JP2002527485A - 熱ショックタンパク質を使用する組織修復を促進する組成物及び方法 - Google Patents

熱ショックタンパク質を使用する組織修復を促進する組成物及び方法

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JP2002527485A JP2000576866A JP2000576866A JP2002527485A JP 2002527485 A JP2002527485 A JP 2002527485A JP 2000576866 A JP2000576866 A JP 2000576866A JP 2000576866 A JP2000576866 A JP 2000576866A JP 2002527485 A JP2002527485 A JP 2002527485A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、組織修復を促進する方法及び組成物に関する。具体的には、抗原性分子に複合化していないかあるいは非共有結合により複合化した、gp96、hsp90、hsp70等の熱ショックタンパク質を含む組成物を開示する。hsp含有組成物を投与する治療方法を開示する。開示される方法は、外傷(例えば手術、傷害、火傷)あるいは疾患もしくは疾病(例えば、アテローム性動脈硬化症、多発性硬化症)等の種々の原因により破壊された組織の修復を促進するのに有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、国立衛生研究所により与えられた認可番号CA44786及びCA64394によ
る政府支援の下に完成された。政府は本発明に対して一定の権利を有する。
【0002】1. 序論 本発明は、限定するものではないが、創傷治癒等の組織修復を促進する方法に
関する。組織修復のための治療の実務においては、限定するものではないが、gp
96、hsp90及びhsp70等の熱ショック/ストレスタンパク質(hsp)を単独でまたは組
合せて抗原性分子に非共有結合により結合した複合体を含む組成物を使用して正
常な治癒過程に関与する細胞を刺激する。あるいは、複合化していないストレス
タンパク質(すなわち抗原性分子を含まない)を含む組成物を使用して正常な治癒
過程に関与する細胞を刺激する。
【0003】2. 発明の背景 2.1. 組織修復の過程 組織修復のメカニズムには、血液凝固カスケード及び免疫系の両方の要素の相
互作用が関与する。組織修復の過程は3つの段階、(1)炎症、(2)増殖、及び(3)再
構成に分けられる。これらの段階は別個の事象として定義されるが、それらは連
続的なものとして起きる。組織修復が開始し終了する時点は多くの場合肉眼的な
検査に基づく。
【0004】 組織修復の第1段階においては、細胞の移動を伴う急性の炎症反応が起きる。
最初の24〜48時間においては好中球が優勢であり、3日目までにはマクロファー
ジが活性となる。好中球及びマクロファージは病原生物及び組織砕片を貪食して
消化する(Barbul et al., 1995, Wound Healing for the Otolaryngologist - H
ead and Neck Surg. 28:955-958)。
【0005】 マクロファージの機能は組織修復の過程において必須である。創傷の清浄化に
加えて、マクロファージは血小板由来増殖因子(PDGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF
)、トランスフォーミング増殖因子-α(TGF-α)及びTGF-βのような増殖因子を合
成及び分泌し、これらは細胞移動及び増殖及びマトリックス形成(例えば傷端中
への繊維芽細胞の化学的誘引)を促進する。
【0006】 研究により、組織傷害部位に迅速に入り込む、繊維細胞と名付けられた血液由
来細胞の集団が同定された(Chesney et al., 1997, Proc. Natl. Acad. Sci. US
A 94:6307-6312; Chesney and Bucala, 1997, Biochem. Soc. Transactions 25:
520-524)。繊維細胞は、PDGF、FGF、TGF-β1のような増殖因子、IL-1β及びTNF-
αのようなサイトカイン、及びマトリックス成分を生産する。
【0007】 腹膜マクロファージの化学誘引物質であるマクロファージ刺激タンパク質(MSP
)はケラチノサイトの増殖と移動を誘導することが示された(Wang et al., 1996, Exp. Cancer Res. 226:39-46)。ケラチノサイトの増殖及び分化は、正常な皮膚
機能、創傷治癒及び腫瘍増殖にとって重要である(同上)。従って、MSPは皮膚創
傷の組織修復に意味を有し得る。また、マクロファージ機能の刺激が腸吻合に有
益な効果を有することも示されている(Compton et al., 1996, Amer. Surg. 62:
14-18)。
【0008】 典型的には4〜6週間続く組織修復の増殖過程は、繊維芽細胞移動及び新生毛細
血管増殖(angiogenesis)を特徴とする。繊維芽細胞はコラーゲンを合成する(プ
ロトコラーゲンとして合成し、これがその後ヒドロキシル化されてコラーゲンと
なる)。創傷端部の小静脈に由来する毛細血管芽が創傷を横断して成長して栄養
素及び酸素を供給する。新たに形成された上皮細胞は創傷端部から創傷表面に移
動し、十分に発生した肉芽組織が形成される。
【0009】 再構成段階の間、創傷中の細胞活性は減少する。しかし、コラーゲンの架橋、
再構成及び収縮により創傷は強度を増し続ける。研究により、特定の抗原と培養
すると、繊維細胞は抗原提示細胞として機能し、Tリンパ球を特異的にプライム
することが判った(Chesney et al., 1997, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94:630
7-6312; Chesney and Bucala, 1997, Biochem. Soc. Transactions 25:520-524)
。研究により、創傷治癒過程におけるTリンパ球の間接的な役割が示唆されてい
る(Tリンパ球機能を増強する物質を投与することによりコラーゲン沈着及び創傷
強度の増加が得られる)(Barbul et al., 1995, Wound Healing for the Otolary
ngologist - Head and Neck Surg. 28:955-968)。筋腺維芽細胞は収縮力を発揮
し、創傷が収縮し、これにより創傷の表面積が減少して創傷が閉鎖するのに役立
つ。
【0010】2.2. 熱ショックタンパク質 hspは分子シャペロンとして機能し、(1)発生期のタンパク質の折り畳み及び展
開の促進、(2)複数の酵素の複合体の関与及び活性化、(3)活性化を誘導する、ホ
ルモン受容体との複合体の形成、(4)タンパク質のコンパートメント中への及び
コンパーメント間の輸送、(5)免疫グロブリンの折り畳みの関与(Bip)等の多くの
過程に関係している。
【0011】 組織修復は、外傷(例えば手術あるいは傷害による)により破壊された組織の治
癒、並びに、限定するものではないが、アテローム性動脈硬化症及び多発性硬化
症等の疾患による組織の破壊の治癒を包含する。hspは、正常な増殖の間及び病
態生理学的条件の間の細胞の一体性の維持に重要である(Vigh et al., 1997, Na
ture Medicine 3(10):1150-1154)。組織傷害は、手術、外傷あるいは疾病いずれ
により引き起こされたかにかかわらず、熱ショック/ストレスタンパク質(hap)の
誘導を生じる。
【0012】 hsp 70の発現レベルが創傷治癒において研究されている。Oberringerらは、十
分に治癒する創傷とhsp 70の過剰表現との間の相関性を示したが、慢性の創傷は
弱い発現を示すか、あるいは発現を全く欠いていた(Oberringer et al., 1995,
Biochem. Biophys. Res. Comm. 24(3):1009-1014)。Zhuらは、急速に増殖にする
細胞、例えば脈管構造中の易病変領域のものにおけるhsp 70の増加した発現が、
増殖する細胞が生存するチャンスを増加させることを示した(Zhu et al., 1996,
Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vasc. Biol. 16(9) 1104-1111)。
【0013】 アテローム性動脈硬化症の原因因子である酸化低密度リポタンパク質(OxLDL)
は熱ショックタンパク質の発現を誘導することが示されている(Zhu et al., 199
6, Arteriosclerosis, Thrombosis, and Vasc. Biol. 16(9) 1104-1111)。脱髄
疾患である多発性硬化症においては、再髄鞘形成は稀突起神経膠細胞(oligoden
drocyte)の増殖によって達成される。研究により、多発性硬化症の経過におい
て星状細胞及び稀突起神経膠細胞中で熱ショックタンパク質が上方制御されるこ
とが示された(概観のためにはBoccaccio and Steinman, 1996, J. Neurosci. Re
s. 45:647-654を参照)。
【0014】 組織修復を促進する組成物の必要性は大きいものがある。
【0015】 本明細書における文献の引用及び特定はいずれもそのような文献が本発明の先
行技術として利用されることを認めたものと解すべきものではない。
【0016】3. 発明の要約 本発明は、組織修復を促進するための組成物及び方法に関する。治療方法は、
限定するものではないが、gp96、hsp90、hsp70及びそれらの組合せ等の熱ショッ
クタンパク質(hsp)を投与することを含む。本発明のhspは、抗原分子に非共有結
合により結合されていてもよい。hsp投与の有効性は、hspが得られた器官または
組織の種類あるいは細胞に依存しない。従って、開示する治療法は種々の組織の
修復に有用である。
【0017】 本発明の特定の組成物及びそれらの特性を以下の節及び亜節に記載する。組織
修復の促進のために投与されたhspの投与量を示す。さらに本発明は、適当な適
用量の組成物の投与のための医薬製剤を提供する。本発明はまた、組織修復の刺
激のために使用される組成物の投与経路を提供する。
【0018】 下記第6節に示す実施例は、マウスモデルでの創傷治癒の刺激におけるgp96-ペ
プチド複合体を含む組成物の使用を示す。
【0019】4. 図面の簡単な説明 (図面の説明については下記参照)5. 発明の詳細な説明 組織修復を刺激するための方法および組成物について記載する。本発明は組織
修復を促進する治療方法を提供する。この治療方法はhsp、それは任意で非共有
結合で抗原性分子と複合体化させたものとすることができるが、そのhspの投与
を含む。
【0020】 下記の方法によるhspの投与は組織修復および再生の刺激のための治療様式で
ある。
【0021】 本発明では、抗原性分子と非共有結合で複合体化させたhspあるいは複合体化
させていないhspのいずれかを組織修復の促進の治療のために投与する。
【0022】 本明細書で用いる「抗原性分子」とは、in vivoで内因性にhspと会合されるペ
プチドならびに外因性の抗原/免疫原(in vitroでhspと複合体を形成する分子で
、それはhspとの内因性複合体に由来するものではない)、または抗原性/免疫原
性フラグメント、およびそれらの誘導体を意味する。
【0023】 本発明で用いることのできるhspとしては、限定はされないが、gp96、hsp90、
およびhsp70、を挙げることができ、それらは単独であるいは相互の組み合わせ
のいずれかで用いることができる。hspは哺乳動物、マウス、ウシ、ネコ、細菌
などのhspとすることができるが、好ましくは、ヒトのhspである。
【0024】 本発明の実施に有用な熱ショックタンパク質、この用語もまた本明細書中では
ストレスタンパク質と相互の言い換え可能なものを意味するが、それは下記の規
準のいずれか1項目を満たすような細胞性タンパク質のいかなるものからも選択
することができる。熱ショックタンパク質は、細胞がストレス性の刺激に暴露さ
れた際にその細胞内濃度が増大し、他のタンパク質もしくはペプチドと結合する
ことができ、その結合したタンパク質もしくはペプチドをアデノシン3リン酸(AT
P)の存在下もしくは低pH条件下で放出することができ、または上述の特性のうち
のいずれかを有する細胞性タンパク質のいずれかと少なくとも35%の相同性を有
することを特徴とするものである。
【0025】 ストレスタンパク質で最初に同定されたものは熱ショックタンパク質類(hsp)
であった。それらの名前が示すとおり、hspは熱ショックに応答して細胞によっ
て合成される。現在までのところ、hspの3つの主要なファミリーが分子量に基づ
いて同定されている。それらのファミリーはhsp60、hsp70、およびhsp90と呼ば
れ、それらの数字はストレスタンパク質の分子量のおおよその数値をキロダルト
ンで示している。哺乳動物のhsp90およびgp96はhsp90ファミリーのメンバーであ
る。これらのファミリーのメンバーの多くのものは、限定はされないが、栄養素
欠乏、代謝崩壊状態、酸素ラジカル、および細胞内病原体の感染などの他のスト
レス性刺激に応答して誘導されることが後に見出された(Welch, May 1993, Scie
ntific American 56−64; Young, 1990, Annu. Rev. Immunol. 8:401−420; Cra
ig, 1993, Science 260:1902−1903; Gethingら, 1992, Nature 355:33−45; お
よびLindquistら, 1988, Annu. Rev. Genetics 22:631−677を参照せよ)。本発
明の実施にはこれらの3つのファミリー全てに属するhsp/ストレスタンパク質を
用いうることを意図している。
【0026】 主要なhspはストレスを受けた細胞内で非常に高いレベルまで蓄積しうるが、
ストレスを受けていない細胞内では低〜中程度のレベルで存在する。例えば、高
度に誘導可能な哺乳動物hsp70は常温ではほとんど検出されないが、熱ショック
を受けると細胞中で最も活発に合成されるタンパク質の1つとなる(Welchら, 19
85, J. Cell. Biol. 101:1198−1211)。これに対して、hsp90およびhsp60タンパ
ク質は、全てではないが大多数の哺乳動物細胞中で常温で豊富に存在し、熱によ
ってさらに誘導される(Laiら, 1984, Mol. Cell. Biol. 4:2802−10; van Berge
n en Henegouwenら, 1987, Genes Dev. 1:525−31)。
【0027】 熱ショックタンパク質は現存するもののうちで最も高度に保存されたタンパク
質に属する。例えば、大腸菌(E.coli)に由来するhsp70であるDnaKは剥いだ皮膚
から得たhsp70タンパク質とアミノ酸配列が約50%同一である(Bardwellら, 1984,
Proc. Natl. Acad. Sci. 81:848−852)。hsp60ファミリーとhsp90ファミリーは
また、ファミリー内での保存も同様に高いレベルを示す(Hickeyら, 1989, Mol.
