JP2002507241A - アニオン重合におけるカップリング剤としての脂肪族ポリアルコールグリシジルエーテル - Google Patents
アニオン重合におけるカップリング剤としての脂肪族ポリアルコールグリシジルエーテルInfo
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Abstract
(57)【要約】
下記カップリング剤として脂肪族ポリアルコールのグリシジルエーテルを使用することを特徴とする、陰イオン重合開始剤及び陰イオン重合し得る単量体から形成されるリビングポリマーをカップリングすることにより重合体を製造する方法。
Description
【発明の詳細な説明】
アニオン重合におけるカップリング剤としての
脂肪族ポリアルコールグリシジルエーテル
本発明は、陰イオン重合開始剤及び陰イオン重合し得る単量体から形成される
リビングポリマーブロックをカップリングすることにより重合体を製造する方法
に関する。
アニオン重合は、成長相において、リビングポリマーをもたらす(1996年
、ニューヨークのマルセル、デッカー刊、H.スィー及びR.クイルクの「アニ
オン、ポリメライゼーション」)。
このようなリビングポリマーをカップリング剤で結合して、高分子量重合体、
ブロック共重合体、スターポリマーを形成することは公知である。このカップリ
ング剤としては、多くの多官能性化合物、例えば多官能性のシリコンハロゲン化
物、錫ハロゲン化物、アルキルハロゲン化物、アルデヒド、カルボン酸エステル
、ジエポキシドが提案されている。
しかしながら、これら化合物からのプロティック汚染物の除去は必ずしも完全
には行われ得ず、このためにカップリング効率が低くなる。低いカップリング効
率は、ことに極性溶媒が存在する場合に認め得る。またテレフタルアルデヒド、
安息香酸エステルのような芳香族化合物は、重合体に黄変をもたらす。更に、ハ
ロゲン化化合物の場合、技術的に困難な精製が行われない限り、重合体中にハロ
ゲン化物残渣をもたらす。
オレフィン性二重結合のエポキシド化により得られる若干のジエポキシドは、
その発癌性が疑われており、使用の間の充分な安全対策が必要である。EP−A
643094号及びJP−A3285978号両公報には、ビスフェノールA、
ビスフェノールFのようなフェノールジグリシジルエーテルのカップリング剤と
しての用途が記載されている。しかしながら、このようなジグリシジルエーテル
は、一般的に高度のオリゴマー及びα−グリコールを含有しており、これらは、
その低い揮発性及び比較的高い温度におけるオリゴマー形成性向の故に精製が困
難である。
又、カルボン酸エステルは、非極性溶媒中においては良好な結合効果を示すが
、テトラヒドロフランのような極性溶媒の存在下においてはその結合効果は不満
足なものである。しかるに、このような極性溶媒は、ミクロ構造、共重合条件、
又は重合速度を制御するために、しばしばアニオン重合において添加使用され、
従って、結合反応の間において反応混合物中に存在する。
この理由から、DE−A2325365号公報においては、α−炭素原子に結
合された水素原子を持たないカルボン酸エステルの使用が提案されている。しか
しながら、提案されている芳香族カルボン酸エステルは、前述した黄変をもたら
す。
従って、本発明の目的とするところは、上述した欠点をもたらさず、ことに極
性溶媒の存在下に、陰イオンリビングポリマーをカップリングする方法を提供す
ることである。更に、これに使用されるカップリング剤はポリマーの特性を劣化
させるものであってはならない。
しかるに、この目的は、カップリング剤として、脂肪族ポリアルコールのグリ
シジルエーテルを使用し、陰イオン重合開始剤及び陰イオン重合可能の単量体か
ら形成されるリビングポリマーブロックをカップリングすることによりポリマー
を製造する方法によって達成されることが本発明者らにより見出された。
本発明は、原則的に、陰イオン重合可能な単量体のいずれにも適用され得るが
、ビニル芳香族単量体及びジエンに有利に適用され得る。
好ましいビニル芳香族単量体は、スチレン、及びα−位又は芳香族環において
1から4個の炭素原子により置換されているその誘導体、例えばα−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、tert−ブチルスチレン及びビ
ニルトルエンであり、更に1,1−ジフェニルエチレンも好ましい。
