JP2002524069A - 必須細菌遺伝子およびその使用 - Google Patents

必須細菌遺伝子およびその使用

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クリスチャン フリッツ
フィリップ ヤングマン
ルツ−マリア グズマン
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ミレニアム ファーマシューティカルズ インク.
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Abstract

(57)【要約】 肺炎連鎖球菌(Streptococcus Pneumoniae)において見出された「yphC」および「yqjK」と称する、広範囲の細菌の生存に必須である2つの遺伝子について開示する。該遺伝子およびそれらにコードされる必須ポリペプチド、ならびにそのホモログおよびオルソログは、広範囲の細菌感染症を治療するための抗菌物質を同定するのに用いることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】関連出願に関する相互参照 本出願は、米国成文法(U.S.C.)35§119(e)の下に、1998年9月9日に提出さ
れ、その全体が本明細書に参照として組み入れられる米国特許仮出願第60/099,
578号による優先権を請求するものである。
【0002】発明の分野 本発明は、必須細菌遺伝子(essential bacterial gene)、および抗菌物質の
同定におけるその使用に関する。
【0003】発明の背景 細菌感染は皮膚に生じることも、皮下に生じることも、全身性のこともある。
日和見細菌の感染は特に、免疫系の機能を低下させるAIDSまたは他の疾患に罹患
した患者で広がる。ヒトに対して病原性のある細菌の大部分はグラム陽性菌であ
る。例えば、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)は、一般に気道を感染
させ、大葉性肺炎のほか、髄膜炎、副鼻腔炎および他の感染症を引き起こすこと
がある。
【0004】発明の概要 本発明は、グラム陽性菌である肺炎連鎖球菌に存在し、本細菌および他の細菌
の生存に必須である2つの遺伝子の発見に基づく。便宜上、yphCおよびyqjKとい
うこれらの2つの遺伝子を本明細書では「必須」遺伝子と総称し、これらの遺伝
子がコードするポリペプチドを「必須」ポリペプチドと呼ぶが、これは機能的な
yphCまたはyqjK遺伝子を欠く肺炎連鎖球菌細胞は生存不能なためである。
【0005】 yphCおよびyqjK遺伝子は、病原性微生物における類似の遺伝子を同定するため
の有用な分子ツールである。これらの遺伝子がコードする必須ポリペプチドは、
必須ポリペプチドが発現される病原体の阻害因子である化合物を同定するための
有用な標的である。このような化合物は、必須蛋白質の活性を阻害することによ
り、または必須遺伝子の転写もしくは必須遺伝子から転写されたmRNAの翻訳を阻
害することにより、細菌の増殖を抑制する。
【0006】 したがって、本発明は、図1に示す配列番号:2で示されるアミノ酸配列を有す
る単離されたyphCポリペプチド、またはその保存的変異体(conservative varia
tion)を特徴とする。yphCをコードする単離核酸も本発明の範囲に含まれる。さ
らに、本発明には、(a)図1に示す配列番号:1の配列を有する単離核酸、また
はその縮重変異体、(b)TがUによって置換された、配列番号:1の配列を有する
単離核酸、またはその縮重変異体、(c)(a)および(b)に対して相補的な核
酸、ならびに(d)長さが少なくとも15塩基対であって、配列番号:2のポリペプ
チドをコードするゲノムDNAと、後述するストリンジェントな条件下でハイブリ
ダイズする(a)、(b)および(c)の断片、も含まれる。図1に示すyphCポリペ
プチドは、図2A〜2Bに示す完全長ポリペプチドの部分配列である。本発明は、図
2A〜2Bに示す配列番号:5で提示される配列を有する単離されたyphCポリペプチ
ド、またはその保存的変異体も特徴とする。完全長yphCをコードする単離核酸も
本発明の範囲に含まれる。さらに、本発明には、(a)図2A〜2Bに示す配列番号
:4の配列を有する単離核酸、またはその縮重変異体、(b)TがUによって置換さ
れた、配列番号:4の配列を有する単離核酸、またはその縮重変異体、ならびに
(c)(a)および(b)に対して相補的な核酸、も含まれる。
【0007】 yphCに関して上に述べた通り、本発明は、yqjKをコードする単離核酸を含む。
さらに、本発明には、(a)図3に示す配列番号:7の配列を有する単離核酸、ま
たはその縮重変異体、(b)TがUによって置換された、配列番号:7の配列を有す
る単離核酸、またはその縮重変異体、(c)(a)および(b)に対して相補的な
核酸、ならびに(d)長さが少なくとも15塩基対であって、配列番号:8のポリペ
プチドをコードするゲノムDNAと、後述するストリンジェントな条件下でハイブ
リダイズする(a)、(b)および(c)の断片、も含まれる。これらの配列の概
要を表1に示す。
【表1】 必須の核酸およびポリペプチド
【0008】 これらの必須遺伝子が同定されたことにより、同じ種属の他の菌株において必
須遺伝子のホモログ(homologue)を見いだすことが可能となり、他の生物体(
例、バチルス属(Bacillus sp.)、インフルエンザ菌(H. influenzae)、ヘリ
コバクター・ピロリ菌(H. pylori)および大腸菌(E. coli))において必須遺
伝子のオルソログ(orthologue)を見いだすことも可能となる。「ホモログ」と
は連鎖球菌属に含まれる構造的に類似した遺伝子のことであり、「オルソログ」
とは、例えば標準的な相補性アッセイで判定されるような、他の種属に由来する
機能的に等価な遺伝子のことである。このため、必須ポリペプチドは他の連鎖球
菌株における類似遺伝子を同定するためのモデルとしてだけでなく、他の種属(
例、他のグラム陽性菌、特にヒトに対して病原性のあるもの、およびその他の細
菌全般)における必須遺伝子のホモログおよびオルソログを同定するためにも用
いることができる。このようなオルソログは、例えば、従来の相補性アッセイで
同定可能である。さらに、または代替的に、このようなオルソログは、例えばft
p://ftp.cme.msu.edu/pub/RDP/SSU_rRNA/SSU/Prok.phyloに提示されているよう
な系統樹の同じ分枝に位置する細菌にも存在すると推定できるる。例えば、枯草
菌(B. subtilis)は、グラム陽性門のバチルス・乳酸桿菌・連鎖球菌亜門にお
ける枯草菌群の枯草菌亜群に属する。同様に、肺炎連鎖球菌(S. pneumoniae)
は、同じくグラム陽性門のバチルス・乳酸桿菌・連鎖球菌亜門に位置する連鎖球
菌の肺炎連鎖球菌亜群に属する。大腸菌(E. coli)は、紅色細菌におけるガン
マ亜群の腸内細菌および近縁種のエシェリキア・サルモネラ群に属する。同じ門
に属するその他の細菌(特に、同じ亜門、群または亜群に属する細菌)は、本明
細書に記載するyphCおよび/またはyqjK遺伝子のオルソログを含むと予想される
【0009】 連鎖球菌yphCおよびyqjK遺伝子のオルソログの例を表2にまとめた。表2に示さ
れている通り、連鎖球菌遺伝子yphCには、枯草菌に「B-yphC」と呼ばれるオルソ
ログがあり、大腸菌には「f503」としても知られる「yfgK」と呼ばれるオルソロ
グがある。また、連鎖球菌遺伝子yqjKにも、枯草菌に「B-yqjK」と呼ばれるオル
ソログがあり、大腸菌には「o311」としても知られる「elaC」と呼ばれるオルソ
ログがある。以下に説明する通り、必須遺伝子のオルソログは、それが見いださ
れた生物体において、それ自体が必須であることも必須でないこともある。
【0010】 以下の実験によって明らかになる通り、B-yphC、yfgKおよびB-yqjKオルソログ
は、それらが見いだされた細菌の生存に必須である。したがって、これらの必須
オルソログ遺伝子およびこれらのオルソログによってコードされるポリペプチド
は、宿主生物体の増殖を阻害する化合物(例えば、必須蛋白質の活性を阻害する
、または必須遺伝子の転写を阻害する化合物)を同定するために用いることがで
きる。
【表2】 yphCおよびyqjKのオルソログ
【0011】 本明細書で説明するyphCポリペプチドおよび遺伝子には、本明細書の図1およ
び図2A〜2Bに提示されるポリペプチドおよび遺伝子のほか、図1および図2A〜2B
に提示される配列のアイソザイム、変異体および保存的変異体が含まれる。本発
明には、yphCおよびyqjKの種々のアイソザイムが含まれる。例えば、本発明には
、その結果生じる必須ポリペプチドがある必須ポリペプチドの生物的機能を保持
する限り、1つまたは複数の点変異、欠失もしくはプロモーター変異体を含む点
を除いて必須ポリペプチドをコードする遺伝子が含まれる。
【0012】 yphCポリペプチドは既知のGTPアーゼの特徴を備えている。yphCポリペプチド
はGTPアーゼ・ドメインと予想される2つのドメインを含むことがBLAST分析を用
いて示されており、さらにyphCはインビトロでGTPアーゼ活性を示す。このGTPア
ーゼ活性はyphCポリペプチドの必須性と関連がある。変異体がGTPとの結合能を
もたないようにyphCの各GTPアーゼ・ドメインに点変異を作製すると、このよう
な変異体はyphCを欠く細菌株をもはや補完することができない。yqjKポリペプチ
ドは既知のスルファターゼの構造的特徴を備えている。したがって、図1および
図2A〜2Bに提示されるyphCおよびyqjK配列の種々のアイソザイム、変異体および
保存的変異体は、例えばGTPアーゼもしくはスルファターゼ活性のアッセイ、ま
たは従来の相補性アッセイで明らかになる通り、yphCまたはyqjKの生物的機能を
保持している。適したGTPアーゼおよびスルファターゼ活性アッセイは当技術分
野で周知である(例えば、本明細書に参照として組み入れられるBollagら、Meth
. Enzymol. 255:161(1995)およびBarbeyron,ら、Microbiol. 141:2897(199
5)を参照されたい)。yphCのGTPアーゼ活性は、従来のマラカイトグリーン・リ
ン放出アッセイ(例えば、Lanzettaら、1979、Analytical Biochemistry 100:9
5〜97を参照)を用いて解析できる。このようなアッセイ法にKClを含めることに
より、GTPアーゼ活性に対する刺激がほぼ70倍に高められるため、これによってG
TP活性を検出するための高感度アッセイ法が得られる。
【0013】 また、yphC遺伝子という用語には、図1および図2A〜2B(配列番号:1および4
)に示される核酸配列の縮重変異体も含まれる。核酸配列の縮重変異体が存在す
るのはアミノ酸コードの縮重性のためであり、このため、配列番号:1および4に
示される配列とは異なるにもかかわらずyphCポリペプチドをコードする配列は、
本発明の範囲に含まれる。
【0014】 同様に、アミノ酸構造の類似性により、そのポリペプチドの機能を保持しなが
ら(例えば、従来の相補性アッセイによる判定で)、yphCポリペプチドのアミノ
酸配列中に保存的変異(本明細書に記載した通りのもの)を作製することができ
る。別の細菌株で同定されたその他のyphCポリペプチドおよび遺伝子が、図1お
よび図2A〜2B(配列番号:1〜6)に示される特定のyphCポリペプチドおよび核酸
の、このような保存的変異体または縮重変異体であってもよい。yphCポリペプチ
ドおよび遺伝子のそれぞれ配列番号:2および1、またはそれぞれ配列番号:5お
よび4との配列同一性は少なくとも80%、例えば90%である。yphC配列と配列番
号:1、2、4および5によって示される配列との配列同一性にかかわらず、本発明
に含まれるyphC遺伝子およびポリペプチドは、好ましくは、標準的な相補性アッ
セイにおいて(例えば、温度感受性変異体での)yphC機能の喪失を補完しうる。
【0015】 別の細菌株、特に病原性グラム陽性菌株から同定およびクローニングされる別
のyphC遺伝子を用いて、本明細書に記載する種々の方法に用いるため、例えば抗
菌物質を同定するためのyphCポリペプチドを作製することもできる。同様に、yq
jKという用語には、図3に示された配列のアイソザイム、変異体および保存的変
異体が含まれる。種々の態様において、本明細書に記載するアッセイで用いる必
須ポリペプチドは、非病原性または病原性のグラム陽性菌に由来する。例えば、
本ポリペプチドは、肺炎連鎖球菌、化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)、
ストレプトコッカス・アガラクティエ(Streptococcus agalactiae)、ストレプ
トコッカス・エンドカルディティス(Streptococcus endocarditis)、ストレプ
トコッカス・フェシウム(Streptococcus faecium)、ストレプトコッカス・サ
ンガス(Streptococcus sangus)、緑色連鎖球菌(Streptococcus viridans)お
よび溶血連鎖球菌(Streptococcus hemolyticus)などの連鎖球菌属の菌株に由
来するものであってよい。yphCおよびyqjK遺伝子のオルソログは、大腸菌および
枯草菌などの広範囲の細菌に由来するものであってよい。
【0016】 生存に必須なものとして本明細書に記載するyphCおよびyqjK遺伝子が同定され
れば、これらの必須遺伝子、ならびにこれらの必須遺伝子によってコードされる
ポリペプチドおよびそれらの必須ホモログおよびオルソログを、抗菌物質を同定
するために用いることができる。このような抗菌物質は、必須ポリペプチドが関
与する代謝経路の阻害を検出するための高スループットアッセイを用いて容易に
同定することができる。この阻害は、その必須ポリペプチドまたはその経路にお
ける他の必須ポリペプチドと相互作用する(例、直接的または間接的に結合する
)低分子によって引き起こされるものでよい。
【0017】 抗菌化合物を同定するための方法の例には、必須ポリペプチドと特異的に相互
作用する(例、直接的または間接的に結合する)小分子に関するスクリーニング
が含まれる。例えば、参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,585,27
7号および第5,679,582号に記載されている通り、当技術分野では種々の適した相
互作用および結合アッセイが知られている。例えば、種々の従来のアッセイ法で
は、小分子が必須ポリペプチドをアンフォールディング状態ではなくフォールデ
ィング状態へと安定化させる能力を測定することにより、被験化合物を必須ポリ
ペプチドとの相互作用能に関してアッセイすることができる。より具体的には、
被験化合物によって付与されるアンフォールディングに対する保護の度合いを測
定できる。必須ポリペプチドと高い親和性で結合する被験化合物は、例えば、そ
のポリペプチドが変性する温度を大きく変化させる。必須ポリペプチドをフォー
ルディング状態へと安定化させる被験化合物を、標準的な感受性アッセイにおい
て抗菌活性に関してさらに検討することも可能である。
【0018】 抗菌物質を同定するための方法のもう1つの例には、本明細書に記載される必
須ポリペプチドの1つとの被験化合物の結合能を測定することが含まれる。結合
は、被験化合物の必須ポリペプチドとの結合によって必須ポリペプチドの電気泳
動移動度が変化するような、従来のキャピラリー電気泳動アッセイにおいて解析
できる。
【0019】 必須ポリペプチドの阻害因子を同定するためのもう1つの適した方法には、必
須ポリペプチドの生化学活性を同定し、これに続いて、例えば高スループットス
クリーニング法を用いてその活性の低分子阻害因子に関するスクリーニングを行
