JP2002531074A - フロースルーハイブリダイゼーションのための方法及び装置 - Google Patents

フロースルーハイブリダイゼーションのための方法及び装置

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JP2002531074A JP2000584111A JP2000584111A JP2002531074A JP 2002531074 A JP2002531074 A JP 2002531074A JP 2000584111 A JP2000584111 A JP 2000584111A JP 2000584111 A JP2000584111 A JP 2000584111A JP 2002531074 A JP2002531074 A JP 2002531074A
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ランバート,ステファン,エム.
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    • C12Q1/6837Enzymatic or biochemical coupling of nucleic acids to a solid phase using probe arrays or probe chips

Abstract

(57)【要約】 本発明は、効率的かつ迅速に、しかも特異的に核酸を捕獲し、最適に回収するための基体及び装置、並びにそれらの使用方法を提供する。該基体は多孔性であり、その上に標的核酸とハイブリダイズすることができる捕獲ポリヌクレオチドが固定されている。標的核酸を含むまたは含むと予想されるサンプルを多孔性基体の中を通過させると、標的核酸がすみやかに捕獲される。捕獲後、標的核酸はその後の使用のために効率よく回収することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】1. 関連出願の相互参照 本出願は、1998年11月25日に出願された出願番号 (アトーニー番号9584-00
3-999)の部分継続出願であり、前記出願の内容は引用によりその全体を本明細書
の一部とする。
【0002】2. 発明の分野 本発明は核酸のフロースルー捕獲及び任意の回収のための方法及び装置に関す
る。
【0003】3. 発明の背景 核酸ハイブリダイゼーション、すなわち相補的な配列である核酸鎖の二本鎖ハ
イブリッドを形成する能力は、生物科学における最も強力な分析法の1つである
。今日最も広く用いられているハイブリダイゼーション技術の1つは、サザンに
よって発見された「サザンブロット」法である(Southern, 1975, J. Mol. Biol.
98:503-507)。この方法では、標的変性DNAをニトロセルロースまたはナイロン
膜のようなフィルターあるいは膜に固定する。その後、固定された標的DNAの領
域に相補的な標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含むバッファー中、標的
とプローブがハイブリダイズする条件下で膜をインキュベートする。洗浄工程の
後、標識を検出することによりハイブリダイゼーションの有無を判定し、検出が
陽性であることがハイブリダイゼーションの存在を示す。上記の方法は、固定さ
れたRNA標的についても使用されている。RNAについて使用される場合、この方法
は「ノーザンブロッティング」と呼ばれる。
【0004】 サザン及びノーザンブロッティングは強力な方法であるが、いくつかの欠点を
有する。第1に、これらの方法は、多数の配列を同一の膜での一回の実行により
同時に分析するためには使用することができず、すなわち異なるプローブにより
ハイブリダイゼーションを繰り返す時間のかかる手順を行わなければならない。
第2に、利用可能な膜は一般に、100bp未満の標的核酸断片について高い固定化
効率を提供することができない。第3に、ハイブリダイゼーション速度論が遅く
、プローブ及び標的がハイブリダイズした複合体を形成するためには数時間ある
いは数日さえかかる場合も多い。さらに、サザン及びノーザン法は、その後の使
用のために膜から標的核酸を効率的に回収することができないという欠点を有す
る。
【0005】 サザン及びノーザン法で観察される遅いハイブリダイゼーション速度論は、3
つの主要な要因により引き起こされると思われる。第1に、膜全体がハイブリダ
イゼーション溶液で覆われていなければならないので、固定された標的DNAある
いはRNAにハイブリダイズするのに利用できるプローブの濃度は非常に低い。ハ
イブリダイゼーションの速度論は2分子の衝突プロセスによって支配されるので
、希薄なプローブ濃度は、プローブが標的DNAまたはRNAを「発見」し、ハイブリ
ダイズする速度に大きく影響する。第2に、プローブ溶液の大半はインキュベー
ション過程の間に膜と接触しない。これは有効なプローブ濃度をさらに低下させ
、さらに、標的が当初二本鎖であった場合、ハイブリダイゼーションが起こるの
より速い速度で標的鎖が再アニールする可能性が増加する。第3に、大部分の標
的核酸は膜内の孔中に固定されており、従ってハイブリダイゼーションのために
接近できない。このように、ハイブリダイゼーション速度論は、プローブが膜の
孔中に拡散しなければならないことによりさらに遅くなる。
【0006】 最近、DNAまたはRNAを配列決定するためにハイブリダイゼーションを使用する
ことができると考えられている。Lysovらによって最初に記載されたハイブリダ
イゼーション法による配列決定(「SBH」)は、規定された配列を有する短いオリ
ゴヌクレオチドプローブのセットを利用してより長い鎖の標的DNAまたはRNA上の
相補的な配列を探索する。その後、ハイブリダイゼーションパターンを使用して
標的DNAまたはRNAの配列を再構築する(Lysov et al., 1988, Dokl. Acad. Nauk
SSSR 303:1508-1511; Bains & Smith, 1988, J. Theor. Biol. 135:303-307; Dr
manac et el., 1989, Genomics 4:114-128; Strezoska et al., 1991, Proc. Na
tl. Acad. Sci. USA 88:10089-10093; Drmanac et al., 1993, Science 260:164
9-1652も参照)。
【0007】 SBHの出現以来、プローブの固定されたセットを製造するための多くの新しい
技術が出現した。例えばサザンらは、オリゴヌクレオチドプローブ合成を行う溶
液チャネリング装置を使用してガラスプレートに共有結合により結合された256
のオクタヌクレオチドのアレイを製造している(Southern et al., 1992, Genomi
cs 13:1OO8-1017)。各部位におけるプローブの内容が既知であるので、アレイ全
体を一回のアッセイにおいて同時に標的核酸とハイブリダイズさせることができ
、ハイブリダイゼーションパターンによりすべての相補的なプローブの実体が直
接明らかになる。
【0008】 同様の脈絡で、Peaseらは、光保護されたヌクレオシドホスホルアミダイト及
び光を使用して、空間的に接近可能な形態でガラス基体上に256のオクタヌクレ
オチドの小型アレイを合成することを記載している(Pease et al., 1994, Proc.
Natl. Acad. Sci. USA 91:5022-5026)。得られる小型アレイは1.28 x 1.28 cm
の大きさであり、合成するために16の反応サイクルと4時間の時間しか要しない
。サザンのアレイと同様に、この小型アレイは標的核酸と同時にハイブリダイズ
させてすべての相補的なプローブの内容を明らかにすることができる。
【0009】 Dubileyらは、顕微鏡用スライドの表面上に配列されたポリアクリルアミドゲ
ルパッド内に予備合成されたオリゴヌクレオチドを固定することにより製造され
たオリゴヌクレオチドマイクロチップの使用について記載している(Dubiley et
al., 1997, Nucl. Acids Res. 25(12):2259-2265)。このマイクロチップは配列
分析(Yershov et al., 1996, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:4913-4918)、変
異分析(Drobyshev et al, 1997, Gene 188:45-52)及び微生物の同定に使用され
ている。
【0010】 上記のプローブアレイとのハイブリダイゼーションは、サザン及びノーザンブ
ロッティング法に少なくとも2つの長所をもたらす。第1に、各プローブは基体上
の個別の部位に結合されるので、標的DNAまたはRNAは、複数のプローブとのハイ
ブリッドを形成する能力について一回の実験でアッセイすることができる。第2
に、ハイブリダイズした複合体は容易に分離することができ、標的核酸は後の使
用のために回収できる。しかしこれらの方法はやはり浸漬ハイブリダイゼーショ
ン法に依るものであり、すなわち基体全体を標的核酸を含むハイブリダイゼーシ
ョン溶液に浸漬しなければならないので、ハイブリダイゼーションの速度論は遅
い。標的核酸の濃度及び長さにより、ハイブリダイズした複合体の形成には数時
間あるいは数日のオーダーの期間さえ要し得る。さらに、これらの方法は大容量
のハイブリダイゼーションバッファーを必要とし、従って相当多量の標的核酸を
要する。
【0011】 高い特異性で二本鎖を生じるという核酸の能力により、ハイブリダイゼーショ
ンはサンプルから標的核酸を捕獲するためにも使用されている。そのような方法
は、サンプルが標的核酸を含んでいるかどうかを判定するため、サンプル中の標
的核酸の量を定量するため、あるいは関連する核酸あるいは無関係な核酸の混合
物から標的核酸を分離するために使用することができる。この目的のために、対
象の標的核酸にハイブリダイズすることができる捕獲ポリヌクレオチドが、捕獲
アッセイに使用するための様々な基体及び支持体上に固定されている。
【0012】 例えば、捕獲ポリヌクレオチドは、いくつか例を挙げると、標準的な96-ウェ
ルマイクロタイタープレートのウェル内(Rasmussen, et al., 1991, Anal. Chem
. 198:138-142)、活性化デキストラン(Siddell, 1978, Eur. J. Biochem. 92:62
1-629)、ジアゾ化セルロース支持体(Bunneman et al., 1982, Nucl. Acids Res.