Cell. Biol. 9:2615−2626; Jindal, 1989, Mol. Cell. Biol. 9:2279−2283)。
さらに、hsp60、hsp70、およびhsp90の各ファミリーはストレスタンパク質とそ
の配列が関連しており、例えば、アミノ酸の35%以上の同一性を有するが、その
発現レベルはストレスによって変化しないタンパク質から構成されることが見出
された。従って、本明細書では、ストレスタンパク質の定義は、細胞内の発現レ
ベルがストレス性の刺激に応答して増強されるものであって、3つのファミリー
のメンバーとそのアミノ酸が少なくとも35%〜55%、好ましくは55%〜75%、および
最も好ましくは75%〜85%の同一性を有するような他のタンパク質、ムテイン(突
然変異タンパク質:mutein)、類似体、およびそれらの変異体を包含することを
意図している。これら3つのファミリーに属するストレスタンパク質の精製につ
いて下に述べる。
【0028】 特定の実施形態においては、本発明で用いられるhspは哺乳動物のhspである。
本発明のhsp−ペプチド複合体は哺乳動物で組織修復を刺激することができる、h
spとペプチドを含有するいかなる複合体をも含む。そのペプチドは好ましくは非
共有結合でhspと会合している。好ましい複合体としては、限定はされないが、h
sp90−ペプチド複合体、hsp70−ペプチド複合体、およびhsp60−ペプチド複合体
、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、真核細胞の小胞体中に存
在し細胞質hsp90と関連している(すなわち、hsp90ファミリーのメンバーである)
gp96と呼ばれるhspは、gp96−ペプチド複合体を含有する有効な治療用組成物を
生成するために用いることができる。特定の1実施形態においては、内因性に会
合させたペプチドと複合体化したhspが、そのような形で複合化されていないhsp
よりもむしろ内因性ペプチドをhspとを同時精製することができるという便利さ
のために用いられる。
【0029】 hspは患者に対して異質遺伝型のものとすることができるが、好ましい1実施形
態においては、hspはそれが投与される患者自身のもの(その患者由来のもの)で
ある。hspおよび/もしくは抗原性分子は、天然の供与源からの精製、化学的合成
、もしくは遺伝子組換えで産生させることができる。本発明は、組織修復療法の
ための投与量を、実験モデルでペプチドに結合していないものおよび非共有結合
で結合しているものの双方のhspの最適投与量を評価しそのデータを外挿するこ
とによって決定する方法を提供する。
【0030】 本発明の治療レジメンおよび医薬組成物はさらに免疫応答増強剤または生物反
応修飾物質とともに用いることができ、そのようなものとしては限定はされない
が、インターフェロン(IFN)−α、IFN−β、IFN−γ、インターロイキン(IL)−1
、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−15、もしくは腫瘍壊死因子、またはさらに
別の創傷治癒因子とともに用いることができ、そのようなものとしては、限定さ
れないが、インターフェロン(IFN)−β、IFN−γ、インターロイキン(IL)−1、I
L−2、IL−4、IL−5、IL−15、腫瘍壊死因子、flt−リガンド、アルギニン、結
合組織増殖因子、アデニンヌクレオチド、アデノシン、cAMP、塩基性線維芽細胞
増殖因子、酸性線維芽細胞増殖因子、腫瘍増殖因子−α、腫瘍増殖因子−β(1お
よび2)、血管内皮増殖因子、上皮増殖因子(EGF)ファミリー(例えば、EGF、ヘパ
リン結合EGF、アンフィレギュリン、ベータセルリン)、血小板由来増殖因子(PDG
F)ファミリー(例えば、PDGF−A、PDGF−B、PDGF−AB)、インシュリン様増殖因子
(IGF)ファミリー(例えば、IGF−1、IGF−2)、一酸化窒素、マクロファージ刺激
タンパク質およびマクロファージ由来増殖因子、または創傷治癒に影響を及ぼす
その他のサイトカインなどが挙げられる(Podolsky, J., 1997, Gastroenterol.
32:122−126; Ankoma-Seyら, 1998, Oncogene 17:115−121; WojciakおよびCros
san, 1994, Immunology, 83:93−9; Barbulら, 1990, Surgery 108:331−337; K
arthaおよびToback, 1992, J. Clin. Invest. 90:288−292; BennettおよびSchu
ltz, 1993, Am. J. Surg. 165:728−737; BennettおよびSchultz, 1993, Am. J.
Surg. 166:74−81; OemarおよびLuscher, 1997, Arter. Throm. Vasc. Biol. 1
7:1483−1489; Yamasakiら, 1998, J. Clin. Invest. 101:967−971; Comptonら
, 1996, Am. Surg. 62:14−18; Wangら, 1996, Exp. Cell Res. 226:39−46)。
本発明のこの態様では、抗原性分子と複合体化したhspもしくは非複合体化hspの
いずれかを、当業界で既知の上述のサイトカイン、タンパク質、ヌクレオチド、
もしくは増殖因子、ならびにその他の生物反応修飾物質もしくは創傷治癒因子の
うちの1種以上と組み合わせてもしくは順次投与する。
【0031】 本発明は、非複合体化hspもしくは非共有結合的に抗原性分子と複合体化したh
spのいずれかを含む組成物を投与することを含む、個体における創傷治癒を含む
組織修復を促進する方法を提供するが、それによって組織修復のプロセスに関与
する細胞(マクロファージ、稀突起神経膠細胞、T細胞を含むがそれらに限定さ
れない)への刺激が引き出される。
【0032】5.1. 標的組織 本発明の方法で治療することのできる組織としては、限定はされないが、外傷
(例えば、手術、負傷、火傷)もしくは疾患(例えば、動脈硬化および多発性硬化
症)によって崩壊した病変組織もしくは傷害組織が挙げられる。
【0033】 本発明で治療することができる病変としては、限定はされないが、下記の病変
が挙げられる: (i) 物理的負傷によって生じた、もしくは手術に伴う病変を含む、外傷性
病変(traumatic lesions); (ii) 酸素の欠乏が細胞傷害もしくは細胞死をもたらす、例えば心筋もしく
は脳の梗塞もしくは虚血、または脊髄の梗塞もしくは虚血などの虚血性病変(is
chemic lesions); (iii) 細胞が悪性組織によって破壊されているかもしくは傷害されている
悪性病変(malignant lesions); (iv) 感染の結果として、例えば膿瘍によって、もしくはヒト免疫不全ウイ
ルス、帯状ヘルペスもしくは単純ヘルペスウイルスの感染に伴って、またはライ
ム病、結核、梅毒に伴って組織が破壊されるかもしくは傷害される感染性病変(
infectious lesions); (v) 変性プロセス、そのようなものとしては、限定されないが、パーキン
ソン病、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、もしくは筋萎縮性側索硬化症
に伴う神経系の変性が挙げられるが、それらの変性プロセスの結果として組織が
破壊されるかもしくは傷害される、変性性病変(degenerative lesions); (vi) 栄養学的障害もしくは代謝の障害、それらとしては限定はされないが
、ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症、ウェルニッケ病、タバコ−アルコール性弱
視、マルキャファーヴァ−ビニャミ病(脳梁の原発性変性)、およびアルコール性
脳変性が挙げられるが、それらによって組織が破壊もしくは傷害される栄養疾患
もしくは障害に伴う病変; (vii) 全身性疾患、そのようなものとしては、限定はされないが、糖尿病
もしくは全身性エリテマトーデスが挙げられるが、それらに伴う病変; (viii) アルコール、鉛、もしくはその他の毒素を含む毒性物質によって生
ずる病変;ならびに、 (ix) 脱髄性疾患、そのようなものとしては、限定されないが、多発性硬化
症、ヒト免疫不全ウイルス関連脊髄障害、横断性脊髄障害、もしくは種々の病因
、進行性多病巣性白質脳症、および中心性橋脱髄症が挙げられるが、それらの疾
患によって神経系の一部が破壊もしくは傷害される、神経系の脱髄性病変(demye
linated lesions)。
【0034】 本発明の方法は組織修復および再生のメカニズムに関与する免疫系の細胞、例
えばマクロファージ、T細胞などを刺激することによる組織修復を促進するため
に用いることができる。
【0035】5.2. 組織修復の促進のための治療用組成物の調製 本発明で用いられるhspは、抗原性分子(例えばペプチド)と複合体化すること
ができ、もしくは複合体としないことができる。複合体または非複合体のいずれ
についても、hspは天然(非組換え)もしくは組換えとすることができる。抗原性
分子は内因性、すなわち、天然に細胞内でhspと会合したものでありうる。ある
いはまた、抗原性分子は外因性、すなわち非共有結合性のhspとの複合体中に天
然に生じないか、もしくは細胞由来の非共有結合性のhspとの複合体から溶出さ
れ別のhspとin vitroで再構成されたものでもよい。好ましくは、hsp、もしくは
複合体は、場合によっては、好ましくはポリアクリルアミドゲルで調べた場合に
均質であるか、または少なくとも総タンパク質の60%、70%、80%、もしくは90%を
占めるまで精製された形態で用いることができる。
【0036】 hsp−ペプチド複合体は、hspおよび抗原性分子が産生される細胞などから単離
することができる。hspもしくは外因性抗原性分子は、その成分(hspもしくは抗
原性分子のいずれか)をコードする遺伝子の組換え発現によって細胞中で産生さ
せてもよいし、または天然の供与源から単離してもよい。hspおよび外因性抗原
性分子成分は別々に産生させて単離し、in vitroで複合体化することができる。
あるいはまた、hspと内因性ペプチドとの複合体は細胞から単離してもよい。hsp
と外因性抗原性分子のin vitroでの複合体化のための好ましい1実施形態におい
ては、hsp成分をまず最初に細胞から複合体として単離し、次いで複合体化され
ている非共有結合で結合している内因性ペプチドからhsp成分を精製して取り出
した後に目的の外因性抗原性分子とin vitroで複合体化する。あるいはまた、hs
p成分はまず最初に細胞から複合体として単離し、次いで複合体化されている非
共有結合で結合している内因性ペプチドをin vitroで目的の外因性抗原性分子と
交換する。
【0037】 したがって、本明細書に記載のプロトコールは、精製hspもしくはhspと抗原性
分子の複合体の精製されたものを単離し産生するために用いることができる。
【0038】 非複合体化内因性hspと、抗原性分子と複合体化された内因性hspはいかなる真
核細胞からも単離することができ、そのような真核細胞としては、限定はされな
いが、組織、単離された細胞、および不死化された真核細胞系が挙げられる。そ
の組織源は被験体の修復応答の標的となる組織と同じものである必要はない。供
与源となる組織として適切なものとしては、限定はされないが、精製リンパ球、
肝臓、脾臓、または哺乳動物もしくは非哺乳動物起源のいかなる器官をも挙げる
ことができる。供与源となる組織は自己のもの(すなわち、同一の個体に由来す
るもの)または非自己のものとすることができる。非自己の供与源となる組織は
死体から得ることができる。1実施形態においては、非複合体化内因性hspおよび
抗原性分子と複合体化した内因性hspは腫瘍細胞から単離することができる。別
の1実施形態においては、hspもしくはhsp−ペプチド複合体はヒトから切除され
た組織から単離される。
【0039】 あるいはまた、hspは当業界で公知の技法を用いて組換えDNA技術で産生させる
ことができる。これらの方法については下記の第5.2.2節で詳細に述べている。
【0040】 天然に発現されたタンパク質(すなわち天然ペプチド)もしくは組換えにより発
現させたタンパク質のいずれかに由来するペプチドは、最初に対応するhsp−ペ
