JP2002518810A - 制限イオンビーム中で所定のイオン強度を減少させる装置 - Google Patents

制限イオンビーム中で所定のイオン強度を減少させる装置

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JP2002518810A
JP2002518810A JP2000555278A JP2000555278A JP2002518810A JP 2002518810 A JP2002518810 A JP 2002518810A JP 2000555278 A JP2000555278 A JP 2000555278A JP 2000555278 A JP2000555278 A JP 2000555278A JP 2002518810 A JP2002518810 A JP 2002518810A
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ion
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gas
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エイデン,グレゴリー・シー
バリナガ,チャールズ・ジェイ
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バッテル・メモリアル・インスティチュート
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Abstract

(57)【要約】 キャリアガスに比較して分析イオンの割合が増加したイオンビームを発生させる装置を開示する。特に、装置は、試薬ガスを含有するイオントラップ又は衝突セルを有する。ここで、試薬ガスは、分析イオンからの電荷を受け取り、こうして、キャリアガスイオンを選択的に中性化する。さらに、誘導結合高周波プラズマ質量分析計を含む分析機器内で種々の位置に置かれた衝突セルを開示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】発明の分野 本発明は、一般的にキャリヤガスイオンと比較して被分析物質イオンの割合が
高いイオンビームを製造するための装置に関する。より具体的には、本発明の装
置は、衝突セルにまたは選択的反応性ガスを含有するイオントラップに結合した
イオン源である。発明の背景 多くの分析的または工業的プロセスには、特定の物質または被分析物質のイオ
ンのビームの発生が必要である。例えば、イオンビームは、イオンガン、イオン
インプランター、衛星の姿勢制御用のイオンスラスター、レーザーアブレーショ
ンプラム、並びに、線形四重極MS、四重極イオントラップMS(例えば、Paulトラ
ップ)、イオンサイクロトロン共鳴MS、飛行時間型MS、及び扇形電場及び/また
は扇形磁場MSを含む種々の質量分析法(MS)で発生させることができる。電子衝撃
、レーザー照射、エレクトロスプレー、並びにその種々の変形(例えば、イオン
スプレー(Ionspray:商標)、サーモスプレー、誘導結合プラズマ源、グロー放
電、及び中空陰極放電)を含むそのようなイオンビームを発生させるための幾つ
かの仕組みは当業界では公知である。典型的な配置ではサンプルとキャリヤガス
またはサポートガスとを混合して、これによってキャリヤガスを使用してサンプ
ルを移動させ易くさせたり、イオン化させ易くしたりするか、または移動とイオ
ン化の両方を実施し易くする。公知の如く、被分析物質は、該被分析物質イオン
とキャリヤガスイオンとを一緒にイオン化して、移動することもある他の物質と
混在することが多い。これらの他の物質は、マトリックス物質、またはマトリッ
クスイオンのようなイオン化形と総称される。被分析物質とマトリックスとの混
合形は、サンプル、またはサンプルイオンなどのイオン形と呼ぶ。このように、
マトリックスは被分析物質を除いたサンプル中の全ての物質を指す。同様に、マ
トリックスイオンは被分析イオン以外の全てのイオンを指し、マトリックスイオ
ンにはプラズマイオンが含まれる。例えば、水性硝酸サンプルをアルゴンICPに
導入すると、ArH+、ArO+、ArN+などのプラズマイオンが形成される。マトリック
スイオンは、通常、プラズマまたはイオンビームの化学的分析用途または他の用
法では障害物である。
【0002】 例えば、典型的な装置では、サンプルを電界内でキャリヤガスと混合し、それ
でサンプルとキャリヤガスとを強い電界または磁界内でイオン化し、その後、分
析プロセスまたは他のプロセスで使用する。もう一つの典型的な装置では、キャ
リヤガスを最初に強い電界または磁界内でイオン化し、その後サンプルをイオン
化キャリヤガス中に導入する。イオン化キャリヤガスはキャリヤガスとキャリヤ
ガスイオンとを含有する。電界は、ラジオ波(RF)及び/またはDC電気エネルギー
の静電結合または誘導結合を含むがこれらに限定されない当業界で公知の種々の
方法により作られる。
【0003】 誘導結合装置では、RF電圧を導電性物質、通常、真鍮のコイルに印加する。コ
イルの内部では、一本以上の管がアルゴン等のキャリヤガスと、任意の物質又は
物質の混合物でもよいサンプルとを供給する。被分析物質は、気体形に限定され
ず、液体として、液滴形として、エーロゾルとして、またはレーザーアブレーシ
ョン化プラムとしてなどの種々の形で供給することができる。コイル内には大き
な電界が発生する。この電界の中では、全ての遊離電子がサンプル及びキャリヤ
ガス中で連鎖反応を開始して、電子が失われ、キャリヤガス及びサンプルがイオ
ン化する。これらに限定されないが、テスラコイルの導入、グラファイトロッド
の導入または電子の熱放射などを含む当業界で公知の幾つかの方法により、連鎖
反応を開始させる遊離電子が提供される。その結果、遊離電子と、キャリヤガス
及びサンプルの帯電種及び非帯電種と、の両方からなるイオン化ガスまたはプラ
ズマができる。プラズマ中のキャリヤガス及びサンプルの両方の種は、サンプル
として使用するために選択された種及び形態並びにキャリヤガスとして使用する
ために選択された特定の種に依存して、粒子、原子若しくは分子の形態、または
粒子と原子と分子との混合物の形態であってもよい。
【0004】 キャリヤガス及びサンプルは、当業界で公知の広範な種類の方法により混合す
ることができる。例えば、上述の如く、エーロゾル形のサンプルをキャリヤガス
と混合し、誘導結合プラズマ内のコイル内部に方向付ける。エレクトロスプレー
(及びイオンスプレー(Ionspray:商標)などのその変形)として公知のもう一つ
の典型的な装置では、液体クロマトグラフなどの源から液体サンプルを受けるニ
ードルを使用する。ニードルの周りは管であって、この管は高速噴霧キャリヤガ
スとして窒素などのキャリヤガスを供給する。サンプルとキャリアガスとは、ニ
ードルと管とによって、チャンバ内に注入される。ニードルから放出する際、サ
ンプル液が蒸発して、窒素キャリヤガス内に噴霧される。蒸発した液体サンプル
と窒素キャリヤガスとの両方のイオンは、チャンバ内に電界を作り出すことによ
って生成される。電界は、ニードルとチャンバとの間に電圧差を作り出すことに
よって発生させてもよい。電圧差は、ニードルに電圧を印加し、チャンバを接地
することにより発生させてもよい。
【0005】 上記任意の方法によって生成したプラズマは、通常、キャリヤガスイオン及び
サンプルイオンを分析したり、又は反応させたり、ある種の態様で利用したりす
る反応ゾーンまたは分析装置のいずれかに方向付けられる。得られたプラズマは
通常、電界若しくは磁界によって、または圧力差によって、或いはその両方によ
って方向付けられる。プラズマが方向付けられると、プラズマは、プラズマから
イオンビームに変換される。本明細書中で使用する「イオンビーム」なる用語は
、主に、正に帯電した種と中性種とから流れ(stream)を指す。プラズマ中の負
に帯電した種の大部分は、通常、電子であり、これはプラズマが電界若しくは磁
界、または圧力差のどちらかによって方向付けられる際に迅速に分散される。し
かしながら、イオンビームがかなり分散した後であっても、イオンビームから負
に帯電した種が完全になくなることはない。正に帯電したイオンに対して遊離電
子の質量が小さいので、プラズマが前進するに連れて遊離電子はプラズマから分
散しがちになり、プラズマはイオンビームに変換する。また、イオンビーム自体
も幾つかの作用によって分散しがちになる。これらの作用の中でも最も重要なも
のはフリージェット膨張と、イオンビーム内の帯電種の反発力である。イオンビ
ームの構成成分種の分散作用はこれらの種の中での電荷分離であり、当業界で公
知である。得られたイオンビームは通常、高い正味の正の電荷密度を特徴とする
。キャリヤガスは、通常、サンプル中に過剰に存在するため、この高い正の電荷
密度は主に、正に帯電したキャリヤガスイオンが比較的多量にあることに帰因す
る。
【0006】 多くの用途において、多量の正に帯電したキャリヤガスイオン、マトリックス
