JP2002513393A - ジアミノシクロヘキサン白金(▲ii▼)錯体のリポソーム配合を介した送達および活性化 - Google Patents
ジアミノシクロヘキサン白金(▲ii▼)錯体のリポソーム配合を介した送達および活性化Info
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Abstract
(57)【要約】
抗腫瘍組成物、ならびに組成物の調製法および哺乳動物における腫瘍の増殖を阻害するためのそれらの使用法が開示される。本発明は、以下の式(I)を有する白金錯体
(ここで、R1はジアミノシクロアルキルであり、そしてR2およびR3はそれぞれ以下の式を有し、
ここで、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立して1〜約10個の炭素原子を有する炭化水素部分である)の、以下の式を有する錯体へのリポソーム内変換を利用し得る:R1-Pt-X2 (II)ここで、Xはハロゲンである。
Description
【発明の詳細な説明】
ジアミノシクロヘキサン白金(II)錯体のリポソーム配合を介した
送達および活性化
発明の背景
本発明は、癌の処置のための方法および組成物に関する。
特定の腫瘍の処置において有効であることが証明されている薬物の1つにシス
プラチン(cis-ジクロロジアミン-白金(II))がある。しかしながら、シスプラチ
ンはある短所を有する。例えば、いくつかの状況におけるその使用は、患者に対
するその毒性、特にその腎毒性(nephrotoxicity)により制限される。別の例とし
て、腫瘍は時としてシスプラチンに抵抗して発達する。
シスプラチンの短所を克服するための努力として、研究者は効力のある抗腫瘍
剤として種々の他の白金錯体を合成し、そして試験してきた。そのような化合物
の1つにジクロロ(1,2-ジアミノシクロヘキサン)白金(II)(本特許の明細書中「D
ACH-Pt-Cl2」として示される)がある。しかしながら、この化合物は水に対して
非常に低い溶解性しか持たず、そのことがこの化合物の水性溶液での処方および
投与を実行不能にしている。さらに、これまで種々の白金錯体がリポソーム中に
処方されてきているが、DACH-Pt-Cl2のリポソーム性処方物は、錯体がほとんど
の有機溶媒に不溶であるために開発されていない。この錯体はジメチルホルムア
ミドには良く溶解するが、この溶媒は非常に高い沸点を有することから、標準的
なエバポレーション法を使用するDACH-Pt-Cl2のリポソーム性処方物の調製は、
不可能あるいは実行不能になっている。
他の白金ベースの抗腫瘍薬物、例えば、cis-ビス-ネオデカノエート-trans-R,
R-1,2-ジアミノシクロヘキサン白金(II)(NDDP)が、抗腫瘍剤として調製されそし
て試験されてきている。しかしながら、良好な抗腫瘍活性、患者の非腫瘍細胞に
対する低い毒性、および望ましい貯蔵特性を有する改良された抗腫瘍薬物処方物
に対する必要性が依然として存在する。
発明の要旨
本発明は、リポソーム性抗腫瘍組成物および哺乳動物における腫瘍の増殖を阻
害するための組成物の使用法に関する。本発明はまた、抗腫瘍組成物の調製法に
も関わる。
本発明は、以下の式(I)を有する白金錯体
の、以下の式(11)を有する錯体へのリポソーム内変換を利用し得る:
R1-Pt-X2 (II)
ここで、Xはハロゲンである。これにより、今までその水およびほとんどの有機
溶媒に対する低い溶解性により実用的ではなかった、錯体(II)のリポソーム性処
方物の調製が可能になる。
上記の錯体において、R1はジアミノシクロアルキルであり、好ましくは約3
〜約6個の炭素原子を有する1,2-ジアミノシクロアルキルであり、最も好ましく
は1,2-ジアミノシクロヘキサンである。R2およびR3はそれぞれ以下の式を有し
、
ここで、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立して1〜約10個の炭素原子を
有する炭化水素部分であり、好ましくは1〜約6個の炭素原子を有するアルキル
であり、最も好ましくは1〜約3個の炭素原子を有するアルキルである。R2お
よびR3は同じであり得るが、必ずしも同じでなくてもよい。同様に、R4、R5
、およびR6は同じであり得るが、必ずしも同じでなくてもよい。Xは、最も好
ま
しくは塩素である。
本発明の一つの局面は、リポソーム中に包括された錯体(II)を含むリポソーム
性抗腫瘍処方物である。本発明の特定の実施態様において、リポソームは酸性リ
ン脂質、例えばジミリストイルホスファチジルグリセロールを含有する。理論的
な裏付けはないが、リポソーム中に酸性リン脂質が存在することが、錯体(I)の
錯体(II)への変換を、促進または加速すると思われる。
本発明の別の局面は、腫瘍の増殖を阻害する方法である。この方法は、白金錯
体が腫瘍の増殖を阻害するために有効な量で存在する、リポソームに包括された
錯体(II)を含む組成物を哺乳動物に投与する工程を含む。
本発明の別の局面は、抗腫瘍組成物を調製する方法である。この方法は、リポ
ソーム中に包括された白金錯体(I)を含む組成物のpHを調製し、これによりpHを
いくらか酸性にし(好ましくは約2と約6.5との間)、錯体(I)の錯体(II)への変換