適当なジエンは、原則的に共役二重結合を有する全てのジエン、例えば1,3
−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチルブタジエン、1,3−ペンタジエ
ン、1,3−ヘキサジエン、フェニルブタジエン、ピペリジン及びこれらの混合
物である。ブタジエン及びイソプレンが、ことに好ましい。
陰イオン重合は、有機金属化合物により開始され、本発明方法において使用さ
れ得る開始剤は、慣用のアルカリ金属アルキル又はアリールである。有機リチウ
ム化合物、例えばエチル−、プロピル−、イソプロピル−、n−ブチル、sec
−ブチル−、tert−ブチル−、フェニル−、ヘキシルフェニル−、ヘキサメ
チレンジ−、ブタジエニル−、イソプレニル−、ポリスチリル−リチウム又は1
,1−ジフェニルエチレンと、n−もしくはsec−ブチルリチウムとを反応さ
せて容易に得られる1,1−ジフェニルヘキシルリチウムを使用するのが有利で
ある。開始剤の必要量は、未結合ポリマーブロックの所望分子量によって相違す
るが、通常、重合されるべき単量体の量に付して0.002から5モル%の範囲
である。
適当な溶媒は、有機金属開始剤と反応しない。炭素原子数4から12の、脂肪
族、脂環式又は芳香族炭化水素、例えばシクロペンタン、シクロヘキサン、メチ
ルシクロヘキサン、デカリン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン
のようなアルキルベンゼン及びこれらの適当な混合物である。
使用され得るランダム化剤は、極性非プロトン溶媒又は炭化水素に可溶性の金
属塩のようなルイス塩基、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチレ
ングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テト
ラヒドロフラン、テトラヒドロフルフリルエーテル、例えばテトラヒドロフルフ
リルメチルエーテル、又は3級アミン、例えばピリジン、トリメチルアミン、ト
リエチルアミン、トリブチルアミン、又はテトラメチルエチレンジアミンのよう
なペルアルキル化バイアミンもしくはオリゴアミンである。これらは、通常、溶
媒に対して0.1から5容量%の割合で使用される。炭化水素に可溶性の金属塩
として好ましいのは、1級、2級、ことに3級アルコールのアルカリ金属もしく
はアルカリ土類金属塩、ことにカリウム塩、例えばカリウムのトリエチルカルビ
ノール塩、テトラヒドロリナロール塩である。開始剤に対する金属塩のモル割合
は、一般的に1:200から1:5、ことに1:100から1:20である。
リビングポリマーブロックは、上述の単量体及び開始剤を使用する慣用の陰イ
オン重合法により形成される。上述した単量体の単独重合体ブロックも、又共重
合体ブロックも形成可能である。共重合体のブロックは、ランダムブロックもし
くはテーパーブロックである。単一もしくは複数の、同じ又は異なる単独重合体
又は共重合体のブロックを有するリビングブロック共重合体も、連続する陰イオ
ン重合により形成され得る。
ビニル芳香族単量体ブロックAと、次のジエンブロックBとの連続的陰イオン
重合により形成されたリビングポリマーブロックを使用するのが好ましい。これ
らブロックは、カップリング剤で結合され、対称的三ブロック共重合体又は熱可
塑性エラストマーの特性を有するスターポリマーをもたらし得る。
ブロックAは、一般的に1000から500000、好ましくは3000から
100000、ことに4000から30000の分子量Mwを持っているのが好
ましい。
ブロックBの分子量Mwは、一般的に10000から500000、ことに2
0000から350000、なかんずく20000から200000であるのが
好ましい。ブロックBのガラス転移温度は一般的に−30℃より低く、−50℃
より低い。
本発明によれば、リビングポリマーの複数ブロックは、脂肪族ポリアルコール
のグリシジルエーテルの添加により結合される。短鎖脂肪族アルコール、ことに
C2−C13アルコールの低粘度グリシジルエーテルを使用するのが好ましい。こ
れらは、エポキシ樹脂の反応性希釈剤としても使用され、遊離OHもしくはNH
基を持たない。具体的には、エチレングリコールグリシジルエーテル、ジエチレ
ングリコールグリシジルエーテル、ノナエチレングリコールグリシジルエーテル
、1,2−プロピレングリコールグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール
グリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールグリシジルエーテル、1,6−ヘ
キサンジオールグリシジルエーテル、1,2−ビス(グリシドオキシメチル)シ
クロヘキサン、ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)メタン、グリセロ
ールトリグリシジルエーテル、1,1,1−トリメチロールプロパントリグリシ
ジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、ビスジグリセ
ロールテトラグリシジルエーテル、トリスジグリセロールペンタグリシジルエテ
ルが挙げられる。ことに好ましいカップリング剤は、1,3−ブタンジオールジ
グリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル及びトリメチ
ロールプロパントリグリシジルエーテルである。
使用されるグリシジルエーテルは、一般的に少なくとも95%の、好ましくは
少なくとも97%の、ことに少なくとも99%の純度を有する。商業的に入手可
能の工業的品質の脂肪族ポリアルコールジグルシジルエーテルは、例えば高真空
下における分別蒸留により精製され得る。この精製は、グリシジルエーテルを薄
層エバポレータにおいて穏和に蒸発させ、この蒸気を充填塔中において、1ミリ
バール未満、ことに0.1ミリバール未満の減圧下で蒸留することにより行うの
が好ましい。
使用されるカップリング剤の量は、使用されるリビングポリマーの量(これは
一般的に使用される開始剤の量に対応する)によって決定されるが、通常、化学
量論的量又は僅かに、例えば10から50モル%の過剰量で使用される。
カップリング剤の添加は、30から70℃の温度で行われるのが好ましい。極
めて高い結合効果をもたらすために、カップリング剤は、リビングポリマーの溶
液に徐々に添加される。本発明方法の好ましい実施態様においては、使用される
陰イオン重合開始剤に対して、化学量論的量よりも少ない、例えばその70から
90%の量のカップリング剤を、第一工程において、リビングポリマーに添加す
る。カップリング剤の化学量論的量と任意の過剰量との間の差は、反応が生起し
た後に添加される。
リビングポリマーブロックの結合により製造されるポリマーが、ジエンブロッ
クをも含有している場合、ジエンブロックBは、カップリング反応後に、完全に
又は部分的に水素添加される。従って、ポリイソプレンブロックの水素添加は、
エチレン/プロピレンブロックを、又ポリブタジエンブロックの水素添加は、ポ
リエチレン又はポリエチレン/ブチレンブロックを水素添加されなかったブタジ
エンブロックの1,2−ビニル分割合に応じて、それぞれ形成する。この水素添
加により、熱的に更に安定な、ことにさらに対硬化性であり、耐候性を示すブロ
ック共重合体をもたらす。
後処理は、ポリマー技術において慣用の方法、例えば押出機中における脱気、
アルコールのような極性溶媒による析出、沈殿、又は水中における分散及び溶媒
の除去により行われる。
本発明方法は、ことに極性化合物、例えばテトラヒドロフランの存在下におい
て、極めて高い結合効率をもたらす。従って、これは、対称的三ブロック共重合
体及び熱可塑性エラストマーとして使用されるスターポリマーの製造にことに適
する。
本発明方法により製造されたポリマーは、そのままで、又は更に他のポリマー
と、添加剤、処理助剤との混合物の形態で、慣用の量で処理され、成形用材料組
成物を調製し得る。添加剤の例としては、繊維状もしくは粉末状の充填剤、補強
剤、安定剤、難燃化剤、顔料、染料、処理助剤としては滑剤、離型剤、ホワイト
オイルなどが挙げられる。
実施例
(1,1−ジフェニルエチレン(DPE)の精製)
商業的に入手可能のDPEを、少なくとも50の理論棚段(比較的大量用のス
ピニング、バンドカラム、ズルツァーパッキング充填)を有するカラムで、99
.8%の純度まで蒸留、精製した。通常、帯黄色の蒸留物を、20cmアルミナ
カラム(Woelm、クロマトグラフィー、グレード、無水)で濾過し、1,5
Nsec−ブチルリチウムで深赤色を呈するまで滴定し、真空蒸留(1ミリバー
ル)に附した。生成物は完全に無色で、そのまま陰イオン重合に使用し得た。
(単量体及び溶媒の精製)
シクロヘキサン溶媒を無水酸化アルミニウムで乾燥し、黄色を呈するまで、s
