JP2002512695A - 酸化およびmda修飾の低密度リポタンパク質を検出するためのアッセイ、抗体および標準物 - Google Patents

酸化およびmda修飾の低密度リポタンパク質を検出するためのアッセイ、抗体および標準物

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Abstract

(57)【要約】 マロンジアルデヒド修飾低密度リポタンパク質(MDA修飾LDL)および酸化低密度リポタンパク質(OxLDL)の免疫アッセイ、アッセイに使用のためのモノクローナル抗体(およびその細胞系)、および貯蔵に安定な標準物(検定剤または対照物として使用し得る)を開示する。OxLDLおよびMDA修飾LDLは、アテローム性動脈硬化症およびその病因に関係する。

Description

【発明の詳細な説明】 酸化およびMDA修飾の低密度リポタンパク質を検出する ためのアッセイ、抗体および標準物 背景技術 本発明は、サンプル中の酸化低密度リポタンパク質(OxLDL)およびマロ ンジアルデヒド修飾低密度リポタンパク質(MDA修飾LDL)の検出(つまり 、存在の検出および/または定量化)のためのアッセイ、抗体(特にモノクロー ナル抗体)および標準物に関する。サンプルは典型的には体液または体組織由来 のものである。 リポタンパク質は、タンパク質および脂質の多成分複合体である。いずれのタ イプのリポタンパク質も特徴的な分子量、サイズ、化学組成、密度および物理的 役割を有する。タンパク質および脂質は非共有結合力で結びついている。 リポタンパク質は、超遠心により測定された密度を基に分類される。そして、 リポタンパク質は4種類に区別される:高密度リポタンパク質(HDL)、中密 度リポタンパク質(IDL)、低密度リポタンパク質(LDL)および超低密度 リポタンパク質(VLDL)。 リポタンパク質粒子の精製タンパク質成分は、アポリポタンパク質(apo) と呼ばれる。いずれのタイプのリポタンパク質も特徴的なアポリポタンパク質組 成を有する。LDLにおいて重要なアポリポタンパク質は、apo B−100 である。apo B−100は、既知の最も長い単鎖ポリペプチドのひとつであ り、4536アミノ酸からなる。これらのアミノ酸のうち、リシン残基または部 分(このようなリシン残基または部分が356ある)は、アルデヒド(例えば、 マロンジアルデヒド)によって置換または修飾され得る。 LDL中の脂質の酸化(例えば、銅誘発酸化などのインビトロまたはインビボ のいずれにおいても)により、反応性アルデヒドが産生され、apo B−10 0のリシン残基または部分と相互作用を起す。このリシン置換または修飾の結果 、生じたOxLDLは、MDA修飾LDLでもあるが、もはや線維芽細胞の表面 上 のLDL受容体によって認識されず、マクロファージ表面上のスカベンジャー受 容体によって認識される。356のうち少なくとも60のapo B−100の リシン(またはリシン残基または部分)が、スカベンジャー受容体によって認識 されるように置換されなければならない(本明細書の最後のほうに記載した引用 文献の文献番号1を参照。全ての引用文献は事実上本明細書の一部とする)。マ クロファージによるこのようなOxLDLの取り込みによって泡沫細胞が産生す る。これはアテローム性動脈硬化症の初期段階と考えられている。 酸化ストレスを受けた内皮細胞(例えば、急性心筋梗塞患者における)および 活性化血小板はまた、アルデヒドを産生し、apo B−100中のリシン部分 と相互作用を起こし、スカベンジャー受容体によって認識されるアルデヒド修飾 LDLを産生する。しかしながら、このアルデヒド修飾LDL中の脂質は、酸化 されていない。マクロファージにおける酵素活性(例えば、ミエロペルオキシダ ーゼ)は、LDLの脂質部分とタンパク質部分の両方を酸化する。これらすべて の方法により、LDLのタンパク質部分のアルデヒド型修飾がもたらされる。 インビトロ実験および動物モデル実験により、OxLDLおよび/またはアル デヒド修飾LDLは、内皮性機能障害、泡沫細胞の産生、平滑筋細胞の増殖およ び血小板の活性化を誘発することによりアテローム性動脈硬化症の進行の一因と なり得ることが示唆されてきた(概要は引用文献番号2参照)。アルデヒド修飾 LDLと交差反応する自己免疫抗体のレベルと頚動脈アテローム性動脈硬化症患 者における病変の進行の正の相関関係により、OxLDLおよび/またはアルデ ヒド修飾LDLがヒトアテローム性動脈硬化症進行の一因となり得ることが示唆 された(引用文献3を参照)。 しかしながら、自己免疫抗体が、他のアルデヒド修飾タンパク質(例えばアル ブミン)に対してつくられるという可能性を除外することはできなかった。従っ て、ヒトアテローム性動脈硬化症に対するOxLDLおよびアルデヒド修飾LD Lの影響が(脂質部分の酸化に起因してもしなくても)確立され得るのは、これ らの物質に特異的な非侵襲的試験(つまり、他の物質よりもこれらの物質に高い 親和性を有する試験)が利用可能となるときである。 LDL酸化の基本的なメカニズムが異なる患者集団(例えば、糖尿病患者、慢 性腎不全患者、心臓移植患者)によって相違するかも知れないので、また、少な くともそのメカニズムのいくつかは脂質酸化に影響を受けないことがあるので、 このような試験はOxLDLとアルデヒド修飾LDL(例えば、MDA−修飾L DL)の両方に特異的であるべきである。さらに、この試験は、リシン残基のア ルデヒド型置換の後にLDLのapo B−100部分に特異的に起こる配座変 化の検出に特に基づくべきである。すなわち、問題の分析物(つまり、MDA修 飾LDLおよびOxLDL)に高い特異性を示す非侵襲的試験(つまり、アッセ イ)が求められている。また、問題の分析物に特異的な抗体も求められている。 さらにアッセイのために一定の標準物(例えば検定剤および/または対照物とし て使用される)が求められている。 発明の要旨 これらの必要性を充足し、当業者に明らかな他の特徴と利点を有する発明が、 今回なされた。本発明は、サンプル中のOxLDLおよびアルデヒド修飾LDL 、またはMDA修飾LDLを特異的に定量(定性)できる抗体によるアッセイを 提供する。サンプルは、例えば体液(血漿または血清のような)または体組織に 由来する。本発明はまた、これらのアッセイに有用なモノクローナル抗体および これらの抗体を産生する細胞系(ハイブリドーマ)を提供する。本発明はまた、 貯蔵に安定な標準物を提供し、この標準物はアッセイの検定剤および対照物とし て有用である。このような標準物を有することは、信頼性があり、再製でき、従 って有用なアッセイにとって必要である。 概して、1つの観点において本発明は、サンプル中のMDA修飾LDLおよび OxLDLの検出および/または定量するための免疫アッセイに関し、下記を含 む。 a)MDA修飾LDLおよびOxLDLに高親和性を有する第1抗体とサンプ ルとを接触せしめ、 b)次いで、第1抗体とサンプル中に存在するMDA修飾LDLおよびOxL DLとの結合反応を視覚化および/または定量する。 なお、第1抗体が高い親和性を有するMDA修飾LDLおよびOxLDLは、 apoB−100部分につき少なくとも60の置換リシン部分を含有する。 アッセイは、例えば競合アッセイ、サンドウィッチアッセイ、免疫組織化学ア ッセイなどである。“競合アッセイ”は、よく知られおり、いかなる競合アッセ イも、本発明の範囲内にあって本発明の利点が達成される限り、本発明で用いる ことができる。“サンドウィッチアッセイ”もよく知られおり、いかなるサンド ウイッチアッセイも、本発明の範囲内にあって本発明の利点が達成される限り、 本発明で用いることができる。“免疫組織化学アッセイ”もよく知られおり、い かなる免疫組織化学アッセイも、本発明の範囲内にあって本発明の利点が達成さ れる限り、本発明で用いることができる。 他の観点において、本発明は、サンプル中のMDA修飾LDLの検出および/ または定量のための免疫サンドウィッチアッセイに関する。このアッセイでは、 MDA修飾LDLに高い親和性を有する第1抗体が基質に結合する。このアッセ イは下記を含む。 (a)サンプル中のMDA修飾LDLの少なくともいくらかが第1抗体に結合 するような結合条件において、第1抗体に結合している基質とサンプルとを接触 せしめ、 (b)次いで基質から非結合のサンプルを除去し、 (c)次いでMDA修飾LDLに高親和性を有する第2抗体と基質とを接触せ しめ、 (d)次いでサンプル中に存在したMDA修飾LDLを視覚化および/または 定量する。 なお、第1抗体および第2抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLは、ap oB−100部分につき少なくとも60の置換リシン部分を含有する。 本明細書(請求項を含む)で用いられるように、“高親和性”とは、少なくと も約5×108-1、望ましくは少なくとも約1×109-1、好ましくは少なく とも約1×1010-1、最も好ましくは少なくとも約1×1011-1の親和性定 数(関連定数)を意味する。“低親和性”とは、約1×107-1以下、望まし くは約1×106-1以下、好ましくは約1×105-1以下の親和性定数(関連 定数)を意味する。親和性定数はHolvoet et al(4)に記載の適当な方法に従 って決定される。 本発明で用いられる抗体は、MDA修飾LDLおよび/またはOxLDLと結 合する。これらのLDLのapoB−100部分は、apoB−100部分に対 して少なくとも60、望ましくは少なくとも約90、さらに望ましくは少なくと も約120、好ましくは少なくとも約180、さらに好ましくは少なくとも約2 10、最も好ましくは少なくとも約240の置換リシン残基を含有する。リシン 置換の範囲は、apoB−100部分につき一般的に60〜約240、好ましく は約120〜約240の置換リシン部分である。 各新規モノクローナル抗体は配座エピトープに高度に特異的である。このエピ トープは、少なくとも約60、好ましくは少なくとも約120のリシン残基が置 換されているときに存在し、それによってアテローマ性動脈硬化症に関連する種 々のマーカーあるいは徴候を識別する。約60以下のリシンが置換または修飾さ れているときに存在するエピトープを認識する抗体は、特異性が低いがやはり有 用である(例えば、サンドウィッチELISAにおける2次的抗体として用いる ことができる)。 本発明で用いられる好ましい抗体は、モノクローナル抗体mAb−4E6,m Ab−1h11およびmAb−8A2である。これらの、天然LDL、MDA修 飾LDLおよびOxLDLに対する親和性定数は次の通りである。 他の観点において、本発明は、(a)1997年4月24日またはその頃にB CCMに寄託番号LMBP1660CBで寄託されたハイブリドーマHyb4E 6により生産されたモノクローナル抗体mAb−4E6、(b)1997年4月 24日またはその頃にBCCMに寄託番号LMBP1661CBで寄託されたハ イブリドーマHyb8A2により生産されたモノクローナル抗体mAb−8A2 、(c)1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号LMBP16 60CBで寄託されたハイブリドーマHyb4E6、(d)1997年4月24 日またはその頃にBCCMに寄託番号LMBP1661CBで寄託されたハイブ リドーマHyb8A2、に関する。 本発明のアッセイで用いられる抗体は、好ましくはこれら2種(すなわち、m Ab−4E6およびmAb−8A2)およびmAb−1H11である。抗体mA b−1H11についての細胞系はハイブリドーマHyb1H11から生産され、 このハイブリドーマは、1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番 号LMBP1659で寄託された。 BCCMは、“特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関する1977年4 月28日のブタペスト条約”によるベルギー微生物共同寄託機関である。その住 所はThe University of Gent,K.Ledeganckstraat 35,B−9000 Gent, Belgium.である。 アッセイは、固相酵素免疫測定法(ELISA)としてよく知られたタイプで もあり得る。