JP2002503453A - 細胞毒性ヘテロメリックタンパク質組合せライブラリー - Google Patents
細胞毒性ヘテロメリックタンパク質組合せライブラリーInfo
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Abstract
Description
,993号の優先権を主張するものである。
ク質の同定法、およびそれら同定法の使用に関する。
抗真菌剤など)の多くは、単一タスクを比較的良好に遂行できる小分子、すなわ
ち急速に分裂する細胞の増殖を絶つか、または停止させる小分子にとどまる傾向
がある。残念ながら、これら化学療法剤の多くは、組織特異性がごく小さく、そ
の生体分布プロフィルも最適ではない。また、悪性細胞の増殖を停止させるに十
分量の細胞毒性剤または細胞増殖抑止剤を使用することは、薬剤耐性機序の出現
に至り得るという選択圧力を呈することになる。
かつ細胞内のコンパートメントに局在し得るよう、タンパク質設計がうまくなさ
れている。これらのタンパク質は、標的細胞を消失させるか、または細胞の非致
死的プロセスを活性化するのに非常に有効である。このようなタンパク質がいか
に構築されるかについて、その理解の深まりは近年めざましいものがある。
することができる。それらは実際に2つ以上のポリペプチドドメインまたはサブ
ユニットがそれぞれ全く異なる機能を担った状態にあるヘテロメリックである(
1)。このようなタンパク質において、2つ以上のサブユニットまたはポリペプ
チドドメインはそれぞれAおよびBと呼ぶことができ、毒素はABx毒素と呼ぶ ことができよう(xは毒素中の同一または相同なBサブユニットの数を表す)。
この枠組み構造に関連した毒素のファミリーには、志賀毒素、志賀様毒素、大腸
菌易熱性エンテロトキシン、コレラ毒素、ジフテリア毒素、百日咳菌毒素、緑膿
菌外毒素A(2、3)ならびにリシンおよびアルビンなどの植物毒素が含まれる
。タンパク質合成を阻止する能力に基づき、志賀毒素、志賀様毒素ならびにリシ
ン、アブリン、ゲロニン、クロチン、アメリカヤマゴボウ(pokeweed)抗ウイルス
タンパク質、サポリン、モモルジン、モデシン、サルシン、ジフテリア毒素、外
毒素Aなどのタンパク質はリボゾーム不活性化タンパク質(RIP)と呼ばれて
いる。
IP)などの、多重タスクヘテロメリックタンパク質毒素を、標的細胞に特異的
に結合できる強力な細胞毒性剤の開発における分子鋳型として用いるという概念
を利用するものである。本発明によれば、毒素鋳型の受容体結合特異性にのみ影
響を与えるアミノ酸残基を修飾することによって、すべての変異毒素に存在する
毒素Aサブユニットを、毒素鋳型の組合せタンパク質ライブラリーのスクリーニ
ングにおいて分子サーチエンジンとして使用し、特定の細胞または細胞型を殺す
変異毒素を見つけることが可能である。
ブユニットをコードするDNAに変異を組み込むことによって変異タンパク質毒
素を産生する微生物クローンのライブラリーを生成すること、ならびに変異タン
パク質毒素を産生するクローンまたはクローンのプールを単離することによって
標的細胞に対するライブラリーをスクリーニングし、クローンまたはクローンの
プールによって産生された変異タンパク質毒素を用いて調製標的細胞を処理し、
さらに標的細胞を阻害し、または殺す細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変
異タンパク質のプールを選択することによって、標的細胞に結合できる細胞毒性
変異タンパク質を同定する方法を開発した。好ましい実施の形態においては、変
異は、組合せカセット法を使用することによって、または特徴部位除去法によっ
て結合サブユニットに組み込むことができる。
作された、変異タンパク質毒素を含有する細菌または細菌の上清を含む。また、
別の好ましい実施の形態では、ライブラリーは、遺伝子工学的に操作された、前
記変異タンパク質毒素を含有する酵母または酵母の上清で構成される。
くは真核タンパク質またはタンパク質融合構築物を含む群から選択することがで
きる。好ましい実施の形態では、毒素は志賀毒素、志賀様毒素、リシン、アブリ
ン、ゲロニン、クロチン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、サポリン
、モモルジン、モデシン、サルシン、ジフテリア毒素および緑膿菌外毒素Aを含
む群から選択される。さらに好ましい実施の形態では、結合サブユニットは志賀
毒素もしくは関連する志賀様毒素のいずれかのBサブユニット鋳型から誘導され
るか、または大腸菌易熱性エンテロトキシン、コレラ毒素、百日咳毒素もしくは
リシンの受容体結合ドメインの相同物から誘導される。標的細胞は、例えば乳癌
細胞などの腫瘍細胞であることができる。
関連した変異組合せ毒素のファミリーであって、本来の毒素に対しては不感受性
であった乳癌細胞を殺すことができるようなファミリーを誘導することができる
ことが明らかになっている。
それらのプールを用いて標的細胞を処理することによって、その標的細胞を殺し
、または阻害する方法も提供する。
タンパク質毒素を産生する微生物クローンのライブラリーを生成し、本発明の方
法を用いて標的細胞に対するライブラリーをスクリーニングし、さらに非標的細
胞に対する細胞毒性変異タンパク質もスクリーニングすることで、非標的細胞を
阻害し、または殺す効果が標的細胞を阻害するまたは殺す効果にくらべて小さい
ような治療上役立つ変異タンパク質または治療上役立つ変異タンパク質のプール
を選択することによって、標的細胞に対して結合特異性を有する治療上役立つタ
ンパク質の同定方法を提供する。
パク質毒素を選択し、微生物クローンのライブラリーから細胞毒性変異タンパク
質を産生しているクローンを選択し、検出可能標識をコードする標識DNAを、
選択したクローンの結合サブユニットDNA配列の中に組み込むことによって診
断DNA配列を調製し、さらに診断DNA配列から診断プローブを生成すること
によって、細胞表面標識の存在を検出するための診断プローブの構築法を教示す
る。好ましい実施の形態では、標識DNAは緑色蛍光標識タンパク質(GFP)
をコードする。
し、微生物クローンのライブラリーから細胞毒性変異タンパク質を産生している
クローンを選択し、薬効のあるポリペプチドをコードする薬効性ポリペプチドD
NAを、選択したクローンの結合サブユニットDNA配列の中に組み込むことに
よって薬剤としてのDNA配列を調製し、さらに薬剤としてのDNAから薬剤を
生成することによって、結合特異性を有する薬剤の構築法を教示する。本発明の
薬剤は、薬剤の標的を被移植体の器官内に生じた標的細胞にしぼる必要があるよ
うな状態を治療するのに使用することができる。
を提供するが、そのキットには、選択されたヘテロメリックタンパク質毒素およ