ec−ブチルリチウムと、1,1−ジフェニルエチレンの付加物で滴定した。1
,1−ジフェニルエチレンを蒸留によりsec−ブチルリチウム(s−BuLi
)から分離し、s−BuLiの0.5モルシクロヘキサン溶液を開始剤として使
用した。スチレン(s)とブタジエンを、使用直前に、−10℃において酸化ア
ルミニウム上で乾燥した。
(1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルの精製)
工業的グレードの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(Grilo
nit(登録商標)RV1806)475gを、21の二頸ガラスフラスコ、ラ
シッヒリングを充填した60cmカラム及びNORMAG8011蒸留ヘッドを
有する蒸留装置において、0.1ミリバール未満の圧力下で分別蒸留に附した。
以下の各実施例は、特に表示(下表1参照)しない限り、84から87℃の蒸留
ヘッド温度で蒸留された混合留分を使用して行われた。
下記実施例の分子量は、ポリマー、ラボラトリーズから得たポリスチレン標準
を使用し、屈折計法による、THFにおけるゲル透過グロマトグラフィーで測定
された。
結合効率は、カップリング剤処理の効率を測定するため、結合された生成物の
、結合生成物と非結合ポリマーとの合計量に対する割合の形態におけるGPC(
ゲル、パーメエイションクロマトグラフィー)分布から算出された。
二重結合分割合は、ウィス法(沃素還元滴定法)による滴定で算出した。
又、機械特性は、DIN53455による引張試験における標準バーに対する
温度の関数として測定された。
実施例1
インジケータとしての1mlの1,1−ジフェニルエテンを含有するシクロヘ
キサン5439mlを、60℃において黄色を呈するまで滴定し、16.7ml
(25ミリモル)のs−ブチルリチウム(シクロヘキサン中の1.5モル溶液)
と、14.7mlのテトラヒドロフランをこれに添加した。更に、750g(1
3.86モル)の1,3−ブタジエンを一度に添加した。この反応溶液を、反応
器内圧力12バール、温度45から50℃に、反応が停止するまで維持した。反
応後時間20分を経過した後、圧力を徐々に0.3バールまで低下させ、1.9
3ml(10ミリモル)の1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(98
.5%)を、50℃において滴下、添加した。この添加終了から5分後、新たに
1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル0.48ml(2.5ミリモル)
を添加した。カップリング剤処理前の分子量Mwは、28620g/モル、その
後は55450g/モルであって、カップリング効率は93.4%であった。
対比例V1−V6
下表2の公知結合剤を50℃で化学量論的量で添加した他は、実施例1と同様
の処理を反覆した。下表2は更に、上記各実験例のカップリング効率を対比して
示す。なお、各カップリング剤は、使用前にプロティック汚染物を除去したもの
であって、98%以上の純度を示した。
表2
溶媒に対して0.27容量%のテトラヒドロフランの存在下における各種
カップリング剤のカップリング効率
実施例2
1.5kgのシクロヘキサン、1.67kgの1,1−ジフェニルエチレン及
び300mlの、n−ヘキサン中、s−ブチルリチウムの1モル溶液を、501
容積の反応器中に装填し、50℃で14時間撹拌した。次いで、1.2kgのス
チレンを1kg/hの割合で添加し、温度を50℃に維持した。スチレン添加が
完了してから30分後に、反応混合物を19.5kgのシクロヘキサンで希釈し
、温度を40℃まで低下させた。生成するS/DPE共重合体ブロックは、37
54g/モルのMn、4445g/モルのMw、4676g/モルのMp、1.
18のMw/Mn、及び152℃ガラス転移温度を示した。滴定処理されたテト
ラヒドロフラン70mlを、このポリマー溶液に添加した。まず2.04kgの
ブタジエンを8kg/h、次いで4.08kgのブタジエンを3kg/hの割合
で計量、給送した。40℃で更に20分経過した後、35mlの1,4−ブタン
ジオールジグリシジルエーテルを添加した。生成ブロック共重合体は58180
g/モルの分子量を示し、カップリング率は88%であった。又粘度数(トルエ
ン中0.5%)は55であった。ウィス法により測定された二重結合分は52.