イオン及び/または生じた高電荷密度は、望ましくない。例えば、サンプルイオ
ンを質量分析計で分析すべき場合には、イオンビームは小さな開口部を通して収
束されるのが往々にして望ましい。そのような装置では、イオンビームは開口部
を通して方向付けられ、高い電荷密度は、所定の開口部を通過することができる
ビーム電流における空間電荷制限を最大に規定するだろう。空間電荷制限を超え
る全てのビーム電流は開口部を通過することができないので、消失する。多くの
用途では、消失するビーム部分には被分析物質イオンが含まれる。実際、被分析
物質イオンはイオンビーム内にくまなく均一に分散できないため、またはキャリ
ヤガスイオン若しくはマトリックスイオンとして同じように種々の分散力または
指向力に応答することができないため、ビームの一部が消失すると被分析物質イ
オンの幾らかまたは全てが不均衡に消失してしまうことになる。
【0007】 キャリヤガスイオンまたはマトリックスイオンの存在が不都合な別の例として
は、そのイオン帯電容量が小さい四重極イオントラップ質量分析計がある。四重
極イオントラップに向けられたイオンビームでは、キャリヤガスイオンとマトリ
ックスイオンとは、四重極イオントラップの小さい帯電容量に対して被分析物質
イオンと競合する。かくして、キャリヤガスイオンまたはマトリックスイオンが
イオンビームから選択的に除去され得る程度まで、四重極イオントラップ内の被
分析物質イオンの帯電容量が増加する。キャリヤガスイオンとプラズマイオンと
は重要な化学的イオン化源であり得、トラップ内のバックグランドガスを高レベ
ルにイオン化することができる。良好な真空操作及び高真空条件が保持されたと
しても、かかるバックグランドイオンは被分析物質イオンの検出を干渉するに十
分な数を形成することがある。かくして、キャリヤガスイオン及び/またはプラ
ズマイオンを除去することは、かかるバックグランドイオン化を減少させるとい
う有利な効果がある。
【0008】 キャリヤガスイオンまたはマトリックスイオンがプロセス又は反応と干渉する
ようなプロセスまたは反応で被分析物質イオンを使用する全ての用途において、
キャリヤガスイオンまたはマトリックスイオンが存在するのも都合が悪い。別の
例としては、多くの集積回路製造プロセスにおいて、イオンビームは、例えばシ
リコンウエハーなどの標的物質に向けて方向付けられて、該物質に電気的または
物理的特性を付与させることができる。所望の特性は、通常、かかる物質に方向
付けられた特定のイオンに大きく依存する。かくして、標的物質に埋め込まれて
しまうと、キャリヤガスイオンまたはマトリックスイオンは不都合な作用を引き
起こしてしまうことがある。
【0009】 このように、キャリヤガスイオン、被分析物質イオン及び/またはマトリック
スイオンを持つイオンビームには、被分析物質イオンを排除したり中性化させる
ことなく、キャリヤガスイオン及び/またはマトリックスイオンの一部又は全部
を選択的に除去する方法に対する需要がある。
【0010】 これらのプロセスを実施するために使用されてきた装置は、質量分析計に結合
または接続されたイオン源として特徴付けることができる。具体的に知られてい
るものとしては、飛行時間型質量分析計[Myersら、Journal of the American So
ciety for Mass Spectrometry、第6巻、411-420頁(1995)]若しくはイオントラ
ップ[DW Koppenaal、CJ Barinaga及びMR Smith、J.Analytical Atomic Spectome
try 第9巻、1053-1058頁(1994);及びCJ Barinaga及びDW Koppenaal、Rapid Co
mmunications in Mass Spectrometry、第8巻、71-76頁(1994)]に接続された誘
導結合プラズマイオン源、飛行時間型質量分析計[AN Verentchikov、W Ens及
びKG Standing、Analytical Chemistry、第66巻、126-133頁(1994)]若しくは線
形四重極質量分析計に接続された衝突セルと共に非反応性ガスを含有する衝突セ
ル[DJ Douglas及びJB French、Journal of the American Society for Mass Spe
ctrometry、第3巻、398-403頁(1992);または米国特許第4,963,736号]に接続さ
れたエレクトロスプレーイオン源、または飛行時間型質量分析計に非反応性ガス
を満たした衝突セルに通じるMSイオン源[AN Krutchinsky、IV Chernushevich、V
Spicer、W Ens、及びKG Standing、Proceedings of the 43rd ASMS Conference
on Mass Spectrometry and Allied Topics、126頁、1995年5月21-26日]がある
【0011】 当業界で公知の如く、衝突セルは、十分に高圧のガスを含有する空間領域を画
定する。ガスは反応性ガスであっても非反応性ガスであってもよい。必要により
、衝突セルには、ガスとの衝突数が多いのではなく、イオンがセルを横切ること
ができる電気的または磁気的なガイディングフィールド(guiding field)が備
えられている。典型的なガイディングフィールドは、軸に沿って比較的限定され
ない動きができながら、多重極の長軸に対して横方向のイオンの動きを限定する
RF/DC多重極を使用して形成することができる。多重極は、当業界で公知の種々
の方法で形成することができる。典型的には、多重極は、典型的には断面円形の
ロッドである偶数の極部材を、多重極の長さに沿って一定に放射状に離して共通
の軸の周りに対照的に配置することによって形成することができる。このような
多重極の理論、設計及び性能については、Gerlich(Dieter Gerlich、State-Sele
cted and State-to-State Ion-Molecule Reaction Dynamics、第1部:Experime
nt;Advances in Chemical Physics Series、第LXXXII巻;Cheuk-Yiu Ng及びMic
hael Baer編者;John Wiley & Sons、1992)及び他の文献によって詳細が記載さ
れている。発明の概要 従って、本発明の目的は、その側面の一つにおいて、被分析物質イオンの除去
または中性化を最小限にしつつキャリヤガスイオン及び/またはマトリックスイ
オンを中性化することによる、キャリヤガスイオン及び/または(存在する場合
には)マトリックスイオンに対して被分析物質の割合が高く、これに対応してキ
ャリヤガスイオン及び/またはマトリックスイオンの割合が低いイオンビームを
製造する為の装置を提供することである。この目的は、所望の運動エネルギーで
イオンビームを提供し且つイオンビームをイオントラップまたは特定の容積の試
薬ガス(選択的反応性ガス)をもつ衝撃セルのいずれかへ方向付けるイオン源によ
って達成され、ここでキャリヤガスイオン及び/またはマトリックスイオンは試
薬ガスと選択的に反応して、キャリヤガスイオン及び/またはマトリックスイオ
ンを中性種にするか、キャリヤガスイオン及びまたはマトリックスイオンはキャ
リヤガスイオン及び/またはマトリックスイオンとは異なる質量を持つ生成物イ
オンに取り込まれる。この反応後、得られたイオンビームは、キャリヤガスイオ
ン及び/またはマトリックスイオンに対して被分析物質イオンの割合が高く、生
成物イオンは選択的に分散されて、全イオンに対して被分析物質イオンの画分が
多いイオンビームになる。このイオンビームは質量分析器へ方向付けることがで
きる。
【0012】 本明細書中で使用する「開口部」なる用語は、プレート、筒または他の幾何学
的形であってもよい貫通穴を備えた中実部材であると理解される。中実部材(例
えば、プレート及び/または筒)は、イオンまたはガスが通過する穴を画定する
物理的部材である。
【0013】 本明細書中で使用する「反応」とは、正味の効果が、キャリヤガスイオン及び
/またはマトリックスイオンが中性の電荷となるか、またはキャリヤガスイオン
及び/またはマトリックスイオンとは異なる質量対電荷(m/z)比をもつ生成物イ
オンを形成するように反応する、試薬ガスイオンとキャリヤガスイオン及び/ま
たはマトリックスイオンとの間の全ての反応経路を指す。反応としては、電荷移
動、原子移動、及び結合挿入が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】 本明細書で使用する「電荷移動」とは、正味の効果が帯電種と中性種との間で
電荷が交換することである全ての経路を指す。この経路には、電荷移動反応では
ない段階も含み得る。経路内での段階には、例えば、(単数または複数種類の)共
鳴電荷移動、電子移動、プロトン移動、及び原子移動などの、単独または連続し
た(単数または複数種類の)化学反応を含み得るが、これらに限定されない。
