JP2002517739A - 血液および血液製剤における凝固の抑制 - Google Patents

血液および血液製剤における凝固の抑制

Info

Publication number
JP2002517739A
JP2002517739A JP2000553612A JP2000553612A JP2002517739A JP 2002517739 A JP2002517739 A JP 2002517739A JP 2000553612 A JP2000553612 A JP 2000553612A JP 2000553612 A JP2000553612 A JP 2000553612A JP 2002517739 A JP2002517739 A JP 2002517739A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
blood
plasma
coagulation
factor
cti
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000553612A
Other languages
English (en)
Inventor
ケネス ジー. マン
マシュウ ディ. ランド
ケビン エム. カウサーン
Original Assignee
ユニバーシティ オブ バーモント アンド ステイト アグリカルチャー カレッジ
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ユニバーシティ オブ バーモント アンド ステイト アグリカルチャー カレッジ filed Critical ユニバーシティ オブ バーモント アンド ステイト アグリカルチャー カレッジ
Publication of JP2002517739A publication Critical patent/JP2002517739A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/86Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing involving blood coagulating time or factors, or their receptors
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/02Antithrombotic agents; Anticoagulants; Platelet aggregation inhibitors
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/81Protease inhibitors
    • G01N2333/8107Endopeptidase (E.C. 3.4.21-99) inhibitors
    • G01N2333/811Serine protease (E.C. 3.4.21) inhibitors

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Diabetes (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

