JP2002512273A - 新規な光重合開始剤およびその使用法 - Google Patents

新規な光重合開始剤およびその使用法

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JP2002512273A JP2000544701A JP2000544701A JP2002512273A JP 2002512273 A JP2002512273 A JP 2002512273A JP 2000544701 A JP2000544701 A JP 2000544701A JP 2000544701 A JP2000544701 A JP 2000544701A JP 2002512273 A JP2002512273 A JP 2002512273A
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ロナルド シンクレアー ノール
ジョン ガーヴィン マクドナルド
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キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド
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    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/004Photosensitive materials
    • G03F7/027Non-macromolecular photopolymerisable compounds having carbon-to-carbon double bonds, e.g. ethylenic compounds
    • G03F7/028Non-macromolecular photopolymerisable compounds having carbon-to-carbon double bonds, e.g. ethylenic compounds with photosensitivity-increasing substances, e.g. photoinitiators
    • G03F7/031Organic compounds not covered by group G03F7/029
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/46Polymerisation initiated by wave energy or particle radiation
    • C08F2/48Polymerisation initiated by wave energy or particle radiation by ultraviolet or visible light
    • C08F2/50Polymerisation initiated by wave energy or particle radiation by ultraviolet or visible light with sensitising agents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、有機硫黄化合物の形態である、新規な、エネルギー効率の高い光重合開始剤に関する。本発明は、また、照射への、1つまたはそれ以上の光重合開始剤の露光による1つまたはそれ以上の反応性化学種の生成方法を含む、反応性化学種の生成方法に関する。さらにまた、本発明の光重合開始剤を用いた、不飽和モノマーの重合方法、不飽和オリゴマー/モノマーの硬化方法、およびラミネート形成方法が記述される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 (技術分野) 本発明は、新規な光重合開始剤および、該光重合開始剤を用いる反応性化学種
の生成方法に関する。さらに、本発明は、前述の光重合開始剤を用いる可重合不
飽和物質の重合または光硬化方法に関する。
【0002】 (背景技術) ポリマーは人間社会での主要な要求に応じてきた。多年の間、それらの要求は
天然ポリマーで充たされた。より近代、特に20世紀初頭以来、合成ポリマーが
、増加する大きな役割を果たすようになっている。特に有用なポリマーは付加重
合機構すなわち不飽和モノマーのフリーラジカル連鎖重合によって製造されるポ
リマーであり、例としてコーティングや接着剤を含む。実際上、商業的に重要な
製造工程の多くはフリーラジカル化学に基づいている。すなわち、連鎖重合を開
始させる反応性化学種は、多くの場合にフリーラジカルである。フリーラジカル
のもととなる物質は、重合開始剤または光重合開始剤と称される。
【0003】 フリーラジカル連鎖重合における改良は、製造されるポリマーと、光重合開始
剤に集中されている。ある特定の不飽和モノマーがポリマーに変換できるかにつ
いては、構造的、熱力学的および反応速度論的可能性が要求される。それらの3
つの全部が存在したときでも、反応速度論的可能性は多くの場合にある特定の型
の光重合開始剤のみで達成される。さらに、光重合開始剤は、ある特定の重合工
程または重合成品が商業的にな成否を決定するような、反応速度への重大な影響
を有し得る。
【0004】 フリーラジカル生成光重合開始剤は、種々の経路でフリーラジカルを発生し得
る。例えば、開始剤の熱的な均一解離では、典型的に開始剤1分子あたり2つの
フリーラジカルが得られる。光重合開始剤、すなわち光エネルギーを吸収する開
