JP2002522029A - コートタンパク質の改変によるファージ提示における改良した形質転換効率 - Google Patents

コートタンパク質の改変によるファージ提示における改良した形質転換効率

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Abstract

(57)【要約】 エレクトロポレーションのトランスフォーメーション収率を、より高いDNA濃度及びDNA親和力精製を用いることによって増大させた。ウイルスコートタンパク質異型及び異種ポリペプチドの融合タンパク質は、ファージ提示システムにおいて有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 発明の領域 本発明は、ポリペプチドと野生型コートタンパク質ではないウイルスのコート
タンパク質との融合タンパク質に関する。本発明は、融合タンパク質をコードす
る遺伝子を含有する複製可能発現ベクター、発現ベクターを含有する宿主細胞、
ウイルスの表面上に融合タンパク質を提示するウイルス、ウイルス表面上に異な
る融合タンパク質の複数個を提示するウイルスのライブラリー、及びこれらの組
成物を使用する方法にも関する。
【0002】 本発明は、形質転換効率を改良するため、細胞を電気穿孔することにより細胞
を形質転換する方法にも関する。様々な好ましい実施態様において、形質転換は
、高濃度のDNAの存在下で、高濃度の細胞の存在下で、高度に精製されたDN
Aを用いて、特定の宿主細胞を用いて、又はこれらの組み合わせを用いて、実施
される。ライブラリー、例えばファージ提示ライブラリーを調製するために使用
される場合には、これらの改良は、従来可能であったものに比べて大きいライブ
ラリーを1回の電気穿孔工程で構築することを可能にする。本発明は、本発明の
方法を用いる宿主細胞を形質転換することにより産物ポリペプチドを作製する方
法にも関する。
【0003】 背景の説明 バクテリオファージ(ファージ)提示は、異型ポリペプチドがコートタンパク
質との融合タンパク質としてバクテリオファージ粒子の表面上に提示される技術
である(Scott, J. K. and Smith, G. P. (1990) Science 249:386)。ファージ
提示の有用性は、選択的にランダム化されたタンパク質異型(又はランダムにク
ローニングされたcDNA)の大きいライブラリーを、高親和性で標的分子と結
合する配列に関して迅速かつ効率的にソートすることができるという事実にある
。ペプチドライブラリー(Cwirla, S. E. et al. (1990) Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, 87:6378)又はタンパク質ライブラリー(Lowman, H. B. et al. (1991)
Biochemistry, 30:10832、Clackson, T. et al(1991) Nature, 352:624、Marks
, J. D. et al. (1991)J. Mol. Biol., 222:581、Kang, A. S. et al. (1991) P
roc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8363)のファージ上の提示は、特異的な結合特
性を有するポリペプチドに関して非常に多数のポリペプチドをスクリーニングす
るために使用されている(Smith, G. P. (1991) Current Opin. Biotechnol., 2
:668)。ランダムな突然変異体のファージライブラリーのソーティングは、多数
の異型を構築し増殖させるための方策、標的受容体を使用したアフィニティ精製
の手法、及び結合強化の結果を評価する手段を必要とする。米国特許第5,22
3,409号、米国特許第5,403,484号、米国特許第5,571,68
9号、米国特許第5,663,143号。
【0004】 典型的には、異型ポリペプチドを、ビリオンの一端に提示される遺伝子IIIタ
ンパク質と融合させる。又は、異型ポリペプチドを、ビリオンの主要コートタン
パク質である遺伝子VIIIタンパク質と融合させてもよい。そのような多価提示ラ
イブラリーは、ファージ遺伝子IIIを、遺伝子IIIタンパク質のアミノ末端と融合
した外来配列をコードするcDNAと交換することにより構築される。これは、
ファージが複数の点接着によって標的と結合することができるという親和力効果
のため、ライブラリーから高親和性異型をソートすることを困難にする場合があ
る。さらに、遺伝子IIIタンパク質は、宿主、例えばE.coliにおけるファージの
接着及び増殖に必要であるため、融合タンパク質は子孫ファージ粒子の感染性を
劇的に減少させることができる。
【0005】 これらの問題を克服するため、タンパク質又はペプチドの配列は、遺伝子III
タンパク質の一部分に融合しており、そして野生型遺伝子IIIタンパク質の存在
下では低レベルで発現され、粒子が大多数の野生型遺伝子IIIタンパク質及び1
コピーの融合タンパク質を提示するか又は全く提示しない、一価ファージ提示が
開発された(Bass, S. et al. (1990) Proteins, 8:309、Lowman, H. B. and We
lls, J. A. (1991)Methods: a Companion to Methods in Enzymology, 3:205)
。一価提示は、子孫ファージミド粒子が完全な感染性を保持しているという点で
多価ファージ提示に対して利点を有する。親和力効果が減少するため、ソーティ
ングは固有リガンド親和性に基づき行われ、そしてDNA操作を単純化するファ
ージミドベクターが使用される。米国特許第5,750,373号及び米国特許
第5,780,279号も参照せよ。他の研究者も、タンパク質、特に抗体を提
示するためにファージミドを用いる。米国特許第5,667,988号、米国特
許第5,759,817号、米国特許第5,770,356号、及び米国特許第
5,658,727号。
【0006】 M13ファージ上に提示されたペプチドライブラリーから高親和性リガンドを
選択するためには、2工程法が使用されている。最初に、主要コートタンパク質
(タンパク質VIII)上に提示された自然の多価ライブラリーから、低親和性リー
ドを選択した。続いて、低親和性選択体を遺伝子III微量コートタンパク質に移
し、一価フォーマットで高親和性に成熟させた。残念なことに、この方法をペプ
チドからタンパク質に拡張することは困難である。タンパク質VIII上の提示レベ
ルは融合体の長さ及び配列によって様々である。一般的に、融合体のサイズが増
加すると、提示は減少する。従って、一価ファージ提示は、多くの異なるタンパ
ク質の親和性成熟のため使用されており、タンパク質VIII上の多価提示は、大部
分のタンパク質骨格に適用可能である。
【0007】 大部分のファージ提示法が繊維状ファージを用いるは、ラムドイドファージ提
示システム(国際特許公開第95/34683号;米国特許第5,627,02
4号)、T4ファージ提示システム(Ren, Z-J. et al. (1998) Gene 215:439、
Zhu, Z. (1997)CAN 33:534、Jiang, J. et al. (1997)can 128:44380、Ren, Z-J
. et al. (1997)CAN 127:215644、Ren, Z-J. et al. (1996)Protein Sci. 5:183
3、Efimov, V. P. et al. (1995)Virus Genes 10:173)及びT7ファージ提示シ
ステム(Smith, G. P. and Scott, J. K. (1993)Methods in Enzymology, 217,
228-257;米国特許第5,766,905号)も既知である。
【0008】 現在では、基本的なファージ提示概念のその他の多くの改良及び変形が開発さ
れている。これらの改良は、提示システムの、選択された標的分子との結合に関
してペプチドライブラリーをスクリーニングする能力、及び所望の特性に関して
これらのタンパク質をスクリーニングする可能性を有する機能的なタンパク質を
提示する能力を増強する。ファージ提示のためのコンビナトリアル反応装置が開
発され(国際特許公開第98/14277号)、二分子相互作用(国際特許公開
第98/20169号、国際特許公開第98/20159号)及び抑制されたヘ
リックスペプチドの特性(国際特許公開第98/20036号)を分析し調節す
るために、ファージ提示ライブラリーが使用されている。国際特許公開第97/
35196号は、リガンドが標的分子と結合する1つの溶液及び親和性リガンド
が標的分子と結合しない別の溶液とファージ提示ライブラリーを接触させ、親和
性リガンドを単離し、結合するリガンドを選択的に単離する方法を記載している
。国際特許公開第97/46251号は、アフィニティ精製された抗体を用いて
ランダムファージ提示ライブラリーをバイオパンニングし、次いで結合ファージ
を単離し、その後高親和性結合ファージを単離するためマイクロプレートウェル
を用いる微小パンニング過程を行う方法を記載している。アフィニティタグとし
てのスタフィロコッカスアウレウス(Staphlylococcus aureus)プロテインAの
使用も報告されている(Li et al. (1998)Mol Biotech., 9:187)。国際特許公
開第97/47314号は、ファージ提示ライブラリーであってもよいコンビナ
トリアルライブラリーを用いる酵素の特異性を区別するための基質サブトラクシ
ョンライブラリーの使用を記載している。ファージ提示を用いる界面活性剤にお
ける使用に適した酵素を選択する方法は、国際特許公開第97/09446号に
記載されている。特異的結合タンパク質を選択するさらなる方法は、米国特許第
5,498,538号、米国特許第5,432,018号、及び国際特許公開第
98/15833号に記載されている。
【0009】 ペプチドライブラリーを生成させ、これらのライブラリーをスクリーニングす
る方法も、米国特許第5,723,286号、米国特許第5,432,018号
、米国特許第5,580,717号、米国特許第5,427,908号、及び米
国特許第5,498,530号に開示されている。米国特許第5,770,43
4号、米国特許第5,734,018号、米国特許第5,698,426号、米
国特許第5,763,192号、及び米国特許第5,723,323号も参照せ
よ。
【0010】 ファージの感染性を改変する方法も既知である。国際特許公開第95/346
48号及び米国特許第5,516,637号は、宿主細胞のピリンタンパク質と
の融合タンパク質として標的タンパク質を提示する方法(ここで、ピリンタンパ
ク質は、好ましくは提示ファージの受容体である)を記載している。米国特許第
5,712,089号は、細菌にリガンドを発現するファージミドを感染させ、
次いで野生型タンパク質IIIを含有するがタンパク質IIIをコードする遺伝子は含
有しないヘルパーファージを細菌に重感染させ、その後、産生されたファージ上
に提示された第一リガンドと第二リガンドが結合するようタンパク質III−第二
リガンドを添加することを記載している。国際特許公開第96/22393号も
参照せよ。非感染性ファージ及び感染性媒介複合体を使用した選択的感染性ファ
ージ系も既知である(米国特許第5,514,548号)。
【0011】 リガンドを提示するファージシステムは、リガンドに結合するポリペプチドの
試料(国際特許公開第97/44491号)及び動物(米国特許第5,622,
699号)における存在を検出するためにも使用されている。哺乳動物細胞の表
面と選択的に結合するファージを使用した遺伝子治療(国際特許公開第98/0
5344号)及びドラッグデリバリー(国際特許公開第97/12048号)の
方法も、提唱されている。
【0012】 さらなる改良は、ファージ提示システムは、抗体及び抗体断片をバクテリオフ
ァージ表面上に発現することを可能にし、特異的な特性、即ち特異的なリガンド
との結合の選択(欧州特許第844306号、米国特許第5,702,892号
、米国特許第5,658,727号)及び抗体ポリペプチド鎖の組み換え(国際
特許公開第97/09436号)を可能にした。特異的ペプチド−MHC複合体
を認識する抗体を生成させる方法も開発されている(国際特許公開第97/02
342号)。米国特許第5,723,287号、米国特許第5,565,332
号、及び米国特許第5,733,743号も参照せよ。
【0013】 米国特許第5,534,257号は、最大約30残基の外来エピトープがMS
−2ファージのカプシドタンパク質に組み込まれている発現系を記載している。
このファージは、適切な細菌宿主においてキメラタンパク質を発現し、ファージ
RNA及びその他の核酸夾雑物を含まない空のファージ粒子を生じることができ
る。空のファージはワクチンとして有用である。
【0014】 バクテリオファージ粒子の表面上の融合タンパク質としてのポリペプチドの発
現の程度は様々であり、それは、ある程度ポリペプチドのサイズに依存する。従
来のファージ提示システムは、野生型ファージコートタンパク質を使用し、野生
型アミノ酸配列のアミノ末端又は野生型コートタンパク質配列の断端から生じた
アミノ末端と、異種ペプチドを融合させる。選択及び標的結合を改良するため、
野生型コートタンパク質配列のアミノ末端に、リンカーアミノ酸のセグメントも
付加されている。
【0015】 ファージ技術の多数の修飾及び改良にもかかわらず、ファージ提示法において
融合タンパク質としてポリペプチドを提示する改良された方法が依然として必要
とされている。
【0016】 新たなDNAを導入するため細胞を形質転換する方法は、分子生物学及び現代
遺伝子工学において実用上非常に重要である。初期の方法は、金属イオン、一般
的には塩化カルシウムの溶液で細菌を化学的に処理し、その後加熱し、レシピエ
ント細菌として機能することができ、多様な起源に由来する異種DNAを取り込
むことができるコンピテント細菌を作製することを含んでいた。これらの初期の
プロトコールは、プラスミドDNA1μg当たり約105〜106個の形質転換コ
ロニーという形質転換収率を提供した。異なる陽イオン、より長い処理時間、及
びその他の化学薬品を使用したその後の改良は、最大約108コロニー/DNA
1μgという形質転換効率の改良を可能にした。Sambrook et al., Molecular Cl
oning:A Laboratory Manual, 第2版, (1989) Cold Spring Harbor Laboratory
Press, Cold Spring Harbor, NY, 1. 74頁。
【0017】 高電圧電気穿孔を用いて、細胞を形質転換することもできる。電気穿孔は、真
核細胞(例えば、動物細胞、植物細胞等)及び細菌、例えばE.coliにDNAを導
入するのに適している。サンブルック(Sambrook)ら(前記)、1.75、16
.54〜16.55頁。異なる細胞型は、最適な電気穿孔のため異なる条件を必
要とし、一般的には発現又は形質転換の許容レベルを見出すために予備実験が実
施される。哺乳動物細胞の場合、250〜750V/cmの電圧により20〜50%
の細胞が生存する。1〜40μg/mlというDNA濃度を使用した、室温から0℃
以下の温度における、20〜100msの電気パルス長は、典型的なパラメータで
ある。トランスフェクション効率は、細胞が非イオン性溶液に懸濁されている場
合に比べて、直鎖状DNAを使用しそして緩衝塩溶液に懸濁している場合の方が
高いことが報告されている。サンブルックら(前記)、16.54〜16.55
頁。
【0018】 Dower et al., 1988, Nucleic Acids Research, 16:6127-6145は、高電圧電気
穿孔によるE.coliの高効率形質転換を詳細に研究した。この研究は、形質転換体
の回収、精度、再現性等に対する電場の強さ及びパルス長の効果、DNA濃度及
び細胞濃度の効果のような電気的変数を含む多数のパラメータを評価し、E.coli
細胞の高効率電気形質転換のためのプロトコールを提供した。ダウアー(Dower
)らの最適化されたプロトコールは、少なくとも2×1010/mlそして最大4×
1010/mlの範囲に濃縮された細胞、約1μg/mlから10μg/mlのDNA濃度、
12.5〜16.7kV/cm、3〜25μFを使用し、電気穿孔は0℃(氷温)で
実施される。これらの研究は、高い形質転換効率を与えることが既知である高度
に精製された閉環プラスミドDNAを用いて実施された。ダウアーらは、これら
のパラメータを高度に最適化することにより達成された109〜1010形質転換
体/DNA1μgという形質転換効率を報告している。ダウアーらは、ライブラ
リー形成のためには、共形質転換体を最少限に抑えるため、10ナノグラム/ml
未満のDNA濃度及び3×1010を超える細胞濃度を使用することを提案してい
る。ウォング(Wong)の米国特許第4,910,140号及び米国特許第5,1
86,800号も参照せよ。
【0019】 電気穿孔装置の設計を改良するため(例えば、米国特許第5,173,158
号、米国特許第5,098,843号、米国特許第5,422,272号、米国
特許第5,232,856号、及び米国特許第5,283,194号を参照せよ
)、及び特定の細胞の電気穿孔を改良するため(米国特許第5,128,257
号を参照せよ)、いくつかの試みがなされた。米国特許第5,124,259号
は、電気穿孔のための改良された緩衝液を記載している。米国特許第4,956
,288号は、高コピー数の外来DNAを含有する細胞を作製するための方法を
記載している。
【0020】 電気穿孔パラメータを最適化することによる、より高い形質転換効率の達成は
、困難である。より高い電圧及びより長いパルスの使用は、細胞死の増加、形質
転換細胞の総数の減少を引き起こす。高度に最適化された電気穿孔ですら、約5
0〜75%の細胞死を引き起こす。ダウアーらは、電気穿孔のパラメータの重要
な調査を提示し、この文献に記載されたプロトコールは、より最近の電気穿孔の
基礎を形成した。
【0021】 電気穿孔を含む細胞形質転換の重要な新たな用途は、ペプチド及びタンパク質
の異型ライブラリーの調製である。これらの適用においては、複製可能転写ベク
ター、例えばプラスミドを、プラスミドDNAが開裂するよう制限酵素と反応さ
せ、それぞれが異なる異型をコードするベクターのライブラリーを形成するため
所望のクローニングDNAをプラスミドとライゲートさせ、一つ又は複数の残基
でアミノ酸配列が異なるポリペプチド異型のライブラリーを調製するため形質転
換ベクターのライブラリーで細胞を形質転換する。ペプチドのライブラリーは、
特定の特性を有するペプチド又は有しないペプチドに関して選択的にパンニング
されうる。一般的な特性は、固体支持体に結合していてもよい細胞表面受容体、
抗体、リガンド又はその他の結合パートナーと結合する異型ペプチドの能力であ
る。異型は、特異的反応を触媒する能力、反応を阻害する能力、酵素を阻害する
能力等に関しても選択されうる。
【0022】 一つの適用において、ペプチド異型のライブラリーをコードするファージベク
ターDNAで宿主細胞を形質転換することにより、ファージ提示ライブラリーを
作出するため、繊維状ファージのようなバクテリオファージ(ファージ)が使用
される。J. K. Scott and G. P. Smith, Science, (1990), 249:386-390。ファ
ージミドベクターもファージ提示のため使用されうる。Lowman and Wells, 1991
, Methods: A Companion to Methods in Enzymology, 3: 205-216。ペプチド及
びタンパク質、例えば抗体のファージ提示ライブラリー及びファージミド提示ラ
イブラリーの調製は、現在当分野において周知である。これらの方法は、一般的
に、ファージ粒子の表面上に提示された異型ペプチド又は異型タンパク質を1コ
ピー又は複数コピー有するファージ粒子としてライブラリーを増殖させるため、
ファージベクターDNA又はファージミドベクターDNAで細胞を形質転換する
ことを必要とする。例えば、Barbas et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (19
91), 88:7978-7982、Marks et al., J. Mol. Biol., (1991), 222:581-597、Hoo
genboom and Winter, J. Mol. Biol., (1992), 227:381-388、Barbas et al., P
roc. Natl. Acad. Sci. USA, (1992), 89:4457-4461、Griffiths et al., EMBO
Journal, (1994), 13:3245-3260、de Kruif et al., J. Mol. Biol., (1995), 2
48:97-105、Bonnycastle et al., J. Mol. Biol., (1996), 258:747-762、及びV
aughan et al., Nature Biotechnology (1996), 14:309-314を参照せよ。ライブ
ラリーDNAは、いくつかの周知の突然変異誘発法、例えばカセット突然変異誘
発法又はオリゴヌクレオチド媒介突然変異誘発法のうちの一つにおいて、制限酵
素及びライゲーション酵素を用いて調製される。
【0023】 特にファージベクターDNAライブラリー又はファージミドベクターDNAラ
イブラリーを用いた、電気穿孔による形質転換に関して繰り返し生じる問題は、
一般的に107〜108形質転換/DNA1μgの範囲である低い形質転換効率で
ある。低い形質転換効率は、1回の電気穿孔工程により調製されうるライブラリ
ーのサイズを制限する。ボーガン(Vaughan)ら(前記)は、約1010個の組換
え体を含むライブラリーを達成するために数百回の電気穿孔を実施した、改変さ
れた方法を記載している。
【0024】 DNA及びRNAの酵素的操作により得られる反応混合物は、所望のDNA又
はRNAの夾雑物であるタンパク質、塩等を含有する。精製された核酸を得るた
め、これらの混合物を通常フェノール/クロロホルム又は同様の溶媒を用いて抽
出し、次いでエタノールを用いてDNAを沈殿させ、ダウアーらにより推奨され
るDNA濃度を提供するため適当量の水又は緩衝液に再懸濁させる。ボニーキャ
ッスル(Bonnycastle)ら(前記)は、クロロホルム/フェノール/イソアミル
アルコールを用いてライゲーション反応液を抽出し、その後DNAを水に再懸濁
させ、排除膜での濾過により脱塩することを記載している。この手法は、約20
μg/mlのDNA濃度を使用したエレクトロコンピテントMC1061E.coli細胞
の電気穿孔を可能にした。
【0025】 電気穿孔及び形質転換効率に影響を与えるパラメータに関する20年間にわた
る研究にも関わらず、特にファージDNAベクター及びファージミドDNAベク
ターのライブラリーによる細胞の形質転換のため、改良された電気穿孔が依然と
して必要とされている。
【0026】 発明の概要 従来のファージ提示法は、おそらくファージ粒子の安定性を増強し、安定なフ
ァージ粒子のコートへの融合タンパク質の取り込みの頻度を増加させるため、野
生型コートタンパク質配列を使用する。ウイルスの野生型コートタンパク質では
ない、即ち一つ又は複数のアミノ酸の置換、欠失、又は付加を有するウイルスの
コートタンパク質、好ましくは主要コートタンパク質と融合した目的の異種ポリ
ペプチドを含有する融合タンパク質を取り込む安定なウイルス粒子が調製されう
ることは、本発明において発見された。従来のファージ提示技術は、野生型コー
トタンパク質配列を利用しており、融合タンパク質としての異種ポリペプチドの
ファージ粒子への取り込みは、正常なファージのパッケージング及びファージ粒
子産生に対して一般的に有害な効果を有すると予想されるため、この結果は予想
外のものであった。
【0027】 本発明の目的の一つは、野生型コートタンパク質配列を有しないウイルスのコ
ートタンパク質と融合した異種ポリペプチドを含有する融合タンパク質を提供す
ることである。さらなる目的は、この融合タンパク質をコードする遺伝子融合体
を含有する複製可能発現ベクターを提供することである。さらなる目的は、複製
可能発現ベクターを含有する宿主細胞を提供することである。
【0028】 本発明のもう一つの目的は、複製可能発現ベクターのライブラリー(ここで、
ベクターは、複数個の異型融合タンパク質をコードする異なる遺伝子融合体の複
数個を含有する)を提供することである。さらなる目的は、異型融合タンパク質
の複数個を提示するウイルス粒子のライブラリー(ここで、融合タンパク質は、
野生型コートタンパク質配列を有しないコートタンパク質異型を含有する)及び
ベクターライブラリーを含有する宿主細胞を提供することである。
【0029】 本発明のさらなる目的は、発現ベクター及びウイルス粒子のライブラリーを構
築する方法を提供することである。
【0030】 さらなる目的は、本発明の融合タンパク質の使用によりファージ粒子又はファ
ージミド粒子の表面上に提示される融合タンパク質の数をモジュレートする方法
を提供することである。
【0031】 本発明のもう一つの目的は、異種DNAの存在下でコンピテント細胞を電気穿
孔することにより細胞を形質転換する改良された方法を提供することである。
【0032】 本発明のさらなる目的は、改良された特徴を有し、電気穿孔による、より高い
形質転換収率を可能にする、改良されたE.coli株を提供することである。
【0033】 さらなる目的は、本発明の方法を用いる複製可能発現ベクターで形質転換され
た宿主細胞を培養することにより、産物ポリペプチドを作製する方法、及びこの
過程により作製された産物ポリペプチドを提供することである。
【0034】 本発明の一つの実施態様は、各々が融合タンパク質をコードする遺伝子融合体
と動作可能に連結した転写制御要素を含有する複製可能発現ベクターの複数個を
含有するライブラリーを構築すること(ここで、遺伝子融合体は第一ポリペプチ
ドをコードする第一遺伝子とファージ主要コートタンパク質をコードする第二遺
伝子とを含有し、ライブラリーは、異型ファージ主要コートタンパク質をコード
する第二遺伝子の複数個を含有する)を含む方法である。その方法は、適切な宿
主細胞をベクターのライブラリーで形質転換すること、及び融合タンパク質を形
成させるために適切な条件下で形質転換された細胞を培養することをさらに含み
うる。好ましくは、ベクターは、ファージDNA又はファージミドDNAであり
、培養は、表面上に融合タンパク質を提示するファージ粒子又はファージミド粒
子を形成させるために十分なものである。その方法は、粒子の少なくとも一部分
が標的分子と結合するよう、ファージ粒子又はファージミド粒子を標的分子と接
触させること、及び結合しない粒子から結合する粒子を分離することも含みうる
。その方法は、結合粒子を選択すること、複製可能発現ベクターの複数個を含有
する第二ライブラリーを構築すること(ここで、各発現ベクターは第二融合タン
パク質をコードする第二遺伝子融合体と動作可能に連結した転写制御要素を含有
し、第二遺伝子融合体は第二ポリペプチドをコードする第三遺伝子と選択された
結合粒子の表面上に提示された融合タンパク質の主要コートタンパク質異型をコ
ードする第四遺伝子とを含有し、ライブラリーは、異型第二ポリペプチドをコー
ドする第三遺伝子の複数個を含有する)をさらに含みうる。第一ポリペプチド及
び第三ポリペプチドは同一であっても異なっていてもよい。
【0035】 もう一つの実施態様において、本発明は、下記工程: (a)第一融合タンパク質をコードする第一遺伝子融合体と動作可能に連結した
転写制御要素を含む第一複製可能発現ベクターの複数個を含有する第一ライブラ
リーを構築する工程(ここで、第一遺伝子融合体は、第一ポリペプチドをコード
する第一遺伝子とファージ主要コートタンパク質をコードする第二遺伝子とを含
み、第一ライブラリーは、異型ファージ主要コートタンパク質をコードする第二
遺伝子をコードする第一ベクターの複数個を含有する)、 (b)適切な宿主細胞を第一ベクターライブラリーで形質転換し、形質転換され
た細胞をファージ粒子又はファージミド粒子を形成させるために適切な条件下で
培養する工程、 (c)粒子の少なくとも一部分が標的分子と結合するよう、ファージ粒子又はフ
ァージミド粒子を標的分子と接触させる工程、 (d)結合しない粒子から結合する粒子を分離する工程、 (e)粒子を選択する工程、 (f)第二融合タンパク質をコードする第二遺伝子融合体と動作可能に連結した
転写制御要素を含む第二複製可能発現ベクターを構築する工程(ここで、第二遺
伝子融合体は、第二ポリペプチドをコードする第三遺伝子と、選択された結合粒
子の表面上に提示された融合タンパク質の主要コートタンパク質異型をコードす
る第四遺伝子とを含む)、 (g)適切な宿主細胞を第二ベクターで形質転換し、表面上に第二融合タンパク
質を提示するファージ粒子又はファージミド粒子を形成させるために適切な条件
下で、形質転換された細胞を培養する工程、並びに (h)結合しない粒子から結合する粒子を分離する工程を含む方法である。 その方法は、異型第二ポリペプチドをコードする第三遺伝子の複数個を含有する
第二ベクターの第二ライブラリーを構築することも含みうる。その方法は、 (i)粒子を選択する工程、 (j)工程(i)で選択された粒子の第三遺伝子と動作可能に連結した転写制御
要素を含む第三発現ベクターを構築する工程、 (k)適切な宿主細胞を工程(j)で得られた第三ベクターで形質転換し、第二
ポリペプチドを形成させるために適切な条件下で、形質転換された細胞を培養す
る工程をさらに含みうる。
【0036】 以下の例示的な実施態様の説明の過程を通して明らかとなるであろうこれら及
びその他の目的は、異種DNAの存在下でコンピテント細胞を電気穿孔すること
により細胞を形質転換する本発明の方法(ここで、DNAはアフィニティ精製に
より精製されており、好ましくは約1ピコグラム/mlから約500ピコグラム/ml
という濃度で存在する)により達成された。DNAは、一般的には2〜3百ナノ
グラム/mlから数百ナノグラム/ml又はそれ以上、好ましくは約1μg/mlから約5
0μg/ml又はそれ以上、さらに好ましくは約70μg/ml又はそれ以上の濃度で存
在し、100μg/mlから約500μg/mlを超える濃度で存在してもよい。
【0037】 部分的に、本発明は、電気穿孔のためのDNAを調製する従来技術の方法、例
えばフェノール抽出及びエタノール沈殿を使用したクローニング可能組換えDN
Aの調製は、一般的に許容不可能な程に高いコンダクタンスを有するDNA溶液
をもたらすという発見にも基づいている。電気穿孔装置は、一般的に、試料を通
る電気パルス時間を調節するため、コンデンサー及び抵抗器(R2)と平行に試
料セルを有するよう配置されている。理想的には、試料(R1)の抵抗は、電気
パルスが主にR2を介して減少するようR2の抵抗よりはるかに大きいべきであ
る。R2を介して本質的に完全な放電が起こる、好ましい電気穿孔において、時
間定数はR1が無限である理論的な最大値に近づくであろう。DNAはイオン性
分子であり、従って、DNA電気穿孔試料は固有のコンダクタンスを有する。さ
らに、タンパク質、塩、緩衝液等のような電荷を有する不純物を含有するDNA
調製物は、付加的なコンダクタンスを導入する。電気穿孔反応に導入されうるD
NA調製物の容量(従ってDNAの質量)は、調製物のコンダクタンスにより制
限される。試料のコンダクタンスが増加すると、R1が減少し、R2と比較して
有意になる、即ち電気パルスの相当の割合がR1を介して放電される。これは、
時間定数の減少及び形質転換効率の減少を引き起こす。試料のコンダクタンスが
さらに増加すると、電極を通した電気的アーク放電及び電気穿孔の失敗が引き起
こされる。より高い濃度は電気的アーク放電を引き起こすため、従来技術の方法
を用いて調製されたDNA溶液の高いコンダクタンスは、電気穿孔反応を低いD
NA濃度に実際に制限する。本発明は、部分的には、アフィニティ精製されたD
NAを用いて、及び/又は可能と考えられていたよりもはるかに高いDNA濃度
において、細胞を電気穿孔する方法を提供することにより、この問題を解決する
。従来技術のDNA調製物中のDNAは、全コンダクタンスのうちの極一部分に
しか寄与せず、これらの調製物中のコンダクタンスの大部分がイオン性不純物に
よるものであることが発見された。本発明は、イオン性不純物を減少させ、従っ
て単位量のDNAに関連したコンダクタンスを減少させるため、アフィニティD
NA精製を使用する。従来技術は、一般的に、精製されたDNAを電気穿孔に使
用することを提案しており、例えばDNA沈殿及び膜濾過のようないくつかの標
準的な精製が使用されているは、アフィニティ精製の使用は利用されておらず、
本発明の方法において使用されうる極めて高いDNA濃度及びその結果得られる
高い形質転換収率は驚くべきものである。
【0038】 本発明は、DNA、例えば組換えクローニング可能DNA、好ましくは閉環D
NA、より好ましくはファージベクターDNA又はファージミドベクターDNA
を高度に精製することにより、細胞を形質転換する改良された方法を提供する。
本発明は、コンダクタンスを増加させ、電気穿孔中の時間定数を短縮する不純物
を除去するための、DNAのアフィニティ精製の使用により、最大1ml当たり数
百マイクログラムDNAという濃度で、高濃度のDNA溶液、好ましくは極めて
低いコンダクタンスを有する水性溶液、例えば非緩衝水性溶液又は水/グリセロ
ール溶液を調製することを可能にする。本発明のより高いDNA濃度を使用した
電気穿孔は、形質転換収率を改良するは、許容不可能な程に高い細胞死又は宿主
細胞の生存率の低下は引き起こさない。本発明の方法は、細胞へ形質転換されう
る異種DNA、例えば組換えクローニング可能DNAの量を増加させる。この宿
主細胞に侵入するDNAの増加は、1回の電気穿孔当たりの形質転換体の数の増
加を提供し、組換えDNAを使用した小さいライブラリーサイズの従来技術の問
題を克服する、より大きなコンビナトリアルライブラリーを調製することを可能
にする。
【0039】 本発明の方法は、形質転換収率及びコンビナトリアルライブラリーのサイズを
改良するため、従来技術において使用されていたよりも高い宿主細胞濃度を使用
した、改良された形質転換収率も提供する。
【0040】 本発明は、ファージ提示システムにおいて使用するための異型ペプチド、タン
パク質、及び抗体のファージライブラリー及びファージミドライブラリーの調製
にとって特に有用であるファージF′因子を含有する新規なE.coli株も提供する
【0041】好ましい実施態様の詳細な説明 定義 「アフィニティ精製」という用語は、パートナー部分と結合又は吸着している
間に不純物から分子を分離することを可能にする、組み合わせ又は複合体を形成
する、化学物質又は結合パートナーに対する分子の特異的な引力又は結合に基づ
く分子の精製を意味する。
【0042】 「抗体」という用語は、最も広い意味で使用され、特に単一のモノクローナル
抗体(アゴニスト抗体及びアンタゴニスト抗体を含む)、ポリエピトープ特異性
を有する抗体組成物、親和性の成熟された抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、同じ
く、所望の生物学的活性を示す限り、抗体断片(例えば、Fab、F(ab′)
2、scFv及びFv)も包含する。親和性の成熟された抗体は、典型的には、
単離された、若しくは天然の抗体、又はそれらの断片よりも2倍から500倍増
加した結合親和性を有するであろう。好ましい親和性の成熟された抗体は、受容
体抗原とのナノモル単位又はさらにピコモル単位の親和性を有するであろう。親
和性の成熟された抗体は、当分野において既知の手法により作製される。Marks,
J. D. et al. Bio/Technology 10:779-783(1992)は、VH及びVLのドメイン
シャッフリングによる親和性成熟を記載している。CDR及び/又はフレームワ
ークの残基のランダム突然変異誘発は、Barbas, C. F. et al., Proc. Natl. Ac
ad. Sci. USA 91:3809-3813(1994)、Schier, R. et al. Gene 169:147-155(1995
)、Yelton, D. E. et al. J. Immunol. 155:1994-2004(1995)、Jackson, J. R.
