JP2002503675A - 生物試料からPrPresを精製する方法とその応用 - Google Patents
生物試料からPrPresを精製する方法とその応用Info
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Abstract
Description
使用するために、その試料からPrPresを精製する新規な方法に関する。
hies:TSSE)は、その詳細な性質が今日なお未解明のままである非通常伝播
性エージェント( non-conventional transmissible agents :NCTA) −所謂
プリオン−によって惹き起こされる。TSSEには、主として、ヒトにおけるク
ロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、ヒツジやヤギにおけるスクレーピ、ウシ
におけるウシ海綿状脳症(BSE)が含まれ、他の脳症が、ミンクや、アカシカ
、エラジカ等の一定の種類の野生動物において確認されている。 これらの疾病の結果は常に死であり、現在、有効な治療法はない。
パク質:PrP( Prion protein:プリオンタンパク質)の異常な形態(PrP
res)における蓄積が見られる。PrPresは精製によっても感染性を失う
ことはなく、その蓄積は、組織学的な病変に先行して現れる。インビトロにおい
て、PrPresは神経細胞カルチャーに対して毒性を示す。
る。PrPresは、プロテアーゼに対して部分的な耐性を有し、また陰イオン
性界面活性剤に不溶性を示す。 ある試料中に存在するPrPresを検出可能とするためには、その試料から
正常PrPを除く一方、PrPresを豊富に含むものとするために、その試料
に対して複数の操作を行なうことが必要であり、そのようにして初めて、 ・正常PrP又は他の不純物の存在によって擬陽性( false positives)を示 すことや、 ・最終的な生物試料に含まれるPrPresの濃度が不充分であるために擬陰 性( false nagatives)を示すこと を惹起することなく、何れの適当な特異的方法によっても検出され得るようにな
る。
法が提案されている。それらの方法は、本質的に、ヒルマート(Hilmert )とデ
ィリンジャー(Diringer)( Nature 、1983、306、476‐478)に
よって開発された方法に基づいており、一般に、洗浄剤による抽出と、分画超遠
心分離と、タンパク質分解酵素による処理とを含む[マルトープ( Multhaup G.
)ら、EMBO J.、1985、4、6、1495−1501;タカハシ( T
akahashi K. )ら、Microbiol. Immunol. 、1986、30,2,123−13
1;ホープ( Hope J.)ら、EMBO J. 、1986、5、10、2591−259
7;グラスボール( Grathwohl K.U.D. )ら、Arch. Virol.、1996、141
、1863−1874;カスチャク( Kascsak R.J. )ら、Immunol. Investig.
、1997、26,259−268;レイス( R.E. Race)ら、J. Gen. Virol.
、1992、73、3319−3323;ドイ( Doi)ら、J. Gen. Virol.、1
988,69,955−960;ムラモト( T. Muramoto)ら、Am. J. Pathol.
、1993,143,5,1470−1479;ファルクハル( Farquhar C.F.
)ら、 Gen. Virol.、1994,75,495−504及び J. Gen. Virol.、
1996,77,1941−1946]。それらの方法は、複数回の超遠心分離
を含む多数の工程からなり、そのため、実施することが面倒であって、なお且つ
PrPresの累積的な損失につながるという問題点を有する。その結果、感度
が不充分となって、PrPresの高い精度での検出閾値や定量を得ることが困
難となる。
殺場等の現場で使用することが困難である。 このように、動物の堵殺に際して伝播性亜急性海綿状脳症の存在/不存在を迅
速に証明する必要性が存在する。
頼性の高い検出のために使用する方法を提供することを企図した。この方法は、
