JP2002516254A - ヒト赤血球の低温保存 - Google Patents

ヒト赤血球の低温保存

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Abstract

(57)【要約】 赤血球保存組成物は、赤血球組成物および生化学的変更剤を含み、該生化学的変更剤は、その凍結/解凍サイクル中の該赤血球の溶血割合を、該生化学的変更剤の不在下における赤血球の溶血の割合以下に減じるような濃度で存在する。この赤血球保存組成物は、好ましくは解糖/代謝成分の変更剤、酸化防止能力の変更剤、細胞内イオン分布のエフェクタ、膜流動性の変更剤、細胞骨格構造の変更剤、シクロオキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタ、リポキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタ、ヘキソース一燐酸第二メッセンジャー経路のエフェクタ、ホスホリル化第二メッセンジャー経路のエフェクタ、特定のメッセンジャー分子の変更剤、およびこれらの組み合わせから選択される試薬を含む。

Description

【発明の詳細な説明】
1998年5月26日付けの特許出願第60/086,836号に基づく、優先権を主張する。
【0001】
【技術分野および背景技術】
血液は、血漿と細胞成分とで構成され、またヒト身体の幾つかの重要な生理学的
な系において、免疫、止血および組織への酸素投与を包含する、顕著な役割を演
じている。呼気ガスとしての酸素(O2)および二酸化炭素(CO2)の移動は、赤血球の
主な機能である。この容易化されたO2およびCO2の移動は、ヘモグロビン即ち赤血
球中に含まれる鉄-含有マルチサブユニットタンパクによって担われている。赤
血球内へのヘモグロビン封入の必要性は、2つある。第一に、ヘモグロビンは極め
て特異的な結合パラメータを有していて、これら重要な分子の適当なサイトへの
分配を確実なものとしている。補因子および遊離イオンの濃度を調節することに
よって、赤血球は、最適なO2取り込みおよび放出のための適当な環境を与える。
第二に、遊離のヘムは、腎臓および肝臓両者に対して有害な作用を持ち、またヘモ
グロビン尿症等の状態をもたらす可能性がある。
【0002】 該ヘモグロビンを閉じ込める赤血球の構造成分は、二層膜および細胞骨格で構
成される。該膜自体は、コリン、アミノリン脂質コレステロールおよび内在性膜
タンパクを含む。この膜の内部表面に沿って、細胞骨格が存在する。このメッシ
ュ状の骨格は、F-アクチンとタンパク4.1との錯体のフォーカスにおいて一緒に結
合された長いフィラメント状のスペクトリン分子で構成される。この細胞骨格メ
ッシュは、タンパク-タンパク相互作用、例えばスペクトリンおよび該内在性膜タ
ンパクバンド(Band)3のアンキリン/タンパク4.2媒介結合を介して、および場合
によっては直接的タンパク-脂質相互作用を介して、該膜と結合している。これ
ら結合によって、該細胞骨格は、赤血球にその安定性と形状とを与える。該細胞骨
格メッシュ内の適当な結合または該細胞骨格と該膜との結合がない場合には、極
めて脆弱化された赤血球が得られる。幾つかのヒト疾患は、特定のタンパクの欠
如または不完全なタンパクの相互作用の何れかに起因することが確認されている
。これら欠陥の多くは、形態的に異常な赤血球の形成および重度の溶血性貧血に
導く。
【0003】 広範囲に渡る傷害および医学的な手順が、全血または種々の血液成分の輸注を
必要とする。輸血は、患者における酸素分配能力および循環体積を高めるために、
日常的に利用されている。安全、迅速かつ容易な輸血可能な赤血球単位の入手は
、多量の血液喪失を伴う外傷を負った犠牲者にとって重要であるばかりでなく、選
択的外科手術を受けているあるいは循環赤血球の喪失を招く、幾つかの型の遺伝
的な溶血性貧血等の疾患に罹った患者に対しても重要である。長期間に渡り赤血
球を保存する能力は、輸注可能な赤血球の供給が、必要な時にいつでも入手できる
であろうことを保証する。可能な用途は、特有の血液型の保存、同一個体の輸注を
目的とした単位、および緊急時用の一般的な血液型の備蓄を包含する。一般的な
保存法の限界は、一部には血液供給の不定期の不足をもたらし、これは選択的な
外科手術の延期をもたらし、また血液銀行および病院からの供与を必要とする。
【0004】 通常、赤血球の長期にわたる保存のために、2つの方法が承認されている。赤
血球単位の大部分は、4℃にて、クエン酸塩リン酸塩-デキストロース中で保存さ
れる。例えば、ドナー血液を処理センターで受け取った場合、赤血球を分離し、一
般的には容積200〜300mlおよびヘマトクリット値70〜90をもつ、包装された赤血
球の単位として、種々の方法で保存される。しかし、代謝上の消耗およびその後
の物理的な劣化のために、これら細胞は42日程度保存できるに過ぎない。その上
、これら保存された細胞の70%は、輸血後に循環状態に維持され、真のO2分配能力
は、いまだ明らかにされていない。 保存中に、ヒト赤血球は、形態学的および生化学的な変化を被り、この変化とは
アデノシン三燐酸(ATP)および2,3-ジホスホグリセレート(2,3-DPG)の細胞濃度に
おける減少、細胞の形態における変化、および段階的な溶血を包含する。該ATP濃
度は、僅かな初期の上昇後に、段階的に減少し、6週間の保存後には、その初期濃
度の30〜40%まで低下する。形態上の変化は、保存中に起こり、これは最終的に小
嚢として分離する可能性のあるスピクラの発生、該赤血球の表面積対体積の比お
よびその狭いチャンネルを通過する際における変形能の完全な変化に導く。赤血
球が、脾臓および肝臓における狭いチャンネルを通過するために必須である、該
赤血球細胞膜の流動性は、幾分かATP濃度と相関を持つ。このATPの濃度および赤
血球の形態は、輸血用に保存された細胞の適正に関する指標となる。
【0005】 第二の方法は、低温保護剤として40%(w/v)グリセロールを使用した、-80℃で
の凍結保存である。しかし、この添加剤は多くの生体細胞の膜を透過し、またこ
れはヒト内部に滲入した場合に、望ましからぬ性質を示す。この方法は、10年まで
の保存に対して利用可能であるが、輸注前にこのグリセロールを洗い流す必要が
ある。この洗浄段階は、経費のかかる装置を使用し、時間および労力を要する。
更に、かなりの程度の溶血(典型的には、10-15%)が、この洗浄処理中に発生する
。最後に、この手順は、赤血球単位の滅菌性を危うくするものと考えられるので、
洗浄後の保存はかなり制限される。結局、この保存方法は、極めてまれな因子型お
よびオートロガス並びに42日間の期間内に使用されることがないであろう献血単
位の血液について使用されるに過ぎない。入手できる最新のデータである、1992
年についていえば、輸注可能な赤血球の利用できる供給量の約14%(ほぼ二百万単
位)が、廃棄された。追加および経費および洗浄時間を必要とすることなしに、
あるいは少なくとも必要な洗浄サイクル回数を減じつつ、赤血球を低温保存する
能力は、これら棄却されるはずであった赤血球単位のかなりの割合を救うことが
でき、結果として血液製品の不足に対する更なる緩和策を提供するであろう。
【0006】 これまでの赤血球の低温保存に関する理論は、結氷および増殖が、保存後の赤
血球の回収並びに生存性に影響を与える唯一の因子ではないとしても、主要な因
子であると考えていた。従って、赤血球の低温保存法の検討は、伝統的な低温保護
法の僅かな変更のみが考察されていた。赤血球の以前の保存、貯蔵および輸注法
は、Horn, Sputtek, Standl, Rudolf, Kuhnl & Esch, オートロガス、ヒドロキシ
エチル澱粉-低温保存赤血球の輸注(Transfusion of Autologous, Hydroxyethyl
Starch-Cryopreserved Red Blood Cell), Anesth. Analg., 1997, 85:739-745に
記載されている。しかし、細胞性化学における温度-誘発性変更は、当分野の専門
家により十分に認識された現象である。この文献の説明では、通常低温保存に伴
って、細胞性の溶血に導くであろう、低温-誘発性不均衡を克服するための、赤血
球の生化学の利用法を提供している。これら方法によれば、結氷に対する非-特異
的低温保護のレベルを下げることができる。
【0007】 使用する低温保護剤によって、2種の一般的な手順が、生細胞の凍結保存のため
に通常利用できる。その第一の手順では、低分子量浸透性溶質を高濃度で添加す
る。毒性および浸透圧の問題のために、解凍後に該溶質を除去するために、特殊
な装置および技術が必要とされる。その第二の手順では、該細胞内に侵入しない
高分子量のポリマーを使用する。この場合における解凍後の加工は、論理的には
単純であるが、保存を極めて低い温度、典型的には液体窒素中で行う必要がある
。細胞のあらゆる低温保存法における主要な問題である結氷は、氷の結晶核の生
成から開始される。温度が低下し、かつ水が結晶化して氷を形成するにつれて、該
細胞は、段階的に脱水され、ある時点において、該細胞は損傷を受ける。この脱水
による損傷の特徴は、膜破壊に導く膜応力の結果であると考えられている。この
型の損傷は、高いモル濃度での溶質の添加により防止でき、その結果形成される
氷の量は、有害な細胞の脱水をもたらすには不十分である。
【0008】 多年にわたり、幾つかの分子が、低温保護性を持つことが知られていた。これら
浸透性の低温保護剤にとっては、細胞外の結氷の低減およびその結果として細胞
の脱水を減じ、しかも同時に、細胞内濃度を高めて、細胞内の結晶化を起こり難
くすることが必要とされる。有用なこの種の溶質は、高濃度にて無害であり、しか
も細胞内に自由に侵入できるものである必要がある。グリセロールおよびジメチ
ルスルフォキシド(DMSO)両者は、この目的のために使用されてきた。グリセロー
