JP2002519727A - エナメル塗布映写スクリーンとその製造方法 - Google Patents

エナメル塗布映写スクリーンとその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 エナメル塗布映写スクリーンが、少なくとも一つのエナメル層によって被覆された下地から成り、該エナメル層が真珠箔顔料を含み、また該エナメル層の光沢度が、ＩＳＯ ２８１３標準規格による６０°測定ヘッドにおいて、１〜４０％の範囲にある。このスクリーンは、エナメルスラリーを下地に塗布し、高温で焼き付けることによって製造され、このとき、焼き付けを行う前に、乾燥した形で、エナメルの量に対して、ある量、好ましくは０．５〜５０ｗｔ％の真珠箔顔料を前記エナメルスラリーに加える。前記光沢度を得るために、真珠箔顔料の含有率を十分大きく、焼き付け温度を十分低く選択する。

Description

【発明の詳細な説明】
【０００１】 本発明は、少なくとも一つのエナメル層で被覆された下地から成るエナメル塗
布映写スクリーンに関する。
【０００２】 そのような映写スクリーンは、古典的な映写布あるいはラッカー塗布下地の代
りに使用される。これらのスクリーンはより良い機械的性質、特に引っかきと切
り込みに対する非常に大きな抵抗を有し、また熱と煙に対する抵抗力が大きいか
らである。
【０００３】 いくつかのラッカー塗布のいわゆる“大ゲイン”映写スクリーンの一つの欠点
は、上映中、映写室の中央にいて、したがって映写スクリーンにじかに向き合っ
ている人は、スクリーン上に良い映像を見るが、映写室の端にいて、したがって
鋭角にスクリーンを見る人は、光がそれらの人とは別の方向に反射されるため、
スクリーンが暗いと言う印象を受けることになる、ということである。
【０００４】 本発明の目的は、比較的簡単に製造することができ、前記スクリーンよりもず
っと良い映写の質を有し、かつこれが重大な色ひずみ（ｄｉｓｔｏｒｔｉｏｎ）
なしで得られ、しかもスクリーンに対して鋭角に見る場合にも、光源または窓反
射（ｗｉｎｄｏｗ ｒｅｆｌｅｃｔｉｏｎ）の妨害的影響なしで、非常に良い映
像の質を与える、エナメル塗布映写スクリーンを提供することである。
【０００５】 本発明によれば、この目的は、エナメル層が真珠箔顔料（ｐｅａｒｌｅｓｃｅ
ｎｔ ｐｉｇｍｅｎｔ）を含み、また該エナメル層の光沢度が、ＩＳＯ ２８１３
標準規格による６０°測定ヘッドにおいて、１〜４０％の範囲にあるようにする
ことによって達成される。
【０００６】 “真珠箔”顔料と呼ばれる真珠光沢の（ｎａｃｒｅｏｕｓ）顔料そのものは公
知であり、市販されている。そのような顔料は、特殊な色、光沢、また場合によ
っては金属的外観を得るために、着色剤、合成材料、および化粧品で使用される
。
【０００７】 真珠箔顔料は平滑面と同じ反射の法則に従うが、この顔料粒子は平滑であるば
かりでなく、透明でもある。
【０００８】 これは、光の一部だけが反射されるということを意味する。反射されなかった
部分は顔料粒子を透過して次の層に達し、そこでさらに反射されうる。多数の層
によるこれらの多重反射は特殊な反射効果をもたらす。
【０００９】 好ましくは、このエナメル層は、乾燥した形で、１００ｇのエナメルに対して
、０．５〜５０ｇの真珠箔顔料を含む。
【００１０】 このエナメルそのものは、透明エナメルと不透明エナメルとの混合物から成る
ことができる。
【００１１】 本発明は、また、簡単なやり方で、本発明による前記のエナメル塗布映写スク
リーンを製造することを可能にする方法にも関する。
【００１２】 すなわち、本発明は、エナメルスラリーが下地に塗布され、高温で焼き付けら
れる、エナメル塗布映写スクリーンを製造する方法であって、 焼き付けを行う前に、乾燥した形で、エナメルの量に対して、ある量、好まし
くは０．５〜５０ｗｔ％の真珠箔顔料が前記エナメルスラリーに加えられ、 エナメル層が、ＩＳＯ ２８１３標準規格による６０°測定ヘッドにおいて、
１〜４０％の光沢度を有すべきであるため、真珠箔顔料の含有率を十分大きく、
焼き付け温度を十分低く選択する、ことを特徴とする方法、に関する。
【００１３】 以下、本発明の特徴をより十分に示すために、本発明によるエナメル塗布映写
スクリーンおよびそれを製造する方法の好ましい実施形態を、限定を意図しない
例として提示する。
【００１４】 本発明によるエナメル塗布映写スクリーンは、実質的に、公知のやり方でエナ
メル下地塗膜で被覆された鋼板の形の下地と、真珠箔顔料を含み、さらに、高温
で焼き付けられるエナメル層とから成る。
【００１５】 適当な真珠箔顔料は、ＴｉＯ2またはＦｅ2Ｏ3で被覆された雲母小平板、また
はＢｉＯＣｌもしくは炭酸鉛の小平板から成り、特に、“Ｅ．Ｍｅｒｃｋ”（米
国）によって製造されたものである。
【００１６】 真珠箔顔料の量は、該顔料が取り込まれるエナメル層の０．５〜５０ｗｔ％で
ある。
【００１７】 これらの顔料は、従来のものと異なり、吸収性でなく反射性であるため、これ
らの顔料の取り込みにより、入射光の強い反射がもたらされる。
【００１８】 薄い灰色または白色の真珠箔顔料が好ましい。薄い色は濃い色に比して少しし
か光を吸収しないからである。
【００１９】 この薄い灰色または白色は、たとえば、雲母粒子の二酸化チタン被覆を用いて
、二酸化チタン皮膜の層厚を適当なやり方で選択することにより、得ることがで
きる。
【００２０】 エナメル層の光沢度は、ＩＳＯ ２８１３標準規格による６０°測定ヘッドに
おいて、１〜４０％の範囲にあり、その結果、表面は十分につや消しになってお
り、反射光は、表面の不規則性により、十分に拡散して広がり、光源および映写
源の窓反射および強い反射（“ホットスポット”）が避けられる。
【００２１】 この映写スクリーンの製造のためには、真珠箔顔料を室温でエナメルスラリー
に混合し、次に、湿式スプレーまたは他の塗布法により、下地に塗布し、最後に
、オーブン内で高温たとえば８００℃でこの下地に焼き付ける。
【００２２】 光沢度は真珠箔顔料の含有率および焼き付け温度に依存する。
【００２３】 下記の表には、いくつかの焼き付け温度と顔料含有率に関して、ＩＳＯ ２８