うことが含まれる。yphCポリペプチドは既知のGTPアーゼの構造的特徴を有し、
インビトロでGTPアーゼ活性を示す。したがって、このポリペプチドの阻害因子
は、GTPアーゼ活性に関する従来のアッセイ法において、yphCのGTPアーゼ活性に
対するその阻害能によって同定可能である。適したアッセイ法は記載されている
(例えば、Gollagら、Meth. Enzymol. 255:161170、1995、これは参照として本
明細書に組み入れられる)。適したアッセイ法の詳細な例は以下で説明する。
【0020】 yqjKポリペプチドはスルファターゼの構造的特徴を備えており、スルファター
ゼとして機能すると考えられる。したがって、yqjKポリペプチドの阻害因子は、
被験化合物がyqjKのスルファターゼ活性を阻害する能力に関するアッセイ法によ
って同定しうる。適したアッセイ法の一例は、バーベイロン(Barbeyron)ら、M
icrobiol. 141:2897〜2904、1995により記載されており、これは参照として本
明細書に組み入れられる。
【0021】 本発明には、以下を含む、抗菌物質を同定するための方法も含まれる:(a)
必須ポリペプチドまたはそのホモログもしくはオルソログと被験化合物との接触
、(b)被験化合物のポリペプチドまたはホモログもしくはオルソログとの結合
の検出、および選択的には(c)被験化合物が抗菌物質であることの指標として
の、ポリペプチドまたはホモログもしくはオルソログと結合する被験化合物の非
存在下で培養した細菌の増殖と比べて、ポリペプチドまたはホモログもしくはオ
ルソログと結合する被験化合物が細菌の増殖を阻害したか否かの判定。
【0022】 もう1つの適したアッセイ法では、必須ポリペプチドの除去に対してアップレ
ギュレーションまたはダウンレギュレーションによって応答するプロモーターを
、レポーター遺伝子と結合させる。必須蛋白質の除去によってアップレギュレー
トまたはダウンレギュレートされるプロモーターを同定するためには、必須蛋白
質をコードする遺伝子をゲノムから欠失させ、必須蛋白質をコードする配列が調
節性(regulatable)プロモーターと機能的に結合している遺伝子の変異体によ
って置換する。この調節性遺伝子構築物を含む細胞は、調節性プロモーターを含
む遺伝子構築物から産生される必須ポリペプチドによって生存し続ける。しかし
、調節性プロモーターは、増殖阻害が生じる程度まで必須ポリペプチドの発現レ
ベルを低下させることが可能である。このような増殖制限条件下にある細菌から
調製された全RNAを、野生型細胞のRNAと比較する。標準的な転写プロファイル解
析法を用いて、制限的条件下で発現された時に量が多いまたは少ない(すなわち
アップレギュレートまたはダウンレギュレートされた)mRNA種を同定することが
できる。例えばジェンバンク(GenBank)などから得られるゲノム配列情報を用
いることにより、同定されたRNA種の発現を司るプロモーターを同定することが
できる。このようなプロモーターは、必須ポリペプチドの除去によってアップレ
ギュレートまたはダウンレギュレートされる。
【0023】 必須ポリペプチドの除去によってアップレギュレートまたはダウンレギュレー
トされるプロモーターが同定されたなら、そのプロモーターをレポーター遺伝子
(例、β-ガラクトシダーゼ、gusまたは緑色蛍光蛋白質(GFP))と機能的に結
合させる。次に、このレポーター遺伝子構築物を含む細菌株を被験化合物に曝露
させる。必須ポリペプチド(または必須ポリペプチドが関与する必須経路中のそ
の他のポリペプチド)を阻害する化合物は、必須ポリペプチドの枯渇を引き起こ
し、それによりレポーター遺伝子のアップレギュレーションまたはダウンレギュ
レーションをもたらす。このようなアッセイ法で必須ポリペプチドを阻害する化
合物は抗菌性をもつと考えられ、必要に応じて、標準的な感受性アッセイでさら
に検討を加えることができる。
【0024】 抗菌化合物を同定するための1つの関連した方法では、必須ポリペプチドと特
異的に結合するペプチドまたは核酸リガンドを単離するために必須ポリペプチド
を用いる。続いて、これらのペプチドまたは核酸リガンドを、必須ポリペプチド
と相互作用する小分子を同定するための置換スクリーニングに用いる。このよう
なアッセイ法は本質的には上記の通りに実施しうる。
【0025】 さらにもう1つの方法では、被験化合物と必須ポリペプチドとの相互作用(す
なわち、直接的または間接的な結合)を、(例えば、酵母または哺乳動物細胞に
おける)蛋白質/蛋白質相互作用を検出するための従来のツーハイブリッドシス
テムにおいて検出することができる。必須ポリペプチドと相互作用することが明
らかになった被験化合物は、従来の感受性アッセイで抗菌活性に関してさらに検
討しうる。一般に、このようなツーハイブリッド法において、(a)必須ポリペ
プチドはポリペプチドを(i)転写因子の転写活性化ドメインまたは(ii)転写
因子のDNA結合ドメインと融合させたものを含む融合蛋白質として提供され、(b
)被験ポリペプチドは被験ポリペプチドを(i)転写因子の転写活性化ドメイン
または(ii)転写因子のDNA結合ドメインと融合させたものを含む融合蛋白質と
して提供され、(c)被験ポリペプチドのポリペプチドとの結合は転写因子の再
構成として検出される。必須ポリペプチドのホモログおよびオルソログを同様の
方法に用いることもできる。転写因子の再構成は、例えば、再構成された転写因
子のDNA結合ドメインと結合したDNA配列と機能的に結合している遺伝子の転写を
検出することによって検出可能である(例えば、White、1996、Proc. Natl. Aca
d. Sci. 93:10001〜10003、およびこの論文で引用されている参考文献、ならび
にVidalら、1996、Proc. Natl. Acad. Sci. 93:10315〜10320を参照されたい)
【0026】 1つの代替的な方法では、必須ポリペプチドのインビボでの発現を低下させる
化合物を同定するために、必須ポリペプチドをコードする単離核酸分子を用いる
。このような化合物は抗菌物質として用いうる。このような化合物を同定するに
は、必須ポリペプチドを発現する細胞を培養し、被験化合物(または被験化合物
の混合物)に曝露させ、被験化合物に曝露していない点のみが異なる細胞におけ
る必須ポリペプチドの発現または活性のレベルと、その発現または活性のレベル
を比較する。本発明のこの局面には、多くの標準的な遺伝子発現の定量的アッセ
イ法を用いうる。
【0027】 必須ポリペプチド(または相同もしくはオルソロガスな配列)の発現を調節す
る化合物を同定するために、本明細書で説明する通りに、必須ポリペプチド(ま
たはホモログもしくはオルソログ)を発現する細胞の培地に対して、被験化合物
を種々の濃度で添加することが可能である。このような被験化合物には、小分子
(典型的には、化学的実体が蛋白質でなく、多糖類でないもの)、ポリペプチド
および核酸が含まれうる。続いて、必須ポリペプチドの発現を、例えば、本発明
の核酸分子をプローブとして用いるノーザンブロットPCR分析またはRNアーゼ保
護解析によって測定する。被験分子の存在下における発現レベルをその非存在下
における発現レベルと比較することにより、その被験分子が必須ポリペプチドの
発現を変化させるか否かが示されると考えられる。yphCおよびyqjKポリペプチド
は生存のために必須であるため、必須ポリペプチドまたはそのホモログもしくは
オルソログの発現および/または機能を阻害する被験化合物は、このようなポリ
ペプチドを発現する細胞の増殖阻害または死滅をもたらすと考えられる。
【0028】 必須遺伝子によってコードされるポリペプチドを、これらのポリペプチドと相
互作用する被験化合物を同定するために、別々またはともに用いることもできる
。続いて、これらのポリペプチドと相互作用する被験化合物を、従来のアッセイ
法で、細菌増殖の阻害能に関して容易に検討することができる。必須ポリペプチ
ドと相互作用する被験化合物は、必須ポリペプチドと相互作用しない化合物とは
異なり、抗菌物質の候補となる。本明細書で説明する通り、被験化合物と必須ポ
リペプチドとの相互作用を解析するには、当技術分野で知られた種々の方法の任
意のものを用いることができる。
【0029】 典型的には、被験化合物は小型の有機分子であると考えられる。または、被験
化合物は、被験ポリペプチド(例、ランダムもしくは所定のアミノ酸配列を有す
るポリペプチド、または天然もしくは合成ポリペプチド)、DNAもしくはRNA分子
などの核酸でもよい。被験化合物は天然の化合物でもよく、必要に応じて、合成
的に生産されたものでもよい。必須ポリペプチドと結合する化合物を同定するた
めに、合成ライブラリー、化学物質ライブラリーなどのスクリーニングを行うこ
とができる。より一般的には、化合物のポリペプチド、ホモログまたはオルソロ
グとの結合は、インビトロでもインビボでも検出可能である。必要に応じて、本
発明のポリペプチドの発現を調節する化合物を同定するための上記の方法を、例
えば、必須ポリペプチドと結合する抗体を用いるウェスタンブロット解析の実施
による細胞内で発現される必須ポリペプチドのレベルの測定と組み合わせること
も可能である。
【0030】 被験化合物の由来にかかわらず、本明細書に記載される必須ポリペプチドは、
必須蛋白質の活性、または必須遺伝子の転写もしくは必須遺伝子から転写された
mRNAの翻訳を阻害する化合物を同定するために用いうる。これらの抗菌物質は、
広範囲の病原性または非病原性細菌株を抑制するために用いることができる。
【0031】 その他の態様において、本発明は、薬学的に許容される賦形剤と本明細書に記
載される方法を用いて同定される抗菌物質とを含む薬学的製剤を含む。特に、本
発明は、病原性細菌株(例えば、病原性連鎖球菌株などの病原性グラム陽性菌株
)の増殖阻害または死滅をもたらす抗菌物質を含む薬学的製剤を含む。このよう
な薬学的製剤は、生物体における細菌感染(例、連鎖球菌の感染)を治療する方
法に用いうる。このような方法は、薬学的製剤の治療的有効量、すなわち細菌感
染の徴候および/または症状を改善するのに十分な量を、生物体に投与すること
を含む。特に、このような薬学的製剤は、ヒトおよび家畜(例、ウシ、ブタ、イ
ヌおよびネコ)などの哺乳動物ならびに植物における細菌感染の治療に用いうる
。このような抗菌物質のヒトでの有効性は、当技術分野で周知の動物モデル系(
例えば、連鎖球菌性肺炎などのマウスおよびウサギでのモデル系)において評価
することができる。
【0032】 細菌の細胞膜を透過しうる種々の親和性試薬(すなわち、抗体および抗体断片
)は、本発明の方法を実施する上で有用である。例えば、yphCポリペプチドまた
はyqjKポリペプチドと特異的に結合するポリクローナル抗体およびモノクローナ
ル抗体により、種々の細菌株(またはその抽出物)における必須ポリペプチドの
検出が容易となる。これらの抗体は、(例えば、本明細書に記載されるアッセイ
法を用いて)被験化合物の必須ポリペプチドとの結合を検出するためにも有用で
ある。さらに、必須ポリペプチドと結合するモノクローナル抗体は、それ自体を
抗菌物質として用いることが可能である。
【0033】 本発明はさらに、変異株の大きな群から条件致死変異を有する菌株を同定する
方法も特徴とする。一般に遺伝子およびその対応する遺伝子産物はその後に同定
されるが、菌株自体をスクリーニングおよび診断アッセイに用いることもできる
。同定された遺伝子および遺伝子産物の作用機序により、抗菌治療薬を設計する
ための論理的基盤が得られる。これらの抗菌物質は、野生株における遺伝子産物
の作用を抑制するため、そのタイプまたは類似した感受性をもつタイプの感染に
罹患した対象を、薬学的有効量の薬剤を対象に投与することによって治療する上
で有用である。遺伝子産物の作用の抑制には、酵素または受容体の活性部位に対
する遺伝子産物の競合阻害、非競合阻害、遺伝子産物を要する細胞内カスケード
経路の破壊、翻訳後プロセシングの前または後での遺伝子産物自体との結合、お
よび遺伝子産物模倣物としての作用による活性のダウンレギュレーションが含ま
れる。治療薬には、遺伝子産物に対して産生されたモノクローナル抗体が含まれ
る。
【0034】 さらに、必要に応じて、ある特定の細胞(例、同じ属または類似種の病原性細
菌)における遺伝子配列の存在、および宿主細胞における配列の欠如または相違
を判定することもできる。宿主中に存在しない遺伝子または遺伝子産物を標的と
する治療薬には、副作用の少なさ、および必要な全投与量の少なさを含め、利点
がいくつかある。
【0035】 核酸には、RNA、ならびにゲノムDNAおよび合成(例えば、化学合成された)DN
Aを含む、DNAの両方が含まれる。核酸は二本鎖でも一本鎖でもよい。一本鎖の場
合、核酸はセンス鎖でもアンチセンス鎖でもよい。核酸は、オリゴヌクレオチド
類似体または誘導体(例えば、イノシンまたはホスホロチオエートヌクレオチド
)を用いて合成可能である。このような核酸は、例えば、塩基対形成能が変化し
た、またはヌクレアーゼに対する抵抗性が高まった核酸を調製するために用いる
ことができる。
【0036】 単離核酸とは、それが由来する生物体の天然のゲノム中で直に隣接するコード
配列(一方は5'端で、もう一方は3'端で)のいずれとも直に隣接していないDNA
またはRNAのことである。したがって、1つの態様において、単離された核酸分子
は、コード配列と直に隣接する5'非コード(例、プロモーター)配列の一部また
は全体を含む。このため、この用語には、例えばベクター中、自律複製プラスミ
ドもしくはウイルス中または原核生物もしくは真核生物のゲノムDNA中に組み入
れられるか、またはその他の配列とは独立して分離した分子(例えば、PCRまた
は制限酵素処理によって生じたゲノムDNA断片)として存在する組換えDNAが含ま
れる。また、別のポリペプチド配列をコードする雑種遺伝子の一部である組換え
DNAも、これに含まれる。「単離された」という用語は、細胞材料、ウイルス材
料、または培地(組換えDNA技術を用いて作製する場合)もしくは化学的前駆物
質もしくは他の化学物質(化学合成する場合)を実質的に含まない核酸またはポ
リペプチドを意味しうる。さらに、単離核酸断片とは、断片として天然には生じ
ず、天然の状態では見いだされないと思われる核酸断片のことである。
【0037】 必須ポリペプチドと実質的に同一な核酸分子は、図1〜3に示す通りの、表1に
列挙された各配列番号によって表わされるyphCまたはyqjKのヌクレオチド配列と
の同一性が少なくとも80%(例えば、少なくとも85%)である。核酸を比較する
ための基準となる核酸配列の長さは一般に少なくとも40ヌクレオチドであり、例
えば少なくとも60ヌクレオチドまたはそれ以上のヌクレオチド長である。
【0038】 2つのアミノ酸配列または2つの核酸配列の同一性を決定するには、配列が比較
のために最適化されるように整列させる(例えば、第2のアミノ酸または核酸配
列との最適な整列化が得られるように、第1のアミノ酸または核酸にギャップを
挿入しうる)。続いて対応するアミノ酸の位置またはヌクレオチドの位置で、ア
ミノ酸残基またはヌクレオチドを比較する。第1の配列のある位置を、第2の配列
の対応する位置と同じアミノ酸残基またはヌクレオチドが占めている場合には、
2つの分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性は、2つの配列が共有
する同一な位置の数の関数である(すなわち、同一性=(同一な位置の数/重複
する位置の総数)×100)。2つの配列の長さは同一であることが好ましい。
【0039】 2つの配列間の同一性または相同性は、数学的アルゴリズムを用いて決定しう
る。2つの配列の比較に用いられる適した数学的アルゴリズムの一つに、カーリ
ン(Karlin)およびアルトシュル(Altschul)(1993)Proc. Nat'l Acad. Sci.
USA 90:5873〜5877で改変された、カーリンおよびアルトシュル(1990)Proc.
