JP5290148B2 - Disheveled(Dvl)PDZ修飾因子 - Google Patents
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Description
本願は、2006年4月10日に出願された米国仮特許出願第60/790,673号に対する優先権および利益を主張する。米国仮特許出願第60/790,673号の明細書は、その全体が本明細書中に参考として援用される。
本発明は、一般に、分子生物学および細胞増殖調節の分野に関する。より詳細には、本発明は、wntシグナル伝達経路の修飾因子、および前記修飾因子の使用に関する。
Wntシグナル伝達経路は、増殖にとって必須であり、従来から腫瘍発生への関与が示されている[1]。さらに、Reya & Clevers,Nature(2005),434:843−850;Logan & Nusse,Annu.Rev.Cell
Dev.Biol.(2004),20:781−810;および米国特許出願公開第2004/0247593号を参照されたい。Disheveled(Dvl)タンパクは、標準的および非標準的Wntシグナル伝達経路の両方において中心的役割を果たす骨格タンパクである[2]。さらに、Wallingford & Habas,Development(2005),132:4421−4436を参照されたい。Dvlタンパクは、N−末端のDIXドメイン、中央のPDZドメイン、およびC−末端のDEPドメインから構成される。これら三つの内、PDZドメインが、Wntシグナル伝達においてもっとも重要な役割を果たす。これまで20を超える天然のリガンドが、Dvl PDZドメインに結合することが報告されている(以後、“DvlPDZ”または“Dvl PDZ”とする)[2−6]。それらの多くは、標準的または非標準的Wntシグナル伝達経路において生物学的に重要であることが示されている。例えば、FrizzledのC−末端領域の内部配列に対するDvlPDZの直接結合は、Wntシグナル伝達経路において重要な役割を果たすことが報告されている(非特許文献1)[3]。いくつかのタイプの癌細胞、例えば、非小細胞型肺癌および中皮腫においてDvlタンパクの過剰発現が観察されており、このため、Dvlは、癌治療のための薬剤標的とされている。これまで、DapperおよびFrizzledから導かれたペプチドリガンドに基づいてDvlPDZに対して特異的な拮抗剤を開発する試みが為されている。しかしながら、報告ではDvlPDZに結合することが特定された低分子は、親和性が極めて低く(Ki=237μM)、インビボにおける効力は十分には明らかにされていない。
Wong,H.C.ら、Direct binding of the PDZ domain of Dishevelled to a conserved internal sequence in the C−terminal region of Frizzled.Mol Cell,2003.12(5):p.1251−60.
hr]−Asp−[IleまたはPheまたはLeu]−Proを含む結合モチーフ、を含むか、から成るか、または、から事実上成るN−末端または内部領域を含む。上記配列において、Trpは、N−末端または内部残基であり、Proは内部残基である。一実施態様では、Trpは、N−末端側においてX1および/またはX2に先行され(すなわち、X1−X2−Trp)、該配列において、X1はLeuまたはValであり、X2はLeuである。一実施態様では、本発明は、Dvl PDZに特異的に結合する単離ポリペプチド(例えば、Dvl PDZに特異的に結合するペプチド分子を特異的に含む、下記に定義するポリペプチド)を提供する。すなわち、前記ポリペプチドは、Trp−[IleまたはVal]−Asp−Gly−Pro(配列番号168)を含む結合モチーフ、を含むか、から成るか、または、から事実上成るN−末端または内部領域を含む。上記配列において、Trpは、N−末端または内部残基であり、Proは内部残基である。一実施態様では、Trpは、N−末端側においてX1および/またはX2に先行され(すなわち、X1−X2−Trp)、該配列において、X1はGluであり、X2はThr、Val、Met、Arg、Ile、またはGlnである。
X1−G−X3−X4−COOH
を有する配列、を含むか、から成るか、または、から事実上成るC−末端領域を含み、上式において、X1は、Y、L、F、またはIであり;X3は、W、M、F、またはYであり;、X4は、FまたはLであり、該配列は、ヒトタンパクの天然のC−末端配列ではない。一実施態様では、配列は、X1がY、X3がW、X4がLである、KWYGWL(配列番号169)を含む。一実施態様では、前記配列は、ヒトのユビキチンタンパクリガーゼE3A(UBE3A)のような、Dvlに対する天然のリガンドではない。一実施態様では、X3はTrpである。
X1−G−X3−X4
を有する配列、を含むか、から成るか、または、から事実上成るN−末端領域を含み、上式において、X1は、Y、C、L、F、またはSであり;X3は、W、M、F、I、V、またはYであり;、X4は、I、V、M、またはLであり、該配列は、ヒトタンパクの天然のN−末端または内部配列ではない。一実施態様では、X1はY、X3はW、および/または、X4はIまたはVである。一実施態様では、X3はTrpである。一実施態様では、X1はDによって先行される。一実施態様では、前記配列は、ヒトのユビキチンタンパクリガーゼE3A(UBE3A)のような、Dvlに対する天然のリガンドではない。
X1−X2−W−X3−D−X4−P
を有する配列、を含むか、から成るか、または、から事実上成るN−末端または内部領域を含み、上式において、X1および/またはX2は、任意の天然アミノ酸であり;X3は、S、T、A、W、D、またはIであり;X4は、F、I、V、L、またはGであり、該配列は、ヒトタンパクの天然のN−末端または内部配列ではない。一実施態様では、X3は、SまたはTであり;X4は、I、F、またはLである。一実施態様では、X1は、LまたはVである。一実施態様では、X2はLである。一実施態様では、配列は、X1がV、X2がL、X3がS、およびX4がIである、GEIVLWSDIPG(配列番号171)を含む。一実施態様では、前記配列は、ヒトのユビキチンタンパクリガーゼE3A(UBE3A)のような、Dvlに対する天然のリガンドではない。
X1−X2−W−X3−D−X4−P
を有する配列、を含むか、から成るか、または、から事実上成るN−末端または内部領域を含み、上式において、X1および/またはX2は、任意の天然アミノ酸であり;X3は、I、G、V、K、またはWであり;X4は、G、S、Y、またはWであり、該配列は、ヒトタンパクの天然のN−末端または内部配列ではない。一実施態様では、X1はEである。一実施態様では、X2は、T、V、M、R、I、またはQである。一実施態様では、前記配列は、ヒトのユビキチンタンパクリガーゼE3A(UBE3A)のような、Dvlに対する天然のリガンドではない。
(i)RQIKIWFQNRRMKWKKKWYGWL(配列番号173)、または
(ii)RQIKIWFQNRRMKWKKGWKDYGWIDG(配列番号174)、または
(iii)RQIKIWFQNRRMKKGEIVLWSDIPG(配列番号175)、または
(iv)RQIKIWFQNRRMKWKKGSGNEVWIDGPG(配列番号176)
の内の一つを含む。
(i)Dvl PDZ、その機能的断片および/または等価物;
(ii)参照として本発明のポリペプチドの一つ以上;および、
(iii)候補化合物、
を含むサンプルを接触させること、および、候補化合物の存在下におけるDvl PDZ−参照物相互作用の量を定量することを含み、
候補化合物不在下における量と比べた場合の、候補化合物存在下におけるDvl PDZ−参照物相互作用の量の変化によって、候補化合物が、Dvl PDZ−リガンド相互作用を修飾することが可能な化合物であることが示される方法を提供する。一実施態様では、化合物は、低分子(例えば、有機分子、ペプチドなど)、または抗体(その断片を含む)である。
(a)候補薬剤を準備し、Dvl PDZ、および、前記Dvl PDZの既知の結合パートナー(例えば、本発明のポリペプチド)を含む、反応混合物に、Dvl PDZ−結合パートナー相互作用に好適な条件下で、前記薬剤を接触させる工程、その際、前記反応混合物は、細胞混合物か、または無細胞混合物であり;
(b)該薬剤の存在下および不在下におけるDvl PDZ−結合パートナー相互作用の量を定量する工程を含み、
