JPH0324139B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は電気機械の固定子に関し、さらに詳し
くは回転電気機械の固定子巻線を固定するための
あり〓をもつ歯状の突起を有する固定子に関す
る。

回転電気機械においては、同一円周上に配置さ
れた固定子巻線は該円周上に設けられた歯状の突
起を介して固定子を構成する基体の内周面に対し
て固定される。これらの歯状の突起は回転子の回
転軸方向に伸びており、基体の内周面に設けられ
た回転軸に沿つて伸びるあり溝に嵌合する。

各巻線は基体の内周面から内部に向かつて径方
向に突出する隣接する２個の歯状の突起の間に固
定される。

従来の溝無し固定子においては、巻線は、固定
子の本体である基体の内周面に穿設された溝の中
に固定される代わりに、基体の内周面に当接して
固定される。

米国特許第3405297号明細書には、このような
溝無し固定子が開示されており、第７図に示され
るような構造を有している。同図において歯状の
突起１５２が巻線１５０を基体としての固定子本
体１５１の内周面に当接されるように保持してい
る。この突起１５２は積層された非磁性の金属板
からなり、充分な機械的強度を有するが、巻線１
５０の近傍に位置しているので、強い磁気誘導に
よる突起内部の渦電流損が生じるのを避けられな
い。

本発明は前記諸点に鑑みなされたものであり、
その目的は、溝無し固定子において、巻線を固定
するための歯状の突起内部の渦電流損をなくする
ことと、巻線を常に適切な圧力で固定子本体の内
面に対して押圧することにある。

上述の目的は、本発明によれば、磁性体で形成
された基体と、基体の面上に所定の方向に関して
所定の間隔で形成されており、各々が所定の方向
に垂直な他の方向に沿つて伸延した複数のあり溝
と、基体と対向して配設された保持部材と、一端
部があり溝と相補形状のあり〓状に形成されてい
ると共にあり溝に固定的に嵌合しており、他端部
が基体の面に対して垂直方向に一端部から一体的
に突出していると共に保持部材を貫通している複
数の突起と、突起の他端部において保持部材から
突出している突出部に夫々形成された複数の貫通
孔と、基本と協働して磁気回路を形成すべく、突
起の間に夫々配置された巻線部材と、保持部材の
他の面側において貫通孔に挿入された複数の楔部
材とを備えており、突起の夫々が非導電性材料で
形成されたコアと、コアの外面に被覆されてお
り、硬化樹脂を含浸するガラス層とからなる電気
機械の固定子によつて達成される。

本発明の固定子によれば、保持部材に設けられ
た貫通孔への楔部材の打込み量を調節することに
より、巻線部材を基体の面に適切な力で押圧し
得、従つて巻線部材の位置ズレを防止することが
でき電気機械の出力が安定するのに加え、突起の
夫々は非導電性材料で形成されたコアと硬化樹脂
を含浸するガラス層とからなるが故に、突起の内
部における渦電流損の発生を阻止し得る。

以下添付の図に示される好ましい具体例に基い
て、本発明が如何に用いられ得るかを非限定的に
説明する。

第１図は本発明の固定子が交流発電機に用いら
れた具体例を示すものである。この発電機の回転
子（図示せず）は、第１図の紙面に対して垂直な
回転軸の周囲を回転する。

磁性材料からなる基体としての固定子本体２は
回転軸の方向に積み重ねられた磁気鋼板から成つ
ている。

この固定子本体２の面としての内周面４には台
形の断面をした軸方向に伸びるあり溝６が穿設さ
れている。このあり溝６の台形の短底辺は固定子
本体２の内周面４のレベルとほぼ一致する。これ
らのあり溝６は一定の間隔を置いて内周面４に穿
設されている。あり溝６の各々は二つの側面８と
長底辺１０とを有する。

あり溝６中には歯状の突起１４、又は突起１４
に比較して短い他の突起１６が嵌合している。こ
れらの突起１４，１６の各々はあり〓部１８及び
胴部２０を有している。あり〓部１８の断面は台
形の形状を有しており、この台形は内周面４の接
線方向（第１図に於ける左右方向）に沿つて伸び
る長底辺及び短底辺と、これら２底辺を連結する
２辺とを有している。胴部２０は内周面４から径
方向、即ち内周面４に対する垂直方向（第１図に
於ける下方向）に突出している。