Nat'l Acad. Sci. USA 87:2264〜2268のアルゴリズムがある。この種のアルゴ
リズムは、アルトシュルら(1990)J. Mol. Biol. 215:403〜410のNBLASTおよ
びXBLASTプログラムに組み込まれている。本発明のyphCまたはyqjK核酸分子と相
同なヌクレオチド配列を得るには、NBLASTプラグラムをスコア=100、ワード長
(wordlength)=12の条件で用いてBLASTヌクレオチド検索を行うとよい。本発
明のyphCまたはyqjK蛋白質分子と相同なアミノ酸配列を得るには、XBLASTプラグ
ラムをスコア=50、ワード長=3の条件で用いてBLASTヌクレオチド検索を行うと
よい。比較のためのギャップが挿入されたアラインメントを得るためには、アル
トシュル(Altschul)ら(1997)Nucleic Acids Res. 25:3389〜3402に記載さ
れたGapped BLASTを用いるとよい。BLASTおよびGapped BLASTプログラムを用い
る際には、それぞれのプログラム(例えば、XBLASTおよびNBLAST)の初期設定パ
ラメーターを用いうる。http://www.ncbi.nlm.nih.gov.を参照されたい。配列の
比較のために用いられる数学的アルゴリズムのもう1つの例は、マイヤーズ(Mye
rs)およびミラー(Miller)、CABIOS(1989)のアルゴリズムである。この種の
アルゴリズムは、GCG配列整列化ソフトウエアパッケージの一部であるALIGNプロ
グラム(バージョン2.0)に組み込まれている。ALIGNプログラムをアミノ酸配列
の比較のために用いる場合には、PAM120荷重残基表(weight residue table)、
ギャップ長罰則条件(gap length penalty)12およびギャップ罰則条件(gap pe
nalty)4を用いるとよい。
【0040】 2つの配列間の同一性は、ギャップを許容する場合、許容しない場合とも、上
記の技法を用いて決定しうる。同一性の算出に際しては、正確に一致するものの
みを算定する。
【0041】 本発明を実施する上で有用な必須ポリペプチドには、組換えポリペプチドおよ
び天然ポリペプチドが非制限的に含まれる。天然型のアミノ酸配列が変更または
除去された諸形態の必須ポリペプチドをコードする核酸配列も本発明において有
用である。好ましい核酸は、通常の生理的条件下で可溶性であるポリペプチドを
コードする。必須ポリペプチドの一部を、融合蛋白質を作製するための無関係な
ポリペプチド(例、マーカーポリペプチドまたは融合パートナー)と融合させた
融合蛋白質をコードする核酸も、本発明の範囲に含まれる。例えば、ポリペプチ
ドを、細菌で発現されるポリペプチドの精製を容易にするためにヘキサ-ヒスチ
ジン・タグと融合させること、または真核細胞内で発現されるポリペプチドの精
製を容易にするためにヘマグルチニン・タグと融合させることが可能である。ま
た、本発明には、例えば、第1の部分が必須ポリペプチドを含んでいて、第2の部
分が免疫グロブリン定常(Fc)領域または検出マーカーを含む、第1の部分およ
び第2の部分を含む単離されたポリペプチド(およびこれらのポリペプチドをコ
ードする核酸)も含まれる。
【0042】 融合パートナーとしては、例えば分泌配列のような、分泌を促進するポリペプ
チドが可能である。このような融合ポリペプチドは一般にプレ蛋白質と呼ばれる
。この分泌配列は宿主細胞によって分解されて成熟型蛋白質を生じうる。不活性
型蛋白質が産生されるように必須ポリペプチドを何らかのポリペプチドと融合さ
せたものをコードする核酸配列も本発明の範囲に含まれる。プレ蛋白質は、不活
性化配列の除去によって活性型へと変換されうる。
【0043】 本発明には、例えば、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、
配列番号:1または7に示されるヌクレオチド配列もしくはその相補物の全体また
は一部とハイブリダイズする核酸も含まれる。ハイブリダイズする核酸のハイブ
リダイズ部分の長さは、典型的には少なくとも15(例えば、20、25、30または50
)ヌクレオチドである。ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズ部分の、必須
ポリペプチドをコードする核酸またはその相補物との配列同一性は少なくとも80
%であり、例えば、少なくとも95%または少なくとも98%である。本明細書に記
載されるタイプのハイブリダイズする核酸は、例えば、クローニング用プローブ
、プライマー(例、PCRプライマー)または診断用プローブとして用いうる。配
列番号:1および7に示されたヌクレオチド配列とハイブリダイズする核酸は、「
アンチセンス・オリゴヌクレオチド」とみなされる。
【0044】 また、本明細書に記載される必須核酸を含む、形質転換宿主細胞などの種々の
組換え細胞も本発明の一部である。形質転換細胞とは、組換えDNA技術を用いて
、必須ポリペプチドをコードする核酸が内部に(またはその前駆細胞の内部に)
導入された細胞のことである。これには、連鎖球菌、バチルス属などの細菌をは
じめ、原核細胞および真核細胞の両方が含まれる。
【0045】 また、例えば発現ベクターのように、本発明の核酸が発現を可能にする転写お
よび/または翻訳配列と機能的に結合されたものを含む遺伝子構築物(例、ベク
ターおよびプラスミド)も、本発明の範囲に含まれる。選択された核酸、例えば
必須ポリペプチドをコードするDNA分子は、それが、その配列の転写および/ま
たは配列を指向するプロモーターなどの1つまたは複数の配列要素と、その配列
要素が選択された核酸の転写および/または翻訳を制御しうるように近接して位
置する場合に、転写および/または翻訳配列と「機能的に結合している」という
【0046】 本発明は、必須遺伝子yphCおよびyqjKによってコードされる精製または単離さ
れたポリペプチドも特徴とする。「蛋白質」または「ポリペプチド」という用語
はいずれも、その長さまたは翻訳後修飾(例えば、グリコシル化またはリン酸化
)とは無関係に、任意のアミノ酸の連鎖を意味する。したがって、yphCポリペプ
チドおよびyqjKポリペプチドという用語には、それぞれ完全長で天然型の単離さ
れたyphCおよびyqjK蛋白質のほかに、完全長の天然型蛋白質または天然型もしく
は合成ポリペプチドの一部(yphCポリペプチドの一部が図1に示す配列の一部を
含むという条件付きで)に対応する組換え的または合成的に生産されたポリペプ
チドが含まれる。
【0047】 精製または単離された化合物とは、重量にして少なくとも60%が必須ポリペプ
チドまたは抗体などの関心対象の化合物である組成物のことである。好ましくは
、調製物は重量にして少なくとも75%(例えば、少なくとも90%、95%、または
さらには99%)が関心対象の化合物である。純度は、カラムクロマトグラフィー
、ポリアクリルアミドゲル電気泳動またはHPLC分析などの任意の適した標準的方
法によって測定しうる。
【0048】 好ましい必須ポリペプチドには、例えば図1、図2A〜2Bおよび図3に示される配
列の全体または一部を含む(yphCポリペプチドの一部が図1に示す配列の一部を
含むという条件付きで)、天然型の必須ポリペプチドの全体または一部と実質的
に同一な配列が含まれる。本明細書に記載される必須ポリペプチドと「実質的に
同一な」ポリペプチドは、(本明細書で説明した通りの計測によって)表1に列
挙した各配列番号によって表される必須ポリペプチドのアミノ酸配列との同一性
が少なくとも80%であるアミノ酸配列を有する。新たなポリペプチドの同一性が
これより高くてもよく、例えば85%、90%、95%またはさらに高くてもよい。比
較のための基準となる必須ポリペプチド配列の長さは一般に少なくとも16アミノ
酸であり、例えば少なくとも20または25アミノ酸である。
【0049】 基準配列との同一性が100%未満であるポリペプチド配列の場合、同一でない
位置は、必然的にというわけではないが、基準配列の保存的置換物であることが
好ましい。保存的置換には、典型的には以下の各群の内部での置換が含まれる:
グリシンおよびアラニン;バリン、イソロイシンおよびロイシン;アスパラギン
酸およびグルタミン酸;アスパラギンおよびグルタミン;セリンおよびトレオニ
ン;リジンおよびアルギニン;ならびにフェニルアラニンおよびチロシン。
【0050】 特定のポリペプチドが、所定の長さの基準ポリペプチドと一定の同一性を示す
という場合、その同一性は基準ポリペプチドからみた相対的な値である。したが
って、長さ100アミノ酸の基準ポリペプチドとの同一性が50%であるポリペプチ
ドは、基準ポリペプチドの長さ50アミノ酸の部分と完全に同一な50アミノ酸のポ
リペプチドでありうる。または、それは、その全長にわたる基準ポリペプチドと
の同一性が50%である長さ100アミノ酸のポリペプチドであってもよい。当然な
がら、他のポリペプチドも同じ基準を満たしうると考えられる。
【0051】 本発明は、必須ポリペプチドと特異的に結合する精製または単離された抗体も
特徴とする。抗体は、それが必須ポリペプチドなどの特定の抗原とは結合するが
、必須ポリペプチドを天然の状態で含む生物試料などの試料中の他の分子を実質
的に認識せず、それらと結合しない場合に、その抗原と「特異的に結合する」と
いう。
【0052】 もう1つの局面において、本発明は、試料中の必須ポリペプチドを検出するた
めの方法を特徴とする。この方法は以下を含む:必須ポリペプチドを含む疑いの
ある試料の入手、抗体と必須ポリペプチドとの複合体の形成が可能な条件下での
、試料と必須ポリペプチドと特異的に結合する抗体との接触、および試料中の必
須ポリペプチドの存在の指標としての複合体(あれば)の検出。
【0053】 必須遺伝子と関連する遺伝子を得る方法も本発明に含まれる。このような方法
は、必須核酸またはそのホモログの全体または一部をコードする単離された核酸
を含む標識プローブの入手、プローブがライブラリー中の核酸断片とハイブリダ
イズし、それによって核酸二本鎖の形成が可能となる条件下での、標識プローブ
による核酸断片ライブラリーのスクリーニング、標識された二本鎖(あれば)の
単離、および必須遺伝子と関連する遺伝子を得るための標識された二本鎖中の核
酸断片からの完全長遺伝子配列の調製、を含む。または、上記の通りに、配列決
定がなされた種々の細菌ゲノムのBLAST検索を行うことによって、このような関
連遺伝子を同定することもできる。
【0054】 本発明により、いくつかの利点がもたらされる。例えば、抗菌物質を同定する
ための方法を、多数の抗菌物質候補の高スループット・スクリーニング用に設定
することが可能である。本明細書で開示される必須遺伝子は高度に保存的である
と考えられているため、これらの遺伝子またはそれらの遺伝子産物を標的とする
抗菌物質は広範囲の細菌に対して抗菌活性を示すと予想される。
【0055】 別に定義する場合を除き、本明細書で用いるすべての技術的および科学的用語
は、本発明が属する当業者が一般的に理解しているものと同じ意味を持つ。本発
明の実施または検討のために本明細書に記載したものと同様または同等の方法お
よび材料を用いることができるが、好ましい方法および材料は以下に説明するも
のである。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許およびその他
の参考文献は、それらの全体が参照として本明細書に組み入れられる。矛盾が生
じた場合には、定義を含め、本明細書が統制する。さらに、材料、方法および実
施例は例示のためのものであって本発明の範囲を制限するものではなく、それは
特許請求の範囲によって規定される。
【0056】 本発明のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲
から明らかになると思われる。
【0057】詳細な説明 肺炎連鎖球菌における少なくとも2つの遺伝子が、これらの細菌の生存に必須
であることが明らかになった。これらのいわゆる必須遺伝子であるyphCおよびyq
jKは、本明細書において必須ポリペプチドと呼ばれるものをコードする。yphCお
よびyqjK遺伝子は、バチルス属の病原性菌株などの病原性微生物における類似の
遺伝子を同定するための有用な分子ツールである。必須ポリペプチドは、必須ポ
リペプチドが発現される病原体の阻害因子である化合物を同定するための有用な
標的である。
【0058】連鎖球菌の必須遺伝子の同定 以下に説明する実施例で示される通り、yphCおよびyqjK遺伝子はいずれも肺炎
連鎖球菌の生存に必須である。肺炎連鎖球菌はATCCから入手可能である。一般に
、および以下に説明する実施例に関して、必須遺伝子は、肺炎連鎖球菌などの細
菌において関心対象の遺伝子の標的欠失物を作製することによって同定しうる。
これらの関心対象の遺伝子は以下のようにして選択した。標準的な分子生物学の
技法を用い、M13ファージまたはプラスミドDNAをベクターとして用いて、肺炎連
鎖球菌ゲノムの断片を含むライブラリーを作製した。ベクターとハイブリダイズ
するプライマーを用いて、このライブラリー中に含まれるオープンリーディング
フレーム(ORF)のランダムシークエンシングを行った。標的欠失のために選択
した関心対象の遺伝子は、配列とジェンバンク(GenBank)のヌクレオチド配列
データベースとの比較によって判定される以下の4つの基準を満たした:(i)OR
Fは既知の機能をもたない、(ii)OREには枯草菌にオルソログがある、(iii)O
REは他の細菌でも保存されており、p<10−10である、および(iv)OREには真
核細胞のオルソログはなく、p>10−3である。連鎖球菌遺伝子yphCおよびyqjK
はこれらの基準のそれぞれを満たし、このことから、yphCもしくはyqjK遺伝子ま
たは遺伝子産物を阻害する化合物は広域抗菌活性を有すると思われることが示唆
された。
【0059】 yphCおよびyqjK遺伝子のそれぞれを、抗生物質エリスロマイシンに対する耐性
を付与する核酸配列(「erm」遺伝子)によって置換した。この特定の抗生物質
耐性マーカーの代わりに、他の遺伝子マーカーを用いることも可能である。図8
に示す通り、連鎖球菌ゲノムDNA中に標的欠失を作製するためにはポリメラーゼ
連鎖反応(PCR)を用いた。関心対象の遺伝子の標的欠失を行うのに必要なDNA分
子を作製するために、複数回のPCR反応を用いた。まず、プライマー5および6を
用いて、枯草菌由来のpIL252(Bacillus Genetic Stock Center、Columbus、OH
から入手可能)からerm遺伝子を増幅した。プライマー5は、erm遺伝子のプロモ
ーター領域と同一であって配列Aに対して相補的な21ヌクレオチドからなる。プ
ライマー5は、5' GTG TTC GTG CTG ACT TGC ACC 3'(配列番号:22)の配列を有
する。プライマー6は、erm遺伝子の3'末端に対して相補的な21ヌクレオチドから
なる。プライマー6は、5'GAA TTA TTT CCT CCC GTT AAA 3'(配列番号:23)の
配列を有する。erm遺伝子のPCR増幅は以下の条件下で行った:94℃ 1分間、55℃
1分間および72℃ 1.5分間を30サイクル、続いて72℃ 10分間を1サイクル。
【0060】 第2および第3のPCR反応では、erm遺伝子の一部も含む雑種DNA分子として、関
心対象の遺伝子と隣接する配列を増幅および生成した。第2の反応では、関心対
象の遺伝子の5'末端の上流にある配列およびerm遺伝子の最初の21ヌクレオチド