び本発明の方法を実施するのに役立つ好適な支持器が含まれる。
素変異体の誘導に使用される、ヘテロメリックタンパク質毒素の構造鋳型を基に
したタンパク質組合せライブラリーを構築した。この新規方法の強みは、実際に
これらライブラリーの全てのメンバーが細胞毒性であるという事実に由来する。
したがって、この全毒素変異体に共通の特性は、これらライブラリーの中に新規
の受容体特異性を有する変異体を見出すサーチエンジンとして使用できることに
なる。スクリーニングの方策としては、単一の細胞に対する細胞毒性アッセイが
主となるが、これによって治療上ならびに診断上役に立つ最適な薬剤が直ちに同
定されることになり、したがって、それら薬剤の細胞への取り込み、細胞内プロ
セスおよび/または細胞毒性を強化するための先導化合物の再設計は不要となる
。
いAおよびBと呼ばれる、2つ以上のポリペプチドドメインまたはサブユニット
を有する構造機構を有している。その毒素はABxと呼ぶことができ、ここでx は毒素中の同一または相同のBサブユニットの数を表す。この枠組み構造に関連
した毒素のファミリーには、志賀毒素、志賀様毒素、大腸菌易熱性エンテロトキ
シン、コレラ毒素、ジフテリア毒素、百日咳菌毒素、緑膿菌外毒素A(2、3)
ならびにリシンおよびアルビンなどの植物毒素が含まれる。
ン、アブリン、ゲロニン、クロチン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質
、サポリン、モモルジン、モデシン、サルシン、ジフテリア毒素、外毒素Aなど
のタンパク質はリボゾーム不活性化タンパク質(RIP)と呼ばれている。各R
IPの力価は非常に高く、ジフテリア毒素A鎖(99)またはリシンA鎖(10
0)が1分子あれば真核細胞1個を十分殺し得ることが明らかになっている。現
在ではこれら分子の多くについてその結晶構造が確証されており(4〜12)、
それらの機能への洞察は、ほとんどがA鎖の触媒能に関わる残基の同定と受容体
結合能に関わるBサブユニット残基の地図作製に集中している。
らゆるヘテロメリック細胞毒性メンバーのライブラリー)の、潜在的に細胞特異
性である細胞毒性であってかつ診断に役立つ薬剤の源としての、幅広い可能性を
裏付けるものである。志賀毒素(Bサブユニットペンタマー)などの組合せタン
パク質の受容体結合能はその細胞毒性Aサブユニットとは分離して考えることが
できるため、本発明はまた、有効な細胞表面標識の存在を検出するための非細胞
毒性の診断プローブを開発する方法であって、ひいては治療方策の選択の助けと
なるような方法をも提供するものである。さらに、組合せタンパク質の結合ユニ
ットは遺伝子的に毒素サブユニットとは分離しているため、選択された変異結合
ユニットは毒素サブユニットから独立して生産することができ、標識DNAまた
は治療に役立つDNAと合併して診断プローブまたは細胞特異性であって治療に
役立つタンパク質を作ることも可能である。
断に役立つタンパク質を同定および生産する方法であって、前記タンパク質が細
胞表面結合サブユニットと細胞毒性サブユニットとを有する野生型ヘテロメリッ
クタンパク質から誘導されるタンパク質であり、またa)細胞結合サブユニット
が任意に変異させられている変異ヘテロメリックタンパク質のライブラリーを作
る工程;及びb)全変異毒素中に存在する細胞毒性ドメインを、野生型タンパク
質への感受性を引き起こす受容体をもたないか、またはその受容体が低レベルで
あるような標的細胞に対する固有サーチエンジンとして用いてライブラリーをス
クリーニングし、その細胞を殺す変異体を同定する工程を含む方法を提供する。
えば糖脂質、糖タンパク質またはタンパク質)に結合する、治療上有効な毒素変
異体を構築およびスクリーニングする方法を提供する。さらに本発明は、病原性
真菌類などの規定された真核細胞集団を標的とする毒素変異体、または急速に増
殖する細胞(例えば瘢痕の処置、組織再建または皮膚病に関与するもの)の成長
を制御するのに使用することができる毒素変異体を構築およびスクリーニングす
る方法を教示する。さらに本発明は、有効な細胞表面標識の存在を検出するため
の治療に役立つ非細胞毒性の診断プローブを構築しスクリーニングする方法であ
って、ひいては治療方策の選択の助けとなるような方法を教示する。志賀毒素変
異体は、変異体をその細胞毒性サブユニットから解離させるか、もしくは変異体
の細胞毒性サブユニットを不活化することによって引き続き修飾することができ
、または選択された変異体の結合サブユニットをコードするDNAを用いて種々
の診断もしくは治療ツールを構築することができる。
容体標的特性に変更が加えられた新規な細胞毒性/診断プローブを迅速に同定す
ることが可能となる。志賀毒素のBサブユニットに対する天然の受容体は糖脂質
であるため、そのループ(受容体特異性に関わる)の配列内の縮重が低レベルで
ある志賀ライブラリーから誘導された変異Bサブユニットの特異性は、糖タンパ
ク質または糖脂質に位置する特徴的な炭水化物構造体に向けられることになろう
。仲介結合として知られる2本のループ領域内に高度に縮重した配列を含む毒素
ライブラリーの場合、認識される潜在的に可能な表面構造は非常に多様であろう
と予想される。抗体結合部位の場合のように、Bサブユニット変異体は、糖質ま
たは糖脂質にではなくむしろタンパク質、ペプチド、核酸または有機部位などの
各種分子に結合することがある。
ある。第一に、ライブラリーは永続的であって、無限にスクリーニングすること
ができ、新規治療薬または診断薬の不断の源を提供することができる。第二に、
結果として得られる毒素変異体の真核細胞に対する致死特性によって、特徴的な
細胞標的(癌細胞など)に特異性のある有用な構築物を容易にスクリーニングす
ることが可能となる。第三に、有用な変異Bサブユニットは細胞毒性A鎖がなく
ても生成することができ、各種細胞型上の特徴的な標識の存在を検出するために
インビトロまたはインビボのいずれにおいても使用できるような、非細胞毒性の
診断薬を直ちに作ることが可能となる。
ための診断ツールとして利用できるような多重タスク薬剤を開発するために、本
発明の方法をイムノトキシンおよび関連した成長因子毒素抱合体にも適用し得る
ことは、当業者ならば理解できよう。
たはタンパク質薬剤送達ビヒクルおよび標的システムを開発することを目的とし
て、標的細胞に対して結合特異性を有する治療タンパク質を同定する方法を提供
する。毒性サブユニットと結合サブユニットとを有する適切なヘテロメリックタ
ンパク質毒素を選択した後、本明細書において教示する方法を、必要であれば本
技術分野で知られている手段によって適合するように変更を加えて用い、微生物
中の毒素をコードする結合サブユニットDNA内に変異を組み込むことによって
、変異タンパク質毒素を産生する微生物のクローンのライブラリーを生成するこ