10:7163-7180; Noyes and Stark, 1975, Cell 5:301-310)、ポリスチレンマト
リックス(Wolf et al., 1987, Nucl. Acids Res. 15:2911-2926)およびガラス(M
askos & Southern, 1992, Nucl. Acids Res. 20:261-266)等に固定される。しか
しこれらの系では非常に貧弱な拡散特性しか得られず、遅く非効率的なハイブリ
ダイゼーションとなってしまう。
【0013】 一つには、利用可能な固定化支持体の遅いハイブリダイゼーション速度論を克
服するために、当分野ではビーズ上に捕獲ポリヌクレオチドを固定することも試
みられており、ミクロン未満のラテックス粒子(Wolf et al., 1987, 前掲)、ア
ビジンを被覆したポリスチレンビーズ(Urdea et al., 1987, Gene 61:253-264)
、磁気ビーズ(Jakobson et al., 1990, Nucl. Acids Res. 18:3669)等が挙げら
れる。しかし、ビーズ、特に磁気ビーズは取り扱いが困難であり、その場合、ビ
ーズを保持するための精巧な分離場所、及び正確な液体の取り扱いにより溶液か
らビーズが失われないようにすることが必要である。
【0014】 当分野では、ビーズをカラムに充填することにより非磁気ビーズの操作の問題
を克服することが試みられているが、そのようなカラムはビーズを保持するため
の独特なフリットあるいは膜を使用することなしには容易に製造することはでき
ない。さらに、そのようなビーズを充填したカラムは上記した「浸漬」法よりも
好ましいハイブリダイゼーション速度論を示すが、その速度論は最適なものとは
到底いえず、またハイブリダイゼーション溶液を通過させる場合にカラムは大き
な逆圧を示し、これはビーズの緻密な充填によるものである可能性が最も高い。
【0015】 最近、浸漬ハイブリダイゼーション法の不利な速度論を克服するように設計さ
れたフロースルーハイブリダイゼーション装置が考案されている。この装置は、
膜上に固定された捕獲ポリヌクレオチドを利用している。流体が膜を通過する際
にハイブリダイゼーション反応が起こる。そのような装置の1つにおいては、UV
照射あるいは特異的結合相手、例えばビオチンを使用して捕獲ポリヌクレオチド
をナイロンあるいはニトロセルロース膜上に固定している(EP O 605 828 A1)。
別の同様な装置では、アミノ基で5'-末端を修飾した捕獲ポリヌクレオチドをBio
dyneTM C膜のカルボキシル基に共有結合により結合している(米国特許第5,741,6
47号)。それぞれの装置において、標的核酸を含む液体サンプルが膜を通過する
際に迅速なハイブリダイゼーションが観察されている(すなわち数分のオーダー)
【0016】 しかし、これらのフロースルー装置に欠点がない訳ではない。使用される膜は
非常に小さな孔(約0.1〜0.45μm)を有し、中程度のフロースルー速度によってさ
えも装置中にかなりの逆圧を生じる。さらに、小さな孔サイズにより閉塞が起こ
り、これにより装置の逆圧がさらに増加し、膜の破損さえ起こり得る。
【0017】 閉塞の問題は装置の有用性を大きく制限する。例えば、タンパク質、炭水化物
、RNA、DNA配列決定鋳型等の細胞汚染物あるいは大分子汚染物は膜の孔を閉塞さ
せてしまうので、これらの汚染物を含むサンプルから核酸を捕獲するためには使
用することができない。
【0018】 また、上記装置は核酸捕獲に使用することはできるものの、回収効率が低すぎ
て、PCR断片、RNA、制限酵素消化されたDNA断片の回収のような捕獲後の回収を
必要とする用途においては有用なものではない。
【0019】 上記に示したように、迅速かつ効率的で、しかも高度に特異的な標的核酸の捕
獲をもたらし、さらに捕獲された核酸をその後の使用のために回収できる、使用
が容易な基体についての必要性が当分野において残されている。従って、これら
が本発明の目的である。
【0020】4. 発明の概要 その他の目的を含めこれらの目的は本発明により達成されるものであり、本発
明は1つの形態において、核酸を迅速かつ効率的及び特異的に捕獲し、任意に回
収するための装置を提供する。その最も広義の意味においては、本発明の装置は
、多孔性基体を含み、多孔性基体はその上に固定された捕獲ポリヌクレオチドを
有し、捕獲ポリヌクレオチドは典型的には捕獲ポリヌクレオチドの5'または3'-
末端と多孔性基体上の反応性基との間の共有結合により、1以上のリンカーを使
用してまたは使用せずに固定されている。高いフロースルー速度を得るため、多
孔性基体は、通常1μm〜250μmの平均孔径と約25%〜約80%の多孔率を有する。固
定された捕獲ポリヌクレオチドの密度あるいは表面濃度は、好ましくは約2×10- 19 〜2×10-15 nmol/nm2の範囲である。多孔性基体は場合により、クロマトグラ
フィーカラム、スピンカラム、注射器胴体、ピペット、ピペットチップ、96-ま
たは384-ウェルプレート、マイクロチャンネル、毛細管などのようなハウジング
中に配置され、これにより多孔性基体中の液体の通過が助けられる。
【0021】 使用においては、捕獲ポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができる標
的核酸を含むかあるいは含むと考えられるサンプルを、標的核酸及び捕獲ポリヌ
クレオチドがハイブリダイズする条件下で多孔性基体に通過させる。非常に驚く
べきことに、効率的なハイブリダイゼーションが生じるためには、1分未満、典
型的にはわずか3〜15秒のオーダーでサンプルを多孔性基体に接触させるのみで
よいことが判明した。但し、より長い接触時間を使用してもよい。任意の洗浄工
程の後、ハイブリダイゼーションの有無を判定することができる。
【0022】 本発明の1つの実施形態においては、ハイブリダイゼーションの存在は、例え
ば蛍光または化学発光のような、ハイブリダイゼーションにより生じた検出可能
な信号の存在について多孔性基体を分析することにより判定される。本発明の別
の実施形態においては、ハイブリダイゼーションの存在は、ハイブリダイズした
複合体を分離し、分離された標的核酸を回収し、分離された標的核酸の存在を検
出することにより判定される。
【0023】 本発明のフロースルーハイブリダイゼーション装置は広範な用途に使用するこ
とができ、サンプル中の特定の標的核酸の存在あるいは量に関する知見が求めら
れる用途、あるいは特定の標的核酸の捕獲が求められる用途等に使用することが
できる。従って、別の態様においては、本発明は、前記フロースルーハイブリダ
イゼーション装置を使用してサンプル中に標的核酸が存在するかどうかを判定す
る方法を提供する。該方法は一般に以下の工程を含む。
【0024】 (a)その上に固定された、標的核酸にハイブリダイズすることができる捕獲ポリ
ヌクレオチドを有する多孔性基体を用意し、 (b)標的核酸を含むことが考えられるサンプルを、標的核酸と捕獲ポリヌクレオ
チドがハイブリダイズする条件下で多孔性基体に通過させ、 (c)ハイブリッドの存在を検出し、陽性の検出がサンプルが標的核酸を含むこと
を示すものとする。
【0025】 別の態様においては、本発明は、サンプル中に存在する標的核酸を捕獲する方
法を提供する。該方法は一般に以下の工程を含む。
【0026】 (a)その上に固定された、標的核酸にハイブリダイズすることができる捕獲ポリ
ヌクレオチドを有する多孔性基体を用意し、 (b)標的核酸を含むあるいは含むと推測されるサンプルを、標的核酸と捕獲ポリ
ヌクレオチドがハイブリダイズする条件下で多孔性基体に通過させ、それにより
標的核酸を捕獲する。捕獲後、ハイブリダイズした複合体を分離することにより
任意に標的核酸を回収することができ、例えば配列決定のようなその後の方法に
使用することができる。
【0027】 さらに別の態様においては、本発明は種々の捕獲用途用のキットを提供する。
一般に該キットは、対象の標的核酸にハイブリダイズすることができる捕獲ポリ
ヌクレオチドがその上に固定された本発明の三次元多孔性基体、及び特定のアッ
セイを行うために有用な1以上のその他の試薬または構成要素を含んでなる。あ
るいは、該キットは、反応性官能基で活性化された三次元多孔性基体及び活性化
された多孔性基体と共有結合を形成することができる基により修飾された捕獲ポ
リヌクレオチド、または活性化された基体上で捕獲ポリヌクレオチドを合成する
ための手段、例えばヌクレオシドホスホロアミダイト及び/またはその他のDNA
もしくはRNA合成反応体または試薬を含むことができる。前記キットに含めるこ
とができる任意の構成要素としては、基体をその中に配置することができるハウ
ジング、配列決定鋳型及び標的核酸から配列決定ラダーを生成するためのジデオ
キシヌクレオチド試薬及び酵素、核酸を増幅するためのポリメラーゼ及びプライ
マー、多孔性基体と標的核酸との間隔を保持するリンカー、及び配列決定、増幅
及び/またはその他の核酸用途に有用なバッファー及び試薬が挙げられる。
【0028】5. 図面の説明 図面の説明については、後述の[図面の簡単な説明]の節を参照されたい。
【0029】6. 詳細な説明 本発明は、迅速かつ効率的に、しかも特異的に標的核酸をサンプルから捕獲し
、場合により回収することができるフロースルー基体及び装置、及び該フロース
ルー基体及び装置を種々の生物学的用途に使用する方法を提供する。発明の背景
の項に記載したように、標的核酸の捕獲に有用なフロースルーハイブリダイゼー
ション装置は最近開発されている。しかしこれらの装置は典型的には従来のナイ
ロン及びニトロセルロースハイブリダイゼーション膜を利用しており、いくつか
の重大な制限がある。
【0030】 例えば、これらの装置中で使用される膜は通常非常に小さな孔径(約0.1μm以
下のオーダー)を有し、非常に薄い(典型的には160μm)。従って、それらは本質
的に「二次元」フィルターとして機能し、その結果非常に小さなサンプル容量と
なっている。さらに、一つの理由としてそれらの小さな孔径により膜中の流速が
制限され、サンプル中に存在する細胞あるいは大分子汚染物(例えば、タンパク
質、炭水化物、RNA、大きな配列決定鋳型など)により容易に閉塞されてしまい、
種々の生物学的用途におけるその有用性が著しく制限されている。
【0031】 さらに、一旦捕獲されると、標的核酸は後の使用のために膜から効率的に回収
することができない。従って、前記の装置はハイブリダイゼーションに基づいた
核酸精製及び回収に有用でない。結局、これらのフロースルー装置を使用する方
法は実行することが困難で手間がかかり、熟練した技術者、特別な取り扱い手順
及び貯蔵条件を必要とするものである。
【0032】 このように、上記のようなフロースルー装置は核酸を迅速に捕獲するために使
用することができるものの、熟練した作業者によって多大の注意を払って扱われ
ることを要するばかりでなく、捕獲された標的核酸の効率的な回収を要する用途
(例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって増幅された配列の回収、もしくは
ハイブリダイゼーション配列決定ラダーの捕獲)、またはサンプルが細胞あるい
は大分子汚染物を含む場合の用途においては使用することができない。
【0033】 非常に驚くべきことに、特定の多孔性基体をフロースルーハイブリダイゼーシ
ョン法と組合せて使用することにより上記問題が解決されることが今回見出され
た。重要なこととして、特定の多孔性基体を使用することにより、標的核酸が効
率的かつ非常に迅速に非常に高い特異性をもって捕獲できることが今回見出され
た。さらに、一旦捕獲された後の標的核酸は後の使用のために多孔性基体から効
率的かつ定量的に回収することができる。
【0034】6.1 本発明 以下により詳細に記載するように、本発明の多孔性基体は、変形せず、使用時
に固体のままであり(すなわち核酸の合成、脱保護及び固定に使用される溶媒に
溶解せず、核酸をハイブリダイズ及び/または変性させるのに使用される温度で
溶融しない)、捕獲ポリヌクレオチドの固定化に十分な多数の反応性基により誘
導化または活性化することができる任意の材料あるいはそのような材料の混合物
からなるものとすることができる。適切な材料の例としては、例えば、アクリル
、スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、エチレン/アクリル酸、アクリロニト
リル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ABS/ポリカーボネート、ABS/ポリスルホン、A
BS/ポリ塩化ビニル、エチレン・プロピレン、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ナイロ
ン(ナイロン6、ナイロン6/6、ナイロン6/6-6、ナイロン6/9、ナイロン6/10、ナ