et al., J. Immunol. 154(7):3310-9(1995)、及びHawkins, R. E. et al, J. Mo
l. Biol. 226:889-896(1992)に記載されている。ヒト化抗体は、既知である(Jo
nes et al., Nature, 321:522-525(1986)、Reichmann et al., Nature, 332:323
-329(1988)、及びPresta, Curr. Op. Struct. Biol., 2:593-596(1992))。
【0043】 「Fv」断片は、完全な抗原認識部位及び結合部位を含有する最小の抗体断片
である。この領域は、強く非共有結合的に相関した1つの重鎖可変領域と1つの
軽鎖可変領域とのダイマーからなる。VH−VLダイマーの表面上の抗原結合部
位を画定するため、各可変ドメインの3つのCDRが相互作用するのは、この配
置においてである。集合的に、6つのCDRは抗体に抗原結合特異性を与える。
しかし、単一の可変ドメイン(又は抗原に特異的なCDRを3つしか含まないF
Vの半分)ですら、完全な結合部位よりは親和性が低いは、抗原を認識し、それ
と結合する能力を有する。
【0044】 「Fab」断片は、軽鎖の定常ドメイン及び重鎖の第一定常ドメイン(CH1
)も含有する。Fab′断片は、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に、抗体
ヒンジ領域由来の一つ又は複数のシステインを含む数個の残基が付加されている
点で、Fab断片と異なる。Fab′−SHは、定常ドメインの一つ又は複数の
システイン残基が遊離のチオール基を有しているFab′についての本明細書に
おける表記である。F(ab′)2抗体断片は、最初は、間にヒンジシステイン
を有するFab′断片の対として作製された。抗体断片の化学的カップリングは
、他にも既知である。
【0045】 「単鎖Fv」又は「sFv」抗体断片は、単一のポリペプチド鎖内に存在する
抗体のVHドメイン及びVLドメインを含む。一般的に、Fvポリペプチドは、
sFvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするポリペプチド
リンカーをVHドメインとVLドメインの間にさらに含む。sFvの概説につい
ては、PluckthunのThe Pharmacology of Monoclonal Antibodies, 第113巻, Ros
enburg and Moore編, Springer-Verlag, New York, 269-315頁(1994)を参照せよ
【0046】 「ダイアボディ(diabodies)」という用語は、同一ポリペプチド鎖内の軽鎖
可変ドメイン(VL)と接続された重鎖可変ドメイン(VH)(VH−VL)を
含む、2つの抗原結合部位を有する小さな抗体断片をさす。同一鎖上の2つのド
メインの対形成を可能にすることができない短いリンカーを使用することにより
、ドメインを他の鎖の相補的ドメインと対形成させ、2つの抗原結合部位を作出
する。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号、国際特許公開第
93/11161号、及びHollinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:
6444-6448(1993)に、より完全に記載されている。
【0047】 「直鎖状抗体」という表現は、Zapata et al. Protein Eng. 8(10):1057-1062
(1995)に記載された抗体をさす。簡単に説明すると、これらの抗体は、一対の抗
原結合領域を形成する一対のタンデムFdセグメント(VH−CH1−VH−CH
)を含む。直鎖状抗体は二重特異的である場合もあるし、又は単特異的である場
合もある。
【0048】 「細胞」、「細胞系」、及び「細胞培養物」は、本発明において交換可能に使
用され、そのような表記は細胞又は細胞系の全ての子孫を含む。従って、例えば
、「形質転換体」及び「形質転換された細胞」のような用語は、継代の数に関わ
らず、第一の対象細胞及びそれらに由来する培養物を含む。故意又は偶然の突然
変異のため、全ての子孫のDNA含量が正確に同一であるわけではない場合もあ
ることも理解される。最初に形質転換された細胞においてスクリーニングされた
のと同一の機能又は生物学的活性を有する突然変異体子孫は、含まれる。区別さ
れる表記が意図される場合、それは、文脈から明らかとなろう。
【0049】 「コンピテント細胞」及び「電気穿孔コンピテント細胞」という用語は、受容
能を有する状態にあり、多様な起源に由来するDNAを取り込むことができる細
胞を意味する。その状態は、一過性であっても永久的であってもよい。電気穿孔
コンピテント細胞は、電気穿孔中にDNAを取り込むことができる。
【0050】 「制御配列」とは、発現に関して言及される場合、特定の宿主生物における動
作可能に連結したコーディング配列の発現に必要なDNA配列を意味する。原核
生物にとって適切な制御配列は、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位を
含み、場合によりオペレーター配列を含み、未だ十分に理解されていない配列を
含む可能性もある。原核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、及び
エンハンサーを利用することが知られている。
【0051】 「コートタンパク質」という用語は、少なくとも一部分がウイルス粒子の表面
上に存在するタンパク質を意味する。機能的な見地からは、コートタンパク質は
、宿主細胞におけるウイルス組み立て過程においてウイルス粒子と相関し、他の
宿主細胞に感染するまで組み立てられたウイルスと相関し続けるあらゆるタンパ
ク質である。コートタンパク質は、主要コートタンパク質であってもよいし、又
は微量コートタンパク質であってもよい。「主要」コートタンパク質は、タンパ
ク質10コピー又はそれ以上でウイルスコート中に存在するコートタンパク質で
ある。主要コートタンパク質は、1ビリオン当たり数十コピー、数百コピー、又
はさらには数千コピーで存在しうる。
【0052】 特定のアッセイにおける化学的実体の「検出限界」とは、そのアッセイのバッ
クグラウンドレベルより上で検出されうる実体の最小の濃度である。例えば、実
施例5のファージELISAにおいて、特定のタンパク質(例えばhGH)を提
示する特定のファージの「検出限界」は、特定のファージがタンパク質を提示し
ない対照ファージにより産生されるシグナルよりも大きいELISAシグナルを
産生するファージ濃度である。
【0053】 「電気穿孔」又は「電気穿孔すること」という用語は、外来物質の細胞への取
り込みを可能にするために十分な条件下で細胞に電圧をかけることにより、外来
物質(タンパク質、核酸等)が細胞に導入される過程を意味する。外来物質は典
型的にはDNAである。
【0054】 「F因子」又は「F′エピソーム」とは、細胞内に存在する場合、バクテリオ
ファージが細胞に感染することを可能にするDNAである。エピソームは、他の
遺伝子、例えば選択遺伝子、マーカー遺伝子等を含有しうる。通常のF′エピソ
ームは、CJ236、CSH18、DH5alphaF′、JM101(JM1
03、JM105、JM107、JM109、JM110と同一)、KS100
0、XL1−BLUE及び71−18を含む周知のE.coli株に見出される。これ
らの株及びそれらに含まれるエピソームは市販されており(New England Biolab
s)、多くは、ヴァージニア州マナッサスのATCCのような承認された寄託機
関に寄託されている。
【0055】 「融合タンパク質」とは、各々が異なる特性を有するポリペプチドである互い
に共有結合した2つの部分を有するポリペプチドである。特性は、in vitro又は
in vivoの活性のような生物学的特性でありうる。特性は、標的分子との結合、
反応の触媒等のような化学的又は物理的な特性であってもよい。2つの部分は、
単一のペプチド結合により直接的に連結していてもよいし、又は一つ若しくは複
数のアミノ酸残基を含有するペプチドリンカーを介して連結していてもよい。一
般的に、2つの部分及びリンカーは、相互にリーディングフレーム内にありうる
【0056】 「異種DNA」とは、宿主細胞に導入されるあらゆるDNAである。そのDN
Aは、ゲノムDNA、cDNA、合成DNA及びこれらの融合体又は組み合わせ
を含む多様な起源に由来しうる。そのDNAは、宿主若しくはレシピエント細胞
と同一の細胞若しくは細胞型に由来するDNA、又は例えば哺乳動物若しくは植
物に由来する異なる細胞型に由来するDNAを含みうる。DNAは、場合により
、選択遺伝子、例えば抗生物質耐性遺伝子、温度抵抗性遺伝子等を含みうる。
【0057】 「ライゲーション」とは、2つの核酸断片間にホスホジエステル結合を形成す
る過程である。2つの断片のライゲーションのためには、断片の末端は、相互に
適合性でなければならない。末端は、エンドヌクレアーゼ消化の後、直接的に適
合性である場合もある。しかし、エンドヌクレアーゼ消化の後一般的に作製され
た付着末端を、ライゲーションのため適合性にするために、平滑末端に変換する
ことがまず必要である場合もある。末端を平滑化するためには、DNAを、4種
類のデオキシリボヌクレオチド三リン酸の存在下で、適切な緩衝液中で少なくと
も15分間15℃で約10単位のDNAポリメラーゼIクレノウ断片又はT4D
NAポリメラーゼにより処理する。次いで、DNAをフェノール−クロロホルム
抽出及びエタノール沈殿により精製する。共にライゲートすべきDNA断片を、
約等モルの量で溶液に添加する。また、溶液は、ATP、リガーゼ緩衝液、及び
DNA0.5μg当たり約10単位のT4DNAリガーゼのようなリガーゼも含
有しうる。DNAをベクターにライゲートさせる場合には、適切な(一つ又は複
数の)制限エンドヌクレアーゼによる消化により、ベクターをまず直鎖化する。
次いで、ライゲーション工程における自己ライゲーションを阻止するため、直鎖
化された断片を、細菌アルカリホスファターゼ又はウシ腸ホスファターゼで処理
する。
【0058】 「突然変異」とは、野生型配列のような参照ヌクレオチド配列と比較した(一
つ又は複数の)ヌクレオチドの欠失、挿入、又は置換である。
【0059】 「沈黙突然変異」とは、あるDNA配列の翻訳されたポリペプチド産物のアミ
ノ酸配列を変化させない突然変異である。
【0060】 「非沈黙突然変異」とは、あるDNA配列の翻訳されたポリペプチド産物のア
ミノ酸配列を変化させる突然変異である。
【0061】 「動作可能に連結した」とは、核酸に関して言及される場合、核酸が他の核酸
配列と機能的な関係に置かれていることを意味する。例えば、プロ配列又は分泌
リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプロタンパク質として発現
される場合には、ポリペプチドのDNAと機能的に連結しており、プロモーター
又はエンハンサーは、配列の転写に影響を与える場合には、コーディング配列と
機能的に連結しており、又はリボソーム結合部位は、翻訳を促進するよう位置し
ている場合、コーディング配列と機能的に連結している。一般的に、「動作可能
に連結した」とは、連結しているDNA配列が隣接しており、分泌リーダーの場
合には隣接し、かつリーディング相内にあることを意味する。しかし、エンハン
サーは、隣接している必要はない。連結は、便利な制限部位におけるライゲーシ
ョンにより達成される。そのような部位が存在しない場合には、合成オリゴヌク
レオチドアダプター又はリンカーが通常の実務に従い使用される。
【0062】 「ファージ提示」とは、異型ポリペプチドは、コートタンパク質との融合タン
パク質として、ファージ、例えば繊維状ファージの粒子の表面上に提示される技
術である。ファージ提示の有用性は、ランダム化されたタンパク質異型の大きい
ライブラリーを、高親和性で標的分子と結合する配列に関して迅速かつ効率的に
ソートすることができるという事実にある。ペプチドライブラリー又はタンパク
質ライブラリーのファージ上の提示は、特異的な結合特性を有するポリペプチド
に関して非常に多数のポリペプチドをスクリーニングするために使用されている
。多価ファージ提示法は、繊維状ファージの遺伝子III又は遺伝子VIIIとの融合
によって、小さなランダムペプチド及び小さなタンパク質を提示するために使用
されている。Wells and Lowman, Curr. Opin. Struct. Biol., 1992, 3:355-362
及びその中の引用文献を参照せよ。一価ファージ提示においては、タンパク質ラ
イブラリー又はペプチドライブラリーは、遺伝子III又はその一部分と融合して
おり、野生型遺伝子IIIタンパク質の存在下で低レベルに発現され、ファージ粒
子が1コピーの融合タンパク質を提示するか又は全く提示しない。多価ファージ
と比較して親和力効果が減少するため、ソーティングは固有リガンド親和性に基
づき行われ、DNA操作を単純化するファージミドベクターが使用される。Lowm
an and Wells, Methods:A companion to Methods in Enzymology, 1991, 3:205-
216。
【0063】 「ファージミド」とは、細菌の複製開始点、例えばColE1と、1コピーの
バクテリオファージの遺伝子間領域を有するプラスミドベクターである。ファー
ジミドは、繊維状バクテリオファージ及びラムドイドバクテリオファージを含む
あらゆる既知のバクテリオファージに基づいている。プラスミドは、抗生物質耐
性のための選択可能マーカーも一般的に含有しうる。これらのベクターにクロー
ニングされたDNAのセグメントは、プラスミドとして増殖させることができる
。これらのベクターを保有する細胞に、ファージ粒子の産生に必要な全ての遺伝
子を供給した場合、プラスミドの複製の様式は、ファージ粒子をパッケージング
するローリングサークル複製に変化し、プラスミドDNAの一つの鎖のコピーを
生成させ、ファージ粒子をパッケージする。ファージミドは、感染性又は非感染
性のファージ粒子を形成しうる。これらの用語は、異種ポリペプチドがファージ
粒子の表面上に提示されるよう、遺伝子融合体として異種ポリペプチド遺伝子と
連結したファージコートタンパク質遺伝子又はそれらの断片を含有するファージ
ミドを含む。サンブルックら(前記)、4.17。
【0064】 「ファージベクター」という用語は、異種遺伝子を含有し、複製能を有する二
本鎖の複製可能型バクテリオファージを意味する。ファージベクターは、ファー
ジ複製及びファージ粒子形成を可能にするファージ複製開始点を有する。ファー
ジは、好ましくは、M13、f1、fd、Pf3ファージのような繊維状バクテ
リオファージ若しくはそれらの誘導体、又はラムダ、21、pHi80、pHi82
、424、434等のようなラムドイドファージ若しくはそれらの誘導体である
【0065】 細胞からのDNAの「調製」とは、宿主細胞の培養物からプラスミドDNAを
単離することを意味する。通常使用されるDNA調製法は、サンブルックら(前
記)のセクション1.25〜1.33に記載の大規模又は小規模のプラスミド調
製である。DNA調製の後、それは、サンブルックら(前記)のセクション1.
40に記載のような当分野において周知の方法により精製されうる。
【0066】 「オリゴヌクレオチド」とは、(1988年5月4日に公開された欧州特許第
266,032号に記載のような固相技術を使用した、又はFroehler et al., N
ucl. Acids Res., 14:5399-5407(1986)に記載のようなデオキシヌクレオシドH
ホスホン酸中間体を介した、ホスホトリエステル化学、ホスファイト化学、又は
ホスホールアミダイト化学のような)既知の方法により化学的に合成された、短
い一本鎖又は二本鎖のポリデオキシヌクレオチドである。さらなる方法は、以下
に定義されるポリメラーゼ連鎖反応及びその他のオートプライマー(autoprimer
)法及び固体支持体上でのオリゴヌクレオチド合成を含む。これらの方法は全て
、Engels et al., Agnew. Chem. Int. Ed. Engl., 28:716-734(1989)に記載され
ている。これらの方法は、遺伝子の完全な核酸配列が既知であるか、コーディン
グ鎖と相補的な核酸の配列が利用可能である場合に、使用される。又は、標的ア
ミノ酸配列が既知である場合には、各アミノ酸残基に対する既知の好ましいコー
ド残基を用いる、可能性のある核酸配列を推測することができる。次いで、オリ
ゴヌクレオチドを、ポリアクリルアミドゲル上で精製する。
【0067】 「ポリメラーゼ連鎖反応」又は「PCR」とは、微量の核酸、RNA及び/又
はDNAの特定の一片は、1987年7月28日に発行された米国特許第4,6
83,195号に記載のようにして増幅される手法又は技術をさす。一般的に、
オリゴヌクレオチドプライマーを設計することができるように、目的領域の末端
由来の配列情報又はそれ以上は、利用可能であることが必要であり、これらのプ
ライマーは、増幅すべき鋳型の反対の鎖と配列が同一であるか、又は類似してい
る。2つのプライマーの5′末端ヌクレオチドは、増幅される材料の末端と一致
していてもよい。PCRは、全ゲノムDNAからの特定のRNA配列、特定のD
NA配列を増幅するため、及び全細胞RNA、バクテリオファージ又はプラスミ
ドの配列等から転写されるcDNAを増幅するために使用されうる。一般的には
、Mullis et al., Cold Spring Harbor Symp. Quant. Biol., 51:263(1987)、Er
lich編, PCR Technology(Stockton Press, NY, 1989)を参照せよ。本明細書に
おいて使用されるように、PCRとは、プライマーとしての既知の核酸、及び核
酸の特定の一片を増幅又は生成させるための核酸ポリメラーゼの使用を含む、核
酸試験試料を増幅するための核酸ポリメラーゼ反応法の、唯一ではない一例と見
なされる。
【0068】 DNAが非核酸不純物から分離されている場合、DNAは、「精製」されてい
る。不純物は、極性、非極性、イオン性等でありうる。
【0069】 制限消化物からのDNAの所定の断片の「回収」又は「単離」とは、ポリアク
リルアミドゲル又はアガロースゲル上での電気泳動による消化物の分離、目的の
断片の移動度の、既知の分子量のマーカーDNA断片の移動度との比較、所望の
断片を含有するゲル区分の取り出し、及びDNAからのゲルの分離を意味する。
この手法は一般的に既知である。例えば、Lawn et al., Nucleic Acids Res., 9
:6103-6114(1981)及びGoeddel et al., Nucleic Acids Res., 8:4057(1980)を参
照せよ。
【0070】 「DNAとの特異的な結合親和性」を有する化学基又は種とは、タンパク質、
塩、及び脂質を含むその他の細胞成分と形成された結合よりも強い、非共有結合
ではない結合をDNAと形成する分子又はそれらの一部分を意味する。
【0071】 「生存細胞」とは、形質転換過程の後に生存可能であり続ける細胞である。
【0072】 「転写制御要素」は、以下の成分:エンハンサー要素、プロモーター、オペレ
ーター配列、リプレッサー遺伝子、及び転写終結配列のうちの一つ又は複数を含
有するであろう。これらの成分は、当分野において周知である。米国特許第5,
667,780号。
【0073】 「形質転換体」とは、DNAと相関した表現型(例えば、DNAによりコード
されたタンパク質により与えられる抗生物質耐性)の発現により証明されるよう
な、DNAを取り込み維持している細胞である。
【0074】 「形質転換」とは、細胞がDNAを取り込み、「形質転換体」となる過程を意
味する。DNA取り込みは、永久的であっても、又は一過性であってもよい。
【0075】 「形質転換効率」とは、形質転換法の後に作製された、DNA単位量当たりの
形質転換体の数(例えば、DNA1マイクログラム当たりの形質転換体)を意味
する。
【0076】 「形質転換頻度」とは、生存細胞の数に対する形質転換体の数の比率である。
【0077】 「形質転換収率」とは、1回の電気穿孔反応で作製される形質転換体の数を意
味する。
【0078】 出発ポリペプチドの「異型」又は「突然変異体」、例えば、融合タンパク質又
は異種ポリペプチド(ファージに対して異種)とは、1)出発ポリペプチドとは
異なるアミノ酸配列を有し、2)自然又は人工的(人為的)な突然変異誘発によ
って出発ポリペプチドから誘導されたポリペプチドである。そのような異型は、
例えば、目的のポリペプチドのアミノ酸配列内の残基の欠失及び/又は挿入及び
/又は置換を含む。最終的な構築物が所望の機能的特徴を有していることを条件
として、最終的な異型又は突然変異体の構築物に到達するために、欠失、挿入、
及び置換のあらゆる組み合わせが作られうる。アミノ酸変化は、グリコシル化部
位の数又は位置の変化のようなポリペプチドの翻訳後過程を変化させるものであ
ってもよい。ポリペプチドのアミノ酸配列異型を生成させるための方法は、参照
として本明細書に特別に組み込まれる米国特許第5,534,615号に記載さ
れている。
【0079】 一般的に、異型コートタンパク質は、少なくとも20%又は40%、最大で7
0%又は85%、より好ましくは最大で95%又は99.9%の野生型コートタ
ンパク質との配列同一性を有するであろう。配列同一性の割合は、例えば、最大
の相同性を提供するため配列を整列化した後、Fitch et al., Proc. Natl. Acad
. Sci. USA 80:1382-1386(1983)、Needleman et al., J. Mol. Biol. 48:443-45
3(1970)により記載されたアルゴリズムの型により決定される。ポリペプチドの
アミノ酸配列異型は、ポリペプチドをコードするDNAへ適切なヌクレオチド変
化を導入することにより、又はペプチド合成により、調製される。「改変された
残基」とは、野生型配列のような参照アミノ酸配列と比較したアミノ酸残基の欠
失、挿入又は置換である。
【0080】 「機能的な」突然変異体又は異型とは、野生型タンパク質によっても検出可能
に示される検出可能な活性又は機能を示すものである。例えば、主要コートタン
パク質の「機能的な」突然変異体又は異型とは、実験的に検出されうるレベルで
ファージコートに安定的に取り込まれるものである。好ましくは、ファージコー
ト取り込みは、ウイルス粒子1000個当たり約1個の融合体からウイルス粒子
1個当たり約1000個の融合体という範囲で検出されうる。
【0081】 「高機能性」の突然変異体又は異型とは、野生型の活性よりも大きい活性を有
する機能的な突然変異体又は異型である。例えば、主要コートタンパク質の高機
能性の突然変異体又は異型とは、同一の環境で野生型タンパク質のレベルよりも
高いレベルでファージコートへ安定的に取り込まれるものである。
【0082】 「低機能性」の突然変異体又は異型とは、野生型の活性よりも小さい活性を有
する機能的な突然変異体又は異型である。例えば、主要コートタンパク質の低機
能性の突然変異体又は異型とは、同一の環境で野生型タンパク質のレベルよりも
低いレベルでファージコートへ安定的に取り込まれるものである。
【0083】 「野生型」配列、又は「野生型」のコートタンパク質のようなタンパク質の配
列は、突然変異の導入により異型ポリペプチドが誘導される参照配列である。一
般に、あるタンパク質の「野生型」配列とは、自然界において最も一般的な配列
である。同様に、「野生型」遺伝子配列とは、自然界において最も一般的に見出
される遺伝子の配列である。自然の過程又は人間が誘導した手段のいずれかによ
り、「野生型」遺伝子(そして、従って、それがコードするタンパク質)に突然
変異が導入されうる。そのような過程の産物は、最初の「野生型」のタンパク質
又は遺伝子の「異型」又は「突然変異型」である。
【0084】 好ましい実施態様の詳細な説明 A.新規な方法及び細胞 本発明は、DNAアフィニティ精製により精製された異種DNAの存在下で、
コンピテント細胞を電気穿孔することにより、細胞を形質転換する方法を提供す
る。好ましくは、細菌におけるライブラリー構築のため、DNAは、25マイク
ログラム/ml以上の濃度で存在する。好ましくは、DNAは、約30マイクログ
ラム/ml以上の濃度、より好ましくは約70マイクログラム/ml以上の濃度、さら
に好ましくは約100マイクログラム/ml以上、さらには最大で数百マイクログ
ラム/mlもの濃度で存在する。一般的には、本発明の方法は、約50から約50
0マイクログラム/mlの範囲のDNA濃度を利用しうる。異種DNAを高度に精
製することにより、DNA濃度が極めて高い場合においてさえ、3.0ミリ秒(
ms)を超える電気穿孔中の時間定数が可能であり、高い形質転換効率がもたらさ
れることが発見された。約50マイクログラム/ml〜約400マイクログラム/ml
のDNA濃度範囲にわたり、本発明の方法は、標準的な電気穿孔装置を用いる、
約3.6ms〜約4.4msの範囲の時間定数の使用を可能にする。従って、本発明
は、従来既知であった濃度を超える動的なDNA濃度範囲を有する方法を提供す
る。
【0085】 本発明の方法において使用される高いDNA濃度は、コンピテント細胞を形質
転換するために使用されるDNAを高度に精製することによって得られる。本発
明の方法において、DNAは、電気穿孔過程において使用されるDNA溶液のコ
ンダクタンスを増加させる夾雑物を除去するために精製される。DNAは、あら
ゆる既知の方法により精製されうるは、好ましい精製法は、DNAアフィニティ
精製の使用である。DNA結合樹脂及び親和性試薬を用いる、DNA、例えば組
換え直鎖状DNA又はプラスミドDNAの精製は、周知であり、あらゆる既知の
方法が本発明において使用されうる(Vogelstein, B. and Gillespie, D., 1979
, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:615、Callen, W., 1993, Strategies, 6:52
-53)。市販のDNA単離キット及び精製キットも、ストラタジーン(Stratagen
e)(CLEARCUT Miniprep Kit)及びライフテクノロジーズ(Life Technologies
)(GLASSMAX DNA単離システム)を含むいくつかの供給元から入手可能である。
適切なDNA精製法は、これらに限定されないは、カラムクロマトグラフィー(
米国特許第5,707,812号)、ヒドロキシル化シリカポリマー(米国特許
第5,693,785号)、シリカゲル再水和物(米国特許第4,923,97
8号)、ホウ化ケイ酸(米国特許第5,674,997号)、改変グラスファイ
バー膜(米国特許第5,650,506号、米国特許第5,438,127号)
、フッ素化吸着剤(米国特許第5,625,054号、米国特許第5,438,
129号)、珪藻土(米国特許第5,075,430号)、透析(米国特許第4
,921,952号)、ゲルポリマー(米国特許第5,106,966号)の使
用、及びカオトロピック化合物とDNA結合試薬との使用(米国特許第5,23
4,809号)を含む。精製後、本発明の濃度で、電気穿孔に使用するため、D
NAを溶出させるか、又は水、好ましくは蒸留水若しくは脱イオン化水に再懸濁
させる。溶液が低い電気伝導性を有する、即ち約3.0msよりも大きい時間定数
における本発明の高いDNA濃度の使用と適合性である場合には、低塩緩衝溶液
の使用も企図される。
【0086】 電気穿孔により形質転換されうるあらゆる細胞は、本発明の方法における宿主
細胞として使用されうる。本発明の方法において異種DNAで形質転換されうる
適切な宿主細胞は、動物細胞(Neumann et al., EMBO J., (1982), 1:841、Wong
and Neumann, Biochem. Biophys. Res. Commun., (1982), 107:584、Potter et
al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1984)81:7161、Sugden et al., Mol. Cel
l. Biol., (1985), 5:410、Toneguzzo et al., Mol. Cell. Biol., (1986), 6:7
03、Pur-KAspa et al., Mol. Cell. Biol., (1986), 6:716)、植物細胞(Fr
omm et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1985)82:5824、Fromm et al., Pro
c. Natl. Acad. Sci. USA, (1986), 319:791、Ecker and Davis, Proc. Natl. A
cad. Sci. USA, (1986)83:5372)及び細菌細胞(Chu et al., Nucleic Acids Re
s., (1987), 15:1311、Knutson and Yee, Anal. Biochem., (1987), 164:44)を
含む。原核生物は、本発明のための好ましい宿主細胞である。様々な細胞系のた
めのトランスフェクション効率を生じるパラメータを記載しているAndreason an
d Evans, Biotechniques, (1988), 6:650も参照せよ。適切な細菌細胞は、E.col
i(Dower et al. (前記)、Taketo, Biochim. Biophys. Acta, (1988), 149:31
8)、L.カゼイ(Chassy and Flickinger, FEMS Microbiol. Lett., (1987), 4
4:173)、Strept.ラクチス(Strept. lactis)(Powell et al., Appl.