ルは、高濃度において顕著に無害であるが、細胞膜をゆっくり浸透し、そのため導
入し、かつ除去することが困難である。ジメチルスルフォキシドは、迅速に浸透す
るが、濃度が1M(約7%)を超えるに従って、次第に有害となる。分子量の大きなポリ
マー、例えばポリビニルピロリドン(PVP)、デキストランおよび極最近のヒドロキ
シエチル澱粉(HES)は、細胞内に侵入せず、これらが低温保護性を示すメカニズム
は、検討すべき課題となっている。
【0009】 上記のように、赤血球の保存期間を延長するためには、ATPの減少を防止するよ
うなある方法で該細胞を保存し、もしくはこれらを処理し、また可能ならば、氷の
結晶による損傷から保護することに加えて、2,3-ジホスホグリセレート(2,3-DPG)
をも維持する必要がある。典型的には、このような溶液は、該細胞内のATPレベル
を維持することによって、保存寿命を延長するように機能する、リン酸塩、グル
コース、およびアデニンを含む。更に、4℃にて測定した細胞内pHが、約7.4であ
る場合、解糖活性が赤血球内で高められる。この懸濁液の有効な重量モル浸透圧
濃度は、赤血球の保存時間を延長する上で重要なもう一つのファクタである。低
浸透圧により誘発された、平均細胞体積における増加は、溶血を減じ、かつ保存
中の赤血球の形態を改善することが示された。そのメカニズムは、いまだ明らか
にされていないが、浸透性膨潤が細胞表面張力を増し、結果として保存された赤血
球に通常関連する形状変化を防止している可能性がある。該添加された溶液の低
浸透圧性は、該溶液を添加する際の、溶血の危険性のために制限されるが、通常二
重の凹型円板形状にある赤血球は、これらが溶血される前に、約170mOsmなる外部
重量モル浸透圧濃度において、その正常な体積のほぼ2倍に膨潤できる。この添
加溶液が、著しく低浸透圧性である場合には、該赤血球は破壊(溶血)されるであろ
う。結果として、著しく低浸透圧性の溶液を使用することはできない。ATPおよび
2,3-DPGの維持は、4℃における保存に関して一般的に考察されているが、これら代
謝物質の濃度の維持は、解凍後の保存にとって重要である。ATP濃度、溶血、カリ
ウムの漏れ、およびマイクロ小嚢の脱落の、赤血球の維持並びに保存に及ぼす作
用については、Greenwalt, Rugg & Dumaswala, グルタミンおよびグリシンの低浸
透圧性の、赤血球保存に及ぼす作用(The Effect of Hypotonicity Glutamine, an
d Glycine on Red Cell Preservation), Transfusion, 1997, 37:269-276に記載
されている。
【0010】 赤血球の長期保存の目標は、その代謝並びに形態的な諸特性を保持し、結果とし
てそのインビボパラメータ(酸素分配能力および循環半減期)が、新鮮な非-凍結
処理赤血球に匹敵するものとすることにある。更に、該保存サイクル中の溶血の
レベルを、ヘモグロビン毒性による合併症の危険なしに、該解凍した赤血球単位
を直接輸注可能な、許容レベルに維持する必要がある。これらの目標は、本発明
の方法を利用して達成することができる。本明細書に記載するこの方法は、一般
的に承認された保存法の利点両者、即ち凍結状態における長期間の保存および冷
蔵保存における如く迅速な利用可能性をもたらす。
【0011】 病院および血液銀行は、直接-輸注性凍結赤血球製品から多大な利益を享受する
であろう。多くの一般的な研究法は、この目的を、単にグリセロールを、無毒の輸
注可能な低温保護剤で置換することで達成しようとするものであった。しかし、
その結果は、多くの低温保護剤が、輸注不可能な濃度で使用する必要があり、ある
いはその保護性能は、溶血を輸注にとって許容できるレベルに維持するのに十分
ではなかった。更に、多くの手順は、液体窒素蒸気内で-193℃にて保存することを
必要とした。これは、多大な経費を必要とし、また通常の血液貯蔵手順に組み込
むことを不可能とし、-80℃以下の温度での長期間保存を実施不能とした。 ここに記載する本発明は、保存、形態上の変化、代謝上の変化、および赤血球の
長期間に渡る機能上の有効性に係る上記の問題を扱う。更に、本発明は、本発明
の組成物および方法で処理した赤血球の保存において、予想外のかつ驚嘆すべき
結果を得、このようなことは、以前は不可能であると考えられていた。
【0012】
【発明の開示】
本発明は、零度以下の温度(-10〜-193℃)にて、凍結状態で赤血球を保存して、
これを解凍して得られる赤血球単位が生細胞を含むようにする方法を提供する。
具体的には、これは生化学的な安定化と、低温保護剤溶液との組み合わせにより
達成される。生化学的安定化剤は、これ単独では、使用した濃度において、該凍
結処理工程中における氷の形成またはその量を減じることがない点において、伝
統的な低温保護をもたらさないものである。この組み合わせからなる低温保護剤
の溶液は、輸注可能な低温保護剤で構成されるので、解凍して得られる赤血球単位
は、直接輸注することができる。全ての状況下において、生化学的安定化技術の利
用は、生化学的な安定化のない状態において必要とされるよりも低い、低温保護
剤濃度を使用して、赤血球を低温保存することを可能とする。
【0013】 生化学的安定化は、該凍結/解凍サイクル中に損傷を受けやすい、特定の赤血球
成分および生化学的経路をターゲットとする、試薬の添加を含む。これら試薬に
よる安定化は、最終的に溶血をもたらす、凍結/解凍誘発性損傷に対する部分的な
抵抗性を該細胞に付与する。生化学的安定化は、代謝成分、酸化防止剤の能力、細
胞内イオン分布、膜流動性、および細胞骨格構造の保全性を維持することを目的
とするものであり得る。更に、特定の第二メッセンジャー経路、例えばシクロオ
キシゲナーセ、リポキシゲナーセ、ヘキソース一燐酸およびホスホリル化経路を
、生化学的試薬によって直接または特定のメッセンジャー分子の調節を通して間
接的に処理することができる。ここで、該分子は、環状-アデノシン一燐酸(c-AMP
)、環状-グアニン一燐酸(c-GMP)、細胞内カルシウム、イノシトール三燐酸およ
びジアシルグリセロールを含む。
【0014】 より具体的には、単一の試薬または試薬の組み合わせを、赤血球単位に添加し
て、上記項目の各々をターゲットとすることができる。試薬、例えばグルコース
、ピルベートまたは無機燐酸を添加して、ATPの分子内濃度を維持しあるいはこ
れを高め、並びにNa+/H+交換剤のアミロライド媒介阻害等の、ATP-枯渇ATPaseを
遮断することができる。膜またはヘモグロビンに対する酸化性損傷の防止は、酸
化防止剤、例えばグルタチオン、トコフェロール、アスコルビン酸塩、およびバイ
オフラボノイドの添加により、並びにリボースによる該ヘキソース一燐酸経路の
刺激によって達成することができる。イオン分布は、特定のイオンポンプを活性
化または阻害することによって調節することができる。カルシウムは、ニフェジ
ピンまたはベラパミルによって調節でき、一方アミロライドは、上記のようにナ
トリウムの調節を行うであろう。更に、カリウムおよび塩素イオン分布は、ブメ
タニドによる、K+/Cl-共輸送体の阻害によって維持できる。該シクロオキシゲナ
ーセおよびリポキシゲナーセ経路は、フルルビプロフェン、ジピリダモール、また
はアスピリンの添加により調節でき、一方ホスホリル化現象は、キナーゼ阻害剤、
例えばH7(1-[5-イソキノリニルスルフォニル]-2-メチルピペラジン)、スタウロ
スポリン、またはケレリスリンによる阻害によって扱うことができ、またジアシ
ルグリセロールパルミトイルカルニチンにより刺激できる。
【0015】 膜の安定化および流動性は、ペントキシフィリン、ニコチンアミドまたはアマ
ンタジンによって調節され、および細胞骨格構造は、タキソール、[2aR-[2aα,4β
,4aβ,6β,9α(αR*,βS*),11α,-12α,12aα,12bα]]- β-(ベンゾイルアミノ)
- α-ヒドロキシベンゼンプロパン酸6,12b-ビス(アセチルオキシ)-12-(ベンゾイ
ルオキシ)-2a,3,4,4a,5,6,9,10,11,12,12a,12b-ドデカヒドロ-4,11-ジヒドロキ
シ-4a,8,13,-13-テトラメチル-5-オキソ-7,11-メタノ-1H-シクロデカ[3.4]ベン
ズ-[1,2-b]オキセ-9-イルエステル、またはサイトカラシンの利用によるアクチ
ンの安定化、またはポリアミンによるスペクトリン安定化によって維持できる。
特異的環状ヌクレオチド調節第二メッセンジャー経路は、アデノシン(c-AMPを高
める)およびナトリウムニトロプルシドまたは他の一酸化窒素ドナー(c-GMPを高
める)の使用により活性化できる。 生化学的安定化に加えて、低温保護剤を添加して、該赤血球単位を、該凍結/解
凍サイクル中の、氷結晶の生成による損傷から保護する。これら低温保護剤は、
個々にまたは浸透性および/または非-浸透性の化合物を補充した混合物として使
用できる。有力な低温保護剤の例は、ジメチルスルフォキシド、ポリビニルピロ
リドン、デキストラン、マルトデキストリン、2,3-ブタンジオール、ヒドロキシ
エチル澱粉、ポリエチレングリコールおよびグルコース並びにその他の炭水化物
を含むが、これらに制限されない。
【0016】 ヒト赤血球を保存する態様の一つにおいて、該保存法は、標準的な血液備蓄プ
ロトコールに従って、Baxter Travenolにより市販されている、一般的に許可さ
れた添加溶液、即ちADSOL中に、ある体積の包装された赤血球を流し込むことを
含む。このADSOLは、遠心分離により除去され、またある体積の、該所定の低温保
護剤および任意の付随的な生化学試薬を含む保存溶液を添加する。低温保護剤を
含む赤血球サンプルを、凍結のために液体窒素に浸漬し、かつ即座に長期保存のた
めに、-80℃のフリーザーに移す。生化学的安定化は、代謝成分、酸化防止剤の能
力、細胞内イオン分布、膜の流動性および細胞骨格構造の保全性を維持するため