イロン6/12、ナイロン11及びナイロン12を含む)、ポリアクリロニトリル(PAN)、
ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(低密度、線状低密度、高密度、
架橋、超高分子級のものを含む)、ポリプロピレンホモポリマー、ポリプロピレ
ン共重合体、ポリスチレン(汎用及び高衝撃性のものを含む)、ポリテトラフルオ
ロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレン/プロピレン(FEP)、エチレン-テトラフロ
オルエチレン(ETFE)、パーフルオロアルコキシエチレン(PFA)、ポリフッ化ビニ
ル(PVA)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTF
E)、ポリエチレン-クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)、ポリビニルアルコール
(PVA)、シリコン・スチレン-アクリロニトリル(SAN)、スチレン無水マレイン酸(
SMA)、金属酸化物およびガラス等が挙げられる。好ましい材料は高密度あるいは
超高分子量ポリエチレンである。
【0035】 その名称が示すように、多孔性基体は多孔性である。好ましくは、平均孔径及
び多孔率は、多孔性基体をハウジング内に配置してサンプルを加圧してアプライ
する際において有意な逆圧を生じることなく、高速のフロースルーを可能とする
のに十分大きいものである。この点においては、1μm〜250μmの平均孔径を有す
る多孔性基体が非常に良好に機能し、約10μm〜100μmの平均孔径を有するもの
が好ましいことが判った。
【0036】 サンプルのフロースルー速度ならびに基体の表面積、および結果としてこの基
体上に固定化され得る捕獲ポリヌクレオチドの密度がこの因子に部分的に左右さ
れるため、物質の選択にはその多孔性もまた重要である。一般に、上記の孔径を
有する多孔性基体では多孔率が約25%〜80%間でかなり効果的に目的を果たすこと
がわかった。
【0037】 当業者には明らかなように、孔径と多孔率の数多くの組合せを用いて本発明の
多孔性基体を得ることができる。有利なハイブリダイゼーション速度論(以下で
記載)に達しうるためには、固定化された捕獲ポリヌクレオチドが一定密度に達
しなければならないため、捕獲ポリヌクレオチドの固定化に先立ち、約6.7×10- 17 〜9.0×10-15nmol/nm2間の反応基の活性化表面積を与え得る孔径と多孔率の組
合せを選択すべきである。
【0038】 当技術分野で用いられる他のフロースルー膜に対し、本発明のフロースルー基
体の利点の1つはその「三次元」性である。通常のフロースルーハイブリダイゼ
ーション装置で用いる約100〜200μmのオーダーの厚さを有するナイロンおよび
ニトロセルロース膜とは全く異なり、本発明の多孔性基体は典型的には0.5〜20m
mの範囲、またはそれ以上の厚さを有する。このように、当技術分野の二次元フ
ィルターのように機能する膜とは異なり、本発明の多孔性基体はむしろ三次元カ
ラムのように機能し、そのため当技術分野で用いられる膜よりも有意に高いサン
プル収容能力を有している。
【0039】 選択される実際の厚さは、一部、基体を構成するポリマー材料の特性、使用す
る特定の用途およびサンプルの粘性に依存する。好ましくは多孔性基体が対象と
するサンプルの加圧アプライの下で変形しない厚さを選択する。特定の用途に対
する最適な性能のために多孔性基体の厚さを調整することは当業者には十分に可
能な範囲にある。
【0040】 当技術分野で十分に公知な、製織、焼結、物理的結合、粉体充填および接着な
どの通常の製作工程を使用して適当な材料から必要な平均孔径、多孔率および厚
さを有する多孔性基体を都合良く作製することができる。例えば、約0.1μm〜約
3000μmの範囲の平均径を有するポリマー、ガラスまたは金属酸化物の粒子を一
緒に焼結させて上記の特性を有する多孔性三次元巨視的網状組織を形成すること
ができる。
【0041】 また、好適な平均孔径および多孔率を有する材料は商業的に入手可能であり、
好適な厚さのものも入手可能であり、または好適な厚さをもつスラブ、ストリッ
プ、ディスクまたは他の都合のよい形状のものに切ってもよい。商業的に入手可
能な好適な基体としては、例えばPorex Technologies, Fairburn, GAから入手可
能な超高分子量多孔性焼結ポリエチレン膜(平均孔径 6μm〜130μm;厚さ 1/
16”〜1/4”;多孔率 30〜50%);GenPore Division of General Polymeric Co
rporation, Reading, PAから入手可能な高密度ポリエチレンならびに非架橋ポリ
スチレン焼結膜(平均孔径 6μm〜130μm;厚さ 1/16”〜1/4”;多孔率 30
〜50%);DeWal Industries, Saunderstown, RIから入手可能な多孔性焼結プラ
スチックファイバー膜(平均孔径 10μm〜100μm;厚さ 0.005”〜0.125”;
多孔率 30〜50%)が挙げられる。好ましい多孔性基体はPorex Technologies, F
airburn, GA から入手可能な、平均孔径15μm〜40μm、厚さ1/8”および多孔率4
6%を有する多孔性焼結ポリエチレン膜(カタログ番号 porex 4925またはporex 4
901)である。
【0042】 捕獲ポリヌクレオチドはこの基体上に固定化される。捕獲ポリヌクレオチドの
唯一の必要条件は、それが所望のハイブリダイゼーションアッセイ条件下で標的
核酸の領域とハイブリダイズし得ることである。言い換えると、捕獲ポリヌクレ
オチドは特定の用途における必要条件に依存して、標的核酸の領域と少なくとも
部分的に相補的でなければならない。以下でさらに詳細に記載するように、捕獲
ポリヌクレオチドは、高ストリンジェント条件下で洗浄する際、極めて特異的に
標的核酸とハイブリダイズするように標的核酸の領域と100%相補的であることが
好ましい。
【0043】 捕獲ポリヌクレオチドはすべてデオキシリボヌクレオチド、もしくはすべてリ
ボヌクレオチドよりなってもよいし、またはデオキシリボヌクレオチドとリボヌ
クレオチドの混合物よりなっていてもよい。しかしながら、そのRNアーゼおよび
高温に対する安定性、ならびにその合成の容易さから、すべてがデオキシリボヌ
クレオチドよりなった捕獲ポリヌクレオチドが好ましい。
【0044】 捕獲ポリヌクレオチドはあらゆる天然ヌクレオチド塩基もしくはあらゆる合成
ヌクレオチド塩基、またはその双方の組合せよりなってもよい。捕獲ポリヌクレ
オチドはほとんどの場合、すべて天然塩基(A、C、G、TまたはU)よりなるが、特
定の状況では、合成塩基の使用が好ましい場合もある。さらに、捕獲ポリヌクレ
オチドの主鎖は典型的にはすべて「天然の」ホスホジエステル結合よりなってい
るが、1以上のホスホロチオエート、ホスホロアミダイトまたは他の改変結合な
どの1以上の改変結合を含んでいてもよい。具体的な例としては、捕獲されるポ
リヌクレオチドはアミド間結合を含むペプチド核酸(PNA)でもよい。本発明に関
連して用いることのできる改変塩基および主鎖のさらなる例、ならびにそれらの
合成方法については、例えばUhlman & Peyman, 1990, Chemical Review 90 (4):
544-584; Goodchild, 1990, Bioconjugate Chem. 1 (3): 165-186; Egholmら,
1992, J. Am. Chem. Soc. 114: 1895-1897; Gryaznovら J. Am. Chem. Soc. 116
: 3143-3144、ならびに上記で引用したすべての参考文献に見いだすことができ
る。
【0045】 捕獲ポリヌクレオチドは多くの場合、ヌクレオチドに隣接したストレッチであ
るが、必ずしもそうである必要はない。ヌクレオチドのストレッチは標的核酸と
の配列特異的塩基対合相互作用に関係のない1以上のリンカー分子により妨げら
れ得る。リンカー分子は所望の用途により軟質、半硬質または硬質であってよい
。ある分子を別の分子または固体表面から間隔をおいて配置するのに有用な種々
のリンカー分子が当技術分野において記載されている(以下でさらに詳細に記載
する);これらのリンカー分子すべてを用いて捕獲ポリヌクレオチドの領域間に
互いに距離をおくことができる。本発明のこの態様の好ましい実施形態では、リ
ンカー部分は1〜10、好ましくは2〜6のアルキレングリコール部分、好ましくは
エチレングリコール部分である。
【0046】 捕獲ポリヌクレオチドの長さはいずれの数のヌクレオチドでもよいが、典型的
には穏やかな温度での効率的かつ特異的ハイブリダイゼーションが可能になると
同時に二次構造の発生を最小限にするヌクレオチド数よりなる。一般に、捕獲ポ
リヌクレオチドは約7〜40ヌクレオチド、典型的には約10〜約25ヌクレオチド、
好ましくは約15〜約20ヌクレオチドよりなる。
【0047】 捕獲ポリヌクレオチドはPCR反応または他の鋳型特異的反応により生じた、ま
たは合成により作製した生物学的サンプルから単離できる。合成ポリヌクレオチ
ドの合成および精製方法のように、生物学的サンプルおよび/またはPCR反応物
からポリヌクレオチドを単離する方法は当技術分野では公知である。生物学的サ
ンプルおよび/またはPCR反応物から単離された捕獲ポリヌクレオチドは所望の
固定化様式により、以下でさらに詳細に記載するように、3’もしくは5’末端、
または1以上の塩基における改変を必要とする。さらに、捕獲ポリヌクレオチド
は標的核酸とハイブリダイズ可能でなければならないので、まだ一本鎖でない場
合には多孔性基体上への固定化前または後のいずれかにおいて好ましくは一本鎖
にすべきである。
【0048】 捕獲ポリヌクレオチドは広範な種類の手法を用いて多孔性基体上へ固定化する
ことが可能である。例えば、捕獲ポリヌクレオチドを基体に吸着させるか、そう
でなければ非共有結合させてもよいし;それを基体と共有結合させてもよいし;
またはその結合をビオチンとストレプトアビジンなどの特異的結合対により媒介
してもよい。これらの方法のうち共有結合が好ましい。
【0049】 共有結合をなし遂げるために、まず基体を活性化して、すなわち捕獲ポリヌク
レオチドと反応して共有結合をもたらし得る反応基が基体上または基体内に形成
するように処理する。所望の反応基が捕獲ポリヌクレオチドと多孔性基体との結
合に用いられる化学作用と多孔性基体の組成によることは当業者には明らかであ
ろう。捕獲ポリヌクレオチドと多孔性基体との共有結合を達成するのに有用な典
型反応基としては、ヒドロキシル(-OH)、スルホニル(-SH)、アミノ(-NH2)、エポ
キシおよびカルボキシル(-COOH)基が挙げられる;しかしながら、当業者には明
らかなように他の反応基を用いてもよく、またそれらも本発明の範囲内にある。
【0050】 本発明の多孔性基体の重要な特徴は、高密度の反応基によりそれが活性化され
ることである。特に、反応基の密度または表面濃度が極めて低い場合、多孔性基
体上に固定化された捕獲ポリヌクレオチド量は、検出可能な量の標的核酸とハイ
ブリダイズするには不十分である;反応基の密度または表面濃度が極めて高い場
合、反応基は立体的に捕獲ポリヌクレオチドの固定化用には利用できず、かつ/
または固定化された捕獲ポリヌクレオチドは極めて密に充填され、ハイブリダイ
ゼーションが立体的に妨害されうる。
【0051】 さらに、いずれの特定の動作理論に拘束されるものではないが、固定化された
捕獲ポリヌクレオチドの密度または表面濃度が観察されるハイブリダイゼーショ
ン速度論において重要な役割を果たしていると考えられる−固定化された捕獲ポ
リヌクレオチドの高い密度または表面濃度は、本発明の基体で観察される極めて
迅速かつ非常に効率的なハイブリダイゼーション捕獲が原因の一部であると考え
られる。
【0052】 固定化された捕獲ポリヌクレオチド量は活性化した多孔性基体上の反応基量と
関連しているため、活性化した多孔性基体上の反応基の密度または表面濃度が本
明細書に記載される多孔性基体により達成される最終的なハイブリダイゼーショ
ン速度論において重大な役割を果たしている。
【0053】 一般に、約6.7×10-17nmol/nm2〜約9.0×10-15nmol/nm2の反応基で活性化した
多孔性基体で良好な結果、すなわち極めて迅速なハイブリダイゼーション速度論
(5〜15秒のオーダー)が得られる捕獲ポリヌクレオチド量が得られ、その上に
検出可能な量のハイブリダイズした標的核酸が容易に固定化される。典型的には
、活性化多孔性基体は約1.34×10-16nmol/nm2〜約6.7×10-15nmol/nm2の反応基
、好ましくは約2×10-16nmol/nm2〜約3.4×10-15nmol/nm2の反応基を含む。
【0054】 多様なタイプの基体材料上に適当な密度または表面濃度の反応基を形成させる
種々の手法が当技術分野では公知であり、例えば化学的活性化法、コロナ放電活