とができる。次いで、このライブラリーを、例えば前記した方法によってスクリ
ーニングし、標的細胞を阻害し、または殺す細胞毒性変異タンパク質を産生する
クローンまたはクローンのプールを選択する。この選択された細胞毒性変異タン
パク質は、所望により本技術分野で知られている方法を用いて患者から取り出し
た細胞を使い、調製したこの細胞を、細胞毒性変異体を産生するクローンまたは
クローンのプールで処理することによってさらにスクリーニングし、標的細胞を
阻害し、または殺すのに有効であって、かつその患者とって安全であるような細
胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールを選択する。
ることもできようし、毒素が活性化されるために補因子を必要とするように毒性
サブユニットを選択することも、またはそれに工学的操作を加えることもできよ
う。このようにして、治療タンパク質は被移植体に投与され、治療タンパク質が
標的細胞に結合し得るだけの十分な時間が経過した後、補因子が被移植体に導入
され、結果として標的細胞を阻害または殺すことになる。
ク質毒素を選択すること、およびそのヘテロメリックタンパク質毒素から変異タ
ンパク質毒素を産生する微生物のクローンのライブラリーを生成することが可能
となり、また高度の感受性と選択性を有する変異毒素をスクリーニングし選択す
ることが可能となる。次いで、標的細胞に対して、本発明の方法によってライブ
ラリーをスクリーニングする。すなわち変異タンパク質毒素を産生するクローン
またはそのクローンのプールを単離し、調製した標的細胞を変異タンパク質毒素
で処理し、さらに標的細胞を阻害し、または殺す細胞毒性変異タンパク質または
その細胞毒性変異タンパク質のプールを選択することによってライブラリーをス
クリーニングする。毒素を緩和したい場合、例えば選択した診断ツールをインビ
ボで使用しようという場合には、当業者ならば、結合サブユニットを毒性サブユ
ニットから分離することによって、または細胞毒性変異タンパク質の毒性サブユ
ニットを不活化することによって、細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異
タンパク質のプールを修飾することができよう。必要ならばさらに、細胞毒性変
異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールを、検出可能な標識を用い
て標識することもできる。別法として、細胞毒性変異タンパク質を産生する遺伝
子を操作して、検出可能な標識を内生的に産生するようにする。例えば、先ず本
明細書に教示する方法で細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質
のプールを同定し、次いで本技術分野で知られているいずれかの方法によって、
細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールの結合サブユニ
ットDNA配列に検出可能な標識をコードする標識DNAを組み込むことによっ
て診断DNA配列を調製し、さらにこの診断DNA配列から診断プローブを生成
することで、本発明を用いて細胞表面標識の存在を検出する診断プローブが構築
される。本技術分野で知られている検出可能な標識としては、種々の酵素、蛍光
物質、発光物質および放射性物質が挙げられる。好適なタンパク質としては、西
洋ワサビペルオキシダーゼ、緑色蛍光タンパク質の変異体、ルシフェラーゼ、ア
ルカリホスフォターゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。好適な
蛍光物質としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、ダンシルクロリドまた
はフィコエリトリンが挙げられる。好適な発光物質の一例としてはルミノールが
ある。好適な放射性物質としては、P−32、S−35、Cu−64、Ga−6
7、Zr−89、Ru−97、Tc−99m、In−111、I−123、I−
125、I−131、Rc−186およびAu−199が挙げられる。また、タ
ンパク質を標識してもよく、またはリガンド結合対の一方と結合させてもよい。
代表的な例としては、アビジン−ビオチン結合タンパク質、リボフラビン−リボ
フラビン結合タンパク質が挙げられる。前述の代表的標識を用いて前述のように
タンパク質を結合または標識する方法は、従来の技術を用いて容易に達成するこ
とができる。
要があるような病状の治療方法を提供する。これは、結合特異性を有する治療タ
ンパク質の選択において、また引き続き行われる、ペプチド/タンパク質薬剤送
達ビヒクルを形成するための、タンパク質の結合サブユニットに薬剤(毒素など
の)を結合させることによる治療タンパク質の修飾において、さらには、標的細
胞に関連した疾病をもつ被移植体の器官へ有効量の前記薬剤を投与するにおいて
、前述の方法を使用することによって達成することができる。ある病状を治療す
るために本発明を使用する場合、当業者ならば、所望により、本明細書で述べた
様々な方法によって治療タンパク質にさらなる修飾を加えることもできよう。
いる。本発明の方法を適用するための好適な試薬は、必要な物質を提供する便利
なキットの中にひとまとめにすることができ、また本発明の方法を実施する際に
有用な好適な支持器を任意に含む、好適な容器にまとめることもできる。
溶血性尿毒性症候群および血栓性血小板減少性紫斑の病因にかかわる構造上関連
した細菌毒素である(19〜21)。志賀毒素、すなわち1903年に報告され
たこのファミリーの細胞毒素(22、23)の中で最初のメンバーは Shigella
dysenteriae 1 によって産生される。志賀様毒素は、E. coli のエンテロヘモラ
ジック菌株によって作られるビルレンス因子として最近同定されたものである(
24〜28)。特に、志賀様毒素1を産生する E. coli菌株O157:H7は、
日本および米国で最近食中毒の大発生を招いた原因因子として、最近になって同
定されたものである。
トはリシン中の対応するサブユニットとまったく同じ触媒能を有している。図1
は、志賀様毒素1のAサブユニットおよびBサブユニットのアミノ酸配列を示し
ている。パネルA(配列ID番号1に対応)は触媒Aサブユニットを示す。パネ
ルB(配列ID番号2に対応)は、CD77に対する受容体結合切片の創造にか
かわっていると仮定される残基をかくまうループを表している四角で囲まれた3
つの領域を有するBサブユニットを示している。
ルBおよびC、底面図)の主鎖を表す図である。図2から分かるように、ShT
とSLT−1は全く同じBサブユニットをもっている。触媒Aサブユニット(1
2、パネルA)では、そのC末端がBサブユニットペンタマー(14)の中央の
穴に挿入されている。Bサブユニットペンタマー(14、パネルB)は、β−シ