Environ. Microbiol., (1988), 54:655、Harlander, Streptcoccal Genetics, J
. Ferretti and R. Curtiss編, III, 229頁, American Society for Microbiolo
gy, Washington, D. C., (1987))、Strept.サーモフィルス(Strept. t
hermophilus)(Somkuti and Steinberg, Proc. 4th Eur. Cong. Biotechnology
, 1987, 1:412)、カンピロバクタージェジュニ(Campylobacter jejuni)(Mil
ler et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1988)85:856)、並びに宿主として
使用されうるバチルスズブチリス(Bacillus subtilis)のようなバチルス属細
菌、サルモネラチフィムリウム(Salmonella typhimurium)若しくはセラチアマ
ルセサンス(Serratia marcesans)のような腸内細菌、及び様々なシュードモナ
ス(Pseudomonas)種を含むその他の細菌株(Fielder and Wirth, Anal. Bioche
m., (1988), 170:38)を含む。適切なE.coli株は、JM101、E.coli K12
株294(ATCC番号31,446)、E.coli株W3110(ATCC番号2
7,325)、E.coli株X1776(ATCC番号31,537)、E.coli X
L−1Blue(Stratagene)、及びE.coli Bを含むは、XL−1BlueM
RF′、SURE、ABLE C、ABLE K、WM1100、MC1061、
HB101、CJ136、MV1190、JS4、JS5、NM522、NM5
38、NM539、TG1のようなその他の多くのE.coli株、並びに原核生物の
他の多くの種及び属も同様に使用されうる。
【0087】 細胞は、既知の手法を用いてコンピテントにされる。サンブルックら(前記)
、1.76〜1.81、16.30。
【0088】 異種DNAは、好ましくは、比較的簡単に構築し、容易に増幅することができ
るプラスミド、ファージ、又はファージミドのような複製可能な転写ベクター又
は発現ベクターの形態である。これらのベクターは、一般的に、プロモーター、
シグナル配列、表現型選択遺伝子、複製開始点、及び当業者に既知のその他の必
要な成分を含有する。これらの成分と、一つ又は複数の所望のクローニングされ
たポリペプチドをコードする遺伝子とを含有する適切なベクターの構築は、サン
ブルックら(前記)に記載のような標準的な組み換えDNA法を用いて調製され
る。ベクターを形成させるために組み合わせられる単離されたDNA断片は、所
望のベクターを生成させるため、分解され、適合化され、特定の順序及び方向で
共にライゲートさせられる。
【0089】 所望のポリペプチド(即ち、厳密な二次構造を有するペプチド又はポリペプチ
ド)をコードする遺伝子は、当分野において既知の方法により入手されうる(一
般的には、サンブルックらを参照せよ)。遺伝子の配列が既知である場合には、
遺伝子をコードするDNAを化学的に合成することができる(Merrifield, J. A
m. Chem. Soc., 85:2149(1963))。遺伝子の配列が既知でない場合、又は遺伝子
が以前に単離されていない場合には、(所望の遺伝子が発現される適切な組織か
ら得られたRNAから作成された)cDNAライブラリーからか、又は適切なゲ
ノムDNAライブラリーからクローニングすることができる。次いで、遺伝子を
適切なプローブを用いて単離する。cDNAライブラリーのための適切なプロー
ブは、モノクローナル又はポリクローナルの抗体(cDNAライブラリーが発現
ライブラリーであることを条件とする)、オリゴヌクレオチド、及び相補的若し
くは相同なcDNA、又はそれらの断片を含む。ゲノムDNAライブラリーから
目的の遺伝子を単離するために使用されうるプローブは、同一又は類似の遺伝子
をコードするcDNA又はそれらの断片、相同なゲノムDNA又はDNA断片、
及びオリゴヌクレオチドを含む。選択されたプローブを用いたcDNA又はゲノ
ミックライブラリーのスクリーニングは、サンブルックら(前記)のチャプター
10〜12に記載のような標準的な手法を用いて実施される。
【0090】 目的のタンパク質をコードする遺伝子を単離するための別の手段は、サンブル
ックら(前記)のセクション14に記載のようなポリメラーゼ連鎖反応法(PC
R)の使用である。この方法は、目的の遺伝子とハイブリダイズするであろうオ
リゴヌクレオチドの使用を必要とし、従って、オリゴヌクレオチドを生成させる
ため、この遺伝子のDNA配列の少なくとも一部分が既知でなければならない。
【0091】 遺伝子を単離した後は、それを、サンブルックらに一般的に記載されているよ
うな増幅のための適切なベクター(好ましくは、プラスミド)に挿入することが
できる。
【0092】 適切な緩衝液中で一つ又は複数の適切な制限酵素を用いてDNAを分解する。
一般的に、約20μlの緩衝溶液中で、0.2〜1μgのプラスミド又はDNA断
片は、約1〜2単位の適切な制限酵素と共に使用される。適切な緩衝液、DNA
濃度、並びにインキュベーションの時間及び温度は、制限酵素の製造業者により
特定される。一般的に、37℃における約1又は2時間のインキュベーション時
間が適切であるは、いくつかの酵素はそれよりも高い温度を必要とする。インキ
ュベーションの後、フェノール及びクロロホルムの混合物による消化溶液の抽出
により、酵素及びその他の夾雑物を除去し、エタノール沈殿又はその他のDNA
精製技術により水性画分からDNAを回収する。
【0093】 機能的なベクターを形成させるため、DNA断片を共にライゲートさせるため
には、DNA断片の末端が相互に適合性でなければならない。末端は、エンドヌ
クレアーゼ消化の後、直接的に適合性である場合もある。しかし、エンドヌクレ
アーゼ消化により一般的に作製された粘着末端を、ライゲーションのため適合性
にするために、平滑末端に変換することがまず必要である場合もある。末端を平
滑化するためには、DNAを、4つのデオキシヌクレオチド三リン酸の存在下で
、適切な緩衝液中で少なくとも15分間15Cで10単位のDNAポリメラーゼ
Iクレノウ断片(クレノウ)により処理する。次いで、DNAをフェノール−ク
ロロホルム抽出及びエタノール沈殿又はその他のDNA精製技術により精製する
【0094】 切断されたDNA断片は、DNAゲル電気泳動を用いてサイズ分離され選択さ
れうる。DNAは、アガロース又はポリアクリルアミドのマトリックス上で電気
泳動されうる。マトリックスの選択は、分離すべきDNA断片のサイズに依存し
うる。電気泳動の後、サンブルックら(前記)のセクション6.30〜6.33
に記載のように、電気溶出により、又は低融点アガロースがマトリックスとして
使用されている場合には、アガロースを融解させ、そこからDNAを抽出するこ
とにより、マトリックスからDNAを抽出する。
【0095】 (ライゲートすべき各断片の末端が適合性であるように適切な制限酵素で予め
消化された)一緒にライゲートすべきDNA断片を、約等モルの量で溶液に添加
する。溶液は、ATP、リガーゼ緩衝液、及びDNA0.5μg当たり約10単
位のT4DNAリガーゼのようなリガーゼも含有しうる。DNA断片をベクター
にライゲートさせる場合には、適切な(一つ又は複数の)制限エンドヌクレアー
ゼによる切断により、ベクターをまず直鎖化する。次いで、アルカリホスファタ
ーゼ又はウシ腸ホスファターゼで、直鎖化されたベクターを処理する。ホスファ
ターゼ処理は、ライゲーション工程におけるベクターの自己ライゲーションを阻
止する。
【0096】 ライゲーションの後、今や外来遺伝子が挿入されているベクターを、前記のよ
うにして精製し、既知の市販の電気穿孔装置及び製造業者により概説され、ダウ
アーら(前記)に一般的に記載された手法を使用した電気穿孔により、前記のよ
うな適切な宿主細胞へ形質転換する。本発明は、高い形質転換収率を提供し、単
一の電気穿孔反応は典型的には1×1010個を超える形質転換体を生じる。しか
し、宿主細胞へ形質転換されるDNAの量を増加させるため、1回より多い(複
数回の)電気穿孔を実施することもできる。反復的電気穿孔は、当分野において
記載されたようにして実施される。ボーガン(Vaughan)ら(前記)を参照せよ
。付加的な電気穿孔の回数は、数回(2回、3回、4回...10回)から最大
数十回(10回、20回、30回...100回)、さらには数百回(100回
、200回、300回...1000回)まで、所望に応じて様々であってよい
。反復的電気穿孔は、宿主細胞へ形質転換されるコンビナトリアルライブラリー
、例えば抗体ライブラリーのサイズを増加させるために望ましいかもしれない。
複数回の電気穿孔により、少なくとも1.0×1012個、さらには2.0×10 12 個の異なるメンバー(クローン、ファージ、ファージミド、プラスミド等のよ
うなDNAベクター、細胞等)を有するライブラリーを作製することが可能であ
る。
【0097】 電気穿孔は、本発明の改良と共に、当分野において既知の、例えば米国特許第
4,910,140号、米国特許第5,186,800号、米国特許第4,84
9,355号、米国特許第5,173,158号、米国特許第5,098,84
3号、米国特許第5,422,272号、米国特許第5,232,856号、米
国特許第5,283,194号、米国特許第5,128,257号、米国特許第
5,750,373号、米国特許第4,956,288号に記載された方法、又
はその他のあらゆる既知の回分的又は連続的な電気穿孔を用いて実施されうる。
【0098】 典型的には、エレクトロコンピテント細胞を所望の濃度で氷温においてDNA
溶液と混合する。混合物のアリコートをキュベットに添加し、0.2cmという典
型的なギャップを有する電気穿孔装置、例えばジーンパルサー(GENE PULSER)
(Biorad)内に設置する。製造業者により記載されたようにして、各キュベット
を電気穿孔する。典型的な設定は、電圧=2.5kV、抵抗=200オーム、キャ
パシタンス=25mFである。次いで、直ちにキュベットを取り出し、SOC培地
(Maniatis)を添加し、試料を250mlのバッフルフラスコに移す。電気穿孔の
後、いくつかのキュベットの内容物を合わせることができる。次いで、形質転換
された細胞を培養するため、培養物を37℃で振とうする。
【0099】 形質転換された細胞は、一般的には、抗生物質、一般的にはベクター内のte
t及び/又はamp耐性遺伝子により細胞が耐性となるテトラサイクリン(te
t)又はアンピシリン(amp)上での増殖により選択される。
【0100】 形質転換された細胞の選択の後、これらの細胞を培養物中で増殖させ、次いで
ベクターDNA(外来遺伝子が挿入されているプラスミド又はその他のベクター
)を単離することができる。ベクターDNAは当分野において既知の方法を用い
て単離されうる。2つの適切な方法は、サンブルックら(前記)のセクション1
.25〜1.33に記載のような小規模DNA調製及び大規模DNA調製である
。単離されたDNAは、サンブルックら(前記)のセクション1.40に記載の
ような、前記のような当分野において既知の方法により精製されうる。次いで、
この精製されたDNAを制限マッピング及び/又はDNA配列決定により分析す
る。DNA配列決定は、一般的には、Messing et al., Nucleic Acids Res., 9:
309(1981)の方法又はMaxam et al., Meth. Enzymol., 65:499(1980)の方法のい
ずれかにより実施される。
【0101】 本発明は、転写中に融合タンパク質が生成されるように、所望のポリペプチド
をコードする遺伝子(遺伝子1)を、第二遺伝子(遺伝子2)と融合させること
も企図する。遺伝子2は、典型的には、繊維状ファージ、好ましくはファージM
13又は関連ファージのコートタンパク質遺伝子であり、その遺伝子は好ましく
はコートタンパク質III遺伝子又はコートタンパク質VIII遺伝子、又はそれらの
断片である。米国特許第5,750,373号、国際特許公開第95/3468
3号を参照せよ。遺伝子1と遺伝子2の融合は、前記の標準的な技術を用いて、
遺伝子1を含有するプラスミドの特定の部位に遺伝子2を挿入することにより、
又は遺伝子2を含有するプラスミドの特定の部位に遺伝子1を挿入することによ
り、達成されうる。
【0102】 又は、遺伝子2は、転写された融合タンパク質を同定及び/又は捕捉及び精製
するための分子タグであってもよい。例えば、遺伝子2は、抗gD抗体との結合
により融合タンパク質をアフィニティ精製するために使用されうるヘルペス単純
ウイルスの糖タンパク質D(Paborsky et al., 1990, Protein Engineering, 3:
547-553)をコードしうる。遺伝子2は、金属イオン(Ni)カラム(キアエク
スプレス(QIAEXPRESS)Ni−NTAタンパク質精製系、Quiagen, Inc. )との
結合により融合タンパク質を同定及び/又は精製するために使用されうるポリヒ
スチジン、例えば(his)6(Sporeno et al., 1994, J. Biol. Chem., 269:1
0991-10995、Stuber et al., 1990, Immunol. Methods, 4:121-152、Waeber et
al., 1993, FEBS Letters, 324:109-112)をコードしてもよい。当分野において
既知のその他のアフィニティタグも使用され、遺伝子2によりコードされうる。
【0103】 プラスミドへの遺伝子の挿入には、プラスミドは、遺伝子を挿入すべき正確な
位置で切断されていることが必要である。従って、この位置に制限エンドヌクレ
アーゼ部位(好ましくは、プラスミドが制限エンドヌクレアーゼ消化において単
一の位置でのみ切断されるような独自の部位)が存在しなければならない。前記
のようにして、プラスミドを消化し、ホスファターゼ処理し、精製する。次いで
、2つのDNAを共にライゲートさせることにより、この直鎖化されたプラスミ
ドへ遺伝子を挿入する。ライゲーションは、プラスミドの末端は、挿入すべき遺
伝子の末端と適合性である場合に達成されうる。プラスミドを切断し、挿入すべ
き遺伝子を単離するために使用される制限酵素は、平滑末端又は適合性の粘着末
端を作出する場合には、サンブルックら(前記)のセクション1.68に記載の
ように、バクテリオファージT4DNAリガーゼのようなリガーゼを使用し、A
TP及びリガーゼ緩衝液の存在下で16℃で1〜4時間混合物をインキュベート
することにより、直接的にDNAを共にライゲートさせることができる。末端が
適合性でない場合には、DNAポリメラーゼIクレノウ断片又はバクテリオファ
ージT4DNAポリメラーゼ(いずれも、消化されたDNAの突出している一本
鎖末端を埋めるため、4つのデオキシリボヌクレオチド三リン酸を必要とする)
を使用することにより、まずそれらを平滑化しなければならない。又は、ヌクレ
アーゼS1又はリョクトウヌクレアーゼ(いずれも、DNAの突出している一本
鎖を切断することにより機能する)のようなヌクレアーゼを用いて、末端を平滑
化することもできる。次いで、前記のようなリガーゼを用いてDNAを再ライゲ
ートさせる。コーディング領域のリーディングフレームが改変されるため、挿入
すべき遺伝子の末端を平滑化することが不可能な場合もある。この問題を克服す
るためには、オリゴヌクレオチドリンカーを使用することができる。リンカーは
、挿入すべき遺伝子とプラスミドを接続するためのブリッジとして作用する。こ
れらのリンカーは、標準的な方法を用いる、二本鎖又は一本鎖のDNAとして合
成により作成されうる。リンカーは、挿入すべき遺伝子の末端と適合性の一つの
末端を有しており、まず、前記のライゲーション法を用いる、リンカーをこの遺
伝子とライゲートさせる。リンカーのもう一方の末端は、ライゲーションのため
プラスミドと適合性となるよう設計される。リンカーの設計においては、挿入す
べき遺伝子のリーディングフレーム、又はプラスミドに含まれる遺伝子のリーデ
ィングフレームを破壊しないよう留意しなければならない。アミノ酸の一部分を
コードするよう、又は一つ若しくは複数のアミノ酸をコードするよう、リンカー
を設計することが必要な場合もある。
【0104】 遺伝子1と遺伝子2の間には、終止コドンをコードするDNAを挿入すること
ができ、そのような終止コドンはUAG(アンバー)、UAA(オーカー)、及
びUGA(オパール)である(Microbiology, Davis et al. Harper & Row, New
York, 1980, 237, 245-47及び274頁)。野生型宿主細胞において発現される終
止コドンは、遺伝子2タンパク質が接着していない遺伝子1タンパク質産物の合
成を引き起こす。しかし、サプレッサー宿主細胞における増殖は、検出可能な量
の融合タンパク質の合成を引き起こす。そのようなサプレッサー宿主細胞は、m
RNAの終止コドンの位置にアミノ酸を挿入し、それにより検出可能な量の融合
タンパク質の産生を引き起こすよう修飾されたtRNAを含有する。E.coliサプ
レッサー株(Bullock et al., BioTechniques 5:376-379〔1987〕)のような、
そのようなサプレッサー宿主細胞は、周知であり、記載されている。融合ポリペ
プチドをコードするmRNAへそのような終止コドンを置くためには、あらゆる
許容される方法が使用されうる。
【0105】 抑圧可能コドンは、ポリペプチドをコードする第一遺伝子とファージコートタ
ンパク質の少なくとも一部分をコードする第二遺伝子との間に挿入されうる。又
は、抑圧可能終止コドンは、ポリペプチドの最後のアミノ酸トリプレット又はフ
ァージコートタンパク質の最初のアミノ酸を交換することにより、融合部位と隣
接して挿入されうる。抑圧可能コドンを含有するプラスミドをサプレッサー宿主
細胞で増殖させた場合、ポリペプチド及びコートタンパク質を含有する融合ポリ
ペプチドの検出可能な産生が引き起こされる。プラスミドを非サプレッサー宿主
細胞で増殖させた場合には、挿入されたUAG、UAA、又はUGAをコードす
る抑圧可能トリプレットにおける終結により、ファージコートタンパク質と実質
的に融合していないポリペプチドが合成される。非サプレッサー細胞においては
、ポリペプチドを宿主細胞に固着させる融合したファージコートタンパク質が存
在しないために、ポリペプチドは合成され宿主細胞から分泌される。
【0106】 遺伝子1は、哺乳動物タンパク質をコードしてもよく、好ましくはタンパク質
はヒト成長ホルモン(hGH)、M−メチオニルヒト成長ホルモン、ウシ成長ホ
ルモン、副甲状腺ホルモン、チロキシン、インスリンA鎖、インスリンB鎖、プ
ロインスリン、リラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、卵胞刺激ホ
ルモン(FSH)、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、黄体形成ホルモン(LH)
のような糖タンパク質ホルモン、糖タンパク質ホルモン受容体、カルシトニン、
グルカゴン、第VIII因子、抗体、肺表面活性剤、ウロキナーゼ、ストレプトキナ
ーゼ、ヒト組織プラスミノーゲンアクチベーター(t−PA)、ボンベシン、第
VII因子、第IX因子、及び第X因子を含む凝固カスケード因子、トロンビン、
造血系増殖因子、腫瘍壊死因子−アルファ及びベータ、エンケファリナーゼ、ヒ
ト血清アルブミン、ミュラー管抑制物質、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、
ベータラクタマーゼのような微生物タンパク質、組織因子タンパク質、インヒビ
ン、アクチビン、血管内皮増殖因子(VEGF)、ホルモン又は増殖因子の受容
体、インテグリン、トロンボポエチン(TPO)、プロテインA又はD、リウマ
トイド因子、NGF−アルファのような神経増殖因子、血小板増殖因子、TGF
−アルファ及びベータのようなトランスフォーミング増殖因子(TGF)、イン
スリン様増殖因子−I及びインスリン様増殖因子−II、インスリン様増殖因子
結合タンパク質、CD−4、DNase、潜伏関連ペプチド、エリスロポエチン
(EPO)、骨誘導因子(osteoinductive factors)、インターフェロン−アル
ファ、ベータ、及びガンマのようなインターフェロン、M−CSF、GM−CS
F、G−CSFのようなコロニー刺激因子(CSF)、IL−1、IL−2、I
L−3、IL−4、IL−6、IL−8、IL−10、IL−12のようなイン
ターロイキン(IL)、スーパーオキシドジスムターゼ、崩壊促進因子、ウイル
ス抗原、GP120、GP140のようなHIVエンベロープタンパク質、心房性
ナトリウム利尿ペプチドA、B、又はC、免疫グロブリン、並びに前掲のタンパ
ク質のいずれかの異型及び断片から選択されうる。
【0107】 第一遺伝子は、最低4〜10アミノ酸残基、最大約50〜80残基を含有する
ペプチドをコードしうる。これらの比較的小さいペプチドは、ペプチドの抗原特
性の決定、タンパク質の抗原性部位のマッピング等において有用である。第一遺
伝子は、標的と相互作用することができる複数のアミノ酸を提示する複数の厳密
な二次構造を形成するよう折り畳まれうる、約100個超のアミノ酸残基を含有
する一つ又は複数のサブユニットのポリペプチドもコードしうる。好ましくは、
第一遺伝子は、厳密な二次構造の完全性が保存されるよう、標的と相互作用する
ことができるアミノ酸のみに対応するコドンで突然変異させる。
【0108】 融合ポリペプチドをコードする遺伝子融合体と動作可能に連結した転写制御要
素を含有する異型複製可能ベクターのファミリーを構築すること、適切な宿主細
胞を形質転換すること、表面上に融合ポリペプチドを提示するファージ粒子を形
成させるため、形質転換された細胞を培養すること、粒子の少なくとも一部分が
標的と結合するよう、組換えファージ粒子を標的分子と接触させること、結合し
ない粒子から結合する粒子を分離することを含む、タンパク質、ペプチド、及び
それらの突然変異した異型のファージ提示は、既知であり、本発明の形質転換法
と共に使用されうる。米国特許第5,750,373号、国際特許公開第97/
09446号、米国特許第5,514,548号、米国特許第5,498,53
8号、米国特許第5,516,637号、米国特許第5,432,018号、国
際特許公開第96/22393号、米国特許第5,658,727号、米国特許
第5,627,024号、国際特許公開第97/29185号、O'boyle et al,
1997, Virology, 236:338-347、Soumillion et al, 1994, Appl. Biochem. Bio
tech., 47:175-190、O'Neil and Hoess, 1995, Curr. Opin. Struct. Biol., 5:
443-449、Makowski, 1993, Gene, 128:5-11、Dunn, 1996, Curr. Opin. Struct.
Biol., 7:547-553、Choo and Klug, 1995, Curr. Opin. Struct. Biol., 6:431
-436、Bradbury and Cattaneo, 1995, TINS, 18:242-249、Cortese et al., 199
5, Curr. Opin. Struct. Biol., 6:73-80、Allen et al., 1995, TIBS, 20:509-
516、Lindquist and Naderi, 1995, FEMS Micro. Rev., 17:33-39、Clarkson an
d Wells, 1994, Tibtech, 12:173-184、Barbas, 1993, Curr. Opin. Biol., 4:5
26-530、McGregor, 1996, Mol. Biotech., 6:155-162、Cortese et al., 1996,
Curr. Opin. Biol., 7:616-621、McLafferty et al., 1993, Gene, 128:29-36を
参照せよ。
【0109】 特に好ましい実施態様において、遺伝子1は抗体の軽鎖若しくは重鎖、又はF
ab、F(ab′)2、Fv、ダイアボディ、直鎖状抗体等のような、それらの
断片をコードする。遺伝子1は、単鎖抗体(scFv)もコードしうる。抗体又
はそれらの断片のライブラリーの調製は当分野において周知であり、本発明の方
法を用いる宿主細胞へ形質転換されうる形質転換ベクターのファミリーを構築す
るため、あらゆる既知の方法を使用することができる。ファージ中の(Huse et
al, 1989, Science, 246:1275)、及びファージ又はファージミド中の融合タン
パク質としての、抗体の軽鎖及び重鎖のライブラリーは、周知であり、既知の手
法に従い調製されうる。前記のボーガン(Vaughan)ら、バーバス(Barbas)ら
、マークス(Marks)ら、フーゲンブーム(Hoogenboom)ら、グリフィス(Griff
iths)ら、デ−クルイフ(de Kruif)ら、及び国際特許公開第98/05344
号、国際特許公開第98/15833号、国際特許公開第97/47314号、
国際特許公開第97/44491号、国際特許公開第97/35196号、国際
特許公開第95/34648号、米国特許第5,712,089号、米国特許第
5,702,892号、米国特許第5,427,908号、国際特許公開第5,
403,484号、米国特許第5,432,018号、米国特許第5,270,
170号、国際特許公開第92/06176号、米国特許第5,702,892
号を参照せよ。概説も発表されている。Hoogenboom, 1997, Tibtech, 15:62-70
、Neri et al., 1995, Cell Biophysics, 27:47、Winter et al., 1994, Annu.
Rev. Immunol., 12:433-455、Soderlind et al., 1992, Immunol. Rev., 130:10
9-124、Jefferies, 1998, Parasitology, 14:202-206。
【0110】 遺伝子1によりコードされることが企図される特定の抗体は、ヒト白血球表面
マーカー、サイトカイン及びサイトカイン受容体、酵素等と結合する抗体を含む
。特定の白血球表面マーカーは、CD1a〜c、CD2、CD2R、CD3〜C
D10、CD11a〜c、CDw12、CD13、CD14、CD15、CD1
5s、CD16、CD16b、CDw17、CD18〜C41、CD42a〜d
、CD43、CD44、CD44R、CD45、CD45A、CD45B、CD
45O、CD46〜CD48、CD49a〜f、CD50〜CD51、CD52
、CD53〜CD59、CDw60、CD61、CD62E、CD62L、CD
62P、CD63、CD64、CDw65、CD66a〜e、CD68〜CD7
4、CDw75、CDw76、CD77、CDw78、CD79a〜b、CD8
0〜CD83、CDw84、CD85〜CD89、CDw90、CD91、CD
w92、CD93〜CD98、CD99、CD99R、CD100、CDw10
1、CD102〜CD106、CD107a〜b、CDw108、CDw109
、CD115、CDw116、CD117、CD119、CD120a〜b、C
D121a〜b、CD122、CDw124、CD126〜CD129、及びC
D130を含む。その他の抗体結合標的は、相当の相同性を有し、WSXWSド
メインを高頻度に含み、一般的にはサイトカイン受容体スーパーファミリーのメ
ンバーとして分類される密接に関連した糖タンパク質細胞表面受容体の群である
、サイトカイン及びサイトカインスーパーファミリー受容体、造血系増殖因子ス
ーパーファミリー受容体、好ましくはそれらの細胞外ドメインを含む(例えば、
Nicola et al., Cell, 67:1-4(1991)及びSkoda, R. C. et al. EMBO J. 12:2645
-2653(1993)を参照せよ)。一般的には、これらの標的は、インターロイキン(
IL)又はコロニー刺激因子(CSF)の受容体である。スーパーファミリーの
メンバーは、これらに限定されないは、IL−2(b鎖及びg鎖)(Hatakeyama
et al., Science, 244:551-556(1989)、Takeshita et al., Science, 257:379-
382(1991))、IL−3(Itoh et al., Science, 247:324-328(1990)、Gorman e
t al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:5459-5463(1990)、Kitamura et al.,
Cell, 66:1165-1174(1991a)、Kitamura et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
88:5082-5086(1991b))、IL−4(Mosley et al., Cell, 59:335-348(1989))
、IL−5(Takaki et al., EMBO J., 9:4367-4374(1990)、Tavernier et al.,
Cell, 66:1175-1184(1991))、IL−6(Yamasaki et al., Science, 241:825
-828(1988)、Hibi et al., Cell. 63:1149-1157(1990))、IL−7(Goodwin e
t al., Cell, 60:941-951(1990))、IL−9(Renault et al., Proc. Natl. A
cad. Sci. USA, 89:5690-5694(1992))、顆粒球−マクロファージコロニー刺激
因子(GM−CSF)(Gearing et al., EMBO J., 8:3667-3676(1991)、Hayash
ida et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 244:9655-9659(1990))、顆粒球コ
ロニー刺激因子(G−CSF)(Fukunaga et al., Cell, 61:341-350(1990a)、
Fukunga et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:8702-8706(1990b)、Larsen
et al., J. Ex. Med., 172:1559-1570(1990))、EPO(D'Andrea et al., Cel
l, 57:277-285(1989)、Jones et al., Blood, 76:31-35(1990))、白血病阻害因
子(LIF)(Gearing et al., EMBO J., 10:2839-2848(1991))、オンコスタ
チンM(OSM)(Rose et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8641-8645(
1991))を含み、プロラクチン(Boutin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA,
88:7744-7748(1988)、Edery et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 86:2112-21
16(1989))、成長ホルモン(GH)(Leung et al., Nature, 330:537-543(1987
))、毛様体神経栄養因子(CNTF)(Davis et al., Science, 253:59-63(19
91))及びc−Mpl(M. Souyri et al., Cell 63:1137(1990)、I. Vigon et a
l., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89:5640(1992))の受容体も含む。本発明に
より作成された抗体のさらに他の標的は、erb2、erb3、erb4、IL
−10、IL−12、IL−13、IL−15等である。
【0111】 所望のポリペプチドをコードする遺伝子1は、一つ又は複数の選択されたコド
ンにおいて改変されうる。改変とは、同ポリペプチドの未改変又は天然の配列と
比較した、ポリペプチドのアミノ酸配列の変化を引き起こす、ポリペプチドをコ
ードする遺伝子内の一つ又は複数のコドンの置換、欠失、又は挿入と定義される
。好ましくは、改変は、分子の一つ又は複数の領域内の少なくとも一つのアミノ
酸の、他のあらゆるアミノ酸との置換によることができる。改変は、当分野にお
いて既知の多様な方法により作製されうる。これらの方法は、これらに限定され
ないは、オリゴヌクレオチド媒介突然変異誘発及びカセット突然変異誘発を含む
【0112】 オリゴヌクレオチド媒介突然変異誘発は、遺伝子1の置換異型、欠失異型、及
び挿入異型を調製するための好ましい方法である。この技術は、Zoller et al.,
Nucleic Acids Res., 10:6487-6504(1987)により記載されているように当分野
において周知である。簡単に説明すると、遺伝子1は、所望の突然変異をコード
するオリゴヌクレオチドを、遺伝子1の未改変又は天然のDNA配列を含有する
一本鎖型のプラスミドであるDNAテンプレートとハイブリダイズさせることに
より改変される。ハイブリダイゼーション後、オリゴヌクレオチドプライマーを
取り込み、遺伝子1の選択された改変をコードするであろう鋳型の完全な第二相
補鎖を、DNAポリメラーゼを用いて合成する。
【0113】 一般的には、少なくとも25ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドが使用され
る。最適なオリゴヌクレオチドは、突然変異をコードする(一つ又は複数の)ヌ
クレオチドの片側に、鋳型と完全に相補的な12〜15個のヌクレオチドを有す
る。これは、オリゴヌクレオチドが一本鎖DNAテンプレート分子と適切にハイ
ブリダイズすることを保証する。オリゴヌクレオチドは、Crea et al., Proc. N
atl. Acad. Sci. USA, 75:5765(1978)により記載されたような当分野において既
知の技術を用いて容易に合成される。
【0114】 DNAテンプレートは、バクテリオファージM13ベクターに由来するベクタ
ー、又はViera et al., Meth. Enzymol., 153:3(1987)により記載されたような
一本鎖ファージ複製開始点を含有するベクターにより生成される。従って、突然
変位すべきDNAは、一本鎖鋳型を生成させるため、これらのベクターのいずれ
かに挿入されうる。一本鎖鋳型の作製は、サンブルックら(前記)のセクション
4.21〜4.41に記載されている。
【0115】 天然DNA配列を改変するため、適切なハイブリダイゼーション条件下で、オ
リゴヌクレオチドを一本鎖鋳型とハイブリダイズさせる。次いで、合成のための
プライマーとしてオリゴヌクレオチドを用いる、鋳型の相補鎖を合成するため、
DNAポリメラーゼ、通常T7 DNAポリメラーゼ又はDNAポリメラーゼI
クレノウ断片を添加する。DNAの一方の鎖が遺伝子1の突然変異した型をコー
ドし、もう一方の鎖(最初の鋳型)が遺伝子1の天然の未改変の配列をコードす
るヘテロ二重鎖分子は、このようにして形成される。次いで、このヘテロ二重鎖
分子を、適切な宿主細胞、通常E.coli JM101のような原核生物へ形質転換
する。細胞を増殖させた後、それらをアガロースプレート上に置き、突然変異し
たDNAを含有する細菌コロニーを同定するため、32−リンで放射性標識され
たオリゴヌクレオチドプライマーを用いてスクリーニングする。
【0116】 直前に記載された方法は、プラスミドの両方の鎖が(一つ又は複数の)突然変
異を含有しているホモ二重鎖分子が作出されるよう修飾されうる。修飾は以下の
ようにして実施される。一本鎖オリゴヌクレオチドを、前記のような一本鎖鋳型
とアニールさせる。3種類のデオキシリボヌクレオチド、デオキシリボアデノシ
ン(dATP)、デオキシリボグアノシン(dGTP)、及びデオキシリボチミ
ジン(dTTP)を、dCTP−(aS)と呼ばれる修飾されたチオデオキシリ
ボシトシン(アマシャム(Amersham)から入手可能)と合わせる。この混合物を
鋳型−オリゴヌクレオチド複合体へ添加する。この混合物へDNAポリメラーゼ
を添加すると、突然変異した塩基を除き鋳型と同一のDNA鎖が生成する。さら
に、この新たなDNA鎖は、それを制限エンドヌクレアーゼ消化から防御するd
CTP−(aS)を、dCTPの代わりに含有するであろう。二本鎖ヘテロ二重
鎖の鋳型鎖に適切な制限酵素でニックを入れた後、鋳型鎖を、突然変異すべき(
一つ又は複数の)部位を含有する領域外で、ExoIIIヌクレアーゼ又は他の適
切なヌクレアーゼで消化することができる。次いで、一部分のみが一本鎖である
分子が残留するように、反応を停止させる。次いで、4つの全てのデオキシリボ
ヌクレオチド三リン酸、ATP、及びDNAリガーゼの存在下で、DNAポリメ
ラーゼを用いる、完全な二本鎖DNAホモ二重鎖を形成させる。次いで、このホ
モ二重鎖分子を、前記のように、E.coli JM101のような適切な宿主細胞へ
形質転換することができる。
【0117】 置換すべきアミノ酸の複数個を有する突然変異体は、いくつかの方法のうちの
いずれかで作製されうる。アミノ酸がポリペプチド鎖内で近接している場合には
、所望のアミノ酸置換を全てコードする一つのオリゴヌクレオチドを用いる、同
時に突然変異させることができる。しかし、アミノ酸が相互にある程度離れて位
置している(約10個超のアミノ酸により隔離されている)場合には、所望の変
化を全てコードする単一オリゴヌクレオチドを生成させることは、より困難であ
る。その代わりに、2つの代替法のうちのいずれかを使用することができる。
【0118】 第一の方法においては、置換すべき各アミノ酸の別々のオリゴヌクレオチドを
生成させる。次いで、そのオリゴヌクレオチドを同時に一本鎖鋳型DNAとアニ
ールさせると、鋳型から合成される第二のDNA鎖は所望のアミノ酸置換を全て
コードしうる。代替法は、所望の突然変異体を作製するため、2回以上の突然変
異誘発を含む。第1ラウンドは、単一突然変異体の記載と同様に行い、野生型D
NAを鋳型として使用し、(一つ又は複数の)第一の所望のアミノ酸置換をコー
ドするオリゴヌクレオチドをこの鋳型とアニールさせ、次いで、ヘテロ二重鎖D
NA分子を生成させる。第二ラウンドの突然変異誘発は、第1ラウンドの突然変
異誘発において作製された突然変異したDNAを鋳型として利用する。従って、
この鋳型は一つ又は複数の突然変異を既に含有している。次いで、さらなる所望
の(一つ又は複数の)アミノ酸置換をコードするオリゴヌクレオチドを、この鋳
型とアニールさせると、得られたDNA鎖は第1ラウンドの突然変異誘発及び第
2ラウンドの突然変異誘発の両方に由来する突然変異をコードしている。この結
果得られたDNAを、第3ラウンド等の突然変異誘発において鋳型として使用す
ることができる。
【0119】 カセット突然変異誘発も、遺伝子1の置換異型、欠失異型、及び挿入異型を調
製するための好ましい方法である。その方法は、Wells et al., Gene, 34314(19
85)により記載された方法に基づいている。出発材料は、遺伝子1を含むプラス
ミド(又はその他のベクター)、突然変異すべき遺伝子である。突然変異すべき
遺伝子1の(一つ又は複数の)コドンを同定する。同定された(一つ又は複数の
)突然変異部位の片側には独特な制限エンドヌクレアーゼ部位が存在しなければ
ならない。そのような制限部位が存在しない場合には、遺伝子1の適切な位置に
それらを導入するため、前記のオリゴヌクレオチド媒介突然変異誘発法を用いて
それらを生成させることができる。制限部位をプラスミドに導入した後、プラス
ミドをこれらの部位で切断して直鎖化する。制限部位間のDNA配列をコードす
るは、所望の(一つ又は複数の)突然変異を含有しない二本鎖オリゴヌクレオチ
ドを、標準的な手法を用いて合成する。2つの鎖を別々に合成し、次いで標準的
な技術を用いて共にハイブリダイズさせる。この二本鎖オリゴヌクレオチドは、
カセットと呼ばれる。このカセットは、プラスミドへ直接的にライゲートするこ
とができるよう、直鎖化されたプラスミドの末端と適合性である3′末端及び5
′末端を有するよう設計される。このプラスミドは、遺伝子1の突然変異したD
NA配列を含有している。
【0120】 好ましい実施態様において、遺伝子1を、ファージコートタンパク質の少なく
とも一部分をコードする遺伝子2と連結させる。好ましいコートタンパク質遺伝
子は、M13ファージ、f1ファージ及びfdファージのようなE.coliに特異的
な繊維状ファージのコートタンパク質3及びコートタンパク質8をコードする遺
伝子である。遺伝子1と遺伝子2との遺伝子融合体をコードする複製可能発現ベ
クターを含有する宿主細胞のトランスフェクション、及び標準的な手法によるフ
ァージ粒子の作製は、ファージ粒子の表面上に遺伝子1によりコードされたポリ
ペプチドが提示されているファージ粒子を提供する。
【0121】 発表されているプロトコールは、約1010コロニー形成単位(cfu)/mlという
最終細胞濃度を使用することを提案しているは、本発明は、電気穿孔において使
用するための、生存可能生存細胞1ml当たり5×1010cfu又はそれ以上という
細胞濃度を得ることを可能にする。好ましくは、本発明の方法において、生存可
能細胞は、約1×1011cfu/ml〜約4×1011cfu/mlに濃縮される。この範囲に
濃縮されうる好ましい細胞は、下記のSS320細胞である。ダウアーらは、形
質転換体の収率が電気穿孔中に存在する細胞の数と共に増加することを示したは
、約5×1010細胞/mlを超える細胞濃度は実際には使用されていないと考えら
れる。いくつかの細胞、特にE.coli株は、以前に提案されていたものと比べては
るかに高い濃度に濃縮されうることは、本発明において発見された。ある株の最
大最終濃度を決定する重要な要因は、エレクトロコンピテント細胞の調製におい
て使用される標準的な洗浄工程に対する株の抵抗性である。洗浄手法を生き残る
細胞の割合は様々である。本発明の一部分として、電気穿孔のための細胞を調製
する従来の方法は、しばしば、より高い非生存可能細胞数及びより低い形質転換
収率をもたらすことが発見された。この実施態様においては、細胞を、標準的な
培養ブロス中での培養により、場合により約6〜48hr(又はOD600=0.6
〜0.8となるまで)約37℃において増殖させ、次いで、ブロスを遠心分離し
、上清を除去する(例えば、デカンテーションにより)。一次精製は、好ましく
は、細胞ペレットを緩衝溶液(例えば、ヘペスpH7.4)に再懸濁させ、その後
再遠心分離及び上清の除去を行うことによる。その結果得られた細胞ペレットを
希釈グリセロール(例えば、5〜20%v/v)に再懸濁させ、細胞ペレットを形
成させるため再び遠心分離し、上清を除去する。細胞ペレットを水又は希釈グリ
セロールに所望の濃度で再懸濁させることにより、最終的な細胞濃縮物が得られ
る。前記のように、これらの洗浄工程は、電気穿孔のため使用される濃縮細胞溶
液中の細胞生存率、即ち生存可能細胞の数に対する効果を有することが発見され
ている。洗浄前の出発細胞の数と比較して高い生存比率で洗浄工程及び遠心分離
工程の後に生存している細胞を使用することが好ましい。最も好ましくは、洗浄
前の生存可能細胞数に対する洗浄後の生存細胞数の比率は1.0であり、即ち、
細胞死は全く存在しない。しかし、生存比率は約0.8以上、好ましくは約0.