(57)【要約】 本発明は、血液凝固を抑制するための方法を提供する。一般に、本方法は、凝固を抑制するのに十分な量のトウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)を血液または血液製剤に添加することを含む。CTIは単独で用いることもでき、他の抗凝固薬と併用することもできる。1つの面において、本発明は、凝固時間が実質的に延長されることを特徴とする血漿凝固アッセイを特徴とする。全血または最小改変血液を用いる凝固アッセイも提供する。さらに、血液または血液製剤をCTIとともに低温で保存するための方法も提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 関連出願に対する相互参照 本出願は、1998年6月18日に提出された米国特許仮出願第60/088,488号の継続
出願であり、その開示は参照として本明細書に組み入れられる。 【0002】 1.発明の分野 本発明は一般に血液および血液製剤の凝固を測定するための方法に関し、より
詳細には、血液製剤のインビトロ凝固を最小限に抑え、血液凝固における不一致
および誤差の原因を除去するための阻害薬の使用に関する。本発明には、例えば
、血漿凝固時間の延長、血漿凝固アッセイの感度の最適化、ならびに血液および
血漿などの血液製剤の保存性の向上といったさまざまな用途がある。 【0003】 2.発明の背景 血液凝固(凝固)は血液損失を最小限に抑えることによってホメオスタシスを
助ける。インビボでは凝固には通常、血管損傷、血小板凝集、凝固因子および線
維素溶解阻害が必要である。凝固因子は、血管損傷を血塊形成と結びつけるカス
ケードを通じて作用することが報告されている。概要については、ストライヤー
(L. Stryer)、生化学(Biochemistry)、第3版、W.H. Freeman Co.、New York
、ギルマン(A.G. Gilman)ら、治療学の薬理学的基盤(The Pharmacological B
asis of Therapeutics )、第9版、McGraw Hill Inc.、New York、pp.1341〜135
9およびマン(Mann、KG.)ら(1992)Semin. Hematol. 29:213を参照されたい
。 【0004】 血液凝固は、内因性(接触)および外因性経路という2つの異なる経路によっ
て開始される。内因性経路は、血液により運ばれる因子とガラスなどの人工的な
陰性荷電表面との接触によってインビトロで誘発することができる。これに対し
て外因性経路は、循環系と通常は隔絶されたリン脂質表面の組織因子(TF)が、
外傷による血液と接触することにより、インビボまたはインビトロで誘発可能で
ある。いずれの経路も、凝血原の表面に多数の蛋白質複合体が集合し、これによ
って反応を外傷部位に限局させる役割を果たすことを特徴とする。例えば、マン
(Mann, KG.)ら(1990)Blood 76:1、マン(Mann, K.G.)ら(1992)、前記を
参照。 【0005】 凝固に関する最新の理論では、効率的な血液凝固が起こるには2つの経路間の
相互作用が必要という主張がなされている。ラポート(S.I., Rapaport)および
ラオ(L.V.M. Rao)(1995)Throm. Haemost. 74:7ならびにストライヤー(Str
yer, L.)前記、ならびにそれらに引用されている参考文献を参照。 【0006】 接触経路はさらに初期および後期の段階に分かれる。これらの段階には一般に
、特異的な凝固因子がかかわる。例えば、初期の接触経路には活性化プレカリク
レインおよび第XII因子がかかわるが、後期の接触経路には第VIIIおよび第IX因
子がかかわる。血友病A、BおよびCはそれぞれ後期接触経路における欠乏症と関
連することが報告されている(それぞれ第VIII因子、第IX因子および第XI因子)
。プレカリクレインまたは第XII因子の欠乏症については出血傾向は認められて
いない。したがって、これらの初期接触因子は凝固の開始および維持には関係し
ないと考えられている。例えば、デービー(Davie, E.W.)ら(1991)Biochem.
30:10363参照。 【0007】 外因性および内因性テナーゼ(tenase)(第VIIIa因子-第IXa因子)およびプ
ロトロンビナーゼ複合体の多くの活性は、活性化血小板および他のリン脂質膜に
よって亢進する。治療薬のインビボでの効果に関する特徴の分析は、通常、接触
経路を減弱または消失させる方法によって行われる。ネマーソン(Nemerson, Y.
)(1988)Blood 71:1、ランド(Rand, M.D.)ら(1996)Blood 88:1、および
モンロー(Monroe, D.M.)ら(1994)Brit. J. of Haemot. 88:364参照。 【0008】 血液凝固がいかにして始まり、制御されるかを解明するためにさまざまな試み
がなされてきた。1つのアプローチは、インビボで起こると考えられている通り
に血液凝固を再現することであった。例えば、インビトロでの血液凝固に伴う反
応を分析することにより、ある種の血液凝固因子の間の直接的な関係を見いだす
ことが可能であった。具体的な試みには、分画血液および特に血漿などの血液製
剤の分析が含まれる。血液凝固に関する現在のインビトロモデルは、特定の血液
因子の活性に焦点を合わせている。例えば、デービー(Davie, EW.)ら、前記を
参照。 【0009】 凝固におけるこれらの経路の役割に関する混乱は、血液および血液製剤の処理
、保管および研究などにおけるいくつかの問題によって生じた。処理を加えてい
ない全血または血漿などの血液製剤は一般に数分以内で凝固する。凝固はクエン
酸塩などのカルシウムキレート剤の添加によって軽減または消失させることがで
きる。特にクエン酸塩は、プロトロンビナーゼならびに外因性および内因性テナ
ーゼの集合および機能を妨げることが報告されている。クエン酸血は一定期間(
例えば、数日から数週間)にわたって液体形態で保存することができ、操作を加
えて血球分離物、多血小板および乏血小板血漿などの血液製剤を作製することも
できる。クエン酸塩を含む血漿は、約-70℃以下の温度で凍結することにより、
長期間(数カ月から数年)保存可能である。ほとんどの場合、この血漿を用いる
ためにはカルシウムを再添加する。しかし、カルシウム再添加血漿は一般に、ほ
とんどの貯蔵容器内で接触活性化のために自然に凝固し、この場合には接触活性
化は約2〜4分以内で生じうる。このため、ほとんどの凝固アッセイは通常、保存
用に凍結した後に解凍したクエン酸血漿画分に対して行われる。しかし、この種
の画分には使用直前までカルシウム再添加を行わないようにする必要がある。 【0010】 凝固試験はしばしば血液または血液製剤のいずれかに対して行われる。出血時
間試験などの簡単な試験では、患者に創傷を加え、血餅形成までの時間を記録す
る。さらに、血液を直接チューブ内に採取した後、血餅が観察されるまで揺動ま
たは攪拌を行う全血凝固試験も考案されている。開始原因が十分に制御されてお
らず、患者間の比較も困難であるため、この種の試験の情報的価値はそれほど高
くない。臨床の場で凝固試験に最も広く用いられている血液製剤はクエン酸血漿
分離物であり、これはプロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラ
スチン時間(aPTT)試験の重要性による。PTの方が簡便なアッセイであり、これ
はクエン酸血漿に大量のトロンボプラスチンを添加した後、カルシウム添加によ
って反応を開始させることによって行う。血餅形成までの時間を記録するが、こ
れは正常供血者の大部分では約10〜約14秒であることが一般的である。aPTT試験
では、クエン酸血漿をリン脂質および陰性荷電表面を有する固体の混合物と約3
〜約5分間プレインキュベートする。反応はカルシウム添加によって開始するが
、正常供血者に関する凝固時間は一般に25秒から43秒までの間である。臨床的な
根拠ははっきりと確立されているものの、いずれのアッセイも生理的な凝固反応
の全体を模倣する上では完全に適しているとはいえない。概要については、ウィ
リアムズ血液学(Williams Hematology)、下記を参照されたい。 【0011】 例えば、PT測定には生理的に重要な開始因子であるTFを用いており、第V、第V
II、第X因子およびプロトロンビン(II)に対するアッセイの感度は高いが、用
いる濃度は凝固第VIIIまたは第IX因子の欠乏症または異常に対する反応の感度が
通常低くなる程度に十分に高い。凝固は正常個体では急速に起こり(約10〜約14
秒)、秒単位の測定誤差は全凝固時間のうち大きな比重を占める。アッセイを抗
凝固薬の投与のモニタリングに用いる場合、凝固時間の延長に関する目標範囲は
正常値の約2.5〜約3.5倍の間または約25秒から49秒までの間である。この時間の
範囲は正確な分析を行うにはしばしば小さすぎることが認識されている。 【0012】 aPTTアッセイにも問題がある。例えば、開始段階は早期接触経路のメンバーに
よって進行するため、第VII因子はこの反応に関与しない。この結果、生物的に
重要なこの凝固因子の欠乏症または異常に対するこのアッセイの感度は低い。こ
のため、aPTTは、凝固反応の開始因子として作用する第VIIa因子の能力に強い影
響を及ぼすクマジンまたは他のワルファリン誘導体による抗凝固効果のモニタリ
ングには適していないと一般にみなされている。 【0013】 また、ほとんどのaPTTアッセイでは血漿を用いており、全血との適合性はない
。したがって、リン脂質の原料を提供しなければならないことがしばしばであり
、血小板および他の細胞、または細胞プロセスの阻害物質の寄与を評価すること
はできない。ある種の全血凝固アッセイ、特に活性凝固時間(ACT)は抗血小板
療法に対して反応することが報告されている。例えば、モリターノ(Moliterno,
D.J.)ら(1995)Am J. Cardiol. 75:559、アンマー(Ammar, T.)ら(1997)
Circulation 95:614参照。 【0014】 さらに、カルシウム再添加血漿は接触経路のために自然に凝固することが一般
的である。再現性のある結果が得られるようにPTを行うためには、生理的濃度を
上回る組織因子をしばしば添加する必要がある。この結果として凝固までの時間
が短くなるため(約15秒未満)、内因性テナーゼの寄与は失われ、種々の治療薬
に対するアッセイの感度は大きく制限される。例えば、シュルツ(Schultz, N.J
.)(1991)Pharmacotherapy 11:312参照。 【0015】 血液、血漿および他の血液製剤の凝固を抑えることに向けてある程度の進歩は
みられるが、これらの材料の保存を目的とする、改善された方法に対する需要は
現在も存在する。例えば、クエン酸塩、およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)
などの他のカルシウムキレート剤は通常、プロトロンビナーゼおよびテナーゼの
集合および機能に対する減弱因子として有効であるが、これらのキレート剤は保
存期間中に抑制されずにしばしば進行する、第VIII因子、第XI因子およびプレカ
リクレインの活性化が関与する早期接触反応に対してはほとんど無効である。ヘ
パリノイドなどのある種の荷電重合体を用いる他の方法も開発されている。これ
らの化合物は通常、血液および血液製剤における疑似凝固を低下させるのに有効
である。しかし、これらの化合物には欠点もある。例えば、ギルマン(A. G. Gi
lman)ら、前記を参照。 【0016】 上記および類似の問題は全血凝固アッセイの障害ともなっている。例えば、従
来の常法では全血を採取して数分以内に迅速に分析することが指示されている。
これに対する1つのアプローチは、これよりも以降の分析が容易になるように全
血から血漿を調製することである。しかし、上記の通り、高感度で再現性が高く
、インビボ凝固の厳密なモデルとなるアッセイを行うことは困難であった。オス
テルド(Osterud, B.)ら(1977)PNAS(USA)74:5260も参照されたい。 【0017】 インビトロでの全血凝固を抑制することに向けた進歩もある程度みられる。例
えば、トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)が、インビトロ血液凝固
を低下させるために用いられている。例えば、ランド(Rand, M.D.)(1996)ら
、Blood、88:3432、ホジマ(Hojima, Y.)ら(1980)Thromb. Res.、20:149、
およびムナカタ(Munakata, M.)ら(1996)臨床病理(日本)、44:883参照。 【0018】 しかし、従来のCTI使用には欠点があった。例えば、CTIが血漿および他の血液
製剤の凝固を抑制しうるか否かは不明であった。特に、全血の分画または長期間
の保存によってCTIの凝固時間延長能に有害な影響が及ぶ場合があることが認識
されていた。また、一部の血液製剤、特に血漿には凍結および解凍のサイクルを
何回も行うことが日常的である。このようなサイクルの繰り返しもCTIの効果に
影響する可能性がある。さらに、CTIは全血または血液製剤の凝固を必ずしも再
現性のある様式で抑制するわけではない。上記および他の考察により、CTIの凝
固阻害薬としての使用は限定されている。 【0019】 インビボでの凝固との類似性がさらに高い、全血および血漿などの血液製剤の
凝固を測定するための有効かつ再現性の高い方法があれば望ましいと考えられる
。凝固時間がより長く、後期接触経路因子、特に第VIIIおよび第IX因子に対する
感度がさらに高い、組織因子によって開始される血漿凝固アッセイが特に望まし
いと考えられる。 【0020】 発明の概要 本発明は、血液および血液製剤の凝固を測定するための方法を特徴とし、より
詳細には、血液製剤のインビトロ凝固を最小限に抑えるため、ならびに血液凝固
における不一致および誤差の原因を除去するための阻害薬の使用に関する。1つ
の面において、本方法は、凝固分析の能力を高めるのに十分な量のトウモロコシ
・トリプシンインヒビター(CTI)を血漿に添加することを含む。本方法には、
例えば、血漿凝固アッセイの感度および再現性を高める、ならびに血球または血
漿分離物の寿命を延長させるといった重要な用途がいくつかある。 【0021】 また、血液または血液製剤の凝固を抑制するための方法も本発明により提供さ
れる。好ましい血液は、哺乳動物、特にヒト患者由来の全血または最小改変血液
(minimally altered blood)である。好ましい血液製剤は、凍結血漿または本
明細書に記載する他の血漿などの血漿である。1つの態様において、本方法は、
血液または血液製剤の凝固分析能力または保存性を高めるのに十分な程度に、血
液または血液製剤中の凝固を著しく低下または消失させる。特に好ましい方法で
は、血液または血液製剤の凝固を抑制するために有効量のトウモロコシ・トリプ
シンインヒビター(CTI)を用いる。CTIはそれ自体を単独の抗凝固薬として用い
ることもでき、以下に記載する少なくとも1つの十分量の他の抗凝固薬と併用す
ることもできる。 【0022】 特に本発明者らは、CTIを用いることで、全血および血漿などの血液製剤の双
方の凝固分析においてより高度かつより正確な結果が得られることを見いだした
。1つの面において、本発明は、内因性(接触)凝固を低下または消失させるの
に十分な量のCTIを添加することによって血液製剤の凝固を実質的に延長するた
めの方法を特徴とする。1つの態様において、CTIは接触凝固の著しい低下を促す
ことによって血漿凝固時間を阻止する。好ましくは、添加するCTIの量は、同じ
凝固アッセイにおける適切な対照と比較して、カルシウム再添加血漿における血
漿凝固時間を阻止して約1000〜約3600秒またはそれ以上延長させるのに十分であ
る。本方法のさらに好ましい用法では、望ましい国際標準率(International No
rmalized Ratio)(INR)が約1〜約3.5の間であって場合によっては最大約6.5で
あるような血漿凝固時間が提供される。本方法によって達成される実質的に延長
した凝固時間は、以下に記載するものなどの種々の凝固アッセイの感度および再
現性を実質的に高める。 【0023】 本明細書における「血液製剤」または類似の用語に対する言及は、哺乳動物、
特にヒト患者に由来する精製組成物を意味する。血液成分(例えば、血球、血液
因子または血液関連蛋白質)の少なくとも1つが全血から除去されていることが
好ましい。具体的な血液製剤は、赤血球、白血球(免疫細胞)および血小板など
の特定の細胞種の少なくとも1つが欠乏したものである。好ましい血液製剤は血
漿、すなわち血液の液体部分である。ある特定の種類の血漿は、「乏血小板」ま
たは「血小板欠乏」血漿と称する。 【0024】 本方法に用いるCTIの量または比活性は、用途などのいくつかのパラメーター
、より詳細には望ましい抑制の程度によって異なる。しかしほとんどの場合には
、CTIの量または比活性は、同じ凝固アッセイにおける対照と比較して、希望す
る血液製剤の凝固時間を約約100〜約2000秒の間またはさらに長く最大約3600秒
延長させるのに十分であると考えられる。1つの詳細な態様において、用いるCTI
の量は、適切な凝固アッセイによって測定される血漿凝固時間、特に血小板欠乏
血漿における凝固時間を延長させるのに十分であると考えられる。 【0025】 本発明者らは、CTIが、以下に述べるようなある種の凝固アッセイ変法が有用
な範囲を拡大することも見いだした。この拡大は、ある種のアッセイにおいて血
液凝固因子、特に第VIIIおよび第IX因子に対する反応性を確実に得るためには望
ましい。特に、生理的な凝固反応を模倣する血漿凝固アッセイは、約0単位/ml
〜約1単位/mlの間、最大で約2単位/mlまたはそれ以上という範囲の濃度の第VI
IIまたは第IX因子に対する感度の面で改善されると考えられる。 【0026】 重要なことに、CTIにより、特に血漿を用いる凝固分析をより均一かつ再現性
よく行えることも明らかになった。本方法は、その感度および再現性の高さから
、プロトロンビン、第V因子、第VII因子、第X因子および第XI因子を含む上記お
よび他の凝固因子の異常レベルを伴う血液疾患の特徴分析のために特に有用であ
る。 【0027】 何らかの理論に拘束されることは望まないが、CTIは接触経路の有害効果を低
下または消失させることによって凝固アッセイを改善すると考えられ、その効果
は検体の組成およびその検体が接触する表面の性質によって異なる。重要なこと
に、本発明によるCTIの使用により、ある種の凝固アッセイはインビボ凝固反応
をさらに代表するようになるとも考えられる。 【0028】 本方法の具体的な用法は、適切な量のCTIを含む反応容器に血漿、特に血小板
欠乏血漿を加えることを含む。反応容器がさらに、緩衝カルシウムキレート化合
物などの適切な抗凝固薬を少なくとも1つ含む方法が好ましい。CTIおよび抗凝固
薬は、所定量の液体、懸濁液または凍結乾燥材料などの任意の適した形態として
提供しうる。本発明による使用に適した抗凝固薬のさらに具体的な例は、以下に
提示する。 【0029】 本発明者らは、CTIを用いることで、全血または血液製剤のさらに低温での、
例えばほぼ凍結温度またはそれ以下での保存を容易にしうることも見いだした。
より詳細には、接触凝固を低下または消失させるのに十分な量のCTIを全血また
は血液製剤に添加することにより、全血または血液製剤に関して有効かつ再現性
の高い分析をより容易に行えるようになる。特にCTIは、血液または血液製剤に1
回または複数の凍結-解凍サイクルを行った場合にも強力な抗凝固作用を保つこ
とが明らかになった。 【0030】 したがって、1つの面において、本発明は、血液または血液製剤を保存するた
めの方法であって、それを適切な量のCTIと接触させることを含む方法を特徴と
する。1つの態様において、本方法は、例えば、凍結中またはすでに凍結した血
液または血液製剤にCTIを添加することにより、CTIの存在下で血液または血液製
剤を凍結させることを含む。1つの詳細な態様において、CTIは凍結した血液また
は血液製剤の上に重層化しうる。この場合、凍結した血液または血液製剤は、凝
固許容温度(clotting permissive temperature)下においた時に凝固時間の実
質的な延長を呈する。重要なことは、全血または血液製剤が凝固許容温度下にお
かれた場合の内因性凝固を低下または消失させることによって全血または血漿な
どの血液製剤の保存性を改善するために本方法を用いうることである。 【0031】 さらに、血液または血液製剤、特に血漿における凝固を測定するための方法も
提供する。1つの面において、本方法は、凝固の延長を促すために適切な凝固ア
ッセイ系に適切な量のCTIを加えることを含む。例えば、本発明を、抗凝固療法
を受けている患者から採取した検体を用いるPTアッセイとともに用いることがで
きる。より具体的な1つの態様では、乏血小板血漿を用いるPTアッセイにCTIを用
いうる。CTIを用いて、希薄トロンボプラスチンアッセイまたは以下に述べる第V
III、第IXもしくは第XI因子に対して感度のある他の特定のアッセイなどの他の
アッセイにおける接触凝固を低下または消失させることもできる。 【0032】 1つの態様において、本方法は、血液製剤を、例えばカルシウムキレート剤ま
たはヘパリノイドなどの少なくとも1つの抗凝固薬で処理し、続いて血液を血液
製剤の作製をもたらす条件下におくことを含む。より詳細な1つの態様において
、血液製剤は血漿であり、条件には血液から不要な血球を減少または消失させる
ための通常の濾過または遠心処理の段階が含まれる。この態様では血漿を、接触
凝固を抑制または消失させるのに十分な量のCTIとも接触させる。抗凝固薬がカ
ルシウムキレート剤である場合には、血漿はカルシウム再添加したものが好まし
い。続いて、カルシウム再添加血漿を所望の凝固アッセイに用いることができる
。 【0033】 必要に応じて、本方法を、抗凝固薬で処理する前または後の血液に適切な量の
CTIを添加するように改変することもできる。 【0034】 全血または最小改変血液用に適切に適合化された新規な血液凝固アッセイも本
発明によって提供される。本アッセイには、時に「ポイント・オブ・ケア(poin
t-of-care)」分析と呼ばれるものを含む、広範囲にわたる重要な用途がある。
すなわち、好ましい血液凝固アッセイは、院内、外来または在宅環境などにおけ
るベッドサイドでの使用に適合性のあるものである。本発明のこの特徴は、血液
凝固の分析を本質的に「リアルタイム(real-time)」で行うことを容易にし、
これによって患者管理を改善し、血中の治療薬の評価を向上させる。より具体的
な血液凝固アッセイは、薬剤による管理を含む血液凝固に関与する適切な血漿お
よび細胞イベントに対する感度が高い。好ましい血液凝固アッセイでは、低濃度
の脂質化(lipidated)組織因子によって凝固を開始し、一方、接触経路はCTIで
抑制する。重要なことは、本アッセイが、抗凝固薬などの多岐にわたる薬剤、特
に抗血栓薬および/または抗血小板薬の活性を高い感度で検出することである。
本アッセイは薬剤併用の相加および相乗効果の検出も容易にする。ポイント・オ
ブ・ケア血液凝固アッセイのほかの用途および利点は、以下および実施例の項で
述べる。 【0035】 凝固点(freezing)または凝固点以下(below freezing)の条件下におかれた
血液製剤の凝固をアッセイするための方法も提供する。上記の通り、本発明によ
るCTIの使用は、1回または複数の凍結-解凍サイクルに対して著しい抵抗性をも
つ強力な抗凝固活性をもたらす。1つの面において、本方法は、少なくとも1つの
抗凝固薬、好ましくはカルシウムキレート剤またはヘパリノイドで全血を処理し
、続いて全血を血液製剤の作製をもたらす条件下におくことを含む。1つの態様
において、血液製剤は血漿であり、処理される全血は本明細書に記載する血漿作
製のための特定の条件下におかれる。この態様では血漿を凍結し、続いて適切な
量のCTIと接触させる。1つの詳細な態様においては、接触凝固を抑制または消失
させるのに十分な量で適切な量のCTIを凍結血漿に添加する。別の態様では、凍
結の前または最中にCTIを血漿に添加する。いずれの場合も、血漿を凝固許容温
度下におけば、血漿の接触凝固を著しく低下または消失させることができる。抗
凝固薬がクエン酸塩などのカルシウムキレート化合物である場合には、解凍血漿
にカルシウム再添加を行う。続いて、カルシウム再添加血漿を任意の適切な凝固
アッセイに用いることができる。 【0036】 本明細書で時に拡大血漿プロトロンビン時間(Extended Plasma Prothrombin
Time)(XpPT)アッセイと称するものも提供する。1つの態様において、本アッ
セイは、血漿などの血液製剤、特に凍結した、または以前に凍結された血漿にお
ける凝固を適切に測定するために用いることができる。以下に述べる通り、本ア
ッセイは非常に順応性が高く、ほぼ普遍的な止血管理を実現するためのツールと
しての使用を含む、数多くの重要な用途がある。より詳細には、本アッセイは、
先天性出血障害に起因するものなどの異常出血を示す凝固反応のモニタリングお
よび定量化(必要に応じて)に用いることができる。本アッセイは、抗凝固療法
の効果のモニタリングにも有用である。重要なことは、本アッセイはI.S.I.に従
って調節可能であり、このため、トロンボプラスチンの由来に一般に依存しない
、ほぼ普遍的に同等な抗凝固監視システムにつながることである。本発明のこの
利点によって血液凝固試薬を「備蓄」する必要は軽減または消失し、これにより
、分析をより経済的かつ簡便に行えるようになる。以下に考察する通り、本アッ
セイを用いて、トロンボプラスチンなどの「標準化が困難な」試薬を最適化する
ことができる。 【0037】 上記の方法は用途に従って改変することができる。例えば、希望する血液製剤
を作製する前に全血に適切な量のCTIを添加することができる。CTIは血液または
血液製剤の凝固を抑制または消失させるのに十分な量として添加することが好ま
しい。 【0038】 本発明は、適切な凝固アッセイにおける接触凝固を著しく低下または消失させ
るための別の方法も特徴とする。1つの面において、本方法は、全血を適切な量
のCTI、および少なくとも1つの他の抗凝固薬、好ましくはカルシウムキレート剤
またはヘパリノイドで処理することを含む。続いて、処理した全血を血液製剤の
作製をもたらす条件下におく。1つの態様において、血液製剤は血漿である。抗
凝固薬がクエン酸塩などのカルシウムキレート化合物である場合には、血漿にカ
ルシウム再添加を行う。続いて、カルシウム再添加血漿を任意の適切な凝固アッ
セイに用いることができる。 【0039】 本発明は、重要な利点を特徴とする。例えば、本明細書に記載する具体的な方
法は、CTIを添加する適切な凝固アッセイを含む。この例において、本アッセイ
は、組織因子(TF)、特に再脂質化(relipidated)TFを、従来のPTおよびトロ
ンボプラスチンアッセイなどの従来のほとんどの凝固アッセイでこれまで用いて
きたよりもはるかに希薄な濃度で用いうる。特に、本発明に従って行われる血漿
凝固アッセイでは、約1nMまたはそれ未満のTFで外因性凝固を開始させることが
できる。本方法は、不要な接触凝固を抑制または消失させることにより、凝固時
間も望ましく延長させる。上記の通り、接触凝固は生理的に重要な凝固反応をし
ばしば覆い隠す。このため、本発明は、インビボ凝固とより類似性の高い凝固を
アッセイする方法を提供する。特に、アッセイ系にCTIを添加することにより、
その特定のアッセイは高レベルのTFに対して依存しにくくなり、インビボ凝固を
さらに代表するものとなる。 【0040】 本発明はさらに利点を提供する。例えば、本発明は、TFが例えば約25pM未満と
いった低濃度でも第XI因子に対する感度を提供する。このため、本発明により、
これまで分析することが難しかった凝固因子の有効なモニタリングが可能となる
。 【0041】 重要なことに、本発明は、抗凝固療法を受けている患者における凝固をアッセ
イする有効かつ再現性のある手段を提供する。例えば、本発明による凝固アッセ
イに対するCTIの添加により、INR値の測定にさらに均一性がもたらされる。特に
、従来の手法では、クマジンなどの抗凝固薬の投与を受けている患者に関して正
確なINR値を得ることは困難であった。本発明は、凝固時間とINR値との間に比例
関係が容易に得られるようにすることにより、さらに高い均一性を可能にした。 【0042】 本発明はさらに別の利点を提供する。例えば、本明細書に述べる具体的な方法
では、カルシウムを除去するためにクエン酸血漿を用いる。カルシウム再添加血
漿に対するCTIの添加は、接触活性化による干渉を低下または消失させることに
よってその血漿の有用性を高める。したがって、本発明の手法は、カルシウムで
なくTFによる凝固の開始を増強させる。これに対して、従来の常法では一般にカ
ルシウム添加による凝固の開始が指示されている。このため、本発明は、検体の
取り扱いを改善することにより、凝固アッセイ、特に希薄TFアッセイの使用を容
易にする。 【0043】 本発明の上記および関連する利点は、商業的、医学的、臨床的、病院用または
研究的用途に関連するものなどの種々の環境における本方法の手法の価値を高め
る。 【0044】 上記の通り、本発明には順応性があり、適した用途に適合化することができる
。例えば、本方法は必要に応じて、乏血小板血漿を接触経路阻害薬と組み合わせ
、それによって血漿のカルシウム再添加を進める一方で、疑似接触によって活性
化される凝固の可能性がなくなるように改変することができる。 【0045】 同じく上記の通り、本発明は、凍結した、または複数の凍結-解凍サイクルを
受けた血液製剤における接触経路に対して有効かつ再現性のある抑制をもたらす
ことができる。したがって、本明細書に記載する特定の方法を、凍結した、また
は以前に凍結された血液製剤、特に血小板欠乏血漿などの血漿のより効率的な取
り扱いおよび使用を容易にするために用いることも可能である。 【0046】 本発明のこのほかの面および利点は以下に考察する。 【0047】 詳細な説明 上記の通り、本発明は、血液および血液製剤の凝固を測定するための方法、よ
り詳細には、血液製剤のインビトロ凝固を最小限に抑え、血液凝固における不一
致および誤差の原因を除去するための阻害薬の使用を提供する。本明細書に記載
する詳細な方法により、血漿などのある種の血液製剤、特に乏血小板血漿の内因
性凝固を著しく低下または消失させることが可能になる。詳細な態様において、
本発明は、以下に詳細に説明するものなどの適切な凝固アッセイにおける血漿凝
固を延長するための適切な量のトウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)
の使用を特徴とする。重要なことは、本発明の実践によって従来の多くの凝固ア
ッセイ、特に血漿を用いるものが、例えば、凝固第VIIIおよび第IX因子に対する
反応性が高まり、添加した高レベルのTFに対する依存性が低下または消失するこ
とにより、インビボ凝固をより代表するようになることである。 【0048】 さらに、全血または最小改変血液、ならびに血漿などの血液製剤の凝固分析の
能力を高めるための方法も提供する。血液または血液製剤の保存性を高めるため
の方法も提供する。上記の通り、本方法は、血液または血液製剤を、所要期間に
わたって凝固を低下または抑制するのに十分な量のCTIと接触させることを含む
。CTIは単独で用いることもでき、必要であれば、凝固をさらに低下または消失
させるために、血液因子抗体などの少なくとも1つの他の天然または合成抗凝固
薬の十分量と併用することもできる。本方法には順応性があり、適した用途に適
合化することができる。このような用途の例には、ヒト患者から分離した後に数
秒間、最大で約1〜数時間にわたって血液または血液製剤における凝固をモニタ
リングおよび選択的には測定することが含まれる。ほかの用途には、血液または
血液製剤の短期的または長期的保存、特に低温でのほぼ数時間、最大で数日また
は数週間にわたる保存が含まれる。本発明の上記および他の方法における使用の
ために好ましいCTIの量は以下に提示する。 【0049】 本発明は、インビボ凝固との類似性がさらに高い、凝固アッセイ、特に血漿凝
固アッセイに対する需要に対処する。上記の通り、本方法によるCTIの使用によ
り、凝固を直接検出しながら、同時に接触凝固による干渉を最小限に抑えること
、または消失させることが可能になる。また、血漿凝固アッセイ系に対するCTI
の添加により、従来の凝固アッセイを用いてこれまで可能であったよりも低いTF
濃度での凝固開始も可能になる。本発明によって得られる低いTF濃度の下では、
古典的な外因性経路、および接触経路の後期メンバー(血友病AおよびBなどの場
合は、特に第VIIIおよび第IX因子)に対するアッセイの感度がさらに高まると考
えられる。重要なことは、本発明の使用により、早期接触経路(特にプレカリク
レインおよび第XII因子の活性化)の影響を最小限に抑える、または除くことが
できる点である。例えば、ラパポート(Rapaport, S.I.)およびラオ(Rao L.V.
M.)(1995)Thromb Haemost、74:7参照。 【0050】 さらに本発明は、アッセイの再現性および正確さを高めることにより、凝固ア
ッセイの使用を容易にする。 【0051】 本明細書で述べる血漿凝固アッセイは、従来のアッセイと比べて著しい改善が
なされている。例えば、従来の血漿凝固アッセイの多くでは約5nM TFまたはそれ
以上のTF濃度を用いており、第VIIIまたは第IX因子の異常は通常検出されない。
従来の一部のアッセイではこれよりも低いTF濃度を用いるが、しかしながら、そ
のような従来のアッセイは早期接触経路の疑似活性化による悪影響を受ける。こ
れに対して、本方法は例外的に希薄なTF濃度、すなわち1nMまたはそれ未満の範
囲、特に約1pMから約1nMの間で用いることができる。さらに、本方法は第VIIIお
よび第IX因子などの凝固因子に対する感度も非常に高い。したがって、本発明に
よるCTIの使用は、低いTF濃度の下でさらに広い範囲の凝集時間をもたらしなが
ら、同時に早期接触経路の一部のメンバー(例えば、カリクレインまたは第XIIa
因子)による干渉を最小限に抑える、または除去する。さらに、本発明の使用に
よって得られる低いTF濃度は、従来のほとんどのアッセイよりも望ましい凝固速
度(すなわち、より遅くなる)をもたらし、それによってより正確かつ再現性の
ある凝固分析を可能にする。 【0052】 本発明の手法には一般に、血液製剤の調製、試験および操作のための標準的な
方法が含まれる。血液の採取、血漿、特に血小板欠乏血漿の調製、および血液ま
たは血液製剤の低温での保存のためのより詳細な技法は開示されている。例えば
、ウィリアムズ血液学(Williams Hematology)、下記の第151、153、L33および
L53章を参照されたい。 【0053】 「血小板欠乏」または「乏血小板」という用語は、電気インピーダンスまたは
他の自動化された方法などの標準的な方法による測定で、血小板の含有量が無視
しうるレベルであった血漿を意味する。例えば、モリス(M.W. Morris)ら、ウ
ィリアムズ血液学(Williams Hematology)、下記、L1章参照。 【0054】 本明細書における適した量のCTIまたは類似の語句は、所望の凝固アッセイに
おける接触凝固を抑制または消失させるのに十分なCTIの量を意味する。用いるC
TIの詳細な量は、必要な凝固抑制の程度などの知られたパラメーターによって決
まる。 【0055】 「凝固アッセイ」という用語または類似の用語は、PT、希薄トロンボプラスチ
ン、aPTTまたは以下に述べる特定の第VIII因子、IXもしくはXIアッセイなどの、
TF依存的な凝固を特徴とするアッセイを意味する。凝固アッセイ系は一般に、接
触凝固を抑制または消失させるのに十分な適切な量のCTIを含む。好ましいもの
は、約1nM以下などの希薄なTF濃度の下で最適な凝固が認められる凝固アッセイ
である。 【0056】 上記の通り、本発明は全血または血漿などの血液製剤とともに用いるのに適切
である。本方法とともに用いうる血漿の具体的な種類には、血小板および血小板
欠乏血漿を一般に含む「標準」血漿が含まれる。血漿、特に血小板欠乏血漿を作
製するための一般的な方法は以下に述べる。 【0057】 他の種類の血漿も本発明との使用に適している。例えば、本発明は、分画血漿
、すなわち少なくとも1つの血漿蛋白質(例えば、血液凝固因子の1つ)が除去さ
れた血漿を用いる適切な凝固アッセイにおいて、凝固時間を延長するために用い
ることができる。血漿を分画するための方法は当技術分野で知られており、これ
にはアフィニティークロマトグラフィーなどの通常の免疫学的技法が含まれる。
さらに、本明細書に記載する方法を、少なくとも1つの所定の血漿因子を標準血
漿または乏血小板血漿などの血漿に添加した「再構成」血漿を用いて凝固時間を
延長するために用いることもできる。乏血小板、再構成および補足血漿などの血
漿の作製および使用のための方法は当技術分野で知られており、開示もなされて
いる。例えば、ウィリアムズ血液学(Williams Hematology)、下記、L53章を参
