JP2002507894A - 真核生物宿主細胞においてタンパク質の分泌を増加するための方法 - Google Patents

真核生物宿主細胞においてタンパク質の分泌を増加するための方法

Info

Publication number
JP2002507894A
JP2002507894A JP50742799A JP50742799A JP2002507894A JP 2002507894 A JP2002507894 A JP 2002507894A JP 50742799 A JP50742799 A JP 50742799A JP 50742799 A JP50742799 A JP 50742799A JP 2002507894 A JP2002507894 A JP 2002507894A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cells
protein
cell
eukaryotic host
genetically modified
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP50742799A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002507894A5 (ja
Inventor
マイヤー、ダーフィト、イー.
ベッカー、フランク
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CARIFORNIA
Original Assignee
THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CARIFORNIA
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CARIFORNIA filed Critical THE REGENTS OF THE UNIVERSITY OF CARIFORNIA
Publication of JP2002507894A publication Critical patent/JP2002507894A/ja
Publication of JP2002507894A5 publication Critical patent/JP2002507894A5/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12PFERMENTATION OR ENZYME-USING PROCESSES TO SYNTHESISE A DESIRED CHEMICAL COMPOUND OR COMPOSITION OR TO SEPARATE OPTICAL ISOMERS FROM A RACEMIC MIXTURE
    • C12P21/00Preparation of peptides or proteins
    • C12P21/02Preparation of peptides or proteins having a known sequence of two or more amino acids, e.g. glutathione
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/46Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates
    • C07K14/47Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans from vertebrates from mammals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/67General methods for enhancing the expression
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/63Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
    • C12N15/79Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
    • C12N15/80Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for fungi
    • C12N15/81Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for fungi for yeasts

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Mycology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 遺伝的に改変された細胞が、組換えタンパク質の収量増加などのタンパク質の分泌量の増加を示す方法を提供する。細胞は、分泌経路の成分の増殖を誘導するリボソーム受容体の合成を増加するように遺伝的に改変される。