9〜1.0であってもよい。
【0122】 特に好ましいレシピエント細胞は、ファージF′エピソームを含有するE.coli
株MC1061である、本発明の電気穿孔コンピテントE.coli株である。その株
におけるファージ複製を可能にするあらゆるF′エピソームは、本発明において
使用されうる。適切なエピソームは、ATCCに寄託された株から入手可能であ
るか、又は市販されている(CJ236、CSH18、DH5alphaF′、
JM101、JM103、JM105、JM107、JM109、JM110、
KS1000、XL1−BLUE、71−18等)。SS320株は、XL1−
BLUEの稔性エピソーム(F′プラスミド)をMC1061細胞に移行させる
ため、MC1061細胞をXL1−BLUEと接合させることにより調製された
。一般的に、2つの細胞型の培養物を混合し、混合物を培養培地中で約1時間3
7℃において増殖させることは、接合及びエピソーム移行を起こさせるのに十分
である。新たに得られたE.coli株は、ストレプトマイシン耐性染色体マーカーを
保持するMC1061の遺伝子型と、テトラサイクリン耐性を与えるF′プラス
ミドの遺伝子型とを有する。この接合の子孫は、両方の抗生物質に対して耐性で
あり、ストレプトマイシン及びテトラサイクリンの存在下で選択的に増殖しうる
。SS320株は、1998年6月18日にアメリカンタイプカルチャーコレク
ション(ATCC)(10801 University Boulevard, Manassas, Virginia, USA
)に寄託され、受託番号第98795号を付与されている。
【0123】 このSS320株の寄託は、特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関する
ブダペスト条約及びそれに基づく規則(ブダペスト条約)の規定の下でなされた
。これは、寄託の日から30年間の生存可能培養物の維持を保証する。生物は、
ブダペスト条約の約定の下でATCCにより入手可能にされ、関係のある米国特
許の発行の時点、又はあらゆる米国特許出願若しくは外国特許出願の公衆への公
開の時点のうち早い方の時点における、培養物の子孫の公衆への永久的、非制限
的な入手可能性を保証し、かつ米国特許法(35 USC)§122及びそれに
準ずる長官規則(Commissioner's rules)(886OG638を特に参照する3
7 CFR§1.14を含む)に従い米国特許商標庁長官により資格があると決
定された者に対する子孫の入手可能性を保証する、ジェネンテック社(Genentec
h, Inc. )とATCCとの間の合意の下にある。
【0124】 本願の管財人は、寄託された培養物は、適切な条件下で培養された場合に死ぬ
か、又は遺失若しくは破壊された場合、通告により同培養物の生存可能試料と迅
速に交換することに同意している。寄託された培養物の入手可能性は、特許法に
より政府の支配下で承認された権利に違反して本発明を実施するための認可と解
釈されるべきではない。
【0125】 SS320細胞は、電気穿孔にとって特に好都合な特性を有する。SS320
細胞は、特に強く、ほとんどの他の電気穿孔コンピテント細胞よりも高い細胞生
存率で複数の洗浄工程の後に生存しうることができることが発見された。洗浄工
程の後に生存しているSS320細胞の能力は、ダウアーらのプロトコールによ
り提案された細胞濃度よりも高い細胞濃度を調製することを可能にする。より高
い細胞濃度での使用に適したその他の株は、TB1、MC1061等を含む。こ
れらのより高い細胞濃度は、本発明の過程のための、より高い形質転換効率を提
供する。
【0126】 電気穿孔における、より高いDNA濃度(約10倍)の使用は、形質転換効率
を増加させ、宿主細胞へ形質転換されるDNAの量を増加させる。より高い細胞
濃度の使用は、効率も増加させる(約10倍)。より多量の移入されたDNAは
、より大きい多様性を有し、コンビナトリアルライブラリーのより多くの特有の
メンバーを表す、より大きなライブラリーを作製する。本発明の方法は、1回の
電気穿孔イベントで、発現可能コンビナトリアルライブラリーのサイズを約10
0倍増加させ、比較可能な通常の方法で可能な量よりも100倍低い量で存在す
る稀なライブラリーメンバーの選択、増幅及び同定を可能にするために有用であ
る。
【0127】 ダウアーらは、約10マイクログラム/mlという閉環DNA濃度を用いて、飽
和(電気穿孔のほとんどの生存細胞の形質転換)が達成されうることを証明した
。しかし、ライブラリー、例えば融合ポリペプチドをコードする融合遺伝子のラ
イブラリーの構築は、ベクターのファミリー又はライブラリーを提供するための
、適切なベクターへのライブラリーを表すDNA断片の導入を必ず含む。カセッ
ト突然変異誘発の場合、合成DNAは二本鎖カセットであるは、フィルイン突然
変異誘発においては合成DNAは一本鎖DNAである。いずれの場合にも、ライ
ブラリーを作製するため細胞へ形質転換されうる閉環二本鎖DNAを含有する反
応産物を得るため、合成DNAはベクターに取り込まれる。しかし、合成DNA
を閉環DNAに取り込ませるために使用される過程は、一般的に100%未満の
効率であり、しばしば所望の閉環産物は全DNAの極一部分のみを表す。ライゲ
ーション又はフィルイン反応による飽和を達成するためには、産物は、純粋な閉
環DNAを使用した場合に必要な濃度よりも有意に高いDNA濃度を必要とする
かもしれない。従来の方法は、DNAを使用した電気穿孔反応において飽和を達
成するために十分なDNA濃度を用いる、形質転換ベクター、例えばプラスミド
、ファージベクター、ファージミドベクター等に合成DNA断片を取り込ませる
ことを可能にしていないし、提案もしていない。
【0128】 例えば、以下の実施例6の反応は、本発明の方法を用いて、19マイクログラ
ム/mlのDNA濃度が生存細胞の53%の形質転換を引き起こすことを証明して
いる。この実施例において、フィルイン反応は極めて効率的であり、アガロース
ゲル電気泳動により証明されたように、約95%の所望の閉環DNA産物が得ら
れた。DNA濃度は、細胞生存率にも形質転換にも有害な影響を与えることなく
、数百マイクログラム/ml(例えば、300〜500マイクログラム/ml)に増加
させることが可能である。最大の形質転換体数は、試験された最大DNA濃度よ
りも20倍低いDNA濃度で得られ、試験された最も高いDNA濃度ですら、電
気穿孔反応に対する不利益な効果は有していなかった。本発明は、従来の方法で
可能であった濃度をはるかに超えるDNA濃度の使用可能なダイナミックレンジ
を提供する。本発明の方法を用いる、所望のクローニング可能DNAを少量、例
えば10〜50%、さらには1〜10%しか生じない非効率的な形質転換ベクタ
ー形成反応を、最大約400〜500マイクログラム/mlのDNA濃度を使用す
ることにより、電気穿孔生存細胞を飽和させるようにすることが可能である。
【0129】 本発明の方法は、所望のベクター(例えば、閉環DNA)が調製物中の全DN
Aの極一部分にしか相当しないDNA反応調製物を用いた場合ですら、単一細胞
への2つ以上のベクターの簡便な導入をも可能にする。これは、別々のベクター
中の複数の外来遺伝子、例えば2つ以上のライブラリーの単一の形質転換体への
同時導入を可能にする。ライブラリーの複数メンバーの単一細胞への導入は、形
質転換体の数を超えてライブラリーの多様性を拡大する。例えば、電気穿孔反応
中の形質転換体が平均2つのプラスミドを維持する場合、ライブラリーの多様性
は形質転換体の数の2倍となる。
【0130】 あるDNA調製物の飽和濃度は、DNA濃度のさらなる増加は、増加した形質
転換収率を引き起こさない濃度と定義されうる。
【0131】 飽和濃度においては、DNAを取り込み維持することができる全ての細胞が形
質転換されている。ダウアーらは、形質転換効率がDNA濃度と直接比例するこ
とを示した。DNA濃度が増加すると、それに対応して生存細胞1個当たりの特
有プラスミドの平均数が増加する。例えば、あるDNA濃度において、電気穿孔
が平均1つの特有プラスミドを保持する生存細胞をもたらす場合、DNA濃度を
2倍にすると、各々が平均2つの特有プラスミドを保持する生存細胞がもたらさ
れる。
【0132】 本発明は、電気穿孔における従来技術の方法で可能であったものと比べて、少
なくとも1桁大きいDNA濃度の使用を可能にする。次に、このことは、酵素に
より操作されたDNA調製物を用いた場合ですら、1回の電気穿孔反応における
、2つ以上の特有プラスミド(異なるライブラリーメンバーを含有する)の単一
細胞への同時導入を可能にする。
【0133】 単一ライブラリーのいくつかのメンバーを単一の細胞に導入することが可能で
あり、従ってライブラリーの多様性は形質転換体の数を超えて拡大されうる。例
えば、ある電気穿孔反応において作製された形質転換体が平均2つのプラスミド
を維持する場合、ライブラリーの多様性は形質転換体数の2倍となろう。ファー
ジ提示ライブラリーの場合、同一の形質転換体内に維持されたファージDNA又
はファージミドのパッケージングは、異なるファージDNA又はファージミドか
ら産生された異なる融合タンパク質のランダムな提示を生じる。従って、同種の
DNA配列と相関して提示される融合タンパク質も存在することができ、ランダ
ムな確率により偶然に共形質転換された完全に無関係な配列と相関している融合
タンパク質も存在することができる。
【0134】 ファージ粒子1個当たりの取り込まれた融合タンパク質の数が共形質転換され
たファージDNA又はファージミドの数を大きく超えている高度に多価な提示の
場合(例えば、タンパク質−8上のペプチド提示)は、各ファージ粒子は、他の
無関係な融合タンパク質と共に、同種の融合タンパク質を提示する。これは、無
関係のDNAを含有するファージに関連した融合タンパク質の捕捉のため、第1
ラウンドのソーティングにおけるバックグラウンドの増加を引き起こす。第1ラ
ウンドにおいて捕捉されたファージを、各E.coli細胞がただ一つのファージによ
り感染されるよう低い感染多重度におけるE.coliへの感染により増幅させた場合
、提示された融合タンパク質とそのDNA配列との相関は保存される。次いで、
第2ラウンドのソーティングは、標的との親和性を有するタンパク質をコードし
ないDNA配列を排除する。
【0135】 融合タンパク質とファージとの比率が1未満である一価提示(例えば、タンパ
ク質−3上のタンパク質提示)の場合、提示された各融合タンパク質は同種DN
A配列と相関しているかもしれないし、又は無関係の共形質転換されたDNA配
列と相関しているかもしれない。最初のソーティングで使用されたファージの数
は、少なくともいくつかのDNA配列が、そのコードする融合タンパク質と連結
していることを保証するために十分に大きいのであれば、ある標的との親和性を
有する融合タンパク質を提示する(そして同種DNA配列を含有する)ファージ
は選択可能であろう。多価提示の場合と同様に、融合タンパク質とファージDN
Aとの不適切な連結は、不適切なDNA配列の第1ラウンドにおける捕捉を引き
起こすであろうは、これらの配列は前記のように第2ラウンドで排除されうる。
【0136】 飽和濃度よりもはるかに高いDNA濃度の使用は、1回の電気穿孔における異
なるライブラリー由来のプラスミドでの細胞の共形質転換も可能にする。従って
、本発明は、2つ以上のライブラリーを連続的にではなく同時に導入することが
可能であるため、単一の細胞が異なるライブラリー由来の2つ以上のプラスミド
を維持することを必要とするあらゆる方法を容易にし、単純化するために使用さ
れうる。
【0137】 例えば、グリフィス(Griffiths)ら(EMBO Juornal 13(14):3245-3260, 1994
)は、ファージ抗体レパートリーのサイズを増加させるため、コンビナトリアル
感染及びin vivo組換えの過程を使用した。その過程は、2つの異なるライブラ
リーを作製するための軽鎖レパートリー及び重鎖レパートリーの別々の電気穿孔
を含んでいた。第三工程は、所望の抗体ライブラリーを得るため、2つのライブ
ラリーを組み合わせた。本発明により達成可能なDNA濃度は、1回の電気穿孔
における2つのライブラリーの共形質転換を可能にする。
【0138】 形質転換された細胞は、一般的に、抗生物質、通常、ベクター内のtet及び
/又はamp耐性遺伝子の存在により細胞が耐性となるテトラサイクリン(te
t)又はアンピシリン(amp)上での増殖により選択される。
【0139】 本発明において使用するための適切なファージベクター及びファージミドベク
ターは、ファージ提示のための全ての既知のベクターを含む。さらなる例は、p
Comb8(Gram, J., Marconi, L. A., Barbas, C. F., Collet, T. A., Lern
er. R. A., and Kang, A. S. (1992) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:3576-358
0)、pC89(Felici, F., Catagnoli, L, Musacchio, A., Jappelli, R., an
d Cesareni, G. (1991)J. Mol. Biol. 222:310-310)、pIF4(Bianchi, E.,
Folgori, A., Wallace, A., Nicotra, M., Acali, S., Phalipon, A., Barbaro
, G., Bazzo, R., Cortese, R., Felici, F., and Pessi, A. (1995)J. Mol. Bi
ol. 247:154-160)、PM48、PM52、及びPM54(Iannolo, G., Minenk
ova, O., Petruzzelli, R., and Cesareni, G. (1995)J. Mol. Biol. 248:835-8
44)、fdH(Greenwood, J., Willis, A. E., and Perham, R. N. (1991)J. M
ol. Biol. 220:821-827)、pfd8SHU、pfd8SU、pfd8SY、及
びfdISPLAY8(Malik. P. and Perham, R. N. (1996)Gene, 171:49-51
)、「88」(Smith, G. P. (1993)Gene, 128:1-2)、f88.4(Zhong, G.,
Smith, G. P., Berry, J. and Brunham, R. C. (1994)J. Biol. Chem. 269:241
83-24188)、p8V5(Affymax)、MB1、MB20、MB26、MB27、
MB28、MB42、MB48、MB49、MB56(Markland, W., Roberts,
B. L., Saxena, M. J., Guterman, S. K., and Ladner, R. C. (1991)Gene, 10
9:13-19)を含む。同様に、ファージミドベクターがファージ提示システムにお
いて使用される場合には、あらゆる既知のヘルパーファージが使用されうる。適
切なヘルパーファージの例は、M13−KO7(Pharmacia)、M13−VCS
(Stratagene)、及びR408(Stratagene)を含む。
【0140】 形質転換された細胞の選択の後、これらの細胞を培養により増殖させ、次いで
ベクターDNAを単離することができる。ファージベクターDNA又はファージ
ミドベクターDNAは、例えばSambrook. et al., Molecular Cloning:A Labora
tory Manual, 第2版, (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Sp
ring Harbor, NYに記載されたような、当分野において既知の方法を用いて単離
されうる。単離されたDNAは、サンブルックら(前記)のセクション1.40
に記載された、前記のような当分野において既知の方法により精製されうる。次
いで、この精製されたDNAは、DNA配列決定により分析されうる。DNA配
列決定は、Messing et al., Nucleic Acids Res., 9:309(1981)の方法、Maxam e
t al., Meth. Enzymol., 65:499(1980)の方法、又はその他のあらゆる既知の方
法により実施されうる。
【0141】 本発明は、複製可能発現ベクターで形質転換された宿主細胞を培養すること〔
ここで、複製可能発現ベクターは、宿主細胞における産物ポリペプチドの発現を
行うことが可能な制御配列と動作可能に連結した産物ポリペプチドをコードする
DNAを含有し、産物ポリペプチドをコードするDNAは、 (a)融合タンパク質をコードする遺伝子融合体と動作可能に連結した転写制御
要素を含む異型複製可能プラスミドのファミリーを構築すること(ここで、遺伝
子融合体はポリペプチドをコードする第一遺伝子と、ファージコートタンパク質
の少なくとも一部分をコードする第二遺伝子とを含有し、異型複製可能プラスミ
ドは異型ポリペプチドをコードする異型第一遺伝子を含有する)、 (b)本発明の方法を用いて適切な宿主細胞をプラスミドで形質転換すること、 (c)場合により、プラスミドがファージ粒子を産生するためにヘルパーファー
ジを必要とするファージミドである場合には、形質転換された宿主細胞に、表面
上に融合タンパク質を提示する組換えファージミド粒子を産生するために十分な
量のファージコートタンパク質をコードするヘルパーファージを感染させること
(ここで、好ましくは、微量のファージミド粒子のみが表面上に融合タンパク質
のコピーを一個又は複数個提示する)、 (d)プラスミドの少なくとも一部分を含有し宿主細胞を形質転換することがで
きる組換えファージ粒子を形成させるために適切な条件下で、形質転換された感
染宿主細胞を培養すること、 (e)ファージ粒子の少なくとも一部分が標的分子と結合するよう、組換えファ
ージ粒子を標的分子と接触させること、 (f)標的分子と結合しないファージ粒子から結合するファージ粒子を分離する
こと、 (g)標的分子と結合するファージ粒子又は結合しないファージ粒子中にコード
された異型ポリペプチドの一つを、産物ポリペプチドとして選択し、産物ポリペ
プチドをコードするDNAを複製可能発現ベクターへクローニングすることを含
む方法により得られたものである〕、並びに発現した産物ポリペプチドを回収す
ることにより得られた産物ポリペプチドを作製することも企図し、さらに、その
過程により作製された産物ポリペプチドも企図する。
【0142】 米国特許第5,750,373号は、複製可能発現ベクター(例えば、ファー
ジミド)で形質転換された宿主細胞を培養することにより産物ポリペプチドを作
製し回収する方法を一般的に記載しているは、その方法においては、通常のヘル
パーファージを用いて前記の工程(a)〜(f)によりポリペプチドをコードす
るDNAが得られており、微量のファージ粒子(<20%、好ましくは<10%
、より好ましくは<1%)が表面上に融合タンパク質を提示する。組換えファー
ジミド粒子を作製するために、あらゆる適切なヘルパーファージ、例えばVCS
等が使用されうる。本発明は、高いDNA濃度を使用した電気穿孔による宿主細
胞の形質転換による改良された方法、及び本発明のその他の実施態様を提供する
。ファージ提示過程により得られた異型ポリペプチドの一つは、宿主細胞におけ
る組換え発現による、より大規模な産生のため選択されうる。宿主細胞における
産物ポリペプチドの発現を行うことができる制御配列と動作可能に連結した選択
された異型である産物ポリペプチドをコードするDNAを含有する複製可能発現
ベクターで形質転換された宿主細胞を培養し、次いで既知の方法を用いて産物ポ
リペプチドを回収することは、本発明の一部分である。
【0143】 B.新規なコートタンパク質、コート融合タンパク質、ベクター、細胞及び方 バクテリオファージの表面上のポリペプチドの発現は、数年にわたり開発され
改善されてきた。特に、繊維状バクテリオファージの表面上に組換えのペプチド
、タンパク質、抗原及び抗体を提示するための系が開発されている。E.coliのよ
うなグラム陰性菌に感染することができる多数の繊維状ファージが同定されてい
る。これらのファージは、コートタンパク質のシリンダー内に被包されたわずか
約10個の遺伝子を含有する、一本鎖の共有結合により閉環したDNAゲノムを
有する。これらのウイルスは比較的単純であり、遺伝子操作が容易であるため、
繊維状ファージはよく研究されている。繊維状ファージの全ての株は、類似した
ビリオン構造及び生活環を有する。感染の際には、ウイルスDNAが細胞に侵入
し、宿主の酵素により二本鎖の複製可能型に変換される。子孫DNAはローリン
グサークルメカニズムにより複製され、ウイルス複製組み立てタンパク質と共に
伸長されたDNA/タンパク質複合体へと組み立てられる。ビリオンは、複製組
み立てタンパク質がコートタンパク質により交換されている宿主細胞の膜から押
し出される。ビリオン鞘は、主要コートタンパク質として数千個の同一のα−ヘ
リックスタンパク質を含有する。
【0144】 外来DNAは、別の遺伝子としてウイルス遺伝子間領域に挿入されうる。異種
DNAが別の遺伝子として挿入された場合には、ウイルス又はウイルス由来プラ
スミド(ファージミド)はクローニングベクターとなる。異種DNAがウイルス
のコートタンパク質との遺伝子融合体として挿入された場合には、ウイルス又は
ファージミドは、異種DNAによりコードされたポリペプチドを融合タンパク質
としてビリオンの表面上に提示することができる。既知のファージ提示システム
における使用に適したあらゆるバクテリオファージの主要コートタンパク質の異
型を含有する融合タンパク質は、本発明の範囲に含まれる。クラスI及びクラス
IIの繊維状ファージは、本発明の範囲に含まれる。クラスIはFf株、IKe
株及びIf1株を含み、クラスIIはPf1株、Pf3株及びXf株を含む。F
fファージは、実質的に同一のfd株、f1株及びM13株を含む。
【0145】 ファージDNAとコートタンパク質との相互作用を理解するため、及びバクテ
リオファージ粒子へのコートタンパク質のパッキングを行う力を理解するため、
繊維状バクテリオファージの主要コートタンパク質の構造及び機能は、研究され
ている。これらの研究を補助するため、繊維状バクテリオファージの主要コート
タンパク質の点突然変異が調製された。Hunter, E. J. et al., (1987)Nature,
327:252、Greenwood, J. et al., (1991)J. Mol. Biol. 217:223、Deber, C. M.
et al., (1993)Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90:11648、Symmons, M. S. et a
l., (1995)J. Mol. Biol. 245:86、Williams, K. A. et al., (1995)J. Mol. Bi
ol. 252:6、Spruijt, R. B. et al., (1996)Biochemistry 35:10383、Marvin, D
. A. (1998)Current Opinion in Structural Biology 8:150、Haigh, N. G. and
Webster, R. E., (1998)J. Mol. Biol. 279:19。これらの研究は、いくつかの
点突然変異は、ファージにより許容され、突然変異型主要コートタンパク質を含
有するファージ粒子のパッケージングを引き起こすことを示唆した。しかし、こ
れらの研究は、いずれも、異型ファージコートタンパク質との異種ポリペプチド
の融合タンパク質を含んでいない。さらに、ファージコートへの融合タンパク質
の内含は、野生型コートタンパク質配列を使用した場合ですら、ファージのパッ
ケージングを妨害し、低いファージ収率を生じさせ、及び/又はファージの表面
上の融合タンパク質の提示を阻害する場合があることが既知である(Smith, G.
P. (1985), Science, 228:1315)。小さいペプチド(10〜15アミノ酸残基)
は一般的に最大でビリオン1個当たり約800〜1000コピー、提示されうる
は、全長タンパク質は、はるかに少ない数(ビリオン1個当たり1〜10コピー
)で提示される。Malik, P. et al. (1996)J. Mol. Biol. 260:9。
【0146】 成熟M13コートタンパク質VIIIと整列化させた繊維状バクテリオファージの
いくつかの既知の成熟コートタンパク質の配列を、以下の表に示す。欠失又は挿
入を導入せずにM13タンパク質との最大の同一性を提供するため、コートタン
パク質のセグメントをM13タンパク質VIIIと整列化させた。配列の上の番号は
、成熟M13タンパク質VIIIの残基をさす。タンパク質配列は、デイホフ(Dayh
off)タンパク質データベースから採用された(登録番号:M13、COAB_
BPFD;F1、COAB_BPFD;Fd、COAB_BPFD;Zj−2、
COAB_BPZJ2;If−1、COAT_BPIF1;I2−2、COAB
_BPI22;Ike、COAB_BPIKE)。相同な残基は、ダッシュで示
されている。単一の欠失を有する配列も既知である(国際特許公開第92/18
619号)。これらのコートタンパク質の配列の間、特にM13コートタンパク
質、f1コートタンパク質、fdコートタンパク質及びZj−2コートタンパク
質の間、並びにIf1コートタンパク質、I22コートタンパク質及びIkeコ
ートタンパク質の間には相当の相同性が存在することを理解することができる。
【0147】
【表2】
【0148】 繊維状ファージ粒子は、ファージ遺伝子が宿主細胞において転写され、翻訳さ
れ、複製された場合に形成される。ファージコートタンパク質は、ペリプラズム
へ向かい、ペリプラズムのコートタンパク質の一部分(ペリプラズムドメイン)
、細胞質のコートタンパク質の一部分(細胞質ドメイン)、及び細胞膜内のコー
トタンパク質の一部分(膜貫通ドメイン)と共に一時的に細胞膜に留まる。ファ
ージ粒子は、ファージ粒子が細胞膜を通過する際、コートタンパク質がファージ
DNAの周囲で組み立てられる場合に形成される。M13主要コートタンパク質
は、3つの領域に分割されうる50残基を含有する。ペリプラズムドメインは残
基1から20を含有し、膜貫通ドメインは残基21から39を含有し、細胞質ド
メイン残基は40から50を含有する(Marvin, D. A. (1998)Current Opinion
in Structural Biology 8:150)。前記の表のその他の主要コートタンパク質は
、類似したドメイン構造を有する。
【0149】 驚くべきことに、出願人らは、異種ポリペプチドとバクテリオファージの主要
コートタンパク質の異型との融合タンパク質は、ファージ提示システムにおいて
良好に許容されることも発見した。以前のファージ提示システムは、一般的には
M13若しくはその断片、T4、T7又はラムダファージのコートタンパク質の
野生型コートタンパク質配列を用いるため、この結果は予想外のものであった。
本発明の一つの面において、ファージ提示及び選択は、一つ又は複数のアミノ酸
の置換、欠失又は付加を有するファージ主要コートタンパク質異型と融合した異
種ポリペプチドである融合タンパク質を表面上に提示するバクテリオファージを
得るため使用された。前記の表のコートタンパク質の異型と連結した異種ポリペ
プチドを有する融合タンパク質は、本発明の範囲に含まれる。
【0150】 M13、f1及びfdのコートタンパク質VIIIの好ましい異型は、示された位
置に以下のリストから選択される少なくとも一つのアミノ酸残基を含有する。
【0151】
【表3】
【0152】 これらの表中、文字コードは以下のようなアミノ酸残基を意味する:A(Al
a)アラニン;B(Asx)アスパラギン又はアスパラギン酸;C(Cys)シ
ステイン;D(Asp)アスパラギン酸;E(glu)グルタミン酸;F(Ph
e)フェニルアラニン;G(Gly)グリシン;H(His)ヒスチジン;I(
Ile)イソロイシン;K(Lys)リシン;L(Leu)ロイシン;M(Me
t)メチオニン;N(Asn)アスパラギン;O(Xaa)停止コドン;P(P
ro)プロリン;Q(Gln)グルタミン;R(Arg)アルギニン;S(Se
r)セリン;T(Thr)トレオニン;V(Val)バリン;W(Trp)トリ
プトファン;X(Xaa)未知又は非標準;Y(Tyr)チロシン;Z(Glx
)グルタミン又はグルタミン酸。
【0153】 本発明の一部分として、ファージ提示システム及び方法における融合タンパク
質の成分として有用である主要コートタンパク質の突然変異体を産生するために
ファージ主要コートタンパク質のアミノ酸配列を修飾することができるというこ
とが発見された。バクテリオファージの主要コートタンパク質の突然変異体を含
有する融合タンパク質は、完全なウイルス粒子(ビリオン)内に融合タンパク質
をパッケージングするファージの能力に影響を及ぼす。すなわち、主要コートタ
ンパク質の突然変異体は、ウイルス粒子内に取込まれる融合タンパク質の数を変
えるために使用可能である。主要コートタンパク質の高機能性突然変異体は、ウ
イルス粒子内に取込まれる融合タンパク質の数を増加させるために使用可能であ
る。換言すると、低機能性異型は、融合タンパク質取込みを減少させるために使
用可能である。このように、本発明は、望ましいレベルの結合価を達成するべく
ウイルス粒子内への融合タンパク質の取込みを調整するための方法を提供してい
る。このことは、例えば、異種ポリペプチドが50個以上のアミノ酸、好ましく
は100個以上のアミノ酸、さらに好ましくは200個以上のアミノ酸残基を含
んでいる場合、及び同様に異種ポリペプチドが2次及び3次構造をもつタンパク
質である場合といったように、異種ポリペプチドが比較的大きい融合タンパク質
にとって特に重要である。従って、本発明の方法は、バクテリオファージの主要
コートタンパク質を利用しかつ一般にウイルスコート内への限定的な融合タンパ
ク質取込みしか得られない先行技術のファージ提示方法の欠点を克服する1つの
手段を提供している。本発明の融合ポリペプチドは、異種ポリペプチドを用いて
従来使用されている野生型コートタンパク質融合を置換することによって既知の
ファージ提示システム内で機能することができる。本発明の融合ポリペプチドは
、既知のファージ提示システムの各々(融合がウイルスの主要コートタンパク質
とのものである)において、従来の融合タンパク質と同様に機能し、さらに、よ
り高い信頼性を有してファージの表面上に提示される融合タンパク質の数又は結
合価の度合を選択することを可能にする。例えば、U.S.5,223,409、U.S.5,403,4
84;U.S.5,571,689;U.S.5,750,373及びU.S.5,780,279(及び以上で記したその
他のもの)の中で記述されたファージ及びファージミドベクター及びファージ提
示システムを改変して、ペプチド、タンパク質、抗体及びそのフラッグメントの
ファージ表面上での提示を改善するべく本発明の融合タンパク質を使用すること
ができる。ファージは、好ましくはDNAファージである。
【0154】 繊維状ファージに加えて、本発明は、ラムダファージ、バキュロウイルス、T
4ファージ及びT7ファージを用いるファージ提示システム内で使用するのに適
している。これらの提示システムの各々において、異種ポリペプチドを提示する
のに使用されるコートタンパク質は、本発明の方法を用いて、コートタンパク質
の異型を形成するために突然変異させ、所望の提示度をもつ異型(高機能性又は
低機能性異型)が選択される。その後、この選択された異型コートタンパク質は
、ウイルス粒子の表面上に提示されるべき異種ポリペプチドとの融合タンパク質
を形成するために使用される。本発明の範囲には、これらのファージ、融合タン
パク質、融合タンパク質をコードする遺伝子を含有する複製可能な発現ベクター
、融合タンパク質又はベクターを含有するウイルス粒子、ウイルス粒子、融合タ
ンパク質又はベクターを含有する宿主細胞、及びこれらの融合タンパク質、ベク
ター、ビリオン、細胞などの複数の異なる個体を含有するライブラリーを用いた
本発明の方法が内含されている。
【0155】 ポリペプチドは、ファージ粒子の頭部又は尾部部分のいずれかの中でコートタ
ンパク質を用いるラムドイドファージ上で提示され得る(U.S.5,627,024)。適
切な頭部タンパク質としては、タンパク質pE,pD,pB,pW,pFII,p
*(pBの分割産物)、pXI及びpX. 2が含まれる。適切な尾部タンパク
質としては、pJ,pV,pG,pM及びpTが含まれる。これらのコートタン
パク質の構造及び場所は、周知である。Georgeopoulos, et al. 及び Katsura "
Lambda II"中、R. W. Hendrix et al. eds. Cold Spring Harbor Laboratory, C
old Spring Harbor, N. Y., 1983を参照せよ。本発明中で使用するための好
ましいラムダタンパク質は、尾部コートタンパク質,特にpVである。U.S.5,62
7,024号は、好ましくはpVを用いて、ラムダファージ上でどのようにポリペプ
チドを提示するかについて記述している。従って、本発明の融合タンパク質は、
異種ポリペプチドに融合されたpE,pD,pB,pW,pFII,pB*,pX
1,pX2,pJ,pV,pG,pM及びpTの異型の少なくとも一部分を内含
する。
【0156】 ポリペプチドは同様にT4ファージ上でも提示されうる。T4ビリオンの構造
は充分に研究されている。「バクテリオファージT4」中のEiserlingのC.K.Mat
hews et al.、米国微生物学学会、ワシントンDC,1983,p11〜24を
参照せよ。ペプチド及び全長タンパク質は、T4ファージのSOC(小型外層カ
プシドタンパク質)及びHOC(高抗原性外層カプシドタンパク質)との融合と
して提示され得る。さらにwax(whiskerの抗原対照)遺伝子によりコードさ
れた微量T4繊維状タンパク質フィブリチンは、C末端において異種ポリペプチ
ドで長くなり、T4ひげ状結晶タンパク質上で提示される融合タンパク質を形成
することができる。Ren, Z-J, et al. (1998) Gene 215: 439; Zhu, Z. (1997)
CAN33: 534; Jiang. J et al. (1997) can 128: 44380; Ren, Z-J. et al. (199
7) CAN127: 215644; Ren, Z-J. (1996) Protein Sci. 5:1833;及び Efimov, V.
P. et al. (1995) Virus Genes 10:173を参照せよ。
【0157】 ポリペプチド及びタンパク質を提示するのにT7ファージを使用することもで
きる。Smith, G. P. 及び Scott, J. K. (1993) Methods in Enzymology, 217,
228-257; U.S. 5, 766, 905。10Bカプシドタンパク質(397アミノ酸)及
び10Aカプシドタンパク質(344アミノ酸)との融合タンパク質としてのポ
リペプチドの提示のための商業用キット(Novagen からのT7Select1−1及び
T7 Select 415−1)が利用可能である。これらのシステムは、使用が容易
であり、高コピー数(1ファージあたり415)で最高サイズ約50アミノ酸ま
でのペプチド及び低コピー数(ファージあたり0.1〜1)で最高約1200ア
ミノ酸までのタンパク質を提示する能力を有する。T7は、広範に研究されてき
た2本鎖DNAファージである(Dunn, J. J. 及び Studier, F. W. (1983) J.