実施が容易で、堵殺場等の現場においても使用することが可能であり、そのため
に、従来の方法よりも実際上の必要性をより良く満足させるものである。
とによってPrPresの検出感度閾値を高め、また、大量の生物試料を80%
を超える精製歩留まりで処理することが出来るので、絶対的な意味での実質的な
量のPrPresの取得を可能とすることによって擬陰性をなくことが出来る。
このことは、堵殺場において特に価値あることであり、簡易な診断テストでPr
Presが容易に検出され得る試料を提供する。
の間、80℃よりも低い温度において、その生物試料の重量の1/4〜4倍の間
の量の、好ましくは1/4倍〜1.5倍の間の量の少なくとも1種類の界面活性
剤を含むバッファ( buffer )Aを用いてインキュベーションし、また場合によ
り、それに先立ち、その後に、またはそれと同時に、プロテアーゼを用いてイン
キュベーションすることによって、オパール様乃至は濁った状態のミセル状又は
層状(ラメラ)の懸濁液S1を得る工程と;上記の温度及び量的条件の下では、
如何なる界面活性剤又は界面活性剤混合物であっても、それは殆どPrPres
を可溶化せず、PrPresは懸濁液中に留まるが、他方、正常PrPは可溶化
され、プロテアーゼが添加されれば、破壊されさえする;本インキュベーション
は、前記生物試料の重量の1/4倍と1.5倍との間の量の界面活性剤の存在下
では、50℃より低い温度で行なわれる;本発明によれば、前記プロテアーゼは
、前記界面活性剤よりも前、若しくは後、またはそれと同時に添加される、 (2)上記の(1)で得られたミセル状又は層状の懸濁液S1に、その懸濁液
S1を清澄化させる[例えば、マイクロエマルジョン( microemulsion)又はマ
イクロサスペンション( microsuspension)とすることによって]ために適当な
量の、前記PrPresを可溶化せず且つ誘電率が10〜25の溶媒又は溶媒混
合物からなるバッファBを加える工程と;これにより、肉眼には透明な懸濁液S
2が得られる、 (3)かかる(2) の工程で得られた懸濁液S2を遠心分離する工程と;この
遠心分離は、例えば2分間〜10分間、20,000gより低い速度、好ましく
は3,500gと17,500gの間の速度で行なわれる;その結果得られる遠
心分離残渣に含まれるPrPresの精製歩留まりは、驚くべきことに、80〜
100%に達する;この遠心分離の時間と速度は、同じ結果、即ち、精製歩留ま
り80〜100%のPrPresを得ることが出来るように、調整され得る、 (4)得られた残渣を、0.1%と5%との間の濃度、好ましくは0.25%と
1%との間の濃度[バッファCの体積に基づく(w/v)]の、前記(1) で定
義された少なくとも1種類の界面活性剤、及び/又は0.1Mと8Mの間の濃度
の少なくとも1種類のカオトロピック剤( chaotropic agent )を含むバッファ
Cに、室温と100℃の間の温度、好ましくは80℃以上の温度において、可溶
化させる工程と;それらの温度条件下においては、前記界面活性剤、好ましくは
イオン性界面活性剤及び/又は前記カオトロピック剤がPrPresを可溶化す
る、 を必須的に含むことを特徴とする方法に関する。 上記の工程(1)と工程(2)は、同時に行なってもよく、あるいは、連続的
に行なってもよいが、連続的に行なうほうが好ましい。
器官である場合に、その試料が、水等の中性バッファと5%グルコース等の等張
性バッファからなる群から選択された均質化バッファ中において、工程(1)の
前に、例えば機械的なすり潰しによって、均質化される。
温度が、室温と50℃の間の温度であり、好ましくは37℃である。
、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウ
ム等の陰イオン性界面活性剤と、 −SB3−10(デシルスルホベタイン)、SB3−12(ドデシルスルホベ
タイン)、SB3−14、SB3−16(ヘキサデシルスルホベタイン)、CH
APS、デオキシ(deoxy )CHAPS等の両性界面活性剤A、 −C12E8(ドデシルオクタエチレングリコール)、トリトン(Triton)X
100、トリトンX114、トイーン(Tween )20、トイーン80、MEGA