始剤は、二つのパスウェイのいずれかでフリーラジカルを生成することができる
: (1)光重合開始剤が吸収したエネルギーで励起され、次いで1つまた
はそれ以上のラジカルに分解する;または (2)光重合開始剤が励起され、その励起化学種が第2の化合物と相互
作用して(エネルギー伝達または酸化還元反応のいずれかにより)、後者および
/または前者の化合物からフリーラジカルを生成する。
【0005】 いかなるラジカル連鎖重合工程でも重合反応を永久的に終わらせるような化学
種の存在を避けなければならないが、従来の光重合開始剤には特別な問題が存在
する。例えば、反応媒体による光の吸収が、その光重合開始剤での吸収に利用で
きるエネルギーを制限し得る。そしてまた、そこに生じる、多くの場合競合的お
よび複合的である運動性が、反応速度に広範に影響し得る。さらに、中圧または
高圧水銀ランプやキセノンランプのような、商業的に利用可能な光源は広い波長
範囲で発光するので個々の発光帯での強度は比較的低い。殆どの光重合開始剤は
その発光スペクトルの少しの部分しか吸収しないので、結果として、それらのラ
ンプの放射の殆どは利用されずに残る。加えて、既知の光重合開始剤は、それら
の波長において中程度の”量子収量”(一般に0.4以下)しか有しない。これ
らから、光照射のラジカル生成への変換は、さらに効率的になり得ることが示さ
れる。
【0006】 このように、フリーラジカル重合による光重合開始剤における改良の機会は継
続して存在している。さらに、当業界においては、多様な重合工程や光硬化工程
に用いる、新規な、エネルギー効率の高い光重合開始剤への要求がある。
【0007】 (発明の要約) 本発明は、次の一般式を有するエネルギー効率の高い光重合開始剤の発見によ
り上述の困難性や問題点に対処している。
【0008】
【化10】
【0009】 式中xは1ないし4の整数、R1およびR2はそれぞれ独立に、H−;
【0010】
【化11】
【0011】 ;(R)2N−、ここでRは炭素原子1ないし6のアルキル基;カルコン;HS
O3−またはNaSO3−である。 さらなる実施態様において、本発明は次式を有する光重合開始剤に関する:
【0012】
【化12】
【0013】 式中xは1ないし4の整数である。
【0014】 本発明は、上述の光重合開始剤、それらを含有する組成物、および1つまたは
それ以上の光重合開始剤を準備し、それらの光重合開始剤に対して照射を行うこ
ととを含む反応性化学種の生成方法に関する。本発明の光重合開始剤の主要な利
点は、それらが、従来の光重合開始剤と比較して、エキシマランプのような著し
く低いエネルギーのランプのもとであっても、1つまたはそれ以上の反応性化学
種を、効率的に発生することである。
【0015】 さらに、本発明は、上述の光重合開始剤を用いた、可重合物質の重合および/
または光硬化の方法に関する。本発明の光重合開始剤によれば、比較的低出力ラ
ンプのもとであっても、従来の光重合開始剤による硬化時間に比べ迅速な硬化時
間が得られる。本発明は、前述の、有効な波長領域を有する特定の光重合開始剤
組成物の存在下での、可重合性モノマーへの照射による、その重合方法を含む。
不飽和モノマーに換えて、不飽和のオリゴマー/モノマーの混合物が用いられた
場合は、硬化が行われる。
【0016】 更に、本発明は、不飽和可重合物質と1つあるいはそれ以上の本発明の光重合
開始剤との混合物からフィルムを形成し、該組成物の重合に必要な量の放射波で
該フィルムを照射することからなる方法によって製造されるフィルム、および該
フィルムの製法を含む。前記混合物は不織布または繊維の表面上にフィルム状に
形成することができ、その場合はポリマーでコートされた不織布または繊維、お
よびそれらの製法が提供される。
【0017】 本発明は、また、不飽和可重合物質と1つあるいはそれ以上の本発明の光重合
開始剤との混合物を備える接着用組成物に関する。同様に、本発明は、少なくと
もその1つの層が不織布またはフィルムである少なくとも2つの層を前述の接着
用組成物で共に結合させたラミネート構造を含む。従って、本発明は、少なくと
も2つの層とその間の前述の接着用組成物とからなる構成物を照射し該接着用組
成物を重合させる、構成物のラミネート法を提供する。
【0018】 本発明の、以上の、および他の性質や利点は、詳細に後記される実施態様や前
記請求項を検討すれば明白になろう。
【0019】 (発明を実施するための最良の形態) 本発明は、エネルギー効率の高い反応性光重合開始剤およびその使用法に関す
る。より特別には、本発明は次式を有する新規な光重合開始剤に関する:
【0020】
【化13】
【0021】 式中xは1ないし4の整数、R1およびR2はそれぞれ独立に、H−;
【0022】
【化14】
【0023】 ;(R)2N−、ここでRは炭素原子1ないし6のアルキル基;カルコン;HS
O3−またはNaSO3−である。本発明のさらなる実施態様においては、該光
重合開始剤は、次式を有する、硫化したビス−フタロイルグリシンである化合物
を含む:
【0024】
【化15】
【0025】 式中xは1ないし4の整数である。
【0026】 また、本発明は1つあるいはそれ以上の前述の光重合開始剤の存在下で、不飽
和重合可能物質を放射波に曝すことにより、該不飽和物質を重合させる方法を含
む。さらに、本発明は、不飽和の重合可能物質と1つあるいはそれ以上の前述の
光重合開始剤との混合物をフィルム状とし、該混合物の重合に充分な量の放射波
で照射することによって製造されるフィルムおよび該フィルムの製造方法に関す
る。
【0027】 さらに本発明は、不飽和可重合物質と1つあるいはそれ以上の本発明の光重合
開始剤との混合物を備える接着用組成物に関する。同様に、本発明は、少なくと