例えば、サンドウィッチELISAの場合、mAb−4E6(MD A修飾LDLおよびOxLDLについて)またはmAb−1H11(MDA修飾 LDLについて)は固体基質と結合していて、次いで検定されるべきサンプルと 接触される。サンプルを除去後、特異的抗体とサンプルから取り出されたOxL DLおよび/またはMDA修飾LDLが、検出手段によって視覚化および/また は定量される。検出手段は標識された特異性の低い2次抗体であり得る。この抗 体は、捕捉された分析物のapoB−100部分の別の個所を認識する。 競合ELISAの場合、OxLDLまたはMDA修飾LDLでコートされた固 体基質は、あらかじめ定めた時間、モノクローナル抗体mAb−4E6とOxL DLおよび/またはMDA修飾LDLの含有が分かっている、または含有すると 思われるサンプルとに接触される。時間経過後に、結合していない抗体とサンプ ルが除去され、基質に結合したOxLDLおよび/またはMDA修飾LDLと抗 体との結合反応が視覚化および/または定量される。競合ELISAにおける定 量は間接的である。抗体とサンプル中の分析物との結合が測定されるのではなく 、 代りに、基質上にコートされた(結合した)既知量のOxLDLまたはMDA修 飾LDLに結合した抗体の量が測定されるからである。基質上にコートされた既 知量のOxLDLまたはMDA修飾LDLに結合した抗体の量が多いほど、サン プル中の分析物は少ない。 さらに他の観点において、本発明はMDA修飾LDLを含有する安定な標準物 に関する。このLDLリシン部分の置換程度は、生物的材料について普通の貯蔵 中に正常な期間を通じて基本的に一定に止まっているものである。この標準物の MDA修飾LDLをつくるには、マロンジアルデヒドをLDLに、LDLのap oB−100部分に対するマロンジアルデヒドのあらかじめ測定した分子比で、 接触(インキュベート)させる。 “生物的材料について普通の貯蔵中に正常な期間を通じて”とは、アッセイな どの検査業務で使用すべき生物材料が一般的に貯蔵される時間(期間)および条 件を意味する。これらの条件には一般的に低温が含まれ、適当な場合に凍結乾燥 を伴う、伴わない冷却が含まれる。特定の生物材料によって異なるが、材料が適 当な温度などの条件(例えば、振動などの欠如、適切な湿度)で貯蔵されると、 その材料は少なくとも3カ月、望ましくは1年以上、好ましくは2年以上、最も 好ましくは3年以上安定であり得る。 標準物は、LDLの酸化を触媒する存在金属イオンの能力を低下せしめる薬剤 (例えば、EDTAなどのキレート剤)および/または1以上の抗酸化剤(例え ばBHTおよび/またはビタミンE)を好ましくは含有する。好ましくは、LD Lの酸化を触媒する存在金属イオンの能力を低下せしめる薬剤と抗酸化剤の両者 が用いられる。驚くべきことに、OxLDLとMDA修飾LDLの両者に特異的 な抗体を用いるとき、本発明の安定な標準物(MDA修飾LDLを含み、OxL DLを含まない)を使用できることが分かった。このことは、OxLDLを含有 する安定な標準物を処方し、貯蔵し、使用するのを試みる必要がないと云うこと である。OxLDLは典型的な貯蔵条件で酸化を継続するかも知れないので、O xLDL含有の組成物を標準物として使用するのは、不可能と云うわけでないが 、困難である。EDTAの一般的な使用において、濃度は0.5〜5mM、好ま しくは0.5〜2mMである。BHTの一般的な使用において、濃度は5〜50 μ m、好ましくは10〜20μmである。ビタミンEの一般的な使用において、濃 度は5〜50μm、好ましくは10〜20μmである。標準物は抗血小板剤およ び凝固阻害剤も含有し得る。 MDAでの処置により修飾されたLDLは、高度に安定であることが分かった 。このようなMDA修飾LDL(酸化されていない。すなわちその脂質部分が酸 化されていない)を対照の血漿サンプルに加えることができる。このサンプルは 、リシン置換の程度を増加しないで、凍結および解凍することができる。すべて のapoB−100分子中のリシン残基の全数が同じであるので、反応混合物中 の一定のMDA/apoB−100の分子比率は、MDA修飾LDL中の置換リ シン数を同じにする。対照的に、例えば、LDLの金属イオン誘導酸化は種々の 程度のリシン置換を最終的にもたらす。なぜなら、リシン置換がLDL製剤の酸 化感応性に依存的であり、LDL製剤自体が脂肪酸組成および抗酸化剤の含量に 依存的であるからであり、これは対照の健常人においても大きく相違し得る。 下記するように、心臓移植患者におけるLDL酸化と移植後の動脈硬化の程度 との相関を、本発明を用いて確立した。内皮損傷とLDL修飾との関係を、動脈 硬化性心血管系疾患の高い危険性のある慢性腎不全の患者で確立した。また、内 皮損傷がアテローム性動脈硬化症における最初の段階であることも示す。 心臓移植および慢性腎不全の患者血漿に由来する酸化修飾されたLDLの特性 に基づき、脂質酸化に独立の細胞誘導アルデヒド修飾が少なくも部分的に関与し ていると結論した。この知見によって、酸化修飾されたLDLについてのアッセ イがOxLDLとアルデヒド修飾LDLの両者を検出するとの仮説が支持される 。 さらに他の観点において、本発明は、サンプル中のOxLDLまたはMDA修 飾LDLおよび両者を測定するためのサンドウィッチアッセイ実施用のキットに 関する。このキットは、OxLDLまたはMDA修飾LDLまたは両方に高親和 性を有する第1抗体が結合する基質、apoB−100部分当り少なくとも60 置換リシン部分を夫々有するOxLDLおよびMDA修飾LDL、およびアッセ イ中に第1抗体に結合するOxLDLに、アッセイ中に第1抗体に結合するMD A修飾LDLに、またはアッセイ中に第1抗体に結合する両者に、高親和性を有 する標識抗体を含む。好ましくは、キットはさらに、標識抗体との反応のための 反応物質(例えば、酵素)を含み、標識抗体の存在を表示する。好ましくは、キ ットはまた、例えば安定な検定剤および/または安定な対照物の形態において安 定な標準物を含む。例えば、結合抗体はmAb−4E6またはmAb−1H11 であり、標識抗体はmAb−8A2であり得る。 図面の簡単な説明 本発明をさらに説明するために、以下の図面を提示する。 図1は、Watanabe遺伝性高脂血症ウサギ(A)およびミニブタ(B)の冠状損 傷における酸化およびMDA修飾LDL量の相関関係を表わす。 図2は、虚血性心疾患であるが、拡大心臓ミオパチーのない患者の心臓外植の 冠状動脈硬化におけるOxLDLおよびMDA修飾LDLの蓄積を表わす。 図3は、溶液中の天然のLDL、OxLDLおよびMDA修飾LDLによる、 mAb−4E6の固定OxLDLとの結合に対する阻害を表わす。 図4は、サンドウィッチELISAにおけるMDA修飾LDLで得られた典型 的な標準曲線を表わす。 図5は、種々の範囲の血管造影で検定された動脈硬化症を有する心臓移植患者 の移植後の血漿サンプルにおけるOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLのレベ ルを表わす。 図6は、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの血漿レベルと特異的自己抗 体の力価との相関関係を表わす。 図7は、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの血漿レベルとvon Willebra nd因子抗原の血漿レベルとの相関関係を表わす。 これらの図面は、説明の目的のために提示されるものであって、本発明を不当 に制限するに用いられるべきでない。 本発明の詳細な説明 本発明を以下の実施例と共に更に記載する。それは解説目的であり、本発明を 制限するために用いるべきではない。実施例 実施例1OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLに特異的な抗体の調製および特性角析 Balb/cマウスをOxLDLまたはMDA修飾LDLの何れかで静脈注射 および腹膜内注射することにより免疫化した。OxLDLは、塩化銅(最終濃度 640μM)と共に16時間37℃でLDL(最終apo B-100濃度700μ g/ml)をインビトロでインキュベーションすることにより得た。MDA修飾 LDLは、0.25M MDA溶液と共に3時間37℃でLDL(最終濃度apo B-100濃度700μg/mL)をインキュベーションすることにより調製し た。TBARSアッセイで測定した多くの置換リシンは、OxLDLの場合ap o B-100あたり典型的には210であり、MDA修飾LDLの場合240で あった。ハイブリドーマは、標準的な技術によりP3-X63/Ag-6.5.3 骨髄腫細胞と免疫化マウスから得られた膵臓リンパ球のPEG誘導性融合により 得られた(4)。特異的抗体を産生するハイブリドーマのスクリーニングは、マロ ンジアルデヒド-修飾LDLまたは銅酸化LDLで被覆したマイクロタイタープ レーとを用いELISA法で行った。308のハイブリドーマを、OxLDL( 211)またはMDA修飾LDL(97)の何れかでマウスを免疫化した後に得た 。Hyb4E6はマロンジアルデヒド修飾および銅酸化LDL(mAb-4E6) の両方に特異的な抗体を産生し、Hyb1H11はマロンジアルデヒド修飾LD L(mAb-1H11)にのみ特異的な抗体を産生した。抗体のIgG画分をプロ テインAセファロースのアフィニティークロマトグラフィーで精製し、精製Ig Gの親和性を固相放射性免疫アッセイおよびまたはELISAで測定した。モノ クローナル抗体mAb-4E6のKa値は、天然のLDLに対し106-1未満で あり、マロンジアルデヒド修飾LDLおよび銅酸化LDLに対し109-1より 大きかった。マウスをLDLで免疫化した後に得られるモノクローナル抗体mA b-8A2のKa値は、全LDL型に対し109-1より大きかった。MDA修飾 LDLおよびOxLDLの脱脂質の結果、mAb-4E6の免疫反応性に損失が 起きることから、この免疫活性が酸化的修飾LDLのタンパク質部分の配座エピ トープに特異的であることが示唆される。 実施例2Watanabe 遺伝性高脂血症ウサギおよびコレステロールの豊富な餌によるミニブタ の冠動脈損傷におけるOxLDLおよびMDA修飾LDL定量のmAb-4E6 使用 通常の餌で飼育した2から5ヶ月のWatanabe遺伝性高脂血症ウサギ(n=30) またはコレステロール(4%)、飽和脂肪(14%牛脂)および胆汁抽出物(1%)の 豊富な餌を6から24週間与えたミニブタ(n=26)から冠動脈を採取した。 動脈試験体を、採取後30分間4%シュクロース、20μM ビタミンEおよ び酸化防止剤として10μM ブチル化ヒドロキシトルエン、および1mM ED TAを含むPBS(pH7.4)に浸し、液体窒素で急速冷凍し、-80℃で保存し た。凍結した7μM切片をヘマトキシリンおよびエオシンならびにオイル・レッ ド0で染色するか、または下記のように免疫染色した。アテローム性動脈硬化性 損傷の形態計測性パラメーターを、Leica 2 Quantimet color image analyzer(C ambridge、UK)を用いる面積測定により測定した。外部弾性層、内部分裂層およ び管腔内部分を測定した。中膜は内部および外部分裂層の間の部分と定義した。 脈管内膜は脈管管腔が占めていない内部弾性層内部分として定義した。 リポプロテインを含む酸化apo B-100は特異的モノクローナル抗体mA b-4E6、ウサギ抗マウスIgG抗体連結アルカリホスファターゼおよびフク シン・アルカリホスフェート・サブストレート・システム(Dako、Carpinteria、 CA)で検出され、吸収はカラー・イメージ・アナライザーで測定した。免疫染色 の特異性は、過剰銅酸化LDLで染色が阻害されるが、天然LDLまたはマロン ジアルデヒド修飾アルブミンでは阻害されないことにより確認した。染色は、そ のモノクローナル抗体、mAb-13F6(apo B-100に特異的である)と 共存した。過剰銅酸化LDLで測定した吸収(約10%)からバックグラウンドの 染色が推定された。 図1は、Watanabe高脂血症ウサギ(A)およびミニブタ(B)における損傷でのリ ポプロテイン、即ちOxLDLおよびMDA修飾LDLを含む酸化apo B-1 00のレベルと、冠動脈損傷の内膜面積との相関関係を示す。このデータは、2 種の動物モデルにおけるOxLDLおよびMDA修飾LDLの蓄積と、心臓のア テローム性動脈硬化損傷の進行との相関関係を表わしている。