JP2002511756A - 必要のないグアニンヌクレオチド交換因子活性が関与する異常細胞増殖の治療方法及び治療薬 - Google Patents

必要のないグアニンヌクレオチド交換因子活性が関与する異常細胞増殖の治療方法及び治療薬

Info

Publication number
JP2002511756A
JP2002511756A JP50462899A JP50462899A JP2002511756A JP 2002511756 A JP2002511756 A JP 2002511756A JP 50462899 A JP50462899 A JP 50462899A JP 50462899 A JP50462899 A JP 50462899A JP 2002511756 A JP2002511756 A JP 2002511756A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rac
gef
nucleic acid
activity
polypeptide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP50462899A
Other languages
English (en)
Inventor
ボラ,ギデオン
クランプトン,アン
ノース,アン
ロスコー,ウィリアム
シャーマ,サンジュ
Original Assignee
オニックス ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by オニックス ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド filed Critical オニックス ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド
Publication of JP2002511756A publication Critical patent/JP2002511756A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/82Translation products from oncogenes
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 Rasスーパーファミリーに属するGTPase、特にRacの活性を調節する方法及び組成物を記す。この組成物は、好ましくはGEF増強剤の存在下に、前記GTPaseの活性を調節するグアニンヌクレオチド交換因子を含んでいる。典型的なグアニンヌクレオチド交換因子は、Rac-GEF及びTiam-1である。この核酸配列を記す。Rac-GEFを認識するリガンド、Rac-GEF活性の調節剤を検出するために、このグアニンヌクレオチド交換因子及びその核酸配列を利用する。Rasスーパーファミリーに属するGTPase、特にRacが関与する病理症状を治療する方法を記す。