のものであり得る。更に、特定の第二メッセンジャー経路、例えばシクロオキシゲ
ナーゼ、リポキシゲナーゼ、ヘキソース一燐酸およびホスホリル化経路は、生化学
試薬によって直接、または特定のメッセンジャー分子、例えばc-AMP、c-GMP、細
胞内カルシウム、イノシトール三燐酸、およびジアシルグリセロールの調節を介
して間接的に扱うことができる。
【0017】 好ましい一態様においては、該生化学試薬は、該凍結/解凍サイクル中の該赤血
球の溶血を防止するような濃度で存在し、より一層好ましくは約500μMのニフェ
フィピン(nifefipine)、約20μMのサイトカラシンB、約500μMのタキソール(Tax
ol)、約5mMのペントキシフィリン、および約25μg/mlのフルルビプロフェンなる
濃度を有する。これら生化学試薬は、担体試薬としての2.5%DMSO中に存在する。
全条件は、7.5%デキストラン(Dex: 40,000 MW)、2%ポリビニルピロリドン(PVP: 4
0,000 MW)、5%ヒドロキシエチル澱粉、および5%ポリエチレングリコールを含む
。低温保護剤の低い輸注可能なこれら濃度は、任意の単一の低温保護剤を単独で
使用した場合よりも、一層良好に低温保存中の該赤血球を保護すべく、組み合わ
せで作用する可能性がある。更に、該試薬の添加および低濃度の輸注性低温保護
剤による生化学的調節は、低温保存中の該赤血球を更に保護すべく、協同して作
用する。もう一つの方法は、該生化学試薬およびある体積のグリセロライト(Glyc
erolyte)57(Fenwall)、好ましくは約20%のグリセロールを含む等張塩水または
保存溶液を添加し、かつ該バッグを-80℃にて凍結することである。使用するこれ
ら添加剤は、ニコチンアミド、ニケタミド、ニフェジピン、ペントキシフィリン、
およびフルルビプロフェンを含む。該生化学的添加剤の添加とともに、該20%グ
リセロールは、溶血の程度を下げ、かつ全体としての溶血および残留遊離ヘモグロ
ビン濃度に基く、輸注可能な血液単位に関する基準を満たす。
【0018】 かくして、本発明の一態様は、赤血球保存組成物に関し、これは赤血球組成物お
よび生化学的安定化試薬の組成物を含む。このような態様において、該生化学試
薬は、同様な条件であるが、該生化学試薬の不在下で保存した赤血球と比較して、
該凍結/解凍サイクル中の溶血の程度を減じ、かつインビトロ官能活性の増大を
可能とする。 更に別の本発明の態様では、赤血球組成物が形成され、これは赤血球、赤血球組
成物および生化学試薬、並びに1種以上の低温保護剤との組み合わせを含む。
【0019】 もう一つの態様は、ヒト赤血球組成物を目的とし、該組成物はヒト赤血球、赤血
球と生化学試薬との組成物を含む。試薬、例えばグルコース、ピルベートまたは
無機燐酸を添加して、ATPの分子内濃度を維持しあるいはこれを高め、並びにNa+ /H+交換剤のアミロライド阻害等の、ATP-枯渇ATPaseを遮断することができる。
膜またはヘモグロビンに対する酸化性損傷の防止は、酸化防止剤、例えばグルタチ
オン、トコフェロール、アスコルビン酸塩、およびバイオフラボノイドの添加に
より、並びにリボースによる該ヘキソース一燐酸経路の刺激によって達成するこ
とができる。イオン分布は、特定のイオンポンプを活性化または阻害することに
よって調節することができる。カルシウムは、ニフェジピンまたはベラパミルに
よって調節でき、一方アミロライドは、上記のようにナトリウムの調節を行うで
あろう。更に、カリウムおよび塩素イオン分布は、ブメタニドによる、K+/Cl-
輸送体の阻害によって維持できる。
【0020】 該シクロオキシゲナーセおよびリポキシゲナーセ経路は、フルルビプロフェン
、ジピリダモール、またはアスピリンの添加により調節でき、一方ホスホリル化現
象は、キナーゼ阻害剤、例えばH7(1-[5-イソキノリニルスルフォニル]-2-メチルピ
ペラジン)、スタウロスポリン、またはケレリスリン(chelerythrine)による阻害
によって扱うことができ、またジアシルグリセロールパルミトイルカルニチンに
より刺激できる。膜の安定化および流動性は、ペントキシフィリン、ニコチンア
ミドまたはアマンタジンによって調節され、および細胞骨格構造は、タキソールの
利用によるアクチンの安定化、またはポリアミンによるサイトカラシンまたはス
ペクトリン安定化によって維持できる。特異的環状ヌクレオチド調節第二メッセ
ンジャー経路は、アデノシン(c-AMPを高める)およびナトリウムニトロプルシドま
たは他の一酸化窒素ドナー(c-GMPを高める)の使用により活性化できる。生化学
試薬は、該凍結/解凍サイクル中の、該赤血球の溶血を防止するような濃度で存在
する。
【0021】
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の該生化学的安定化は、特異的エフェクタの適用に基いており、該エフェ
クタは細胞生化学の特定の特徴、局面を標的として、細胞を特定の損傷モードに
対して防御する。本発明の低温保存法は、生化学試薬と低濃度の輸注可能な低温
保護剤とを組み合わせることにより、該保存された細胞が、解凍後に直接輸注でき
るというものである。この生化学的安定化は、代謝、イオン、細胞骨格および膜
成分の調節を含み、この調節は、該処理された赤血球を、-10℃〜-193℃なる範囲内
の温度での、凍結および解凍中に誘発される損傷を受け難くする。 一つの態様において、特異的なエフェクタはニフェジピン、サイトカラシンB、
タキソール、ペントキシフィリン、フルルビプロフェン、ニケタミド、リボース、
およびトレハロースである。これら変更剤は、該包装された赤血球および該保存
溶液に添加される。該変更剤各々は、種々の特異的な細胞性生化学物質に影響を
与える。本発明の一局面においては、カルシウムカスケードを介して作用する阻
害剤であるニフェジピンは、カルシウムを調節し、一方サイトカラシンBおよびタ
キソールは細胞骨格変更剤であり、かつアクチン安定化を通して該細胞に安定化
をもたらす。本発明のもう一つの態様においては、膜の安定化および流動性は、膜
変更剤であるペントキシフィリンにより調節できる。リボースを添加して、該ヘ
キソース一燐酸経路を刺激することにより、該細胞に対する酸化性の損傷を防止
する。
【0022】 第二のメッセンジャーエフェクタは、単独でまたは他の物質との組み合わせで
、該赤血球に生化学的な安定性を与えることが明らかにされた。より重要なこと
に、これら試薬の添加は、生化学的に変調して、より低いグリセロール濃度におけ
る、低温保護性を高めることを可能とする。この低いグリセロール濃度は、通常
ほぼ100%に近い該解糖/凍結および洗浄サイクルにおける、該赤血球の不十分な
保護をもたらす。該第二メッセンジャー経路のエフェクタとしての利用性が示さ
れた化学物質を説明するに際して、機能的に等価な物質とともに記載された実際
の化学物質は、本発明の範囲内にあるものと理解すべきである。本出願人にとっ
て、既知でありもしくは変更剤としての利用性が立証されたものである化学物質
は、本明細書に具体的に記載されている。しかし、本特許出願の範囲は、その他の
機能的に有効な化学物質、即ち既存の化学物質および未だ発見されていない化学
物質両者にまで拡張されるものとする。
【0023】 該第二のメッセンジャー経路を通して作用する該変更剤に関連して、機能的に
等価な物質であると考えられる幾つかの化学物質は、環状-アデノシン一燐酸(c-A
MP)、環状-グアニン一燐酸(c-GMP)、細胞内カルシウム、イノシトール三燐酸およ
びジアシルグリセロールから選択されるものである。該環状ヌクレオチド調節第
二メッセンジャー経路を介して作用する、機能的に等価な変更剤は、アデノシン
、ナトリウムニトロプルシド、およびその他の一酸化窒素ドナーから選択される
ものである。ATPの細胞内濃度の変更剤と機能的に等価なものであると考えられ
る物質は、グルコース、ピルベート、および無機リン酸塩、並びにATP-枯渇ATPase
、例えばアミロライドから選択されるものである。該膜またはヘモグロビンに対
する酸化性損傷の防止は、機能的に等価な酸化防止剤、例えばグルタチオン、トコ
フェロール、アスコルビン酸塩およびバイオフラボノイドの添加により、並びに
リボースによる該ヘキソース一燐酸経路の刺激により達成できる。
【0024】 イオン分布は、特異的イオンポンプの活性化または阻害により調節できる。機
能的に等価なカルシウムの変更剤は、ニフェジピンまたはベラパミルから選択す
ることができ、一方アミロライドは上記のようにナトリウムの調節を行うであろ
う。更に、カリウムおよび塩素イオン分布は、ブメタニドによる、K+/Cl-共輸送体
の阻害によって維持できる。該シクロオキシゲナーセおよびリポキシゲナーセ経
路は、フルルビプロフェン、ジピリダモール、またはアスピリンの、機能的に等価
な変更剤の添加により調節でき、一方ホスホリル化現象は、キナーゼ阻害剤、例え
ばH7(1-[5-イソキノリニルスルフォニル]-2-メチルピペラジン)、スタウロスポ
リン、またはケレリスリンによる阻害を通して扱うことができ、また同様に機能
的に等価な試薬である、ジアシルグリセロールパルミトイルカルニチンにより刺
激できる。膜の安定化および流動性の機能的に等価な調節剤である試薬は、ペン
トキシフィリン、ニコチンアミドまたはアマンタジンであり、一方アクチンの安
定化により細胞骨格構造を調節するための試薬は、タキソールまたはサイトカラ
シンであり、またスペクトリン安定化用の試薬は、ポリアミンである。特異的環
状ヌクレオチド調節第二メッセンジャー経路は、機能的に等価なアデノシン(c-AM
Pを高める)およびナトリウムニトロプルシドまたは他の一酸化窒素ドナー(c-GMP
を高める)の使用により活性化できる。
【0025】 低温保存後の赤血球の、解凍後の寿命は、該赤血球を本発明の生化学試薬とと
もに、-80℃にて保存することにより首尾よく延長することができる。赤血球を3