性化法、火炎処理活性化法、ガスプラズマ活性化法およびプラズマ増強化学蒸着
法(PECUD)が挙げられる。上記のように十分な密度または表面濃度の反応基が
達成されるならば、これらの手法のいずれを用いても本発明の多孔性基体を活性
化することができる。いずれの様式の活性化法によって達成される反応基濃度も
形成される特定の基についての標準法により求めることができる。例えば、活性
化した多孔性基体と、定量可能なシグナルを提供するリポーター部分とを反応さ
せてもよい。限定されるものではないが、例えば放射性標識を担持した部分、蛍
光性標識を担持した部分および基体から分離した場合に、例えば蛍光および/ま
たは吸光度分光法などの通常の分光手法により都合良く定量し得る部分が挙げら
れる。
【0055】 多孔性基体は三次元構造であるためにそれに結合したリポーター分子からのシ
グナルが消滅し得ることがわかった。それゆえ、支持体と結合したリポーター部
分により反応基を定量する際にはγ線放出放射性同位元素(例えば、125I)など
の容易には消滅しないシグナルを発する部分を選択すべきである。さらに好まし
くは切断可能なリポーター部分を用いる。
【0056】 ヒドロキシル基の定量に有用な切断可能なリポーター部分の一例としてジメト
キシトリチル(DMT)がある。ヒドロキシル基で活性化した多孔性基体を常法によ
り塩化ジメトキシトリチルまたは他のDMT含有分子(例えば、5’-ODMT-3’-ヌク
レオシドホスホロアミダイト)と反応させる。次いでDMT基を常法(例えば、ジ
クロロメタン中3%トリクロロ酢酸)により基体から切断し、切断したDMTを吸光
度により定量する。
【0057】 他のタイプの反応基の定量に有用な好適な切断可能なリポーター部分および/
または活性化した多孔性基体上の反応基うぃ定量するための他の方法については
、当業者には明らかであろう。
【0058】 十分な密度の反応基により、本発明の多孔性基体を活性化するのに用いること
のできる多様な手法の総説については、the Wiley Encyclopedia of Packing Te
chnology, 2d Ed., Brody & Marsh, Ed., “Surface Treatment,” pp. 867-874
, John Wiley & Sons (1997)、およびそこで引用される参考文献を参照(以下こ
れらを“Surface Treatment”と称する)。酸化珪素基体上にアミノ基を形成す
る好適な化学的方法については、Atkinson & Smith, “Solid Phase Synthesis
of Oligodeoxyribonucleotides by the Phosphite Triester Method, “In: Oli
gonucleotide Synthesis: A Practical Approach, M J Gait, Ed., 1984, IRL P
ress, Oxford, 詳しくはpp. 45-49(およびそこで引用される参考文献);酸化
珪素基体上にヒドロキシル基を形成する好適な化学的方法については、Peaseら,
1994, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91: 5022-5026(およびそこで引用される
参考文献);ポリスチレン、ポリアミドおよびグラフトポリスチレンなどのポリ
マー上に官能基を形成する化学的方法については、Lloyd-Williamsら, 1997, Ch
emical Approaches to the Synthesis of Peptides and Proteins, Chapter 2,
CRC Press, Boca Raton, FL(およびそこで引用される参考文献)に記載されて
いる。
【0059】 上記の密度または表面濃度の反応基を種々の基体材料上に再現可能に形成し得
る能力から、本発明の多孔性基体を活性化する特に好ましい方法はプラズマ活性
化法である。プラズマは、使用中に極めてよく制御されかつ特性評価されたフリ
ーラジカル、電子および中性種を含有する半イオン化ガスであり、高度に再生可
能なものである。プラズマ活性化法の利点は、プラスチックの表面層が数Åしか
改変されないため、プラスチックの大部分の機械的かつ物理的特性が変化しない
ことである。さらに、プラズマ活性化法は極めて用途が広く、同じ基体を用いて
広範な種類の表面官能基、濃度および構造が調査できる。
【0060】 一般に、プラズマ活性化法には活性化しようとするプラスチックを排気したチ
ャンバーに配置する必要がある。所望の圧力においてプロセスガスをチャンバー
に供給し、チャンバー全体に高周波(RF)エネルギーを加えることによりプラズマ
を発生させる。プラズマは共有結合を破壊してプラスチック構造の表面にあるポ
リマー分子と反応し得る励起ガス種(電子、原子、分子、イオンおよびフリーラ
ジカルを含む)を含有している。
【0061】 ガスの組成ならびにガス圧、加えたRFエネルギーレベルおよび時間などのプロ
セス変数が得られた表面の組成に強く影響を及ぼしている。プラスチック基体の
表面反応性は、プラズマチャンバーから除去した後でさえも、活性化表面が活性
化表面と反応し得るさらなる試薬への暴露によっても機能化され得るに十分にほ
どに永続する。ヒドロキシル、アミノおよびカルボキシル反応基をはじめとする
捕獲ポリヌクレオチドの固定化に好適な反応基で多様なタイプの基体材料を活性
化するためにプラズマを用いる広範な種類の手法が存在する。その方法として、
特に架橋および活性化が挙げられる(例えば、Surface Treatment、前掲、pp. 8
70-872、およびそこで引用される参考文献を参照)。いずれの入手可能な当技術
分野で公知なプラズマ活性化法、または後に見出されたプラズマ活性化法も本発
明の多孔性基体の活性化に使用することができる。
【0062】 種々の多孔性基体をヒドロキシル基で活性化する好適な方法については米国特
許第5,700,559号に記載されており、Metroline Industries, Inc.(Corona, CA)
からも入手可能である。ポリエチレン多孔性基体をカルボキシル基またはアミン
基で活性化する好適な方法については実施例の章で提供する。
【0063】 一度活性化すれば、捕獲ポリヌクレオチドを多孔性基体上に固定化することが
できる。本発明の1つの実施形態では、捕獲ポリヌクレオチドをin situにおいて
活性化した多孔性基体上に直接、化学合成する。直接的化学合成を行う場合、合
成および/または脱保護中の捕獲ポリヌクレオチドの減損を回避するため、捕獲
ポリヌクレオチドと多孔性基体間に形成される共有結合が合成および脱保護条件
に対して実質的に安定したものでなければならないことは当業者には理解される
であろう。かかる安定した結合の1つとして、ポリヌクレオチド内で種々のヌク
レオチドを連結しており、かつ公知の化学作用により都合良く形成し得るホスホ
ジエステル結合がある(例えば、Gait, Oligonucleotide Synthesis: A Practic
al Approach, 1984, IRL Press, Oxford, England参照)。ヒドロキシルで活性
化した多孔性基体とともに使用するのに好適なその他の安定した結合として、ホ
スホロチオエート、ホスホロアミダイト、または他の改変核酸間結合が挙げられ
る。アミノ基で改変した多孔性基体では、その結合はホスホロアミダイト、アミ
ドまたはペプチド結合であってよい。多孔性基体をエポキシ官能基で活性化させ
る場合には、安定したC-N結合が形成される。かかる安定した結合の形成に好適
な試薬および条件については当技術分野では公知である。
【0064】 特に都合のよい1つの実施形態では、商業的に入手可能なホスホロアミダイト
合成試薬および標準オリゴヌクレオチド合成化学を用いて、捕獲ポリヌクレオチ
ドをヒドロキシルで活性化した多孔性基体上に直接合成する。この様式では、捕
獲ポリヌクレオチドはその3’末端を介してホスホジエステル結合により多孔性
基体に共有結合する。多孔性基体の大きさが許容される場合には、商業的に入手
可能な自動シンセサイザーを使用して捕獲ポリヌクレオチドを活性化した多孔性
基体上に直接合成してもよい。
【0065】 多孔性基体に共有結合した捕獲ポリヌクレオチドの密度は、基体上に所望の数
の合成基を提供するのに十分な量の第1のシントン(例えば、N-保護5’-O-ジメ
トキシトリチル-2’-デオキシリボヌクレオチド-3’-O-ホスホロアミダイト)を
加え、さらに基体上の未反応のどのヒドロキシル基をもキャッピング試薬(例え
ば、1,4-ジアミノピリジン;DMAP)でキャッピングすることによりうまく制御す
ることが可能である。過剰のヒドロキシルをキャッピングした後、5’-ヒドロキ
シルを保護しているトリチル基を除去して、捕獲ポリヌクレオチドの合成が通常
通り行える。よって、その吸光率の高さから、便宜には除去したトリチル基を用
いてUV/vis分光法により活性化した基体上のポリヌクレオチド数を定量すること
ができる。合成に続いて、捕獲ポリヌクレオチドを常法により脱保護する。
【0066】 別の実施形態では、合成後または単離後の結合反応により、捕獲ポリヌクレオ
チドを活性化した多孔性基体に共有結合する。この実施形態では、その3’末端
、5末端および/または反応性官能基(例えば、エポキシ、スルホニル、アミノ
またはカルボキシル)を有するその塩基の1つを改変した予備合成または単離捕
獲ポリヌクレオチドと活性化した多孔性基体とを縮合反応により結合させて共有
結合を形成する。また、アミド、ホスホジエステルおよびホスホロアミダイト結
合などの実質的に安定な(すなわち、不安定でない)共有結合が好ましい。合成
ポリヌクレオチドの3’および/または5’末端を改変するための、または反応基
で改変した塩基を合成ポリヌクレオチドに組み込むための有用な合成支持体およ
び合成試薬は当技術分野では公知であり、商業的にも入手可能である。
【0067】 例えば、5’を改変したオリゴヌクレオチドの合成方法については、Agarwalら
, 1986, Nucl. Acids Res. 14: 6227-6245およびConnelly, 1987, Nucl. Acids
Res. 15: 3131-3139に記載されている。5’-アミノ改変オリゴヌクレオチド合成
用の商業的に入手可能な製品として、Clontech Laboratories, Inc., Palo Alto
, Californiaから入手可能なN-TFA-C6-AminoModifer(商標)、N-MMT-C6-AminoM
odifer(商標)およびN-MMT-C12-AminoModifer(商標)試薬が挙げられる。
【0068】 3’を改変したオリゴヌクレオチドの合成方法については、Nelsonら, 1989, N
ucl. Acids Res. 17: 7179-7186およびNelsonら, 1989, Nucl. Acids Res. 17:
7187-7194に記載されている。3’-改変オリゴヌクレオチドの合成用の市販の製
品として、Clontech Laboratories, Inc., Palo Alto, Californiaから入手可能
な3’-Amino-ON(商標)制御孔ガラスおよびAmino Modifer II(商標)試薬が挙
げられる。
【0069】 オリゴヌクレオチドの3’および/または5’末端を改変する、ならびに適当に
改変した塩基を含有するオリゴヌクレオチドを合成するその他の方法については
、Goodchild, 1990, Bioconjugate Chem. 1: 165-186、およびそこで引用した参
考文献において提供される。かかる改変オリゴヌクレオチドと適当な反応基で活
性化した基体とを結合する化学作用については当技術分野では公知である(例え
ば、Ghosh & Musso, 1987, Nucl. Acids Res. 15: 5353-5372;Lundら, 1988, N
ucl. Acids Res. 16: 10861-10880;Rasmussenら, 1991, Anal. Chem. 198: 138
-142;Kato & Ikada, 1996, Biotechnology and Bioengineering 51: 581-590;
Timofeevら, 1996, Nucl. Acids Res. 24: 3142-3148;O’Donnellら, 1997, An
al. Chem. 69: 2438-2443参照)。
【0070】 生物学的サンプルから単離したポリヌクレオチドの末端を改変するおよび/ま
たは反応基で改変した塩基を発生期のポリヌクレオチドに組み込む方法および試
薬についても当技術分野では公知であり、商業的に入手可能である。例えば、単
離したオリゴヌクレオチドは、5’末端をホスホロキナーゼでリン酸化し、この
リン酸化したオリゴをアミノ活性化多孔性基体上にホスホロアミダイトまたはホ