Description

【発明の詳細な説明】 真核生物宿主細胞においてタンパク質の分泌を増加するための方法 技術分野 本発明は、細胞の分泌能を増加するための方法に関し、さらに詳細には多量の 分泌(または細胞内タンパク質輸送)能を示すように、遺伝的に改変してリボソ ーム受容体の発現が増加した真核生物細胞を使用することに関する。 本発明は、国立医療研究所(National Institute of Health)の決定による付与番号第GM−38538号に基づいた米国政府 の支援により実施された。米国政府は本発明に所与の権利を有する。 本発明は、発明の名称「細胞の分泌経路の誘導(Induction of t he Secretory Pathway in Cells)」で1997年 7月3日に提出された米国特許暫定出願番号第60/051,721号の優先権 を主張する。背景技術 多数の生物工学会社および製薬会社の目的は、治療用途に使用するために大量 の組換えタンパク質を産生することである。ここ数年で大きな評判を呼んだ2つ の例はTPA(組織プラスミノーゲン活性化因子)とEPO(エリスロポイエチ ン)である。 組換えタンパク質を産生するために使用されている細胞培養系から組換えタン パク質の分泌を増加する方法が求められている。 例えば、発明者トマソン(Thomason)、1993年12月21日に付与 された米国特許第5,272,064号に記載されているように、血小板由来増 殖因子Bを組換えにより産生するためにより高等進化した真核生物宿主細胞系お よび酵母宿主細胞系を使用しても、一般に、生物活性のあるrPDGF Bの分 泌は比較的低量であるので、この発明者は大腸菌(E.coli)発現系に変え た。 いくつかの他の例では、発明者ホンジョウ(Honjo)ら、1998年6月 2日に付与された米国特許第5,759,810号は、多量のグルタチオン還元 酵素と共に標的である組換えタンパク質を産生するように遺伝的に改変した大腸 菌(E.coli)宿主細胞を発現させることによって、大腸菌(E.coli )宿主細胞においてヒト成長ホルモンを分泌するための方法を開示している。発 明者ローリス(Lawlis)、1997年10月21日に付与された米国特許第 5,679,543号は、糸状菌中で発現されると、ヒト組織プラスミノーゲン 活性化因子、ヒト成長ホルモン、ヒトインターフェロン等などの望ましいポリペ プチドの分泌量が増加すると言われている融合DNA配列について記載している 。 これら上記の技術は数多くのタンパク質を分泌するのに有利であったかもしれ ないが、いくつかの欠点が含まれる可能性もある。原核生物および真核生物から タンパク質を分泌させる能力はシグナル配列の存在に依存する。これらは非分泌 タンパク質に付加されたり、分泌タンパク質間で交換することができるが、進化 は、分泌される成熟タンパク質に適合する最もよいシグナル配列を選択してきた 可能性が大きい。言い換えると、タンパク質のシグナル配列のスプライシングに よりタンパク質の分泌が可能としても、分泌される速度または量にはほとんど明 白な影響を与えないことが考えられるのである。さらに重要なことには、これら の技術は、生物的に活性な組換えタンパク質を産生する際に非常に重要であるこ とが多い数多くの共有結合修飾または処理段階を宿主細胞が実施する能力につい て対処していないことが多い。このために、全ての処理酵素を含む分泌装置の全 体性がアップレギュレーションされている宿主細胞を作製する能力がたいへん大 きな利便を供すると思われる。 多くの場合、最も経済的な細胞培養系(細菌細胞、酵母細胞、昆虫細胞等)は 適当な生物活性を有するタンパク質を産生しない。これらの場合では、CHO( チャイニーズハムスター卵巣)などのほ乳類動物の細胞を使用することが必要で あ る。しかし、このようなほ乳類動物細胞系は、培地1リッターあたり増殖させら れる細胞数に限度があること、および増殖培地そのものの成分が高価であること によりより高価なものになる。 従って、産生される組換えタンパク質を多量に分泌量する培養哺乳動物細胞の 能力は、細胞培養においてタンパク質を産生しなければならない会社にとって明 らかな利益をもたらすものであると思われる。しかし、他の種類の真核生物細胞 を用いた場合も、タンパク質分泌の増加が望ましい。例えば、酵母は、大腸菌( E.coli)以外の細胞において組換えタンパク質を産生するための魅力的な 代替細胞である。発明の開示 本発明者らは種々の真核生物細胞における膜増殖を誘導するために、リボソー ム受容体およびその部分の発現を使用することができた。増殖した膜はその細胞 の種類におけるタンパク質の分泌に必要なものである。本発明者らは、膜の誘導 によりこれらの細胞において分泌能力が増加することを明らかにした。 本発明の一態様において、真核生物宿主細胞において望ましいタンパク質の細 胞内輸送または分泌を増加するための方法は、遺伝的に改変された真核生物宿主 細胞において望ましいタンパク質をコードする遺伝子を発現するステップを含む 。遺伝的改変は、野生型真核生物宿主細胞に対して、望ましいタンパク質の細胞 内輸送(該望ましいタンパク質が膜結合受容体または酵素である場合)、または分 泌のどちらかを増加するように、リボソーム受容体の少なくとも一部を大量に発 現させるのに有効である。 リボソーム受容体またはその断片の増殖が遺伝的に改変された本発明の細胞( すなわち、分泌能力の増加を示す細胞)を使用することが考慮される用途には、 治療目的に有用なタンパク質などの産生用がある。望ましいタンパク質(常に組 換えタンパク質とは限らず)の収量は、この技術によって増加することができる 。従って、本発明は細胞の分泌能力を増加する方法を提供する。本発明の方法で は、 関心のある組換えタンパク質を輸送もしくは分泌する能力が増加した細胞を作製 するこができ、またすでに望ましいタンパク質を発現している細胞は、これまで 到達できなかった輸送量および分泌量に達するように、本発明の実施によって形 質転換することができる。図面の簡単な説明 図面中: 図1Aは、イヌリボソーム受容体の一次構造(アミノ酸配列)である。 図1Bは、以下に概略する検討に使用した構築物をダイアグラムで示した物で ある。 図1Cは、マウスおよびヒト起源のリボソーム受容体相同配列をコードするcD NAクローンから推定したアミノ酸配列を並べたものを示す(ダッシュは同一箇所 を示し、マウスおよびヒトの配列中の文字はイヌと異なる部分を示し、点は欠損 と思われるところを示す)。 図2は、野生型酵母の電子顕微鏡写真で、3つの主要な細胞小器官である核( N)、ミトコンドリア(M)および液胞(V)だけが見える。 図3は、全長のリボソーム受容体の発現に応答して作製された粗面膜が見える 酵母の電子顕微鏡写真である。 図4は、リボソーム結合ドメインが受容体に欠損していることにより、滑面膜 を増殖させる構築物(図1BのΔNT)を発現している酵母の電子顕微鏡写真で ある。 図5は、リボソーム結合ドメインおよび膜アンカー(図1BのΔCT)だけを 含むことにより、粗面膜を最も劇的に増殖する構築物を発現している酵母の電子 顕微鏡写真である。 図6は、膜増殖の刺激が、分泌経路に沿って細胞小器官に特異的なタンパク質 をコードする遺伝子の発現を誘導することを示すノーザンブロットで、各菌株に トランスフェクションされた遺伝子は図の上部に示し、各列は、異なる細胞小器 官特異的な様相の分泌過程に関与することが周知のタンパク質をコードする遺伝 子の発現量を示す。 