Watanabeウサギで は、損傷の進行は、遺伝性LDLレセプター欠損に伴うLDLコレステロール増 加が原因である。一方、ミニブタにおける進行は餌誘発性LDLコレステロール 増加が原因である。 実施例3免疫組織化学 1.一般説明 この実施例は、ヒトアテローム性動脈硬化損傷に適用される免疫組織化学にお ける高特異性抗体の使用の典型的な例である。同様の手法において、相当する実 験が行われ得、その条件は当分野で当業者が通常の知識を用いれば適用され得る 。 2.材料および方法 虚血性心疾患(n=7)または拡張型心筋症(n=7)の患者からの移植時に得ら れる冠動脈試験体を上記のように(文献7)処置した。試験体は、心臓除去後30 分以内に4%シュクロース、20μM ビタミンEおよび酸化防止剤として10 μMブチル化ヒドロキシトルエン、および1mM EDTAを含むPBS(pH7 .4)中に採取し、-80℃に保存した。凍結した7μm薄切片を切除し、ヘマト キシリンおよびエオシンで染色した。各試験体について84μm間の6から8切 片を分析すると典型的な結果となった。2重のスライドの展開をモノクローナル 抗体、mAb-4E6(酸化LDLに特異的)、PG-M1(ヒトマクロファージに 特異的)、または1A4(ヒト平滑筋α-アクチンに特異的)(何れもDako SA、Glos trup、Denmarkより)について行った。mAb-4E6の結合の特異性は、OxL DLで阻害されるが天然LDLでは阻害されないことにより確認された。 3.結果 移植前の拡張型心筋症を伴う7個体の冠動脈セグメントはアテローム性動脈硬 化損傷を含まず、モノクローナル抗体はこれらセグメントにおいてOxLDLお よび/またはアルデヒド修飾LDLを検出しなかった。移植前虚血性心疾患を伴 う7個体の冠動脈セグメントは全て、OxLDLおよび/またはアルデヒド修飾 LDLを含むアテローム性動脈硬化損傷を含んでいた(図2)。この情報から、抗 体が高特異的手法でアテローム性動脈硬化損傷のOxLDLを検出するというこ とが十分言える。 OxLDLは、マクロファージ泡沫細胞(50%未満の狭窄を有する損傷で選 択的に)、平滑筋泡沫細胞および壊死性脂質コア(50%未満の狭窄を有する損傷 で選択的に)と結合した。マクロファージおよび平滑筋細胞は、特異的モノクロ ーナル抗体で免疫染色することにより同定された(5)。これらデータは、LDL 酸化が虚血性冠動脈疾患の進行と関係しているかもしれないという仮説を支持し た。次いで、組織切片において免疫反応物質を検出した本発明モノクローナル抗 体mAb-4E6を、更にELISAに使用した(実施例4参照)。 4.図2の説明 拡張型心筋症を有する患者(男性;40歳)(a、b)および虚血性心疾患を有す る患者(男性;57歳)(c-f)の典型的左腹側下行性冠動脈試験体の光学顕微鏡 撮影(a、c、e;x40)および位相差顕微鏡撮影(b、d、f;x400)。組 織片をモノクローナル抗体mAb−4E6で免疫染色した。酸化LDLは、最初 の患者(a、b)の新動脈内膜では検出されなかったが、2番目の患者のプラーク で認められた。酸化LDLは、繊維プラークのショルダー部分で浸潤したマクロ ファージ泡沫細胞(c、d)および繊維キャップの平滑筋泡沫細胞(e、f)と結合 していた。 実施例4競合ELISA 1.一般説明 本発明に従い、ELISAを血漿中のOxLDLおよびアルデヒド修飾LDL の定量用に確立した。それは、銅酸化LDL被覆マイクロタイタープレートのウ ェルに対するmAb-4E6結合の阻害を基礎とした。この抗体は実施例1に記 載の通りに得られた。 2.材料および方法 標準的なOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLと血漿サンプルとを、インビ トロでのLDL酸化および血小板活性化を防ぐために1mM EDTA、20μ M ビタミンE、10μM ブチル化ヒドロキシトルエン、20μM ジピリダモ ールおよび15mM テオフィリンを含むPBSで希釈した。等量の希釈精製m Ab-4E6溶液(最終濃度7.5ng/ml)と等量の希釈標準溶液(50から5 00ng/mlの範囲の最終濃度でリガンドと競合するように加えた銅酸化LD L)を混合し、室温で30分間インキュベーションした。次いで、混合物200 μlアリコートをMDA修飾LDLまたはOxLDLで被覆したウェルに加えた 。 サンプルを2時間室温でインキュベーションした。洗浄後、ウェルをマウス免 疫グロブリンに対し生じたセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合ウサギIgGで 1時間インキュベーションし、再び洗浄した。ペルオキシダーゼ反応は上記(5) に記載の通り行い、吸光度(A)を492nmで測定した。 競合リガンドのない対照および抗体のないブランクを通常通り含めた。免疫リ ガンドに対するmAb-4E6結合の阻害率を で算出し、阻害率対競合リガンド濃度をプロットすることにより標準曲線を作成 した。 検出下限は、希釈していないヒト血漿中では0.020mg/dlであった。 変化のイントラアッセイおよびインターアッセイ係数はそれぞれ10および12 %であった。標準的なOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLおよび血漿サンプ ルを上記のように酸化防止剤および抗血小板剤を含むPBSで希釈した。 3.結果 OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLに対するmAb-4E6の特異性を図 3に示す。免疫化OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLに対するmAb-4E 6の結合の50%阻害が、それぞれ0.025mg/dl銅酸化LDLおよび2 5mg/dl天然LDLで得られた。C50値、即ち抗体結合の50%阻害を得る のに必要な濃度が、apo B-100分子あたり60の置換リシン残基を有する MDA修飾LDL2.5mg/dlからapo B-100分子あたり240の置 換リシン残基を有するMDA修飾LDL0.025mg/dlに増加した(図3) 。銅酸化により、apo B-100部分は断片化したが、mAb-4E6の結合 は破壊されなかった(図3)。50倍分子濃度のMDA修飾アルブミンが50%阻 害 に必要である(示さず)。一方、1,000倍までの分子濃度のMDA修飾リシン はmAb-4E6結合に影響しなかった。患者の血漿から単離したOxLDLお よびアルデヒド修飾LDLは、120の置換リシンを有する銅酸化LDLおよび 210の置換リシンを有する銅酸化LDLと同じくらいの反応性を有した。変化 のイントラアッセイおよびインターアッセイ係数は、それぞれ10および12% であった。銅酸化LDLを最終濃度0.25および2mg/dlでヒト血漿に加 えたとき、それぞれ回収は95および100%であった。 4.図3の説明 溶液中の競合リガンドとmAb-4E6の相互作用。銅酸化LDL(1μg/m l)がプレート化抗原であった。mAb-4E6を競合リガンドの非存在下および 存在下で加えた:重症慢性腎不全患者から単離した、銅酸化LDL(▽)、apo B-100あたりそれぞれ240(■)、120(◇)、90(○)および60(●)の ブロックリシンまたは置換リシンまたは修飾リシンを有するMDA修飾LDL、 天然LDL(▲)、およびOxLDLおよびアルデヒド修飾LDL(◆)。結果をB /Boで示す。但し、Boは競合リガンド非存在下におけるmAb-4E6結合量 であり、Bは競合リガンド存在下におけるmAb-4E6結合量である。 実施例5サンドウィッチELISA 1.一般説明 本発明に従い、サンドウィッチ型ELISAを血漿中のOxLDLおよびアル デヒド修飾LDL定量用に確立した。それは、モノクローナル抗体mAb-4E 6被覆マイクロタイタープレートのウェルに対する免疫反応性物質の結合および ペルオキシダーゼラベルモノクローナル抗体mAb-8A2を使用する結合免疫 反応物質の検出を基礎とする。ELISAのこのバージョンは、臨床検査での使 用に、より適当である。限られた期間、典型的には2週間、−4℃でやっと維持 できるインビトロでの酸化LDLおよび/またはアルデヒド修飾LDL標準溶液 を調製しなければならないという必要がなくなるからである。MDA修飾LDL を参照血漿に添加することができ、その標準調製物は最大1年の期間−80℃で 保存し得る(上記参照)。 2.材料および方法 標準的調製物および血漿サンプルを、上記のように酸化防止剤および抗血小板 剤を含むPBSで希釈し、10と0.01nMとの間のマロンジアルデヒド修飾 LDLを含む80倍希釈血漿アリコート180μlおよび標準溶液アリコート1 80μlをmAb-4E6被覆マイクロタイタープレートのウェルに適用(4μg /ml IgG溶液200pl)し、2時間室温でインキュベーションした。洗浄 後、ウェルをセイヨウワサビペルオキシダーゼ結合mAb-8A2、IgG(最終 IgG濃度65ng/ml)で1時間インキュベーションし、再度洗浄した。ペ ルオキシダーゼ反応は上記の通り行った。492nmで測定した吸光度は、1. 5nMと0.3nMとの間の範囲のアルデヒド修飾LDL濃度の対数値と相関す る。 3.図4の説明 サンドウィッチELISAmAb-4E6の標準曲線はプレート化抗体であっ た。MDA修飾LDLがリガンドであった。結合したMDA修飾LDLをセイヨ ウワサビペルオキシダーゼ結合mAb-8A2で検出した。MDA修飾LDLを 8つの血漿サンプルに加え、最終濃度100nMとし、さらに緩衝液で希釈し2 から0.2nMの範囲の最終濃度とした。 実施例6移植後冠動脈疾患の診断におけるELISAの使用 1.一般説明 本発明のELISAを用い、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの血漿レ ベルと移植後冠動脈疾患との関係を調べた。 2.材料および方法 2.1.患者 移植後試験群は拡張型心筋症について移植をした47患者および虚血性心疾患 の処置をした60患者を含んだ。これら患者の臨床的特徴を表1に要約した。血 液採取期間、即ち外科手術後12から84月間、全患者に急性拒絶の徴候は見ら れず、心臓の状態は安定していた。14患者(7拡張型心筋症患者および7虚血 性心疾患患者)より、心臓外植片の冠動脈を単離し、免疫組織化学により調べた( 実施例3で示すように)。喫煙習慣に関する適確な情報が、107患者のうち9 2患者について得られた(16の喫煙者および76の非喫煙者)。提供者の喫煙習 慣については適確な情報がなかった。アテローム性動脈硬化心臓血管疾患歴のな い53人の非喫煙対照者(男性25/女性28;年齢:52±1.3歳)から血液 サンプルを得た。対照は年齢、性別およびLDLコレステロールレベルについて 適合していた。このサンプルは検査室員および臨床従事者から採取した。 2.2.冠動脈造影 通常の冠動脈造影が血液採取時の全移植後患者に行うことができた。冠動脈疾 患は、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLレベルを知らされていない2人の 冠動脈造影者により独立に判定され、以下のように等級付けた: 0等級:正常冠動脈 I等級:第1または第2分岐の50%未満の狭窄および正常の左心室機能を伴う 軽症異常 II等級:第1または第2分岐の50%以上の狭窄、または左心室機能の欠損を 伴う遠位併発。 全身性血管造影は心臓移植受容者の冠動脈内膜肥大の程度を過小評価すること が知られている。それゆえ、この試験は、我々の患者の冠動脈疾患を正確に定量 しようという試みではない。むしろ上記グループの区分は、容易に識別でき組織 病理学的知見との相関が見られる血管造影データに依存する。107患者のうち 、46患者が3年前には正常の冠動脈造影図を有し、3年の調査期間内の血管造 影性冠動脈疾患の進行がこれら全ての患者で判定されていた。参照の正常冠動脈 の造影は、18患者では1番目の手術後血管造影、14患者では2番目および1 4患者では3番目であった。 この試験はInstitutional Review Boardに承認されており、試験対象者はイン フォームドコンセントを受けていた。 2.3.血液採取 患者および対照から静脈血液サンプルを、インビトロでLDL酸化および血小 板活性化を防止するために1mM EDTA、20μM ビタミンE、10μM ブチル化ヒドロキシトルエン、20μM ジピリダモルおよび15mM テオフィ リンを含む0.1volの0.1M クエン酸に採取した。