-7日間、-80℃のフリーザーで保存し、かつ水浴中で37度にて解凍し、グリセロ-ル
濃度のみにて保存した赤血球と比較して、保存後の溶血について分析したところ
、溶血の割合は以下の通りであった:ニフェジピンについては14.36%、タキソー
ルおよびサイトカラシンBについては15.01%、ニフェジピン、ペントキシフィリ
ン、およびフルルビプロフェンについては11.46%、およびニフェジピン、サイト
カラシンおよびタキソールについては11.66%であった。通常、殆ど100%の赤血球
が、該凍結/解凍および洗浄サイクル中に、不十分に保護されると言う結果をも
たらす、グリセロール濃度にて保存した赤血球に比して、これらの結果は低温保護
性が著しく高められたことを示した。
【0026】 この実験を行うために、包装されたADSOL中の赤血球単位を、標準的な血液備蓄
プロトコールを利用して得た。該ADSOLを、遠心分離によって除去し、該所定の低
温保護剤と生化学試薬とを含む保存溶液の一定体積を、添加した。使用した低温
保護剤の最終的な濃度は、7.5%デキストラン、2%ポリビニルピロリドン、5%ヒドロ
キシエチル澱粉、および生化学試薬担体としての2.5%ジメチルスルフォキシドで
あった。使用した試薬は、500μMのニフェジピン、20μMのサイトカラシンB、500
μMのタキソール、5mMのペントキシフィリンおよび25μg/mlのフルルビプロフェ
ンを含んでいた。該ADSOLを除去し、かつ該保存溶液を添加した後、50mlの赤血球
を最大体積150mlの凍結バッグに入れた。等体積の赤血球を各バッグに添加した
。これらバッグを凍結し、-80℃にて2-7日間保存し、37度の水浴に10分間沈めるこ
とによって解凍した。解凍による溶血の程度を、遊離ヘモグロビン対全ヘモグロ
ビンの比として、決定した。この生化学試薬混合物は、保存後に直接輸注できる。
【0027】 赤血球を-10℃〜-193℃にて保存するためには、低温保護剤、例えばジメチルス
ルフォキシド(DMSO)を添加する必要がある。低温保護剤、例えばDMSOは、極性分
子であり、該細胞膜を透過し、該低温保存過程中の細胞の生存製を保持するように
機能する。DMSOに加えて、本発明で使用するその他の低温保護剤は、ポリビニルピ
ロリドン、デキストラン、マルトデキストリン、2,3-ブタンジオール、ヒドロキシ
エチル澱粉、ポリエチレングリコール、グルコース、およびこれらの組み合わせ
を含む。該細胞を透過しない幾つかの水溶性分子を用いた上首尾の低温保存が報
告されているが、その成功の正確なメカニズムは、未だ知られていない。この現象
は、該ポリマーが、正に透過した低温保護剤により行われているように、凍結温度
以下において細胞外の塩濃度を低下することにより、細胞を保護しており、あるい
は該ポリマーが、細胞に吸着され、かつ結果として何らかの様式で該膜を保護し
ている、ことを示すものと考えられている。また、凍結中に該細胞の内側から外
側への電解質の勾配が発生し、結果として電解質の漏れを生じ、これが浸透性の
応力を緩和するものと考えられている。これら低温保護剤は、単独で、または透過
性および/または不透過性の化合物を、輸注可能な濃度で補充した混合物として使
用して、該凍結/解凍サイクルにおける氷結晶の形成による損傷から、該赤血球を
保護することができる。
【0028】 例えば、以下のような解凍による溶血の割合を比較することにより、輸注可能な
濃度での、低温保護剤の組み合わせが、単一の低温保護剤を使用した場合と比較
して、高い溶血からの保護を可能とすることを示すことができる:7.5%デキスト
ラン、11.19%の溶血;2%ポリビニルピロリドン、47.39%の溶血;5%ヒドロキシエ
チル澱粉、43.17%の溶血;7.5%デキストラン+2%ポリビニルピロリドン、6.42%の
溶血;7.5%デキストラン+5%ヒドロキシエチル澱粉、8.56%の溶血;2%ポリビニル
ピロリドン+5%ヒドロキシエチル澱粉、23.46%の溶血;および最後に7.5%デキス
トラン+2%ポリビニルピロリドン+5%ヒドロキシエチル澱粉、4.44%の溶血。
【0029】 本発明の赤血球保存組成物は、保存組成物、赤血球の組成物、および生化学試薬
の組成物を含み、これら試薬は、該凍結/解凍サイクル中の該赤血球の溶血を防止
する濃度および同様な条件であるが、該生化学試薬を含まない条件下で保存され
た赤血球と比較した場合に、そのインビトロ官能性活性を増大する濃度で存在す
る。本明細書および特許請求の範囲において使用する用語「保存組成物」とは、
赤血球を懸濁することができ、かつ個々に記載する組成物、例えば生理塩水の保
存能力に悪影響を与えない、生理学的に不活性な流体を意味する。生化学的安定
化は、代謝成分、酸化防止剤の能力、細胞内イオン分布、膜の流動性および細胞
骨格構造の保全性の維持を目的とするものであり得る。また、特異的な第二メッ
センジャー経路、例えば上記のシクロオキシゲナーゼ、リポキシゲナーゼ、ヘキ
ソース一燐酸およびホスホリル化経路は、生化学試薬によって直接または環状-
アデノシン一燐酸(c-AMP)、環状-グアニン一燐酸(c-GMP)、細胞内カルシウム、
イノシトール三燐酸およびジアシルグリセロールを含む、特異的メッセンジャー
分子の調節を介して間接的に操作できる。
【0030】 好ましい一態様においては、該第二のメッセンジャー経路を介して作用する変
更剤は、環状-アデノシン一燐酸(c-AMP)、環状-グアニン一燐酸(c-GMP)、細胞内
カルシウム、イノシトール三燐酸およびジアシルグリセロールから選択される。A
TPの細胞内濃度を維持しまたは該濃度を高めるために添加できる薬剤は、グルコ
ース、ピルベート、および無機リン酸塩、並びにATP-枯渇ATPaseの遮断、例えばN
a+/H+交換剤のアミロライド阻害から選択される。該膜またはヘモグロビンに対
する酸化性損傷の防止は、酸化防止剤、例えばグルタチオン、トコフェロール、ア
スコルビン酸塩およびバイオフラボノイドの添加により、並びにリボースによる
該ヘキソース一燐酸経路の刺激により達成できる。イオン分布は、特異的イオン
ポンプの活性化または阻害により調節できる。機能的に等価なカルシウムは、ニ
フェジピンまたはベラパミルにより調節でき、一方アミロライドは上記のように
ナトリウムの調節を行うであろう。
【0031】 更に、カリウムおよび塩素イオン分布は、ブメタニドによる、K+/Cl-共輸送体の阻
害によって維持できる。該シクロオキシゲナーセおよびリポキシゲナーセ経路は
、フルルビプロフェン、ジピリダモール、またはアスピリンの添加により調節でき
、一方ホスホリル化現象は、キナーゼ阻害剤、例えばH7(1-[5-イソキノリニルスル
フォニル]-2-メチルピペラジン)、スタウロスポリン、またはケレリスリンによ
る阻害を通して扱うことができ、またジアシルグリセロールパルミトイルカルニ
チンにより刺激できる。膜の安定化および流動性は、ペントキシフィリン、ニコ
チンアミドまたはアマンタジンの添加により調節され、一方細胞骨格構造は、タキ
ソールまたはサイトカラシンを使用するアクチンの安定化、またはポリアミンに
よるスペクトリンの安定化により維持できる。特異的環状ヌクレオチド調節第二
メッセンジャー経路は、アデノシン(c-AMPを高める)およびナトリウムニトロプル
シドまたは他の一酸化窒素ドナー(c-GMPを高める)の使用により活性化できる。
【0032】 もう一つの好ましい態様において、該生化学試薬は、約500μMのニフェジピン、
約20μMのサイトカラシンB、約500μMのタキソール、約5mMのペントキシフィリ
ン、および約25μg/mlのフルルビプロフェンである。本態様の赤血球保存組成物
は、更に低温保護剤を含むことができ、この低温保護剤は、ジメチルスルフォキシ
ド、ポリビニルピロリドン、デキストランマルトデキストリン、2,3-ブタンジオ
ールヒドロキシエチル澱粉、ポリエチレングリコール、グルコースおよびこれら
の組み合わせから選択することができる。好ましくは、この低温保護剤は、約7.5
%のデキストラン、約2%のポリビニルピロリドン、約2.5%のジメチルスルフォキ
シド、約5%のヒドロキシエチル澱粉および約5%のポリエチレングリコールである
。赤血球の長期保存は、該赤血球の正常な生理的温度以下の温度にて実施すべき
である。一態様において、この温度は、約-10℃〜約-193℃である。もう一つの態
様において、この赤血球の正常な生理的温度以下の温度は、約-80℃である。
【0033】 以下の実施例は、生化学的安定化が、-10℃未満の温度にて、赤血球の保存を保
証する能力を立証するものである。グリセロールを主成分とするおよび輸注可能
なポリマーを主成分とする低温保護溶液両者について説明する。 これら実施例は、本発明の好ましい態様を立証するためにここに与えられる。
以下の実施例に記載される技術が、本発明を実施する上で十分に機能するように
、本発明者によって見出された技術を代表するものであること、従って本発明を
実施するための好ましい態様を構成するものであり得ることを、当業者は理解す
べきである。しかし、当業者は、本明細書の開示事項に照らして、ここに開示さ
れた特定の態様に多くの変更を加えることが可能であり、また本発明の概念並び
に範囲を逸脱せずに、依然として、同様なもしくは類似する結果を与えることを
理解すべきである。
【0034】実施例1 以下の実施例は、グリコール濃度を減じた場合に、凍結/解凍サイクル中に誘発
される損傷を明らかにするものである。かなりの割合の溶血損傷が、アデニン、
グルタミン、塩化ナトリウム、マニトールおよびデキストロースを含み、必須の
添加剤がデキストロースであり、担体としてのDMSO中の最終的濃度が、ペントキ
シフィリン5mMおよびフルルビプロフェン25μg/mlである、保存溶液の添加によ
って保存されることが示される。 具体的には、50mlの包装された赤血球を、最大容積150mlのPVC凍結バッグに添
加した。付随的な生化学試薬としてのペントキシフィリンおよびフルルビプロフ