を行う工程を含む。次いで、得られる組成物が患者に投与され得る。
この方法の一つの特定の実施態様において、錯体(I)は、リポソーム内で錯体(
II)に変換される。これにより錯体(I)のリポソーム性処方物を製造しそして保存
することが可能になり、次いで患者に投与する直前に、錯体(I)のリポソーム性
処方物は、単に処方物の酸性溶液を加えることにより、インサイチュで錯体(II)
のリポソーム性処方物に変換され得る。必要に応じて、酸性溶液の添加からあら
かじめ決められた時間が経過した後、錯体(I)から(II)への変換を停止するため
に、pHを、好ましくは少なくとも約7に再調整し得る。
本発明の幅広い目的は、本質的に生物学的に活性な化学的部分を哺乳動物に送
達する方法に関わる。生物学的に活性な部分は、例えば、抗腫瘍剤であり得る。
この方法は、(a)生物学的に活性な部分であるプロドラッグの水性処方物を提供
する工程(プロドラッグはリポソーム中に包括されており、そしてプロドラッグ
はさらに酸性pHを有する溶液にさらされることにより生物学的に活性な部分を形
成し得る);(b)pHを酸性レベルに下げる工程、これによりプロドラッグを生物学
的に活性な化合物に変換する;および(c)水性処方物を哺乳動物に投与する工程
を含む。リポソーム性処方物の哺乳動物への投与は、プロドラッグの変換後に適
切に行われ得るが、例えばリポソームの酸性成分(例えば酸性リン脂質)によ
り、変換が投与してから(then)インビボで生じるように、変換前にもまた行われ
得る。
本発明は、先行技術の白金抗腫瘍処方物および方法に勝る多くの利点(より良
い抗腫瘍活性、より大きな可能性、および患者の非癌細胞に対する減少した毒性
を含む)を有する。さらに、本発明の組成物は、これまでそのように処方し得な
かった白金錯体のリポソーム中の処方および送達を可能にする。
図面の簡単な説明
図1.NDDP、B10、およびL10の化学構造。
図2.リポソーム内安定性における、pt錯体の構造、DMPG含有量、および水性
溶液の効果、ならびにNDDP(×)、B10(○)、およびL10(■)の細胞毒性。図2A--
DMPC:DMPG=7:3、生理食塩水;図2B--DMPC:DMPG=7:3、PBS;図2C-
-DMPC:DMPG=3:7、生理食塩水;図2D--DMPC:DMPG=3:7、PBS。IC50値
は、g/mlにおけるものである。
図3.NDDPにおける脂質組成物のリポソーム内安定性における効果。0.9%NaC
l水溶液(開始時(starting)ph=7.0)を、リポソームの再構成溶液として使用し
、そしてリポソーム調製の6時間後に最終的なpHを確認した。
図4.リポソーム性NDDP懸濁液の195PtNMR。図4A--生理食塩水で再構成し、
室温で6時間保存したリポソーム性NDDP懸濁液からCHCl3で抽出することにより
調製したクロロホルム中のサンプル1の195PtNMR。図4B--生理食塩水で6時間
リポソーム性NDDPを再組成し、2日間水を凍結乾燥し、そして混合物をCH3OHに
再溶解することにより調製したCH3OH中のサンプル2の195PtNMR。図4C--t-ブ
タノールのエバポレーションおよび混合物のCH3OH再溶解により調製したCH3OH中
のサンプル3の195PtNMR。
図5.図5A--DMF-d7中のDACH-Pt-Cl2の1H-1H相関分光。図5B--DMF-d7中の
DACH-Pt-Cl2の13CNMR。
図6.リポソーム性NDDPのNMR追跡実験のためのサンプル調製。図6A--クロロ
ホルム溶液中脂質を有する。図6B--乾燥粉末中脂質を有する。
特定の実施態様の説明
シス-ビス-ネオデカノアト-トランス-R,R-1,2-ジアミノシクロヘキサン白金(
II)(NDDP)は、リポソームキャリア中に処方され得る、親油性の白金錯体(Pt-
鉗体)である。NDDPおよび他の白金錯体の製造および使用についての種々の詳細
は、米国特許第5,041,581号、同第5,117,022号、同第5,186,940号、同第5,178,8
76号、および同第5,384,127号に開示されている。これらの特許は、本明細書中
で参考として援用される。
先行する研究は、NDDPが、リポソーム二分子層内での活性化により生物学的活
性を発揮するプロドラッグであることを示唆している。異なるリポソーム性Pt-
錯体のリポソーム内分解/活性化の動力学を理解するために、本発明者らは、Pt
-錯体の構造、pH、温度、脂質の組成、酸性リン脂質の含有量、リポソームのサ
イズ、および残存するクロロホルムの存在が、安定性、インビトロ細胞傷害性、
ならびに異なるリポソーム性Pt-錯体調製物のインビボ抗腫瘍活性に及ぼす影響
を研究した。以下の要因は、Pt-錯体のリポソーム内分解/活性化を増強するこ
とが見いだされた:1)Pt-錯体のサイズおよび空間的配置、2)酸性pH、3)高温、
4)酸性リン脂質の存在および量、ならびに5)残存クロロホルムの存在。リポソー
ムのサイズは、異なるPt-錯体のリポソーム内での安定性に影響しなかった。
薬物分解の程度とインビトロ細胞傷害性との間の関係、ならびに薬物分解の程
度とインビボ抗腫瘍効力との間の関係において、良好な逆関数関係が観察された
。このことは、特定の活性中間体(単数または複数)のリポソーム内での形成に
