JP2002509828A - 中央装置、センサおよびバス・システムによって通信ができるように接続された乗員保護装置をトリガするための複数の制御モジュールを有する乗員保護システム - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 センサ数と乗員保護装置をトリガするための制御モジュールの数が多い場合に、これらを中央装置と通信できるように接続するために必要な配線の量が非常に増加してしまう。このため、乗員保護装置をトリガするための制御モジュールについては、すでにバス・システムが提案されている。本発明の課題は必要な配線の量を簡単な手法でさらに削減させることである。この削減は次のようになされた。少なくとも一部のセンサは、これらのセンサに付加的に割り当てられた制御モジュールを介してバス・システムに集積化させる。乗員保護装置をトリガするための制御モジュールの機能テストを行なう診断問合せ−診断応答プロトコルの枠組みの中で、センサの制御モジュールが診断応答として実際のセンサ値をバス・システムに送る。この応答が中央装置ないし別の制御モジュールにより処理される。本システムは自動車における乗員保護システムに用いられる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】

本発明は請求項１の前文による、特に自動車において、中央装置、複数のセン
サおよびバス・システムによって通信ができるように接続された乗員保護装置を
トリガするための複数の制御モジュールを有する乗員保護システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】

ドイツ特許公報ＤＥ１９６５３７９４またはＤＥ１９６１６２９３は、たとえ
ば、この種の乗員保護システムを記述している。これらの公報は制御モジュール
の診断のための双方向データ通信も記述している。一つの制御情報（以降、診断
問合せと称す）が中央装置から制御モジュールに送信され、制御モジュールが診
断問合せに対して制御情報ないし診断問合せで応答する。乗員保護装置の制御モ
ジュールの機能の可動性および各機能パラメータを周期的に検査するために、こ
の診断オペレーションが用いられる。

【０００３】 従来から、乗員保護システムのための特性センサ（たとえば、加速度センサ）
は常に別個にかつ個別に中央装置と接続されていた。将来、着座および位置セン
サ、シートベルトロックセンサ、近接センサなどがこれらのセンサを補完するよ
うになる。通常、これらのセンサは、センサ信号を連続かつ単方向に中央装置に
送る。この結果、中央装置における配線の量と制御の量、および中央装置におけ
る入力の数は増加し続ける。ビショッフの記事「ネットワーク化された拘束シス
テム（Automobil Produktion 1997 6月 3/97号 84-頁）」は、乗員保護装置の トリガのためのバス・システム（いわゆるイグニッション・バス）中のセンサを
記述しているが、バス・システムへのセンサの具体的な集積化については記述し
ていない。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】

本発明の課題は、センサを簡単な手段で集積化（integrating）することによ り配線の量を軽減することができる乗員保護システムを提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

この課題は請求項１の特徴部分によって解決できる。有効なさらなる実施形態
は従属請求項に見出される。

【０００６】 本発明の基本概念は、乗員保護装置の制御モジュールに加えて、センサの制御
モジュールをバス・システムによって相互におよび中央装置に接続すること、お
よびこれにより配線の量を顕著に減らすことである。通常、自動車の中でセンサ
は中央装置から空間的にかなり離れて配置されているから、なおさらこのバス接
続が有効である。多くの場合乗員保護装置も空間的にこれらの領域に配置されて
いる。これらセンサの配線の一部は、既に、いわゆる外部アシスタントとして集
められている。この場合、センサはもはや中央装置と（直接的に）接続されてい
ない。乗員保護装置の制御モジュールの診断のために従来から使用されている双
方向対話（dialog）を活用することにより、少なくとも特定のセンサをバス・シ
ステムによって中央装置にリンクすることがかえって単純である。このことは、
診断問合せに対して診断応答として実際のセンス値を送り返す制御モジュールを
、センサに割り当てることによって行なわれる。この方法には乗員保護装置のた
めの制御モジュールとほぼ同一の制御モジュールがセンサの制御モジュールとし
て使用できるという特別の利点がある。さらにプロトコルに関して、制御モジュ
ールの数が増加するのみでありダイアログがほとんど同一であるから、ソフトウ
ェア技術的転送プロトコルをほとんど不変のままにしておくことができる。