ェンを含む、等張性の塩水または保存溶液を、この赤血球と混合した。一定体積
のグリセロライト(Glycerolyte)57(Fenwall)を、グリセロールの該最終濃度が達
成されるまで、徐々に添加した。全ての添加剤の全体積を50mlとし、該赤血球単
位の最終濃度を100mlとした。該PVCバッグを-80℃にて2-7日間凍結し、かつ37℃
の水浴に10分間浸漬することにより解凍した。解凍による溶血の程度は、遊離ヘ
モグロビン対全ヘモグロビンの比として決定した。解凍による溶血の程度を以下
の表1に示す。
【0035】
【表1】 表1:解凍による溶血の程度
【0036】 これらの結果は、減じられたグリセロール濃度における赤血球保護特性の喪失
および生化学試薬が、単独では低温保存中の赤血球を完全に保護できないグリセ
ロール濃度において、低温保護特性を示すことを明らかにしている。実施例2 以下の実施例は、赤血球を凍結し、-80℃にて保存した後の、グリセロール濃度
を減じた場合の、凍結/解凍サイクル中に誘発される損傷を、更に明らかにする
ものである。50mlの包装された赤血球を、PVC凍結バッグに添加した。対象とす
る付随的な生化学試薬を含む、等張性塩水または保存溶液を、該赤血球と混合し
た。これらサンプルを、-80℃にて凍結する前に、以下のように処理した。 1. 40%グリセロール 2. 20%グリセロール 3. ニコチンアミド 4. ニケタミド、ニフェジピン 5. ニケタミド、ニフェジピン、ペントキシフィリン、フルルビプロフェ
ン 6. ニコチンアミド、ニケタミド、ニフェジピン、ペントキシフィリン、フ
ルルビプロフェン
【0037】 一定体積のグリセロライト(Glycerolyte)57(Fenwall)を、グリセロールの該最
終濃度が達成されるまで、徐々に添加した。全ての添加剤の全体積を50mlとし、
該赤血球単位の最終濃度を100mlとした。該PVCバッグを-80℃にて2-7日間凍結し
、かつ37℃の水浴に10分間浸漬することにより解凍した。解凍による溶血の程度
は、遊離ヘモグロビン対全ヘモグロビンの比として決定した。更に、該グリセロー
ルを、血液銀行のプロトコールに類似する塩水で周期的に希釈することによって
、解凍した赤血球から除去した。全体としての溶血および最終的に残留する遊離
ヘモグロビン濃度を測定した。 以下の表2では、40%グリセロール〜20%グリセロールと、20%グリセロール+指
示された添加剤との比較を示す。使用した添加剤は、ニコチンアミド、ニケタミ
ド、ニフェジピン、ペントキシフィリンおよびフルルビプロフェンを含んでいた
。全ての20%グリセロール+指示された添加剤に関する結果は、該全体としての溶
血および残留遊離ヘモグロビン濃度に基く、輸注可能な血液単位に関する基準を
満たす。これらの結果は、減じられたグリセロール濃度における赤血球保護特性
の喪失および生化学試薬が、単独では低温保存中の赤血球を完全に保護できない
グリセロール濃度において、低温保護特性を示すことを明らかにしている。
【0038】
【表2】 表2:グリセロールを主成分とする低温保護剤による生化学的安定化
【0039】実施例3 以下の実施例は、生化学試薬の添加による、低温保存中の損傷に対する保護能
力を立証するものである。使用したモデルは、低濃度のグリセロール低温保存系
である。10%(w/v)のグリセロールを、該赤血球単位を-80℃にて凍結する前に、該
単位に添加する。かなりの程度の溶血が起こり、従ってこの添加された試薬によ
る保護は、消失する可能性がある。 包装された、ADSOL中の赤血球1単位を、標準的な血液備蓄プロトコールを利用
して得た。このADSOLを遠心分離によって除去し、一定体積の保存溶液を、得られ
るヘマトクリット値が、約50%となるまで添加した。この赤血球単位から、その50
mlを、最大体積150mlを有する3個のPVC凍結バッグ各々に入れた。上記の保存溶
液で構成されかつ上記実験条件下にある等体積(50ml)の該保存溶液を、該バッグ
各々に添加した。第一のバッグの最終的な組成は、10%(w/v)グリセロールであっ
た。第二のバッグの組成は、10%(w/v)グリセロール、および2.5%DMSOおよび500
μMのニフェジピンであった。これらバッグを-80℃にて2-7日間凍結し、かつ37℃
の水浴に10分間浸漬することにより解凍した。解凍による溶血の程度は、遊離ヘ
モグロビン対全ヘモグロビンの比として決定した。更に、該グリセロールを、血
液銀行のプロトコールに類似する塩水で周期的に希釈することによって、該解凍
した赤血球から除去した。全体としての溶血をも測定した。得られた結果を、以
下の表3に示す。
【0040】
【表3】 表3:全体としての溶血
【0041】 本実施例は、更に、通常ほぼ100%の赤血球が、該凍結/解凍サイクル中に不十分
に保護される結果をもたらす、グリセロール濃度における、低温保護を増強する
、生化学的調節の能力を立証している。実施例4 本実施例は、生化学的安定化が、グリセロールを主成分とする低温保護剤との協
働により、赤血球の低温保存能力を増強する可能性を立証する。血液のアリコー
トをPVC保存バッグに移した。該バッグにはあらゆる実験試薬が添加されている
。次いで、グリセロールを、その最終濃度が達成されるまで添加した。この単位を
-80℃にて凍結し、保存し、37℃の水浴中で10分間解凍した。該グリセロールを、周
期的な希釈および12%、1.6%および0.9%の塩水と共に、残留ヘモグロビンが全ヘ
モグロビン含量の2%未満となるまで遠心分離することによって除去した。 以下の表4は、これら所定の手順に従って得た結果を示す。この表の値は、該解
凍したサンプル中の溶血の程度(%)、洗浄後の溶血の全量および該最終的なサン
プル中の残留遊離ヘモグロビンの割合を示す。溶血の程度は、遊離ヘモグロビン
対該サンプル中の全ヘモグロビン含量の比として計算する。
【0042】
【表4】 表4:グリセロールを主成分とする低温保護剤による生物医学的安定化
【0043】実施例5 以下に記載する実施例は、非-低温保護剤を使用した生化学的安定化が、主低温
保護剤として別のポリマー試薬を使用し、赤血球を凍結状態におき、次いで-80℃
にて保存した場合に、溶血の程度を減じることを立証する。一定体積の包装され
た赤血球を、等体積の、該所定の低温保護剤および追加の生化学試薬を含む保存
溶液と混合する。使用した低温保護剤の最終的な濃度は、デキストラン(Dex: 40,
000MW)7.5%およびポリビニルピロリドン(PVP: 40,000MW)2%であった。低温保護
剤を含むこれら赤血球サンプルを、3分間液体窒素中に浸漬して、凍結し、即座に-8
0℃のフリーザーに移し、長期間保存した。3-7日間の保存後に、これらサンプル
を37℃にて水浴中で解凍し、解凍による溶血の程度を、遊離ヘモグロビン対全ヘモ
グロビンに比として決定した。更に、該グリセロールを、血液銀行のプロトコー
ルに類似する塩水で周期的に希釈することによって、解凍した赤血球から除去し
た。全体としての溶血および最終的に残留する遊離ヘモグロビン濃度を測定した
【0044】 以下の表5は、ポリマーを主成分とする低温保護剤による生化学的安定化およ
び得られた%溶血を示す。全てのサンプルは、-80℃での保存前に、7.5%のDexおよ
び2%のPVP、生化学的担体としての2.5%のジメチルスルフォキシドを、以下のよ
うな指定された添加剤以外に含んでいた。 1. DMSO 2. ニフェジピン 3. サイトカラシン、タキソール 4. ニフェジピン、ペントキシフィリン、フルルビプロフェン 5. ニフェジピン、サイトカラシン、タキソール 使用した試薬は、幾つかの組み合わせで、500μMのニフェジピン、20μMのサイ
トカラシンB、500μMのタキソール、5mMのペントキシフィリンおよび25mg/mlの
フルルビプロフェンを含む。 本実施例は、更に通常ほぼ100%の赤血球が、該凍結/解凍および洗浄サイクル中
に不十分に保護される結果をもたらす、グリセロール濃度における、低温保護を
増強する生化学的調節の能力を立証する。
【0045】
【表5】 表5:ポリマーを主成分とする低温保護剤による生化学的安定化
【0046】実施例6 以下の実施例では、赤血球を凍結状態にし、-80℃にて保存した後の、輸注と同様
な、生化学的安定化および解凍後の溶血傷害を測定する実験を説明する。この型
の保存傷害は、一般的には扱われていないが、多くのグリセロールを主成分としな
い低温保護溶液について観測される。一定体積の包装された赤血球を、等体積の
、該所定の低温保護剤および追加の生化学試薬を含む保存溶液と混合する。7.5%
のデキストラン(Dex: 40,000MW)、2%のポリビニルピロリドン(PVP: 40,000MW)、
5%のヒドロキシエチル澱粉(HES)、および5%のポリエチレングリコール(PEG)を含
む低温保護添加剤溶液を使用して、低温保護剤を含むこれら赤血球サンプルを、3
分間液体窒素に浸漬して凍結し、即座に-80℃のフリーザーに移し、長期保存した
。保存後に、解凍したサンプルを2つのアリコートに分割した。その第一のアリ
コートを、即座に分析し、また残りのアリコートを、分析前に4℃にて3時間インキ
ュベートした。これら分析された終点は、該解凍サンプル中の溶血および2種の異
なる希釈溶液、即ちPBSまたはイソタイプ血漿の何れかで1:1希釈した際に起こる
付随的な溶血を含んでいた。
【0047】 以下の表6には、解凍後の該赤血球の安定性が示され、該解凍溶血値および4℃
でのインキュベートの有利な作用が、希釈により誘発された溶血値に見られる。
これら生化学的添加剤は、該解凍後の細胞を安定化し、かつ希釈による溶血を減
じることによって、この効果を立証するために使用された。かくして、低温保存
中の該赤血球の損傷は、ここでは部分的に自己可変性(self-reversible)であり、
かつ生化学物質の添加によって防止もしくは修正可能であることが示された。処