より、これらの錯体の生物学的活性が発揮されることを確実にする。同定され得
た唯一の活性中間体は、シス-ビス-ジクロロ-トランス-R,R-1,2-ジアミノシクロ
ヘキサン白金(II)であった。この構造は、1H、13C、および195Pt核磁気共鳴
(NMR)スペクトル分析により確認された。
本発明者らは、以前に、インビボ投与のための親油性Pt-錯体のリポソーム性
処方物を開発し[5、6]、そして、その化学的および生物学的特性を研究した
[1、4、7].使用された好適なPt-錯体の一般的構造は、[DACH-Pt-R2]であ
り、ここで、DACHは、トランス-R,R-1,2-ジアミノシクロヘキサンであり、そし
てRは、親油性カルボキシラト基である。Pt-錯体は、リポソームの脂質二分子
層のリン脂質分子の間に介在すると考えられている。これらの錯体の最も顕著な
特性は、インビトロおよびインビボの両方において、シスプラチンと互いに耐性
(cross-resistant)でないことである[1、5]。リーディング処方物である
リポソーム性シス-ビス-ネオデカノアト-DACH-白金(II)(NDDP)は、7:3のモ
ル比のジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)およびジミリストイルホス
ファチジルグリセロール(DMPG)から構成される大きいリポソーム(現在、臨床
試験中である)を使用する。興味深いことに、リポソーム性NDDPは、その抗腫瘍
活性を発揮するためには、リポソーム調製の直後に、リポソームの内部で、化学
的分解/活性プロセスに供されて、活性中間体(単数または複数)になることが
必要である[7]。本発明者らは、この化学反応が、脂質二分子層中のDMPGの含
有量に依存することを以前に報告しており、そしてこの知見に基づいて、本発明
者らは、DMPG-Pt錯体が活性中間体のうちの1つであり得ると仮定した。本発明
者らはまた、Pt鉗体の構造が、リポソーム内の薬物安定性に影響を有することを
報告した:直鎖状でかつ短いカルボキシラト脱離基を有する化合物は、分枝状ま
たは長い直鎖状脱離基を有する化合物に比べて、より安定性でありかつ効力は低
い[8]。活性中間体(単数または複数)ならびに分解/活性化プロセスに影響
を与える異なる因子の全体的キャラクタリゼーションは、薬学的製品としてのこ
れらの薬剤のうちの1つを開発するために必須である。
この目的のために、本発明者らは、NDDP(高度に分枝した構造)ならびに2つ
の異性体であるB10(最小に分枝した構造)およびL10(直線状構造)(図1)を選
択し、そしてそれらの生物学的活性とそれらのリポソーム内安定性との間の関係
を研究した。本発明者らは、pH、温度、脂質の組成、リポソームのサイズ、およ
び残存するクロロホルムの存在が、Pt-鉗体の分解に及ぼす影響について試験し
、そして31Pおよび195PtのNMRスペクトルを用いた追跡実験により、活性中間体
(単数または複数)を同定することを試みた。本発明者らの結果は、これらのPt
-錯体の分解/活性化は、懸濁液のpHに大きく依存し、そして、DACH-ジクロロ白
金(DACH-Pt-Cl2)は、同定し得る唯一の中間体であることを示しており、従っ
て、これらのPt-鉗体は、生理食塩水中で懸濁されたリポソーム中に配合された
場合に、DACH-Pt-Cl2のプロドラッグであることを示唆している。
材料および方法
リポソーム性Pt-錯体の調製。
NDDP、B10、およびL10を、以前に記載した通りに合成し[1、2]、そしてア
セトン中で再結晶した。DMPC、DMPG、ジオレイルホスファチジルコリン(DOPC)
、ジオレイルホスファチジルグリセロール(DOPG)、ホスファチジル酸(PA)、
ホスファチジルエタノールアミン(PE)、およびホスファチジルセリン(PS)を
、Avanti Polar Lipids(Alabaster,AL)から購入した。
Pt-錯体を含有する多層小胞を、クロロホルム溶液または乾燥粉末の脂質を用
いて、凍結乾燥法により調製した。
方法1:脂質[1]のクロロホルム溶液を用いて、脂質を所望のモル比で混合し
、そしてクロロホルムをロータリーエバポレーターで除去した。乾燥脂質フィル
ムに、Pt-錯体のt-ブタノール溶液を添加し、そして40℃で10分間振とうした。
次いで溶液をドライアイス-アセトン浴で凍結し、そしてt-ブタノールを一晩凍
結乾燥によって除去し、凍結乾燥プレリポソーム(preliposomal)粉末を得た。
方法2:乾燥粉末の脂質を用いて、脂質を混合し、そしてt-ブタノール:水(1
0:1/v:v)で溶解した。この溶液に、Pt-錯体のt-ブタノール溶液を添加し、そし
て残りの手順を上記と同様に行った。
生理食塩水またはPBSを添加し(Pt-錯体の1ml/mg)、凍結乾燥プレリポソーム(
preliposomal)粉末を再構成し、そして懸濁液を10分間手で振とうし、大きなサ
イズのリポソームを得た。1分間超音波細胞破壊器(ultrasonic cell disrupter
)(Laboratory Supplies Co.、New York、NY)を用いて大きなサイズのリポソーム
の超音波処理で小さなサイズのリポソームを調製した。異なるリポソーム調製物
のサイズ分布を、Nicomp Submicron Particle Sizer Model 370(Nicomp Partic