を含む二本鎖DNA分子(「左側隣接分子(Left Flanking Molecule)」と命名)
を生成した。図8に示す通り、この反応には、長さが21ヌクレオチドであって、
関心対象の遺伝子の翻訳開始部位の上流約500bpの位置にある配列と同一である
プライマー1を用いた。プライマー1および2は遺伝子特異的であり、yqjKに関し
ては、それぞれ5' TGA AGC CTG TCA AGG ACG AGG 3'(配列番号:24)および5'
CCT TAC GTG GTC GAA TTG TGG 3'(配列番号:25)の配列を有する。yphCに関し
ては、プライマー1および2はそれぞれ5' TGT ATG AAT TGG TAC CTC AAG 3'(配
列番号:26)および5' ACA ATG GCA ATA GTT GGT AGG 3'(配列番号:27)の配
列を有する。プライマー2は長さ42ヌクレオチドであり、プライマーの3'末端の2
1ヌクレオチドは関心対象の遺伝子のセンス鎖の5'末端に対して相補的である。
このプライマーの5'末端の21ヌクレオチドは配列Aと同一であり、このためerm遺
伝子の5'末端に対して相補的である。このため、プライマー1および2を用いるPC
R増幅によって、図8に示す通り、関心対象の遺伝子の上流に位置する配列および
erm遺伝子の21塩基対を含む雑種DNA分子である左側隣接DNA分子が生成された。
【0061】 第3のPCR反応は第2の反応と類似しているが、図8に示す通り、右側隣接DNA分
子を生成した。右側隣接DNA分子は、erm遺伝子の3'末端の21塩基対、関心対象の
遺伝子の3'末端の21塩基対部分、および関心対象の遺伝子の下流の配列を含む。
この右側隣接DNA分子は遺伝子特異的なプライマー3および4を用いて生成した。y
qjKに関しては、プライマー3および4はそれぞれ5' GTG GAA ATC TAG CAG TCA CA
G 3'(配列番号:28)および5' ATC TGG TTC TAG CAG GAA GCG 3'(配列番号:2
9)の配列を有する。yphCに関しては、プライマー3および4はそれぞれ5' CAT TG
C CAG TCC TGT TGC TGG 3'(配列番号:30)および5' ATG GCA TCC ATG ACA TCG
3'(配列番号:31)の配列を有する。プライマー3は42ヌクレオチドであり、プ
ライマー3の5'末端の21ヌクレオチドは配列Bと同一であるため、erm遺伝子の3'
末端と同一である。プライマー3の3'末端の21ヌクレオチドは、関心対象の遺伝
子の3'末端と同一である。プライマー4は、長さ21ヌクレオチドであって、関心
対象の遺伝子の下流約500bpの位置にある配列に対して相補的である。
【0062】 左側および右側隣接DNA分子のPCR増幅は、以下のものを含む50μlの反応混合
物中で別個に行った:肺炎連鎖球菌(RX1)DNA 1μl(0.25μg)、プライマー1
またはプライマー4(10pmol/μl)2.5μl 、プライマー2またはプライマー3(2
0pmol/μl)2.5μl、dNTP混合物(各10mM)1.2μl、HO 37μl、Taqポリメラ
ーゼ(5U/μl)0.7μl、およびTaqポリメラーゼバッファー(10mM Tris、50mM
KCl、2.5mM MgCl2)5μl。左側および右側隣接DNA分子は、以下のPCRサイクリン
グプログラムを用いて増幅した:95℃ 2分間;72℃ 1分間;94℃ 30秒間;49℃
30秒間;72℃ 1分間;94℃、49℃および72℃のインキュベーションを30回反復;
72℃ 10分間の後に反応を停止。続いて各反応混合物の15μlのアリコートをTAE
バッファー中での1.2%低融点アガロースゲルによる電気泳動にかけ、臭化エチ
ジウムで染色した。増幅された左側および右側隣接DNA分子を含む断片をゲルか
ら切り出し、QIAQUICK(登録商標)ゲル抽出キット(Qiagen, Inc.)を用いて精
製した。代わりに、DNAの増幅および単離のための当技術分野で知られた他の方
法を用いることもできる。左側および右側隣接DNA断片は30μlのTEバッファー中
にpH8.0で溶出させた。
【0063】 続いて、増幅されたerm遺伝子ならびに左側および右側隣接DNA分子を融合させ
、図8に示す融合産物を作製した。融合PCR反応は、以下のものを含む50μl中に
て行った:左側および右側隣接DNA分子のそれぞれならびにerm遺伝子PCR産物 各
2μl、10×バッファー5μl、プライマー1(10pmol/μl)2.5μl、プライマー4
(10pmol/μl)2.5μl、dNTP混合物(各10mM)1.2μl、HO 32μl、ならびにT
aqポリメラーゼ0.7μl。PCR反応は以下のサイクリングプログラムを用いて行っ
た:95℃ 2分間;72℃ 1分間;94℃ 30秒間;48℃ 30秒間;72℃ 3分間;94℃、
48℃および72℃でのインキュベーションを25回反復;72℃ 10分間。反応を停止
させた後、ほぼ2kbの最終産物が存在することを確かめるために、反応混合物の1
2μlのアリコートをアガロースゲルによる電気泳動にかけた。
【0064】 融合産物の5μlのアリコートを、標準的な技法に従って、エリスロマイシンを
含む培地上で増殖した肺炎連鎖球菌の形質転換に用いた。図9に示す通り、融合
産物および肺炎連鎖球菌ゲノムは、erm遺伝子が関心対象の遺伝子の染色体コピ
ーを置換することによって遺伝子ノックアウトが生じるような相同組換え事象を
生じた。必須遺伝子の破壊により、エリスロマイシンを含む培地上での増殖は起
こらなくなった。この遺伝子ノックアウト法を用いることにより、yphCおよびyq
jK遺伝子が生存のために必須なものとして同定された。標的欠失を行う前にシー
クエンシングがなされたyphCオープンリーディングフレームの部分は図1に示さ
れている。完全長yphC配列(図2A〜2Bに示されている)は、図1に示す配列と一
部重複する配列を有する肺炎連鎖球菌由来のクローンに関してTIGR配列データベ
ースを検索し、データベースから得た遺伝子の3'末端と図1に示す遺伝子の5'末
端を組み合わせることによって編集した。データベースから得たクローンに含ま
れる配列の機能は不明であった。
【0065】必須遺伝子のオルソログの同定 yphCおよびyqjK遺伝子が連鎖球菌の生存に必須なことが示されたため、これら
の遺伝子のオルソログが、例えば枯草菌または大腸菌などの他の生物体において
同定された場合に、それらの生物体の生存にも必須であるか否かを判定するため
の検討が可能となった。この目的のために、yphCおよびyqjKのコード配列を用い
てジェンバンク(GenBank)のヌクレオチド配列データベースを検索したところ
、枯草菌および大腸菌でそれぞれの配列のオルソログが同定された。配列の比較
は、基本的局所整列化検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool)(BLA
ST)(Altschulら、J. Mol. Biol. 215:403〜410、1990)を用いて行った。必
須ポリペプチドとそれらのオルソログとの配列の同一性は、遺伝学コンピュータ
グループ(Genetics Computer Group)(GCG)のウィスコンシン配列解析パッケ
ージ(Wisconsin Sequense Analysis Package)(Wisconsin Package Version 9
.1;Madison, WI)によるGAPプログラムを用いて決定した。ギャップ荷重(12)
および長さ荷重(4)に関しては初期設定パラメーターを用いた。
【0066】 典型的には、必須ポリペプチドとそれらのオルソログとの配列の同一性は少な
くとも25%(例えば、少なくとも30%または40%)であった。典型的には、必須
ポリペプチドをコードするDNA配列とそれらのホモログまたはオルソログとの配
列の同一性は少なくとも20%(例えば、少なくとも30%、35%、40%または45%
)であった。yphCおよびyqjK遺伝子のバイオインフォマティクス解析により、こ
れらの遺伝子が細菌の間で広く保存されていることが示された。
【0067】 yphCおよびyqjKの同定されたオルソログが他の細菌の生存に必須であるか否か
を明らかにするために、以下に詳細に説明する通りに、宿主生物体のゲノムから
オルソロガス遺伝子のそれぞれを別個に欠失させた。yphCの枯草菌および大腸菌
オルソログ(それぞれB-yphCおよびyfgK)も枯草菌および大腸菌の生存に必須で
あることが観察されれば、yphC遺伝子はそれが存在するすべての細菌で必須であ
ることが示唆される。この場合には、この遺伝子またはその遺伝子産物を標的と
する抗菌物質は、広域な抗菌活性を有すると予想される。yqjKの枯草菌オルソロ
グ(B-yqj K)は生存に必須であるものの、大腸菌オルソログ(elaC)はそうで
ないことが観察されれば、この遺伝子はそれが存在するすべてのグラム陽性菌で
必須であり、グラム陰性菌では必須でないことが示唆される。この場合には、yq
jK遺伝子またはその遺伝子産物を標的とする抗菌物質は、すべてのグラム陽性菌
に対して抗菌活性を有すると予想される。
【0068】枯草菌におけるyphCおよびyqjK遺伝子の欠失および必須性の判定 以下の実施例は、yphCおよびyqjKの枯草菌オルソログ(すなわち、B-yphCおよ
びB-yqjK)が、枯草菌の生存に必須であることを示す。枯草菌におけるB-yphCお
よびB-yqjK遺伝子にノックアウト変異を作製するために2種類の戦略を用い、B-y
phCおよびB-yqjK遺伝子の必須表現型を以下の通りに決定した。最初の戦略(図1
0に示されている)は、上記の連鎖球菌において遺伝子ノックアウトのために用
いた標的欠失の戦略と類似するものであった。大きな違いは以下の通りである。
【0069】 (A.)PCRでは、エリスロマイシン耐性遺伝子の代わりに、プラスミドpDG283
由来の枯草菌のクロラムフェニコール耐性遺伝子を用いた。または、任意の枯草
菌マーカーを用いうる。
【0070】 (B.)CmR遺伝子の増幅のために用いたプライマー、ならびにyphC ORFに直に
隣接するプライマーBおよびCは、「万能重複配列(universal overlapping sequ
ence)」と呼ばれる27ヌクレオチドの連鎖を含む。これらの万能重複配列はPCR
増幅において効率的に使用可能であり、融合PCR反応における種々の挿入配列の
使用を容易にする。耐性マーカー、プロモーター、調節要素または任意の核酸配
列はこのような重複配列を用いて増幅可能であり、遺伝子除去プライマーの同一
セット(プライマーA、B、CおよびD)とともに用いることができる。5'重複領域
に関する配列は5' CACAGGAAACAGC TATGACCATGATTA 3'(配列番号:25)であり、
3'重複領域に関する配列は5' GAAATAAATGCATCTGTATTTGAATG 3'(配列番号:26)
である。
【0071】 (C.)枯草菌染色体への組換え導入を最適化するためには、PCRによって生成
される左側および右側隣接DNA分子の長さは少なくとも900(例えば、1000)ヌク
レオチドである必要がある。
【0072】 (D.)融合産物を作製するために、2つの同時PCR反応を用いた。このうち一方
の反応ではアニーリング温度として50℃を用い、もう一方では65℃を用いた。伸
長時間を延長し(30〜60秒間)、長く忠実度の高いポリメラーゼも製造者(Boeh
ringer-Mannheim)の指示に従って用いた。
【0073】 (E.)野生株PY79のコンピテント細胞を、標準的な枯草菌の手順(バチルスの
ための分子生物学の手法(Molecular Biological Methods for Bacillus)、199
0、HarwoodおよびCutting編、Wiley & Sons, Ltd. England)に従って用いた。
【0074】 (F.)図10に示されているプライマーの配列は以下の通りであった:プライマ
ーRa(5' CACAGGAAACAGCTATGACCA TGATTAAACTAAAGCACCCATTAGTTCA 3'(配列番号
:27))、これはCmRプロモーターの上流の配列とハイブリダイズした;プライ
マーRb(5' CATTCAAATACAGATGCATTTTATTTCCTCATATTATAAAAGCCAGTCATT 3'(配列
番号:28))、これは転写終結因子に隣接して位置する配列とハイブリダイズし
た;プライマーA-YPHC(5' GCCATTGCGTTTGAAAG 3'(配列番号:29));プライ
マーA-YQJK(5' TGCTTCGCCGATTTCTT 3'(配列番号:30);プライマーB-YPHC(5
' TAATCATGGTCATAGCTGTTTCCTGTGTATGAAAAGAAACCCTTCAGAG 3'(配列番号:31))
、これはyphC開始コドンに隣接して位置する;プライマーB-YQJK(5' TAATCATGG
TCATAGCTGTTTCCTGTGCATACCG AACGCCTTTCTT 3'(配列番号:32))、これはyqjK
開始コドンに隣接して位置する;プライマーC-YPHC(5' GAAATAAATGCA TCTGTATT
TGAATGTTTTAGAAAACCGAATCAGAGA 3'(配列番号:33))、これはyphC停止コドン
に隣接して位置する;プライマーC -YQJK(5' GAAATAAATGCATCTGTATTTGAATGAATA
GCGTGGCGGCATA 3'(配列番号:34))、これはyqjK停止コドンに隣接して位置す
る;プライマーD-YPHC(5' ATTCAGATCGAATACTCCTG 3'(配列番号:35));およ
びプライマーD-YQJK(5' AAAGCGGGCAAAGCAGA 3'(配列番号:36))。
【0075】 問題の遺伝子が必須であるか(コロニー増殖がみられないことが特徴となる)
、それとも必須でないか(数十から数百のコロニーが出現することが特徴となる
)を判定するために、融合させた左側および右側隣接DNA分子による形質転換を
行ったコンピテント細胞を、選択培地(LB、5μg/ml Cm)上にて37℃で18時間
インキュベートした。yphCおよびyqjK遺伝子に関してこれらの欠失実験を別個に
行った場合には選択培地上にコロニーは検出されず、これらの遺伝子がそれぞれ
枯草菌の生存に必須であることが示された。
【0076】 細胞増殖が認められなかったことがB-yphCおよびB-yqjK遺伝子が必須な性質を
もつ点に起因することを確かめるために、対照実験をいくつか行った。必須でな
いことが知られた遺伝子を用いた同時PCR反応および形質転換では同様の実験で
数百ものコロニーが生じ、このことから、コロニー増殖がみられないことが必須
遺伝子の指標となることを確かめる上で実験条件は十分であったことが示された
。CmR遺伝子の挿入が下流遺伝子に対して非極性的作用を及ぼし、下流遺伝子の
効率的な発現を可能としたことも示された。
【0077】 枯草菌のyphCおよびyqjK遺伝子の欠失変異体を得るために用いた第2の戦略で
は、選択した遺伝子の発現を停止させることが可能であって、変異型表現型の観
察が可能となる条件的ヌル変異体を作製した(図11A〜11C)。これらの変異体で
は、yphCまたはyqjK遺伝子の野生型コピーを、遺伝子発現を効率的に停止させる
厳密な調節性プロモーターである枯草菌Paraプロモーターの制御下に置いた。続
いて、これらの調節性遺伝子作製物を枯草菌染色体に挿入した。図11Aに示され