１３標準規格による６０°測定ヘッドにおける光沢度を％単位で示す。
【００２４】 真珠箔顔料の含有率は十分大きく、また焼き付け温度は十分低く選択する。エ
ナメル層が前記の望ましい光沢度を有し、したがってつや消しであるべきだから
である。
【００２５】 これにより、非多孔質のエナメル層が得られ、この層は低光沢度にもかかわら
ず、乾式または湿式で十分に洗浄することができ、したがって容易な保守と耐久
性および長可使時間とが結び付けられる。
【００２６】 ここで、表中に括弧でくくってしめす光沢度は本発明によるものではない。
【００２７】
【表１】
【００２８】 真珠箔顔料の含有率が割合に小さい場合、このエナメルは、エナメルスラリー
の形の塗布エナメルの隠蔽力が十分に大きくなければならないので、実質的にも
っぱら不透明顔料エナメルでなければならない。
【００２９】 真珠箔顔料の含有率が十分に大きい場合、エナメル組成物は一部不透明、一部
透明なエナメルから成るようにすることができる。隠蔽力の重要な部分が真珠箔
顔料そのものによって与えられるからである。真珠箔顔料の含有率が大きい場合
、エナメルは大きな割合の透明エナメルを含むようにすることができ、たとえば
エナメルの総量の５０〜１００％とすることができる。
【００３０】 通常の吸収性有色顔料を添加することができるが、吸収性無機顔料の量は、大
きな光効率を保つために、制限しなければならない。
【００３１】 得られる映写スクリーンは、非常に高い光効率と映写の質を与え、また該スク
リーンに対して極端な鋭角方向から見た場合でも、問題となるような色ひずみの
ないすぐれた映像の質を与える。
【００３２】 このスクリーンは、大きな引っかき抵抗、対摩耗性、および耐久性を有し、不
活性の材料から成り、保守が容易であり、また煙と火のついた煙草に対して抵抗
力がある。乾式または湿式の拭き取りのできる書き込みが可能である。
【００３３】 この映写スクリーンは、各種の映写、たとえば、ＬＣＤコンピュータ映写、ビ
デオ映写、オーバヘッドＬＣＤまたは普通のオーバヘッド映写、ＲＧＢ映写、ス
ライド映写、昼光映写、インターネット映写、および映写スクリーン上へのテレ
ビジョンまたはホームシアターの映写に適当である。
【００３４】 以下、本発明を下記の実施例によりさらに詳しく説明する。
【００３５】 下記の成分により、エナメルスラリーを作った。 ２０ｇの二酸化チタン不透明エナメル ８０ｇの透明エナメル ６．５ｇのクレー ６０ｇの水 ０．１５ｇのアルミン酸ナトリウム
【００３６】 微粉砕したあと、このエナメルスラリーに、平均直径１０μｍの二酸化チタン
で被覆した雲母粒子から成る、１５ｇの白色真珠箔顔料を添加し、そのあと、高
速ミキサーにより、均一分散体となるようにした。
【００３７】 この分散体を、すでに下地塗膜によりエナメル塗布してある鋼板から成る下地
に吹きつけた。
【００３８】 全体を、７８５℃以下のオーブンで焼いた。
【００３９】 このようにして得られた映写スクリーンは、非常に広範囲の視角にわたって、
非常に高い映写の質を示し、映写時の“ホットスポット”の形成は見られなかっ
た。光沢度は、ＩＳＯ ２８１３標準規格による６０°測定ヘッドにおいて、２
０であった。
【００４０】 この映写スクリーンは、湿式で非常に良く洗浄することができ、またすぐれた
耐酸性（ＩＳＯ ２７２２標準規格によるクラス１）、大きな引っかき抵抗（Ｅ
Ｎ １００によるモース硬度スケールにおいて、４）、および非常に大きな耐摩
耗性（テーバー式試験 ＡＳＴＭ Ｃ５０１、研摩紙 Ｓ３３、１０００回転、お
よび１ｋｇ荷重、による重量損失０．１９ｇ）を有する。
【００４１】 真珠箔顔料を含まない、つや消し白色のエナメル塗布映写面を有するスクリー
ンに対して、本発明のスクリーンは、映写面の垂直方向（ｖｅｒｔｉｃａｌ）明
るさ（“ゲイン”）が大きいという利点を有する。
【００４２】 本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、そのような映写スクリ
ーンおよびその製造方法は、本発明の範囲を逸脱することなく、いろいろな変形
により実施することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＣＹ， ＤＥ，ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，Ｉ Ｔ，ＬＵ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ ，ＣＦ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＧＷ，ＭＬ， ＭＲ，ＮＥ，ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＧＭ，Ｋ Ｅ，ＬＳ，ＭＷ，ＳＤ，ＳＬ，ＳＺ，ＵＧ，ＺＷ)，Ｅ Ａ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ ，ＴＭ)，ＡＥ，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ，ＡＺ，ＢＡ ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ，ＣＮ，ＣＵ， ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，ＧＢ，ＧＤ，Ｇ Ｅ，ＧＨ，ＧＭ，ＨＲ，ＨＵ，ＩＤ，ＩＬ，ＩＮ，ＩＳ ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ， ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ，ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，Ｍ Ｎ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ，ＳＫ，ＳＬ，ＴＪ，ＴＭ， ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＳ，ＵＺ，ＶＮ，ＹＵ，Ｚ Ａ，ＺＷ