Description

【発明の詳細な説明】 必要のないグアニンヌクレオチド交換因子活性が関与する異常細胞増殖の治療方 法及び治療薬 発明の分野 本発明は、分子生物学の分野に属し、グアニンヌクレオチド交換因子活性の制 御を介して、希望しない細胞増殖を制御する方法と組成物に関する。 発明の背景 Rasは、様々なシグナル伝達経路を制御するGTPaseスーパーファミリーに属す る。Rasは、細胞増殖および分化の制御に関与している(Boguski.M.S.and McC ormick,F.(1993)Nature 366,643-654)。Rasサブファミリーは、Rho,Rac及 びCdc42から成る。これらのGTPaseも、細胞増殖の制御、特に細胞の形質転換の 制御、並びに、細胞接着の形成の調節、および増殖因子刺激時のアクチン細胞骨 格変化の調節に関与している(Coso.O.A.,Chiariello.M.,Yu.J.-C.,Teram oto.H.,Crespo.P.,Xu.Nu.,Miki.T.and Gutkind.J.S.(1995)Cell 81, 1137-1146:Hill.C.S.,Wynne.J.and Treisman.R.(1995)Cell 81,1159-11 70:Kozma.R.,Ahmed.S.,Best.A.and Lim.L.(1995)Mol.Cell.Biol.15 ,1942-1952:Minden.A.,Lin.A.,Claret.F.-X.,Abo.A.and Karin.M.( 1995)Cell 81,1147-1157:Nobes.C.D.and Hall.A.(1995)Cell 8l,53-62 :Olson.M.F.,Ashworth.A.and Hall.A.(1995)Science 269,1270-1272) 。Rasファミリーのタンパク質は、その全部に共通に、不活性(GDP結合)状態と活 性(GTP結合) 状態との間を転換する。従って、これらのGTPaseは、特定の経路を調節するため に、分子スイッチとして働き、情報を処理し、そして伝達する。 GTP状態とGDP状態との間を転換する性質に基づいて、Ras及びRas近縁GTPaseの ヌクレオチド状態を制御するタンパク質が同定及び精製されている(Boguski.M .S.and McCormick,F.(1993)Nature 366,643-654)。GTPからGDPへの加水分 解を検査することによって、多数のRasファミリーのタンパク質において、そのG TPaseの活性化タンパク質(GAP)が解析された(Boguski.M.S.and McCormick,F .(1993)Nature 366,643-654:Barfod.E.T.,Zheng.Y.,Kuang.W.-J.,Hart .M.J.,Evans.T.,Cerione.R.A.and Ashkenaz.A.(1993)J.Biol.Chem.2 68,26059-26062:Lamarche.N.and Hall.A.(1994)Trends Genet.10,436-4 40:Cerione.R.A.and Zheng.Y.(1996)Current Opinion in Cell Biology 8 ,216-222)。最後の参考文献では、Ras及びRas近縁GTPaseのグアニンヌクレオチ ド状態に影響するタンパク質の特性について良く考察されている。GDPの解離を 抑制する性質に基づいて、グアニンヌクレオチド解離抑制因子(GDI)が同定され た。これらはGTP状態にも結合して、内因性及びGAP刺激性のGTP加水分解を抑制 することが見出された(Boguski.M.S.and McCormick,F.(1993)Nature 366, 643-654)。一般に、GAPおよび効果器(effector)は、GTP結合状態に対して高い 親和性を有する。一方、GDIタンパク質は、GDP結合状態に最も強く結合する。こ の様な特性を利用して、Cdc42(Bagrodia.S.,Taylor.S.J.,Creasy.C.L.,Ch ernoff.J.and Cerione.R.A.(1995)J.Biol.Chem.270,22731-22737:Mans er.E.,Leung.T.,Salihuddin.H.,Zhao.Z.-s.and Lim.L.(1994)Natur e 367,40-46:Martin.G.A.,Bollag.G.,McCormi ck.F.and Abo.A.(1995)EMBO J.14,1970−1978)、Ras(Moodie.S.A.,Will umsen.B.M.,Weber.M.J.and Wolfman.A.(1993)Science 260,1658-1661: Rodriguez-Viciana.P.,Warne.P.H.,Dhand.R.Vanhaesebroeck.B.,Gout .I.,Fry.M.J.,Waterfield.M.D.and Downward.J.(1994)Nature 370,527 -532)およびRho(Leung.T.,Manser.E.,Tan.L.and Lim.L.(1995)J.Biol .Chem.270,29051-29054:Watanabe.G.,Saito.Y.,Madaule.P.,Ishizaki .T.,Fujisawa.K.,Morii.N.,Mukai.H.,Ono.Y.,Kakizuki.A.and Naru miya.S.(1996)Science 271,645-648)の効果器を精製した。Cdc42Hs-GTPを利 用した親和的方法によって、Cdc42によって誘導される細胞骨格変化の潜在的な 仲介因子であるIQGAP1が解析された(Hart.M.J.,Callow.M.,Souza.B.and Polakis.P.(1996)EMBO J.15,2997-3005)。 この親和的方法の改法を用いて、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)を同 定及び精製することもできる。ヌクレオチド欠失状態のG-タンパク質に優先的に 相互作用する性質に基づいて、他の制御タンパク質から、GEFを識別することが できる(Hart.M.J.,Eva.A.,Zangrilli.D.,Aaronson.S.A.,Evans.T.,C erione.R.A.and Zheng.Y.(1994)J.Biol.Chem.269,62-65:Mosteller,R .D.,Han.J.and Broek.D.(1994)Mol.Cell.Biol.14,1104-1112)。Ras類 似タンパク質の活性化において、GEFは、GDPの解離とそれに続くGTPの結合を促 進することによって、重要な機能を果たす。例えば、増殖因子の刺激によって、 Ras特異的GEFであるSosが転移することによって、Rasは、GTP結合型に転換する (Buday.L.and Downward.J.(1993)Cell 73,611-620)。 Racファミリーのタンパク質を特異的に活性化するGEFを解析することによって 、それらのGTPaseが関与するシグナル伝達経路が解 明され、従って、、細胞増殖の分子機構がより良く理解されるだろう。更に、制 御されない細胞増殖を原因とする疾患を予防及び治療する薬を見出すことができ る。Racは、シグナル伝達及び細胞増殖において中心的な機能を果たすので、現 在、Rac-GEFの同定及び解析は、科学上かなり注目されている。Rac-GEFの1つと して、Tiam-1が知られている(Michiels,F.,Habets,G.G.,Stam,J.C.,van der Kammen,R.A.,and Collard,J.G.(1995)Nature 375,338-340.See also .Eva.A.and Aaronson.S.A.(1985)Nature 316,273-275:Toksoz.D.and W illiams.D.A.(1994)Oncogene 9,621-628)。 発明の説明 本発明は、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)、特にRac-GEFの全ての点に関 する。GEFは、GTPase活性の調節を介して、インビトロおよびインビボの両方で 、細胞のシグナル伝達経路を調節する。Rac GTPaseの活性を調節するRac-GEFを 説明記載する。しかし本発明は、他のGEF、特に他のRac-GEFにも関する。 本発明は、好ましくは、特徴としてSrc相同ドメイン、Db1相同ドメイン、及び pleckstrin相同ドメインを有する単離されたRac-GEFポリペプチド、その変異体 又は断片、このRac-GEFをコードする核酸又はその核酸断片、並びに、前記ポリ ペプチド及び核酸の誘導体に関する。 本発明は、前記ポリペプチド、核酸、又はその誘導体を、例えば治療、診断及 び研究において、使用する方法にも関する。 本発明の別の点には、本発明のRac-GEFを認識する抗体及び他のリガンド、Rac -GEF及び他のGEF活性の制御剤、並びに、Rac GTPaseに関係又は関連する病理症 状を治療する方法が含まれる。 本発明は、GEF活性、例えばGTPaseとの結合及び/又はヌクレオチド交換活性 、に対する効果を測定することによって、GEFを制御する作用剤を検査及び/又 は同定する方法にも関する。 本発明は、好ましくはGEF活性の活性化剤を用いて、GEF活性を検査する方法に も関する。 下記開示を十分に考慮することによって、本発明の前記の点及び他の点が明ら かになる。 図面の簡単な説明 図1は、ヒトRac-GEF遺伝子の完全なヌクレオチド配列(配列番号1)、及び それによってコードされるポリペプチドの予想アミノ酸配列(配列番号2)を示 す。 図2は、Rac-GEFの脳特異的ヌクレオチド配列を示す。 図3は、完全長のTiam-1のドメイン構造、及びその末端短縮体を示す。 図4は、Tiam-1の種々の末端短縮体、85kD分子及び135kD分子によるRac交換活 性に対する、アスコルビルステアレート(ascorbyl stearate)の刺激効果を示す 。 図5は、Tiam-1刺激によるRac-GEF活性に対する、アスコルビル化合物、イノ シトール脂質又はリン脂質の効果を示す。 図6は、PH及びDHドメインを有するTiam-1構成体に対する、アスコルビルステ アレートの効果を示す。 発明の詳細な説明 本発明において、新規なポリペプチドであるRac-GEF、およびこれをコードす る核酸を同定および単離した。本明細書では、Rac-GEFとは、Rac-GEFポリペプチ ド、又はこのポリペプチドをコードす る核酸を意味する。本ポリペプチドは、グアニンヌクレオチド欠失状態のG-タン パク質(特にRac)との特異的な結合親和性、グアニンヌクレオチド交換活性、腫 瘍形成性形質転換活性、および免疫原活性を有する。前記の特異的な結合親和性 とは、本ポリペプチドが、例えばGDPまたはGTP結合状態のG-タンパク質に比べて 、ヌクレオチド欠失状態のG-タンパク質に優先的に結合することを意味する。一 方、GDPまたはGTP結合状態のG-タンパク質には、他の制御タンパク質が優先的に 結合する。前記のグアニンヌクレオチド交換活性とは、本ポリペプチドが、G-タ ンパク質、例えばRac上でのGDPの解離、それに続くGTPの結合を刺激又は触媒す ることを意味する。前記の腫瘍形成性細胞形質転換活性とは、Rac-GEFをコード する核酸を、ある細胞株、例えばNIH3T3細胞に導入した場合、その細胞表現型が 転換することを意味する。形質転換した表現型を、例えばEva and Aaronson,Nat ure,316:273-276,1985の記載通り、フォーカス形成によって測定できる。前記免 疫原活性とは、本ポリペプチドが、Rac-GEF特異的抗体に結合すること、又はRac -GEFに対する特異的免疫応答を惹起することを意味する。免疫原性については、 以下で検討する。Rac-GEFポリペプチドの前記活性を、下記実施例通り、又は当 業者に既知の方法に従って検査できる。Rac-GEFポリペプチド、又はそれをコー ドする対応する核酸とは、天然材料から単離されるものを意味する。従って、そ れには、天然に存在する正常体及び変異した対立形質体が含まれる。天然材料に は、例えば、組織及び生物個体から得られる生細胞、並びに培養された株細胞が 含まれる。 Rac-GEFをコードするヒト遺伝子を同定するために、ESTデータベース内で、Db 1相同体を検索した。ヒトTIMタンパク質(Chan et al.,1994,Ocogene,Vol.9 ,pages 1057-1063)のアミノ酸配列 (残基1-519)を用いて、この検索を行った。単一クローンが同定され、この挿入 核酸を有するプラスミドを、I.M.A.G.E Consortium(Research Genetics)を介し て購入した。このcDNAを鋳型として、オリゴヌクレオチド5'-GGAGGCCATGTTCGAGC TGG-3'及び5'-GCTGATCATCTGTTCCGTGC-3'を5'プライマー及び3'プライマーとして 、そして32P標識ヌクレオチドを用いて32P標識PCR産物を得た。この標識PCR断片 をプローブとして用いて、ヒト胎児脳のLambda ZAP cDNAライブラリーの約4x105 クローンをスクリーニングした。2.6kbの挿入体を有するクローンが単離され、 このクローンの完全なcDNA配列を決定した。これは、1959bpの単一のオープンリ ーディングフレームを有し、650アミノ酸のタンパク質をコードすると予想され 、その分子量は74.7kDaと計算された。前記ESTの挿入核酸のDNA配列と、この胎 児脳のcDNAの配列とを比較したところ、胎児脳の配列には、72bpが挿入されてい た。この挿入部分は、DHドメイン内に位置した。 実施例に記載した通り、ノーザンブロット分析から、脳内に3.5kbの転写産物 、そして肝臓内に4kb転写産物が認められた。EST #167059に存在しなかった、 前記2.6kb配列から同定された付加配列を用いて、ヒト肝臓cDNAライブラリーか ら単離された別のEST #109922を同定した。この挿入核酸を有するプラスミドを 得て、その配列を決定したところ、開始メチオニンが認められた。 図1(配列番号1及び2)は、完全長の肝臓cDNAのヌクレオチド配列と、その 推定アミノ酸配列を示す。注目することに、この配列は、前記2.6kbの脳cDNAの アミノ末端の66アミノ酸とは異なる126アミノ酸が付加されている。この図には 、種々のドメイン、Src相同体3ドメイン、Db1相同体ドメイン、及びpleckstrin 相同ドメインも示している。これ、又はこれの対応遺伝子を、天然材料から単 離できる。以下及び実施例に、ヒトRac-GEFの特性を記す。 Src相同3ドメインのタンパク質−タンパク質相互作用特性から、このドメイ ンと結合し、且つRac-GEF活性に有効なリガンドを、発現ライブラリーをスクリ ーニングすることによって同定できる。この様なリガンドは、医療上利用される だろう。 本発明は、Rac-GEFのポリペプチド断片にも関する。この断片は、生物活性を 有することが好ましい。生物活性とは、このポリペプチド断片が、生体系におい て、または生体系成分と共同に、活性を有することを意味する。この生物活性に は、グアニンヌクレオチド欠失状態のG-タンパク質、特にRacに対する特異的な 結合親和性、グアニンヌクレオチド交換活性、腫瘍形成性形質転換活性、免疫原 活性、Rac-GEFとRac GTPaseとの結合を調節する活性、又はRac GTPase活性のア ゴニスト若しくはアンタゴニストとしての活性が含まれる。この様な活性を、定 型的に、例えば上記又は下記の方法に従って測定できる。様々な断片を調製でき る。詳しい検討は、下記実施例を参照すること。Rac-GEFと比べて、1種以上の 前記活性が除去又は変更された断片を選ぶこともできる。実施例の記載通り、こ の様な断片を、定型的に、例えば、組換え技法又は単離タンパク質の分解切断に よって調整でき、そして希望する活性について検査できる。 本発明は、図1(配列番号2)に示したヒトRac-GEFに特異的なアミノ酸配列 にも関する。この配列の128〜711アミノ酸と図2に示した異なる66アミノ酸とを 有するクローンを、1996年12月11日に、ATCCに、No.98273として寄託した。Rac- GEFに特異的なアミノ酸配列とは、規定されたアミノ酸配列を意味する。この特 異的なアミノ酸配列を、例えば、コンピュータプログラムBLASTを利用した遺伝 子/タンパク質データベースの検索によって、定型的に発見でき る。Rac-GEFに特異的なアミノ酸配列は、Rac-GEFに特異的な免疫応答を惹起する 抗原ペプチドを作成するために有用である。この様な免疫化によって得た抗体を 、診断または研究のために、Rac-GEFタンパク質に特異的なプローブとして使用 できる。この様なペプチドを、細胞の病理症状を調節するために、Rac-GEFとRac との結合を阻害するためにも使用できる。 本発明のポリペプチド、例えば図1(配列番号2)の配列を有するポリペプチ ドを、ポリペプチド内の構造ドメイン及び/又は機能ドメインを同定する方法に よって、分析できる。例えば、図1(配列番号2)に示した配列をコードするポ リペプチドを、コンピュータアルゴリズムによって分析した場合、下記のドメイ ンを含んで成る連続的なコード配列が同定された:Src相同ドメイン;Db1相同ド メイン;及び、pleckstrin相同ドメイン。このポリペプチドの構造を分析するた めに、種々のプログラム、例えば、EMBL Protein Predict;Rost and Sander,Pr oteins 19:55-72,1994;Kyte and Doolittle,J.Mol.Bio.157:105,1982を利用で きる。 本発明のポリペプチドは、図1(配列番号2)のアミノ酸配列に対して100%以 下のアミノ酸配列同一性を有するものでもよい。以下の考察において、配列同一 性とは、図1(配列番号1および2)の配列内に存在する核酸またはアミノ酸と 、比較する配列内の対応する位置のものとが、同一であることを意味する。