これらの突起１４，１６の掛止はあり溝６内に
あり〓部１８を嵌合する結果生じる。突起１４，
１６の掛止を確実にするために、各突起１４，１
６のあり〓部１８の長底辺とあり〓部１８が嵌合
されているあり溝６の長底辺１０との間に楔部材
としてのくさび２２，２４が挿入される。これら
のくさび２２，２４は径方向に突起１４，１６を
押圧するものであり、各あり溝６に２個づつ挿入
されており、例えば外側（第２図に於ける上側）
のくさび２２が内側（第２図に於ける下側）のく
さび２４と協働している（第２図参照）。

第３図は複数の突起１４が同じあり溝６内に軸
の方向に関して所定の間隔を置いて挿入される場
合を示したものである。各一対のくさび２２，２
４は打込まれた後接着部２６によつて互いに固着
される。

本具体例に用いられる突起１４は後述する通
り、非導電性の材料からなり、従つて突起１４の
内部における渦電流損の発生がなく、又同時に充
分な機械的強度を有するものである。

第１図に示されるように固定子本体２の内周面
４には長い突起１４と短い突起１６とが交互に接
線方向に関して所定の間隔を置いて配列されてい
る。

長い突起１４だけが巻線１２を超えて内部に向
かつて、即ち回転軸に向かつて径方向に突出した
頭部２９を有する。

巻線１２は、短い突起１６と巻線１２との間に
径方向に打込まれたくさび２２，２４とは別の楔
部材としてのくさび２８により、接線方向に押圧
される。巻線１２を固定子本体２の内周面４に押
圧する保持部材としてのプレート３０は、隣接す
る二つの長い突起１４の頭部２９に設けられた貫
通孔３４に夫々挿入された二つのくさび２２，２
４とくさび２８とは別の楔部材としてのくさび３
２により、前記接線方向に関するプレート３０の
各両端が夫々押圧されており、巻線１２を内周面
４に押圧する。

くさび３２の打込み量を調節することにより巻
線１２を内周面４に対して適切な力で押圧するこ
とが可能である。

また、くさび３２，２８を外すことにより巻線
１２及び突起１４，１６の交換を容易に行うこと
ができる。

前述の突起１４，１６の内部構造を以下に説明
する。この内部構造は長い突起１４及び短い突起
１６について、同一である。

第４図に示すように、これらの突起１４の各々
は、コア４０と、このコア４０に巻回された外被
４６とを有している。コア４０の一部は突起１４
のあり〓部１８の内部に位置している。コア４０
はあり〓部１８の長底辺に平行であつて且つ対向
する底面４２と、底面４２から胴部２０に向かつ
て互いに接近する２つの側面及び胴部２０に向か
つて互いに拡がる２つの側面からなる側面部４４
（第５図）とを有している。外被４６は、ほぼ一
定の厚さを有している。外被４６には、あり〓部
１８に、径方向の応力に対する耐久力を与え、且
つ突起１４の全体に接線方向の曲げ応力に対する
耐久力を与えるべく、硬化樹脂が含浸されてい
る。

整形部材４８はあり〓部１８の長底辺と側辺と
で形成される角が過度に丸くならないように外被
４６内部の層間に突起の長手方向に伸びて配置さ
れている。

径方向に測つた突起１４の長さが15から20cmの
オーダーであることを目的として次の構成を採用
する。即ち、コア４０はガラス及びエポキシ樹脂
の柱状合材である。コア４０はモールド成形又は
機械加工によつて得られる。

このコア４０の上に外被４６として一様な厚さ
３mmを得るために必要な層数で形成されたガラス
繊維、即ちガラス層を巻きつけてある。

このガラス層は250ｇ／m²程度の重さを有して
いる。

またガラス層は、突起１４，１６を後であり溝
６に取り付ける際容易に付着し得るように突起１
４，１６のあり〓部１８と胴部２０との間の境界
部である凹面状部分に於いて十分な弛みをとりな
がらガラス繊維が突起１４，１６の長手方向、即
ちあり〓部１８の伸延方向を中心に巻きつけられ
る。コア４０に巻かれたガラス層は一般に「フイ
ニツシユ」と呼ばれる粘着用液体に浸される。