照。 【0058】 本発明の好ましい用法は、血漿凝固アッセイ、特に哺乳動物から得られた血漿
を用いるアッセイを含む。関心対象の具体的な哺乳動物には、霊長類、特に患者
などのヒトが含まれる。1つの態様においては、例えば、止血もしくは血栓異常
、凝固抑制因子欠乏症または播種性血管内凝固状態などの血液凝固障害を有する
か、またはその疑いのある患者から血漿を分離する。より詳細には、患者は、血
友病a、bまたはc型の場合のように少なくとも1つの血液凝固因子、例えば、第VI
II因子、第IX因子(またはその両方)の欠乏症を有するか、またはその疑いがあ
ると考えられる。例えば、ウィリアムズ血液学(Williams Hematology)、下記
、126章の表126-1参照。 【0059】 このほかの患者検体も本発明の範囲に含まれる。例えば、血栓症の素因となる
、第VLeiden因子、プロテインC欠乏症またはアンチトロンビンIII欠乏症などの
疾患を有するか、またはその疑いのある患者から血漿を採取することができる。 【0060】 もう1つの態様において、血漿検体を採取する患者には、止血または血栓異常
の病歴が必ずしもなくてもよい。例えば、特定の態様においては、観血的外科処
置を施行中、施行した、または施行予定の患者から血漿を採取することが可能で
ある。より詳細には、観血的外科処置は採血のために針、ステントまたは類似デ
バイスを挿入された患者に対するものでありうる。一例として、観血的外科処置
を患者血液の凝集能を確かめる目的で行うこともできる。例えば、患者が、イン
ビボ凝固の発生の予防または抑制を目的とする予防薬などとして、ヘパリンなど
のヘパリノイド、ワルファリン、クマジンまたは類似の抗凝固薬の投与を受けて
いるか、または受けようとしていてもよい。重要なことは、本発明がこれらの患
者から得られる血漿凝固に関して有効かつ再現性のある試験を提供することであ
る。 【0061】 好ましい血栓性または播種性血管内凝固状態は、凝固調節因子の欠乏症もしく
は異常、またはプロテインCもしくはSに対する後天性自己抗体などの後天性欠乏
症もしくは異常を伴うものでも伴わないものでもよい。 【0062】 上記の通り、本発明の好ましい方法は、適切な量のCTIを添加することにより
、血漿、特に血小板欠乏血漿の凝固を延長する。同じく上記の通り、そのCTIの
量は、アッセイにおける接触凝固を低下または消失させるのに十分である。好ま
しくは、添加するCTIの量は、適切な対照よりも約10〜約3600秒、詳細には約50
〜約1500秒、より詳細には対照よりも約150〜約1050秒の範囲で、血漿凝固時間
を延長するのに十分である。国際標準率(INR)が約1〜約6.5、詳細には約1〜約
3.5の範囲であり、抗凝固療法を施行中の患者から採取した検体については約3.5
〜約6.5の間またはそれ以上が典型的であるような凝集時間が得られるCTIの量が
さらに好ましい。約 単位/ml〜約1単位/mlの範囲の量の第VIIIまたは第IX因
子に対する感度が得られるCTIの量がさらに好ましい。第VIIIおよび第IX因子の
単位に関するより詳細な定義は、ウィリアムズ血液学(Williams Hematology)
、下記、L37章に記載されている。 【0063】 全血または血漿などの血液製剤に関して用いる「正常」という用語は、その用
語が当技術分野で理解されている通り、健康供血者からの材料を意味する。 【0064】 健康供血者の多くでは、第VIIIおよび第IX因子の濃度がほぼ1nM(第VIII因子
)および100nM(第IX因子)未満の範囲にあることが知られている。一部の正常
供血者では第VIII因子および第IX因子の濃度がそれぞれ約0.7nMおよび90nMであ
ることが報告されている。本発明のある特定の方法は第VIIIまたは第IX因子に対
する感度が高いという本明細書での言及は、その方法がほぼ指定した範囲の因子
に対する反応性をもつことを意味する。以下の実施例1〜4を参照されたい。 【0065】 本方法との使用に適している対照はさまざまである。例えば、血漿凝固を測定
する態様においては、対照には通常、CTIを全く添加しないことを除き、対照は
(試験)方法の項で用いるものと本質的に同じ血漿検体であってよい。被験血漿
検体にCTIを添加することによって促される凝固時間の延長は、被験検体および
対照検体の凝固を検出し、続いて両者を比較することによって容易に観察するこ
とができる。いくつかの詳細な場合には、対照は健康供血者から採取した全血ま
たは血漿などの血液製剤である。 【0066】 凝固を検出するための方法は当技術分野で知られており、例えば、所望の凝固
アッセイ系を含む反応容器の検査によって行いうる。上記の通り、本方法の好ま
しい用途には、適切な凝固アッセイにおける血漿凝集時間を延長することが含ま
れる。PTおよびaPTTアッセイなどの凝固アッセイを行うための詳細な方法は以下
の実施例に記載している。ウィリアムズ血液学(Williams Hematology)、下記
、L33章も参照されたい。 【0067】 上記の通り、本方法で用いるCTIの量および比活性は時に異なると考えられる
。しかし、ほとんどの場合、CTIの量または比活性は、適切な対照と比べて血漿
凝固時間を約10秒〜約3600秒の間またはそれ以上延長するのに十分である。PTま
たは他の適切な凝固アッセイを用いる態様において、CTIは好ましくは接触凝固
を低下または消失させ、凝集時間を約100〜約1050秒延長することができるが、
この値はほとんどの用途に対して一般に好ましい。以下の実施例1〜3参照。 【0068】 上記の通り、本方法は、PTアッセイまたは他の適切な凝固アッセイなどの広範
囲にわたるTF依存的凝固アッセイを用いて実施しうる。PTアッセイまたは他の適
切な凝固アッセイを用いる本発明の詳細な態様において、凝固を開始させるため
に用いるTFの量、および血漿のカルシウム再添加のために用いるカルシウムの量
は用途によって異なると考えられる。しかし、多くの場合には、添加するTFの量
は約1nM(TF)またはそれ未満であり、適切な塩、特に塩化カルシウムとして添
加するカルシウムの量は約2〜約30mMであると考えられる。特に好ましい凝固ア
ッセイは以下の実施例の項で説明する。 【0069】 1つの態様において、本方法は、アッセイを行うために用いる反応容器(例え
ば、プラスチック、またはシラン処理したガラス管などの他の適切な種類の容器
)に対して血漿、特に血小板欠乏血漿を添加することを含む。この態様において
、反応容器は一般に所定量のCTIを含み、選択的には、ヘパリノイド(すなわち
、ヘパリンまたはヘパリン類似化合物)または塩化カルシウム、エチレンジアミ
ン四酢酸(EDTA)、エチレングリコールビス(β-アミノエチルエーテル)(EGTA
)、酸性クエン酸ブドウ糖およびクエン酸リン酸ブドウ糖といったクエン酸塩な
どの緩衝カルシウムキレート化合物などの少なくとも1つの別の抗凝固薬を含む
と考えられる。知られている他の抗凝固薬を必要に応じて用いてもよい。1つの
詳細な態様では、約0.05〜約0.5mg/mlの範囲のCTIを用い、約0.1から0.4%(w
/v)の範囲の緩衝クエン酸塩を用いる。以下の実施例を参照のこと。 【0070】 全血または血漿などの血液製剤、特に血小板欠乏血漿にカルシウム再添加を行
うための方法は当技術分野で知られている。一般に、カルシウム再添加には、添
加したカルシウムキレート剤と比較して少なくとも1モル過剰量の望ましいカル
シウム塩(好ましくは緩衝化されたもの)を添加することが含まれる。塩化カル
シウムなどの望ましいカルシウム塩は、約2〜約30mMのカルシウム、好ましくは
約5〜約20mMのカルシウムが得られるような量を添加することが一般的である。
一般には、適切な量の塩化カルシウムまたは他の許容しうるカルシウム塩が好ま
しい。血漿にカルシウム再添加を行うための詳細な方法は以下の実施例において
提示する。 【0071】 全血または血漿、特に血小板欠乏血漿などの好ましい血液製剤における接触凝
固を低下または消失させるために好ましいCTIの量は、全血または血液製剤1ミリ
リットル当たり約50μg〜約200μgまたはそれ以上、最大で約500μg CTIであり
、約80〜約100μg/mlが一般に好ましい。ほとんどの場合、血漿には塩化カルシ
ウムなどの適切な量のカルシウム塩によるカルシウム再添加を行うと考えられる
。「抗凝固有効(anti-coagulation effective)」という用語は、凝固が抑制さ
れ、好ましくは消失するようにすべての内因性カルシウムと結合するのに十分な
カルシウムキレート剤の量を意味する。本発明により用いるためのCTIを作製す
るための詳細な方法は、以下にさらに詳細に述べる。 【0072】 上記の通り、血漿凝固時間、特に血小板欠乏血漿凝固時間を測定するための好
ましいアッセイとしては、実施例の項で開示するものなどの適切な凝固アッセイ
を用いる。好ましいものは、外因性凝固を開始させるために一定量の再脂質化TF
を添加し、希薄なTF濃度の下で行う凝固アッセイである。TFの量は、用途ならび
に望ましい凝固の程度および速度によって異なると考えられるが、一般に約0.00
5〜5nM TFの範囲、好ましくは0.01〜約2nM TFの範囲、より好ましくは約0.05〜1
nM TFの範囲と考えられる。本発明によるさらに好ましいアッセイは、用いるTF
の量に比較して約500〜約2000倍モル過剰量のホスファチジルセリン(25mol.%
)およびホスファチジルコリン(75%mol.%)(PSPC;Sigma、St. Louis、MOに
よる)を適切な緩衝液中に含むと考えられる。特に好ましい緩衝液は以下に述べ
るHEPES緩衝液である。その他の凝固許容性脂質、例えば、0〜約50mol.%のPSお
よび約50〜約100mol.%のPCを含むPSPCを用いてもよい。さらに、必要に応じてP
Sの代わりにホスファチジルグリセロールを用いることもできる。TFを作製する
ための好ましい方法は以下に説明する。特に好ましいTFの作製方法については実
施例9を参照のこと。 【0073】 上記の通り、本発明は、血液または血液製剤を低温で、特に凝固点または凝固
点以下の温度で保存するための方法も特徴とする。好ましくは、血液または血液
製剤を、凝固を低下または消失させるのに十分な量のCTIと接触させる。血液ま
たは血漿を凝固許容温度下においた場合、本方法は接触凝固を著しく低下または
消失させる。特に好ましい方法は、以下の段階の少なくとも1つ、好ましくはす
べてを含む: a)凝固を抑制するのに十分な量の緩衝クエン酸塩または他の適切なカルシウム
キレート剤を含む溶液で血液を処理する段階であって、血漿が必要な場合には処
理した血液をさらに血漿の作製をもたらす条件下におくような段階、 b)処理した血液または血漿を凍結する段階、 c)凍結した血液または血漿を、凝固を抑制するのに十分な量のトウモロコシ・
トリプシンインヒビター(CTI)と接触させる段階、および d)血液または血漿を凝固許容温度下においた場合に接触凝固が抑制されるよう
な、CTIで処理した血液または血漿を凍結する段階。 【0074】 上記の方法には順応性があり、血液または血液製剤の保存を容易にするために
必要に応じて改変可能である。本方法は、保存性を高め、患者に安全に用いられ
るように、滅菌条件下で行うことが好ましい。本方法の1つの態様において、血
液製剤は血漿、特に血小板欠乏血漿である。より詳細な1つの態様においては、
緩衝クエン酸塩(または他の適切なカルシウムキレート剤)を、血液の約0.01%
〜約1%の間またはそれ以上(w/v)の量として血液に添加する(例えば、段階a
)で)。緩衝クエン酸塩または他の適切なカルシウムキレート剤の比率は、血中
濃度が約10mM〜約35mMとなるものが好ましいと考えられる。 【0075】 保存方法に用いるためのCTIの好ましい量は一般に、カルシウム再添加血漿に
おける凝固時間をさらに約100〜約1000秒、好ましくは約1000〜約3600秒の間ま
たはそれ以上延長するのに十分である。特に好ましいCTIの量は、約50〜約200μ
g/mlの間またはそれ以上、最大で約500μg/ml、最大で約1000μg/mlであり、
約80〜約100μg/mlの範囲が一般に好ましい。血漿を用いる本発明の方法におい
て、血漿には一般にカルシウム再添加を行う。上記の通り、必要に応じて、適切
な量のTFおよびPSPCを添加することによって全血または血液製剤の試験を行うこ
ともできる。 【0076】 血液または血液製剤を保存するための具体的な凍結温度は、保存期間の長さお
よび用途などのいくつかのパラメーターによって異なると考えられる。しかし、
ほとんどの場合には、凍結温度は約-70℃、-80℃、-90℃から約-100℃またはそ
れ未満の範囲と考えられる。凝固許容温度は一般に、PTまたは他の適切な凝固ア
ッセイなどの所望の凝固アッセイにおいて検出可能な凝固を開始させるのに十分
であると考えられる。凝固許容温度は約4℃〜約50℃の間が一般的であり、室温
(約25℃)から約37℃までの範囲が好ましいと考えられる。 【0077】 上記の通り、本発明は、広範囲にわたる重要な用途がある新規な「ポイント・
オブ・ケア」血液凝固アッセイも提供する。1つの態様において、本アッセイは
、哺乳動物、特にヒト患者から全血を採取すること、および凝固を抑制するのに
十分な量のCTIを添加することによって採取血液における凝固を抑制することを
含む。凝固は好ましくは再脂質化組織因子によって開始し、実施例の項で述べる
ヘモクロンACT(Hemochron ACT)装置を含む標準的な手段の1つまたは組み合わ
せによって検出する。または、CTIを添加する前、最中または後に全血に最小限
の改変を加えることもできる。CTIでそのようにして処理した採取血液または最
小改変血液は、ポイント・オブ・ケア血液凝固アッセイのための材料として用い
ることが好ましい。例えば、以下に考察する通り、CTIで処理した血液を、例え
ば抗血栓薬および/または抗血小板薬などの抗凝固薬といった薬剤の血液中の薬
理濃度のモニタリングのために用いることができる。本発明によるCTIの使用は
、さらに長い実行可能な期間にわたってより簡便な分析を行えるようにする。こ
れまでに述べた通り、この期間は数百秒のこともあり、それによって凝固分析は
容易になり、特に検体の取り扱いが改善され、誤差が減少する。薬剤の例には、
実施例の項で述べる詳細な抗凝固薬、 例えば、ヘパリン、ダニ抗凝固ペプチド
、エノキサパリン、および「アブシキマブ」と命名されている抗第XI因子モノク
ローン抗体がある。実施例16〜19を参照。 【0078】 ポイント・オブ・ケア血液凝固アッセイにはほかにも利点がある。例えば、本
アッセイの好ましい使用により、抗血栓薬単独、および糖蛋白質IIb-IIIa阻害薬
などの抗血小板薬との併用に対するモニタリングの能力が高まる。抗血栓薬の滴
定により、個別および組み合わせのいずれとも、血栓症の予防および/または出
血性合併症を抑えるのに十分な止血の維持に働くものといった治療法の実施が容
易になると考えられる。 【0079】 さらに、本明細書で提供する血液凝固アッセイは、慣習的または試験的な抗凝
固療法の相加または相乗効果のモニタリングおよび定量化(明確化)のためにも
有用である。アッセイの好ましい使用は、治療薬の最適な投与方式を同定する助
けにもなり、相乗または有害効果を監視するためにも有用である。 【0080】 ポイント・オブ・ケア血液凝固アッセイの用法は直接的であり、時間または他
の資源への出資は最小限である必要がある。特に、チューブはあらかじめ調製し
、脂質化組織因子の添加後に保存することができる。このため、好ましい態様で
は、CTIの入ったバキュテーナー(vacutainer)チューブ(Haematologic Techno
logies、Essex、VT)に血液を採取し、アッセイ用チューブに直接入れる。内因
性 組織因子が入らないように注意すれば、アッセイ結果の再現性は非常に高い
。アッセイを成功させるには組織因子を必ず脂質化することが不可欠である。ロ
ット間変動を抑えるためには、プロトロンビン時間に用いられるものなどの標準
化手順が多くの用途に対して有用とおもわれる。パラレッティ(Palaretti, G.
)ら(1987)Thromb. Haemostas. 58:905参照。 【0081】 ポイント・オブ・ケアアッセイに用いるために好ましいCTIの量は一般に用途
によって決まると考えられる。しかし、約100〜約1000秒の間、好ましくは約200
〜約800秒の間、より好ましくは約300〜約400秒の範囲で凝固の低下または抑制
が必要な態様においては、、CTIの量は一般に約50μg/ml〜約500μg/mlであり
、ほぼ室温下でのほとんどの用途には約200μg/mlのCTIが好ましいと考えられ
る。血液および血液製剤における凝固を測定するための方法は周知であり、以下
の実施例の項でより詳細に考察する。 【0082】 上記の通り、本発明により提供されるポイント・オブ・ケア血液凝固アッセイ
には数多くの利点がある。例えば、この種のアッセイは、患者血液のモニタリン
グを効率的かつ経済的な様式で行うために特に有用である。詳細には、好ましい
アッセイは、組織因子によって開始し、接触経路を抑制する、感度の高い簡便な
最小改変全血凝固アッセイである。本アッセイの好ましい用法は、医療現場(po
int-of-care)で供給される可能性のある新規抗血栓薬の効果を十分に反映する
。本アッセイは非常に再現性が高く、個体間の変動係数は約10%未満である。同
じく上記の通り、本アッセイには、ヒルジンおよびrTAPの抗血栓効果を高い感度
で検出および明確化することを含む、広範な用途がある。エノキサパリンおよび
ヘパリンなどの補因子依存的抗凝固薬の抗血栓効果を検出するために本アッセイ
を用いることも可能である。重要なことは、本アッセイが全血における凝固の特
徴を明らかにし、それによって抗血栓薬または抗血小板薬、さらにはある種の抗
血液因子モノクローン抗体の相加および相乗効果の分析が可能になることである
。特に好ましいアッセイは以下の実施例16〜19で説明する。 【0083】 本発明のポイント・オブ・ケア血液凝固アッセイには、別の重要な用途もある
。例えば、本アッセイは、低分子量ヘパリン、直接的トロンビン阻害薬ならびに
第Xa因子、第VIIa因子-組織因子および糖蛋白質IIb-IIIaの阻害薬などのより特
異的な抗血栓薬および抗血小板薬の治療効果のモニタリングのために用いること
ができる。上記および他の薬剤の例については、カテラ-ローソン(Catella-Law
son F)(1997)、心血管疾患における直接的トロンビン阻害薬(Direct Thromb
in Inhibitor in Cardiovascular Disease)、Coronary Artery Disease 1997:
8:105、コーエン(Cohen M.)ら(1997)N Engl J Med 337:447、ブラスク(V
lasuk G.)ら(1997)Am J Cardiol 80:665、スタンセン(Stanssens P.)ら(
1996)Proc.Natl.Acad.Sci. USA:93:2149、およびシュルマン(Schulman SP.
)ら(1996)Circulation 94:1083を参照されたい。 【0084】 従来のインビトロ凝固アッセイの多くは、これらの薬剤の効果に対する感度が
低かった。このため、インビボでの有効性を最適な形でモニタリングすることに
はしばしば限界があり、ほぼすべての抗血栓薬の治療的意義は臨床イベントの減
少によって明確になることが一般的である。本発明は、種々の薬物の臨床的有効
性を必要に応じてモニタリングおよび定量化するための正確かつ信頼性の高いイ
ンビトロでの代用手段となるポイント・オブ・ケアアッセイを提供することによ
り、これらの欠点を克服する。これらの利点は、患者管理を向上させ、迅速で誤
りの少ない結果をもたらし、新薬の臨床的評価を容易にする。正確で感度の高い
アッセイの利用可能性が限られていることはしばしば、臨床研究の速度を高め、
コストを低下させる可能性のあるパイロット試験の障害や妨げとなる。本アッセ
イは、血液凝固の優れた抑制、特に接触抑制を提供することによってこの欠点を
克服する。 【0085】 重要なことは、本発明のポイント・オブ・ケア血液凝固アッセイには順応性が
あり、抗血栓薬、抗血小板および線維素溶解薬などのさまざまな種類の薬剤を投
与された個々の患者のモニタリングに用いうることである。 【0086】 また、本発明は、血液製剤の凝固をアッセイするための方法も提供する。本方
法の好ましい用法は、以下の段階の少なくとも1つ、好ましくはすべてによって
血漿における凝固をアッセイすることを含む: a)処理が凝固を抑制するのに十分であるような、少なくとも1つのカルシウムキ
レート剤、好ましくは1つのカルシウムキレート剤の一定量を含む溶液で血液を
処理する段階、 b)血液を血漿の作製をもたらす条件下におく段階、 c)血漿を、凝固を抑制するのに十分な量のトウモロコシ・トリプシンインヒビ
ター(CTI)と接触させる段階、 d)血漿にカルシウム再添加を行う段階、および e)カルシウム再添加血漿をアッセイする段階。 【0087】 本方法の好ましい用法は、血小板欠乏血漿における凝固をアッセイすることを
含むが、本明細書で述べる他の種類の血漿を用いることもできる。本方法には順
応性があり、用途に適するように容易に改変しうる。例えば、本方法の段階a)
には、適切な量のCTIを添加することを含めることができる。本方法で用いるCTI
の量は、カルシウム再添加血漿における凝固時間を少なくとも100〜約1000秒、
好ましくは約1000〜約3600秒の間またはそれ以上延長するのに十分であることが
好ましい。特に好ましいCTIの量は約50〜約200μg/mlの間またはそれ以上、最
大で約500μg/ml、最大で約1000μg/mlであり、一般には約80〜約100μg/ml
の範囲が好ましい。血漿には好ましくは、上記の通りの適切な量のTFおよびPSPC
を添加することによって凝固に関する試験を行う。 【0088】 ある種の凝固アッセイ、特にaPTTアッセイを用いてCTIの量または比活性を測
定することが可能である。例えば、一定量のCTIを血漿、例えばクエン酸血漿ま
たはクエン酸血小板欠乏血漿に添加し、aPTTアッセイによって凝集時間を評価す
ることができる。CTIの量は、その凝集時間を既知の量のCTIを用いて標準曲線を
作成した対照実験と比較することによって測定しうる。詳細には、ほとんどのaP
TTアッセイが示す凝集時間は約25〜約43秒の範囲である。これに対して、約500
μg/mlのCTIを添加した場合には、凝集時間は約100〜約150秒の間またはそれ以
上、最大で約240秒に延長する。したがって、aPTTアッセイは、以下に考察する
好ましい方法によって作製したCTIを測定するための便利な方法となる。 【0089】 本発明は、凝固点または凝固点以下の条件下におかれた血液製剤の凝固をアッ
セイするための類似の方法も提供する。好ましい方法は、以下の段階の少なくと
も1つ、好ましくはすべてを含む: a)処理が凝固を抑制するのに十分であるような、少なくとも1つのカルシウムキ
レート剤、好ましくは1つのカルシウムキレート剤の一定量を含む溶液で血液を
処理する段階、 b)血液を血漿の作製をもたらす条件下におく段階、 c)血漿を凍結する段階、 d)凍結した血漿を、凝固を抑制するのに十分な量のトウモロコシ・トリプシン
インヒビター(CTI)と接触させる段階、 e)凍結した血漿を解凍する段階、 f)解凍した血漿にカルシウム再添加を行う段階、および g)血漿における凝固をアッセイする段階。 【0090】 本方法には順応性があり、用途に適するように容易に改変しうる。本方法の好
ましい用法は、血小板欠乏血漿における凝固をアッセイすることを含む。例えば
、本方法の段階a)には、必要に応じて、CTIを添加することを含めることができ
る。本方法で用いるCTIの量は、適切な凝固アッセイによって測定するカルシウ
ム再添加血漿における凝固時間を少なくとも100〜約1000秒、好ましくは約1000
〜約3600秒の間またはそれ以上延長するのに十分であることが好ましい。特に好
ましいCTIの量は約50〜約200μg/mlの間またはそれ以上、最大で約500μg/ml
、最大で約1000μg/mlであり、一般には約80〜約100μg/mlの範囲が好ましい
。血漿には好ましくは、上記の通りの適切な量のTFおよびPSPCを添加することに
よって凝固に関する試験を行う。 【0091】 血漿凝固時間を延長するための特に好ましい方法は、以下の実施例1〜6に記載
する凝固アッセイである。 【0092】 さらに、血漿凝固時間を延長するための類似の方法も提供する。本方法は一般
に、以下の段階の少なくとも1つ、好ましくはすべてを含む: a)抗凝固有効量のトウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)および1つの
カルシウムキレート剤を含む溶液で血液を処理する段階、 b)血液を血漿の作製をもたらす条件下におく段階、 c)血漿にカルシウム再添加を行う段階、ならびに d)カルシウム再添加血漿における凝固をアッセイする段階。 【0093】 本方法の好ましい用法は、血小板欠乏血漿における凝固をアッセイすることを
含む。本方法で用いるCTIの量は、適切な凝固アッセイによって測定するカルシ
ウム再添加血漿における凝固時間を少なくとも100〜約1000秒、好ましくは約100
0〜約3600秒の間またはそれ以上延長するのに十分であることが好ましい。特に
好ましいCTIの量は約50〜約200μg/mlの間またはそれ以上、最大で約500μg/m
l、最大で約1000μg/mlであり、一般には約80〜約100μg/mlの範囲が好ましい
。血漿には好ましくは、上記の通りの適切な量のTFおよびPSPCを添加することに
よって凝固に関する試験を行う。 【0094】 血漿などの血液製剤における凝固を低下または抑制するためにCTIを用いるこ
のほかの好ましいアッセイ、特にXpPTアッセイについては、以下の実施例10〜15
を参照されたい。本アッセイは、凍結したまたは以前に凍結された血漿を含む種
々の特定の血漿との使用に関して完全な適合性がある。 【0095】 上記の通り、本発明には順応性があり、用途に適するように容易に改変しうる
。例えば、場合によっては、CTIの代わりに少なくとも1つの他の抗凝固薬の有効
量を用いることにより、本明細書で開示する方法およびアッセイを改変すること
が有用と思われる。この例には、ヘパリン、ワルファリン、組換えダニ抗凝固因
子(rTAP)、ヒルジン、エノキサパリン、および血液凝固因子に対する抗体が含
まれる。特に好ましい抗体は、以下の実施例19で述べるアブシキマブ (abcixim
ab)抗体などの、血液第XI因子に反応するモノクローン抗体である。 【0096】 しかし、また別の場合には、例えば望ましい期間にわたって抗凝固活性を上昇
または延長させるために、本方法およびアッセイにおけるCTIに対して少なくと
も1つの他の抗凝固薬を補足することがさらに有用と考えられる。この態様にお
いて用いる抗凝固薬の量は用途によって決まると思われるが、一般には、本明細
書で開示する標準的アッセイによって測定される凝集を実質的に低下または阻止
するのに十分であると思われる。ウィリアムズ血液学(Williams Hematology)
、前記、L33章も参照されたい。特定の血漿凝固アッセイ(例えば、aPTT、XpPT
アッセイ)、血液凝固アッセイ、およびヘモクロンACT装置によって検出する凝
固を含む詳細な凝固アッセイは、実施例の項で開示する。 【0097】 用いる凝固因子が血液凝固因子、特に血液第XI因子に対する適切な抗体である
本明細書に記載するアッセイまたは方法を用いる本発明の態様において、用いる
抗体の量はほとんどの場合、必要な抗凝固活性の量および必要な活性の持続時間
などのパラメーターに依存すると考えられる。詳細には、抗体は以下の実施例19
で述べるアブシキマブ抗体であり、用いる抗体の量は一般に、約0.001U/mlから
約10U/mlまでの範囲、好ましくは約0.01U/mlから約1U/mlの範囲であり、ほと
んどの用途には約0.01〜0.05U/mlが好ましい。単位の定義は、好ましい製造者
(Eli Lilly)が用いているものである。または、凝固を抑制するのに十分な量
のアブシキマブを個々の検体に添加することもでき、これは約0.1μg/mlから約
30μg/mlの間、好ましくは約1μg/mlから約10μg/mlの間であり、ほとんどの
用途には約3〜5μg/mlが好ましい。 【0098】 「特異的結合」という用語または類似の用語は、別の分子、一般にはリガンド
と結合して特異的結合対を形成する分子、特に本明細書で開示する抗体またはそ
の断片を意味する。この特異的結合対は、例えばウエスタンブロット法、ELISA
、RIA、ゲルシフトアッセイ(gel mobility shift assay)、エンザイムイムノ
アッセイ、競合アッセイ、飽和アッセイまたは当技術分野で知られた他の適切な
蛋白質結合アッセイによる評価では、他の分子を認識せず、それと結合しない。 【0099】 上記の通り、本発明に用いるための全血、最小改変血液または血液製剤は、哺
乳動物、特にヒト患者から適切に採取する。材料をヒト患者から採取する態様に
おいて、患者は正常であってもよく、この用語は本明細書の定義の通りである。
または、患者は当技術分野で知られた血栓溶解または線溶障害の1つまたは組み
合わせに罹患しているか、またはその疑いがあってもよい。血液または血液製剤
を得るのに適したより具体的な患者は、血小板減少症などの血小板欠乏症または
異常を有するか、またはその疑いがある。 【0100】 以下の詳細な実施例は、本発明を例示したものである。 【0101】 実施例1―トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)の添加を伴う血漿精製 CTIを含む接触阻害薬溶液中に血漿を直接採取するための方法(方法A)を以下
に述べる。この手順は一般的には正常供血者(PT=10〜14秒、aPTT=26〜40秒、
およびフィブリノーゲン値正常)から血漿を採取するために用いた。 【0102】 血液は、滅菌したバキュテーナー(Vacutainer)ブランドの翼状針(19ゲージ
、3/4インチ針、12インチの管およびルアーアダプター付き、Becton-Dickinson
and Co.、Rutherford、NJ、製品番号4919)を用いて、3mgのトウモロコシ・トリ
プシンインヒビターを330mMクエン酸ナトリウム(pH 6.5)中に含む溶液を入れ
た30ccの滅菌シリンジ(製品番号309662、Becton-Dickinson and Co.)中に採取
した。接触阻害薬を含むクエン酸血を50mLコニカルチューブ(Falconブランド、
2070番)に移した。ベックマン(Beckman)TJ-6型遠心機(ローター792型)中に
て980rpmで以下の遠心処理を30分間(4℃)行った後、上清の血漿を1.7mL非付着
性蓋付きコニカル遠心管(VWR;West Chester、PA;製品番号20170〜650)に分
注し(各1mL)、続いて直ちに用いるか、または-80℃で保存した。アッセイに用
いる前に、エッペンドルフ(Eppendorf )5415C型卓上微量遠心機(14,000rpm;
10分間;標準ローターF-45-18-11型、25℃)での遠心処理によってさらに乏血小
板血漿を分離し、上側3分の2(〜0.7mL)を別々の1.7mLコニカル微量遠心管(上
記と同じ)に入れた。乏血小板血漿はアッセイに用いるまで1℃〜4℃で保存可能
である(<2時間、4℃)。 【0103】 本実施例は、血漿精製前の全血にCTIを添加しうる方法を説明したものである
。本方法によって得た血漿にカルシウム再添加を行うと、阻害薬の非存在下にお
ける凝集時間は約2000秒またはそれ以上となる。 【0104】 実施例2―トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)は血漿凝固を抑制する 血漿を採取した後にCTIを添加するための方法(方法B)を以下に述べる。この
手順は患者から採取した検体に対してルーチンに用いた。精密検査は、バーリン
トン(Burlington、VT)にあるフレッチャー-アレン・ヘルスケア(Fletcher-Al
len Health Care)の血液検査室(Hematology Laboratory)で行った。 【0105】 血液を緩衝化3.8%クエン酸ナトリウムの入った滅菌チューブ(Vacutainerブ
ランド、製品番号L10318-00、Becton-Dickinson and Co.)中に直接採取し、チ
ューブを4227RCFで3分間遠心した(Baxter Stat 60型卓上遠心機)。上清をデカ
ントし、各患者検体に関してPT自動測定を行った。さらに14,000rpm、10分間の
遠心処理によって乏血小板検体を入手し、血漿の上側3分の2をサーステッド・レ
クティックカップ(Sarstedt rectic cup)に移し、後に分析するために-80℃で
保存した。解凍の前に、100μg CTI/mL血漿という最終濃度が得られるのに十分
な量のCTI(原液濃度1〜5mg/mL)を、凍結検体の上に重層化した。CTIを含むこ
の種のクエン酸血漿を0〜2時間以内に用いた(2〜8℃で保存)。 【0106】 本実施例は、CTIを血漿に添加しうる方法を説明したものである。 【0107】 実施例3―トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)を用いる血漿凝固アッ
セイ 患者または正常供血者のいずれかから実施例1または2の記載の通りに採取した
乏血小板血漿を12×75mmの使い捨てポリスチレン製チューブ(VWR Scientific、
製品番号60818〜361)に入れた(100μL)。塩化カルシウム(10μL、300mM CaC
l2)を添加し、続いて直ちに、混合液中の脂質の最終濃度が50nMとなるような量
の濃縮PSPC(上記の通りに調製、一般的な原液濃度はほぼ4〜5mM、HBS、pH 7.4
中)を添加した。ゼロ時間の反応開始のためには、組織因子試薬の原液20μL(
以下に述べる)を添加し、最終TF濃度を1nMとした。凝固が観察されるまでチュ
ーブを37℃水浴中で振盪し、その時点で時間を記録した。 【0108】 実施例4―トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)を用いる血漿凝固アッ
セイの血液凝固因子欠乏症に対する感度 血漿凝固アッセイに用いる希薄TF条件(実施例3)において、アッセイが第VII
I因子または第IX因子の欠乏症に反応するか否かを確かめることが重要であった
。その結果、第IX因子欠乏症の患者から採取した血漿(第IX因子1%未満、Georg
e King Biomedical、実施例2に記載した通りの方法で乏血小板化して100μg/mL
CTIを添加)はこの条件下で113〜130秒以内に凝固し、一方、正常血漿(100μg
/mL CTIを加えて実施例1の方法によって分離)は60〜75秒で凝固することが示
された。同様に、第VIII因子欠乏血漿由来の血漿(第VIII因子1%未満、George
King Biomedical、方法Bの通りに乏血小板化して100μg/mL CTIを添加)は125
〜140秒で凝固した。 【0109】 いずれの場合も正常と比べて凝固時間は2倍に延長した。これに対して、3つの
すべての場合で用手的PTに有意な偏差は認められず、この試験に関する正常範囲
にあることが明らかになった(正常血漿、方法A=14.7秒、第IX因子欠乏血漿、
方法B=14.8秒、および第VIII因子欠乏血漿=15.0秒)。したがって、本実施例
は、実施例3に記載したアッセイが第VIII因子および第IX因子の欠乏症を従来のP
Tアッセイよりもより良く反映し、このため高濃度TF下でのPTよりも生物的およ
び臨床的に適切なアッセイであることを示している。実施例3の通りにカルシウ
ム再添加を行ったクエン酸塩添加正常血漿は、TFを添加しなければ3600秒後にも
凝固しなかった。 【0110】 実施例5―抗凝固療法を受けている患者における血漿凝固のモニタリング 上記の実施例3に記載した血漿凝固アッセイは、患者血液のモニタリングのた
め、特に抗凝固療法を受けている患者で血液凝固を測定するために一般に用いる
ことができる。例えば、1つまたは複数の知られた抗凝固薬、例えばヘパリンま
たはワルファリン、ジクマロールもしくはクマジンなどの経口抗凝固薬を投与さ
れている患者における凝固を有効かつ再現性をもってモニタリングするために、
血漿凝固アッセイを用いることができる。他の既知の抗凝固薬の例については、
ギルマン(A.G. Gilman)ら、前記を参照されたい。 【0111】 多くの用途のためには、PTアッセイを一般に認められているトロンボプラスチ
ン標準に対して標準化することが有用である。臨床検査用の標準トロンボプラス
チンは入手可能であるが(WHO標準トロンボプラスチン)、検査室ではPTアッセ
イにこの試薬を常に用いているわけではないことが一般的である。その代わり、
PTの値は、任意の患者に関し、WHO標準に対して較正された市販のトロンボプラ
スチン試薬を用いてまず測定される。続いてこのPTデータを用いて、正常対照PT
値の範囲による幾何平均(N>20)に対する患者PTの比率を算出する。このPT比