プチド複合体を単離し、次いでそのペプチドを溶出させることによって単離する
ことができる。hsp−ペプチド複合体から非共有結合で結合しているペプチドを
溶出するための方法は下記の第5.2.4節に述べている。ペプチドはまた、合成で
生成し、次いでin vitroでhspと複合体化してもよい。
【0041】 in vitroでhspを抗原性分子と複合体化させる方法は下記の第5.2.5節に述べて
いる。
【0042】 治療用に用いられるhsp、それは単独もしくは複合体化されたものであるが、h
spを投与して破壊された組織を治療する患者から得たサンプルから単離されたhs
pである必要はない、すなわち、そのhsp(および抗原性分子)は自己もしくは非自
己のものとすることができる。
【0043】5.2.1. hsp−ペプチド複合体の調製 下記の第5.2.1.1−5.2.1.3節に記載の方法を、抗原性分子と複合体化されたhs
pを細胞から、組換えhspを発現している細胞を用いてもよいが好ましくは非組換
えhspを発現している細胞から単離するために用いることができる。特定の1実施
形態においては、ペプチドと複合体化したhspは腫瘍細胞から単離することがで
きる。また別の1実施形態においては、ペプチドと複合体化したhspは非悪性細胞
から単離される。これらと同じ方法を、単離された複合体から下記の第5.2.3節
に記載の方法によって内因性抗原性分子を除去することによって精製hspを調製
するために用いることができる。
【0044】5.2.1.1. gp96−ペプチド複合体の調製と精製 用いうる方法は下記のとおりであるが、これは例として示したものであり限定
するものではない。
【0045】 真核細胞(例えば、肝臓、脾臓、またはその他の任意の適切な器官)のペレット
を、30mM 重炭酸ナトリウムバッファー(pH 7.5)および1mM PMSFからなる3倍量の
バッファー中に再懸濁し、氷上で20分間、細胞を膨潤させた。次いでそのペレッ
トをDounceホモジナイザー中で氷上で95%を超える細胞が溶解するまでホモジナ
イズする(ホモジナイザーの適切なクリアランスは各細胞タイプによって異なる)
【0046】 溶解物を1,000 x gで10分間遠心して破壊されていない細胞、核およびその他
の細片を除去する。次いで、この遠心ステップから得た上清を100,000 x gで90
分間再遠心する。gp96−ペプチド複合体はこの100,000 x gペレットもしくはそ
の上清から精製することができる。
【0047】 上清から精製する場合には、その上清を等量の2x 溶解バッファーで希釈し、
その上清と、2mM Ca2+および2mM Mg2+を含有するPBSで平衡化したCon A−Se
pharose(登録商標、Pharmacia, Inc. スウェーデン)とを4℃で2−3時間混合する
。次いで、そのスラリーをカラムに詰め、1x溶解バッファーでOD280がベース
ラインに下がるまで洗う。次いで、そのカラムをカラムベッド容積の1/3の量の1
0%α−メチルマンノシド(α−MM)を2mM Ca2+および2mM Mg2+を含有するPBS
中に溶解させた溶液で洗い、そのカラムをパラフィルム片で密封し、37℃で15分
間インキュベートする。次いで、カラムを室温まで冷却し、パラフィルムをカラ
ムの底部から除去する。カラム容量の5倍量のα−MMバッファーをカラムにアプ
ライし、溶出液をSDS−PAGEで分析する。典型的にはこの結果得られた物質は約6
0−95%の純度であるが、これは細胞タイプおよび用いた組織対溶解バッファーの
比の如何による。次いで、そのサンプルを、5mM リン酸ナトリウム pH 7を含有
するバッファーで平衡化したMono Q(登録商標) FPLCイオン交換クロマトグラフ
ィーカラム(Pharmacia, Inc. Piscataway, 米国ニュージャージー州)にアプライ
する。次いで、タンパク質をそのカラムから0−1M NaClの濃度勾配を用いて溶出
する。gp96画分はNaClの400mM〜550mMの間に溶出される。
【0048】 しかしながら、見かけ上均質なgp96−ペプチド複合体を一貫して産生させるた
めに、この方法はさらに2つのステップの追加によって修飾することができ、そ
の2つのステップは単独でも組み合わせても用いることができる。これらの任意
のステップの1つはCon Aでの精製ステップの前に硫安沈殿を含むものであり、も
う一方の任意のステップではCon A精製ステップの後でMono Q(登録商標) FPLCス
テップの前にDEAE−Sepharose(登録商標)による精製を含むものである。
【0049】 第1の任意ステップにおいては、100,000 x g遠心ステップの結果得られた上清
に硫安を添加して最終濃度を50%硫安とする。硫安の添加は氷水のトレイ中に置
いたビーカー中の溶液をゆっくりと攪拌しつつ緩徐に行う。溶液の攪拌を4℃に
て約0.5時間から12時間行い、その後、得られた溶液を6000rpm(Sorvall SS34ロ
ーター)で遠心する。このステップで得られた上清をとり、硫安溶液の添加によ
って70%硫安飽和とし、6000rpm(Sorvall SS34ローター)で遠心する。このステッ
プで得られたペレットを回収し、そのペレットを洗うために70%硫安含有のPBS中
に懸濁する。この混合液を6000rpm(Sorvall SS34ローター)で遠心し、2mM Ca
とMg2+含有のPBS中にペレットを溶解する。溶解しない物質を15,000rpm(Sor
vall SS34ローター)で軽く遠心して除去する。次いでその溶液をCon A Sepharos
e(登録商標)と混合し、前述と同じ方法を行う。
【0050】 第2の任意ステップにおいては、gp96含有の画分をCon Aカラムから溶出してプ
ールし、バッファーを5mM リン酸ナトリウムバッファー(pH 7)、300mM NaClと透
析によって交換するか、または、好ましくはSephadex(登録商標) G25 カラム(P
harmacia, Inc. スウェーデン)上でバッファーを交換する。バッファー交換の後
、その溶液をあらかじめ5mM リン酸ナトリウムバッファー(pH 7), 300mM NaClで
平衡化させたDEAE−Sepharose(登録商標)と混合する。そのタンパク質溶液とビ
ーズとを穏やかに1時間混合しカラムに注入する。次いで、そのカラムを5mM リ
ン酸ナトリウムバッファー(pH 7), 300mM NaClで280nmの吸光度がベースライン
に戻るまで洗う。次いで、結合したタンパク質をカラムから5倍容量の5mM リン
酸ナトリウムバッファー(pH 7), 700mM NaClで溶出する。タンパク質を含有する
画分をプールし5mM リン酸ナトリウムバッファー(pH 7)で塩濃度を175mMより低
くするために希釈する。次いでこの結果得られた物質を、5mM リン酸ナトリウム
バッファー(pH 7)で平衡化したMono Q(登録商標) FPLC カラム(Pharmacia)にア
プライし、Mono Q(登録商標) FPLCカラム(Pharmacia)に結合したタンパク質を前
述のとおり溶出する。
【0051】 しかし、当業者であれば、通常の実験技法によって、この第2の任意ステップ
を精製プロトコール中に追加することの利点を評価しうることは理解されるであ
ろう。さらに、これらの任意のステップの各々を付加することの利点が出発材料
の供与源の如何によることも理解されるであろう。
【0052】 100,000 x gで得たペレットからgp96画分を単離する場合には、そのペレット
を1% デオキシコール酸ナトリウムもしくは1%オクチルグルコピラノシドのいず
れかを含有する(しかしMg2+およびCa2+を含まない)5倍量のPBS中に懸濁し、
氷上で1時間インキュベートする。その懸濁液を20,000 x gで30分間遠心しその
結果得られる上清をPBS(これもMg2+およびCa2+を含まない)に対してPBSを数
回交換して透析して界面活性剤を除去する。透析物を100,000 x gで90分間遠心
し、その上清を回収し、それにカルシウムおよびマグネシウムを添加して最終濃
度をそれぞれ2mMとする。次いでそのサンプルを、100,000 x g上清からgp96−ペ
プチド複合体を単離する方法(上述の方法を参照せよ)をそのままもしくは変法の
いずれかによって精製する。
【0053】 gp96−ペプチド複合体はこの方法を用いて見かけ上均質に精製することができ
る。約10−20μgのgp96−ペプチド複合体を1gの細胞/組織から単離することがで
きる。
【0054】5.2.1.2. hsp70−ペプチド複合体の調製と精製 hsp70−ペプチド複合体の精製については既に報告されており、例えば、Udono
ら, 1993, J. Exp. Med. 178:1391−1396を参照せよ。用いうる方法は下記のと
おりであるが、これは例として示したものであり限定するものではない: 最初に、細胞(例えば、肝臓、脾臓、もしくはその他の任意の適切な器官)を5m
M リン酸ナトリウムバッファー(pH 7), 150mM NaCl, 2mM CaCl, 2mM MgCl,
および1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)からなる3倍量の1 x 溶
解バッファー中に懸濁する。次いで、ペレットを氷上で、顕微鏡的観察によって
99%を超える細胞が溶解していると認められるまで超音波処理する。超音波処理
に代わる方法として、細胞を機械的剪断によって溶解させることができ、そのよ
うなアプローチをとる場合には、細胞は典型的には30mM 重炭酸ナトリウム(pH 7
.5), 1mM PMSF中に再懸濁し、氷上で20分間インキュベートし、次いでDounceホ
モジナイザーで95%を超える細胞が溶解するまでホモジナイズする。
【0055】 次いで、溶解物を1,000 x gで10分間遠心して破壊されていない細胞、核、お
よびその他の細片を除去する。この結果得られた上清を100,000 x gで90分間再
遠心し、その上清を回収し、次いで2mM Ca2+と2mM Mg2+含有のリン酸平衡化
食塩水(PBS)で平衡化したCon A Sepharose(登録商標)と混合する。細胞を機械的
剪断によって溶解する場合には、その上清をCon A Sepharose(登録商標)と混合
する前に、等量の2x 溶解バッファーで希釈する。次いでその上清をCon A Sepha
rose(登録商標)と4℃で2−3時間結合させる。結合しなかった物質を回収し、10m
M Tris−酢酸(pH 7.5), 0.1mM EDTA, 10mM NaCl, 1mM PMSFに対して36時間(3回
、各回100倍量)透析する。次いで、透析物を17,000rpm(Sorvall SS34ローター)
で20分間遠心する。次いで、その結果得られた上清を回収し、20mM Tris−酢酸(
pH 7.5), 20mM NaCl, 0.1mM EDTAおよび15mM 2−メルカプトエタノール中で平衡
化したMono Q(登録商標) FPLC カラムにアプライする。そのカラムを20mMから50
0mMのNaClの濃度勾配で展開し、ドデシル硫酸ナトリウム−ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動(SDS−PAGE)で溶出画分を分画し、適切な抗hsp70抗体(例えば Stre
ssGen, Victoria, カナダブリティッシュコロンビア州から入手したクローンN27
F3-4から得た抗体)を用いたイムノブロッティングで特性決定する。
【0056】 抗hsp70抗体に対して免疫反応性の強い画分をプールし、hsp70−ペプチド複合
体を硫安で沈殿させる;特に50%−70%硫安カットで沈殿する。次いで、この結果
得られた沈殿を17,000rpm(SS34 Sorvallローター)で遠心して回収し、70%硫安で
洗う。洗った沈殿を可溶化し、残存する硫安を全てSephadex(登録商標) G25カラ
ム(Pharmacia)のゲルろ過で除去する。必要があれば、このようにして得られたh
sp70調製物を上述のようにMono Q(登録商標) FPLCカラムにかけて再精製するこ
とができる。
【0057】 hsp70−ペプチド複合体はこの方法を用いて見かけ上均質な程度まで精製する
ことができる。典型的には1gの細胞/組織から1mgのhsp70−ペプチド複合体を精
製することができる。