【０００７】 診断応答としてバス・システム上を転送されたセンサ信号を検出ないしデータ
収集することができる手段を、従来一般的である中央装置に加えて、乗員保護装
置の制御モジュールにも与えることにより、プロセッサ論理演算を中央装置から
各制御モジュールに分散させることができる。この特徴により、制御モジュール
の応答可能性が高まる。

【０００８】 乗員保護システムのバス・システムへセンサを集積化するためには、しかしな
がら、センスすべき値を周期的に検出する必要がある。データ転送速度は常に有
限であるから、サイクル繰返しインターバル、すなわち、センサの制御モジュー
ルに対する２つの診断ないし問合せサイクルの間のインターバルが考慮されなけ
ればならない。たとえば、シーケンシャルな時分割多重化の時に複数の制御モジ
ュールがあることが、転送プロトコルの枠組みの中の時間窓の数を増加させる。
この結果、サイクル繰返しインターバルが常には無視することができない程度の
長さになり得る。

【０００９】 乗員保護システムに重要ないくつかのセンスすべき値は高いダイナミクスを示
す。すなわち時間的な変化速度が速い。たとえば加速度信号の変化は非常にダイ
ナミックである。さらに、最初に検出できるセンサ信号と乗員保護装置が最適に
動作するためにトリガしなければならない時点の間に短い時間幅しかないから、
乗員保護システムは特に時間にクリティカルである。

【００１０】 したがって、最短の可能なサイクル繰返しインターバルに対して、比較的ゆっ
くりと、あるいは、たとえば停車自動車の非稼動状態時に、変化する値を検出す
るセンサのみをバス・システムに制御モジュールを介して集積化することが有効
であろう。

【００１１】 もちろん、センスすべき値の変化速度に適合したサイクル繰返しインターバル
を使用することにより、全ての変化の検出が可能になる。このことは各事例にお
いて実際の技術条件に基づいて考慮されなければならない。

【００１２】 さらに有効な実施例に、安全性にクリティカルな制御情報（特に、トリガ指令
）が少なくとも一つの制御モジュールに送られた時には、少なくとも各センサの
制御モジュールからの診断問合せないし診断応答が抑制される。

【００１３】 本発明を実施例と図面に基づいて、以下に説明する。

【００１４】

【発明の実施の形態】

図１は中央装置１、センサSeとS1および乗員保護装置I1,I2,...をトリガする ための複数の制御モジュールM1,M3,...を有する乗員保護システムを示す。制御 モジュールM1,M3,...は、バス・システムによって中央装置１のI/OポートI/O X に通信ができるように接続されている。

【００１５】 センサSeは、従来どおり中央装置１に別個に接続されている。なぜならこのセ
ンサSeは非常に早く変化する値（たとえば、自動車に働く加速度）をアナログ式
に検出するからである。ほぼリアルタイムな信号処理を保証するために、センサ
Seはバス・システムに集積化されていない。

【００１６】 他方，センサS1（たとえば、シートベルトロックセンサ）の状態はよりゆっく
りと、または、安全性がクリティカルでない時間領域（たとえば、自動車停止時
）で変化する。センサS1はバス・システムに制御モジュールM2を介して集積化さ
れる。好ましくは、制御モジュールM1,...はすべて同一に構成されて、モジュー
ルの各機能はソフトウェアによってプログラムされる。

【００１７】 図２と図３において、診断問合せと診断応答からなるプロセスへのセンサの集
積化が特に良く理解できる。両方の図面で、中央装置１の診断問合せ２がブロー
ドキャスト問合せ（すなわちすべての制御モジュールM1,...に診断問合せ２が共
通して送られる）として表現されている。ブロードキャスト診断要求によってプ
ロトコルのサイクル繰返しインターバルはさらに短縮される。しかしながら、モ
ジュールのアドレスによる個別診断問合せも基本的に可能である。