図7は、対照実験の酵母(上の列)とΔCT構築物を発現する細胞(下の列) を発現する細胞の間接的な免疫蛍光を示し、抗リボソーム受容体抗体(左のパネ ル)、内在ERタンパク質Sec61pに対する抗体(真ん中のパネル)および ゴルジ体の内在タンパク質であるGdalpに対する抗体(右のパネル)による 染色を示す。 図8は、ウシ膵臓トリプシン阻止因子(BPTI)をコードする遺伝子を大量 に発現する細胞は、ΔCTまたは全長のリボソーム受容体をコードする遺伝子で トランスフェクションされないと、増殖することができないことを示す増殖アッ セイである。 図9は、対照実験の酵母細胞またはΔCTを発現する細胞のBPTI量を培養 培地中で測定したアッセイである。 図10は、対照実験のサルCOS−7細胞(パネルA、下の細胞およびパネル C)と全長のリボソーム受容体をコードするプラスミドで一過的にトランスフェ クションしたCOS−7細胞(パネルA、上の細胞およびパネルB)の電子顕微 鏡写真である。 図11は、リボソーム受容体をコードするcDNA構造物で安定にトランスフ ェクションされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のリボソーム受容 体を免疫蛍光法で検出したものを示す。 図12は、リボソーム受容体の発現の誘導を可能にするcDNA構造物で安定 にトランスフェクションされたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞のリ ボソーム受容体を免疫蛍光法により検出したものを示す。 図13は、酵素であるアルカリ性ホスファターゼの分泌型をコードするプラス ミドで図12に記載した細胞を一過的にトランスフェクションした、アルカリ性 ホスファターゼの分泌に関するアッセイの結果を示す。好ましい実施態様の詳細な説明 広義には、本発明の一態様は真核生物宿主細胞において望ましいタンパク質の 細胞内輸送または分泌を増加するための方法である。「細胞内輸送」は、望まし いタンパク質が細胞過程によって細胞膜方向に搬送されることを意味する。例え ば、本発明を実施することによって輸送が望ましく増加すると思われる多数の膜 結合タンパク質の中には、市販上重要なタンパク質に共有結合修飾を実施するも のがある。多数の処理段階はインビトロにおいてこれらのタンパク質によって酵 素的に実施されている。分泌経路の増殖刺激によってそれらの産生増加すると思 われるいくつかの重要な酵素の例には、グリコシル化(中心部および末端)、チロ シン硫酸化、タンパク質分解による切断または脂質アンカーの付加に関与する酵 素が含まれる。 望ましいタンパク質が分泌タンパク質である場合には、本発明の方法の実施は 、細胞膜を通過する望ましいタンパク質の分泌を増加する。例えば、好適な候補 の中には、増殖因子、凝固因子、リンフォカインおよび他のサイトカイン、ホル モン、プロテアーゼ阻害剤並びに他の血清タンパク質などの組換えタンパク質が ある。 本発明は真菌細胞、植物細胞、原生動物細胞、無脊椎動物細胞または脊椎動物 細胞のいずれに由来する細胞であろうとも、実質的にいかなる真核生物宿主細胞 においても実施することができる。遺伝的に改変された真核生物宿主細胞におけ る望ましいタンパク質をコードする遺伝子の発現は、遺伝的に改変された構築物 および現在では当業者に周知の方法によって実施することができる。 酵母は数世紀にわたって大規模発酵に使用されており、細菌より高密度まで増 殖できることが多く、連続発酵工程に容易に順応させられる。酵母系における組 換えタンパク質産生に好適な培養細胞系は、例えば米国特許第5,618,67 6号に記載されているように周知である。一方、脊椎動物細胞、特にほ乳動物細 胞を使用する利点も多いが、ショウジョウバエやガから誘導される昆虫細胞が好 ましい場合やウィルスベクター(バキュロウイルス)が大量の発現を産生できる 場合もある。バキュロウイルス発現系においてキメラタンパク質を産成すること はよく知られている。例えば、発明者ケイレイ(Cayley)ら、1998年 6月23日に付与された米国特許第5,770,192号は、組換えバキュロウ イルスを感染させた昆虫細胞から分泌される異種タンパク質を発現する組換えバ キュロウイルスについて記載している。 タンパク質を産生するために最も広範に使用されるほ乳動物細胞系統は常にC HO(チャイニーズハムスター卵巣)であるが、ある種のタンパク質を産生する ために新生仔ハムスター腎臓(BHK)系統を使用している会社もある。組換え 抗体を分泌させるためには、ハイブリドーマ(SP2/0などの血漿細胞系統と 抗体産生脾臓細胞との融合物から誘導される)が最も頻繁に使用される。その理 由はそれらは抗体産生過程自体によって作製されるからである。特異的抗体をコ ードする遺伝子をハイブリドーマからクローニングできると、さらに産生するた めに安定にトランスフェクションされたCHO細胞を使用することができる。最 近、組換え抗体の「ヒト化」方法の一部としてハイブリドーマをヒトB細胞に融 合させた「トリオーマ」が作製された。 ほ乳動物細胞については、ヒトサイトメガロウィルス(CMV)から誘導され たプロモーターが最も普通に使用される。呼吸器系合胞性ウィルス(RSV)プ ロモーターを使用しても大量の発現を達成することができるが、組換えタンパク 質を発現するために使用される第一のプロモーターの1つSV−40は依然とし て広範に使用されている。SV−40プロモーターは、遺伝子「増幅」技術を使 用した系では普通である。この場合、構築物は、メトトレキセートを使用した増 幅の選択を可能にするジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子を通常含有する 。 これらの種々の真核生物細胞系において、遺伝的に改変されて分泌能が増加し た細胞は、本発明を実施することによって得ることができる。このような遺伝的 に改変された真核生物宿主細胞は、野生型の真菌生物宿主細胞に比較してリボソ ーム受容体またはその断片を多量に発現するように改変または工作される。結果 として、全ての処理酵素を含む分泌装置の全体を上流で制御することができる。 本発明者らの1名によって以前に報告されているように、180kDのイヌリ ボソーム受容体(RRp)の推定一次構造は3つの別個のドメイン:膜アンカー である28個の無荷電アミノ酸のアミノ末端伸長部、アミノ末端の残りを含む塩 基性領域(pI=10.74)および酸性カルボキシ末端(pI=4.99)を 示した。アミノ酸配列の最も顕著な特徴は、アミノ末端の正に荷電した領域にお いて、10個のアミノ酸が中断なく54回反復して連結した共通部分である。参 考として本明細書に組み入れられているウァンカー(Wanker)ら、J.C ell Biol.,130,29−39ページ(1995年)。 RRpの一次構造(アミノ酸配列)を図1Aに示す。RRpのヌクレオチド配 列はジーンバンク(GenBank)に提出されており、寄託番号X87224 号として入手できる。図1Bを参照すると、RR鎖は全長のリボソーム受容体を 示し、MAは膜アンカー領域を示し、RBDはリボソーム結合領域を示し、CT はカルボキシ末端領域を示す。カルボキシ末端ドメインの切断部分をΔCTとし て示し、RBT欠損部を有する構築物をΔNTとして示す。制限地図などのさら に詳細な説明はウァンカー(Wanker)ら、上記に記載されている。 図1Aに示すリボソーム受容体の一次構造は、イヌcDNA配列から推定され る。このタンパク質は、配列データが入手できる他の種の中でも保存性が非常に 高い。発現される配列標識(expressed sequence tags( EST))として周知のcDNA断片の数はデータベース中にこれまでに数を増し ている。