図1 (配列番号2)のアミノ酸配列に対して100%未満の配列同一性を有するポリペプ チドを、種々の方法で、例えば保存的なアミノ酸で、置換できる。保存的なアミ ノ酸置換の例については、下記を参照すること。このRac-GEFポリペプチドと比 較する配列において、同一残基と保存された残基との合計数を総残基数で割った 値が、配列相同性(%)に相当する。配列の同一性及び相同性を計算するために 、比較する配 列を整列させ、任意の希望する方法、アルゴリズム、コンピュータプログラムな ど、例えばFASTA,BLASTAに従って計算する。図1のアミノ酸配列(配列番号2 )に対して100%未満のアミノ酸配列同一性を有するポリペプチドとは、例えば、 約60,65%,より好ましくは67,70,78,80,90,92,96,99%などの同一性を有 するものを含んでいる。 Rac-GEFポリペプチド、その断片、又は置換されたRac-GEFポリペプチドは、様 々な修飾を含んでもよい。この様な修飾には、グリコシル化、共有結合による修 飾(例えば、アミノ酸のR-基の修飾)、アミノ酸置換、アミノ酸欠失、又はアミ ノ酸付加が含まれる。様々な方法、例えば組換え法、合成法、化学的方法などに よって、このポリペプチドの修飾を達成できる。 Rac-GEFの生物活性、例えばグアニンヌクレオチド欠失状態のG-タンパク質、 特にRacに特異的な結合親和性、グアニンヌクレオチド交換活性、腫瘍形成性形 質転換活性、及び免疫原活性を有する、Rac-GEFポリペプチドの変異体を選択で きる。Rac-GEFの変異体の選択及び調製を、以下で検討する。 本発明のポリペプチド(例えばRac-GEF、その断片、その変異体)を、様々な 方法で、例えば、下記の通り抗体の免疫原として、生物活性剤(例えばRac-GEF に関係する1種以上の活性を有する作用剤)として、Rac-GEFの阻害剤として、 利用できる。例えば、Rac-GEFがRacに結合すると、細胞内において一連の現象( カスケード)、例えば細胞増殖の促進及び/又は細胞骨格の再編成が開始される 。Rac-GEFのペプチド断片、例えば、Rac-GEFとRacとの相互作用部位(例えば結 合部位)において阻害剤となるペプチド断片を用いることによって、Rac-GEFとR acとの相互作用を調節できる。この様な断片は、Racを介するシグナル伝達経路 が関与する病理症状 を制御するために有用であろう。Rac-GEFの全長内の重複する断片の活性を定型 的に検査することによって、Rac-GEFの活性、例えば、グアニンヌクレオチド交 換活性、グアニンヌクレオチド欠失状態のRacとの結合、及び腫瘍形成性形質転 換活性を阻害するために有効なペプチドを同定できる。これらの活性の測定を、 以下及び実施例に記載する。また、EP496 162の記載通り、この様なペプチドを 同定及び調製できる。化学的方法などでペプチドを修飾できる。 天然には存在しない配置、すなわち、生物体、例えば動物、好ましくは哺乳動 物、例えばヒト、マウス、又はそれらの株細胞のゲノムから調製された天然のゲ ノム断片、例えば正常なRac-GEF遺伝子には存在しない配置で、1以上の構造ド メイン、機能ドメイン、検出可能ドメイン、抗原性ドメイン、及び/又は注目す る希望のポリペプチドと、Rac-GEFポリペプチド、又はその誘導体若しくは断片 とを連結できる。この様な特徴を有するポリペプチドは、キメラポリペプチド、 すなわち融合ポリペプチドである。様々な方法、例えば化学的、合成的、準合成 的、及び/又は組換え的な方法によって、この様なキメラポリペプチドを調製で きる。キメラポリペプチドをコードするキメラ核酸は、連続的オープンリーディ ングフレーム中に、又は、例えばイントロン、スプライス部位、エンハンサーな どを有する断続的なオープンリーディングフレーム中に、様々なドメイン又は希 望のポリペプチドを含み得る。この様なキメラ核酸を、様々な方法で作成できる 。例えば、米国特許5,439,819を参照すること。前記のドメイン又は希望のポリ ペプチドは、任意の希望の特性、例えば、生物学的機能(例えば触媒性、シグナ ル伝達性、増殖促進性、標的細胞親和性など)、構造的機能(疎水性、親水性、 膜貫通性など)、受容体−リガンド機能、及び/又は検出可能機能(酵素、蛍光 ポリペプチド、緑色蛍光タンパク質(GFP)との連結) を有し得る(Chalfie et al.,1994,Science,263:802;Cheng et al.,1996, Nature Biotechnology,14:606;Levy et al.,1996,Nature Biotechnology, 14:610)。更に、宿主細胞に導入する場合、Rac-GEFの核酸またはその一部分を 選択マーカーとして使用できる。例えば、本発明のアミノ酸配列をコードする核 酸を、希望のコード配列に読み枠を合わせて融合でき、それを精製、選択又は目 印のためのタグとして機能させ得る。融合する領域には、切断部位がコードされ 得る。 本発明のポリペプチドを、種々の発現系、例えばインビボ系、インビトロ系、 無細胞系、組換え系、細胞融合系などにおいて、生産できる。その様な系によっ て付与されるポリペプチド修飾には、グリコシル化、アミノ酸置換(例えば異な るコドンを用いる)、ポリペプチドのプロセシング、例えば分解、切断、エンド ペプチダーゼ若しくはエキソペプチダーゼ活性によるもの、化学物質部分、例え ば脂質、リン酸などの結合、などが含まれる。例えば、いくつかの株細胞では、 発現されたポリペプチドから末端メチオニンが除去される。 天然の材料、形質転換した宿主細胞(培養液または細胞)から、通常の方法、 例えば硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交 換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィー、疎水性相互作用 クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー、及びレクチ ンクロマトグラフィーによって、本発明のポリペプチドを回収できる。精製中に 、存在するカルシウムイオン濃度(約0.1-5mM)を下げることも有効であろう(Pric e,et al.,J.Biol.Chem.244:917,1969)。成熟タンパク質の立体構造を完成させる ために、タンパク質の再度の折り畳みを行う必要がある場合がある。最後に、最 終精製過程として、高性 能液体クロマトグラフィー(HPLC)を利用できる。 本発明では、Rac-GEFをコードする核酸には、例えば図1(配列番号1)に示 した完全なコード配列が含まれる。本発明の核酸には、以上および以下に記載し た任意のヌクレオチド配列に対して100%相補的なヌクレオチド配列、例えばアン チセンス配列も含まれる。 異なる様々な材料から、本発明のRac-GEFをコードする核酸を得ることができ る。例えば組織、細胞又は生物個体から単離されたDNA又はRNA、例えばポリアデ ニル化mRNAから、これを得ることができる。DNA又はRNA、あるいはcDNAライブラ リーから直接に、この核酸を得ることができる。発達の特定の段階で、希望する 遺伝子型、表現型を有する細胞(例えば、腫瘍形成性に形質転換された細胞又は ガン細胞)などから、この核酸を得ることができる。 本発明のポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる核酸には、 Rac-GEFのコード配列のみ;Rac-GEFのコード配列及び付加的なコード配列(例え ば、リーダー、分泌、ターゲティング、酵素、蛍光又は他の診断用ペプチドのた めのコード配列);Rac-GEFのコード配列及び非コード配列(例えば、5'又は3' 末端の非翻訳配列、あるいはコード配列中に散在する非翻訳配列、例えばイント ロン)、が含まれる。Rac-GEFポリペプチドを中断なしにコードするヌクレオチ ド配列を含んでいる核酸とは、中断または介在する非コードヌクレオチド、例え ばイントロンをコード配列中に含まないで、そのヌクレオチド配列が、Rac-GEF ポリペプチドのアミノ酸配列をコードする配列を含んでいることを意味する。こ の様なヌクレオチド配列は、隣接的であるとも云う。 本発明の核酸は、前記核酸に作用可能に連結される発現調節配列を有してもよ い。用語「発現調節配列」とは、作用可能に連結する対象の核酸によってコード されるポリペプチドの発現を制御する核 酸配列を意味する。mRNA又はポリペプチドのレベルで発現を制御できる。従って 、この発現調節配列には、mRNAに関係するエレメントおよびタンパク質に関係す るエレメントが含まれる。この様なエレメントには、プロモーター、エンハンサ ー(ウイルス性または細胞性)、リボソーム結合配列、転写ターミネーターなど が含まれる。発現調節配列を、ヌクレオチドコード配列に作用可能に連結する場 合、これを、前記コード配列を発現させる様に配置する。例えばプロモーターを 、コード配列の5'に作用可能に連結すれば、前記コード配列の発現は、そのプロ モーターによって支配される。発現調節配列は、正常な遺伝子に対して異種性の ものでも又は内在性のものでもよい。 核酸ハイブリダイゼーションを基にして、本発明の核酸を選択できる。2つの 一本鎖核酸が相互にハイブリダイズする性質は、それらのヌクレオチド配列の相 補性、例えばヌクレオチド間の塩基対合(例えばAT対、GC対)などによって決定 される。従って、本発明は、図1(配列番号1)のヌクレオチド配列を含んでい る核酸にハイブリダイズする核酸にも関する。図1の配列にハイブリダイズする ヌクレオチド配列には、相補的な核酸鎖、すなわちポリメラーゼ(又は適当な核 酸合成酵素)の存在下に、一方の核酸鎖の鋳型として機能するものが含まれる。 本発明には、核酸の両鎖、例えばセンス鎖及びアンチセンス鎖が含まれる。 図1(配列番号1)のヌクレオチド配列に対して、希望する程度のヌクレオチ ド相補性を有する核酸を選択するために、ハイブリダイゼーション条件を選択で きる。前記配列にハイブリダイズする核酸は、それらの配列間に好ましくは50% 、より好ましくは70%の相補性を有する。本発明は、ストリンジェントな条件下 で、図1(配列番号1)のヌクレオチド配列にハイブリダイズするDNA配列に特 に関する。本文では「ストリンジェントな条件」とは、核酸間に少なくとも約95 %、好ましくは97%のヌクレオチド相補性が存在する場合に、ハイブリダイゼー ションが起こる任意の条件を意味する。この様な条件には、ノーザンハイブリダ イゼーションの場合:42℃で、5X SSPE、10Xデンハルト溶液、100μg/ml変性及 び断片化サーモン精子DNA、50%ホルムアミド、2% SDS;cDNAライブラリークロー ニングのハイブリダイゼーションの場合:42℃で、1X PAM、0.1% SDS、50%ホル ムアミド、が含まれる。 本発明の核酸またはポリペプチドは、図1(配列番号1及び配列番号2)のヌ クレオチド配列またはアミノ酸配列において1以上の差異が含まれるものでもよ い。任意の方法、例えば指定的変異法又はランダム変異法によって、前記ヌクレ オチド配列及び/又はアミノ酸配列を改変又は修飾できる。 本発明のRac-GEFをコードする配列には、天然に存在するRac-GEF遺伝子、例え ば天然に存在する多形体、正常体又は対立変異体(ヌクレオチド又はアミノ酸) 、哺乳動物、例えばヒト、サル、ブタ、マウス、ラット又はウサギの自然集団に おいて見つかる変異体、に存在するヌクレオチドが含まれる。用語「天然に存在 する」とは、天然の材料、例えば動物の組織及び細胞、体液、組織の培養細胞、 法廷用試料から当核酸が得られることを意味する。Rac-GEFの天然に存在する変 異には、ヌクレオチド配列の欠失(例えばアミノ若しくはカルボキシ末端の短縮 )、置換又は付加が含まれる。当業者に既知の方法に従った核酸ハイブリダイゼ ーションによって、これらの遺伝子を検出及び単離できる。他のガン遺伝子との 類似性から、Rac-GEFの天然に存在する変異種には、宿主細胞及び生物体に病理 症状を引き起こす欠失、置換及び付加が含まれることがわかる。 本発明のRac-GEFポリペプチドをコードするヌクレオチド配列に は、天然に存在する遺伝子、転写産物又はcDNAに存在するコドン、例えば図1( 配列番号1)のもの、あるいは、同一のアミノ酸配列をコードする縮重したコド ンが含まれる。 更に、本発明の核酸又はポリペプチドを、任意の希望する哺乳動物から、また 非哺乳類生物体からも得ることができる。種々の方法によって、哺乳類および非 哺乳類の生物体から、その相同体を得ることができる。例えば、Rac-GEFに選択 的な適当なオリゴヌクレオチドを用いて、例えばSambrook et al.,Molecular Cl oning,1989,Chapter11の記載通りに、ハイブリダイゼーションを行って、その様 な相同体を選択できる。 この様な相同体は、Rac-GEFに対して、種々の程度の核酸及びアミノ酸の配列 同一性及び相同性を有し得る。非哺乳類生物体には、例えば脊椎動物、無脊椎動 物、雛鳥、キイロショウジョウバエ、酵母(例えばサッカロミセス・セレビシエ )、C.エレガンス、線形動物、原核生物、植物、アラビドプシス(Arabidopsis) 、ウイルスなどが含まれる。 遺伝子データバンク、例えばGenbank、EMBLの相同性検索を基にして、Rac-GEF に対する修飾、例えば変異を調製することもできる。種々の方法、例えばコンピ ュータプログラムのBLASTの類に記載されたアルゴリズム、Smith-Watermanによ るアルゴリズムなどを利用して、配列相同性検索を行う。例えば、種々の配列、 Db1,1bc,Ost,1sc,CDC24などの間で、保存されたアミノ酸を同定できる(Tou hara et al.,J.Biol.Chem.,269:10217-10220,1994;Toksoz and Williams ,Oncogene,9:621-628,1994;Whitehead et al.,J.Biol.Chem.,271:186 43-18650,1996)を参照すること。前記のポリペプチド間でアミノ酸を同定及び 整列し、そして保存された位置または保存されていない位置のアミノ酸を修飾す るこ とによって、Rac-GEFの配列内に変異を導入できる。変異されたRac-GEF遺伝子は 、例えば、相同な核酸の対応する領域間において、特にDb1相同(DH)ドメイン間 などにおいて、保存されたアミノ酸、又は保存されていないアミノ酸を含み得る 。例えば、変異配列は、任意の数の前記相同配列及び/又は適当な検索アルゴリ ズムによって決定された相同配列において、保存された又は保存されていない残 基を含み得る。 Rac-GEFポリペプチドをコードする核酸の特定領域において、例えばDb1相同ド メインにおいて、その核酸によってコードされるポリペプチドの機能(例えば、 腫瘍形成性の形質転換、G-タンパク質との結合、グアニンヌクレオチドの交換) を分析するために、例えば、その領域を置換する変異、その領域内のアミノ酸配 列を変更する変異などを作成できる。例えば、pleckstrinドメインが欠失すると 、腫瘍形成性の形質転換活性が喪失するだろう。また、このpleckstrinドメイン は、脂質(例えばホスホイノシタイド)との結合、Racとの結合、グアニンヌク レオチド交換活性の活性化、及び細胞内の当ポリペプチドの局在化にも関係する 可能性がある。従って、様々な方法で当領域を変異させ、前記機能の喪失又は獲 得に関して検査できる。DHドメインは、Rac GTPaseからのGDPの解離を促進する ことに関係する。従って、この領域内で置換又は欠失を調製し、機能の喪失又は 獲得に関して定型的に検査できる。自己リン酸化又はタンパク質/脂質相互作用 に影響するRac-GEFの前記領域又は他の領域において、増殖シグナル経路の制御 に至る変異を作成できる。この様な変異遺伝子は、種々の方法で、例えば、その 変異を有する患者を診断するために、病理症状のモデルとして細胞又は動物(ト ランスジェニック動物)に導入するために有効であるだろう。GEF活性及び形質 転換活性の両方に影響する変異は、ガン遺伝子Db1 のDHドメイン内に作成された変異に類似すると思われる(Hart et al.,J.Biol.Ch em.269:62-65)。 本発明の核酸及び対応するポリペプチドには、図1(配列番号1)のヌクレオ チド配列とは異なるが、表現型の変化が現れない配列が含まれる。この様な配列 の修飾には、例えば、アミノ酸配列に影響しないヌクレオチド置換(例えば同一 アミノ酸に対する異なるコドン)、相同又は保存的なアミノ酸(側鎖の大きさ及 び極性の程度に基づいたもの;小・非極性:システイン、プロリン、アラニン、 トレオニン;小・極性:セリン、グリシン、アスパラギン酸、アスパラギン;大 ・極性:グルタミン酸、グルタミン、リシン、アルギニン;中間・極性:チロシ ン、ヒスチジン、トリプトファン;大・非極性:フェニルアラニン、メチオニン 、ロイシン、イソロイシン、バリン)による天然アミノ酸の置換が含まれる。こ の様な保存的な置換には、(Dayhoff,Atlas of Protein Sequence and Structu re 5 (1978)、及びArgos,EMBO J. ,8,779-785(1989)に記載された置換も含 まれる。 本発明の核酸には、1以上の位置で保存的なアミノ酸置換があること以外は図 1(配列番号2)のアミノ酸配列と同じ配列を有するポリペプチドをコードする ヌクレオチド配列、あるいは、図1(配列番号2)のアミノ酸配列を有するポリ ペプチドをコードするヌクレオチド配列が含まれる。本発明は、この様な核酸に よってコードされるポリペプチドにも関する。更に、前記配列内のコドンを変え て、希望する宿主での発現に最適な配列にすることも望ましい。 本発明の核酸には、例えば、DNA,RNA,合成核酸、ペプチド核酸、修飾ヌクレ オチド、又はこれらの混合物が含まれる。DNAは、二本鎖でも又は一本鎖でもよ い。