le Sizing Systems、Santa Barbara、CA)を用いて決定した。
内部リポソーム安定性
リポソーム中に導入された異なるPt-錯体の安定性を、前述[8]に記載のように
、
時間の関数としてHPLCプロファイルを比較することにより決定した。簡単には、
リポソーム懸濁液のアリコートのサンプルを、リポソーム調製後0、2、6およ
び24時間でメタノールを用いて希釈し(7×)、次いで各サンプルをchromega-8ボ
ンドカラム(4.6mm×25cm、8 Tm:ES Industries、NJ)および溶出液として10%
水-メタノールを用いてHPLCによりモニターした。流速は1ml/minであり、そし
て錯体を224nmの波長でUVにより検出した。
生物学的活性
インビトロ.リポソームPt-錯体のA2780ヒト卵巣ガン細胞に対するインビトロ
細胞傷害性を、MTT色素還元アッセイにより評価した。簡単には、A2780細胞を96
ウェルプレートに播種し、一晩付着させ、次いで種々の濃度の薬物に20時間曝露
した。PBSで細胞を洗浄した後、新鮮な培地を52時間添加し、そして細胞生存画
分をMTTアッセイにより決定した。
インビボ.リポソームPt-錯体のインビボ抗腫瘍活性を、腹腔内L1210マウス白
血病に対して評価した。18〜20gの体重の6〜8匹のマウスのグループを0日に1
06細胞(0.2ml、i.p.)で接種し、そして処置(25、50、100および150mg/kg)を1日
に開始した(0.15〜0.5ml、i.p.)。結果を、処置動物の生存中央値をコントロー
ル動物の生存中央値で割った×100(% T/C)として表した。
活性中間体の同定
生理食塩水(0.9% NaCl)中で再構築されたL-NDDPの反応カスケードにおける活
性中間体を特徴づけるために、31P NMRと組み合わせて195Pt NMRスペクトルを用
いる追跡実験を行った。サンプルの調製の手順を図6に要約する。サンプル1〜
3を、クロロホルム溶液中に購入した脂質DMPCおよびDMPGを用いて調製し、一方
サンプル4〜8を乾燥粉末中の脂質を用いて調製した。サンプル1〜3において
、クロロホルムを最初にロータベイパーでエバポレートした。脂質フィルムを、
溶液中にNDDPを含むt-ブタノールに溶解した。この溶液のアリコートを40℃で6
時間保持し、次いで凍結乾燥し、そしてメタノールで抽出した(サンプル3)。残
りを直ちに凍結乾燥し、従ってプレリポソーム粉末を生じ、これは生理食塩水を
用
いて再構築され、リポソーム懸濁液を生成した。リポソーム懸濁液を室温で6時
間保持した。次いでPt化合物および脂質をクロロホルムで抽出し(サンプル1)ま
たはサンプルを凍結乾燥して水を除去し、そして粉末をメタノールに溶解した(
サンプル2)(図6を参照のこと)。サンプルを40℃で6時間保持した後、溶媒を
完全にエバポレートし、そしてメタノール中にそれらを再溶解することによりサ
ンプル4、5および6を調製した。サンプル7および8を1〜2日間の水の凍結
乾燥およびメタノール中の再溶解によって調製した。全てのサンプルをHPLCでプ
レチェックした後、NMRで追跡した。生成物の化学シフトを、195Pt中のNa2PtCl6
および31P NMR中のDMPCに関して百万分率で表した。
DACH-Pt-Cl2特徴づけ
NMRサンプルからの黄色沈殿物を収集し、そしてDMF-d7中に再溶解し、それら
を1Hおよび13C NMRを用いて特徴づけた。
これらの全てのデータは、DACH-Pt-Cl2の標品で確認された。
結果
リポソームPt-錯体の調製
NDDPおよびその2つの異性体、B10およびL10は、DMPC、DMPG、DOPC、DOPG、PA
、PEおよびPSを含む種々の脂質の組み合わせから構成されるリポソームに処方さ
れた。リポソームは、未緩衝化0.9%NaCl水溶液(生理食塩水)またはリン酸緩衝
食塩水(PBS)を伴うPt-錯体および脂質を含むプレリポソーム粉末を再構築するこ
とにより形成された。全てのリポソーム処方物の包括有効性(%EE)は90%より多
く、そして使用した脂質組成物、再構築溶液、またはNDDP異性体による効果はあ
まり
なかった。遊離薬物の結晶は、光学顕微鏡による評価によれば、任意のこれらの
調製物で24時間以内に観察されなかった。多重膜ベシクルの中央サイズは全ての
調製において1〜2Tmであった。多重膜ベシクルの超音波処理により調製された
小さなサイズのリポソームの中央値は50〜100nmであった。
Pt-錯体のリポソーム内安定性
1)Pt-錯体の空間配置およびリポソーム懸濁液のpHの役割
図2A〜Dは、再構築溶液として生理食塩水またはPBS、および7:3および3.7のDM
PC:DMPGの比を用いた、リポソームPt-錯体処方物の安定性を示す。以前に観察さ
れた[1]ように、Pt-錯体の脱離基の分枝配置および脂質二重層中のDMPGの含量は
、Pt11-錯体のより高い分解速度に相関した。結果として、直線状脱離基L10を有
する錯体は、非常に安定であるが、高度に分枝したNDDPはむしろ不安定であり、
そして最小限に分枝したB10は中間の安定性を有した。再構築溶液としてPBCを使
用することにより、生理食塩水と比較して、Pt-錯体が顕著により高い安定性を