【0058】 本発明では、さらにhsp70−ペプチド複合体を精製するための迅速な方法につ
いて述べる。この改良法は、細胞性タンパク質を固体基質に固定化させたADPも
しくは非加水分解性ATP類似体と接触させて、溶解物中のhsp70がそのADPもしく
は非加水分解性ATP類似体と結合できるようにし、そして結合したhsp70を溶出さ
せることを含む。好ましい方法では、固体基質(例えば、ADP−アガロース)に固
定化させたADPを用いるカラムクロマトグラフィーを使用するものである。この
結果得られるhsp70調製物は純度がより高く、不純タンパク質含まない。このhsp
70の収率も約10倍以上に顕著に増大する。あるいはまた、ADPの代わりに非加水
分解性ATP類似体を用いたクロマトグラフィーをhsp70−ペプチド複合体の精製に
用いることができる。
【0059】 hsp70−ペプチド複合体のADP−アガロースクロマトグラフィーによる精製は下
記のとおり行うが、これは例を示したものであって限定するものではない。
【0060】 5億個の細胞(例えば、肝臓、脾臓、もしくはその他の任意の適切な器官)を低
張バッファー中でホモジナイズし、溶解物を100,000 x gで90分間、4℃で遠心す
る。その上清をADP−アガロースカラムにアプライする。そのカラムをバッファ
ーで洗い、カラム容量の5倍量の3mM ADPで溶出する。溶出してくる合計15画分の
うちの画分2から10までにhsp70−ペプチド複合体は溶出する。溶出した画分をSD
S−PAGEで分析する。この方法を用いてhsp70−ペプチド複合体を見かけ上均質と
なる程度まで精製することができる。
【0061】5.2.1.3. hsp90−ペプチド複合体の調製と精製 hsp90−ペプチド複合体の調製のために用いる方法は下記のとおりだが、これ
は例として示したものであり、限定するものではない: 最初に、細胞(例えば、肝臓、脾臓、またはその他の器官で適切な何らかのも
の)を5mM リン酸ナトリウムバッファー (pH7), 150mM NaCl, 2mM CaCl2、2m
M MgCl2、および1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)からなる1×
溶解バッファー(3倍量)中に懸濁する。次いで、ペレットを氷上で、顕微鏡的
観察によって99%を超える細胞が溶解していると認められるまで超音波処理する
。超音波処理に代わる方法として、細胞を機械的剪断によって溶解させることが
でき、そのようなアプローチをとる場合には、細胞は典型的には30mM 重炭酸ナ
トリウムpH 7.5, 1mM PMSF中に再懸濁し、氷上で20分間インキュベートし、次い
でダウンスホモジナイザーで95%を超える細胞が溶解するまでホモジナイズする
【0062】 次いで、溶解物を1000×gで10分間遠心して破壊されていない細胞、核、およ
びその他の細胞の破片を除去する。この結果得られた上清を100,000×gで90分間
再遠心し、その上清を集め、次いで2mM Ca2+と2mM Mg2+含有のPBSで平衡化し
たCon A Sepharose(登録商標)と混合する。細胞が機械的剪断によって溶解する
場合には、その上清をCon A Sepharoseと混合する前に、等量の2×溶解バッフ
ァーで希釈する。次いでその上清をCon A Sepharoseと4℃で2〜3時間結合さ
せる。結合しなかった物質を回収し、20mM リン酸ナトリウム pH 7.4, 1mM ED
TA, 250mM NaCl, 1mM PMSFに対して36時間(3回、各回100倍量)透析する。次い
で、透析物を17,000rpm(Sorvall SS34ローター)で20分間遠心する。次いで、そ
の結果得られた上清を、20mM リン酸ナトリウム pH 7.4, 1mM EDTA, 250mM NaC
l, 1mM PMSFを含むバッファーで平衡化したMono Q(登録商標) FPLC カラムにア
プライする。次いで、タンパク質は200mM〜600mM NaClの塩濃度勾配で溶出する
【0063】 溶出した画分をSDS−PAGEで分画し、3G3(Affinity Bioreagents)などの抗hsp9
0抗体を用いたイムノブロッティングでhsp90−ペプチド複合体を含んでいる画分
を同定する。hsp90−ペプチド複合体はこの方法を用いて見かけ上均一となる程
度まで精製することができる。典型的には、1gの細胞/組織から150〜200μgのh
sp90−ペプチド複合体を精製することができる。
【0064】5.2.2. hspおよびhsp−ペプチド複合体の遺伝子組換えによる産生 hspをコードする多数の遺伝子がクローン化され配列決定されているが、その
ようなものとしては例えば、ヒトhsp70(GenBank受託番号M11717およびM15432; H
untおよびMorimoto, 1985, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:6455−6459をも参
照せよ)、ヒトhsp90(GenBank受託番号X15183; Yamazakiら, 1989, Nucleic Acid
s Res. 17:7108をも参照せよ)、およびヒトgp96(GenBank受託番号M33716; Maki
ら, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:5658−5662)が挙げられる。
【0065】 hspはそれが単独もしくは抗原性分子と複合体化されたもののいずれであって
も、当業界で良く知られた技法を用いて組換えDNA技術によって産生させること
ができる。当業者に良く知られた方法を用いて、hspコード配列および/もしくは
抗原性分子コード配列、ならびに適切な転写/翻訳制御シグナルを含んでいる発
現ベクターを構築できる。これらの方法としては例えば、in vitro組換えDNA技
法、合成技法、およびin vivo組換え/遺伝的組換え法が挙げられる。例えば、Sa
mbrookら, 1989, 上述の文献、およびAusubelら, 1989, 上述の文献を参照せよ
【0066】 hsp遺伝子の発現には種々の宿主−発現ベクター系を用いることができる。そ
のような系としては、限定はされないが、hspコード配列を含んでいる組換えバ
クテリオファージDNA、プラスミドDNAもしくはコスミドDNA発現ベクターで形質
転換された細菌(例えば、大腸菌(E.coli)、枯草菌(B.subtilis))などの微生物;
hspコード配列を含んでいる組換え酵母発現ベクターで形質転換された酵母(例え
ばSaccharomyces, Pichia);hspコード配列を含んでいる組換えウイルス発現ベ
クター(例えばバキュロウイルス)を感染させた昆虫細胞系;hspコード配列を含
んでいる組換えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス,
CaMV;タバコモザイクウイルス, TMV)で感染させた、もしくはhspコード配列を
含んでいる組換えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換さ
せた植物細胞系;または哺乳動物細胞のゲノム由来のプロモーター(例えば、メ
タロチオネインプロモーター)もしくは哺乳動物のウイルス由来のプロモーター(
例えばアデノウイルス後期プロモーター;ワクシニアウイルス7.5Kプロモーター
)を含んでいる組換え発現構築物を有している哺乳動物細胞系(例えば、COS、CHO
、BHK、293、3T3)が挙げられる。
【0067】 例えば、細菌系では、容易に精製しうる融合タンパク質産物の高レベルでの発
現を指令するベクターが望ましい。そのようなベクターとしては、限定はされな
いが、融合タンパク質が産生されるようにベクター中のlac Zコード領域と同じ
フレームでhspコード配列を個々に連結しうる大腸菌(E.coli)発現ベクターpUR27
8(Rutherら, 1983, EMBO J. 2:1791);pINベクター(InouyeおよびInouye, 1985,
Nucleic Acids Res. 13:3101−3109; Van HeekeおよびSchuster, 1989, J. Bio
l. Chem. 264:5503−5509);および他の同様のものが挙げられる。pGEXベクター
も外来ポリペプチドをグルタチオンS−トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパ
ク質として発現させるために用いることができる。通常はそのような融合タンパ
ク質は可溶性で、グルタチオン−アガロースビーズに吸着させた後、遊離のグル
タチオンの存在下で溶出させることによって溶解した細胞から容易に精製するこ
とができる。pGEXベクターは、クローン化されたhsp遺伝子タンパク質がGST部分
から放出されうるように、トロンビンもしくは第Xa因子プロテアーゼ開裂部位を
含むようデザインされる。
【0068】 昆虫の系では、Autographa californica核多角体病ウイルス(AcNPV)が外来遺
伝子の発現のためのベクターとして用いられる。このウイルスはSpodoptera fru
giperda細胞中で増殖する。hsp遺伝子はこのウイルスの非必須領域(例えばポリ
ヘドリン遺伝子)中に個々にクローン化しAcNPVプロモーター(例えばポリヘドリ
ンプロモーター)の制御下に置くことができる。hspコード配列の挿入がうまく行
われればポリヘドリン遺伝子の不活化と非閉塞性組換えウイルス(すなわち、ポ
リヘドリン遺伝子によってコードされて作られるタンパク質性のコートを欠くウ
イルス)の産生をもたらす。次いで、これらの組換えウイルスを、挿入された遺
伝子が発現するSpodoptera frugiperda細胞に感染させるために用いる(例えば、
Smithら, 1983, J. Virol. 46:584; Smith, 米国特許第4,215,051号を参照せよ)
【0069】 哺乳動物の宿主細胞においては、多数のウイルスベースの発現系を好ましいも
のとして用い得る。アデノウイルスが発現ベクターとして用いられる場合には、
hspコード配列をアデノウイルス転写/翻訳制御複合体、例えば後期プロモーター
および3分節系リーダー配列に連結させることができる。次いで、このキメラ遺
伝子を、in vitroもしくはin vivo組換えでアデノウイルスゲノム中に挿入する
ことができる。ウイルスゲノムの非必須領域(例えば領域E1もしくはE3)への挿入
によって、生存能力があり感染した宿主内でhspを発現させ得る組換えウイルス
が得られる(例えば、LoganおよびShenk, 1984, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81
:3655−3659を参照せよ)。挿入されたhspコード配列の効率的な翻訳のためには
特定の開始シグナルもおそらく必要であろう。そのようなシグナルとしてはATG
開始コドン、および隣接配列が挙げられる。発現効率は適切な転写エンハンサー
エレメント、転写ターミネーターなどを含ませることによって増強することがで
きる(Bittnerら, 1987, Methods in Enzymol. 153:516−544を参照せよ)。
【0070】 さらに宿主細胞株は、挿入された配列の発現を調節するか、またはhspを所望
の特定の様式で修飾およびプロセシングするようなものを選ぶことができる。例
えば、適切なグリコシル化を行いうる系の選択はgp96の場合には特に重要である
。宿主細胞が異なれば、細胞の有するタンパク質の翻訳後のプロセシングおよび
修飾(グリコシル化など)のための特徴的で特異的なメカニズムも異なる。発現
された外来タンパク質の正しい修飾およびプロセシングを確実に行い得るように
適切な細胞系または宿主系を選択することができる。この目的のために、一次転
写物のプロセシング、グリコシル化、および遺伝子産物のリン酸化を適切に行う
ための細胞内機構を有する宿主真核細胞を用いることができる。そのような哺乳
動物の宿主細胞としては、限定はされないが、CHO、VERO、BHK、HeLa、COS、MDC
K、293、3T3、WI38などが挙げられる。
【0071】 hspの組換え発現のための好ましい1実施形態においては、ヒスチジン−ニッケ
ル(his−Ni)タグシステムが用いられる(Janknechtら, 1991, Proc. Natl. Acad.