核酸中のヌクレオチドは、希望の目的、リボヌクレアーゼHなどのヌクレア ーゼに対する耐性、インビ ボでの安定性の向上などのために、種々の既知の連結、例えばエステル、スルフ ァメート、スルファミド、ホスホロチオエート、ホスホルアミデート、メチルホ スホネート、カルバメートなどを介して連結される。米国特許5,378,825を参照 すること。 本核酸に種々の修飾を行うことができ、例えば検出可能マーカー(アビジン、 ビオチン、放射性要素)を結合したり、ハイブリダイゼーション、検出又は安定 性を向上させる部分を結合することができる。本核酸を、固体支持体に、例えば ニトロセルロース、ナイロン、アガロース、ジアゾ化セルロース、ラテックス固 体微小球、ポリアクリルアミドなどに、希望する方法で結合することもできる。 米国特許5,470,967;5,476,925;5,478,893を参照すること。 本発明の別の点は、オリゴヌクレオチド及び核酸プローブに関する。例えば、 検査試料においてRac-GEF核酸を検出、定量又は単離するために、前記オリゴヌ クレオチド又は核酸プローブを使用できる。研究、診断および法廷などの種々の 異なる目的のために、その検出が望まれている。診断を目的にする場合、組織、 細胞、体液などから得られた試料において、Rac-GEF核酸配列の存在確認又はそ の定量が望まれている。好ましくは、本発明は、検査試料内の標的核酸とオリゴ ヌクレオチドとを、その標的とオリゴヌクレオチトとがハイブリダイズするため に有効な条件下に接触させること;そしてそのハイブリダイゼーションを検出す ることを含んで成る、Rac-GEF核酸を検出する方法に関する。PCRなどの合成的核 酸増幅においても、本発明のオリゴヌクレオチドを利用できる(Saiki et al.,19 88,Science 241:53;米国特許4,683,202)。 本発明の別の点は、Rac-GEFに特有なヌクレオチド配列である。Rac-GEFに特有 な配列とは、Rac-GEF内に、例えば図1(配列番号1)のヌクレオチド配列内に は存在するが、他の核酸内にはほとん ど又は滅多に存在しない、特に、動物、好ましくは哺乳動物、例えばヒト、ラッ ト、マウスなどの核酸配列には存在しない、規定された順序のヌクレオチドを意 味する。これには、センス及びアンチセンスの両ヌクレオチド配列が含まれる。 本発明の特有な配列を、定型的に決定できる。核酸の混合物を含有する試料で、 例えばノーザンブロット膜で、Rac-GEFの存在を同定するために、Rac-GEFの特有 な配列を含む核酸を、ハイブリダイゼーションプローブとして利用できる。この プローブに少なくとも95%同一な核酸(すなわち相補的である核酸)を選択する ために、ストリンジェントな条件下にハイブリダイゼーションを行うが、より低 いストリンジェント条件下でも行うことができる。Rac-GEFの特有なヌクレオチ ド配列を、5'または3'末端で、本明細書中に記した様々なヌクレオチド配列に、 例えば、Rac-GEFの他の部分、酵素、GFPなどのコード配列、発現調節配列などに 、読み枠を合わせて連結もできる。 希望する選択性に応じて、異なる条件下で、例えばSambrook et al.,Molecula r Cloning,1989の記載通りに、ハイブリダイゼーションを行う。例えば、Rac-GE Fを特異的に検出するために、あるオリゴヌクレオチドがRac-GEFだけにハイブリ ダイズする条件下で、例えば、そのオリゴヌクレオチドが標的核酸に100%相補的 である場合に、そのオリゴヌクレオチドを用いて、標的核酸とのハイブリダイゼ ーションを行う。100%未満、例えば、少なくとも約99%,97%,95%,90%,70%,6 7%のヌクレオチド相補性を有する標的核酸を選択したい場合、異なる条件を用い る。Rac-GEF遺伝子の変異が、疾患又は病理症状、例えばガン、良性腫瘍の原因 となる可能性があるので、本発明のオリゴヌクレオチドを診断上利用できる。例 えば、ガンの徴候、又はRacのシグナル伝達系路が関与する他の症状を示す患者 において、その疾患を診断するために、本発明のオリゴヌクレオ チドを、他のガン遺伝子、例えばp53,Rb,p21,Db1,MTS1,Wt1,Bc1-1,Bc1-2 ,MDM2などのオリゴヌクレオチドと共に用いて、PCR及びDNAの配列決定を行い、 本配列が正常であるか否か確認する。好ましくは、本発明は、下記の過程を含ん でなるガンの診断方法に関する:標的核酸とオリゴヌクレオチドとがハイブリダ イズするために有効な条件下に、標的核酸を含有する試料とオリゴヌクレオチド とを接触させること;このハイブリダイゼーションを検出すること、ただしこの オリゴヌクレオチドは、Rac-GEFの配列、好ましくはRac-GEFの特有な配列を含ん でいること;及び、このオリゴヌクレオチドがハイブリダイズした標的核酸のヌ クレオチド配列を決定すること。種々の方法で、その配列を決定でき、例えば、 標的核酸又はそのcDNAを単離し、そして希望の方法でその配列を決定する。 本発明のオリゴヌクレオチドは、希望する任意のサイズでよく、好ましくは14 〜16オリゴヌクレオチドの長さであり、又はそれ以上でもよい。この様なオリゴ ヌクレオチドには、非天然のヌクレオチド、例えばイノシンが含まれてもよい。 本発明では、このオリゴヌクレオチドは、キットを構成してよく、そのキットに は、望ましい緩衝液(例えばリン酸、トリスなど)、検出用の化合物などが含ま れる。このオリゴヌクレオチドを、当業界で既知の放射性又は非放射性標識によ って標識してもよいし、又は標識しなくてもよい。 本発明の核酸から、アンチセンス核酸を調製でき、好ましくは、図1(配列番 号1)のコード配列に対するアンチセンスを調製する。様々な方法で、例えば、 Rac-GEFの発現を制御若しくは調節するために、例えばそれを阻害するために、 又はその発現を検出するために、又はin situハイブリダイゼーションするため に、アンチセンス核酸を利用できる。Rac-GEFの発現を制御若しくは調節するた めに、アンチセンスオリゴヌクレオチドを、発現調節配列に作用可 能に連結できる。 希望する任意の方法によって、本発明の核酸を標識できる。最も一般的に用い られるトレーサーのみを挙げると、例えば32P,35S,125I,3H又は14Cの放射性 トレーサーによって、この核酸を標識できる。任意の方法で放射性標識でき、例 えば、放射性標識ヌクレオチド、ポリヌクレオチドキナーゼ(ホスファターゼに よる脱リン酸化有り、又は無し)、又はリガーゼ(標識される末端に依る)を用 いて、3'又は5'末端を末端標識する。非放射性標識も可能で、例えば、免疫学的 特性(抗原、ハプテン)、ある試薬(リガンド)に対する特異的親和性、検出可 能な酵素反応を完結させるための特性(酵素若しくは補酵素、酵素基質、又は酵 素反応に関係する他の物質)、又は、特徴的な物理的特性、例えば蛍光、すなわ ち希望する波長の光の放射若しくは吸収などを有する残基を、本発明の核酸に結 合する。 器官、組織、細胞などに発現するRac-GEFを検出するために、種々の方法、例 えばノーザンブロット法、PCR法、in situハイブリダイゼーション法などにおい て、本発明の核酸、例えばオリゴヌクレオチド、アンチセンス核酸などを利用で きる。この様な核酸は、Rac-GEFの発現抑制、例えば細胞特異的変化及び/又は 細胞内変化を検出するために、特に有用であるだろう。Rac-GEFのレベルを、単 独で、又は他の遺伝子産物(p53,Rb,Wt1などのガン遺伝子)、転写物などと共に 、決定できる。 本発明の核酸を、様々な異なる系において、インビトロおよびインビボで、希 望する目的に応じて、発現させ得る。例えば、核酸を発現ベクター内に挿入し、 これを希望宿主に導入し、その核酸がコードするポリペプチドが発現するために 有効な条件下で、それを培養する。有効な条件とは、宿主細胞がポリペプチドを 生産するため に適する任意の培養条件であり、例えば、有効な温度、pH、宿主細胞を培養する 培地、培地への添加剤(例えば、発現を増幅又は誘導する添加剤、例えば酪酸塩 、又はコード核酸がdhfr遺伝子に隣接する場合にはメトトレキセート)、シクロ ヘキサミド、細胞密度、培養皿などが含まれる。任意の効果的な方法、例えばリ ン酸カルシウム沈殿法、エレクトロポレーション、注射、DEAEデキストランによ るトランスフェクション、リポソーム融合法、およびウイルスによるトランスフ ェクションによって、核酸を細胞内に導入する。本発明の核酸が導入された細胞 が、形質転換宿主細胞である。この核酸は、染色体外性でもよいし、又は宿主細 胞の染色体に組み込まれてもよい。この発現は、安定的でも、又は一過的でもよ い。発現ベクターを、宿主細胞との適合性から選択する。宿主細胞には、哺乳動 物細胞、例えばCOS-7,CHO,HeLa,LTK,NIH3T3,Rat1線維芽細胞、酵母、昆虫 細胞、例えばSf9(S.frugipeda)、キイロショウジョウバエ、細菌、例えば大腸菌 、ストレプトコッカス菌、バチルス菌、酵母、真菌、植物、胚幹性細胞(例えば 、マウスまたはヒトなどの哺乳動物由来)、及び、ガン細胞若しくは腫瘍細胞が 含まれる。Sf9による発現は、Graziani et al.,Oncogene 7:229-235,1992の記載 に従って行われる。発現調節配列は、宿主との適応性及び希望する目的に応じて 、例えば高コピー数、多量発現、誘導、増幅、調節性発現のために、同様に選択 される。利用可能な他の配列には、エンハンサー、例えばSV40,CMV由来のもの 、誘導性プロモーター、細胞種特異的なエレメント、又は選択的発現若しくは特 異的細胞発現を可能にする配列が含まれる。 Rac-GEF核酸に加えて、注目する別の遺伝子を、目的に応じて、例えば、Rac-G EFの発現を調節するために、Rac-GEFの機能又は注目の遺伝子の機能を解明する ために、同一宿主細胞に導入できる。 注目の遺伝子には、他のガン遺伝子、細胞周期に関係する遺伝子などが含まれる 。この様な遺伝子は、正常な遺伝子でもよいし、又は変異遺伝子、例えば突然変 異体、キメラ、多形体などでもよい。 本発明の核酸又はポリペプチドを、核酸又はタンパク質の電気泳動、クロマト グラフィーなどにおいて、サイズマーカーとして利用できる。配列内の制限部位 を検索し、そのサイズを計算し、そして対応する制限切断を行うことによって、 規定された制限断片を決定する。例えば、胎児脳由来のRac-GEFポリペプチドを 、タンパク質ゲル泳動において、約74.7kDaの分子量マーカーとして用いる。 本発明の別の点は、GTPaseが関与する生物反応経路の制御に関し、特に、病理 症状、例えば細胞増殖(例えばガン)、増殖調節、形態形成、ストレスファイバ ー形成、インテグリン仲介性の相互作用、例えば胚分化、腫瘍細胞の増殖及び転 移、プログラム化された細胞死、止血、リンパ球のホーミング及び活性化、骨吸 収、血栓退縮、並びに機械的圧力に対する細胞応答の制御に関する。例えばClar k and Brugge,Science 268:233-239,1995;Bussey,Science 272:225-226,1996 を参照すること。従って、本発明は、Racポリペプチドの活性を調節する方法の 全ての面に関し、この方法は、有効量のRac-GEFポリペプチド又は生物活性を有 するその断片、有効量の、Racポリペプチドの活性を調節する化合物、あるいは 、有効量の、Rac-GEFポリペプチド又は生物活性を有するその断片をコードする 核酸、を投与することを含んでいる。調節されるRac活性には、GTP結合、GDP結 合、GTPase活性、インテグリン結合、Racと受容体若しくは効果器様分子(例え ばインテグリン、増殖因子受容体、チロシンキナーゼ、PI-3K,PIP-5Kなど)と の共役若しくは結合が含まれる。例えばClark and Brugge,Science 268:233-23 9,1995を参照すること。Racの増加、減少、拮抗、促進などによって、その活 性を調節できる。GTP加水分解、Rac-GEFとの結合などを測定して、Racの調節を 検査できる。有効量とは、投与した場合にRacの活性を調節できる任意の量のこ とである。細胞、組織、生物個体、insitu、インビトロ(試験管、固体支持体な ど)、インビボ、又は任意の希望する環境において、この活性が調節される。 GEF、例えばRac-GEFと、GTPaseとの相互作用を調節する化合物を、GEF活性、 例えばグアニンヌクレオチド交換活性、グアニンヌクレオチド欠失状態のGTPase との結合、腫瘍形成性形質転換活性、又はGTPase活性、例えばGTP加水分解など の検査によって、同定できる。一般に、インビトロで前記活性を有する化合物は 、GTPaseが関係する生物反応経路を調節するために、例えば前記の生物活性及び 細胞活性が関係する病理症状を治療するために、インビボでも有用であるだろう 。GEFの調節因子を同定する方法は、RacとRac-GEFとの関係から、上記及び下記 に説明されている。しかしこの様な方法は、一般に、他のGEFにも適用できる。 RacとRac-GEFとの相互作用を調節する化合物の能力を検査するために、例えば Hart et al.,Nature 354:311-314,28 Nov.,1991の記載通り、グアニンヌクレオ チド交換の検査を利用する(特に図2の説明を参照すること)。例えば、Racタ ンパク質(組換え体、組換え融合タンパク質、または天然材料からの単離体)を 、トリチウム化GDPで標識する。次に、ヌクレオチド交換が起きる条件下で、ト リチウム化GDPで標識したRacを、Rac-GEF及びGTPと混合する。例えばBA85フィル ターによって遊離GDPから結合GDPを分離して、Racに保持されているトリチウム 化GDPの量を決定する。前記相互作用を調節する化合物を、適当な時間(例えばR ac-GEFを加える前、又は加えた後)に前記混合液に加え、そしてヌクレオチド交 換に対する効果を決定することによって、その化合物の能力を決定で きる。この様なやり方で、前記相互作用に対する種々のアゴニスト及びアンタゴ ニストを同定できる。例えば、本発明では、ある種の化合物が、Rac-GEFの活性 、好ましくはRac-GEFであるTiam-1の活性を非常に増強することが見出された。 この様な化合物を、以降で「GEF増強剤」とする。本化合物は、類似の化学的特 徴を有する:すなわち炭化水素のアームを有し、好ましくは、その炭素残基は、 実質的に飽和な結合によって連結されていて、そして、好ましくは、その炭素原 子数は、12〜22個である。本化合物の別の特徴は、前記の炭化水素のアームが、 5又は6員環構造に結合していることである。好ましい5及び6員環の化合物に は、各々アスコルビン酸塩及びある種のシクロヘキサンがある。より好ましい5 員環の化合物は、アスコルビン酸塩の誘導体であり、より好ましいシクロヘキサ ンには、イノシトールがある。 様々な方法で、例えばHart et al.,J.Biol.Chem.269:62-65,1994の記載通り、 グアニンヌクレオチド欠失状態のRacとの結合を決定できる。簡単に記すと、当 業者に既知の種々の方法によって、例えば、Racに対する抗体、Racとマーカータ ンパク質、例えばグルタチオンタンパク質(GST)との融合タンパク質を利用して 、Racタンパク質を固体支持体に連結する。前記融合タンパク質を、マーカータ ンパク質を介して固体支持体(GSTの場合、グルタチオンビーズなど)に連結する 。このRacタンパク質を、グアニンヌクレオチド欠失状態に転換し(有効な条件 については、例えばHart et al.,J.Biol.Chem.269:62-65,1994を参照すること) 、そして、例えばGDP,GTPγSなどと、GEF、例えばRac-GEFと共にインキュベー ションする。次にこの固体支持体を分離して、そこに含まれる全タンパク質をゲ ル電気泳動する。前記通り、インキュベーションの任意の時間に化合物を加え、 GEFとRacとの結合に対する効果を決定する。 Rac-GEF、又はその誘導体による腫瘍形成性形質転換活性の調節を、様々な既 知の方法によって(例えばEva and Aaronson,Nature 316:273-275,1985;Hart et al.,J.Biol.Chem.269:62-65,1994)、測定できる。この方法の最中の任意の時間 (例えば細胞の前処理時、GEF添加後など)に化合物を加え、Rac-GEFの腫瘍形成 性形質転換活性に対する効果を決定する。種々の細胞株を利用できる。 Rac仲介性のシグナル伝達に関する他の検査を、当業界に既知の方法、例えば 、米国特許5141851,5420334,5436128,5482954;WO94/16069,WO93/16179,WO9 1/15582,WO90/00607に従って、行うことができる。更に、Rac-GEFとG-タンパク 質、例えばRacとの相互作用、例えば結合を阻害するペプチドを、EP496162の方 法で、同定及び調製できる。 本発明は、グアニンヌクレオチド交換因子又は生物活性を有するその断片のグ アニンヌクレオチド交換活性を調節する作用剤、あるいは、Rac-GEF又は生物活 性を有するその断片と、GTPase又は生物活性を有するその断片との結合を調節す る作用剤、を検査及び同定する方法にも関する。この方法は、GEF及びGTPaseを 、試験する作用剤に接触させること、並びに、そのGEFとGTPaseとの結合又は結 合量か、あるいは、そのGEFの活性、例えばグアニンヌクレオチド交換活性を検 出することを含んでいる。この調節とは、作用剤の添加によって、前記活性又は 結合が影響を受けることを意味する。この結合又は活性の調節は、様々な様式が あり、例えば阻害、妨害、抑制、増加、強化または促進があり得る。この結合又 は活性の調節は、特定の方式である必要はなく、例えば、拮抗、非拮抗、アロス テリック、立体障害、作用剤とGEF又はGTPaseとの架橋などを介してよい。この 作用剤は、GEF又はGTPaseのいずれかに作用し得る。この作用剤は、アゴニスト 、アンタゴニスト、又は部分的なアゴニ スト若しくはアンタゴニストに成り得る。様々な方法によって、例えば直接的に 、あるいは、GEFによって促進又は抑制される活性、例えばグアニンヌクレオチ ド交換、GTP加水分解、腫瘍形成性形質転換などを測定することによって間接的 に、結合又は結合量を決定できる。