に対して、使用したトロンボプラスチン試薬に関して報告されているISI値を累
乗化することにより、このPT比から国際標準率(INR)が得られる。上記の手法
を用いることで、WHO標準トロンボプラスチン試薬を手順に用いた場合に得られ
ると思われる、PTアッセイにおける正常血漿に対する患者の相対的反応性の指標
としてINRを任意の患者に関して報告することが可能となる。例えば、ミレティ
ヒ(Miletich, JP)(1995)、プロトロンビン時間(Proトロンビン Time)(L3
3章)、ウィリアムズ血液学(Williams Hematology)、第5版(Beutler, E.ら編
)、McGraw-Hill, Inc.、Health Professions Div.、New York、L82〜L84ページ
を参照。 【0112】 上記の実施例3に記載した血漿凝固アッセイと、一連の患者血漿に関して得たI
NRとの関連を検討するために、安定化クマジン療法を施行中の患者(INRが1.7〜
5.5の範囲)から採取した血漿をフレッチャー-アレン・ヘルスケア(Fletcher-A
llen Health Care)(Burlington、VT)から入手した。これらの血漿では正常例
に比して凝集時間が延長していた。例えば、正常患者(INR.=1)から得た血漿
に関して本アッセイで認められた凝集時間は60〜75秒の範囲であった。INPが2.0
の患者で認められた凝集時間は一般に215〜240秒の範囲であり、一方、INRが5.0
の患者では凝集時間が700〜800秒の範囲であった。 【0113】 図1は、本アッセイで測定した凝集時間と標準化PTアッセイによって得たINRと
の間に、ほぼ線形的な関係があることを示している。このデータはINRが1.0〜5.
5の範囲にわたって高度の線形性があることを示しており、これには臨床的に用
いられる可能性のある最も厳しいレベルの抗凝固療法さえも含まれる。したがっ
て、実施例3に記載した血漿凝固アッセイは、正常個体とクマジン療法を受けて
いる患者との間の凝固の差を有効かつ再現性をもって検出することができる。よ
り詳細には、本血漿凝固アッセイは、正常および患者血漿の双方における内因性
経路の後期部分の寄与に対して驚くほど反応性が高い。 【0114】 以下の実施例6〜9は、低濃度の組織因子(ほぼ25pM)下での全血における凝固
が第VIII因子に依存すること、および血漿では25pM TF〜ほぼ5pM TFまでの範囲
で第XI因子に対する依存性が認められることを示している。第VIII因子欠乏例と
同様の観察を第IX因子欠乏例の全血についても行った。 【0115】 実施例6―TFの関数としての第XI因子欠乏血漿における凝固 フォン・デン・ボーン(Von dem Borne, P.A.K)ら(1995)Blood 86:3035は
、極めて低いトロンボプラスチン濃度下での第XII因子欠乏血漿におけるフィブ
リン形成に対する第XI因子の効果を示している。再脂質化組織因子の濃度を徐々
に低下させたところ、トウモロコシ・トリプシンインヒビターの存在下における
接触活性化の抑制による測定で、第XI因子欠乏血漿における凝固についても同様
の第XI因子に対する依存性が示された(図3)。第XI因子の存在下(黒丸)およ
び非存在下(黒四角)における凝集時間は24pM TF付近で交差する近接した曲線
を描くが、TF濃度が24pM以下だと大きく乖離する。24pMでの凝固は第XI因子の非
存在下の方が28秒遅いが、6pM TFではこの差は5.7分間に達する。これらの観察
結果に基づき、血友病Cにおける血液凝固を25および5pMで検討した。 【0116】 図3の説明は以下の通りである:第XI因子欠乏血漿(<1%)における凝集時間
を組織因子および第XI因子の関数として測定した(方法の項で述べる通りに)。
縦軸は秒(左側の軸)および分(右側の軸)単位で示している。2本の曲線を提
示している:一方は第XI因子を補充していない第XI因子欠乏血漿 (<1%、黒四
角)であり、第2の曲線は1U/mLの第XI因子を補充した同じ血漿である(25nM、
黒丸)。データを連結するために滑らかな曲線を描いたところ、24pM TF付近で
交差した。曲線は組織因子の濃度が低下するにつれて徐々に離れていき、その差
は6pM TFで最も拡大した。 【0117】 実施例6は、TF濃度を低下させることにより、第XI因子に対するアッセイの感
度がさらに高まるように実施例4および5の条件をさらに改変しうることを示して
いる。 【0118】 実施例7―血友病Aにおける血液凝固 25pM TFによる開始後の、血友病Aの重症患者(<0.5%VIII:C)から採取した
血液における凝固を、正常供血者から得た血液における凝固と比較した(図2A〜
D)。第VIII因子の補充下および非補充下での正常および第VIII因子欠乏血液に
おけるTAT生成の経時的推移を図2Aに示す。正常プロフィール(黒丸)は、4例の
正常被験者で18カ月にわたって行った14回の一連の試験で得た平均データ(「平
均値標準誤差(s.e.m.)」)から作成している。開始期(initiation phase)を
通じてTATはほとんど検出されず、続いて、凝集時間(4.0+/-0.2分間、矢印a)
の後の伝播期(propagation phase)の間は大量のTATが爆発的に生成された(54
.6nM/分)。第VIII因子欠乏血液(白丸)では凝集時間が6.5分まで遅延するが
(矢印c)、これは開始期における正常例に比べて約60%の延長であった。凝集
時間後に正常血液で通常認められる爆発的なトロンビン生成は強く抑制される(
平均速度1.9nM/分、正常例の4%)。組換え第VIII因子(白四角、1U/mL)の補
充によって凝集時間は短縮し(4.1分、矢印b)、TAT形成は5〜16分までの間に45
.9nM/分に増加した。 【0119】 これらの試験におけるFPA遊離に関するプログレス曲線を図2Bに示す。正常プ
ロフィール(黒丸)は、2例に関する9回の一連の試験の平均である。FPAの平均
速度5.2μM/分(4〜6分までの間)で遊離され、凝集時間には約4.8μM(最大値
の30%)が認められる(矢印a)。第VIII因子欠乏症(白丸)におけるFPA遊離の
平均速度は1.6μM/分(正常例の30%)に低下する。しかし、フィブリノペプチ
ドA産生は試験終了時(20分)までほぼ定量的である。血友病例における凝集時
間でのFPA遊離の程度(矢印c)は正常プロフィールにおけるものと同じである(
最大値の約30%)。第VIII因子の補充によって(白四角)、FPA最大速度は6.4μ
M/分に上昇し、正常速度を23%上回る。凝集時間でのFPA遊離の程度は35%(7.
4μM)であり、正常および第VIII因子欠乏血液からの推定値と同程度である。 【0120】 血小板活性化の指標としてのオステオネクチン遊離(Stenner, D.D.ら(1986
)Proc Nat Acad Sci.(USA)83:6892、ならびにKeim, R.J. Jr.およびMann、K
.G.(1990)Blood 75:1105)に関するプロフィールを図2Cに示す。正常個体の
血液(黒丸、同時対照)におけるオステオネクチン遊離は凝集時間(矢印a)ま
では約50%であり、5分間で終了する。第VIII因子欠乏血液(白丸)におけるプ
ログレス曲線は正常からみてやや遅れる。完全なオステオネクチン遊離は6分ま
で認められ、凝集時間の前に最大値に達する(6.5分間、矢印c)。欠乏血に第VI
II因子を補充した場合には対照と類似した曲線が得られた(白四角)。これらの
プロフィールが類似していることは、第VIII因子が存在しないことによる25pM T
Fでの血小板活性化への影響はわずかに過ぎないことを示している。 【0121】 第VIII因子の補充下および非補充下での、血友病Aの血液における第VaHC因子
の生成の経時的推移を図2Dに示す。第VIII因子が存在する場合には(黒四角)、
第VaHC因子の著しい生成が3分で始まり、6分までに終了する。第VIII因子が存在
しない場合には(白四角)、第VaHC因子の生成は遅延し、12分でようやく最大値
に達する。各試験において凝集時間では重鎖の約60〜65%が生成される。第VIII
因子が存在する場合、軽鎖の形成(LC、黒丸、図2D)は凝集時間でまず認められ
(4.1分、矢印a)、6分で終了する。これに対して、第VIII因子欠乏血液では第V
aLC因子の生成が劇的に遅延し(白丸)、8分では痕跡量に過ぎないが、9分では
急速な生成を認める。したがって、第Va因子補因子活性の発現における律速段階
であるLC産生(Rand、M.D.ら(1996)Blood 88:3432およびvan't Veer C.ら(1
997)J. Biol. Chem. 272:7983)は、第VIII因子の非存在下では著しく遅延す
る。 【0122】 第V因子活性化の障害は、血友病患者におけるプロトロンビン変換を制限する
重要な因子である可能性が高いと思われる。正常血液においてランド(Rand, M.
D.)ら(1996)前記は、トロンビン生成の伝播期におけるプロトロンビナーゼ濃
度を、TAT生成速度から、凝集時間での7pMから3分後に最大の150pMに増加すると
推定した。ランド(Rand, M.D.)ら(1996)前記。第Va因子の値および血小板活
性化が150pMを上回る濃度で認められたことから、第Xa因子はプロトロンビナー
ゼの律速因子であると思われた。本試験では、正常例に関するTATデータを用い
て、凝集時間でのプロトロンビナーゼは約35pMであり、反応12分後までに最大の
106pMに増加すると算出している。第VIII因子を補充した血友病血液における推
定値も同程度であった(凝集時間では19pM、最大で136pM)。しかし、第VIII因
子欠乏血液では凝集時間でのプロトロンビナーゼは約1pMであり、試験期間を通
じて6pMを上回ることはなかった。したがって、血友病Aでは律速的な第Xa因子が
生成され、第Va因子の生成が遅延する結果として、そのプロトロンビナーゼへの
取り込みが遅延すると考えられる。遊離第Xa因子はプロトロンビン変換に対する
効果が低い酵素であり、マン(Mann, K.G.)ら(1990)Blood. 76:1およびマン
(Mann, K.G.)ら(1992)Seminars in Hematology 29:213、プロトロンビナー
ゼ複合体において第Va因子が付与するAT-IIIおよびTFPIによる不活性化に対する
相対的防御能をもたない。マルシニアク(Marciniak, E.)(1973)Br J Haemat
ol. 24:391およびマスト(Mast, A.E.)およびブローズ(Broze, G.J.)(1996
)Blood 87:1845参照。 【0123】 本実施例は、25pM TFでの正常凝固と比べて、第VIII因子欠乏血液における凝
固が凝集時間のわずかな延長を特徴とすることを示している。したがって、これ
らの条件下で第VIII因子に対する感度は維持されている。さらに、第VIII因子欠
乏血液の詳細な検討により、FPA遊離が遅延し、第Va因子、第Xa因子およびトロ
ンビンの形成速度が大きく低下することが示されている。類似の試験を第IX因子
を用いて行った。 【0124】 図2の説明は以下の通りである: 第VIII因子の補充下(1U/血液mL)および非補充下で、25pM TFを用いて、正
常および血友病Aの血液において凝固を開始させた(方法の項およびRand, M.D.
ら(1996)前記参照。データに近づけるように、各点をつなぐなめらかな曲線を
用手的に描いた。A.正常血液(黒丸)、血友病A血液(白丸)および第VIII因子
を補充した血友病A血液(白四角)におけるTATの経時的推移。正常曲線上の各点
は、正常被験者4例に対する14回の試験による平均TATを表す(エラーバー付き、
s.e.m.)。複合正常曲線に関する平均凝集時間は4.0+/-0.2分である(矢印a)。
第VIII因子欠乏血液における凝固は6.5分で生じ(矢印c)、第VIII因子を補充す
ると4.1分に短縮した(矢印b)。一方、第VIII因子欠乏試験ではTFを加えていな
い対照チューブは凝固せず(>20.6分)、および補充した対照は17.8分で凝固し
た。B.正常血液、第VIII因子欠乏血液および補充を行った第VIII因子欠乏血液
におけるFPA生成(記号は図面Aと同じ)。正常曲線は、2例に関する9回の試験に
よる平均結果をエラーバーとともに示したもの(s.e.m.)である。正常プロフィ
ールに関する平均凝集時間は4.1+/-0.2(平均標準誤差、s.e.m.)分であり(矢
印a)、他の凝集時間は図面Aにおけるものと同じである。C.血小板活性化を評
価するためにオステオネクチン遊離を測定した(記号は図面Aと同じ)。正常曲
線は、正常供血者1例から採取した血液を用いて、第VIII因子欠乏患者と同時に
作成している(凝集時間=4. 1分、矢印a)。他の凝集時間および記号は図面Aに
おけるものと同じである。D.イムノブロット法による第V因子活性化の分析を行
い、方法の項に記した濃度測定分析によってプロフィールを作成した。第VIII因
子の補充下(塗りつぶし記号)および非補充下(白抜き記号)における、第Va因
子(第VaHCおよび第VaLC因子)の重鎖(四角印)および軽鎖(円印)の形成に関
する経時的推移を示している。見やすいように正常プロフィールは省いているが
、これは第VIII因子を補充したプロフィールと同様である。凝固時間4.1分(血
友病Aに第VIII因子を補充、矢印a)および6.5分(血友病A、矢印b)である。 【0125】 実施例8―25pM TFでの第XI因子欠乏および正常全血における凝固 以下の表1は、トウモロコシ・トリプシンインヒビターにより接触活性化を抑
制した上で25および5pM TFにより開始させた、第XI因子欠乏血液、補充を行った
欠乏血液、および正常全血における凝固に関する凝固時間を報告している。以下
の表1は、正常および第XI因子欠乏ヒト全血における試験に関する凝固時間を対
照とともに示している。開始物質である組織因子の非存在下における凝固に関す
る静脈血対照値(括弧内)とともに、本文中に述べた試験のそれぞれに関するデ
ータを示す。静脈血対照は試験終了時まで凝固を示さなかったため、時間は下限
として示している(「これ以上(greater-than)」の記号で表記)。対照を含む
すべての試験で、トウモロコシ・トリプシンインヒビターを48μg/血液mLの濃
度で添加することによって第XIIa因子活性は抑制された(試験の簡単な説明につ
いては方法の項参照)。25pMの開始物質を用いた試験では患者Aを供血者とし、5
pM試験では患者Bを供血者とした。 【0126】 【表1】 【0127】 第VIII因子欠乏血液が凝固形成障害およびトロンビン生成の伝播期の抑制を示
す25pM TFの下で、第XI因子欠乏血液にはほとんど影響はみられない。凝固時間
は3.5分(同時正常対照=3.3分)であり、第XI因子を補充しても短縮しない(3.
7分)。対照チューブ(トウモロコシ・トリプシンインヒビター存在下、TFは非
添加)では、凝固は著しく延長するか、または発生せず、このことはこれらの試
験では他の開始原因の寄与を無視しうることを示している。25pM TFでは正常(
黒丸)および第XI因子欠乏(白丸、患者A)に関するトロンビン生成プロフィー
ルはほぼ同じであるが、一方、第XI因子補充(白四角)に関するプロフィールで
はトロンビン生成が幾分短縮されている(図4A)。トロンビン生成の最大速度は
、正常(61nM/分)および第XI因子欠乏(63nmol L/分)試験ではほぼ同じであ
り、第XI因子を補充した場合にはトロンビン生成速度が85nmol L/分となった。
この増加により、補充例における最終TAT濃度(950nM)は欠乏例(575nM)より
も65%高くなっている。これらの結果は、第XI因子は25pMで開始される血液中の
爆発的なトロンビン生成には必要でないが、この個体における血餅形成後のトロ
ンビン生成速度にはわずかに影響を及ぼしたことを示している。 【0128】 図4Bは、25pM TFの下で得られたFPAプロフィールを示す。いずれの例でも反応
は類似した時間スケールおよび類似した程度で進行している。第XI因子欠乏血液
(白丸)では、FPAは平均速度6.1μM/分(正常血液、黒丸では5.6μM/分)で
遊離し、一方、第XI因子を補充するとこの速度は7.3μM/分(白四角)に増加す
る。凝集時間でのフィブリノーゲン変換は全例とも30〜41%の範囲であった。さ
らに、オステオネクチン遊離プロフィール(図4C)では、25pM TFで反応を開始
させた場合には第XI因子の有無によって血小板活性化に大きな影響はないことが
示されている。全例ともプロフィールは類似しており、5分までに最大遊離が認
められた。正常および第XI因子欠乏血液における第Va因子生成の評価でも活性化
プロフィールが同一であることが示された。重鎖および軽鎖(白抜き記号、図5A
)の濃度測定プロフィールでは、すべての反応において開始1分以内に第VaHC
子が検出され、各プロフィールとも凝集時間までには約33〜45%が観察されるこ
とが示されている。同様に、第XI因子欠乏(白三角)、補充(白四角)および正
常(白丸)試験における軽鎖形成に関するプロフィールも互いに類似している。
第VaLC因子の値は開始期の全体を通じて検出限界以下であり、凝集時間ではわず
かに生成した。凝集時間の後には、軽鎖 1〜2分以内に量的に生成される(開始4
および5分後)。以上を総合すると、第VaHC因子および第VaLC因子のプロフィー
ルは、補因子活性化が第XI因子による影響を受けないことを示している。 【0129】 実施例8は、25pM TFを用いたアッセイでは、全血における凝固は第XI因子に対
する感度が低いことを示している。 【0130】 図4A〜Cの説明は以下の通りである: 第XI因子の補充下(1U/血液mL)および非補充下で、25pM TFを用いて、正常
および血友病Aの血液において凝固を開始させた(方法の項およびRand, M.D.ら
(1996)前記参照。正常血液(黒丸)、血友病C血液(白丸)および第XI因子を
補充した血友病C血液(白四角)からのクエンチング検体のイムノアッセイ分析
による、TATの経時的推移を示している(A)。被験および対照チューブに関する
凝固時間は表1の通りであり、正常(矢印a)、血友病C(矢印c)および第XI因子
を補充した血友病C供血者(矢印b、1U/mL)からの血液を矢印で表している。TA
Tのほか、FPA(B)および血小板オステオネクチン(C)のプロフィールも示して
いる。(記号および凝集時間は図面Aの通り)。 【0131】 図5AおよびBの説明は以下の通りである。このグラフは、補充下および非補充
下における、開始物質25pmol/Lでの正常および血友病C血液における凝固時の第
Va因子生成を示している。図4に示した試験ではイムノブロット法によって第V因
子活性化の分析を行った。第Va因子の重鎖(A)および軽鎖(B)に関するプロフ
ィールは以下に述べる濃度測定分析によって作成した。正常血液(白丸)ならび
に第XI因子の補充下(白四角)および非補充下(白三角)での血友病C血液(患
者C1)における重鎖および軽鎖の形成に関する経時的推移を示している。凝固時
間は表1および図4の通りであり、曲線は各点を用手的につなぐことによって作成
した。 【0132】 実施例9―5pM TFでの第XI因子欠乏および正常血液における凝固 5pM TFで開始した後の正常および第XI因子欠乏血液における凝固の概要を表1
および図4(患者B)に示す。3例目となる第XI因子欠乏患者に関する別の試験で
データの裏づけが得られた。開始物質5pMでの第XI因子欠乏血液における凝固(1
5.7分、表1)は、(11.1分、同時供血者)よりも4.6分遅かった。第XI因子を補
充すると血友病C血液における凝集時間は6分短縮したが(9.7分)、これは血漿
アッセイでの予測(図3)と一致する。TFの非存在下では(トウモロコシ・トリ
プシンインヒビターのみ)、血友病Cに関する対照は第XI因子補充の有無によら
ず凝固せず(20.5分を上回る)、第XI因子製剤における第XIa因子の混入は重大
ではないことが裏づけられた。 【0133】 図6AのTATプロフィールでは、凝集時間後に大量のトロンビンが形成されてお
り、第XI因子を補充すると血友病C血液において伝播期のトロンビン生成速度は
上昇する。正常血液では(黒丸、図6A)、TATは凝集時間後には110nM/分の速度
で生成され(矢印b)、これに対して第XI因子欠乏血液(白丸)における凝集時
間(矢印c)後ではほぼ37nM/分である。第XI因子の補充により(白四角)、凝
集時間でのTAT速度は119nM/分に上昇する(矢印a)。この結果は、TAT最終濃度
は正常および補充例試験の方が高く(750nMおよび600nM)、第XI因子欠乏試験で
は終了時でほぼ119nM/分に達したのみであった。しかし、5pM TFの場合でも、
血友病C血液におけるトロンビン産生は血友病A血液において25pMで認められた値
を上回っており、この2つの先天性疾患の相対的な臨床的重症度と一致する。 【0134】 図6BはフィブリノペプチドAの遊離プロフィールを示しており、同じく5pM TF
の下では第XI因子に対する依存性を生じる。開始因子5pMでの血友病C血液におけ
るフィブリノペプチドA遊離は正常血液(15.5μM/分)よりも遅く(白四角、平
均速度2.7μM/分)、試験期間終了時までに終了しなかった。第XI因子の補充に
よって(白四角)、FPA形成は7.4μM/分に増え、凝集時間から2〜2.5分以内に
完全なフィブリノーゲン変換が得られた。 【0135】 5pM TFで開始させた血液における血小板活性化をオステオネクチン遊離(図6C
)によって評価したところ、高濃度の開始物質で得られたデータとは極めて対照
的であった(図3C)。第XI因子欠乏血液(白四角)では、開始期におけるオステ
オネクチン遊離は極めて遅く、凝集時間までに達したのは約65%である(矢印c
)。この期間には反応チューブの壁に粒状蓄積として凝集物が認められた。第XI
因子を補充すると(白四角)、オステオネクチンは開始期には徐々に増加して凝
集時間までに67%に達し(矢印a)、残りのオステオネクチンは2分以内に遊離さ
れる。これは、凝集時間に42%の液相オステオネクチンが検出され、その後に残
りの蛋白質が急速および即時的に遊離される正常プロフィール(黒丸)と類似し
ている (矢印b)。一般に、5pM TFの下では血小板活性化は遅く、凝集時間では
不完全であり(42〜67%)、これは開始期のトロンビン生成が限られていること
と関連がある。血餅形成後に認められるトロンビンのバーストによって血小板が
急速に急速に活性化され、最大活性化が確実に得られる。このため、25pM TFで
の血友病AおよびCとは異なり、5pM TFでの血小板活性化は第XI因子がないことに
より大きな影響を受ける。 【0136】 5pM TFの下での血友病C血液(図7A、白三角)における第VaHC因子の生成は、F
PA遊離および血小板活性化と同じく、正常(白丸)よりも遅い。20分まで大量の
重鎖は出現せず(A)、一方、補充例(白四角)および正常プロフィールではい
ずれの例とも凝集時間後のそれぞれ12および15分付近で最大に達した。これらの
試験で血餅形成の前に出現した第VaHC因子の量はごくわずかであった。これに対
して、第VaLC因子(図7B)は3件の試験いずれにおいても凝集時間まで検出され
ず、補因子活性化における律速段階と思われる。したがって、5pM TFの下では、
第V因子活性化は第XI因子の有無による影響を受け、いずれの場合にも大量の第V
因子活性化は凝集時間後に起こる。 【0137】 実施例7〜9は、血友病Aおよび血友病C血液における凝固の結果を示している。
重症血友病Aでは25pM TFの下で凝固が正常(ほぼ2.4分)に比して遅延し、血餅
形成に至る開始期におけるトロンビン値のわずかな低下を反映している。実施例
7参照。さらに顕著な観察結果は、伝播期(凝固検出後)にトロンビン生成が著
しく抑制されたことであり、測定結果は正常速度の4%未満であった。このトロ
ンビン生成障害はフィブリノーゲン切断速度の低下および第Va因子生成の劇的な
遅延を伴っていた。第VIII因子の補充によって伝播期における正常凝固およびト
ロンビン生成は回復した。これらの結果は、機能的内因性テナーゼの非存在下で
プロトロンビナーゼ活性が低下するという以前の観察結果の裏づけとなる。オス
テルド(Osterud, B.)およびラパポート(Rapaport, S.I.)(1977)Proc Natl
Acad Sci. 74:5260、ローソン(Lawson, J.H.)ら(1994)J Biol Chem. 269
:23357、ファントビア(Van't Veer, C.)およびマン(Mann, K.G.)(1997)
前記、ビッグス(Biggs, R.)およびノッセル(Nossel, H.L.)(1961)Thromb
Diath Haemorrh. 6:1、ならびにホフマン(Hoffman, M.)ら(1995)Blood 86
:1794。さらに、実施例7は、第VIII因子の非存在下におけるトロンビン生成の
低下が第Va因子生成の著しい低下ももたらし、さらに血友病Aにおける凝固時に
産生されるわずかな第Xa因子の有効性も低下させることを示している。 【0138】 血友病A血液における凝固時にトロンビン生成、フィブリノーゲン切断および
血小板活性化は低下するが、実施例8および9は正常(ほぼ1分)に比して血小板
活性化が比較的わずかに遅れることを示している。これらの結果は他の研究と本
質的には一致する。例えば、ホフマン(Hoffman)ら(1995)Blood 86:1794参
照。血小板活性化は内因性テナーゼには概ね依存しないことが明らかになった。
以上を総合すると、これらの実施例は、完全な血小板活性化およびフィブリノー
ゲン形成遅延が、初期血小板血栓が正常なフィブリン安定化を欠く血友病患者の
出血時間創傷における凝固の記載と関連し、最終的には破裂する脆弱な血餅の形
成につながることを示している。ホービヒ(Hovig T)ら(1968)。Am J Pathol
53:355、1968、およびシクスマ(Sixma JJ)、van den Berg A(1984)Br J H
aematol 58:741。 【0139】 また、実施例8および9は、25pM以下のTF濃度を用いた場合の第XI因子に対する
依存性も示している。これは血液が生理的に意味のある時間スケールで生物的に
十分な第XIa因子活性を生じるための成分を含んでいることを示す。さらにこれ
らの実施例は、トロンビン生成およびフィブリン変換だけでなく、血小板および
補因子(第V因子)活性についても述べている。さらに、これらの実施例は血小
板および他の血球を凝集原表面として用いうることを示す初の結果である。外因
性脂質に対する血漿凝固試験と比較して(実施例3〜6参照)、これらの全血試験
は凝固反応時の内因性血球に関するプロセスを記載している。 【0140】 実施例8および9は、これらの観察を血友病C血液におけるトロンビン、第Va因
子および血小板にも展開している。25pM TFでの血友病Aに関する結果とは対照的
に、血友病C血液では凝固はほとんど影響を受けなかった。血友病Cおよび正常試
験における凝固は同じであり、伝播期の爆発的なトロンビン生成についても同様
であった。第XI因子の補充によって凝集時間後のトロンビン生成はわずかに増加
したが。他のすべての反応産物(第V因子活性化、活性化血小板からのオステオ
ネクチン遊離およびFPA)は第XI因子の有無による影響を受けなかった。開始物
質の濃度を5pMに低下させると血友病C血液の凝固の開始期は正常に比して4.6分
延長し、第XI因子を補充するとこの凝集時間は6分近く短縮した。 【0141】 以上の結果は、血友病Aにおいて凝固障害が認められた値よりも低い開始物質
濃度で血友病Cにおける凝固障害が生じると考えられることを示している。さら
に、以上の結果は、組織因子25pMから5pMに減らすと血友病Cにおける最大トロン
ビン生成速度が低下することを示している。しかし、正常血液および第XI因子を
補充した血友病C血液では、トロンビン生成にこのような低下は認められなかっ
た。25pM TFを用いた正常および補充試験ではそれぞれ61および85nmol TAT/L/
分、5pM TFでは110および119nmol TAT/L/分 であり、実際には上昇が認められ
た。これらの観察結果は、開始物質の濃度低下時のプロトロンビナーゼ値の抑制
に第XI因子がさらに重要な役割を果たすと思われることを示している。 【0142】 以上の結果は疾患の臨床的重症度と相関する。血友病Aにおける25pM TFでは、
凝固および産物形成は第VIII因子欠乏によって測定可能な影響を受ける。反対に
、第XI因子欠乏症は25pM TFでは凝固にほとんど影響しない。開始物質の濃度が2
5pMに低下した場合のみ、反応は第XI因子の存在に対する感度を示すようになる
。しかし、5pM TFでもトロンビン生成は消失せず、25pM TFでの第VIII因子欠乏
症の場合と同じであり、血友病Cが血友病Aよりも重症度が低いという臨床的観察
と一致する。 【0143】 図6A〜Cの説明は以下の通りである:第XI因子の補充下(1U/血液mL)および
非補充下で、5pM TFを用いて、正常および血友病C血液において凝固を開始させ
た(方法の項およびRand, M.D.ら(1996)前記参照。正常血液(黒丸)、血友病
C血液(白丸)および第XI因子を補充した血友病C血液(白四角)からの急冷検体
のイムノアッセイ分析による、TATの経時的推移を示している(A)。被験および
対照チューブに関する凝固時間は表1の通りであり、正常(矢印a)、血友病C(
矢印c)および第XI因子を補充した血友病C供血者(矢印b、1U/mL)からの血液
を矢印で表している。TATのほか、FPA(B)および血小板オステオネクチン(C)
のプロフィールも示している。(記号および凝集時間は図面Aの通り)。 【0144】 図7AおよびBの説明は以下の通りである:このグラフは、補充下および非補充
下における、開始物質5pmol/Lでの正常および血友病C血液における凝固時の第V
a因子生成を示している。図6に示した試験ではイムノブロット法によって第V因
子活性化の分析を行った。第Va因子の重鎖(A)および軽鎖(B)に関するプロフ
ィールは以下に述べる濃度測定分析によって作成した。正常血液(白丸)ならび
に第XI因子の補充下(白四角)および非補充下(白三角)での血友病C血液(患
者C2)における重鎖および軽鎖の形成に関する経時的推移を示している。凝固時
間は表1および図5の通りであり、曲線は各点を用手的につなぐことによって作成
した。 【0145】 実施例9は、TF濃度(25pM)の下でアッセイを行った場合にも第XI因子に対す
る感度は認められないことを示している。 【0146】 実施例1〜9では以下の材料および方法を必要に応じて用いた: 【0147】 1.組織因子/脂質試薬の調製: 1.2%v/vオクチルβ-D-グルコシド中にある組換えヒト組織因子(Baxter-Hyl
and Health Care、ロット番号HY8003)を、HBS(HEPES、20mM、NaCl、150mM、pH
7.4)+カルシウム(2mM)中にて37℃で30分間、PSPC(25mol%PS/75mol%PC
、10μM総脂質)微小単層小胞中に再脂質化(relipidate)した。続いて、小胞
を長期間(最大12カ月)の凍結保存用に安定化するために、濃スクロース(60%
w/v)を最終濃度が10%となるように再脂質化混合物に添加した。試薬のアリコ
ート(200μL)は凍結乾燥して-20℃で保存し、それを各試験の60分前に再水和
して用い、再現性のある結果を得た。バレンホルツ(Barenholz, Y.)ら(1997
)Biochem. 16:2806、およびローソン(Lawson, J.H)ら(1994)J Biol. Chem
. 269:23357参照。 【0148】 2.プロトロンビン時間(PT)および活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT
)アッセイ: フレッチャー-アレン(Fletcher-Allen)の血液検査室でACLフーツラ(Futura
)凝固計(Instrumentation Laboratories)またはST4型自動凝固計(Diagnosti
c Stago)のいずれかを製造者の推奨に従って用いて、患者または正常血漿(100
μL)に対する自動化PTまたは自動化aPTTアッセイを行った。 【0149】 用手的PT法を行うために、クエン酸塩添加試験血漿100μLを37℃で30秒間予熱
した。反応は200μLのシンプラスチン・エクセル(Simplastin Excel)(製品番
号52001、Organon Teknika、Durham、NC)を用いてゼロ時間に開始させ、凝固が
認められるまで検体を37℃水浴中で振盪し、その時間を記録した。用手的aPTTア
ッセイは、PTまたはaPTT試薬の製造者が記載している用手的「チルトチューブ(
tilt-tube)」法を用い、プラスチックチューブ(VWR Scientific、60818-270番
)中で、新たに凍結したクエン酸塩添加ヒト血漿の100μL検体に対して行った。
緩衝液または抗体の影響を検討する際には、希釈誤差を最小限に抑えるために5
μL以下の添加物を95μLの血漿と混合した。 【0150】 3.接触阻害薬活性のアッセイ これらの試験に用いる接触経路阻害薬の活性は、試薬を添加した際の正常血漿
におけるaPTTの延長によって評価した。活性化部分トロンボプラスチン(aPTT)
アッセイは、aPTT試薬(自動化APTT試薬、用手的方法、製品番号35513、Organon
Teknika Corp.、Durham、NC)の製造者により供給された指示書に従い、90μL
のプール正常クエン酸血漿(FACT標準血漿、George King Biomedical、Highland
Park、KS.)を、緩衝液または試験溶液(トウモロコシ・トリプシンインヒビタ
ー抽出物など)10μLとともに含む試験血漿に対して用手的に行った。試験血漿
と自動化APTT試薬(100μL)とのインキュベーションは、カルシウムの添加(25
mM CaCl2を100μL)による開始前から正確に3分間、37℃で行った。 【0151】 4.トウモロコシ・トリプシンインヒビターの調製: これらの試験のために、ホジマ(Hojima)ら、前記の手順に従い、いくつか修
正を加えた上で、トウモロコシ(トウモロコシ・トリプシンインヒビター、CTI
)からハーゲマン因子(すなわち、第XIIa因子)阻害物質を精製した。乾燥ポッ
プコーン種子(3kg)を地域の雑貨店から入手し、正常血漿におけるaPTT延長が
認められなくなるまで抽出を繰り返した(上記の手順、「接触阻害薬活性のアッ
セイ」を参照)。RA-2000貯蔵器および51Y3渦巻き状カートリッジを装着したア
ミコン(Amicon)LP-1型濃縮器により、 この大量の抽出液(約6〜8L)をほぼ40
0mLの容積に濃縮した。記載の通りにアセトン沈殿を行い、(Hojima)ら、前記
に記載された通りに再懸濁した材料をDEAE-Sephacelカラム(2.5×60cm)にかけ
た。阻害活性の主ピークを集めてSephadex G-50の第2のカラム(2.5×94cm)に
かけ、Hepes緩衝生理食塩水(HBS:Hepes、20mM、NaCl、150mM、pH 7.4)を4回
交換しながらアミコン(Amicon)8050型攪拌細胞濃縮器(YM-5フィルター、分子
量カットオフ値3000)を用いて、最終的に集まった画分を濃縮した。最終産物に
はドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミド電気泳動(ゲル勾配8〜18%)に
より分子量12,000付近に主として単一のバンドが認められたが、この阻害物質の
アイソフォームはすべて第XIIa因子に対して同様の阻害能を示すことから、これ
以上の精製は行わずに-20℃で保存した。ホジマ(Hojima)ら、前記を参照。 【0152】 5.第XI因子製剤 他の発明者であるフォン・デン・ボーン(Von dem Borne, P.A.K.)(1994)T
hromb Haemost. 72:397およびフォン・デン・ボーン(Von dem Borne, P.A.K)
ら、前記は、第Xa因子増幅アッセイを用いて、第XI因子製剤中に混入している微
量の第XIa因子(pMからfM)が内因性テナーゼの濃度に重大な影響を及ぼし、第X
a因子生成レベルを人為的に高めるおそれがあることを示した。第XI因子製剤に
は微量の第XIa因子を除去する処理がルーチンに行われている。第XI因子の濃縮
原液(約300〜350U/mg、ほぼ3〜5mg/mL)をSlide-A-Lyzer透析カセット(分子
量カットオフ値10,000、Pierce Chemical、Rockford、IL)中に装填し、まずFPR
ck(10μM、30分、25℃)、HBS中にて処理した。HBSに対する透析(2回交換、2h
.、4℃)の後、DEP(2mM)でさらに15分間処理した。最終透析はHBSに対して行
い(2×2hr.、4℃)、第XI因子の原液を非付着性非蓋付き微量遠心管(VWR Scie
ntific、West Chester、PA)に分注し、ドライアイス/メタノール浴中に浸漬す
ることによって蓋付きチューブ内で急速凍結させた後、-70℃で保存した。aPTT