ている通り、この調節性遺伝子作製物は、amy遺伝子座で染色体に組み込むため
のアミラーゼ遺伝子(amy)配列およびCmR配列を含む。二重乗換えによるamy遺
伝子の破壊は細胞に対して無害であり、amy細胞は透明な輪(halo)を伴うコ
ロニーを形成するため、組換え体を容易に検出できる。
【0078】 調節性yphCまたはyqjK遺伝子を野生型細胞の染色体に組み込んだ後、この結果
得られた細胞はコンピテントとなり、上記の通りに、置換用耐性マーカーを含む
融合PCR断片による形質転換がなされた。このケースでは、融合PCR断片はCmR遺
伝子の代わりに枯草菌由来のカナマイシン耐性遺伝子(Kan)を含んでいた。異
所性に挿入された調節性yphCまたはyqjK遺伝子を含む細胞の形質転換時における
このKanマーカーに関する選択は、yphCまたはyqjK遺伝子の発現および欠失のト
ランス補完が可能となるアラビノースの存在下で行った(図11C)。
【0079】 このようにして得たyphCおよびyqjK変異体は、0.2%アラビノースの存在下で
選択培地(LB Kan)上で増殖可能であったが、野生型細胞で行った選択では変異
体は得られなかった。続いて、調節性遺伝子およびそれらの欠失体を含むコロニ
ーを摘出し、同様の培地(LB Kan、0.2%アラビノース)のほか、より低濃度の
アラビノースを含む培地、アラビノースを含まない培地、または0.2%グルコー
スが存在する培地を含むプレート上での画線培養を行った。18時間のインキュベ
ーションによって増殖させた後にコロニーを含んでいたプレートは、0.2%、0.0
2%または0.002%アラビノースを含むプレートのみであった。この誘導物質がさ
らに低濃度の場合、および抑制条件(すなわち、アラビノースが存在しない、ま
たはグルコースが存在する)では、細胞増殖およびコロニー形成は不可能であっ
た。したがって、これらの実験から以下のことが示された:(i)問題の遺伝子
の発現のみで有効な補完を得るには十分であったため、融合PCRによって作製し
た欠失はyphCまたはyqjKの下流にある必須遺伝子と推定されるものに影響を及ぼ
さなかった、および(ii)yphCおよびyqjK遺伝子の発現は枯草菌細胞の生存に必
要である。
【0080】 上記の実験により、B-yphCおよびB-yqjKが枯草菌において必須であることが確
認された。これらの実験では、低発現(underexpression)/過剰発現アッセイ
、転写プロファイル解析などを含む種々のスクリーニングおよび手法に用いうる
条件致死株が得られた。yphCおよびyqjK遺伝子のノックアウト変異体の作製は、
当技術分野で知られた種々の方法のうち任意のものを用いて行いうる。
【0081】 大腸菌におけるyphCオルソログ及びyqjKオルソログの必須性のアッセイ yphC及びyqjKの遺伝子が肺炎連鎖球菌及び枯草菌において必須であるという知
見から、これらの遺伝子が全てのグラム陽性菌において必須であることが示唆さ
れる。これらの観察をさらにグラム陰性菌、従って全ての細菌に拡張するため、
yphC及びyqjKの大腸菌オルソログに関する欠失変異体を作製した。
【0082】 条件ヌル変異体(conditional null mutants)として、大腸菌遺伝子欠失を作
製するため用いられる一般的な方法を、図12に概略的に表す。最初に、欠失させ
る野生型遺伝子を一コピー、大腸菌のPbadプロモーターを含む対抗選択可能なラ
ナウェイ・ベクターにクローニングした。この大腸菌プロモーターは、アラビノ
ースの存在下でターンオンされ、前記のその枯草菌カウンターパートと同様に厳
密に調節されている。次に、このベクターを含む細胞を用いて、およそ30ヌクレ
オチドのマーカーを含まない小TAGと遺伝子を交換することにより、選択された
遺伝子のインフレーム欠失を導入した。
【0083】 27〜30ヌクレオチドの重複TAGを導入するプライマーを用いたPCRにより、選択
された遺伝子に隣接する上流及び下流の領域を増幅した。中央に位置するTAGと
連結したこれら2つの断片のみを用いて、融合PCR反応を実施し、それにより選択
された遺伝子を交換した。
【0084】 次に、この断片を、温度感受性の対抗選択可能なプラスミドpKO-3にクローニ
ングし、通常の技法に従い染色体に挿入した(例えば、Church et al.,1997,J.B
acteriol.参照)。アラビノース存在下でPbadベクターから野生型遺伝子を発現
させることにより、得られたインフレーム欠失を補足した(図11C、Pターンオン
)。欠失変異体は、アラビノースが欠如した条件下で、グルコースの存在下で(
Pターンオフ)、又はIPTGが存在しないストレプトマイシンの存在下で、遺伝子
発現を抑制することができ、プラスミドの消失を可能にする(補足Pbadプラスミ
ドの複製開始点はlac-IPTG調節下にあるため)。
【0085】 図12に示されるように、大腸菌におけるyphC配列の欠失、及び補足Pbad-yphC
オルソログ・プラスミドの存在下でのTAGによるその置換により、アラビノース
・プレートでは良好に増殖するが、グルコース・プレート又はストレプトマイシ
ン・プレートでは増殖することができない変異体が得られた。この結果より、yf
gK遺伝子(即ち、大腸菌yphCオルソログ)が大腸菌の生存にとって必須であるこ
とが示された。対照的に、大腸菌yqjKオルソログelaCを用いて実施された同様の
実験では、全ての条件下で有意な細胞増殖が見られ、yqjK遺伝子が大腸菌におい
て必須ではないことが示された。又は、アリルスルファターゼ/ホスファターゼ
活性を有し配列類似性を有さない他の大腸菌遺伝子が、elaC機能の欠如を補足す
ることができるという可能性がある。
【0086】 yphC遺伝子の枯草菌及び大腸菌のオルソログが生存にとって必須であるという
事実から、この遺伝子が遺伝子を有する全ての細菌において必須であることが示
された。肺炎連鎖球菌及び枯草菌の生存にとって必須であるyqjK遺伝子は、全て
のグラム陽性菌において必須であるが、大腸菌においては必須でないと考えられ
る。従って、yphC遺伝子又はその遺伝子産物を標的とした抗菌剤は、広域の抗菌
活性スペクトル(グラム陽性菌及びグラム陰性菌を含む)を有すると予想され、
一方、yqjK遺伝子又はその遺伝子産物を標的とした抗菌剤は、グラム陽性菌に対
する抗菌活性を有すると予想される。
【0087】 さらなる細菌株における必須遺伝子及びポリペプチドの同定 さらに他の生物におけるホモログ様又はオルソログ様の遺伝子を検出するため
に、yphC及びyqjKの遺伝子並びに様々なオルソログ、又はそれらの断片を用いる
ことができる。特に、様々な病原性及び非病原性の細菌株を分析するため、これ
らの遺伝子を用いることができる。必須ポリペプチド、ホモログ、又はオルソロ
グ(又はそれらに相補的な配列)をコードする核酸(DNA又はRNA)の断片を、病
原性細菌の通常の核酸ハイブリダイゼーション・アッセイにおけるプローブとし
て用いることができる。例えば、サザンブロッティング、ノーザンブロッティン
グ、ドット又はスロットブロッティング、PCR増幅法、コロニー・ハイブリダイ
ゼーション法などのような、当技術分野において既知の分子生物学的方法におい
て、必須遺伝子又はそれらのホモログもしくはオルソログを検出するために、核
酸プローブ(典型的には8〜30、通常15〜20ヌクレオチド長)を用いることがで
きる。典型的には、本明細書に記載の核酸配列又はそれらの断片に基づくオリゴ
ヌクレオチド・プローブを、標識し、目的の細菌株から得られたmRNAから構築さ
れたゲノミック・ライブラリーをスクリーニングするため用いる。適当な標識法
には、プローブとして用いられるオリゴヌクレオチドに32P標識ATPを付加する
ためのポリヌクレオチド・キナーゼの使用が含まれる。この方法は、いくつかの
他の適当な方法(例えば、ビオチン化及び酵素標識)と同様、当技術分野におい
て周知である。
【0088】 オリゴヌクレオチド・プローブのライブラリー又は他の核酸試料へのハイブリ
ダイゼーションは、典型的には、中度から高度のストリンジェンシー条件下で実
行される。核酸二重鎖又はハイブリッドの安定性は、プローブが標的DNAから解
離する温度である、融解温度又はTとして表される。この融解温度は、必要な
ストリンジェンシー条件を決定するために用いられる。プローブと同一の配列で
はなく、プローブと関連した実質的に同一な配列を同定する場合には、最初に、
特定の塩(例えば、SSC又はSSPE)の濃度で、同種ハイブリダイゼーションのみ
が起こる最低温度を確立することが有用である。次に、1%のミスマッチがT
1℃低下させると仮定し、ハイブリダイゼーション反応における最終洗浄の温度
をそれに応じて低下させる(例えば、プローブと95%以上の同一性を有する配列
を探索する場合には、最終洗浄温度を5℃低下させる)。実際、Tの変化は1%
のミスマッチにつき0.5℃と1.5℃の間でありうる。
【0089】 ストリンジェントな条件には、例えば、5×SSC/5×デンハルト溶液/1.0%SD
S、又は0.5M NaHPO(pH7.2)/1mM EDTA/7% SDS、又は50%ホルムアミド/0
.25M NaHPO(pH7.2)/0.25M NaCl/1mM EDTA/7% SDS中、68℃におけるハイ
ブリダイゼーション、及び0.2× SSC/0.1% SDS中、室温もしくは42℃、又は0.
1×SSC/0.1% SDS中、68℃、又は40mM NaHPO(pH7.2)/1mM EDTA/5% SDS
中、50℃、又は40mM NaHPO(pH7.2)1mM EDTA/1% SDS中、50℃における洗浄
が含まれる。中度のストリンジェンシー条件には、3×SSC中、42℃における洗浄
が含まれる。塩濃度及び温度のパラメータは、プローブと標的核酸との最適な同
一性レベルを達成するため変動しうる。そのような条件に関するさらなる指針は
、例えばSambrookら(1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spri
ng Harbor Press,N.Y.)及びAusubelら(編)(1995,Current Protocols in Mol
ecular Biology,(John Wiley & Sons,N.Y.))のユニット2.10により、当技術分
野において容易に入手可能である。
【0090】 一つの手法において、病原性又は非病原性の細菌株から構築されたライブラリ
ーをスクリーニングすることができる。例えば、そのような株は、ノーザンブロ
ット分析により必須遺伝子の発現に関してスクリーニングされうる。必須遺伝子
又はそれらのホモログの転写物が検出されたなら、当業者に周知の標準的な技法
を利用して適当な株から単離されたRNAからライブラリーを構築することができ
る。又は、必須遺伝子プローブ(又はそれらのホモログに対するプローブ)を用
いて、全ゲノミックDNAライブラリーをスクリーニングすることもできる。
【0091】 例えば、本明細書に記された必須遺伝子又はそれらのホモログもしくはオルソ
ログに含まれるヌクレオチド配列に基づき設計された2つの縮重オリゴヌクレオ
チド・プライマー・プールを用いたPCRを実行することにより、新規な遺伝子配
列を単離することができる。反応のための鋳型は、必須対立遺伝子又はそれらの
ホモログもしくはオルソログの対立遺伝子を発現することが既知の、又はそれが
疑われる株から得られたDNAでありうる。増幅された配列が新規な必須核酸配列
、又はそれらのホモログの配列を表していることを確実にするため、PCR産物を
サブクローニングし、配列決定することができる。
【0092】 抗原として使用するための、又はその他の目的のための、様々な必須ポリペプ
チド、又はそれらのホモログもしくはオルソログ(又はそれらの抗原性断片)の
合成は、様々な当技術分野において既知の技法のいずれかを用いて容易に達成さ
れうる。例えば、必須ポリペプチド、又はそれらのホモログもしくはオルソログ
、又はそれらの(一つ又は複数の)抗原性断片は、インビトロで化学合成されて
もよいし、又は(例えば、インビトロ転写翻訳により)酵素合成されてもよい。
又は、多数の利用可能な遺伝子発現系のいずれかを用いることにより、細胞(例
えば、培養細胞)において、遺伝子を発現させ、その細胞からポリペプチドを精
製することができる。例えば、ポリペプチド抗原は、原核生物宿主(例えば、大
腸菌又は枯草菌)又は(例えば、バキュロウイルスに基づく発現ベクターを用い
ることにより)酵母細胞もしくは昆虫細胞のような真核細胞において作製されう
る。
【0093】 所望により、植物細胞においてタンパク質及びポリペプチドを作製することも
できる。植物細胞には、ウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイク
ウイルス及びタバコモザイクウイルス)及びプラスミド発現ベクター(例えば、
Tiプラスミド)が好適である。そのような細胞は、広範な供給源(例えば、アメ
リカン・タイプ・カルチャー・コレクション、Rockland、MD;例えば、Ausubel
et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York
,1994も参照)から入手可能である。トランスフォーメーション又は形質転換の
最適な方法及び発現媒体の選択は、選択された宿主系により異なるであろう。ト
ランスフォーメーション又は形質転換の方法は、例えば、Ausubelら(前記)に
記載されており、発現媒体は、例えばCloning Vectors:A Laboratory Manual(P
.H.Pouwels et al.,1985,増補版,1987)に提供されたものから選択されうる。発
現媒体を保持する宿主細胞は、通常の栄養培地で培養され、必要に応じて、選択
された遺伝子の活性化、選択された遺伝子の抑制、トランスフォーマントの選択
、又は選択された遺伝子の増幅のため順応させられうる。
【0094】 必要に応じて、yphCもしくはyqjKのポリペプチド、又はそれらのホモログもし
くはオルソログは、融合タンパク質として作製されうる。例えば、発現ベクター
pUR278(Ruther et al.,EMBO J.,2:1791,1983)がlacZ融合タンパク質を作出す
るために用いられうる。当技術分野において既知のpGEXベクターは、外来ポリペ
プチドをグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として
発現させるために用いられうる。一般的に、そのような融合タンパク質は可溶性
であり、グルタチオン−アガロース・ビーズへ吸着させた後、遊離のグルタチオ
ンの存在下で溶出させることにより、溶解した細胞から容易に精製されうる。pG
EXベクターは、クローニングされた標的遺伝子産物がGST部分から放出されるよ
う、トロンビン又はXa因子プロテアーゼの分解部位を含むよう設計されている。
【0095】 例示的な発現系において、スポドプテラ・フンギペルダ細胞において増殖する
、オートグラファ・カリフォルニカ核多角体病ウイルス(AcNPV)のようなバキ
ュロウイルスが、外来遺伝子を発現させるためのベクターとして用いられうる。
必須ポリペプチド又はそれらのホモログもしくはオルソログをコードするコーデ
ィング配列をウイルス・ゲノムの非必須領域(例えば、ポリヘドリン遺伝子)に
クローニングし、プロモーター、例えばポリヘドリン・プロモーター又は外因性
プロモーターの調節下に置くことができる。必須ポリペプチド又はホモログをコ
ードする遺伝子の挿入が成功すると、ポリヘドリン遺伝子が不活化され、被包さ