該薬剤の存在下および不在下において(b)で定量された相互作用量の差によって、該薬剤が、Dvl PDZ−リガンド相互作用の修飾因子であることが示される方法を提供する。一実施態様では、候補薬剤は、低分子(例えば、有機分子、ペプチド)、または抗体(その断片を含む)である。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
Dvl PDZに特異的に結合する単離ポリペプチドであって、C−末端残基を位置0としてアミノ酸を番号付けした場合、位置−2にGly、位置−1にTrpまたはTyr、位置0にPheまたはLeu、位置−3に疎水性または芳香族残基を有する配列を含むC−末端領域を含む、単離ポリペプチド。
(項目2)
位置−6がTrpである、項目1に記載のポリペプチド。
(項目3)
位置−1がTrpである、項目1に記載のポリペプチド。
(項目4)
IC50=1.5μM(1.2、1、0.8、0.6、0.4、0.2μM)またはそれ以上の結合親和度においてDvl PDZに特異的に結合する単離ポリペプチド。
(項目5)
上記ポリペプチドが、Dvl PDZと、その内因性結合パートナーとの相互作用を抑制する、項目1〜4のいずれか1項に記載のポリペプチド。
(項目6)
上記ポリペプチドが、Dvl−介在内因性Wntシグナル伝達を抑制する、項目1〜5のいずれか1項に記載のポリペプチド。
(項目7)
上記ポリペプチドが、下式:
X1−G−X3−X4 −COOH
の配列を含むC−末端領域を含む、項目1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチド。
(項目8)
X1が、Y、L、F、またはIであり;X3が、W、M、F、またはYであり;X4が、FまたはLであり、
上記配列が、ヒトタンパクの天然のC−末端配列ではない、項目7に記載のポリペプチド。
(項目9)
X3がTrpである、項目7または8に記載のポリペプチド。
(項目10)
上記カルボキシル末端アミノ酸残基がカルボキシル化される、項目1〜9のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
(項目11)
上記ポリペプチドが、配列YAKGFGML COOH を含まない、項目1〜10のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
(項目12)
Dvl PDZに特異的に結合し、C−末端残基を位置0としてアミノ酸を番号付けした場合、位置−5から0、または位置−6から0に関して表1および図1Aの配列から成る群から選ばれるアミノ酸配列を含むカルボキシル末端領域を含む、単離ポリペプチド。
(項目13)
Dvl PDZ配列に対する結合について、項目1〜12のいずれか1項に記載のポリペプチドと競合するアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチド。
(項目14)
Dvl PDZにおいて、項目1〜13のいずれか1項に記載のポリペプチドが結合するエピトープと同じエピトープに結合する単離ポリペプチド。
(項目15)
上記ポリペプチドが、配列YAKGFGML COOH を含まない、項目1〜14のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
(項目16)
Dvlが、ヒトのDvl1、Dvl2、および/またはDvl3である、項目1〜15のいずれか1項に記載の単離ポリペプチド。
(項目17)
Dvl PDZ−リガンド相互作用を修飾することが可能な化合物を特定する方法であって、上記方法は、下記:
(i)Dvl PDZ、その断片、および/またはその機能的等価物;
(ii)項目1〜16のいずれか1項に記載のポリペプチドの一つ以上;および、
(iii)候補化合物、
を含むサンプルを接触させること、および、
上記候補化合物の存在下におけるDvl PDZ−リガンド相互作用の量を定量すること
を含み、これによって、上記候補化合物の不在下における量と比べた場合の、上記候補化合物存在下におけるDvl PDZ−リガンド相互作用の量の変化が、上記候補化合物がDvl PDZ−リガンド相互作用を修飾することが可能な化合物であることを示す、方法。
(項目18)
Dvl PDZ−リガンド相互作用の修飾因子を合理的に設計する方法であって、C−末端残基を位置0としてアミノ酸を番号付けした場合、位置−2にGly、位置−1にTrpまたはTyr、位置0にPheまたはLeu、および位置−3に疎水性または芳香族残基を有する配列を含む、C−末端ペプチドを含むか、または、その機能を模倣する修飾因子であって、Dvl PDZに特異的に結合することが可能な因子を設計することを含む、方法。
(項目19)
Dvl PDZ−リガンド相互作用を修飾する薬剤のスクリーニング法であって、上記方法は、
(a)候補薬剤を準備し、Dvl PDZと、上記Dvl PDZの既知の結合パートナーとを含む反応混合物に上記薬剤を接触させる工程であって、上記混合物は、細胞混合物か、または無細胞混合物であり、上記接触は、Dvl PDZ−結合パートナー相互作用に好適な条件下で生じる、工程;
(b)上記薬剤の存在下および不在下におけるDvl PDZ−結合パートナー相互作用の量を定量する工程
を含み、これによって、上記薬剤の存在下および不在下において(b)で定量された相互作用量の差が、上記薬剤がDvl PDZ−リガンド相互作用の修飾因子であることを示す、方法。
(項目20)
Dvlまたはwntタンパク活性の制御不良に関連する病理的状態を治療する方法であって、Dvl PDZと項目1〜16のいずれか1項に記載のポリペプチドとの間の相互作用を修飾することが可能なDvl PDZ−リガンド修飾因子の有効量を対象に投与することを含む方法。
(項目21)
上記修飾因子が、Dvl PDZと、上記ポリペプチドとの間の相互作用を抑制する、項目20に記載の方法。
(項目22)
上記病理的状態が癌である、項目20または21に記載の方法。
(項目23)
上記病理的状態が過剰増殖性障害である、項目20または21に記載の方法。
(項目24)
上記病理的状態が、標準wntシグナル伝達経路の制御不良に関連する、項目20または21に記載の方法。
(項目25)
Dvlが、ヒトのDvl1、Dvl2、および/またはDvl3である、項目20または21に記載の方法。
本発明の実施は、別様に指示しない限り、分子生物学(組み換え技術を含む)、微生物学、細胞生物学、生化学、および免疫学の、当業者の能力の範囲内にある、通例技術を採用する。このような技術は、文献、例えば、“Molecular Cloning:A
Laboratory Manual”,second edition(Sambrook et al.,1989);“Oligonucleotide Synthesis”(M.J.Gait,ed.,1984);“Animal Cell Culture”(R.I.Freshney,ed.,1987);“Methods in
Enzymology”(Academic Press,Inc.);“Current Protocols in Molecular Biology”(F.M.Ausubel et al.,eds.,1987、および、定期的最新版);“PCR:The Polymerase Chain Reaction”,(Mullis e
t al.,ed.,1994);“A Practical Guide to Mo
lecular Cloning”(Perbal Bernard V.,1988)において十分に説明される。
本明細書で使用される「調節配列」とは、ある特定の宿主生物において動作可能的に連結されるコード配列の発現を可能とするDNA配列である。前核細胞性調節配列としては、プロモーター、オペレーター配列、およびリボソーム結合部位が挙げられる。真核細胞調節配列としては、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーが挙げられる。
対応配列と同一であるか、または相同であるが、該鎖の残余部分は、別動物種から得られるか、または、別の抗体クラスまたはサブクラスに属する抗体の対応配列と同一であるか、または相同である「キメラ」抗体、および、所望の生物活性を示す限りにおいて、そのような抗体の断片を含む(米国特許第4,816,567号;およびMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 81:6851−68
55(1984))。
Gene 169:147−155(1995);Yelton et al.J.Immunol.155:1994−2004(1995);Jackson et al.