ートを含むサブユニット内およびサブユニット間インターフェースによって安定
化している。図1において四角で囲まれたBサブユニットの3つのループ領域の
うち2つのループ領域(残基15〜19および30〜33)は、A鎖自身および
Bサブユニットのβ−ストランド構造に対するそれらの方向および位置を示すた
めに黒で濃く表してある(16)。ループ58〜66は、ループ15〜19およ
びループ30〜33の同じ近傍に位置しているが、わかりやすくするためにあえ
て強調していない。パネルCでは、ペンタマーを生じる対称配列を説明するため
に、全く同じBサブユニットそれぞれについて異なるしかたで陰をつけてある。
パク合成の阻止にかかわる1つの触媒Aサブユニット(293アミノ酸;分子量
32,317)と細胞に毒素を結合させるために必要な5つのBサブユニット(
69アミノ酸;各分子量7600)(29〜35;図2)である。Bサブユニッ
トは溶液中で自発的に会合してペンタマーとなる(図2、パネルBおよびC)。
これらの毒素の構造は、コレラ毒素、大腸菌易熱性エンテロトキシン(6、7)
および百日咳毒素(8)などのその他のより大きい細菌毒素がとる共通のモチー
フの典型となっている。
ラミド(CD77またはGb3 と呼ばれる;Galα1−4Galβ1−4Gl
cβ1−1セラミド;36、37参照)を認識するBサブユニットによってコー
ドされる。CD77の組織分布は比較的狭く、多数のヒトの癌上で発現する(1
3、102〜105)。この本来の毒素は、骨髄に由来するヒトのリンパ腫を除
くのに有効であることが最近になって明らかになっている(13)。志賀毒素は
、感受性細胞に結合した後、被包小窩から細胞内に取り込まれる(38〜40)
。A鎖は処理されて、選択的ニッキングおよび本来鎖の縮小によってより小さい
27kDaA1 フラグメントとなる。A1 フラグメントは、28SrRNAから
1つのアデニン残基を分解する特異性の高いN−グリコシダーゼとして作用する
真核リボゾーム(29)の不活化を担っている(41、42)。この部位での脱
プリンにより、アミノアシルtRNAの60SリボゾームサブユニットへのEF
−1依存結合が防止されることによって、ペプチドの伸長が阻害される(43〜
45)。
を、ランダム突然変異誘発により変化させた。Bサブユニットの突然変異は、そ
のA鎖の毒性、およびホロ毒素(holotoxin )の適切な折り畳みおよび組立(す
なわち、Bサブユニットの五量体化、A2 ドメインのB五量体への挿入、プロテ
アーゼ感受性ループの曝露および配向、およびトランスロケーションドメインの
充填環境)などの毒素の他の機能に対する負の効果を小さくするために最小限に
保った。
は、溶液中で自発的に五量体化するわずか69個のアミノ酸からなる小タンパク
質である。(Bサブユニットの五量体としての)その結晶構造は、Aサブユニッ
トの存在下および非存在下で解明され(4、5)、どちらの場合も同一であるこ
とが示された。五量体構造内の各Bサブユニット単量体は、6個のβ−鎖(β1
、残基3〜8;β2、残基9〜14;β3、残基20〜24;β4、残基27〜
31;β5、残基49〜53;β6、残基65〜68)からなり、その69個の
アミノ酸の31個を含む(45%;図2)。1つのα−ヘリックス(残基36〜
46)が、残りの構造の16%を占める。これらの二次構造の要素は、五量体完
全性の維持およびA鎖のA2 ドメインとの会合に必須であるようである(図2)
。従って、これらの領域の乱れは、折り畳み問題を生じることがある。2個以上
のアミノ酸からなる3個のループ領域が残る。それらはそれぞれ、残基15〜1
9、32〜35、および54〜64で境界が定められる。Bサブユニット変異誘
発研究により、16、17、30、33および60位を置換すると、得られる毒
素の細胞毒性能は消失または減少し、一方、18位をAspからAsnに置換す
ると、毒素の受容体特異性が変化したことが示された(85〜89)。CD77
(Gb3 )のBサブユニットへのドッキングを含む分子モデル研究は、これらの
ループに位置する残基に関係づけた(90、91)。Bサブユニット五量体上に
はCD77に対する2つの潜在的な結合部位、すなわち、部位IおよびIIが存
在すると仮定されている(90、91)。領域15〜19および30〜33、特
にAsn15、Asp16、Asp17、およびPhe30に位置する残基は、
推定上の結合部位Iのほとんどを形成する(91)。モデル研究から得られた相
互作用エネルギーの計算により、部位Iは、CD77相互作用を媒介する主な部
位でありそうなことが示唆された(91)。従って、部位特異的突然変異誘発お
よびドッキング実験の両方の結果により、ループ領域に見られる残基は、ランダ
ム突然変異により受容体特異性の変化をもたらし得る部位であることが示唆され
る。本明細書で記載したように、残基は、2つのループ領域内、すなわち、残基
15〜19(ループ1)および残基30〜33(ループ2;専門的に言えば、こ
の領域はループではなく、むしろβ4鎖の末端および第二ループの始まりを示す
)で乱れる。ループ3(残基58〜64;図2)中のランダム突然変異誘発もま
た、本発明の目的の達成に有効であり得る。初期の研究は、前記の分子領域に焦
点を当てていたが、この境界設定は、毒素の特異性を変化させる試みにおいて、
任意のBサブユニット残基を標的化する可能性を除外するものではない。
ラリー複雑性を生み出す(全9個の残基が全体的にランダム化され、全てのタン
パク質組合せを回収する場合、5×1011個の異なる突然変異タンパク質)。そ
れ故、目的の9個の残基が完全にランダム化されないように、毒素ライブラリー
の複雑さのレベルを減少させることが有利である。この目標は、ヌクレオチド「
ドーピング」レベルが増加した突然変異方法に使用するためのオリゴヌクレオチ
ドを合成することにより達成された。その後の突然変異に望ましいドーピングレ
ベルを有するオリゴヌクレオチドの選択により、特定のオリゴヌクレオチドプー
ルから作成したライブラリーの多様性レベルを直接制御することが可能となる。
例えば、標的領域の9個中5個のアミノ酸位置での突然変異により、より満足で
きる多様性レベルである、205 のオーダーの多様性(3.2×106 個の突然
変異毒素)がもたらされる。実際、106 個以上の化合物を有するライブラリー
のスクリーニングは、化学またはペプチドライブラリーにおける、有用な「リー
ド」化合物の同定(スクリーニングプロセスにおいて結合アッセイまたは機能ア
ッセイを使用して)に、必要であると以前に証明されなかった。さらに、細胞表
面上の潜在的な標的部位の数は多く、スクリーニング工程の必要が増えるだろう
。
か1個のアミノ酸により異なり、同一のBサブユニットを有する。本明細書で記
載したランダム突然変異誘発法は、SLT−1遺伝子を使用するが、志賀毒素構