理条件は、以下の通りであった: 1. CPAのみ 2. CPA+50mMリボース 3. CPA+50mMリボース、50mMトレハロース、500μMニフェジピン、5mMペ
ントキシフィリン、50μg/mlフルルビプロフェン
【0048】
【表6】 表6:解凍後の溶血に対する生化学的安定化
【0049】実施例7 以下の実施例は、低い輸注可能な濃度での、組み合わせとして作用する別の低温
保護剤の、凍結/解凍により誘発される溶血に対する保護能力を立証する。 ADSOLを含む、単一の包装された赤血球単位を、標準的な血液備蓄プロトコー
ルを利用して、調製した。このADSOLは遠心分離により除去し、かつ一定体積の保
存溶液を添加した。一定体積の生成した赤血球単位を、該所定の低温保護剤を含
む等体積の保存溶液と混合した。使用した低温保護剤の最終濃度は、デキストラ
ン(Dex: 40,000MW) 7.5%、ポリビニルピロリドン(PVP: 40,000MW) 2%およびヒド
ロキシエチル澱粉(HES) 5%であった。低温保護剤を含むこれら赤血球サンプルを
液体窒素中に3分間浸漬して、凍結しまた即座に-80℃のフリーザーに移して、長期
保存した。3-7日間の保存後、該サンプルを37℃にて水浴中で解凍し、上記のよう
に、解凍による溶血のレベルを、遊離ヘモグロビン対全ヘモグロビンの比として
決定した。これら解凍による溶血の程度を、以下の表7に示す。
【0050】
【表7】 表7:解凍による溶血のレベル
【0051】 本実施例は、正確に低い輸注可能な濃度の低温保護剤が、任意の低温保護剤を単
独で使用した場合と比較して、低温保存中のより良好な保護を行うべく、組み合
わせで作用できることを明らかにしている。 上記開示に照らして、当分野の当業者は、本発明の1例示的態様が赤血球保存
組成物を含み、該組成物が、赤血球組成物および生化学的変更剤を含み、該生化
学的変更剤が、該凍結/解凍サイクル中の該赤血球の溶血割合を、該生化学的変更
剤の不在下における赤血球の溶血割合以下に減じる濃度にて存在する理解すべき
である。好ましくは、本発明の例示的態様の該変更剤は、解糖/代謝成分の変更剤
、酸化防止能力の変更剤、細胞内イオン分布のエフェクタ、膜流動性の変更剤、細
胞骨格構造の変更剤、シクロオキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェク
タ、リポキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタ、ヘキソース一燐酸
第二メッセンジャー経路のエフェクタ、ホスホリル化第二メッセンジャー経路の
エフェクタ、環状ヌクレオチド制御第二メッセンジャー経路の変更剤、およびこ
れらの組み合わせから選択される。
【0052】 より好ましくは、本発明の例示的態様の該変更剤は、以下のように選択される:該
解糖/代謝成分の変更剤は、グルコース、ピルベート、無機リン酸塩、アデノシ
ン三燐酸等の解糖経路の生成物、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、およ
び解糖阻害剤、例えばヨード酢酸、ロテノン、およびカルボニルシアナミドp-(
トリフルオロメトキシ)-フェニルヒドラジンから選択され;該酸化防止能の変更
剤は、グルタチオン、トコフェロール、アスコルベート、α-トコフェロール、
マニトール、バイオフラボノイド、およびルチン、クエルセチン、およびカーク
ミンを包含するバイオフラボノイドの誘導体から選択され;該第二のメッセンジ
ャー経路を介して作用する、該細胞内イオン分布のエフェクタが、ニフェジピン
、ニソルジピン、ベンザミル、グリベンクラミドジルチアゼム、クロトリミゾー
ル、テトラメチルアンモニウムジフェニルヒダントイン、ジイソチオシアナトス
チルベン-2,2'-ジスルフォン酸、ベラパミル、アミロライド、ブメタニド、N-(6
-アミノヘキシル)-5-クロロ-1-ナフタレンスルフォンアミドおよびこれらの誘導
体から選択され;
【0053】 該膜流動性の変更剤は、ペントキシフィリン、ニコチンアミド、アマンタジン、
カルニチン、パルミトイルカルニチン、スフィンゴシン、ジエチルニコチンアミ
ド、(ニケタミド)、ニコチン酸、トレハロース、バリノマイシン、プロカイン、
テトラカイン、リマンタジン、プロパノロール、およびロイペプチン等のプロテ
アーゼ阻害剤から選択され;該細胞骨格構造の変更剤が、TAXOL、サイトカラシ
ン、パクリタキセル、オカダ酸およびポリアミン、例えばスペルミン、スペルミ
ジンまたはプトレシンから選択され;該シクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲ
ナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタが、フルルビプロフェン、ジピリダ
モール、サリチル酸、およびインドメタシンから選択され;該ヘキソース一燐酸
第二メッセンジャー経路のエフェクタが、リボースまたはピルベートから選択さ
れ;該ホスホリル化第二メッセンジャー経路のエフェクタが、H7(1-[5-イソキノ
リニルスルフォニル]-2-メチルピペラジン)、スタウロスポリン、ケレリスリン
、およびジアシルグリセロールパルミトイルカルニチンから選択され;および該
環状ヌクレオチド制御第二メッセンジャー経路の変更剤は、アデノシン、ナトリ
ウムニトロプルシド、ジブチルAMP、ジブチルGMPから選択される。
【0054】 この例示的組成物は、また該生化学的変更剤を、1種以上の低温保護剤と組み合
わせるように処方することも可能である。好ましい1態様では、該低温保護剤は
、永続的低温保護剤であり得、該永続的低温保護剤は、好ましくはグリセロール、
ジメチルスルフォキシド、2,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プ
ロパンジオール、ポリプロピレングリコール、N,N-ジメチルアセタミド、および
1,3,5-トリメチルペンタントリオール並びにこれらの組み合わせから選択するこ
とができる。あるいはまた、該組成物は、該低温保護剤が非-永久的低温保護剤で
あるように処方することもでき、該非-永久的低温保護剤は、好ましくはヒドロキ
シエチル澱粉、デキストラン、ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリエチ
レングリコールおよびこれらの組み合わせから選択される。1種以上の永久的低
温保護剤と1種以上の非-永久的低温保護剤との組み合わせを、本発明の処方物に
おいて使用することも可能である。該処方物が非-永久的低温保護剤を含む場合、
該非-永久的低温保護剤は、少なくとも約5,000MWなる分子量を持つことが好まし
い。
【0055】 本発明のもう一つの例示的な態様は、ヒト赤血球組成物を含み、該組成物は、赤
血球、保存組成物、および試薬組成物を含み、ここで該試薬組成物は、代謝成分
の変更剤、酸化防止能力の変更剤、細胞内イオン分布のエフェクタ、膜流動性の変
更剤、細胞骨格構造の変更剤、シクロオキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路の
エフェクタ、リポキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタ、ヘキソー
ス一燐酸第二メッセンジャー経路のエフェクタ、ホスホリル化第二メッセンジャ
ー経路のエフェクタ、環状ヌクレオチド制御第二メッセンジャー経路の変更剤、
およびこれらの組み合わせから選択される。
【0056】 このような例示的組成物においては、該解糖/代謝成分の変更剤は、グルコース
、ピルベート、無機リン酸塩、アデノシン三燐酸等の解糖経路の生成物、ニコチ
ンアミドアデニンジヌクレオチド、および解糖阻害剤、例えばヨード酢酸、ロテ
ノン、およびカルボニルシアナミドp-(トリフルオロメトキシ)-フェニルヒドラ
ジンから選択され;該酸化防止能の変更剤は、グルタチオン、トコフェロール、
アスコルベート、α-トコフェロール、マニトール、バイオフラボノイド、およ
びルチン、クエルセチン、およびカークミンを包含するバイオフラボノイドの誘
導体から選択され;該第二のメッセンジャー経路を介して作用する、該細胞内イ
オン分布のエフェクタが、ニフェジピン、ニソルジピン、ベンザミル、グリベン
クラミドジルチアゼム、クロトリミゾール、テトラメチルアンモニウムジフェニ
ルヒダントイン、ジイソチオシアナトスチルベン-2,2'-ジスルフォン酸、ベラパ
ミル、アミロライド、ブメタニド、N-(6-アミノヘキシル)-5-クロロ-1-ナフタレ
ンスルフォンアミドおよびこれらの誘導体から選択され;
【0057】 該膜流動性の変更剤は、ペントキシフィリン、ニコチンアミド、アマンタジン、
カルニチン、パルミトイルカルニチン、スフィンゴシン、ジエチルニコチンアミ
ド、(ニケタミド)、ニコチン酸、トレハロース、バリノマイシン、プロカイン、
テトラカイン、リマンタジン、プロパノロール、およびロイペプチン等のプロテ
アーゼ阻害剤から選択され;該細胞骨格構造の変更剤が、TAXOL、サイトカラシ
ン、パクリタキセル、オカダ酸およびポリアミン、例えばスペルミン、スペルミ
ジンまたはプトレシンから選択され;該シクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲ
ナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタが、フルルビプロフェン、ジピリダ
モール、サリチル酸、およびインドメタシンから選択され;該ヘキソース一燐酸
第二メッセンジャー経路のエフェクタが、リボースまたはピルベートから選択さ
れ;該ホスホリル化第二メッセンジャー経路のエフェクタが、H7(1-[5-イソキノ
リニルスルフォニル]-2-メチルピペラジン)、スタウロスポリン、ケレリスリン
、およびジアシルグリセロールパルミトイルカルニチンから選択され;および該