,J.Immunol.154(7):3310−9(1995);およびHawkins et al,J.Mol.Biol.226:889−896(1992)によって記載される。
ポリペプチドを指す。このようなタグは、Abがそれに向けて作製されるか、または、利用可能となるが、ポリペプチド活性には事実上干渉しないエピトープを提供する。抗タグ抗体の、内因性エピトープとの反応性を抑えるために、タグポリペプチドは、通常、独特である。好適なタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6個のアミノ酸残基、通常、約8から約50個のアミノ酸残基、好ましくは約8から約20個のアミノ酸残基を有する。エピトープタグ配列の例としては、インフルエンザAウィルスのHA、GD、およびc−myc、ポリ−HisおよびFLAGが挙げられる。
しかし必ずしもそうでなくともよいが、約200ヌクレオチド長未満の、一般に合成ポリヌクレオチドを指す。「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」という用語は、必ずしも相互に排除的ではない。ポリヌクレオチドに関する上の記述は、等しく、完全に、オリゴヌクレオチドにも適用が可能である。
PDZ”は、Dvl3のPDZドメインを指す。
有効量とはまた、該物質/分子、作用剤または拮抗剤の毒性または有害作用が、治療的有益作用によって凌駕される量でもある。「予防的有効量」とは、所望の予防結果を実現するのに必要な用量および期間において有効な量を指す。通常、しかし必ずしもそうとは限らないが、予防的用量は、病気の前、または初期段階において対象に使用されるので、予防的有効量は、治療的有効量よりも低い。
本発明は、インビボにおけるDvl PDZ−リガンド相互作用に対する修飾因子、および修飾因子を特定する方法を提供する。Dvl PDZドメインと、そのリガンドとの間の相互作用を修飾する一つのやり方は、その相互作用を抑制することである。Dvl PDZ−リガンド相互作用を損なう分子は、それがいずれのものであれ、全て阻害剤候補となり得る。当業者に周知のスクリーニング技術を用いることによって、これらの分子を特定することが可能である。阻害剤の例としては:(1)小型の、有機および無機化合物、(2)小型ペプチド、(3)抗体と誘導体、(4)PDZ−ドメインリガンドと緊密に関連するペプチド、(5)核酸アプタマーが挙げられる。「Dvl PDZ−ドメイン−リガンド相互作用阻害剤」は、Dvl PDZドメインと、そのリガンドとの間の相互作用を、部分的にまたは完全に、遮断、抑制、または中和する分子は、それがいずれのものであれ、全て含む。そのような阻害剤として活動することが考えられる分子としては、Dvl PDZドメインに結合するペプチド、例えば、表I(例えば、特に、ペプチドKWYGWL(配列番号169);KWYGWF(配列番号177);WKWYGWL(配列番号178);WKWYGWF(配列番号179))、表II(例えば、特に、ペプチドGWKDYGWIDG(配列番号180);GEIVLWSDIPG(配列番号171))に列挙されるペプチド結合分子;図1(配列番号5〜166)に列挙されるペプチド結合分子;抗体(Ab)または抗体断片、および、その他の、小型の、有機または無機分子が挙げられる。
低分子は、Dvl PDZ−リガンド相互作用の有用な修飾因子となることが可能である。この相互作用を抑制する低分子は、有用な阻害剤となる可能性を持つ。低分子修飾因子の例としては、小型ペプチド、ペプチド様分子、可溶で、合成の、非ペプチジル、有機または無機化合物が挙げられる。低分子とは、例えば、約5kD未満、約4kD未満、および0.6kD未満の分子量を有する組成物を指す。低分子は、核酸、ペプチド、ポリペプチド、ペプチド様分子、炭水化物、脂質、またはその他の有機または無機分子であることが可能である。化学的および/または生物学的混合物、例えば、真菌、細菌、または藻類抽出物のライブラリーは、従来技術で既知であるが、いずれのアッセイによるスクリーニングにも使用が可能である。分子ライブラリーの合成法の例が記載されている(Carell et al.,Angewandte Chemie International Edition.33:2059−2061(1994);Carell et al.,Angewandte Chemie International Edition.33:2061−2064(1994);Cho et al.,Science.261:1303−5(1993);DeWitt et al.,Proc Natl Acad Sci USA.90:6909−13(1993);Gallop et al.,J Med Chem.37:1233−51(1994);Zuckerman et al.,J Med Chem.37:2678−85(1994)。
al.,Nature.364:555−6(1993))、細菌、細菌胞子(Ladner et al.,米国特許第5,223,409号、1993)、プラスミド(Cull et al.,Proc Natl Acad Sci USA.89:186
5−9(1992))、またはファージ上(Cwirla et al.,Proc Natl Acad Sci USA.87:6378−82(1990);Devlin
et al.,Science.249:404−6(1990);Felici et al.,J Mol Biol.222:301−10(1991);Ladner
et al.,米国特許第5,223,409号、1993;Scott and Smith,Science.249:386−90(1990))に存在してもよい。無細胞アッセイは、Dvl PDZを、既知の結合分子(例えば、本明細書に記載される本発明の、一つ以上の結合ポリペプチド)と接触させ、アッセイ混合物を形成すること、このアッセイ混合物を試験化合物と接触させること、および、Dvl PDZまたは結合分子と相互作用を持つ、試験化合物の能力を定量すること、を含み、Dvl PDZまたは結合分子と相互作用を持つ、試験化合物の能力を定量することは、Dvl PDZ/結合分子複合体の検出可能な特性が修飾されたかどうかを判定することを含む。例えば、形成される複合体の量で定量した、Dvl PDZと結合分子の結合相互作用は、試験化合物が、Dvl PDZと、結合分子との間の相互作用を修飾することが可能かどうかを示すことが可能である。複合体の量は、従来技術で既知の方法によって、その内のいくつかは本明細書にも記述されるが、例えば、ELISA(競合的結合ELISAを含む)、yeast two−hybrid proximity(例えば、蛍光共鳴エネルギー転移、酵素−基質)アッセイによって定量することが可能である。
本発明の一局面は、Dvl PDZと、その細胞内および/または生理的結合パートナーとの間の相互作用の、単離ペプチド/ポリペプチド修飾因子に関する。ここに記載される本発明の結合ポリペプチド、および、ここに記載される方法によって得られるポリペプチド修飾因子はまた、この相互作用の抗体修飾因子を惹起する免疫原として使用するのに好適である。一実施態様では、修飾因子(例えば、ペプチドおよび抗体)は、標準的タンパク精製技術による適切な精製スキームによって、細胞または組織供給源から単離することが可能である。別の実施態様では、修飾因子は、組み換えDNA技術によって生産される。組み換え発現に対する別法として、修飾因子は、標準的ペプチド合成技術を用いて化学的に合成することも可能である。