Sci. USA 88:8972−8976)。このhis−Niシステムでは、hspはヒト細胞系中で融
合タンパク質として発現され、この融合タンパク質は非変性型の状態で容易に精
製することができる。このシステムでは、対象の遺伝子(すなわち、hsp遺伝子)
はワクシニア組換えプラスミド中に、その遺伝子のオープンリーディングフレー
ムが6個のヒスチジン残基からなるアミノ末端タグに、翻訳の際に融合されるよ
うにサブクローン化される。組換えワクシニアウイルスを感染させた細胞の抽出
物をNi2+・ニトリロ酢酸-アガロースカラムにかけると、ヒスチジンのタグを付し
たタンパク質はイミダゾール含有バッファーで選択的に溶出される。
【0072】 his−Niシステムを用いたタンパク質の発現および単離のためのキットはInvit
rogen(登録商標, San Diego, 米国カリフォルニア州)から市販されている。
【0073】 あるいはまた、本節で述べた、真核細胞宿主中で産生させた上記組換えhspは
、上記の第5.2.1節に詳述したそれぞれの方法に従って精製することができる。
【0074】5.2.3. 複合体化されていないhspの調製と精製 下記の方法を複合体化されていないhsp、すなわちペプチドなどの抗原性分子
が実質的に非共有結合で結合していないhspを得るために用いることができる。
特定の1実施形態においては、hspは複合体化されていない形で組織修復の目的で
、本発明に従って投与することができる。さらに、下記の第5.2.5節に述べるよ
うに、複合体化していないhspを、該hspと対象の抗原性分子とのin vitroでの複
合体化によるhsp−抗原性分子複合体のデザインのために用い得る。
【0075】5.2.3.1. 一般的方法 hsp−抗原性分子複合体からhspおよび抗原性分子成分を互いに分離するために
用いられる方法としては、限定はされないが、低pHでの複合体の処理が挙げられ
る。以下、この節に記載する低pH処理法はhsp70、hsp90、およびgp96に用いるこ
とができる。hsp−抗原性分子複合体からhsp70を単離するための好ましい別法に
ついては第5.2.3.2節に示している。
【0076】 非共有結合で結合している抗原性分子を低pHを用いて溶出するためには、例示
としてであって限定するものではないが、酢酸もしくはトリフルオロ酢酸を精製
hsp−抗原性分子複合体に添加して最終濃度を10%(v/v)とし、その混合物を室温
または沸騰水浴中またはその中間のいずれかの温度で10分間インキュベートする
(Van Bleekら, 1990, Nature 348:213−216; およびLiら, 1993, EMBO Journal
12:3143−3151を参照せよ)。この結果得られたサンプルをCentricon(登録商標)1
0アセンブリーを通じて遠心し、高分子量および低分子量の画分を回収する。残
存する高分子量のhsp70−ペプチド複合体を低pHで再インキュベートして残存ペ
プチドを除去することができる。この結果得られる、hspを含有するより高分子
量の画分が、プールされ濃縮される。
【0077】5.2.3.2. 複合体化していないhsp70の調製と精製のための好ましい方法 好ましくはhsp70−ペプチド複合体は上述の第5.2.1.2.節のとおり精製される
。hsp70−ペプチド複合体が精製された後は、そのペプチドは下記の2つの好まし
い方法のいずれかによってhsp70から溶出される。より好ましくは、hsp70−ペプ
チド複合体はATPの存在下でインキュベートされる。あるいはまた、hsp70−ペプ
チド複合体は上記の第5.2.2節に記載のとおり低pHバッファー中でインキュベー
トされる。
【0078】 簡潔に記せば、複合体をCentricon 10アセンブリー(Millipore)を用いて遠心
し、複合体に緩く会合している低分子量の物質を除去する。高分子量画分をとり
SDS−PAGEにより分析でき、一方低分子量のものは下記のとおりHPLCで分析でき
る。ATPとインキュベーションするプロトコールでは、高分子量画分中のストレ
スタンパク質−ペプチド複合体を10mMのATPと室温で30分間インキュベートする
【0079】 この結果得られたサンプルをCentricon 10アセンブリーを用いて前述のとおり
遠心する。高および低分子量画分を回収する。残存する高分子量hsp70−ペプチ
ド複合体をATPと再インキュベートして残存するペプチドを全て除去する。
【0080】 この結果得られるhsp70を含んだ高分子量画分をプールし濃縮する。
【0081】5.2.4. 抗原性成分の単離 上記の第5.2.3節に記載の方法は、抗原性分子との複合体からhspを単離するた
めに用い得るものであるが、それらの方法は潜在的に有用な抗原決定物を含んで
いる可能性のある細胞からペプチドおよび/または抗原性成分を単離するために
も同様に用い得る。hspと抗原性分子が互いに別々の画分中に分離された後は抗
原性分子を含んでいる画分をプールし、下記のとおりさらに処理することができ
る。単離された後は、各抗原性ペプチドのアミノ酸配列を従来のアミノ酸配列決
定法を用いて決定することができる。次いでそのような抗原性分子を化学合成ま
たは組換え法で産生し、精製し、in vitroでhspと複合体化させることができる
【0082】 同様に、免疫原性である可能性のあるペプチドはMHC−ペプチド複合体から当
業界では良く知られた技法を用いて溶出させることができる(Falk, K.ら, 1990,
Nature 348:248−251; Elliott, T.ら, 1990, Nature 348:195−197; Falk, K.
ら, 1991, Nature 351:290−296)。
【0083】 このように、免疫原性または抗原性を有する可能性のあるペプチドは、ストレ
スタンパク質−ペプチド複合体またはMHC−ペプチド複合体から、単離後に抗原
性分子として使用してin vitroでhspと複合体化するために単離することができ
る。これらの複合体のいずれかからペプチドおよび/または抗原性成分を単離す
るための典型的なプロトコールを下記の第5.2.4.1節および第5.2.4.2節において
述べる。
【0084】5.2.4.1. ストレスタンパク質−ペプチド複合体からのペプチド 上記の第5.2.3節に詳述した方法を、ストレスタンパク質−ペプチド複合体か
らペプチドを溶出するために用いることができる。一方のアプローチではストレ
スタンパク質−ペプチド複合体をATPの存在下でインキュベートすることが含ま
れる。他方のアプローチではその複合体を低pHバッファー中でインキュベートす
ることが含まれる。
【0085】 簡潔に記せば、対象の複合体をCentricon 10アセンブリー(Millipore)を用い
て遠心し複合体に緩く会合している低分子量物質を除去する。高分子量画分をと
りSDS−PAGEで分析でき、一方低分子量のものは下記のとおりHPLCで分析できる
。ATPとインキュベーションするプロトコールでは、高分子量画分中のストレス
タンパク質−ペプチド複合体を10mM ATPと室温で30分間インキュベートする。低
pHプロトコールでは、酢酸またはトリフルオロ酢酸(TFA)をストレスタンパク質
−ペプチド複合体に添加して最終濃度を10%(v/v)とし、その混合物を室温または
沸騰水浴中またはその中間のいずれかの温度で10分間インキュベートする(Van B
leekら, 1990, Nature 348:213−216; およびLiら, 1993, EMBO Journal 12:314
3−3151を参照せよ)。
【0086】 この結果得られたサンプルをCentricon 10アセンブリーを用いて前述のとおり
遠心する。高分子量画分および低分子量画分を回収する。残存する高分子量スト
レスタンパク質−ペプチド複合体をATPとともに再インキュベートして、または
低pHで再インキュベートして残存するペプチドを全て除去する。
【0087】 この結果得られる低分子量画分をプールし、蒸発によって濃縮し、0.1% TFA中
に溶解する。次いで、溶解した物質を逆相高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)で
、例えば0.1% TFAで平衡化したVYDAC(登録商標)C18逆相カラム(Separations Gro
up, Inc. Hesperia, 米国カリフォルニア州)を用いて分画する。次いで、結合し
た物質は約0.8mL/分の流速で、0.1% TFA中のアセトニトリルの0〜80%までの直
線濃度勾配でそのカラムを展開することによって溶出される。ペプチドの溶出は
OD210でモニターでき、ペプチドを含む画分を集める。
【0088】5.2.4.2. MHC−ペプチド複合体からのペプチド MHC分子からの免疫原性を示す可能性のあるペプチドの単離は当業界では良く
知られているため、本明細書では詳述しない(Falkら, 1990, Nature 348:248−2
51; Rotzscheら, 1990, Nature 348:252−254; Elliottら, 1990, Nature 348:1
91−197; Falkら, 1991, Nature 351:290−296; Demotzら, 1989, Nature 343:6
82−684; Rotzscheら, 1990, Science 249:283−287、これらの論文の開示は本
明細書中に参照により組み入れる)。
【0089】 簡潔に記せば、MHC−ペプチド複合体は従来のイムノアフィニティー法で単離
することができる。次いでそのペプチドは、MHC−ペプチド複合体をアセトニト
リル中の約0.1%のTFAの存在下でインキュベートしてその複合体から溶出させ得
る。溶出したペプチドは前述のとおり逆相HPLCで分画、精製できる。
【0090】 溶出したペプチドのアミノ酸配列は、当業界では良く知られた手動または自動
アミノ酸分析法のいずれかで決定することができる。保護ペプチドである可能性
のあるペプチドのアミノ酸配列が決定されれば、そのペプチドを、所望のいずれ
の量であっても当業界では良く知られた従来のペプチド合成法もしくはその他の
プロトコールを用いて合成することができる。
【0091】5.2.4.3. ペプチドの合成による産生 上記で単離されたものと同じアミノ酸配列を有するペプチドまたは上記とは異
なるアミノ酸配列は、組換えDNA技法によって上記の第5.2.2節で述べた方法を用
いて産生させるか、もしくは固相ペプチド合成によってMerrifieldが述べている
方法(1963, J. Am. Chem. Soc. 85:2149)と同様な方法で合成することができる
。合成の際には、不溶性のポリマー性担体(すなわちポリスチレンビーズ)にC
末端で結合させた、伸長しつつあるポリペプチド鎖に、保護された側鎖を有する
N−α−保護アミノ酸を逐次添加する。ペプチドは、N−α−脱保護アミノ酸を、
予めジシクロヘキシルカルボジイミドなどの試薬と反応させて活性化したN−α
−保護アミノ酸のα−カルボキシル基と結合させて合成する。遊離のアミノ基を
活性化されたカルボキシル基に結合させることによってペプチド結合が形成され
る。最も一般的に用いられるN−α−保護基としては、酸に不安定なBoc、および
塩基に不安定なFmocが挙げられる。
【0092】 簡潔に記せば、N−α−保護アミノ酸のC末端をまずポリスチレンビーズに結
合させる。次いで、N−α−保護基を除去する。保護基を除去したα−アミノ基
を、次のN−α−保護アミノ酸の活性化されたα−カルボキシル基に結合させる