最も普通に標識されるほ乳動物の配列はマウス起源およびヒト起源由来 である。アミノ酸に翻訳されると、それらの数多くはイヌリボソーム受容体の配 列と全くうまく並ぶ。その繰り返し性のために、短いESTをN−末端繰り返し を含有するドメイン内に配列することは困難である。しかし、図1Cからわかる ように、非繰り返し領域由来のかなりの数のヒトESTおよびマウスESTはそ の全長にわたって顕著なアミノ酸同一性(>90%)を示す。図1Cに示す全て のESTでは、ヒト配列の84%およびマウス配列の79%においてアミノ酸の 同一性が存在する。タンパク質のまさにN−末端において、膜アンカードメイ ンに及ぶと、ヒト、マウスおよびイヌ配列のアミノ酸同一性は95%を越える。 アミノ酸946〜979をコードするESTは配列決定エラーを有する可能性が 最も高いので、マウスでの全体的な値は、79%よりずっと高い可能性が最も大 きい。マウスゲノム配列決定から得られた証拠は、マウスの相同染色体は、イヌ 一次構造において見られる54の繰り返しのうち少なくとも45を有することを 示す。種間に渡り見られるようなリボソーム受容体の保存性のかなりの高さを考 慮すると、本発明者らは、イヌリボソーム受容体断片を有するほ乳動物細胞中で 本発明の態様を明らかにしているので、本発明を実施する際、リボソーム受容体 または断片がどの種に由来するかということに大きな問題があるとは考えられな い。 上記の1995年の報告により、サッカロマイセス セレビシアエ(Sacc haromyces cerevisiae)における発現によってインビボで のリボソーム受容体の特徴が解析された。しかし、(組換えリボソーム受容体自 体以外の)組換えタンパク質は発現されなかった。酵母細胞におけるRRpの過 剰発現によりER膜に結合するリボソームの数は増加することがこれまでに推測 されている。本発明を用いて本発明者らは、リボソーム受容体の少なくとも一部 を多量に発現するように遺伝的に改変または工作されている真核生物細胞により 、望ましいタンパク質の細胞内輸送または分泌が増加することを明らかにする。 本発明を実施することによって、真核生物細胞(酵母からヒトにまで渡る)の 分泌能を膜の生物遺伝的事象の刺激により増加することができる。望ましいリボ ソーム受容体またはリボソーム受容体の一部は望ましい細胞種において安定に発 現される。これらの細胞は膵臓細胞、肝臓細胞または血漿細胞などの高度に分化 した分泌組織に属する。これらの工作細胞は、正しく処理された市場的に重要な 分泌タンパク質または膜タンパク質を大量に産生するための宿主となる。機能的 には、その発現が宿主細胞の処理能および分泌能の限界まで最適化されている関 心のあるタンパク質をコードする遺伝子で宿主細胞をトランスフェクションする ことができる。 本発明を実施することによって、市場的に有用な所定のタンパク質を産生する ように異種DNAでプログラムした真核生物細胞(酵母からヒトまで渡る)を本 発明の方法によって操作して、このようなタンパク質を輸送、処理およびおそら く分泌する能力を増加することができる。機能的には、リボソーム受容体をコー ドする遺伝子またはその一部でこれらの細胞をトランスフェクションすることが できる。上記のように、細胞は分泌組織の属性を得ることによって、未操作の起 源細胞と比較した場合輸送、処理および分泌が増加する。リボソーム受容体構築 物の発現程度は、関心のあるタンパク質の輸送、処理および分泌に対して最適で あるように調整することができる。 理解されるように、数多くのカテゴリーの「望ましいタンパク質」が存在し、 それらの細胞内輸送および/または、分泌は本発明を使用することによって増大 されると思われる。好適なプロモーターによって駆動されるクローン化cDNA の転写に基づき発現する組換えタンパク質が最も明らかである。現在の技術に基 づくと、より安定で、再現性のある発現程度を得るために、このような構築物が 、常にではないにしても、最も頻繁に宿主細胞のゲノムに導入される。組換えタ ンパク質をコードするcDNAは宿主細胞の転写相補物ではない起源に由来する ことが多く、「異種」と定義されると思われる(例えば、CHO細胞中で発現さ れるヒトcDNA)。ヒト宿主細胞を使用するころによって、ヒトタンパク質の 同種発現も実施できると思われる。「ヒト化」モノクローナル抗体の例に見られる ように、人工タンパク質の輸送、処理および分泌も、本発明を使用することによ って現行の技術より改良することができよう。 本発明を実施する際には、多量の望ましいタンパク質の発現が誘導されても、 誘導されなくてもよい。通常の市場状況では構成的な発現が一般に好ましいと思 われる。しかし、組換えタンパク質の合成とタンパク質が輸送され、処理され、 分泌される能力との間を最適化させるべく、組換えタンパク質または分泌装置の どちらかを調節された制御下におくことにより、このような最適化を促進する助 けとすることができる。 望ましいタンパク質が野生型真核生物宿主細胞に対して多量に得られたら、望 ましいタンパク質は、好ましくは、遺伝的に工作された宿主細胞の増殖培地から 、または宿主細胞からの抽出および精製によって直接精製される。分泌タンパク 質の場合には、増殖培地から単離するための周知の技術を使用することができる 。細胞内タンパク質または膜結合酵素の場合には、多数の生化学的精製が実施さ れている。 さらに、本発明を実施する際には、真核生物宿主細胞の遺伝物質に導入された 組換えDNA分子は真核生物宿主細胞のゲノムに組み込まれても、組み込まれな くてもよい。さしあたり、長期間にわたってタンパク質を安定して発現する細胞 系統を作製する能力、これはFDAの承認を得るために必要な必要条件であるが 、それは宿主細胞の染色体に組み込まれることによってのみ達成することができ る。エピソームによる(プラスミドに基づいた)トランスフェクションによりよ り多量に発現することができるが、現在の技術を使用すると、それは本質的に不 安定である。エピソームの発現が安定化できるような進歩が将来起こるかもしれ ない。このような場合には、組換えタンパク質の多量の産生は宿主細胞が大きい 分泌能を有することにより利益となると思われる。 本発明は、以下の実施例と図を参照することによって本明細書において例示さ れるが、それは例示的な意図であり、限定するものではない。 実施例1 構築物の作製とタンパク質の発現 酵母における粗面ER膜(図5に示すように)並びに分泌経路の他の要素(図 6および図7)を増殖させるために、イヌリボソーム受容体のN−末端部分(ア ミノ酸1〜826)を、CUP1遺伝子から誘導したプロモーターの下流のpY EX−BXベクター(アムラドバイオテック(Amrad Biotech)社 製)にクローニングした。リボソーム受容体はウァンカー(Wanker)ら、 Journal of Cell Biology、130巻、29〜39ペー ジ(1995)によって記載されており、その論文中では、180−kDのイヌ リボソーム受容体をコードするcDNAがクローニングされ、GenBank/EMB L/DDBJ寄託番号第X87224号から入手できる配列データを用いて配列 決定されたことが報告されている。報告されているLiAc/DMSO手法を使 用して、5×107個の細胞に5μgのDNAをトランスフェクションする。次 いで、増殖培地(SD)中に銅(Cu2SO4、0.5mM)を存在させることに よって、または添加することによって、遺伝子の発現を制御した。 