9(ノナノイルメチルグルカミン)、オクチルグリコシド、LDAO(酸化ドデ
シルジメチルアミン)、NP40等の非イオン性界面活性剤と、 −SDS/トイーン80混合物、サルコシル/トリトンX100混合物等のイ
オン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との混合物、SDS/デオキシコール
酸塩混合物等の2種類のイオン性界面活性剤の混合物、イオン性界面活性剤と両
性( zwitterionic )界面活性剤との混合物等の界面活性剤混合物と、 からなる群から選択された界面活性剤を含む。
しくは、C3 −C6 アルコールと平均理論誘電率が10と25の間であるアルコ
ール混合物とからなる群から選択される。前記アルコール又はアルコール混合物
としては、 ブタン−1−オール、ブタン−2−オール、2−メチルプロパン−1
−オール、イソプロパノール、(イソプロパノール+ペンタノール)、(エタノ
ール+ヘキサノール)、(ブタノール+ペンタノール)が、特に好ましい。
測定される静的誘電率εを意味するものと理解され、この誘電率は、電界が29
3.15Kと298.15Kの間の温度において溶液に適用される時の、電気移
動( electric displacement)Dの電界強度( electric field strength)Eに
対する比率に相当する。 このように定義された液体の誘電率は、『化学と物理学のCRCハンドブック
』( David R. Lide 著、75版、1994、CRC出版)に詳細に記述されて
いる。 溶媒混合物の場合、平均理論誘電率とは、複数の溶媒のそれぞれの誘電率を混
合物中のそれぞれの割合で重み付けして得られる平均値を意味する。
速遠心分離条件下において、90%を超える精製歩留まりを得ることが出来る。
即ち、バッファBは、高い精製歩留まりを維持しつつ、最終残渣の量を有意に減
少させる。有利なことに、最終残渣の量は、生物試料の最初の重量の10%を超
えない量とすることが出来、それにより、その残渣を免疫検定に有効に使用する
ことが出来る。バッファAのみが添加される場合に得られる条件は従来技術の条
件であり、PrPresの検出のために充分な精製度を得るためには、超遠心分
離を行なう必要がある。
が、留意されてよい。即ち、20,000gより低い速度での2分間から10分
間の遠心分離でもよいし、『g』の数値の増加に比例して『時間』を減少させて
もよい。 有利なことに、前記懸濁液S2の遠心分離の後に回収される残渣の量に対する
その固体相に含まれるPrPresの精製歩留まりの比率は、最初の試料が10
0mgの脳に相当する場合に、10より大きくすることが出来る。
、尿素及びグアニジン又はその混合物からなる群の中から選択されたカオトロピ
ック剤( chaotropic agent )を含む。尤も、他の何れのカオトロピック剤を使
用してもよい。 尿素の濃度は、好ましくは、0.25Mと8Mの間であり、グアニジンの濃度
は、好ましくは、0.1Mと6Mの間である。
ック剤との混合物である場合は、バッファCは、好ましくは、SDSと尿素の混
合物、サルコシルと尿素の混合物、デオキシコール酸塩( deoxycholate )と尿
素の混合物、サルコシルとグアニジンの混合物、サルコシルとグアニジンと尿素
の混合物からなる群から選択される。SDSと尿素の混合物が選択される場合に
、SDSの濃度は、好ましくは、0.25〜1%であり、尿素の濃度は、好まし
くは、0.25〜6Mである。サルコシルと尿素の混合物が選択される場合に、
サルコシルの濃度は、好ましくは、0.25%と1%の間であり、尿素の濃度は
、好ましくは、0.25Mと8Mの間である。サルコシルとグアニジンの混合物
が選択される場合に、サルコシルの濃度は、好ましくは、0.25%と1%の間
であり、グアニジンの濃度は、好ましくは、0.5Mと3Mの間である。サルコ
シルとグアニジンと尿素の混合物が選択される場合に、サルコシルの濃度は、好
ましくは、0.25%と1%の間であり、グアニジンの濃度は、好ましくは、0
.5Mと3Mの間であり、尿素の濃度は、好ましくは、0.25Mと6Mの間で
ある。
ァ[4%SDS、0.1Mトリス(Tris)−HClpH8、5%ショ糖、及び2