造鋳型から得られた突然変異タンパク質のアンサンブルの定義において、「志賀
様毒素1ライブラリー」よりもむしろ、より簡単な用語の「志賀毒素ライブラリ
ー」を使用した。
して使用した。この作成物は、pUC19に挿入したバクテリオファージH−1
9BのBglII−BalIフラグメントを有し、これは、活性SLT−1ホロ
毒素の産生を指定する。追加の作成物は、pJLB28により保有されるSLT
−1遺伝子からなるPCR産物を、原核発現ベクターpTUGにクローン化する
ことにより作成した(92)。後者の作成物であるpTGXHは、毒素変異体の
精製を促進するためのA鎖のN末端に融合したヘキサ−ヒスチジン配列と共にS
LT−1の産生をコードする。
。定義された縮重領域(93〜96)を有する合成オリゴヌクレオチドを使用し
た突然変異は、本発明の要求、すなわち、厳密に定義された突然変異原性窓およ
び発生した突然変異の頻度および型を調節する必要性を満足する、確立された信
頼のおける技術である。図3で示した配列を有する突然変異原性オリゴヌクレオ
チド(98−mers)を、アプライドバイオシステムズ392DNAシンセサ
イザーで合成した。ループ1およびループ2は、それぞれ、Bサブユニットの残
基15〜19および30〜33を示す。プライマーA(図3A;配列ID番号3
に対応)は、本文に記載したように、2つのループに調節されたランダム化レベ
ルを有するように合成した。プライマーB(図3B;配列ID番号4に対応)は
、その3’末端で15個の塩基がプライマーAと重複し、これを、プライマーA
と共に使用して、相互に開始される合成により組合せカセットを創製した。ライ
ブラリーのクローン化に使用した制限部位は太文字で示す。プライマーは、ルー
プ1および2の両方を同時に突然変異させるように設計した。この2つの領域間
に新たなSacI制限部位を導入するサイレント変異を、突然変異原性プライマ
ーに取り込んで、形質転換体DNAのスクリーニングを容易にし、変異体間の領
域の「混合」を可能とした。予測可能なサイズのライブラリーを産生できるよう
に、ループ1および2の「ランダムさ」レベルの増加をもたらす、5個の異なる
(98−mers)突然変異原性プライマーを合成した。この方策は、「NNS
」形でループ領域にコドンを合成することにより達成され、ここで、Nは、一定
の比率の3つの他の塩基で「ドーピング」した野生型塩基の混合物由来の成長鎖
に加えた塩基であり、Sは、シトシンとグアニンの1:1混合物から加えた塩基
である。後者の方法の態様により、コドンは全20個のアミノ酸を指定できるよ
うになるが、DNAコードの縮重を減少させることにより1:20に近い一定の
アミノ酸が観察される機会を与える。また、アンバー停止コドンTAGのみが、
この方策を使用して産生でき、従って、不完全なタンパク質の産生は最小限とな
る。
〜75%の範囲であり、ここで、75%は完全なランダムコドンを示す(すなわ
ち、特定の塩基を配置するために使用したホスホルアミジト混合物は、25%の
野生型塩基および25%の各々の他の塩基を含んだ)。12.5%のドーピング
レベルで作成した突然変異原性プライマーを初期の研究に選択して、ライブラリ
ーを産生し、ここで、潜在的に異なる配列の数(3.2×106 個の突然変異体
、または1クローンあたり9個中約5個の置換の突然変異率)は、十分に大腸菌
(Escherichia coli)形質転換効率の限界内にあった。
伝子に取り込み、特殊部位排除法(97)を使用して、または組合せカセットの
創製により、変異タンパク質のライブラリーを創製した。一本鎖ランダム突然変
異原性プライマーを、ファルマシアUSEキットを利用する特殊部位排除(US
E)突然変異誘発法(97)を使用して、二本鎖プラスミドに取り込んだ。この
方法により、突然変異誘発が制限部位の非存在下で任意の二本鎖プラスミド上で
実施可能となる(97)。
において、組換えカセット法を、毒素ライブラリーの産生にも使用した。この方
法において、図3Aで示される同一のオリゴヌクレオチドプールを、図3Bで示
される重複オリゴ配列にアニールさせた。二本鎖カセットは、相互に開始される
合成により、すなわち、各オリゴヌクレオチドが反対のセンス鎖の形成をコード
するように、DNAポリメラーゼおよびdNTP’sを、重複対と共に反応に含
めることにより、創製した。その後、カセットをPCRを使用して増幅し、Ac
cIおよびPstI部位に毒素遺伝子を含むベクターに直接クローン化した。
ライブラリーは、ウラシルDNAグリコシラーゼ法を使用した完全にライゲーシ
ョンのない系を使用して創製し得る(101)。特に、様々な異なる突然変異誘
発法において同一のランダムオリゴヌクレオチドプールを使用する実証された能
力は、系の柔軟性およびその高い適応能および迅速な改善を強調する。
リゴヌクレオチドと共にUSE法を使用して作成した。 E. coli JM101株
を、ランダム化オリゴヌクレオチドを取り込んだベクターDNAを用いて形質転
換した後、寒天プレートから拾ったコロニーを、円錐形のウェル底を有する96
ウェルプレート中で増殖させ、個々のクローンを、単離株から拾い上げた。変異
体は、リボソームを不活性化できるA鎖を有する毒素を産生していることを確認
するために、ランダムに選択した17個のクローンにより産生された抽出物を集
め、真核タンパク質合成を阻止する能力について評価した。この評価は、プロメ
ガTnT共役転写/翻訳網状赤血球ライセート系を使用し、細菌抽出物の存在下
および非存在下でルシフェラーゼ遺伝子の産物を測定することからなる。試験し
た全てのクローンの抽出物が、ルシフェラーゼタンパク質の翻訳を阻止した。こ
れらの変異体の5つがシークエンスされ、ランダム化ループ領域のヌクレオチド
配列を表1に示す。試験したクローンは、1クローンあたり9中約5という所望
の突然変異率を反映した。
ープ間のヌクレオチドとアミノ酸配列の比較。ループ1および2は、ShT(ま
たはSLT−1)のBサブユニットのそれぞれ残基15〜19および30〜33
を示す。
の機能(全ての毒素変異体により保持される細胞毒性特性)は、各突然変異体に
組込まれた検索エンジンを与え、かかる細胞を死滅できる新規な突然変異毒素を
同定するために、任意の真核細胞に対して任意のShT組合せライブラリーをス
クリーニングすることが可能となる。
SK−BR−3細胞は、米国基準菌株コレクション(American Type Culture Co
llection)から得られた。細胞を、10%ウシ胎児血清を補充したα−MEM培
地中で増殖および維持した。細胞を37℃、5%CO2 で増殖させ、培地は2日
毎に交換した。細胞密度は、各細胞系が、細胞毒性試験開始時にほぼ同程度の集
密性となることが確実になるように選択した。
coli JM101株の個々のクローンの一晩培養物のペレットを凍結解凍[B.H.