このようにして準備された素材は鋳型中に置か
れて全体がエポキシ樹脂に含浸させられ熱重合さ
せられる。

以上から、本具体例による電気機械の固定子
は、磁性材料で形成された固定子本体２と、この
固定子本体２の内周面４に接線方向に所定の間隔
を有して形成されており、各々が接線方向と直交
する軸方向に沿つて伸延した複数のあり溝６と、
一端部があり溝６と相補形状を有したあり〓部１
８として形成されあり溝６に固定的に嵌合されて
おり、他端部が固定子本体２の面に対して径方向
に一端部から一体的に突出された複数の突起１
４，１６と、固定子本体２との間で磁気回路を形
成すべく隣接する一対の突起１４，１６の間夫々
に配置された巻線１２と、これらの巻線１２に接
して巻線１２を固定子本体２の内周面４に対して
押圧すべく突起１４，１６の他端部の突出端２９
に連結されたプレート３０と、このプレート３０
の固定子本体２の内周面４に対する押圧力を変化
させるためにプレート３０を固定子本体の内周面
４に対して接近離反させるべく突起１４の他端部
の頭部２９に形成された貫通孔３４に挿入された
くさび３２とからなり、突起１４，１６が非導電
性材料であるガラス及びエポキシ樹脂の柱状合材
で形成されたコア４０と、このコア４０の外面を
被覆した硬化樹脂が含浸されたガラス層からなる
外被４６とから構成されている。

上述のように構成された突起１４，１６は良好
な機械的堅牢度と、電気的損失即ち渦電流損が生
じないことを可能にするものである。

本発明の範囲を逸脱せず第６図に示すように長
い突起１１４のみを用いることも可能であり、こ
の長い突起１１４は、突起１１４及び巻線１２の
間に径方向の固定用の楔部材としてのくさび１２
８の挿入を可能にするために細くなつているが、
他の部分は先の記述に従う。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の固定子を有する交流発電機
の、回転軸に垂直な断面における部分説明図、第
２図は２個の長手方向に打込まれる突起の固定用
のくさび及び突起の斜視図、第３図は第１図の線
−に沿う部分側面図、第４図は突起の断面
図、第５図は第４図のＶ部の詳細図、第６図は第
１図の変形例で長い突起のみを有する固定子を表
わす説明図、第７図は従来の溝無し固定子の説明
図である。 ２……固定子本体、４……固定子の内周面、６
……あり溝、１２……巻線、１４，１６……突
起、１８……あり〓、２０……胴部、２２，２４
……突起の固定用くさび、４０……コア、４６…
…外被、４８……整形部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 磁性体で形成された基体と、前記基体の面上
   に所定の方向に関して所定の間隔で形成されてお
   り、各々が前記所定の方向に垂直な他の方向に沿
   つて伸延した複数のあり溝と、前記基体と対向し
   て配設された保持部材と、一端部が前記あり溝と
   相補形状のあり〓状に形成されていると共に前記
   あり溝に固定的に嵌合しており、他端部が前記基
   体の面に対して垂直方向に前記一端部から一体的
   に突出していると共に前記保持部材を貫通してい
   る複数の突起と、前記突起の他端部において前記
   保持部材から突出している突出部に夫々形成され
   た複数の貫通孔と、前記基体と協働して磁気回路
   を形成すべく、前記突起の間に夫々配置された巻
   線部材と、前記保持部材の他の面側において前記
   貫通孔に挿入された複数の楔部材とを備えてお
   り、前記突起の夫々が非導電性材料で形成された
   コアと、前記コアの外面に被覆されており、硬化
   樹脂を含浸するガラス層とからなる電気機械の固
   定子。 ２ 前記コアは前記他の方向に関する前記突起の
   全長に亘つて伸延し、且つ前記コアの一部分が前
   記突起の一端部の内部に配置されており、前記ガ
   ラス層は実質的に一定の厚さを有している特許請
   求の範囲第１項に記載の電気機械の固定子。 ３ 前記突起の一端部の前記基体に対する固定的
   な嵌合は、前記あり溝の伸延方向に配列されてい
   ると共に前記あり溝と前記一端部との間の間隙に
   相互に対向して挿入された２つの他の楔部材によ
   つて達成されている特許請求の範囲第１項または
   第２項に記載の電気機械の固定子。 ４ 前記突起の間に前記突起に比較して短い他の
   複数の突起が夫々配置されている特許請求の範囲
   第１項から第３項のいずれか一項に記載の電気機
   械の固定子。 ５ 前記ガラス層は前記突起の突出方向に沿つて
   前記突起に巻かれたガラス繊維からなる特許請求
   の範囲第１項から第４項のいずれか一項に記載の
   電気機械の固定子。 ６ 前記突起の一端部におけるコアは、前記一端
   部の断面形状を実質的に台形に整形すべく前記あ
   り溝の伸延方向に沿つて配列された整形部材の２
   つを含む特許請求の範囲第１項から第５項のいず
   れか一項に記載の電気機械の固定子。 ７ 前記基体の面が円筒状に形成されており、前
   記突起の一端部は前記基体の面に形成されたあり
   溝に固定されており、前記突起の他端部は前記円
   筒の径方向に突出している特許請求の範囲第１項
   から第６項のいずれか一項に記載の電気機械の固
   定子。