もその1つの層が不織布またはフィルムである少なくとも2つの層を前述の接着
用組成物で共に結合させたラミネート構造を含む。さらに、本発明は、少なくと
も2つの層とその間の前述の接着用組成物とからなる構成物を照射し該接着用組
成物を重合させる、構成物のラミネート法を提供する。
【0028】 以下の定義の後、本発明の光重合開始剤が詳細に説明され、続いて反応性化学
種の生成方法や、その方法の多様な代表的な応用が詳細に記述される。
【0029】 定義 ここに用いられる、”反応性化学種”の用語は、フリーラジカル、カチオン、
アニオン、ナイトレン類およびカルベン類を含み、しかもこれらに限定されない
、いずれかの化学的に反応活性のある化学種を意味する。以下にこのような化学
種の例を示す。カルベン類の例には、例えば、メチレンまたはカルベン、ジクロ
ロカルベン、ジフェニルカルベン、アルキルカルボニルカルベン、シロキシカル
ベンおよびジカルベンが含まれる。ナイトレン類の例には、同様にたとえば、ナ
イトレン、アルキルナイトレン、アリールナイトレンが含まれる。カチオン類(
時にカルボカチオンまたはカルボニウムイオンと示される)には、実例として、
メチルカチオン、エチルカチオン、プロピルカチオン、t−ブチルカチオン、t
−ペンチルカチオン、t−ヘキシルカチオンのような第一、第二、および第三ア
ルキルカルボカチオン;アリリックカチオン;ベンジリックカチオン;トリフェ
ニルカチオンのようなアリールカチオン;シクロプロピルメチルカチオン;メト
キシメチルカチオン;メトキシメチルカチオン、トリアリールスルホニウムカチ
オン;およびアシルカチオンが含まれる。カチオンには、また、テトラハロ金(
III)酸のテトラ−n−ブチルアンモニウム塩;テトラクロロ金(III)酸のナト
リウム塩;四塩化バナジウム;および銀、銅(I)および(II)、およびタリウ
ム(I)の各トリフラートのような種々の金属塩からの生成物も含まれる。アニ
オン類(時にカルボアニオンと示される)には、エチルアニオン、n−プロピル
アニオン、イソブチルアニオン、およびネオペンチルアニオンのようなアルキル
アニオン;シクロプロピルアニオン、シクロブチルアニオン、およびシクロペン
チルアニオンのようなシクロアルキルアニオン;アリリックアニオン;ベンジリ
ックアニオン;アリールカチオン;および硫黄またはリン含有のアルキルアニオ
ンが、例として含まれる。最後として、有機金属の光重合開始剤の例には、チタ
ノセン、フッ素と結合したジアリールチタノセン、鉄−アレーン錯体、デカカル
ボニルマンガン、およびメチルシクロペンタヂエニルマンガントリカルボニルが
含まれる。有機金属の光重合開始剤は、一般にフリーラジカルまたはカチオンを
産生する。
【0030】 ここで用いられる”量子収量”の用語は、光化学反応過程の効率を示す。より
特別には、量子収率は1個の特定の分子が1個の光子との相互作用との間で1量
子の光を吸収する確率の尺度である。この用語は吸収された光子あたりの光化学
事象の数を表す。従って量子収率は0(吸収なし)から1まで変化し得る。
【0031】 ここに用いられる”重合”の用語は、多数の、モノマーのような、より小さい
分子が、非常に大きい分子すなわち巨大分子またはポリマーを生成する、共有結
合のような結合を意味する。モノマーは、単に線状の巨大分子を形成するように
も、あるいは三次元の巨大分子を形成するようにも結合することができる。この
三次元の巨大分子は通常架橋(crosslinked)ポリマーといわれる。
【0032】 ここに用いられる”硬化(curing)”の用語は、官能性のオリゴマーお
よびモノマー、あるいはポリマーが、重合して架橋したポリマーネットワークに
なることを意味する。また例えば、硬化は、不飽和モノマーまたはオリゴマーの
、架橋剤の存在下での重合である。
【0033】 ここで用いられる”不飽和モノマー”、”官能性オリゴマー”、および”架橋
剤”は当業者によりよく理解されている、通常用いられる意味である。各々の単
数形は単数および複数のそれら、すなわち1つあるいはそれ以上の各々の物質を
含むことを意図している。
【0034】 ここで用いられる”不飽和可重合物質”の用語は、重合できるいずれもの不飽
和物質を含んでいる。該用語は不飽和のモノマー、オリゴマー、および架橋剤を
包含する。この単数形もまた単数と複数の両方を含む。
【0035】 ここで用いられる”繊維”の用語は、糸様の構造を示す。本発明中の繊維には
、当業者に既知ないずれもの繊維が含まれる。また”不織布”は、1つまたはそ
れ以上の繊維が、織ることなく、重なり合いまたは相互に結合して網様となった
ものを意味する。本発明中で用いられているいずれもの不織布も当業者には既知
のものと理解されたい。
【0036】 本発明の光重合開始剤 本発明は次式を有する新規な光重合開始剤に関する。
【0037】
【化16】
【0038】 式中xは1ないし4の整数、R1およびR2はそれぞれ独立に、H−;
【0039】
【化17】
【0040】 ;(R)2N−、ここでRは炭素原子1ないし6のアルキル基;カルコン;HS
O3−またはNaSO3−である。本発明のさらなる実施態様においては、該光
重合開始剤は、次式を有する三硫化ビス−m−モルホリノベンゾイルである:
【0041】
【化18】
【0042】 または、次式を有する三硫化ビス−p−モルホリノベンゾイルである:
【0043】
【化19】
【0044】 本発明の他の実施態様においては、光重合開始剤は、次式を有する三硫化ビス
−ジアルキルアミノベンゾイルである:
【0045】
【化20】
【0046】 式中Rは炭素数1ないし6のアルキル基である。望ましくは、該光重合開始剤は
次式を有する三硫化ビス−m−ジメチルアミノベンゾイルである:
【0047】
【化21】
【0048】 または、次式を有する三硫化ビス−p−ジメチルアミノベンゾイルである:
【0049】
【化22】
【0050】 さらに他の実施態様では、光重合開始剤は次式を有する水溶性光重合開始剤であ
る:
【0051】
【化23】
【0052】 さらなる実施態様では、光重合開始剤は次式を有する三硫化ビス−フタロイル
グリシンである:
【0053】
【化24】
【0054】 本発明の光重合開始剤の製造の1方法を次に論ずる。しかし、本発明の光重合
開始剤は、当業者に既知である反応機構のいずれかによって製造できるものであ
る。本発明の実施態様の1つでは、本発明の光重合開始剤の製造用として特殊な
試薬、リチウムの硫化物が用いられ、これは硫黄と、任意量のトリエチルホウ水
素リチウムとの反応で得られる。上記の反応は次の機構で示される: 2Li(CH3)3BH + yS → LiSy この反応で種々の硫化リチウムを製造することができ、それらにはLi2S、L
i2S2、およびLi2S3が含まれるが、これらに限定されるものではない。
好ましくは、yは1ないし4の整数である。上述の反応ではyが1ないし3の間
で変化する種々の硫化リチウムが得られる。そして、もし望むならば、当業者の
既知の分離技術を用いてこれらの化合物が分離できる。
【0055】 前記硫化リチウムを、さらに、置換された塩化ベンゾイル、塩化フタロイルグ
リシン、またはその他の塩化カルボニルと反応させて、1種あるいはそれ以上の
本発明の光重合開始剤を製造することができる。本発明の1つの実施態様では、
塩化モルホリノベンゾイルを、1種またはそれ以上の硫化リチウムと反応させて
、1種またはそれ以上の硫化したモルホリノベンゾイルである化合物が製造され
る。さらなる実施態様では、フタロイルグリシンクロライドを、1種またはそれ
以上の硫化リチウムと反応させて、1種またはそれ以上の硫化してフタロイルグ
リシンである化合物が製造される。
【0056】 得られたそれらの光重合開始剤は、室温(約15ないし25℃)および通常の
湿度(約30ないし60%)で安定である。しかし、照射されると効率的に1つ
またはそれ以上のフリーラジカルを生成する。本発明のそれらの光重合開始剤は
大きい吸光度を有する。例えば、吸収極大において約2,000リットル/モル
・cm(lmol−1cm−1)以上のモル吸光係数を有し得る。他の1例では
、約5,000lmol−1cm−1以上のモル吸光係数(absorptiv
ity)を有し、また他の1例では約10,000lmol−1cm−1以上、
さらに他の例では約20,000lmol−1cm−1以上のモル吸光係数を有
し得る。
【0057】 反応性化学種の発生法および適用 本発明は、また、反応性化学種の生成方法にも関する。この生成方法には、1
種またはそれ以上の上述の光重合開始剤への照射による反応性化学種の発生が含
まれる。光重合開始剤を照射源に曝すことにより光化学反応過程の引金が引かれ
る。先に説明したように、”量子収量”は光化学反応過程の効率を示す。より特
別には、量子収率は1個の特定の分子が1個の光子との相互作用との間で1量子
の光を吸収する確率の尺度である。この用語は吸収された光子あたりの光化学事
象の数を表す。従って量子収率は0(吸収なし)から1まで変化し得る。
【0058】 本発明の光重合開始剤は特定波長を有する光子を吸収し、その吸収したエネル
ギーを分子の1つまたはそれ以上の励起可能な部分に転移させる。充分なエネル
ギーを得た、分子の該励起可能部分はその結合を開裂させ、1つまたはそれ以上
の反応性化学種が発生する。本発明の光重合開始剤により発生する反応性化学種
における効率は、従来の光重合開始剤で経験されるものよりも顕著に大きく、そ
のことは硬化時間がより速いことにより示されている。本発明の光重合開始剤は
望ましくは約0.5以上の量子収量を有する。より望ましくは約0.6以上、ま
た望ましくは0.7以上、さらにまた望ましくは0.8以上であろう。もっとも
望ましい量子収量は約0.9以上である。
【0059】 本発明の光重合開始剤を照射することにより1つまたはそれ以上の反応性化学
種が発生する。従って、この光重合開始剤は、不飽和モノマーの重合や不飽和オ
リゴマー/モノマーの混合物の重合のような反応性化学種を必要とする状況で用
いられる。この不飽和モノマーおよびオリゴマーは当業者に既知のもののいずれ
かであってよい。加えて、この重合や硬化の媒体は、望むならば、顔料、増量剤
、アミン系増感剤、および当業者に既知の他の添加剤を含むことができる。
【0060】 実例によれば、不飽和モノマーおよびオリゴマーの例には、エチレン、プロピ
レン、塩化ビニル、イソブチレン、スチレン、イソプレン、アクリロニトリル、
アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、アクリル
酸ビニル、メタクリル酸アリル、トリプロピレングリコールジアクリリレート、
トリメチロールプロパンエトキシレートアクリレート、ビスフェノールAエポキ
シドとアクリル酸との反応生成物のようなエポキシアクリレート;アクリル酸と
、アジピン酸/ヘキサンジオールをベースとしたポリエステルとの反応生成物の
ようなポリエステルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレートとジフェニ
ルメタン−4,4’−ジイソシアネートとの反応生成物のようなウレタンアクリ
レート、およびポリブタジエンジアルキレートオリゴマーが含まれる。
【0061】 多様な反応性化学種が関係する反応の型には、それらに限定されるものではな
いが、重合反応を含む付加反応;引き抜き反応;転移反応;脱炭酸反応を含む脱