この様な検査は、上記及び下記に記載されて いて、且つ当業界に既知である。天然物及び合成物などの様々な材料から、この 作用剤を獲得及び/又は調製できる。これには、例えばアミノ酸、脂質、炭水化 物、有機分子、核酸、無機分子、又はこれらの混合物が含まれる。例えば、有機 分子の自動合成の例が記載されているHoeprich,Nature Biotechnology 14:1311 -1312,1996を参照すること。この作用剤を、同時に又は連続的に添加できる。例 えば、この作用剤をGEFに加え、それからこの混合液をGTPaseと混合する。この 方法を、液体中、単離された構成要素上、マトリックス(例えば濾紙、ニトロセ ルロース、アガロース)上、細胞中、組織切片上などで行うことができる。この 方法では、GEFがGTPaseに結合し、この結合がGTPase活性を何らか調節する。例 えば、上記及び下記で考察する通り、Rac-GEFがRacに結合し、それによってグア ニンヌクレオチドの解離が引き起こされる。この効果は、GEFとGTPaseとの間の 結合部位に直接作用するものでもよいし、又はアロステリック性でもよいし、又 は1成分だけに(例えばGEFだけ)作用するものでもよい。GTPaseの活性を調節 する作用剤を同定するために、グアニンヌクレオチド解離の検査を容易に利用で きる。更に、この方法は、前記方法によって同定された作用剤を獲得又は生産す ることに関する。 本発明は、前記方法によって同定された産物にも関する。種々のGEF及びGTPas e、例えば、Rac-GEF,mSOS,SOS,C3G,1sc,Db1,Db1近縁タンパク質、1以上 のDHドメインを含有するポリペプチド、 CDC24,Tiam-1,Ost,Lbc,Vav,Ect2,Bcr,Abr,Rho(A,B,C),Rac,Ras,CDC4 2,それらのキメラ、生物活性を有するそれらの断片、それらの変異体などを、 用いることができる。 本発明は、Rac仲介性のシグナル伝達が関係する疾患及び病理症状、例えば、 ガン、異常な細胞増殖が関係する疾患、を治療及び予防することにも関する。例 えば、本発明は、治療を必要とする患者に、Rac-GEFの遺伝子又はポリペプチド の発現を調節する因子である化合物を、その疾患を治療するために有効な量投与 することを含んでいる、ガンの治療方法に関する。「疾患を治療する」とは、そ の発症を遅らせること、疾患の進行を遅らせること、疾患の臨床的及び病理学的 徴候を改善するか、又は遅らせることを意味する。同様に、この方法は、炎症、 及び/又は好中球の走化性が関与する疾患を治療することにも関する。調節因子 である化合物又はその混合物は、合成物、天然物、又はそれらの混合物でよい。 調節因子である化合物には、アミノ酸、ヌクレオチド、炭化水素、脂質、多糖な どが含まれる。調節因子化合物は、好ましくはRac-GEFの調節因子であり、例え ば、そのmRNAの転写、タンパク質の発現又はプロセシング、あるいはRacとの相 互作用、例えばグアニンヌクレオチド交換、を抑制または促進する。更に、細胞 に、Rac-GEF又はその誘導体を補填できる。疾患を治療するために、前記化合物 又はその混合物を、当業者に明らかな様に、医薬上容認された担体及び他の賦形 剤を含有する医薬組成物中に配合できる。例えばRemington's Pharmaceutical S ciences,18th Ed.,Mack Publishing Company,1990を参照すること。この様な 組成物は、更に、有効量の他の化合物、特にガン治療のための化合物を含有し得 る。 本発明は、Rac-GEFポリペプチドを特異的に認識する抗体にも関する。任意の 希望する方法によって、抗体、例えばポリクローナル 、モノクローナル、組換え、キメラ抗体を調製できる。例えば、モノクローナル 抗体を作成するために、図1(配列番号2)のポリペプチドを、マウス、ヤギ又 はウサギの皮下及び/又は腹膜内に、アジュバントの存在又は非存在下に、免疫 反応を惹起するために有効な量で投与する。この抗体は、単一鎖又はFabでもよ い。この抗体は、IgG、そのサブタイプIgG2a,IgG1などでよい。 Rac-GEFに特異的な抗体とは、その抗体が、図1(配列番号2)のRac-GEFアミ ノ酸配列の中に存在する、又はその配列を含んでいる、規定されたアミノ酸配列 を認識することを意味する。従って、例えばイムノブロット法で検出及び/又は 測定される様に、特異的抗体は、図1(配列番号2)の配列内に存在するアミノ 酸配列、すなわちエピトープに対して、異なるエピトープに比べて、より高い親 和性で結合する。従って、Rac-GEFのエピトープに特異的な抗体は、試料、例え ばRac-GEF遺伝子産物を含有する組織の試料において、そのエピトープの存在を 検出し、そのエピトープを含有しない試料と前記試料とを区別するために、有用 である。この様な抗体は、Santa Cruz Biotechnology,Inc.の研究用カタログ に記載されている様に有用であり、従って、例えば100μg/mlに調合される。 更に、本発明のRac-GEFポリペプチド、又はその誘導体と結合するリガンドを 、例えば合成ペプチドライブラリー、又は核酸リガンドから、調製できる(Pitru ng et al.,U.S.Pat.No.5,143,854;Geysen et al.,1987,J.Immunol.Met hods,102:259-274;Scott et al.,1990,Science,249:386;Blackwell et al.,1990,Science,250:1104;Tuerk et al.,1990,Science,249:505)。 Rac-GEFと結合する抗体及び他のリガンドを、様々な方法において、例えば、 治療、診断および研究用の市販ツールとして、動物、 組織、細胞などのRac-GEFポリペプチドのレベルを定量するために、Rac-GEFの細 胞内局在及び/又は分布を同定するために、Rac-GEF、又はRac-GEFの一部分を含 んでいるポリペプチドを精製するために、Rac-GEFの機能を調節するために、利 用できる。Rac-GEF又はその誘導体に対する抗体を、ウエスタンブロット、ELIZA 、免疫沈降、RIAなどにおいて利用できる。本発明は、その様なことを行うため の検査、組成物及びキットなどにも関する。 様々な試料、例えば、組織、細胞、体液、血液、尿、脳脊髄液において、Rac- GEFポリペプチド又はその断片を検出するために、本発明の抗体を利用できる。 本方法は、当業界に既知の通り、結合に有効な条件下に、図1(配列番号2)の ペプチドに結合するリガンドを接触させること、そしてそのリガンドとペプチド との特異的結合を検出することを含んでいる。特異的結合とは、規定されたアミ ノ酸配列に、例えば、図1(配列番号2)のアミノ酸配列若しくはその誘導体の 中に存在する配列、又はそれを含んでいる配列に、リガンドが結合することを意 味する。更に、Rac-GEF又はその断片の発現を阻害するために、この抗体又はそ の誘導体を利用できる。Rac-GEFポリペプチドのレベルを、単独で、又は他の遺 伝子産物と共に、決定できる。特に、Rac-GEFポリペプチドの量(例えば発現レ ベル)を、同一試料又は異なる試料内の他のポリペプチド、例えばp21,p53,Rb ,WT1などの量と比較できる。 Rac-GEFに対するリガンドを、他の抗体、例えば、ガンの腫瘍学的マーカー、 例えばRb,p53,c-erbB-2などのガン遺伝子産物を認識する抗体と組み合わせて 、利用できる。一般に、Rac-GEFに特異的な試薬を、診断検査及び/又は法廷検 査において、任意の希望する方法(例えば米国特許5397712,5434050,5429947) に従って、利用できる。 本発明は、希望する方法、例えば米国特許5434050に開示された方法に従って 調製された、標識Rac-GEFポリペプチドにも関する。例えば、結合検査において 、例えば、Rac-GEFに結合する物質を同定するために、細胞内で、インビトロ、 インビボ又はin situの系などで、Rac-GEFの動きを追跡するために、標識ポリペ プチドを利用できる。 本発明に従って、核酸、ポリペプチド、抗体、Rac-GEFリガンドなどを単離で きる。「単離された」とは、物質が、他の成分から分離されて、元々の状態とは 異なる形、例えば、より濃縮された形、より純粋な形であることを意味する。例 えば、単離された核酸には、生きている動物に存在する染色体DNAから分離され た、Rac-GEFの配列を有する核酸が含まれる。この核酸は、ベクターの一部分で あってもよく、又は染色体内に挿入されていてもよく(特異的遺伝子ターゲティ ング、又は正常な位置以外の位置へのランダムな組込みに依る)、それでもなお 天然の状態とは異なる形で単離されている。本発明の核酸又はポリペプチドを実 質的に精製できる。「実質的に精製された」とは、核酸又はポリペプチドが分離 されて、他の核酸又はポリペプチドが本質的に含まれないことで、すなわちこの 核酸またはポリペプチドが、主要且つ有効な成分であることを意味する。 本発明は、Rac-GEF核酸を含んでいるトランスジェニック動物、例えばヒト以 外の哺乳動物、例えばマウス、にも関する。既知の方法に従って、トランスジェ ニック動物を作成できる。その方法には、例えば、組換え遺伝子を1細胞胚の前 核に注入する方法、人工酵母染色体を胚幹細胞に組み込む方法、遺伝子ターゲテ ィング法、胚幹細胞に関する方法が含まれる。例えば、次の文献を参照すること :米国特許4,736,866;4,873,191;4,873,316;5,082,779;5 ,304,489;5,174,986;5,175,384;5,175,385;5,221,778;Gordon et al.,Pro c.Natl.Acad.Sci.,77:7380-7384(1980);Palmiter et al.,Cell,41:3 43-345(1985);Palmiter et al.,Ann.Rev.Genet.,20:465-499(1986); Askew et al.,Mol.Cell.Bio.,13:4115-4124,1993;Games et al.Nature ,373:523-527,1995;Valancius and Smithies,Mol.Cell.Bio.,11:1402- 1408,1991;Stacey et al.,Mol.Cell.Bio.,14:1009-1016,1994;Hasty e t al.,Nature,350:243-246,1995;Rubinstein et al.,Nucl.Acid Res.,2 1:2613-2617,1993)。本発明の核酸を、ヒト以外の任意の哺乳動物、例えば、 マウス(Hogan et al.,1986,in Manipulating the Mouse Embryo:A Laborator y Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,New York)、 ブタ(Haminer et al.,Nature,315:343-345,1985)、ヒツジ(Hammer et al. ,Nature,315:343-345,1985)、畜牛、ラット、又は霊長類動物に導入できる 。例えば、Church,1987,Trends in Biotech.5:13-19;Clark et al.,1987 ,Trends in Biotech.5:20-24;及びDePamphilis et al.,1988,BioTechniqu es,6:662-680参照のこと。更に、例えば、注文に応じたトランスジェニックラ ット及びマウスの作成が商業的に利用できる。これらのトランスジェニック動物 は、ガンのモデルとして、薬物検査のために、有用である。 一般的には、本発明の核酸、ポリペプチド、抗体などを、米国特許5501969,5 506133,5441870;WO90/00607及びWO91/15582の記載の通りに調製及び使用する。 本発明の核酸、ポリペプチド、抗体などの他の点に関して、分子生物学、タン パク質科学および免疫学の標準的な教科書を参考にできる。次の文献を参照する こと:Davis et al.(1986),Basic Met hods in Molecular Biology,Elsevir Sciences Publishing,Inc.,New York; Hames et al.(1985),Nucleic Acid Hybridization,IL Press,Molecular Clo ning.Sambrook et al.:Current Protocols in Molecular Biology.Edited b y F.M.Ausubel et al.,John Wiley & Sons.Inc:Current Protocols in Huma n Genetics.Edited by Nicholas C.Dracopoli et al.,John Wiley & Sons.I nc.:Current Protocols in Protein Science:Edited by John E.Coligan et al.,John Wiley & Sons.Inc.:Current Protocols in Immunology:Edited by John E.Coligan et al.,John Wiley & Sons.Inc。 実施例 実施例1:Rac-GEFをコードするcDNAのクローニング Db1相同ドメインを有するタンパク質を、以下の様にして、ヒト胎児脳cDNAラ イブラリーから同定した。ヒトTIMタンパク質(Chan et al.,1994,Oncogene,Vol. 9,pages1057-1063)のアミノ酸配列(残基1-519)に基づいて、dbESTデータベース 内で、TBLASTN検索を行った。TIMのcDNAに高い配列相同性を有する1つのESTク ローン#167059が同定された。この挿入核酸を有するプラスミドを、I.M.A.G.E.C onsortrium(Researc hGenetics)を介して購入した。このcDNAを鋳型として、オ リゴヌクレオチド5'-GGAGGCCATGTTCGAGCTGG-3'及び5'-GCTGATCATCTGTTCCGTGC-3' を5'プライマー及び3'プライマーとして、そして32P標識ヌクレオチドを用いて 、511bpの32P標識PCR産物を得た。この標識PCR断片をプローブとして用いて、ヒ ト胎児脳のLambda ZAP cDNAライブラリー(Stratagene)の約4x105クローンをスク リーニングした。2.6kbの挿入核酸を有するクローンが単 離され、このクローンの完全なcDNA配列を、ABIシークエンサーによって決定し た。この2.6kbクローンは、1959bpの単一のオープンリーディングフレームを有 し、これは650アミノ酸のタンパク質をコードすると予想され、その分子量は74. 7kDaと計算された。しかし、このオープンリーディングフレームは完全長ではな く、開始メチオニンが欠失している。このcDNAは、American Type Culture Coll ectionに、1996年12月11日にNo.98273として寄託されており、これをp67 Rac-GE Fと表記する。 前記プローブを用いたノーザンブロット分析を行った。その結果、脳組織特異 的な3.5kbの転写産物、更に、より低量の肝臓特異的な4kb転写産物が認められ た。検査した他の正常組織、例えば、心臓、胎盤、肺、骨格筋、腎臓、膵臓、脾 臓、胸腺、前立腺、精巣、卵巣、小腸、大腸および末梢血リンパ球は、本質的に 陰性であった。ヒトの腫瘍細胞株を予備的に検査したところ、肺カルシノーマ細 胞株A549及び大腸カルシノーマ細胞株SW480に、高レベルの3.5kb mRNAが検出さ れた。他の腫瘍細胞株、例えば、HL60、HeLa、K562、Molt-4、Raji及びG-36は、 陰性であった。更に、いくつかの原発腫瘍組織を検査したところ、肝臓、肺及び 大腸の腫瘍で過剰発現が認められた。 2.6kbクローンで同定された追加の配列を用いて、dbESTデータベースを、Blas tnプログラムに従って検索したところ、更に、クローン#109922が同定された。 このクローンは、肝臓ライブラリーから単離されたものであった。この挿入核酸 を有するプラスミドを、I.M.A.G.E.Consortrium(Research Genetics)を介して購 入し、その配列を決定した。この配列から、開始メチオニン、及び前記の脳2.6k bクローンのアミノ末端の66アミノ酸とは異なる126アミノ酸の付加が判明した。 この新しい配列は、ノーザンブロット分析で同定 された、肝臓特異的な交替的スプライシングされた転写産物をコードすると思わ れる。前記の決定された配列とつなぎ合わせると、この肝臓由来の配列は、2133 bpのオープンリーディングフレームを有し、これは710アミノ酸のタンパク質を コードすると予想される。 前記の交替的スプライシングされた脳及び肝臓のアイソ体に加えて、別の推定 上のスプライシング変異体が同定された。前記の2.6kb脳クローンでは、Db1相同 領域内に、24アミノ酸をコードする72bpの挿入核酸が存在する。この24アミノ酸 をコードする配列は、他の交換因子、例えば、Tim(Chan et al.,Oncogene,Vol.9 ,pages1057-1063)及びVav2(Henske et al.,1995,Ann.Hum.Genet.59,Pt.1,pages2 5-37)の間で保存されている。 実施例2:Rac-GEFの特性 グアニンヌクレオチド交換活性に関して、2つのRac-GEFを検査した。最初に 、Glu-エピトープタグ(MEYMPMEIRHD)を、EST#167059によってコードされるRac-G EFのカルボキシ末端423アミノ酸に結合した。