スホジエステル結合により共有結合することができる。その他の方法については
当業者には明らかであろう。
【0071】 本発明の便宜な1つの実施形態では、3’または5’末端を1級アミノ基で改変
した捕獲ポリヌクレオチドとカルボキシル活性化した多孔性基体とを結合する。
カルボキシルとアミノ基とのカルボキサミド結合の形成に好適な化学作用につい
ては、ペプチド化学の分野では公知である(例えば、Atherton & Sheppard, Sol
id Phase Peptide Synthesis, 1989, IRL Press, Oxford, EnglandおよびLloyd-
Williamsら, Chemical Approaches to the Synthesis of Peptides and Protein
s, 1997, CRC Press, Boca Raton, FLおよびそこで引用される参考文献参照)。
これらの方法のいずれを用いてもアミノ改変した捕獲ポリヌクレオチドとカルボ
キシル活性化した多孔性基体とを結合することができる。
【0072】 好ましい実施形態では、カップリング試薬としてN,N,N’,N’-テトラメチル(
スクシンイミド)ウロニウムテトラフルオロボレート(“TSTU”) を用いてカル
ボキサミド結合を形成する。TSTUでカルボキサミドを形成するための、核酸とと
もに使用できる反応条件については、Knorrら, 1989, Tet. Lett. 30 (15): 192
7-1930;Bannworth & Knorr, 1991, Tet. Lett. 32 (9): 1157-1160;およびWil
chekら, 1994, Bioconjugate Chem. 5 (5): 491-492に記載されている。好まし
い反応条件については実施例で記載する。
【0073】 捕獲ポリヌクレオチドの、その3’または5’末端を介した多孔性基体上への固
定化の選択は特定の用途に依存する。捕獲および配列決定または増幅(例えば、
PCR)などのさらなるプロセッシングのためのそれに続く放出には3’の固定化が
好ましい。基体上での捕獲および直接増幅には5’の固定化が好ましい。診断用
途では、固定化する末端は標的の選択に依存する。
【0074】 活性化した基体上に直接合成されようと、合成後または単離後に、活性化した
基体上に固定化されようと、場合により捕獲ポリヌクレオチドを1以上のリンカ
ーで多孔性基体から間隔を置いて配置することができる。当業者には明らかなよ
うに、かかるリンカーは少なくとも二官能性である。すなわち、それらは活性化
した基体との結合を形成し得る1つの官能基または部分と、別のリンカー分子ま
たは捕獲ポリヌクレオチドとの結合を形成し得るもう1つの官能基または部分を
有することになる。リンカーは特定の用途により、長いものまたは短いもの、軟
質または硬質、荷電または非荷電、疎水性または親水性でありうる。
【0075】 特定の状況において、かかるリンカーを用いてある官能基を別のものに「変換
」し得る。例えば、アミノ活性化多孔性基体を、例えば3-ヒドロキシ-プロピオ
ン酸との反応によりヒドロキシル活性化多孔性基体へと変換できる。このように
、特定の反応性官能基で容易に活性化できない基体材料を適当に活性化された多
孔性基体へと都合良く変換することができる。かかる反応基の「変換」に好適な
化学作用および試薬については公知であり、有機化学分野の当業者には明らかで
あろう。
【0076】 また要すれば、リンカーを用いて活性化した多孔性基体上の反応基数を増やす
、または「増幅する」こともできる。この実施形態では、リンカーは3以上の官
能基を有している。活性化した基体と官能基の1つにより結合した後、残る2以上
の基を捕獲ポリヌクレオチドの結合に利用することができる。基体を化学的に活
性化した場合には、この方法で活性化した多孔性基体上の官能基数を増幅するこ
とは特に便宜である。一般に、基体をプラズマにより活性化した場合には、増幅
する必要はない。反応基数を増幅する試薬については、非常に公知であり、当業
者には明らかであろう。特に便宜な種類の増幅試薬は、商標名DENACOL(商標)(
Nagassi Kasei Kogyo K. K.)で販売される多官能価エポキシドである。これらの
エポキシドは、4、5、またはさらにそれ以上のエポキシ基を含んでおり、それら
を用いて、例えばヒドロキシル、アミノおよびスルホニル活性化多孔性基体を含
めた、エポキシドと反応する反応基で活性化した多孔性基体を増幅することがで
きる。便宜には、得られたエポキシ活性化基体を非常に公知な方法によりヒドロ
キシル活性化基体、カルボキシル活性化基体、またはその他の活性化基体へと変
換することができる。
【0077】 ポリヌクレオチドなどの生物学的分子を固体表面から距離をおくのに好適なリ
ンカーについては、当技術分野で非常に公知であり、限定されるものではないが
、例示としてポリプロリンまたはポリアラニンなどのポリペプチド、1-アミノ-
ヘキサン酸などの飽和または不飽和二官能価炭化水素、ポリエチレングリコール
などのポリマーなどが挙げられる。特に好ましいリンカーは、ポリエチレングリ
コール(分子量100〜1000)である:ヒドロキシル基とのホスホジエステル結合を
形成するのに有用な1,4-ジメトキシトリチル-ポリエチレングリコールホスホル
アミダイト、ならびに固体基体上での核酸合成におけるその使用法については、
例えば、Zhangら, 1991, Nucl. Acids Res. 19: 3929-3933およびDurandら, 199
0, Nucl. Acids Res. 18: 6353-6359に記載されている。ポリエチレングリコー
ルリンカーを結合するその他の方法については、当業者には明らかであろう。
【0078】 活性化した多孔性基体上に固定される捕獲ポリヌクレオチド量は、利用できる
官能基の表面密度および固定される捕獲ポリヌクレオチドの有効性に部分的に依
存すると考えられる。固定される捕獲ポリヌクレオチド量が、ハイブリダイゼー
ション速度論に影響を及ぼし得るため、2×10-19〜2×10-15nmol/nm2の範囲の固
定された捕獲ポリヌクレオチド表面密度を与える固定方法を使用すべきである。
好ましくは、固定された捕獲ポリヌクレオチド表面密度は、約6×10-17〜6×10- 16 nmol/nm2である。この密度は、放射能測定、蛍光性測定、UV吸収、または化学
的手段を含めた非常に公知な方法により求めることができる。
【0079】 幾つかの状況で放射能および蛍光などのシグナルは、基体により一部消滅する
場合があることがわかった。いずれの特殊な理論にも限定されるものではないが
、基体の三次元特徴によりシグナルが消滅していると考えられる。多孔性基体の
孔内に固定された捕獲ポリヌクレオチドの放射能または蛍光は、基体を通って進
行できず、検出可能なシグナルが得られないのであろう。
【0080】 よって好ましい実施形態では、多孔性基体上に固定される捕獲ポリヌクレオチ
ド量は、多孔性基体とハイブリダイズする標識した相補ポリヌクレオチドの量を
定量することにより求められる。かかるアッセイでは、配列特異的ハイブリダイ
ゼーションを優先し、かつ非特異的結合を回避する条件下にて、ハイブリダイゼ
ーションを起こすのに十分な時間で、既知面積の多孔性基体を飽和または過剰量
の標識した相補ポリヌクレオチドを含有する溶液に侵漬する。相補ポリヌクレオ
チドを、便宜に定量可能ないずれの種類の標識(例えば、既知の比放射能を有す
る放射性標識、フルオロホンなど)で標識することができる。さらに非特異的結
合を減少させる任意の洗浄ステップの後に、ハイブリダイゼーション複合体を、
例えば低塩条件下で二本鎖の融点(Tm)を上回る熱を加えて分裂させ、標識ポリヌ
クレオチドを回収し、定量する。これから、多孔性基体上に固定された捕獲ポリ
ヌクレオチド密度を求めることができる。
【0081】 飽和レベルの標識相補ポリヌクレオチドを用いたことを保証するために、異な
る濃度の標識ポリヌクレオチド、および各サンプルに対して得られた固定された
捕獲ポリヌクレオチド量を用いて多数のアッセイを行ってよい。その濃度の関数
として放出される標識相補ポリヌクレオチド量が達するプラトー値は、基体上に
固定された捕獲ポリヌクレオチド量である。
【0082】 ハイブリダイゼーションアッセイを用いた固定された捕獲ポリヌクレオチド量
の定量により、標識相補ポリヌクレオチドとハイブリダイズするそれらのポリヌ
クレオチド分子を単に「計算」しているだけであることは、当業者には理解され
るであろう。よって観察される値は、厳密にいえば定量的ではない。しかしなが
ら、このハイブリダイゼーションアッセイを用いた固定された捕獲ポリヌクレオ
チド量の定量には、重要な利点がある。「実在する」条件下でハイブリダイゼー
ション反応にあずかるのに有効な捕獲ポリヌクレオチド量の洞察がそれにより提
供されることが最も重要である。このように、得られた値は厳密には定量的では
ないが、固定された捕獲ポリヌクレオチド量についての本明細書におけるすべて
の参照では、上記のハイブリダイゼーションアッセイにより求められる量が挙げ
られている。
【0083】 十分量の捕獲ポリヌクレオチドを固定する好ましい方法については実施例で提
供される。
【0084】 いったん捕獲ポリヌクレオチドを多孔性基体上に固定すれば(要すれば脱保護
する)、多孔性基体を捕獲ポリヌクレオチドとハイブリダイズし得る標的核酸の
捕獲、および任意の放出に用いることができる。標的核酸は捕獲され、および/
または検出される核酸である。それは、捕獲ポリヌクレオチドのように、リボヌ
クレオチドまたはデオキシリボヌクレオチド、もしくはその混合物;天然または
合成塩基、もしくはその混合物よりなってもよく;かつ1以上の改変インターリ
ンケージ(interlinkage)を含んでいてもよい。それは二本鎖または一本鎖であ
ってよく;二本鎖の場合には、標的核酸を多孔性基体への使用に先立ち、変性さ
せることが好ましい。
【0085】 標的核酸の例として、プラスミドもしくはその一部、ゲノムDNAもしくはその
一部、亜細胞性細胞小器官由来のDNA、cDNA、メッセンジャーならびにリボソー
ムRNAが挙げられ、そのすべては、本発明に使用するために当技術分野で公知な
方法を用いて単離されかつ調製され得るものである。
【0086】 当業者には明らかなように、標的核酸を改変して、例えば捕獲後のさらなる精
製のために、または他の目的のために多孔性基体上でのハイブリダイゼーション
を検出するのに用いることのできるリポーター基を含めてもよい。有用なリポー
ター基として、放射性同位元素、蛍光団、化学発光成分、第2のリポーター基と
結合し得るリガンド(例えば、ビオチン)、比色計反応を産生し得る酵素(例え
ば、過酸化物、ジゴキシゲニン)およびその類似物が挙げられる。かかるリポー
ター基を核酸に組み込む方法および試薬は、かかるリポーター基の検出方法のよ
うに当技術分野では非常に公知である。実際に用いるリポーター基は、もちろん
所望の用途、標的核酸の量および当業者には明らかなその他の要因によるであろ
う。
【0087】 基体は単独で用いることができるが、典型的には多孔性基体を通して標的核酸
を含むハイブリダイゼーション溶液の流れを促進するハウジング内に配置してい
る。ハウジング内に配置する際には、多孔性基体をハウジングに加えるサンプル
が、多孔性基体を通過するよう、基体の周辺部全体に沿ってハウジングの内面を
合わせて封止して配置する。
【0088】 便宜なハウジングとして、例えば注射器胴体、クロマトグラフィーカラム、ス
ピンカラム、ピペット、ピペット先端、マイクロチャンネル、毛細管などが挙げ
られる。また多孔性基体を96または384ウェルまたは他の標準化マルチウェルプ
レートの内部に配置してもよいし、またはそれらの底部と置き換えてもよい。さ
らに、本発明の多孔性基体は、操作中に改変をほとんど行うことなく、既知の免
疫学的または他の既知のフロースルー装置とともに用いることができる。本発明
の基体とともに使用するための調節に好適である代表的なフロースルー装置につ
いては、例えば米国特許第4,366,241号、米国特許第4,632,901号、米国特許第4,
818,677号、米国特許第4,920,046号、米国特許第5,741,647号およびEP0 605 828
A1に記載されている。
【0089】 一般に、標的核酸を含んでいるまたは含んでいると推定されるサンプルを加え
、多孔性基体を通過させる。サンプルを加える前に、多孔性基体をバッファーで
洗浄して、多孔性基体とハイブリダイゼーションまたは捕獲のために用いる条件
とを平衡させる。また多孔性基体を変性バッファーで洗浄する、または加熱する
のいずれかにより、処理して捕獲ポリヌクレオチドのいずれの二次構造をも破壊
してもよい。
【0090】 加えるサンプル量は重大なものではないが、サンプル量は多孔性基体の空孔容
量以下が特に有効である。典型的には、サンプル量約1〜100μl、好ましくは約2
0〜60μlを、多孔性基体7mm径×3.2mm厚ディスクに加えて好結果が得られる。