本発明を実施する際に有用な構築物を作製する際には、種々の他のプロモータ ーを使用することもできる。例えば、CUP1遺伝子の代わりとしては、ADH がそうであり、そのプロモーターにより多量の遺伝子の発現を可能にすると思わ れ、好適な等価物となる。リボソーム結合(繰り返し−含有)ドメインと膜アン カーだけを含有するように構築物を操作することによって、同等の程度、または さらに大量の程度までも膜の増殖を誘導することもできる。別の方法として、繰 り返しがさらに少ない構築物または繰り返しがさらに多い構築物が膜の作製、従 って分泌活性を増大することが出来る。 実施例2 哺乳動物の細胞において本発明を実証するために、全長のリボゾーム受容体cD NA並びに受容体のN-末端部分(アミノ酸1〜826)を、構築遺伝子の発現がC MVプロモーターによって制御されるpcDNA3.1/Zeoベクター(インビトロゲン (Introgen,カリフォルニア州サンジエゴ)社製)にクローニングした。哺乳動 物細胞の一時的なトランスフェクション(1.6×106個の細胞に10gのD NAをトランスフェクション)をエレクトロポレーションによって実施してから 、10cmの培養皿でDMEM(+10%FBS)上で増殖させた。 CHO細胞は、宿主細胞ゲノムへの組込みを可能にするScaI線状化発現構 築物を用いてエレクトロポレーションによってトランスフェクションした。pc DNA3.1ベクターにクローニングされたタンパク質を安定して発現する細胞 系統は、増殖培地に抗生物質のゼオシン(250μg/ml)を添加することに よって選択した。小胞体(ER)補足物を増加することによってトランスフェク ションに対してうまく応答する他の動物細胞には、Hela(ヒト子宮頸癌)細 胞、COS−7(アフリカミドリサル腎臓)細胞および293(ヒト胎児腎臓) 細胞が含まれる。 構成的な発現構築物:標準的な技法により、ΔCTcDNA断片をpcDNA 3.1/Zeo(−)発現ベクターにライゲーションした。 誘導発現構築物:標準的な技法によって、ΔCTcDNA断片をpIND発現 ベクター(インビトロゲン(Invitrogen)社製)にライゲーションし た。得られた構築物において、エクジソン/糖質コルチコイド応答要素および最 小熱ショックプロモーターにより転写が開始された。 分泌タンパク質構築物:分泌型アルカリ性ホスファターゼ(pSEAP2−対 照)をコードする発現ベクターはクローンテック(Clonetech,カリフ ォルニア州パロアルト)社から入手した。リポフェクション技法を使用して、こ れらの構築物を適当な細胞種に導入した(フュージーン(Fugene)6、ベ ーリンガー、マンハイム(Boehringer,Mannheim)社製;リ ポフェクタミン プラス(Lipofectamine Plus)、ライフ テ クノロジーズ(Life Technologies、メリーランド州ゲイセル ズバーグ)社製)。 細胞培養条件:CHO/K1細胞は、10%FBSを添加したHam’s/F 12培地で増殖させた。CHO−Ecr(エクジソン受容体発現)細胞はCHO /K1と同じ方法で増殖させたが、250μg/mlまでの濃度のゼオシンを添 加した。トランスフェクションの48時間前に、集密度25%で細胞を平板培養 し、トランスフェクションの16時間前に新鮮な培地を添加し、CHO−Ecr の場合はゼオシンを除去した。 トランスフェクション:エレクトロポレーションによって、10μgの線状化 発現構築物をCHO/K1またはCHO−Ecr細胞(インビトロゲン(Inv itrogen))に導入した。細胞(1.6×106個)は最終容量400μl の培養培地中でトランスフェクションした。パルス後、10mlの培養培地を入 れた100mmの培養皿に細胞を移した。24時間の回復時間後、培地を変え、 300μgのゼオシン(非誘導構築物)または250μg/mlのゼオシンと5 00μg/mlのG418(誘導構築物)のどちらかを添加することによって選 択を適用した。次いで、細胞をさらに24時間増殖させてからクローン選択を実 施した。 クローン選択:高倍希釈を使用し、96−ウェルプレートに播種することによ って、または150mmプレート上の別個の細胞増殖巣を円筒クローニングする ことによってクローン選択を実施した。最初に、抗−p180抗体を使用した免 疫蛍光法によってp180−関連タンパク質の過剰発現について細胞をスクリー ニングした。最初のスクリーニング後に、さらに特徴づけるために陽性の結果を 示したクローンを増殖させた。 トランスフェクションおよび分泌経路のアップレギュレーションの評価を形態 学的および生化学的に実施した。これらの検討の結果を図10〜13に図示し、 本明細書において説明する。 野生型酵母細胞(図2)では、細胞質中、観察できる膜構造は全体的に欠損し ている。この電子顕微鏡写真を図3および5に示すものと比較すると、細胞質に おける劇的な変化があきらかである。粗面小胞体を思わせる、活発に分泌する組 織の特徴を示す、リボソームが点在する多量の膜が見えている。図4では、リボ ソーム結合ドメインは、発現されている受容体から削除されているが、図3にお けるように、多量の膜が依然として作製されている。しかし、膜に結合する濃く 染まった粒子(リボソーム)は見られない。図5では、酵母は、繰り返しドメイ ンおよび膜アンカーにほぼ等しいものをコードする構築物がトランスフェクショ ンされているが、粗面膜の増殖が最も強く、細胞質内に占められていない空間が あったとしてもわずかしか残っていない。 誘導され、図3および5にはっきりと見られる膜は粗面ERであると思われる 。これらの膜が真実のERであるという考えを支持するさらに別の証拠を図6に 示す。粗面膜を誘導する構築物の発現は粗面ERタンパク質をコードする遺伝子 の同時発現を誘導する。さらに、分泌経路に沿ったさらに別のマーカータンパク 質をコードする遺伝子の発現はΔCT構築物による膜誘導の場合に生じる。ΔC Tがこれらの遺伝子を選択的に誘導する能力の独自性は、酵母において滑面膜の 増殖を誘導するものもある(例えば、ΔNT)他の構築物が同様の変化を可能に する、比較的低い能力によって実証される。 図7は、それをコードする遺伝子が誘導細胞(図6)中で大量に発現されたよ うなタンパク質も合成され、適切な細胞小器官内に組み込まれているという事実 が、図7において実証されていることを示している。適当な抗体を使用した間接 的な免疫蛍光法は、内在するグアノシンジホスファターゼ(Gdal)タンパク 質を含有するトランスフェクション細胞において、内在タンパク質の1つ(Se c61p)がそろったERの外観のアップレギュレーション並びにゴルジ様構造 物の数の増加を示す。併せて考慮すると、図6および7に示すデータは、リボソ ーム受容体(の一部)の発現によって誘導される膜増殖中に、分泌経路の遺伝子 が発現され、細胞小器官に適切に組み込まれることを示す。 図8は、分泌型タンパク質であるウシ膵臓トリプシン阻害剤(BPTI)をコ ードする遺伝子を大量に発現する細胞は、ΔCTまたは全長のリボソーム受容体 をコードする遺伝子をトランスフェクションしないと、増殖することができない ことを実証する増殖アッセイである。BPTIは調節された様式でこれらの細胞 中で発現される;細胞をガラクトース含有培地で増殖するとき、GALプロモー ターを使用すると発現が可能になるが、グルコース上では可能にならない。 図9は、BPTI量を対照の酵母細胞またはΔCTを発現する細胞の培養培地 中で測定するアッセイである。BPTIは、図9の図の説明に記載されているよ うに、GAL制御下で発現された。BPTIの定量は本明細書の以下に記載する ように実施した。 