4%、1,2−ビニル分は43.2%であった。
実施例3
1.5kgのシクロヘキサン、1.12kgの1,1−ジフェニルエチレン及
び57.1mlの、n−ヘキサン中、s−ブチルリチウムの1モル溶液を、50
l容積の反応器に装填し、50℃で2時間撹拌した。次いで、0.8kgのスチ
レンを1kg/hの割合で給送し、温度を50℃に維持した。スチレン添加完了
後30分経過してから、反応混合物を22.5kgのシクロヘキセンで希釈し、
温度を40℃に低下させた。生成S/DPE共重合体ブロックは、9450g/
モルの分子量及び10420g/モルの分子量Mn、10220g/モルのMp
、1.10のMw/Mnを示した。70mlの滴定されたテトラヒドロフランを
ポリマー溶液に添加し、次いでブタジエン1.36kgを8kg/hで、更にブ
タジエン2.72kgを3kg/hでそれぞれ計量給送した。50℃で更に20
分後、8.3mlの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを添加した。
生成ブロック共重合体は、213500g/モルの分子量Mwを示し、カップリ
ング効率は85%であった。又、粘度数(トルエン中0.5%)は55、ウィス
法による二重結合分は59.7%、1,2−ビニル分は42.6%であった。
実施例4
2kgのシクロヘキサン、70mlのテトラヒドロフラン、1.92kgのス
チレン及び5mlの1,1−ジフェニルエチレンを40℃で50l容積の反応器
に装填し、n−ヘキサン中、s−ブチルリチウムの1モル溶液で黄色を呈するま
で滴定した。その直後に、n−ヘキサン中、s−ブチルリチウムの1モル溶液3
6mlを添加し、この反応混合物を70℃で2時間撹拌した。生成ポリスチレン
ブロックは29000g/モルの分子量Mwを示した。次いで4.08kgのブ
タジエンをまず3kg/hの割合で計量給送し、50℃で更に20分経過してか
ら、7.2gの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテルを添加した。生成
ブロック共重合体は270000の分子量Mw(ポリスチレン標準と対比して)
、93%のカップリング効率を示した。分子量Mwは、光散乱で測定して182
000であった。二重結合分(合併されなかったブタジエン分)は、ウィス法で
67.8%、1,2−ビニル分はブタジエン全量に対して41.3%であった。
実施例5
24kgのシクロヘキサン、70mlのテトラヒドロフラン、1.74kgの
スチレン及び5mlのジフェニルエチレンを、40℃で50ml容積の反応器中
において、n−ヘキサン中、s−ブチルリチウムの1モル溶液で、黄色を呈する
まで滴定し、その後直ちに、n−ヘキサン中、s−ブチルリチウムの1モル溶液
220mlを添加し、反応混合物を70℃で2時間撹拌した。これにより得られ
るスチレンブロックは、8100g/モルの分子量Mwを示した。次いで4.2
6kgのブタジエンを50℃において3kg/hの割合で計量給送し、50℃で
更に20分経過後、22.2gの1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル
(98.5%)を添加した。生成ブロック共重合体は、77000(ポリスチレ
ン標準と比較して)分子量を示した。カップリング効率は95%であった。二重
結合分(合併ブタジエン分)は、ウィス法により70.8%、1,2−ビニル分
は全ブタジエン量に対して40.5%であった。
実施例6
カップリング処理のために使用された1,4−ブタンジオールジグリシジルエ
ーテルが99.5%の純度を有する(留分9)他は、実施例5の処理が反覆され
た。カップリング効率は97%であった。
(水素添加三元ブロック共重合体の製造)
実施例7
トルエン中、ニッケルアセチルアセトナートの室温における飽和溶液(約10
g/l)1125mlを、丸底フラスコ中において、窒素雰囲気下に撹拌しなが
ら、ヘキサン中、トリイソブチルアルミニウムの20重量%濃度溶液192.5
mlに添加した。僅かに発熱性の反応の間に、イソブタノールは蒸発し、温度は
50℃まで上昇した。
実施例2のポリマー溶液を、50l内容積の撹拌反応容器中において60℃ま
で加熱し、新たに調製された触媒懸濁液を添加した。次いで、水素を使用し、1
20℃、18バールで水素添加を行った。25時間後には、残存二重結合分は2
2.6%であった。更に17.5時間後に、溶液を60℃まで冷却したが、この
時点で二重結合は18.5%であった。
次いで、反応溶液を、3.61の水、360mlの30%濃度過酸化水素溶液
及び200mlの98%濃度酢酸から成る混合物300mlを使用して、60℃
で酸化処理に附し、この残渣を水で洗浄し、乾燥した。
この水素添加S/DPE−Bu−S/DPEブロック共重合体を、Irgan
ox(登録商標)3052及びKerobit(登録商標)TBKの両者を併せ
て0.1重量%を添加することにより安定させた。
この粘度数(トルエン中0.5%)は51ml/gであった。又、その機械特