前記クローンのXhoI/EcoRI部位に 、 オリゴヌクレオチド5'-TCGAGGAGGTTATAAATATGGAATACATGCCAATGGA-3'及び、その 相補鎖5'-AATTTCCATTGGCATGTATTCCATATTTATAACCTCC-3' を挿入することによって、結合を行った。この構成核酸によってコードされるタ ンパク質を1型Rac-GEFとする。 次に、実施例1に記載した、Db1相同ドメイン内に前記挿入核酸を有する前記 配列を、発現プラスミドpET21a(Novagen)内のオープンリーディングフレームに 挿入した。この構成核酸によってコードされるタンパク質を、2型Rac-GEFとす る。作成した発現プラスミドを、大腸菌株BL21(DE3)pLysS(Novagen)に挿入し、 そしてエピト ープタグ付加タンパク質の発現を、IPTGで誘導した。Glu-エピトープに対する抗 体を共有結合した樹脂を用いて、発現タンパク質を精製した。得られたタンパク 質は、ある程度純粋であり、Rac1、RhoA及びCdc42に対する交換活性に関して検 査を行った。Hart,US60/029,979(出願1996年11月6日)を参照すること。その 結果、Rac-GEFは、主にRac1に選択的であるが、RhoA及びCdc42に対しても活性を 示すことが判った。更に、Db1挿入領域を欠く1型は、PHドメインのリガンドで あるアスコルビルステアレートの添加によって、影響を受けないが、Db1挿入領 域を有する2型は、アスコルビルステアレートによって、強力に活性化された。 実施例3:免疫化学的検出 Rac-GEFに対する抗体を、前記の精製分子の3つの断片を用いて、ウサギに作 らせた。この断片は、2型Rac-GEFのアミノ酸358-398、1型のアミノ酸372-386、 及び2型のアミノ酸693-710に相当するものである。このペプチドをKLHに連結し 、標準的な方法に従って、ウサギで抗体を作成した。 実施例4:Tiam-1及びその末端短縮体のクローニング及び発現 Tiam-1、及び種々のTiam-1の末端短縮体のクローニング及び発現を以下に記す 。GEF増強剤によるRacGEF活性の活性化に関与するTiam-1の領域を決定するため に、本実験、並びに実施例5及び6の実験を行った。 ヒトTiam-1及びその末端短縮体のcDNAクローニング: 報告されているマウスTiam-1 cDNA配列(Habets,G.G,Scholtes,E.H.,Zuydg eest,D.,van der Kammen,R.A.,Stam,J.C.,Berns,A,and Collard,J.G. (1994)Cell 77,537-549;NCBI Gen Bank Accession #U05245)に対して設計した プライマーを用いて、ヒト胎児脳ライブラリー(Stratagene #936206)を鋳型とし てPCR反 応を行い、放射性標識したヒトTiam-1遺伝子の断片を得た。これをプローブとし て用いて、同じライブラリーのサザンハイブリダイゼーションを行った。用いた プライマー対は、以下の2組である: 5'-CCATAAAACCATGGGAAACGC-3'と5'-GGTTCCGCGGAAGAGAAGGAT-3'及び5'-GACTGGCCC GGGGAACTGAGG-3'並びに5'-TCGGATGCGGATAAGCTGCCC-3'及び5'-GTGACTGGCGACCTGTT CAT-3' ヒトTiam-1 cDNAの2つの部分クローンを回収した。その1つは、ヌクレオチド1 -2972を含み、もう1つは、ヌクレオチド2972-4657を含んでいた(番号は、以前 に報告されたTiam-1 cDNA(Habets,G.G.,van der Kammen,R.A.,Stam,J.C. ,Michiels,F.,and Collard,J.G.(1995)Oncogene 10,1371-1376;NCBI Gen Bank Accession #U16296)に対応するものである)。欠失しているC-末端配列 を得るために、以前に報告された前記ヒトTiam-1 cDNAに対して設計したオリゴ ヌクレオチド5'-CGGAATTCAGATTTCGACACATGATC-3'(センス)及び5'-TCGCCCGGGGC AGGTGACGCAGTCAGA-3'(アンチセンス、停止コドンの下流にSma1部位を有する) をプライマーとして、そしてヒト海馬ライブラリー(Clontech #HL3023b)を鋳型 としてPCR反応を行い、ヌクレオチド4458-5366を有する断片を作成した。この断 片を、内部のEco47III部位(4487)を利用して、前記のクローンにつなげた。アン チセンスプライマー5'-GATCCCGGGTCATGTTTCTGGTTCTGGGATCTCAGTGTTCAGTTTCCTG-3 'を用いて、同様な方針で、KT3エピトープタグ"PEPET"、停止コドン、及びSmaI 部位を、Tiam-1の末端に連結した。前記の2つの部分クローンをつなぐために、 5'-CGGAATTCCATGGGCCGCCTTGGAATCT-3'(センス)及び5'-TCGCCCGGGCGTCAGCAGCAC GATTAT-3'をプライマーとして、そしてヒト胎児脳cDNAライブラリー(Clontech # HL50156)を鋳型としてPCR反応を行い、ヌクレオチド2422-3189を有する産物を得 た。これを、EcoRI及びSmaIを用いて、pBS SK+(Staragene #212201)に挿入した 。NcoI(472)-NcoI(2422)断片及びStuI(3134)-SmaI断片を前記ベクター内に挿入 し、KT3タグを有する、及び有さない完全長のクローンを作成した。 注意点として、単離されたTiam-1配列は、報告された配列とは異なる。前記ラ イブラリーから得られた5'側クローンは、非コード領域ヌクレオチド105の上流 に、5'-GGTGAGCAGTTTACACTTTCATATACTCCCTGTCATGTGCTTTGAAGGACTTTCTAGGGGCATCA AG-3'の挿入配列を含んでいた。Starageneの胎児脳ライブラリー由来の元のクロ ーン、並びに、Clontechの海馬及び脳のライブラリーに由来するPCR産物は、以 前に報告されたTiam-1のcDNA配列(Habets,G.G.,van der Kammen,R.A.,Stam ,J.C.,Michiels,F.,and Collard,J.G.(1995)Oncogene 10,1371-1376; NCBI Gen Bank Accession #U16296)と相異した。ヌクレオチド3005のCがGに替わ り、その結果残基844のHisがGlnに替わった。更に、PCRによって、サイレント変 異G4739A及びG5153Aが導入された。 実施例5:Tiam-1及び末端短縮体の発現 下記の発現ベクターを作成し、そして適当なTiam-1構成体を発現した。 完全長(178kD)のTiam-1: KT3タグ付きの4792bpのNcoI(472)-SmaI断片を、NcoI/SmaI消化したpAcC4内に 連結した(Rubinfeld,B.,et al.Cell 65,1033-1042(1991)):Bio/Technolo gy 6:47-55(derived from pAc436 )). 135kDのTiam-1: 5'末端リン酸化オリゴヌクレオチド 5'-GTCATGATGG-3'及び5'-TCCATCATGACGGCC-3'をリンカーとして用いて、ApaI/Ec oNI(1673)消化したpBS SK+ベースの完全長のTiam-1を再環状化した。前記リンカ ーによって作られたBspHI部位、及び前記ベクター由来のSpeI部位を用いて、400 6bp断片を、NcoI/XbaI消化したpAcC4内に連結した(Rubinfeld,B.,et al.,Cell 65,1033-1042,1991参照)。 106kDのTiam-1: NcoI(472)-NcoI(2422)断片を、完全長のpAcC4ベースの発現ベクターから除い た。 85kDのTiam-1: プライマーとして 5'-CTTGAATTCCACCATGGAAATCTGTCCAAAAGTCACT-3'(センス)及び5'-TCGCCCGGGC GTCAGCAGCACGATTAT-3'(アンチセンス)、そして鋳型としてStarageneのTiam-1 のヌクレオチド2972-4657クローンを用いたPCR反応によって、ヌクレオチド2972 の前にATGを配したNcoI-StuI(3134)断片を作成した。2297bpのNcoI-SmaI断片を 、NcoI-SmaI消化したpAcC4内に連結した(Rubinfeld,B.,et al.,Cell 65,1033-1 042,1991参照)。 66kDのTiam-1: 5'末端リン酸化オリゴヌクレオチド5'-CATGGACCAGAACCCATCTCC-3'及び5'-TGAG GAGATGGGTTCTGGTC-3'をリンカーとして用いて、NcoI(472)/Bsu36I(3534)消化し たpBS SK+ベースの完全長のTiam-1を再環状化した。前記リンカーによって作ら れたNcoI部位、及び前記ベクター 由来のSpeI部位を用いて、1761bp断片を、NcoI/XbaI消化したpAcC4内に連結した (Rubinfeld,B.,et al.,Cell 65,1033-1042,1991参照)。 ΔPHのTiam-1: オリゴヌクレオチド5'-GCCAGAACCAGAAACATGAC-3'及び5'-CCGGGTCATGTTTCTGGTT CTGGC-3'をリンカーとして用いて、Eco47III(4487)/XmaI消化した135kD,106kD ,85kD及び66kD型のTiam-1を有するpAcC4ベースの発現ベクターを再環状化した 。これらのプライマーはKT3タグも復活させた。 GST-PHドメイン融合タンパク質: 鋳型としてTiam-1cDNA、プライマーとして5'-GAGGAATTCGATCTGAGCATGGGAGACCT G-3'及び5'-CTGCTCGAGCTACTTATCACGCAGGATTGAATG-3'(C末端PHドメイン)、又は 5'-CAGGAATTCGTGCGCAAGGCCGGCGCCCTG-3'及び5'-GTGCTCGAGCTACGCAGTGGCGCAGGCAG AGTG-3'(N末端PHドメイン)を用いたPCR反応によって作成した産物を、EcoRI及 びXholを用いて、pGEX20T(Helin,K.,Harlow,E.and Fattaey,A.(1993)M ol.Cell.Biol.13,6501-6508)に連結した。 GST融合体以外の全てのTiam-1構成体を、バキュロウイルス/S.frugiperda-9細 胞系で生産し、そして抗KT3モノクローナル抗体の免疫親和性クロマトグラフィ ーによって精製した。Schreurs,J.,Yamamoto,R.,Lyons,J.,Munemitsu,S. ,Conroy,L.,Clark,R.,Takeda,Y.,Krause,J.E.,and Innis,M.(1995 )J.Neurochem.64,1622-1631を参照すること。GST融合体を大腸菌で生産し、 そしてグルタチオン−アガロースを用いて精製した。Smith,D.B. and Johnson,K.S.,(1988)Gene 67,31-40を参照すること。 実施例6:Tiam-1のRac-GEF活性の活性化剤 前記の種々のTiam-1構成体のGEF活性を、ある種の化合物の存在下及び非存在 下で決定した。下記の検査を行った。室温で、緩衝液A(20mM HEPES pH7.3,50mM NaCl,2mM DTT,2mM MgCl2)中で反応を行った。全てのタンパク質及び化合物を 、最終濃度の4倍の濃度になる様に、緩衝液A中に希釈した(GTPaseは、1μM G DPを含む緩衝液A中に希釈した)。アスコルビルステアレート、アスコルビルパ ルミテート、及びステアリン酸を希釈するために、それらの25mM EtOH溶液を、 激しく撹拌しながら、ゆっくりと緩衝液Aに加えた。その他の脂質を、撹拌しな がら、水溶液に縣濁し、水浴超音波処理し、そして緩衝液Aに希釈した。調製し た反応液に、時間0で、終濃度4.5nMのλ32P-GTP(DuPont NEN #NEG006H)を加え 、10分後に、その反応液をニトロセルロースフィルター(Millipore #HAO2500)に かけ、即座に洗浄緩衝液(25mM Tris pH7.5,100mM NaCl,30mM MgCl2)で洗浄し た。通常の方法で、結合したλ32P-GTPを測定した。 前記通り、ヒトTiam-1の85kD短縮体を昆虫細胞で生産し、親和性クロマトグラ フィーで精製した。このタンパク質は、完全なPDZドメイン、Db1相同(DH)ドメイ ン、及び隣接するpleckstrin相同(PH)ドメインを含んでいる(図3)。前記検査 を行ったところ、この末端短縮体のみでは、種々の濃度で、Rac1に対してGEF活 性を示さなかった(図4)。これに対して、アスコルビルステアレート(AS)は、 Tiam-1仲介によるRac1のヌクレオチド交換速度を促進した。ASは、界面活性剤又 は還元剤として作用する性質があるので、他の界面活性剤(nOG,Triton X-100, NP40)及び還元剤(DTT,TCEP,トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)を検査 したが、これらは、Ti am-1のGEF活性を有意には刺激しないことが示された。この活性化の特異性を決 定するために、いくつかの他の脂質を検査した。アスコルビルパルミテート(AP) 、ホスファチジル-4-ホスフェート(PI(4)P)、及びホスファチジル-4,5-ホスフェ ート(PI(4,5)P2)は、有意にTiam-1活性を促進した;ホスファチジル-3,4,5-ホス フェート(PI(3,4,5)P3)及びホスファチジルセリンの効果は、弱かった;そし て、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール及びホスファチ ジルコリンは、ほとんど又は全く効果を示さなかった(図5)。コントロールと して、IP3、IP2、アスコルビン酸、ステアリン酸、及び、アスコルビン酸とステ アリン酸との組合せが、Tiam-1のGEF活性を有意に活性化するか否かを調べる実 験を行った。その結果、これらの試薬は、GEF活性を刺激できないことが示され た(図5)。 Tiam-1は、脂質の非存在下でGEF活性を有することが、以前に報告されている( Michiels,F.,Habets,G.G.,Stam,J.C.,van der Kammen,R.A.,and Collard,J.G.(1 995)Nature375,338-340)。その研究では、N末端のPHドメイン及びコイル−コイ ル領域を含む上流配列を有するマウスタンパク質が用いられた。この様な上流領 域が、GEF活性の発現に必要であるか否かを調べるために、対応するヒトTiam-1 の構成体を調製した(図3)。Tiam-1の135kD短縮体は、ASの非存在下で、Racに 対して弱いGEF活性を示すが、その活性は、ASによって依然非常に促進される( 図4)。DHドメイン及びPHドメインを有する他の全てのTiam-1短縮体(図3)で も、Rac1に対するGEF活性のASによる促進が認められた(図6)。 ASのPHドメインとの結合が、Tiam-1のGEF活性の活性化に必要であるか否か調 べるために、Eco47III部位の3'側配列を除くことによって、C-末端のPHドメイン の半分を除去し、残りの半分を保存した (図3)。N-末端のPHドメインを有するものも含めて、Tiam-1のこの様な短縮体 は、ASによって活性化されなかった(図4)。前記のPHドメインの除去によって 、DHドメインの活性も一緒に破壊された可能性もあるが、Db1タンパク質のPHド メインの同様な除去短縮体では、そのGEF活性に影響はない(Zheng,Y.,Zangrilli ,D.,Cerione,R.A.,andEva,A.(1996)J.Biol.Chem.271,19017-19020)。更に、その PHドメインとASとが結合できるか否か決定するために、検査反応液中に、GST-PH 融合タンパク質を加えた。GST単独は、ASによるTiam-1の交換活性の活性化に影 響しなかったが、GSTと、Tiam-1由来の2つのPHドメインとの融合体は、ASの効 果を低下させた(図6)。 上記説明から、当業者は、本発明を十分に活用できるであろう。上記の好まし い実施態様は、本発明を説明するためのものであり、限定するためのものではな い。 上記の引用文献及び図面の全内容を、本発明に組み入れる。 上記説明から、当業者は、本発明の本質的特性を容易に確認でき、本発明の範 囲内で、種々の変更及び改修を行うことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 5/10 C12N 15/00 ZNAA C12P 21/02 5/00 B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,HU,IL,IS ,JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK, LR,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,M N,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU ,SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM, TR,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ノース,アン アメリカ合衆国,カリフォルニア 94523, プレザント ヒル,リトル ロード 584 (72)発明者 ロスコー,ウィリアム アメリカ合衆国,カリフォルニア 94115, サンフランシスコ,カリフォルニア スト リート 3099 (72)発明者 シャーマ,サンジュ アメリカ合衆国,カリフォルニア 94703, バークレー,ピードモント アベニュ 2514