Mol. Biol. 166:477-535; Steven, A. C. 及び Trus, B. L. (1986) Electron M
icroscopy of Proteins 5:1-35)。ファージの組立ては、宿主細胞(大腸菌)細
胞内部で生じ、成熟ファージは、細胞溶解によって放出される。10B及び10
AといったT7コートタンパク質の突然変異体に対する異種ポリペプチドの融合
タンパク質,融合タンパク質をコードする遺伝子を含有するベクターなどは、本
発明の範囲内に入る。好ましくは、融合タンパク質は、カプシドタンパク質10
Bの残基1〜348のうちの1つ又は複数を改変させることによって、好ましく
は非野生型アミノ酸に突然変異させることによって調製される。
【0158】 本発明は同様に、バキュロウイルス コートタンパク質異型と異種ポリペプチ
ドの融合タンパク質をも内含している。バキュロウイルス発現ベクター、特にAu
tographa Californica核多角体病ウイルスに基づくものは、容易に産生され、現
在、培養された昆虫細胞及び昆虫幼虫内の、異種ポリペプチドの発現のために広
く使用されている(Weyer, U.及び Possee, R. D. (1991)J. Gen. Virol. 72:29
67)。これらのウイルスは2本鎖環状ゲノムを含有しており、ここに外来性遺伝
子を容易に挿入することができる。Tarui, H. et al. (1995)J. Fac. Agr. Kyus
u Univ., 40; 45。バキュロウイルスの主要コートタンパク質gp64との融合
を用いてか、又は少なくともgp64の膜固着ドメインのみに対して異種ポリペ
プチドを融合させることによって、バキュロウイルス粒子の表面上にグリコシル
化された真核性タンパク質を提示することが可能である。「超後期」ポリヘドリ
ンプロモータ及び「初期及び後期」gp64プロモータを含め、異なるプロモー
タ(ポリヘドリン、塩基性、gp64−プロモータ)の効率が検討されてきた。
バキュロウイルスの表面上で効率良く外来性遺伝子を発現するためには、一方で
は充分な量の標的タンパク質を転写し、他方ではウイルス複製サイクル内の充分
早い時期に転写を開始して効率の良いパッケージングを保証し、グリコシル化を
完成させ、折畳みを矯正するような調節プロモータを選択することが必要である
【0159】 本発明のさらなる態様として、有用な主要コートタンパク質異型及びその融合
タンパク質を生成するべくファージ提示技術を主要コートタンパク質自体に適用
することができるということが発見された。発明のこの側面においては、第1の
ポリペプチドをコードする第1の遺伝子及びファージ提示システムで使用される
バクテリオファージの主要コートタンパク質の異型をコードする第2の遺伝子を
含有し、融合タンパク質をコードする遺伝子融合に対し動作可能に連結された転
写調節要素を発現ベクターが含有される、複製可能な発現ベクターライブラリー
が構築される。すなわち、第2の遺伝子が複数の異型ファージ主要コートタンパ
ク質をコードし、1つのポリペプチドの所望の融合タンパク質表面提示度を与え
る異型配列(単複)を選択するためにファージ提示システム又は方法が使用され
るライブラリーが構築される。異型を産生するための主要コートタンパク質のラ
ンダム化の度合は任意である。すなわち、コートタンパク質内の各アミノ酸残基
をあらゆるアミノ酸にランダム化することもでき、又は予め定められた制約条件
を有する、より限定されたライブラリーを産生するため各々の残基を1つのアミ
ノ酸サブセットに限定することもできる、ライブラリーを構築することができる
。同様に、アミノ酸サブセット内で残基サブセットが突然変異させることができ
るようになっている、すなわち選択された残基が不完全にランダム化されている
ライブラリーを構築することも可能である。例えば、特定の制約条件をもつより
小さなライブラリーを得るため、特定のアミノ酸残基のための異型の範囲を、極
性アミノ酸,疎水性アミノ酸,親水性アミノ酸,芳香族アミノ酸,正又は負に帯
電したアミノ酸,立体的に小型又は大型のアミノ酸,又はアミノ酸の特定の所望
の組合せに限定することが可能である。所望のライブラリーを調製するためにあ
らゆるアミノ酸組合せを使用することができる。
【0160】 主要コートタンパク質の所望のセグメント内のアミノ酸残基は、コートタンパ
ク質の規定の領域内にアミノ酸付加、置換又は欠失をもつ主要コートタンパク質
異型ライブラリーを得るように変えられるライブラリーを産生することも同様に
可能である。一例としては、主要コートタンパク質を、あらゆる数のゾーン、一
般に2〜10ゾーンに分割し、ライブラリーを1つ以上のゾーン内の突然変異体
で構築することが可能である。例えばf1及びfdファージといったM13の成
熟主要コートタンパク質は50のアミノ酸を含有し、各々5個のアミノ酸残基か
ら成る10個のゾーン、又は例えば15,10,9及び8個の残基を含むゾーン
といった各ゾーン内に等しくない数の残基を伴うゾーンに分割されうる。コート
タンパク質の細胞質、膜内外及び周辺質領域に対応するゾーンを使用することが
できる。アミノ酸改変が所望されるゾーンの各々について別々のライブラリーを
構築することができる。主要コートタンパク質異型は、例えばゾーン1内のアミ
ノ酸改変を有する融合タンパク質が所望される場合、ゾーン1内のアミノ酸残基
のうちの1つ以上のものが変えられた単一のライブラリーを構築することができ
る。代替的には、2つのゾーンがアミノ酸改変を含む融合タンパク質を産生する
ことが所望される場合もある。2つのゾーンのうちの1つの中に改変を含む各ラ
イブラリーを調製することが可能である。
【0161】 異型コートタンパク質融合は、野生型コートタンパク質配列との関係における
置換、付加又は欠失を含む1つ以上の改変を含有することになる。驚くべきこと
に、多数の改変が可能であり、ファージ表面上にポリペプチドを提示する能力を
保持しながらファージによって許容されている。さらに残基の化学的性質を変え
ることもできる。すなわち疎水性残基を親水性残基に改変したり又はその逆を行
なうこともできる。2〜49個、好ましくは5〜40個、より好ましくは7〜2
0個の改変済み残基を含有する異型が可能である。以下のタンパク質P12の構
築により実証されるように、コートタンパク質の全ての残基を変化させることを
含め、主要コートタンパク質のアミノ酸のいずれでも変化させることができる。
コートタンパク質の野生型配列又はその一部分から変化するあらゆる成熟コート
タンパク質配列又はその一部分を含有する融合タンパク質は、本発明の範囲内に
入る。2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15
、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27
、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39
、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50個の
異型残基を含有する主要コートタンパク質異型が可能である。置換又は数個の欠
失のみを含む異型は、野生型コートタンパク質配列とほぼ同じ長さを有すること
になるため好ましい。異種ポリペプチドの表面提示できない異型は、ファージの
提示、パンニング及び選択プロセス中に選択される。
【0162】 M13主要コートタンパク質のための該ライブラリーの構築については、例3
に記述されている。hGH又はSAVの提示を増強させるタンパク質VIII異型の
選択については、例4に示されている。ライブラリー構築のためには、50残基
のタンパク質VIIIは、およそ10個の隣接残基を各々包含する5つゾーンへと分
割された。PS349によりコードされたhGH−タンパク質VIII融合内のタン
パク質VIII半分の各ゾーンについて1つのライブラリーが構築された。大部分の
位置は、完全な改変を受けなかったものの、全ての非リシン残基において改変が
可能であった。109個の可能なタンパク質VIII異型をコードする各ライブラリ
ーは、少なくとも3×109個の独立した形質転換体を含有していた。
【0163】 ライブラリーを、hGHbp−コーディングされたプレート上での5ラウンド
の結合選択を通して別々に循環させた。個々のクローンの配列決定により、ゾー
ン1,2,及び3を包含するライブラリーからの選択体が明らかになった(図2
)。ソーン4及びゾーン5種は、その他のライブラリーからの夾雑物を生み出し
た。結果は、ゾーン1、2、3が突然変異に対して、より高い許容性を有し、従
って本発明における使用により適していることを示唆しているは、この結果は、
本発明の目的でゾーン4及び5における突然変異の使用を排除してはおらず、こ
れらのゾーン内での突然変異も本発明の範囲内に入っている。ライブラリー間の
汚染を回避するためさらに用心して実験をくり返すことにより、異種タンパク質
の提示を増強又は低下させる、ゾーン4及び5内の突然変異を伴う異型が生み出
されることになる。
【0164】 選択体は、平均して7つの突然変異を含み、野生型配列とは極端に異なってい
た。ゾーン1及び3については、強いコンセンサスは得られなかった。4つのゾ
ーン2の選択体のうちの3つは同一であったは、ストレプトアビジン提示のため
に選択されたそれに続くクローン(以下を参照)は、わずかなコンセンサスしか
生み出さなかった。わずか1つの残基(Ala10)だけが野生型として完全に
保存され、6つの残基(Ala7,Leu14,Ala18,Ile22,Me
t28及びVal30)は野生型に対するコンセンサスを示した。8つの位置が
突然変異体配列(E2K,D4E,P6F,K8R,F11Y,G23R,A2
7T,及びV29Y)に対するコンセンサスを示した。
【0165】 全ての選択体は、hGH提示を増強させた;図2は、各ゾーンからの最良の選
択体についてのファージELISAデータを示している。タンパク質VIII異型で
のhGH提示はピコモル以下の範囲のファージ濃度で検出可能なELISAシグ
ナルを生成した。これとは対照的に、野生型タンパク質VIIIでのhGH提示は、
ナノモル範囲でのファージ濃度で検出可能なELISAシグナルを生成した。し
たがって、タンパク質VIII異型は、シグナル強度を少なくとも3桁増大させる(
検出限界を低減させ)。
【0166】 SAV提示についての選択は、SAV−タンパク質VIII融合遺伝子内のタンパ
ク質VIII半分のゾーン1,ゾーン2及びゾーン3用のプールされたライブラリー
を用いて行なわれた。全ての選択体は、ゾーン2のライブラリーからのものであ
ったは、コンセンサスは最小限であった(図1B)。全ての選択体はSAV提示
を増強させた。2つの最良の選択体のためのファージELISAデータは、図4
に示されている。異型は、抗SAV抗体又はビオチニル化されたBSAのいずれ
かに対する結合について検定されたときシグナル強度の50倍の増加を提供する
【0167】 例8においては、hGHbpに対する低い結合親和力をもつhGH突然変異体
は、野生型タンパク質VIII 又は異型タンパク質VIII(la)のいずれかに対す
る融合として提示された。ファージELISAデータは図3に示されている。予
想された通り、結合親和力の低減は、シグナル強度に対応する減少を生み出す。
野生型タンパク質VIII上で提示されたときには、最低限の親和力の相互作用(K
d=820mM,野生型の500分の1)が僅かに検出可能である。同じ相互作用
は、タンパク質VIII異型上で提示されたとき極めて強いシグナルを提供する。実
際には、タンパク質VIII異型上の最低限の親和力の相互作用の提示は、野生型タ
ンパク質VIIIに連結された野生型hGHのものに比べて少なくとも2桁大きいE
LISAシグナルを提供する。
【0168】 複数のゾーン内での改変を伴う異型は、上述のとおり可能である。かかる異型
は、まず第1に単一ゾーン(例えばゾーン1)内に改変を伴う異型を得、次にも
う1つのゾーン(例えばゾーン2)が突然変異される第2ラウンドの選択のため
の鋳型としてこの異型を使用することによって得ることができる。したがって、
このプロセスにより得られた異型は、2つのゾーン(例えばゾーン1及び2)内
に突然変異を有することになる。あるいは、異なる異型から単一の異型へと突然
変異を組合せるために、部異特異的突然変異誘発を使用することができる。例え
ば、ゾーン1内に突然変異を有する異型からの突然変異をゾーン2内に突然変異
を有する異型に導入して、ゾーン1及び2の両方に突然変異を有する新しい異型
を産生することができる。この過程は、実施例9に示されている。
【0169】 明らかに、両方の方法ともに、主要コートタンパク質配列全体を場合によって
包含し得るあらゆる数のゾーンまで拡大することができる。したがって、野生型
に対し最小限の相同性しかもたない主要コートタンパク質の異型を得ることが可
能である。極端な配列の変動の潜在的可能性は、次には、機能上の極端な変動を
与える。極端に高い機能性から極端に低い機能性に至る範囲の異型を容易に得る
ことができる。したがって、本発明は、コートタンパク質に融合されたあらゆる
異種タンパク質の提示レベルを誂えるために使用することができる。本発明は、
野生型コートタンパク質に対する限定された相同性しかもたないタンパク質の産
生を可能にするものの、新しいタンパク質はなおも野生型タンパク質の異型であ
り(以上の定義を参照せよ)、従って本発明の範囲内である。
【0170】 ファージ粒子の表面上での異種ポリペプチドの提示を改善する異型主要コート
タンパク質は、野生型に対する多数の突然変異を含有する場合、新しい異型及び
野生型主要コートタンパク質で得られたレベルの中間のレベルで異種ポリペプチ
ドを提示する異型を得ることも同様に可能である。これは、野生型配列又は別の
改変された残基に異型の突然変異済みアミノ酸の各々を別々に復帰突然変異させ
ることによって達成される。一般には、これらの復帰突然変異は、異種ポリペプ
チドの提示レベルを、異型及び野生型主要コートタンパク質で得られる提示レベ
ルの間で変動するレベルまで低減させることになる。復帰突然変異を組合わせる
ことにより、異型及び野生型主要コートタンパク質で得られるものの間にある1
つの所望のレベルに合わせた提示を誂えることが可能である。この過程は、実施
例10に示される。
【0171】 類似のプロセスによって、野生型コートタンパク質のレベルに比べて低いレベ
ルで提示する異型を得ることが可能である。例えば、1つ以上のゾーン内で突然
変異を行ない、産生されたライブラリーを、弱くしか結合しない(野生型融合を
提示するファージに比べて弱い)ファージについて選別することができる。より
弱い結合ファージは、野生型コートタンパク質融合を提示するファージによって
置換されることになり、既知の方法を用いて分離及び配列決定され得る。
【0172】 ウイルスコート内への取込みのためには低機能性でありしたがって野生型コー
トタンパク質との関係における融合タンパク質の提示を低減させる突然変異体コ
ートタンパク質を得ることができる。この場合、突然変異は、高機能性異型につ
いての上述の選択において野生型として保存されやすい残基について行なわれる
(例えば、タンパク質VIII 中のAla10,Ala7,Leu14,Ala1
8,Ile22,Met28及びVal30)。高機能性異型についての選択の
間に野生型としてこれらの残基を保存することは、これらの残基における突然変
異が充分に寛容されず、低機能性異型を産生する傾向をもつことになる、という
ことを表わしている。これらの部位での突然変異によって得られた異型は、次に
、野生型コートタンパク質提示レベルとの関係において所定の融合タンパク質を
提示させるその能力についてスクリーニングされ得る。融合タンパク質の異種ペ
プチド部分は、結合パートナにより捕捉又は結合されうるあらゆるポリペプチド
又はタンパク質であり得る。適切な融合は、抗体又は結合パートナにより結合さ
れ得るエピトープタグ又はその他のポリペプチドを提示し得る。野生型との関係
における所望の低減したレベルでの融合を提示する低機能性異型は、次に、ファ
ージ提示を目的として融合タンパク質のライブラリーを構築するために使用する
ことができる。低機能性異型の産生のための好ましい残基は、野生型として保存
されたものであるは、コートタンパク質のあらゆる残基を突然変異させ、結果と
して得られた異型を、融合タンパク質の提示を可能にするその能力についてテス
トすることができる。このように、単に適切な高機能性突然変異体を使用するこ
とにより野生型によって付与されるものに比べて低い提示レベルを選択すること
が可能である。上述の高機能性異型の場合と同様に、所望するレベルまでのさら
なる提示の低減を生み出すべく、複数の低機能性突然変異を組合わせることがで
きる。低機能性異型の選択には、選択よりもむしろスクリーニングが必要である
ものの、タンパク質中の大部分の突然変異が活性の増加ではなくむしろ減少をひ
き起こすことから、この方法は、比較的単純であり、適切なスクリーニング手順
は公知である。したがって、コートタンパク質内の大部分の突然変異は、低機能
性異型を結果としてもたらす害のある突然変異であるはずである。
【0173】 発現ベクターライブラリーは場合により混合され、ファージ又はファージミド
粒子を形成するのに適した条件下でその後培養される適切な宿主細胞を形質転換
するのに使用される。ファージ又はファージミド粒子は、ファージの表面上に提
示された融合タンパク質のポリペプチド部分に結合する能力をもつ標的分子と接
触させられ、したがって、ファージ粒子の少なくとも一部分が標的分子に結合す
るようになっている。ウイルス粒子上でさらに多い数で提示された融合タンパク
質を含有する粒子は、好ましくは標的分子による結合を受けることになる。結合
しない粒子から標的に結合する粒子を分離することにより、粒子の表面上でより
数多くの異種タンパク質を提示する融合タンパク質を含有する質を高めた粒子の
ライブラリーを得ることが可能となる。このパンニングプロセスは、多数回、一
般的には2〜10回、好ましくは2〜6回反復され、突然変異体である主要コー
トタンパク質の選択された突然変異体に連結された異種ポリペプチドの融合タン
パク質をコードする融合遺伝子を含有するさらに富化されたライブラリー(ライ
ブラリーは、ファージ提示システム内のウイルスコート内への融合タンパク質の
取込みの改善を可能にする)を得ることができる。この方法により、ファージ粒
子の表面上で特定の異種ポリペプチド、そして場合によりその他のポリペプチド
を融合タンパク質として提示する能力が最も高い主要コートタンパク質異型を選
択することが可能となる。
【0174】 上述のプロセスにより選択されたクローンは、ファージ提示システム内でファ
ージの表面上で異種タンパク質を提示する改善された能力を有することになる。
従って、この方法は野生型コートタンパク質アミノ酸配列に基づく融合タンパク
質を用いて提示するのが困難である異種ポリペプチドを提示する上で一般的に有
用である。改善された融合タンパク質は、一価及び/又は多価のファージ提示シ
ステム内で使用することができる。多価の系においては、ファージ粒子上で発現
される融合タンパク質の数を増大させるため又は提示されたタンパク質の数を望
ましい範囲にモジュレーションさせるために、改善された融合タンパク質を使用
することができる。より多数の融合タンパク質を提示するファージ粒子は、標的
分子に対するより大きい親和力をもち、好ましくは、結合され融合タンパク質と
してより少ない異種ポリペプチドを提示する粒子から分離されることになる。こ
れは、リガンドの結合親和力は、ヒト化などによる抗体又は抗体フラッグメント
の成熟といったような既知のタンパク質工学処理技術によってリガンドの結合親
和力が増強させられることになる弱結合性リガンドの発見のためのプロセスにお
いて有用である。多価の提示においては、本発明の融合タンパク質は、ファージ
表面上のわずか数個〜数百個のポリペプチドの提示を可能にする。一般に、適度
の提示システムにおいては、約3〜約50個のポリペプチドが提示されることに
なる。しかしながら、本発明の融合タンパク質及びファージ提示システムの場合
、高い提示数の能力を有するファージ提示によってコートタンパク質異型を選択
することによって、約50個、好ましくは100個〜900個そして最高約10
00個以上のポリペプチドを提示することも可能である。
【0175】 コートタンパク質に融合された抗原タンパク質を発現するファージに基づくワ
クチン接種技術についてはすでに記述されている。(Fanutti, C., et al. (1998
) Biochem. Soc. Trans., 26:S8; Jiang, J., et al. (1997) Infect. Immun.,
65;4770; Delmastro, P., et al. (1997) Vaccine, 15:1276; Galfre. G., et a
l. (1996) Methods Enzymol., 267:109)本発明は、ファージワクチン接種の有効
性を高めるためにも使用可能である。ファージ表面上のタンパク質融合の発現を
増強させるコートタンパク質の異型は、ファージワクチン接種の抗原性を増強さ
せる。さらに、この方法は、ハプテンとして免疫系を刺激するコートタンパク質
の異型を生成するために使用可能である。あるいは、本発明を、抗原タンパク質
を保有するファージに対する免疫応答を改善するために使用することもできる。
【0176】 あるいは、一価の提示システムにおいては、本発明の方法及び融合タンパク質
は、所望の親和力の検出及び富化を可能にするのに充分高いものの、多価性と結
びつけられた結合力効果を回避するのに充分低いレベルに合わせてタンパク質の
提示を精確に誂えるために使用可能である。野生型主要コートタンパク質に対す
る融合として多価で提示するタンパク質を、適切な低機能性主要コートタンパク
質異型に対する融合として一価で提示することが可能である。野生型主要コート
タンパク質上で全く提示されないタンパク質(すなわちファージ関連構成要素と
して検出され得ないタンパク質)は、適切な高機能性主要コートタンパク質異型
に対する融合として一価で提示されうる。
【0177】 ファージ粒子の表面上での異種ポリペプチドの提示を改善し/誂える異型主要
コートタンパク質を得た時点で、もともと提示された異種ポリペプチドの異型の
ライブラリーを構築し、例えば結合、酵素活性などの所望の特性について選択す
るべく従来のファージ提示技術を使用することが可能である。所望の提示特性を
提供するファージの主要コートタンパク質の選択された異型を含有する本発明の
融合タンパク質は、従来の融合タンパク質が主要コートタンパク質又はコートタ
ンパク質フラッグメントの野生型アミノ酸配列を含有する従来のファージ提示シ
ステム内で融合タンパク質に置換するために使用することができる。本発明の異
型融合タンパク質で従来の融合タンパク質を置換することにより、ファージ提示
システム内の異種ポリペプチドの提示が改善される。すなわち、コートタンパク
質部分は、融合タンパク質として提示されるポリペプチドのために最適化されて
いる。
【0178】 さらに、第2の異なる異種ポリペプチドを用いて上述の通りに得られる新しい
融合タンパク質内の当初の異種ポリペプチドを置換し、ウイルス粒子内への融合
タンパク質の改善された取込みの恩恵を維持することも可能である。例7を参照
せよ。発明のこの態様においては、上述のようなファージ提示、パンニング及び
選択によって得られたもとのポリペプチド/主要コートタンパク質異型の融合を
コードする融合遺伝子は、問題の第2のポリペプチドをコードする遺伝子で第1
のポリペプチドをコードする遺伝子を置換するように改変される。次に、第2の
ポリペプチドの1つ以上の残基は、ファージ提示パンニング及び選択により突然
変異され選択される従来のファージ提示ライブラリーを構築し、所望の(例えば
改善された)結合特性をもつ第2のポリペプチドの異型を得ることができる。こ
の結果は、融合タンパク質の異型コートタンパク質部分が異なる(例えば当初の
)ポリペプチドを提示する能力について当初選択されたものであるため、驚くべ
きものでもある。それでも、異種ポリペプチドの改善された提示について選択さ
れた突然変異体コートタンパク質部分を含有する融合タンパク質が同様に一般に
その他の無関係の異種ポリペプチド,さらには多数のサブユニットを含有するそ
の他のポリペプチドの提示の改善も提供することになるということが発見された
。異型コートタンパク質部分を含有する融合タンパク質はさらに一般的ファージ
提示システム内でも使用可能である。
【0179】 本発明のファージ提示システムは、同様に従来の組換え型DNA技術を用いて
治療用ポリペプチドとして産生されるポリペプチドを分離するためにも使用可能
である。この実施形態では、上述の方法は、ファージ提示で使用するため所望の
コートタンパク質異型部分を含む融合タンパク質を同定するために使用される。
融合タンパク質の異種ポリペプチド部分は、所望の製品ポリペプチド自体であっ
てもよいし、又は上述のような改善された表面提示を提供するコートタンパク質
異型部分について選択するためにこのファージ提示工程が使用される異なるポリ
ペプチドであってもよい。異種ポリペプチドのための遺伝子と合わせて融合遺伝
子内の選択されたコートタンパク質異型部分のための遺伝子を用いる、このとき
製品ポリペプチド配列を得るべく、異なる潜在的製品異種ポリペプチドのライブ
ラリーから最適化及び選択を行なうためファージ提示を用いることができる。こ
のときこの製品ポリペプチド配列は、製品ポリペプチドをコードする遺伝子融合
に対し動作可能に連結された転写調節要素を含有する発現プラスミドへとクロー
ニングされる。哺乳動物又は細菌の細胞内での遺伝子融合の発現は、周知の組換
え型技術を用いて製品ポリペプチドを生み出す。Sambrook et al. を参照せよ。
【0180】 必ずしもポリペプチドを提示するのに使用されたファージの主要コートタンパ
ク質ではない、ファージコートタンパク質の一部分と異種ポリペプチドの融合タ
ンパク質を調製することも、本発明の範囲内に入る。この実施形態においては、
例えば、繊維状ファージのコートタンパク質III といったような小コートタンパ
ク質は突然変異を受けて上述のような融合タンパク質及びファージ異型のファミ
リー及びライブラリーを形成し、異種ポリペプチドとコートタンパク質異型の少
なくとも一部分の融合タンパク質を提示する特異的ファージを得るためにファー
ジ提示選択及びパンニングが使用される。好ましくは、コートタンパク質部分は
、コートタンパク質の細胞質ドメイン内又は膜内外ドメイン内に少なくとも1つ
の改変済み残基をもつ突然変異体である。コートタンパク質IIIに関しては、こ
れらの改変済み残基は、好ましくは、成熟コートタンパク質IIIのアミノ末端か
ら計数したとき377〜406の残基領域内にくることになる(Marvin D. A.,
繊維状ファージ構造、感染及び組立て、Current Opinion in Structural Biolog
y, 1998, 8: 150-158)。コートタンパク質III異型は、主要コートタンパク質に
ついて一般的に上述したように複数の異型残基を含有することができる。
【0181】 ポリペプチドの提示のための適切な遺伝子III ベクターとしては以下のものが
含まれる:fUSE5(Scott, J. K. 及び Smith G. P. (1990)。エピトープラ
イブラリーを用いたペプチドリガンドを探索すること。Science 249, 386-390);
fAFF1(Cwirla., S. E., Peters, E. A., Barrett, R. W., 及び Dower, W. J.
(1990)。ファージのペプチド;リガンドを同定するためのペプチドの莫大な提示
ライブラリー。Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. A. 87, 6378-6382); fd-CATI(McC
afferty, J., Griffiths, A., D., Winter, G., 及び CHiswell, D., J. (19
90)。ファージの抗体:抗体可変ドメインを提示する繊維状ファージ。Nature (L
ondon)348, 552-554); m663(Fowlkes, D., Adams, M., Fowler, V. 及び Kay, B
. (1992). M13ウイルス表面上のペプチド発現のための汎用ベクター。Biotec
hniques 13, 422-427); fdtetDOG, pHEN1(Hoogenboom, H., Griffiths, A., Joh
nson, K., CHisswell, D., Hudson, P., 及び Winter, G(1991).繊維状ファ
ージの表面上の多重サブユニットタンパク質:抗体(Fab)重及び軽鎖を提示
するための方法。Nucleic Acids Res. 19:4133-4137); pComb3(Gram, H., Marco
ni, L. A., Barbas. C. F., Collet, T. A., Lerner, R. A., 及び Kang, A. S.
(1992)。特定の投薬を受けていない組換え免疫グロブリンライブラリーからの
抗体の In vitro 選択及び親和力成熟。Proc. Natl. Acad. Sci. U.S. A. 89, 3
576-3580); pCANTAB5E(Pharmacia); 及び LamdaSurfZap (Hogrefe, H. H., Ambe
rg, J. R., Hay, B. N., Sorge, J. A., 及び Shopes, B. (1993)繊維状ファー
ジ上の結合タンパク質の結合の提示のためのバクテリオファージラムダベクター
内のクローニング。Gene137, 85-91)。
【0182】 融合ポリペプチドをコードする遺伝子融合に動作可能に連結された転写調節要
素を含有する突然変異体複製可能ベクターのファミリーを構築する段階、適切な
宿主細胞を形質転換する段階、ファージ粒子の表面上に融合ポリペプチドを提示
するファージ粒子を形成するべく形質転換済み細胞を培養する段階、組換え型フ
ァージ粒子を標的分子と接触させて粒子の少なくとも一部分が標的に結合するよ
うにする段階、結合する粒子と結合しない粒子から分離する段階を含む、タンパ
ク質、ペプチド及びその突然変異済み突然変異体のためのファージ提示方法は、
既知のものであり、本発明の方法と共に使用することができる。U.S. 5,750,373
; WO 97/09446; U.S. 5,514,548; U.S. 5,498,538; U.S. 5,516,637; U.S. 5,43
2,018; WO 96/22393; U.S. 5,658,727; U.S. 5,627,024; WO 97/29185; O'Boyle
et al., 1997, Virology, 236:338-347; Soumillion et al., 1994, Appl. Bio
chem, Biotech., 47:175-190; O'Neil 及び Hoess, 1995, Curr. Opin. Struct.
Biol., 5:443-449; Makowski, 1993, Gene, 128:5-11; Dunn; 1996, Curr. Opi
n. Struct. Biol., 7:547-553; Choo and Klug, 1995, Curr. Opin. Struct. Bi
ol., 6:431-436; Bradbury and Cattaneo, 1995, TINS, 18:242-249; Cortese e
t al., 1995, Curr. Opin. Struct. Biol., 6:73-80; Allen et al., 1995, TIB
S, 20:509-516; Lindquist 及び Naderi, 1995, FEMS Micro. Rev., 17:33-39;
Clarkson 及び Wells, 1994, Tibtech, 12:173-184; Barbas, 1993, Curr. Opin
. Biol., 4:526-530; MoGregor, 1996, Mol. Biotch., 6:155-162; Cortese et
al., 1996, Curr. Opin. Biol., 7:616-621; McLafferty et al., 1993, Gene,
128:29-36を参照せよ。
【0183】 融合タンパク質の異種ポリペプチド部分は、4〜10個という又は最高20〜
30個さらには最高約50〜80個といったわずかなアミノ酸残基を含有するこ
とができる。これらの比較的小さいペプチドは、例えばペプチドの抗原特性を決
定する上で、又タンパク質の抗原部位をマッピングする上で有用である。異種ポ
リペプチドは、標的と相互作用する能力をもつ複数のアミノ酸を提示する複数の
剛性二次構造を形成するべく折畳むことのできる少なくとも約100個のアミノ
酸残基を含有する1つ以上のサブユニットを含んでいてもよい。融合タンパク質
の異種ポリペプチド部分がライブラリーを形成するべく突然変異を受けファージ
提示選択に付される場合、剛性二次構造の無欠性が保存されることになるように
標的と相互作用する能力をもつアミノ酸に対応するコドンにおいてポリペプチド
が突然変異を受けることが好ましい。残基は、例えばアラニン走査突然変異誘発
によって決定できる。U.S. 5,580,723 及びU.S. 5,766,854。
【0184】 異種ポリペプチド部分は同様にタンパク質,好ましくは哺乳動物のタンパク質
,例えばサイトカインであってもよく、このタンパク質はヒト成長ホルモン(h
GH),N−メチオニルヒト成長ホルモン、ウシ成長ホルモン、副甲状腺ホルモ
ン、チロキシン、インシュリンA鎖、インシュリンB鎖、プロインシュリン、リ
ラキシンA鎖、リラキシンB鎖、プロリラキシン、糖タンパク質ホルモン例えば
卵胞刺激ホルモン(FSH),甲状腺刺激ホルモン(TSH),ロイチン化ホル
モン(LH),糖タンパク質ホルモンレセプタ、カルシトニン、グルカゴン、第
VIII因子、抗体、肺表面活性剤、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、ヒト組織
型プラスミノーゲン活性化剤(t−PA),ボンベシン、第VII 因子、第IX因子
及び第X因子を含む凝固カスケード因子、トロンビン、造血成長因子、腫瘍壊死
α及びβ因子、エンケファリナーゼ、ヒト血清アルブミン、ミューラー管阻害物
質、マウスゴナドトロピン関連ペプチド、微生物タンパク質例えばベータラクタ
ーゼ、組織因子タンパク質,インヒビン、アクチビン、血管内皮成長因子(VE
GF),ホルモン又は成長因子に対するレセプタ;インテグリン、トロンボポイ
エチン(TPO),プロテインA又はD,リウマチ因子、神経成長因子例えばN
GF−アルファ、血小板成長因子、形質転換成長因子(TGF)例えばTGF−
アルファ及びTGF−ベータ、インシュリン様成長因子−I及び−II,インシュ
リン様成長因子結合タンパク質,CD−4,DNase, 潜伏期間関連ペプチド、エ
リスロポイエチン(EPO),骨形成誘発性因子、インタフェロン例えばα−イ
ンタフェロン、アルファコン−1,β及びγ−インタフェロン、コロニー刺激因
子(CSF)例えばM−CSF,GM−CSF及びG−CSF,インタロイキン
(IL)例えばIL−1,IL−2,IL−3,IL−4,IL−6,IL−8
,IL−10,IL−12,スーパーオキサイドジスムターゼ;崩壊加速因子、
ウイルス抗原、HIV外被タンパク質例えばGP120,GP140,心房ナトリ
ウム排泄増加ペプチドA,B又はC,Apo2L,新規赤血球形成刺激タンパク質
(NESP),アンセスチム、ケラチノサイト成長因子(KGF)、脳由来神経
栄養性因子(BDNF),グリア細胞系統由来神経栄養性因子(GDNF),レ
プチン、IL−1 レセプタアンタゴニスト(IL−1ra),可溶性腫瘍壊死因
子−aレセプタ−I型(sTNF−RI),免疫グロブリン、ならびに上述のタ
ンパク質のいずれかの突然変異体及びフラッグメントの中から選択することがで
きる。
【0185】 異種ポリペプチド部分は同様に、融合タンパク質を同定しかつ/又は捕獲し精
製するためのエピトープタグとしても知られている分子タグをも含むことができ
る。例えば、タグは、抗gD抗体に対する結合を通して融合タンパク質を親和力
精製するのに使用可能である単純ヘルペスウイルス糖タンパク質D(Paborsky e
t al. 1990, Protein Engineering, 3:547-553),プロテインA又はそのフラッ
グメント(Li et al. (1998) Mol Biotech, 9:187),ポリヒスチジンタグ、例
えば金属イオン(Ni)カラムに対する結合を通して融合タンパク質を同定しか
つ/又は精製するのに使用可能な(His)6 (Sporeno et al., 1994, J. Biol.