示した。例えば、リポソーム調製の6時間後、生理食塩水中のインタクトなNDDP
の割合対PBS中のインタクトなNDDPの割合は、43.7%対82.1%であり、一方、B10
についての割合は、それぞれ85.0%対95.9%であり、そしてL10についての割合
は、それぞれ93.1%対100%であった。生理食塩水中のリポソーム懸濁液のpHは
、Pt-錯体に依存して7.0から3.8〜6.2に低下し、一方、PBSは、全ての場合にお
いて、溶液のpHを約6.0〜7.0に維持した。これらの結果は、以下のことを示す:
1)酸性pHはPt-錯体のリポソーム内分解を促進する、および2)良好な中性緩
衝液系はPt-錯体のリポソーム内分解を低減するかまたは停止し得る。これらの
結果を確認するために、本発明者らは、強酸性(pH=3.0)または強塩基性(pH=8.0)
生理食塩水溶液中のPt-錯体のリポソーム内安定性を試験した。これらの強酸性
または強塩基性生理食塩水溶液は、0.1N HClまたはNaOH水溶液をpH7.0の生理食
塩水に添加することにより調製した。pH3.0の生理食塩水は、全てのPt-錯体の分
解速度を増加させ、一方、pH8.0の生理食塩水は、リポソーム調製の24時間後で
さえ、有意なPt-錯体の分解を誘導しなかった。比較的多量のDMPG(DMPC:DMPG=3:
7)を用いる全ての処方物は、DMPGが酸性リン脂質であるので、リポソーム懸濁液
のpHと
良好に相関して、Pt-錯体のより高い分解速度を示した。
2)温度の役割
Pt-錯体のリポソーム内安定性は、40℃で調べ、そして室温で得られた結果と
比較した。Pt-錯体の分解は、温度依存性であり、分解速度は、試験したpt-錯体
に依存して、40℃では25℃でよりも約30〜70%高かった。
3)脂質組成物の役割
モル比7:3でDMPC:PA、PS:DMPG、およびDMPC:PE、ならびにモル比1:0、7:3、3:
7、および0:1でDOPC:DOPGを用いるNDDPのリポソーム処方物が調製され、そして
再構築溶液として生理食塩水を用いて試験された(図3)。リン脂質の酸性度(P
A>PG>PS)および相対DOPG含量(DOPC:DOPG 0:1>3:7>73>1:0)は、NDDPのリポソーム
内分解を促進し、そしてPt-錯体の分解と酸性pHとの間の良好な相関が再度観察
された。
同一の結論が、DMPC:DMPGモル比(7:3)は同じであるが、NDDP:合計脂質比(1:5
、1:10、1:15、および1:30)は異なり、それゆえ異なるDMPG含量を用いるリポソ
ーム中のNDDPでの研究において得られた。1:5または1:10の比を用いると、初期N
DDPの85%は24時間で存在し;対照的に、1:15または1.30の比を用いると、NDDP
の分解が促進され、24時間で初期NDDPのわずか25%のみが残り、従って、これは
、分解の程度と脂質二重層内のDMPGの絶対量との間の相関を示唆する。
4)リポソームサイズの役割
リポソームサイズは、NDDPのリポソーム内安定性に影響を与えなかった;多重
膜ベシクルの最初の懸濁液の超音波処理は、使用した脂質組成物に関わらず、ND
DPの安定性を顕著に変化させなかった。
インビトロ細胞毒性とリポソーム内安定性との間の相関
本発明者らは、MTTアッセイを用いて、A2780細胞に対する異なるリポソームPt
-錯体処方物のインビトロ細胞毒性を研究し、そしてその結果をPt-錯体のリポソ
ーム内安定性と相関させた。結果を図2A〜Dに示す。IC50値は、薬物安定性とか
なり良好に相関した;Pt-錯体がより安定になるにつれて、より毒性が低くなる
かまたはIC50がより高くなる。6時間で最初のPt-錯体の約20%、50%、および9
0%が残っていたとき、IC50は、それぞれ約3〜5、7〜10、および20〜50g/ml
であった。これらの結果は、Pt-錯体のリポソーム内分解が、その細胞毒性効果
を発揮するために必要であり、それゆえ、リポソーム内活性化工程であることを
示す。
NDDPの活性中間体の同定
分解生成物に対応する新しいピークは、NDDPのために開発されたHPLC法により
観察されない。なぜなら、それらはリン脂質と共に溶出するか、またはそれらは
UV吸光度を有しないかのいずれかであるから。脂質ピークから新しいピークを分
離する試みは、いままで成功していなかった。
リポソームNDDPの反応カスケードのトラックを保持するために、本発明者らは
、NDDPの分解/活性化生成物を特徴付けるための、他の研究者[2,3,9-11]によっ
て使用されるNMRトラッキング法を適用することを試みた。
1)クロロホルム溶液中の脂質を用いて調製された処方物(図6Aのサンプル
1、2、および3)。
サンプル1の(生理食塩水、クロロホルム抽出、図4A)およびサンプル2(
生理食塩水、凍結乾燥、図4B)の195Pt NMRによって、NDDPピークは1750ppmで
検出され、そしてDACH-Pt-Cl2に対応する新しいピークは1950ppmで検出された。
反応時間を延長し、pHを下げ、温度を上げ、そしてリポソーム中のDMPGの量を増
大させることで、NDDPの分解/活性化を増強し、1950ppmでのピークの強度を増
大させた。しかし、31P NMRにより、DMPC(2ppm)およびDMPG(3ppm)に対応
するピークを除いては新しいピークは観察されず、このことは、195Pt NMRによ