離反応;酸化−還元(レドックス)反応;置換反応;および共役/脱共役反応が
含まれる。
【0062】 したがって、本発明は、有効な、上述の本発明の光重合開始剤の存在下で不飽
和モノマーを照射することによる、その不飽和モノマーの重合方法をも包含する
。この不飽和モノマーの換わりに不飽和オリゴマー/モノマーの混合物を用いた
場合は硬化が行われる。それらの可重合物質が当業者の既知の方法で本発明の光
重合開始剤と混合され、そしてそれらの物質の重合に充分な量の照射を受けるで
あろうことはいうまでもない。重合に充分な照射量は、光重合開始剤の種類と量
、可重合物質の種類と量、照射光の強度と波長、および照射への耐久性に基づい
て当業者により容易に決定される。
【0063】 本発明の光重合開始剤からフリーラジカルを発生させる照射の効果は次に示す
うちの1つまた両方と信じられている;硫黄を末端としたフリーラジカルを生成
させる、硫黄−硫黄結合の開裂;および炭素を末端としたフリーラジカルおよび
硫黄を末端としたフリーラジカルを生成させる、硫黄−炭素結合の開裂。
【0064】 ポリマーフィルム、コーティングした繊維およびウェブ、および接着剤組成物 さらに、本発明は、不飽和可重合物質と1つあるいはそれ以上の本発明の光重
合開始剤との混合物をフィルム状に形成し、重合に充分な照射量で照射すること
によって製造されるフィルムおよびそのフィルムの製造方法を含む。不飽和可重
合物質が不飽和オリゴマー/モノマーの混合物の場合は硬化が行われる。フィル
ムの厚みは、上記混合物の形成された厚みによるが、その混合物が充分な重合す
るだけの照射を受けるならば、どのような厚みのものも製造できる。前記混合物
は不織布または繊維の上にフィルムに形成することもでき、それにより、ポリマ
ーコーティングされた不織布と繊維、およびそれらの製造法が提供される。本発
明において、前記混合物のフィルム状への形成には、当業者により既知であるい
ずれかの方法を用いることができる。重合に充分な放射波の量は光重合開始剤の
種類と量、可重合物質の種類と量、照射光の強度と波長、および照射への耐久性
に基づいて当業者により容易に決定される。
【0065】 本発明は、また、不飽和可重合物質と1つあるいはそれ以上の本発明の光重合
開始剤との混合物を備える接着用組成物を含む。同様に、本発明は、少なくとも
その1つの層が不織布またはフィルムである少なくとも2つの層を前述の接着用
組成物で共に結合させたラミネート構造を含む。本発明の1つの実施態様におい
ては、製造されるラミネートの少なくとも1層はセルローズまたはポリオレフィ
ンの不織布または繊維である。従って、本発明は、少なくとも2つの層とその間
の前述の接着用組成物とからなる構成物を照射し該接着用組成物を重合させるも
のである、構成物のラミネート法を提供する。接着剤中の不飽和可重合物質が不
飽和オリゴマー/モノマーの混合物であるときは該接着剤は組成物を硬化させる
よう照射される。
【0066】 本発明のラミネートにおいては、それらの各層は、少なくともそれらの内の1
つの層が前記混合物を重合させるのに充分な照射をその層を通過させるような状
態ならば、使用し得るのはいうまでもない。従って、当業者に既知なセルローズ
またはポリオレフィンの不織布またはフィルムは、それらが照射を通過させる限
りにおいてラミネートの1つの層として用いることができる。再び繰り返すと、
重合に充分な照射量は光重合開始剤の種類と量、可重合物質の種類と量、照射光
の強度と波長、および照射への耐久性に基づいて当業者により容易に決定される
【0067】 本発明の光重合開始剤を露光することができる放射波は、一般に約4ないし約
1,000nmの波長を有するであろう。ということは、その放射波は、近紫外
および遠紫外または真空紫外線を含む紫外線;可視光線;および近赤外線であり
得る。放射波は、約100ないし900nmの波長を有するのが望ましい。放射
波は、約100ないし700nmの波長を有するのがより望ましい。放射波は約
4ないし約400nmの波長を有する紫外線が望ましい。放射波は、約100な
いし約390nmの波長を有するのがより望ましく、約200ないし約400n
mの波長を有するのがさらにまた望ましい。例えば、放射波は約222ないし約
370nmの波長とすることができる。放射波は、望ましくは、誘電体バリア放
電エキシマランプからの非コヒーレントのパルス紫外線または水銀ランプからの
放射波である。
【0068】 エキシマーは、特殊なタイプのガス放電で一時的に励起されるような、極端な
状態でのみ生成する不安定な励起状態の分子錯体である。典型的な例は、2つの
希ガス原子間あるいは1つの希ガス原子と1つのハロゲン原子間の分子結合であ
る。エキシマ錯体は1マイクロ秒以内の時間で解離し、解離するときに、結合エ
ネルギーを紫外照射の形で放出する。誘電体バリアエキシマは一般に、エキシマ
ガス混合物に依存する約125ないし約500nmの範囲で発光する。
【0069】 誘電体バリア放電エキシマランプ(以後は”エキシマランプ”としても示され
る)は、例えば、U. Kogelschatz, "Silent discharges for the generation of
ultraviolet and vacuum ultraviolet excimer radiation." Pure & Apple. Ch
em., 62, No.9,pp.1667-1674(1990);および、E. Eliasson and U. Kogelschatz
, "UV Excimer Radiation from Dielectric-Barrier Discharges." Appl. Phys.