分泌経路の明らかなアップレギュレーションと分泌能の増加との相関関係が、 本発明の方法を使用するにあたって極めて重要である。記載するように、誘導G ALプロモーターの制御下でウシ膵臓トリプシン阻害剤(BPTI)をコードす るベクターを細胞にトランスフェクションしたとき、野生型細胞中にBPTI産 生が誘導されると、増殖は停止した(ベクターのみ)(図8)。この阻止は過剰の BPTIで分泌経路を阻害する結果であったと思われる。膜の増殖(従って、分 泌経路)が、RBDを含有する構築物(全長のRRpおよびΔCT)の発現によ って誘導される細胞の場合には、阻害は解放される。ΔNTの発現の場合に生じ るように、膜の増殖だけでは、これらの細胞をBPTI阻害から解放することが できない。 分泌経路を富化した細胞からのBPTIの分泌によってBPTI阻害が緩和さ れることを図9に実証する。この場合、トリプシンによる基質のタンパク質分解 的切断を阻害するBPTIの能力に関する感受性アッセイは、ベクターだけの対 照と比較して、ΔCT−含有細胞ではBPTI分泌の400%の増加が生じたこ とを示した。BPTI量だけでなく、ΔCTも最適状態でなかったので、この値 は、分泌能をアップレギュレーションする細胞の能力の最小値であるかもしれな い。 酵母で観察されたことはほ乳動物細胞でも生じる可能性がある。トランスフェ クションしたアフリカミドリサル腎臓(COS−7)の細胞質の粗面膜の増殖は 、図10に示す電子顕微鏡写真において劇的に実証されている。パネルAは低倍 率の2つの細胞を示し、一方はトランスフェクションされ(上)、他方はトランス フェクションされていない(下)。トランスフェクションした細胞の高倍率像(パ ネルB)は、トランスフェクションされていない細胞(パネルC)と比較して、 広範囲の粗面ERの増殖を示す。この場合には、全長のリボソーム受容体を使用 したが、免疫蛍光法のデータは、ΔCT構築物を使用したとき、同様の膜増殖が 生じることを示す(データはここには示していない)。二重標識免疫蛍光法による 検討は、これらの細胞中でリボソーム受容体が発現することにより、その合成が ト ランスフェクションに応答して誘導されると思われる他の内在タンパク質を大量 に含有する粗面ER膜が増殖されることを明らかにしている(データはここには 示していない)。 多数の商業的用途は重要なタンパク質を分泌するためにチャイニーズハムスタ ー卵巣細胞(CHO)を使用しているので、本発明者らは、膜増殖のインデュー サーとしてΔCTをコードする構築物を安定にトランスフェクションした2種の CHO細胞系統を樹立した。第1の場合では、構成的なヒトサイトメガロウィル ス(CMV)プロモーターの制御下にΔCTをおくベクターを使用したが、第2 の構築物は、増殖培地中に昆虫ホルモンエクジソンまたはエクジソン類似物質を 含有させることによって刺激される誘導性ハイブリッドプロモーターの下流にΔ CTをおいた。 図11は、リボソーム受容体をコードするcDNAを安定にトランスフェクシ ョンしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞における免疫蛍光法による リボソーム受容体の検出を示す。トランスフェクションした細胞における広範な 膜増殖に注目すること。左のパネル:リボソーム受容体をコードするcDNAを トランスフェクションした細胞。右のパネル:ベクターだけをトランスフェクシ ョンした細胞。 図12は、リボソーム受容体の誘導による発現を可能にするcDNA構築物を 安定にトランスフェクションしたチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞に おける免疫蛍光法によるリボソーム受容体の検出を示す。左のパネル:リボソー ム受容体を発現するように誘導されなかった細胞。右のパネル:インデューサー の存在下で24時間増殖した細胞。 図13は、図12に記載する細胞が、酵素であるアルカリ性ホスファターゼの 分泌型をコードするプラスミドで一過的にトランスフェクションされた、分泌型 アルカリ性ホスファターゼについてのアッセイの結果を示す。誘導後24時間経 過時の培養培地に出現する酵素の量を、対照細胞およびリボソーム受容体の発現 が誘導された細胞について比色分析により測定した。 図11および図12は、ΔCTを発現する細胞における小胞体の増殖を示す。 CMVプロモーターによって駆動されるΔCTの構成的発現によって膜の増殖が 駆動される細胞の場合には、ベクターのみの対照細胞と比較して、豊富な粗面E R染色パターンが観察される(図11)。誘導性プロモーターの制御下でΔCTを 安定にトランスフェクションした細胞の場合には、同様の像が得られた。本発明 の例では、未誘導の対照細胞と比較して、インデューサーの存在下での24時間 の増殖後に、粗面ERの顕著なアップレギユレーションが観察された(図12)。 酵母の場合と同様に、本発明者らは、本発明の方法で操作した哺乳動物細胞は 、組換えタンパク質を分泌する能力が増加したことを実証した。従って、酵素ア ルカリ性ホスファターゼの分泌型は、構成的SV−40プロモーターの制御下に おいて、上記の誘導性CHO細胞系統にトランスフェクションされた。図13に 要約する実験は、ΔCTをコードする遺伝子の誘導の結果、細胞の分泌が2〜3 倍増加したことを示す。これは分泌の増加の最小の値であり、アルカリ性ホスフ ァターゼの量とΔCT発現の量を最適化したとき、より大きい値が得られると考 えられる。 本発明は好ましい具体的な実施態様に関連して上記に説明されているが、説明 、実施例および図は例示的な意図のものであり、本発明の範囲を限定するもので はなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲によって規定されることが理解される べきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR, NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,KE,L S,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM,AZ ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL ,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR, BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,DK,E E,ES,FI,GB,GE,GH,GM,GW,HU ,ID,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR, KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,M D,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,PL ,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK, SL,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,US,U Z,VN,YU,ZW (72)発明者 ベッカー、フランク アメリカ合衆国 90024 カリフォルニア 州 ロサンゼルス イーストボーン アベ ニュー 10651 ナンバー 208