り示される新しい生成物はDMPG-組込Pt-複合体ではないことを示す。
これらのスペクトルの結果は、サンプル3からの結果と類似しており(図6A
、t-ブタノール、凍結乾燥、図4C)、この場合、リポソームNDDPは生理食塩水
に曝露されず、従ってCHCl3の存在はまたDACH-Pt-Cl2を形成するための塩化物の
ドナーとして作用し得ることを示す。黄色がかったNMRサンプルを4℃で一晩保
存した後、黄色結晶がゆっくりと沈澱した。沈殿物を濾過し、乾燥し、そして化
合物の構造はDACH-Pt-Cl2であることが、1H,COSY(図5A)、13C(図5B)
、および195Pt NMRによって立証された。もともとのリポソームNDDP懸濁液
を室温で放置した後、黄色沈殿物をまた2〜3週間観察した。DMPCのみで構成さ
れるリポソーム中のNDDPは、新しいピークを195Ptまたは31P NMRのいずれによっ
ても与えなかった。これは、DMPGの非存在下でその完全に保存された安定性と相
関する。
2)乾燥粉末中の脂質を使用して調製された処方物(サンプル4、5、6、7
、および8)。
本発明者らは、NDDPの分解時での残渣のCHCl3の存在の影響を排除するために
、クロロホルム溶液の代わりに、乾燥粉末中の脂質を用いて調製された処方物で
の同じトラッキング実験を行った(図6)。脂質およびNDDPを含有するサンプル
4および5(溶媒t-ブタノール+それぞれ、水およびメタノール)において、反
応は起こらなかった。一方、サンプル6(脂質およびNDDPのクロロホルム溶液)
は、195Pt NMRによりDACH-Pt-Cl2の存在を示した。これらのサンプルによる結果
(40℃で6時間インキュベートし、クロロホルムの存在を確認した)は、NDDPの
DACH-Pt-Cl2への分解を誘発し得る。サンプル7を、室温で6時間の、pH6.5〜7.
0の生理食塩水中のプレリポソームNDDP粉末の再構成によって調製した。顕著な
分解(<5%)は観察されなかった。一方、pH3.0〜4.0の酸性生理食塩水中で再
構成される場合(サンプル8)、NDDPの60%〜95%分解(195Pt NMRおよびHPLC
によって測定されるようなDACH-Pt-Cl2を生成する)は、10分間起こった(表1
)。
表1
乾燥粉末として脂質で調製されたNDDPのリポソーム内安定性
に対する生理食塩水の種々のpH値の影響
Pt-複合体安定性とインビボ抗腫瘍活性との間の関係
1.残渣のクロロホルムを含む調製物
これらの研究は、クロロホルム中に溶解した脂質を用いて、リポソームPt-複
合体の懸濁液で行った。L1210白血病に対するインビボ抗腫瘍活性研究において
、薬物安定性と抗腫瘍効力との間に逆の関係が観察された(表2)。DMPC:DMPG
比は、すべての調製物に関して7:3であった。生理食塩水およびPBSの開始pH
値は、7.0であった。腫瘍を0日目に腹腔内で接種し、続いて薬物を1日目に腹
腔内注入した。
表2
L 1210白血病に対するリポソームPt複合体のインビボ抗腫瘍活性
リポソームNDDPの最適な用量は、生理食塩水中50mg/kgであり、そしてPBS中10
0mg/kgであった(それぞれ、%T/C=211および200)。リポソームB10およびL10に
ついて、最適な用量は、生理食塩水中100mg(%T/C=228および178)であったが
、両方の薬物がPBS中で再構成された場合、顕著な抗腫瘍活性は観察されなかっ
た。従って、ほとんどの強力なリポソームPt-複合体調製物はPt-複合体の最も低
い安定性を有する調製物であった。しかし、すべての処方物は、最適な用量で投
与される場合、類似の抗腫瘍活性を有した。
2.残渣のクロロホルムを含有しない調製物
これらの研究は、乾燥脂質で調製されたリポソームPt-複合体の懸濁液でなさ
れた。NDDP安定性と抗腫瘍活性との間の関係を、インビボL 1210白血病モデルを
用いて再度研究した。表3は、異なるpHの生理食塩水溶液で再構成され、そして
再構成後に異なる時点において投与された、処方物による結果を示す。(値は2
つの別個の実験の平均である。)
表3
L 1210白血病に対するリポソームNDDPの抗腫瘍活性
pH3.0、5.0、および7.0の生理食塩水で再構成したリポソームNDDPの最適な用
量は、それぞれ25mg/kg、50mg/kg、および100mg/kgであった。従って、pHが低く
なるほど、増大させたリポソーム内薬物の分解/活性化との良好な相関関係での
調製物の効力はより高くなる。最適用量にて得られた%T/Cはそれぞれ、214、27
1、および271であった。薬物投与の時間の遅れは、増大した薬物活性化と時間と
の間の良好な相関関係で、処方物の抗腫瘍活性を増大させる。しかし、抗腫瘍活
性は、活性化プロセスの間にリポソーム内で形成される活性化Pt-種の計算量と
は完全には相関しなかった。例えば、pH7.0での100mg/kgは、pH5.0で50mg/kgの
ような類似の%T/C値を提供するが、pH7.0(10mg/kg)で10%のNDDPのみ、およ
びpH5.0(35mg/kg)で約70%のNDDPは、これらの条件下で活性Pt-種に形質転換
する。さらに、インビボ活性化はそれ故、これらの矛盾を説明するために起こな
らければならない。
考察