【0015】 本明細書中で使用する「反応の選択性」とは、試薬ガスとキャリヤガスイオン
との間の反応の程度対試薬ガスと非キャリヤガスイオン(例えば、被分析物質イ
オン及び/またはマトリックスイオン)との間の反応の程度の割合を指す。割合
は少なくとも10であるのが好ましく、少なくとも1000であるのが最も好ましい。
【0016】 本明細書中で使用する被分析物質イオンとは、熱イオン化、イオンビーム、電
子衝撃イオン化、レーザー照射、エレクトロスプレー、及びその変形、例えば、
イオンスプレー(Ionspray:商標)、誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、グ
ロー放電、アーク/スパーク放電及び中空陰極放電を含むがこれらに限定されな
い全ての手段によって発生する全てのイオンを指す。被分析物質イオンは、その
被分析物質イオンが他のイオンと分離されて使用されるかまたは検出されるのが
望ましいという点で、他のイオン(キャリヤガスイオン、マトリックスイオン、
及びバックグランドイオン)とは区別される。このように、他のイオンが存在す
ると、被分析物質イオンの検出または使用が干渉されたりまたは限定されたりし
てしまう。本明細書中で使用するように、「試薬ガス」とは、キャリヤガスイオ
ン及び/またはマトリックスイオンとの選択的反応に好適な全てのガスを指す。
試薬ガスは、気体形及びその混合物、並びに、濃縮物質の蒸発またはレーザーア
ブレーションにより生成した気体、蒸気、粒子、またはエーロゾルで提供される
市販で入手可能な物質を含むがこれらに限定されない全ての手段によって提供さ
れる。さらに、本明細書で使用される試薬ガスとしては、上記任意の方法により
生成したキャリヤイオン、被分析物質イオン、またはマトリックスイオンの中性
種も含み得る。当業者には明らかであるように、本発明の方法はキャリヤガスそ
れ自体を含有する系に限定されない。典型的には、ガス種は、被分析物質ガス、
マトリックスガス、及びキャリヤガスである。しかしながら、本発明の方法は、
キャリヤガスまたはマトリックスとして全く種が提供されなくても、二種以上の
イオン種を含む全ての系で十分に同様に実施される。例えば、任意の帯電種の解
離により生成した娘イオンが不都合な用途では、好適な試薬を選択して電荷移動
によりこれらの娘イオンを除去または中性化することができる。同様に、特定の
サンプルは、別の干渉性物質との混合物中に重要な物質を含んでいてもよい。好
適な試薬を選択して、選択的な反応により別の干渉性物質を除去または中性化す
ることができる。例えば、元素質量分析法での同重体干渉は、一つ以上の干渉性
元素の選択的反応を起こすことによって取り除くことができる。本発明の好まし
い態様では、選択されるキャリヤガスはアルゴンであり、選択される試薬ガスは
水素である。
【0017】 本明細書で使用するように、イオン源は、誘導結合プラズマイオン源、熱イオ
ン化、イオンビーム、電子衝撃イオン化、レーザー照射、誘導結合プラズマ、マ
イクロ波プラズマ、グロー放電、アーク/スパーク放電及び中空陰極放電、並び
にこれらの組合せを含むがこれらに限定されない元素イオン源であることができ
る。イオン源は、エレクトロスプレーイオン源を含むがこれに限定されない分子
イオン源であってもよい。
【0018】 RF多重極は当業界で公知の種々の方法で形成することができる。典型的には、
RF多重極は、通常、断面円形のロッドである偶数の多重極部材を、多重極の長さ
に沿って一定に放射状に離して共通の軸の周りに対照的に配置することによって
形成する。このようなRF多重極の理論、設計及び性能は、Gerlich(Dieter Gerli
ch、State-Selected and State-to-State Ion-Molecule Reaction Dynamics、第
1部:Experiment;Advances in Chemical Physics Series、第LXXXII巻;Cheuk
-Yiu Ng及びMichael Baer編者;John Wiley & Sons、1992)及び他の文献に詳細
が記載されている。しかしながら、これらの設計特徴の殆どは、多重極のイオン
ガイド特性を壊すことなく変形することができる。例えば、極部材は断面が円形
である必要はなく、断面の形は極部材の長さに沿って一定である必要はなく、極
部材を放射状に離す配置(放射状分離)は一定である必要はなく、一方では偶数の
極部材を使用しなければならず、極部材は異なる断面形を有していてもよく、多
重極はその長さに沿って幾つかの点でそれぞれの極部材で湾曲部を形成すること
によって「曲がって」いてもよく、極部材の長さは極部材の放射状分離と同じぐ
らいであってもよいが、その長さは通常、極部材の放射状分離よりも数倍も大き
い。このようにして、本明細書中で使用する、線形RF多重極とは、単一の、共通
の軸の周りに大体対照的に配置された、その長さに沿って均一断面の極部材を使
用して形成された全てのRF多重極を指すものとする。線形RF多重極中でロッドを
離して配置するのは、多重極の長さに沿って一定であっても、一定でなくてもよ
い。本明細書中で使用する、非線形RF多重極とは、非円形断面極部材の使用、一
つの多重極の中の極部材に関して異なる断面サイズまたは形の使用、曲がった多
重極を形成するための曲がった極部材の使用を含むが、これらに限定されない他
の全ての方法で形成されたRF多重極を指す。非線形とは、電界中心から(または
電界を画定する最低の位置エネルギー表面から)置換されたイオンによって生じ
た復元力が、イオンの空間的な置換に伴って非線形的に変動する電解の対称性の
記載として当業界でも公知である。RF多重極からみると、完全な四重極電界だけ
がこの意味において線形であって;実際の四重極電界などの他の全ての多極電界
は幾らか非線形性である。本明細書中で使用するように、且つ当業界で公知の如
く、全ての実際のRF多重極は、その対照性が線形成分(即ち、四重極)及び非線形
成分(即ち、六重極、八重極、及びそれ以上のオーダーの対称性)から構成されて
いる電界を持つ。
【0019】 従って、本発明の目的は、その側面の一つにおいて、被分析物質イオンを除去
または中性化することなく、キャリヤガス(好ましくはアルゴン)のイオンを中性
化することによって、イオンビームの電荷密度を選択的に減らす為の装置を提供
することである。これは、キャリヤガスが選択的反応性ガスに電荷を選択的に移
動する運動エネルギーにおいて多量の選択的反応性ガス(好ましくは水素)を有す
る衝突セルを通してまたはイオントラップのいずれかにイオン源からイオンビー
ムを方向付けることによって達成される。この装置に於いて、大部分のイオンビ
ームは、40(Ar+)のm/zからm/z3(H3 +)及びm/z2(H2 +)に選択的にシフトされると
いう学説が立てられている。従って、本発明の別の目的は、その側面の一つにお
いて、Ar+からH2へ電荷を選択的に移動させるための装置を提供することである
。水素が低分子量であるため、多くの用途においては、被分析物質イオンを放出
することなく、イオンビームから迅速且つ選択的にH3 +及びH2 +を放出することが
可能であり、これに対し、被分析物質イオンを放出または除去することもなく、
イオンビームから選択的にAr+イオンを放出することは困難であるか、不可能で
あった。このように、本発明のさらなる目的は、その側面の一つにおいて、被分
析物質イオンの減少または放出を最少にしつつ、イオンビームからH3 +及びH2 +
迅速に放出するための装置を提供することである。
【0020】 このように、本発明のさらなる目的は、その側面の一つにおいて、Ar+を選択
的に激減させたビームを提供し、従って、被分析物質のイオン密度の減少を最小
限にしつつ、非常に低い全イオン密度を有する装置を提供することである。
【0021】 AR ICP中に多量のAr+があると、Ar+の電荷移動及び他の反応によって分子イ
オンが形成する。例えば、ArC+、ArN+、ArO+、Ar2 +は全て慣用のICP質量スペク
トルにおいて知見されているものであり、ICP自体またはプラズマサンプリング
プロセスの初期に形成すると考えられている。Ar+または他のプラズマイオンと
特定の真空系バックグランドガス(H2O、O2、N2、CO、ポンプ油由来の有機物等)
との反応によって他の分子イオンが形成することがある。これらの分子イオンは
、重要な元素イオン、例えば、28Si+及びN2 +55Mn+及びC4H7 +56Fe+及びArO+
80Se+及びAr2 +などと同重体として重複するという点で厄介である。これらの
分子イオンは、中性化するような方法でH2または他の試薬ガスと反応することが
できる。例えば、Ar2 +は、H2と反応してArH+を形成し、これはさらにH2と反応し
て、最終的にH2 +及び/またはH3 +を形成する。同様に、Ar2 +はH2と反応してAr2H + を形成し、これはさらにH2と反応してH3 +を形成する。さらに例えば、炭化水素