凝固アッセイにより、第XI因子の比活性はこれらの処理による影響を受けないこ
とが示された。FPRckおよびDFP処理の後、kcat/Km=7.10×105M-1s-1のトリペ
プチドD-Leu-L-Pro-L-Argのアミノナフタレンスルホンアミド誘導体を用いて第X
Ia因子残存活性の分析を行った(Butenas, S.ら(1997)J Biol Chem.およびBut
enas, S.ら(1992)Biochem. 31:5399)。第XI因子製剤(典型的には200nM)に
おける第XIa濃度はアッセイ限界以下であった(<100fM、第XIa因子活性)。し
たがって、第XI因子の血漿中濃度(25〜30nM)では第XIa因子による混入は12.5f
M未満である。第XI因子欠乏血液にTFの非存在下で第XI因子およびトウモロコシ
・トリプシンインヒビターを添加した場合には凝固は認められなかった(>20分
)。しかし、極めて低濃度のTF(5pM)を用いる補充試験の最終的な安全策とし
て、ヒトα1プロテアーゼ阻害薬(0.5mg/mL、9.6μM)を第XI因子製剤(1.5mg
/mL、9.4μM)に添加した。ボルトン-マグス(Bolton-Maggs, P.H.B.)ら(199
2)Thromb Haemost. 67:314。これらの第XI因子製剤を含む血液に添加したα1
プロテアーゼ阻害薬の濃度(22nM)はすでに存在する血漿阻害物質(ほぼ47μM
)に比して低い。 【0153】 6.第XI因子欠乏血漿における組織因子依存性のアッセイ 再脂質化した組織因子試薬(上記参照)を再水和し(200μl)、HBS/カルシ
ウム(2mM)で希釈して、552pM TFおよび1.10μM PCPSを含む試薬原液を入手し
た。この最初の原液をさらにPCPS(1.10μM)のHBS/カルシウム溶液(2mM)で
希釈し、脂質濃度が一定でTF濃度が17.25〜552pM TFの範囲にある一連の使用液
を得た。アッセイは以下の手順に従って行った:ポリスチレン製チューブ(12×
75mm)に200μLヒト血漿(XI欠乏血、<1%XI:C、またはXI欠乏血に第XI因子3.
5μg/mL、100U/dLを補充)および10μL トウモロコシ・トリプシンインヒビタ
ー(1.15mg/mL、HBS中)を添加した。37℃で30秒平衡化した後、TF使用液10μL
を添加し、直ちに390mM CaCl2水溶液10μLを添加した。カルシウムを添加した時
点でタイマーを入れ、フィブリン線維または固形凝塊が認められるまでチューブ
を37℃水浴中で振盪し、その時点で時間を記録した。 【0154】 7.全血における凝固 用いた手順はランド(Rand, M.D.)ら、前記の変法であり、著者の1人(R.F.B
.)の監督下で、フレッチャー・アレン・ヘルスケア(Fletcher Allen Health C
are)(Burlington、Vermont)、臨床研究センター(Clinical Research Center
)にて行った。新たに採取した抗凝固処理を行っていない全血における凝固には
、1つの試験につき2回のシリーズを行った点を除き(16本/1シリーズ)、記載
通りに32本のポリスチレン製蓋付き培養チューブを用いた。試薬は以下の量を添
加した:トウモロコシ・トリプシンインヒビター(すべてのチューブ、50μg/
血液mLとした)、5mMカルシウムを含む再脂質化TF(脂質:蛋白質=2000)HBS溶
液(各シリーズにおけるすべてのチューブ、ただし静脈血対照チューブは除く。
25または5pM TF/血液mLとした)、第VIII因子または第XI因子(すべてのチュー
ブ、補充試験のみ、最終1U/mLとした)、等容積の第VTII/XI因子希釈緩衝液(
HBS、pH 7.4、すべてのチューブ、欠乏血試験のみ)。各チューブに加える試薬
は45μL未満とした。各シリーズのゼロチューブ(zero tube)には、1mLの阻害
薬混液(50mM EDTAおよび20mMベンズアミジン-HClを含む、HBS、pH 7.4中)およ
び10μLの10mM FPRck(0.01M HCl中に希釈)を用いて前処理を行った。 【0155】 患者または正常供血者の血液は、ランド(Rand, M.D.)ら、前記の記載通りに
バーモント大学(University of Vermont)の臨床試験委員会(Human Studies C
ommittee)が承認した手順に従って静脈穿刺により採取した。凝固は、上記の阻
害薬混液およびFPRckによるチューブの周期的クエンチングを行った上で、試薬
を入れたチューブへの注入により開始した。開始後20分まで進行させた反応によ
り2回のシリーズのクエンチング検体を入手した。各チューブから還元(1%β-
メルカプトエタノール)および非還元SDS-PAGE検体を調製した(60μL上清、190
μLの2%SDS-PAGE検体溶液、Rand, M.D.ら、前記、98+/-2℃で正確に5分間加熱
)。オステオネクチンアッセイ用に細胞混入物を除去するために、各チューブか
らのアリコートを濾過した(200μL、0.2μm AcroDisc、Gelman Sciences、Ann
Arbor、MI)。残った血清および細胞ペレット/凝塊をねじ口チューブに分注し
、凍結した上でイムノブロットまたはイムノアッセイ分析用に-20℃で保存した
。 【0156】 8.イムノアッセイおよびウエスタン分析 フィブリノペプチドA(EPA)、トロンビン-アンチトロンビン-III(TAT)およ
び血小板α顆粒遊離(オステオネクチン)に関する市販のELISAを、添加したク
エンチ溶液(1.00mL)による希釈およびヘマトクリット(一般に全血液量の40%
)に関して検体を補正した上で、製造者の手順に従って行った。第Va因子の分析
のためには、レムリ(Laemmli, U.K.)(1970)Nature 227:680に従い、本研究
所のランド(Rand, M.D.)ら(1996)前記による改変を加えた上で、SDS-PAGEに
て検体を分離した。分離ゲルを重鎖および軽鎖分析にかけた。イムノブロット上
に横に並んだ分析物の量の比較および定量化が行えるように、ゲルにはあらかじ
め染色した分子量標準混合物(14〜200kDa)および希釈標準(3検体)も用いた
。ゲルからニトロセルロース(BioRad、Hercules、CA)への移行は、記載の通り
(Towbin Hら(1979)Proc Natl Acad Sci.(USA)76:4350およびGallagher, S
.ら(1993)Current Protocols in Molecular Biology、J.Wiley and Sons. 10.
8.1.)にSDS非含有タンク移行手順によって1.5〜3時間かけて行い、続いてラン
ド(Rand, M.D.)ら(1996)前記に従ってイムノブロット分析を行った。 【0157】 コダック(Kodak) X-Omatフィルム上のイムノブロット画像をヒューレット・
パッカード(Hewlett-Packard)スキャンジェット(ScanJet)4C/Tによりスキ
ャニングした。.TTFFファイルの分析はパワーマッキントッシュ(Power Macinto
sh)9500/200コンピュータにより、パブリックドメインのNIH画像プログラム(
v. 1.60、Spring 1994、米国国立衛生研究所(U.S. National Institutes of He
alth)が開発したもので、zippy.nimh.nih.govからアノニマスFTPによりインタ
ーネットから、またはNational Technical Information Service、Springfield
、VA、部品番号PB95〜500195GEIからフロッピーディスクで入手できる)を用い
て行った。同じゲルに既知の濃度の検体をかけることによって得た標準曲線によ
り、関心対象のバンド密度を濃度に変換した。これらの値から、最大値に対する
相対濃度を算出した。 【0158】 9.材料 組換えヒト組織因子および組換え第VIII因子は、ロジャー・ルンドブラッド博
士(Drs. Roger Lundblad)およびシュウ-レン・リュウ博士(Shu-Len Liu)(H
yland Div.、Baxter Healthcare Corp.、Duarte、CA)から寄贈を受け、ヒト第X
I因子はリチャード・ジェニー博士(Dr. Richard Jenny)(Hematologic Techno
logies, Inc.、Essex Junction、VT)から寄贈を受けた。トウモロコシ由来のト
リプシンインヒビターはフルカ(Fluka)社(Ronkonkoma、NY)から購入した。1
-パルミトイル-2-オレオイルホスファチジルセリン(PS)および1-パルミトイル
-2-オレオイルホスファチジルコリン(PC)は、シグマケミカル社(Sigma Chemi
cal Co.)(St. Louis、MO)またはアバンティポラーリピッズ社(Avanti Polar
Lipids, Inc.)(Birmingham、AL)から購入した。D-フェニルアラニル-L-プロ
リル-L-アルギニンクロロメチルケトン(FPRck)はヘマトロジックテクノロジー
ズ社(Hematologic Technologies, Inc.)(Essex Junction、VT)の寄贈により
、カルビオケム(Calbiochem)社、LaJolla、CAからの購入によって入手した。
ケトナー(Kettner C)ら(1979)Thromb Res 14:969、1979参照。ジイソプロ
ピルフルオロリン酸(DFP)はシグマケミカル社(Sigma Chemical Co)から入手
し、無水イソプロパノールで使用濃度(1M)に希釈した後に-20℃で保存した。
プール標準化正常(FACT、ロットD12S1)および第XI因子欠乏(ロットGK1122-N1
7P1)血漿はジョージキングバイオメディカル社(George King Biomedical)(O
verland Park、KS)から入手した。トロンボプラスチン(Simplastin excel)お
よびaPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間、自動化APTT)試薬はオルガノン
テクニカ社(Organon Teknika)(Durham、NC)から購入した。以下の分析物は
製造者から入手したELISAキットを用いて評価した:トロンビン-アンチトロンビ
ン-III(Enzygnost TAT、Behring、Westwood、MA)、フィブリノペプチドA(Ass
erachrom FPA、Diagnostica Stago/American Bioproducts、Parsippany New Je
rsey)。血小板オステオネクチンの測定に関するアッセイ系はリチャード・ジェ
ニー博士(Dr. Richard Jenny)(Hematologic Technologies, Inc.、Essex Jun
ction、VT)による寄贈を受け、製造者の指示に従って用いた。 【0159】 第V因子/第Va因子の重鎖(HC)中の残基307と506との間のエピトープ(Kalaf
atis、M.(1995)J Biol Chem. 270:4053)を認識するマウスモノクローン抗体
(αFVaHc#17、5〜10μg/mL)は、以前に発表された手順に従って調製した。カ
ラファティス(Kalafatis, M.)ら(1996)Blood 87:4695。この抗体のウエス
タン分析における反応性および特異性は以前に記載されたものと類似している(
αFVaHC#6)。チャーチ(Church ,W.R.)ら(1988)J Biol Chem. 263:6259。
補因子の軽鎖を標的とする第2のマウスモノクローン抗体(αFVaLC#9、5〜10μg
/mL)は別の記載の通りに調製した。フォスター(Foster, W.B.)(1983)Bloo
d 61:1060。 【0160】 10.ヒト供血者 正常および欠乏症の供血者はすべて、バーモント大学(University of Vermon
t)臨床試験委員会による承認を受けた手順に従って登録および助言を行った。
正常個体(年齢範囲22〜36歳)は、血栓症/出血の病歴または家族歴があるか、
またはアスピリンもしくは薬物を日常的に使用している供血者が入らないように
選択した。全例がPT(11.6〜13.8秒)、aPTT(27〜36秒)、フィブリノーゲンお
よび血小板数(172,000〜376,000mm3)に関して正常範囲内の値を示した。それ
ぞれの対照試験に続いて、正常供血者(95〜119U/dLの範囲)に関して第XI因子
の値をアッセイしたところ、許容される成人正常範囲内に収まった(75〜130U/
dL)。キッチンズ(Kitchens, C.S.)(1991)Semin Thromb Hemost. 13:86。 【0161】 本試験に用いた血友病Aの供血者は、重症の第VIII因子欠乏症(VIIII:C <0.
5%)の46歳男性であり、出生時から出血傾向が認められている。この患者には
肘、膝および足首に再発性関節血腫があり、肩、肘および足首に痛みによる可動
域制限がみられた。本例は試験前の2.5週間は補充療法を受けていない。ヒト血
液製剤の輸注を受けている血友病Aの患者に多くみられるように、この患者はCDC
分類A-IIIのHIV感染症を発症している。インジナビル投与によって血小板減少が
生じたが、これは投薬中止によってある程度回復した。試験時の血小板数は97,0
00/mm3であったが、この時点(Dec. 1995)以降は減少した。抗血小板抗体の所
見は認められていない。現在の薬物療法の内容は、トリメトプリム-スルファメ
トキサゾール、ジドブジン、ラミブジンおよびザルシタビン(zalcitabine)で
ある。 【0162】 血友病C(第XI因子欠乏症)では3例の供血者を検討した。本明細書ではこれら
の患者のうち2例の結果を述べる。患者Aは53歳女性で出血の家族歴はない。本例
は紫斑が生じやすく鼻血も頻繁に生じるが、月経過多は認めていない。この患者
は33歳の時に鼻血のために鼻中隔弯曲の外科的矯正術を受けたが、その後、鼻血
および歯肉出血が続くようになった。48歳の時に左股関節の変形性股関節症に対
する術前検査を受けたところ、aPTT延長が判明した。この患者のPTは12.4秒でaP
TT延長を認めた(第X因子L:C=2%)。第XII因子、フィブリノーゲンおよび血
小板数は正常範囲内にあり、阻害物質の所見も認められなかった。aPTTの正常化
のために新鮮凍結血漿の補充を行うことにより、患者の全股関節置換術は成功し
、合併症も認められなかった。 【0163】 患者Bは49歳男性で、偶発性出血の病歴はあるが、出血の家族歴はない。この
患者は8歳の時に扁桃摘出術を受けたが、過度の出血のために入院日数の1日延長
を余儀なくされ、10歳の時には抜歯後に毛細管性出血が2日続いた。25歳の時に
鎖骨骨折を起こしたが、この時には問題となる出血は伴わなかった。38歳の誕生
日の後で患者は出血性障害に関する検査を受けたが、PTは11.1秒で、aPTTは延長
しており(第XI因子:C=10%)、出血時間は4.5分であり、第VIII、IXおよびXI
I因子の値は正常範囲にあった(90〜103%、阻害物質の所見は認めず)。試験の
時点で患者Bの血小板数(145,000/mm3)は正常範囲(172〜376,000/mm3)をや
や下回っていた。本例ではこの血小板数が2回の別々の時点で認められた。 【0164】 実施例10―拡張血漿プロトロンビン時間(xpPT)アッセイを用いた普遍的止血管
理 xpPTアッセイを以下の通りに開発した。 【0165】 A.アッセイの開発 トウモロコシ・トリプシンインヒビターまた抑制性の抗第XI因子モノクローン
抗体のいずれかを加えたカルシウム再添加クエン酸血漿検体の自然凝固までの時
間を評価した結果を図8に示す。100μgm/ml以上の濃度の抗体またはトウモロコ
シ・トリプシンインヒビターの存在により、血漿の外因性凝固時間は安定して延
長した。その後の検討により、クエン酸塩を加えた新鮮血に100μgm/mlのトウ
モロコシ・トリプシンインヒビターを添加した後に血漿を調製した場合と100μg
m/mlのトウモロコシ・トリプシンインヒビター(最終濃度)の存在下で標準的
な11mMクエン酸血漿検体を解凍した場合に、さらに分析を行うための同等の質の
検体が得られることが示された。 【0166】 詳細には、図8は、種々の濃度のトウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI
)または抗第XI因子モノクローン抗体(α-fXI)のいずれかの存在下でカルシウ
ム除去を行った際のクエン酸血漿の自然凝固時間の評価を示している。いずれか
の試薬の濃度が100μgm/ml以上の場合には接触経路の抑制が認められる。 【0167】 xpPTアッセイを開発する目的で、さまざまな濃度の組織因子、リン脂質および
Ca++のスクリーニングを行った。0.5nM組織因子の存在下でリン脂質およびCaCl2 の濃度を徐々に高めながら行った凝固活性の滴定の結果を図9および10に示す。
試薬のわずかな変動に反応せずにプラトーに達する、再現性のある凝固時間が得
られるような、これらの試薬の濃度範囲をアッセイ結果中に示している。 【0168】 以上の結果は、11mMクエン酸三ナトリウム中に採取した血漿検体を凍結し(標
準的な病理検査採取システム)、100μgm/mlトウモロコシ・トリプシンインヒ
ビター(最終濃度)の存在下で解凍する凝固評価の標準的システムであり、アッ
セイは最終的には以下の材料および方法の項に記載する通りに行った。組織因子
凝固検体中に含まれる最終濃度は、100μgm/ml CTI、30mM CaCl2、50μM 75%P
C:25PS小胞および 0.5nM組織因子である。このシステムをXpPTアッセイと称す
る。 【0169】 図9は、0.5nM TF、50μM PCPSに加えてCaCl2濃度が20mM以上であれば、Ca++変
数に依存しないアッセイを行うのに十分であるという滴定結果を示している。さ
らに、図10はXpPTのリン脂質(75%PC:25%PS)滴定を示している。低濃度およ
び高濃度のいずれでもXpPTは延長した。50〜75μMの間の濃度で適度に安定した
結果が得られる。 【0170】 実施例11―凝固モニタリングのための拡張血漿プロトロンビン時間(xpPT)アッ
セイの使用 A.正常凝固に対するアッセイの感度 赤十字(Red Cross)の正常血供血者25個体から採取した血漿による血漿検体
を用いて正常値試験を行った。血液は各個体に関して8カ月にわたって4〜5つの
時点で採取した。これらの個体に関するXpPT値を図11に示し、データの分析を図
14に提示する。103回行ったアッセイの平均凝固時間は80.78秒であり、CViは3%
をわずかに上回った。本アッセイを用いた場合の個体内CViおよび個体間CVgがほ
ぼ同じであることは本質的に注目に値し(図12および13)、このことは、任意の
個体に関する任意の1回の時点の測定値をコホートの残りの個体と比較すること
が有効と考えられることを示す。 【0171】 詳細には、図11は、志願者25名から8カ月間にわたりさまざまな(4〜5)間隔
で採取した赤十字正常血漿を用いたデータ収集を示している。別々の日に行った
2回の分析(白四角および黒四角)を示している。図12は、血漿供血者25名から
さまざまな(3〜4)時点で採取した各個人の検体に関するXpPT時間を示している
。 【0172】 さらに、図13中の表は、25例の血漿、計103の血漿検体に関するXpPT正常値試
験における0.5nM組織因子でのアッセイ標準化を示している。全体的分析に関す
る変動係数(CVa)は3.17%である。個体内の変動係数(CVi)は5.42%であり、
個体間変動(CVg)は5.65%である。以上の値は、最近の(ヘイズ)コレステロ
ール試験で類似した値が得られたことと好対照である。図14にも表があり、これ
は12.5pMおよび0.5nM組織因子の下で測定した欠乏血漿に関するXpPTにおける凝
固時間の測定値を示している。 【0173】 B.治療薬に対するアッセイの感度 ヘパリンの効果を検討するために、0〜3U/mL(原液10,000u/mL)を正常、CT
I(100μg/mL)、クエン酸血漿に滴下した。反応キュベットに血漿100mL、10μ
Lの300mM CaCl2(最終、30mM)および1.3Lの3.72mM PCPS'(最終濃度、50μM)
を添加した。適切な容積のヘパリン(10,000U/mL)を添加し、 100μL血漿中の
最終濃度を0.25、0.5、1.0、1.5、2.0および3.0U/mLとした。反応は10μLの5nM
rTF(最終濃度0.5nM)を添加することによって開始させた。 【0174】 C.血小板第4因子(PF4)に対するアッセイの感度 ヘパリン処理血漿に対する血小板第4因子(PF4)の効果を検討するために、正
常患者血漿(FACT血漿、George King Biomedicals)を3U/mLヘパリンおよび100
μg/mL CTIで処理した。0〜60U/mLヘパリンおよび100μg/mL CTIの条件下で
この血漿における凝固時間を測定した。0〜60U/mL PF4(原液3.1mg/ml、125単
位/mg)の条件下でこの血漿における凝固時間を測定した。 【0175】 D.組織因子系凝固インヒビター(TFPI)に対するアッセイの感度 本アッセイには、TFPI(原液50μg/mL)を最終濃度が5.0、10.0、20.0、60nM
となるように添加し、10μLの5.0nM rTF(0.5nM) で開始した点を除き、これま
でに述べた方法を用いた。 【0176】 実施例12―XpPTアッセイを用いた欠乏血漿の凝固時間測定 第V、VII、VIIIおよびIX因子が欠乏した(<1.0%)市販の血漿に関して凝固
時間を測定した。測定は125pMおよび0.5nM rTFの存在下で行った。図14は、XpPT
で評価した凝固時間に対する種々の血漿欠乏の影響を示している。これまでの分
析から予想された通り、第V因子、第VII因子およびプロトロンビン欠乏症ではXp
PTが延長するが、第VIII因子、第IX因子および第XI因子欠乏症でもXpPTの延長が
促される。 【0177】 第VIII因子、第IX因子および第XI因子に対する本アッセイの感度は、アッセイ
の開始に用いる組織因子の濃度に依存する。「標準的アッセイ条件」(0.5nM組
織因子)の下では、第VIII因子および第IX因子欠乏症の状態における延長は、本
試験に用いたプール血漿検体で認められた延長時間と比べて100秒を上回る。第X
I因子欠乏症ではすべての環境下で凝固時間の延長はわずかであり、この結果は
相対的に高い濃度の組織因子を用いた全血における観察結果と一致する。 【0178】 実施例13―XpPTアッセイを用いた際の国際標準率(INR)と凝固時間の相関 上記の実施例10〜12で開示したアッセイ値と中等度クマジン療法を施行中の患
者150例からなるコホートに関するI.N.R.との関連を0.1M組織因子の存在下で評
価した(図15)。本試験に用いた検体はフレッチャーアレン医療センター(Flet
cher Allen Medical Center)または販売元から入手したものであり、INRが1〜5
の範囲で凝固時間のINRに対するほぼ線形的な依存性が認められる。lNRのわずか
な変動に対して本アッセイは極めて敏感であり、INRが2であれば凝固時間は2分
延長する。正常例(INR、1.0、82.5±0.63[s.e.m.]秒)とは対照的に、INRが2
.0の患者の凝固時間は212.6±2.2秒であり、INRが4.3の患者の凝固時間は610.8
±4.2秒である。 【0179】 より詳細には、図15は、種々のINRを有すると評価されたワルファリン療法を
施行中の患者に関する0.1nM組織因子の下でのXpPT凝固時間の分析結果を示して
いる。 【0180】 実施例14―XpPTアッセイを用いたトロンボプラスチン試薬の標準化 上記の標準プロトロンビン時間(PT)とは異なり、XpPTでは全血漿における凝
固反応に対する組織因子およびリン脂質の寄与が区別される。臨床環境における
標準プロトロンビン時間の使用に関する主な問題は、抗凝固薬管理におけるトロ
ンボプラスチン試薬の「感度」に起因する。これらの変動の結果として、国際標
準化指数(ISI)に関して「トロンボプラスチン」を標準化するという複雑で時
に扱いにくい操作が行われ、これは続いて国際標準率(INR)を用いて抗凝固に
伴う凝固時間の延長を標準化するために用いられる。「トロンボプラスチン」の
変動における最も重大な成分はリン脂質の含有量および質に関係しており、この
成分はXpPTの組織因子成分から分離されるため、XpPTを用いて「トロンボプラス
チン」を標準化することが可能であり、相対的ISIがそれである。 【0181】 シンプラスチン・エクセル(Simplastin Excel)、トロンボプラスチン-HS、
トロンボプラスチン-M、トロンボプラスチン(SIGMA)、トロンボプラスチン-D
、ウシ肺トロンボプラスチン(ICN)、トロンボプラスチン-DSおよびトロンボプ
ラスチン-DLを、INRを1として滴定によって標準化した。それぞれの由来のトロ
ンボプラスチンに関して、用いた材料の凝集時間はINRが4.3までは等しく、ほぼ
直線的な相関が維持された[図16]。この図は、INR=1で標準化した種々の由来
のトロンボプラスチンによって活性化した種々のINR血漿のXpPT凝集時間の比較
を示している。 【0182】 実施例15―ヘパリンおよび組織因子系凝固インヒビター(TFPI)に対するXpPTア
ッセイの感度 ヘパリンに対する本アッセイの感度を正常患者血漿(INR、1)で評価した。0
〜3U/mLの範囲の濃度でカルシウム再添加を行った後の血漿にヘパリンを添加し
た。凝集時間には82.0秒から516.8秒までの用量依存的な延長が認められた。正
常患者血漿(INR、1)における凝固時間に対するTFPIの影響を検討するために0.
5nM TFを用いた。カルシウム再添加後の血漿に0〜60nMのTFPIを添加した。凝集
時間の用量依存的な延長(88.0秒から549.7秒)が認められた。 【0183】 実施例10〜15は、血液または血漿などの血液製剤における凝固および産物/前
駆体関連を評価するためのアッセイの作製および使用の仕方を示している。上記
の通り、本アッセイは強力で再現性があり、哺乳動物、特にヒト患者におけるほ
ぼすべての一般的な先天性出血性障害のモニタリングに用いることができる。さ
らに、本アッセイは、ヘパリン、クマジンまたは他の知られた治療薬による治療
を含む抗凝固薬介入療法の有効性のモニタリングに用いうる。重要なことは、本
アッセイがI.S.I.に関して調節可能であり、このためトロンボプラスチンの由来
に依存しない普遍的に同等な抗凝固監視システムにつながることである。 【0184】 上記の実施例10〜15では以下の材料および方法を必要に応じて用いた: 【0185】 1.材料 組換えヒト組織因子(1-242)はバクスターヘルスケア社ハイランド部門(Hyl
and Div.、Baxter Healthcare Corp.)から入手した。1-パルミトイル-2-オレオ
イルホスファチジルセリン(PS)および1-パルミトイル-2-オレオイルホスファ
チジルコリン(PC)は、シグマケミカル社(Sigma Chemical Co.)(St. Louis
、MO)またはアバンティポラーリピッズ社(Avanti Polar Lipids, Inc.)(Bir
mingham、AL)から購入した。トウモロコシ由来のトリプシンインヒビター(CTI
)は以前の記載の通りに調製した。第IXおよび第XI因子に対するモノクローン抗
体はバーモント大学医学部(University of Vermont College of Medicine)の
抗体施設から入手した。組織因子系凝固インヒビター(TFPI)はカイロン社(Ch
iron Corp)から寄贈を得た。組換え第VIIa因子はノボ・ノルディスク社(Novo
Nordisk)から購入した。標準化プール正常血漿(FACT)および第V因子、第VII
因子、第VIII因子および第IX因子欠乏血漿(各因子が<1.0%)はジョージ・キ
ング・バイオメディカルズ社(George King Biomedicals)から購入した。正常
/値試験用の血漿は25名(赤十字の志願供血者)から8カ月にわたり4〜5回採血
を行って入手した。中等度のクマジン療法を施行中の患者からの血漿検体はバー
モント大学医学部病理学部門(Department of Pathology、University of Vermo
nt College of Medicine)から入手した。クエン酸血漿検体はすべて-80℃で保
存した。トロンボプラスチン(Simplastin Excel)はオルガノンテクニカ社(Or
ganon Teknika)(Durham、NC)から購入した。トロンボプラスチン-HS、トロン
ボプラスチン-Mおよびカルシウム添加トロンボプラスチンはシグマケミカル社(
Sigma Chemical Co.)(St. Louis、MO)から購入した。トロンボプラスチン-D
、トロンボプラスチン-DSおよびトロンボプラスチン-DLはパシフィックヘモスタ
シス社(Pacific Heamostasis)(Huntersville、NC)から購入した。ウシ肺ト
ロンボプラスチンはICN社(Costa Mesa、CA)から購入した。凝集時間の測定に
はST4血餅検出器(Diagnostica-Stago)を用いた。 【0186】 2.PCPS小胞の調製: ホスファチジルコリン(PC)[100mg/mL]およびホスファチジルセリン[10m
g/mL]を室温になるまで置いた。30mLガラス製Corexチューブ中においてPCおよ
びPSを適切な比率(それぞれ75:25)で混合した。チューブを横にして回転させ
ながらこの溶液を窒素中で20分間乾燥させ、壁に薄い被膜が生じるようにした。
続いてチューブを11mLのHBS、pH 7.4で洗浄した。続いて、窒素によるパージン
グを行いながらPC/PS/HBS混合物に氷浴上で45分間超音波処理を加えた。次にP
CPS混合物をベックマン(Beckman)L5-50超遠心機、5W50.1ローターにより35Krp
mで30分間遠心した。回転速度を40Krpmに高め、さらに遠心を3時間続けた。上清
の上側3/4を採取し、濃度測定のためのアッセイを行った(BarenholzおよびHig
gin秒)。濃度を測定した後にスクロースを10%v/aとなるように添加し、混合
物を100μLのアリコートに分けた上で急速凍結して一晩凍結乾燥させた。この結
果得られた凍結乾燥物を使用前に100μLのHBS、pH 7.4で再構成した。 【0187】 3.組織因子/脂質試薬の調製 組換え組織因子試薬(原液2222nM)のオクチルグルコシド溶液を、最終濃度が
5nMとなるように40mLのHBS+5mM CaCl2、pH 7.4(90μL)に添加した。続いて10
7.5μLのPCPS小胞(3.72mM、3/99調製物)を最終濃度が10μMとなるようにrTF
/HBSに添加した。この混合物を37℃水浴中で30分間インキュベートした。イン
キュベートを終えた後、10mLの40%(w/v)スクロースを最終濃度が10%(v/v
)となるように混合物に添加した。240μLのアリコートを急速凍結し、一晩凍結
乾燥させた。この結果得られた凍結乾燥物を-20℃で保存し、各試験の60分前に
これらを蒸留水200μLで水和して5nM rTF/10μM PCPSとなるようにした。 【0188】 4.血漿凝固時間の測定 正常プール、患者コホートまたは第V因子、VII、VIIIおよびIX因子欠乏プール
血から得たクエン酸乏血小板血漿(PPP)を、37℃で解凍する前に、3.7μLの2.7
2mg/mL(最終濃度100μg/mL)トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)
で処理した。解凍した血漿を16,000×g(Eppendorf 5415-C型卓上遠心機)で10
分間遠心した。凝固時間を用手式チルトチューブ法またはスタゴ(Stago)ST-4
検出器を用いて測定した。(結果はいずれの方法も同じであった)。いずれの方
法の場合も透明ポリスチレン製または類似の透明プラスチック製の試験管を用い
た。 【0189】 ST4血餅検出器用の反応キュベットを適切な保温槽の中で37℃に平衡化させた
。カルシウム平衡化は、10μLの300mM CaCl2(最終、30mM)を100plのCTI処理ク
エン酸PPP(正常、患者または欠乏血)に添加して15秒おいた後に、1.3μLの3.7
2mM PCPS(25:75 PC/P秒)(最終濃度、50μM)を添加して15秒おくことによ
り開始した。反応は10μLの5.0nM rTF(最終0.5nM TF)または2.5μLの0.5nM rT
F(最終12.5pM)を添加することによって開始した。凝集終点時間の判定は肉眼
的に行うか、またはST4をPTTモード、インキュベーションなし、および最終制限
時間999秒に設定して機械的に行った。 【0190】 5.トロンボプラスチン試薬の標準化 0.5nM rTFの下でのプール正常血漿(I.N.R.、1;FACT、George King Biomedic
al秒)凝集時間に対するいくつかの市販のトロンボプラスチン試薬の標準化を、
試薬の希釈水溶液を作製し、FACT血漿においてrTF試薬の存在下で同じ凝集時間
が得られる容積を用いることによって行った。各原液の1:10希釈による容積を
用いた。中等度のクマジン療法を施行中の患者から得た血漿をアッセイするため
に、6μLのトロンボプラスチン「Excel」、3μLのトロンボプラスチン、3μLの
「トロンボプラスチン-HS」および4Lのシグマ(Sigma)製トロンボプラスチン、
6μLのパシフィックヘモスタス(Pacific Hemosta秒)製トロンボプラスチン-D
、6μLのICN製ウシ肺トロンボプラスチン、7μLのパシフィックヘモスタス(Pac
ific Hemosta秒)製トロンボプラスチン-DS、および2μLのトロンボプラスチン-
DLをrTF液の代わりに用いた。それ以外の点ではアッセイは上記の通りに行った
。 【0191】 実施例16―全血における接触系の抑制 現在の抗血小板薬および抗血栓薬を最適な形で用いるには、治療効果を評価す
るためのより優れた方法が必要である。このため、最小改変全血における組織因
子による凝固の開始に基づいて感度を高める目的で以下のアッセイを以下の通り
に開発した。 【0192】 血液が人工表面と接触した際に通常開始される凝固の接触経路を選択的に抑制
するために、トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)を用いた。被験者8
例を対象として、ヘモクロン(Hemochron)装置における凝固時間に対するCTIの
効果を判定するための試験を行った。この一連の試験のために、外因性組織因子
が存在しないようにした。CTIを加えていない血液は360±30秒で凝固した。CTI
の添加によって凝固時間は濃度依存的に延長した(図17)。CTIの濃度が200μg
/mlを上回ると効果がプラトーに達することが認められた。続いて、実施例16〜
19のすべてのアッセイを200μg/ml CTIの添加後に行った。 【0193】 このアッセイでは、最小改変全血における凝固を抑制するために抗凝固十分量
のCTIを用いている。本明細書では本アッセイをより詳細には「組織因子依存的
凝固アッセイ」または類似の語句として称する。本アッセイは全血または最小改
変全血における凝固のモニタリングに特に有用である。その一例として、本アッ
セイは、標準的な抗血栓および抗血小板療法を含む治療的評価の改善を可能とす
る新規なベッドサイド用ツールとして特に有用である。また、本アッセイにより
、多成分からなる抗血栓、抗血小板および線溶療法の薬剤の選択、用量調節およ
びモニタリングも容易になるはずである。 【0194】 図17のより詳細な説明は以下の通りである。健康被験者から末梢静脈穿刺によ
って血液を採取し、指定濃度のトウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)
を加えた。CTIは第XIIa因子の特異的阻害物質であり、他の凝固因子には影響し
ない。凝固はACT装置を用いて検出した。各値は被験者8例についての平均±S.D.
である。CTIにより凝固時間には濃度依存的な延長が認められた。200μg/mlを
上回る濃度では凝固時間はそれ以上延長しなかった。 【0195】 実施例17―組織因子による血液凝固の開始 ヘモクロンで検出した凝固に対する脂質化組織因子の効果を被験者12例で評価
した。10〜60pMの範囲の濃度の組織因子について評価した。図18に示す通り、組
織因子は凝固時間の濃度依存的短縮をもたらした。 【0196】 図18の説明は以下の通りである。健康被験者から得た血液に指定濃度の脂質化
組織因子を加えた。凝固はACT装置を用いて検出した。各値は被験者12例に関す
る平均±S.D.である。脂質化組織因子の添加により、凝固時間の濃度依存的短縮
がもたらされた。 【0197】 実施例18―組織因子依存的凝固アッセイの変動性 健康被験者20例から採取した血液検体において凝固時間の特徴分析を行った。
凝固は200μg/mlのCTIで前処理した血液において10pM組織因子により開始させ
た。このため、以降の試験において凝固が12分以内に生じた場合には、抗血栓薬