%β−メルカプトエタノール]を使用することが出来る。
のバッファCの中和を可能にする。この希釈は、例えば、最終アルブミン濃度が
2%と10%(w/v)の間の値となるようなアルブミンを含むバッファ、また
は、1%デオキシコール酸等に基づくバッファを用いて、実施される。
PrPresは、免疫学的方法等の何れの分析法によっても、その試料中におい
て直接検出され得る。
あって、 (1)前記生物試料を、30秒から2時間の間、好ましくは30秒から10分
の間、80℃よりも低い温度において、その生物試料の重量の1/4倍と4倍と
の間の量の、好ましくは1/4倍と1.5倍の間の量の少なくとも1種類の界面
活性剤を含むバッファAを用いてインキュベーションし、また場合により、それ
に先立ち、その後に、またはそれと同時に、プロテアーゼを用いてインキュベー
ションすることによって、オパール様乃至は濁った状態のミセル状又は層状の懸
濁液S1を得る工程と;本発明によれば、前記プロテアーゼは、実際には、前記
界面活性剤よりも前、若しくは後、またはそれと同時に添加される、 (2)かかる(1) で得られたミセル状又は層状の懸濁液S1に、相分離を生
じさせるために適当な量の、前記PrPresを可溶化せず且つ誘電率が10〜
25の溶媒又は溶媒混合物からなるバッファBを加える工程と、 (3)この(2) の工程で得られた懸濁液を遠心分離する工程と;この遠心分
離は、例えば2分間〜10分間、20,000gより低い速度、好ましくは3,
500gと17,500gの間の速度で行なわれる;前記PrPresは、最終
的に界面に現れる、 (4)その界面に存在する薄膜を回収する工程と、 (5)プロテアーゼを加えないバッファAで、前記薄膜を再可溶化させる工程
と、 (6)該工程(5) で得られた懸濁液を遠心分離する工程と;この遠心分離は
、例えば2分間〜10分間、20,000gより低い速度、好ましくは3,50
0gと17,500gの間の速度で行なわれる;その結果得られる遠心分離残渣
に含まれるPrPresの精製歩留まりは、驚くべきことに、70〜100%と
なる;この遠心分離の時間と速度は、同じ結果、即ち、精製歩留まり70〜10
0%のPrPresを得ることが出来るように、調整され得る、 (7)得られた残渣を、0.1%と5%の間の濃度、好ましくは0.25%と1
%の間の濃度[バッファCの体積に基づく(w/v)]の、前記(1) で定義さ
れた少なくとも1種類の界面活性剤及び/又は0.1Mと8Mの間の濃度の少な
くとも1種類のカオトロピック剤を含むバッファCに、室温と100℃の間の温
度、好ましくは80℃以上の温度において、可溶化させる工程と;それらの温度
条件下においては、前記界面活性剤、好ましくはイオン性界面活性剤及び/又は
前記カオトロピック剤がPrPresを可溶化する、 を必須的に含むことを特徴とする方法に関する。
ために加えられるべきバッファBの量は、図1にブタン−1−オールについて示
されたバッファBの範囲に基づいて確定される。それらの量は、バッファAとバ
ッファBのために選択された成分との関数として変化し得る。
程(4)又は前記第2方法の工程(7)]は、5分間〜10分間、80℃以上の
温度で加熱し、その後、例えば、2分間〜10分間、20,000gより低い速
度、好ましくは3,500gと17,500gの間の速度での遠心分離を行なう
ものである。この場合には、PrPresは再可溶化され、最終的に上澄み中に
現れる。この条件下で得られた試料は、特に、ELISA法によるPrPres
の検定に適している。
化するためのバッファに加えて、上記のように定義された、それぞれ適当な量の
バッファA、バッファB、及びバッファCを含むことを特徴とするキットに関す
る。
sが検出されるべき生物試料を均質化するための適当な量のバッファと、上記の
ように定義された、それぞれ適当な量のバッファA、バッファB、及びバッファ
Cと、少なくとも1種類の抗PrPres抗体( anti-PrPres antibody )とを
含むことを特徴とするキットに関する。
する具体例及び添付の図面についての以下の記載から明らかとなる他の態様をも
含むものである。
発明の主題を説明するための例示に過ぎず、本発明が以下の記載に何ら限定され