血液サンプルを採取 から1時間以内に3,000g、15分間、室温で遠心分離し、アッセイを行う まで−20℃で保存した。 2.4.リポプロテイン:単離および修飾 LDLは、絶食させた正常リポタンパク提供者のプール血清から密度勾配超遠 心分離により単離した(文献6)。MDA修飾および銅酸化LDLの標準的調製は 、他での記載(7、8)の通り調製し、アッセイ対照として使用した。インビトロ MDA修飾LDL(7)および銅酸化LDL(8)のapo B-100分子はそれぞ れ平均244および210の置換リシン(全て356のうち)を含んでいた(5、 9)。インビトロMDA修飾LDLおよび銅酸化LDL内のリシン置換の程度は 同程度である。一方、前者の脂質部分は酸化されていない。MDA修飾LDLお よび酸化LDLの両方に対するモノクローナル抗体の特異性は、タンパク質(リ シン)修飾の程度にのみ依存するようである。全リポプロテイン濃度は、タンパ ク質で表わした。患者の血漿から単離したOxLDLおよびアルデヒド修飾LD Lは、従来の通り特性解析された(5、9)。 2.5.アッセイ コレステロールおよびトリグリセリドを酵素学的方法で測定した(Boehringer Mannheim,Meylon,France)。主要組織適合複合体クラスI(HLA-B)およびク ラスII(HLA-DR)抗原型のクラス分けは、微小リンパ球細胞毒性技術でも って行った。 本発明のELISAをOxLDLおよびアルデヒド修飾LDL検出に用いた。 2.6.統計解析 対照および患者をANOVA試験で比較し、次いでInstat V2.05a統計プログ ラム(Graph Pad Software,San Diego,CA)で対数変換値における非パラメータ ー性Mann-WhitneyまたはDunnettの多重比較試験で比較した。非定量的パラメー ターをカイ二乗分析で比較した。同じ血漿サンプルの3アリコートで測定したO xLDLおよびアルデヒド修飾LDLレベルをFriedman非パラメーター性反復測 定試験で比較した。SASソフトウェア(SAS Institiute Inc.,USA)を用いた理 論回帰分析で、血管造影で判定した冠動脈狭窄(独立変数として)と、独立変数と して、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDL、受容者の年齢・性別、提供者の 年齢・性別、移植前の虚血性心疾患または拡張型心筋症歴、虚血の持続、追跡期 間、拒絶数、HLA-ミスマッチ数、サイトメガロウイルス感染、高血圧(抗高血 圧処置)、糖尿病、脂質低下薬(スタチンまたはフィブレート)での処置、および LDLコレステロール、HDLコレステロールおよびトリグリセリドの血清レベ ルとの相関関係を評価した。0.05未満のp-値が統計学的に有意であるとし た。理論回帰分析で、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLと、3年間の調査 期間での冠動脈狭窄との相関関係も評価した。 3.結果 OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLと冠動脈狭窄との相関関係を、拡張型 心筋症の47患者および虚血性心疾患の処置をした60患者で評価した。心臓移 植患者2グループの臨床データ分析(表1)では、受容者の年齢・性別、提供者の 年齢・性別、提供者心臓の虚血の持続、拒絶発症数、HLA-ミスマッチ、サイ トメガロウイルス感染回数、高血圧または糖尿病、および冠動脈狭窄の等級に有 意な相違は見られなかった。虚血性心疾患のために移植した患者は、より長期間 調査され、しばしば脂質低下薬を受けた(表1)。 臨床検査の分析(表2)では、患者グループ間または患者と対照の間でトリグリ セリド、HDLコレステロールおよびLDLコレステロールの血清レベルに有意 差は見られなかった。しかし、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLレベルで 有意差が観察された。OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの平均血漿レベル は、拡張型心筋症患者では1.3±0.14mg/dl(p<0.001対対象) および虚血性心疾患患者では1.7±0.13mg/dl(p<0.001対対 照および<0.01対拡張型心筋症患者)であった(表2)。年齢、性別およびト リグリセリド、HDLコレステロールおよびLDLコレステロールに相応する、 対照患者におけるOxLDLおよびアルデヒド修飾LDL血漿レベルは、0.6 0±0.034mg/dlであった(n=53;p<0.001対移植した拡張 型心筋症および虚血性心疾患患者の両方)。 OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLレベルは、採取後24時間から4ヶ月 間保存してもサンプル中では相違せず、4回以下の融解凍結のサイクルはOxL DLおよびアルデヒド修飾LDLレベルの増加の原因とはならなかった。これら 知見から、EDTA、酸化防止剤および抗血小板剤によりインビトロのLDL酸 化を十分に防止することが判明した。87の連続する血漿サンプルにおいてOx LDLおよび/またはアルデヒド修飾LDLのレベルを相違の3日で3つの個別 アリコートで測定した。レベルはそれぞれ1.30±0.074mg/dl、1 .48±0.101mg/dlおよび1.46±0.090mg/dlであった 。Friedman非パラメーター性反復測定試験では有意差は見られなかった。 平均OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLレベルは、血管造影正常冠動脈を 有する患者(0等級)の移植後サンプルでは1.2±0.053mg/dl(n= 79)であり、I等級の冠動脈狭窄を有する患者では2.1±0.30mg/d l(n=18;p<0.001対0等級)であり、そして等級IIの冠動脈狭窄を有 する患者では3.2±0.45mg/dl(n=10;p<0.001対0等級 およびp<0.05対I等級)であった(図5)。LDLコレステロール、トリグ リセリドおよびHDLコレステロールの血清レベルは、高い等級の冠動脈狭窄を 有する患者で非常に近似していた。拡張型心筋症または虚血性心疾患(同等級の 冠動脈狭窄を有する)のために移植した患者の血漿サンプル中のOxLDLおよ びアルデヒド修飾LDLレベルは近似しており、0等級患者の場合1.1±0. 072および1.4±0.079mg/dl、および高い等級の冠動脈狭窄を有 する患者の場合2.6±0.60および2.4±0.29mg/dlであった。 高いレベルのOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLを有する多くの患者(>1 mg/dl、即ち対照+2SDの平均レベル)は、移植前虚血性心疾患を有する 患者群の中で43(60のうち)であり、移植前拡張型心筋症を有する患者群の中 で21(47のうち)であった。血管造影正常冠動脈を有する79の患者のうち4 2は高いレベルのOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLを有していた。高いレ ベルは、等級Iを有する12の患者(18のうち)および等級IIの狭窄を有する全 患者において検出された(傾向としてp=0.0046)。 ELISAで検出される免疫反応性物質の更なる特性解析をするため、LDL 画分を等級IIの冠動脈狭窄を有する10の全患者の血漿から単離した(18)。こ れら画分が、85±10%(平均±SD)の免疫反応性物質を維持する一方、血清 アルブミンの位置に移動する免疫反応物質はなかった。OxLDLおよびアルデ ヒド修飾LDLは、回収率75%のモノQセファロースカラムを用いるイオン交 換クロマトグラフィーによる単離LDL画分から単離した。apo B-100分 子あたり置換リシン数は、天然LDLの場合の5±1(p<0.001)と比べて OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの場合130±10であった。それぞれ のコレステロール/タンパク質の比は、3.3±0.54および1.8±0.3 6であった(p<0.001)。これら患者から単離されたOxLDLおよびアル デヒド修飾LDL中のアラキドネートおよびリノリエートのレベルは、同じ血漿 サンプルから単離した天然LDL中のものよりも75%および80%低かった。 心臓移植患者の血漿から単離したOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLより得 られる阻害曲線は、同程度のタンパク質修飾のインビトロ酸化LDLより得られ たものと重なった(apo B-100分子あたり120の置換リシン)(図3)。 これら患者の血漿から単離したOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLのEL ISAにおけるタンパク質/抗原比率および相対的反応性は、銅酸化またはMD A修飾標準LDL調製の場合に近似した。 理論回帰分析(表3)より、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLレベル、調 査期間および提供者年齢を含む、移植後冠動脈狭窄と有意にそして独立して相関 する3つのパラメーターが特定された。 対照的に、移植前の拡張型心筋症または虚血性心疾患歴、受容者の年齢および 性別、提供者の性別、提供者心臓の虚血の維持、HLA-ミスマッチの程度、拒 絶数、高血圧、糖尿病、および受容者のLDLコレステロール、HDLコレステ ロールおよびトリグリセリドの血清レベルは、冠動脈狭窄程度の個々の変化に影 響する(表3)。 患者のLDLコレステロール、HDLコレステロールおよびトリグリセリドの 血清レベルは対照に近似しており(表2)、従って、高い等級の冠動脈狭窄が試験 グループのこれらの変数に依存しているとはみられない。107移植患者のうち 56人が脂質低下薬(スタチンが46人、フィブレートが10人)の投与を受けた が、これら薬剤の処置は血管造影性移植片血管症の発症と相関しなかった(表3) 。75(107のうち)患者をカルシウム・チャンネル・ブロッカーで処置した。 これら患者のOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの血漿レベル(1.53± 0.11mg/dl)は、非処置患者(1.74±mg/dl)と非常に近似し、 これら薬剤の処置は冠動脈狭窄の程度と相関しなかった。 冠動脈疾患の進行は、3年の調査期間で46心臓移植患者のうち12患者で観 察された。冠動脈疾患の進行した患者と進行してない患者との間で、受容者の年 齢・性別、提供者の年齢・性別、虚血の持続、HLA-ミスマッチの程度、サイ トメガロウイルス感染回数、高血圧および糖尿病に相違はなく(表4)、またトリ グリセリド、HDLコレステロールおよびLDLコレステロールの血清レベルも 相違はなかった。しかし、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLのレベルは、 冠動脈疾患の進行した患者で有意に上昇していた(表5)。 理論回帰分析により、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの血漿レベル( カイ二乗値=7.1;p=0.0076)および提供者の年齢(カイ二乗値=4. 4;p=0.035)から患者の冠動脈疾患の進行が予測される。これらの患者 のうち3人で最初の年に、3人で2年目に、6人で3年目に冠動脈疾患が進行し た。OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの血漿レベルは、それぞれ3.9± 0.6mg/dl、2.0±0.37mg/dlおよび1.2±0.33mg/ dlであった。統計解析からは性別、高血圧およびサイトメガロウイルス感染に 相関関係は見られないが、これらの12患者のうち8患者が男性、高血圧であり 、サイトメガロウイルスに感染していた。 4.