および抗血小板薬による凝固時間の延長を同定可能であり、その原因を接触経路
ではなく組織因子により開始されたトロンビン生成とみなすことが可能である。
被験者4例から3日連続して採取した検体、および被験者20例から採取して同日に
アッセイした検体における凝固時間を図19中の表に示す。個体内および個体間変
動係数は10%未満であった(図19)。 【0198】 実施例19―組織因子依存的凝固アッセイにおける凝固時間に対する種々の薬剤の
効果 A. ヒルジン 被験者5例から採取した血液に、直接的トロンビン阻害薬であるヒルジンを0.4
および0.8 anti-IIa U/mlの濃度で添加した。図20Aおよび20Bを参照。検討した
いずれの濃度においても、ヒルジンは凝固時間を著しく延長させた(0.4U/mlで
は21秒の延長、0.8U/mlでは37秒、それぞれp<0.05)。aPTTの著明な延長が認
められたのは高濃度の0.8U/mlのヒルジンの場合のみであった(16秒の延長、p
<0.05)。 【0199】 図20Aおよび20Bの詳細な説明は以下の通りである。凝固時間に対するヒルジン
の効果。健康被験者から採取した血液を200μg/mlのCTIで処理し、さらに0.4お
よび0.8 anti-IIa U/mlのヒルジンを加えた。凝固は20pM組織因子で開始し、AC
T装置を用いて検出した。被験者5例による結果を丸印で示す。検討したいずれの
濃度においても、ヒルジンは凝固時間を延長させた(p<0.05)。aPTTの延長を
認めたのは0.8U/mlのヒルジンの場合のみであった。 【0200】 B.組換えダニ抗凝固因子(rTAP) 被験者8例から採取した血液に、第Xa因子の特異的阻害物質である組換えダニ
抗凝固ペプチド(rTAP)を0.4 anti-Xa U/mlの濃度で添加した。図21Aおよび21
B参照。rTAPは凝固時間を著明に延長させたが(229秒、p<0.05)、aPTTに対す
る影響はなかった。 【0201】 図21Aおよび21Bの詳細な説明は以下の通りである。凝固時間に対するダニ抗凝
固ペプチド(rTAP)の効果。健康被験者から採取した血液を200μg/mlのCTIで
処理し、さらに0.4 anti-Xa U/mlのrTAPを加えた。凝固は20pM組織因子で開始
し、ACT装置を用いて検出した。被験者8例による結果を丸印で示す。rTAPは凝固
時間を延長させた(p<0.05)。aPTTはrTAPによる影響を受けなかった。 【0202】 C.ヘパリン 健康被験者6例から採取した血液に0.25および0.4 anti-IIa/Xa U/mlのヘパ
リンを加えた。これらの濃度は臨床使用時に達する濃度の範囲に対応するように
選択した。凝固時間およびaPTTはいずれもヘパリンの濃度が高まるにつれて延長
した(それぞれp=0.001、図22Aおよび22B)。 【0203】 図22Aおよび22Bの説明は以下の通りである。凝固時間に対するヘパリンの効果
。健康被験者から採取した血液を200μg/mlのCTIで処理し、さらに0.25および0
.4 anti-IIa U/mlのヘパリンを加えた。凝固は20pM組織因子で開始し、ACT装置
を用いて検出した。被験者6例による結果を丸印で示す。ヘパリンは凝固時間お
よびaPTTをともに延長させた(それぞれp=0.001)。 【0204】 D.エノキサパリン 健康被験者5例から採取した血液に0.4および0.8 anti-Xa U/mlのエノキサパ
リンを加えた。これらの濃度は急性冠症候群の患者で達する値に対応するように
選択した。エノキサパリンの濃度が高まるにつれて凝固時間およびaPTTは延長し
た(それぞれp=0.001、図23A and-23B)。 【0205】 図23Aおよび23Bの詳細な説明は以下のとおりである。凝固時間に対するエノキ
サパリンの効果。健康被験者から採取した血液を200μg/mlのCTIで処理し、さ
らに0.4および0.8 anti-Xa/IIa U/mlのエノキサパリンを加えた。凝固は20pM
組織因子で開始し、ACT装置を用いて検出した。被験者5例による結果を丸印で示
す。エノキサパリンは凝固時間およびaPTTを延長させた(それぞれp=0.001)。 【0206】 E.血小板表面糖蛋白質gpIIb /IIIaに反応する抗体(アブシキマブ)とヘパ
リンとの併用 健康被験者5例から採取した血液において、0.1 anti-IIa/Xa U/mlのヘパリ
ンに3μg/mlのアブシキマブを添加して評価を行った。アブシキマブの添加によ
り、凝固時間はヘパリン単独の場合に認められたものよりもさらに延長した(62
秒延長、p<0.05、図24Aおよび24B)。aPTTはアブシキマブの添加による影響を
受けなかった。 【0207】 図24Aおよび25Bの詳細な説明は以下の通りである。凝固時間に対するヘパリン
およびアブシキマブの併用の効果。健康被験者から採取した血液を200μg/mlの
CTIで処理し、さらに0.1 anti-IIa U/mlのヘパリン単独投与および3μg/mlの
アブシキマブとの併用投与を行った。凝固は20pM組織因子で開始し、ACT装置を
用いて検出した。被験者5例による結果を丸印で示す。この併用によって凝固時
間はヘパリン単独の場合よりも延長した(p<0.05)。ヘパリンにアブシキマブ
を加えてもaPTTはそれ以上延長しなかった。 【0208】 F.血小板表面糖蛋白質gpIIb /IIIaに反応する抗体(アブシキマブ)とエノ
キサパリンとの併用 健康被験者5例から採取した血液において、エノキサパリン(0.4 anti-Xa U/
ml)およびアブシキマブ(3μg/ml)の併用による特徴分析を行った。エノキサ
パリンにアブシキマブを加えることにより、凝固時間はエノキサパリン単独の場
合に認められたものよりも延長した(by 52秒、p<O.05、図25Aおよび25B)。aP
TTはアブシキマブの添加による影響を受けなかった。 【0209】 図25Aおよび25Bの説明は以下の通りである。凝固時間に対するエノキサパリン
およびアブシキマブの併用の効果。健康被験者から採取した血液を200μg/mlの
CTIで処理し、さらに0.4 anti-Xa U/mlのエノキサパリン単独投与および3μg/
mlのアブシキマブとの併用投与を行った。凝固は20pM組織因子で開始し、ACT装
置を用いて検出した。被験者5例による結果を丸印で示す。この併用によって凝
固時間はエノキサパリン単独の場合よりも延長した(p<0.05)。エノキサパリ
ンにアブシキマブを加えてもaPTTはそれ以上延長しなかった。 【0210】 上記の実施例16〜19は、現在の抗血栓薬の治療的有効性の評価に改善をもたら
す。上記のアッセイは最小改変全血において組織因子で開始した凝固の特徴を示
している。志願者20名における結果には再現性があった(平均凝固時間=118±9
秒)。ヒルジン(0.4 anti-IIa U/ml)およびダニ抗凝固ペプチド(0.4 anti-X
a U/ml)は凝集時間を21秒および229秒延長させたが、aPTTは延長しなかった。
ヘパリンおよびエノキサパリンに対するアブシキマブ(3μg/ml)の添加により
、凝集時間はさらに62秒および52秒延長した。本アッセイは多成分からなる抗血
栓、抗血小板および線溶療法の薬剤の選択およびモニタリングの改善を促すと考
えられる。 【0211】 詳細には、志願者20名における試験結果には再現性があった(平均凝固時間=
118±9秒)。ヒルジン(0.4 anti-IIa U/ml)およびダニ抗凝固ペプチド(0.4
anti-Xa U/ml)は凝集時間を21秒および229秒延長させたが、aPTTは延長しなか
った。ヘパリンおよびエノキサパリンに対するアブシキマブ(3μg/ml)の添加
により、凝集時間はさらに62秒および52秒延長した。上記の通り、本アッセイは
多成分からなる抗血栓、抗血小板および線溶療法の薬剤の選択およびモニタリン
グの改善を促すと考えられる。 【0212】 上記の実施例16〜19では以下の材料および方法を必要に応じて用いた。 【0213】 1.材料および方法 血液検体を健康対象から採取し、凝固の接触経路をトウモロコシ・トリプシン
インヒビター(他の凝固因子には影響しない、第XIIa因子の特異的阻害物質)に
より抑制した。凝固は再脂質化組織因子で開始し、ヘモクロンACT装置を用いて
検出した。健康志願者20例から採取した検体での結果には再現性があった(平均
凝固時間=118±9秒)。他の試験では、血液に薬理濃度の抗血栓薬および抗血小
板薬をインビトロで加えた。ヒルジン(0.4 anti-IIa U/ml)は凝固時間を平均
21秒延長させたが(p<0.05)、aPTTの延長は3秒であった。第Xa因子の直接的阻
害物質であるダニ抗凝固ペプチド(0.4 anti-Xa U/ml)は凝固時間を平均229秒
延長させたが(p<0.05)、これに対してaPTTの延長は3秒であった。抗血小板薬
の相加効果は、aPTTアッセイの場合よりも容易に検出可能であった。このように
、0.1 anti-IIa/Xa U/mlのヘパリンおよび0.4 anti-Xa U/mlのエノキサパリ
ンに対する3μg/mlのアブシキマブの添加により、凝固時間はそれぞれ62秒およ
び52秒延長した(それぞれp<0.05)。 【0214】 2.被験者 バーモント大学(University of Vermont)の施設内審査委員会(Institution
al Review Board)により承認された手順書を用い、健康志願者から末梢静脈穿
刺によって血液を採取した。被験者はアスピリン、非ステロイド性抗炎症薬また
は他の薬剤を少なくとも10日間にわたって服用していないこととした。被験者全
例から書面によるインフォームド・コンセントを得た。 【0215】 採血は09:00から12:00までの間に行った。静脈血の採取は19ゲージ翼状針・2
シリンジ法を用いて行い、血液の最初の3mlは廃棄した。血液検体は、トウモロ
コシ・トリプシンインヒビター(CTI、Enzyme Research Laboratories、South B
end、Indiana)32〜300μg/mlのみを含むか、または指定薬理濃度のヘパリン(
0.1、0.25および0.4 anti-IIa/Xa U/ml)、エノキサパリン(0.4および0.8 an
ti-Xa U/ml、Rhone-Poulenc Rorer)、ヒルジン(0.4および0.8 anti-IIa U/m
l、Sigma)、組換えダニ抗凝固ペプチド(rTAP、0.4 anti-Xa U/ml、Corvass I
nternationalから寄贈)またはアブシキマブ(3μg/ml、Eli Lilly)をともに
含むシリンジ中に採取した。ヘパリン、エノキサパリンおよびアブシキマブの濃
度は、臨床使用時に達する濃度と等しくなるように選択し、anti-IIaおよびanti
-Xaの当量濃度のヒルジンおよびrTAPを選択した。最終容積は抗凝固薬1に対して
血液9とした。 【0216】 3.凝固時間 接触経路の活性化に一般に用いるガラスビーズを用いずに、血液の400μlアリ
コートをインターナショナル・テクニダイン社(International Technidyne)か
ら寄贈されたK-レジン(K-resin)ACTチューブに添加した。K-レジンチューブに
は血液を添加する前に脂質化組織因子(1〜60pM、American Diagnostica、Green
wich、CT)を加えておいた。 【0217】 組織因子および血液を含むK-レジンチューブを直ちにヘモクロンACT装置に装
入した。凝固時間は、フィブリン線維が形成された際に起こる回転チューブ内の
従属磁石の変位によって検出した。アッセイ手順の全体を通じて血液は37℃に保
った。 【0218】 4.統計解析 各値は平均±標準偏差である。有意差は分散分析を用いて決定した。治療内容
の間の差はステューデント-ニューマン-クールズ(Student-Newman-Keuls)検定
を用いて評価した。有意水準はp<0.05と定義した。 【0219】 実施例20―組織因子に対する血小板減少の影響 血小板数が約10,000/mm3以下に減少するまでは特発出血(spontaneous bleed
ing)が生じるリスクは比較的少ない。この見かけ上の閾値の生物学的基盤は不
明であるが、その一部は現在用いうる臨床検査の限界によるものである。血小板
減少と凝固との関連を明らかにするために、本発明者らは、本発明者らの研究所
が最近報告した組織因子経路のモデルを用いた[Rand MDら、(1996)Blood 88
:3432]。正常供血者5例およびシトシンアラビノシド大量化学療法を受けてい
る患者から新たに採取した種々の血小板数(5,000〜309,000/mm3)の最小改変
全血における凝固反応を検討した。凝固は組織因子(12.5pM)によって開始し、
接触活性化はトウモロコシ・トリプシンインヒビターによって抑制し、反応の経
過中のクエンチング検体を回収した。分析は、トロンビン-アンチトロンビン複
合体の形成(TAT)、フィブリノペプチドA(EPA)および血小板脱顆粒(オステ
オネクチン遊離)に関して行った。凝固は開始期の終了間近の4.1±0.7分(s.d.
、n=11)で認められ、血小板数が11,000〜309,000/mm3の範囲では本質的には
不変であった。これに対して、全血小板数<11000/mm3では、凝固時間は平均8.
5±2.9分(s.d.、n=3)に延長した。これらの血小板数では臨床的には患者に点
状出血を認めた。トロンビン(TAT)の最大生成速度には最初の凝塊が検出され
た後(すなわち、伝播期の間)に到達し、正常および患者供血者における血小板
濃度と相関しており、<112,000/mm3での約69nM/分から289,000/mm3での128n
M/分までの範囲に及んだ。しかし、臨床的出血を伴う血小板数減少時のトロン
ビン生成はこれよりも遅く(<11,000/mm3では17.5nM/分、5,000/mm3では4.4
nM/分に過ぎない)。例えば、患者の血小板数が9,000/mm3に減少するとTAT生
成は17.6μM/分に低下する。血小板輸血から16時間後の血小板数は47,000/mm3 となり、TAT生成速度は48.1nM/分に上昇した。TATデータとは対照的に、FPA遊
離プロフィールは血小板数とほとんど相関しなかった。血小板脱顆粒アッセイ(
オステオネクチン遊離)は、血小板数が約112,000/mm3の場合に凝集時間が1分
以内であれば完全な血小板活性化を反映した。血小板数がこれより少ない場合は
、アッセイの限界のために明確なデータとはならない。本試験は、臨床的出血を
伴うレベルに血小板数が減少した場合には、組織因子経路アッセイによって凝固
時間の延長、特にトロンビン生成障害が検出されることを示している。この全血
アッセイは、凝固に対する血小板の数および機能の寄与をさらに詳細に明らかに
するのに有用と考えられる。 【0220】 この実施例は、高度の血小板減少が本アッセイにおける凝固およびトロンビン
生成の障害を伴うことを示している。このため、本アッセイは、便利でなく(血
小板数算定)、誤差が生じやすく(テンプレート出血時間)または患者に大きな
苦痛を強いる(テンプレート出血時間)従来の多くのアッセイにとって代わる、
医療現場で実施可能な血小板欠乏症に関する便利なエクスビボ試験である。 【0221】 図26は、種々の血小板数を有する供血者および患者の全血における組織因子で
開始した凝固を示している。いくつかわずかに修正を加えた上で、実施例7に記
載した条件下で全血における12件の試験を行った。組織因子の濃度には12.5pMを
用いた。血小板数が148,000〜309,000/mm3の範囲にある正常供血者5名から血液
を採取した(O)。さらに、血小板数が5,000〜193,000/mm3の範囲にある、種々
の程度のアラビノシド化学療法を受けている患者からも採血した(塗りつぶした
枠、白抜き枠、7件の試験)。正常供血者5例および化学療法前の患者の血液では
、凝固は平均4.0±0.5分で生じた(標準偏差)。患者の1例には試験直後(血小
板数=9,000/mm3)に血小板輸血を行い、16時間後に追跡試験を行った(塗りつ
ぶした枠)。血小板数から重症の血小板減少が予想される極めて少ない血小板数
(≦11,000/mm3)では、正常例の時間に比して患者血における凝集時間は著し
く延長した(平均8.5±2.9分)。血小板輸血により、患者の血小板数は47,000/
mm3に増加し、これにより凝集時間は正常範囲に回復した(限界範囲を水平線で
示している)。 【0222】 図27は、さまざまな血小板数での全血凝固時の伝播期におけるトロンビン生成
の最大速度を示している。12件の試験のそれぞれを上記の図26に示し、トロンビ
ン-アンチトロンビン(TAT)複合体に関するイムノアッセイを用いて最大トロン
ビン生成速度を求めた。この結果得られた速度を血小板数の関数として示してい
る。正常供血者から採取した血液の場合(O、血小板数148,000〜309,000/mm3
、トロンビン生成速度は69〜128nM/分の範囲であった。患者血では(白抜き枠
)、血小板数の低値(≦11,000/mm3)から高度の血小板減少であることが示さ
れる例で3件の試験を行った。これらの3件の試験におけるトロンビン値は17.8nM
/分未満であった。そのうち1件の試験では血小板数9,000/mm3であり、トロン
ビン生成速度は48nM/分と著しく上昇したが、これは正常範囲の下限をやや下回
る程度であった。その後の血小板輸血(塗りつぶした枠)によってこの患者の血
小板数は47,000/mm3に増加してトロンビン生成速度は48nM/分に著しく上昇し
、正常範囲の下限をやや下回る程度となった。 【0223】 本実施例では以下の材料および方法を必要に応じて用いた。 1.トウモロコシ・トリプシンインヒビターの調製 トウモロコシ・トリプシンインヒビターは、いくつか修正を加えた上で、ホジ
マ(Hojima)ら、前記に従って調製した。地域の雑貨店から入手した乾燥ポップ
コーン種子から、正常血漿におけるaPTT延長が認められなくなるまで01.1M Tris
/0.15<M NaCl(pH 8.0)により抽出した。記載の通りにアセトン沈殿を行って
抑制性画分(67〜86%低下)を再懸濁し、0.040M Tris-HCI、pH 7.5中で透析し
た上でDEAE-Sephacelカラム(2.5×60cm)にかけた。阻害活性の主ピークを線形
塩勾配(0〜1M NaCl)を用いて溶出し、集めた後に0.04M Tris-HCl、pH 7.5を入
れたセファデックス(Sephadex)G-50の第2のカラム(2.5×94cm)にかけた。こ
の最終プール画分を10mM炭酸水素アンモニウム、pH 7.8に対して一晩透析し(分
子量カットオフ値3000)、続いて乾燥させた。分離した蛋白質は分子量14,000の
単一のバンドを呈したが、これをHBS(HEPES、20mM、NaCl、150mM、pH 7.4)中
に再構成した。この阻害物質のアイソフォームはすべて第XIIa因子に対して同様
の阻害能を示すことから、これ以上の精製は行わなかった。 【0224】 2.組織因子/脂質試薬の精製 組織因子(5nM)を微小単層小胞中に再脂質化した。バレンホルツ(Y. Barenh
olz)ら(1997)Biochem 16:2806参照。25mol%PC(総脂質10μM)HBS+カルシ
ウム(2mM)、37℃で30分間。ローソン(J.H. Lawson)ら(1994)J. Biol. Che
m. 269:23357参照。続いて、小胞を長期間(最大12カ月)の凍結保存用に安定
化するために、濃スクロース(60%w/v)を最終濃度が10%となるように再脂質
化混合物に添加した。試薬のアリコート(200μL)を凍結乾燥して-20℃で保存
したが、これは各試験の60分前に再水和して用い、再現性のある結果を得ること
ができる。 【0225】 3.供血者 正常供血者5名およびアラビノシド化学療法を受けている患者1例を登録し、お
よびバーモント大学(University of Vermont)臨床試験委員会により承認され
た手順書に従って助言を行った。ランド(Rand MD)ら(1996)Blood 88:3432
参照。正常例5名(年齢範囲22〜36歳)は、血栓症/出血の病歴または家族歴が
あるか、またはアスピリンもしくは薬物を日常的に使用している供血者が入らな
いように選択した。正常対照として選択した被験者は、PT(11.6〜13.8秒)、aP
TT(27〜36秒)、フィブリノーゲンおよび血小板数(172,000〜376,000mm3)に
関して一般に正常範囲の値を示した。試験日に検体を採取して細胞数、PT、aPTT
およびフィブリノーゲンを測定した。 【0226】 患者の簡単な病歴を以下に示す。重役補佐を務める51歳女性で疲労感を覚え、
汎血球減少症と判明した。骨髄検査では病的とは診断されなかった。6カ月後に
再び行った骨髄検査で脊髄形成異常が認められ、芽球28%、核型正常であった。
1カ月後の骨髄検査では芽球35%となり、イダルビシン/シトシンアラビノシド
による導入化学療法を開始した。治療を1クール行った後、患者の骨髄中の芽球
は14%となった。同じ薬剤による第2クールを行った結果、完全寛解が得られた
。この患者には血縁者に骨髄ドナーがいなかったため、3クールの大量シトシン
アラビノシド療法(3gm/m2、第1、3および5日に12時間毎)を受けた。この強化
化学療法に対する本例の忍容性は十分であったが、血球減少のために赤血球およ
び血小板の定期的輸血が必要になった。非血縁者ドナーを探索したがマッチ例は
見つからなかった。本例は現在は完全寛解しており、薬物治療は行っていない。
この患者の最近の血算値は、ヘモグロビン13.0gm、ヘマトクリット37.9、白血球
数5,120/cmmおよび血小板数212,000/mm3であった。 【0227】 4.全血における凝固 用いた手順はランド(Rand, M.D.)ら、前記の変法であり、フレッチャー・ア
レン・ヘルスケア(Fletcher Allen Health Care)(Burlington、Vermont)、
総合臨床研究センター(General Clinical Research Center)で行った。新たに
採取した抗凝固処理を行っていない全血における凝固は、記載の通り、16本のポ
リスチレン製蓋付き培養チューブを用いた。試薬は以下の量を添加した:トウモ
ロコシ・トリプシンインヒビター(すべてのチューブ、100μg/血液mLとした)
、5mMカルシウムを含む再脂質化TF(脂質:蛋白質=2000)HBS溶液(各シリーズ
におけるすべてのチューブ、ただし静脈血対照チューブは除く。12.5pM TF/血
液mLとした)。各チューブに加える試薬は50μL未満とした。各シリーズのゼロ
チューブ(zero tube)には、1mLの阻害薬混液(50mM EDTAおよび20mMベンズア
ミジン-HClを含む、HBS、pH 7.4中)および10μLの10mM FPRck(0.01M HCl中に
希釈)を用いて前処理を行った。 【0228】 患者または正常供血者の血液は、ランド(Rand, M.D.)ら、Blood 88:3432の
記載の通りにバーモント大学(University of Vermont)の臨床試験委員会(Hum
an Studies Committee)が承認した手順に従って静脈穿刺により採取した。凝固
は、上記の阻害薬混液およびFPRckによるチューブの周期的クエンチングを行っ
た上で、試薬を入れたチューブへの注入により開始した。開始後20分まで進行さ
せた反応により一連のクエンチング検体を入手した。オステオネクチンアッセイ
用に細胞混入物を除去するために、各チューブからのアリコートを濾過した(20
0μL、0.2μm AcroDisc、Gelman Sciences、Ann Arbor、MI)。残った血清およ
び細胞ペレット/凝塊をねじ口チューブに分注し、凍結した上でイムノブロット
またはイムノアッセイ分析用に-20℃で保存した。 【0229】 5.イムノアッセイ分析 製造者により提供された指示に従い、市販のELISAを用いて以下の分析物の評
価を行った:トロンビン-アンチトロンビン-III(Enzygnost TAT、Behring)、
フィブリノペプチドA(Asserachrom FPA、Diagnostica Stage/American Biopro
ducts、New Jersey)および血小板オステオネクチン(リチャード・ジェニー博
士(Dr. Richard Jenny)からの寄贈、Hematologic Technologies, Inc.、Essex
Junction、VT)。添加したクエンチ溶液(1.00mL)による希釈およびヘマトク
リット(一般に全血液量の40%)に関する検体の補正は記載の通りに行った(参
考文献7)。結果は、SOFTMaz ver. 2.0ソフトウエアおよびIBMパーソナルシステ
ム2(Personal System 2)30/286型PCを備えたVマックス(V max)マイクロリ
ットルプレートリーダー(Molecular Devices、Menlo Park、CA)にて分析した
。分析に関するこのほかの詳細は以前に示されている。ランド(Rand MD)ら(1
996)Blood 88:3432およびコーサーン(Cawthern, KM)ら(1998)Blood 918:
4581参照。 【0230】 本実施例の情報の少なくとも一部は、米国血液学会第40回年次集会(40th Ann
ual Meeting of the American Society of Hematology、Miami、Fl)(1998年12
月)で発表した。 【0231】 実施例21―血漿における臨床的に重要な凝固反応をモニタリングするためのアッ
セイ 血漿の凝固の臨床的評価は伝統的にプロトロンビン時間(PT)および活性化部
分トロンボプラスチン時間(aPTT)測定によって行われてきた。PTは高濃度の組
織因子(TF)および脂質の存在下で、カルシウム再添加クエン酸血漿の急速な凝
固(11〜15秒)が生じる条件下で行われる。組織因子が高濃度であるため、PTア
ッセイは古典的な外因性経路(第I、II、V、VIIおよびX因子)における欠乏症に
対する感度が高く、凝固反応における第VIII因子、第IX因子または第XI因子の寄
与を反映しない。aPTT試験は脂質に加えて接触経路の開始物質を含み、第I、II
、V、VIII、IX、X、XI、XII因子、プレカリクレインおよび高分子量キニノーゲ
ンに対する感度が高い。トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)を用い
ることにより、接触経路による自然開始に起因する干渉を消失させることによっ
て低濃度のTFの下で得られる広範な凝集時間を利用するアッセイを開発した。本
アッセイは、開始前にクエン酸血漿のカルシウム平衡が完全に確立することを可
能とする。低濃度の組織因子(ほぼ0.5nM)の下で起こる反応の速度は古典的PT
よりもかなり遅いため、生理的システムを反映するこれらの血漿因子に対する感
度が高い。0.5nM TF、100μg/ml CTI、50μMホスファチジルセリン/ホスファ
チジルコリン(25:75、PCPS)および30mM CaCl2クエン酸の存在下では、血漿は
82±6秒で凝固する。これらの条件下における本アッセイの第V因子(306秒)、
第VII因子(230秒)、第VIII因子(189秒)および第IX因子(189秒)の欠乏症に
対する感度は高い。本アッセイとクマジン療法を施行中の患者150例からなるコ
ホートでの国際標準率(INR)との関連を評価した。正常例(INR=1、82±6秒)
とは対照的に、INRが2の血漿は211±5秒で凝固し、INRが4.3の血漿は616±9秒で
凝固する。凝集時間とINRとの間にはほぼ線形的な関係が認められた。また、本
発明者らの研究所で作製した組換え再脂質化TFと等価になるようにいくつかの市
販のトロンボプラスチン試薬の標準化を行う目的にも本アッセイを用いた。INR
を1として標準化したシンプラスチン・エクセル(Simplastin Excel)、トロン
ボプラスチン-HS、トロンボプラスチン-M、トロンボプラスチン(Sigma)の凝集
時間はINRが4.3までは同じであった。本アッセイは、ヘパリン(0〜3U/ml)、
組織因子経路阻害薬(TFPI)[0〜60nM]、試験中の抗凝固性モノクローン第IX
因子抗体(0〜1000μg/ml)および所有権下にある評価中の種々の抗凝固薬を含
む治療薬に対して高い感度を示す。上記の観察によって説明したように、本発明
者らは、広範囲の重要な凝固反応に適用しうる確固たる包括的アッセイを確立し
た。 【0232】 実施例22―新規なベッドサイド用組織因子依存的凝固アッセイ 現在の抗血小板薬および抗血栓薬を最適な形で用いるには、治療効果を評価す
るためのより優れた方法が必要である。従来のインビトロ凝固アッセイは、細胞
性および蛋白質成分とガラスおよびプラスチックとの相互作用によって歪曲され
る。ピコモル濃度の脂質化組織因子の添加によって、接触経路が抑制された全血
における凝固を開始させ、ヘモクロンACT装置を用いて検出するアッセイを開発
した。健康被験者20名から血液を採取した。接触経路はトウモロコシ・トリプシ
ンインヒビター(第XIIa因子の特異的阻害物質)によって抑制した。凝固は組織
因子(10pM)の添加によって開始した。凝固時間は118±9(S.D.)秒であった。
インビトロで血液に指定濃度のヒルジン(0.4 anti-IIa U/ml)、組換えダニ抗
凝固ペプチド(rTAP、0.4 anti-Xa U/ml)、ヘパリン(0.1 anti-IIa/Xa U/m
l)およびエノキサパリン(0.4 anti-Xa U/ml)を加えたところ、凝固時間はそ
れぞれ21、229、41および46秒延長した(それぞれp<0.05)。これに対して、aP
TTはヘパリンおよびエノキサパリンによってそれぞれ34および15秒延長したが、
ヒルジンおよびrTAPによる影響はみられなかった。 【0233】 アブシキマブ(3μg/ml)とヘパリンとの併用は凝固時間を102秒延長させた
(ヘパリン単独の場合と比べて61秒延長、p<0.05)。同様に、アブシキマブと
の併用によるaPTTへの影響はみられなかった。これに対して、アブシキマブの添
加によるaPTTへの影響はみられなかった。このように、開発した本アッセイは、
多様な抗凝固薬および抗血小板薬の相加および相乗効果の検出を可能とする高い
感度を示した。その使用は、個々の患者の困難な要求が満たされるような、医療
現場での治療法の最適な調節を容易にすると考えられる。 【0234】 本明細書で開示した特許および刊行物はすべて参照として本明細書に組み入れ
られる。 【0235】 その好ましい態様を参照しながら本発明を詳細に説明してきた。しかし、当業
者は、本開示を考慮することにより、以下の請求の範囲で説明する発明の精神お
よび範囲を逸脱することなく、改変および改善を加えることができることを理解
すると考えられる。 【図面の簡単な説明】 【図1】 図1は、クマジン投与を受けている患者から採取した血漿におけ
るPTによるTF経路アッセイとI.N.Rとの対比を示すグラフである。カルシウム再
添加血漿は0.10mg/mlのCTIを含む。 【図2】 図2A〜Dは、正常ならびに補充下および非補充下の血友病A血液に
よる凝固を示すグラフである。 【図3】 図3は、第XI因子欠乏血漿におけるTFおよび第XI因子の関数とし
ての凝固を示すグラフである。 【図4】 図4A〜Cは、開始物質25pmol/Lでの正常ならびに補充下および非
補充下の血友病C血液による凝固を示すグラフである。 【図5】 図5AおよびBは、開始物質25pmol/Lでの正常ならびに補充下およ
び非補充下の血友病C血液における凝集時の第Va因子の生成を示すグラフである
。 【図6】 図6A〜Cは、開始物質5pmol/Lでの正常ならびに補充下および非
補充下の血友病Cの血液における凝集を示すグラフである。 【図7】 図7AおよびBは、開始物質5pmol/Lでの正常ならびに補充下およ
び非補充下の血友病Cの血液における凝集時の第Va因子の生成を示すグラフであ
る。 【図8】 図8は、トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)および抗
第XI因子抗体の存在下における、カルシウム再添加後のクエン酸血漿凝集時間を
示すグラフである。 【図9】 図9は、塩化カルシウムによる組織因子(TF)、ホスファチジル
コリン/ホスファチジルセリン(PCPS)小胞を示すグラフである。 【図10】 図10は、拡張血漿プロトロンビン時間(XpPT)アッセイのリン
脂質滴定を示すグラフである。 【図11】 図11は、志願者から8カ月間にわたり採取した正常血漿を用い
たデータ収集を示すグラフである。 【図12】 図12は、血漿供血者から採取した検体による拡張血漿プロトロ
ンビン時間(XpPT)アッセイの時間を示すグラフである。 【図13】 図13は、組織因子(TF)を用いた拡張血漿プロトロンビン時間
(XpPT)アッセイの標準化を示す表である。 【図14】 図14は、組織因子(TF)を用いて欠乏血漿で測定した拡張血漿
プロトロンビン時間(XpPT)アッセイにおける凝固時間の測定結果を示すグラフ
である。 【図15】 図15は、ワルファリン療法を施行中の個体に関する組織因子(
TF)を用いた拡張血漿プロトロンビン時間(XpPT)アッセイの分析結果を示すグ
ラフである。 【図16】 図16は、標準化した種々の材料由来のトロンボプラスチンで活
性化したさまざまなINR血漿の拡張血漿プロトロンビン時間(XpPT)アッセイで
の凝集時間の比較を示すグラフである。 【図17】 図17は、血漿凝固時間に対するトウモロコシ・トリプシンイン
ヒビター(CTI)の効果を示すグラフである。 【図18】 図18は、凝固時間に対する脂質化組織因子の効果を示すグラフ
である。 【図19】 図19は、ヒト患者における、組織因子で開始した血漿凝固時間
(秒)を示すグラフである。 【図20】 図20Aおよび20Bは、凝集時間に対するヒルジンの効果を示すグ
ラフである。ヘモクロン(hemochron)で検出した凝固(図20A)およびaPTTで検
出した凝固(図20B)を示している。 【図21】 図21Aおよび21Bは、凝固時間に対するダニ抗凝固ペプチド(rT
AP)の効果を示すグラフである。ヘモクロンで検出した凝固(図21A)およびaPT
Tで検出した凝固(図21B)を示している。 【図22】 図22Aおよび22Bは、凝固時間に対するヘパリンの効果を示すグ
ラフである。ヘモクロンで検出した凝固(図22A)およびaPTTで検出した凝固(
図22B)を示している。 【図23】 図23Aおよび23Bは、凝固時間に対するエノキサパリン(enoxap
arin)の効果を示すグラフである。ヘモクロンで検出した凝固(図23A)およびa
PTTで検出した凝固(図23B)を示している。 【図24】 図24Aおよび24Bは、凝固時間に対するヘパリンおよびアブシキ
マブ (abciximab)(血小板糖蛋白質gpIIb-IIIaに対する市販のモノクローン抗
体)の併用の効果を示すグラフである。ヘモクロンで検出した凝固(図24A)お
よびaPTTで検出した凝固(図24B)を示している。 【図25】 図25Aおよび25Bは、凝集時間に対するエノキサパリンおよびア
ブシキマブ の併用の効果を示すグラフである。ヘモクロンで検出した凝固(図2
5A)およびaPTTで検出した凝固(図25B)を示している。 【図26】 図26は、全血において組織因子で開始した凝固を示すグラフで
ある。 【図27】 図27は、種々の血小板数での全血凝固時のトロンビン生成を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C12N 9/99 C12N 9/99 (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB ,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ, DE,DK,EE,ES,FI,GB,GE,GH,G M,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG ,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT, LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,N O,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG ,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA, UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ランド マシュウ ディ. アメリカ合衆国 コネティカット州 ブラ ンフォード (72)発明者 カウサーン ケビン エム. アメリカ合衆国 ニューヨーク州 ハーバ ーストロウ ダウド ストリート 100 アパートメント ビー17 Fターム(参考) 2G045 AA10 AA40 BA10 BB34 BB50 BB52 CA25 CA26 FB03 HA02 4B063 QA05 QA19 QQ03 QQ97 QR47 QR48 QR49 QR50 QR54 QR67 4C076 AA11 BB12 CC14 DD43 EE41 FF61 FF63

