JP2002512030A - がん免疫療法に有用な、hsp70から誘導された変異ペプチド化合物 - Google Patents

がん免疫療法に有用な、hsp70から誘導された変異ペプチド化合物

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Abstract

(57)【要約】 本発明は、hsp70 の天然配列に対して少なくとも1つの変異を有する、hsp70から誘導されたペプチド化合物を同定する方法と、この方法により得ることができるペプチド化合物とに関し、この化合物は腫瘍に特異的なT応答を引き起こす。本発明はまた、対応する天然 (非変異) ペプチドに対する免疫寛容を中断するように個体における反復免疫を行うために該ペプチド化合物を使用することにも関する。該ペプチド化合物は、特にがん治療用の医薬 (これは、場合により、腫瘍細胞ストレスを刺激する任意の薬剤と組合わせてもよい) を製造するのに有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 本発明は、 hsp70から誘導され、天然の hsp70配列に関して少なくとも1つの
変異または修飾を有する、腫瘍に特異的なT応答を引き起こすペプチド化合物を
同定する方法、およびこの方法で得ることができるペプチド化合物に関する。本
発明はまた、これらの化合物を、対応する天然のペプチド (変異していない) に
対する免疫寛容を壊すように個体において繰り返し免疫化を行うために使用する
ことにも関する。このペプチドは、特にがんを治療、場合によっては腫瘍細胞ス
トレスを引き起こす任意の薬剤と組合せて治療するための医薬品を製造するのに
有用である。
【0002】 これまで長期にわたり研究者は、がん化した細胞の表面に、標的として使用で
きる抗原が発現するという仮説から出発して、腫瘍の免疫拒絶を刺激する機構を
見出そうとしてきた。腫瘍の増殖および退縮の間の微妙なバランスが、特に免疫
系の役割に関する複数の理論の主題であった。免疫監視 (免疫サーベイランス)
は、免疫防御機構により腫瘍がその発達の非常に初期の段階で破壊されるという
魅力的な説である。例えば、多くの腫瘍がリンパ系細胞により浸潤されるという
観察は、この説を有利に示唆するものである。
【0003】 しかしながら、免疫不全患者におけるがんの頻度は一般の集団に比べてそれほ
ど高くはない。この事実は、免疫不全マウス (ヌードマウス) においてなされた
実験と関連する。具体的には、無菌環境化で飼育されたこれらのマウスは、野生
型の遺伝子型を有するマウスよりも腫瘍が増殖することはない。従って、免疫不
全患者におけるがん発生のリスクのごく僅かの増加は、ウイルス感染 (がんウイ
ルス) の頻度に直接関連していることが今日一般的に認められている。このこと
は、ウイルスの伝播を制限することにより、およびウイルス抗原を有するがん化
した細胞を認識することにより、免疫応答が介入するであろうことを示唆する。
がんウイルスが宿主細胞のゲノムに組み込まれると、抗原性標的を構成しうる改
変タンパク質がこの細胞により発現される。
【0004】 しかし、非ウイルス性起源の腫瘍に関しては、正常細胞との著しい抗原性の差
異はないという事実から、免疫防御に関して主な問題が生じる。これは、これら
の腫瘍が免疫監視からある程度逃げられると考えられる理由である。非ウイルス
性腫瘍により特異的に発現されるいくつかの抗原がこれまで実証されてきた。例
えば、CALLA タンパク質 (共通急性リンパ芽球性白血病抗原、Common Acute Lym
phoblastic Leukemia Antigen)は−これは造血細胞において正常に発現し、正常
成熟Bリンパ球においては抑制される−リンパ芽球においては過発現する。この
ように、腫瘍の抗原性タンパク質は生体にとって外来性ではなく、いくつかの正
常細胞において自然に存在する。
【0005】 従って、抗原性タンパク質を区別し、免疫防御により認識されうるものは、変
異、修飾 (例えば、アミノ酸の翻訳後修飾) または特異な分布、あるいは過発現
である。該タンパク質のリンパ球による認識はそれらが正常細胞においても内在
するため低下する (負のクローン選択) ことが明らかである。従って、当業者は
、がん化細胞に関する免疫防御を活性化するための有効な機構を見出すためには
この問題を解決しなければならない。抗原の濃度が低く、そのMHC 分子による呈
示が適切でないこともある場合、挑戦はより大きくなる。
【0006】 従って、本発明の目的は、インビボにおいて免疫防御、特に細胞傷害性Tリン
パ球、を効果的に刺激しうる、腫瘍に特異的な抗原性ペプチドを同定することで
ある。これらのペプチドは、場合によってはサイトカイン類やリンホカイン類な
どの共刺激剤を含むワクチンとして使用できる。
【0007】 Farace et al. (1997)は遅延型過敏症における、および免疫した患者における
ワクチン部位における炎症性応答の誘導は、少数のT細胞クローンの補充による
ことを示した。これらの細胞は、免疫前に腫瘍に浸潤し、すでに増幅したリンパ
球に対応する。このように、腫瘍抗原は、腫瘍に特異的なTリンパ球を局所的に
補充し増幅するのに使用できる。インビボで活性化された細胞はIL-2を投与する
ことによりさらに増幅させることができる。具体的には、Kumar A.等 (1996) は
T細胞クローン活性がIL-2を投与された患者の血液および腫瘍において誘導され
ることを示した。
【0008】 腎臓のがん腫細胞に特異的な細胞傷害性Tリンパ球 (CTL)のクローンを単離し
増幅させることは困難であった (Bernhard et al.,1994およびBrouwenstijin et
al.,1996)。この困難は、腫瘍浸潤性リンパ球 (TIL)の増殖性の欠如−特に腎が
ん腫の細胞 (RCC)において−による (Alexander er al., 1993) 。しかし、いく
つかの結果から、RCC は、これらの腫瘍がTリンパ球、特にTCR α/β+ DR+ T
hl- 偏在(polarized) リンパ球に高頻度でよく浸潤される (Angevin 等 , 1997)
ことおよびある免疫療法のプロトコルに比較的高い水準の応答 (15〜20%) があ
る (Rosenberg et al.,1992)ことから、インビトロでは免疫原性であるかもしれ
ないことが示唆される。
【0009】 RCC オートロガスCTL により認識される抗原は、Gaugler 等 (1996) により同
定された。この抗原は、RAGE 1と称される遺伝子によりコードされ、この遺伝子
は多くの腫瘍中に発現されるが、網膜以外の正常成人組織には欠如している。RA
GE 1をがん免疫療法に使用すると、これが網膜の自己免疫拒絶反応を起こすかも
しれないため問題を生じる。がん化細胞またはウイルスに感染した細胞から単離
した hsp- ペプチド混合物を含む製剤は、腫瘍および感染細胞に関して免疫防御
を与える (Blachere et al.,1997) 。WO 97/10001 、WO 97/06828 、WO 97/2691
0 またはTamura et al.,1993および1997などのその他の文献は、 hsp70/ がん化
細胞由来ペプチド複合体による新生物細胞の処理に関する。従来技術のこれらの
文献は、 hsp70が、細胞からのペプチドをスポンジのように吸収する能力を開示
している。がん化細胞由来の hsp70の分離は、抗原性である可能のある、腫瘍の
複数のタンパク質断片を同定することを可能にする。ここに、 hsp70タンパク質
に腫瘍中で発現する変異または修飾が存在し、そしてこのような変異または修飾
は免疫原性であることが見出された。 hsp70が腫瘍中で過発現するかもしれない
ことは知られているので、上記ペプチドは hsp70に対する寛容の破壊を誘導する
のに有用である。
【0010】 このように、従来技術の文献はいずれも下記に明らかにする本発明を開示また
は示唆するものではない。
【0011】
【本発明の記載】
本発明は、下記の工程を含む、天然の hsp70配列に関して少なくとも1つの変
異または修飾を有する、hsp70 から誘導されたペプチド化合物を同定する方法に
関し、該化合物は腫瘍に特異的なT応答を引き起こすものである。 a)1または2以上の腫瘍から得られる hsp70をコードするDNA 断片を PCR- 増幅
する工程、 b)工程a)で得られたDNA を、細菌において複製可能なベクターにクローン化する
工程、 c)工程b)の細菌を培養した後に得られた細菌の各コロニーにおける前記断片の配
列を決定し、そして hsp70における変異を同定する工程、 d)工程c)において同定された中で変異したペプチド断片の免疫原性を測定する工
程。
【0012】 有利には、工程d)はエリスポット (Elispot)検定法からなる。所定のHLA 分子
に対するアンカー配列 (anchoring sequence) を有するペプチド断片の免疫原性
を簡便に試験することも可能である (下記参照、 "逆免疫 (reverse immunology
) " 法) 。
【0013】 工程d)で試験されるペプチド断片は、この技術分野における一般的知識を用い
て化学合成により容易に得ることができる。 本発明において、"hsp70" なる用語は、 hsp70-1および hsp70-2の両方を意味
する。Elispot 検定法は従来技術の文献に広く記載されている。例えば、Herr等