考察 これから以下のことが説明される: 1)虚血性心疾患を有するが拡張型心筋症を有しない患者の心臓外植片は、 アテローム・プラークにおけるマクロファージ中および平滑筋細胞中に酸化LD Lを含む; 2)移植後冠動脈疾患は、拡張型心筋症のためまたは虚血性心疾患のため移 植した両方の患者のOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの増加血漿レベルと 関係する; 3)OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの増加血漿レベルは冠動脈狭窄 の進行と相関する。 血管造影的に検出できる冠動脈損傷を有さない心臓移植患者の血漿サンプル中 のOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLレベルは、アテローム性動脈硬化心臓 血管疾患歴のない対照患者の血漿サンプルより2倍高くなった。それら被験者で は、年齢、性別、およびLDLコレステロール、HDLコレステロールおよびト リグリセリドの血漿レベルが相応していた。更に、明らかな冠動脈狭窄を有する 患者の移植後血漿サンプルで2.7倍の増加が観察された。これらのデータは、 OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの高い血漿レベルが移植後冠動脈狭窄の 指標となり得ることを示唆する。OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの増加 血漿レベルは冠動脈狭窄の程度に相関し、その進行にも相関した。これは、Ox LDLおよびアルデヒド修飾LDLが心臓移植患者の冠動脈疾患の進行を加速す る病原となり得ることを示唆した。 移植後アテローム性動脈硬化は内皮の“創傷に対する応答”の結果であること が示唆されている(10)。心内膜心筋生検の虚血性創傷の程度が、加速されたア テローム動脈硬化の進行の強力なプレディクターとなることが実際に判明した( 11-13)。内皮創傷は、冠動脈内皮においてクラスII組織適合性(HLA)抗 原により顕現化する細胞性遅延型高感度免疫応答(14)により、サイトメガロウ イルス感染(15、16)により、サイクロスポリン(17)により、そしてサイク ロスポリンと相乗的に作用し得る(19)OxLDLおよびアルデヒド修飾LDL (18)により誘発され得る。本試験において、対の提供者と受容者間の組織不適 合性の程度、拒絶発症数またはサイトメガロウイルス感染は、冠動脈狭窄の等級 と相関しなかったが、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLは、移植後冠動脈 疾患と有意にそして独立して相関した。提供者の年齢と冠動脈疾患の発症との間 で観察される関係は、提供者心臓の冠アテローム性動脈硬化が移植後冠動脈狭窄 を加速し易くする(20)という従前の知見と一致する。 虚血性心疾患患者の心臓外移植片の冠動脈内でのOxLDLおよびアルデヒド 修飾LDLから示唆されるのは、動脈壁に蓄積するOxLDLおよびアルデヒド 修飾LDLが冠動脈狭窄の進行に寄与し得ることである。OxLDLおよびアル デヒド修飾LDLのコレステロール/タンパク質の比は以前述べられた(21、 22)ようにアテローム性動脈硬化損傷から抽出されたLDLの場合に非常に近 似していた。可能性ある説明は、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの少な くとも一部が動脈壁から放出されるということである。以前、我々は、急性心筋 性感染のプラーク破裂が酸化性修飾LDLの放出と関係することを証明した(5) 。 インビトロのデータから、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLは連続事象 でアテローム発生と関連し得ることが示唆される(文献2、23)。OxLDLお よびアルデヒド修飾LDLにさらされる内皮細胞は、接着分子、化学的誘引タン パク質、および動脈壁への単球/マクロファージの浸透、増殖および蓄積を促進 するコロニー刺激因子を分泌する。浸透したマクロファージによるOxLDLお よびアルデヒド修飾LDLの取込みは、酸素ラジカルを生ずる泡沫細胞を発生す る結果となり得、そのため更にLDLの酸化に影響を与える。OxLDLおよび アルデヒド修飾LDLがインビトロで大動脈内皮細胞の移動を阻害することが分 かっている。これから示唆されるのは、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDL が創傷後内皮の治療応答を制限し、インビトロで基礎線維芽細胞成長因子がヒト 冠脈管形成様応答のアテローム性動脈硬化関連障害をなくすことである(24、 25)。OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLは、血小板接着を誘発すること により、活性化内皮の抗凝血性および繊維溶解性能を減少させることにより、お よび血管拡張を欠損し剪断応力を誘発することにより、急速に進行している冠ア テローム性動脈硬化にも影響し得る(2、23)。 フェリチン(26)またはα-トコフェロール類似体(27)の細胞内レベルの増 加が、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLによりインビトロで顕現化した内 皮創傷の程度を減少すると同時に、酸化防止剤は実験動物におけるアテローム性 動脈硬化の進行を防ぐ(文献28)。 要約すると、本実施例は、移植後アテローム性動脈硬化がOxLDLおよびア ルデヒド修飾LDLの血漿レベルと相関することを示す。 5.図5の説明 OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの血漿レベル、および冠動脈狭窄の血 管造影による判定等級。0等級:正常冠動脈;I等級:第1または第2分岐の5 0%未満の狭窄および正常の左心室機能を伴う軽症異常;およびII等級:第1 または第2分岐の50%以上の狭窄、または左心室機能の欠損を伴う遠位閉塞。 実施例7腎不全患者におけるELISAの使用 1.材料および方法 1.1.対象 患者群は、20人の軽症慢性腎不全(MCRF)および77人の重症慢性腎不全 患者から構成され、食事療法および抗高血圧処置(SCRF)を含む保全処置を2 1患者に、および66ヶ月間の週3回4時間の血液透析を56患者に行った(9 5%CI、50-82ヶ月)。全ての血液透析患者に透析後少量の酸化防止化合物 のみ(即ち、ビタミンE5mgおよびビタミンC100mg)を含む経口ポリビタ ミン製剤を与えた。対照および非透析患者はビタミン供給の決まった処方を受け ていなかった。これら患者の高頻度のアテローム性動脈硬化症(表6)は、以前に 発表されたデータ(29、30)と一致する。アテローム性動脈硬化心臓疾患、脳 血管疾患および末梢血管疾患の診断は、心筋梗塞、不安定アンギナまたは抗狭心 症性処置、脳血管発作、一過性脳虚血発作、または虚血性潰瘍、切断もしくはバ イパス外科手術のような末梢血管疾患に関係する事象歴の患者ファイルを再検討 した後に行った。血管造影は数人の患者にのみ可能であった。血液採取時または 後日何れも、不安定アテローム性動脈硬化症の症状のある患者はいなかった。腎 不全疾患またはアテローム動脈硬化血管疾患歴のない27の健常志願者のグルー プを対照とした。脂質低下薬を受けている患者は除いた。この試験はInstitutio nal Review Boardに承認されており、試験対象者はインフォームドコンセントを 受けていた。 1.2.血液サンプル 患者および対照から静脈血液サンプルを、インビトロでLDL酸化および血小 板活性化を防止するために1mM EDTA、20μM ビタミンE、10μM ブチル化ヒドロキシトルエン、20μM ジピリダモルおよび15mM テオフィ リンを含む0.1volの0.1M クエン酸に採取した。血液サンプルを採取 から1時間以内に3,000g、15分間、室温で遠心分離し、アッセイを行う まで−20℃で保存した。 1.3.アッセイ OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLおよび天然LDLに対する自己抗体の 力価を、他で(5)詳細に記載されているようにSalonen et al.(3)の通りに測定 した。vWF抗原レベルを、ポリクローナルウサギ抗ヒトvWF抗血清(Dako,G lostrup,Denmark)、セイヨウワサビペルオキシダーゼ結合ウサギ抗ヒトvWF IgG(Dako)およびo-フェニレンジアミンを基礎とするサンドウィッチ型EL ISAで測定した。全コレステロール、HDLコレステロールおよびトリグリセ リドの血漿レベルを標準的酵素学的アッセイを用い測定した(Boehringer Mannhe im,Meylon,France)。LDLコレステロールレベルをFriedewald式を用い算出 した。血液透析を行っていない患者については、クレアチニンクリアランス率は Cockcroft and Gault式(31)を用い血漿クレアチニンレベルから算出した。 1.4.統計解析 対照および患者をANOVA試験で比較し、次いでInstat V2.05a統計プログ ラム(Graph Pad Software,San Diego,CA)でDunnettの多重比較試験で比較した 。Spearmanの通りに相関係数を算出した。SASソフトウェア(SAS Institiute Inc.,USA)を用いた多重回帰分析で、独立変数としてOxLDLおよびアルデヒ ド修飾LDLと、独立変数として年齢、性別、高血圧(抗高血圧処置)、トリグリ セリド、HDLコレステロール、LDLコレステロールのレベル、およびクレア チニンクリアランス率(腎不全の程度のマーカー)およびvWFレベル(内皮創傷 のマーカー)との相関関係を調べた。 2.結果 対照におけるOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの平均血漿レベルは0. 59mg/dl(95%CI、0.52-0.66mg/dl;n=27)であり 、MCRF患者(Dunnett多重比較試験で測定するとp<0.01)より2.7倍 高く、SCRF患者(p<0.001)より3.1倍高く、そしてHEMO患者( p <0.001)より5.4倍高い。OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLレベ ルはクレアチニンクリアランス率と負の相関関係があった(r=-0.65;p< 0.001;n=73)。HEMO患者は、血漿クレアチニンクリアランスが適 切に測定できないためこの分析に含めない。 一連の14の血液透析患者において、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDL レベルは、新鮮な血漿サンプルおよび新鮮な凍結サンプルに非常に近似すること が判明した。3回の凍結融解のサイクルが、OxLDLおよびアルデヒド修飾L DLの増加の原因とはならず、酸化防止剤および抗血小板剤の添加がインビトロ の酸化を防止することが示唆される。 血漿サンプルは、透析工程の開始前の連続3日間に14の血液透析患者から得 た。これらサンプルのOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLのレベルは近似し ていた:それぞれ3.4±0.25mg/dl、3.2±0.21mg/dlお よび3.5±0.28mg/dlであった。更に、血漿サンプルは血液透析中( 2時間後)および終了時(4時間後)に得た。OxLDLおよびアルデヒド修飾L DLの血漿レベルは、透析工程開始前の3.4±0.25mg/dlと比較して 4.0±0.60mg/dlおよび4.7±0.70mg/dl(p=NS対従 前)であった。そのため、血液透析工程は、OxLDLおよびアルデヒド修飾L DLレベルに有意な増加を誘発しなかった。 喫煙習慣に関する適確な情報が対照(27非喫煙者)におよびHEMO患者(1 2の喫煙者および45の非喫煙者)について得られた。OxLDLおよびアルデ ヒド修飾LDLのレベルは、非喫煙HEMO患者(3.0mg/dl;95%C I、2.5-3.6mg/dl;p=NS)よりも喫煙HEMO患者(3.6mg /dl;95%CI、2.1-5.6mg/dl)のほうが幾分高くなった。