るものではないことが、理解されるべきである。
%(w/v)となるように均質化する。 この均質化を行なうために、先ず、脳試料(500mg)とグルコース1ml
とをセラミック・ビーズを入れた試験管に投入して、攪拌する。その上澄み(約
1.5ml)を回収した後、ビーズを500μlのグルコースに懸濁させて濯ぎ
、攪拌する。この得られた上澄みを回収し、先に得られた上澄みと混合する(2
ml)。
、25%(w/v)SDSと25%(v/v)トイーン80とをそれぞれ等部づ
つ1対1の比率(v/v)で含む混合物と、プロテアーゼK(0.1mg/ml
バッファA、即ち、0.4mg/g組織)とを含むバッファAの400μlを用
いて、10分間(5分間を2回)、37℃の温度で、インキュベートする[工程
(1)]。ある変更例において、バッファAとして、10%サルコシルと10%
トリトンX100とを含むものが、有利に使用される。後者のバッファAはSD
Sを含まないものであり、ELISA型の方法を使用し、特異的な抗体によって
PrPresを検出する場合に動揺を起こさないので、より有利である。 −0〜1000μlのブタノール(バッファB)を添加せしめる[工程(2)
]。
精製歩留まり(%)と、添加されたバッファBの量の関数としての残渣の量(m
g)とを示す。 この図によれば、ブタノールが10%と53%の間ではPrPresは懸濁状
態に維持され、30%と50%の間では100%に近い精製歩留まりと10mg
より少ない残渣が得られる。
分間行なった後[工程(3)]、上澄みを捨て、PrPresを含む残渣を回収
し、その残渣を、 ・0.5%SDSと0.5M尿素、若しくは、 ・レムリ・バッファ、若しくは、 ・0.5%サルコシルと6M尿素 を含むバッファCの80〜100μlに、5分間、100℃において、溶解させ
る[工程(4)]。
やウェスタン・ブロッティング法等の免疫学的検定法にすぐに使用することが出
来る。
)と尿素(0.25〜8M)、若しくは、SDS(0.25〜1%)と尿素(0
.25〜1M)を含むバッファCに溶解させる。加熱の後、得られた試料を、最
終的なアルブミン濃度が2%と10%の間(w/v)となる量のアルブミンを含
むバッファ、または、1%のデオキシコール酸塩を含むバッファで希釈する(4
分の1又は2分の1に)。
加熱され、その後、20,000gより低い速度、好ましくは3,500gと1
7,500gの間の速度で、2〜10分間、遠心分離される。得られた上澄みを
、ELISAバッファを用いて、4分の1〜2分の1に希釈する。
る。先ず、同体積のレムリ・バッファと混合される。その後、希釈試料を、ウェ
スタン・ブロッティング法による検出のためにゲル上に置く。検出されたPrP
resの量が、BSEに冒されて疾病の最終段階にあるウシの脳から得た一つの
ホモジネートから上記の条件と同一の条件下で精製されたPrPresの希釈物
の線形範囲(正のコントロール)と比較される。
、PrPresの、信頼性に富み、特異性の高い、定量的な検定を可能にする。
: ・実際に、バッファAのみが加えられた場合には、PrPresの歩留まりは
40%程度に過ぎず、固体相と液体相との分離等の理由によって、PrPres
の60%程度の損失が観察される。また、実質的な量の残渣が観察される。この
ことは、従来技術に記載されたプロトコールがサルコシルを使用する理由となっ
ている。サルコシルは、残渣の量を減少させるが、充分な歩留まりを得るために
は、面倒な超遠心分離を必要とする。 ・工程(2)によって、固体相中のPrPresの歩留まりが増加する。上記
のごとく、懸濁液S2の固体相において80〜100%程度の歩留まりが得られ
ると同時に、残渣の量が減少する。
例1で記載された条件と同一の条件下でバッファAの2mlを用いてインキュベ
ートする[工程(1)]。 −さらに、実施例1で記載された条件と同一の条件下でバッファBの3mlを
添加する[工程(2)]。 −残りの工程は、実施例1と同じである。
5%(w/v)となるように均質化する。
コースとをセラミック・ビーズを入れた試験管に投入し、40秒間、攪拌する(
RIBOLYSER−HYBAID装置)。400μlの上澄み(約1.5ml
)を回収する。残りの工程は、実施例1と同じである。
れた条件と同一の条件下で処理される。