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 凝固を抑制するのに十分な量のトウモロコシ・トリプシンイ
    ンヒビター(CTI)を血液製剤に添加することを含む、血液製剤の凝固を抑制す
    るための方法。 【請求項2】 血液製剤が血漿であって、抑制が接触開始(contact initiat
    ion)による、請求項1記載の方法。 【請求項3】 血漿が血小板欠乏性である、請求項2記載の方法。 【請求項4】 対照と比較して凝集時間が約10秒〜約3600秒の間である、請
    求項2記載の方法。 【請求項5】 凝集時間の国際標準率(International Normalized Ratio)
    (INR)が約1〜6.5の間である、請求項2記載の方法。 【請求項6】 約0単位/ml〜約2単位/mlの範囲の濃度の第VIIIまたは第IX
    因子と反応する、請求項2記載の方法。 【請求項7】 CTIを含む反応チューブに血漿を添加することを含む、請求項
    2記載の方法。 【請求項8】 反応チューブが緩衝クエン酸塩をさらに含む、請求項7記載の
    方法。 【請求項9】 約0.001nM〜5nM TFが得られるのに十分な量の再脂質化組織因
    子(TF)を血漿に添加することをさらに含む、請求項2記載の方法。 【請求項10】 トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)を添加する
    前に少なくとも1つの抗凝固薬で血漿を処理する、請求項2記載の方法。 【請求項11】 抗凝固薬がクエン酸であって、クエン酸で処理した血漿に凝
    固有効量のカルシウム塩によるカルシウム再添加を行う、請求項10記載の方法。 【請求項12】 トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)の量が、対
    照と比較して凝固時間を約10〜約3600秒の範囲で延長するのに十分である、請求
    項11記載の方法。 【請求項13】 トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)の量がカル
    シウム再添加血漿1ミリリットル当たり約20μg〜約500μgの間である、請求項12
    記載の方法。 【請求項14】 止血または血栓異常、凝固抑制因子欠乏症または播種性血管
    内凝固状態からなる群より選択される血液凝固障害を有するか、またはその疑い
    のある患者から血漿を分離する、請求項2記載の方法。 【請求項15】 患者が少なくとも1つの血液凝固因子の欠乏症を有するか、
    またはその疑いがある、請求項14記載の方法。 【請求項16】 播種性血管内凝固状態が凝固因子と結合しうる自己抗体と関
    係している、請求項14記載の方法。 【請求項17】 血液凝固障害が血友病A、BまたはC型である、請求項14記載
    の方法。 【請求項18】 患者が観血的外科処置を受けたか、または受ける予定である
    、請求項14記載の方法。 【請求項19】 血液または血漿を凝固許容温度(clotting permissive temp
    erature)下においた場合に凝固を抑制するのに十分な条件下で血液または血漿
    を保存するための方法であって、 a)凝固を抑制するのに十分な量の緩衝クエン酸塩またはヘパリンを含む溶液で
    血液を処理する段階であって、血漿が必要な場合には処理した血液をさらに血漿
    の作製をもたらす条件下におくような段階、 b)処理した血液または血漿を凍結する段階、 c)凍結した血液または血漿を、凝固を抑制するのに十分な量のトウモロコシ・
    トリプシンインヒビター(CTI)と接触させる段階、および d)保存された血液または血漿を凝固許容温度下においた場合に凝固が抑制され
    るような、CTIで処理した血液または血漿を凍結する段階 を含む方法。 【請求項20】 緩衝クエン酸塩が血液の約0.1%(w/v)〜約0.5%(w/v)
    の間の量として存在する、請求項19記載の方法。 【請求項21】 血漿が望ましく、血小板欠乏血漿を作製するのに十分な条件
    下に血漿をさらにおく、請求項19記載の方法。 【請求項22】 血漿が望ましく、止血もしくは血栓異常、凝固抑制因子欠乏
    症または播種性血管内凝固状態からなる群より選択される血液凝固障害を有する
    か、またはその疑いのある患者から血漿を採取する、請求項19記載の方法。 【請求項23】 血液凝固障害が少なくとも1つの血液凝固因子の欠乏症であ
    る、請求項22記載の方法。 【請求項24】 患者が観血的外科処置を必要としてきたか、または必要とす
    る、請求項19記載の方法。 【請求項25】 血液凝固障害が血友病A、BまたはC型である、請求項23記載
    の方法。 【請求項26】 トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)の量が、対
    照と比較して凝固時間を約1000秒以上延長するのに十分である、請求項19記載の
    方法。 【請求項27】 血液または血漿に添加するトウモロコシ・トリプシンインヒ
    ビターの量が、血液または血漿1ミリリットル当たり約20μg〜約500μgの間であ
    る、請求項26記載の方法。 【請求項28】 下記の段階を含む、血漿における凝固をアッセイするための
    方法: a)凝固を抑制するのに十分な量のカルシウムキレート剤を含む溶液で血液を処
    理する段階、 b)血液を血漿の作製をもたらす条件下におく段階、 c)血漿を、凝固を抑制するのに十分な量のトウモロコシ・トリプシンインヒビ
    ター(CTI)と接触させる段階、 d)血漿にカルシウム再添加を行う段階、および e)カルシウム再添加血漿をアッセイする段階。 【請求項29】 方法の段階a)がトウモロコシ・トリプシンインヒビター(C
    TI)を添加することをさらに含む、請求項28記載の方法。 【請求項30】 下記の段階を含む、血漿における凝固をアッセイするための
    方法: a)凝固を抑制するのに十分な量のカルシウムキレート剤を含む溶液で血液を処
    理する段階、 b)血液を血漿の作製をもたらす条件下におく段階、 c)血漿を凍結する段階、 d)凍結した血漿を、凝固を抑制するのに十分な量のトウモロコシ・トリプシン
    インヒビター(CTI)と接触させる段階、 e)凍結した血漿を解凍する段階、 f)解凍した血漿にカルシウム再添加を行う段階、および g)血漿における凝固をアッセイする段階。 【請求項31】 止血もしくは血栓異常、凝固抑制因子欠乏症または播種性血
    管内凝固状態からなる群より選択される血液凝固障害を有するか、またはその疑
    いのある患者から血漿を分離する、請求項30記載の方法。 【請求項32】 少なくとも1つの血液凝固因子の欠乏症を有するか、または
    その疑いのある患者から血漿を採取する、請求項31記載の方法。 【請求項33】 患者が抗凝固療法を必要とする、請求項31記載の方法。 【請求項34】 患者が観血的外科処置を受けたか、または必要とする、請求
    項31記載の方法。 【請求項35】 方法の段階d)で添加するトウモロコシ・トリプシンインヒ
    ビター(CTI)の量が凝固時間を約1000秒以上延長するのに十分である、請求項3
    0記載の方法。 【請求項36】 トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)の量が血液1
    ミリリットル当たり約0.02〜約1mg CTIの間である、請求項35記載の方法。 【請求項37】 方法の段階g)が、血漿中に約0.01μM〜500μMの脂質が得ら
    れるのに十分な量で、約1mM〜約10mM(PSPC)を添加することをさらに含む、請
    求項35記載の方法。 【請求項38】 方法の段階g)が、血漿中に約0.001〜5nM TFが得られるのに
    十分な量で組織因子(TF)を添加することをさらに含む、請求項37記載の方法。 【請求項39】 下記の段階を含む、血漿における凝固をアッセイするための
    方法: a)抗凝固有効量のトウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)と1つのカル
    シウムキレート剤とを含む溶液で血液を処理する段階、 b)血液を血漿の作製をもたらす条件下におく段階、 c)血漿にカルシウム再添加を行う段階、および d)カルシウム再添加血漿における凝固をアッセイする段階。 【請求項40】 止血もしくは血栓異常、凝固抑制因子欠乏症または播種性血
    管内凝固状態からなる群より選択される血液凝固障害を有するか、またはその疑
    いのある患者から血漿を分離する、請求項39記載の方法。 【請求項41】 少なくとも1つの血液凝固因子の欠乏症を有するか、または
    その疑いのある患者から血漿を採取する、請求項40記載の方法。 【請求項42】 観血的外科処置を受けたか、または必要とする患者から血漿
    を採取する、請求項39記載の方法。 【請求項43】 血液凝固障害が血友病A、BまたはC型である、請求項40記載
    の方法。 【請求項44】 方法の段階a)で添加するトウモロコシ・トリプシンインヒ
    ビター(CTI)の量が、凝固時間を約10秒〜約3600秒以上延長するのに十分であ
    る、請求項39記載の方法。 【請求項45】 トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)の量が血液1
    ミリリットル当たり約0.02〜1mg CTIの間である、請求項44記載の方法。 【請求項48】 方法の段階d)が、添加する組織因子の量と比較して約500〜
    約2000モル過剰量のホスファチジルセリン(25mol.%)およびホスファチジルコ
    リン(75mol.%)を添加することをさらに含む、請求項44記載の方法。 【請求項49】 方法の段階d)が、血漿中に約0.001〜5nM TFが得られるのに
    十分な量で組織因子(TF)を添加することをさらに含む、請求項44記載の方法。 【請求項50】 血液または血液製剤を、血液または血液製剤における凝固を
    抑制するのに十分な量のトウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTl)と接触
    させることを含む、血液または血液製剤を保存するための方法。 【請求項51】 血液または血液製剤を室温以下で保存することを含む、請求
    項50記載の方法。 【請求項52】 血液が全血または最小改変血液(minimally altered blood
    )である、請求項51記載の方法。 【請求項53】 血液製剤が血漿である、請求項51記載の方法。 【請求項54】 トウモロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)の量が約50
    μg/ml〜約200μg/mlの間である、請求項50記載の方法。 【請求項55】 血液製剤が血漿であって、血漿に塩化カルシウム、PC:25PS
    小胞および組織因子を添加することをさらに含む、請求項54記載の方法。 【請求項56】 血液を血液凝固を低下または消失させるのに十分な量のトウ
    モロコシ・トリプシンインヒビター(CTI)と接触させること、および血液凝固
    をモニタリングすることを含む、血液凝固をモニタリングするための方法。 【請求項57】 血液が全血または最小改変血液であって、モニタリングが血
    液凝固の測定を含む、請求項56記載の方法。 【請求項58】 血液が、合成線維素溶解薬、抗血栓薬または抗血小板薬の少
    なくとも一つを含む、請求項57記載の方法。 【請求項59】 血液凝固因子と特異的に結合できる抗体を添加することをさ
    らに含み、該抗体が凝固を抑制するのに十分な量で添加される、請求項1記載の
    方法。 【請求項60】 血液凝固因子と特異的に結合できる抗体を添加することをさ
    らに含み、該抗体が凝固を抑制するのに十分な量で添加される、請求項56記載の
    方法。 【請求項61】 血液製剤を血液凝固第XI因子と特異的に結合できる抗体また
    はその断片と接触させることを含み、該抗体が凝固を抑制するのに十分な量で添
    加される、血液製剤の凝固を抑制するための方法。 【請求項62】 血液を血液凝固第XI因子と特異的に結合できる抗体またはそ
    の断片と接触させることを含み、該抗体が血液凝固を抑制するのに十分な量で添
    加される、血液凝固をモニタリングするための方法。 【請求項63】 血小板欠乏症または異常を有するか、またはその疑いのある
    ヒト患者から血液を採取する、請求項58記載の方法。
JP2000553612A 1998-06-08 1999-06-08 血液および血液製剤における凝固の抑制 Pending JP2002517739A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US8848898P 1998-06-08 1998-06-08
US60/088,488 1998-06-08
PCT/US1999/012631 WO1999064622A1 (en) 1998-06-08 1999-06-08 Inhibition of coagulation in blood and blood products