不安 定アテローム性動脈硬化心臓血管疾患歴を有する血液透析患者のOxLDLおよ びアルデヒド修飾LDLの血漿レベルは、不安定アテローム性動脈硬化心臓血管 疾患歴を有しない血液透析患者の2.8±0.60mg/dl(n=26、p= NS)と比較して3.5±0.40mg/dl(n=30)であった。 LDL画分は、以前述べられているように(5)、セファロース6HR 10/ 30カラムのゲル濾過により、10の対照、10のMCRF患者、10のSCR F患者および10のHEMO患者の血漿から単離した。75±6%(平均±SD) 、80±4%、83±6%および79±5%の免疫反応性物質をLDL画分から 回収した。血清アルブミンの位置に移動する免疫反応物質はなかった。それぞれ のLDL画分で得られた阻害曲線は、銅酸化またはMDA修飾標準LDL調製物 によりインビトロで得られたものと平行であった。OxLDLおよびアルデヒド 修飾LDLは、回収率75%のモノQセファロースカラムを用いるイオン交換ク ロマトグラフィーによって10のSCRF患者の単離LDL画分から単離した。 その物理化学的性質を表8に要約する。患者から単離したOxLDLおよびアル デヒド修飾LDLのアラキドネートのレベルは、75%減少し、同時にリノリエ ートのレベルは80%減少した。OxLDLの37%のリシン残基がアルデヒド と置換されていた。慢性腎不全患者の血漿から単離したOxLDLおよびアルデ ヒド修飾LDLから得られた阻害曲線は、対照患者の血漿から単離した酸化LD Lよりインビトロで得たOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLにより得られた ものと平行であった(図3)。これらの患者の血漿から単離したOxLDLおよび アルデヒド修飾LDLのELISAにおけるタンパク質/抗原の比および相対的 反応性は、銅酸化またはMDA修飾標準LDL調製物の場合に近似していた(表 8)。 OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLに対する自己抗体の力価は対照では4 .2(95%CI、4.0-4.4)であり、MCRFおよびSCRF患者と近似 するが、HEMO患者(p<0.001)では有意に増加した(表7)。自己抗体力 価は、SCRF患者(r=0.44;p=0.047)およびHEMO患者(r= 0.37;p=0.0055)ではOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLレベ ルと相関した。天然LDLに対する循環自己抗体は検出できなかった。 vWFレベルは対照では100%(95%CI、90-110%)であり、MC RF患者の1.5倍高くなり(p=NS対対照)、SCRF患者では1.6倍高く なり(p<0.01)、HEMO患者では2.1倍高く(p<0.001)なった( 表7)。vWFレベルは、非喫煙HEMO患者(220%;95%CI、190- 260%;n=45)よりも喫煙HEMO患者(250%;95%、150-34 0%;n=12)が有意に高くはならなかった。vWFレベルは、MCRF患者 (r=0.59;p<0.0057)、SCRF患者(r=0.69;p=0.0 006)およびHEMO患者(r=0.62;p<0.0001)ではOxLDL およびアルデヒド修飾LDLレベルと相関した(図7)。対照的に、vWFレベル はLDLコレステロールまたは体重に相関しなかった。 多重回帰分析によれば、腎不全の程度(F=14;p=0.0004)および内 皮創傷の程度(F=26;p=0.0001)では、OxLDLおよびアルデヒド 修飾LDLレベルの有効小数(significant fraction)の変化が説明されるが、年 齢、性別、高血圧、トリグリセリドレベル、HDLコレステロールまたはLDL コレステロールレベルでは説明できない(表9)。虚血アテローム性動脈硬化症の 徴候のない対象(n=53)のみをモデル(R2値=0.68)に含むときでさえも 、腎不全の程度(F=21;p=0.0001)および内皮創傷の程度(F=14 ;p=0.0006)のみがOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLレベルの変 化に有意に影響を与えた。虚血アテローム性動脈硬化症の徴候のない対象を除い た後、他の変数は、これらの変化に有意に影響を与えなかった。虚血アテローム 性動脈硬化症の徴候のある対象(n=15)のみを含むとき、内皮創傷の程度(F =6.2;p=0.047;R2値=0.65)のみがOxLDLおよびアルデヒ ド修飾LDLレベルの変化に有意に影響を与えた。糖尿病患者を除いても何れの データにも有意な変化はなかった。独立変数として腎不全の程度を除いた後、多 重回帰分析によれば、血液透析(F=5.6;p=0.021;n=77)、LD Lコレステロールレベル(F=7.1;p=0.0095)および内皮創傷(F= 35;p=0.0001)から重症慢性腎不全患者におけるOxLDLおよびア ルデヒド修飾LDLレベルの有効小数の変化が説明された。 3.考察 インビトロの研究および動物実験のデータによると、酸化LDL(OxLDL およびアルデヒド修飾LDL)がアテローム性動脈硬化症の進行を促進するよう であり(文献2、参照)、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLがヒトのアテロ ーム性動脈硬化症プラークに見られる(5)。本発明の免疫アッセイは、apo B−100分子について60以上の置換リシンをもつOxLDLおよびアルデヒ ド修飾LDLを同定する。この分子はスカベンジャー受容体調節の取り込みに要 する置換の域値を表すものである(1)。OxLDLおよびアルデヒド修飾LDL レベルの増加は慢性腎不全患者の血漿でELISAにより測定される。 概して、患者の血漿から単離された免疫活性材料の80%が、ゲル濾過により 分離されたLDLフラクションから回収された。免疫活性材料はアルブミン位に 移動しなかった。単離OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLについて得られた 阻害曲線は、インビトロ銅酸化LDLおよびMDA修飾LDLの標準製剤での曲 線と平行した。単離OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLのタンパク質/抗原 比率およびC50値は、標準物のOxLDLおよびアルデヒド修飾LDL製剤と同 じであった。これらのデータが示唆するところによると、患者の血漿中のOxL DLおよびアルデヒド修飾LDLフラクションの免疫活性の本発明抗体による増 加が、タンパク質修飾の程度の増大に依存し、他の抗体について前に報告されて いる(32)ような脂質組成物の変化に依存するものでない。電気泳動性の増加、 リシン修飾の増加、コレステロール/タンパク質比率の増加、アラキドン酸とリ ノレート値の低下は、アテローム性動脈硬化症病変から抽出された修飾LDLの 状態(21、22)と非常に類似している。OxLDLおよびアルデヒド修飾LD Lが泡沫細胞変性を起したことは、OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLが“ 最小限での修飾”LDLでないことを示唆している。 多重回帰解析によると、慢性の腎不全および内皮損傷が、虚血性アテローム性 動脈硬化症が全く認められない患者においても、OxLDLおよびアルデヒド修 飾LDLレベルの変化に有意に寄与していたことがわかる。実際、OxLDLお よびアルデヒド修飾LDLレベルの79.6%および82.4%の変化は、これ らのモデルで説明可能である。患者に血液サンプルの採取時およびその後に、不 安定なアテローム性動脈硬化症が認められなかった。虚血性アテローム性動脈硬 化症の病歴がある患者を除去することは、腎不全および内皮損傷の程度のOxL DLおよびアテローム性動脈硬化症の変化をもたらす関与に影響を及ぼさない。 対照と患者のLDLコレステロールレベルは非常に類似しており、LDLコレ ステロール・レベルがOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLレベルの変化に関 係しなかった。Sutherland et al(33)によると、結合ジェン形成の遅延時間は 、LDLのインビトロ酸化に対する感受性の尺度であり、慢性腎不全患者と組み に した対照とで類似していた。LDL酸化の比率および程度は、腎疾患患者で対照 よりも低く、リノレイン酸の低いレベルおよびオレイン酸の高いレベルに起因す る。さらに、Schulz et al(34)によると、血液透析が白血球を活性化するにも かかわらず、インビトロLDL酸化遅延時間が腎患者と対照の健常人とで類似し ていた。リポタンパク質の抗酸化防衛が腎不全および透析中に保持されたと結論 される。 実験モデルにおいて、プロビュコルおよびビタミンEなどの抗酸化剤は、糸球 体損害を保護し(35、36)、アテローマ進行を遅らす(28)。コレステロール 摂取による腎血管狭窄は、プロビュコルまたはトロンボキサン・アンタゴニスト により改善された(35)。Galle et al(38)によると、酸化リポタンパク質に よる内皮依存性拡張の抑制が透析患者で非常に低下した高密度リポタンパク質で もって防ぐことが可能である。さらに、セレニウムなどの無機質および補酵素な どの栄養素が遊離基の生成および酸化ストレスを最小にする。葉酸、ビタミンB 12およびB6は、これらの患者で内皮損傷(39)およびLDLの酸化(40)を 起し得る高ホモシスチン血症の予防のために必須であろう。モノ不飽和脂肪酸( オレイン酸、酸化に抵抗)に富む食事が糖尿病患者における内皮損傷の程度を下 げた(41)。このように、食事または薬物による手段でもって、慢性腎不全にお けるOxLDLおよびアルデヒド修飾LDLおよびvon Willbrand因子を下げ、 アテローム性動脈硬化症の進行を改善することが可能である。 腎不全の程度を整えた後に、多重回帰解析を行うと、LDLコレステロールレ ベルおよび内皮損傷の両者が重い慢性腎不全患者におけるOxLDLおよびアル デヒド修飾LDLレベルの変化に強く関係することが分かる。 血液透析は血小板および白血球を活性化する(42、43)。活性化は、LDL 酸化を起こし得る酸素基およびアルデヒドを生成する。OxLDLおよびアルデ ヒド修飾LDLは血小板を刺激して、血栓形成およびアテローム生成を起こす( 44)。患者の数が限られていたので、血液透析、LDLの酸化および虚血性ア テローム性動脈硬化症の相互関係をさらに研究するためのサブグループ解析は行 うことができなかった(45)。 4.図6および7についての説明 図6:OxLDLおよびアルデヒド修飾LDLの血漿レベル(対数値)と自己抗体 の力価(対数値)の関係:保存処置(▲;−−−)(r=0.44;p=0.047)ま 不全患者についての回帰線。対照と緩和な腎不全患者との間に、有意な相関関係 は認められなかった。 図7:OxLDLおよびアルデヒド修飾LDL(対数値)血漿レベルとvon Willeb rand因子抗原の血漿レベルとの関係:緩和な慢性腎不全患者(●;−.−.−.)(r =0.59;p=0.0057)、または保存処置における(▲;−− 0.62;p<0.00001)重い慢性腎患者についての回帰線。対照とに有意 な相関関係は認められなかった。 実施例8 免疫アッセイでの使用のための対照標準物の製造 1.一般説明 本発明によると、マロンジアルデヒド(MDA)での処理により修飾されたLD Lは、高度に安定であることが分かった。さらに、修飾の程度は非常に再産生可 能である。特定の比率を有するMDA修飾LDLは、置換されたリシン数が同じ であり、よって、免疫アッセイにおいて対照サンプルとして使用できる。本実施 例では標準物についての製造を示す。 2.材料および方法 MDA修飾LDLを対照血漿(抗酸化剤、抗血小板化合物および抗凝固剤を含 有する)に最終濃度100nM MDA修飾apo B−100分子で加えた。 アリコットを−80℃で凍らせた。6日後に解凍し、最終濃度10〜0.1nM MDA修飾apo B−100分子まで希釈し、ELISAで分析した(日ご とに4希釈曲線)。 3.結果 本発明の10のサンドウィッチELISAについてのインターアッセイ変化を 、10の本発明の独立MDA修飾LDL標準製剤を用いて調べた。表11に要約 する。 このデータからすると、MDA修飾LDL濃度が10〜0.01nMについて 、インターアッセイ変化は7.6〜16.9%であった。 略号 C50:抗体結合の50%抑制を得るのに要する濃度 MDA:マロンジアルデヒド HEMO:血液透析を行っている重い慢性腎不全患者 MCRF:緩和な慢性腎不全患者 SCRF:保存処置を行っている重い慢性腎不全患者 OxLDL:酸化低密度リポタンパク質