B. 46,pp. 299-303(1988)に記載されている。エキシマランプは、ABB Infocom L
td., Lenzburg, Switzerlandで開発され、現在は、Heraeus Noblelight GmbH, K
leinostheim, Germanyから入手可能である。
【0070】 エキシマランプは非コヒーレントの、パルス紫外線を放射波を射出する。この
放射波は、比較的狭い波長幅であり、例えば半値幅が概略5ないし100nmの
オーダーである。この放射波は、望ましくは5ないし50nm、さらに望ましく
は5ないし25nmのオーダーの半値幅を有するものがよい。半値幅が概略5な
いし15nmとなることが最も望ましい。
【0071】 エキシマランプから射出された紫外放射波は、複数の波長で射出させることが
でき、その場合、その帯域内の1つまたはそれ以上のものは、極大強度で射出さ
れる。従って、波長帯内での各波長について強度をプロットすると、ベル型のカ
ーブが得られる。エキシマランプから射出される紫外線放射波の範囲の”半値幅
”はこのベル型曲線の最大高さの50%における曲線の幅と定義される。
【0072】 エキシマランプからの射出放射波は、非コヒーレントのパルス波であり、供給
交流電流の周波数に基づくパルス周波数は、典型的には約20ないし約300k
Hzの範囲である。エキシマランプは典型的には放射波強度が最大を示す波長に
よって表示または呼称され、その原則は、本明細書および請求項を通じて採用さ
れる。すなわち、全紫外線スペクトルにわたる放射を行い、かつ、可視領域にま
でわたる放射を行うことがある商業的に有用な大部分の他の紫外線源と比較する
と、エキシマランプの放射は本質的に単色である。
【0073】 本発明の光重合開始剤に用いられる放射波源は当業者に既知ないずれかの放射
波源であってよい。本発明の1つの実施態様においては、放射波ピーク波長35
0nmを有する、Dバルブの水銀ランプが前述の光重合開始剤からフリーラジカ
ルを発生させるのに用いられている。1つまたはそれ以上の本発明の光重合開始
剤が、この水銀ランプの放射波ピークと関連する350nmの最大吸収を有する
ときは、この放射波源は特に有用である。
【0074】 本発明の光重合開始剤が約250ないし約350nmの範囲の放射波を吸収す
る結果として、本発明の光重合開始剤は太陽光に露光された場合に1つまたはそ
れ以上の反応性化学種を発生する。従って、本発明のこれらの光重合開始剤は、
特別な放射波源なしに反応性化学種を発生させる方法を提供する。
【0075】 本発明の光重合開始剤は、消費者が希望の対象物に適用して太陽光で重合また
は硬化させる接着剤やコーティング組成物の製造を可能にする。これらの光重合
開始剤は、また、不飽和可重合物質を太陽光のみで重合させることができる無数
の工業的適用を可能とする。そこで、いかに光重合開始剤をデザインするかに依
存して、本発明の光重合開始剤は、本発明の光重合開始剤を使用しない場合には
光源を必要とすることになる多くの産業において、光源の購入や維持コストを省
くことができる。
【0076】 本発明の光重合開始剤を特別の波長帯に対して有効となるように調整すること
は、この”調整された”波長帯に関連する、放射波源の発光スペクトル中の目標
放射波のより有効な利用を可能とし、そのような放射の強度は、例えばエキシマ
ランプのような狭い波長帯発光源からの放射より非常に低くてもよい。例えば、
約222nmの放射波長を有するエキシマランプまたは他の光源は、本発明のフ
タロイルグリシン含有光重合開始剤とともに用いることが望ましい。同様に、約
350nmの放射波長を有する水銀ランプには、本発明の、置換されたベンゾイ
ル含有光重合開始剤が望ましい。しかし、本発明の光重合開始剤の有効性を、せ
まい波長帯の照射源に依存させる必要は必ずしもない。
【0077】 従って、本発明の光重合開始剤の主な利点は、従来のものに比較して迅速な硬
化時間を有することである。他の利点は、本発明の光重合開始剤が高感度であり
、弱い光レベルでも有利に用いられることである。
【0078】 本発明は以下の実施例によりさらに説明される。しかし、この実施例は、本発
明のいかなる精神または範囲においても、これを制限するものではない。これら
の実施例中で、別途説明のない限り、量は重量部で示される。
【0079】 実施例1 3−モルホリノ安息香酸の調製 本例では、三硫化ビス−m−モルホリノベンゾイルの製造に用いる、次式に示
す3−モルホリノ安息香酸の合成法を記載する。
【0080】
【化25】
【0081】 反応は下記のように行われた。
【0082】
【化26】
【0083】 4.3gのKOHが200mlのエタノールおよび100mlの水に溶解され
た。そして、5.0gの3−モルホリノ安息香酸エステルが加えられ、混合物は
還流下で2時間攪拌された。その混合物は希塩酸で中和され、次いで濾過されて
白色固体が得られた。その白色固体は、水を除くためのトルエンを用いたDea
n & Stark装置で乾燥された。この反応により4.4gの、白色粉末の
3−モルホリノ安息香酸が得られた。
【0084】 実施例2 塩化3−モルホリノベンゾイルの調製 本例では、三硫化ビス−m−モルホリノベンゾイルの製造に用いる、次式に示
す塩化3−モルホリノベンゾイルの合成法を記載する。
【0085】
【化27】
【0086】 反応は下記のように行われた。
【0087】
【化28】
【0088】 25gの3−モルホリノ安息香酸と15.2gの塩化オキサリルを含む上記試
薬がジオキサン中に、アルゴンガスのもとで0℃で混合された。この反応は、0
℃で1時間、室温で1時間、合計約2時間行われた。溶媒が減圧下で除去され、
得られた22.1gの塩化3−モルホリノベンゾイルは、さらに精製することな
く使用された。
【0089】 実施例3 3硫化ビス−m−モルホリノベンゾイルの調製 この実施例では、次式に示す3硫化ビス−m−モルホリノベンゾイルの合成法
を記載する。
【0090】
【化29】