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項１】 少なくとも一つのエナメル層によって被覆された下地から成
    る、エナメル塗布映写スクリーンであって、該エナメル層が真珠箔顔料を含み、
    また該エナメル層の光沢度が、ＩＳＯ ２８１３標準規格による６０°測定ヘッ
    ドにおいて、１〜４０％の範囲にあることを特徴とするエナメル塗布映写スクリ
    ーン。
  2. 【請求項２】 前記顔料が、ＴｉＯ2またはＦｅ2Ｏ3で被覆された雲母小平
    板、またはＢｉＯＣｌもしくは炭酸鉛から成ることを特徴とする請求項１に記載
    のエナメル塗布映写スクリーン。
  3. 【請求項３】 前記エナメル層が、乾燥した形で、１００ｇのエナメルあた
    り０．５〜５０ｇの真珠箔顔料を含むことを特徴とする請求項１または２に記載
    のエナメル塗布映写スクリーン。
  4. 【請求項４】 前記エナメル層が、一方の透明エナメルと他方の不透明エナ
    メルとのたとえば重量比８０／２０の混合物から成るエナメルを含むことを特徴
    とする請求項１から３の中のいずれか１つに記載のエナメル塗布映写スクリーン
    。
  5. 【請求項５】 前記下地が金属製であることを特徴とする請求項１から４の
    中のいずれか１つに記載のエナメル塗布映写スクリーン。
  6. 【請求項６】 前記下地が、エナメル下地塗膜を備えた金属板であることを
    特徴とする請求項５に記載のエナメル塗布映写スクリーン。
  7. 【請求項７】 エナメルスラリーが下地に塗布され、高温で焼き付けられる
    、エナメル塗布映写スクリーンを製造する方法であって、 焼き付けを行う前に、乾燥した形で、エナメルの量に対して、ある量、好まし
    くは０．５〜５０ｗｔ％の真珠箔顔料が前記エナメルスラリーに加えられ、 エナメル層が、ＩＳＯ ２８１３標準規格による６０°測定ヘッドにおいて、
    １〜４０％の光沢度を有すべきであるため、真珠箔顔料の含有率を十分大きく、
    焼き付け温度を十分低く選択する、ことを特徴とする方法。
  8. 【請求項８】 一部が不透明エナメル、一部が透明エナメルから成るエナメ
    ルを含むエナメルスラリーが使用されることを特徴とする請求項７に記載の方法
    。
  9. 【請求項９】 前記エナメルスラリーが、エナメルの総量の５０〜１００％
    の量の透明エナメルを含むことを特徴とする請求項８に記載の方法。
  10. 【請求項１０】前記エナメルスラリーが、すでにエナメル下地塗膜を備えて
    いる鋼板に塗布されることを特徴とする請求項７から９の中のいずれか１つに記
    載の方法。
JP2000557013A 1998-06-26 1999-06-22 エナメル塗布映写スクリーンとその製造方法 Pending JP2002519727A (ja)

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