(1998)は、TNF-αを分泌するCD8+Tリンパ球を検出し、定量するためのElispot
方法に関する。簡単に述べると、Multiscreen-HAプレート (Millipore,ベッドフ
ォード、マサチューセッツ) を抗-TNF- α抗体 (クローン195 ;ベーリンガー、
マンハイム) で被覆し、抗原性ペプチドの存在下でCD8+Tリンパ球を加える。分
泌されたTNF-αをウサギ抗-TNF- α抗体 (Serotec,オックスフォード、UK) 、ビ
オチン結合ウサギ抗-IgG抗体 (ベーリンガー、マンハイム) およびビオチン−ア
ビジン−パーオキシダーゼ複合体 (Vector, バーリンゲイム、カリフォルニア)
で検出する。サイトカインが存在する帯域の数および表面積をコンピューターに
より自動的に測定する (Herr et al.,1997) 。Herr et al.,1996の材料と方法の
項、第2段落、132 〜135 頁、およびScheibenbogen et al.,1997 の 933頁など
のその他の文献もこの方法を開示しており、これらも参照として本明細書に援用
される。
【0014】 本発明はまた、以下の工程を含む、 hsp70から誘導された変異ペプチド化合物
の免疫原性を増大させうる、人為的な点変異または修飾を明らかにする方法にも
関する: a)所定のHLA 分子に対するアンカーモチーフ (anchoring motif)を含む約9〜10
のアミノ酸の配列を有する断片を決定する工程、 b)残基4、5、6、7または8においてさらに点変異または修飾を導入する工程
、 c)工程b)で得られたペプチド断片の免疫原性を測定する工程。
【0015】 好ましくは、工程c)はElispot 検定法からなる。この方法は当業者に周知であ
る。また、下記のインターネットアドレスに見出されるはずの教示も参照のため
に本明細書に援用される: www.bimas.dcrt.nih.gov/molbio/hla-bind/ この方法はいわゆる" 逆免疫学" 法を用いて、活性成分 (免疫原性変異ペプチド
) を改良しうるであろう人為的点変異または修飾 (ヒト腫瘍には存在しない) を
決定することを可能にする。 hsp70などのタンパク質のアミノ酸配列についての
知識に基づき、その特異性にかかわらず (HLA-A2、HLA-A1、HLA-B7など) 、どの
ペプチドが HLAポケットに結合するかを予測し、次いでこれらのペプチドの、対
象 HLA対立遺伝子に効果的に結合する能力をインビトロで試験し、親和性に重要
なある位置においてアミノ酸に点変異または修飾を導入することができる。BIMA
S コンピュータープログラムによりそのような予測が可能となる。 HLA分子に対
するアンカリング (anchoring)にに関与するアミノ酸についての一般的法則はPa
rker等 (1992および1994) およびRammensee 等 (1995) において示されている。
この情報は参照のために本明細書において援用する。当然のことながら、本発明
の方法はBIMAS プログラムの使用に限定されず、同等のいずれのプログラムを用
いて行ってもよい。
【0016】 本発明の別の側面は、上記の方法を用いて得ることができるペプチド化合物に
関する。この化合物は、 hsp70の少なくとも8つの連続したアミノ酸の配列を含
むこと、天然の hsp70配列に関して少なくとも1つの変異または修飾を有するこ
と、および特異的T応答を引き起こすことにより特徴付けられる。具体的側面は
、 hsp70の286 位および 294位の間のアミノ酸と少なくとも80%の相同性を有す
るペプチド化合物に関する。
【0017】 好ましくは、 293位のアミノ酸はイソロイシン、ロイシン、バリン、アラニン
、グリシンまたはフェニルアラニンであり、より好ましくは、イソロイシンであ
る。本発明の好ましいペプチド化合物は以下の配列の少なくとも1つを有する: −配列番号1: 286-SLFEGIDIY-294 −配列番号2: 286-SLFEGIDIYt-295 上記化合物は、天然のアミノ酸と同等であってもなくてもよい非天然アミノ酸
を含むこともできる。
【0018】 "ペプチド化合物" なる用語は、最小限、上記した hsp70のペプチド断片から
なるか、このペプチド断片が連続したものからなり、場合によっては天然または
非天然アミノ酸以外の1種または2種以上のその他の要素を有する物を意味する
。これらの要素の目的は、このペプチド断片を化学的または物理的に保護するこ
と、および/またはそれらの体内への吸収および/またはその投与および/また
はその生体利用性を促進することである。例えば、この保護は、ペプチドが体内
に存在する種々のプロテアーゼの作用を受けることなく、それらの標的に到達す
ることを可能にする。このような化学修飾は、また、 HLA-A2 分子に対する抗原
性ペプチドの親和性を増加させ、そしてインビボにおいてワクチンの有効性を向
上させるかもしれない (Rosenberg 等,1998)。
【0019】 上記要素は例えば以下のようなものであってもよい: −ペプチドのNH2 末端および/またはCOOH末端と反応する、当業者に知られた化
学的保護基、この修飾はペプチドの免疫原性をあまり低下させない、 −インビボでのワクチンの効果を改善する化学基、 −リポペプチドと称されるペプチド化合物を形成するようにペプチド断片に共有
結合する脂質または脂肪酸。パルミチン酸はその中の一例である (Vitiello等,1
995 、参照のために本明細書において援用する) 、 −制限酵素部位を有し、完全なペプチド断片を体内の作用部位に運ぶことを可能
にする、上記ペプチド断片に対する担体タンパク質。
【0020】 本発明の第2の側面は、上記ペプチド断片をコードするDNA 断片に関する。 "
DNA 断片" なる用語は、一本鎖もしくは二本鎖DNA 、cDNAおよび/またはRNA 断
片を意味する。上記ペプチド断片のアミノ酸配列に対応するヌクレオチド配列は
、遺伝暗号の縮重の法則によるあるアミノ酸に対するいくつかの可能なコドンす
べてを含むように変化しうる。本発明の主題はまた、真核および/または原核細
胞、特にヒト細胞、において強力で効果的なプロモーターに融合した上記DNA 断
片を含む、ペプチド断片を発現するためのベクターでもある。このベクターは、
ウイルスベクターでもプラスミドベクターでも、あるいは偽ベクター (pseudove
ctor) でもよく、選択マーカーを含んでも、サイトカイン類またはリンホカイン
類のような免疫学的補助剤を発現してもよい。
【0021】 本発明はまた、ペプチド化合物でローディングした樹状細胞、およびペプチド
断片を発現する発現ベクターで形質転換した樹状細胞にも関する。これらの細胞
はマクロファージであってもよい。Nestle等 (1998) は、抗原性ペプチドで患者
から採取した樹状細胞をローディングし (インビトロで培養) 、この同じ患者の
リンパ系にそれらを注射することからなるワクチン接種法を開示している。この
刊行物は参照のために本明細書において援用する。
【0022】 本発明の別の側面の主題は、本発明のペプチド化合物またはペプチド化合物混
合物、および薬剤的に許容しうる担体を含む薬剤組成物である。この組成物は、
1種または2種以上の免疫学的補助剤、特に腫瘍に細胞毒性である因子、を含ん
でいてもよい。
【0023】 また、本発明は、上記発現ベクターと薬剤的に許容しうる担体とを含む薬剤組
成物、または本発明のDNA 断片、あるいは上に示した細胞および薬剤的に許容し
うる担体を含む薬剤組成物にも関する。
【0024】 本発明のさらに別の側面は、がんを治療する目的で、同時または別々に用いる
ための、あるいは時間をおいて使用するための、本発明において請求されている
少なくとも1つのペプチド化合物と、細胞性ストレスを誘導する少なくとも1つ
の薬剤とを含む組み合わせの製品に関する。好ましくは、この薬剤は熱ショック
タンパク質、特に hsp70の過発現を誘導しうるものであればよい。有利には、こ
の薬剤は、特にDNA 傷害性薬剤およびグルココルチコイド受容体リガンドから選
択されるか、またはプロ- アポトーシス性 (pro-apoptoic) の第二メッセンジャ
ーから選択される、アポトーシス誘導剤である。本組み合わせ製品は、このプロ
- アポトーシス性の薬剤を活性化する酵素、特にチミジンキナーゼをコードする
遺伝子を有するウイルスベクターを含んでいてもよい。
【0025】 "細胞性ストレスを誘導する薬剤" なる表現は、熱ショックタンパク質、特に
hsp70、の過発現を誘導しうる任意の薬剤を指す。これらの薬剤は特にアポトー
シス誘導剤でありうる。 "アポトーシス誘導性薬剤" なる用語は、細胞の生存性
に直接あるいは間接に影響する任意の物質を意味する。
【0026】 本発明におけるアポトーシス誘導性薬剤は、特に、DNA 傷害性薬剤およびグル
ココルチコイド受容体リガンドから選択されるか、またはプロ- アポトーシス性
の第二メッセンジャーから選択されるうる。これらの薬剤は好ましくはがんの治
療に通常用いられるものから選択すればよい。そこで、このプロ- アポトーシス
性の第二メッセンジャーは、以下の化合物から特に選択される: −グルココルチコイド誘導体、 −ナイトロジョンマスタード (例えばシクロホスファミド) のようなアルキル化
剤から、 −白金錯体、例えばシスプラチン、 −エチレンイミン誘導体、ジメタンスルホノキシアルカン誘導体、 −ピペラジン誘導体、 −トポイソメラーゼ2阻害剤 (例えばアントラサイクリン) のようなトポイソメ