【0091】 さらに、サンプルの標的核酸濃度はかなり広範囲に変化してもよいが、多孔性
基体上の捕獲部位数が捕獲されるべきサンプル中の標的核酸数を上回っているこ
とが好ましい。捕獲ポリヌクレオチドと標的核酸とのモル比約1:1〜106:1の範囲
で好結果が得られる;しかしながら、モル比約103:1が好ましい。
【0092】 サンプルを通過させ、多孔性基体に接触させるとハイブリダイゼーションが起
こる。このようにサンプルをハイブリダイゼーションが起こるのに十分な長さの
時間、多孔性基体に接触させるべきである。ハイブリダイゼーションの速度論は
、捕獲ポリヌクレオチドのGC含量、捕獲ポリヌクレオチドならびに標的核酸の長
さ、多孔性基体上に固定される捕獲ポリヌクレオチド量、サンプル中の標的核酸
濃度、サンプルの塩ならびに/もしくはバッファー条件、ハイブリダイゼーショ
ン温度などの多くの要因による。ハイブリダイゼーションが、ほとんどのハイブ
リダイゼーション条件下でほぼ即時に(すなわち、数秒)起こることがわかって
いるため、多孔性基体とともに1分間未満、実際には約5〜15秒のオーダーでイン
キュベートしたサンプルで概して好結果が得られた。
【0093】 接触過程で、サンプルを多孔性基体上にあふれさせ、次いでそこに通過させる
、または所望の接触時間を達成するに十分な流量で連続的に基体を通過させるこ
とができる。サンプルを重力下、電気泳動、電気浸透により、またはポンプ、真
空圧もしくは遠心力によって、多孔性基体を通過させることができる。
【0094】 当業者には理解されるように、達成されたハイブリダイゼーションの特異性の
程度は様々であり、他の要因のうち、サンプルの塩濃度、ハイブリダイゼーショ
ン温度、捕獲ポリヌクレオチドのGC含量、捕獲ポリヌクレオチドならびに標的核
酸の長さ、核酸の種類(例えば、RNAまたはDNA)および1つの核酸(例えば、捕
獲ポリヌクレオチド)が固定されるか否かによる。所望の特異性の程度を達成す
るためのバッファー塩濃度、ハイブリダイゼーション温度などの変数の操作は、
当業者には十分に可能な範囲にある。特定の用途に好適なハイブリダイゼーショ
ン条件を選択する指針については、例えばNucleic Acid Hybridization: A Prac
tical Approach, Hames & Higgins, Ed., IRL Press 1985に見出せる。
【0095】 標的核酸は、高ストリンジェンシー条件下(すなわち、完全相補ハイブリッド
と部分的相補ハイブリッドとを識別するハイブリダイゼーションバッファーおよ
び温度条件下)にて多孔性基体に使用してもよい。温度制御については、例えば
水浴、インキュベーターまたはヒートブロックの補助のもとに維持させることが
できる。ハイブリダイゼーションバッファー条件、温度およびハイブリダイゼー
ション時間(すなわち、多孔性基体との接触時間)の操作により、捕獲ポリヌク
レオチドと所望の程度の相同性を共有している標的核酸だけを多孔性基体上に捕
獲することができる。
【0096】 あるいは、標的核酸は中程度または低ストリンジェンシーの条件下、および例
えば高ストリンジェンシー条件下で洗浄することにより達成される所望の程度の
ストリンジェンシー条件下で多孔性基体に使用してもよい。低ストリンジェンシ
ー条件下での標的核酸と捕獲ポリヌクレオチドのハイブリダイゼーション、続い
ての中程度ないし高ストリンジェンシー条件下でのバッファーによる洗浄で概し
て好結果が得られることがわかった。高ストリンジェンシー条件下での標的核酸
のハイブリダイゼーションにより、基体との非特異的結合が減少する傾向にある
。さらに、上記のストリンジェンシー条件下で標的核酸を多孔性基体に使用する
ことで極めて迅速なハイブリダイゼーション速度論(すなわち、標的核酸と捕獲
ポリヌクレオチドとのハイブリダイゼーションが1分間未満、典型的には約5〜15
秒のオーダーで起こる)が得られることがわかった。
【0097】 さらに、以下で記載するように(第7節参照)、本発明の方法で用いることの
できるハイブリダイゼーション条件の例には、1×TETバッファー(100mM Tris-H
Cl、pH8.0、3mM EDTA、0.1% Tween(商標)-20)による基体の予備すすぎ、中程
度ストリンジェンシー条件下(562.5mM 塩化テトラメチルアンモニウム、75mM T
ris-HCl、pH8.0、2.25mM EDTA、0.075% Tween(商標)-20)、37℃で15秒〜5分
間のハイブリダイゼーション、続いての1×TETバッファー、次ぎに所望により70
%イソプロパノール水溶液による洗浄が含まれる。
【0098】 用いることのできる標準ハイブリダイゼーション条件の別の例は、600mM 塩化
テトラエチルアンモニウム(TMA)、3mM EDTA、0.03% Tween(商標)-20および100
mM Tris-HCl、pH8.0である。高塩低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション
条件の例は、800mM TMA、3mM EDTA、0.03% Tween(商標)-20および100mM Tris-
HCl、pH8.0である。減塩高ストリンジェンシーハイブリダイゼーション条件の例
は、200mM TMA、3mM EDTA、0.03% Tween(商標)-20および100mM Tris-HCl、pH8
.0である。
【0099】 漸進的により高いストリンジェンシー条件のさらなる例は次の通りである:ほ
ぼ室温で0.2×SSC/0.1% SDS(低ストリンジェンシー条件);約42℃で0.2×SSC/
0.1% SDS(中程度ストリンジェンシー条件);および約68℃で0.1×SSC(高スト
リンジェンシー条件)。洗浄をこれらの条件のうち1つだけ、例えば高ストリン
ジェンシー条件を用いて行ってもよいし、またはその条件をそれぞれ、例えば15
秒〜5分間以上、好ましくは上記に挙げた順に、列挙したステップのいずれかま
たはすべてを繰り返して用いてもよい。しかしながら、上記のように最適条件は
、関連する特定のハイブリダイゼーション反応によって様々であり、経験的に求
めることができる。
【0100】 捕獲および任意の洗浄後の多孔性基体上におけるハイブリダイゼーションの存
在または不在を調べることができる。検出様式は、標的核酸がリポーター分子を
有するか否か、およびリポーター分子の種類による。例えば、標的核酸が放射性
同位元素標識を有する場合には、標的基体を保有放射能により検出できる;標的
核酸が蛍光団標識を有する場合には、多孔性基体を蛍光性により分析できる;標
的核酸がビオチン標識を有する場合には、標的基体を標識した(例えば、蛍光性
標識)アビジンまたはストレプトアビジンとの結合能力によりアッセイできる。
実際には、いずれのリポーター基および検出体系も本発明に使用するために容易
に適応できることは当業者には理解されるであろう。多くの例では、リポーター
基の量を求めることができ、それによりサンプル中に存在する標的核酸量を求め
る。
【0101】 標的核酸がリポーター基を有していない場合には、ハイブリダイゼーションの
存在を多孔性基体と、二本鎖核酸と選択的に結合させる試薬とを接触させること
により求めることができる。特に有用な試薬として、臭化エチジウムなどのイン
ターカレーター;特に、インターカレーションにおいて誘導されたまたはシフト
された蛍光性が示される、例えばエチジウムホモ二量体などのそれらのインター
カレーターが挙げられる。その他の有用な試薬については、例えばin Haugland,
Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, latest edition,
Molecular Probes, Inc., P. O. Box 22010, Eugene, OR 97402-0469で見つける
ことができる。ハイブリダイゼーションを受けなかった多孔性基体と、同じ検出
試薬との接触により便宜な対照が得られる。ハイブリッドの量は、基体の蛍光性
強度と既知の二本鎖DNA量、好ましくはハイブリッドと同じ長さの二本鎖DNAによ
り得られたものとの比較により求めることができる。
【0102】 あるいは、ハイブリダイゼーションの存在をハイブリッドを分離してハイブリ
ダイズした標的核酸を回収することにより求めることができる。他のフィルター
およびフロースルーハイブリダイゼーション方法とはかなり異なっており、本発
明の重大な利点は、ハイブリダイズした複合体を分離して標的核酸を効率的に回
収できることである。
【0103】 便宜には、ハイブリッドを熱、または化学変性剤(例えば、7〜8M尿素、70% N
H4OH(水溶液)、ホルムアミド、NaOHおよび脱イオン水)または電気溶出により分
離することができる。回収された標的核酸は、臭化エチジウムまたは他の染色剤
、UV吸収などの通常の手段により検出できる。もちろん、標的核酸がリポーター
基を有している場合には、回収後にリポーター基を検出に用いることができる。
【0104】6.2 使用 実際には、本発明の多孔性基体を標的核酸の捕獲および/または回収が望まし
い、いずれの用途にも用いることができる。容易かつ効率的な回収を提供し得る
ため、本明細書において記載する多孔性基体を用いて、標的核酸(例えば、後に
使用するための大量の関連または関連のない配列のプールからのPCR増幅産物)
を精製することは有利である。さらに、各々がその上に固定された特異な捕獲ポ
リヌクレオチドを有する複数の多孔性基体を、複数の異なる標的核酸の同時捕獲
、またはSBH用途のために1つのハウジング内に配置してもよい。あるいは複数の
捕獲ポリヌクレオチドを1つの多孔性基体上に固定してもよい。
【0105】 さらなる使用として、後の配列決定用途の配列決定ラダーの捕獲および回収が
挙げられる。実際には、本発明の多孔性基体が、かなり大きな孔を有しているた
め、従来の膜に基づいたフロースルー装置に見られた目詰まりの問題がなく、BA
C、YACおよびゲノム配列決定鋳型などの大型の配列決定鋳型を回収して配列決定
することができる。このように、本発明の多孔性基体により、それらの大きさに
関係なく、鋳型の捕獲および後の配列決定が可能になり、その結果、従来の方法
を用いて配列決定できるものよりも長い鋳型の配列決定が可能になる。
【0106】 また多孔性基体により、実質的に装置が目詰まりすることなく、生物学的サン
プルまたは大分子混在物質を含有する他のサンプルからの核酸の捕獲および/ま
たは回収も可能になる。いったん捕獲すれば、これらの標的核酸をPCR、配列決
定、またはその他の用途に直接用いることができる。
【0107】 さらに、本発明の多孔性基体により捕獲したポリヌクレオチドの洗浄が可能に
なる。鋳型、タンパク質、dNTP、染色停止剤、捕獲されないプライマー、塩など
の他のすべての反応物またはサンプル成分を洗浄により低いレベルまで除去する
【0108】 このように当業者が認識するように、多孔性基体および多孔性基体を含む装置
を核酸のハイブリダイゼーションに基づいた捕獲、および最良の回収を含むいず
れの用途においても有利に用いることができる。
【0109】 本発明を説明してきたが、以下の実施例は本発明を説明するためのものであっ
て、限定するものではない。
【0110】7. 実施例:二本鎖配列決定ラダーの捕獲および配列決定 以下の実施例では、二本鎖配列決定反応間にプラスミドDNA領域から生成した
配列決定ラダーを選択的に捕獲するための本発明の多孔性基体の使用について実
証する。配列決定化学は、フォワードプライマーおよびリバースプライマーの双
方を同時に伸長することを除き、標準Big Dye(商標) Terminator (P. E. Appl
ied Biosystems, Foster City, CA)配列決定反応で用いるものと極めて類似して
いる。次いで配列決定解析に先立ち、生成した配列決定ラダーをフロースルー捕
獲を経て選択的に分離する。
【0111】 用いた対照鋳型は、3667塩基挿入物を有するBluescript(商標)II +/-ベクタ
ー(Stratagene, La Jolla, CA)であった。フォワードおよびリバースプライマー
の配列を図1に示す。鋳型の順および逆方向の二本鎖配列決定には、プライマー
が約1500塩基以上離れていることが必要である。短い挿入物の伸長産物は、互い
に部分的な相補性があり、そのため交差ハイブリダイゼーションを受けやすい。
両鎖がハイブリダイゼーション間に捕獲されるように、一方のプライマーの長い
方の断片ともう一方のものとの部分的アニーリングが起こると考えられる。
【0112】 下記プロトコールでは、用いたレディー反応(ready-reaction)プレミックス
濃縮物は、標準Big Dye(商標)Terminator単一反応で用いるものと同じであっ
た。プライマーをすぐ反応物に加えることのできるプレミックスとして準備した