れていない(non-occluded)組換えウイルス(即ち、ポリヘドリン遺伝子により
コードされるタンパク質性被覆が欠如したウイルス)が作製される。次に、典型
的には、これらの組換えウイルスを、挿入された遺伝子が発現する昆虫細胞(例
えば、スポドプテラ・フンギペルダ細胞)の感染に用いる(例えば、Smith et a
l.,J.Virol.,46:584,1983;Smith、米国特許第4,215,051号を参照)。所望により
、所望のポリペプチドをコードする遺伝子が哺乳動物細胞において活性を有する
プロモーターの調節下に置かれるようウイルスが操作されるのであれば、昆虫細
胞の代わりに哺乳動物細胞を用いることもできる。
【0096】 哺乳動物宿主細胞においては、多数のウイルスに基づく発現系が利用されうる
。アデノウイルスが発現ベクターとして用いられる場合、必須ポリペプチド又は
ホモログをコードする核酸配列を、アデノウイルス転写/翻訳調節複合体、例え
ば後期プロモーター及び三成分リーダー配列とライゲートさせることができる。
次に、このキメラ遺伝子を、インビトロ又はインビボの組み換えによりアデノウ
イルス・ゲノムに挿入することができる。ウイルス・ゲノムの非必須領域(例え
ば、領域E1又はE3)への挿入により、感染宿主において生存可能で、必須遺伝子
産物を発現することができる組換えウイルスが得られよう(例えば、Logan,Proc
.Natl.Acad.Sci.USA,81:3655,1984参照)。
【0097】 挿入された核酸配列の十分な翻訳には、特別な開始シグナルが必要である場合
もある。これらのシグナルには、ATG開始コドン及び隣接配列が含まれる。一般
的に、おそらくATG開始コドンを含む外因性翻訳調節シグナルが供給される必要
がある。さらに、全長配列の翻訳を確実にするため、開始コドンは所望のコーデ
ィング配列のリーディング・フレームと相が一致していなければならない。これ
らの外因性翻訳調節シグナル及び開始コドンは、天然及び合成の両方の様々な起
源のものであってよい。発現の効率は、適当な転写エンハンサー因子又は転写終
結因子を含ませることにより増強されうる(Bittner et al.,Methods in Enzymo
l.,153:516,1987)。
【0098】 必須ポリペプチド並びにそれらのホモログ及びオルソログは、個別に発現され
てもよいし、又はシグナル配列、又はタンパク質もしくはポリペプチドのN及び
/もしくはC末端に特異的な分解部位を有する他のポリペプチドのような、異種
ポリペプチドとの融合体として発現されてもよい。選択された異種シグナル配列
は、融合タンパク質が発現している宿主細胞により、認識されプロセシングされ
る、即ちシグナル・ペプチダーゼにより分解されるものである必要がある。
【0099】 挿入された配列の発現を調整し、又は特異的な望ましい様式で遺伝子産物を修
飾及びプロセシングする宿主細胞が選択されうる。そのようなタンパク質産物の
修飾及びプロセシング(例えば、分解)は、タンパク質の最適な機能性を促進し
うる。様々な宿主細胞が、タンパク質及び遺伝子産物の翻訳後プロセシング及び
修飾のための特徴的かつ特異的なメカニズムを有している。発現した外来タンパ
ク質の正確な修飾及びプロセシングを確実にするため、分子生物学の当業者に周
知の適当な細胞系又は宿主系が選択されうる。この目的のため、一次転写物の適
切なプロセシング及び遺伝子産物のリン酸化のための細胞機構を有する真核宿主
細胞が用いられうる。そのような哺乳動物宿主細胞には、CHO細胞系、VERO細胞
系、BHK細胞系、HeLa細胞系、COS細胞系、MDCK細胞系、293細胞系、3T3細胞系、
WI38細胞系、及び脈絡膜叢細胞系が含まれるが、これらに限定されない。
【0100】 必要に応じて、必須ポリペプチド又はそれらのホモログもしくはオルソログは
、安定的に形質転換された哺乳動物細胞系により産生されうる。哺乳動物細胞の
安定的な形質転換に適した多数のベクターが公衆に入手可能である。例えば、Po
uwelsら(前記)参照。そのような細胞系を構築するための方法も、例えば、Aus
ubelら(前記)において公知である。一つの例において、タンパク質をコードす
るDNAは、ジヒドロ葉酸リダクターゼ(DHFR)遺伝子を含む発現ベクターにクロ
ーニングされる。宿主細胞染色体へのプラスミドの取り込み、そして従って必須
ペプチド・コーディング遺伝子の取り込みは、(Ausubelら(前記)に記載のよ
うにして)細胞培養培地に0.01〜300μMメトトレキセートを含ませることにより
選択される。この優性選択は、ほとんどの細胞型で達成されうる。
【0101】 組換えタンパク質発現は、形質転換された遺伝子のDHFR介在型増幅によって増
加しうる。遺伝子増幅を保有する細胞系を選択する方法は、Ausubelら(前記)
に記載されており、そのような方法は一般的に、含まれるメトトレキセートのレ
ベルを徐々に増加させた培地における拡張培養(extended culture)を含む。こ
の目的のために通常用いられるDHFR含有発現ベクターには、pCVSEII-DHFR及びpA
dD26SV(A)(Ausubelら(前記)に記載)が含まれる。
【0102】 これらに限定されないが、それぞれtk細胞、hgprt細胞、又はaprt細胞で使用
されうる、ヘルペス単純ウイルス・チミジンキナーゼ遺伝子、ヒポキサンチン−
グアニン・ホスフォリボシル−トランスフェラーゼ遺伝子、及びアデニンホスフ
ォリボシルトランスフェラーゼ遺伝子を含む、多数のその他の選択系が用いられ
うる。さらに、マイコフェノール酸耐性を付与するgpt(Mulligan et al., Proc
. Natl.Acad.Sci.USA,78:2072,1981)、アミノグリコシドG-418耐性を付与するn
eo(Colberre-Garapin et al.,J.Mol.Biol.,150:1,1981)、及びハイグロマイシ
ン耐性を付与するhygro(Santerre et al.,Gene,30:147,1981)が、用いられう
る。
【0103】 又は、発現される融合タンパク質に特異的に結合する抗体又はその他の分子を
利用することにより、いずれの融合タンパク質も容易に精製される。例えば、Ja
nknechtら(Proc.Natl.Acad.Sci.USA,88:8972(1981))に記載された系は、ヒト
細胞系で発現した非変性融合タンパク質の容易な精製を可能にする。本系におい
ては、遺伝子のオープン・リーディング・フレームが6個のヒスチジン残基から
なるアミノ末端タグと翻訳可能に融合するよう、目的の遺伝子がワクシニア組み
換えプラスミドにサブクローニングされる。組み換えワクシニア・ウイルスに感
染した細胞からの抽出物が、Ni2+ニトリロ酢酸−アガロース・カラムにロード
され、そしてヒスチジン・タグを有するタンパク質がイミダゾール含有緩衝液で
選択的に溶出される。
【0104】 又は、yphCもしくはygjk、もしくはそれらのホモログもしくはオルソログ、又
はそれらの一部を、イムノグロブリンFcドメインと融合させることもできる。そ
のような融合タンパク質は、例えばプロテインAカラムを用いて容易に精製され
うる。さらに、そのような融合タンパク質は、インビボでの安定性が増加した必
須ポリペプチド又はホモログもしくはオルソログのキメラ型の作製を可能にする
【0105】 組換え必須ポリペプチド(又はホモログ)が発現した後には、それを単離(即
ち精製)することができる。分泌型ポリペプチドは細胞培養培地から単離するこ
とができるが、非分泌型は宿主細胞から単離しなければならない。ポリペプチド
はアフィニティ・クロマトグラフィーにより単離されうる。例えば、抗yphC抗体
(例えば、本明細書に記載のようにして作製されたもの)をカラムに吸着させ、
タンパク質を単離するために用いることができる。アフィニティ・クロマトグラ
フィーの前に、タンパク質を保持する細胞の溶解及び分画が、標準的な方法によ
り実行されうる(例えば、Ausubelら(前記)参照)。又は、融合タンパク質を
構築し、必須ポリペプチド単離するために用いることができる(例えば、yphC−
マルトース結合性融合タンパク質、yphC−β−ガラクトシダーゼ融合タンパク質
、又はyphC−trpB融合タンパク質;例えば、Ausubelら(前記)参照;New Engla
nd Biolabs Catalog, Beverly, MA)。組換えタンパク質は、所望により、例え
ば標準的な技法を用いた高速液体クロマトグラフィーにより、さらに精製されう
る(例えば、Fisher, Laboratory Techniques In Biochemistry And Molecular
Biology,Work and Burdon編, Elsevier, 1980参照)。
【0106】 本明細書に記載されたアミノ酸配列が与えられれば、本発明の実施において有
用なポリペプチド、特に必須ポリペプチドの断片を、標準的な化学合成により(
例えば、Solid Phase Peptide Synthesis,第2版,The Pierce Chemical Co.,Rock
ford,IL,1984に記載された方法により)作製し、そして例えば抗原として用いる
ことができる。
【0107】抗体 yphCポリペプチドとyqjKポリペプチド(または、これらのポリペプチドの抗原
断片または類似体)を用いて、本発明において有用な抗体を作製することができ
、また、組換え技術、またはペプチド合成技術(例えば、前掲の固相ペプチド合
成(Solid Phase Peptide Synthesis); Ausubelら、前掲を参照のこと)によっ
て、このようなポリペプチドを作出することができる。同じように、yphCおよび
yqjKのホモログまたはオルソログ(または、ホモログまたはオルソログの抗原断
片または類似体)に対する抗体を作製することができる。一般的には、 Ausubel
ら、前掲に記載されているところにしたがって、KLHなどの担体タンパク質に結
合させ、アジュバントと混合し、宿主たる哺乳動物に注射することができる。「
担体」とは、それに結合している分子に安定性を与えたり、また/あるいは、そ
のような分子の輸送または免疫原性を補助促進する物質である。抗体は、例えば
、ポリペプチド抗原を樹脂上に固定化するアフィニティークロマトグラフィー法
によって精製することができる。
【0108】 特に、目的とするポリペプチドを注射することによって、さまざまな宿主動物
を免疫することができる。適当な宿主動物の例は、ウサギ、マウス、モルモット
、およびラットなどである。宿主生物種によって、フロイントのアジュバント(
完全アジュバントおよび不完全アジュバント)、水酸化アルミニウムなどの無機
ゲル、リゾレシチンなどの界面活性剤、プルロニックポリオール、ポリアニオン
、ペプチド、油性乳化剤、カサガイのヘモシアニン、ジニトロフェノール、BCG
(カルメット-ゲラン杆菌)、およびコリネバクテリウム・パルバム(Corynebac
terium parvum)などを含むが、これらに限定はされない、さまざまなアジュバ
ントを用いて、免疫応答を強化することができる。ポリクローナル抗体は、免疫
された動物の血清に由来する抗体分子の雑多な集団である。
【0109】 本発明において有用な抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、ヒ
ト化抗体もしくはキメラ抗体、単鎖抗体、Fab断片、(Fab') 2断片、およびFab発
現ライブラリーを用いて産生される分子などである。
【0110】 モノクローナル抗体(mAb)は、特定の抗原に対する抗体の同一種の集団であ
るが、yphC、yqjK、またはそれらのホモログまたはオルソログ、および標準的な
ハイブリドーマ技術を用いて調製することができる(例えば、Kohler et al., N
ature, 256: 495, 1975; Kohler et al., Eur. J. Immunol., 6:511, 1976; Koh
ler et al., Eur. J. Immunol., 6:292, 1976; Hammerling et al., モノクロー
ナル抗体およびT細胞ハイブリドーマ(Monoclonal Antibodies and T Cell Hybr
idomas)より、Elsevier, NY, 1981; Ausubel et al., 前掲を参照のこと)。
【0111】 特に、コーラー(Kohler)ら、Nature, 256:495, 1975;および米国特許第4,37
6,110号に記載されている細胞系など、培養中の連続細胞系によって抗体分子を
産生するための技術、ヒトB細胞ハイブリドーマ技術(Kosbor et al., Immunolo
gy Today, 4:72, 1983; Cole et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 80:2026,
1983)、およびBBV-ハイブリドーマ技術(Cole et al.,モノクローナル抗体と癌
治療(Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy)、Alan R. Liss, Inc. pp.
77-96, 1983)によってモノクローナル抗体を得ることができる。このような抗
体は、IgG、IgM、IgE、IgA、IgD、および、それらのサブクラスを含む免疫グロ
ブリンの仲間のいずれかあろう。本発明に係るmAbを産生するハイブリドーマは
、インビトロまたはインビボで培養することができる。
【0112】 ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体が産生されたところで、例えば
、前掲のAusubelらの文献に記載されているような標準的な技術を用いて、ウエ
スタンブロット解析法、または免疫沈降解析などのイムノアッセイ法によって、
必須ポリペプチド、またはそのホモログもしくはオルソログの特異的な認識に関
する試験を行う。必須ポリペプチド、またはその保存的変異体、ホモログ、およ
びオルソログに特異的に結合する抗体は、本発明において有用である。例えば、
そのような抗体は、細菌の病原性菌株または非病原性菌株中の必須ポリペプチド
を検出するための免疫アッセイ法において使用することができる。
【0113】 好ましくは、本発明に係る抗体は、荷電性残基が高頻度に存在するなどの基準
によって、抗原性である可能性が高いと考えられる必須ポリペプチドの断片を用
いて産生される。特異的な実施例の一つにおいては、そのような断片を、標準的
なPCR技術によって作出して、pGEX発現ベクターの中にクローニングする(Ausub
elら、前掲)。融合タンパク質を大腸菌の中で発現させ、Ausubelら、前掲に記
載されているようなグルタチオンのアガロースアフィニティー基質を用いて精製
する。
【0114】 所望の場合には、数個(例えば、2つまたは3つの)融合タンパク質を、各タン
パク質ごとに作製して、各融合タンパク質を最低2匹のウサギの注射することが
できる。典型的には、少なくとも3回の追加免疫を含む、連続的な注射を行うこ
とによって、抗血清を作製することができる。典型的には、組換え必須ポリペプ
チドもしくはホモログ、または、グルココルチコイドレセプター、クロラムフェ
ニコールアセチルトランスフェラーゼ、もしくはルシフェラーゼなど、無関係な
対照用タンパク質を免疫沈殿させることができるかについて、抗血清を検査する
【0115】 「キメラ抗体」を産生させるために開発された技術(Morriosn et al., Proc.