Chem, 269:10991-10995; Stuber et al., 1990, Immunol. Methods, 4:121-152
, Waeber et al., 1993, FEBS Letters, 324:109-112)など(QLAEXPRE
SS Ni−NTAタンパク質精製システム、Quiagen Inc.) であってよい。
【0186】 特に好ましい実施形態においては、融合タンパク質の異種ポリペプチド部分は
、Fab,F(ab′)2,Fv,diabodies, 線状抗体などといった抗体又はそ
のフラッグメントの軽鎖又は重鎖である。ポリペプチドは同様に1本鎖抗体(sc
Fv)であってもよい。抗体又はそのフラッグメントのライブラリーの調製は、
当該技術分野において周知のものであり、本発明の方法及び融合タンパク質を用
いて宿主細胞に形質転換されうる形質転換ベクターのファミリーを構築するため
には、既知の方法のいずれを用いてもよい。ファージ又はファージミド内の融合
タンパク質としての及びファージ内の抗体軽鎖及び重鎖のライブラリー(Huse e
t al., 1989, Science, 246:1275)は周知のものであり、既知の手順に従って調
製することができる。上述の Vaughan et al., Barbas et al., Marks et al.,
Hoogenboom et al., Griffiths et al., de Kruif et al., 及び WO 98/05344;W
O 98/15833; WO 97/47314; WO 97/44491; WO 97/35196; WO 95/34648; U.S. 5,7
12,089; U.S. 5,702,892; U.S. 5,427,908; U.S. 5,403,484; U.S. 5,432,018;
U.S. 5,270,170; WO 92/06176; U.S. 5,702,892 を参照せよ。論評も同様に出版
されている。Hoogenboom, 1997, Tibtech, 15: 62-70; Neri et al., 1995, Cel
l Biophysics, 27; 47; Winter et al., 1994, Annu. Rev. Immunol., 12:433-4
55; Soderlind et al., 1992, Immunol, Rev., 130:109-124; Jefferies, 1998,
Parasitology, 14:202-206.
【0187】 HIポリペプチド部分として考慮されている特異的抗体としては、ヒト白血球
表面マーカー、サイトカイン及びサイトカインレセプタ、酵素などに結合する抗
体が含まれる。特異的白血球表面マーカーとしては、CD1a-c, CD2,CD
2R,CD3−CD10,CDl1a-c, CDw12,CD13,CD14,C
D15,CD15s, CD16,CD16b,CDw17,CD18−C41,C
D42a-d,CD43,CD44,CD44R,CD45,CD45A,CD4
5B,CD45O,CD46−CD48,CD49a-f,CD50−CD51,
CD52,CD53−CD59,CDw60,CD61,CD62E,CD62
L,CD62P,CD63,CD64,CDw65,CD66a-e,CD68−
CD74,CDw75,CDw76,CD77,CDw78,CD79a-b,C
D80−CD83,CDw84,CD85−CD89,CDw90,CD91,
CDw92,CD93−CD98,CD99,CD99R,CD100,CDw
101,CD102−CD106,CD107a-b,CDw108,CDw10
9,CD115,CDw116,CD117,CD119,CD120a-b,C
D121a-b,CD122,CDw124,CD126−CD129,及びCD
130が含まれる。
【0188】 その他の抗体結合標的しては、頻繁にWSXWSドメインを含む著しい相同性
を共有し一般にサイトカインレセプタ−スーパーファミリーのメンバーとして分
類されている一群の密に関係する糖タンパク質細胞表面レセプタである、サイト
カイン及びサイトカインスーパファミリーレセプタ、造血成長因子スーパーファ
ミリーレセプタそして好ましくはそれらの細胞外ドメインが含まれる(例えば N
icola et al., Cell, 67: 1-4(1991) 及び Skoda, R. C. et al EMBO J. 12:264
5-2653(1993)を参照せよ)。一般にこれらの標的は、インターロイキン(IL)
又はコロニー刺激因子(CSF)のためのレセプタである。スーパーファミリー
のメンバーとしてはIL−2(b及びg鎖)(Hatakeyama et al., Science, 24
4:551-556(1989); Takeshita et al., Science, 257; 379-382(1991))、IL−
3(Itoh et al., Science, 247; 324-328(1990); Gorman et al., Proc. Natl.
Acad, Sci, USA, 87:5459-5463(1990); Kitamura et al., Cell, 66:1165-1174(
1991a); Kitamura et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:5082-5086(1991b)
)、IL−4(Mosley et al., Cell, 59:335-348(1989))、IL−5(Takaki et
al., EMBO J., 9:4367-4374(1990); Tavernier et al., Cell, 66:1175-1184(19
91))、IL−6(Yamasaki et al., Science, 241:825-828(1988); Hibi et al.,
Cell, 63:1149-1157(1990))、IL−7(Goodwin et al., Cell, 60:941-951(1
990))、IL−9(Renault et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89:5690-569
4(1992))、粒球−マクロファージコロニー刺激因子(GM−CSF)(Gearing
et al., EMBO J., 8:3667-3676(1991);Hayashida et al., Proc. Natl. Acad.
Sci. USA. 244:9655-9659(1990))、顆粒球コロニー刺激因子(GCSF)(Fuk
unaga et al., Cell, 61:341-350(1990a); Fukunaga et al., Proc. Natl. Acad
. Sci. USA. 87:8702-8706(1990b); Larsen et al., J. Exp. Med., 172:1559-1
570(1990))、PO(D'Andrea et al., Cell, 57:277-285(1989); Jones et al.
, Blood. 76:31-35(1990))、白血病阻害因子(LIF)(Gearing et al., EMBO
J., 10:2839-2848(1991))、オンコスタチンM(OSM)(Rose et al., Proc
. Natl. Acad. Sci. USA, 88:8641-8645(1991))に対するレセプタと同様にプロ
ラクチン(Boutin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88:7744-7748(1988);
Edery et al., Proc, Natl. Acad. Sci. USA, 86:2112-2116(1989))。成長ホ
ルモン(GH)(Leung et al., Nature, 330:537-543(1987))、毛様体神経栄
養因子(CNTF)(Davis et al., Science, 253:59-63(1991)及びc−MP
l(M. Souyri et al., Cell 63:1137(1990); L Vigon et al., Proc. Natl. Ac
ad. Sci. 89:5640(1992))に対するレセプタが含まれるは、これらに制限される
わけではない。本発明により作られた抗体のためのさらにその他の標的は、erb
2,erb3,erb4,IL−10,IL−12,IL−12,IL−15,腫瘍壊
死α因子、トロンビンなどである。突然変異体コートタンパク質融合及び突然変
異体HEポリペプチド及びこれらを含有するライブラリーは、従来の突然変異誘
発技術を用いて調製できる。これらの方法には、オリゴヌクレオチド媒介突然変
異誘発及びカセット突然変異誘発が含まれるは、これらに制限されるわけではな
い。
【0189】 異種ポリペプチドは、ペプチドリンカーを通してコートタンパク質又はその一
部分にリンクされうる。リンカーペプチドセグメントは、一般に約3〜約50個
のアミノ酸残基、好ましくは5〜30個、さらに好ましくは10〜25個の残基
まで長さが変動する。さらに、リンカーセグメント上の正味電荷は好ましくは正
である。アミノ酸残基の同一性及び順序は任意であるは、リンカーペプチドセグ
メントの1つ以上の特異的配列は一般に異種ポリペプチドに比べて優れた提示を
提供することになる。本発明の方法は同様に、融合されたタンパク質とコートタ
ンパク質の間でリンカーを突然変異させ、所望の提示レベルを付与するリンカー
を選択することによって融合タンパク質の提示レベルをモジュレーションさせる
ためにも使用可能である。この実施形態においては、リンカーセグメント突然変
異体のライブラリーは、リンカー配列鋳型を突然変異させることによって作られ
、ファージ上で最良の提示を与えるリンカー配列は、例えば提示された異種ポリ
ペプチドに対する結合のための親和力選択といったファージ提示選択を用いて選
択される。より多数の提示済みポリペプチドを可能にするリンカーは、親和力マ
トリクスに対する増強された親和力に基づいて選択されることになる。
【0190】 これまでのところ、研究者は、所望の属性を提供するために特異的リンカーを
用いてきた。リンカーはGly−Ala3(Holmes et al. (1996) Protein Pept
. Lett. 3:415-422)又は Gly4Ser3リンカー(Micheal et al. (1996) Im
munotechnology2:47-57)といったように柔軟性を提供するよう(Wung et al. (
1997) J. Immunol. Methods 204:33-41)そして特異的タンパク質分解のための
部位を取込むよう(Lucic, et al. (1998) Australia. J. Biotechnol. 61:95-1
08; Matthews, D. J. and Wells, J. A. (1993) Science, 26:1113-1117)に設
計されてきた。リンカー最適化についての考慮事項としては、なかでも、タンパ
ク質分解に対する耐性、ファージ粒子から融合されたタンパク質までの距離及び
融合タンパク質活性に対するリンカーの立体配座効果が含まれる。関与する多数
の変数は、本発明の選択方法を魅力あるアプローチにしている。例えば、タンパ
ク質VIII 上のhGHの増加した提示のためのリンカーの選択(図7A)は、結
果として、設計された Gly/Serリンカー(図8A)に比べた提示の増強
をもたらす。SAV提示(図8B)のためのリンカー(図7B)を選択するため
にも、類似の選択が用いられた。SAV提示においては、選択は、以前にSAV
の増強提示のために選択されたタンパク質VIII異型(タンパク質VIII(le))に
融合されたSAVで行なわれた(例4)。この例は、上述の異なるタンパク質VI
II異型の組合せに類似したやり方で望ましい提示レベルを得るため、例えばタン
パク質VIII異型といったような最適化されたコートタンパク質異型と最適化され
たリンカーを組合せることができるということを立証している。異種ポリペプチ
ド 突然変異体ポリペプチド又は少なくともファージコートタンパク質及び異種
ペプチド又は突然変異体の一部分を含有する融合タンパク質をコードする遺伝子
を得、それを分離すること、オリゴヌクレオチド媒介突然変異誘発及びカセット
突然変異誘発,制限酵素を用いてDNAを分割すること、電気泳動、精製及び形
質転換(例えば電気穿孔)手順を用いたDNAの連結、分離及び選択、ライブラ
リー構築、適切な宿主又はレシピエント細胞及び細胞濃度に関連して以上で記述
した方法及び上記の先行技術方法を、本発明のこの実施形態において使用するこ
とができ、それについての記述はこの実施形態に関して特定的に本書に内含され
ている。
【0191】 c.カルボキシル末端提示及びより新しいファージコートタンパク質及びその融 本発明のもう1つの態様は、タンパク質III又はタンパク質VIIIとのタンパク
質融合を用いた繊維状ファージの表面上での異種ポリペプチドのカルボキシル末
端(C末端)提示である。C末端提示については、M13のタンパク質VIについ
て報告されてきた(Jespers, L. et al., 1995, Biotechnology 13:378-382)。
この論文では、タンパク質VIは、C末端でのポリペプチドの付着を可能にするそ
の能力において、タンパク質III及びVIIIと全く異なっているということが記さ
れている。驚くべきことに、本発明の一部分として、C末端提示が同様にタンパ
ク質III及びVIIIに対する融合についても可能であるということが発見された。
したがって、本発明は、ファージコートタンパク質のN末端における提示(N末
端提示)に類似した様式で異種ポリペプチド又はポリペプチドライブラリーのC
末端提示を可能にする。本発明のこの側面においては、C末端提示は、上述のと
おりに、ファージ提示プロセスがコートタンパク質配列自体に適用される野生型
タンパク質III/VIII又は突然変異体タンパク質III/VIIIを用いて達成することが
できる。
【0192】 コートタンパク質異型及びそれと異種ポリペプチドとのタンパク質融合、該異
型及び融合タンパク質のライブラリー、異型及びタンパク質融合をコードする発
現ベクター、ベクターのライブラリー、ベクターを含有する宿主細胞のライブラ
リーを作り出すファージ又はファージミド提示方法、N末端提示に関して上述し
た結合ポリペプチドなどを得るためのこれらのものの調製及びパンニング方法の
いずれも、C末端提示のための本発明のこの側面において同様に使用可能であり
、以上の記述は、ここで本書に内含され、本発明のC末端提示の記述の一部分と
みなされるべきものである。
【0193】 本発明により、非野生型コートタンパク質及びコートタンパク質融合を含有す
る新しいウイルス粒子を開発することが可能となる。
【0194】 異型タンパク質III/VIII融合タンパク質は、野生型コートタンパク質配列との
関係において置換、付加又は欠失を内含する1個以上の改変を含むことになる。
更に、驚くべきことに、多数の改変が可能であり、そしてこの場合には、C末端
融合として、ファージ表面上でポリペプチドを提示する能力を保持しながらファ
ージによって許容される。残基の化学的性質は変えることができる、すなわち、
疎水性残基を親水性残基に又はその逆に改変することが可能である。2〜50個
,好ましくは5〜40個、さらに好ましくは7〜20個の改変された残基を含む
異型が可能である。コートタンパク質の野生型配列又はその一部分から改変され
たあらゆる成熟コートタンパク質配列又はその一部分を含有する融合タンパク質
は、本発明の範囲内である。2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、1
2、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、2
4、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、3
6、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、4
8、49又は50個の異型残基を含む主要コートタンパク質異型は、可能である
。本発明のこの側面は、野生型コートタンパク質以外のあらゆるコートタンパク
質であるコートタンパク質を設計し、ファージ表面上で提示するC末端融合タン
パク質を選択することを可能にする。野生型コートタンパク質配列とほぼ同じ長
さを有することから、置換を含む異型が好ましい。ただし、より短かいコートタ
ンパク質及びそのタンパク質融合を誂えるための残基の欠失は、本発明の範囲内
である。好ましくは、最初のいくつかの残基が欠失されることになり、より好ま
しくは、N末端又はC末端残基1〜約5個を欠失させることができる。異種ポリ
ペプチドの表面提示ができない異型は、ファージ提示、パンニング及び選択プロ
セス中に選択される。
【0195】 上述のN末端提示の場合と同様に、コートタンパク質の規定の領域内にアミノ
酸付加、置換又は欠失を有するコートタンパク質異型のライブラリーを得るため
、コートタンパク質の望ましいセグメント内のアミノ酸残基が改変させられてい
るライブラリーを生成することも可能である。一例としては、一般的に2〜10
ゾーンのあらゆる数のゾーンにコートタンパク質を分割し、1つ以上のゾーン内
の異型からライブラリーを構築することができる。例えば、M13,f1及びf
dファージの成熟コートタンパク質は、50個のアミノ酸を含有し、各々5個の
アミノ酸残基の10ゾーン、又は、各ゾーンが例えば15,10,9及び8残基
である、各々のゾーンに不等残基数を有するゾーンに分割することができる。コ
ートタンパク質の細胞質、膜内外及び周辺質領域に対応するゾーンを使用するこ
とができる。アミノ酸改変が所望される各々のゾーンのために、別々のライブラ
リーを構築することができる。例えば、コートタンパク質異型がゾーン1にアミ
ノ酸改変を有する融合タンパク質は、所望される場合、ゾーン1のアミノ酸残基
の1つ以上が突然変異した単一ライブラリーを構築することができる。代替的に
は、2つのゾーンがアミノ酸改変を含む融合タンパク質を産生することが所望さ
れる可能性もある。各々2つのゾーンのうちの1つの中に改変を含む2つのライ
ブラリーを調製することができる。
【0196】 好ましくは異種ポリペプチドは、リンカーペプチドを通してコートタンパク質
又はその異型に付着される。リンカーは、C末端提示を可能にするあらゆる数の
残基を含有していてよく。一般には約4個〜30個、好ましくは約8〜約20個
のアミノ酸残基を含有することになる。リンカーは、自然に生ずるあらゆる残基
を含むことができるは、グリシン及び/又はセリンを主に(50%を超える)含
むリンカーが好ましい。特定のポリペプチドを提示するための最適なリンカー組
成及び長さは、以上で記述し例中で立証されるファージ提示を用いて選択するこ
とができる。例えば、各々種々のリンカー長を含有するファージライブラリーを
構築することができ、異種ポリペプチドの発現及び提示を最適化するあらゆる長
さのリンカーのアミノ酸組成物を分離するために、ファージ選択及びパンニング
を使用することができる。
【0197】 上述のN末端提示の場合と同様、ファージ粒子の表面上での異種ポリペプチド
の提示を改善する異型コートタンパク質が野生型に関連して複数の突然変異を含
有する場合、同様に、新しい異型及び野生型コートタンパク質で得られるレベル
の間の中間レベルで異種ポリペプチドを提示する異型を得ることも可能である。
これは異型の各々の突然変異されたアミノ酸を野生型配列又はもう1つの改変さ
れた残基に戻るよう別々に復帰突然変異させることによって達成できる。これら
の復帰突然変異は一般に、異種ポリペプチドの提示レベルを、異型及び野生型コ
ートタンパク質で得られる提示レベル間で変動するレベルまで低減させることに
なる。復帰突然変異を組合わせることにより、提示を、異型で得られるものと野
生型コートタンパク質で得られるものの間にある所望のレベルに誂えることが可
能である。
【0198】 類似のプロセスにより、野生型コートタンパク質のレベルより低いレベルで提
示する異型を得ることが可能である。例えば、1つ以上のゾーンで突然変異を行
なうことができ、産生されたライブラリーを、弱くしか結合しない(野生型融合
を提示するファージに比べて弱い)ファージについてパンニングすることができ
る。より弱い結合ファージは、野生型コートタンパク質融合を提示するファージ
により置換えられることになり、既知の方法を用いて分離及び配列決定され得る
【0199】 ウイルスコート内への取込みのためには低機能性でありしたがって野生型コー
トタンパク質との関係における融合タンパク質の提示を低減させる突然変異体コ
ートタンパク質を得ることもできる。この場合、突然変異は、高機能性異型につ
いての上述の選択において野生型として保存される傾向をもつ残基の中で行なわ
れる。高機能性異型についての選択の間に野生型としてこれらの残基の保存は、
これらの残基における突然変異が充分に許容されず、低機能性異型を産生する傾
向をもつことになる、ということを表わしている。これらの部位の突然変異を突
然変異によって得られた突然変異体は、次に、野生型コートタンパク質提示レベ
ルとの関係において所定の融合タンパク質を提示させるその能力についてスクリ
ーニングされ得る。野生型との関係において所望の低減したレベルでの融合を提
示する低機能性異型は、次に、ファージ提示を目的として融合タンパク質のライ
ブラリーを構築するために使用することができる。低機能性異型の産生のための
好ましい残基は、野生型として保存されたものであるは、コートタンパク質のあ
らゆる残基を突然変異させ、結果として得られた突然変異体を、融合タンパク質
の提示を可能にするその能力についてテストすることができる。このように、単
に適切な高機能性突然変異体を使用することにより野生型によって付与されるも
のに比べて低い提示レベルを選択することが可能である。上述の高機能性異型の
場合と同様に、所望されるレベルまでのさらなる提示の低減を生み出すべく、数
個の低機能性突然変異を組合わせることができる。低機能性異型の選択には、選
択よりもむしろスクリーニングスクリーンが必要であるものの、この方法は、タ
ンパク質中の大部分の突然変異が活性の増加ではなくむしろ減少をひき起こすこ
とから比較的単純であり、適切なスクリーニング手順が知られている。したがっ
て、コートタンパク質内の大部分の突然変異は、低機能性異型を結果としてもた
らす有害な突然変異であるはずである。
【0200】 ファージ粒子の表面上にcDNAライブラリーを提示するためには、C末端提
示が有用である。選択された組織源からmRNAを精製することができ、そして
2本鎖cDNAを、標準的な技術を用いて合成することができる(Sambrook et
al., 1989, Molecular Cloning. A Laboratory Manual, 第2版 Cold Spring Ha
rbor, New York)。次に、読取り枠を含む(1つ以上の)ファージミド又はファ
ージベクターは、Sambrook et al. 及び上述のファージ及びファージミドの参考
文献の中に開示された充分立証された技術を用いて構築され、そして、cDNA
はコートタンパク質遺伝子の3′末端でベクター内に連結される。その後、宿主
細胞はベクターライブラリーを用いて好ましくは電気穿孔により形質転換され、
cDNAライブラリーのメンバーに対応する異種ポリペプチドを提示するファー
ジ粒子が(ファージミドベクタのためのヘルパーファージの重複感染を伴って)
得られる。得られたC末端ファージ提示ライブラリーは、従来のファージ提示技
術を用いて、パンニングし分析されうる。
【0201】 本発明のC末端提示は同様に、N末端提示を使用した場合には提示が困難であ
る細胞内、好ましくは哺乳動物の細胞内タンパク質又はそのフラッグメント、及
びポリペプチドを提示するためにも有用である。したがって、C末端提示は、N
末端提示に対する相補的提示技術である。細胞内タンパク質は、酸化還元環境(
分泌されたタンパク質が折畳まれそしてジスルフィド結合を形成する環境に比べ
て細胞内タンパク質が通常に存在する)における差異に起因して、N末端提示を
用いる正しく折畳まれた形で提示することが困難であり得る。細胞質は、周辺質
が酸化環境であるのに対し還元環境である。C末端異種性融合タンパク質は、通
常のファージ粒子組立て部品として周辺質まで移動する。しかしながら、異種ポ
リペプチドは周辺質膜の細胞内側にとどまっていることから、ファージ粒子内へ
の取込みに先立って細胞内ポリペプチドを正しく折畳むことができる。ファージ
又はファージミド粒子の組立て中に、C末端融合タンパク質は粒子内に取込まれ
、その表面上で異種ポリペプチドを提示する。
【0202】 C末端提示は、N末端提示システムで遭遇する分泌問題を回避する。N末端提
示では、一般に、N末端上の異種ポリペプチドは、膜内にアンカーとしてC末端
がとどまっている状態で、周辺質空間に入るために周辺質膜内の孔様構造を通過
しなければならないと考えられている。このとき、融合タンパク質は膜からファ
ージ粒子に組立てられる。C末端提示を用いると、ファージ粒子を組立てるため
に宿主細胞周辺質内に融合タンパク質を分泌させる必要はない。したがって、C
末端提示は、あらゆる異種ポリペプチドを提示するために有用であり、N末端フ
ァージ提示技術を用いて提示し難いポリペプチドを提示するのに特に有用である
【0203】 ウイルス粒子組立て中に周辺質内に分泌される外来性ポリペプチドを提示する
ためにも、C末端提示を使用できる。例えば、潜在的膜タンパク質のライブラリ
ーを構築し、コートタンパク質として機能する能力をもつライブラリーのメンバ
ーを選択することにより、ライブラリーに対し選択的圧力を加え、C末端融合と
して外来性ポリペプチドを有し、かつ外来性ポリペプチドが周辺質にあり融合タ
ンパク質のN末端が細胞質内にある状態で細胞膜内において正向するコートタン
パク質を用いることが可能である。該融合タンパク質は、好ましくは、細胞質領
域として正に帯電したN末端部分を、また膜貫通領域として疎水性コア部分を有
する。かかる構造は、細菌分泌シグナルに似ている。一部分のライブラリーメン
バーは、分泌シグナルとして機能し、そしてN末端が細胞質内に又C末端が周辺
質内にある状態で細菌膜の中に挿入されることになる(逆コートタンパク質)。
膜内に挿入しうる融合の一部分は、ファージ又はファージミドコートとの有利な
相互作用によって組立てウイルス粒子内に取り込まれることになる。複数の段階
で適切なライブラリーを設計することができる。例えば、コートタンパク質のラ
イブラリーのC末端に融合されたエピトープタグを用いることにより潜在的コー
トタンパク質のライブラリー(単複)から逆コートタンパク質を選択することが
可能である。ファージ粒子組立ての後、エピトープタグに結合する抗体を用い、
粒子の表面上でタグを提示するウイルス粒子ライブラリーのメンバーを分離する
。結合する粒子は、従来のファージ提示技術を用いて分離/選択し、そしてクロ
ーニングすることができる。第2工程では、ファージ提示により選択体の1つを
さらに発達させ、粒子コート内への改善された取込みについて選択することがで
きる。また、1つ以上のライブラリーを構築し、エピトープタグを最も良く提示
するようなタンパク質又は粒子の表面上のその他のタンパク質について選択する
ためコートタンパク質の異なる領域を突然変異させることができる。本発明に従
って調製されたコートタンパク質融合及びウイルス粒子は、現在ファージ提示が
使用されている用途全てを含め、ウイルス構造及び組立てプロセスを評価し、抗
体及びそのフラッグメントといった親和力成熟結合タンパク質に対しタンパク質
上のエピトープを結合する抗体をマッピングし、より高い結合親和力をもつ結合
タンパク質を提供し、酵素などの上の活性及びアロステリック部位に結合するポ
リペプチドを産生するのに有用である多様な手段を提供する。
【0204】 以上で引用した全ての特許及び参考文献は、その全体が参考として本書に内含
される。
【0205】 例1−E.coliSS320の構築 既知のプロトコール(J. H. Miller, 1972, Experiments in Mobecular Biolo
gy, p190)に従って、XL1−BLUE細胞からMC1061細胞までF′エピ
ソームが移送される細菌交配により、新しい細胞系統SS320を調製した。よ
り具体的には、下記工程を用いて、SS320細胞を得ることができる: − OD600=0. 5までLB肉汁中でMC1061及びXL1−BLUE
の1. 0mlの培養を成長させる(新たにストリークしたプレートのシングルコロ
ニー。MC1061をLBプレート上にストリークした。XL1−BLUEをL
B/テトラサイクリン(10μg/ml)上にストリークした)。 − 各培養物0. 5mlを混合し、ゆっくりと振とうさせながら(回転振とう機
の上で50rpm)37℃で1時間成長させる。1時間の交配の後、交配を分析する
ため250rpmで撹拌する。 − LB/テトラサイクリン(10μg/ml)/ストレプトマイシン(10μg/ml
)上に希釈液をプレートする。 − MC1061は、XL1−BLUEのF′プラスミドがテトラサイクリン
耐性を付与するのに対し、ストレプトマイシン耐性染色体マーカーを有している
。したがって、XL1−BLUE F′エピソームを有する交配子孫(MC10
61)のみは、両方の抗生物質に対する耐性をもつことになる。MC1061と
XL1−BLUEの混合されていない培養は、いずれの親も2重耐性をもたない
ことから、対照として選択培地上にプレートされ得る。 − 結果として得られた菌株(SS320)は、電気穿孔及びファージ産生の
ために使用することができる。
【0206】 出発MC1061細胞(Bio-Rad Laboratories, Inc から入手可能)及びXL
−1−BLUEエピソーム(XL1−BLUE細胞内の Stratagene, Inc. から
入手可能)並びに結果として得られるSS320細胞の遺伝子型は、下記: XL1−BLUE F′エピソーム F′:: Tn10proA+B+lacIqD(lacZ)M15 MC1061 F-araD139D(ara-leu)7696galE15galK16D(lac)X74rpsL(Strr)hsdR2(rk -mk +)mcrAm
crB1 SS320 F::Tn10proA+B+lacIqD(lacZ)M151 F-araD139D(ara-leu)7696galE15galK16D(lac)X74rpsL(Strr)hsdR2(rk -mk +)mcrAm
crB1 の通りである。
【0207】 標準的洗浄工程が行なわれた後に、細胞生存及び生存度について異なるE.coli
菌株を評価し、電気穿孔のために細胞を調製した。250mlの培養中でE.coliを
成長させ、そして前述のように電気穿孔のため調製した。コロニー形成単位の総
数を、洗浄手順の前後で滴定し、結果は以下に示されている。
【0208】
【表4】
【0209】 一定濃度のDNAで異なるE.coli菌株を用いて行われる形質転換収量は、電気
穿孔反応における生育可能なE.coli細胞の濃度に依存する。所定の菌株で達成可
能な生細胞の最大濃度は、電気コンピテント細胞の調製に関与する洗浄段階に対
するその菌株の耐性に左右される、ということが今発見された。電気穿孔のため
の特定細菌(例えばE.coli)菌株の適合性は、以下の手順を用いて容易に判定で
きる。
【0210】 1L入りのバッフル付きフラスコ内でOD600=0.6まで、250mlの細
菌培養を成長させる。小量を取り出し、希釈液を適切な培地上でプレートして、
生細胞の総数を測定する:この数字は、細胞投入量(投入量、I)である。(使
用される培養の量について適宜縮小された)例2に記述されたように、電気コン
ピテント細胞産生のための標準的手順に従う、生細胞の総数を測定するために適
切な培地上に電気コンピテント細胞の最終調製物の希釈液をプレートする。この
総数は、電気コンピテント細胞調製手順を生きのびた細胞の数である(生存細胞
、S)SをIで割ると生存細胞対投入量比(S/I)が得られる。電気穿孔に理
想的に適した菌株(すなわち、DNAの定濃度におけるその他の菌株と比較して
最高の形質転換収量を与える菌株)については、S/I比は1に等しくなるはず
である。このことはすなわち、投入細胞の全てが電気コンピテント細胞調製手順
を生きのびたということを表わしている。S/I比の低下は、電気コンピテント
細胞調製物における生細胞の濃度の減少に対応する。このことは、それ自体形質
転換収量の減少という結果をもたらす。したがって所定のDNA濃度で最高の形
質転換収量を得るためには、最高のS/I値を伴う菌株が使用されるべきである
【0211】 例2−電気穿孔のためのE.coliの調製 以下に記述されているように電気穿孔コンピテント細胞を調製した: 1.新鮮なLB/tetプレートのSS−320を1mlの2XYT培地(5mg/ml
)のテトラサイクリン)に接種した。約6時間成長させ、500ml入りフラスコ
の中に2xYT/テトラサイクリンを50ml接種する:一晩成長させる。 2.上述の培養の5mlを2Lバッフル付きフラスコ内で6×900mlのSuperb
roth(5mg/mLのテトラサイクリン)に接種し、37℃、200rpmでOD600
0.6−0.8まで細胞を成長させる。 3.氷上で3個のフラスコを冷やす。さらなる工程を、低温室内において予め
冷やした溶液及び機器を用いて氷上で行なった。 4.SORVALL GS3 ROTOR内で5.5K/5分で遠心分離し、全て
の上清をデカントする。残りの3本のフラスコから同じ試験管に培養を加え、再
度スピンさせ、デカントする。 5.旋回させるか又は撹拌することによりpH7.4で等体積の1mMのHEPE
Sの中で再懸濁させる。5.5k/10分で遠心分離に付し、上清をデカントする
。 6.上記(5)にあるように、等体積の1mMのHEPES中で再懸濁させる。
5.5k/10分で遠心分離に付し、上清をデカントする。100mlの10%(v/v
)グリセロール中で各ペレットを再懸濁させる(滅菌フィルタ;超純粋グリセロ
ール(Gibco BRL#15514−011))。 7. 5.5k/15分で遠心分離に付し、全ての上清をデカントする。最小量
の10%グリセロール中に再懸濁させる。5Lの出発培養について約3mlの10
%グリセロールを用いると、約3〜4×1011cfu/mlで約12mlの濃縮細胞が産
生される。
【0212】 例3−突然変異誘発の充てん 突然変異誘発反応は、以下に示す変更を伴ってU.S.5,750,373に記述されてい
る手順を用いて行なわれた: 1)オリゴのキナーゼ オリゴ4μl(330ng/mlのストック、即ち A260=10) 10×TM緩衝液4μl(0.5Mのトリス pH7.5、0.1MのMgCl2) 10mMのATP 4μl 100mMのDTT 2μl H2O 24μl キナーゼ 2μl(NEB、10U/μl) 40μl − 0.5時間37℃でインキュベートする。 2) オリゴ/鋳型のアニール クンケル鋳型 40μg キナーゼ化オリゴ 1.2μg(上述のキナーゼ反応からの40μl;オリゴ/鋳
型=3) 10×TM緩衝液 25μl 最終体積 250μlとなるまでH2Oを添加する。 − 2分間90℃で、3分間50℃でインキュベートする。 3)充てん − 以下のものを加える。 100mMのATP 1μl 25mMのdNTP 10μl(dATP,dCTP,dGTP,dTTP各25
mM) 100mM DTT 15μl T4リガーゼ 6μl(NEB,400U/μl) T7 ポリメラーゼ 3μl(NEB, 10U/μl) − 3時間20℃でインキュベートする。
【0213】 例4−E.coli電気穿孔 電気穿孔を以下に記述するとおりに行なった: 1.等体積のフェノール/CHCl3で、充てん反応物を抽出する。等体積の
CHCl3で抽出する。QLAクィックゲル抽出キット(QIAGEN)を用い
てDNA(60マイクログラム)を精製し脱塩する。各反応について2本のカラ
ムを用いる。QIAGENで概略説明されているような洗浄及び溶離手順に従う
;H2O30μlで各カラムを溶離してH2O 60μl中の80μgという充てん
産物(2本鎖に変換された40μgの1本鎖DNA)の理論上の最終収量を得る
。 2.コンピテントE.coliSS320 350μl中にDNA(60μl)を電気
穿孔する。2.5kV,200オーム、25μFという設定値で0.2cmのギャップ
の細胞を用いる。各反応について2つの細胞を使用する(すなわち各細胞につい
て200μl)。パルス後、25mlのSOC培地まで細胞を移送し、表現型発現
のため培養する。表現型発現の後、選択的及び非選択的培地上での滴定のため少
量のアリコートを取り出す。ファージミド選択のための適切な抗生物質及びVC
Sヘルパーファージ(m,o,i=10)を含有する500mlの2XYT(2−
L入りバッフル付きフラスコ)に細胞を移送する。一晩成長させ、朝ファージを
収集する。
【0214】 例5−超高DNA及びE.coli濃度をもつ大型ライブラリー構築 2つの異なる1本鎖鋳型(a及びb)及びミスマッチオリゴヌクレオチドを用
いて例3の充てんプロトコールに従う。1)20μg,2)30μg又は3)40
μgという3つの異なる投入鋳型量を用いた。
【0215】 充てん及び精製の後、60μlの水中で以下の2本鎖DNA数量が得られた。
【0216】
【表5】
【0217】 各反応を用いて340μlのSS320(3×1011cfu/ml)を電気穿孔した
。こうして1×1011個の細胞で合計量400μlが得られる。各反応を2つの
200マイクロリットルのアリコートにて電気穿孔した。
【0218】
【表6】
【0219】 これらの結果は、高いDNA濃度での電気穿孔についての時間定数が3.0MS
よりもはるかに高く、電気穿孔は高いDNA濃度で容易に実施されるということ
を表わしている。
【0220】 形質転換体の数及び形質転換中の細胞の生存を評価し、下表に示す:
【0221】
【表7】
【0222】 例6−高濃度DNA電気穿孔 1本鎖鋳型及びミスマッチオリゴヌクレオチドで、標準的充てんプロトコー
ルに従った。750μg/mlで400μlのDNAを産生するため7つの同一の反
応を精製しプールした(OD260=15.0)。
【0223】 異なる量のDNAを、1.5×1011細胞/mlというE.coli定濃度で200μl
の最終体積でE.coliSS320に電気穿孔した。0.2cmキュベット@2.5kV/c
m、200オーム、25μFという条件を使用した。電気穿孔の後、30分間10
mlのSOC培地内で反応を成長させ、次にLB(生存)及びLB/カルぺニシリ
ン(50μg/ml)(形質転換)の両方で滴定した。
【0224】
【表8】
【0225】 例7−超高DNA及びE.coli濃度での複数の電気穿孔を用いた極度に大きいラ イブラリーの構築 1本鎖鋳型及びミスマッチオリゴヌクレオチドで、例3の充てんプロトコール
に従った。投入鋳型の数量は40マイクログラムで、35回の同一反応が行なわ
れた。
【0226】 充てんの後、フェノール/CHCl3及びCHCl3での抽出が省略されたとい
う点を除き例4で記述されたとおりに精製が行なわれ、各カラムを50マイクロ
リットルのH2Oで溶離した。各反応について2本のカラムを使用し、したがっ
て、各反応についての理論上の最終収量はH2O 100マイクロリットル中充
てん産物80マイクログラムであった。
【0227】 700マイクロリットルのSS320(3×1011cfu/ml)を電気穿孔するた
め各反応を使用した。こうして、2×1011細胞で800マイクロリットルの合
計体積が得られる。衝撃の後、50mlのSOC培地に細胞を移送したという点を
除いて、例4に記述されている通りに、2つの400マイクロリットルアリコー
ト中で各反応を電気穿孔した。表現型発現の後、細胞を選択培地上で滴定した。
組合わせた時点で、35回の独立した反応は、1.79×1012個の異なるメン
バーというライブラリーサイズを提供した。35回の独立した反応についての結
果を以下に示す:
【0228】
【表9】
【0229】 さらなる例のための材料 ジデオキシヌクレオチドのための試薬は、United States Biochemicalsからの
ものであった。酵素及びプラスミドpMal−p2は、New England Biolabsか
らのものであった。Maxisorp免疫プレートは、NUNC(Roskilde,デンマーク
)からのものであった。E.coli XL1−Blueは、Stratageneからのもので
あった。E.coli SS−320の構築については以上に記述されている。ウシ血
清アルブミン(BSA),Tween20及びO−フェニレンジアミンジヒドロ
クロリドはSigmaからのものであった。HRP/抗M13接合体はPharmacia Biot
echからのものであった。Streptomyces avidiniiはATCC(受入れ番号274
19)からのものであった。ヤギ抗ストレプトアビジンポリクローナル抗体は、
Zymed Laboratories (South San Francisco, USA)からのものであった。
【0230】 例8−21のためのオリゴヌクレオチド DNA縮重は、IUBコードで表わされている(K=G/T,N=A/C/G/T
,R=A/G,S=G/C,W=A/T,Y=C/T)。
【0231】
【表10】
【0232】
【表11】
【0233】
【表12】
【0234】
【表13】
【0235】 例8−pS349;タンパク質VIII上のhGHのファージ提示のためのファー ジミド hGHのための遺伝子を含有するDNAフラッグメントを、PCRを用いて増
幅させた(プラスミドpB0475の誘導体(Cunningham, B. C., Jhurani, P.