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002517739A true JP2002517739A (ja) 2002-06-18

Family

ID=22211667

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000553612A Pending JP2002517739A (ja) 1998-06-08 1999-06-08 血液および血液製剤における凝固の抑制

Country Status (8)

Country Link
US (2) US6403381B1 (ja)
EP (1) EP1084270B1 (ja)
JP (1) JP2002517739A (ja)
AT (1) ATE274600T1 (ja)
AU (1) AU757459B2 (ja)
CA (1) CA2333890A1 (ja)
DE (1) DE69919702T2 (ja)
WO (1) WO1999064622A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014531413A (ja) * 2011-08-23 2014-11-27 シナプス・ビー.ブイ.Synapse B.V. 異物表面との接触による血液凝固系の活性化の熱安定性阻害剤
CN109073662A (zh) * 2016-04-25 2018-12-21 仪器实验室公司 用于鉴定与抗磷脂综合征相关的狼疮抗凝物(la)的方法和试剂盒

Families Citing this family (42)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE69919702T2 (de) * 1998-06-08 2005-09-15 The University Of Vermont And State Agricultural College Verfahren zur Bestimmung der Blutgerinnung in Plasma
JP2003505678A (ja) * 1999-07-23 2003-02-12 ザ スクリップス リサーチ インスティテュート 全血の凝固因子活性を測定する方法
US20020116222A1 (en) * 2000-10-22 2002-08-22 Standing Stone, Inc. Method and system for administering anticoagulation therapy
US7297716B2 (en) * 2000-10-23 2007-11-20 Shanbrom Technologies, Llc Enhanced production of blood components, blood cells and plasma without freezing
US7411006B2 (en) * 2000-10-23 2008-08-12 Shanbrom Technologies, Llc Enhanced production of blood clotting factors and fibrin fabric
US8389687B2 (en) * 2000-10-23 2013-03-05 Shanbrom Technologies, Llc Polyvinylpyrrolidone cryoprecipitate extraction of clotting factors
US6743596B1 (en) * 2000-10-27 2004-06-01 Biomerieux, Inc. Method of determining global coagulability hemostatic potential
US6645768B1 (en) * 2000-10-27 2003-11-11 Biomerieux, Inc. Reagent and kit for determining global coagulability and hemostatic potential
US7358337B2 (en) * 2002-08-16 2008-04-15 International Technidyne Corporation Assay for low molecular weight heparin
US7235377B2 (en) * 2003-06-09 2007-06-26 The University Of Vermont And State Agriculture College Global test of the hemostatic system
WO2005111231A2 (en) * 2004-05-11 2005-11-24 Heptest Laboratories, Inc. Compositions, kit and one-step method for monitoring compounds having anti-factor xa and/or anti factor iia activities
CN101102819A (zh) * 2004-12-23 2008-01-09 Csl百灵有限公司 血栓的形成和/或稳定化的预防
US8070678B2 (en) * 2005-10-05 2011-12-06 Gurbel Paul A Detection of restenosis risk in patients receiving a stent by measuring the characteristics of blood clotting including the measurement of maximum thrombin-induced clot strength
US8197420B2 (en) 2006-12-18 2012-06-12 Magnolia Medical Technologies, Inc. Systems and methods for parenterally procuring bodily-fluid samples with reduced contamination
US8574849B2 (en) * 2007-10-03 2013-11-05 The University Of Vermont And State Agriculture College Methods of detection of factor XIa and tissue factor
JP5809058B2 (ja) 2008-10-15 2015-11-10 アイシス ファーマシューティカルズ, インコーポレーテッド 第11因子発現の調節
US8448499B2 (en) 2008-12-23 2013-05-28 C A Casyso Ag Cartridge device for a measuring system for measuring viscoelastic characteristics of a sample liquid, a corresponding measuring system, and a corresponding method
WO2012159021A2 (en) * 2011-05-19 2012-11-22 Hemosonics, Llc Portable hemostasis analyzer
CN102262161B (zh) * 2011-08-16 2013-09-11 天津市百利康泰生物技术有限公司 水蛭素在特定条件下失活后检测凝血四项方面的应用
US8864684B2 (en) 2011-10-13 2014-10-21 Magnolia Medical Technologies, Inc. Fluid diversion mechanism for bodily-fluid sampling
US8535241B2 (en) 2011-10-13 2013-09-17 Magnolia Medical Technologies, Inc. Fluid diversion mechanism for bodily-fluid sampling
US20130149386A1 (en) * 2011-12-07 2013-06-13 Region Nordjylland Cd36 as biomarker for steatosis
US9060724B2 (en) 2012-05-30 2015-06-23 Magnolia Medical Technologies, Inc. Fluid diversion mechanism for bodily-fluid sampling
US9022950B2 (en) 2012-05-30 2015-05-05 Magnolia Medical Technologies, Inc. Fluid diversion mechanism for bodily-fluid sampling
US9204864B2 (en) 2012-08-01 2015-12-08 Magnolia Medical Technologies, Inc. Fluid diversion mechanism for bodily-fluid sampling
EP3318295B1 (en) 2012-10-11 2021-04-14 Magnolia Medical Technologies, Inc. System for delivering a fluid to a patient with reduced contamination
US9155495B2 (en) 2012-11-30 2015-10-13 Magnolia Medical Technologies, Inc. Syringe-based fluid diversion mechanism for bodily fluid sampling
IL295772B2 (en) 2012-12-04 2023-11-01 Magnolia Medical Technologies Inc Sterile device and methods for collecting body fluids
US10772548B2 (en) 2012-12-04 2020-09-15 Magnolia Medical Technologies, Inc. Sterile bodily-fluid collection device and methods
CN105188535A (zh) * 2013-02-01 2015-12-23 贝克顿·迪金森公司 含有接触途径抑制添加剂的血液采集装置
CN105188534B (zh) 2013-03-12 2018-05-29 木兰医药技术股份有限公司 用于选择性地阻塞针体的管腔的设备和方法
US20150050677A1 (en) * 2013-08-16 2015-02-19 University Of Massachusetts Medical School Methods and systems for measuring whole blood platelet reactivity
RU2556116C2 (ru) 2013-11-28 2015-07-10 Общество с ограниченной ответственностью "Гематологическая Корпорация" (ООО "ГемаКор") Высокоселективный ингибитор контактной активации на основе инфестина 4
US10123783B2 (en) 2014-03-03 2018-11-13 Magnolia Medical Technologies, Inc. Apparatus and methods for disinfection of a specimen container
WO2016201406A1 (en) 2015-06-12 2016-12-15 Bullington Gregory J Devices and methods for syringe-based fluid transfer for bodily-fluid sampling
EP3344213B1 (en) 2015-09-03 2020-04-22 Magnolia Medical Technologies, Inc. System for maintaining sterility of a specimen container
CN116250868A (zh) 2017-09-12 2023-06-13 木兰医药技术股份有限公司 流体控制装置及其使用方法
US11419531B2 (en) 2017-12-07 2022-08-23 Magnolia Medical Technologies, Inc. Fluid control devices and methods of using the same
JOP20200280A1 (ar) 2018-05-09 2020-11-05 Ionis Pharmaceuticals Inc مركبات وطرق لتقليل التعبير الوراثي عن fxi
JP2022523153A (ja) 2019-02-08 2022-04-21 マグノリア メディカル テクノロジーズ,インコーポレイテッド 体液採取及び分配のための装置及び方法
CN113784793B (zh) 2019-03-11 2023-09-19 木兰医药技术股份有限公司 流体控制装置及其使用方法
CN113325185B (zh) * 2021-07-09 2024-04-19 重庆鼎润医疗器械有限责任公司 多水平质控品及其制备方法和在血栓弹力图检测上的应用

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4882272A (en) * 1986-10-01 1989-11-21 Temple University - Of The Commonwealth System Of Higher Education High molecular weight kininogen assay
US5318910A (en) 1988-11-10 1994-06-07 International Technidyne Corp. Standard whole blood composition for determining the potency of blood clotting inhibitory substances
US5472850A (en) 1991-04-10 1995-12-05 Oklahoma Medical Research Foundation Quantitative clotting assay for activated factor VII
US5314826A (en) 1991-08-23 1994-05-24 Medtronic Hemotec, Inc. Platelet activation and function evaluation technique
US5705395A (en) 1994-11-14 1998-01-06 The Scripps Research Institute Method for diagnosis of thrombotic disorders
DE69919702T2 (de) * 1998-06-08 2005-09-15 The University Of Vermont And State Agricultural College Verfahren zur Bestimmung der Blutgerinnung in Plasma

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014531413A (ja) * 2011-08-23 2014-11-27 シナプス・ビー.ブイ.Synapse B.V. 異物表面との接触による血液凝固系の活性化の熱安定性阻害剤
CN109073662A (zh) * 2016-04-25 2018-12-21 仪器实验室公司 用于鉴定与抗磷脂综合征相关的狼疮抗凝物(la)的方法和试剂盒
JP2019515259A (ja) * 2016-04-25 2019-06-06 インストゥルメンテーション ラボラトリー カンパニー 抗リン脂質抗体症候群に関連するループス抗凝固因子(la)を特定するための方法およびキット
US10935560B2 (en) 2016-04-25 2021-03-02 Instrumentation Laboratory Company Method and kit for identifying lupus anticoagulant (LA) associated with antiphospholipid syndrome

Also Published As

Publication number Publication date
US6566140B2 (en) 2003-05-20
US6403381B1 (en) 2002-06-11
DE69919702T2 (de) 2005-09-15
ATE274600T1 (de) 2004-09-15
DE69919702D1 (de) 2004-09-30
AU4548699A (en) 1999-12-30
WO1999064622A1 (en) 1999-12-16
EP1084270B1 (en) 2004-08-25
US20020042144A1 (en) 2002-04-11
EP1084270A1 (en) 2001-03-21
AU757459B2 (en) 2003-02-20
EP1084270A4 (en) 2001-12-05
CA2333890A1 (en) 1999-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2002517739A (ja) 血液および血液製剤における凝固の抑制
Marcucci et al. Thrombophilic risk factors in patients with central retinal vein occlusion
Heinrich et al. Relationship of lipoprotein (a) to variables of coagulation and fibrinolysis in a healthy population
Haverkate et al. Haemostasis factors in angina pectoris; relation to gender, age and acute-phase reaction
Al Dieri et al. The thrombogram in rare inherited coagulation disorders: its relation to clinical bleeding
Whelihan et al. Thrombin generation and cell‐dependent hypercoagulability in sickle cell disease
Morrissey et al. Quantitation of activated factor VII levels in plasma using a tissue factor mutant selectively deficient in promoting factor VII activation
Silveira et al. Plasma procarboxypeptidase U in men with symptomatic coronary artery disease
WO2002079375A1 (en) Rapid assessment of coagulation activity in whole blood
Larsen et al. Thrombin: a pivotal player in hemostasis and beyond
JP2002519703A (ja) Pt、及び、aptt分析のための血液凝固コントロール
EP0482088A1 (en) Improved stable coagulation controls
Keularts et al. Treatment with a GPIIb/IIIa antagonist inhibits thrombin generation in platelet rich plasma from patients
He et al. The clotting trigger is an important determinant for the coagulation pathway in vivo or in vitro—inference from data review
Colucci et al. Mild hyperhomocysteinemia is associated with increased TAFI levels and reduced plasma fibrinolytic potential
CA2156469C (en) Additive for diagnostic tests for determination of the coagulability of blood, method of reducing the influencing of diagnostic tests by heparin and the use of metal salts for these purposes
WO1989008150A1 (en) Method for measuring biological activity of antithrombin iii and reagents for the measurement
Mejía et al. Endogenous thrombin potential in Behçet’s disease: relationship with thrombosis and anticoagulant therapy
Wan et al. A novel mouse whole blood thrombin generation assay sensitive to FXI-and FIX-mediated amplification of coagulation
Krachmalnicoff et al. The stability of factor VIII in heparinized plasma
Senno et al. Clinical Implications of Elevated PAI-1 Revisited: Multiple Arterial Thrombosis in a Patient with Essential Thrombocythemia and Elevated Plasminogen Activator Inhibitor-1 (PAI-1) Levels with a Review of the Literature
JP2003513280A (ja) Xa因子阻害剤の活性をモニターするためラッセルクサリヘビ蛇毒誘導血漿Xa因子活性の使用
Ignjatovic et al. Plasmin generation and fibrinolysis in pediatric patients undergoing cardiopulmonary bypass surgery
WO2009046274A1 (en) Methods of detection of factor xia and tissue factor
Fernández et al. Activated protein C correlates inversely with thrombin levels in resting healthy individuals

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060414

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20081007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090205

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20090501

A602 Written permission of extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602

Effective date: 20090513

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20091015