。このプロセスを所望のペプチドが合成されるまで反復する。次いで、この結果
得られたペプチドを不溶性ポリマー単体から開裂させ、アミノ酸側鎖の保護基を
除去する。より長いペプチドは保護ペプチド断片の縮合によって得ることができ
る。適切な化学的処理法、樹脂、保護基、保護アミノ酸、および試薬の詳細につ
いては当業界では良く知られているので本明細書では詳述しない(Athertonら, 1
989, Solid Phase Peptide Synthesis: A Practical Approach, IRL Press; お
よびBodanszky, 1993, Peptide Chemistry, A Practical Textbook, 第2版, Spr
inger−Verlagを参照せよ)。
【0093】 この結果得られたペプチドの精製は、例えばゲル浸透による調製用HPLC、分配
および/またはイオン交換クロマトグラフィーなどの従来の方法で行われる。適
切なマトリックスおよびバッファーの選択については当業界では良く知られてお
り、本明細書では詳述しない。
【0094】5.2.5. ストレスタンパク質−抗原性分子複合体のin vitroでの産生 hspがin vivoで内因性に会合しているペプチドとhspとの複合体を用いず、し
かもhsp−抗原性分子複合体を用いることが所望される実施形態においては、hsp
の抗原性分子との複合体はin vitroで作製される。当業者には理解されるとおり
、前述の方法で単離されるか、または化学合成もしくは遺伝子組換えのいずれか
で産生されたペプチドを、種々の精製ストレスタンパク質(天然、組換えまたは
化学合成のもの)とin vitroで再構成して、免疫原性の非共有結合性ストレスタ
ンパク質−抗原性分子複合体を作製することができる。あるいはまた、外因性抗
原またはそれらの抗原性/免疫原性フラグメントもしくは誘導体を、本発明の方
法に用いるためにストレスタンパク質と非共有結合で複合体化することができる
。ストレスタンパク質と抗原性分子とのin vitroでの非共有結合性の複合体化の
ための、好ましい、典型的なプロトコールを下記に述べる: 複合体化の前に、hspをATPまたは低pHで前処理して対象のhspと会合している
可能性のあるペプチドを全て除去する。ATP法を用いる場合には、Levyら, 1991,
Cell 67:265−274に述べられているとおり、アピラーゼを添加して調製物から
過剰のATPを除去する。低pHを用いる場合には、pH調整剤を添加することによっ
てバッファーを中性pHに再調整する。
【0095】 抗原性分子(1μg)と前処理済のhsp(9μg)を混合して、およそ抗原性分子5:ス
トレスタンパク質1のモル濃度比の液を作る。次いで、その混合物を適切な結合
バッファー、例えば20mMリン酸ナトリウム pH7.2, 350mM NaCl, 3mM MgCl2, お
よび1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)を含有するバッファー中
で4℃〜45℃で、15分〜3時間インキュベートする。その調製物をCentricon 10
アセンブリー(Millipore)で遠心して結合していないペプチドを全て除去する。
ペプチドとストレスタンパク質との会合はSDS−PAGEでアッセイすることができ
る。この方法は、内因性hsp−ペプチド複合体から解離させた、MHC−ペプチド複
合体から単離されたペプチドの、in vitroでのペプチド複合体化に好ましい方法
である。
【0096】 hsp70とペプチドなどの外因性抗原性分子との複合体を産生するために好まし
い本発明の別の実施形態においては、5〜10μgの精製hspを等モルの量の抗原性
分子とともに、20mM リン酸ナトリウムバッファー pH7.5、0.5M NaCl、3mM MgCl 2 、および1mM ADPを100μLとした液中で、37℃、1時間インキュベートする。
このインキュベーション混合物をさらにリン酸緩衝塩水で1mLまで希釈する。
【0097】 hsp90とペプチドとの複合体産生に好ましい本発明の別の実施形態においては
、5〜10μgの精製hsp90を等モルまたは過剰量の抗原性ペプチドとともに、適切
なバッファー、例えば20mM リン酸ナトリウムバッファー pH7.5、0.5M NaCl、3
mM MgCl2を含有するバッファー中で60〜65℃で5〜20分間インキュベートする。
あるいはまた、等モルまたは過剰量のペプチド(例えば、外因性ペプチド)を精製
hsp90−ペプチド(内因性)複合体に添加し、外因性ペプチドで内因性ペプチドを
置換する。どちらの場合においても、そのインキュベーション混合物を室温まで
放冷し、必要ならばCentricon 10 アセンブリー(Millipore)で1回以上遠心して
未結合ペプチドを全て除去する。
【0098】 gp96とペプチドとの複合体産生に好ましい本発明の別の実施形態においては、
100〜300nMの精製ペプチドを100nMの精製gp96に添加する。あるいはまた、100〜
300nMのペプチド(例えば外因性ペプチド)を精製gp96−ペプチド(内因性)複合体
に添加し、外因性ペプチドで内因性ペプチドを置換する。どちらの場合でも、混
合物を20mM HEPES、pH7.2、20mM NaCl、および2mM MgCl2からなる結合バッファ
ー中で60℃で10分間インキュベートし、さらに10分間室温まで放冷する。遠心後
、サンプルを室温で30分間インキュベートする。Microcon 50(Amicon, Inc.)を
用いて遊離のペプチドを完全に除去する。
【0099】 複合体を単離した後、好ましい投与プロトコールおよび下記の賦型剤を用いて
さらに動物モデルでの免疫寛容原性の特徴を調べることができる。
【0100】5.3. 投与量計画 hspおよびhsp−抗原性分子複合体は哺乳類の治療対象に投与されるが、その哺
乳類は例えば、霊長類、イヌ、ネコ、マウス、ラット、ウマ、ウシ、ブタなどで
あり、好ましくはヒトで、投与量は約1μg〜約5000μgの範囲で、好ましくは約1
μg〜約1500μgの範囲である。哺乳類では約30μg〜約500μgの範囲の量を好ま
しくは皮内投与するが、約5μg〜100μgの皮内投与が一層好ましい。下記の第6
節の実施例に示しているとおり、マウスモデルにおける創傷治癒の促進のための
有効投与量は、20〜25gの平均体重のマウスに対してgp96を30μg皮内投与するこ
とである。
【0101】 投与方法としては限定はされないが、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、
鼻腔内、硬膜外、および経口経路が挙げられる。 hspもしくは複合体は都合の良
い投与経路であればどのような経路でも投与することができる;例えば、点滴も
しくはボーラス注射、上皮からもしくは粘膜皮質(例えば、口腔粘膜、直腸およ
び腸粘膜など)からの吸収、および他の生物学的に活性な薬剤と共に投与するこ
とができる。投与は全身的もしくは局所とすることができる;投与は例えば限定
はされないが、局所適用、注射、カテーテルを通じて、坐剤を用いて、またはイ
ンプラントで行うことができ、該インプラントは有孔性、無孔性、もしくはゼラ
チン様の材料とすることができ、そのようなものとしてはシアラスティック(si
alastic)膜などの膜、もしくは線維を含んでいる。
【0102】 特定の実施形態においては、hsp組成物は皮内もしくは皮下に投与され、投与
部位は順次変わる。例えば、限定はされないが、上記の投与を行うための投与量
は、約4〜6週間、週1回投与し、各投与毎に投与の方法は変わる。各回の投与部
位は順次変えることができる。従って、例を挙げれば、限定はされないが、局所
(すなわち創傷部位の近傍に)もしくはダメージを受けている部位から離れた部位
で皮内もしくは皮下に注射を行う。1回以上の注射間隔を空けた後に同じ部位に
注射を反復することができる。また、分割注射を行うこともできる。従って、例
えば、投与量の半分を1部位に投与し、残りの半分を同じ日に別の部位に注射す
ることができる。
【0103】 4−6週間後、さらに注射を2週間間隔で1ヶ月間以上行うことが好ましい。その
後は注射を月1回行うことができる。その後の注射のペースは患者の臨床的進行
状況および治療への反応性の如何によって変えることができる。あるいはまた、
投与方法を順次変える、例えば、週1回の投与を皮内もしくは皮下に順次行う。
【0104】5.4. 製剤化 本発明の複合体化していないhspもしくは抗原性分子と複合体化したhspは、組
織修復の促進のために、哺乳類、好ましくはヒトに投与するための医薬品に製剤
化することができる。適合性のある製剤学的担体中に製剤化された本発明の化合
物を含む組成物は、組織修復の促進、例えば創傷治癒もしくは疾病によって障害
を受けた組織の再生などのために調製され、包装され、およびラベル付されるこ
とができ、その疾病としては例えば、限定されないが、多発性硬化症もしくは動
脈硬化が挙げられる。
【0105】 複合体が水溶性の場合には、適切なバッファー、例えば食塩加リン酸バッファ
ーもしくはその他の生理学的に適合する溶液中に製剤化することができる。ある
いはまた、複合体の水性溶媒への溶解性が乏しい場合には、Tweenもしくはポリ
エチレングリコールなどの非イオン性界面活性剤を用いて製剤化することができ
る。これらの化合物とその生理学的に許容しうる溶媒化合物を、吸入もしくは噴
霧(口もしくは鼻を通じて)、経口、バッカル、非経口、直腸投与するために製剤
化することができる。
【0106】 経口投与用には、医薬製剤は液状、例えば溶液、シロップ剤、もしくは懸濁液
の形状とすることができ、または水もしくはその他の適切なビヒクルで使用前に
再構成する医薬製剤とすることができる。そのような液状製剤は、製薬上許容し
うる添加物、例えば、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導
体、もしくは硬化食用油脂など);乳化剤(例えば、レシチンもしくはアラビアゴ
ム);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、もしくは分別植物
油);および保存剤(例えば、メチルもしくはプロピル−p−ヒドロキシ安息香酸
、またはソルビン酸)を用いて従来法で調製することができる。医薬組成物は例
えば、製薬上許容しうる賦型剤、例えば、結合剤(例えば、アルファ化トウモロ
コシデンプン、ポリビニルピロリドン、もしくはヒドロキシプロピルメチルセル
ロース);充填剤(例えば、乳糖、微結晶性セルロース、もしくはリン酸水素カル
シウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、もしくはシリカ
);崩壊剤(例えば、バレイショデンプン、もしくはデンプングリコール酸ナトリ
ウム);または湿潤剤(例えば、ラウリル流酸ナトリウム)を用いて従来法で調製
された錠剤もしくはカプセル剤の形とすることができる。錠剤は当業界で良く知
られた方法を用いてコーティングすることができる。
【0107】 経口投与用の製剤は活性成分の放出を調節するために適切に製剤化することが
できる。
【0108】 バッカル投与用には、組成物を従来法で錠剤もしくはロゼンジの形とすること
ができる。
【0109】 吸入によって投与するために、本発明で用いる組成物を適切な噴射剤、例えば
ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオ
ロエタン、二酸化炭素、もしくはその他の適切な気体を用いて、加圧パックもし
くはネブライザーからエアロゾルスプレーの形で都合よく送達させることができ
る。加圧エアロゾルの場合には、ある一定量を送達するためのヴァルブを備える
ことによって投与ユニットを定めることができる。吸入器もしくは噴霧器中で用
いるための、例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、該化合物と乳糖
もしくはデンプンなどの適切な粉末基剤との混合粉末を含有させて製剤化するこ
とができる。
【0110】 該化合物は注射、例えばボーラス注射もしくは持続注入などによって非経口投
与するために製剤化することができる。注射用の製剤はユニット投与剤型、例え
ば、アンプルもしくは複数回投与用容器中に保存剤を添加して製剤とすることが
できる。該組成物は油性もしくは水性ビヒクル中で懸濁液、溶液、もしくは乳剤
の形をとることができ、懸濁化、安定化、および/もしくは分散化剤などの製剤
化剤を含むことができる。あるいはまた、有効成分は適切なビヒクル、例えば、
無菌の発熱性物質不含の水と使用前に構成するための粉末の形状とすることがで
きる。
【0111】 該化合物はクリーム、ローション、軟膏、もしくはチンキ剤に、例えば従来か
ら用いられている基剤、例えば炭化水素、ワセリン、ラノリン、ロウ、グリセリ
ン、もしくはアルコールを含有させて製剤化することができる。該化合物はまた
、坐剤または浣腸剤などの直腸用組成物に、例えばカカオ脂もしくは他のグリセ
リドなどの従来から用いられている坐剤用基剤を含有させて製剤化することもで
きる。
【0112】 前述の製剤の他に、該化合物はまた、デポ製剤に製剤化することもできる。そ
のような持続性製剤は埋め込み(例えば、皮下もしくは筋肉内に)もしくは筋肉内
注射によって投与することができる。このように、例えば、該化合物は適切なポ
リマー性もしくは疎水性材料(例えば、許容しうる油中の乳剤として)またはイオ
ン交換樹脂、またはやや溶けにくい誘導体、例えば、やや溶けにくい塩として製
剤化することができる。リポソームおよび乳剤は親水性薬剤を送達するためのビ
ヒクルもしくは担体としてよく知られた例である。
【0113】 該組成物は、所望により、有効成分含有の1つ以上のユニット投与量剤型を容
れているパックもしくはディスペンサー器具で提供することができる。そのパッ
クは例えば金属もしくはプラスチックホイル、例えばブリスターパックなどから
なるものとすることができる。パックもしくはディスペンサー器具には投与のた
めの説明を付けることができる。
【0114】 本発明はまた、本発明の治療方法を実施するためのキットをも提供する。その
ようなキットは1つ以上の容器に治療上有効な量のhspもしくはhsp−抗原性分子
複合体を製薬上許容しうる形で含むものからなる。本発明のキットのバイアル中
にはhspもしくはhsp−抗原性分子複合体は、製薬上許容しうる溶液の形、例えば
、滅菌食塩液、ブドウ糖溶液、もしくは緩衝化溶液、またはその他の製薬上許容
しうる無菌の液とすることができる。あるいはまた、複合体は凍結乾燥もしくは
乾燥させることができる;この場合には、キットはさらに任意で、該複合体を再
構成して注射用の用途の溶液とするために容器中に製薬上許容しうる溶液(例え
ば、食塩液、ブドウ糖溶液、その他)、好ましくは無菌の溶液を含めることがで
きる。
【0115】 別の実施形態においては、本発明のキットはさらに該複合体を注入するための
注射針もしくは注射筒、好ましくは無菌の形で包装されたもの、ならびに/また
は包装されたアルコールパッドを含ませることができる。医師もしくは患者によ
るhspもしくはhsp−抗原性分子複合体の投与のための説明書を任意で含ませるこ
とができる。
【0116】5.5. 組織修復の促進 上記の第5.2節および第5.4節に記載の組成物および製剤は、病変、外傷(例え
ば、負傷、手術、火傷)、もしくは疾患、それには限定はされないが多発性硬化
症および動脈硬化を含むが、それらによってダメージを受けた組織の修復を刺激
するために用いることができる。hspをベースとする組成物の投与は組織修復過
程に関与する免疫系の細胞を刺激するために用いることができる。
【0117】 本発明で治療することができる病変としては、限定はされないが、下記の病変
が挙げられる: (i) 物理的負傷によって生じた、もしくは手術に伴う病変を含む、外傷性
病変(traumatic lesions); (ii) 酸素の欠乏が細胞傷害もしくは細胞死をもたらす、例えば心筋もしく
は脳の梗塞もしくは虚血、または脊髄の梗塞もしくは虚血などの虚血性病変(isc
hemic lesions); (iii) 細胞が悪性組織によって破壊されているかもしくは傷害されている
悪性病変(malignant lesions); (iv) 感染の結果として、例えば膿瘍によって、もしくはヒト免疫不全ウイ
ルス、帯状ヘルペスもしくは単純ヘルペスウイルスの感染に伴って、またはライ
ム病、結核、梅毒に伴って組織が破壊されるかもしくは傷害される感染性病変(i
nfectious lesions); (v) 変性プロセス、そのようなものとしては、限定されないが、パーキン
ソン病、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、もしくは筋萎縮性側索硬化症
に伴う神経系の変性プロセスが挙げられるが、それらの変性プロセスの結果とし
て組織が破壊されるかもしくは傷害される、変性性病変(degenerative lesions)
; (vi) 栄養学的障害もしくは代謝の障害、それらとしては限定はされないが
、ビタミンB12欠乏症、葉酸欠乏症、ウェルニッケ病、タバコ−アルコール性弱
視、マルキャファーヴァ−ビニャミ病(脳梁の原発性変性)、およびアルコール性
脳変性が挙げられるが、それらによって組織が破壊もしくは傷害される栄養疾患
もしくは障害に伴う病変; (vii) 全身性疾患、そのようなものとしては、限定はされないが、糖尿病
もしくは全身性エリテマトーデスが挙げられるが、それらに伴う病変; (viii) アルコール、鉛、もしくはその他の毒素を含む毒性物質によって生
ずる病変;ならびに、 (ix) 脱髄性疾患、そのようなものとしては、限定されないが、多発性硬化
症、ヒト免疫不全ウイルス関連脊髄障害、横断性脊髄障害、もしくは種々の病因
、進行性多病巣性白質脳症、および中心性橋脱髄症が挙げられるが、それらの疾
患によって神経系の一部が破壊もしくは傷害される、神経系の脱髄性病変(demye
linated lesions)。
【0118】5.5.1. hspの投与に基づく治療の方法 下記の第6節に示した実施例は本発明の方法に従ったhsp gp96を創傷治癒の実
験モデルの治療への使用について詳述している。
【0119】 本発明では、上記の第5.2節および第5.4節に記載のhspをベースとする組成物
および製剤は外傷もしくは疾患の結果生ずる組織のダメージを治療するために投
与される。特定の実施形態においては、投与は外傷の前および後の双方に(計画
された外傷、例えば手術)、2〜4回の投与をそれぞれ1週間の間隔を空け、そのう
ちの少なくとも1回は外傷の前に行うことができる。
【0120】5.6. 治療中の効果のモニタリング 本発明の治療法のダメージを受けた組織への効果/効力は、例えば、免疫応答
に関与する分子性および細胞性作用物(例えば、マクロファージ、稀突起神経膠
細胞、T細胞)のレベル、もしくは影響を受ける組織、そのような組織としては
限定はされないが、成長因子を分泌するマクロファージの刺激、繊維細胞の存在
、線維芽細胞の創傷部位への移動、コラーゲンの合成と架橋、および創傷の大き
さの減少が挙げられるが、そのような組織のレベルで検出することができる。
【0121】6. 実施例:肝臓由来のgp96−ペプチド複合体の投与は創傷治癒を加速する 下記の結果はhsp gp96−ペプチド複合体の組織修復刺激剤としての機能を示す
ものである。gp96−ペプチド複合体の投与によって創傷治癒過程が加速された。
さらに、下記の結果はリポ多糖(LPS)が創傷治癒に悪影響を及ぼすことも示して
いる。
【0122】 これらの結果は本発明に従って投与されたhspが組織修復の促進に有効な薬剤
であることを示している。
【0123】6.1. 材料と方法 6.1.1. マウス 治療方法の有効性はBALB/cJマウス(Jackson Laboratories, Bar Harbor, 米国
メイン州)で評価した。背面の皮膚上に16.6mmの傷を付けた(全層)。マウスを十
分に麻酔し、背面の皮膚の毛を剃った。16.6mmの円を背面の皮膚上に描き、その
円周に沿って切開を行った。その皮膚の円を持ち上げて取った。
【0124】6.1.2. gp96 精製 組織(肝臓)はBALB/cJマウスから得たもので、既に報告されているとおり(Sriv
astavaら, 1986, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 83:3407−3411)、hsp−ペプチド
複合体を精製するために処理した。全ての実験でgp96は内因性ペプチドとの複合
体として調製した。
【0125】6.1.3. 投与 gp96−ペプチド複合体は分光分析を用いて定量し、適切な量のタンパク質を注
射前に1投与あたり200μLのバッファー(LPS不含のLAL水)に再懸濁した。gp96−
ペプチド複合体の適切なタンパク質量と等価のLPSを200μLのバッファーに懸濁
した。gp96−ペプチド複合体もしくはLPSの注射は手術後0, 2, 5, および7日に
皮内に、局所(すなわち創傷部位の近傍)または腹側に各マウスに行った。
【0126】6.1.4. モニタリング モニタリングは手術後0, 2, 5, 7, 9, および11日に行った。創傷の直径を2軸
で測定した。
【0127】6.2. 結果 全実験において、各gp96−ペプチド複合体サンプルは、内因性ペプチドとの複
合体として得てそれを用いた。BALB/cJマウスに肝臓由来gp96−ペプチド複合体
またはLPSを定めた投与量で投与した:1群4匹の動物の各々に肝臓由来gp96−ペ
プチド複合体およびLPSの各々を5μg(図1Aおよび図1B)、ならびに30μg(図1Cお
よび図1D)。投与スケジュールは上記の第6.1.3節に記載したとおりとした。対照
の動物にはバッファーを投与した。投与は皮内注射で、局所(図1Aおよび図1C)ま
たは腹側(図1Bおよび図1D)のいずれかとした。図1A〜図1Dおよび図2に示すとお
り、gp96−ペプチド複合体は創傷治癒を加速した。これに対してLPSは創傷治癒
に逆の影響を及ぼした。用量反応相関が認められ、より大きな投与量(30μg)で
は治療効果が高かった。
【0128】 これらの結果は、本発明のgp96−ペプチド複合体の投与が創傷治癒の加速に有
用であることを示している。
【0129】7. 実施例:METH A 由来のgp96−ペプチド複合体の投与は創傷治癒を加速する この結果は、下記の方法に従ってhspを投与するとき、そのhspの供給源に関わ
りなく、組織修復の促進のための有効な治療法であることを示している。
【0130】7.1. 材料と方法 7.1.1. マウス 治療方法の有効性はBALB/cJマウス(Jackson Laboratories, Bar Harbor, 米国
メイン州)で評価した。上記の第6.1節に記載の方法で背面の皮膚上に27mmの傷を
付けた(全層)。
【0131】7.1.2. gp96 精製 gp96−ペプチド複合体はBALB/cJマウスにmeth−Aで誘発した腫瘍から得たもの