ラーゼ阻害剤、エトポシドのようなエピポドフィロトキシン、またはトポイソメ
ラーゼ-1阻害剤 (例えばカンプトテシン誘導体) から、 −抗葉酸剤 (例えばメトトレキセート) 、アンチプリン類 (例えば6-メルカプト
ブリン) 、またはアンチピリミジン類 (例えば5-フルオロウラシル) のよう抗代
謝物質から、 −ビンカアルカロイド類のような抗分裂剤、またはタキソテレ(taxotere) のよ
うなタキソイド (taxoid) 類から、および、 −ブレオマイシン、ダカルバジン(dacarbazine)、ヒドロキシカルバミド、アス
パラギナーゼ、ミトグアゾン (mitoguazone)またはプリカマイシン (plicamycin
) などの種々の細胞傷害性薬剤から。 これらの抗新生物剤はActualite Pharmaceutiques No.302 (1992年10月) 38、39
、41〜43頁に記載され、これは参照として本明細書において援用する。
【0027】 上記アポトーシス誘導性薬剤は、放射線療法において使用されるガンマ線、エ
トポシド、ドキソルビシン、デキサメタゾン、C8- セラミドなどのセラミド、お
よびロニダミンから選択してもよい。上記抗がん剤のいくつかはUS 5,260,327 (
転移の治療のためのロニダミンの使用に関する) 、JO 5017353 (その他の抗がん
剤と組み合わせたロニダミンの使用に関する) 、およびEP 291151(フロリジン誘
導体の使用を開示している) に、より詳しく記載されている。これらの文献は参
照のために本明細書において援用する。
【0028】 本発明による製品は、上記化合物および/または薬剤の活性化を可能にする酵
素 (例、チミジンキナーゼ) をコードする遺伝子を有するウイルスベクターを含
んでいてもよい。多数の特許が、特定の組織において活性化される自殺遺伝子の
使用、特にがん化細胞をヌクレオチド類似体に感作させるための使用に関する。
これらの文献 (参照のために本明細書において援用する) のなかで、EP 494776
、EP 690129 、EP 657540 およびEP 657541 は、特に、プロドラッグの活性物質
への変換を触媒しうる遺伝子を有するベクターを含む医薬品の製造に関する。よ
り詳しくは、EP 657539 の主題は、細胞特異性を有するチミジンキナーゼ遺伝子
のがん治療のための使用である。
【0029】 別の態様において、細胞性ストレスを誘導する薬剤は、腫瘍低酸素症を誘導す
る化合物、特に血管形成阻害剤から選ばれる。特に、J.Folkman により開示され
たエンドスタチンとアンジオスタチン、Locopo等 (1998) のトロンボスポンジン
-1および-2 (TSP-1 、-2) ;Maier 等 (1999) のIFN γ、TNF αおよびIL-1αの
因子類およびSheu等 (1998) のU-995(サメ軟骨由来の阻害剤) が挙げられる。こ
れらの刊行物、Paper 等 (1998) の天然の阻害剤に関する概論、およびHarris等
(1998) の各種既知の阻害剤に関する一般概論は参照のために本明細書において
援用する。
【0030】 本発明の薬剤組成物または組み合わせ製品は、また、1または2以上の免疫学
的補助剤、特に腫瘍に対して細胞毒性である薬剤を含んでいてもよい。これらの
製品は、IV (静脈注射) 、皮下、経口または鼻からの投与に適合し、好ましくは
正または負に荷電したリポソーム、ナノ粒子 (nanoparticle) または脂質エマル
ジョンから選択される薬剤担体を含んでいてもよい。
【0031】 本発明はまた、請求項7〜11のいずれかに記載のペプチド化合物の、医薬品、
特にがん (特に固体状の腫瘍、殊にがん腫、黒色腫、神経芽腫、および首や頭部
のがん、好ましくは腎がん腫) の治療を目的とした医薬品の製造のための使用に
関する。この医薬品は、ex situ またはin situ での免疫を目的としうる。本発
明はまた、上記ペプチドの、腫瘍 CTL集団を培地中に増加させるための、および
/またはこの CTLによる細胞傷害性因子 (例えば、IL-2、IFN-γまたはTNF)の分
泌を誘導するための、および/または免疫防御を、特に腫瘍 CTL集団を増加およ
び/またはこの CTLによる細胞傷害性因子 (例、IL-2、IFN-γまたはTNF)の分泌
を誘導するように刺激するための使用に関する。
【0032】 当然、本発明の組成物および製品は、放射線療法と組み合わせて用いることが
できる。有利には、本発明の組成物および製品は、患者において対応する天然の
ペプチド (変異していない) に対する寛容を破る目的で繰り返し免疫を行うため
に利用することができる。具体的には、 hsp70は腫瘍において過発現する、また
はするかもしれないことが知られているので、患者をこのタンパク質に対して免
疫できることが最も有利である。このタンパク質の変異ペプチドによる免疫は、
hsp70に関する患者の免疫系の寛容を破ることができる。従って、がんの種類や
患者のタイプにかかわらず、がん化細胞に対する細胞傷害性およびヘルパーTリ
ンパ球を特異的に刺激することができる。
【0033】 本発明のさらに別の側面は、下記の工程を含む、 hsp70変異体、特に hsp70-2
I-293変異体に結合する抗体を製造する方法に関する: a)本発明の請求項記載のペプチド化合物で哺乳動物を免疫する工程、 b) hsp70-2-293、特に hsp70-2 I-293に結合するモノクローナル抗体を免疫学的
検定において単離する工程、 本発明はまた、 hsp70-2-293、特に hsp70-2 I-293に結合するモノクローナル
抗体、および下記工程を含む、 hsp70-2-293変異または修飾、特に hsp70-2 I-2
93変異または修飾を検出する方法を含む: a)個体から採取した試料を、上記モノクローナル抗体に接触させる工程、 b)抗体/ hsp70-2-293複合体を形成させる工程、 c)複合体中にあるか複合体に結合している検出可能な標識により hsp70-2-293を
検出する工程。
【0034】 さらに別の態様において、本発明は、特に1または2以上の上記抗体を含む診
断用キットに関する。このキットは特に、がんの検出に、および個体において定
着したがんの予後の判定に用いることができる。最後に、本発明の主題は、1ま
たは2以上の上記モノクローナル抗体および薬剤的に許容しうる担体を含む薬剤
組成物でもある。本発明は、同じく、医薬中の上記薬剤組成物を、医薬品、特に
がんの治療のための、特に固体状腫瘍、有利にはがん腫、黒色腫、神経芽腫およ
び首や頭部のがん、好ましくは腎がん腫を治療するための医薬品を製造するのに
使用することに関する。
【0035】
【本発明の詳細な説明】
従って、本発明の主題は、腫瘍に特異的な CTLの集団を増加させることにより
、および細胞傷害性因子のこの CTLによる分泌を誘導することにより免疫防御を
刺激することを可能にする。このような特異的 CTLの増幅は、腫瘍を破壊するい
わば細胞の兵隊をつくり拡大することになる。具体的には、細胞傷害性Tリンパ
球は、抗原認識において特定の役割を果たし、固体状腫瘍にさえも浸潤する。 C
TLの活性は、同系のクラス I MHC分子と結合した抗原を認識することからなる。
【0036】 CTLおよび標的細胞は次いで、CD8-TCR の MHC I分子との会合を介して結合を形
成する。細胞傷害性の機構の段階は以下の通りである: −認識、高度に特異的な結合、およびTCR-CD8-MHC I(抗原性ペプチド) 三次複合
体の形成、 − CTLによる標的細胞膜へのパーフォリンおよび種々の酵素の分泌、 −カルシウムの存在下での酵素によるパーフォリンの重合による標的細胞膜にお
けるチャンネルの形成 (ポリパーフォリンチャンネル) 、 −プロテアーゼ類およびトキシン類のチャンネルを通した通過および標的細胞の
内側での作用、 −TNF-α、リンホトキシン (TNF-β) やTNF-γなどのその他の傷害性因子が、標
的細胞膜の特異的受容体へ結合した CTLにより放出。次いで、DNA の断片化、細
胞膜の出芽 (budding)、および細胞の小断片 (アポトーシス性物体) への分解を
特徴とするアポトーシスがみられる。
【0037】 本発明の主題は、このように、高い免疫原性能を有し、腫瘍に特異的な充分な
量のペプチドを生体に供給することである。このペプチド断片は多数のペプチド
類の中では非常にまれであり少ない。事実、このペプチドの MHC分子との結合は
陥入に位置し、この陥入は特異的位置と特異的物理化学的性質を有し、関与する
アミノ酸の性質により変化する。このように、ペプチド (約9つのアミノ酸) は
、これらの側鎖の性質および MHC分子の溝との相補性と相関して MHCに結合する
。この MHCとの会合は特定の細胞内の有機体で生じる。抗原性タンパク質は一般
に、プロテアソーム (遍在性多機能プロティナーゼ複合体) においてペプチドに
分解され、次いでこのペプチドは粗面小胞体(RER) に移行する。 MHC I合成と、
ペプチドとの会合は、 RERにおいて生じる。次いで、抗原- MHC I 複合体はゴル
ジ装置により細胞の表面に輸送される。従って、何故ある種のペプチドのみが M
HC Iに結合しうるのかが理解される。本発明のペプチドに関しては、非常に低い
解離定数Kd (非常に強い会合) を有することが実証された (下記参照) 。この点
では、それらは免疫系、特に CTLを効果的に活性化することを可能にする。