親)ポリペプチド配列のアミノ酸残基と同じ、アミノ酸配列残基のパーセントと定義される。%アミノ酸同一性を求めるには、配列同士を整列させ、要すれば、最大%配列同一性を実現するためにギャップを導入する;保存的置換は、配列同一性の一部とは見なされない。パーセント同一性を求めるための、アミノ酸配列整列手順は、従来技術において周知である。ペプチド配列同士を整列させるためには、多くの場合、広く市販されるソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST2、ALIGN2、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアが使用される。当業者であれば、比較される配列の全長に亘って最大の整列を実現するために必要なアルゴリスムを含む、整列度を測定するための適切なパラメータを決定することが可能である。
%アミノ酸配列同一性=X/Y・100
として計算することが可能である。上式において:
Xは、AおよびBの配列整列プログラムまたはアルゴリスムによって、一致と評価されたアミノ酸残基数、
および、
Yは、Bのアミノ酸の全数である。
(2)中性親水性群:cys,ser,thr;
(3)酸性群:asp,glu;
(4)塩基性群:asn,gln,his,lys,arg;
(5)鎖の方向性に影響を及ぼす残基:gly,pro;および、
(6)芳香族:trp,tyr,phe。
ほとんど影響を及ぼさずに、従来技術で既知の情報に基づいて作製することが可能である。例えば、抗体変異体は、抗体分子の少なくとも一つのアミノ酸残基を、別の残基によって置換させることが可能である。抗体では、置換的突然変異発生においてもっとも興味深い部位は、一般に、超可変域を含むが、枠組み構造領域(FR)の改変も考慮の対象とされる。
Fc領域)を含んでもよい。
5、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434の内の、任意の一つ以上においてアミノ酸修飾を含むと考えられる。
本明細書に記載されるペプチドおよびポリペプチドをコードするポリヌクレオチド配列は、標準的合成および/または組み換え技術を用いて入手することが可能である。所望のポリヌクレオチド配列は、適切な起源細胞から単離し、配列決定してもよい。抗体のための起源細胞は、もしあるとするならば、ハイブリドーマ細胞などの抗体生産細胞を含むと考えられる。それとは別に、ポリヌクレオチドは、ヌクレオチド合成機またはPCR技術を用いて合成することも可能である。一旦得られたならば、該ペプチドまたはポリペプチドをコードする配列は、宿主細胞において異種ポリヌクレオチドを複製し、発現することが可能な組み換えベクターに挿入される。従来技術で利用可能で、既知の、多くのベクターが、本発明の目的のために使用が可能である。適切なベクターの選択は、主に、ベクタ
ーに挿入される核酸のサイズ、および、ベクターによって形質転換される特定の宿主細胞に依存する。各ベクターは、その機能(異種ポリヌクレオチドの増幅または発現、またはその両方)、および、それが滞在する特定の宿主細胞との適合性に応じて種々の成分を含む。ベクター成分としては、一般に、例えば、ただしこれらに限定されないが:複製起点(特に、ベクターが、前核細胞に挿入される場合)、選択マーカー遺伝子、プロモーター、リボソーム結合部位(RBS)、シグナル配列、異種核酸挿入体、および転写終結配列が挙げられる。
って認識、処理(すなわち、シグナルペプチダーゼによって切断)されるものでなければならない。異種ポリペプチドに元々付属するシグナル配列を認識・処理しない前核細胞宿主では、該シグナル配列は、例えば、アルカリフォスファターゼ、ペニシリナーゼ、Ipp、または熱安定エンテロトキシンII(STII)リーダー、LamB、PhoE、PelB、OmpA、およびMBPから成る群から選ばれる、前核細胞性シグナル配列によって置換される。
宿主細胞は、前述の発現ベクターによってトランスフェクトされるか、または形質転換され、プロモーターの誘発、形質転換体の選択、または、所望の配列をコードする遺伝子の増幅のために適宜修飾される、好適な栄養培地において培養される。
ましくは約30℃である。培地のpHは、主に宿主の微生物に依存して、約5から約9の範囲の任意のpHであってよい。大腸菌の場合、pHは、好ましくは約6.8から約7.4であり、より好ましくは約7.0である。
生産されるポリペプチド/ペプチドは、その後のアッセイおよび使用のために、事実上均一な標本を得るために精製されてもよい。従来技術で既知の、標準的タンパク精製法を使用することが可能である。下記の手順は、適切な精製手順の例示となるものである、すなわち、免疫アフィニティーまたはイオン交換カラムにおける分画、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ、または、DEAEなどの陽イオン交換樹脂によるクロマトグラフィー、クロマトフォーカッシング、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、および、例えば、Sephadex G−75使用のゲルろ過などである。
Dvl PDZ修飾因子候補、例えば、結合ペプチドは、任意の数の、従来法によって特定することが可能である。修飾因子の修飾特性は、Dvl PDZと、その結合パートナー(例えば、本発明の結合ポリペプチド)との間の相互作用を修飾する、該修飾因子の能力を定量することによって評価することが可能である。重要な特性の一つは、結合親和度である。対象とする、修飾因子候補(例えば、ペプチド)の結合特性は、いくつかの既知の方法のいずれかによって評価することが可能である。
、例えば、繊維状ファージ(ミド)の表面において、ペプチドの、カルボキシル末端(C−末端)ディスプレイライブラリーとして表示することが可能である。C−末端ライブラリーは従来技術で既知である。例えば、Jespers et al.,Biotechnology(NY)13:378−82および国際公開第00/06717号を参照されたい。これらの方法は、融合遺伝子、融合タンパク、ベクター、組み換えファージ粒子、宿主細胞、および本発明の、そのライブラリーの調製のために使用してよい。本明細書に記載するように、ある実施態様では、候補ペプチドを、ファージまたはファージミドの表面においてペプチドのアミノ末端(N−末端)ディスプレイライブラリーとして表示することが有用な場合がある。N−末端ファージ(ミド)ディスプレイ法としては、本明細書に記載されるもの、および、従来技術でよく知られるもの、例えば、米国特許第5,750,373号(および、その中に引用される参考文献)に記載されるものが挙げられる。これらの方法によって得られた結合分子の特性を解明する方法も、例えば、前述の参考文献(Jaspers et al.,国際公開第00/06717号、および米国特許第5,750,373号)、および本明細書に記載されるものを含め、従来技術において既知である。
候補のDvl PDZ結合ペプチドが表示されるファージディスプレイライブラリーを、Dvl PDZドメインタンパクまたは融合タンパクに接触させ、該ライブラリーにおいてDvl PDZドメイン標的に結合するメンバーを決める。インビトロタンパクの結合を定量するために、当業者に既知のいずれの方法を使用してもよい。例えば、1、2、3、または4ラウンド、またはそれ以上の結合選択を行い、その後、個々のファージを単離し、任意にファージELISAで分析してもよい。固定されたPDZ標的タンパクに対する、ペプチド表示ファージ粒子の結合親和度は、ファージELISA(Barrett