で、既に報告されているとおり(Strivastavaら, 1986, Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 83:3407−3411)、hsp−ペプチド複合体を精製するために処理した。全ての
実験でgp96は内因性ペプチドとの複合体として調製した。
【0132】7.1.3. 投与 meth A由来のgp96−ペプチド複合体は分光分析を用いて定量し、適切な量のタ
ンパク質を注射前に1投与あたり200μLのバッファーに再懸濁した。meth A由来
のgp96−ペプチド複合体の注射は手術後0, 1, 3, 8および11日に皮内もしくは皮
下に、局所(すなわち創傷部位の近傍)または腹側に1μgもしくは5μgの投与量で
各マウスに行った。
【0133】7.1.4. モニタリング モニタリングは手術後0, 1, 3, 8, 11, 14, および17日に行った。創傷の直径
を2軸で測定した。
【0134】7.2. 結果 全実験において、各gp96−ペプチド複合体サンプルは、内因性ペプチドとの複
合体として得て、それを用いた。BALB/cJマウスにmeth A由来gp96−ペプチド複
合体またはLPSを定めた投与量で投与した:1群5匹の動物の各々にmeth A由来gp9
6−ペプチド複合体およびLPSの各々を1μg(図3A〜図3C)、ならびに5μg(図3D〜
図3F)。投与スケジュールは上記の第7.1.3節に記載したとおりとした。対照の動
物にはバッファーを投与した。投与は皮内注射で腹側(図3Aおよび図3D)もしくは
局所(図3Bおよび図3E)、または皮下注射(図3Cおよび図3F)のいずれかとした。図
3A〜図3Fに示すとおり、gp96−ペプチド複合体は創傷治癒を加速した。これに対
してLPSは創傷治癒に逆の影響を及ぼした。
【0135】 これらの結果は、本発明のgp96−ペプチド複合体(正常組織もしくは腫瘍由来)
の投与が創傷治癒の加速に有用であることを示している。
【0136】 本発明は本明細書に記載の特定の実施形態によってその範囲を限定されるべき
ものではない。確かに、本明細書に記載の事項に加えて本発明に種々の改変を加
えうることは当業者であれば前述の説明および添付の図から明白なものとなろう
。そのような改変は特許請求の範囲の範囲内にあるものであることを意図してい
る。
【0137】 本明細書に引用した種々の公表文献は、その開示内容全体を参照により本明細
書中に組み入れることとする。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1A〜1D: BALB/cJマウスにおける創傷治癒の速度に対するgp96-ペプチド複合
体の効果。手術後の日数をX-軸上にプロットする。創傷直径(mm)をY-軸上にプロ
ットする。各実験について、マウスをバッファー(リポ多糖(LPS)非含有水)のみ
により処理し、コントロールとした。16.6 mmの直径の創傷をBALB/cJマウスの背
部皮膚(厚さ全体)に与えた。マウスに200μlのバッファー、肝臓由来のgp96-ペ
プチド複合体、またはLPSを、手術後O、2、5及び7日に皮内注射した。創傷直径
を手術後0、2、5、7、9及び11日に(2軸において)測定した。バッファーを希釈剤
として使用した。結果は、4匹のマウス/群の平均創傷直径として示す。記号:X=
バッファーのみ、●=肝臓由来gp96-ペプチド複合体、△=LPS。図1A:肝臓由来gp9
6-ペプチド複合体及びLPSをそれぞれ5μg(あるいはその等価量)の投与量で局所
投与、すなわち創傷部位近傍に投与した。図1B:肝臓由来gp96-ペプチド複合体及
びLPSをそれぞれ5μg(あるいはその等価量)の投与量で腹部に投与した。図1C:肝
臓由来gp96-ペプチド複合体及びLPSをそれぞれ30μg(あるいはその等価量)の投
与量で局所投与した。図1D:肝臓由来gp96-ペプチド複合体及びLPSをそれぞれ30
μg(あるいはその等価量)の投与量で腹部に投与した。
【図2】 図2:.図1A〜1Dに記載したデータの比較グラフ。記号:□=局所投与した5μgの
肝臓由来gp96-ペプチド複合体、■=腹部投与した30μgの肝臓由来gp96-ペプチド
複合体、○=局所投与した30μgの肝臓由来gp96-ペプチド複合体、●=腹部投与し
た5μgの肝臓由来gp96-ペプチド複合体、△=局所投与した30μg相当のLPS、▲=
局所投与した5μg相当のLPS、◇=腹部投与した5μg相当のLPS、◆=腹部投与した
30μg相当のLPS、◎=局所投与したバッファー、X=腹部投与したバッファー。
【図3】 図3A〜3F: BALB/cJマウスにおける創傷治癒の速度に対するgp96-ペプチド複合
体の効果。手術後の日数をX-軸上にプロットする。創傷直径(mm)をY-軸上にプロ
ットする。各実験について、マウスをバッファーのみにより処理し、コントロー
ルとした。27 mmの直径の創傷を背部皮膚(全層)に与えた。マウスに200μlのバ
ッファーまたはメチルクロランスレン誘発肉腫由来のgp96-ペプチド複合体(meth
A由来gp96-ペプチド複合体)を、手術後O、1、3、8及び11日に皮内または皮下注
射した。創傷直径を手術後O、1、3、8、11、14及び17日に(2軸において)測定し
た。バッファーを希釈剤として使用した。結果は、5匹のマウス/群の平均直径と
して示す。記号:点線=バッファーのみ、実線=meth A由来gp96-ペプチド複合体。
図3A: meth A由来gp96-ペプチド複合体を1μgの投与量で腹部に皮内投与した。
図3B: meth A由来gp96-ペプチド複合体を1μgの投与量で局所に皮内投与した。
図3C: meth A由来gp96-ペプチド複合体を1μgの投与量で皮下投与した。図3D: m
eth A由来gp96-ペプチド複合体を5μgの投与量で腹部に皮内投与した。図3E: me
th A由来gp96-ペプチド複合体を5μgの投与量で局所に皮内投与した。図3F: met
h A由来gp96-ペプチド複合体を5μgの投与量で皮下投与した。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 19/04 A61K 37/02 43/00 105 37/66 G Fターム(参考) 4C084 AA02 AA03 BA44 DA02 DA12 DA13 DA14 DA16 DA17 DA18 DA23 DA24 DA25 DB52 DB53 DB54 DB55 DB58 DB61 DC50 MA02 ZA451 ZA891 ZA892 ZB211 ZB212 ZC032 4C086 AA01 AA02 EA16 HA07 HA21 MA01 MA02 MA03 MA04 MA07 ZA45 ZA89 ZB21

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分子に非共有結合により結合した熱ショックタンパク質の精製さ
    れた複合体を含む組成物を哺乳動物に投与することを含む哺乳動物における組織
    修復を促進する方法。
  2. 【請求項2】 精製された熱ショックタンパク質を含む組成物を哺乳動物に投与
    することを含む哺乳動物における組織修復を促進する方法。
  3. 【請求項3】 熱ショックタンパク質が複合化された分子を実質的に含まない請
    求項2に記載の組成物。
  4. 【請求項4】 精製された熱ショックタンパク質がhsp90ファミリーのメンバー
    である請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 精製された熱ショックタンパク質がhsp90ファミリーのメンバー
    である請求項3に記載の方法。
  6. 【請求項6】 哺乳動物がヒトである請求項1、2、3または4に記載の方法。
  7. 【請求項7】 熱ショックタンパク質がgp96である請求項4または5に記載の方
    法。
  8. 【請求項8】 熱ショックタンパク質がhsp90である請求項4または5に記載の
    方法。
  9. 【請求項9】 熱ショックタンパク質がhsp70である請求項1または5に記載の
    方法。
  10. 【請求項10】 組成物中に存在する熱ショックタンパク質の量が1μg〜5000μ
    gの範囲にある請求項7に記載の方法。
  11. 【請求項11】 組成物中に存在する熱ショックタンパク質の量が5μg〜1500μ
    gの範囲にある請求項7に記載の方法。
  12. 【請求項12】 組成物中に存在する熱ショックタンパク質の量が30μg〜500μ
    gの範囲にある請求項7に記載の方法。
  13. 【請求項13】 組成物中に存在する熱ショックタンパク質の量が50μg〜200μ
    gの範囲にある請求項7に記載の方法。
  14. 【請求項14】 組成物を皮内に投与する請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 熱ショックタンパク質がhsp70ファミリーのメンバーである請
    求項1に記載の方法。
  16. 【請求項16】 熱ショックタンパク質がhsp70ファミリーのメンバーである請
    求項3に記載の方法。
  17. 【請求項17】 哺乳動物がヒトである請求項15または16に記載の方法。
  18. 【請求項18】 熱ショックタンパク質がhsp70、hsp90もしくはgp96、またはそ
    れらのいずれかの組合せである請求項1または3に記載の方法。
  19. 【請求項19】 哺乳動物がヒトである請求項18に記載の方法。
  20. 【請求項20】 組織が外傷により傷害を受けたものである請求項1または3に
    記載の方法。
  21. 【請求項21】 外傷が火傷、物理的傷害または手術によるものである請求項20
    に記載の方法。
  22. 【請求項22】 組織が虚血性病変、悪性病変、感染性病変、変性性病変、栄養
    疾患若しくは栄養障害に関連した病変、全身性疾患に関連した病変、毒性物質に
    よって引き起こされた病変、及び神経系の脱髄病変を有している請求項1または
    3に記載の方法。
  23. 【請求項23】 インターフェロン-α、インターフェロン-γ、インターロイキ
    ン-2、インターロイキン-4、インターロイキン-6及び腫瘍壊死因子からなる群か
    ら選択される生物学的応答改変剤の有効量を個体に投与することをさらに含む請
    求項1または3に記載の方法。
  24. 【請求項24】 創傷治癒因子の有効量を個体に投与することをさらに含む請求
    項1または3に記載の方法。
  25. 【請求項25】 創傷治癒因子が、インターフェロン(IFN)-β、IFN-γ、インタ
    ーロイキン(IL)-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-15、腫瘍壊死因子、flt-1リガンド、
    アルギニン、結合組織増殖因子、アデノシン、環状アデノシンモノホスフェート
    、繊維芽細胞増殖因子ファミリー、腫瘍増殖因子-α、腫瘍増殖因子-β(1及び2)
    、血管内皮増殖因子、上皮増殖因子ファミリー、血小板由来増殖因子ファミリー
    、インシュリン様増殖因子ファミリー、一酸化窒素、マクロファージ刺激タンパ
    ク質、及びマクロファージ由来増殖因子からなる群から選択される請求項24に記
    載の方法。
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