes of yeast as targets for antifungal agents, herbicides, insecticides and anti-proliferative drugs
US6472377B1 (en) Use of YNES, essential bacterial genes and polypeptides
JP2001149084A (ja) ホスホジエステラーゼ酵素
US20030004326A1 (en) Kin28 polynucleotides and polypeptides and uses thereof
JP2002539833A (ja) カリンレギュレーターroc1およびroc2をコードする単離dna、それらによってコードされた単離タンパク質、ならびにそれらの利用法
US20020103154A1 (en) Essential genes of yeast as targets for antifungal agents, herbicides, insecticides and anti-proliferation drugs
US20020128456A1 (en) Candida albicans kinase genes and polypeptides and uses thereof
US6515119B1 (en) Use of S-ydcB and B-ydcB, essential bacterial genes
JPH11502425A (ja) スタフィロコッカス・アウレウスのアスパラギニルtRNAシンセターゼ
CZ20002465A3 (cs) Esenciální bakteriální geny a jejich použití
JP2003164288A (ja) 新規ATPase様ポリぺプチドおよびそのDNA