性は、23℃で、小さい標準バー(金属板から打ち抜き)で測定され、引張り強
さは25MPa、極限伸びは1014%、ショア硬さAは69であった。
実施例8
実施例3のポリマー溶液を実施例7と同様にして水素添加した。二重結合分は
2.6%、ショア硬さAは54.7であった。
実施例9
実施例4のポリマー溶液を、実施例7と同様にして水素添加し、酸化し、洗浄
、乾燥した。ウィス法による残存二重結合分は2.2%、ショア硬さAは75で
あった。
実施例10
実施例5のポリマー溶液を、実施例7と同様にして水素添加し、酸化し、洗浄
、乾燥した。ウィス法による残存二重結合分は1.4%、35MPaの降伏点に
おける極限伸びは550%、ショア硬さAは74であった。
【手続補正書】特許法第184条の8第1項
【提出日】平成11年7月6日(1999.7.6)
【補正内容】
請求の範囲
1.下記カップリング剤として、少なくとも95%の純度を有する脂肪族ポリ
アルコールのグリシジルエーテルを使用することを特徴とする、陰イオン重合開
始剤及び陰イオン重合し得る単量体から形成されるリビングポリマーブロックを
カップリングすることにより重合体を製造する方法。
2.使用されるグリシジルエーテルが、エチレングリコールジグリシジルエー
テル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル又はトリメチロールプロパ
ントリグリシジルエーテルであることを特徴とする、請求項1の重合体製造方法
。
3.カップリング剤が少なくとも2段階で添加され、第1段階において、陰イ
オン重合開始剤に対して化学量論的量より少ない量でカップリング剤を添加し、
反応を行わせることを特徴とする、請求項1又は2の重合体製造方法。
4.使用される陰イオン重合開始剤が有機リチウム化合物であることを特徴と
する、請求項1から3のいずれかの重合体製造方法。
5.使用される陰イオン重合可能な単量体が、ビニル芳香族単量体及びジエン
であることを特徴とする、請求項1から4のいずれかの重合体製造方法。
6.使用されるリビングポリマーブロックが、ビニル芳香族単量体とジエンの
リチウム末端二ブロック共重合体であることを特徴とする、請求項1から5のい
ずれかのブロック共重合体を製造する方法。
7.請求項1から6のいずれかの方法により製造され得る重合体。
8.請求項7の重合体の、熱可塑性成形材料組成物としての用途。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY,
DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I
T,LU,MC,NL,PT,SE),EA(AM,AZ
,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),AL
,AU,BG,BR,BY,CA,CN,CZ,GE,
HU,ID,IL,JP,KR,KZ,LT,LV,M
X,NO,NZ,PL,RO,RU,SG,SI,SK
,TR,UA,US
(72)発明者 フィッシャー,ヴォルフガング
ドイツ国、D―69190、ヴァルドルフ、ハ
イドンシュトラーセ、17
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.下記カップリング剤として、脂肪族ポリアルコールのグリシジルエーテル を使用することを特徴とする、陰イオン重合開始剤及び陰イオン重合し得る単量 体から形成されるリビングポリマーブロックをカップリングすることにより重合 体を製造する方法。 2.使用されるグリシジルエーテルが、エチレングリコールジグリシジルエー テル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル又はトリメチロールプロパ ントリグリシジルエーテルであることを特徴とする、請求項1の重合体製造方法 。 3.使用されるカップリング剤が95%より大きい純度を有することを特徴と する、請求項1又は2の重合体製造方法。 4.カップリング剤が少なくとも2段階で添加され、第1段階において、陰イ オン重合開始剤に対して化学量論的量より少ない量でカップリング剤を添加し、 反応を行わせることを特徴とする、請求項1から3のいずれかの重合体製造方法 。 5.使用される陰イオン重合開始剤が有機リチウム化合物であることを特徴と する、請求項1から4のいずれかの重合体製造方法。 6.使用される陰イオン重合可能な単量体が、ビニル芳香族単量体及びジエン であることを特徴とする、請求項1から5のいずれかの重合体製造方法。 7.使用されるリビングポリマーブロックが、ビニル芳香族単量体とジエンの リチウム末端二ブロック共重合体であることを特徴とする、請求項1から5のい ずれかのブロック共重合体を製造する方法。 8.請求項1から8のいずれかの方法により製造され得る重合体。 9.請求項8の重合体の、熱可塑性成形材料組成物としての用途。
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