Johnson、M.H.Hecht、Bio/Technology 12、1357 (1994)]することにより産生さ
れた。クローンは、100mg/mlカルベニシリン(TB−carb)を補充
した、200μl(SKBR−3上でスクリーンしたクローン)または800μ
l(CAMA−1上でスクリーンしたクローン)のテリフィックブロス中で増殖
させた。抽出物で乳癌細胞を48時間中毒化させ、その後、細胞生存率を、テト
ラゾリウム塩WST−1(4−[3−(4−ヨードフェニル)−2−(4−ニト
ロフェニル)−2H−5−テトラゾリオ]−1,3−ベンゼンジスルホネート;
ベーリンガーマンハイム)の使用により、またはダイスルホローダミンB(SR
B)を使用して全細胞性タンパク質含量を測定することにより測定した[P. Ske
han, et al.、J. Nat. Cancer Inst. 82、1107 (1990)]。姉妹選択法[M. McCo
rmick、Meth. Enzmol. 151、445 (1987)]をShTクローンをスクリーニングす
る場合に使用した。標的細胞を死滅させるクローンが同定されれば、それらを3
mlのTB−carbに接種し、一晩37℃で250rpmで振とうしながら増
殖させ、その後、抽出して、細胞系に対する細胞毒性について再試験した。
い、スクリーニング手法を試験した。8×8の姉妹選択グリッド系(98)を使
用し、ここで、1つのクローンを、7個の別のものと共に、試験した各クローン
が2つの別々のプールに存在する系中にプールした。8−クローンプールを増幅
させ、その後、混合物由来の抽出物を、Vero細胞(野生型毒素に高度に感受
性の細胞系)およびヒト乳癌細胞SK−BR−3細胞系(野生型毒素に感受性の
ない細胞系)に対する細胞毒性について試験した。生細胞におけるミトコンドリ
アデヒドロゲナーゼによるテトラゾリウム塩WST−1の開裂に基づく比色試験
によって、細胞生存率を定量した。WST−1の開裂により、96ウェルプレー
ト型式およびプレート解読器を使用して可視範囲(450nm)で容易に測定で
きる水溶性ホルマザンが生じ、これにより、高流量のスクリーニングアプローチ
の使用が可能となる。別のテトラゾリウム塩XTT、MTT、またはスルホロー
ダミンBなどのダイといった、他の比色細胞生存率試験を使用したか、または使
用し得る。さらに、スクリーニングは、細胞コロニー、または放射標識したヌク
レオチドまたはアミノ酸の核酸またはタンパク質への取込みの計測により測定す
る細胞増殖試験を使用して実施できる。細胞殺滅毒素の産生に関与するクローン
を、同一細胞系上で個々に再試験した。この予備のクローンのセットにより、こ
れまで、野生型ShTと比べてSK−BR−3細胞を殺滅する能力の劇的な増大
を示した少なくとも14個のクローンが得られた。いくつかのライセートは、生
細胞を含む対照ウェル(毒素は全く存在せず)に比して≧90%のSK−BR−
3細胞を抹消させることができた。プラスミドDNAを回収し、細胞毒性試験で
一貫してSK−BR−3細胞を殺滅した単離株から配列させた。14個の突然変
異毒素の突然変異B−サブユニットループ領域の配列アラインメントを、表2に
提示する。
K−BR−3毒性は増強を示した。本発明の目標が、毒素の天然特異性をCD7
7糖脂質から別の細胞表面マーカーへと変化させることであるので、後者のクロ
ーンは、非常に重要なものである。1000個以上の単一のクローンにまでスク
リーンをスケールアップすることにより、スクリーニング手法は最適化される。
残基15〜19)の顕著な保存を示し、これは、CD77の受容体相同体に結合
できるShT突然変異体に向けて回収した単離株の「ゆがみ」を反映していると
考えられる。これに対し、同ライブラリーからランダムに拾ったクローンは、野
生型配列の維持する傾向を全く示さず、予測した比率でその標的領域にアミノ酸
置換を有した(結果は示していない)。いくつかの細胞毒性ShT変異体を過剰
発現させ、精製して均一とし、SK−BR−3細胞に対するその細胞毒性につい
て評価した。
したクローン)に対する細胞毒性活性を示すクローンのアミノ酸配列。ループ1
および2は、表1で示したのと同一のBサブユニット残基を示す。
オリゴヌクレオチドプールを使用した)を、以前に記載された組合せカセットラ
イブラリーを使用して作成した。ライブラリーは、実質的に、最初にスルホロー
ダミンB細胞生存率試験および細胞系CAMA−1を使用してスクリーニングし
た。この細胞系はまた、SKBR−3のような乳癌であるが、CD77マーカー
を欠失していることが示され、天然SLT−1毒素に極度に耐性である。CAM
A−1細胞は、米国基準菌株コレクションから得られた。細胞を、10%ウシ胎
児血清を補充したα−MEM培地中で増殖および維持した。細胞を37℃、5%
CO2 で増殖させ、培地は2日毎に交換した。細胞密度は、各細胞系が、細胞毒
性試験開始時にほぼ同程度の集密性となることが確実になるように選択した。
ョンを、CAMA−1に対する細胞毒性効果についてスクリーニングし、SKB
R−3の場合と同様、いくつかの有望な毒素変異体を同定し、その配列を表3に
示す。この非常に多様なライブラリーから同定したクローンは、野生型毒素のも
のとはほとんど完全に異なる、アミノ酸配列を標的領域中に有することが判明し
た。このライブラリーの配列多様性は、非常に大きく(209 個までの突然変異
体)、Escherichia coliの形質転換効率限界(〜1010)を超えている。このス
クリーニングから得られた3個のShT突然変異体の細胞毒性曲線を、図6に提
示する。100〜300nMの範囲のCD50値を、これらのShT変異体につい
て計算した。(変異体122、126および824;細胞継代数13;記号:天
然毒素(△);ShT変異体122(◆);ShT変異体126(●);ShT
変異体824(■))。各点は、三回実施した実験の平均から計算した細胞生存
率%を示す。
1に示したのと同一のBサブユニット残基を示す。
して変化することが判明した。図4は、クローン506から得られた毒素変異体
におけるこの現象を示す。図4は、継代34(◆)、40(■)、56(▲)、
および68(▼)に対する変異体506の効果;および継代40(□)、56(
△)、および59(○)に対する天然ShTの効果を示す。継代数は、米国基準
菌株コレクションにより定義されるように、継代数24で開始した培養物におけ
る、SK−BR−3細胞系の継代数を示す。各点は、三回実施した実験の平均か
ら計算した細胞生存率%を示す。このShT突然変異体のCD50の範囲の値は、
SK−BR−3細胞系の継代数に応じて、3.5nM〜>290nMであった。
このようにスクリーンは、比較的クローン性の細胞個体群の場合でさえも、SK
−BR−3細胞上の選択した表面マーカーの迅速かつ一過性の性質を記録した。
興味深いことに、ShT−506に対するSK−BR−3細胞の感受性の変化は
、継代数に関連したランダムな事象である(図5)。標的化細胞系(継代数24
で開始;ATTC)は、継代数32でShT変異体506に耐性、継代数34お
よび40で感受性、継代数56までに再びほぼ耐性、最後に、継代数63および
68までにShT変異体506の作用に対して感受性に復帰するというように循