環状ヌクレオチド制御第二メッセンジャー経路の変更剤は、アデノシン、ナトリ
ウムニトロプルシド、ジブチルAMP、ジブチルGMPから選択される。
【0058】 この例示的組成物は、また該試薬組成物を、1種以上の低温保護剤と組み合わせ
るように処方することも可能である。このような例示的1態様では、該低温保護
剤は、永続的低温保護剤であり、該永続的低温保護剤は、グリセロール、ジメチル
スルフォキシド、2,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジ
オール、ポリプロピレングリコール、N,N-ジメチルアセタミド、および1,3,5-ト
リメチルペンタントリオール並びにこれらの組み合わせから選択することができ
る。もう一つのこのような例示的な態様では、該低温保護剤は非-永久的低温保
護剤であり、該非-永久的低温保護剤はヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、
ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリエチレングリコールおよびこれらの
組み合わせから選択される。好ましくは、該低温保護溶液は、1種以上の永久的低
温保護剤と1種以上の非-永久的低温保護剤との組み合わせである。該処方物が非
-永久的低温保護剤を含む場合、該非-永久的低温保護剤は、少なくとも約5,000MW
なる分子量を持つことが好ましい。
【0059】 同様に、本発明が、ヒト赤血球を保存する方法をも含むことを理解すべきであり
、該方法は(a) 新鮮なヒト血液から赤血球を単離し、(b)赤血球組成物を形成し、お
よび(c) 該得られた赤血球組成物を、該血球を所定期間にわたり保存するのに有
効な、正常なヒトの生理的温度以下の温度にて保存する、諸工程を含む。好まし
くは、該赤血球組成物は、赤血球、保存組成物および試薬組成物を含むように処方
すべきである。該試薬組成物は、代謝成分の変更剤、酸化防止能力の変更剤、細胞
内イオン分布のエフェクタ、膜流動性の変更剤、細胞骨格構造の変更剤、シクロ
オキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタ、リポキシゲナーゼ第二メ
ッセンジャー経路のエフェクタ、ヘキソース一燐酸第二メッセンジャー経路のエ
フェクタ、ホスホリル化第二メッセンジャー経路のエフェクタ、環状ヌクレオチ
ド制御第二メッセンジャー経路の変更剤、およびこれらの組み合わせから選択さ
れる。本発明の例示的方法を実施するに際して、所定期間該赤血球を保存するの
に有効な正常な生理的温度以下の該温度は、好ましくは約-10℃〜-193℃、および
より好ましくは約-80℃である。
【0060】 本明細書に記載されかつ特許請求された本発明の全ての組成物および方法は、
本発明の開示に照らして、過度の実験を実施することなしに実施できる。本発明
の組成物および方法を、好ましい態様に従って説明してきたが、当業者には、本発
明の概念並びに範囲を逸脱することなしに、ここに記載した組成物および方法並
びに該方法における諸工程および該工程の順序を種々変更できるものと理解すべ
きである。より具体的には、化学的および生理学的に関連する幾つかの試薬は、本
明細書に記載した試薬と交換でき、しかも同一または類似する結果が達成される
であろう。当業者にとって明らかな、あらゆるこの種の同様な置換および変更は
、上記特許請求の範囲に規定した、本発明の概念および範囲に入るものとする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 AE,AL,AM,AT,AU, AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,C N,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB ,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL, IN,IS,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,L C,LK,LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG ,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL,PT, RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK,SL,T J,TM,TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN ,YU,ZA,ZW,AT,BE,CH,CY,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE,BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,GW,ML,MR,NE, SN,TD,TG,GH,GM,KE,LS,MW,S D,SL,SZ,UG,ZW,AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM (72)発明者 コナー ジェローメ アメリカ合衆国 テキサス州 77381 ザ ウッドランズ チネット チェーズ 4 (72)発明者 ワグナー クリストファー トッド アメリカ合衆国 テキサス州 77035 ヒ ューストン ブライアーベンド ロード 4517 Fターム(参考) 4H011 BB04 BB06 BB08 BB17 BB18 CA01 CB07 CD01 CD06

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 赤血球と生化学的変更剤との組成物を含み、該生化学的変更
    剤が、赤血球の凍結-解凍サイクル中に、該赤血球の溶血の割合を、該生化学的変
    更剤の不在下における赤血球の溶血の割合以下に減じる濃度にて存在することを
    特徴とする、赤血球保存組成物。
  2. 【請求項2】 該変更剤が、解糖/代謝成分の変更因子、酸化防止能の変更因
    子、細胞内イオン分布のエフェクタ、膜流動性の変更因子、細胞骨格構造の変更
    因子、シクロオキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタ、リポキシゲ
    ナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタ、ヘキソース一燐酸第二メッセンジ
    ャー経路のエフェクタ、ホスホリル化第二メッセンジャー経路のエフェクタ、環
    状ヌクレオチド制御第二メッセンジャー経路の変更因子、およびこれらの組み合
    わせから選択される、請求項1記載の赤血球保存組成物。
  3. 【請求項3】 該解糖/代謝成分の変更因子が、グルコース、ピルベート、
    無機リン酸塩、アデノシン三燐酸等の解糖経路の生成物、ニコチンアミドアデニ
    ンジヌクレオチド、および解糖阻害剤、例えばヨード酢酸、ロテノン、およびカ
    ルボニルシアナミドp-(トリフルオロメトキシ)-フェニルヒドラジンから選択さ
    れ、 該酸化防止能の変更因子が、グルタチオン、トコフェロール、アスコルベート
    、α-トコフェロール、マニトール、バイオフラボノイド、およびルチン、クエ
    ルセチン、およびカークミンを包含するバイオフラボノイドの誘導体から選択さ
    れ、 該第二のメッセンジャー経路を介して作用する、該細胞内イオン分布のエフェク
    タが、ニフェジピン、ニソルジピン、ベンザミル、グリベンクラミドジルチアゼ
    ム、クロトリミゾール、テトラメチルアンモニウムジフェニルヒダントイン、ジ
    イソチオシアナトスチルベン-2,2'-ジスルフォン酸、ベラパミル、アミロリド、
    ブメタニド、N-(6-アミノヘキシル)-5-クロロ-1-ナフタレンスルフォンアミドお
    よびこれらの誘導体から選択され、 該膜流動性の変更因子が、ペントキシフィリン、ニコチンアミド、アマンタジン
    、カルニチン、パルミトイルカルニチン、スフィンゴシン、ジエチルニコチンア
    ミド、(ニケタミド)、ニコチン酸、トレハロース、バリノマイシン、プロカイン
    、テトラカイン、リマンタジン、プロパノロール、およびロイペプチン等のプロ
    テアーゼ阻害剤から選択され、 該細胞骨格構造の変更因子が、TAXOL、サイトカラシン、パクリタキセル、オカ
    ダ酸およびポリアミン、例えばスペルミン、スペルミジンまたはプトレシンから
    選択され、 該シクロオキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタが、フルルビプロ
    フェン、ジピリダモール、サリチル酸、およびインドメタシンから選択され、 該リポキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタが、フルルビプロフェ
    ン、ジピリダモール、サリチル酸、およびインドメタシンから選択され、 該ヘキソース一燐酸第二メッセンジャー経路のエフェクタが、リボースまたはピ
    ルベートから選択され、 該ホスホリル化第二メッセンジャー経路のエフェクタが、H7(1-[5-イソキノリニ
    ルスルフォニル]-2-メチルピペラジン)、スタウロスポリン、ケレリスリン、お
    よびジアシルグリセロールパルミトイルカルニチンから選択され、および 該環状ヌクレオチド制御第二メッセンジャー経路の変更因子が、アデノシン、ナ
    トリウムニトロプルシド、ジブチルAMP、ジブチルGMPから選択される、請求項2
    記載の赤血球保存組成物。
  4. 【請求項4】 該生化学的変更剤が、1種以上の低温保護剤と組合される、請
    求項2記載の組成物。