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.単離されたRac-GEFポリペプチド、又は生物活性を有するその断片。 2.前記ポリペプチドが、グアニンヌクレオチド交換活性、グアニンヌクレオ チド欠失状態のRacとの特異的な結合親和性、又は腫瘍形成性細胞形質転換活性 を有する、請求項1の単離されたRac-GEF又は生物活性を有するその断片。 3.ヒト由来である、請求項1の単離されたRac-GEF又は生物活性を有するそ の断片。 4.図1(配列番号2)のアミノ酸1〜711を含んでいる、請求項1の単離さ れたRac-GEF。 5.アミノ酸273〜605を含んでいる、請求項4の単離された生物活性を有するR ac-GEFの断片。 6.実質的に精製された、請求項1の単離されたRac-GEF又は生物活性を有す るその断片。 7.Rac-GEFポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を含んでいる、単離 された核酸。 8.前記のコードされたポリペプチドが、グアニンヌクレオチド交換活性、グ アニンヌクレオチド欠失状態のRacとの特異的な結合親和性、又は腫瘍形成性細 胞形質転換活性を有する、請求項7の単離された核酸。 9.ヒト由来である、請求項7の単離された核酸。 10.前記核酸配列が、図1(配列番号2)のアミノ酸1〜711をコードする、 請求項7の単離された核酸。 11.前記ヌクレオチド配列が、発現調節配列に作用可能に連結されている、請 求項7の単離された核酸。 12.前記核酸が、天然のヌクレオチド配列を含んでいる、請求項7の単離され た核酸。 13.前記核酸が、中断されることなく前記ポリペプチドをコードする、請求項 7の単離された核酸。 14.前記核酸が、DNAまたはRNAである、請求項7の単離された核酸。 15.前記核酸が、更に検出可能な標識を含んでいる、請求項7の単離された核 酸。 16.コードされるポリペプチドが生物活性を有し、且つ、そのポリペプチドの 1又は複数のアミノ酸が、置換若しくは欠失、又はその両方がなされている、請 求項7の単離された核酸。 17.前記の生物活性が、グアニンヌクレオチド交換活性、グアニンヌクレオチ ド欠失状態のG-タンパク質との特異的な結合親和性、又は腫瘍形成性細胞形質転 換活性である、請求項16の単離された核酸。 18.前記の1又は複数のアミノ酸が、保存的アミノ酸によって置換されている 、請求項16の単離された核酸。 19.前記の1又は複数の置換されたアミノ酸が、Db1相同ドメイン又はpleckst rin相同ドメイン内にある、請求項16の単離された核酸。 20.ストリンジェントな条件下で、図1(配列番号1)のヌクレオチド配列90 0〜1482にハイブリダイズするヌクレオチド配列、又は、相補的な核酸がハイブ リダイズするヌクレオチド配列、を含んでいる、単離された核酸。 21.請求項20で示されたヌクレオチド配列に対して、少なくとも95%のヌクレ オチド配列同一性を有する、請求項20の単離された核酸。 22.前記核酸が、グアニンヌクレオチド交換活性、グアニンヌクレオチド欠失 状態のRacとの特異的な結合親和性、又は腫瘍形成性細胞形質転換活性を有する ポリペプチドをコードする、請求項20の単離された核酸。 23.Rac-GEFに特有なヌクレオチド配列を含んでいる、単離された核酸。 24.ストリンジェントな条件下で、請求項23の特有なヌクレオチド配列にハイ ブリダイズするヌクレオチド配列、又は、相補的な核酸がハイブリダイズするヌ クレオチド配列、を含んでいる、単離された核酸。 25.グアニンヌクレオチド交換活性、グアニンヌクレオチド欠失状態のRacと の特異的な結合親和性、又は腫瘍形成性細胞形質転換活性を有するポリペプチド をコードする、請求項24の単離された核酸。 26.形質転換された宿主細胞において、核酸によってコードされるRac-GEFポ リペプチドを発現させる方法であって、請求項7の核酸を含んでいる形質転換さ れた宿主細胞を、そのポリペプチドの発現に有効な条件下で培養することを含ん でいる、前記方法。 27.形質転換された宿主細胞において、核酸によってコードされるポリペプチ ドを発現させる方法であって、請求項20の核酸を含んでいる形質転換された宿主 細胞を、そのポリペプチドの発現に有効な条件下で培養することを含んでいる、 前記方法。 28.前記ポリペプチドを単離することを更に含んでいる、請求項26の方法。 29.前記ポリペプチドの発現を調節することを更に含んでいる、請求項26の方 法。 30.請求項26の方法によって生産される、単離されたポリペプチ ド。 31.請求項27の方法によって生産される、単離されたポリペプチド。 32.請求項7の核酸を含んでいる、形質転換された宿主細胞。 33.請求項20の核酸を含んでいる、形質転換された宿主細胞。 34.請求項7の核酸を含んでいるベクター。 35.請求項20の核酸を含んでいるベクター。 36.Racポリペプチドの活性を調節する方法であって、有効量のRac-GEFポリペ プチド又は生物活性を有するその断片を、あるいは、有効量のRac-GEF活性を調 節する化合物を、投与することを含んでいる、前記方法。 37.前記のRac-GEF又は生物活性を有するその断片が、グアニンヌクレオチド 欠失状態のRacとの特異的な結合活性を有するアミノ酸配列を含んでいる、請求 項36の方法。 38.Racポリペプチドの活性を調節する方法であって、請求項21の核酸を細胞 に導入して、その細胞内のRac活性を調節するために有効な量で、前記核酸を発 現させることを含んでいる、前記方法。 39.前記核酸が、前記細胞を腫瘍形成性に形質転換する、請求項38の方法。 40.グアニンヌクレオチド欠失状態のRacポリペプチドと結合する分子を単離 する方法であって、Racポリペプチドと、前記分子を含有する溶媒とを、前記分 子が前記Racポリペプチドと結合するために有効な条件下で、接触させること; 及び、前記溶媒から、前記分子が結合したRacポリペプチドを分離すること、を 含んでいる前記方法。 41.前記分子がRac-GEFである、請求項40の方法。 42.前記分子の分子量が、約82.5kDaである、請求項40の方法。 43.前記分子を前記Racポリペプチドから分離することを更に含んでいる、請 求項40の方法。 44.GTPaseの活性を調節する方法であって、有効量のグアニンヌクレオチド交 換因子又は生物活性を有するその断片を、あるいは、有効量の、グアニンヌクレ オチド交換因子の活性を調節する化合物を、投与することを含んでいる前記方法 。 45.前記のグアニンヌクレオチド交換因子又は生物活性を有するその断片が、 グアニンヌクレオチド欠失状態の前記GTPaseとの特異的な結合活性を有するアミ ノ酸配列を含んでいる、請求項44の方法。 46.グアニンヌクレオチド交換因子のグアニンヌクレオチド交換活性を調節す る作用剤を検査する方法であって、(a)グアニンヌクレオチド交換因子を含ん でいるポリペプチド、又は生物活性を有するその断片、及び(b)前記交換因子 が結合することができる、GTPaseを含んでいるポリペプチド、又は生物活性を有 するその断片、の混合液を、作用剤に接触させること;並びに、GEF増強剤の存 在下又は非存在下で、グアニンヌクレオチド交換活性の存在又は量を検査するこ と、を含んでいる前記方法。 47.前記GTPaseがRacである、請求項46の方法。 48.前記グアニンヌクレオチド交換因子がRac-GEFであり、且つ、前記GEF増強 剤がアスコルビルステアレートである、請求項47の方法。 49.請求項48の方法によって同定された作用剤。 50.グアニンヌクレオチド交換因子とGTPaseとの結合を調節する作用剤を検査 する方法であって、(a)グアニンヌクレオチド交換因子を含んでいるポリペプ チド、又は生物活性を有するその断片、及び(b)前記交換因子が結合すること ができる、GTPaseを含んで いるポリペプチド、又は生物活性を有するその断片、の混合液を、作用剤に接触 させること;並びに、前記のグアニンヌクレオチド交換因子ポリペプチド又は生 物活性を有するその断片と、前記GTPaseとの結合の存在又は量を検出すること、 を含んでいる前記方法。 51.前記GTPaseがRacである、請求項50の方法。 52.前記グアニンヌクレオチド交換因子がRac-GEFである、請求項50の方法。 53.請求項50の方法によって同定された単離された作用剤。 54.Rac-GEF又はその中に存在する配列を含んでいるペプチドに特異的である 、単離された抗体。 55.H2N-AFRELIAOLELDPK-COOH、H2N-YQERTYKLPFSSFL-COOH、及びH2N-PQRSQNKD RRKLGSRNRQ-COOHの群中から選択されたアミノ酸配列と結合する、請求項54の単 離された抗体。 56.グアニンヌクレオチド交換因子又は生物活性を有するその断片のグアニン ヌクレオチド交換活性を増加させる方法であって、前記因子は、Rasスーパーフ ァミリーに属するGTPaseに作用することができるものであり、 前記のグアニンヌクレオチド交換因子又は生物活性を有するその断片を、前記 のRasスーパーファミリーに属するGTPase又は生物活性を有するその断片に接触 させること;並びに、グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)増強剤が存在する適 当な条件下で、グアニンヌクレオチド交換活性を検査すること、を含んでいる前 記方法。 57.前記のRasスーパーファミリーに属するGTPaseがRacであり、且つ、前記の グアニンヌクレオチド交換因子がTiam-1である、請求項56の方法。 58.前記のGEF増強剤が、アスコルビルステアレート、アスコルビルパルミテ ート、及びホスホイノシトールの群中から選択される 、請求項57の方法。 59.前記ホスホイノシトールが、PI3,4,5P3、PI4,5P2及びPI4Pの群中から選択 される、請求項58の方法。 60.グアニンヌクレオチド交換因子又は生物活性を有するその断片のグアニン ヌクレオチド交換活性の増加を原因とする疾患を治療する化合物を検査する方法 であって、前記因子は、Rasスーパーファミリーに属するGTPaseに作用するもの であり、 前記のグアニンヌクレオチド交換因子又は生物活性を有するその断片 を、前記のRasスーパーファミリーに属するGTPase又は生物活性を有するその断 片に接触させること;グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)増強剤が存在する適 当な条件下で、そして前記化合物の存在下及び非存在下に、グアニンヌクレオチ ド交換活性を検査すること;並びに、前記化合物が、前記グアニンヌクレオチド 交換活性を減少させるか否かを決定すること、を含んでいる前記方法。 61.前記のRasスーパーファミリーに属するGTPaseがRacである、請求項60の方 法。 62.前記のグアニンヌクレオチド交換因子がTiam-1である、請求項61の方法。 63.前記のGEF増強剤が、アスコルビルステアレート、アスコルビルパルミテ ート、及びホスホイノシトールの群中から選択される、請求項62の方法。 64.前記ホスホイノシトールが、PI3,4,5P3、PI4,5P2及びPI4Pの群中から選択 される、請求項63の方法。 65.前記のグアニンヌクレオチド交換活性を減少させる、請求項60の化合物。 66.Rac-GEF上のSrc相同3ドメインと結合するリガンド。 67.請求項46又は50の方法によって同定された、Rac-GEF上のSr c相同3ドメインと結合するリガンド。
JP50462899A 1997-06-17 1998-06-15 必要のないグアニンヌクレオチド交換因子活性が関与する異常細胞増殖の治療方法及び治療薬 Pending JP2002511756A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US4987997P 1997-06-17 1997-06-17
US60/049,879 1997-06-17
PCT/US1998/012391 WO1998057990A2 (en) 1997-06-17 1998-06-15 Methods and compositions for treating abnormal cell growth related to unwanted guanine nucleotide exchange factor activity