【0113】7.1 実験プロトコール 7.1.1 プライマーの調製 図1のフォワードおよびリバース配列決定プライマーを製造業者のプロトコー
ルに従い、ABI型394 DNAシンセサイザー (P. E. Applied Biosystems, Foster C
ity, CA)により標準固相ホスホルアミダイトDNA化学を用いて調製した。分子の
リンカー部分については、DMTr-O-(CH2CH2-O)4-CH2CH2-O-ホスホルアミダイト(P
EGホスホルアミダイト)を上記のように調製し(Zhangら, 1991, 上記;Durandら,
1990, 上記)、合成中の適当な時点において標準ホスホルアミダイト試薬として
用いた。各リンカーは、2つのPEGホスホルアミダイトユニットよりなっていた。
【0114】 7.1.2 二本鎖配列決定反応 二本鎖配列決定反応は、フォワードプライマーおよびリバースプライマー(図1
)の双方を用いたことを除き、標準Big Dye(商標)Terminator(P. E. Applied B
iosystems, Foster City, CA)試薬および方法を用いて行った。二本鎖配列決定
反応には以下の試薬を入れた:
【0115】 7.1.3 3’-アミノ化捕獲ポリヌクレオチドの合成 それらの3’末端を第1アミノ基で改変したフォワード[5’-CCGTTTGCGTGAGTG
-(ペンタエチレングリコール)2-(CH2)6-NH2-3’;配列番号1]ならびにリバー
ス[5’-GTGCTCTTGGGAGAGTT-(ペンタエチレングリコール)2-(CH2)6-NH2;配列
番号2]捕獲ポリヌクレオチドを、製造業者のプロトコールに従い、ABI型394 DN
Aシンセサイザー (P. E. Applied Biosystems, Foster City, CA)により3’-ア
ミノリンカー制御孔ガラスおよび標準ホスホルアミダイト試薬を用いて合成した
。捕獲ポリヌクレオチドを切断し、水酸化アンモニウム水溶液で脱保護して逆相
HPLCにより精製した。
【0116】 7.1.4 多孔性基体のカルボキシ活性化法 多孔率40〜50%および平均孔径25〜40μmを有するポリエチレンシート(Porex
カタログ番号4901または4925)をコルク孔あけ機で7mm径の3.2mm厚ディスクに切
断し、カルボキシル基でプラズマ活性化した。活性化するため、ディスクを高周
波(RF)電極を含む真空チャンバーに配置し、ポンピングにより50ミリトル(mtor
r)まで下げた。次いでアルゴンとアクリル酸とを同時に、チャンバー内の圧力
がアルゴン:アクリル酸、およそ50:50比に相当する160〜180ミリトル(mtorr)
間に安定するまで、50sccmの割合でチャンバーに導入した。
【0117】 圧力が安定した後、3分間に13.56MHZ RFを加えてプラズマを発生させた。次い
でRFとガスを止め、チャンバーをポンピングにより50ミリトル(mtorr)まで下
げ戻した。排出後、チャンバーを3分間4% H2/96% Heでフラッシュし、いずれの
残留イオンおよびフリーラジカルをも消滅した。消滅した後に、大気圧までチャ
ンバーのガス抜きをし、カルボキシル活性化多孔性基体を取り出した。
【0118】 カルボキシル活性化多孔性基体には、エチレンジアミン、次ぎにニンヒドリン
試験で誘導して求めると、グラム当たり0.17μmolカルボキシル基が含まれてい
た。
【0119】 多孔性基体を酸素プラズマ処理、次ぎに4th State, Inc.(Belmont, CA)が開発
したアクリル酸プラズマ増強化学的蒸着法を用いる別法によりカルボキシル活性
化することもできる。この別法ではポリエチレン多孔性基体(例えば、ディスク)
を真空チャンバーに配置し、ポンピングにより60ミリトル(mtorr)まで下げた
。次いで酸素を435ワットで3分間、250sccmの割合で(公称圧力325ミリトル(mt
orr))加えた。この酸素プラズマに75sccmアルゴン(公称圧力100ミリトル(mt
orr))を加え、続けてアクリル酸を500ワットで3分間、公称圧力180〜200ミリ
トル(mtorr)まで注入する。最後に、この基体をアルゴン中、0ワットで3分間
消滅して、次いで大気圧までガス抜きをする。
【0120】 7.1.5 多孔性基体のアミノ活性化法 上記のポリエチレン基体(例えば、ディスク)を、また4th State, Inc.(Belmon
t, CA)が開発した、酸素およびアンモニアプラズマ処理を併用してアミノ基で活
性化することができる。ポンピングにより底面圧60ミリトル(mtorr)まで下げ
た後、まずポリエチレン基体を435ワットで3分間、250sccm酸素(公称圧力325ミ
リトル(mtorr))に暴露する。次いで、この基体を300ワットで6分間、250sccm
アンモニア(公称圧力325ミリトル(mtorr))に暴露する。最後に、基体をアン
モニア中、1分間消滅して(公称圧力200ミリトル(mtorr))、次いで大気圧ま
でガス抜きをする。
【0121】 7.1.6 捕獲ポリヌクレオチドの固定 カルボキシ活性化基体をそれらのNHSエステルに変換するため、カルボキシ活
性化基体(0.3g;g当たり0.17μmolカルボキシル基)を、ガラス容器に入ったTSTU
およびDMAP(各0.25μmol)を含有するDMF 1ml中に懸濁した。反応混合物を暗所に
おいて室温で5時間攪拌した。
【0122】 反応混合物を除去し、NHS-エステル-活性化基体を家庭用吸引機に取り付けた
漏斗に入れ、DMF10〜15ml、エタノール10〜15mlおよびジクロロメタン5〜10mlで
連続して洗浄した。洗浄後、基体を風乾した。
【0123】 乾燥させたNHS-エステル-活性化基体を3’-アミノ化捕獲ポリヌクレオチド(0.
6nmol/μl)を含有するリン酸ナトリウム溶液(0.1M、pH8.0)中に懸濁した。反応
物を、暗所において室温で一晩振盪した。
【0124】 結合溶液を除去してとっておいた。次いで基体を上記のような漏斗中で脱イオ
ン水10〜15mlおよび0.4N NH4OH(水溶液) 5mlで洗浄した。さらに基体をNH4OH
(水溶液)5〜10ml中、室温で5分間インキュベートし、1×TETバッファー(100m
M Tris-HCl、pH8.0;3mM EDTA;0.1% Tween(商標)-20)10〜15mlで洗浄した。
基体を1×TETバッファー中に懸濁し、4℃で保存した。
【0125】 7.1.7 ハイブリダイゼーション捕獲および配列決定 その上に固定されたフォワード捕獲ポリヌクレオチド(配列番号1)を有する
基体(25)を白色のスピンカラム内に配置した;その上に固定されたリバース捕獲
ポリヌクレオチド(配列番号2)を有する基体(25)を紫色のスピンカラム内に配
置した。得られた捕獲カラムをすすぎ、以下のようにハイブリダイズした: 1. すべての捕獲カラムを2ml洗浄チューブに取り付け、卓上遠心分離機に配
置し、約7000RCFで60秒間回転させた。カラムを1×TETバッファー(100mM Tris-
HCl、pH8.0、3mM EDTA、0.1% Tween(商標)-20)300μlで予備すすぎし、約700
0RCFで1分間回転させた。
【0126】 2. すすいだ1組の捕獲カラムを、1.5ml円錐の回収チューブに取り付けた。ハ
イブリダイゼーション用に配列決定試薬(室温で平衡)10μlと、ハイブリダイ
ゼーションバッファー(750mM 塩化テトラメチルアンモニウム、100mM Tris-HCl
、pH8.0、3mM EDTA、0.1% Tween(商標)-20)30μlとを混合し、直ちに直接、
各捕獲カラムにピペットで移した。
【0127】 3. 捕獲カラムを37℃で(インキュベーターまたはヒートブロック)5分間イ
ンキュベートした。
【0128】 4. ハイブリダイゼーション溶液を、カラムを約7000RCFで60秒間回転させて
回収した。
【0129】 5. 第2の組の捕獲カラムを回収チューブに取り付け、第1のカラム各々から回
収したハイブリダイゼーション混合物40μlを直接、第2の捕獲カラムにピペット
で移した。第2の捕獲カラムを37℃で5分間インキュベートし、ハイブリダイゼー
ション溶液を、カラムを約7000RCFで60秒間回転させて除去した。この時点で順
ならびに逆反応物双方が捕獲され、かつ分離されている。
【0130】 6. 次いですべての捕獲カラムを、2ml洗浄チューブに取り付け、1×TETバッ
ファー300μl、さらに70%イソプロパノール水溶液300μlで洗浄した。各洗液を
、カラムを7000RCFで60秒間回転させて除去し、廃棄した。
【0131】 7. 次いで捕獲カラムを、清浄な回収チューブ(1.5ml)に取り付け、70% NH4OH
60μlを各カラムにピペットで移して、ハイブリダイズした複合体を変性させた
。この溶液を、カラムを約7000RCFで60秒間回転させて除去し、溶出物を高速真
空遠心分離機で乾燥させた。
【0132】 8. 配列決定のため、各カラムからの乾燥ペレットをゲル添加バッファー(脱
イオン化ホルムアミド:50mM EDTA 5:1)3μlに再懸濁し、98℃で2分間インキュ
ベートして変性させた。1.0〜1.5μlを377 ABI Prism(商標)DNAシーケンサー(
P. E. Applied Biosystems, Foster City, CA)に添加して配列プリントアウトを
得た。
【0133】7.2 結果 捕獲配列決定反応の結果を図2に示す。配列は、標準色素プライマーおよび色
素蛍光配列決定化学を用いて得られるものと同一である。
【0134】 先に記載した明細は、当業者が本発明を実施するに十分であると考慮される。
本発明を実施する上記の様式の種々の改変は、分子生物学、生化学および関連分
野の当業者には明らかであり、添付の特許請求の範囲にあるものである。
【0135】 引用したすべての参考文献は、参照によりそのまま本明細書に組み入れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、第7節に記載した実施例による二本鎖配列決定反応において使用したフ
ォワード及びリバースプライマーのヌクレオチド配列を示す。
【図2】 図2A及び2Bは、ともに本発明のフロースルーハイブリダイゼーション装置を使
用した捕獲後の、第7節に記載した実施例による二本鎖配列決定反応において生
成された蛍光配列決定ラダーを示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G01N 33/566 G01N 33/566 37/00 103 37/00 103 // B01J 20/24 B01J 20/24 C C12N 15/09 ZNA C12N 15/00 ZNAA (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),AU,CA,J P (72)発明者 チエサ,クラウディア アメリカ合衆国 94061 カリフォルニア 州 レッドウッド シティ,パルム アヴ ェニュー 1011 (72)発明者 フライ,ジョージ,エイ. アメリカ合衆国 94070 カリフォルニア 州 サン カルロス,ダートマウス アヴ ェニュー 773 (72)発明者 ファーニス,ヴァージン,シィー. アメリカ合州国 94402 カリフォルニア 州 サン マテオ,パルム アヴェニュー 1217 (72)発明者 ランバート,ステファン,エム. アメリカ合衆国 94546 カリフォルニア 州 カストロ バレー,ベーカー ロード 204番 20849 (72)発明者 オニール,ロジャー アメリカ合衆国 94070 カリフォルニア 州 サン カルロス,メレンディー ドラ イヴ 3180 (72)発明者 メファーポーヤン,マジド アメリカ合衆国 95132 カリフォルニア 州 サン ジョーズ,バーンハム ドライ ブ 1228 Fターム(参考) 4B024 AA20 CA01 HA12 HA19 4B029 AA07 AA21 AA23 BB20 CC01 CC03 CC10 FA03 FA04 FA12 4B063 QA01 QA18 QA20 QQ42 QR32 QR55 QR62 QR85 QS15 QS34 QX01 4D017 AA03 BA03 CA14 CB05 DA03 4G066 AA71C AB07D AB26B AC13C AC14C AC21C BA03 BA20 BA23 BA25 CA56 DA07 EA01 EA20 FA03 FA12 FA15

Claims (56)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 三次元多孔性基体を含み、該多孔性基体の上に標的核酸とハ
    イブリダイズすることができる捕獲ポリヌクレオチドが固定されている、標的核
    酸を捕獲するためのフロースルー装置。
  2. 【請求項2】 約1 mm〜20 mmの厚さを有する、請求項1に記載のフロース
    ルー装置。
  3. 【請求項3】 多孔性基体が約1μm〜約250μmの平均孔径を有する、請求項
    1に記載のフロースルー装置。