Natl. Acad. Sci., 81:6851, 1984; Neuberger et al., Nature, 312:604, 198
4)を用いて、適当な抗原特異性をもつマウス抗体分子の遺伝子を、適当な生物
学的活性をもつヒト抗体分子とともにスプライシングすることができる。キメラ
抗体は、マウスmAbに由来する可変領域と、ヒト免疫グロブリンの定常領域をも
つ抗体のように、異なった部位が異なった動物種に由来する分子のことである。
【0116】 または、単鎖抗体産生のために説明されている技術(米国特許第4,946,778号
、第4,946,776号、および第4,704,692号)を応用して、必須ポリペプチド、また
はそのホモログもしくはオルソログに対する単鎖抗体を作出することができる。
単鎖抗体は、Fv領域の重鎖と軽鎖の断片を、アミノ酸架橋によって結合させるこ
とによって形成され、単鎖のポリペプチドができる
【0117】 特異的なエピトープを認識して結合する抗体断片は、既知の技術によって作製
することができる。例えば、そのような断片には、抗体分子をペプシン消化して
産生することのできる(Fab') 2断片、および、(Fab') 2断片のジスルフィド結合
を還元して作出することのできるFab断片が含まれるが、これらに限定はされな
い。または、Fab発現ライブラリーを構築して(Huse et al., Science, 246:127
5, 1989)、所望の特異性をもつモノクローナル抗体のFab断片を迅速かつ容易に
同定できるようにすることができる。
【0118】 必須ポリペプチド、ホモログ、またはオルソログに特異的に結合するポリクロ
ーナル抗体およびモノクローナル抗体を用いて、例えば、別の細菌における必須
遺伝子、ホモログ、またはオルソログの発現を検出することができる。例えば、
必須ポリペプチドは、細菌細胞または抽出物を常法による免疫アッセイ法で、簡
単に検出することができる。適当なアッセイ法の例には、制限はないが、ウェス
タンブロッティング、ELISA、放射性イムノアッセイなどがある。
【0119】抗菌物質に対するアッセイ法 本発明は、抗菌物質を同定するための方法を提供する。関係する生物学的機構
に関する特定の理論に捉われることなしに言えば、新規の抗菌物質は、特に、(
1)yphCポリペプチドもしくはyqjKポリペプチド、または、それらのホモログも
しくはオルソログ、または(2)yphC遺伝子もしくはyqjK遺伝子、または、それ
らのホモログもしくはオルソログの発現を阻害すると考えられる。
【0120】 yphCタンパク質と、GenBankデータベースからの類似配列とのアラインメント
によって、yphCタンパク質はGTPase活性をもつことが示唆されている。同様に、
yqjKタンパク質と、GenBankデータベースからの類似配列とのアラインメントに
よって、yqjKタンパク質はアリールスルファターゼ活性をもつことが示唆されて
いる。yphCタンパク質およびyqjKタンパク質が、提示された[タンパク質の]生
化学的活性をもつか否かをテストするために設計された実験において、yphCタン
パク質は、GTPase活性をもつことが示され、yqjKタンパク質は、アリールスルフ
ァターゼ活性をもつことが示された。
【0121】 それぞれのタンパク質の酵素活性は、それぞれの酵素が新しい特徴を持つこと
を示唆している。例えば、yphCタンパク質は、GTP結合部位を2つ持っているが、
1つしか活性がないようである。yqjKタンパク質は、アリールスルファターゼ活
性以外にホスファターゼ活性をもち、このタンパク質は、マンガンイオンによっ
て触媒される活性化のステップを行う。本願明細書に記載されている遺伝学的実
験において、yphCおよびyqjKについて観察された生化学的活性は、これらのタン
パク質の本質的な性質と結びついていることが示された。yphC遺伝子のGTP結合
部位の変異体は、GTPase活性をもたないタンパク質で、yphC欠失変異体を相補す
ることのできないタンパク質を生じる。同様に、アリールスルファターゼ活性を
もたないyqjK変異体は、yqjK欠失変異体を相補することができない。さらに、ア
リールスルファターゼ活性をもたない変異体は、ホスファターゼ活性ももたず、
逆も同様である。これらの実験によって、細胞培養において、yphCまたはyqjKの
酵素活性を阻害することによって、細胞の生存可能性が損なわれ、細胞死がもた
らされることが示されている。したがって、これらの生化学的活性を単独で、ま
たは当技術分野において既知の何らか方法と組み合わせて、インビボまたはイン
ビトロで用いて、抗菌物質を同定することができる。
【0122】 さまざまな適当な方法で、必須ポリペプチドの活性、または必須遺伝子の発現
を阻害するような化合物(例えば、有機低分子)を同定することによって、抗菌
物質のスクリーニングを行う。抗菌物質のスクリーニングは、(i)必須ポリペ
プチドと相互作用するか、それに結合するような化合物を同定し、また、(ii)
さらに、そのような化合物に、インビトロおよびインビボでの細菌増殖を阻害す
る能力があるかをテストすることによって行うことができる。
【0123】 適当なスクリーニング法の例は、米国特許第5,679,582号および第5,585,277号
に示されており、これらは、参照として本願明細書に組み入れられる。要約する
と、これらの方法では、標的タンパク質を試験化合物(すなわち、試験用リガン
ド)の存在下でインキュベートして、「試験用組み合わせ」を作り出し、また、
標的タンパク質を試験化合物がないところでインキュベートして、「対照用組み
合わせ」を作り出す。そして、標的タンパク質の検出可能な画分が、部分的また
は全体的に折り畳まれていない状態で存在するように、試験用組み合わせと対照
用組み合わせを処理する。そして、試験用組み合わせと対照用組み合わせにおい
て、標的タンパク質が、どの程度、折り畳まれた状態、折り畳まれていない状態
、またはその両方の状態にあるのかを測定する。対照用組み合わせよりも、試験
用組み合わせの方において、標的タンパク質が、折り畳まれた状態になっている
程度が高いか低い場合には、試験化合物は、標的タンパク質に結合する化合物だ
ということになる。
【0124】 別の方法においては、キャピラリー電気泳動を用いて、試験化合物の標的タン
パク質への結合を検出する。要約すると、標的タンパク質に結合する試験化合物
(例えば、小分子)は、キャピラリー電気泳動中の標的タンパク質の電気泳動に
よる移動度を変化させる。適当なキャピラリー電気泳動法は、当技術分野におい
て既知である(例えば、Freitag, J. Chromatography B, Biomedical Science &
Applications: 722 (1-2):279-301, Feb. 5, 1999; Chu and Cheng, Cellular
& Molecular Life Sciences: 54(7):663-83, July, 1998; Thormann et al., Fo
rensic Science International: 92 (2-3): 157-83, April 5, 1998; Rippel et
al., Electrophoresis: 18(12-13): 2175-83, Nov. 1997; Hage and Tweed, J.
Chromatography B, Biomedical Science & Applications: 699 (1-2):499-525,
October 10, 1997; Michelson et al., Trends in Biotechnology, 15(11):448
-58, Nov., 1997; Jenkins and Guerin, J. Chromatography B, Biomedical App
lications: 682 (1):23-34, June 28, 1996;および、Chen and Gallo, Electrop
horesis: 19(16-17): 2861-9, Nov. 1998)。
【0125】 yphCの阻害は、GTPaseインヒビターを検出するための以下の生化学的アッセイ
法によって同定することもできる。このアッセイ法は、ナノモル量の無機リン酸
を検出するための比色検出システムを用いる。このアッセイ法は、底が透明の96
ウェル微量プレート(例えば、コーニング(Coning)-COSTARカタログ番号9710
)の中で行うことができる。10% DMSO中に入れた各試験化合物 20μlの等量液を
、プレートの、対照として用いるウェル以外の各ウェルに入れる。次に、20μl
等量液の420μM GTPを、プレートの対照用反応に用いるウェル以外の各ウェルに
加える。225μM GTPを含む20μlのIC50対照を、対照用ウェルの2つに分注し、20
μlのIC100(12.75 mlの420μM GTPに2.25 mlの0.5 M EDTA)を、別の2つの対照
用ウェルに分注し、さらに、420μM GTPを含む阻害剤を含まない対照用液20μl
を、さらに別の4つの対照用ウェルに分注する。次に、20μlの2X-バッファー(1
00 mM Tris HCl, 500 mM KCl, 10 mM MGCl 2, 0.2 mg/mlのアセチル化BSA, H2O
)とyphC酵素溶液(1μg/ウェルを供給する)を各ウェルに分注して、プレート
を室温で3.5時間インキュベートする。酵素反応を停止させるために、150μlの0
.045%のマラカイトグリーン/35 mM EDTA溶液を各ウェルに加える。25分後、50μ
lの15%クエン酸を各ウェルに加えて、発色が進むのを防止する。そして、サンプ
ルを(例えば、TOMTEC-Quadra-96, モデル320)勢いよく混ぜて、均一な溶液に
する。次いで、650 nmの波長に設定したプレート読み取り器(例えば、Wallac-V
ictor 2プレート読み取り器)を用いて、プレートを読み取る。一般的には、マ
ラカイトグリーンとクエン酸を加えてから24時間以内にプレートを読み取らなけ
ればならない。
【0126】 各サンプルウェルに対する阻害率は、次のように計算することができる。IC10 0 対照を含んだ2つのウェルの平均値を、バックグランド計数として用いることが
できる。阻害率は、次の公式によって計算することができる: 阻害率(%)=[1- (サンプルの計数 - バックグランド計数)/(平均計数) - (バ
ックグランド計数)]×100。 必要に応じて、40%阻害よりも大きな阻害を生じる試験化合物を、より高い濃度
での用量応答によって再試験することができる。
【0127】 抗菌物質を同定するための他の方法には、yphC、yqjK、またはそれらのホモロ
グまたはオルソログに結合するポリペプチドを同定するための、従来からある、
タンパク質/タンパク質相互作用のツー・ハイブリッドアッセイ法など、細胞を
用いるさまざまな方法が含まれる(例えば、Chien et al., Proc. Natl. Acad.
Sci. USA, 88:9578, 1991; Fields et al., 米国特許第5,283,173号;Fields an
d Song, Nature, 340:245, 1989; Le Douarin et al., Nucleic Acids Research
, 23:876, 1995; Vidal et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:10315-10320
, 1996; およびWhite, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 93:10001-10003, 1996)
。一般的には、ツー・ハイブリッド法は、細胞の中の転写因子の2つの分離可能
なドメインの再構成を含む。一方の融合タンパク質は、転写因子(例えば、Gal4
)のトランスアクチベータードメインまたはDNA結合ドメインのいずれかに融合
した必須ポリペプチド(または、それらのホモログまたはオルソログ)を含む。
もう一方の融合タンパク質は、転写因子のDNA結合ドメインまたはトランスアク
チベータードメインのいずれかに融合した試験用ポリペプチドを含んでいる。そ
れらが一つの細胞(例えば、酵母細胞または哺乳動物細胞)の中に持ち込まれる
と、融合タンパク質の一方がトランスアクチベータードメインをもち、他方の融
合タンパク質がDNA結合ドメインをもつようになる。したがって、必須ポリペプ
チドが、試験ポリペプチド(すなわち、候補抗菌物質)に結合すると、転写因子
を再構築する。転写因子の再構築は、転写因子のDNA結合ドメインが結合するDNA
配列に作動可能なように結合している遺伝子(すなわち、レポーター遺伝子)の
発現を検出することによって検出することができる。さまざまなツー・ハイブリ
ッド法を実施するためのキットが市販されている(例えば、カリフォルニア州パ
ロアルト(Palo Alto, CA)にあるクローンテック社(Clonetech)から)。
【0128】 別のアッセイ法の一例であって、唯一のアッセイ法ではないものにおいては、
必須ポリペプチドの涸渇に対してアップレギュレートまたはダウンレギュレート
によって応答するプロモーターが、上記したように、レポーター遺伝子(例えば
、β-ガラクトシダーゼ、gus、またはGFP)に結合している。そして、このレポ
ーター遺伝子抗生物質を含む細菌菌株を試験化合物に曝す。必須ポリペプチド(
または、必須ポリペプチドが関与する必須経路中の別のポリペプチド)を阻害す
る化合物が、必須ポリペプチドの涸渇をもたらし、それによって、レポーター遺
伝子発現のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションをもたらす。
本明細書に記載されているポリペプチドは、細菌の生存にとって必須であるため
、このようなアッセイ法において必須ポリペプチドを阻害する化合物は抗菌物質
であり、望ましい場合には、さらに、従来からある感受性アッセイ法によってテ
ストすることができる。
【0129】 上記の方法を、多数の試験化合物の高速スクリーニングするために用いて、候
補抗菌物質を同定することができる。試験化合物を候補抗菌物質として同定した
ところで、望ましい場合には、インビトロまたはインビボ(例えば、齧歯類など
の動物モデル系を用いて)での細菌の増殖阻害について、この候補抗菌物質をさ
らにテストすることができる。このような方法の変法で、当技術分野において既
知の別法を用いて、試験化合物として用いられた核酸(例えば、DNAまたはRNA)
が、yphC、yqjK、またはそれらのホモログまたはオルソログに結合することがで
きるかをテストすることができる。
【0130】 インビトロでは、酵素阻害アッセイ法、または細菌の全細胞増殖阻害アッセイ
法など、当業者に既知の方法によって行うことができる。例えば、寒天希釈法に
よって、細菌増殖を阻害する物質が同定される。試験化合物を連続希釈して、微
量滴定用プレートを調製し、この調製液に所定量の増殖用基質を加えて、細菌の
調製液を提供する。例えば、細菌培養液の光学的密度の変化を観察して、細菌の
増殖阻害を測定する。
【0131】 例えば、細菌細胞の(試験化合物の存在下または非存在下で)増殖率、または
絶対的な増殖量を比較して、細菌の増殖阻害を明らかにする。阻害とは、上記の
測定値の一つが、少なくとも20%減少することなどである。特に強力な試験化合
物は、増殖率をさらに(例えば、少なくとも25%, 30%, 40%, 50%, 75%, 80%, ま
たは90%まで)低下させるかもしれない。
【0132】 齧歯類(例えば、マウス)とウサギの細菌感染動物モデルが当業者に知られて
おり、そのような動物モデル系は、人間の患者における治療効果の指標として、
抗菌物質をスクリーニングするためのものとして認められている。典型的なイン
ビボアッセイ法では、例えば、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)など
の細菌を吸入させて、細菌の病原性菌株に動物を感染させてから、通常の方法お
よび基準を用いて、哺乳動物が細菌感染を受けていると診断する。そして、体重
当たり1〜100 mg/kgの用量で、候補抗菌物質を哺乳動物に投与してから、この哺
乳動物を観察して、病気が改善した徴候を見る。または、哺乳動物に細菌を感染
させる前に、その哺乳動物に試験化合物を投与することができ、このように処理
された哺乳動物が感染に抵抗することができるかを測定する。当然であるが、試
験化合物の存在下で得られた結果を、試験化合物による処理を受けていない対照
用動物における結果と比較する。哺乳動物への候補抗菌物質の投与は、例えば、
下に記載されているようにして行うことができる。
【0133】薬学的製剤 治療には、薬学的に有効な量の、抗菌物質を含む組成物を、治療を必要とする
患者に投与し、それによって、患者における細菌増殖を阻害することが含まれる
。このような組成物は、典型的には、体重あたり約0.1から90%(1から20%、また
は1から10%など)の本発明に係る抗菌物質を、薬学的に許容される担体の中に含
んでいる。
【0134】 経口投与のための組成物の固形製剤は、コーンスターチ、ゼラチン、ラクトー
ス、アカシア、蔗糖、微晶質セルロース、カオリン、マンニトール、リン酸二カ
ルシウム、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、またはアルギン酸など、適当な担
体または賦形剤を含むことができる。用いることのできる崩壊剤には、微晶質セ
ルロース、コーンスターチ、グリコール酸ナトリウムスターチ、およびアルギン
酸などがあるが、これらに限定はされない。用いることのできる錠剤結合剤には
、アカシア、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリ
ビニルピロリドン(ポビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、蔗糖、
デンプン、およびエチルセルロースなどがある。用いることのできる潤滑剤には
、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、シリコン液、タルク、蝋、油、お
よびコロイド状シリカなどがある。
【0135】 水またはその他の水性賦形剤の中で調製される、経口投与のための組成物の液
体製剤は、メチルセルロース、アルギン酸、トラガカントゴム、ペクチン、ケル
ギン(kelgin)、カラゲーニン、アカシア、ポリビニルピロリドン、およびポリ
ビニルアルコールなど、さまざまな懸濁剤を含むことができる。また、この液体
製剤は、活性組成物とともに、湿潤剤、甘味料、着色料および調味料を含む、溶
剤、乳化剤、シロップ剤、およびエリキシルを含むことができる。治療すべき哺
乳動物の肺に吸入させるための常法によって、さまざまな液体製剤および粉末製
剤を調製することができる。
【0136】 組成物の注射用製剤は、植物油、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミ
ド、エチル乳酸、エチル炭酸、イソプロピルミリスチン酸、エタノール、ポリオ
ール(グリセロール、プロピレングリコール、液状ポリエチレングリコールなど
)など、さまざまな担体を含むことができる。静脈注射用には、化合物の水溶性
のものを、点滴法によって投与することができ、それによって、抗菌物質、およ
び生理学的に許容できる賦形剤を含む薬学的製剤が注入される。生理学的に許容
できる賦形剤には、例えば、5%デキストロース、0.9%食塩水、リンゲル溶液、ま