【手続補正書】特許法第184条の8第1項 【提出日】平成11年8月5日(1999.8.5) 【補正内容】 請求の範囲 1.ヒトの体液または組織に由来するサンプル中のヒトMDA修飾LDLおよび ヒトOxLDLの検出および/または定量するための免疫アッセイであって、 a)ヒトMDA修飾LDLおよびヒトOxLDLに高親和性を有する第1抗体 とサンプルとを接触せしめ、 b)次いで、第1抗体とサンプル中に存在するMDA修飾LDLおよびOxL DLとの結合反応を視覚化および/または定量する、 (なお、第1抗体が高い親和性を有するMDA修飾LDLおよびOxLDLは 、apoB−100部分につき少なくとも60の置換リシン部分を含有する) ことを含むアッセイ。 2.第1抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLおよびOxLDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約90の置換リシン部分を含有する、請求項 1のアッセイ。 3.第1抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLおよびOxLDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約120の置換リシン部分を含有する、請求 項1のアッセイ。 4.第1抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLおよびOxLDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約210の置換リシン部分を含有する、請求 項1のアッセイ。 5.第1抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLおよびOxLDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約240の置換リシン部分を含有する、請求 項1のアッセイ。 6.競合アッセイである、請求項1から5のいずれかのアッセイ。 7.MDA修飾LDLおよび/またはOxLDLが基質に結合しており、サンプ ルおよび第1抗体と、MDA修飾LDLおよびOxLDLに結合している基質と を接触せしめることを含む、請求項6の競合アッセイ。 8.第1抗体が基質に結合し、第1抗体に結合している基質とサンプルとを接触 せしめることを含むサンドウィッチアッセイである、請求項1から5のいずれか のアッセイ。 9.第2抗体を使用し、第2抗体がヒトMDA修飾LDLおよびヒトOxLDL に高親和性を有する、請求項8のアッセイ。 10.第2抗体がヒト天然LDLに高親和性を有する、請求項9のアッセイ。 11.サンプルが組織サンプルであり、それを第1抗体に接触せしめる免疫組織 化学的アッセイである、請求項1から5のいずれかのアッセイ。 12.MDA修飾LDLおよびOxLDLに対する第1抗体の親和性定数が少な くとも約1×1010-1である、請求項1から11のいずれかのアッセイ。 13.第1抗体がヒト天然LDLに低親和性を有する、請求項1から12のいず れかのアッセイ。 14.ヒト天然LDLに対する第1抗体の親和性定数が約1×106-1以下で ある、請求項13のアッセイ。 15.第1抗体が、1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号L MBP1660CBで寄託されたハイブリドーマHyb4E6により生産された モノクローナル抗体mAb−4E6である、請求項1から14のいずれかのアッ セイ。 16.MDA修飾LDLおよびOxLDLに対する第2抗体の親和性定数が少な くとも約1×1010-1である、請求項8から10のいずれかのアッセイ。 17.ヒト天然LDLに対する第2抗体の親和性定数が少なくとも約1×109 -1である、請求項16のアッセイ。 18.第2抗体が、1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号L MBP1661CBで寄託されたハイブリドーマHyb8A2により生産された モノクローナル抗体mAb−8A2である、請求項17のアッセイ。 19.サンプルがヒトの体液または組織に由来する、請求項1から18のいずれ かのアッセイ。 20.少なくとも1つの抗体が、非希釈ヒト血漿中の0.02mg/dlのヒト MDA修飾LDLおよびヒトOxLDLを検出できる、請求項1から19のいず れかのアッセイ。 21.ヒトの体液または組織に由来するサンプル中のヒトMDA修飾LDLの検 出および/または定量のための免疫サンドウィッチアッセイであって、このアッ セイにおいてMDA修飾LDLに高親和性を有する第1抗体が基質に結合し、 (a)サンプル中のMDA修飾LDLの少なくともいくらかが第1抗体に結合 するような結合条件において、第1抗体に結合している基質とサンプルとを接触 せしめ、 (b)次いで基質から非結合のサンプルを除去し、 (c)次いでMDA修飾LDLに高親和性を有する第2抗体と基質とを接触せ しめ、 (d)次いでサンプル中に存在したMDA修飾LDLを視覚化および/または 定量する、 (なお、第1抗体および第2抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLは、a poB−100部分につき少なくとも60の置換リシン部分を含有する) ことを含むアッセイ。 22.第1抗体および第2抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約90の置換リシン部分を含有する、請求項 21のアッセイ。 23.第1抗体および第2抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約120の置換リシン部分を含有する、請求 項21のアッセイ。 24.第1抗体および第2抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約210の置換リシン部分を含有する、請求 項21のアッセイ。 25.第1抗体および第2抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約240の置換リシン部分を含有する、請求 項21のアッセイ。 26.第1抗体がOxLDLにも高親和性を有する、請求項21から25のいず れかのアッセイ。 27.第1抗体がヒト天然LDLに低親和性を有する、請求項21から26のい ずれかのアッセイ。 28.第1抗体がOxLDLに低親和性を有する、請求項21から25および2 7のいずれかのアッセイ。 29.第2抗体がヒト天然LDLに高親和性を有する、請求項21から28のい ずれかのアッセイ。 30.MDA修飾LDLに対する第1抗体の親和性定数が少なくとも約1×1010-1である、請求項21から29のいずれかのアッセイ。 31.ヒト天然LDLに対する第1抗体の親和性定数が約1×106-1以下で ある、請求項21から30のいずれかのアッセイ。 32.ヒト天然LDLに対する第2抗体の親和性定数が少なくとも約1×109 -1である、請求項21から31のアッセイ。 33.第1抗体が、1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号L MBP1660CBで寄託されたハイブリドーマHyb4E6により生産された モノクローナル抗体mAb−4E6である、請求項21から27および29から 31のいずれかのアッセイ。 34.第1抗体が、1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号L MBP1659CBで寄託されたハイブリドーマHyb1H11により生産され たモノクローナル抗体mAb−1H11である、請求項21から25および27 から31のいずれかのアッセイ。 35.第2抗体が、1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号L MBP1661CBで寄託されたハイブリドーマHyb8A2により生産された モノクローナル抗体mAb−8A2である、請求項21から34のいずれかのア ッセイ。 36.少なくとも1つの抗体が、非希釈ヒト血漿中の0.02mg/dlのヒト MDA修飾LDLを検出できる、請求項21から35のいずれかのアッセイ。 37.1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号LMBP166 0CBで寄託されたハイブリドーマHyb4E6により生産されたモノクローナ ル抗体mAb−4E6。 38.1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号LMBP166 0CBで寄託されたハイブリドーマHyb4E6。 39.1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号LMBP166 1CBで寄託されたハイブリドーマHyb8A2により生産されたモノクローナ ル抗体mAb−8A2。 40.1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号LMBP166 1CBで寄託されたハイブリドーマHyb8A2。 41.LDLリシン部分の置換程度が生物的材料について普通の貯蔵中に正常な 期間を通じて基本的に一定に止まるMDA修飾LDLを含有する安定な標準物を 検定剤または対照として用いることにより、ヒトMDA修飾LDLおよびヒトO xLDLのためのアッセイを標準化する方法であって、この標準物のMDA修飾 LDLが、マロンジアルデヒドをLDLに、LDLのapoB−100部分に対 するマロンジアルデヒドのあらかじめ測定した分子比で、接触(インキュベート )せしめてつくられ、LDLの酸化を触媒する存在金属イオンの能力を低下せし める薬剤および/または抗酸化剤を含有する方法。 42.標準物が、LDLの酸化を触媒する存在金属イオンの能力を低下せしめる 薬剤と抗酸化剤との両者を含有する、請求項41の方法。 43.LDLの酸化を触媒する存在金属イオンの能力を低下せしめる薬剤がキレ ート剤である、請求項41および42のいずれかの方法。 44.キレート剤がEDTAである請求項43の方法。 45.抗酸化剤が、BHTおよびビタミンEよりなる群から選ばれる請求項41 から44のいずれかの方法。 46.生理体液をさらに含む、請求項41から45のいずれかの方法。 47.生理体液が血漿である、請求項46の方法。 48.少なくとも1つの抗血小板剤および/または凝固阻害剤をさらに含む、請 求項41から47の方法。 49.標準物が検定剤として用いられる、請求項41から48のいずれかの方法 。 50.標準物が対照物として用いられる、請求項41から48のいずれかの方法 。 51.ヒトの体液または組織に由来するサンプル中のヒトOxLDLまたはヒト MDA修飾LDLおよび両者を測定するためのサンドウィッチアッセイ実施用の キットであって、 (a)ヒトOxLDLまたはヒトMDA修飾LDLまたは両方に高親和性を有 する第1抗体が結合する基質(OxLDLおよびMDA修飾LDLはapoB− 100部分当り少なくとも60置換リシン部分を夫々有する)、 (b)アッセイ中に第1抗体に結合するOxLDLに、アッセイ中に第1抗体 に結合するMDA修飾LDLに、またはアッセイ中に第1抗体に結合する両者に 、高親和性を有する標識抗体、 を含むキット。 52.標識抗体との反応のための反応物質をさらに含み、標識抗体の存在を表示 する、請求項51のキット。 53.反応物質が酵素を含む、請求項52のキット。 54.請求項49の安定な検定剤をさらに含む、請求項51から53のいずれか のキット。 55.請求項50の安定な対照物をさらに含む、請求項51から54のいずれか のキット。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(GH,KE,LS,MW,S D,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG ,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL,AM,AT ,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BY,CA, CH,CN,CU,CZ,DE,DK,EE,ES,F I,GB,GE,GH,HU,IL,IS,JP,KE ,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS, LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN,MW,M X,NO,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE ,SG,SI,SK,TJ,TM,TR,TT,UA, UG,US,UZ,VN,YU