et al.,Anal Biochem.204:357−64(1992))を用いて定量してもよい。
Dvl PDZドメインは、従来の合成または組み換え技術を用いて、該ドメインを含むタンパク断片として、または融合ポリペプチドとして好適に生産されてもよい。融合ポリペプチドは、Dvl PDZが、発現実験、細胞局在、バイオアッセイ、ELISA(結合競合アッセイを含む)などにおいて標的抗原となる、ファージ(ミド)ディスプレイにおいて有用である。Dvl PDZドメインの「キメラタンパク」または「融合タンパク」は、非PDZドメインポリペプチドに融合されたDvl PDZを含む。非PDZドメインポリペプチドは、PDZドメインとは事実上相同ではない。Dvl PDZドメイン融合タンパクは、任意の数の生物学的活性部分を含め、全体PDZドメインのどの部分を含んでもよい。次に、この融合タンパクは、アフィニティークロマトグラフィー使用の既知の方法、および、非PDZドメインポリペプチドに結合する捕捉試薬に基づいて精製することが可能である。Dvl PDZドメインは、アフィニティー配列、例えば、GST(グルタチオンS−トランスフェラーゼ)配列に融合されてもよい。このような融合タンパクによって、固相支持体に結合した、および/または、固相支持体(例えば、ペプチドスクリーニング/選別/バイオパニング用基質)に付着したグルタチオンによる、組み換えDvl PDZドメインの精製がやり易くなる。他の、例示の融合が、このような融
合体のいくつかの一般的使用を含め、表Bに掲載される。
ローンされる断片が、GSTと読み枠が一致し、かつ、プロモーターに動作可能的に連結するように設計されたプラスミド、例えば、pGEX6P−3、またはpGEX−4T−3に該増幅断片をクローンし、GST−Dvl PDZ融合タンパクをコードするプラスミドを得る。
所望の特性を有するDvl PDZに結合する(かつ、任意に、無関係の配列には結合しない)ファージ(ミド)に対し、配列分析を実施することが可能である。候補の結合ペプチドを表示するファージ(ミド)粒子を宿主細胞において増幅し、DNAを単離し、ゲノムの適切な(候補ペプチドをコードする)部位について、任意の、適切な既知の配列技術を用いて配列決定する。
Dvl PDZ−リガンド結合の修飾因子を特定するための、もう一つの方法は、合理的薬剤設計を取り込むことである、すなわち、PDZ相互作用の生物学を理解し、利用することである。この方法では、PDZリガンドの決定的残基が、任意に決定される最適ペプチド長と同様に、決定される。次に、この情報を手に低分子が設計される。例えば、PDZドメインに対する結合においてチロシンが決定的残基であることが見出されたならば、チロシンを含む低分子が調製され、抑制因子として試験される。一般に、結合には、2、3、4、または5個のアミノ酸残基が決定的と判定されるので、これらの残基、または残基側鎖を含む、候補の、低分子抑制因子が調製される。次に、従来技術で既知のプロトコール、例えば、競合的抑制アッセイを用いて、Dvl PDZドメイン−リガンド相互作用に対する、その抑制能力に関して、試験化合物をスクリーニングする。
PDZドメイン相互作用の調節と関連する疾患および病態としては、カスパーゼ依存性、および非依存性アポトーシス、およびミトコンドリアタンパク品質管理が挙げられる。
(a)アラニンスキャニング
リガンドのPDZ結合における各残基の相対的寄与を定量するには、Dvl PDZドメイン結合ペプチド配列に対するアラニンスキャニングを使用することが可能である。PDZリガンドにおける決定的残基を判断するために、残基を、単一アミノ酸によって、通常はアラニン残基によって置換し、PDZドメイン結合に対する作用を評価する。米国特許第5,580,723;5,834,250号、およびその実施例を参照されたい。
Dvl PDZドメイン結合ペプチドの短縮によって、結合における決定的残基を明らかにすることができるばかりでなく、結合を実現するのに必要な、ペプチドの最短長を求めることが可能である。ある場合では、短縮によって、天然リガンドよりも緊密に結合するリガンドが明らかにされるが、このようなペプチドは、Dvl PDZドメイン:PDZリガンド相互作用を修飾するのに有用である。
アラニンスキャニングおよび短縮分析から得られる情報に基づいて、当業者ならば、結合を修飾する可能性の高い低分子を設計、合成すること、または、結合を修飾する可能性の高い化合物が濃縮された低分子ライブラリーを選択することが可能である。例えば、本実施例に記載される情報に基づいて、適切に隔てられた二つの疎水性成分を含むように、修飾性ペプチドを設計することが可能である。
Dvl PDZ結合ペプチドとDvl PDZとの複合体を形成することによって、該複合体の、その未複合形態および不純物からの分離がやり易くなる。Dvl PDZドメイン:結合リガンド複合体は、溶液において形成すること、あるいは、結合パートナーの一方が、不溶の支持体に結合される場合に形成することが可能である。複合体は、例えば、カラムクロマトグラフィーを用いて、溶液から分離することが可能であり、固相支持体に結合時に、ろ過、遠心など、周知の技術を用いて分離することが可能である。ポリペプチドを含むPDZドメイン、またはそのリガンドを固相支持体に結合することによって、高処理能力アッセイの実行が促進される。
PDZドメインとの相互作用を修飾する(例えば、抑制する)能力についてスクリーニングすることが可能であり、かつ、スクリーニングは、適切なものであれば任意の容器で、例えば、マイクロタイタープレート、試験管、およびミクロ遠心管において実行することが可能である。さらに、試験または分離をやり易くするために、融合タンパクを調製することが可能である。その場合、融合タンパクは、タンパクの内の一方または両方が基質に結合するのを可能とする、さらに別のドメインを含む。例えば、GST−PDZ−結合ペプチド融合タンパク、またはGST−PDZドメイン融合タンパクを、グルタチオンセファローズビーズ(SIGMA Chemical,St.Louis,MO)、または、グルタチオン誘導体形成させたマイクロタイタープレートに吸着させ、該マイクロタイタープレートを、試験化合物、および、非吸着Dvl PDZドメインタンパク、またはPDZ−結合ペプチドのいずれかと混ぜ合わせ、この混合物を、複合体形成を可能とする条件下(例えば、生理的条件の塩およびpHにおいて)にインキュベートする。インキュベーション後、ビーズ、またはマイクロタイタープレートのウェルを洗浄し、ビーズの場
合であれば固定された基質から未結合の成分があればそれらを全て除去し、複合体を、直接または間接に定量する。それとは別に、複合体を、基質から解離し、結合または活性レベルを標準技術を用いて定量することも可能である。
ペプチド、タンパク、または、その他のDvl PDZリガンドの結合親和度を評価するために、競合結合アッセイを用いてもよい。このアッセイでは、リガンドの、Dvl PDZドメインに対する結合能力(および、要すれば、結合親和度)が評価され、PDZドメインに結合することが知られる化合物、例えば、本明細書に記載されるファージディスプレイによって判定された高親和性結合ペプチドの結合能力と比較される。
よいし、単純に吸着されてもよい。
本実施例(および表I、II、および図1)に記載されるものを含めた、PDZドメインペプチドリガンドは、Dvl PDZ−リガンド相互作用の有用な抑制因子の可能性を有する。
