JP2002525020A - 電動機の回転子用巻きカバー構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 電動機の回転子用巻きカバー構造であり、前記回転子が、コア（２０）と、前記コアを取り巻く磁石（３０）と、前記コアの上に前記磁石（３０）を保持するために、コアのまわりに巻かれるカバー（１０）とを含み、前記構造が、一対の成形端部要素（４０）を備え、前記要素のそれぞれが、回転子コア（２０）の端部表面部分と、カバー（１０）および磁石（３０）によって形成される部分の少なくとも１つの隣接端部表面とに取りつけられ、かつ回転子軸の方に延在する少なくとも１つの凹部（４３）を備えている周縁端部（４１）を有し、前記回転子と前記凹部の底部との間の間隔が、カバーの最小巻き端部半径を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 （技術分野） 本発明は、永久磁石を含むタイプの電動機の回転子用巻きカバー構造に関する
。

【０００２】 （背景技術） 永久磁石を有する回転子は円筒形コアおよび回転子カバーにより構成され、前
記円筒形コアは通常鉄製であり、積層されるか、または塊状で、そのまわりに、
通常、アーチ形プレートの形をとる複数の磁石が取り付けられている。前記回転
子カバーは、前記磁石の外側に設けられ、磁石を前記コアに隣接して保持し、磁
石が、コアから磁石を分離する遠心力と、回転子コアまわりの前記磁石の周方向
変位を生じる運動量と、熱応力とを受けるとき、電動機の作動中に、前記コアと
前記磁石との間で相対的に径方向と周方向に変位をしないようにする。さらに、
磁石を回転子に保持するために使用される構造上の形は、電動機の電気効率を決
定するのに非常に重要なことである。

【０００３】 コアに隣接して磁石を保持する機能を有する上に、カバーは、さらに、上述の
ように、そこに存在する力によって生じる磁石片の分離と緩みを回避する。

【０００４】 同時係属中の特許出願ＰＩ９６０１６７６に記述されている電動機の回転子用
カバーの周知の解決法の中で、コアのまわりに設けられる磁石を包囲し、かつ繊
維束で巻かれて得られる巻きカバーが、その他の周知のカバーに対する構造上の
利点として、前記磁石の製造プロセスから生じる磁石の寸法の変化に適合する性
能を有することがある。

【０００５】 周知の技術によれば、電動機の回転子用巻きカバーは、通常、樹脂を含浸させ
た繊維質材料のストリップまたは束を回転子コア磁石アセンブリまわりに巻き、
その後、回転子カバーに必要とされる剛性を得るに十分である時間と温度で硬化
させることによって得られる。

【０００６】 しかし、それぞれの磁石を担持する一連のコアで通常実行される大量生産での
巻きプロセスにおいて、このようにして得られたカバーは、それらの端部分の仕
上げが適切にできないという不都合を有する。この問題は、生産ラインにおいて
前の回転子の巻きが終了した後、１つの回転子から別の回転子へと巻き要素が移
動する間に生じる。この時に、巻付け装置は、カバーを形成するプレストレスが
加えられた繊維を、次の回転子の方に急に移動させるため、回転子の巻きカバー
のそれぞれの端部表面をきさげ仕上げしたり、サンドペーパーで磨いたり、機械
加工などの周知の後処理をする必要があり、前記カバーが切断された後、その仕
上げが行われる。この仕上げをしなければ、切断作業から生じるさかとげが、組
み立てや耐久性の問題を生じ、また回転子と固定子との間の間隙に損傷さえも生
じる。

【０００７】 上記した問題に加えて、１つの回転子から別の回転子へとプレストレスが加え
られた繊維が移動する間に、それぞれの回転子の端部のそれぞれに隣接して配置
される成形端部要素に塑性変形が生じ、前記回転子の寸法的特性および前記成形
端部要素の機能的特性を損なう。この変形を除去する１つの方法は、成形端部要
素の厚さを増大し、より高い機械的剛性を得ることである。しかし、この解決法
によると、材料およびプロセスの両方の費用が増加し、また、電動機の重さも増
えることになる。

【０００８】 （発明の開示） 従って、本発明の目的は、前記カバーのあらゆる製造ステップ、または回転子
の作動中において、ストリップ端部が離れることによって生じる問題を最小とす
ることに加えて、繊維束で巻かれ、かつより良い仕上げ端部を有する回転子を得
ることができるタイプの電動機の回転子用巻きカバー構造を提供することである
。

【０００９】 本発明の他の目的は、前記回転子を得るための大量生産による巻きプロセス後
、追加のステップを必要としないで、回転子を製造することが可能である、上述
のような電動機の回転子用巻きカバー構造を供給することである。