  4. 【請求項4】 多孔性基体が、その上に固定された約2×10-19〜2×10-15 n
    mol/nm2の捕獲ポリヌクレオチドを有する、請求項1に記載のフロースルー装置
  5. 【請求項5】 捕獲ポリヌクレオチドが共有結合により多孔性基体に結合さ
    れている、請求項1に記載のフロースルー装置。
  6. 【請求項6】 捕獲ポリヌクレオチドがホスホジエステル結合、ホスホロチ
    オエート結合またはホスホルアミデート結合を介して共有結合により多孔性基体
    に結合されている、請求項1に記載のフロースルー装置。
  7. 【請求項7】 捕獲ポリヌクレオチドがカルボキシアミド結合を介して共有
    結合により多孔性基体に結合されている、請求項1に記載のフロースルー装置。
  8. 【請求項8】 捕獲ポリヌクレオチドがリンカーを介して共有結合により多
    孔性基体に結合されている、請求項1に記載のフロースルー装置。
  9. 【請求項9】 多孔性基体がガラスで構成されているか、またはポリエチレ
    ン、ポリスチレン、ポリカーボネート及びポリプロピレンからなる群から選択さ
    れたポリマー材料で構成されている、請求項1に記載のフロースルー装置。
  10. 【請求項10】 多孔性基体が高密度または高分子量ポリエチレンで構成さ
    れている、請求項1に記載のフロースルー装置。
  11. 【請求項11】 多孔性基体が約1μl/cm2〜約100μl/cm2の範囲の空孔容量
    を有する、請求項1に記載のフロースルー装置。
  12. 【請求項12】 約1μm〜約250μmの平均孔径を有する三次元基体を含み、
    該三次元基体の上に標的核酸とハイブリダイズすることができる捕獲ポリヌクレ
    オチドが固定されている、標的核酸を捕獲するためのフロースルー装置。
  13. 【請求項13】 約25%〜80%の範囲の多孔率を有する、請求項12に記載のフ
    ロースルー装置。
  14. 【請求項14】 捕獲ポリヌクレオチドが、その5'または3'-末端残基を介
    して共有結合により多孔性基体上に固定されている、請求項12に記載のフロース
    ルー装置。
  15. 【請求項15】 多孔性基体と捕獲ポリヌクレオチドとの間に配置されたリ
    ンカーをさらに含む、請求項14に記載のフロースルー装置。
  16. 【請求項16】 三次元基体の上に約2×10-19〜2×10-15 nmol/nm2の捕獲
    ポリヌクレオチドが固定されている、請求項12に記載のフロースルー装置。
  17. 【請求項17】 三次元多孔性基体を含み、該多孔性基体の上に約2×10-19 〜2×10-15 nmol/nm2の、標的核酸とハイブリダイズすることができる捕獲ポリ
    ヌクレオチドが固定されている、標的核酸を捕獲するためのフロースルー装置。
  18. 【請求項18】 多孔性基体が約1μm〜約250μmの平均孔径を有する、請求
    項17に記載のフロースルー装置。
  19. 【請求項19】 多孔性基体が約25%〜80%の範囲の多孔率を有する、請求項
    17に記載のフロースルー装置。
  20. 【請求項20】 捕獲ポリヌクレオチドが共有結合により多孔性基体に結合
    されている、請求項17に記載のフロースルー装置。
  21. 【請求項21】 ハウジングを含み、その中に請求項1に記載のフロースル
    ー装置が配置されている、サンプルから標的核酸を捕獲するための装置。
  22. 【請求項22】 ハウジングが、注射器胴体、ピペット、使い捨てピペット
    先端、クロマトグラフィーカラム、スピンカラム、マイクロチャンネル、毛細管
    、及びマルチウェルプレートからなる群から選択される、請求項21に記載のフロ
    ースルー装置。
  23. 【請求項23】 サンプルから標的核酸を捕獲する方法であって、 (i)標的核酸を含むまたは含むと予想されるサンプルを、標的核酸とハイブリダ
    イズすることができる捕獲ポリヌクレオチドをその上に固定させた三次元多孔性
    基体の中を、標的核酸と捕獲ポリヌクレオチドが互いにハイブリダイズしてハイ
    ブリダイゼーション複合体を形成する条件下で通過させ、それにより標的核酸を
    捕獲するステップを含む、上記方法。
  24. 【請求項24】 標的核酸が高ストリンジェンシー条件下で多孔性基体にア
    プライされる、請求項23に記載の方法。
  25. 【請求項25】 標的核酸が低ストリンジェンシー条件下で多孔性基体にア
    プライされる、請求項23に記載の方法。
  26. 【請求項26】 標的核酸が、1分未満で捕獲ポリヌクレオチドとハイブリ
    ダイズする条件下で多孔性基体にアプライされる、請求項23に記載の方法。
  27. 【請求項27】 多孔性基体が約1μm〜約250μmの平均孔径を有する、請求
    項23に記載の方法。
  28. 【請求項28】 捕獲ポリヌクレオチドの密度または表面濃度が約2×10-19 〜2×10-15 nmol/nm2である、請求項23に記載の方法。
  29. 【請求項29】 捕獲ポリヌクレオチドが共有結合により多孔性基体に結合
    されている、請求項23に記載の方法。
  30. 【請求項30】 捕獲ポリヌクレオチドがホスホジエステル結合、ホスホロ
    チオエート結合またはホスホルアミデート結合を介して共有結合により多孔性基
    体に結合されている、請求項23に記載の方法。
  31. 【請求項31】 捕獲ポリヌクレオチドがカルボキシアミド結合を介して共
    有結合により多孔性基体に結合されている、請求項23に記載の方法。
  32. 【請求項32】 捕獲ポリヌクレオチドがリンカーを介して共有結合により
    多孔性基体に結合されている、請求項23に記載の方法。
  33. 【請求項33】 多孔性基体がガラスで構成されているか、またはポリエチ
    レン、ポリスチレン、ポリカーボネート及びポリプロピレンからなる群から選択
    されたポリマー材料で構成されている、請求項23に記載の方法。
  34. 【請求項34】 多孔性基体が高密度または高分子量ポリエチレンで構成さ
    れている、請求項23に記載の方法。
  35. 【請求項35】 多孔性基体が0.1μl/cm2〜約100μl/cm2の範囲の空孔容量
    を有する、請求項23に記載の方法。
  36. 【請求項36】 ハイブリダイズした複合体を中程度または高度のストリン
    ジェンシーの条件下で洗浄するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
  37. 【請求項37】 ハイブリダイズした複合体を分離して、標的核酸を回収す
    るステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
  38. 【請求項38】 サンプルから標的核酸を回収する方法であって、 (a)標的核酸を含むまたは含むと予想されるサンプルを、標的核酸とハイブリ
    ダイズすることができる捕獲ポリヌクレオチドを結合させた三次元多孔性基体の
    中を、標的核酸と捕獲ポリヌクレオチドがハイブリダイズしてハイブリダイゼー
    ション複合体を形成する条件下で通過させ、 (b)ハイブリダイズした複合体を分離して、標的核酸を回収する、 各ステップを含む上記方法。
  39. 【請求項39】 ステップ(a)の後で、ステップ(b)の前に、高ストリンジェ
    ンシー条件下で多孔性基体を洗浄するステップをさらに含む、請求項38に記載の
    方法。
  40. 【請求項40】 サンプルが標的核酸を含むかどうかを判定する方法であっ
    て、 (c)標的核酸を含むと予想されるサンプルを、標的核酸とハイブリダイズする
    ことができる捕獲ポリヌクレオチドを結合させた三次元多孔性基体の中を、標的
    核酸と捕獲ポリヌクレオチドがハイブリダイズする条件下で通過させ、 (b)ハイブリッドの存在を検出する、 各ステップを含み、その際、陽性の検出が標的核酸のサンプル中の存在を示すも
    のである上記方法。
  41. 【請求項41】 標的核酸がリポーター部分を有し、ハイブリッドが該リポ
    ーター部分の存在を検出することにより検出される、請求項40に記載の方法。
  42. 【請求項42】 配列決定反応から生成されたポリヌクレオチドの配列決定
    ラダーを捕獲する方法であって、配列決定ラダーポリヌクレオチドを含むサンプ
    ルを、配列決定ラダーポリヌクレオチドとハイブリダイズすることができる捕獲
    ポリヌクレオチドをその上に固定させた多孔性基体の中を、捕獲ポリヌクレオチ
    ドが配列決定ラダーポリヌクレオチドとハイブリダイズする条件下で通過させる
    ことを含む、上記方法。
  43. 【請求項43】 ハイブリダイゼーションステップの後に多孔性基体を洗浄
    するステップをさらに含む、請求項42に記載の方法
  44. 【請求項44】 サンプルから対象の標的核酸を捕獲するためのキットであ
    って、 a)標的核酸とハイブリダイズすることができる捕獲ポリヌクレオチドをその上
    に固定させた三次元多孔性基体、及び b)多孔性基体をその中に配置することができるハウジング、 を含む、上記キット。
  45. 【請求項45】 対象の標的核酸の配列決定をするためのキットであって、 a)標的核酸にハイブリダイズすることができるフォワード配列決定プライマー
    、及び b)第1の複数の配列決定ラダーポリヌクレオチドとハイブリダイズすることが
    できる捕獲ポリヌクレオチドをその上に固定させた三次元多孔性基体、 を含む、上記キット。
  46. 【請求項46】 標的核酸からポリヌクレオチドの配列決定ラダーを生成す
    るための手段をさらに含む、請求項45に記載のキット。
  47. 【請求項47】 標的核酸にハイブリダイズすることができるリバース配列
    決定プライマー、及び第2の複数の配列決定ラダーポリヌクレオチドとハイブリ
    ダイズすることができる第2の捕獲ポリヌクレオチドをその上に固定させた第2の
    三次元多孔性基体をさらに含む、請求項45に記載のキット。
  48. 【請求項48】 フォワード及びリバース配列決定プライマーが式:A-リンカ
    ー-Bで表され、ここで Aは捕獲ポリヌクレオチドにハイブリダイズすることができる第1のポリヌクレ
    オチド配列であり、 Bは標的核酸にハイブリダイズすることができる第2のポリヌクレオチド配列で
    あり、 「リンカー」は1〜10のエチレングリコール単位を含むポリエチレングリコー
    ルであり、 各「-」は独立にホスホジエステル結合、ホスホロチオエート結合またはアミ
    ド結合を表わす、請求項47に記載のキット。
  49. 【請求項49】 フォワード及びリバース配列決定プライマーが図1に示さ
    れるものである、請求項48に記載のキット。
  50. 【請求項50】 サンプルから標的核酸を捕獲するためのキットであって、 a)約6×10-17〜9×10-15 nmol/nm2の反応性基により活性化された三次元多孔
    性基体、及び b)多孔性基体に共有結合により結合することができる捕獲ポリヌクレオチド、
    を含む上記キット。
  51. 【請求項51】 多孔性基体及び捕獲ポリヌクレオチドに共有結合により結
    合することができるリンカーをさらに含む、請求項50に記載のキット。
  52. 【請求項52】 サンプルから標的核酸を捕獲するためのキットであって、 a)約6×10-17〜9×10-15 nmol/nm2の反応性基により活性化され得る多孔性基
    体、及び b)標的核酸にハイブリダイズすることができ、かつ多孔性基体に共有結合によ
    り結合することができる捕獲ポリヌクレオチドを生成する手段、 を含む上記キット。
  53. 【請求項53】 ハウジングを含み、その中に請求項12に記載のフロースル
    ー装置が配置されている、サンプルから標的核酸を捕獲するための装置。
  54. 【請求項54】 ハウジングが、注射器胴体、ピペット、使い捨てピペット
    先端、クロマトグラフィーカラム、スピンカラム、マイクロチャンネル、毛細管
    、及びマルチウェルプレートからなる群から選択される、請求項53に記載のフロ
    ースルー装置。
  55. 【請求項55】 ハウジングを含み、その中に請求項17に記載のフロースル
    ー装置が配置されている、サンプルから標的核酸を捕獲するための装置。
  56. 【請求項56】 ハウジングが、注射器胴体、ピペット、使い捨てピペット
    先端、クロマトグラフィーカラム、スピンカラム、マイクロチャンネル、毛細管
    、及びマルチウェルプレートからなる群から選択される、請求項55に記載のフロ
    ースルー装置。
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