アプタマーとは、ほとんど全ての分子を特異的に認識し、結合するように用いることが可能な、短いオリゴヌクレオチド配列である。そのようなアプタマーを見出すには、指数関数濃縮プロセスによるリガンド系統進化(SELEX)(Ausubel et al.,Current protocols in molecular biology.John Wiley & Sons,New York(1987);Ellington and Szostak,Nature.346:818−22(1990);Tuerk and Gold,Science.249:505−10(1990)を用いることが可能である。アプタマーには、たくさんの診断的、臨床的用途があり、臨床的、または診断的に抗体が使用される用途では、そのほとんど全てにおいて、アプタマーも使用が可能である。さらに、アプタマーは、一旦特定されると製造は比較的安価であり、かつ、製薬組成物における投与、バイオアッセイ、および診断試験を含む、種々の方式に簡単に適応させることが可能である(Jayasena,Clin Chem.45:1628−50(1999))。
リガンド:Dvl PDZドメイン結合を修飾する(例えば、抑制する)抗体は、いずれのものでも、Dvl PDZドメイン−リガンド相互作用の修飾因子(例えば、抑制因子)となることが可能である。適切な抗体の例としては、ポリクロナール、モノクロナール、単一鎖、抗イディオタイプ、キメラ抗体、または、それら抗体またはその断片の、ヒト化変異体が挙げられる。抗体は、適切であれば、どのような供給源、例えば、合成起源、および、免疫反応の誘発可能な任意の動物種を含む供給源から得られたものであってもよい。
本発明は、Dvl PDZ−リガンド相互作用を修飾する化合物を特定するための、化合物スクリーニング法を包含する。スクリーニングアッセイは、Dvl PDZおよび/またはリガンドと結合するか、または複合体形成するか、あるいは、他のやり方で、Dvl PDZと細胞内因子との相互作用に干渉する化合物を特定するように設計される。候補化合物の、修飾因子となるべき能力を定量するための一つの方法は、既知のDvl PDZ結合因子、例えば、本明細書で開示される結合ペプチド(例えば、本実施例に記載される高親和性結合因子)の内のいずれかの存在下における競合的抑制アッセイにおいて、該候補化合物の活性を評価することである。このようなスクリーニングアッセイは、化学ライブラリーの高効率スクリーニングに容易に適応するアッセイを含むので、低分子薬剤候補を特定するためには特に好適である。
酵母遺伝システムによって監視することが可能である。酵母GAL4など、多くの転写アクチベーターは、二つの、物理的に別々のモジュラードメイン、一方は、DNA結合ドメインとして作動し、他方は、転写活性化ドメインとして機能する二つのドメインから成る。前述の公刊物に記載される酵母発現システム(一般に、「2ハイブリッドシステム」と呼ばれる)は、この特性を利用し、二つのハイブリッドタンパクを用いる。すなわち、一方では、標的タンパクが、GAL4のDNA結合ドメインに融合され、他方では、候補の活性化タンパクが、活性化ドメインに融合される。GAL4−活性化プロモーター調節下における、GAL1−lacZリポーター遺伝子の発現は、タンパク−タンパク相互作用によるGAL4活性の再構成に依存する。相互作用を持つポリペプチドを含むコロニーは、β−ガラクトシダーゼに対する発色基質によって検出される。この2ハイブリッドシステムを用いて、二つの特異的タンパク間のタンパク−タンパク相互作用を特定するための完全キット(MATCHMAKER(商標))が、Clontechから市販されている。このシステムはさらに拡張させて、特異的タンパク相互作用に関与するタンパクドメインをマッピングするだけでなく、これらの相互作用において必須のアミノ酸残基をそれと名指しすることを可能とする。
、および既知の高親和性結合因子(例えば、本明細書に記載されるものの内の一つ)に対する、その結合能力を定量することによって、その修飾能力を評価することは多くの場合望ましい。
PDZに対する結合に関して、本明細書に開示される結合ペプチド(実施例参照)の内の一つ以上と競合する能力を持つ。一実施態様では、ペプチドは、本明細書に開示される結合ペプチド(実施例参照)の内の一つ以上が結合する、Dvl PDZ上の同じエピトープに結合する。第1ペプチド結合因子の変異体は、対象特性(例えば、標的結合親和度の向上、薬物動態の向上、毒性の緩和、治療指数の改善など)を獲得するように、ペプチドの突然変異体をスクリーニングすることによって生成することが可能である。突然変異発生技術は、従来技術で周知である。さらに、走査型突然変異発生技術(アラニンスキャニングに基づくものなど)は、ペプチド中の個々のアミノ酸残基の構造的および/または機能的重要性を評価するに際し特に役立つ可能性がある。
る、従来技術で十分に確立されたインビトロまたはインビボアッセイにおいて調べること
によって実行することが可能である。
Dvl PDZ結合因子、およびDvl PDZ−リガンド相互作用の修飾因子の使用例
本明細書に記載されるDvl PDZペプチド結合因子の特定および特徴解明は、Dvlタンパクの細胞内機能に関する貴重な洞察をもたらし、かつ、この重要な細胞内タンパクおよびその結合パートナーの間の、インビボ相互作用を修飾するための組成物および方法を提供する。例えば、これらのペプチドおよびその相同体は、Dvl PDZを含む、インビボ結合相互作用の干渉に利用することが可能である。相同体は、本明細書に提供される、十分に特徴解明されたペプチドに関する、その結合および/または機能的特徴に基づいて好適に生成することが可能である。これらのペプチドはさらに、インビボにおけるDvl PDZ複合体を構成する、細胞内および生理的ポリペプチドの解明のために利用することが可能である。
クの場合と同様、治療利益を実現するためには、薬剤が、そのタンパクにどのように作用するかを確実に明らかにしなければならない。対象修飾性化合物による、Dvl PDZ−リガンド相互作用の破損が、治療利益において予想と一致する結果を生じるかどうかを判定するには、ペプチド/リガンドなどの修飾性化合物を、病気のモデルとなる生細胞または動物モデル(すなわち、病気のある特性を模倣する)の中に輸送してもよい。
Dvl PDZタンパクの活性を上げるか、または下げる特性を持つ化合物は有用である。この活性の上昇は、種々のやり方で生じさせてよく、例えば、それを必要とする対象に、本明細書に記載される修飾因子の一つ以上の有効量を投与することによって生じさせてもよい。
Bio/Technology,8:755−758(1990);Celand,“Design and Production of Single Immunization Vaccines Using Polyactide Polyglycolide Microsphere Systems,”in Vaccine Design:The Subunit and Adjuvant Approach,Powell and Newman,eds,(Plenum Press:New York,1995),pp.439−462;国際公開第97/03692、96/40072、96/07399、および米国特許第5,654,010号。
、このポリマーの分解性は、その分子量および組成に応じて、数ヶ月から数年に亘って調整することが可能である。Lewis,“Controlled release of
bioactive agents from lactide/glycolide
polymer,”in:M.Chasin and R.Langer(Eds.),Biodegradable Polymers as Drug Delivery
Systems(Marcel Dekker:New York,1990),pp.1−41.