イオンの形成に関する一つのメカニズムはAr+による化学イオン化であるため、
本発明によりAr+が減少するのと同時にC4H7 +も減少することができる。これらの
理由により、Ar+がICPサンプリングプロセスで初期に中性化すると、これらの分
子イオン干渉の多くは減少させられると予測される。
【0022】 よって、本発明のさらなる目的は、その側面の一つにおいて、Ar+を選択的に
激減させたビームを提供し、それによって上記の分子イオン干渉に対応する広範
なm/z値でバックグランド信号をより低くするための装置を提供することである
【0023】 イオントラップから不都合なイオンを除去する方法も非常に有効である。帯電
試薬ガスは共鳴排出、イオン-分子反応によるm/zにおける突然の変化(即ち、RF
波形をトラップする期間に関して急激な変化)、トラップ中で安定に貯蔵された
最低m/zイオンよりも低いm/zイオン(即ち、帯電した試薬ガスのm/zがイオントラ
ップ中のいわゆる「低質量切り捨て」よりも低い)の不安定性による損失により
除去することができる。本発明により、選択的にイオンを除去するための方法は
イオン-分子反応によるものであって、該反応ではイオントラップから除去する
のが望ましいイオンが試薬ガスと反応して、帯電した試薬ガスを形成し、帯電し
た試薬ガスは以前のイオンよりもイオントラップからずっと除去し易くなる。
【0024】 このように、本発明のさらなる目的は、試薬ガスでイオントラップ内部を加圧
し、その中でトラップされたイオンが、試薬ガスとキャリヤガスイオンとの間の
反応によりキャリヤガス中で選択的に激減される、イオントラップを提供するこ
とである。
【0025】 本発明のさらなる目的は、試薬ガスが水素であり、キャリヤガスがアルゴンで
ある、そのようなイオントラップを提供することである。 本発明の主題は、本明細書の結びの部分で特記し、且つはっきりと請求する。
しかしながら、さらに好都合な点及びその目的と共に、操作の構成及び方法は、
いずれも、添付図面と関連する以下の記載を参照することにより最も理解され得
るであろう。
【0026】
【好ましい実施態様の説明】
二種以上のイオンを持つイオンビーム内の選択されたイオンと試薬ガスとを反
応させ、その後、生成物イオンを優先的に分散させるための装置(図1)を、誘導
結合プラズマ質量分析計(以後、ICP/MSという)中に示す。ICP/MSは、キャリヤガ
ス(通常、アルゴン)とサンプルからなるプラズマを誘導結合プラズマ(ICP)中で
発生させ、質量分析計を使用して構成成分の原子と同位体とに分離して識別する
装置である。操作とプラズマ中の所望の温度を保持するための両方の便宜上、IC
Pは通常、大気圧で操作する。プラズマからイオンを質量分析計に移動させるた
めに、プラズマは2つの装置20、30を通って、次いでレンズスタック60に方向付
けられる。これによってプラズマは、被分析物質イオンとキャリヤガスイオン及
び/またはマトリックスイオンとを含有するイオンビームに変換される。レンズ
スタック60は通常、一連のレンズ部材70、80、通常プレート及び/または円筒管
からなり、これらに電位が印加され、イオンビームが向けられる開口部を有する
。イオンビームはこれらのレンズ部材70、80を通って方向付けられ、レンズ部材
はイオンビームを細流(narrow stream)に収束させて、この細流を質量分析器1
0または線形四重極200(図3)に方向付ける。本明細書中で使用するように、質量
分析器またはイオン識別ユニットとは、それらのm/z及び/または運動エネルギ
ーに従って帯電種を分離する全ての装置を指す。イオン識別ユニットとしては、
線形四重極、四重極イオントラップ、飛行時間型管、四重極イオントラップと飛
行時間型管との組合せ、扇形磁場、扇形電場、扇形磁場と扇形電場との組合せ、
レンズスタック、DC電圧プレート、イオンサイクロトロン共鳴セル、及びrf多重
極イオンガイドが挙げられるが、これらに限定されない。イオン識別ユニットと
して線形RF四重極と組み合わせるかまたは単独で三次元RF四重極イオントラップ
を使用する変形ICP/MS系が確立されてきた。レンズスタックを出ると、イオンビ
ームはイオン識別ユニットに向けられる。イオンはその質量対電荷比(m/z)及び
/または運動エネルギーに従ってイオン識別ユニットから選択的に放出される。
これらの選択的に放出されたイオンはやがて帯電粒子検出器50に方向付けられる
。このようにして、ICP/MSはそれらの(m/z)及び/または運動エネルギーに従っ
て被分析物質中の選択されたイオンの存在を検出することができる。イオン識別
ユニット中に存在するイオンと全てのガスとの間の衝突または反応によってイオ
ンを帯電粒子検出器から離れて偏向させたり、または被分析物質のイオンを中性
化させる傾向があるため、イオン識別ユニットを真空中に保持することが重要で
ある。検出器を横切る高電位が十分な圧力、通常10-4Torrを超える圧力で存在す
る全てのガス中での放電を生じさせてしまうため、帯電粒子検出器を真空中に保
持することが重要である。このように、一基以上のポンプを使用してICPと帯電
粒子検出器との間の一連のチャンバを真空にする。チャンバは一つ以上の開口部
により分離されて、ICPにおける大気圧から帯電粒子検出器における高真空(通常
、約10-7〜10-4Torr)に移行する。大きな圧力差を生み出すために、ICP/MS系は
通常、約0.5mm〜約2mmの間の開口部を使用する。
【0027】 本発明により、試薬ガスを含有する少なくとも一つの衝突セルを第一の開口部
20と帯電粒子検出器50との間に配置する。図7は、衝突セル710の配置を示す。
衝突セルは、第一及び第二の開口部20、30との間、第二の開口部30とレンズスタ
ック60との間、レンズスタック60内のレンズ部材の間、またはレンズスタック60
と質量分析器10(例えば、四重極イオントラップ)との間にあってもよい。或いは
、試薬ガスを含有するイオントラップは、第一の開口部20と帯電粒子検出器50と
の間に配置されても良い。図1は、四重極イオントラップである質量分析器10の
配置を示す。イオントラップは開口部20、40の間、開口部30、40の間、差動開口
部40と帯電粒子検出器50との間にあってもよい。さらに別の配置も可能であり、
例えば、イオントラップは第一の開口部20と帯電粒子検出器50との間に配置する
ことができ、種々のレンズスタックを開口部20とイオントラップとの間、及びイ
オントラップと帯電粒子検出器との間で使用することができる。他の質量分析器
もイオントラップと組み合わせて使用でき、第一の開口部20とイオントラップと
の間及び/またはイオントラップと帯電粒子検出器50との間に配置することがで
きる。
【0028】 操作時、試薬ガスをキャリヤガスとサンプルとを有するイオンビーム内に導入
して、キャリヤガスイオン及び/またはマトリックスイオンを反応させるかまた
は中性化させる。このとき生成物イオンをイオンビームから選択的に拡散させる
ことができる。反応の程度は、少なくとも4つの因子により制御する。第一に、
選択した任意の二種は、所定の時間にわたる反応の完結度に影響する固有の反応
速度を有し、他の全てのものは一定に保持する。第二に、イオン速度がより遅い
ため、反応領域のイオンの滞留時間がより長くなって、より多くの反応が進行す
る。第三に、反応横断面で速度依存性があり、これは通常、任意の所与の反応種
毎に異なるので、任意の所与の反応毎に最適速度には高低がある。第四に、イオ
ンと試薬ガス種との間の衝突確率が増加するにつれて、所定の時間での反応の完
結度が増加する。従って、反応の完結度は、試薬ガスの圧力と、二種のガスが接
触している時間とに依存する。イオンは、試薬ガスと接触できる十分な機会を持
たなければならない。即ち、試薬ガス種が低濃度または低圧で存在する場合には
、滞留時間を長くしなければならない。
【0029】 当業者には明らかなように、本発明はICP/MSで使用するものとして記載してき
たが、本発明の装置は、衝突セル及び/または、その中にキャリヤガスと被分析
物質ガスを導入し、そこでキャリヤガスイオンを除去するか中性化する、試薬ガ
スを充填したイオントラップとを有する全てのシステムで好都合に適用すること
ができる。ICP/MSシステム、並びに以下の好ましい態様で記載する装置は、キャ
リヤガスイオンの選択的中性化または除去を確認するための検出元素を含んでい
るため、いずれも本発明の実施であり、例示である。第一の好ましい実施態様 図1に示されている第一の好ましい態様において、線形四重極とその関連電子
装置(図示せず)を四重極イオントラップ及びその関連電子装置(図示せず)として
の質量分析器10で置き換えることによって、VG Elemental、現在のFisions(Wins
ford、Cheshire、英国;モデルPQ-1)製の慣用のICP/MSを変形した。四重極イオ
ントラップにイオン入口端及びイオン出口端を据え付けて、レンズスタック60か
ら四重極イオントラップへのイオン移動効率を最大化した。使用した四重極イオ