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.サンプル中のMDA修飾LDLおよびOxLDLの検出および/または定量 するための免疫アッセイであって、 a)MDA修飾LDLおよびOxLDLに高親和性を有する第1抗体とサンプ ルとを接触せしめ、 b)次いで、第1抗体とサンプル中に存在するMDA修飾LDLおよびOxL DLとの結合反応を視覚化および/または定量する、 (なお、第1抗体が高い親和性を有するMDA修飾LDLおよびOxLDLは 、apoB−100部分につき少なくとも60の置換リシン部分を含有する) ことを含むアッセイ。 2.第1抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLおよびOxLDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約90の置換リシン部分を含有する、請求項 1のアッセイ。 3.第1抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLおよびOxLDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約120の置換リシン部分を含有する、請求 項1のアッセイ。 4.第1抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLおよびOxLDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約210の置換リシン部分を含有する、請求 項1のアッセイ。 5.第1抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLおよびOxLDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約240の置換リシン部分を含有する、請求 項1のアッセイ。 6.競合アッセイである、請求項1から5のいずれかのアッセイ。 7.MDA修飾LDLおよび/またはOxLDLが基質に結合しており、サンプ ルおよび第1抗体と、MDA修飾LDLおよびOxLDLに結合している基質と を接触せしめることを含む、請求項6の競合アッセイ。 8.第1抗体が基質に結合し、第1抗体に結合している基質とサンプルとを接触 せしめることを含むサンドウィッチアッセイである、請求項1から5のいずれか のアッセイ。 9.第2抗体を使用し、第2抗体がヒトMDA修飾LDLおよびヒトOxLDL に高親和性を有する、請求項8のアッセイ。 10.第2抗体が天然LDLに高親和性を有する、請求項9のアッセイ。 11.サンプルが組織サンプルであり、それを第1抗体に接触せしめる免疫組織 化学的アッセイである、請求項1から5のいずれかのアッセイ。 12.MDA修飾LDLおよびOxLDLに対する第1抗体の親和性定数が少な くとも約1×1010-1である、請求項1から11のいずれかのアッセイ。 13.第1抗体が天然LDLに低親和性を有する、請求項1から12のいずれか のアッセイ。 14.天然LDLに対する第1抗体の親和性定数が約1×106-1以下である 、請求項13のアッセイ。 15.第1抗体が、1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号L MBP1660CBで寄託されたハイブリドーマHyb4E6により生産された モノクローナル抗体mAb−4E6である、請求項1から14のいずれかのアッ セイ。 16.MDA修飾LDLおよびOxLDLに対する第2抗体の親和性定数が少な くとも約1×1010-1である、請求項8から10のいずれかのアッセイ。 17.天然LDLに対する第2抗体の親和性定数が少なくとも約1×109-1 である、請求項16のアッセイ。 18.第2抗体が、1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号L MBP1661CBで寄託されたハイブリドーマHyb8A2により生産された モノクローナル抗体mAb−8A2である、請求項17のアッセイ。 19.サンプルがヒトの体液または組織に由来する、請求項1から18のいずれ かのアッセイ。 20.サンプル中のMDA修飾LDLの検出および/または定量のための免疫サ ンドウィッチアッセイであって、このアッセイにおいてMDA修飾LDLに高親 和性を有する第1抗体が基質に結合し、 (a)サンプル中のMDA修飾LDLの少なくともいくらかが第1抗体に結合 するような結合条件において、第1抗体に結合している基質とサンプルとを接触 せしめ、 (b)次いで基質から非結合のサンプルを除去し、 (c)次いでMDA修飾LDLに高親和性を有する第2抗体と基質とを接触せ しめ、 (d)次いでサンプル中に存在したMDA修飾LDLを視覚化および/または 定量する、 (なお、第1抗体および第2抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLは、a poB−100部分につき少なくとも60の置換リシン部分を含有する) ことを含むアッセイ。 21.第1抗体および第2抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約90の置換リシン部分を含有する、請求項 20のアッセイ。 22.第1抗体および第2抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約120の置換リシン部分を含有する、請求 項20のアッセイ。 23.第1抗体および第2抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約210の置換リシン部分を含有する、請求 項20のアッセイ。 24.第1抗体および第2抗体が高親和性を有するMDA修飾LDLが、apo B−100部分に対して少なくとも約240の置換リシン部分を含有する、請求 項20のアッセイ。 25.第1抗体がOxLDLにも高親和性を有する、請求項20から24のいず れかのアッセイ。 26.第1抗体が天然LDLに低親和性を有する、請求項20から25のいずれ かのアッセイ。 27.第1抗体がOxLDLに低親和性を有する、請求項20から24および2 6のいずれかのアッセイ。 28.第2抗体が天然LDLに高親和性を有する、請求項20から27のいずれ かのアッセイ。 29.MDA修飾LDLに対する第1抗体の親和性定数が少なくとも約1×1010-1である、請求項20から28のいずれかのアッセイ。 30.天然LDLに対する第1抗体の親和性定数が約1×106-1以下である 、請求項20から29のいずれかのアッセイ。 31.天然LDLに対する第2抗体の親和性定数が少なくとも約1×109-1 である、請求項20から30のアッセイ。 32.第1抗体が、1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号L MBP1660CBで寄託されたハイブリドーマHyb4E6により生産された モノクローナル抗体mAb−4E6である、請求項20から26および28から 31のいずれかのアッセイ。 33.第1抗体が、1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号L MBP1659CBで寄託されたハイブリドーマHyb1H11により生産され たモノクローナル抗体mAb−1H11である、請求項20から24および26 から31のいずれかのアッセイ。 34.第2抗体が、1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号L MBP1661CBで寄託されたハイブリドーマHyb8A2により生産された モノクローナル抗体mAb−8A2である、請求項20から33のいずれかのア ッセイ。 35.1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号LMBP166 0CBで寄託されたハイブリドーマHyb4E6により生産されたモノクローナ ル抗体mAb−4E6。 36.1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号LMBP166 0CBで寄託されたハイブリドーマHyb4E6。 37.1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号LMBP166 1CBで寄託されたハイブリドーマHyb8A2により生産されたモノクローナ ル抗体mAb−8A2。 38.1997年4月24日またはその頃にBCCMに寄託番号LMBP166 1CBで寄託されたハイブリドーマHyb8A2。 39. LDLリシン部分の置換程度が生物的材料について普通の貯蔵中に正常 な期間を通じて基本的に一定に止まるMDA修飾LDLを含有する安定な標準物 であって、この標準物のMDA修飾LDLが、マロンジアルデヒドをLDLに、 LDLのapoB−100部分に対するマロンジアルデヒドのあらかじめ測定し た分子比で、接触(インキュベート)せしめてつくられ、LDLの酸化を触媒す る存在金属イオンの能力を低下せしめる薬剤および/または抗酸化剤を含有する 標準物。 40.LDLの酸化を触媒する存在金属イオンの能力を低下せしめる薬剤と抗酸 化剤の両者が存在する、請求項39の標準物。 41.LDLの酸化を触媒する存在金属イオンの能力を低下せしめる薬剤がキレ ート剤である、請求項39および40のいずれかの標準物。 42.キレート剤がEDTAである請求項41の標準物。 43.抗酸化剤が、BHTおよびビタミンEよりなる群から選ばれる請求項39 から42のいずれかの標準物。 44.生理体液をさらに含む、請求項39および43のいずれかの標準物。 45.生理体液が血漿である、請求項44の標準物。 46.少なくとも1つの抗血小板剤および/または凝固阻害剤をさらに含む、請 求項39および45の標準物。 47.請求項39から46のいずれかの標準物を含むMDA修飾LDLのための アッセイ用の安定な検定剤。 48.請求項39から46のいずれかの標準物を含むMDA修飾LDLのための アッセイ用の安定な対照物。 49.請求項39から46のいずれかの標準物を含むOxLDLのためのアッセ イ用の安定な検定剤。 50.請求項39から46のいずれかの標準物を含むOxLDLのためのアッセ イ用の安定な対照物。 51.サンプル中のOxLDLまたはMDA修飾LDLおよび両者を測定するた めのサンドウィッチアッセイ実施用のキットであって、 (a)OxLDLまたはMDA修飾LDLまたは両方に高親和性を有する第1 抗体が結合する基質(OxLDLおよびMDA修飾LDLはapoB−100部 分当り少なくとも60置換リシン部分を夫々有する)、 (b)アッセイ中に第1抗体に結合するOxLDLに、アッセイ中に第1抗体 に結合するMDA修飾LDLに、またはアッセイ中に第1抗体に結合する両者に 、高親和性を有する標識抗体、 を含むキット。 52.標識抗体との反応のための反応物質をさらに含み、標識抗体の存在を表示 する、請求項51のキット。 53.反応物質が酵素を含む、請求項51のキット。 54.請求項47または49のいずれかの安定な検定物をさらに含む、請求項5 1から53のいずれかのキット。 55.請求項48または50のいずれかの安定な検定物をさらに含む、請求項5 1から54のいずれかのキット。
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