得られた比率を示す。異なるバッファBは、ペンタノール、ブタノール、イソプ
ロパノール/ペンタノール混合物、エタノール/ヘキサノール混合物、イソプロ
パノール、及びエタノールであり、混合物は体積に基づいて調製されている。
、各アルコールの体積は、その誘電率と混合物に要求される理論的誘電率(例え
ば、17)の関数として、アルコールの全体の体積である600μlに基づいて
計算される。例えば、ヘキサノール/エタノール混合物の場合には、以下の式が
得られる。 13y+25(1−y)=17 但し、yはヘキサノールの百分率であり、13はヘキサノールの誘電率で あり、25はエタノールの誘電率である。
w/v)SDSと25%(v/v)トイーン80の等部(50/50)づつ(v
/v)の混合物の400μlと、プロテアーゼK(PK:濃度−0.1mg/m
lバッファA)とを含むバッファAの400μlを用いて、5分間を2回、37
℃で、インキュベートする。 2)ブタノール−1−オールからなるバッファBの600μl(レーン7と8
の試料についてのみバッファBの1、000μl)を、添加する。 3)この混合物を、15,000rpm(約17,000g)で、5分間、遠
心分離する。 4)遠心分離によって得られる残渣を、4%のSDSを含むレムリ・バッファ
の100μlに取り、100℃で、5分間、加熱する。
in)ら( Proc. Natl. Acad. Sci. 、USA、1979,76,4350−43
54)又は C.I. ラスメサス( Lasmeszas)ら(J. Gen. Virol.、1996、前
掲)によって記載された条件下で、ニトロセルロース膜に移される。
れた負のコントロールにおいて、試料は、信号の強度の理由から、電気泳動ゲル
上に置かれる前に、20分の1に希釈される[9.5mgの健康なウシの脳と0
.5mgの感染したウシの脳に対応する10mg(10μl)の脳の等価物で負
荷された12%ポリアクリルアミド]。
)ら、J. Virol. 、1997、71、12、9685−9689] (1/500
0)とペルオキシダーゼに結合させた抗ウサギヤギIg(1/2500)で行な
った。免疫活性は、図4に示されるように、ケミルミネッセンス[ECL,アマ
ーシャム(Amersham)]によって検出され、定量化され、オートラジオグラフ・
フィルム上に視覚化される。
応する。 図4において、レーン1〜6は、バッファBとして異なるプロパノール/ヘキ
サノール混合物を使用して処理された試料に対応し、異なる平均理論誘電率に対
応する。レーン8と9は、バッファBとして1000μlのブタノールを使用す
る方法に従った生物試料に対応する(図1の横軸上の53%)。この場合には、
すべてのPrPresが最終的に界面に現れることが観察される。レーン9と1
0は、バッファBとして600μlのブタノールを使用する方法に従った生物試
料に対応する(図1の横軸上の43%)。この場合には、すべてのPrPres
が最終的に残渣に現れることが観察される(レーン10)が、他方、同じ条件下
で処理された負のコントロールでは如何なる信号も検出されなかった(レーン9
)。
料をすり潰し、5%グルコース溶液(1.6ml)中の濃度が2 0%となるよう
に均質化する。 −こうして得られたホモジネートの500μlを、10%のサルコシルと10
%のトリトンX100及びプロテナーゼK(80μg/ml)を含むバッファA
の500μlを用いて、37℃で、10分間(5分間を2回行ない、その中間に
攪拌を行なう)、インキュベートする。 −500μlのバッファB(ブタノール)を添加する。 −この混合物を、17,608gを適用することが可能なロータを用いて、1
5,000rpmで5分間、遠心分離する。20,627gで4分間遠心分離す
ることによっても、同じ結果が得られる。 −上澄みを捨て、PrPresを含む残渣を回収し、その残渣を、6M尿素と
0.5%サルコシルを含むバッファCの100μlに、5分間、100℃におい
て、溶解させる。 −この混合物を、17,608gを適用することが可能なロータを用いて、1
5,000rpmで5分間、遠心分離する。20,627gで4分間遠心分離す
ることによっても、同じ結果が得られる。この上澄みを、EIAバッファ(0.