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002511756A true JP2002511756A (ja) 2002-04-16

Family

ID=21962222

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50462899A Pending JP2002511756A (ja) 1997-06-17 1998-06-15 必要のないグアニンヌクレオチド交換因子活性が関与する異常細胞増殖の治療方法及び治療薬

Country Status (7)

Country Link
US (2) US6340575B1 (ja)
EP (1) EP0996638A2 (ja)
JP (1) JP2002511756A (ja)
CN (1) CN1268954A (ja)
AU (1) AU756012B2 (ja)
CA (1) CA2287540A1 (ja)
WO (1) WO1998057990A2 (ja)

Families Citing this family (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2319037A1 (en) * 1998-03-18 1999-09-23 Onyx Pharmaceuticals, Inc. Identification of factors which mediate the interaction of heterotrimeric g proteins and monomeric g proteins
EP1265919A2 (en) * 2000-03-23 2002-12-18 Incyte Genomics, Inc. G-protein associated molecules
FR2812945B1 (fr) * 2000-08-10 2002-10-04 Aventis Pharma Sa Utilisation de la proteine grf1 et cellules exprimant la proteine grf1 pour le criblage de molecules
AU2001288999A1 (en) * 2000-09-08 2002-03-22 Millennium Pharmaceuticals, Inc. 38646, a guanine nucleotide exchange factor and uses therefor
WO2004035614A1 (en) * 2001-07-11 2004-04-29 Karo Bio Ab Synthetic or partially purified peptides which can bind to specific subunits of g proteins and uses thereof
CA2518381A1 (en) * 2002-11-25 2004-06-10 Exelixis, Inc. Mracs as modifiers of the rac pathway and methods of use
US7667013B2 (en) 2004-03-31 2010-02-23 Daiichi Sankyo Company, Limited Gene encoding a guanine nucleotide exchange factor and the gene product thereof
GB2549798A (en) * 2016-04-29 2017-11-01 Univ Bradford Peptides and nanoparticle formulations thereof
CN108164592A (zh) * 2017-12-29 2018-06-15 天津市湖滨盘古基因科学发展有限公司 一种人的鸟嘌呤核苷酸交换因子lbc突变蛋白及其应用

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR2690162B1 (fr) * 1992-04-21 1995-08-04 Rhone Poulenc Rorer Sa Peptides ayant une activite de facteur d'echange du gdp, sequences d'acides nucleiques codant pour ces peptides, preparation et utilisation.
JP2937757B2 (ja) * 1993-06-11 1999-08-23 科学技術振興事業団 C3G蛋白遺伝子のcDNA
US6238881B1 (en) * 1996-11-06 2001-05-29 Onyx Pharmaceuticals, Inc. Nucleic acids and polypeptides related to a guanine exchange factor of Rho GTPase
GB9624905D0 (en) 1996-11-29 1997-01-15 Medical Res Council MNGEF and homologues thereof

Also Published As

Publication number Publication date
AU7966498A (en) 1999-01-04
US6340575B1 (en) 2002-01-22
WO1998057990A3 (en) 1999-03-11
CN1268954A (zh) 2000-10-04
EP0996638A2 (en) 2000-05-03
CA2287540A1 (en) 1998-12-23
US20030203464A1 (en) 2003-10-30
WO1998057990A2 (en) 1998-12-23
AU756012B2 (en) 2003-01-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7994294B2 (en) Nucleic acids and polypeptides related to a guanine exchange factor of Rho GTPase
JP2001526036A (ja) サイクリックgmpホスホジエステラーゼ
JP2002517241A (ja) ヒト受容体チロシンキナーゼ
JP2002511756A (ja) 必要のないグアニンヌクレオチド交換因子活性が関与する異常細胞増殖の治療方法及び治療薬
US6500653B1 (en) Nucleic acids and polypeptides which resemble RHO and which interact with cell signaling pathways and proteins
JP2001514657A (ja) 成長因子受容体結合タンパク質
JPH05178894A (ja) Ras−gap相互作用を阻害するペプチド
US6511825B1 (en) Cell signaling polypeptides and nucleic acids
EP0942934B1 (en) Receptor tyrosine kinase genes
JP2003517821A (ja) 2786、ヒトアミノペプチダーゼ
JP2005520481A (ja) 単離ヒトキナーゼタンパク質、ヒトキナーゼタンパク質をコードする核酸分子、及びそれらの使用方法
JP2002509862A (ja) ヘテロ三量体gタンパク質と一量体gタンパク質の相互作用を媒介する因子の同定
US20030130485A1 (en) Novel human genes and methods of use thereof
US6908765B1 (en) Polypeptide—human SR splicing factor 52 and a polynucleotide encoding the same
WO1997020573A1 (en) Growth factor receptor-binding protein 2 homolog
JP2002512803A (ja) ファルネシル指向システインカルボキシメチルトランスフェラーゼに関連する新規核酸およびポリペプチド
US20030186878A1 (en) Human longevity assurance protein, its coding sequence and their use
WO2001098505A1 (fr) Nouveau polypeptide, proteine 11 de liaison d'une udp-glycosyltransferase (ugt) et d'une cobalamine, et polynucleotide codant ce polypeptide
US20030054385A1 (en) Human ubiquitin-conjugating enzymes
WO2001044453A1 (en) 25678, a novel human adenylate cyclase
WO2001038388A1 (fr) Nouveau polypeptide - transacylase 31 a chaine ramifiee de type humain - et polynucleotide codant ce polypeptide
AU1540202A (en) Guanine exchange factor of RHO GTPASE and nucleic acid encoding it
WO2001075014A2 (fr) Nouveau polypeptide, phosphatidylinositol-3 (ptdins 3) kinase 35 humaine, et polynucleotide codant pour ce polypeptide
WO2001023423A1 (fr) Nouveau gene comprenant le domaine ww et codant le polypeptide humain interagissant avec l'huntingtine, methode de production dudit gene et application correspondante
JPH11225775A (ja) アダプタータンパク質ファミリーのメンバーであるヒトp101