環した。これに対し、SK−BR−3細胞は、類似した範囲の細胞継代において
、天然毒素の作用に対して耐性を維持し、これは、細胞表面分子CD77が、長
い間安定を維持することを示唆する。例えば、図5は、SK−BR−3細胞を、
様々な細胞継代数で、14nM溶液の天然ShT(●)またはShT変異体50
6(○)に曝露した場合に観察された細胞生存率の差を示す(各点は、三回実施
した実験の平均から計算した細胞生存率%を示す)。
ーカーよりも、より調節されていることを示唆する。SK−BR−3細胞に対す
るShT−506の細胞毒性の差が、100継代以上の細胞系で観察され、全て
同一の増殖条件下で実施した(結果は示していない)。よって、これらの変異体
のライブラリーのスクリーニングにより、細胞表面分子の発現および迅速なサイ
クリングを研究するための、価値あるプローブ源が提供された。他の型の研究も
、本発明のライブラリーのこの特徴を活用できる。例えば、ShT変異体のコレ
クションは、腫瘍細胞の転移能の獲得に至る分化事象を表現型的に定めるために
、または造血細胞系統の発達の研究に役立ち得る。
療法にカクテルとして投与するために、同定すべきであることを示唆する。この
事実は、記載のアプローチの威力を強調する。なぜなら、単一の毒素鋳型で、多
くの潜在的な特異性についてスクリーニングでき、一方、免疫毒素などの他の薬
剤は、その標的受容体を示す細胞にのみ特異性を有するからである。特異性の概
念はまた、標的化細胞表面マーカーの発現が、細胞個体群内で一定して維持され
ることを想定する。図4に提示した結果は、この仮定の正当性に反対の主張をす
る。ここでの結果は、本発明の使用により、比較的均一な細胞個体群に対して細
胞毒性である毒素突然変異体のコレクションを容易に同定できることを実証する
。細胞毒性試験をもとにした探索は、高流量スクリーニング手法を受け入れられ
るので、変異毒素ライブラリーをより徹底的に探求して、かかる毒素突然変異体
ファミリーを発見することが可能となる。生体外パージ条件の関連では、毒素変
異体の有用性は、骨髄細胞または末梢幹細胞をこれらの薬剤に曝露させ、造血細
胞系統の再構成レベルを、in vitroまたはin vivo設定下でフロ
ーサイトメトリを使用して観察することにより、容易に評価できる(例えば、S
CID、NOD/SCIDマウスの移植実験;参考文献14)。ShTライブラ
リー探索の標的としての乳癌細胞系SK−BR−3およびCAMA−1を初めに
選択したのは、ほとんどの自家骨髄移植(ABMTs)または末梢幹細胞移植は
、現在、乳癌患者で実施されており、その幹細胞の生体外パージは、患者の長期
生存の点で有益と判明し得るという事実に由来する(13、106−107)。
in vivo治療計画の設計の主な関心事である、癌細胞に対して独特な選択
的薬剤の要求は大きく減少する。なぜなら、1つ以上の突然変異毒素が、標的表
面マーカーがヒト幹細胞上に存在しない限り、臨床的に有用であり得るからであ
る。
とができる。抗体は、2つの抗原結合部位を有しているが、一方、ShT Bサ
ブユニット五量体は、少なくとも5つの同一のリガンド結合ドメインを有してい
る。両方の構造実体が、ループ領域により連結された保存されたβ鎖骨格を有し
、これは共に、その受容体結合ドメインを定める。抗体結合部位の場合と同様に
、Bサブユニット変異体は、かくして、糖または糖脂質(例えばCD77)より
もむしろ、タンパク質、ペプチド、核酸またはさらには有機部分などの一連の分
子実体に結合し得る。しかし、本発明のライブラリーから得られた毒素の多様性
は、抗体レパートリを指図する遺伝子組換えおよび体細胞突然変異により偏らな
い。ライブラリーに存在する受容体結合多様性の莫大な可能性は、ライブラリー
の縮重が増加するにつれて、突然変異Bサブユニットへのリガンドとして利用可
能な分子表面上の分子の多様性も増加するという事実を強調する。
ンパク質毒素を産生する微生物クローンのライブラリーを作成した後、次いで、
ライブラリーを、標的細胞に対して、本発明の方法により、すなわち、変異タン
パク質毒素を産生するクローンまたはクローンのプールを単離し、標的細胞の調
製物を、変異タンパク質毒素で処理し、標的細胞を阻止または殺滅する細胞毒性
突然変異タンパク質または細胞毒性突然変異タンパク質のプールを選択すること
によりスクリーニングする。細胞毒性突然変異タンパク質またはタンパク質のプ
ールを産生する遺伝子を操作して、検出マーカーを内因的に産生させる。その後
、当分野で公知の任意の手段により、検出マーカーをコードするマーカーDNA
を、細胞毒性突然変異タンパク質またはタンパク質のプールの結合サブユニット
DNA配列(群)に組込み、診断DNA配列から診断プローブを産生することに
より、細胞表面マーカーの存在を検出するための診断プローブが作成される。本
発明者は、かかる診断プローブの蛍光マーカーとして、クラゲエクオリアビクト
リア(Aequorea victoria )由来のグリーン蛍光タンパク質(GFP)を使用し
た。このマーカーは、細菌から高等植物および動物までの範囲の様々な生物に有
用である(Tsein, RY、1998、Annu Rev Biochem、67:509−44; Chalfie, M. 、
Tu, Y.、Euskirchen, G. 、Ward, W. W. および Prasher, D. C. 、1994、Scien
ce、263:802−805 )。蛍光発色団の形成は、種に依存せず、遺伝子産物は、そ
の強力な蛍光により容易に検出可能である(Prasher, DC、1995、Trends Genet 、1995、8月、11(8):320−3)。それは、in vivo、in situ、 およびリアルタイムで遺伝子発現を監視するのに有用である(Rizzuto R. et al
.、1998、Trends Cell Biol、7月、8(7):288−92)。真核または原核細胞で発
現させる場合、GFPは明るいグリーンの蛍光を発する。GFPは、任意の他の
内因性または外因性タンパク質、基質または補因子の非存在下で蛍光を発する。
蛍光は、安定で種に依存せず、ある場合には、生細胞および動物全体において非
侵入的に監視できる(Chalfie, M., et al. 、上記)。
るという期待をもって、この方法を、他の細胞にも適用できることを当業者は理
解するだろう。細胞上には数多くの標的部位があるので、細胞毒性活性を有する
多くの突然変異毒素が発見されることが期待される。
ブユニット(図1B;配列ID番号2に対応)のアミノ酸配列を表す図である。
およびC、底面図)の主鎖を表す図である。
3に対応)とプライマーB(図3B;配列ID番号4に対応)のオリゴヌクレオ
チド配列を表す図である。
06がSK−BR−3細胞を殺す能力、ならびに継代40(□)、56(△)お
よび59(○)の生ShTの効果を示す細胞毒性曲線を表すグラフである。
れかの14nM溶液にSK−BR−3細胞を曝したときに観察された、細胞生存
能力の違いを表すグラフである。
;ShT変異体122(◆);ShT変異体126(●);ShT変異体824
(■))の能力を表すグラフである。
Claims (26)
- 【請求項1】 標的細胞に結合できる細胞毒性変異タンパク質を同定する方
法であって、 (A)毒性サブユニットおよび結合サブユニットを有するヘテロメリックタン