5%デオキシコール酸塩を含む燐酸塩バッファ)を用いて、3分の1に希釈する
。
割合で、2ウェルずつ、第1抗PrP抗体[8G8、クレースマン(Kraseman)
ら、Molecular Medicine、1996、参照]で覆われたプレート上に置かれる。
インキュベーションと洗浄の後、アセチルコリンエステラーゼ[グラッシ(Gras
si)ら、J. Immunol. Methods 、1989、参照]に結合させた第2抗PrP抗
体(12F10、クレースマンら、1996、参照)に反応させる。アセチルコ
リンエステラーゼのための基質を用いてインキュベーションし、基質[エルマン
(Ellmann )の試薬]の添加後15分又は30分の時点で、415nmで、その
結果を読む。
体積)ホモジネートであって、健康なウシの脳の20%(重量/体積)ホモジネ
ート中に、10分の1、100分の1、1,000分の1、10,000分の1
に希釈されたものに関する。
体としての12F10とを用いたEIA法によって、検査される。 検査される試料は、EIAデポー(depot )バッファ中に希釈される(3分の
1の希釈であり、因数3である)。
ネートによる希釈度xEIAバッファによる希釈度の関数としての信号の吸光度
)。半対数曲線は、EIA法のすべての検定において従来観察されてきたシグモ
イド型を有する。また、10分の1、100分の1、1,000分の1に希釈さ
れたホモジネートから得られた曲線に良好な重なり合いがあることが注目される
。最後に、本試験の感度のレベルは、10,000分の1に希釈された陽性の脳
の検出を可能にするものである。
/mgの濃度のPKによる前記の処理の後に、又は、異なる濃度のPKによるホ
モジネートの直接的な処理の後に、EIA法によって試験された。その結果、精
製されていないホモジネートのPKによる直接的な処理では、低いPK濃度(Pr
Pcの不完全な破壊)の負のコントロールについては高い信号を示すか、または、
高いPK濃度では陽性のウシについて低い信号を示すことが見出される。従って
、本例は、PrPresを正しく検出しようとすれば、前記の方法でホモジネー
トを処理することが必須の要件であることを示している。
寛容であることから)尿素/グアニジンの組合わせが最も価値が高いように思わ
れる。
実施の態様、具体例、適用の態様に何ら限定されず、本発明の枠組み又は範囲を
逸脱しない限りにおいて当業者に自明なすべての変更を包含するものである。
分離後に得られる残渣の量に対する影響を示す図である。
れる残渣の量に対する影響を示すグラフである。
において定義された平均理論誘電率の役割を示す図である。
図である。
留まりを示す図である。
Claims (15)
- 【請求項1】 生物試料からPrPresを精製する方法であって、 (1)前記生物試料を、30秒から2時間の間、80℃よりも低い温度において 、該生物試料の重量の1/4〜4倍の量で少なくとも1種類の界面活性剤を 含むバッファAを用いてインキュベーションし、また場合により、それに先 立ち、その後に、またはそれと同時に、プロテアーゼを用いてインキュベー ションすることによって、懸濁液S1を得る工程と、 (2)かかる(1)で得られた懸濁液S1に、その懸濁液S1をマイクロエマル ジョン又はマイクロサスペンションとすることによって清澄化させるために 適当な量の、前記PrPresを可溶化せず且つ誘電率が10〜25の溶媒 又は溶媒混合物からなるバッファBを加える工程と、 (3)この(2)の工程で得られた懸濁液S2を遠心分離する工程と、 (4)得られた残渣を、0.1%〜5%の間の濃度、好ましくは0.25%〜1 %の間の濃度[バッファCの体積に基づく(w/v)]の、前記(1)で定 義された少なくとも1種類の界面活性剤、及び/又は少なくとも1種類のカ オトロピック剤を含むバッファCに、80℃以上の温度において、可溶化さ せる工程と、 を必須的に含むことを特徴とする方法。
- 【請求項2】 生物試料からPrPresを精製する方法であって、 (1)前記生物試料を、30秒から2時間の間、80℃よりも低い温度において 、該生物試料の重量の1/4〜4倍の量で少なくとも1種類の界面活性剤を 含むバッファAを用いてインキュベーションし、また場合により、それに先 立ち、その後に、またはそれと同時に、プロテアーゼを用いてインキュベー ションすることによって、懸濁液S1を得る工程と、 (2)かかる(1) で得られた懸濁液S1に、相分離を生じさせるに適当な量の 、前記PrPresを可溶化せず且つ誘電率が10〜25の溶媒又は溶媒混 合物からなるバッファBを加える工程と、 (3)該(2) の工程で得られた懸濁液を遠心分離する工程と、 (4)その界面に存在する薄膜を回収する工程と、 (5)プロテアーゼを加えることなくバッファAで前記薄膜を再可溶化させる工 程と、 (6)かかる工程(5) で得られた懸濁液を遠心分離する工程と、 (7)得られた残渣を、0.1%〜5%の間の濃度、好ましくは0.25%〜1 %の間の濃度[バッファCの体積に基づく(w/v)]の、前記(1) で定 義された少なくとも1種類の界面活性剤、及び/又は少なくとも1種類のカ オトロピック剤を含むバッファCに、室温〜100℃の間の温度、好ましく は80℃以上の温度において、可溶化させる工程と、 を必須的に含むことを特徴とする方法。