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.真核生物宿主細胞において所望のタンパク質の細胞内輸送または分泌を増 加するための方法であって、 遺伝的に改変された真核生物宿主細胞において前記望ましいタンパク質を コードする遺伝子を発現するステップであって、その遺伝的改変が野生型真核生 物宿主細胞に対して多量のリボソーム受容体またはその断片を発現させるのに有 効であるステップを含み、望ましいタンパク質の細胞内輸送または分泌が野生型 真核生物宿主細胞に対して増加させられる方法。 2.望ましいタンパク質が膜結合タンパク質である請求項1に記載の方法。 3.望ましいタンパク質が分泌タンパク質である請求項1に記載の方法。 4.遺伝的に改変された真核生物宿主細胞が真菌細胞、植物細胞、原性動物細 胞、無脊椎動物細胞または脊椎動物細胞に由来する請求項1に記載の方法。 5.遺伝的に改変された真核生物宿主細胞がほ乳類動物細胞に由来する請求項 1に記載の方法。 6.遺伝的に改変された真核生物宿主細胞がヒト細胞に由来する請求項5に記 載の方法。 7.遺伝的に改変された真核生物宿主細胞が培養CHO細胞に由来する請求項 1に記載の方法。 8.望ましいタンパク質が組換えタンパク質である請求項1に記載の方法。 9.遺伝的改変がリボソーム受容体の少なくとも一部をコードするDNA分子 を野生型宿主細胞に安定にトランスフェクションするステップを含む請求項1に 記載の方法。 10.多量の所望のタンパク質の発現が誘導される請求項9に記載の方法。 11.DNA分子が複数のリボソーム受容体繰り返し単位をコードするものを 含む請求項9に記載の方法。 12.組換えタンパク質の産生を増大するための方法であって、 リボソーム受容体の少なくとも一部をコードする遺伝子配列を有する組 換えDNA分子を単離するステップと、 組換えDNA分子を真核生物宿主細胞の遺伝物質に導入して、遺伝的に 改変された細胞を作製するステップであって、その遺伝的に改変された細胞はコ ード配列が発現されると、多量の組換えタンパク質を分泌することができるよう になるステップと を含む方法。 13.組換えタンパク質を分泌する細胞培養条件下において遺伝的に改変され た細胞を維持するステップをさらに含む請求項12に記載の方法。 14.遺伝的に改変された細胞から分泌された組換えタンパク質を精製するス テップをさらに含む請求項13に記載の方法。 15.真核生物宿主細胞がほ乳類性である請求項12に記載の方法。 16.導入ステップに真核生物宿主細胞を安定にトランスフェクションするス テップが含まれる請求項12に記載の方法。 17.組換えDNA分子が真核生物宿主細胞のゲノムに導入される請求項12 に記載の方法。
JP50742799A 1997-07-03 1998-07-02 真核生物宿主細胞においてタンパク質の分泌を増加するための方法 Withdrawn JP2002507894A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US5172197P 1997-07-03 1997-07-03
US60/051,721 1997-07-03
PCT/US1998/013870 WO1999001565A1 (en) 1997-07-03 1998-07-02 Method for increasing secretion of proteins in eukaryotic host cells