ントラップを、Finnigan MAT(San Jose、 California)製四重極イオントラップ
質量分析器(ITMS:商標)から外した。電子ガン(図示せず)及び注入ゲート電極ア
センブリ(図示せず)を外して、レンズスタック60から四重極イオントラップへイ
オンが移動できるようにした。真空系は標準Fisons真空系から変形し、2つの開
口部により分離された3つの真空領域から構成した。これらの真空領域を標準真
空ポンプ(図示せず)により排気した。第一の真空領域15は第一の開口部20と第二
の開口部30との間にあり、通常0.1〜10Torrの間で操作した。第二の真空領域25
は第二の開口部30と差動開口部40との間にあり、通常10-5〜10-3Torrで操作した
。差動開口部40は、標準Fisons ICP/MSで使用されるのと実質的に同じ位置でレ
ンズスタック60内に配置される。第三の真空領域35は差動開口部40によって第二
の真空領域25から分離されている。第三の真空領域35はレンズスタック60の一部
、四重極イオントラップと、帯電粒子検出器50とを含有する。第三の真空領域35
は、通常10-8〜10-3Torrで操作する。イオン源での大気圧から帯電粒子検出器で
の高(または超高)真空へ移行させる際に、真空ポンプと開口部の他の配置をとる
ことも可能である。実験1 第一の好ましい態様に記載の開口部を使用して、一連の実験を実施した。種々
の構成成分の相対的配置を図1に示す。真空領域15、25及び35は、上記の如く慣
用の条件下で操作した。レンズスタック60に印加した電位は、ICP/MS(Fisions)
の製造業者により推奨された範囲内であった。第一及び第二の開口部20、30はい
ずれも接地した。差動開口部40は、約−120VのDC電位でバイアスをかけた。レン
ズ部材70、80の電位は、四重極イオントラップへのイオンの移動効率が最大であ
るように最適化され、慣用のICP/MS装置で使用する電位とは異なっていた。レン
ズスタック60内でレンズ部材80上の電位を切り替えることにより四重極イオント
ラップ内でイオンをゲートコントロールした。製造業者(Fisons)によりレンズ部
材「L3」として記載されているレンズ部材80上の電位は、約−10V〜約−500Vの
範囲、好ましくは−35Vでイオンを四重極イオントラップに入れるのに使用した
負の値と、約+10V〜約+500Vの間の範囲、好ましくは約+10Vでイオンが四重極
イオントラップに入らないようにするのに使用した正の値、またはイオンの運動
エネルギーとの間で切り替えた。レンズ部材80上の電圧を切り替えるのに使用し
た電子ゲートコントロール(図示せず)は、電子をゲートコントロールするために
Finnigan MAT ITMSにより提供される標準信号を逆転させることによって提供し
た。本発明は、ゲートコントロールを実施するプリント回路基板(図示せず)上の
余分の変換器(図示せず)を使用して実施した。
【0030】 四重極イオントラップは、例えばヘリウムなどの緩衝ガスを導入するために通
常使用するポート90で製造した。試薬ガスをヘリウムに添加することによって、
試薬ガスを四重極イオントラップに導入した。通常ヘリウム緩衝ガス圧は、約10 -5 〜約10-3Torrの範囲であった。試薬ガス対緩衝ガス圧の割合は、約0.01%〜100
%の間で変動した。Ar、H2、XeまたはKrを四重極イオントラップ内に試薬ガスと
して導入するこの装置で実験を実施した。
【0031】 被分析物質及びイオンの信号におけるこれらの試薬ガスの効果は、四重極イオ
ントラップ質量スペクトルを記録することにより知見された。添加したH2の効果
を示す代表的な質量スペクトルを図2に示す。純粋なヘリウム緩衝ガスを使用す
ると図2の上部トレース100が得られ、これは図2において明瞭にするために0
からオフセットされている。約5%H2及び約95%ヘリウムを使用すると、図2の下
部トレース110が得られた。上部トレース100は種々のピーク強度、特に、m/z 18
のH2O+ 102、m/z 19のH3O+ 104、m/z 40のAr+ 106、m/z 41のArH+
08を示した。試薬ガスとしてH2を添加すると、Ar+、H2O+、ArH+及びH3O+は、
下部トレース110で適当なm/zでピーク強度が減少することにより示されるように
大きく減少し、これらの帯電種が殆どまたは全部除去されたことを示す。図2a
は、より細かい垂直目盛り(即ち、引き延ばされた)での図2の下部トレース110
を示す。Ar+、ArH+及びH2O+が存在しない上に、ICP/MSスペクトルで通常知見さ
れる他の幾つかのイオンも図2aに示されている下部トレース110には明らかに
存在しない。これらの他のイオンとしては、特にArO+及びAr2 +が挙げられる。
【0032】 これらの帯電種を除去することに加えて、被分析物質イオンにおける任意の添
加試薬ガスの効果についても考慮しなければならない。キャリヤガスとしてアル
ゴンを使用して本明細書中に記載する好ましい態様の装置におけるH2との反応に
関して、以下の元素:N、O、Na、Mg、Al、Si、K、Ar、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、
Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、As、Se、Kr、Rb、Sr、Y、Zr、Mo、Rh、Ag、Cd、In、S
b、I、Xe、Cs、Ba、Tl、Pb、Bi、Th及びUの原子カチオンを試験した。全ての実
験において、反応することが知見されたイオンは、N+、O+、Si+、Cl+、Ar+及びK
r+だけであった。Ar+強度における減少は、列記した他の非反応性イオンのどの
強度における減少よりも少なくとも100,000倍大きかった。第二の好ましい実施形態 図3に示される第二の好ましい実施形態において,VGエレメンタル社(VG Ele
mental)(現在はフィソンズ社[Fisons])製の常用のICP/MS(ウインスフォ
ード[Winsford]、チェーシャー[Cheshire]、英国[England];モデルPQ-I
)を、線形四重極200と帯電粒子検出器50との間にスケールド(scaled)質
量分析器210、例えばスケールド四重極イオントラップを配置することにより
変更した。スケールド四重極イオントラップで使用した電極(図示せず)は、そ
のイオントラップのイオン貯蔵容量を高め、かつ標準器機(10-650AMU)の質量
範囲を約1/2に低下させるために、フィニガンMAT社(Finnigan MAT)(サン
・ジョーズ[San Jose]、カリフォルニア州[California])製のITMSTM電極を
スケールド変型電極となすように注文製造されたものである。このスケールドイ
オントラップの大きさは、試薬ガスを本発明に従って使用することとは無関係で
ある。この特注四重極イオントラップの電極はフィニガンMAT社製ITMSの電極よ
り44%大きく、そして純四重極、即ち引き延ばされていない形状(un-stretch
ed geometry)の四重極の中に組み立てられた。フィニガンMAT社製の標準ITMSTM 電極パッケージ(図示せず)を、第一の好ましい実施形態に記載した変更装置と
共に、以下に記載される電圧を採用して使用した。
【0033】 レンズスタック60はメーカー推奨の電位で作動させる。レンズスタック60
に加えて、第二のレンズスタック250を、四重極の出口開口220と第四真空
領域230中のスケールド四重極イオントラップ(スケールド質量分析器210
)との間に配置する。この第二レンズスタック250は、標準フィソンズレンズ
スタックから取った三つのレンズ要素252、254、256、具体的には二つ
の「L3」レンズ要素と一つの「L4」レンズ要素より成るものであった。第二
レンズスタック250は、線形四重極200とスケールド四重極イオントラップ
との間に高イオン輸送効率を与えるように作成された。第二レンズスタック25
0の両端のレンズ要素252、256に、約−10〜約−300V、好ましくは
約−30Vの電位が印加された。中央のレンズ要素254は、スケールド四重極
イオントラップへのイオンの動きをゲートコントロールするために使用され、そ
の印加電位は開路電位についての約−180Vと閉路電位についての約+180
Vの間で変えられた。第二レンズスタック250の中央レンズ要素254に使用
された電子的ゲーティング制御(図示されず)は、フィニガンMAT社製ITMSTM
与えられる標準信号を反転させて四重極イオントラップへの電子の動きをゲート
コントロールすることによってもたらされた。この反転は、ゲーティングを遂行
するプリント回路基板(図示せず)で臨時のインバーター(図示せず)を使用し
て成し遂げられた。
【0034】 真空系は三つの開口で分離された四つの真空領域から成り、第四真空領域23
0に追加のポンプを具える標準フィソンズ系とした。これらの真空領域は標準的
な真空ポンプ(図示せず)で排気される。第一真空領域15は第一開口20と第
二開口30との間に含まれる領域であって、典型的には0.1-10Torrで作動される