たはその他の適当な賦形剤が含まれよう。適当な可溶性塩の形になった化合物の
滅菌製剤である筋肉内用の調製剤を、注射用の水、0.9%食塩水、または5%グルコ
ース溶液などの中に溶解して、投与することができる。適当な不溶型組成物は、
水性ベース、または、長鎖脂肪酸のエステル(例えば、エチルオレイン酸)など
の薬学的に許容される油性ベースの中で懸濁剤として調製して、投与することが
できる。
【0137】 局所用半固形軟膏製剤は、典型的には、薬学的なクリームベースの中に約1か
ら20%、例えば、5から10%の濃度の活性成分を含んでいる。局所用のさまざまな
製剤には、活性成分とさまざまな支持体、および賦形剤を含む滴剤、チンキ剤、
ローション剤、乳剤、溶剤、および軟膏などがある。
【0138】 各薬学的製剤中の抗菌物質の至適割合は、製剤自体、および、具体的な病理に
おいて望まれる治療効果、ならびに関連する治療法によって変化する。抗菌物質
の適正投与量は、医学分野における当業者が、病気が改善または阻害されたとい
う徴候を哺乳動物で観察し、投薬量、および/または治療頻度を望ましいように
増加または減少して、容易に決定することができる。細菌感染によって生じる症
状、または細菌感染が一因となっている症状を治療するために用いられる抗菌化
合物の至適量は、投与形態、患者の年齢および体重、ならびに治療すべき患者の
症状によって変わりうる。一般的には、抗菌化合物は、体重当たり1〜100 mg/kg
の用量で、また、典型的には、体重当たり1〜10 mg/kgの用量で投与される。
【0139】他の態様 また、本発明は、yphCポリペプチドとyqjKポリペプチドの生物学的活性、例え
ば、GTPaseまたはスルファターゼ活性を一つ以上保持している、上述のポリペプ
チドの断片、変異体、類似体、および誘導体を特徴とする。天然に存在する変異
体、および天然には存在しない変異体が、本発明の範囲に含まれる。図1および3
に示された天然の必須遺伝子の配列と比較すると、変異体をコードする塩基配列
は、1個以上の置換、欠失、または付加を持っている可能性がある。好適な変異
体は、例えば、相補試験法によって判定するところによれば、必須ポリペプチド
の機能を保持している。
【0140】 本発明を、その詳細な説明に関して述べてきたが、上記の説明は、例示を意図
したもので、添付した特許請求の範囲によって定義されている本発明の範囲を制
限しようとするものではないことを理解されるべきである。この他の態様、利点
、および改変も、特許請求の範囲に含まれる。例えば、試験化合物とタンパク質
との相互作用を検出したり、細菌増殖の阻害を検出したりする他の既知のアッセ
イ法を、必須遺伝子、遺伝子産物、ならびにそれらのホモログおよびオルソログ
とともに用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、肺炎連鎖球菌株由来のyphCポリペプチドならびにyphC遺
伝子のコード鎖および非コード鎖のアミノ酸および核酸配列を図示したものであ
る(それぞれ配列番号:2、1および3)。
【図2】 図2A〜2Bは、肺炎連鎖球菌株由来のyphCポリペプチドならびにyp
hC遺伝子のコード鎖および非コード鎖の完全長のアミノ酸および核酸配列を図示
したものである(それぞれ配列番号:5、4および6)。
【図3】 図3は、肺炎連鎖球菌株由来のyqjKポリペプチドならびにyqjK遺
伝子のコード鎖および非コード鎖のアミノ酸および核酸配列を図示したものであ
る(それぞれ配列番号:8、7および9)。
【図4】 図4A〜4Bは、枯草菌株由来のB-yphCポリペプチドならびにB-yphC
遺伝子のコード鎖および非コード鎖のアミノ酸および核酸配列を図示したもので
ある(それぞれ配列番号:11、10および12)。
【図5】 図5A〜5Bは、大腸菌株由来のyfgKポリペプチドならびにyfgK遺伝
子のコード鎖および非コード鎖のアミノ酸および核酸配列を図示したものである
(それぞれ配列番号:14、13および15)。
【図6】 図6は、枯草菌株由来のB-yqjKポリペプチドならびにB-yqjK遺伝
子のコード鎖および非コード鎖のアミノ酸および核酸配列を図示したものである
(それぞれ配列番号:17、16および18)。
【図7】 図7は、大腸菌株由来のelaCポリペプチドおよび遺伝子のアミノ
酸および核酸配列を図示したものである(それぞれ配列番号:20、19および21)
【図8】 図8は、肺炎連鎖球菌における必須遺伝子の標的欠失(targeted
deletion)のために用いるDNA分子を作製するために用いたPCR戦略の模式図であ
る。
【図9】 図9は、肺炎連鎖球菌において必須遺伝子の標的欠失物を作製す
るために用いた戦略の模式図である。
【図10】 図10は、枯草菌においてyphCおよびyqjKの非極性遺伝子欠失(
non-polar gene deletion)を作製するために用いた戦略の模式図である。
【図11】 図11A〜11Cは、yphCおよびyqjK遺伝子の条件的ヌル変異体を作
製するために用いた戦略の模式図である。
【図12】 図12は、大腸菌において必須遺伝子を欠失させるために用いた
一般的戦略の模式図であり、肺炎連鎖球菌yphC遺伝子のオルソログである大腸菌
yfgK遺伝子の必須表現型を示している。
【手続補正書】
【提出日】平成12年5月23日(2000.5.23)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正内容】
【0070】 (B.)CmR遺伝子の増幅のために用いたプライマー、ならびにyphC ORFに直に
隣接するプライマーBおよびCは、「万能重複配列(universal overlapping sequ
ence)」と呼ばれる27ヌクレオチドの連鎖を含む。これらの万能重複配列はPCR
増幅において効率的に使用可能であり、融合PCR反応における種々の挿入配列の
使用を容易にする。耐性マーカー、プロモーター、調節要素または任意の核酸配
列はこのような重複配列を用いて増幅可能であり、遺伝子除去プライマーの同一
セット(プライマーA、B、CおよびD)とともに用いることができる。5'重複領域
に関する配列は5' CACAGGAAACAGC TATGACCATGATTA 3'(配列番号:32)であり、
3'重複領域に関する配列は5' GAAATAAATGCATCTGTATTTGAATG 3'(配列番号:33
である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0074
【補正方法】変更
【補正内容】
【0074】 (F.)図10に示されているプライマーの配列は以下の通りであった:プライマ
ーRa(5' CACAGGAAACAGCTATGACCA TGATTAAACTAAAGCACCCATTAGTTCA 3'(配列番号
:34))、これはCmRプロモーターの上流の配列とハイブリダイズした;プライ
マーRb(5' CATTCAAATACAGATGCATTTTATTTCCTCATATTATAAAAGCCAGTCATT 3'(配列
番号:35))、これは転写終結因子に隣接して位置する配列とハイブリダイズし
た;プライマーA-YPHC(5' GCCATTGCGTTTGAAAG 3'(配列番号:36));プライ
マーA-YQJK(5' TGCTTCGCCGATTTCTT 3'(配列番号:37);プライマーB-YPHC(5
' TAATCATGGTCATAGCTGTTTCCTGTGTATGAAAAGAAACCCTTCAGAG 3'(配列番号:38))
、これはyphC開始コドンに隣接して位置する;プライマーB-YQJK(5' TAATCATGG
TCATAGCTGTTTCCTGTGCATACCG AACGCCTTTCTT 3'(配列番号:39))、これはyqjK
開始コドンに隣接して位置する;プライマーC-YPHC(5' GAAATAAATGCA TCTGTATT
TGAATGTTTTAGAAAACCGAATCAGAGA 3'(配列番号:40))、これはyphC停止コドン
に隣接して位置する;プライマーC -YQJK(5' GAAATAAATGCATCTGTATTTGAATGAATA
GCGTGGCGGCATA 3'(配列番号:41))、これはyqjK停止コドンに隣接して位置す
る;プライマーD-YPHC(5' ATTCAGATCGAATACTCCTG 3'(配列番号:42));およ
びプライマーD-YQJK(5' AAAGCGGGCAAAGCAGA 3'(配列番号:43))。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/15 C12N 1/19 4H045 1/19 1/21 1/21 C12Q 1/02 5/10 1/18 C12Q 1/02 1/68 A 1/18 G01N 33/15 Z 1/68 33/50 P G01N 33/15 Z 33/50 33/68 C12N 15/00 ZNAA 33/68 5/00 A (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CR, CU,CZ,DE,DK,DM,EE,ES,FI,G B,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL ,IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ, LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,M G,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT ,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL, TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN,Y U,ZA,ZW (72)発明者 グズマン ルツ−マリア アメリカ合衆国 マサチューセッツ州 ボ ストン アソル ストリート 52 Fターム(参考) 2G045 AA40 FB02 FB03 FB04 4B024 AA01 AA11 BA07 BA31 BA80 CA03 GA11 HA11 4B063 QA06 QQ06 QQ21 QQ42 QQ52 QR32 QR48 QR69 QS24 4B065 AA49Y AA90X AA91X AA93X CA24 CA44 CA45 CA46 4C084 DC50 MA17 MA28 MA34 MA52 MA63 MA66 ZB352 4H045 AA10 AA11 AA30 BA10 CA11 DA89 EA50 FA72 FA74

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配列番号:1、配列番号:4、または配列番号:7と少なくと
    も85%同一である単離核酸分子。
  2. 【請求項2】 核酸分子が、 図1に示される配列番号:2のアミノ酸配列を含むyphCポリペプチド、 図2A〜2Bに示される配列番号:5のアミノ酸配列を含むyphCポリペプチド、また
    は、 図3に示される配列番号:8のアミノ酸配列を含むyqjKポリペプチドをコードする
    、請求項1記載の単離核酸分子。
  3. 【請求項3】 (1)図1に示されている配列番号:1の配列、またはその縮
    重変異配列、 (2)図1に示されている配列番号:1の配列、またはその縮重変異配列において
    、TがUに置換された配列、 (3)(1)および(2)の配列に相補的な核酸配列、 (4)長さが少なくとも15塩基対であり、配列番号:2のポリペプチドをコードす
    るゲノムDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、(1)、(2)
    および(3)の配列の核酸断片、 (5)図2A〜2Bに示されている配列番号:4の配列、またはその縮重変異配列、 (6)図2A〜2Bに示されている配列番号:4の配列、またはその縮重変異配列にお
    いて、TがUに置換された配列、 (7)(5)および(6)に相補的な核酸 (8)図3に示されている配列番号:7の配列、またはその縮重変異配列、 (9)配列番号:7の配列、またはその縮重変異配列において、TがUに置換された
    配列、 (10)(8)および(9)の配列に相補的な核酸配列、および (11)長さが少なくとも15塩基対であり、配列番号:8のポリペプチドをコード
    するゲノムDNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、(8)、(9
    )および(10)の配列の核酸断片 からなる群より選択される核酸配列を含む単離核酸分子。
  4. 【請求項4】 長さが少なくとも15塩基対であり、配列番号:1または配列
    番号:4とストリンジェントな条件下でハイブリダイズする単離核酸分子。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の核酸分子を含むベクター。
  6. 【請求項6】 外因性的に導入された請求項1、2、または3記載の核酸分子
    を含む宿主細胞。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の核酸分子によってコードされる単離ポリペプ
    チド。
  8. 【請求項8】 下記の段階を含む、抗菌物質を同定するための方法: (a)yphCポリペプチドまたはyqjKポリペプチドを試験化合物と接触させる段階
    、および、 (b)試験化合物とyphCポリペプチドまたはyqjKポリペプチドとの相互作用を検
    出する段階であって、相互作用があることによって、試験化合物が抗菌物質であ
    ることが示される段階。
  9. 【請求項9】 下記の段階をさらに含む、請求項8記載の方法: (c)ポリペプチドと相互作用する試験化合物が細菌の増殖を阻害するか否かを
    、ポリペプチドと相互作用する試験化合物の非存在下で培養した細菌の増殖と比
    較して判定する段階であって、増殖阻害によって、試験化合物が抗菌物質である
    ことが示される段階。
  10. 【請求項10】 ポリペプチドが非病原性細菌株に由来する、請求項8記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 ポリペプチドが病原性細菌株に由来する、請求項8記載の
    方法。
  12. 【請求項12】 試験化合物が、ポリペプチド、リボ核酸、小分子、および
    デオキシリボ核酸からなる群より選択される、請求項8記載の方法。
  13. 【請求項13】 請求項8記載の方法によって同定された抗菌物質と、薬学
    的に許容される賦形剤とを含む薬学的製剤。
  14. 【請求項14】 治療上有効な量の請求項13記載の薬学的製剤を生物に投与
    することを含む、生物において細菌感染を治療するための方法。
  15. 【請求項15】 生物がヒトである、請求項14記載の方法。
  16. 【請求項16】 請求項7記載のポリペプチドに特異的に結合する抗体。
  17. 【請求項17】 試験化合物に接触したポリペプチドの機能低下を検出する
    ことによって相互作用が検出される、下記の段階をさらに含む請求項8記載の方
    法: 接触したポリペプチドの機能を低下させる試験化合物が細菌の増殖を阻害するか
    否かを、接触したポリペプチドの機能を低下させる試験化合物の非存在下で培養
    した細菌の増殖と比較して判定する段階であって、増殖阻害によって、試験化合
    物が抗菌物質であることが示される段階。
  18. 【請求項18】 下記の段階を含む、抗菌物質を同定するための方法: (a)yphCまたはyqjKをコードする核酸を試験化合物に接触させる段階、および
    (b)試験化合物と核酸との相互作用を検出する段階であって、相互作用がある
    ことによって、試験化合物が抗菌物質であることが示される段階。
  19. 【請求項19】 下記の段階をさらに含む、請求項18記載の方法: (c)核酸と相互作用する試験化合物が細菌の増殖を阻害するか否かを、核酸と
    相互作用する試験化合物の非存在下で培養した細菌の増殖と比較して判定する段
    階であって、増殖阻害によって、試験化合物が抗菌物質であることが示される段
    階。
  20. 【請求項20】 下記の段階を含む、抗菌物質を同定するための方法: (a)yphCポリペプチドまたはyqjKポリペプチドのオルソログを試験化合物に接
    触させる段階、および (b)試験化合物とオルソログとの相互作用を検出する段階であって、相互作用
    があることによって、試験化合物が抗菌物質であることが示される段階。
  21. 【請求項21】 下記の段階をさらに含む、請求項20記載の方法: (c)オルソログと相互作用する試験化合物が細菌の増殖を阻害するか否かを、
    オルソログと相互作用する試験化合物の非存在下で培養した細菌の増殖と比較し
    て判定する段階であって、増殖阻害によって、試験化合物が抗菌物質であること
    が示される段階。
  22. 【請求項22】 オルソログが、B-yphC、B-yqjK、yfgK、およびelaCからな
    る群より選択される請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 オルソログが病原性細菌に由来する、請求項21記載の方法
  24. 【請求項24】 下記の段階を含む、抗菌物質を同定するための方法: (a)yphCポリペプチドまたはyqjKポリペプチドのオルソログを試験化合物に接
    触させる段階、 (b)試験化合物に接触したオルソログの機能低下を検出する段階、および (c)接触したオルソログの機能を低下させる試験化合物が細菌の増殖を阻害す
    るか否かを、接触したオルソログの機能を低下させる試験化合物の非存在下で培
    養した細菌の増殖と比較して判定する段階であって、増殖阻害によって、試験化
    合物が抗菌物質であることが示される段階。
  25. 【請求項25】 オルソログが、B-yphC、B-yqjK、yfgK、およびelaCからな
    る群より選択される請求項24記載の方法。
  26. 【請求項26】 下記の段階を含む、抗菌物質を同定するための方法: (a)yphCまたはyqjKのオルソログをコードする核酸を試験化合物に接触させる
    段階、および (b)試験化合物と核酸との相互作用を検出する段階であって、相互作用がある
    ことによって、試験化合物が抗菌物質であることが示される段階。
  27. 【請求項27】 下記の段階をさらに含む、請求項26記載の方法: (c)核酸と相互作用する試験化合物が細菌の増殖を阻害するか否かを、核酸と
    相互作用する試験化合物の非存在下で培養した細菌の増殖と比較して判定する段
    階であって、増殖阻害によって、試験化合物が抗菌物質であることが示される段
    階。
  28. 【請求項28】 オルソログが、B-yphC、B-yqjK、yfgK、およびelaCからな
    る群より選択される請求項27記載の方法。
  29. 【請求項29】 肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)に感染した哺
    乳動物を治療するための方法において、肺炎連鎖球菌に感染した哺乳動物の体内
    で、yphCポリペプチドまたはyqjKポリペプチドの機能を阻害することを含む方法
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