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002507894A true JP2002507894A (ja) 2002-03-12
JP2002507894A5 JP2002507894A5 (ja) 2005-12-08

Family

ID=21972974

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP50742799A Withdrawn JP2002507894A (ja) 1997-07-03 1998-07-02 真核生物宿主細胞においてタンパク質の分泌を増加するための方法

Country Status (5)

Country Link
EP (1) EP0991774A4 (ja)
JP (1) JP2002507894A (ja)
AU (1) AU744484B2 (ja)
CA (1) CA2295310A1 (ja)
WO (1) WO1999001565A1 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5131666B2 (ja) * 2006-05-16 2013-01-30 独立行政法人産業技術総合研究所 タンパク質の高分泌生産方法
WO2014157429A1 (ja) * 2013-03-26 2014-10-02 株式会社 ニッピ タンパク質の製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU2001236027A1 (en) * 2000-03-01 2001-09-12 Nippi, Incorporated Substrate for detecting herpes virus protease and process for producing the same

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5131666B2 (ja) * 2006-05-16 2013-01-30 独立行政法人産業技術総合研究所 タンパク質の高分泌生産方法
WO2014157429A1 (ja) * 2013-03-26 2014-10-02 株式会社 ニッピ タンパク質の製造方法
JP5848853B2 (ja) * 2013-03-26 2016-01-27 株式会社ニッピ タンパク質の製造方法
KR101791770B1 (ko) 2013-03-26 2017-10-31 가부시키가이샤 닛피 단백질의 제조 방법
US9884897B2 (en) 2013-03-26 2018-02-06 Nippi, Incorporated Method for producing protein
US10442843B2 (en) 2013-03-26 2019-10-15 Nippi, Incorporated Method for producing protein

Also Published As

Publication number Publication date
CA2295310A1 (en) 1999-01-14
AU744484B2 (en) 2002-02-28
AU8287398A (en) 1999-01-25
WO1999001565A1 (en) 1999-01-14
EP0991774A4 (en) 2005-04-06
WO1999001565A9 (en) 1999-04-22
EP0991774A1 (en) 2000-04-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6210924B1 (en) Overexpressing cyclin D 1 in a eukaryotic cell line
EP0433900B1 (en) Expression of the recombinant tumor necrosis factor binding protein I (TBP-I)
JP5432117B2 (ja) 宿主細胞中の組換えタンパク質の発現を増進するための組換え発現ベクター要素(rEVE)
EP1243650A2 (en) Process for constructing a cdna library, and a polypeptide and dna coding for the same
CA2529369C (en) Use of molecular chaperones for the enhanced production of secreted, recombinant proteins in mammalian cells
JP2003510087A (ja) アポトーシス阻害剤を用いた組換えタンパク質の作成方法
AU2016201429B2 (en) Methods for improving viability and productivity in cell culture
JP2002531103A (ja) 組換え細胞の作成法
US6207442B1 (en) Plasmid construction by homologous recombination
JP2002507894A (ja) 真核生物宿主細胞においてタンパク質の分泌を増加するための方法
EP1144611B1 (en) Method for recombinant protein production in mammalian cells comprising co-expression with fetuin
EP1670923B1 (en) Method for mass production of human follicle stimulating hormone
US5731425A (en) Polypeptide surface marker for cells
Syed et al. Up‐regulation and down‐regulation of genes expressed in cocultures of rat Sertoli cells and germ cells
RU2502798C2 (ru) КЛЕТОЧНАЯ ЛИНИЯ huFSHIK, СЕКРЕТИРУЮЩАЯ РЕКОМБИНАНТНЫЙ ЧЕЛОВЕЧЕСКИЙ ФСГ
JP2004538002A (ja) 停止コドン抑制による組み換え遺伝子発現の新規方法
AU2002331365A1 (en) Novel recombinant gene expression method by stop codon suppression
WO2010092335A1 (en) Method for producing protein
Ohno et al. A novel Vero cell line for use as a mammalian host-vector system in serum-free medium
US20030199092A1 (en) Methods for increasing mRNA half-life in eukaryotic cells
JP2001037482A (ja) ヒト蛋白質とcDNA[1]

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050516

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050516

A761 Written withdrawal of application

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761

Effective date: 20070521