- 【請求項3】 前記生物試料が組織又は器官である場合に、かかる試料が、
中性バッファと等張性バッファからなる群から選択された均質化バッファ中にお
いて、前記工程(1)の前に、均質化されることを特徴とする請求項1又は請求
項2に記載の方法。 - 【請求項4】 前記インキュベーションの時間が、好ましくは、30秒〜1
0分の間であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1つに記載の方法。 - 【請求項5】 前記バッファA及び/又は前記バッファCが、 −SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、サルコシル(ラウロイルサルコシン) 、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナト リウム等の陰イオン性界面活性剤と、 −SB3−10(デシルスルホベタイン)、SB3−12(ドデシルスルホベ タイン)、SB3−14、SB3−16(ヘキサデシルスルホベタイン)、 CHAPS、デオキシCHAPS等の両性界面活性剤と、 −C12E8(ドデシルオクタエチレングリコール)、トリトンX100、ト リトンX114、トイーン20、トイーン80、MEGA9(ノナノイルメ チルグルカミン)、オクチルグリコシド、LDAO(ドデシルジメチルアミ ンオキシド)、NP40等の非イオン性界面活性剤と、 −イオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤の混合物、2種類のイオン性界 面活性剤の混合物、イオン性界面活性剤と両性界面活性剤の混合物等の界面 活性剤混合物と、 からなる群から選択された界面活性剤を含むことを特徴とする請求項1乃至4の
何れか1つに記載の方法。 - 【請求項6】 前記工程(1)で採用される温度が、室温〜50℃の間の温
度であり、好ましくは、37℃であることを特徴とする請求項1乃至5の何れか
1つに記載の方法。 - 【請求項7】 前記工程(1)において、バッファA中に存在する界面活性
剤の量が、好ましくは、前記生物試料の重量の1/4〜1.5倍の間であること
を特徴とする請求項1乃至5の何れか1つに記載の方法。 - 【請求項8】 前記バッファBが、C3 −C6 アルコールと平均理論誘電率
が10〜25の間であるアルコール混合物とからなる群から選択されることを特
徴とする請求項1乃至7の何れか1つに記載の方法。 - 【請求項9】 前記アルコール又はアルコール混合物として、 ブタン−1−
オール、ブタン−2−オール、2−メチルプロパン−1−オール、イソプロパノ
ール、(イソプロパノール+ペンタノール)、(エタノール+ヘキサノール)、
(ブタノール+ペンタノール)が、特に好ましいことを特徴とする請求項8に記
載の方法。 - 【請求項10】 前記工程(3)と前記工程(5)の遠心分離が、2分間〜
10分間、20,000g以下の速度、好ましくは、3,500g〜17,50
0gの間の速度で行なわれることを特徴とする請求項1乃至9の何れか1つに記
載の方法。 - 【請求項11】 前記バッファCが、尿素及びグアニジン又はそれらの混合
物からなる群の中から選択されたカオトロピック剤を含むことを特徴とする請求
項1乃至10の何れか1つに記載の方法。 - 【請求項12】 前記バッファC中における前記可溶化工程(請求項1に記
載の方法の工程(4)又は請求項2に記載の方法の工程(7))が、5分間〜1
0分間、80℃以上の温度で加熱し、その後、遠心分離を行なうことを特徴とす
る請求項1乃至11の何れか1つに記載の方法。 - 【請求項13】 生物試料においてPrPresを検出する方法であって、 −請求項1乃至12の何れか1つに従って前記試料を処理する工程と、 −得られた試料を、必要に応じて、希釈する工程と、 −前記PrPresを何らかの適当な分析法を用いて検出する工程と を含むことを特徴とする方法。
- 【請求項14】 生物試料を処理するためのキットであって、該試料を均質
化するためのバッファに加えて、請求項1乃至12において定義された、それぞ
れ適当な量のバッファA、バッファB、及びバッファCを含むことを特徴とする
キット。 - 【請求項15】 PrPresを検出するためのキットであって、PrPr
esが検出されるべき生物試料を均質化するための適当な量のバッファと、請求
項1乃至12において定義された、それぞれ適当な量のバッファA、バッファB
、及びバッファCと、少なくとも1種類の抗PrPres抗体とを含むことを特
徴とするキット。
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