(製薬組成物)
本発明の修飾性分子/物質は、ある実施態様では、製薬使用に好適な組成物の中に組み込むことが可能である。このような組成物は、典型的には、核酸分子、ペプチド/タンパク、低分子および/または抗体、および、受容可能な担体、例えば、製薬学的に受容可能なものを含む。「製薬学的に受容可能な担体」は、製薬学的投与と適合する限り、任意の、全ての溶媒、分散媒体、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む(Gennaro,Remington:The science and practice of pharmacy.Lippincott,Williams
& Wilkins,Philadelphia,PA(2000))。このような担体または希釈剤の例として、ただしこれらに限定されないが、水、生理的食塩水、リンゲル液、デキストロース液、および5%ヒト血清アルブミンが挙げられる。リポソーム、および、固定油などの非水性ベヒクルも使用してよい。通例の媒体または薬剤は、活性化合物と不適合である場合を除いて、これら組成物の使用も考慮の対象とされる。この組成物の中に、補助的活性化合物を組み込むことも可能である。
製薬組成物は、その意図される投与ルート、例えば、静脈内、皮内、皮下、経口(例えば、吸引)、経皮(すなわち、局所)、経粘膜、および直腸投与などのルートと適合するように処方される。非経口、皮内、または皮下投与用に使用される溶液または縣濁液は:滅菌希釈液、例えば、注射用水、生理的食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒;抗菌剤、例えば、ベンジルアルコールまたはメチルパラベンなど;抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムなど;キレート剤、例えば、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)など;バッファー、例えば、酢酸塩、クエン酸塩、またはリン酸塩など、および、浸透圧調整剤、例えば、塩化ナトリウムまたはデキストロースなどを含むことが可能である。pHは、酸または塩基、例えば、塩酸、水酸化ナトリウムなどによって調整することが可能である。非経口調剤は、アンプル、ディスポーザブルシリンジ、または、ガラスまたはプラスチック製の多用量バイアルの中に封入することが可能である。
注入に好適な製薬組成物は、滅菌水溶液(水溶性である場合)または水性分散液、および、滅菌注入用溶液または分散液の、体外調製用滅菌散剤を含む。静脈内投与の場合、好適な担体としては、生理的食塩水、静菌水、CREMOPHOR EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)、またはリン酸バッファー生理的食塩水(PBS)が挙げられる。いずれの場合でも、組成物は、滅菌性であり、シリンジによって投与されるように液体でなければならない。このような組成物は、製造および保存時安定であり、細菌および真菌などの微生物による汚染に対して保護されていなければならない。担体は、溶媒または分散媒体、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、ポリエチレングリコール、および液状ポリエチレングリコール)、および、適切な混合物などであることが可能である。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合は必要粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することが可能である。種々の抗菌剤および抗真菌剤:例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、およびチメロサールを、組成物の中に含めることが可能であ
る。等張剤、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール類、および塩化ナトリウムを組成物の中に含めることが可能である。吸収を遅らせることが可能な組成物は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの薬剤を含む。
経口組成物は、一般に、不活性希釈剤、または食用可能な担体を含む。組成物は、ゼラチンカプセル内に封入すること、または、錠剤に圧縮することが可能である。経口性の治療投与のためには、活性剤は、賦形剤とともに組み込み、錠剤、トローチ、またはカプセルの形で使用することが可能である。経口組成物はさらに、含漱剤として使用される液状担体を用いて調製することも可能である。この場合、液状担体中の化合物は、経口的に投与される。製薬学的に適合する結合剤、および/または補強物質を含めることも可能である。錠剤、丸剤、カプセル、トローチなどは、下記の成分、または類似の性質を持つ化合物:結合剤、例えば、ミクロ結晶セルロース、トラガカントゴム、またはゼラチンなど;賦形剤、例えば、でん粉またはラクトース、崩壊剤、例えば、アルギン酸、PRIMOGEL、またはコーンスターチなど;潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、またはSTEROTESなど;滑沢剤、例えば、コロイド状二酸化ケイ素など;甘味剤、例えば、スクロース、またはサッカリンなど;または芳香剤、例えば、ペパーミント、サリチル酸メチル、またはオレンジ香料などを含むことが可能である。
吸引による投与では、化合物は、適切な推進剤、例えば、二酸化炭素などのガスを含む、ネビュライザーまたは加圧容器からエロゾル小滴として送達される。
全身投与は、経粘膜的、または経皮的であってもよい。経粘膜または経皮投与の場合、標的障壁を浸透することが可能な浸透物質が選ばれる。経粘膜浸透物質としては、界面活性剤、胆汁塩、およびフシジン酸誘導体が挙げられる。経粘膜投与用として、鼻腔スプレイ、または座剤を使用することが可能である。経皮投与の場合、活性化合物は、軟膏、塗布剤、ゲル、またはクリームとして処方される。
一実施態様では、活性化合物は、該活性化合物が急速に生体から排除されないように保護する担体と共に、例えば、インプラント、およびマイクロカプセル封入送達システムなどの調節放出処方として調製される。生物分解性または生物適合性ポリマー、例えば、エチレン酢酸ビニール、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエーテル、およびポリ乳酸などのポリマーを使用することが可能である。このような材料は、ALZA Corporation (Mountain View,CA)、およびNOVA Pharmaceuticals,Inc.(Lake Elsinore,CA)から購入することも可能であるし、あるいは、当業者であれば調製することが可能である。さらに、製薬学的に受容可能な担体として、リポソーム縣濁液を使用することが可能で
ある。これらは、(Eppstein et al.,米国特許第4,522,811号、1985)に見られるように、当業者に既知の方法にしたがって調製することが可能である。
投与および用量の均一性をより簡便に確保するために、単位剤形としての経口処方または非経口組成物を創製することが可能である。単位剤形とは、必要な製薬担体と関連させて、治療的有効量の活性化合物を含む、治療される対象に対する単位用量として適切な、物理的に独立した単位を指す。単位剤形の仕様は、活性化合物独自の特性、所望の特定の治療作用、および、活性化合物の調合における内在的限界によって指定され、かつ直接に依存する。
核酸分子は、ベクターに挿入し、遺伝子治療ベクターとして使用することが可能である。遺伝子治療ベクターは、対象に対し、例えば、静注、局所投与(Nabel and Nabel,米国特許第5,328,470号、1994)、または、定位注入(Chen et al.,Proc Natl Acad Sci USA.91:3054−7(1994))によって送達させることが可能である。遺伝子治療ベクターの製剤は、受容可能な希釈剤を含むことが可能であり、または、遺伝子送達ベヒクルが埋め込まれる、徐放性基質を含むことが可能である。それとは別に、組み換え細胞から、完全遺伝子送達ベクターが、例えば、レトロウィルスベクターが生産可能である場合には、製剤は、該遺伝子送達システムを生産する一つ以上の細胞を含むことが可能である。
製薬組成物および方法はさらに、Dvlタンパク関連(具体的には、Dvl PDZ−関連)病態の治療に通常投与される、他の、治療活性化合物を含んでもよい。
組成物(例えば、製薬組成物)は、投与案内と一緒に、キット、容器、パック、または投薬器に含めることが可能である。キットとして販売される場合は、組成物の異なる成分は、別々の容器にパックされ、使用直前に混ぜ合わされてもよい。種々の成分をこのように分けて包装することは、活性成分の機能を欠損することのない、長期の保存を可能とすると考えられる。