【0038】 RCCに特異的な CTLは、患者の腫瘍−浸潤性リンパ球(TIL) から単離されうる
。RCC TIL の少なくとも80%が活性化DR+ LAG-3+ CD8+ 細胞である(Angevin等,1
997)。インビトロにおけるこれらの TILの短い活性化に続いて、Th1-偏在(polar
ized) 型の応答がみられた (IL-2およびインターフェロンγは分泌されるが、IL
-4は分泌されない) 。他方、Finke 等 (1993) はインビボにおける TIL活性の明
らかな欠如は、これらの細胞における種々の制御カスケードの機能が不足してい
ることによることを記載している。しかし、本発明において記載した5つの CTL
の間で、クローン化2A11 (TCRBV1J1S6) は、腫瘍部位で増幅され、3%までのTC
R α/β+ TIL を発現するため特に有利である。さらに、このクローンは HLA-C
w16 により発現される腫瘍に特異的な抗原を認識する(Angevin等,1997)。従って
、これは、 HLA-C分子がこの患者において腫瘍部位で要素を発現しうることを示
す。
【0039】 hsp70は、C2遺伝子からテロマーの方向へ92kbにおける MHC領域に位置する重
複遺伝子座 (hsp70-1 および hsp70-2) によりコードされる (Milner等, 1990)
。このDNA セグメントはクラスIV領域と称され、炎症性応答とストレス応答に関
与する少なくとも7つの遺伝子を含む (Gruen, 1997)。イントロンを欠く2つの
遺伝子 (hsp70-1 および hsp70-2) は 641アミノ酸の同じタンパク質をコードす
る。プロモーター領域には多少の配列の違いがあり、非翻訳3'領域においては完
全な違いがある。 hsp70-2に特異的なプローブを用いて、熱ショックの後にmRNA
(2.4kb)の量の増加が示された。 hsp70-2プローブは、RCC 腫瘍の細胞系の構成
性RNA およびこの腫瘍の凍結外科的試料において少量の2.4kb mRNAを検出するこ
とを可能にした。同種細胞系 HLA-A2+ RCC (hsp70-2mRNAを低レベルで発現する)
が CTL 11C2 により殺されなかった理由は、変異ペプチドと野生型デカペプチ
ド286-295 の間で標的免疫感作検定法においてみられる差 (最大半溶解(half-ly
sis)がそれぞれ5×10-11Mおよび5×10-8M)によるかもしれない。COS-7 細胞に
おける野生型 hsp70-2の転写および過発現は CTL 11C2 による TNFの分泌を誘導
する。
【0040】 hspは、正常組織とがんの間で、または正常細胞とウイルスに感染した細胞の
間で、一次構造においては異なっていない非多型性分子であることが知られてい
る。従って、 hspを含む製剤の免疫能は hsp分子と、 hspが単離された細胞によ
り産生されたペプチドの会合による。具体的には、 hsp−ペプチド複合体はイン
ビトロにおいて産生させることができ、この複合体の生物学的活性はインビボで
産生されたhsp-ペプチド複合体のものと同等である (Blachere等,1997)。この観
察は、 hspがCD8 + T細胞からの応答を生じる補助剤であることを示すが、本発
明者等の結果は、 hsp70のある種のペプチド断片は直接的に免疫原性であること
を示す。
【0041】 本明細書の残部および実施例のために図面を参照するが、その説明は後で述べ
る。 本発明の研究により、3種類の異なる実験において2種類の実験条件 (IL-2の
使用、またはIL-2+IL-7+IL-12 の使用) を用いて得られたTIL (腫瘍浸潤性リ
ンパ球) に由来するRCC-CTL クローンの分離が可能となった。20日目と30日目の
間に、RCC-7 腫瘍のオートロガス細胞系のかなりの溶解を示す培養物に属するこ
れらの細胞を、限界希釈法によりクローニングした。このプロトコルで得られた
8クローンから、それらの明確なTCR 表現型によって5クローンを選んだ。全て
のクローンがTCR α/β+ CD8+ CD4- 細胞障害性細胞であり、腫瘍のオートロガ
ス細胞により刺激した時にTNF を産生する。抗クラス1 mAb WC/32 のブロッキン
グ効果は、細胞障害活性がMHC I 分子拘束されていることを示した (図1) 。ク
ローン11C2の細胞溶解活性は、HLA-A2に特異的なmAb MA2.1 によりブロックされ
た (図2) 。この結果は、HLA-A2が11C2に対する提示分子であり、11C2が腫瘍の
オートロガス細胞を認識することを示唆している (図3) 。
【0042】 11C2 CTLにより認識される抗原のcDNAの同定 この抗原をコードする遺伝子を同定するために、RCC 腫瘍由来のcDNAライブラ
リーを、HLA-A2提示分子をコードするcDNAと共に、COS-7 細胞に導入 (トランス
フェクション) することを含む、遺伝学的手法を採用した、 Seed B. (1987) 。
使用した発現ベクターは、SV40複製起点を含んでおり、この複製起点は導入され
たプラスミドのエピソームのかなりの増倍と、従って導入された遺伝子の高い発
現とを可能にする。RCC-7 細胞系由来のRNA を用いてpcDNA I 発現ベクター中に
構築されたcDNAライブラリーを使用した。このライブラリーを、400 部分の200
組換えプラスミドに分割し、各部分を、pcDNA オートロガス HLA-A*0201構築物
と共に、COS-7 細胞系に2回ずつ共導入 (コトランスフェクション) した。その
後、COS-7 細胞をクローン11C2によるTNF の産生を刺激するその能力について検
定した。48時間後、共導入したCOS-7 細胞を11C2と共に一晩インキュベーション
し、上清のTNF 濃度を、そのWEHI細胞上での細胞障害作用により測定した。上清
中のTNF 量は、2回の実験の2つの対 (40 pg/mlと45 pg/ml) を除いて、5pg/m
l 以下である。2重の陽性物の抽出物由来の100 部分の20組換えプラスミドをCO
S 細胞に導入することにより2回目のスクリーニングを行った。最後に、3回目
のスクリーニングで2つのcDNAクローン (A8およびB65 と名づけた) を分離する
に至った。それにより、抗原発現を HLA-A*0201+ COS-7 細胞中に伝達すること
が可能となる。A18 cDNAクローンで得られた結果を図4に示す。
【0043】 最長cDNA (A18)の配列は1.9 Kbであり、位置877 での変異 (チミンの代わりに
アデニン) を除くと、hsp70-2 cDNAの577 から2876までのヌクレオチドに100 %
相同である。位置+1はhsp70-2 の翻訳開始位置である, Milner et al, 1990。
【0044】 hsp70-2 cDNAの全長を同定する目的で、かつ突然変異が腫瘍サイトに存在する
だけであるかを証明するために、我々は、RCC-7 細胞、およびEBV で形質転換さ
れたB細胞、およびPHA 芽細胞(blasts)の抽出物由来のDNA 上でPCR を行った (
hsp70-2 はイントロン欠失遺伝子である) 。ヌクレオチド-36 ないし1974に相当
する単鎖の2-Kb産物がどの場合にも得られ、これを配列決定および発現のために
ベクターpcDNA I にサブクローニングした。腫瘍断片から得られた7個のDNA ク
ローンのうち4個が突然変異を有する。EBV で形質転換した細胞および芽細胞に
ついては、分析した14個のDNA 配列のどれも突然変異を保有していない。このよ
うに、突然変異は腫瘍細胞中の染色体上だけに存在し、正常細胞中には存在しな
い。
【0045】 抗原性ペプチドの同定 抗原性ペプチドをコードする最小ヌクレオチド領域の境界を定めるため、A18
cDNAクローンから複数のトランケーテッド (端を切断した)cDNA を得た。エキソ
ヌクレオチドIII の使用により、このcDNAの3'末端から始まる欠失を少しずつ発
生させることが可能となった (図5) 。これらのcDNA断片をオートロガス HLA-A * 0201 cDNA と共にCOS-7 細胞中に共導入した。最小コーディングヌクレオチド
領域は、ヌクレオチド730 と944 との間に位置していた。腫瘍に特異的な単一の
突然変異を保有する領域中のトランケーション (端部切断) は、11C2 CTLによる
認識をだめにする。 HLA-A*0201結合モチーフを保有するペプチドを、検定した1
8個のペプチドの中で、この領域内にて探索したところ、位置8に変異物のイソ
ロイシン残基を保有する2個だけ (ノナペプチド SLFEGIDIY、アミノ酸286 から
294 、およびデカペプチド SLFEGIDIYT 、アミノ酸286 から295)が認識された。
最大半溶解(maximum half-lysis)は、ノナペプチドの5×10-7Mに比べて、デカ
ペプチドではわずか5×10-11 Mの濃度で得られた (図6) 。11C2 CTLもまた、
野生型のデカペプチド286-295 (SLFEGIDFYT)も5×10-8Mの最大半溶解濃度で認
識するが、野生型のノナペプチド286-294 は認識しない (図6) 。
【0046】 HLA-A2へのhsp70-2 ペプチド断片の結合 HLA-A2に結合することができる抗原性ペプチドは、T2細胞中のHLA-A2分子の発
現を正に制御することができる, Nijman et al (1993) 。hsp70-2 286-295 デカ
ペプチド (変異型および野生型) の結合能力を、ノナペプチド286-294 の結合能