【００１８】 診断問合せ２に対してその都度、制御モジュールMxが診断応答３.Mxで応答す る。乗員保護装置I1,I2,...の制御モジュールM1,M3,...からの診断応答は主に状
態情報（たとえば、故障／正常）のみである。診断問合せ２に対して、センサの
制御モジュールM2からセンサS1の実際の検出値が診断応答３.M2としてバス・シ ステム上に送られる。診断応答3.M2は各乗員保護装置I1,I2,...の制御モジュー ルM1,M3,...ないし中央装置１によって検出され、評価されうる。診断問合せ３ ．M2が考慮され、必要に応じて各制御モジュールが保護装置をトリガできる。診
断応答３．M2に続いて、中央装置１から更新された診断問合せ２によって診断プ
ロセスが繰り返されるまでに、図２に示すほかの全ての制御モジュールM3,...が
応答する。

【００１９】 これに対して、図３のプロセスはバス・システム上の非対称時分割多重化であ
る。乗員保護装置I1,I2,...の制御モジュールM1,M3,...の診断応答3.M1,3.M3,..
.の間に毎回、制御モジュールM2からセンサS1の実際のセンサ値s1a,s1b,s1c,...
がバス・システムに送られる。すなわち、センサS1の制御モジュールは、乗員保
護装置I1,I2,...の制御モジュールM1,M3,...と比較してかなり頻繁に応答する。
したがって、中央装置１および乗員保護装置I1,I2,...の制御モジュールM1,M3,.
..が、変化するセンサ値s1をかなり速く受信する。