本発明者らの結果は、酸性リン脂質を含むリポソームで包括され、塩素のドナ
ーとしての塩化ナトリウムまたは残留クロロホルムが存在する場合、NDDPおよび
その異性体がDACH-Pt-Cl2のプロドラッグであることを示す。NDDPのDACH-Pt-Cl2
への変換率(rate)は、リポソーム懸濁液のpHに直接関係する。実施された研究
は、DMPGおよび他の酸性リン脂質が、リポソーム膜内に酸性環境を与えることに
よって、反応を促進(enhance)することを示す。本発明者らが前に仮定したよ
うに、NDDPの活性中間体の一つとしてのDACH-Pt-DMPG複合体を形成するNDDPとDM
PGとの間の直接反応を支持する証拠は、生じ得ず、DACH-Pt水性種(aquated spe
cies)の形成もない。
DACH-Pt-Cl2は、Pt-複合体のDACHファミリーの主要化合物である。しかし、水
への溶解性に欠けるために、これは開発されなかった。本発明者らは、リポソー
ム包括用のこの化合物を最初に考えたが、これはほとんどの有機溶媒に不溶であ
るので、これはリポソーム処方用の不適切な薬剤であることを決定した。DACH-P
t-Cl2は、ジメチルホルムアミド(DMF)にのみ良好な溶解性を有する。DMFは非
常に高い沸点を有し、従って、標準エバポレーション方法を用いてリポソームを
調製するのに使用され得ず、そしてDMFは、凍結乾燥法に使用されるどんな有機
溶媒にも不溶である。本発明者らの研究は、DACH-Pt-Cl2は、記載の条件下リポ
ソーム膜内で生成され得ること、および薬剤が、漏れ出ることなしに、リポソー
ム領域に残り、少なくとも24時間で結晶化することを示す。対照的に、DACH-P
t-Cl2は、NDDPからHClの添加により形成された場合、素早く沈澱する。これらの
結果は、化合物が包括前駆体からインサイチュで合成され、かつリポソームがそ
の自発的な沈澱を防ぐ、リポソーム処方物の第1の例を構成する。結果は、この
非常に興味のある化合物のために非常に必要とされる送達システムの開発のため
の手段を提供するので、奨励されるものである。
強力なストラテジーは、NDDPの80%を越えるDACH-Pt-Cl2への速い変換を誘導す
るために、酸性の生理食塩水溶液をまず使用し、続いて所定時間後、緩衝溶液を
添加し、pHを7.0より高くし、反応を停止することによる2段階の再構成手順を
使用することである。
本発明によるリポソームは、天然のまたは合成のリン脂質を含む種々の両親媒
性物質から調製され得る。多くの適切なリン脂質が当該分野で周知である。本発
明のリポソームは、多層または単層であり得、不特定の層構造を有し得る。この
ようなリポソームを含む薬学的組成物は、薬学的に受容可能なキャリアまたは希
釈剤、ならびに他の薬学的に受容可能なアジュバントを含み得る。
本発明のリポソーム組成物は、哺乳類の、特にヒトの腫瘍細胞の増殖を阻害す
るために使用され得る。本発明の組成物は、種々のヒト悪性腫瘍、特に任意の白
金感受性癌(卵巣、精巣、肺、頭部および頚部、食道、ならびに膀胱の、腫瘍、
肉肺、リンパ腫、および中皮腫を含む)の処置に有用であるべきである。本発明
の組成物を使用する方法は、哺乳類に腫瘍増殖を阻害するのに有効な量の組成物
を投与する工程を含む。投与する工程は、適切に、非経口的であり得、および静
脈内、動脈内、筋内、リンパ系内、腹腔内、皮下、胸膜内、もしくはくも膜下腔
内注射により、または局所的適用もしくは経口投与による。このような投与は、
腫瘍退行または消失が達成されるまで、好ましくは、時間を決めたスケジュール
で繰り返され、他の形式の腫瘍治療(例えば、外科手術、または異なる薬剤を用
いる化学療法)と組み合わせて使用され得る。本発明による組成物の投与量は、
好ましくは、それが投与される哺乳類被験体の体重の約100〜750mg/kgの間であ
る。
本発明の特定の実施態様の以上の説明は、本発明のあらゆる可能な実施態様の
完全なリストであることを意図しない。当業者は、本明細書に記載の特定の実施
態様に修飾がなされ得ること、それが本発明の範囲内であることを理解する。
参考文献
以下の参考文献は、例示的な手順または他の詳細を本明細書中に記載の範囲に補
充する程度まで、本明細書中で参考として特に援用される。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
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W,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD
,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,TR,
TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.リポソーム中に包括された以下の式を有する白金錯体を含む、リポソーム性 抗腫瘍組成物であって: R1-Pt-X2 ここで、R1がジアミノシクロアルキルであり、かつXがハロゲンである、組成 物。 2.R1が約3〜約6個の炭素原子を有する、請求項1に記載の組成物。 3.R1が1,2-ジアミノシクロヘキサンである、請求項1に記載の組成物。 4.Xが塩素である、請求項1に記載の組成物。 5.前記リポソームが酸性リン脂質を含む、請求項1に記載の組成物。 6.前記リポソームがジミリストイルホスファチジルグリセロールを含む、請求 項1に記載の組成物。 7.前記白金錯体が前記リポソームの二重層の間に介在している、請求項1に記 載の組成物。 8.リポソームの二重層の間に介在した以下の式を有する白金錯体を含む、リポ ソーム性抗腫瘍組成物であって: DACH-Pt-Cl2 ここで、DACHはジアミノシクロヘキサンであり;そして、ここで該リポソームが さらにジミリストイルホスファチジルグリセロールを含む、組成物。 9.腫瘍の増殖を阻害する方法であって: 哺乳動物に、腫瘍の増殖を阻害するのに有効な量の、リポソーム中に包括された 以下の式を有する白金錯体を含む組成物を投与する工程を包含し: R1-Pt-X2 ここで、R1がジアミノシクロアルキルであり、Xがハロゲンである、方法。 10.R1が約3〜約6個の炭素原子を有する、請求項9に記載の方法。 11.R1が1,2-ジアミノシクロヘキサンである、請求項9に記載の方法。 12.Xが塩素である、請求項9に記載の方法。 13.前記リポソームが酸性リン脂質を含む、請求項9に記載の方法。 14.前記リポソームがジミリストイルホスファチジルグリセロールを含む、請 求項9に記載の方法。 15.前記鉗体が前記リポソームの二重層の間に介在している、請求項9に記載 の方法。 16.腫瘍の増殖を阻害する方法であって: 哺乳動物に、腫瘍の増殖を阻害するのに有効な量の、リポソームの二重層の間に 挿入された以下の式を有する白金錯体を含む組成物を投与する工程を包含し: DACH-Pt-Cl2 ここで、DACHはジアミノシクロヘキサンであり、そしてここで該リポソームがジ ミリストイルホスファチジルグリセロールをさらに含む、方法。 17.抗腫瘍組成物を調製する方法であって: リポソーム中に包括された以下の式(I)を有する白金錯体を含む組成物のpHを調 整する工程であって、 ここで、R1がジアミノシクロアルキルであり、そしてR2およびR3がそれぞれ 以下の式を有し、 ここで、R4、R5、およびR6は、それぞれ独立して1〜約10個の炭素原子を 有する炭化水素部分であり、 それにより該錯体(I)を以下の式(II)を有する錯体に変換する工程を包含し、 R1-Pt-X2 (II) ここで、R1がジアミノシクロアルキルであり、Xがハロゲンである、方法。 18.前記pHが約2と約6.5との間に調整される、請求項17に記載の方法。 19.R4、R5、およびR6が、それぞれ独立して1〜約6個の炭素原子を有す るアルキルである、請求項17に記載の方法。 20.R4、R5、およびR6が、それぞれ独立して1〜約3個の炭素原子を有す るアルキルである、請求項17に記載の方法。 21.前記錯体(I)が、前記リポソーム内で前記錯体(II)に変換される、請求項 17に記載の方法。 22.前記pHが、前記リポソームを酸性溶液と接触させることにより調整される 、請求項17に記載の方法。 23.前記pHが、前記リポソーム中に酸性リン脂質を含有することにより調整さ れる、請求項17に記載の方法。 24.前記リポソームがジミリストイルホスファチジルグリセロールを含む、請 求項17に記載の方法。 25.R2およびR3がネオデカノアトである、請求項17に記載の方法。 26.R1が約3〜約6個の炭素原子を有する、請求項17に記載の方法。 27.R1が1,2-ジアミノシクロヘキサンである、請求項17に記載の方法。 28.Xが塩素である、請求項17に記載の方法。 29.前記錯体(I)が前記リポソームの二重層の間に介在している、請求項17 に記載の方法。 30.前記錯体(II)が前記リポソームの二重層の間に介在している、請求項17 に記載の方法。 31.前記錯体(I)が、cis-ビス-ネオデカノアト-trans−R,R-1,2-ジアミノシク ロヘキサン白金(II)である、請求項17に記載の方法。 32.所定の時間の後に、続いて前記pHを約7に再調整する工程をさらに包含す る、請求項17に記載の方法。 33.抗腫瘍組成物を調製する方法であって: リポソーム中に包括されたcis-ビス-ネオデカノアト-trans-R,R-1,2-ジアミノシ クロヘキサン白金(II)を含む前記組成物のpHを7より低いレベルに調整し、それ により該白金錯体をジクロロジアミン白金(II)に変換する工程、および所定の時 間の後に、該pHを少なくとも約7に調整する工程、 を包含する、方法。 34.本質的に生物学的に活性な化学的部分を哺乳動物の内部へ送達する方法で あって、以下の工程を包含する、方法: 生物学的に活性な部分のプロドラッグの水性処方物を提供する工程であって、該 プロドラッグはリポソーム中に包括されており、該プロドラッグは酸性pHを有す る溶液に曝露されることにより生物学的に活性な部分をさらに形成し得る、工程 ; 該pHを酸性レベルに下げる工程であって、これにより該プロドラッグを生物学的 に活性な化合物に変換する工程;および 該水性処方物を哺乳乳動物に投与する工程。 35.前記生物学的に活性な部分が抗腫瘍剤である、請求項34に記載の方法。 36.前記pHが、前記リポソーム中に酸性リン脂質を含むことにより下げられ る、請求項34に記載の方法。
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