力と比較した。これら2種類のデカペプチドの結合は、20μM で4時間にわたっ
て、変異型と野生型の形態間で全く差異を示さずに安定している (図7) 。hsp7
0-2 ノナペプチドは効果がより小さいが、それらの結合はMART-127-35 ペプチド
のHLA-A2への結合に匹敵する。予想されうるように、対照ペプチドHLA-B7につい
ては何の効果も認められなかった (図7参照) 。
【0047】 ノーザンブロット分析 3'非翻訳領域を含む、hsp70-2 遺伝子座に対して特異的なプローブを用いて、
hsp70-2 遺伝子の発現を検査した。EBV で形質転換されたオートロガス細胞では
2.4 KbのmRNAが検出された。また、未処理のRCC-7 細胞およびRCC-7 の凍結外科
サンプルでは低レベルの発現が認められた (図8) 。低レベルの発現は、他の腫
瘍、特にメラノーマ、神経芽細胞腫、結腸の腺がん、膀胱腫瘍断片でも認められ
た。
【0048】 実施例1:RCC 細胞系の確立 本細胞系を、Angevin et al, 1997 により既に説明されているようにして、腎
がん腫(RCC) の細胞から確立した。要約すると、我々の研究所で腎全摘出を受け
た未治療の複数の患者から原発性腫瘍を取得した。患者7(HLA-A2, -A29, -B44,
-B51, -Cw15, -Cw16)は転移RCC に罹患した54歳の男性である。手術および酵素
消化の後、RCC 腫瘍からの新鮮細胞懸濁液を、ダルベッコ修飾イーグル培地(DME
M)、ペニシリン (50 IU/ml) 、ストレプトマイシン (50μg/ml) 、200 mM L-グ
ルタミン1%、200 mM ピルビン酸ナトリウム1%、胎児ウシ血清(FCS) 10%、
および Ultraser G (Gibco-BRL, イギリス、ペーズリー) 1%からなる培地に接
種した。この培地は、本書の以下では「RCC 培地」と呼ぶ。全ての腫瘍細胞系を
このRCC 培地中で維持した。RCC-7 細胞系は患者7の原発性腫瘍から得た。
【0049】 実施例2:細胞および培地 患者7のPBMCの感染後にEBV オートロガス細胞系を得た。 EBV で形質転換された細胞系は、FCS 10%を添加したRPMI 1640 (Gibco-BRL)
中で維持した。TNF 感受性マウス繊維肉腫細胞系であるWEHI-164クローン13は、
Benoit Van Den Eynde氏 (ルートビッヒがん研究所、ベルギー、ブリュッセル)
より特別に提供され、これをL-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、抗生物質類
、およびFCS 5%を添加したRPMI 1640 (Seromed Biochrom KG, ドイツ、ベルリ
ン) 中で、0.01〜0.05×106 個/mlの濃度で培養した。ヒト変異細胞系CEM × 7
21.174.T2 (T2), Salter et al, (1989)を、FCS 10%を添加したRPMI-1640 中で
維持した。この細胞系は、Pirre Langlade氏 (パスツール研究所、フランス、パ
リ) より特別に提供された。全ての細胞培養液を、水で飽和した、CO2 含有量5
%の雰囲気中に保持した。
【0050】 実施例3:TIL 細胞系の確立 腫瘍懸濁液由来のTIL を、RPMI 1640 、ペニシリン、ストレプトマイシン、L-
グルタミン1%、ピルビン酸ナトリウム1%およびヒトAB血清8% (Institut J
acques Boy S.A.,フランス、ランス) (これを完全培地と名づける) を入れたフ
ラスコ中に接種した。TIL を、10 IU/mlのrIL-2 、50 IU/mlのrIL-7 (Sanofi,フ
ランス、ツールーズ) および10 IU/mlのrIL-12 (Genetics Institute, マサチュ
ーセッツ州ケンブリッジ) を添加した完全培地中で同じ濃度で3日間接種に供給
した。3日目以降は、30 IU/mlのrIL-2 、50 IU/mlのrIL-7 および10 IU/mlのrI
L-12を添加した完全培地を用いてTIL を供給した。TIL 細胞系の表現型および細
胞障害活性を刺激の14および21日後に決定した。
【0051】 実施例4:モノクローナル抗体(mAb) 、血清剤および表現型分析 フルオレセイン(FITC)もしくはフィコエリトリン(PE)のいずれかと複合化し、
TCR α/β、CD3 (Leu4)、CD3 (Leu3a) 、CD8 (Leu8)、CD80 (B7.1) およびHLA
DR (L249) に対するmAb 類をBecton Dickinson (カリフォルニア州マウンテンビ
ュー) から購入した。CD56 (NKH1A)は、Coultronics (フロリダ州ハイアレア)
からのものである。TIL を、FITC-mAbまたはPE-mAbと共に細胞を4℃で30分間イ
ンキュベーションすることによる二重免疫染色により決定した。Cellquest ソフ
トウェアを用いて、FACScan (Becton Dickinson)でフローサイトメトリー分析を
行った。実験室用ascites はW6.32 (抗HLA-A/B/C)、MA2.1 (抗HLA-A2および-17)
ならびにB1.23.2 (抗HLA-B/C)であり、これらは機能および免疫蛍光実験 (1/200
ないし1/2000の範囲内の最終希釈度までの所定の飽和濃度での) のために選択
された。
【0052】 実施例5:TIL 細胞系のクローニング 3週間の培養後、リンパ球を限界まで希釈することによりこれをクローニング
した。クローニングは、8%のヒトAB血清8%、30 IU/mlのrIL-2 および3%の
TCGFを添加したRPMI培地を入れた96穴 (ウェル) プレート中で、600 ないし0.6
細胞/ウェルで行った。ウェルの底では、照射オートロガス腫瘍細胞(1×104/ウ
ェル) 、照射同種リンパ球(8×104/ウェル) およびEBV で形質転換された照射細
胞(2×104/ウェル) からなる支持層を培養した。クローンは、rIL2およびTCGFを
含有する完全培地で週に3回供給された。クローニングされた細胞について免疫
学的表現型と細胞障害性を決定した。
【0053】 実施例6:細胞障害性アッセイ 細胞障害性アッセイは、上述したように、標準的な4時間クロム放出アッセイ
, Angevin et al, (1997) を用いて実施した。要約すると、2×103 51Cr標識
標的細胞を、各種E/T比のエフェクター細胞と共に、200 μl の最終量で37℃
で4時間インキュベーションした。mAb による細胞溶解の阻害に関して、エフェ
クター細胞を添加する前に、標的細胞を飽和濃度のmAb の存在下で2時間予備イ
ンキュベーションした。インキュベーション終了後、40μl の上清をLumaplate
96固体シンチレーションプレート (Packard Instruments, コネチカット州メリ
デン) に移し、一晩乾燥し、β放射能カウンター (Packard Instruments)で計数
した。
【0054】 実施例7:HLA 分子のクローニングと発現 クラス1 HLA アレル (対立遺伝子) を、Ennis et al, (1990) に記載のPCR 法
にいくつかのわずかな変更をして用いクローニングした。 RNAB (Bioprobe Syst
ems)を用いて、RCC-7 細胞系から全RNA を調製した。第1のcDNA鎖を、オリゴ(d
T)プローブおよび逆転写酵素 (Invitrogen) により合成した。このcDNAを、下記
プローブによる30サイクルPCR 増幅に対してマトリックスとして使用した: −5P2-H (5'-GGGCAAGCTTGGACTCAGAATCTCCCCAGACGCCGAG-3')、配列番号3、 −3P2-X (5'-GCCCTCTAGATCTCAGTCCCTCACAAGGCAGCTGTC-3')、配列番号4。
【0055】 これらのプローブは、クラス1アレルのそれぞれ5'および3'非翻訳領域の共通
配列に対応する。これらのプローブは、クローニング部位を除いて、上記のHLA-
5P2 およびHLA-3P2 プローブ, Ennis et al. (1990) と同一である (5P2 につい
てはSal I およびHind III部位が、3P2 についてはHind IIIおよびXba I 部位が
それぞれ置換された) 。PCR 産物をHind IIIおよびXba I で消化し、プラスミド
pcDNA I (Invitrogen)中に連結した。これらの作製物をE. coli MC 1061/P3に導
入した。次いで、いくつかのコロニーからQIAGENカラム(Qiagen)を用いてプラス
ミドDNA を抽出した。"ABI PRISMダイ・ターミネータ・サイクル・シークエンシ
ング・レディー・リアクション・キット(Dye Terminator cycle sequencing rea
dy reaction kit)"(Applied Biosystems) と自動DNA シークエンサとを用いて、
DNA 配列決定を行った。この配列を、データベースに入手できるクラスI HLA ヌ
クレオチド配列と比較した。
【0056】 実施例8:cDNAライブラリーの作製 mRNA分離システム (Fast Trackキット2.0, Invitrogen)を製造業者の指示を守
って使用し、RCC-7 細胞系からポリ(A)+ RNA を抽出した。AMV 逆転写酵素を、