, Ng, P., and Wells, J. A. (1989) Science 243:1330-1336を鋳型として用い
、オリゴヌクレオチドhGH1及びhGH−2をプライマとして用いる)。DN
AフラッグメントをNsiIで消化させ、まず最初にKasIで消化されT4DN
Aポリメラーゼで処理されて平滑末端を産生しその後NsiIで消化されたタン
パク質 VIII提示プラスミド内にクローニングした(Lowman, H. B., Chen Y. M.
, Skelton, N. J., Mortensen, D. L., Tomlinson, E. E., Sadick, M. D., Rob
inson. I. C. A. F., and Clark, R. G. (1998)Biochemistry 37:8870-8878)。
結果として得られたファーシミドをps135aと呼称した。
【0236】 Ptacプロモータの制御下でマルトース結合タンパク質からのシグナルペプ
チドをコードする遺伝子フラッグメント及びlacIq遺伝子を含有するpMa
l−p2の1.6kbpフラッグメント(New England Biolabs 製品カタログ(1996
-97)p212)を増幅させるため、プライマーIPTG−1及びIPTG−2と共に
PCRが用いられた。DNAフラッグメントをEcoRI及びNsiIで消化し、
pS135aの類似の消化の結果得られた大きなフラッグメントと連結させた。
結果として得られたファージミド(pS349と呼ばれる)は、IPTG誘発可
能なPtacプロモータ(New England Biolabs)の制御下でE.coliバクテルオフ
ァージM13のタンパク質VIII 及び融合産物(マルトース結合タンパク質シグ
ナルペプチドとそれに続くhGH,及びそれに続くGly/Ser-に富むリン
カーペプチド(QSGGGSGSSS)(配列番号78))をコードする遺伝子
を含有する。さらに、pS349は又、IPTG配列内での有効な転写抑制のた
めのlacIq遺伝子をも含有している。
【0237】 例9−pw277e:タンパク質 VIII 上でのSAVのファージ提示のための ファージミド pS349の誘導体を構築し、pS657aと呼称した。pS657aは、2
つの点でpS349と異なっている。第1に、hGHをコードする遺伝子は、ペ
ンタペプチドをコードする配列(GGRPV)(配列番号79)によって置換さ
れている。第2に、タンパク質VIIIに先行するリンカー内のXbaI部位の導入
は、グルタミンをコードするコドンをアンバー(TAG)停止コドンに変えた。
NsiI及びXbaIでの消化は、ペンタペプチドコーディング配列を切除し、
そしてpS349内のhGH遺伝子のものと類似した位置の中に適切に消化され
たDNAフラッグメントの方向性クローニングを可能にする。
【0238】 Streptomyces avidiniiゲノムDNAを鋳型として用いて、そしてオリゴヌク
レオチドSAV−1及びSAV−2をプライマーとして用いて、PCRを実施し
た。増幅されたDNAフラッグメントは、5′末端にNsiI部位か又3′末端
でXbaI部位がフランキングされたストレプトアビジン(SAV)遺伝子読取
り枠のコドン16から133までを含んでいた。フラッグメントを、NsiI及
びXbaIで消化させ、類似の要領で消化されたファージミドpS657a内に
クローニングした。結果として得られたファージミド(pW277e)は、hG
HがSAVで置換されているという点を除いてpS349によりコードされたも
のと類似の融合産物をコードする。同様に、アンバーコドンは、SAV及びタン
パク質VIIIをコードするセグメントの間に位置づけされた。
【0239】 例10−突然変異体タンパク質VIIIライブラリーの構築 ライブラリー構築のため、タンパク質VIIIを各々約10個の隣接残基を包含す
る5つのゾーン(ゾーン1、残基1〜10;ゾーン2、残基11〜20;ゾーン
3、残基21〜30;ゾーン4、残基31〜39;ゾーン5、残基40〜50)
に分割した。以前に記述された方法の修正版(上述のSS320)を用いてライ
ブラリーを構築した(Lowman, H. B. (1998)タンパク質足場上でのペプチドラ
イブラリーのファージ提示。出典:Methods in Molecular Biology, 第87巻:
組合せペプチドライブラリープロトコール。編集:S. Cabilly. Publisher. Hum
ana Press Inc., Totowa, NJ) 。各ゾーンについて簡単に言うと、クンケルの方
法(Kunkel, T. A. (1985)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:488-492)を用い、
ゾーン内に2つの連続するTGA停止コドンを導入するための鋳型としてpS3
49(hGH提示用)又はpW277c(SAV提示用)のいずれかを用いて、
オリゴヌクレオチド(g8stopn,ここで「n」はゾーン番号)を使用した。結果
として得られたファージミドを、所望の部位で突然変異を導入するように設計さ
れた縮重オリゴヌクレオチド(g8Vn,ここで「n」はゾーン番号)でのクンケ
ル方法の第2ラウンドにおいて鋳型として使用した。
【0240】 pS349のhGHタンパク質VIII融合産物内で、タンパク質VIII一部分の各
ゾーンについてライブラリーを構築した。これらのライブラリーの多様性は以下
のとおりであった:ゾーン−1、2.5×1010;ゾーン−2、2.5×1010
ゾーン−3、2.5×1010;ゾーン−4、1.3×1010;及びゾーン−5、5
.0×109。pW277eのSAVタンパク質VIII融合産物内で、タンパク質VI
II半分のゾーン−1、ゾーン−2及びゾーン−3についてライブラリーを構築し
た。これらのライブラリーの多様性は以下の通りであった:ゾーン−1、3.0
×109;ゾーン−2、6.8×109;及びゾーン−3、8.6×109
【0241】 融合されたタンパク質とタンパク質VIIIの間でリンカーを変動させるためにも
ライブラリーを構築した。hGH提示については、hGHとタンパク質VIIIの間
のリンカー内に2つの連続するTGA停止コドンを導入するために、オリゴヌク
レオチドLstopを使用した。結果として得られたファージミドは、pS349に
よりコードされたGly/Serに富むリンカーに代って、(Gly)3(Xaa) 14 (Gly)2(ここでXaaは位置可変である)という形のリンカーを導入する
ように設計された縮重オリゴヌクレオチド(LV)と共にクンケルの方法の第2
ラウンドで鋳型として使用された。SAV提示については、リンカーは、SAV
及び突然変異体タンパク質VIII(le)の間で変動した(タンパク質VIII(le)の配列
については、図2を参照せよ)。オリゴヌクレオチドLstop2を使用し、SAV
とタンパク質VIII(le)の間のリンカー内に3つの連続するTAA停止コドンを導
入した。結果として得られたファージミドは、可変的長さ及び可変的配列のリン
カーと共にライブラリーの産生のための鋳型として使用された。オリゴヌクレオ
チドLV5、LV10、LV15、LV20及びLV25は、それぞれ5、10
、15、20又は25個の可変的残基を含むリンカーと共にライブラリーを構築
するために用いられた。
【0242】 リンカーライブラリーの多様性は、以下のとおりであった:hGH−LV−タ
ンパク質VIII、1.8×1010;SAV−LV5−タンパク質VIII、1.4×10 10 ;SAV−LV10−タンパク質VIII、9.8×109;SAV−LV15−タ
ンパク質VIII、1.2×1010;SAV−LV20−タンパク質VIII、1.1×1
10;SAV−LV25−タンパク質VIII、6.0×109
【0243】 例11−融合タンパク質提示を増強させるタンパク質VIII異型の選択 上述のhGHタンパク質VIIIライブラリーのファージを標的として、96ウェ
ルのMaxisorp免疫プレート上にコーティングされたhGHbpを用いた結合選択
ラウンドを反復させた。(Fuh, G. et al. (1990)J. Biol. Chem. 265:3111; Cu
nningham, B. C., Ultsch, M., De Vos, A. M., Mulkerrin, M. G., CAlause
r, K. R., 及び Wells, J. A. (1991)Science 254:821-825)。全てのライブラ
リーを別々にソートした。M13−VCSヘルパーファージ(Stratagene)を用
いて、E.coli SS320細胞内でファージを増殖させた。5回の結合選択ラウ
ンドの後、個々のファージを分離し、そして標的としてhGHbpを用いるファ
ージELISAを用いるhGH提示について分析した(以下参照)。ファージE
LISAにおいて強いシグナルを示したファージを配列決定した(Sanger, F. e
t al. (1979) Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 74:5463-5467)。
【0244】 SAVタンパク質VIIIライブラリーはプールされ、そして結合標的が抗SAV
ポリクローナル抗体であったという点を除いて、hGHタンパク質VIIIライブラ
リーについて上述した通りに結合選択が実施された。アンバー停止コドンがグル
タミンとして抑圧されているSupEのE.coli菌株XLl−BLue中でファー
ジを増殖させた。(Bullock, W. O., Fernandez, J. M., and Short, J. M. (19
87) Biotechniques 5:376-379)。
【0245】 例12−部位特異的突然変異誘発 突然変異誘発は、クンケルの方法を用いて実施された(Kunkel, et al. (1987
)Meth. Enzymol. 154:367-382)。ヘルパーファージとしてM13−K07ファ
ージを有する宿主細胞中で適切なプラスミド(例えば、M13遺伝子IIIのカル
ボキシ末端半分に融合されたhGH遺伝子を含有する)適切なプラスミドを成長
させることによって、鋳型DNAを調製した。突然変異誘発のために1本鎖ウラ
シル含有DNAを調製し、hGHタンパク質VIII遺伝子融合内に所望する突然変
異を導入した。T7DNAポリメラーゼ及び適切なオリゴデオキシヌクレオチド
を用いてオリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発を実施した。突然変異誘発から
のクローンをジデオキシDNA配列決定により確認した。
【0246】 突然変異誘発オリゴヌクレオチドg8(1a)を使用し、ファージミドpW2
77e内に選択体hGHタンパク質VIII(1a)のタンパク質VIII異型を導入し
た。適切に命名されたオリゴヌクレオチドを用いて突然変異体hGH遺伝子を構
築した(例えば、オリゴヌクレオチドR64Aは、Arg64からAlaへの突
然変異をコードする)。
【0247】 突然変異誘発オリゴヌクレオチドg8V2cを使用し、タンパク質VIII(1a)を
コードする遺伝子の中にタンパク質VIII(2a)の突然変異体を導入した。突然
変異誘発オリゴヌクレオチドg8V3cを用い、タンパク質VIII(3a)の突然
変異を遺伝子コーディングタンパク質VIII(2a)内に導入した。突然変異E1
2N、D16A、又はI17Sを、突然変異誘発オリゴヌクレオチドg8V2−
E12N、g8V2−D16A又はg8V2−I17Sを用いて、タンパク質VI
II(2a)をコードする遺伝子内に、突然変異E12N、D16A又はI17S
を導入した。
【0248】 例13−タンパク質VIII及びそのタンパク質VIII異型上での融合タンパク質提 示の相対的レベルを決定するためのファージELISA ファージミドを有するE.coliXL1−Blue(Bullock, W. O., Fernandez,
J. M., and Short, J. M. (1987) Biotechniques5: 376-379)の培養を、2Y
Tの1ml、50μg/mlのカルベニシリン、10μg/mlのテトラサイクリン中で、
37℃で8時間成長させた。培養物を37℃での一晩成長のため、同じ培地(適
切な濃度でのM13−VCSヘルパーファージ(1010ファージ/ml)及びIP
TGを追加された)30mlに移した。PEG/NaClで2回沈降させて培養上
清からファージを収集し(Lowman, H. B., (1998)タンパク質足場上のペプチド
ライブラリーのファージ提示。出典:Methods in Molecular Biology,第87巻
:Combinatorial Peptide Library Protocols.編集:S. Cabilly. Publisher:H
umana Press Inc., Totowa, NJ)PBSの1ml、0. 2%のBSA、0.1%の
Tween(BSAブロッキング緩衝液)中で再懸濁させた。分光光度計により
ファージ濃度を決定した(∈268=1.2×108-1cm-1)。
【0249】 室温で2時間、Maxisorp免疫プレート(96ウェル)に標的タンパク
質をコーティングした(50mMの炭酸緩衝液中に5μg/mlで100μl,pH9.6
)。次に、プレートをリン酸緩衝溶液(PBS)中の0.2%のBSAを用いて
1時間ブロックし、次いでPBS、0.05%Tween20で洗浄した(8×
)。PBS、0.2%BSA、0.1%Tween(BSAブロッキング緩衝液)
を用いて、ファージ粒子を階段希釈し、次に、コーティングされたウェルにこれ
を移した(100μl)。1時間後、プレートをPBS、0.05%のTween
20で洗浄し(8×)、30分間BSAブロッキング緩衝液中の1:3000H
RP/抗M13コンジュゲート100μlを用いてインキュベートし、その後、P
BS、0.05%Tween20(8×)及びPBS(2×)で洗浄した。o−
フェニレンジアミノジヒドロクロリド/H22溶液(100μl)を用いてプレ
ートを展開させ、2.5MのH2SO4(50μl)で停止させ、492nmで分光光
度計により読取りを行なった。Li, B. et al., (1995)Science 270; 165-1660。
【0250】 例14−hGHの増強された提示について選択されたタンパク質VIII異型上の SAVの提示 突然変異誘発オリゴヌクレオチドg8V2bを用いてクンケルの方法(例12
)を使用し、選択体hGH−タンパク質VIII(2a)のタンパク質VIII突然変異
をファージミドpW277e内に導入した。結果として得られたファージミドは
、融合半分中のタンパク質VIIIが突然変異体タンパク質VIII(2a)の突然変異
を含有していたという点を除いて、PW277eによりコードされたものと同一
の融合タンパク質をコードした。SAV提示は、標的として抗SAVポリクロー
ナル抗体(図4a)又はビオチニル化BSA(図4b)のいずれかを用いてファ
ージELISA(例13)によって測定された。
【0251】 例15−減衰した結合親和力をもつhGH突然変異体の提示及び検出 hGHbpに対する部位1結合親和力が低減したhGH突然変異(Pierce et
al.,前出)を、野生型タンパク質VIII又は突然変異体タンパク質VIII(1a)の
いずれかに対する融合として提示させた。突然変異誘発オリゴヌクレオチド:h
GH(R64A)、オリゴヌクレオチドR64A;hGH(D171A)、オリ
ゴヌクレオチドD171A;hGH(Y164A/R178A)、オリゴヌクレ
オチドY164A/R178A;hGH(K172A/R178A)、オリゴヌク
レオチドK172A/R178Aを用いたクンケルの方法(例12)を用いて突
然変異体hGH遺伝子を構築した。野生型タンパク質VIIIと融合されたhGHの
提示について、突然変異誘発鋳型は、pS349であった。異型タンパク質VIII
(1a)と融合されたhGHの提示については、鋳型は、タンパク質VIII(1a)
に融合されたhGHから成る融合タンパク質をコードするpS349の誘導体で
あった。hGH提示は、標的としてhGHbpを用いてファージELISA(例
13)によって測定された(図3)。
【0252】 例16−異なるゾーン内での突然変異を組合わせるタンパク質VIII異型を用い たhGHの提示 クンケルの方法(例12)を使用し、増強されたhGH提示について独立して
選択されたタンパク質VIII異型の突然変異を組合せた。オリゴヌクレオチドg8
V2cを使用し、タンパク質VIII(1a)をコードする遺伝子内にタンパク質VII
I(2a)の突然変異を導入した。オリゴヌクレオチドg8V3cを使用し、タン
パク質VIII(2a)をコードする遺伝子内にタンパク質VIII(3a)の突然変異を
導入した。標的として抗−hGHモノクローナル抗体を用いてファージELIS
A(例13)によりhGH提示を測定した(図5)。
【0253】 例17−野生型配列への復帰突然変異によるタンパク質VIII(2a)に由来す
るタンパク質VIII異型を用いたhGHの提示 クンケルの方法(例12)を使用し、突然変異誘発オリゴヌクレオチドg8V
2−E12N、g8V2−D16A又はg8V2−I17Sをそれぞれ用いて、
タンパク質VIII(2a)をコードする遺伝子内に突然変異E12N、D16A又
はI17Sを導入した。標的として抗−hGHモノクローナル抗体を用いてファ
ージELISA(例13)によりhGH提示を測定した(図6)。
【0254】 例18−ファージミドpS1607でのhGHの提示 さらなる配列分析により、図2、3、5及び8で使用されたpS349内に含
有される融合タンパク質VIII遺伝子は、hGHとタンパク質VIIIの間のリンカー
をコードする最終塩基対及びタンパク質VIIIをコードする最初の4つの塩基対か
ら成る5つの塩基対の欠失を有していたことが明らかになった。この欠失は、h
GH提示を低減させるフレームシフトを導入した。pS349内のフレームシフ
トを補正するため突然変異誘発オリゴヌクレオチドL−wtを用いてクンケルの方
法(例12)を利用した。結果として得られたファージミドをpS1607と呼
称した。ファージミドpS1607は、このフレームシフトを補正するための5
つの塩基対の付加においてのみpS349と異なっている。pS349では、h
GH遺伝子に続く配列は以下のとおりである:CAGAGCGGTGGAGGA
TCCGGGAGCTCCAGAGGGT(下線付きの塩基は、タンパク質VIII
遺伝子の最初の一部分である(配列番号80)。pS1607では、これに対応
する配列は、以下のとおりである:CAGAGCGGTGGAGGATCCGG
GAGCTCCAgcgccGAGGGT(小文字は、オリゴヌクレオチドL−wtを
伴う突然変異誘発を通して挿入された塩基を表わしている)(配列番号81)。
hGH提示は、標的としてhGHbpを用いて、ファージELISA(例13)
によって測定された(図9)。
【0255】 例19−タンパク質VIII異型でのFab提示 ファージミドpS1705aは、タンパク質VIIIに触合されたFab重鎖及び
遊離Fab軽鎖の分泌を誘導する。Fab重鎖は同様に、特異的モノクローナル
抗体で検出されうるそのN末端に融合されたペプチドフラッグ(MADPNRF
RGKDL)(配列番号82)をも含有している。突然変異誘発オリゴヌクレオ
チドSI3A/SI7I及び鋳型pS1705aでクンケルの方法(例12)を
使用し、結果として得たファージミドをpS1709bと呼称した。ファージミ
ドpS1709bは、Fab重鎖に連結されたタンパク質VIII遺伝子は、増強h
GH提示について選択されたタンパク質VIII異型内で観察された突然変異S13
A/S17Iを含有しているという点を除き、pS1705aと同一である(図
1B)。Fab提示は、標的としてペプチドフラッグ特異的モノクローナル抗体
を用いてファージELISA(例13)により測定された。pS1709bでの
Fab提示は、pS1705aでのFab提示に比べて大きいものであった(図
10)。したがって、hGHの増強提示について選択されたタンパク質VIII突然
変異は、Fab提示も増強させた。
【0256】 例20−異なるゾーン内での突然変異を組合わせるタンパク質VIII異型を用い たhGHの提示 増強hGH提示について独立して選択されたタンパク質VIII異型からの突然変
異を組合せるために、クンケルの方法(例12)を使用した。オリゴヌクレオチ
ドg8V2cを使用し、タンパク質VIII(1a)をコードする遺伝子内にタンパ
ク質VIII(2a)の突然変異を導入した。オリゴヌクレオチドg8V3cを使用
し、タンパク質VIII(2a)をコードする遺伝子内にタンパク質VIII(3a)の突
然変異を導入した。オリゴヌクレオチドg8V3bを使用し、タンパク質VIII(
1a)をコードする遺伝子内にタンパク質VIII(3a)の突然変異を導入した。
オリゴヌクレオチドg8V3cを使用し、タンパク質VIII(1a)及びタンパク
質VIII(2a)の突然変異を含むタンパク質VIIIをコードする遺伝子内にタンパ
ク質VIII(3a)の突然変異を導入した。標的として抗−hGHモノクローナル
抗体を用いてファージELISA(例13)によりhGH提示を測定した。全て
のタンパク質VIII異型は、野生型タンパク質VIIIと比べてhGH提示を増強させ
た(図11)。
【0257】 例21−野生型配列への復帰突然変異による、タンパク質VIII選択体から誘導 されたタンパク質VIII異型を用いたhGHのモジュレーションされた提示 復帰突然変異走査は、野生型配列に復帰する異型、タンパク質VIIIといったよ
うなコートタンパク質内の各突然変異の独立した転換である。ゾーン1、2又は
3内に突然変異を伴うタンパク質VIII選択体が復帰突然変異走査分析に付された
。タンパク質VIII(1a)、タンパク質VIII(2a)及びタンパク質VIII(3a)
(図1)といった選択体が分析された。野生型配列に戻るよう所定の突然変異体
内の各突然変異を突然変異させるためにクンケルの方法(例12)を用いた。適
切に設計され命名されたオリゴヌクレオチドを使用した(例えばオリゴヌクレオ
チドD1Aはタンパク質VIII(1a)内のAspIをAlaに突然変異させる)
。さらに、同じく適切に設計され命名されたオリゴヌクレオチドを用いて、2倍
及び3倍の復帰突然変異をタンパク質VIII(2a)内に導入した(例えば、オリ
ゴヌクレオチドA13S/I17Sは、同時にA13及びI17をSerに突然
変異させる)。
【0258】 標的として抗hGHモノクローナル抗体を用いてファージELISA(例13
)を用いてhGH提示を測定した。一部分の復帰突然変異はhGH提示を低減さ
せ、hGH提示のモジュレーションを可能にした(図12)。
【0259】 例22〜25用のオリゴヌクレオチド
【0260】
【表14】
【0261】
【表15】
【0262】 例22−タンパク質VIIIのC末端に融合されたペプチドの提示のための最適な リンカー長の決定。 標準的分子生物学技術を使用し、pS1290aと呼称されるファージミドを
構築した。pS1290aは、IPTG誘発可能なPtacプロモータ(New En
gland Biolabs)の制御下の読取り枠(ORF)が欠失され新しいORFにより置
換されたという点を除いて、ファージミドpS349(例8参照)と同一である
。新しいORFは、マルトース結合タンパク質シグナルペプチドとそれに続くS
er残基及びそれに続くE.coliバクテリオファージM13の成熟タンパク質VIII
の残基2−50から成る融合産物をコードする。ORFの後には、2つのTAA
停止コドンが続き、その後には、へプタペプチド(HHHHHHA,hexaH
is)フラッグ又はエピトープタグをコードする配列(CACCATCACCA
TCACCATGCG)(配列番号108)、そしてその後には2つの停止コド
ン(TGATAA)が続く。
【0263】 pS1290aは、クンケルの方法(例12)を用いて突然変異された。タン
パク質VIIIC末端に続く2つのTAA停止コドン及び第1のHisコドンは、異
なる数のGlyコドンによって置換された。適切に設計され命名された突然変異
誘発オリゴヌクレオチドが使用された(例えば、オリゴヌクレオチドG−6は、
6つのGlyコドンを挿入する)。この結果、変動する数のGly残基とそれに
続くpentaHisフラッグ(HHHHHA)を含むリンカーで構成されたC
末端融合を伴うタンパク質VIII分子を分泌するように設計されたORFをコード
する一連のファージミドが構築されることになる。Gly残基の数のゼロ(すな
わちpolyHisフラッグが直接タンパク質VIIIC末端に融合された)から2
0まで変動した。捕獲標的として抗(His)5抗体(Qiagen)を用いてファー
ジELISA(例13)によりpentaHisフラッグ提示を測定した。
【0264】 例23−タンパク質VIIIのC末端に融合されたペプチドの提示のためのリンカ ー配列の最適化 pS1290aによりコードされたhexaHisフラッグとタンパク質VIII
の間でリンカーを変動させるように、ライブラリーを構築した。ライブラリーは
以前に記述された方法(例10参照)の改変バージョンを用いて構築した。突然
変異誘発オリゴヌクレオチドを使用し、タンパク質VIIIとhexaHisフラッ
グの間の2つのTAA停止コドンをリンカーライブラリーで置換した。リンカー
の長さは変動し、使用される突然変異誘発オリゴヌクレオチドに依存した:すな
わち、オリゴヌクレオチドUH−L4、UH−L5、UH−L6、UH−L8,
又はUH−L10は、それぞれ4、5、6、8又は10の残基を含有するリンカ
ーが導入された。リンカーライブラリーの合計多様性は5.7×1010であった
【0265】 上述のリンカーライブラリーからのファージを合わせてプールし、捕獲標的と
して抗(His)4抗体(Qiagen)を用いた何ラウンドもの結合選択を反復させ
た。2ラウンドの選択の後、個々のクローンを、標的として抗(His)4抗体
を用いたファージELISAにより、hexaHisフラッグについて検定した
。最強のシグナルを示すクローンをDNA配列分析に付し、リンカー配列をDN
A配列から演繹し以下に示す。
【0266】
【表16】
【0267】 タンパク質VIIIのC末端に融合されたペプチドの提示のために選択されたリン
カー。示された配列をタンパク質VIIIの最後の残基とヘプタペプチド(hexa
Hisフラッグと呼ばれるHHHHHHA)の間に挿入した。各々の選択体につ
いて、DNA配列は、下の演繹されたアミノ酸配列と共に示されている。各配列
のための数値的呼称が左側に示されている。
【0268】 最適化されたリンカーで達成されたpolyHisフラッグ提示レベルを、捕
獲標的として抗(His)5抗体(Qiagen)を用いたファージELISAにより、
異なる長さのポリグリシンリンカーで達成された提示レベル(例22)と比較し
た(図14)。
【0269】 例24−C末端融合としてのポリペプチドの提示のための新しいファージコー トタンパク質(タンパク質−12、P12)の設計と選択 この例は、ファージコートタンパク質のデノボでの設計及び融合タンパク質を
含むファージ粒子の表面上の問題のタンパク質の提示を実証し、いずれかの異型
ファージコートタンパク質を調製するための本発明の広い範囲を例示している。
ペプチドのレトロ翻訳というのは、一次配列の逆方向読取りであり、結果として
得られるペプチドは、もとのペプチドのレトロペプチドである。例えばペプチド
Gly−Ala−Leuのレトロ翻訳は、レトロペプチドLeu−Ala−Gl
yである。
【0270】 標準的分子生物学技術を使用し、pS1207aと呼称されるファージミドを
構築した。pS1290aは、IPTG誘発可能なPtacプロモータ(New En
gland Biolabs)の制御下のORFが欠失され新しいORFにより置換されたとい
う点を除いて、ファージミドpS349(例8)と同一である。新しいORFの
DNA配列は以下の通りである。
【0271】
【表17】
【0272】 新しいORFは、以下のポリペプチドをコードする。MSKSTFKKFLK
ETASAQLSNFAAKAPDDGEAAAHHHHHHA.(配列番号1
20)。
【0273】 このORFは、以下のように設計された。最初の2つの残基は、優れた翻訳開
始を可能にするように選択された(Met−Ser)であった。このジペプチド
には、M13バクテリオファージの成熟タンパク質VIIIの残基40〜48のレト
ロ翻訳が続き(KSTFKKFLKにレトロ翻訳されたKLFKKFTSK)、
この後に今度はタンパク質VIII残基1〜20のレトロ翻訳が続いた(ETASA
QLSNSAAKAPDDGEAにレトロ翻訳されたAEGDDPAKAAFN
SLQASATE)。このポリペプチドのC末端には、ノナペプチド(AAHH
HHHHA)hexaHisフラッグが融合された。したがって、このORFは
、ジペプチドMet−Serとそれに続く、中央疎水性部分(残基21〜30)
の欠失した成熟タンパク質VIIIの残基1〜48のレトロ翻訳、とそれに続くhe
xaHisフラッグで構成されている。
【0274】 鋳型としてpS1207aを用いて突然変異オリゴヌクレオチドとしてPep
−insを用いて以前に記述された方法の修正版(例10参照)により、上述の
ORFの残基11と12の間に19merペプチドのライブラリーを挿入した。
結果として得られたライブラリーは、以下の配列をもつORFをコードした: MSKSTFKKFLK−(x)19-ETASAQLSNFAAKAPDDGE
AAAHHHHHHA(配列番号121)、ここで「(x)19」はランダム1
9merペプチドライブラリーを表わす。ライブラリー内の各位置で使用された
縮重コドンは、図15に示されている。ライブラリー多様性は8.3×1010
あった。
【0275】 ライブラリーからのファージは、捕獲標的として抗(His)4抗体(Qiagen)
を用いて、何ラウンドもの結合選択を反復された。3ラウンド又は4ラウンドの
選択の後、抗(His)4抗体又はウシ血清アルブミン(BSA)のいずれかを標
的としてファージELISAを用いてhexaHisフラッグ提示について個々
のクローンを検定した。検定された72のクローンのうち、6つは、BSAでは
なく抗(His)4抗体で捕獲したとき少なくとも2倍のシグナルを示した(図1
6)。これらのクローンをDNA配列分析に付し、タンパク質配列をDNA配列
から演繹した。
【0276】 これらのタンパク質配列は、「Protein−12」(P12)と呼ばれる
新しいクラスのファージコートタンパク質を表わす。個々のユニーククローンは
、付加的な数字により呼称されている(例えばProtein12−1又はP1
2−1)。図16に示されているように、P12のC末端に融合されたペプチド
は、M13ファージの表面上に提示される。P12−1をコードする遺伝子を含
むファージミドは、pS1230aと命名された。
【0277】 例25−C末端融合としての大型タンパク質の提示のための第2世代のP12 の選択 P12−1をコードする領域とpolyHisフラッグの間でファージミドp
S1230a内にNsiI制限部位とそれに続くXbaI制限部位を挿入するた
め、突然変異誘発オリゴヌクレオチドaddNXと共にクンケルの方法(例12
)を使用した。結果として得られた配列は、以下の通りであった: …gctgcggctGATGCATCTGGTAGCGTCTAGAGCc
accatcaccatcaccat…(配列番号122)挿入された配列は、
NisI及びXbaI制限部位と共に、大文字テキストで示されている。挿入さ
れた配列には、P12−1の最終残基をコードする配列が先行し、polyHi
sフラッグをコードする配列が後続している(共に小文字テキストで示されてい
る)。新しいファージミドはpS1232aと呼称された。
【0278】 ファージミドpS1232aを、NsiI及びXbaIで消化させ、hGH結
合タンパク質(hGHbp)に対する改善された親和力をもつhGH突然変異体
(hGHスーパーミュータント、hGHsm)をコードする同様の形で消化され
たDNAフラッグメントを挿入した。ファージミドはpS1239bと呼称され
た:これは、P12−1をコードするORFとそれに続くテトラペプチドリンカ
ー(Ala-Ala-Asp-Ala),そしてそれに続く以下で示すようなhG
Hsmを含有する。pS1239bORFのタンパク質産物が描かれている;こ
れは、P12−1とそれに続くテトラペプチドリンカー(AADA)及びそれに
続くhGHsmで構成されている。さらに、図示されているようにテトラペプチ
ドリンカーの中央にランダム14残基ペプチドが挿入されたリンカーライブラリ
ーが構築された。
【0279】
【表18】
【0280】 pS1239bから産生されたファージ粒子は、捕獲標的としてhGHbpを
用いるファージELISAにおいて検出可能なレベルでhGHsmを提示しなか
った。
【0281】 C末端融合としてhGHsmを提示する能力をもつP12異型を得るために、
pS1239bによりコードされたP12−1の配列を突然変異させるためライ
ブラリーを構築した。ライブラリー構築のためには、以前に記述した方法を使用
した(例10)。P12−1を、各々1区間の隣接残基を含む6個のゾーン(ゾ
ーン1、残基2〜7;ゾーン2、残基6〜11;ゾーン3、残基12−21;ゾ
ーン4、残基21−30;ゾーン5、残基31〜40;ゾーン6、残基41〜5
0)に分割した。全20種の天然アミノ酸をコードする縮重コドンと等しい数(
NNS,ここでN=A,C,G又はT)をもつゾーン内で全てのコドンを同時に
置換するように、オリゴヌクレオチドを設計した。各々のオリゴヌクレオチドは
、それが突然変異したゾーンに従って命名された(例えば、オリゴヌクレオチド
Lib−zoneI突然変異されたゾーン1)。さらに、P12−1をhGHs
mに連結するテトラペプチドリンカーの中央に14種の縮重コドン(VVC、こ
こでV=A、C又はG;Ala、Arg、Asn、Asp、Gly、His、P
ro、Ser又はThrをコードする)を挿入するように、オリゴヌクレオチド
(Lib−Linker)を設計した。これらのライブラリーの多様性は、以下
の通りであった:ゾーン1、2.5×1010;ゾーン2、2.5×1010;ゾーン
3、2.6×1010;ゾーン4、2.4×1010;ゾーン5、2.4×1010;ゾ
ーン6、2.3×1010;リンカーライブラリー,2.8×1010
【0282】 全てのライブラリーからのファージをプールし、96ウェルのMaxisorp免疫プ
レート上にコーティングされたhGHbp(例11)を標的とした何ラウンドも
の結合選択を反復させた。M13−VCSヘルパーファージ(Stratagene)を用
いてファージをE.coliSS320内で増殖させた。4ラウンドの結合選択の後、