。第二真空領域25は第二開口30と差動開口40との間に含まれる領域であっ
て、典型的には10-5〜10-3Torrで作動される。差動開口40はレンズスタック6
0内に配置されている。第三真空領域215は差動開口40と四重極の出口開口
220との間に含まれる領域であって、典型的には10-8〜10-4Torrで作動される
。第三真空領域215は線形四重極200を含んでいる。第四真空領域230は
、四重極の出口開口220で第三真空領域215から分離されている。第四真空
領域230は、スケールド四重極イオントラップと帯電粒子検出器50を含んで
いる。第四真空領域230は、典型的には10-8〜10-3Torrで作動される。
【0035】 図3に示されるように、試薬ガス類を、第一真空領域15を取り囲んでいるハ
ウジング270に設けられた二つのポート280を通して第二真空領域25に導
入できるようにするために、管260が設けられた。管260は、レンズスタッ
ク60との電気的接触を回避し、そして管260の端を第二開口30の基部の約
1cm後方で、かつ4つの開口20、30、40、220によって画成される中心
軸から約1cm離れたところに配置するように形作られた。このようにして、試薬
ガス類は、試料プラズマの気体動力学を妨害せずに、かつレンズスタック60に
よって生成せしめられる電場のひずみを最小限に抑えて、第二開口30に可能な
限り近い第二真空領域25へと導入される。
【0036】 実験2 図3に示される上記の装置において各種試薬ガスおよびアルゴンキャリアーガ
スを使用して一連の実験を行った。試薬ガス類、即ちH2、Ar、Xe、KrおよびAr/
Xe/Kr混合物を管260経由で第二真空領域25に導入した。真空領域25中の
ゼロと1〜約10m Torrとの間の試薬ガス分圧について、質量スペクトルを得た。
表1に、キャリアーガスと第一欄に示される被分析物質イオンとの、残りの欄の
一番上に挙げた試薬ガスの圧力を上げて行われた反応の相対速度を示す。かくし
て、例として挙げると、表題が「H2」となっている第二欄の値は、H2の圧力を上
げると、それにつれてAr+イオンの強度がIn+イオンの強度より約10倍速い速度
で落ちることを示しているが、これはキャリアーガスイオンの選択的除去を確認
するものである。
【0037】
【表1】
【0038】第三の好ましい実施形態 図4に示される第三の好ましい実施形態において,VGエレメンタル社(現在は
フィソンズ社)製の常用のICP/MS(ウインスフォード、チェーシャー、英国;
モデルPQ-II+)を、第二の好ましい実施形態と同じように管260を設けて第二
真空領域25に試薬を導入できるように変更した。図4に示されるとおり、ICP
/MSの残りの部分はメーカーが提供するものから変更されなかった。管260を
経由して第二真空領域25に導入されたアルゴンキャリアーガスと試薬ガスとし
てのH2を使用して一連の実験を行った。ゼロ〜約2m Torrの第二真空領域25中H 2 圧力について質量スペクトルを得た。これを以下に要約して示す。
【0039】 実験3 被分析物質および他のイオンの信号に及ぼすH2圧力の影響を、上記メーカーが
提供するICP/MSのアナログ運転モードおよびパルス計数運転モードの両運転モ
ードで質量スペクトルを記録することによって観察した。第二真空領域25へH2 を添加せずに記録された二つの質量スペクトルを図5に示す。図5において上の
方のトレース500は、アナログ運転モードを用いて得られたものである。図5
において下の方のトレース510は、パルス計数運転モードを用いて得られたも
のである。上のトレース500は、色々なピーク、最も目立つピークとしては5
02のm/z 14におけるN+、504のm/z 16におけるO+、506のm/z 17における
OH+、508のm/z 18におけるH2O+、512のm/z 40におけるAr+、514のm/z
41におけるArH+、516のm/z 2におけるH2 +および518のm/z 3におけるH3 +
強度を示している。圧力約2m TorrのH2を第二真空領域25に加えることにより
記録された二つの質量スペクトルを図6に示す。図6において上の方のトレース
600は、アナログ運転モードを用いて得られたものである。図6において下の
方のトレース610は、パルス計数運転モードを用いて得られたものである。図
5および図6の垂直および水平の目盛りは同じである。図5におけると同じイオ
ンピーク、即ち602のm/z 14におけるN+、604のm/z 16におけるO+、606
のm/z 17におけるOH+、608のm/z 18におけるH2O+、612のm/z 40におけるA
r+、614のm/z 41におけるArH+、616のm/z 2におけるH2 +および618のm/
z 3におけるH3 +が図6に標識されている。
【0040】 図5および図6の質量スペクトルが示すように、この実施法は、Ar+とH2との
反応で生成せしめられるH3 +の直接検出を可能にする。このイオンの形成は第一
の二つの実施形態の装置で行われた実験から強く推論されるが、H3 +をフィニガ
ンMAT社の四重極イオントラップ質量分析計を用いて検出することはできなかっ
た。この方法が常用のICP/MS器と同じようにして質量スペクトルをもたらす限
りは、常用のICP/MSで、但し第一および第二の好ましい実施形態の方法を用い
ずに一般に観察される分子イオンもここでは観察することができる。かくして、
例えば、真空領域25中の高められたH2圧力のAr+に及ぼす影響を、ArO+とAr2 +
および他の分子イオンに対する影響と共に観察することができる。図5および図
6におけるデーターのさらに詳しい図(垂直に「引き延ばされた」グラフ;図示
せず)は、領域25に加えられたH2による色々な分子イオンの観察された強度変
化は次のとおりであることを示している:m/z 14-19(N+、O+、OH+、H2O+および
H3O+)は全体として約1/4に低下し、Ar+は約1/10に低下し、ArH+は約2倍に増加
し、ArN+およびArO+は約1/2に低下し、そしてAr2 +は約1/5に低下した。
【0041】 添加H2の最も劇的な影響はH3 +ピーク618の強度における約200倍の増加であ
る。H2の添加は、また、Ar+ピーク612の強度に約1/10の低下およびArH+ピー
ク614の強度に約2倍の増加を引き起こす。これらの質量スペクトルは、他の
被分析物質ではピーク強度の低下は最小限(10%未満)であることを示している
(図示せず)。これらの質量スペクトルは、従って、Ar+の選択的除去とH3 +の増
加を示し、それによってH2とAr+との反応における電荷移動の機構が確認される
【0042】 実験4 第三の好ましい実施形態のICP/MS器を、レンズスタック60の電位を、イオ
ンの運動エネルギーを普通の作動条件下での典型的な値から低下させるように調
整したこと以外は変更せずに使用して一連の実験を行った。H2を試薬ガスとして
、圧力測定用に前記メーカーが設けた真空ポート400を経由して第二真空領域
25に導入した。H2の圧力は約0.1〜約1m Torrの範囲であった。測定されたAr+
強度はH2試薬ガスの導入により1/2に低下したが、これはAr+イオン強度を低下さ
せるのに無変更ICP/MSの第二真空領域25にH2を導入する方法が用い得ること
を証明するものである。本発明者は、さらに、m/z 41の信号に約10倍の増加を観
察したが、これは第一の好ましい実施形態の装置による実験観察結果と一致する
ArH+の形成を示すものである。
【0043】 表2には、本明細書に記載される第一、第二および第三の実施形態の装置を用
いて行われた実験から選ばれたデーターが含まれる。この表の各列には、Ar+
被分析物質イオンの低下率並びにそれら低下率の比が与えられている。その比は
選択率のことであって、その選択率で質量スペクトルのAr+強度が被分析物質イ
オンの強度に対して低下する。表2の第一欄の記載事項は、各列に与えられたデ
ーターを得るのに用いられた好ましい実施形態を挙げるものである。表2の第2
欄には、使用された試薬ガスが記載される。試薬ガスを、上記の第一の好ましい
実施形態についての表2に示される結果のために四重極イオントラップに導入し
た。試薬ガスを、第二および第三の実施形態についての表2に示される結果のた
めに真空領域25に導入した。かくして、例として挙げると、表2の第三列はキ
ャリアーガスイオン(Ar+)の反応はSc+の強度を1/2に低下させる条件下でAr+
度を1/30に低下させることを示している。
【0044】
【表2】
【0045】第四の好ましい実施形態 図7に示される第四の好ましい実施形態においては、第一の好ましい実施形態
に記載した装置を、衝突セル710を組み込むことによってさらに変更した。衝
突セル710は、八重極720を金属管730、入口開口740および出口開口
770で囲むことによって形成されている。第一の好ましい実施形態のレンズス
タック60は、衝突セル710を挿入できるように取り外された。前記の好まし