【００１０】 本発明のこれらおよびその他の目的は、コアと、前記コアを包囲する磁石と、
前記コアの上に磁石を保持するために、コアのまわりに設けられる巻きカバーと
を含む電動機の回転子用巻きカバー構造によって達成され、前記巻きカバー構造
は、一対の成形端部要素を備え、その要素のそれぞれが、回転子コアの端面部分
と、カバーおよび磁石によって形成される部分の少なくとも１つの隣接端部面と
に取り付けられ、かつ回転子軸の方に延在する少なくとも１つの凹部を備えてい
る周縁部分を有し、前記回転子と前記凹部の底部との間の間隔が、カバーの最小
巻き端部半径を形成する。

【００１１】 （発明を実施するための最良の形態） 本発明は、回転子シャフトの少なくとも一部分を包囲して固定されるコア２０
を有し、そのコアのまわりに、通常、アーチ形磁石プレートの形をとり、好まし
くは、前記外側円筒形表面と接触する２列整列の長手方向突起に従って回転子コ
ア２０の外側円筒形表面２１に固定され、互いに間隔を開けて周囲に置かれる磁
石３０が取り付けらけられ、前記磁石３０が、カバー１０の作用によってコア２
０に接して保持されるタイプの電動機の回転子用カバー１０に関する。磁石３０
間の間隔は、例えば、コア２０の外側円筒形表面２１から形成される突起２２の
形をとるスペーシング手段によって得られる。

【００１２】 本発明によれば、カバー１０は、硬化段階中にカバーを硬化させるために、磁
石３０の外側円筒形表面３１まわりに、樹脂で結合された、例えば、ケブラーや
炭素、ガラス繊維などの合成材料製の繊維束を連続する螺旋状に巻くことによっ
て得られる。

【００１３】 繊維束の巻きは、合成材料（繊維は、工場で、または巻くプロセスの間に樹脂
を事前に含浸される）によるか、または乾いた巻きを樹脂で繊維束を事後含浸す
ることよって得られることは理解されよう。

【００１４】 本発明により、合成材料繊維束の最小量の層で形成され、かつ磁石３０を包囲
する横方向壁を有するカバー１０が得られ、前記横方向壁は、合成材料繊維束の
単一層で形成され、前記層によって形成される間隙が、電動機の効率にほとんど
影響を与えないことが好ましい。

【００１５】 カバーの端部が離れる（ゆるむ）ことなく、または脆弱になることなく、本発
明のカバー１０の横方向の厚さを減少するために、合成材料繊維束の前記端部の
それぞれが、カバー１０のそれぞれの端部周囲部分１１に接合されている。

【００１６】 同時係属中の特許出願ＰＩ９６０１６７６に記述されているカバーによれば、
カバー１０のそれぞれの端部周囲部分１１は、磁石３０のまわりに繊維束を巻き
、磁石３０の外側円筒形表面３１から径方向に後退して離れ、かつ、例えば、外
側から磁石３０の隣接端部面３２の内側に到る径方向の延在部分全体をカバーす
る環状支持表面にこの繊維束を取りつけて得られる。

【００１７】 カバー１０の端部周囲部分１１は、外側から磁石３０の隣接端部面３２の内側
に到る径方向の延在部分を一部分だけカバーするように設計される場合もある。

【００１８】 この解決法において、それぞれの端部周囲部分１１は、一方の側において、磁
石３０の隣接端部面３２の輪郭によって、またもう一方の側において、好ましい
構成では仕上げ端部キャップによって画定される成形端部要素４０によって画定
される輪郭を有する。

【００１９】 それぞれの成形端部要素４０は、回転子のコア２０の隣接端部面に取り付けら
れ、磁石３０の隣接端部面とカバー１０とによって形成される部分の少なくとも
１つをカバーし、前記成形端部要素は、例えば、保持要素５０によってそれに組
み込まれると、回転子に固定されて維持される。

【００２０】 成形端部要素４０は、回転子に組み込まれたり、または、巻付け装置に設けた
りして、全巻きプロセスの間、更にはカバーが完全に硬化（凝固）してしまうま
で、達成すべき巻きカバーの所望の形状および大きさを変形しないよう維持しつ
つ、その形状および大きさを保証する。

【００２１】 本発明によれば、同時係属中の特許出願ＰＩ９６０１６７６に開示されている
ように、それぞれの成形端部要素４０は、例えば、前記成形端部要素４０の中央
部分４２と同一平面上に、または、この中央部分から突出し、回転子コア２０の
隣接端部面の平面から徐々に軸方向に離れる周縁部分４１を有し、前記成形端部
要素４０には、周縁部分４１から、回転子軸の方に延在する少なくとも１つの凹
部４３が設けられ、回転子と前記凹部４３の底部との間隔は、カバー１０の最小
巻き端部半径を形成し、最大巻き半径は、回転軸とカバー１０の外側横方向表面
との間の距離と一致する間隔である。

【００２２】 個別の巻き、または大量生産の巻きによるそれぞれの回転子の製造中、それぞ
れの成形端部要素４０の周縁部分４１に１つ以上の凹部４３を設けることは、カ
バー巻き作業の初期段階での、カバー１０の合成材料繊維束の層の第１回目の巻
きのガイドと、前記カバー巻き作業の最終段階での、カバー１０を形成する繊維
束の層へのストップ手段を決定する。