  5. 【請求項5】 該低温保護剤が、グリセロール、ジメチルスルフォキシド、2
    ,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリプロ
    ピレングリコール、N,N-ジメチルアセタミド、および1,3,5-トリメチルペンタン
    トリオール、およびこれらの組み合わせから選択される、永久的低温保護剤であ
    る、請求項4記載の組成物。
  6. 【請求項6】 該低温保護剤が、ヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、ポ
    リビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリエチレングリコールおよびこれらの組
    み合わせから選択される、非-永久的低温保護剤である、請求項4記載の組成物。
  7. 【請求項7】 該低温保護溶液が、1種以上の永久的低温保護剤と、1種以上
    の非-永久的保護剤との組み合わせである、請求項4記載の組成物。
  8. 【請求項8】 該非-永久的保護剤が、少なくとも約5,000MWなる分子量を持
    つ、請求項6または7記載の組成物。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の該赤血球保存組成物を、赤血球の処方物と混
    合し、この得られた混合物を、該赤血球の正常な生理的温度以下の温度にて保存
    することを特徴とする、赤血球の長期保存法。
  10. 【請求項10】 該赤血球の正常な生理的温度以下の温度が、約-10℃〜約-
    193℃の範囲内にある、請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 請求項3記載の該赤血球保存組成物を、赤血球の処方物と
    混合し、この得られた混合物を、該赤血球の正常な生理的温度以下の温度にて保
    存することを特徴とする、赤血球の長期保存法。
  12. 【請求項12】 該赤血球の正常な生理的温度以下の温度が、約-80℃であ
    る、請求項9記載の方法。
  13. 【請求項13】 赤血球と、保存組成物と、試薬組成物とを含み、該試薬組成
    物が、代謝成分の変更因子、酸化防止能の変更因子、細胞内イオン分布のエフェ
    クタ、膜流動性の変更因子、細胞骨格構造の変更因子、シクロオキシゲナーゼ第
    二メッセンジャー経路のエフェクタ、リポキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路
    のエフェクタ、ヘキソース一燐酸第二メッセンジャー経路のエフェクタ、ホスホ
    リル化第二メッセンジャー経路のエフェクタ、環状ヌクレオチド制御第二メッセ
    ンジャー経路の変更因子、およびこれらの組み合わせから選択されることを特徴
    とする、ヒト赤血球細胞組成物。
  14. 【請求項14】 該解糖/代謝成分の変更因子が、グルコース、ピルベート
    、無機リン酸塩、アデノシン三燐酸等の解糖経路の生成物、ニコチンアミドアデ
    ニンジヌクレオチド、および解糖阻害剤、例えばヨード酢酸、ロテノン、および
    カルボニルシアナミドp-(トリフルオロメトキシ)-フェニルヒドラジンから選択
    され、 該酸化防止能の変更因子が、グルタチオン、トコフェロール、アスコルベート
    、α-トコフェロール、マニトール、バイオフラボノイド、およびルチン、クエ
    ルセチン、およびカークミンを包含するバイオフラボノイドの誘導体から選択さ
    れ、 該第二のメッセンジャー経路を介して作用する、該細胞内イオン分布のエフェク
    タが、ニフェジピン、ニソルジピン、ベンザミル、グリベンクラミドジルチアゼ
    ム、クロトリミゾール、テトラメチルアンモニウムジフェニルヒダントイン、ジ
    イソチオシアナトスチルベン-2,2'-ジスルフォン酸、ベラパミル、アミロリド、
    ブメタニド、N-(6-アミノヘキシル)-5-クロロ-1-ナフタレンスルフォンアミドお
    よびこれらの誘導体から選択され、 該膜流動性の変更因子が、ペントキシフィリン、ニコチンアミド、アマンタジン
    、カルニチン、パルミトイルカルニチン、スフィンゴシン、ジエチルニコチンア
    ミド、(ニケタミド)、ニコチン酸、トレハロース、バリノマイシン、プロカイン
    、テトラカイン、リマンタジン、プロパノロール、およびロイペプチン等のプロ
    テアーゼ阻害剤から選択され、 該細胞骨格構造の変更因子が、TAXOL、サイトカラシン、パクリタキセル、オカ
    ダ酸およびポリアミン、例えばスペルミン、スペルミジンまたはプトレシンから
    選択され、 該シクロオキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタが、フルルビプロ
    フェン、ジピリダモール、サリチル酸、およびインドメタシンから選択され、 該リポキシゲナーゼ第二メッセンジャー経路のエフェクタが、フルルビプロフェ
    ン、ジピリダモール、サリチル酸、およびインドメタシンから選択され、 該ヘキソース一燐酸第二メッセンジャー経路のエフェクタが、リボースまたはピ
    ルベートから選択され、 該ホスホリル化第二メッセンジャー経路のエフェクタが、H7(1-[5-イソキノリニ
    ルスルフォニル]-2-メチルピペラジン)、スタウロスポリン、ケレリスリン、お
    よびジアシルグリセロールパルミトイルカルニチンから選択され、および 該環状ヌクレオチド制御第二メッセンジャー経路の変更因子が、アデノシン、ナ
    トリウムニトロプルシド、ジブチルAMP、ジブチルGMPから選択される、請求項13
    記載の組成物。
  15. 【請求項15】 該試薬組成物が、1種以上の低温保護剤と組合される、請求
    項13記載の組成物。
  16. 【請求項16】 該低温保護剤が、グリセロール、ジメチルスルフォキシド
    、2,3-ブタンジオール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ポリプ
    ロピレングリコール、N,N-ジメチルアセタミド、および1,3,5-トリメチルペンタ
    ントリオール、およびこれらの組み合わせから選択される、永久的低温保護剤で
    ある、請求項15記載の組成物。
  17. 【請求項17】 該低温保護剤が、ヒドロキシエチル澱粉、デキストラン、
    ポリビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリエチレングリコールおよびこれらの
    組み合わせから選択される、非-永久的低温保護剤である、請求項15記載の組成物
  18. 【請求項18】 該低温保護溶液が、1種以上の永久的低温保護剤と、1種以
    上の非-永久的保護剤との組み合わせである、請求項15記載の組成物。
  19. 【請求項19】 該非-永久的保護剤が、少なくとも5,000 MWなる分子量を
    持つ、請求項15記載の組成物。
  20. 【請求項20】 該ニフェジピンが約500μMなる濃度を有し、該サイトカラ
    シンBが約20μMなる濃度を有し、該タキソールが約500μMなる濃度を有し、該ペン
    トキシフィリンが約5 mMなる濃度を有し、該フルルビプロフェンが約25μg/mlな
    る濃度を有し、該ニケタミドが約(1% v/v)なる濃度を有し、該リボースが約50 mM
    なる濃度を有し、および該トレハロースが約50 mMなる濃度を有する請求項14記載
    の組成物。
  21. 【請求項21】 該生化学的試薬が、インビトロにて、赤血球の正常な生理
    的温度以下の温度にて、約2-7日間該赤血球を保存した場合に、該赤血球が凍結-
    解凍サイクル中に低い溶血性を示し、かつ同一の条件下であるが、該生化学的試薬
    の不在下で保存された赤血球に比して、高いインビトロ官能活性を示す濃度にて
    存在する、請求項14記載の組成物。
  22. 【請求項22】 請求項21記載の組成物中の該赤血球を、該赤血球の正常な
    生理的温度以下の温度にて保存する工程を含むことを特徴とする、赤血球の長期
    保存法。
  23. 【請求項23】 該赤血球の正常な生理的温度以下の温度が、約-10℃〜約-
    193℃の範囲内にある、請求項22記載の方法。
  24. 【請求項24】 該赤血球の正常な生理的温度以下の温度が、約-80℃であ
    る、請求項22記載の方法。
  25. 【請求項25】 ヒト赤血球の保存方法であって、(a) 新鮮なヒト血液から
    赤血球を単離し、(b) 請求項1記載の赤血球組成物を形成し、および(c) 該得られ
    た赤血球組成物を、該血球を所定期間にわたり保存するのに有効な、正常なヒト
    の生理的温度以下の温度にて保存する、諸工程を含むことを特徴とする、上記保
    存方法。
  26. 【請求項26】 該赤血球の正常な生理的温度以下の温度が、約-10℃〜約-
    193℃の範囲内にある、請求項25記載の方法。
  27. 【請求項27】 ヒト赤血球の保存方法であって、(a) 新鮮なヒト血液から
    赤血球を単離し、(b) 請求項13記載の赤血球組成物を形成し、および(c) 該得られ
    た赤血球組成物を、該血球を所定期間にわたり保存するのに有効な、正常なヒト
    の生理的温度以下の温度にて保存する、諸工程を含むことを特徴とする、上記保
    存方法。
  28. 【請求項28】 該赤血球を所定期間にわたり保存するのに有効な、正常な
    ヒトの生理的温度以下の温度が、約-10℃〜-193℃の範囲内にある、請求項27記載
    の方法。
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