い実施形態で用いられた差動開口40は、1/16〜1/2″、好ましくは1/4″の範囲
にある穴直径を有する入口開口740で置き換えられた。衝突セル710は入口
開口740と出口開口770との間に挿入された。レンズ要素80は、イオンの
前記トラップへの注入を制御するゲーティング電極としての役を果たしたが、但
しこのイオン光学素子中では他の要素もゲーティング用に、例えば入口開口74
0または出口開口770用に使用することができる。この新しい衝突セル710
およびレンズスタック750の取り付けは、レンズスタック750を第二開口3
0(スキマーコーン[skimmer cone])に対して前の実施形態におけるよりも接
近させて取り付け、また四重極イオントラップを第二開口30からより遠くに取
り付けることによって調節された。八重極720は、2.7mmの内接円半径上に取
り付けられた直径2.0mm、長さ11.8cmの複数のS.S.ロッドより成るものであった
が、但し他の寸法の八重極のみならず、他のRF多重極、例えば四重極、六重極、
十二重極等々も使用することができる。
【0046】 周知のように、RF多重極は、一つ置きのロッドに異なるRF電位を印加すること
によって駆動される。ロッドの一つ置きの組に印加される電位は同じ電圧と波形
を有し、そして一定の位相だけが異なっている。八重極720は、約0.1〜20MHz
の範囲の、好ましくは0.75MHzの周波数において、一つ置きのロッド間に、18
0゜の位相差を用いて、約1〜約500Vpp、好ましくは約100Vppの範囲のRF電圧に
より駆動された。イオンガイドとして用いられるRF多重極は、典型的には、案内
場に空間的に均一なDCオフセット成分を生み出すように全てのロッドに対して等
しく印加される共通のDC電位も用いる。八重極720には、約-200〜約+50ボル
トの範囲、好ましくは-20〜+5ボルトの範囲のそのようなオフセットDC電圧がさ
らに印加された。
【0047】 緩衝ガスおよび/または試薬ガスを、ポート90を通して四重極イオントラッ
プに入れる。緩衝ガスおよび/または試薬ガスを、ポート760を通して衝突セ
ルに入れる。アルゴンキャリアーガスを用い、また衝突セル710に導入される
試薬ガスとしてH2を使用して一連の実験を行った。ゼロ〜約10-3 Torrの第三真
空領域35中のH2圧力について質量スペクトルを得た。これを以下に要約して示
す。
【0048】 実験5.Ar++H2 各種被分析物質イオン信号およびプラズマイオン信号に及ぼす衝突セル710
に加えられたH2の影響を観察した。衝突セル710へのH2の添加がある場合、お
よびその添加がない場合の記録された質量スペクトルを図8に示す。図8におい
て上の方のトレース800は、H2を衝突セル710に導入せずに得られたもので
ある。図8において下の方のトレース810は、H2を衝突セル710に導入して
得られたものである。上のトレース800は、種々のピーク、最も目立つピーク
としては802のm/z 18におけるH2O+、804のm/z 19におけるH3O+、806の
m/z 40におけるAr+および808のm/z 41におけるArH+の強度を示している。図
8におけるこれらのトレース800と810の比較は、衝突セル710へのH2
導入は802のH2O+、806のAr+および808のArH+を検出不能レベルまで低
下させ、また804のH3O+の強度も低下させることを示している。H3O+ピーク8
04の強度低下は、Ar+を前に除去しておくことにより分子イオンが減少するこ
との一例である。
【0049】 第四の好ましい実施形態の装置で達成された被分析物質の選択率は、観察され
た最良の選択率である。選択率は、本明細書では二つのやり方で求められ、それ
は検出限界(limit of detection:LOD)として一般に表される。まず、「器機
」としてのLODは、試料中の既知濃度の被分析物質に対して得られた被分析物質
信号を、総ノイズが低い中間質量における(即ち、質量−対−電荷の整数比の半
値[half-integer mass-to-charge ratio]における)近傍(10amu/電荷)検出
チャンネル中の信号の標準偏差に対して比較することによって求められる。第二
に、「方法」としてのLODは、試料中の既知濃度の被分析物質の被分析物質信号
を、「ブランク」溶液を使用している同じ質量−対−電荷比における信号の標準
偏差に対して比較することによって求められる。これらのLODは一般に上記の二
つのやり方で測定されたバックグランドの三つの標準偏差を用いて計算される。
第四の好ましい実施形態の装置を用いて測定された機器LODは0.3〜10pg/mLの範
囲にある。方法LODはこの値より約10倍大きい、即ち2〜50pg/mLである。第五の好ましい実施形態 図9に示される第五の好ましい実施形態において、イオン源900から生成し
たキャリアーガスイオンおよび被分析物質イオンは、第一開口910を通して衝
突セル920に向けられ、そこでそれらイオンは試薬ガスと反応せしめられる。
適宜のイオン源としては、限定されるものではないが、熱イオン化源、電子衝突
、レーザー照射、エレクトロスプレーおよびイオンスプレーTMのようなその変型
、誘導結合プラズマ源、アーク/スパーク放電、グロー放電、中空陰極放電およ
びマイクロ波プラズマ源がある。ここに説明される第五の好ましい実施形態は、
その必須構成部材として考えられるものに限定されるが、当業者には、この第五
の好ましい実施形態は先の好ましい実施形態に記載された常用のICP/MS構成部
材を用いて容易に作ることができることは明白であろう。衝突セル920は第一
真空領域930内に含められている。衝突セル920は、イオンを第一真空領域
930に導入する開口910に近い領域中にイオンを閉じ込める。このようにし
て、イオンは、イオンの分散機会を最小限に抑えて、イオン源900から衝突セ
ル920に向けられる。第一真空領域930は衝突セル920を含んでいるが、
その衝突セル920は、試薬ガスを、その衝突セル920を通してイオンを輸送
し、同時にキャリアーガスイオンと試薬ガスとの間で電荷を十分に移動させる最
適圧力で含むように作られている。
【0050】 衝突セル920は、また、イオンの運動エネルギーを制御するように作ること
もできる。しかして、衝突セル920は、キャリアーガスイオンが試薬ガスと接
触する滞留時間を長くし、従って電荷移動の程度を大きくするのに使用すること
ができる。また、衝突セル920は、適当なDC電場の適用のような、速度また運
動エネルギー識別法の適用によって、遅いイオンを差別するように、即ち遅いイ
オンを送らないように作ることもできる。このようにして、選ばれたキャリアー
ガスイオンをイオンビームから除去するのに、速いキャリアーガスイオンと遅い
中性試薬ガスとの間での電荷交換を利用することができる。衝突セル920中の
イオンの運動エネルギーは、イオンの空間電荷膨張を最小限に抑えるように、で
きるだけ高く、しかし所定圧力の試薬ガスが十分な電荷移動を可能にするように
十分に低く維持される。試薬ガスの最適圧力は衝突セル中に許容し得る被分析物
質イオンの散乱損失とポンプ輸送要件のような実際上の考慮点によって制限され
る。
【0051】 一例として、第五の好ましい実施形態は、アルゴンをキャリアーガスとして用
いて作動させることができる。衝突セル920は、限定されるものではないが、
四重極イオントラップ、長い飛行管(flight tube)、レンズスタックまたはRF
多重極イオンガイドを含めて、イオンを第一真空領域930の中に閉じ込めるの
に適した任意の装置として提供することができる。例えば、衝突セル920をRF
多重極イオンガイドとして選択することによって、衝突セル920は試薬ガスイ
オンをイオンビームから選択的に分散させ、同時に被分析物質イオンを含み且つ
案内するように作動させることができる。H2のような質量の小さい試薬ガスを選
択することによって、RF多重極イオンガイドはm/z 3より大きい低質量のカット
オフで作動させることができる。このようにして、電荷移動生成物として形成さ
れるH2 +およびH3 +は、それらが低m/zであるためにイオンビームから選択的に分
散される。
【0052】 得られたイオンビームは、次に、限定されるものではないが、イオンガンまた
はイオン注入器を含めてかなり多数の最終用途の一つとして利用することができ
る。さらに、得られたビームは、限定されるものではないが、光学分光計、線形
四重極MS、四重極イオントラップMS、イオンサイクロトロン共鳴MS、飛行時間型
MS、扇形磁場および/または扇形電場MSおよび四重極イオントラップ・飛行時間
型MSを含めて質量分析計(MS)を含めて、多種多様な装置で分析することができ
る。最後に、得られたイオンビームは、限定されるものではないが、レンズスタ
ック、ワイヤーイオンガイド(wire ion guide)、RF多重極イオンガイド、静電
セクターまたは磁気セクターを含めて、いかなる電気的または磁気的イオン集束
またはイオン指向装置を通して指向させることができる。