【００２３】 回転子が個々に巻かれる状態において、回転子を包囲して巻かれるカバー１０
の端部の１つは、巻付け軸に、または適切な保持手段（この保持手段は、回転子
において、例えば、その成形端部要素に、または使用される巻付け／硬化装置に
設けられる）に固定され、巻付けが完了するまで保持される。このとき、超過材
料がある場合、その超過材料は除去される。

【００２４】 それぞれの成形端部要素４０の周縁部分４１に１つ以上の凹部４３を設けるこ
とは、大量生産の巻き中に、回転子コアと磁石とによって形成されるそれぞれの
アセンブリのカバーの巻きの終端部、および一連の次の回転子カバーの巻きの開
始を決定する。この場合、仕上げ作業には、先行技術におけるような、回転子端
部面の追加の処理ステップを必要としない。

【００２５】 本発明を実施する１つの構造上の選択肢によれば、それぞれの成形端部要素４
０は、前記成形端部要素４０の周縁部分４１における周囲延長部の少なくとも一
部分を占める少なくとも複数の凹部４３を含む。前記凹部４３が、周縁部分４１
の周囲延長部の一部分を占める場合（図３）、大量生産巻きにおいては、カバー
１０を受容する巻付け装置に連続して配置される２つのそれぞれの回転子の巻き
間の材料の損失を避けるために、巻付け装置に連続的に配置される２つの成形端
部要素４０の凹部４３の間に事前の整列が必要である。

【００２６】 例示されている実施の形態によれば、それぞれの凹部４３は、実質的に、「Ｕ
」形の丸味をおびた輪郭を有し、また例えば（図３）、周縁部分４１と共に正弦
波形の曲線を形成する。図４に示されている別の実施の形態において、周縁部分
４１は、互いに均等な角度で間隔があけられている複数の凹部４３を有している
。

【００２７】 図４ａの実施の形態において、凹部４３は、カバー１０を形成する材料の厚さ
の関数として決まる幅（厚さ）の小さなスロットの形をとる。

【００２８】 図には示されていないが、それぞれの成形端部要素４０の周縁部分４１には、
周囲延長部の一部分または全体に、同一の輪郭または異なる輪郭を有する少なく
とも複数の凹部が設けられている。

【図面の簡単な説明】

【図１】 電動機の回転子コアと、磁石と、回転子カバーとからなるアセンブリの概略断
面図を示している。

【図２】 電動機の回転子の実施の形態の概略長手方向断面図を示している。

【図３】 本発明の構造形態により得られる回転子の成形端部要素の概略部分平面図を示
している。

【図４】 本発明による成形端部要素の周縁の２つの異なる実施形態の概略部分拡大上部
平面図を示している。

【図４ａ】 本発明による成形端部要素の周縁の２つの異なる実施形態の概略部分拡大上 部平面図を示している。

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電動機の回転子用巻きカバー構造であって、回転子が、コア
   （２０）と、前記コアを包囲する磁石（３０）と、前記コアの上に前記磁石（３
   ０）を保持するために、前記コアのまわりに巻かれるカバー（１０）とを含み、
   更に前記巻きカバー構造が、一対の成形端部要素（４０）を備え、前記要素のそ
   れぞれが、回転子コア（２０）の端部面部分と、カバー（１０）および磁石（３
   ０）によって形成される部分の少なくとも１つの隣接端部面とに取り付けられ、
   かつ回転子軸の方に延在する少なくとも１つの凹部（４３）を備えている周縁部
   分（４１）を有し、前記回転子と前記凹部（４３）の底部との間の間隔が、カバ
   ーの最小巻き端部半径を形成することを特徴とする巻きカバー構造。
2. 【請求項２】 それぞれの凹部（４３）が、それぞれの成形端部要素（４０
   ）の周縁部分（４１）と同一平面上にあることを特徴とする請求項１に記載の巻
   きカバー構造。
3. 【請求項３】 それぞれの凹部（４３）が、実質的に丸味をおびた「Ｕ」形
   輪郭を有することを特徴とする請求項２に記載の巻きカバー構造。
4. 【請求項４】 それぞれの成形端部要素（４０）の周縁部分（４１）が、互
   いに均等な角度で間隔があけられている少なくとも複数の凹部（４３）を有する
   ことを特徴とする請求項３に記載の巻きカバー構造。
5. 【請求項５】 凹部（４３）が、成形端部要素（４０）の周縁部分（４１）
   と共に正弦波形の曲線を形成することを特徴とする請求項４に記載の巻きカバー
   構造。
6. 【請求項６】 凹部（４３）は、幅が小さく、かつそれぞれの成形端部要素
   （４０）の周縁部分（４１）の少なくとも一部分を占めるスロットの形をとるこ
   とを特徴とする請求項２に記載の巻きカバー構造。