キットに含まれる試薬は、種々の成分の寿命が保存され、容器の材料によって吸着されたり、改変されたりすることのないように、任意の種類の容器に入れられて支給される。例えば、密封ガラスアンプルは、窒素などの、中性の、非活性ガスの下で包装された、凍結乾燥修飾性物質/分子、および/またはバッファーを含んでもよい。アンプルは、適切なものであれば、いずれの材料から、例えば、ガラス、有機ポリマー、例えば、ポリカーボネート、ポリスチレンなど、セラミック、金属、または、その他の、試薬を保持するために通常用いられる任意の材料から作製されてもよい。適切な容器の、その他の例としては、アンプルと同様の物質から製造される単純な瓶、および、例えば、アルミニウムまたは合金などのフォイルで裏打ちした内面から成る包袋が挙げられる。他の容器としては、試験管、バイアル、フラスコ、瓶、シリンジなどが挙げられる。容器は、皮下針によって貫通することが可能なストッパー付き瓶のように、滅菌性進入ポートを有する。他の容器は、簡単に排除することが可能な膜で、排除されると、成分同士の混合を可能とする膜によって隔てられる二つの区画を有していてもよい。排除可能な膜は、ガラス、プラスチック、ゴムなどであってもよい。
キットはさらに、案内資料と一緒に支給されてもよい。案内は、紙または他の基質の上に印刷されてもよく、および/または、電子読み取り媒体、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、ジップディスク、ビデオテープ、レーザーディスク、オーディオテープなどとして支給されてもよい。詳細な案内は、キットと物理的に連結される必要はなく、代わりに、メーカーまたはキットの販売業者の指定する、インターネットのウェブサイトを、ユーザーに教示してもよいし、あるいは、電子メールとして供給してもよい。
材料−酵素およびM13−KO7ヘルパーファージは、New England Biolabs(Ipswich,MA)から購入した。Maxisorp免疫プレートは、Nalgen NUNC International(Naperville,IL)から購入した。大腸菌(E.coli)XL1−Blue、およびE.coli BL21(DE3)は、Stratagene(La Jolla,CA)から購入した。プラスミドpGEX、西洋ワサビペルオキシダーゼ/抗−GST抗体接合体、グルタチオンセファロース−4B、およびSuperdex−75は、Amersham Pharmacia Biotech(Piscataway,NJ)、3,3′,5,5′−テトラメチル−ベンジジン/H2O2(TMB)ペルオキシダーゼ基質は、Kirkegaard and Perry Laboratories,Inc.(Gaitherburg,MD)から購入した。NeutrAvidinは、Pierce Biotechnology,Inc.(Rockford,IL)から購入した。抗−Dvl1,2,3は、Santa Cruz Biotechnology(Santa Cruz,CA)から購入した。ポリクロナール抗β−カテニンは、Genetech,Inc.(South San Francisco,CA)から、ヒトの非小細胞肺癌細胞系統H1703は、米国基準株保存機関(Manassas,VA)から入手した。FuGene6は、Roche Molecular Biochemicals(Mannheim,Germany)から購入した。リポフェクタミンは、Invitrogen(Carlsbad,CA)から購入した。Alamar Blue(商標)は、Pierce Biotechnology,Inc.(Rockford,IL)から購入した。
X10a:ACATCGACAGCGCCCCCGGTGGCGGA(NNK)10TGATAAACCGATACA(配列番号181)
を用いた。
Dvl2PDZ−に対する結合について選択されたペプチド 前述[12]のようにして、ファージディスプレイ・ペプチドライブラリーを用いてDvl2PDZに結合するリガンドを選別した。我々は、ファージコートタンパクのC−末端またはN−末端に融合させたデカペプチドライブラリーを用いた。ライブラリーは、20種全てのアミノ酸をコードするNNK縮重コドンを含んでいた。さらに、縮重コドンにおいてアンバー終結コドンが出現する可能があるが、その出現が、C末端ライブラリーにおいて比較的短いペプチドのディスプレイをもたらす。各ライブラリーは、捕捉標的として固定したGST−Dvl2PDZ融合タンパクを用い4ラウンドの結合選別をサイクル経過させた。
IC50値は、競合ELISAにおいて、固定される高親和性ペプチドリガンドに対するDvlPDZ結合の50%を阻止する、ペプチドの平均濃度と定義される。ペプチドシリーズのN−末端はアセチル化された。
(i)Ac−RQIKIWFQNRRMKWKKKWYGWL(DVLp_C)(配列番号173),
(ii)Ac−RQIKIWFQNRRMKWKKGWKDYGWIDG(DVLp_N2)(配列番号174),
(iii)Ac−RQIKIWFQNRRMKKGEIVLWSDIPG(DVLp_N3)(配列番号175),
(iv)Ac−RQIKIWFQNRRMKWKKGSGNEVWIDGPG(DVLp_N4)(配列番号176);および、
(v)Ac−RQIKIWFQNRRMKWKK(PEN)(配列番号172)――細胞進入性配列のみの陰性コントロールペプチド
の配列を有する。
性であった(図3Bおよび3C)。特に、DVLp_N3は、Wnt3a刺激転写活性を最大80%まで抑制することができたが、一方、DVLp_Cは、約50%の抑制を実現した。PEN処理細胞は、抑制作用を示さなかった。図3を参照されたい。我々はさらに、DMSO、DVLp_C、DVLp_N3、またはPENによる処理について、全体細胞分解物におけるβカテニンレベルを比較し、DVLp_CおよびDVLp_N3処理細胞は、DMSOおよびPEN処理細胞に比べ、Wnt3a刺激に対するβカテニンレベルが有意に低いことを見出した。図3Dおよび3Eを参照されたい。DvlPDZリガンドペプチド処理による、Wnt刺激性βカテニンシグナル伝達の抑制、および、βカテニンタンパクレベルのWnt刺激性増加の低下は、DvlPDZドメインが、標準的Wnt/βカテニンシグナル伝達経路に関与する相互作用に深く関わることを示唆する。なぜなら、該シグナル伝達経路に対し、例えば、DvlPDZペプチドリガンド、DVLp_CおよびDVLp_N3は、拮抗作用を及ぼすことが可能だからである。
ファージから得られたDvlPDZペプチドリガンドは、インビトロにおいてDvl2PDZに対し高い親和度を示し、その親和度は、Dvl PDZドメインと、その天然リガンド、FrizzledのC−末端領域の内部配列との間の、報告される結合親和度[3]よりも約100倍も高かった。本明細書に報告されるデータは、二つの細胞浸透性DVlPDZペプチドリガンド(DVLp_CおよびDVLp_N3)が、HEK293Sにおいて、かつ、一つ(DVLp_C)は、NCI−H1703においても、Wnt−刺激β−カテニンシグナル伝達を阻止することを示す。特に、DvlPDZペプチドリガンドDVLp_Cによる、非小細胞肺癌細胞系統NCI−H1703の、Wnt−刺激β−カテニンシグナル伝達の阻止は、細胞増殖を効果的に抑制した。本明細書に記載される、ファージ誘導DvlPDZペプチドリガンドは、癌治療のための、低分子リードとなり得、さらに、診断および治療に用いられる、さらに新たなDvl PDZ修飾因子の特定に使用することが可能である。
Claims (8)
- Dvl PDZに特異的に結合する、N末端領域または内部領域を含む単離ポリペプチドであって、前記N末端領域または内部領域は、配列番号118〜121、123、125〜128、131〜133、135、140、141、143、144、および171からなる群より選択されるアミノ酸配列を含む、単離ポリペプチド。
- 前記ポリペプチドが、アミノ酸配列GEIVLWSDIPG(配列番号171)を含む、請求項1に記載のポリペプチド。
- 前記ポリペプチドが、Dvl−介在内因性Wntシグナル伝達を抑制する、請求項1または2に記載のポリペプチド。
- 前記ポリペプチドが、ポリペプチドの細胞進入を強化するアミノ酸配列タグに連結されている、請求項1または2に記載のポリペプチド。
- 前記アミノ酸配列タグが配列番号172のアミノ酸配列を含む、請求項4に記載のポリペプチド。
- 配列番号175のアミノ酸配列を含む、ポリペプチド。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリペプチドを含む、製薬学的組成物。
- Dvl PDZ−リガンド相互作用を修飾することが可能な化合物を特定する方法であって、前記方法は、下記:
(i)Dvl PDZ;
(ii)請求項1に記載のポリペプチドの一つ以上;および、
(iii)候補化合物、
を含むサンプルを接触させること、および、
前記候補化合物の存在下におけるDvl PDZ−リガンド相互作用の量を定量すること
を含み、これによって、前記候補化合物の不在下における量と比べた場合の、前記候補化合物存在下におけるDvl PDZ−リガンド相互作用の量の変化が、前記候補化合物がDvl PDZ−リガンド相互作用を修飾することが可能な化合物であることを示す、方法。
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