hGHsm提示について、個々のクローンを分析した。ラウンド2、3及び4の
各々について、24のクローンを分析した。各クローンからファージを分離し、
ファージELISAを用いてhGHsm提示を検出した(例13)。ラウンド2
からの単一クローンは、BSAでコーティングされたプレートに比べてhGHb
pでコーティングされたプレートに対して10倍の結合を示した:その他のクロ
ーンは全く、hGHbp又はBSAのいずれでコーティングされたプレートに対
しても類似の結合を示した。正のクローンに対応するファージミドはpS125
8と呼称された。
【0283】 pS1258のORFをコードするP12−1突然変異体の完全なDNA配列
を決定し、タンパク質配列を演繹し、以下に示した。アミノ酸番号は右に示され
ている。
【0284】
【表19】
【0285】 新しい突然変異体コートタンパク質はP12−7と命名された;その配列は、
ゾーン5内のP12−1とは異なっている。ファージELISAによって証明さ
れるようにP12−7のC末端に対するhGHsmの融合により、M13ファー
ジの表面上のhGHsmの提示が可能となる。
【0286】 我々は同様に、例えば野生型hGHといったその他のタンパク質の提示をP1
2−7が可能にするということを実証することをも望んでいた。pS1239b
がP12−1とそれに続く野生型hGHから成る融合タンパク質をコードすると
いう点を唯一の差異として(例8)、(上で記述した)pS1239bに類似し
たファージミドを構築し、これをpS1239aと呼称した。pS1239aか
ら産生したファージ粒子は、ファージELISAにおいて検出可能なレベルでh
GHを提示しなかった。突然変異誘発オリゴヌクレオチド(add−P12−7)
を用いるクンケル方法(例12)を用い、P12−1をコードするpS1239
aDNA配列を、P12−7をコードするDNA配列に転換した。新しいファー
ジミドをpW930aと呼称した。これは、P12−7とそれに続く野生型hG
Hから成る融合タンパク質をコードするORFを含有している。ファージELI
SAによって証明されるように、pW930aを宿すE.coli培養から分離された
ファージ粒子は、その表面上でhGHを提示した。
【0287】 例26−タンパク質VIIIC末端ドメインのC末端に融合されたペプチドの提示 のためのリンカー配列の最適化 例26のためのオリゴヌクレオチド
【0288】
【表20】
【0289】 標準的分子生物学技術を使用し、pS1428dと呼称されたファージミドを
構築した。IPTG誘発可能なPtacプロモータ(New England Biolabs)の制
御下のORFがマルトース結合タンパク質シグナルペプチドとそれに続くM13
タンパク質VIIIのC末端ドメインで構成されているという点を除いて、ファージ
ミドpS1428dはpS1290aと類似している(Lowman et al.,(199
1)Biochemistry.30:10832)。クンケルの方法(例12)を使用し、
pS1428dによりコードされたタンパク質VIIIC−末端ドメインのC末端に
対しライブラリーを融合させた。ライブラリーは、異なる長さのランダムリンカ
ーとそれに続くhexaHisフラッグ(HHHHHH)で構成されていた。最
終結果は、タンパク質VIIIのC末端ドメインをコードしたORFとそれに続くラ
ンダムポリペプチドリンカー配列そしてそれに続くhexaHisフラッグを含
むライブラリーであった。リンカーの長さは変動し、使用された突然変異誘発オ
リゴヌクレオチドにより左右された。オリゴヌクレオチドUHg3−L6、UH
g3−L8又はUHg3−L10は、それぞれ6、8又は10個の残基を含有す
るリンカーを導入した。ライブラリーの多様性は以下のとおりであった:UHg
3−L6、3.5×1010;UHg3−L8、1.2×1010;UHg3−L10
、2.8×1010
【0290】 ライブラリーからのファージを合わせてプールし、抗(His)4抗体(Qiagen
)を捕獲標的として、結合選択を通して循環させた。2ラウンドの選択の後、抗(
His)4抗体を標的としてファージELISAを用いてhexaHisフラッ
グ提示について個々のクローンを検定した。強い信号を示す3つのクローンを、
DNA配列分析に付し、選択されたリンカー配列を以下に示す。
【0291】
【表21】
【0292】 示された配列を、タンパク質VIIIC末端ドメインの最終残基とhexaHis
フラッグの間に挿入した。各選択体について、DNA配列は、下に演繹されたア
ミノ酸配列を伴って示されている。各配列についての呼称は左側に示されている
【0293】 polyHisフラッグ提示レベルを、タンパク質VIIIに対するC末端又はN
末端融合で達成された提示レベルと比較した。興味深いことに、タンパク質III
C末端ドメインに対するC末端融合での提示は、タンパク質VIIIに対するN末端
融合での提示と同等であり、タンパク質VIIIに対するC末端融合での提示に比べ
て約10倍高いものであった(図18)。
【0294】 以上に記した明細は、当業者が本発明を実施できるようにするのに充分なもの
と考えられる。寄託された実施形態は本発明の或る態様の別々の例示として意図
されたものであり、機能的に等価のあらゆる培養が本発明の範囲内に入ることか
ら、本発明は、寄託された培養によってその範囲を制限されるものではない。本
書の材料の寄託は、本書に含まれている記述がその最良の形態を含めた本発明の
あらゆる態様の実施を可能にするのに不適切であることの容認を構成するもので
はなく、又クレームの範囲をそれが表わす特定の例示に制限するものとしてみな
されるべきものでもない。実際、本書に示され記述されたものに加えて本発明の
種々の修正は、以上の記述から当業者には明らかとなるはずであり、それらは添
付のクレームの範囲内に入ることになる。
【0295】 本発明は必然的に好ましい実施形態と合わせて記述してきたは、当業者であれ
ば、以上の明細書を読んだ上で、その精神及び範囲から逸脱することなく本書に
記された内容に対し種々の変更、等価物の置換及び改正を加えることができるだ
ろう。従って、本発明は、本書に特定的に記述されたもの以外の方法で実施可能
である。従って、それについて特許証によって付与される保護は、添付のクレー
ム及びその等価物によってのみ制限されるということが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 増加した融合タンパク質の提示に関して選択されたタンパク質VIII異型。図1
Aは、タンパク質VIII残基1から10を包含するゾーン1ライブラリーを示す。
図1Bは、タンパク質VIII残基11から20を包含するゾーン2ライブラリーを
示す。図1Cは、タンパク質VIII残基21から30を包含するゾーン3ライブラ
リーを示す。ライブラリー内の各位置における可能性のあるバリエーションは、
野生型配列及び選択された配列の前に示されている。DNA配列がイタリック体
で上に示されており、推定アミノ酸配列が普通文字で下に示されている(E.coli
XL1−Blueにおいては、アンバー終止コドン(TAG)は、グルタミンと
して抑圧されている)。DNA縮重は、IUBコード(K=G/T、N=A/C
/G/T、R=A/G、S=G/C、W=A/T、Y=C/T)で表されている
。*はストレプトアビジン(SAV)提示のため選択された。他は全てhGH提
示のため選択された。
【図1B】 増加した融合タンパク質の提示に関して選択されたタンパク質VIII異型。図1
Aは、タンパク質VIII残基1から10を包含するゾーン1ライブラリーを示す。
図1Bは、タンパク質VIII残基11から20を包含するゾーン2ライブラリーを
示す。図1Cは、タンパク質VIII残基21から30を包含するゾーン3ライブラ
リーを示す。ライブラリー内の各位置における可能性のあるバリエーションは、
野生型配列及び選択された配列の前に示されている。DNA配列がイタリック体
で上に示されており、推定アミノ酸配列が普通文字で下に示されている(E.coli
XL1−Blueにおいては、アンバー終止コドン(TAG)は、グルタミンと
して抑圧されている)。DNA縮重は、IUBコード(K=G/T、N=A/C
/G/T、R=A/G、S=G/C、W=A/T、Y=C/T)で表されている
。*はストレプトアビジン(SAV)提示のため選択された。他は全てhGH提
示のため選択された。
【図1C】 増加した融合タンパク質の提示に関して選択されたタンパク質VIII異型。図1
Aは、タンパク質VIII残基1から10を包含するゾーン1ライブラリーを示す。
図1Bは、タンパク質VIII残基11から20を包含するゾーン2ライブラリーを
示す。図1Cは、タンパク質VIII残基21から30を包含するゾーン3ライブラ
リーを示す。ライブラリー内の各位置における可能性のあるバリエーションは、
野生型配列及び選択された配列の前に示されている。DNA配列がイタリック体
で上に示されており、推定アミノ酸配列が普通文字で下に示されている(E.coli
XL1−Blueにおいては、アンバー終止コドン(TAG)は、グルタミンと
して抑圧されている)。DNA縮重は、IUBコード(K=G/T、N=A/C
/G/T、R=A/G、S=G/C、W=A/T、Y=C/T)で表されている
。*はストレプトアビジン(SAV)提示のため選択された。他は全てhGH提
示のため選択された。
【図2】 タンパク質VIII及び選択されたタンパク質VIII異型を用いたhGH提示に関す
るファージELISA。hGHbpが標的として使用された(Kd=1.6nM、
Pearce, K. H. Jr., et al. (1997)J. Biol. Chem 272:20595-20602)。提示は
、hGH−タンパク質VIII(丸)、hGH−タンパク質VIII(1a)(四角)、
hGH−タンパク質VIII(2a)(菱形)、及びhGH−タンパク質VIII(3a
)(三角)について測定された。ファージは、10uM IPTGで誘導してい
ない培養物(白)又は誘導した培養物(黒)のいずれかから産生された。タンパ
ク質VIII異型の配列は図1に示されている。
【図3】 hGH突然変異体の提示に関するファージELISA。hGHbpが標的とし
て使用された。提示は、野生型hGH(丸、Kd=1.6nM)、hGH(R64
)(四角、Kd=13.8nM)hGH(Y164A/R178A)(菱角、Kd
=169nM)、及びhGH(K172A/R178A)(三角、Kd=820nM
)について測定された。hGHは、野生型タンパク質VIII(白)又はタンパク質
VIII(1a)(黒)と融合していた。ファージは、10μMIPTGで誘導した
培養物から産生された。
【図4A】 SAV提示に関するファージELISA。図4Aは、抗SAVポリクローナル
抗体を標的として使用した結果を示す。図4Bは、ビオチン−BSA結合体を標
的として使用した結果を示す。提示は、SAV−タンパク質VIII(丸)、SAV
−タンパク質VIII(2e)(三角)、SAV−タンパク質VIII(2f)(菱形)
、及びSAV−タンパク質VIII(2a)(四角)について測定された。ファージ
は、誘導していない培養物から産生された。
【図4B】 SAV提示に関するファージELISA。図4Aは、抗SAVポリクローナル
抗体を標的として使用した結果を示す。図4Bは、ビオチン−BSA結合体を標
的として使用した結果を示す。提示は、SAV−タンパク質VIII(丸)、SAV
−タンパク質VIII(2e)(三角)、SAV−タンパク質VIII(2f)(菱形)
、及びSAV−タンパク質VIII(2a)(四角)について測定された。ファージ
は、誘導していない培養物から産生された。
【図5】 異なるゾーンの突然変異を組み合わせたタンパク質VIII異型を用いたhGH提
示に関するファージELISA。抗hGHモノクローナル抗体が標的として使用
された。提示は、タンパク質VIII(黒丸)、タンパク質VIII(1a)(黒四角)
、タンパク質VIII(2a)(黒菱形)、タンパク質VIII(3a)(黒三角)、タ
ンパク質VIII(1a)及びタンパク質VIII(2a)の突然変異を含有するタンパ
ク質VIII(白丸)、又はタンパク質VIII(2a)及びタンパク質VIII(3a)の
突然変異を含有するタンパク質VIII(白四角)について測定された。
【図6】 タンパク質VIII(2a)に由来するタンパク質VIII異型を用いたhGH提示に
関するファージELISA。抗hGHモノクローナル抗体が標的として使用され
た。提示は、タンパク質VIII(2a)(黒丸)、又は以下の突然変異、E12N
(白四角)、D16A(白丸)、若しくはI17S(白三角)を含有するタンパ
ク質VIII(2a)のいずれかとの融合体として提示されたhGHについて測定さ
れた。
【図7A】 hGH提示又はSAV提示のために選択されたリンカー。7A)hGHの提示
のために選択されたリンカー。リンカーは、(Gly)3(Xaa)14(Gl
y)2(ここで、(Xaa)14は、示された選択された配列である)という形
態であった。7B)SAVの提示のために選択されたリンカー。
【図7B】 hGH提示又はSAV提示のために選択されたリンカー。7A)hGHの提示
のために選択されたリンカー。リンカーは、(Gly)3(Xaa)14(Gl
y)2(ここで、(Xaa)14は、示された選択された配列である)という形
態であった。7B)SAVの提示のために選択されたリンカー。
【図8A】 選択されたリンカーを用いたタンパク質提示に関するファージELISA。8
A)Gly/Serリンカー(ファージミドpS349、丸)又はリンカー選択
体リンク1(図7A、四角)のいずれかを用いるタンパク質VIII上に提示された
hGH。ファージは、10uM IPTGで誘導していない培養物(白)又は誘
導した培養物(黒)のいずれかから産生された。hGHbpが標的として使用さ
れた。8B)Gly/Serリンカー(白丸)を用いる野生型タンパク質VIII上
に提示された、又はGly/Serリンカー(白四角)、リンク18(黒丸)、
リンク29(黒四角)、リンク34(黒菱形)、若しくはリンク37(黒三角)
のいずれかを用いる異型タンパク質VIII(2e)上に提示されたSAV。Gly
/Ser配列は、pS349によりコードされたGly/Serリンカーと同一
であった。その他のリンカーの配列は図7Bに示されている。ビオチン化された
BSAが標的として使用された。
【図8B】 選択されたリンカーを用いたタンパク質提示に関するファージELISA。8
A)Gly/Serリンカー(ファージミドpS349、丸)又はリンカー選択
体リンク1(図7A、四角)のいずれかを用いるタンパク質VIII上に提示された
hGH。ファージは、10uM IPTGで誘導していない培養物(白)又は誘
導した培養物(黒)のいずれかから産生された。hGHbpが標的として使用さ
れた。8B)Gly/Serリンカー(白丸)を用いる野生型タンパク質VIII上
に提示された、又はGly/Serリンカー(白四角)、リンク18(黒丸)、
リンク29(黒四角)、リンク34(黒菱形)、若しくはリンク37(黒三角)
のいずれかを用いる異型タンパク質VIII(2e)上に提示されたSAV。Gly
/Ser配列は、pS349によりコードされたGly/Serリンカーと同一
であった。その他のリンカーの配列は図7Bに示されている。ビオチン化された
BSAが標的として使用された。
【図9】 タンパク質VIII及び選択されたタンパク質VIII異型を用いたhGH提示に関す
るファージELISA。hGHbpが標的として使用された(Kd=1.6nM、
Pearce, K. H. Jr., et al. (1997)J. Biol. Chem 272:20595-20602)。提示は
、ファージミドpS1607から発現されたhGH−タンパク質VIII(実施例1
1参照)(丸)、hGH−タンパク質VIII(1a)(四角)、hGH−タンパク
質VIII(2a)(菱形)、及びhGH−タンパク質VIII(3a)(三角)につい
て測定された。ファージは、10uMIPTGで誘導していない培養物(白)又
は誘導した培養物(黒)のいずれかから産生された。タンパク質VIII異型の配列
は、図1に示されている。
【図10】 タンパク質VIII及びタンパク質VIII異型を用いたFab提示に関するファージ
ELISA。Fab重鎖のN末端と融合したペプチドフラッグに特異的なモノク
ローナル抗体が標的として使用された。提示は、Fab−タンパク質VIII(丸)
又はFab−タンパク質VIII(S13A/S17I)について測定された。
【図11】 異なるゾーンの突然変異を組み合わせたタンパク質VIII異型を用いたhGH提
示に関するファージELISA。抗hGHモノクローナル抗体が標的として使用
された。hGHは、野生型タンパク質VIII(wt)、ゾーン1、2、若しくは3の
タンパク質VIII選択体(それぞれ、1a、2a、若しくは3a)又はこれらの選
択体由来の突然変異を組み合わせたタンパク質VIII異型(例えば、1a+2aは
、1aの残基1から10と、2aの残基11から20及び野生型の残基21から
50とを組み合わせたものである)と融合していた。タンパク質VIII選択体の配
列は図1に示されている。
【図12A】 タンパク質VIII異型の部位特異的突然変異誘発は、増強された提示のための鍵
となる位置を強調し、モジュレートされたhGH提示を可能にする。hGHは、
A)ゾーン1選択体1a、B)ゾーン2選択体2a、又はC)ゾーン3選択体3
aに由来する異型と融合していた。各タンパク質VIII選択体について、野生型配
列への全ての可能な単一復帰突然変異を示す(例えば、D1Aは、突然変異D1
Aを選択体1aに導入することにより得られたタンパク質VIII異型である)。さ
らに、D)hGh提示をさらにモジュレートするため、ゾーン2選択体2aへ二
重及び三重の復帰突然変異を導入した。タンパク質VIII選択体の配列は図1に示
されている。
【図12B】 タンパク質VIII異型の部位特異的突然変異誘発は、増強された提示のための鍵
となる位置を強調し、モジュレートされたhGH提示を可能にする。hGHは、
A)ゾーン1選択体1a、B)ゾーン2選択体2a、又はC)ゾーン3選択体3
aに由来する異型と融合していた。各タンパク質VIII選択体について、野生型配
列への全ての可能な単一復帰突然変異を示す(例えば、D1Aは、突然変異D1
Aを選択体1aに導入することにより得られたタンパク質VIII異型である)。さ
らに、D)hGh提示をさらにモジュレートするため、ゾーン2選択体2aへ二
重及び三重の復帰突然変異を導入した。タンパク質VIII選択体の配列は図1に示
されている。
【図12C】 タンパク質VIII異型の部位特異的突然変異誘発は、増強された提示のための鍵
となる位置を強調し、モジュレートされたhGH提示を可能にする。hGHは、
A)ゾーン1選択体1a、B)ゾーン2選択体2a、又はC)ゾーン3選択体3
aに由来する異型と融合していた。各タンパク質VIII選択体について、野生型配
列への全ての可能な単一復帰突然変異を示す(例えば、D1Aは、突然変異D1
Aを選択体1aに導入することにより得られたタンパク質VIII異型である)。さ
らに、D)hGh提示をさらにモジュレートするため、ゾーン2選択体2aへ二
重及び三重の復帰突然変異を導入した。タンパク質VIII選択体の配列は図1に示
されている。
【図12D】 タンパク質VIII異型の部位特異的突然変異誘発は、増強された提示のための鍵
となる位置を強調し、モジュレートされたhGH提示を可能にする。hGHは、
A)ゾーン1選択体1a、B)ゾーン2選択体2a、又はC)ゾーン3選択体3
aに由来する異型と融合していた。各タンパク質VIII選択体について、野生型配
列への全ての可能な単一復帰突然変異を示す(例えば、D1Aは、突然変異D1
Aを選択体1aに導入することにより得られたタンパク質VIII異型である)。さ
らに、D)hGh提示をさらにモジュレートするため、ゾーン2選択体2aへ二
重及び三重の復帰突然変異を導入した。タンパク質VIII選択体の配列は図1に示
されている。
【図13】 ポリグリシンリンカーを用いるタンパク質VIIIのC末端と融合したペプチドの
提示に関するファージELISA。示されたような様々な数のGly残基を含有
する介在リンカー(リンカー長はX軸)を用いて、ヘキサペプチド(ペンタHi
sフラッグと呼ばれるHHHHHA)は、タンパク質VIIIのC末端と融合してい
た。リンカー長が8残基から9残基に増加するとき、提示は大きく増加する。フ
ァージは、2×1012ファージ/mlという濃度で使用された。抗(His)5抗
体(キアゲン(Qiagen))が捕捉標的として使用された。実施例22を参照せよ
【図14】 最適化されたリンカー配列を用いるタンパク質VIIIのC末端と融合したペプチ
ドの提示に関するファージELISA。ポリHisフラッグは、以下のような介
在リンカー、(Gly)8(白丸)、(Gly)9(四角)、(Gly)10(
菱形)、(Gly)12(三角)、又は最適化されたリンカー1(黒丸)を用い
て、タンパク質VIIIのC末端と融合していた。最も高いレベルの提示は、最適化
されたリンカーで観察された。ファージは、1013ファージ/mlという出発濃度
から5倍段階希釈された。抗(His)5抗体(キアゲン)が捕捉標的として使
用された。実施例22及び23を参照せよ。
【図15】 C末端融合体としてのポリHisフラッグの提示に関して選択されたP12異
型。各P12の可変領域を示す。各P12の完全な配列は以下の通りである。 MSKSTFKKFLK−(x)19−ETASAQLSNFAAKAPDDGE
A(配列番号1) ここで、「(x)19」は、図に示されたようなライブラリー構築において挿入
された19残基からなる配列である。ライブラリー内の各位置における可能なバ
リエーションは、選択された配列の前に示されている。DNA配列は、下の推定
アミノ酸配列と共に示されている。各配列の記号は、左に示されている。上の番
号は、19残基のライブラリー挿入配列内の各コドンの位置をさす。実施例24
を参照せよ。
【図16】 P12異型とのC末端融合体としてのポリHisフラッグの提示に関するファ
ージELISA。抗(His)4抗体(キアゲン)が捕捉標的として使用された
(白カラム)。陰性対照として、BSAでブロッキングされたプレートに結合す
るファージも測定された(黒カラム)。ファージは、1013ファージ/mlという
濃度で使用された。実施例24を参照せよ。
【図17】 P12−7を用いたhGHまたはhGHsmに関するファージELISA。提
示は、P12−7のC末端と融合したhGHsm(ファージミドpS1258、
白丸)、P12−7のC末端と融合したhGH(ファージミドpW930a、白
四角)、P12−1のC末端と融合したhGHsm(ファージミドpS1239
b、黒丸)、P12−1のC末端と融合したhGH(ファージミドpS1239
a、黒四角)、又はタンパク質VIIIのN末端と融合したhGH(ファージミドp
S1607、黒菱形)について測定された。抗hGHモノクローナル抗体が標的
として使用された。実施例25を参照せよ。
【図18】 選択されたリンカーを用いるタンパク質IIIC末端ドメインのC末端と融合し
たペプチドの提示に関するファージELISA。以下のような介在リンカー配列
、リンカーg3−1(白丸)、リンカーg3−2(白四角)、リンカーg3−3
(白菱形)を用いて、ヘキサHisフラッグが提示された。提示は、タンパク質
VIIIとのN末端融合体(黒丸)又は最適化されたリンカー1を使用したタンパク
質VIIIとのC末端融合体(黒菱形)として提示されたポリHisフラッグについ
ても測定された。ポリHisフラッグをコードしないファージミドに由来するフ
ァージも、陰性対照として含ませた(黒四角)。実施例26を参照せよ。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年10月4日(2000.10.4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正内容】
【表1】 から選択される少なくとも一つのアミノ酸残基を含有する野生型繊維状ファージ
コートタンパク質の異型である、請求項1の融合タンパク質。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07K 19/00 C12N 1/15 C12N 1/15 1/19 1/19 1/21 1/21 7/00 5/10 C12P 21/02 C 7/00 (C12P 21/02 C 15/02 C12R 1:92) C12P 21/02 C12N 15/00 ZNAA //(C12P 21/02 C C12R 1:92) 5/00 A (31)優先権主張番号 60/133,296 (32)優先日 平成11年5月10日(1999.5.10) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 60/134,870 (32)優先日 平成11年5月19日(1999.5.19) (33)優先権主張国 米国(US) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW (71)出願人 460 Point San Bruno Blvd.,South San Fra ncisco,California 94080 USA (72)発明者 ヴァイス,グレゴリー・エー アメリカ合衆国、カリフォルニア 94010、 バーリンガム、フェアフィールド・ロード ナンバー3 733 (72)発明者 ウェルズ,ジェームス・エー アメリカ合衆国、カリフォルニア 94010、 バーリンガム、コロンブス・アベニュー 1342 Fターム(参考) 4B024 BA21 BA32 BA43 BA63 CA02 CA03 CA07 DA06 EA02 EA03 EA06 GA14 HA01 HA17 4B064 AG02 AG20 AG32 CA02 CA12 CA19 CC24 DA01 DA13 4B065 AA26X AA95X AA95Y AA98X AA98Y AB01 BA03 CA44 CA46 4H045 AA10 AA30 BA41 CA01 CA40 DA01 DA75 EA50 FA73

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ウイルスの主要コートタンパク質と融合した異種ポリペプチ
    ドを含む融合タンパク質であって、該主要コートタンパク質が、ウイルスの野生
    型主要コートタンパク質の異型である、融合タンパク質。
  2. 【請求項2】 ウイルスが、繊維状ファージ、ラムダファージ、バキュロウ
    イルス、T4ファージ及びT7ファージからなる群から選択される、請求項1の
    融合タンパク質。
  3. 【請求項3】 該ファージが、繊維状ファージであり、該主要コートタンパ
    ク質が、gpVIIIであり、そして該異種ポリペプチドが、そのN末端又はC末端
    と融合している、請求項1の融合タンパク質。
  4. 【請求項4】 該主要コートタンパク質が、示された位置において下記のリ
    スト: 【表1】 から選択される少なくとも一つのアミノ酸残基を含有する繊維状ファージコート
    タンパク質異型である、請求項1の融合タンパク質。
  5. 【請求項5】 繊維状ファージのコートタンパク質の少なくとも一部分と融
    合した異種ポリペプチドを含む融合タンパク質であって、該コートタンパク質が
    、ファージの野生型コートタンパク質の異型であり、該異型が、コートタンパク
    質の膜貫通ドメイン又は細胞質ドメインに改変を有する、融合タンパク質。
  6. 【請求項6】 該コートタンパク質が、繊維状ファージのgpIIIであり、
    そして該異種ポリペプチドが、そのN末端又はC末端と融合している、請求項5
    の融合タンパク質。
  7. 【請求項7】 該異型が、野生型コートタンパク質配列と比較して改変され
    た2〜50個の残基を有する、請求項1の融合タンパク質。
  8. 【請求項8】 該異種ポリペプチドが、抗体若しくはその断片又はサイトカ
    イン若しくはサイトカイン受容体である、請求項1の融合タンパク質。
  9. 【請求項9】 請求項1の融合タンパク質をコードする遺伝子融合体を含む
    、複製可能発現ベクター。
  10. 【請求項10】 請求項9の複製可能発現ベクターの複数個を含むライブラ
    リーであって、該発現ベクターが、融合タンパク質の複数個をコードする異なる
    遺伝子融合体の複数個を含む、ライブラリー。
  11. 【請求項11】 請求項20のベクターを含む宿主細胞。
  12. 【請求項12】 その表面上に請求項1の融合タンパク質を提示するウイル
    ス。
  13. 【請求項13】 その表面上に異なる融合タンパク質の複数個を提示する請
    求項12のウイルスの複数個を含む、ウイルスのライブラリー。
  14. 【請求項14】 請求項1の融合タンパク質の複数個を提示するファージ粒
    子又はファージミド粒子のライブラリーを構築すること、 ファージ粒子又はファージミド粒子を標的分子と接触させ、該粒子の少なくとも
    一部分を標的分子に結合させること、及び 結合しない粒子から結合する粒子を分離することを含む方法。
  15. 【請求項15】 融合タンパク質をコードする遺伝子融合体を含有するファ
    ージを利用するファージ提示システムの検出限界を低減させる方法であって、該
    遺伝子融合体が、異種ポリペプチドをコードする第一遺伝子及びファージコート
    タンパク質の少なくとも一部分をコードする第二遺伝子を含み、該方法が、第二
    遺伝子を突然変異させ、ファージの野生型コートタンパク質の異型をコードさせ
    ることを含む方法。
  16. 【請求項16】 異種DNAを細胞内に入れることを可能にするために適切
    な条件下で、異種DNAの存在下で、細胞を電気穿孔することを含む、細胞を形
    質転換する方法であって、該異種DNAが、アフィニティ精製により精製される
    、方法。
  17. 【請求項17】 異種DNAが、約1ピコグラム/ml〜約500マイクログ
    ラム/mlの濃度で存在する、請求項16の方法。
  18. 【請求項18】 1回の電気穿孔工程で少なくとも1×1010個の形質転換
    体を得る、請求項16の方法。
  19. 【請求項19】 該細胞が、約1×1011〜約4×1011cfu/mlの濃度で存
    在する、請求項16の方法。
  20. 【請求項20】 該細胞が、F′::Tn10proA++lacIqD(
    lacZ)M15/F−araD139D(ara−leu)7696galE
    15galK16D(lac)X74rpsL(Strr)hsdR2(rk -k + )mcrAmcrB1であるE.coli細胞である、請求項19の方法。
  21. 【請求項21】 下記工程: (1)宿主細胞内の産物ポリペプチドの発現をもたらすことが可能な制御配列と
    動作可能に連結した産物ポリペプチドをコードするDNAを含む、複製可能発現
    ベクターで形質転換された宿主細胞を培養することにおいて、 該産物ポリペプチドをコードするDNAは、下記工程: (a)遺伝子融合体が、ポリペプチドをコードする第一遺伝子及びファージコー
    トタンパク質の少なくとも一部分をコードする第二遺伝子を含み、異型複製可能
    プラスミドが、異型ポリペプチドをコードする異型第一遺伝子を含む、融合タン
    パク質をコードする遺伝子融合体と動作可能に連結した転写制御要素を含む異型
    複製可能プラスミドのファミリーを構築すること、 (b)請求項16の方法を用いて、プラスミドを用いて適切な宿主細胞を形質転
    換すること、 (c)場合により、該プラスミドが、ファージ粒子を産生するためにヘルパーフ
    ァージを必要とするファージミドである場合には、形質転換された宿主細胞を、
    組換えファージミド粒子を産生するために十分な量のファージコートタンパク質
    をコードするヘルパーファージで感染させ、好ましくは、微量のファージミド粒
    子だけがファージミド粒子の表面上に融合タンパク質の1個以上のコピーを提示
    すること、 (d)プラスミドの少なくとも一部分を含有し、そして宿主細胞を形質転換する
    ことができる組換えファージ粒子を形成させるために適切な条件下で、形質転換
    された感染宿主細胞を培養すること、 (e)組換えファージ粒子を標的分子と接触させ、ファージ粒子の少なくとも一
    部分を標的分子に結合させること、 (f)結合しないファージ粒子から標的分子と結合するファージ粒子を分離する
    こと、 (g)標的分子と結合するファージ粒子又は結合しないファージ粒子内のプラス
    ミドによってコードされる異型ポリペプチドの一つを、産物ポリペプチドとして
    選択し、そして産物ポリペプチドをコードするDNAを複製可能発現ベクター内
    にクローニングすることを含む方法によって得られる、並びに (2)発現した産物ポリペプチドを回収することを含む、産物ポリペプチドを産
    生するための方法。
  22. 【請求項22】 カルボキシ末端と融合した異種ポリペプチドを有するタン
    パク質III又はタンパク質VIII繊維状ファージコートタンパク質の少なくとも一
    部分を含む、融合タンパク質。
  23. 【請求項23】 遺伝子融合体を含む複製可能発現ベクターであって、該遺
    伝子融合体が、請求項22の融合タンパク質をコードする、複製可能発現ベクタ
    ー。
  24. 【請求項24】 請求項23の複製可能発現ベクターの複数個を含むライブ
    ラリーであって、該発現ベクターが、融合タンパク質の複数個をコードする異な
    る遺伝子融合体の複数個を含む、ライブラリー。
  25. 【請求項25】 請求項23のベクターを含む宿主細胞。
  26. 【請求項26】 その表面上に請求項22の融合タンパク質を提示するウイ
    ルス。
  27. 【請求項27】 その表面上に異なる融合タンパク質の複数個を提示する請
    求項26のウイルスの複数個を含む、ウイルスのライブラリー。
  28. 【請求項28】 その表面上に請求項22の融合タンパク質の複数個を提示
    するファージ粒子又はファージミド粒子のライブラリーを構築すること、 ファージ粒子又はファージミド粒子を標的分子と接触させ、粒子の少なくとも一
    部分を標的分子と結合させること、及び 結合しない粒子から結合する粒子を分離することを含む方法。
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