【図面の簡単な説明】

【図1】 乗員保護装置をトリガするための制御モジュールとセンサーのため の制御モジュールを有するバス・システムを示す。

【図2】 ブロードキャスト診断問合せと、各制御モジュールの対称時分割多 重化を有する転送プロトコルを示す。

【図3】 ブロードキャスト診断問合せと、センサの制御モジュールが一つ置 きの時間窓で応答する非対称時分割多重化を有する転送プロトコルを示す。

【手続補正書】特許協力条約第３４条補正の翻訳文提出書

【提出日】平成１２年１月２９日（２０００．１．２９）

【手続補正１】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】特許請求の範囲

【補正方法】変更

【補正内容】

【特許請求の範囲】

【手続補正２】

【補正対象書類名】明細書

【補正対象項目名】０００３

【補正方法】変更

【補正内容】

【０００３】 従来から、乗員保護システムのための特性センサ（たとえば、加速度センサ）は
常に別個にかつ個別に中央装置と接続されていた。将来、着座および位置センサ
、シートベルトロックセンサ、近接センサなどがこれらのセンサを補完するよう
になる。通常、これらのセンサは、センサ信号を連続かつ単方向に中央装置に送
る。この結果、中央装置における配線の量と制御の量、および中央装置における
入力の数は増加し続ける。ビショッフの論文「ネットワーク化された拘束システ
ム（Automobil Produktion 1997年6月3/97号84-頁）」は、乗員保護装置のトリ ガのためのバス・システム、いわゆるイグニッション・バス中のセンサを記述し
ているが、バス・システムへのセンサの具体的な集積化については記述していな
い。 ＰＣＴ公報 ＷＯ８９０９１４６は、センサ・データバスとアクチュエータ・ データバスが分離したバス・システムを記述している。 さらに、ドイツ特許公報 ＤＥ１９５２７８１３は、たとえば、イグニッショ ン装置に集積化された加速度に依存する安全スイッチを備えた乗員用サポート手
段（restrainer）を記述している。しかしながら、この発明では、中央データ評
価装置がセンサのデータを検出することが不可能であり、このセンサのデータを
別の乗員用サポート手段のトリガの決定に使用することができない。保護装置に
診断問合せがあった時は、保護装置は中央装置に機能の可動性のみが返答される
。 したがって、乗員保護システム全体のトリガについてユニバーサルな意味を持
つセンサを集積化することができない。中央装置と通信できるように接続された
別のセンサを常備しなければならない。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 Ｐｏｓｔｆａｃｈ 300220， Ｄ−70442 Ｓｔｕｔｔｇａｒｔ （ＤＥ) (72)発明者 フェント、ギュンター ドイツ連邦共和国 シュローベンハウゼン バルサザールラヒャーシュトラッセ ５ (72)発明者 ビショッフ、ミハエル ドイツ連邦共和国 アデルシュラーグ ア ム グラーベン 16 (72)発明者 リンケンス、ヨハネス ドイツ連邦共和国 インゴールシュタット ヘイセシュトラッセ ３Ａ (72)発明者 シェーファー、シュテファン ドイツ連邦共和国 シュローベンハウゼン インゴールシュテターシュトラッセ １ Ａ (72)発明者 シュタイナー、ペーター ドイツ連邦共和国 シュローベンハウゼン ザンクトセバスティアンシュトラッセ 10 (72)発明者 ニチェケ、ヴェルナー ドイツ連邦共和国 ディッチンゲン ロー ゼゲルヴェーク 14 (72)発明者 カール、オットー ドイツ連邦共和国 レオンベルグ トーン ヴェ−ク ８ (72)発明者 バウアー、ヨアキム ドイツ連邦共和国 オーベルシュテンフェ ルド オルツシュトラッセ 59 Ｆターム(参考） 3D018 MA00 3D054 EE02 EE10 EE14 EE25 EE39 FF20

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】特に自動車において、中央装置（１）、センサ（Se、S1）およびバ
   ス・システムによって通信できるように接続された乗員保護装置（I1,I2 ,.
   ..）をトリガするための複数の制御モジュール（M1,M3,...）を有し、制御モジ ュール（Mx）が診断問合せ（２）に対して診断応答（３．Mx)をバス・システム 上に送り返す乗員保護システムであって、 各センサ値を検出するために少なくとも一つのセンサ（ｓ１）と接続されてい
   る制御モジュール（Ｍ２）がバス・システムに少なくとも一つ備わっていて、セ
   ンサ（ｓ１）の制御モジュール（Ｍ２）が診断問合せ（２）に対する診断応答（
   3.M2）として、実際のセンサ値をバス・システム上に送り返すことを特徴とする
   乗員保護システム。
2. 【請求項２】乗員保護装置（I1,I2 ,...）の制御モジュール（M1,M3,
   ...）内に、バス・システム上を転送された診断応答（3.M2）を直接評価する手 段が備わっていることを特徴とする請求項１に記載の乗員保護システム。
3. 【請求項３】センサによって検出できる値を周期的に検出するために、診断
   問合せが所定のサイクル繰返しインターバルで各制御モジュールに送られ、 a)乗員保護システムの全てのセンサのうち、サイクル繰返しインターバルに対し
   てセンスすべき値の変化速度が時間的に小さなセンサだけが、乗員保護装置をト
   リガするための制御モジュールと共に、バス・システムに接続され、b)あるいは
   、センスすべき値の時間的変化速度に適合するように繰返しインターバルが短く
   選択されることを特徴とする前記請求項に記載の乗員保護システム。
4. 【請求項４】一般的にゆっくりと、好ましくは自動車停車時に、変化する値
   のセンサ（特に、座席占有スイッチセンサあるいはシートベルトロックセンサ）
   の制御モジュールが、乗員保護装置をトリガするための制御モジュールと共にバ
   ス・システムに接続されていることを特徴とする請求項３に記載の乗員保護シス
   テム。
5. 【請求項５】中央装置から安全性にクリティカルな状態を示す制御情報（特に
   トリガ指令）が、乗員保護装置の少なくとも一つの制御モジュールに送られたと
   きに、少なくとも各センサの制御モジュールからの診断問合せや診断応答が抑制
   されることを特徴とする請求項４に記載の乗員保護システム。