その5'にNot I 部位を含有するオリゴ-dT プローブと共に用いて、第1のcDNA鎖
を合成した。第1の鎖の合成により形成されたRNA-cDNAハイブリッドを、DNA ポ
リメラーゼI を、E. coli からのRNアーゼH およびDNA リガーゼと併用して、二
重鎖cDNAに形質転換した。次いで、T4 DNAポリメラーゼを用いて、上記cDNA中に
平滑開裂を形成した。BstXリンカーを付加し、アガロースゲル上で分画してcDNA
のサイズを得た。所望サイズのcDNA (800 ヌクレオチドより長い) を、BstX I/N
ot Iで開裂したベクターpcDNA I 中に連結し、適当なE. coli 株 (MC1061/P3)を
形質転換した。
【0057】 スクリーニング実験のために、一部の細菌コロニーから得たプラスミドDNA を
下記プロトコルに従って調製した: LB-寒天培地 (アンピシリン30μl/mlおよび
テトラサイクリン10μl/mlを添加) 中で培養した100 または200 コロニーを、2
mlのLB培地中に接種し、37℃で一晩インキュベーションした。アルカリ溶解法,
Birnboim et al, (1979), を用いてプラスミドDNA を抽出し、20μl/mlのRNアー
ゼを含有する10 mM Tris-1 mM EDTA, pH 7.5, 30μl 中に再懸濁させた。プラス
ミドDNA 濃度を40 ng/μl に調整した。
【0058】 実施例9:COS-7 細胞の導入と導入物のスクリーニング 導入 (トランスフェクション) の実験は"DEAE-デキストラン-クロロキン法",
Brichard et al, (1993) により実施した。導入の3日前に、COS-7 細胞を96穴
(マイクロウェル) プレート内にて、胎児ウシ血清20%を含有するRPMI培地150
μl に5×103 個/ウェルの濃度で接種した。導入のために、培地を DEAE-デキ
ストラン/DNA 混合物30μl に取り替えた。マイクロウェル中での二重導入 (do
uble transfection)のために、下記を順に添加してこれらの混合物を調製した: −cDNAライブラリー由来のプラスミドDNA 200 ng、 −プラスミドpcDNA I/HLA-A*0201 200 ng 、 −150 mM NaCl, 10 mM Tris, pH 7.4 (TBS緩衝液と名付ける) 25μl 、 −1mg/ml のDEAE-デキストラン (Pharmacia Biotech Europe GmbH,フランス、
サクレ) を含有するTBS 35μl 。
【0059】 上記細胞を、この混合物+非補足(non-complemented) "NuSerum" (Becton Dic
kinson) 10%とクロロキン (Sigma-Aldrich Chimie SARL,フランス、サンカンタ
ンファラビエ) 100 mMとを添加したDMEM 105μl と共に室温で30分間インキュベ
ーションした。次に、細胞を5% CO2雰囲気下、37℃で4時間インキュベーション
した。インキュベーション後、培地を取り除き、細胞を10%のジメチルスルホキ
シドの溶液を含有する1×PBS 中で2分間インキュベーションした。細胞を1×
PBS で1回洗浄し、10%のFCS を含有するRPMI中で48時間インキュベーションし
た。その後、培地を取り除き、細胞を1×PBS で1回洗浄した。5000個のCTL を
FCS 10%を含有するRPMI 100μl 中で各ウェルに添加した。20時間後、上清を集
め、そのTNF 濃度を、既に説明したように、MTT (3-[4,5-ジメチルチアゾール]-
2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド)(Sigma-Aldrich)比色アッセイ法, Trav
ersari et al, (1992)においてWEHI-164クローン13上でのその細胞障害性を検定
することにより測定した。mAb によるTNF の分泌の阻害に関しては、標的細胞を
飽和濃度のmAb の存在下で2時間予備インキュベーションしてから、エフェクタ
ー細胞をさらに20時間添加した。
【0060】 実施例10:hsp70-2 の全長を分離するためのPCR アッセイ RCC-7 細胞系から、DNAzolTM (Life Technologies)を用いてゲノムDNA を抽出
した。Taq DNA ポリメラーゼ(Perkin Elmer)を使用したPCR 反応に1μl のDNA
を用いた。下記プローブを使用した: −hsp70-2Aプローブ:5'-GGGCAAGCTTAGTCTCAGAGCGGAGCCAAC-3' (ヌクレオチド-36 ないし-18 、センス) 、配列番号5、 −hsp70-2Bプローブ:5'-GCCCTCTAGAGTCCCAACAGTCCACCTCAA-3' (ヌクレオチド1955ないし1974、アンチセンス) 、配列番号6。
【0061】 これらのプローブはそれぞれHind IIIおよびXba I 制限酵素部位を含む。PCR
の条件は98℃で1分間の後、30回の増幅サイクル (98℃で15秒、65℃で1分間、
72℃で2分間、最後の伸張は72℃で10分間) であった。得られたPCR 産物をHind
IIIおよびXba I で消化し、吸着性ガラスビーズ (Geneclean)により精製した後
、配列決定と HLA-A*0201と一緒のCOS-7 細胞への共導入のために、発現ベクタ
ーpcDNA I のHind IIIおよびXba I 部位中にサブクローニングした。
【0062】 実施例11:抗原性ペプチドに対する最小ヌクレオチドコーディング領域の同定 発現ベクターpcDNA I から製造されたcDNAライブラリーからA18 cDNAを分離し
た。このプラスミドをSph I およびXba I で消化してから、A18 cDNAの3'末端か
ら始まる漸進的欠失を発生させるためにエキソヌクレアーゼIII で処理した。か
なりの数の末端切断 (トランケーテッド)cDNA クローンを得るために"Exo Mung
Bean欠失キット" (Stratagene)を使用した。連結後、細菌E. coli MC1061/P3 を
末端切断cDNAで形質転換した。各クローンからプラスミドDNA を抽出した後、配
列決定およびと HLA-A*0201と一緒のCOS-7 細胞への共導入を行った。
【0063】 実施例12:ペプチド合成およびペプチド認識アッセイ スクリーニングアッセイにおいて、使用したペプチドは "PepSet法" (Chiron
Technologies, フランス、シュレネ) により合成した。機能分析のために、この
ペプチドをF-moc (一時的NH2 末端保護) を用いて固体相上で合成し、合成用HPL
Cにより精製した。分析用HPLCでは、このペプチドが95%の純度を有することが
示された。凍結乾燥したペプチドを10 mM DMSO水溶液に溶解し、−20℃で保存し
た。このペプチドをクロム放出アッセイにおいて使用した。EBV で形質転換され
51Crで標識された2000個のオートロガス細胞を、96穴プレート上で、多様なペ
プチド濃度にて37℃で1時間インキュベーションしてから、11C2 CTLを添加した
【0064】 実施例13:ペプチド結合アッセイ アッセイの48時間前に、T2細胞, Nijman et al, (1993), を無血清 AIM-V培地
(Gibco-BRL)中で培養した。結合アッセイのために、T2細胞 (106)を、20μM の
濃度のペプチドと共に、またはこれを含有させずに、DMSO 0.8%中の同じ培地を
用いて26℃で16時間インキュベーションした。次に、ペプチド (20μM)を再び添
加し、細胞を37℃でインキュベーションした。30分または1時間の間隔で細胞ペ
レットを集め、HLA-A2発現レベルを抗HLA-A2 mAb (MA2.1)を用いて監視した。
【0065】 実施例14:RNA 分離およびノーザンブロット分析 細胞を37℃で維持するか、または42℃の熱ショックを2時間受けさせてから、
遠心分離により回収した。全RNA をグアニジニウムイソトシアネート細胞溶解に
より抽出し、塩化セシウム中で超遠心分離した。全RNA の検体 (15μg)を、ホル
ムアルデヒド−アガロース1%を含有する変性用ゲル中で分画し、Hybond-N+ ナ
イロンメンブラン上に、製造業者の指示 (Amersham France S.A., フランス、レ
ウリス) を守って移した。hsp70-2 に特異的なプローブ (ヌクレオチド1955ない
し2159) と、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH) プロー
ブとを用いて、ノーザンブロットをハイブリダイゼーションした。全てのプロー
ブを、Prime-ITTM II ランダム・プライマー標識キット (Stratagene) を用いて
[32P] dCTP (3000 Ci mmol-1) で標識した。ハイブリダイゼーションはhsp70-2
プローブ (106 cpm/ml) およびGAPDH プローブ (105 cpm/ml) を用いて45℃で16
時間行った。メンブランの洗浄を、室温の2×SSC で2回、62℃の2×SSC/0.1%
SDSで45分間を1回、および62℃の 0.1×SSC で10分間を1回行ってから、80℃
で11日間のオートラジオグラフィーを行った。
【0066】 実施例15:エリスポットアッセイ HLA-A2陽性ドナーから、負の免疫磁気 (negative immunomagnetic)精製 (CD4