【0091】 この反応は下記のように行われた。
【0092】
【化30】
【0093】 反応の第1の部分では、0.1gの硫黄が100mlの三口フラスコにマグネ
チック攪拌子と共に入れられ、アルゴンガスが流された。0.1Mのトリエチル
ホウ水素リチウム20mlが徐々にフラスコに加えられた。反応物は室温でテト
ラフラン(THF)中で約30分攪拌され、淡黄色の溶液が得られた。この溶液
に50mlのTHFと、次いで4.4gの塩化3−モルホリノベンゾイルが加え
られた。この溶液は深い黄色/赤色に変色し、そして室温で約1時間攪拌された
。約1時間後、この混合物は、黄色の濃厚なペースト状となっていた。
【0094】 この反応精製物を濾過して得られた黄色の固体は、水、ベンゼンで洗浄され、
次いで真空乾燥された。この反応で3.4gの三硫化ビス−m−モルホリノベン
ゾイルが得られた。
【0095】 反応HPLCは、約30分後に完全な反応を示し、保持時間が10分と15分の2
つの生成物がそれぞれ25:75の比率で得られる。この75%のピークが三硫
化ビス−m−モルホリノベンゾイルであり、25%のピークは濾液中の成分であ
った。
【0096】 実施例4 Red Flexo Resin中の三硫化ビス−m−モルホリノベンゾイルの
光硬化 重量/重量で2%の三硫化ビス−m−モルホリノベンゾイルの混合物が、1g
のred flexo ink(Gamma Graphics)のサンプルに
加えられた。溶解性は室温では低かったが、この混合物をホットプレートで加熱
すると溶解性は改善された。混合物の1滴が金属板上に置かれ、ゼロバーを用い
て引き伸ばされた。この薄膜は、D−バルブランプ(Fusion Syste
ms)の短時間のフラッシュで露光された。この薄膜は直ちに硬化した。
【0097】 薄膜の他のサンプルが中圧水銀ランプを用いて硬化された。この水銀ランプは
350nmの波長の良好な発光を行う。1秒以下の露光で薄膜は完全に硬化した
【0098】 実施例5 p−モルホリノベンゾイルエステルの調製 p−モルホリノベンゾイルエステルは以下の反応によって生成された。
【0099】
【化31】
【0100】 100gの4−アミノ安息香酸エチルおよび114gの塩化オキサリルを含む
上記試薬は、コンデンサーと機械式攪拌器のついた3リットル丸底フラスコに入
れられた。反応混合物は還流下で15時間攪拌された。この溶液は熱時に濾過さ
れ溶媒が除去されて、白色の固体が得られた。この白色固体はベンゼンから再結
晶され、100gの白色の結晶状固体としてp−モルホリノベンゾイルエステル
が得られた。
【0101】 実施例6 p−モルホリノベンゾイルエステルの加水分解 p−モルホリノベンゾイルエステルの加水分解は、以下の反応により行われた
【0102】
【化32】
【0103】 15.2gのKOHは、200mlのエタノールと100mlの水に溶解された
。この混合物に80gのp−モルホリノベンゾイルエステルが加えられた。その
混合物は室温で一夜攪拌されたのち希塩酸で中和され、続いて濾過されて、白色
固体が得られた。この白色固体は、水を除くためのトルエンを用いたDean
& Stark装置で乾燥された。この反応により、65gの4−モルホリノ安
息香酸が得られた。
【0104】 実施例7 塩化4−モルホリノベンゾイルの調製 塩化4−モルホリノベンゾイルの調製は下記の反応により行われた。
【0105】
【化33】
【0106】 60gの4−モルホリノ安息香酸のトルエン溶液が0℃で生成された。この溶
液に、28.5gの塩化オキサリルと50mlのTHFとの溶液が、約10分の
間で加えられた。反応混合物は0℃で1時間次いで室温で1時間、約2時間攪拌
された。溶液は濾過され、溶媒が減圧下で除去されて、白色固体が得られた。こ
の反応により得られた58.2gの塩化4−モルホリノベンゾイルは、さらに精
製することなく次の反応に使用された。
【0107】 実施例8 3硫化ビス−p−モルホリノベンゾイルの調製 3硫化ビス−p−モルホリノベンゾイルの調製は下記の反応により行われた。
【0108】
【化34】
【0109】 コンデンサーとマグネチック攪拌子を備えた250mlの丸底フラスコにアル
ゴンガスを流し、1gの硫黄を入れた。その硫黄に、20mlのトリエチルホウ
水素リチウムをシリンジを用いて約3分の間に加えた。混合物は室温で約30分
攪拌され、その時間の経過後には、その混合物からの発泡(H2の発生)は停止
していた。溶液の色は赤から淡黄色に変化した。この溶液に、4.4gの塩化4
−モルホリノベンゾイルが約5分間の間に加えられた。反応混合物は約1時間攪
拌された。反応混合物は濾過されて黄色の濾液と分離され、次いでトルエンで洗
浄し真空乾燥された。黄色の固体は、アセトニトリルから再結晶されて2.1g
の三硫化ビス−p−モルホリノベンゾイルが得られた。
【0110】 実施例9 Red Flexo Resin中の三硫化ビス−p−モルホリノベンゾイルの
光硬化 重量/重量で2%の三硫化ビス−m−モルホリノベンゾイルと1.0gのre
d flexo ink(Gamma Graphics)が、約30ないし4
0℃での攪拌で約5分間混合された。混合物の1滴が金属板上に置かれ、ゼロバ
ーを用いて引き拡げられた。得られた薄膜は中圧水銀ランプで凡そ0.1秒間照
射され、完全に硬化した。
【0111】 実施例10 塩化ビス−p−ジメチルアミノベンゾイルの調製 塩化ビス−p−ジメチルアミノベンゾイルの調製は下記の反応により行われた
【0112】
【化35】
【0113】 60gのp−ジメチルアミノ安息香酸のトルエン溶液に、0℃で、46.1g
の塩化オキサリルと50mlのTHFが10分の間に徐々に加えられた。混合物
は0℃で約1時間攪拌され、引き続いて室温で約2時間攪拌された。その混合物
は濾過されて溶媒が分離され、62gの固体として塩化ビス−p−ジメチルアミ
ノベンゾイルが得られた。該固体はさらに精製することなく次の実施例に使用さ
れた。