【0053】 得られたイオンビームは、かくして、キャリアーガスイオンに比較して割合が
増加した被分析物質イオンを含む。しかして、得られたイオンビームが、開口で
あって、原イオンビーム電流(即ち、帯電試薬ガスの選択的電荷移動および分離
の前のイオンビーム電流)がその開口の空間電荷流制限を満足しているか、また
はそれを越えているそのような開口を通して指向される提案された用途のいかな
るものにおいても、その開口へと指向されたキャリアーガスイオンに比較して被
分析物質イオンの増加した割合は、被分析物質イオンがその開口を通過する速度
の増加を生む。被分析物質電流のそのような増加は、また、イオンをその開口を
通して指向させるイオン案内場が、その開口を通る被分析物質イオンの、ビーム
中の他のイオンに対する伝達に関して釣り合いのとれない様式で作用するならば
、帯電試薬ガスを分離させることなく実現させることができる。
【0054】 結び 以上、本発明の好ましい実施形態を示し、説明したが、本発明のより広い面に
おいては、本発明から逸脱しない範囲で多くの変更および修正をなし得ることは
当業者には明白であろう。前記の特許請求の範囲は、従って、本発明の真の精神
と範囲に入る全てのそのような変更および修正をカバーせんとするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の第1の好ましい実施形態に用いる装置の概略図である。
【図2】 図2は、本発明の第1の好ましい実施形態に用いる装置において行った実験結
果の2種の質量スペクトルである。 図2aは、図2の低い方のトレース110をより微小な垂直目盛りで示す。
【図3】 図3は、本発明の第2の好ましい実施形態に用いる装置の概略図である。
【図4】 図4は、本発明の第3の好ましい実施形態に用いる装置の概略図である。
【図5】 図5は、本発明の第3の好ましい実施形態に用いる装置において行った実験結
果の2種の質量スペクトルを含む。
【図6】 図6は、本発明の第3の好ましい実施形態に用いる装置において行った実験結
果の2種の質量スペクトルを含む。
【図7】 図7は、本発明の第4の好ましい実施形態に用いる装置の概略図である。
【図8】 図8は、本発明の第4の好ましい実施形態に用いる装置において行った実験結
果の2種の質量スペクトルを含む。
【図9】 図9は、本発明の第5の好ましい実施形態に用いる装置の概略図
である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 バリナガ,チャールズ・ジェイ アメリカ合衆国ワシントン州99352,リッ チランド,ライト・アベニュー 388 (72)発明者 コッペナール,デビッド・ダブリュー アメリカ合衆国ワシントン州99352,リッ チランド,エッジウッド・ドライブ 135 Fターム(参考) 5C038 EE01 GG08 GG09 GH02 GH04 GH08 GH13 JJ02 JJ06

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 キャリアガスイオンと被分析物質イオンとの混合物が与えら
    れる系内で、イオンビームを与えるための装置であって、 (a)イオン源と (b)上記イオン源と結合している、試薬ガスを含有する衝突セルであって、上
    記混合物が導入されて、キャリアガスイオンから試薬ガスに選択的に電荷を移動
    させ、こうしてキャリアガスイオンを中性化して、帯電試薬ガスを形成する衝突
    セルと、 を備えることを特徴とする装置。
  2. 【請求項2】 請求項1の装置であって、前記イオン源は、元素イオン源、
    分子イオン源及びこれらの組み合わせからなる群より選択されることを特徴とす
    る装置。
  3. 【請求項3】 請求項2の装置であって、前記元素イオン源は、誘導結合プ
    ラズマ、熱イオン化、イオンビーム、電子衝撃イオン化、レーザー照射、マイク
    ロ波プラズマ、グロー放電、アーク/スパーク放電、中空陰極放電及びこれらの
    組み合わせからなる群より選択されることを特徴とする装置。
  4. 【請求項4】 請求項2の装置であって、前記分子イオン源は、電子スプレ
    ーイオン源であることを特徴とする装置。
  5. 【請求項5】 請求項1の装置であって、前記衝突セルは、第1の開口部及
    び第2の開口部の間にあることを特徴とする装置。
  6. 【請求項6】 請求項1の装置であって、前記衝突セルは、第2の開口部と
    レンズスタックとの間にあることを特徴とする装置。
  7. 【請求項7】 請求項1の装置であって、前記衝突セルは、レンズスタック
    と質量分析器との間にあることを特徴とする装置。
  8. 【請求項8】 請求項1の装置であって、さらに、前記イオンビームから帯
    電試薬ガスを選択的に除去するためのイオン識別ユニットを備えることを特徴と
    する装置。
  9. 【請求項9】 請求項8の装置であって、前記イオン識別ユニットは、線形
    rf多重極、非線形rf多重極、四重極イオントラップ、飛行時間形管、四重極イオ
    ントラップと飛行時間形管との組み合わせ、扇形磁場、扇形電場、扇形磁場と扇
    形電場との組み合わせ、レンズスタック、又はDC電圧プレートからなる群より
    選択されることを特徴とする装置。
  10. 【請求項10】 請求項1の装置であって、前記試薬ガスは、H2、D2、HD、
    N2、He、Ne、Ar、Kr、Xe及びこれらの組み合わせからなる群より選択されること
    を特徴とする装置。
  11. 【請求項11】 請求項10の装置であって、前記試薬ガスは、熱イオン化
    、イオンビーム、電子衝撃イオン化、レーザー照射、電子スプレイ、熱スプレイ
    、誘導結合プラズマ、マイクロ波プラズマ、グロー放電、アーク/スパーク放電
    、中空陰極放電、気体形態で入手可能な物質、凝縮された物質の蒸発によって発
    生する気体、凝縮された物質のレーザーアブレーション及びこれらの組み合わせ
    からなる群より選択される方法によって得られる中性種として与えられることを
    特徴とする装置。
  12. 【請求項12】 被分析物ガスとキャリアガスとを混合物として有する誘導
    結合プラズマ質量分析計であって、 (a)第1の開口部と質量分析器との間に試薬ガスを含有する衝突セルを含み、
    該衝突セルにおいて、上記混合物が導入されて、キャリアガスイオン及び/又は
    マトリックスイオンから試薬ガスに選択的に電荷を移動させて、帯電試薬ガスを
    形成する衝突セルを備えることを特徴とする誘導結合プラズマ質量分析計。
  13. 【請求項13】 請求項12の質量分析計であって、さらに、帯電試薬ガス
    をイオンビームから選択的に除去するイオン識別ユニットを備えることを特徴と
    する質量分析計。
  14. 【請求項14】 請求項13の質量分析計であって、前記イオン識別ユニッ
    トは、線形rf多重極、非線形rf多重極、四重極イオントラップ、飛行時間形管、
    四重極イオントラップと飛行時間形管との組み合わせ、扇形磁場、扇形電場、扇
    形磁場と扇形電場との組み合わせ、レンズスタック、又はDC電圧プレートから
    なる群より選択されることを特徴とする質量分析計。
  15. 【請求項15】 請求項12の質量分析計であって、前記試薬ガスは、H2
    D2、HD、N2、He、Ne、Ar、Kr、Xe及びこれらの組み合わせからなる群より選択さ
    れることを特徴とする質量分析計。
  16. 【請求項16】 キャリアガスイオンと被分析物質イオンとの混合物が与え
    られる系内でイオンビームを提供する装置であって、 (a)誘導結合プラズマ、熱イオン化、イオンビーム、電子衝撃イオン化、レー
    ザー照射、マイクロ波プラズマ、アーク/スパーク放電、中空陰極放電及びこれ
    らの組み合わせからなるイオン源と、 (b)上記イオン源と結合されていて、試薬ガスを含有するイオントラップであ
    って、上記混合物が導入されて、キャリアガスイオンから選択的に試薬ガスに電
    荷を移動させ、こうしてキャリアガスイオンを中性化して、帯電試薬ガスを形成
    するイオントラップと、 を備えることを特徴とする装置。
  17. 【請求項17】 請求項16の装置であって、前記試薬ガスは、水素である
    ことを特徴とする装置。
  18. 【請求項18】 キャリアガスイオンと被分析物質イオンとの混合物が与え
    られる系内でイオンビームを提供する装置であって、 (a)イオン源と、 (b)上記イオン源と結合している、水素試薬ガスを含有するイオントラップで
    あって、上記混合物が導入されて、キャリアガスイオンから試薬ガスに選択的に
    電荷を移動させて、こうしてキャリアガスイオンを中性化して、帯電試薬ガスを
    形成するイオントラップと、 を備えることを特徴とする装置。
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