およびCD56細胞に対する抗体を使用) によりCD8+細胞を分離した。底部がニトロ
セルロースで被覆されている96穴プレート (Millipore)中で、10-6 Mのペプチド
を含有させたHLA-A2.1陽性T2細胞100,000 個に、100,000 個のCD8+細胞を直接添
加した。CD8+細胞の20時間の刺激の後、エリスポット-IFNγアッセイを行った。
結果を下の表1に示す。陽性対照はペプチドMP、即ち、「マトリックスタンパク
質」であり、これはヒトでは非常に免疫原性の高いインフルエンザウイルス・エ
ンベロープタンパク質である。
【0067】
【表1】
【0068】 これらの結果は、本発明の好ましいペプチド化合物 (配列番号1および2) を
用いて、健全なHLA-A2+ の人からヒトCD8 リンパ球を誘導することが可能である
が、対応する非変異型ペプチドでは不可能であることを示している。この突然変
異が免疫原性力の非常な増大を生ずることは、このペプチドによりこれまで全く
刺激されたことのないリンパ球が、インビトロでの培養またはサイトカインの添
加を全く行わずに、24時間以内にインターフェロンγを分泌することができると
いうことから、はっきり浮かび上がってくる。
【0069】
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【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】 RCC-7 オートロガス細胞系に対するクローン11C2の比溶解活性 RCC-7 細胞系に対する11C2-CTLの細胞障害性を、標準的なクロム放出アッセイ
により、各種のエフェクター/標的比 (E/T 比) で検定した。11C2の細胞障害活
性の阻害は、所定の飽和濃度の表示の抗HLA クラス1 mAb(モノクローナル抗体)
と共に2時間のCTL の予備インキュベーションを数回行った後に検定した。
【図2】 RCC-7 オートロガス細胞系での刺激中の11C2-CTLクローンによるTNF の分泌 5000個のCTL を20,000個のRCC-7 細胞と一緒にインキュベーションした。20時
間の培養後に、TNF 感受性WEHI-164細胞 (クローン13) で上清の障害性を検定す
ることによりTNF の量を測定した。TNF の分泌の阻害は、上述したように抗クラ
ス1 HLA mAb と共にクローン11C2を2時間予備インキュベーションした後に検定
した。
【図3】 複数のRCC 同種細胞系上での11C2 CTLの細胞障害性 11C2を、RCC-7 オートロガス細胞系上、および複数のRCC 同種細胞系(RCC-8,
RCC-9, RCC-10 およびRCC-11) 上で、標準的なクロム放出検定により表示のE/T
比で検定した。RCC-7 と共有されたHLA 分子をカッコ内に示す。
【図4】 オートロガス HLA-A*0201 cDNA およびA18 cDNAが一過性に共導入された細胞
による11C2 CTLの刺激 11C2 CTLを共導入の48時間後に添加した。上清に含まれているTNF を、WEHI-1
64細胞 (クロム13) 上でその障害性を検定することにより20時間後に評価した。
刺激細胞は、陽性対照となるRCC-7 細胞系と、陰性対照となる導入を行わなかっ
たか、もしくは HLA*0201 cDNA だけを導入したCOS-7 細胞とを含む。
【図5】 11C2 CTLで認識されたhsp70-2 のエピトープ領域の位置決定 (A) hsp70-2 cDNAの全長を白黒で模式的に示す。5' UT および3' UT はそれぞ
れ5'および3'非翻訳領域に対応する。コーディング領域 (黒色) は、翻訳開始部
位 (ATG コドン) から始まり、ヌクレオチド+1に対応する。A18 cDNAから得ら
れた複数のトランケーテッド(端を切断した)クローンを灰色で示す。A18 cDNA
はコーディング領域のヌクレオチド577 から始まる。変異したヌクレオチドをア
ステリスク(*印) を付す (位置877)。 (B) オートロガス HLA-A*0201 cDNA および各種のトランケーテッドA18 cDNA
のそれぞれを一過性に共導入したCOS-7 細胞による11C2 CTLの刺激を示す。導入
された細胞を5000個の11C2 CTLと共に24時間インキュベーションし、TNF の量を
20時間後に測定した。対照の刺激細胞は、陰性対照として、導入を行わなかった
か、もしくはA18 cDNAだけを導入したCOS-7 細胞、および陽性対照としてA18 と
HLA-A*0201 cDNA とを共導入したCOS-7 細胞からなる。
【図6】 hsp70-2 でコードされるペプチドと共にインキュベーションした、EBV で形質
転換されたオートロガス細胞系の11C2 CTLによる細胞溶解 EBV で形質転換し、51Crで標識した2000個の細胞を、複数の濃度の表示hsp70-
2 ペプチドの存在下で1時間インキュベーションした。次に11C2 CTLを31/1の
エフェクター/標的比(E/T)で添加した。クロム放出を4時間後に測定した。ア
ステリスクは変異アミノ酸を示す。
【図7】 hsp70-2 抗原性ペプチドによるT2細胞上でのHLA-A2発現の誘導 T2細胞を、無血清培地中で、20μM の濃度のペプチドの存在下または不存在下
に26℃で16時間インキュベーションした。次に、ペプチドを再び添加し、細胞を
37℃でインキュベーションした。30分または1時間の間隔で、細胞ペレットを集
め、HLA-A2発現の変化を抗HLA-A2 mAb (MA2.1)によるフローサイトメトリーによ
り分析した。ペプチドのアミノ酸配列を示し、変異アミノ酸をアステリスクで示
す。
【図8】 ノーザンブロット分析 RCC-7 腫瘍由来 (列No.1) 、RCC-7 細胞系由来 (No.2) 、およびEBV で形質転
換したオートロガス細胞系由来 (No.3) の全細胞質RNA (15 μg)を、37℃で保持
する (サブ列C)か、または40℃で2時間の熱ショックにより処理 (サブ列HS) し
たものを、変性ホルムアルデヒド/アガロースゲル上で分画し、Hybond-N+ ナイ
ロンメンブランに移しとった。得られたノーザンブロットを、hsp70 とグリセル
アルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH) cDNAとに対して特異的な断片か
らなるプローブでハイブリダイゼーションした。28s および18s RNA の移動位置
を与える。約2.4-Kb hsp70-2転写産物が18s RNA の上でGAPDH mRNAの上の矢印で
示される。
【図9】 エリスポット・アッセイ この図は突然変異または修飾が免疫原性力の非常な増大を生ずることを示す。
変異hsp は本発明に係るペプチド化合物であり、hsp nat は対応する天然ペプチ
ド (非変異) であり、MPは陽性対照 (「基質タンパク質」の非常に免疫原性のペ
プチド) であり、そしてT2は陰性対照 (ペプチドにより刺激されない細胞) であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61P 35/00 C07K 14/47 43/00 111 16/18 C07K 14/47 C12P 21/08 16/18 C12Q 1/68 A C12N 5/10 G01N 33/53 D C12P 21/08 33/574 A C12Q 1/68 C12N 15/00 A G01N 33/53 A61K 37/02 33/574 C12N 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,UG,ZW),E A(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ ,TM),AE,AL,AM,AT,AU,AZ,BA ,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU, CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,G E,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,US,UZ,VN,YU,Z A,ZW

Claims (46)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の工程を含む、天然の hsp70配列に対して少なくとも1
    つの変異または修飾を有する、 hsp70から誘導されたペプチド化合物を同定する
    方法であり、該化合物は腫瘍に特異的なT応答を引き起こすものである、前記方
    法。 a)1または2以上の腫瘍から得られる hsp70をコードするDNA 断片を PCR- 増
    幅する工程、 b)工程a)で得られたDNA を、細菌において複製可能なベクターにクローン化す
    る工程、 c)工程b)の細菌を培養した後に得られた細菌の各コロニーにおける前記断片の
    配列を決定し、そして hsp70における変異を同定する工程、 d)工程c)において同定された中で変異したペプチド断片の免疫原性を測定する工
    程。
  2. 【請求項2】 工程d)がエリスポット検定法からなる請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 所定のHLA 分子に対するアンカー配列を有するペプチド断片