【0114】 実施例11 3硫化ビス−p−ジメチルアミノベンゾイルの調製 3硫化ビス−p−ジメチルアミノベンゾイルの調製は下記の反応により行われ
た。
【0115】
【化36】
【0116】 コンデンサーとマグネチック攪拌子を備えた250mlの丸底フラスコにアル
ゴンガスを流し、1gの硫黄を入れた。その硫黄に、20mlのトリエチルホウ
水素リチウムの1M溶液がシリンジを用いて約3分の間に加えられた。混合物は
室温で約30分攪拌された。この混合物に、3.7gの塩化p−ジメチルアミノ
ベンゾイルが約5分間の間に加えられた。反応混合物は約1時間攪拌された。反
応混合物は濾過されて黄色の固体が取り出された。黄色の固体はトルエンで洗浄
後、乾燥されて、2.1gの三硫化ビス−p−ジメチルアミノベンゾイルが得ら
れた。反応のHPLCによれば、生成物の1つは360nmの最大波長において
15分の保持時間を有することが示された。
【0117】 実施例12 Red Flexo Resin中の三硫化ビス−p−ジメチルアミノベンゾイ
ルの光硬化 重量/重量で2%の三硫化ビス−m−モルホリノベンゾイルと1.0gのre
d flexo ink(Gamma Graphics)が約30ないし40
℃で攪拌しなが約5分間混合された。混合物の1滴が金属板上に置かれ、ゼロバ
ーを用いて引き拡げられた。得られた薄膜は中圧水銀ランプで凡そ0.1秒間照
射され、完全に硬化した。
【0118】 本明細書はその特殊な実施態様に関して詳細に記述しているが、当業者が、前
述について理解の上で、これらの実施態様への、変更を加えた、変形した、また
は等価のものを容易に考え付き得ることは認められるだろう。従って、本発明の
範囲は、先に記載した請求項およびそれに等価なものすべてに及ぶと評価される
べきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZA,Z W (72)発明者 マクドナルド ジョン ガーヴィン アメリカ合衆国 ジョージア州 30033 ディケイター ノールウッド テラス 1472 Fターム(参考) 2H025 AA01 AB20 AC01 AD01 BC31 BC51 CA01 4J011 QA02 QA03 QA08 QA09 QA13 QB20 QB24 SA61 UA04 VA01 WA02 WA06 4L033 AA02 AA05 AB07 CA11 CA18 CA21

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次式を有する光重合開始剤: 【化1】 式中xは1ないし4の整数、R1およびR2はそれぞれ独立に、H−; 【化2】 ;(R)2N−、ここでRは炭素原子1ないし6のアルキル基;カルコン;HS
    O3−またはNaSO3−である。
  2. 【請求項2】 次式を有する光重合開始剤: 【化3】 式中xは1ないし4の整数である。
  3. 【請求項3】 請求項1の光重合開始剤を放射波により照射することからな
    る、反応性化学種の生成方法。
  4. 【請求項4】 請求項2の光重合開始剤を放射波により照射することからな
    る、反応性化学種の生成方法。
  5. 【請求項5】 不飽和可重合物質と、請求項1の光重合開始剤との混合物に
    照射することを含む、不飽和可重合物質の重合方法。
  6. 【請求項6】 不飽和可重合物質と、請求項2の光重合開始剤との混合物に
    照射することを含む、不飽和の可重合物質の重合方法。
  7. 【請求項7】 フィルム状とされた、不飽和可重合物質と、請求項1の光重
    合開始剤との混合物を準備し、 該混合物の重合に必要な量の放射波で該フィルムを照射することからなる方法に
    よって 製造されるポリマーフィルム。
  8. 【請求項8】 フィルム状とされた、不飽和の可重合物質と、請求項2の光
    重合開始剤との混合物を準備し、 該混合物の重合に必要な量の放射波で該フィルムを照射することからなる方法に
    よって 製造されるポリマーフィルム。
  9. 【請求項9】 不飽和の可重合物質と、請求項1の光重合開始剤との混合物
    を塗布した不織布を準備し、 該混合物の重合に必要な量の放射波で該不織布上の塗膜を照射することとを含む 不織布のコーティング方法。
  10. 【請求項10】 不飽和可重合物質と、請求項2の光重合開始剤との混合物
    を塗布した不織布を準備し、 該混合物の重合に必要な量の放射波で該不織布上の塗膜を照射することとを含む 不織布のコーティング方法。
  11. 【請求項11】 不飽和可重合物質と、請求項1の光重合開始剤との混合物
    を塗布した繊維を準備し、 該混合物の重合に必要な量の放射波で該繊維上の塗膜を照射することとを含む 繊維のコーティング方法。
  12. 【請求項12】 不飽和可重合物質と、請求項2の光重合開始剤との混合物
    を塗布した繊維を準備し、 該混合物の重合に必要な量の放射波で該繊維上の塗膜を照射することとを含む 繊維のコーティング方法。
  13. 【請求項13】 前記光重合開始剤が次式を有する、請求項1に記載の光重
    合開始剤。 【化4】
  14. 【請求項14】 前記光重合開始剤が次式を有する、請求項1に記載の光重
    合開始剤。 【化5】
  15. 【請求項15】 前記光重合開始剤が次式を有する、請求項1に記載の光重
    合開始剤。 【化6】 式中Rは炭素原子1ないし6を有するアルキル基である。
  16. 【請求項16】 前記光重合開始剤が次式を有する、請求項15に記載の光
    重合開始剤。 【化7】
  17. 【請求項17】 前記光重合開始剤が次式を有する、請求項1に記載の光重
    合開始剤。 【化8】 式中Rは炭素原子1ないし6を有するアルキル基である。
  18. 【請求項18】 前記光重合開始剤が次式を有する、請求項2に記載の光重
    合開始剤。 【化9】
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