    が好ましく試験される、請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 工程d)で試験されるペプチド断片が化学合成により得られた
    ものである、請求項1〜3のいずれかの項記載の方法。
  5. 【請求項5】 下記の工程を含む、 hsp70から誘導された変異ペプチド化合
    物の免疫原性を増大させうる、人為的な点変異または修飾を明らかにする方法。 a)所定の HLA分子に対するアンカーモチーフを含む約9〜10のアミノ酸の配列
    を有する断片を決定する工程、 b)残基4、5、6、7または8においてさらに点変異または修飾 (例えば翻訳
    後修飾) を導入する工程、 c)工程b)で得られたペプチド断片の免疫原性を測定する工程。
  6. 【請求項6】 工程c)がエリスポット検定法からなる請求項5記載の方法。
  7. 【請求項7】 天然の hsp70配列に対して少なくとも1つの変異または修飾
    を有する、 hsp70の少なくとも8つの連続したアミノ酸の配列を有し、腫瘍に特
    異的なT応答を引き起こす、請求項1〜5のいずれかの項記載の方法を用いて得
    ることができるペプチド化合物。
  8. 【請求項8】 hsp70の 286位と 294位の間のアミノ酸と少なくとも80%の
    相同性を有する、請求項7記載のペプチド化合物。
  9. 【請求項9】 293位のアミノ酸が好ましくはイソロイシン、ロイシン、バ
    リン、アラニン、グリシンまたはフェニルアラニンであり、より好ましくはイソ
    ロイシンである、請求項8記載のペプチド化合物。
  10. 【請求項10】 少なくとも配列番号1または配列番号2の配列を有する、
    請求項9記載のペプチド化合物。
  11. 【請求項11】 天然アミノ酸以外の少なくとも1つの要素を含有する、請
    求項7〜10のいずれかの項記載のペプチド化合物。
  12. 【請求項12】 請求項7〜10のいずれかの項記載の少なくとも1つのペプ
    チド断片をコードする DNA断片。
  13. 【請求項13】 真核および/または原核細胞、特にヒト細胞、において強
    力で効果的なプロモーターに融合した請求項12記載のDNA 断片を含む、請求項7
    〜11のいずれかの項記載のペプチド断片を発現するためのベクター。
  14. 【請求項14】 さらに1または2以上の選択マーカーを含み、場合により
    、サイトカイン類および/またはリンホカイン類などの免疫防御を活性化する因
    子の1または2以上のコーディング配列を含む、請求項13記載の発現ベクター。
  15. 【請求項15】 ウイルスベクター、プラスミドまたは偽ベクターである、
    請求項13または14記載のベクター。
  16. 【請求項16】 請求項7〜11のいずれかの項記載のペプチド化合物でロー
    ディングされた樹状細胞。
  17. 【請求項17】 請求項13〜15のいずれかの項記載の発現ベクターで形質転
    換された樹状細胞。
  18. 【請求項18】 マクロファージに属する、請求項16または17記載の樹状細
    胞。
  19. 【請求項19】 請求項7〜11のいずれかの項記載のペプチド化合物または
    ペプチド化合物の混合物、および薬剤的に許容しうる担体を含む薬剤組成物。
  20. 【請求項20】 さらに1または2以上の免疫学的補助剤、特に腫瘍に対し
    て細胞傷害性である因子、を含む請求項19記載の薬剤組成物。
  21. 【請求項21】 請求項13〜15のいずれかの項記載の発現ベクター、および
    薬剤的に許容しうる担体を含む薬剤組成物。
  22. 【請求項22】 特に、請求項12記載のDNA 断片、および薬剤的に許容しう
    る担体を含む薬剤組成物。
  23. 【請求項23】 請求項16〜18のいずれかの項記載の細胞、および薬剤的に
    許容しうる担体を含む薬剤組成物。
  24. 【請求項24】 がんの治療のために、同時にもしくは別々に使用するため
    の、または時間をおいて使用するための、請求項7〜11のいずれかの項記載の少
    なくとも1つのペプチド化合物、および細胞性ストレスを誘導する少なくとも1
    つの薬剤を含む組み合わせ製品。
  25. 【請求項25】 前記薬剤が、熱ショックタンパク質、特に hsp70の過発現
    を誘導しうる、請求項24記載の組み合わせ製品。
  26. 【請求項26】 前記薬剤が、特にDNA-傷害性薬剤およびグルココルチコイ
    ド受容体リガンドから、またはプロ−アポトーシス性第二メッセンジャーから選
    択されたアポトーシス誘導剤である、請求項24記載の組み合わせ製品。
  27. 【請求項27】 プロ−アポトーシス性薬剤を活性化する酵素、特にチミジ
    ンキナーゼをコードする遺伝子を有するウイルスベクターを含む、請求項24記載
    の組み合わせ製品。
  28. 【請求項28】 細胞性ストレスを誘導する薬剤が腫瘍低酸素症を誘導する
    化合物、特に血管形成阻害剤から選択される、請求項24記載の組み合わせ製品。
  29. 【請求項29】 1または2以上の免疫学的補助剤、特に腫瘍に細胞傷害性
    である薬剤をさらに含んでいる、請求項19〜23のいずれかの項記載の薬剤組成物
    、または請求項24〜28のいずれかの項記載の組み合わせ製品。
  30. 【請求項30】 静脈、皮下、経口または鼻からの投与に適合した薬剤的に
    許容しうる担体を含む、請求項19〜23のいずれかの項記載の薬剤組成物、または
    請求項24〜29のいずれかの項記載の組み合わせ製品。
  31. 【請求項31】 正または負に荷電したリポソーム、ナノ粒子または脂質エ
    マルジョンから選択された薬剤的に許容しうる担体とを含む、請求項19〜23のい
    ずれかの項記載の薬剤組成物、または請求項24〜29のいずれかの項記載の組み合
    わせ製品。
  32. 【請求項32】 請求項7〜11のいずれかの項記載のペプチド化合物の、医
    薬品製造のための使用。
  33. 【請求項33】 請求項7〜11のいずれかの項記載のペプチド化合物の、が
    ん治療用の医薬品製造のための使用。
  34. 【請求項34】 請求項7〜11のいずれかの項記載のペプチド化合物の、ex
    situ 免疫用の医薬品製造のための使用。
  35. 【請求項35】 請求項7〜11のいずれかの項記載のペプチド化合物の、in
    situ 免疫用の医薬品製造のための使用。
  36. 【請求項36】 請求項7〜11のいずれかの項記載のペプチド化合物の、が
    ん治療用、特に固体状がん、殊にがん腫、黒色腫、神経芽腫、および首および頭
    部がん、好ましくは腎がん腫の治療用の医薬品製造のための使用。
  37. 【請求項37】 請求項7〜11のいずれかの項記載のペプチド化合物の、腫
    瘍 CTL集団を培地中で増加させるための、および/またはこの CTLによる細胞傷
    害性因子 (例えば、IL-2、IFN-γまたはTNF)の分泌を誘導するための使用。
  38. 【請求項38】 請求項7〜11のいずれかの項記載のペプチド化合物の、免
    疫防御を刺激、特に腫瘍 CTL集団を増加および/またはこの CTLによる細胞傷害
    性因子 (例、IL-2、IFN-γまたはTNF)の分泌を誘導するように刺激するための医
    薬品製造のための使用。
  39. 【請求項39】放射線療法と組み合わせた、請求項32〜38のいずれかの項記
    載の使用。
  40. 【請求項40】 患者において対応する天然のペプチド (変異していない)
    に対する寛容を破る目的で繰り返し免疫を行うための請求項32〜39のいずれかの
    項記載の使用。
  41. 【請求項41】 下記の工程を含む、 hsp70変異体、特に hsp70-2 I-293変
    異体に結合する抗体を製造する方法。 a) 請求項7〜11のいずれかの項記載のペプチド化合物で哺乳動物を免疫する工
    程、 b) 免疫学的検定法において hsp70-2-293、特に hsp70-2 I-293に結合するモノ
    クローナル抗体を単離する工程。
  42. 【請求項42】 変異したhsp70 断片、特に hsp70-2 I-293に結合するモノ
    クローナル抗体。
  43. 【請求項43】 下記工程を含む、変異した hsp70、特に hsp70-2 I-293変
    異または修飾を検出する方法。 a) 個体から採取した試料を、請求項42記載のモノクローナル抗体に接触させる
    工程、 b) 抗体/変異 hsp70複合体、特に抗体/hsp70-2-293複合体を形成する工程、 c) 複合体中にあるか複合体に結合している検出可能な標識により変異 hsp70を
    検出する工程。
  44. 【請求項44】 特に請求項42記載の抗体を含む、がん検出のための診断用
    キット。
  45. 【請求項45】 個体において定着したがんの予後の判定のための、特に、
    請求項42記載の抗体を含む診断用キット。
  46. 【請求項46】 特に、請求項42記載のモノクローナル抗体および薬剤的に
    許容しうる担体を含む薬剤組成物。
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