パク質毒素を選択すること、 (B)該ヘテロメリックタンパク質毒素の結合サブユニットDNAに変異を組
み込むことによって、ヘテロメリックタンパク質毒素の変異タンパク質毒素を産
生する微生物クローンのライブラリーを生成すること、および (C)該変異タンパク質毒素を産生するクローンまたはクローンのプールを単
離し、調製した該標的細胞を該変異タンパク質毒素で処理し、さらに該標的細胞
を阻害するまたは殺す細胞毒性変異タンパク質または同細胞毒性変異タンパク質
のプールを選択することによって、該標的細胞に対する該ライブラリーの変異タ
ンパク質毒素をスクリーニングすること からなる方法。 - 【請求項2】 該標的細胞が真核細胞である請求項1に記載の方法。
- 【請求項3】 該ライブラリーが該変異タンパク質毒素を含有する細菌また
は細菌の上清を含む請求項1に記載の方法。 - 【請求項4】 該ライブラリーが該変異タンパク質毒素を含有する酵母また
は酵母の上清を含む請求項1に記載の方法。 - 【請求項5】 該結合サブユニットDNAが該微生物のプラスミドに存在す
るものである請求項1に記載の方法。 - 【請求項6】 該変異を、 (A)対応する、該結合サブユニットからの野生型オリゴヌクレオチドとアニ
ーリングすることができる合成変異オリゴヌクレオチドを調製すること、 (B)該結合サブユニットからの該合成オリゴヌクレオチドを、オーバーラッ
プする野生型オリゴヌクレオチドにアニーリングして二本鎖配列を形成すること
、 (C)該オリゴ配列の相互プライム合成によって組合せカセットを作ること、
および (D)該毒素についての遺伝子を含むベクターに該カセットを組み込むこと からなる組合せカセット法を使用することによって、該結合サブユニットに組み
込む請求項1に記載の方法。 - 【請求項7】 該変異を、特定部位除去法によって該結合サブユニットに組
み込む請求項1に記載の方法。 - 【請求項8】 該ヘテロメリックタンパク質毒素を、タンパク質の合成を阻
止することができる原核もしくは真核タンパク質またはタンパク質融合構築物を
含む群から選択する請求項1に記載の方法。 - 【請求項9】 該ヘテロメリックタンパク質毒素を、志賀毒素、志賀様毒素
、リシン、アブリン、ゲロニン、クロチン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルス性タ
ンパク質、サポリン、モモルジン、モデシン、サルシン、ジフテリア毒素および
緑膿菌(Pseudomonas aeruginesa)外毒素Aを含む群から選択suru請求項1
に記載の方法。 - 【請求項10】 該ヘテロメリックタンパク質毒素が、志賀毒素または志賀
様毒素1である請求項9に記載の方法。 - 【請求項11】 該ランダム変異を、アミノ酸残基15〜19番、30〜3
3番または58〜64番のループ領域に組み込む請求項10に記載の方法。 - 【請求項12】 該ランダム変異を、アミノ酸残基15〜19番または30
〜33番のループ領域に組み込む請求項10に記載の方法。 - 【請求項13】 該標的細胞が腫瘍細胞である請求項2に記載の方法。
- 【請求項14】 該標的細胞が乳癌細胞である請求項13に記載の方法。
- 【請求項15】 該乳癌細胞がSKBR−3またはCAMA−1である請求
項14に記載の方法。 - 【請求項16】 該結合サブユニットが、志賀毒素もしくはそれに関連する
志賀様毒素のいずれかのBサブユニット鋳型から誘導されるか、または大腸菌(
E. coli)易熱性エンテロトキシン、コレラ毒素、百日咳毒素もしくはリシンの 受容体結合ドメインの相同物から誘導される請求項1に記載の方法。 - 【請求項17】 標的細胞を請求項1に記載の細胞毒性変異タンパク質また
はそれらのタンパク質のプールを用いて処理することからなる標的細胞を殺すま
たは阻害する方法。 - 【請求項18】 標的細胞に対し結合特異性を有する治療タンパク質を同定
する方法であって、 (A)請求項1に記載の方法によって細胞毒性変異タンパク質を同定すること
、および (B)調製した非標的細胞を該細胞毒性変異タンパク質を用いて処理し、該標
的細胞を阻害しまたは殺す効果に比べて非標的細胞を阻害しまたは殺す効果が小
さい治療タンパク質または治療タンパク質のプールを選択することによって、非
標的細胞に対する該細胞毒性変異タンパク質をスクリーニングすること からなる方法。 - 【請求項19】 細胞表面標識の存在を検出するための診断プローブを構築
する方法であって、 (A)請求項1に記載の方法によって細胞毒性変異タンパク質を選択すること
、 (B)該微生物のクローンのライブラリーから該細胞毒性変異タンパク質を産
生するクローンを選択すること、 (C)検出可能な標識をコードする標識DNAを選択したクローン中の結合サ
ブユニットDNA配列の中に組み込むことによって、診断DNA配列を調製する
こと、および (D)該診断DNA配列から診断プローブを生成すること からなる方法。 - 【請求項20】 該標識DNAが緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードす
るものである請求項19に記載の診断プローブを構築する方法。 - 【請求項21】 細胞表面標識の存在を検出するための診断プローブを構築
する方法であって、 (A)請求項1に記載の方法によって、診断プローブとして使用する細胞毒性
変異タンパク質または同タンパク質のプールを同定すること、 (B)該毒性サブユニットを分離または不活化することによって、該細胞毒性
変異タンパク質または同タンパク質のプールを、任意に、修飾すること、および (C)該細胞毒性変異タンパク質または同タンパク質のプールを、検出可能な
標識を用いて、任意に、標識すること からなる方法。 - 【請求項22】 結合特異性を有する薬剤の構築法であって、 (A)請求項18に記載の方法によって、結合特異性を有する治療タンパク質
を選択すること、 (B)該毒性サブユニットを分離または不活化することによって、該治療タン
パク質を、任意に、修飾すること、および (C)該結合サブユニットに薬物を結合させて、薬剤を形成すること からなる方法。 - 【請求項23】 結合特異性を有する薬剤の構築法であって、 (A)請求項1に記載の方法によって細胞毒性変異タンパク質を選択すること
、 (B)該微生物のクローンのライブラリーから該細胞毒性変異タンパク質を産
生するクローンを選択すること、 (C)医薬としてのポリペプチドをコードする医薬としてのDNAを、選択し
たクローンの結合サブユニットDNA配列の中に組み込むことによって薬剤DN
A配列を調製すること、および (D)該薬剤DNAから薬剤を生成すること からなる方法。 - 【請求項24】 被移植体の器官内に生じた標的細胞に対して薬剤を向ける
必要があるような病状の治療方法であって、請求項22に記載の方法によって薬
剤を選択することと、該被移植体の器官へ有効量の該薬剤を投与することを含む
方法。 - 【請求項25】 被移植体の器官内に生じた標的細胞に対して薬剤を向ける
必要のある病状に対する治療方法であって、請求項23に記載の方法によって薬
剤を選択すること、および該被移植体の器官へ有効量の該薬剤を投与することか
らなる方法。 - 【請求項26】 請求項1に記載の方法を実施するのに役立つキットであっ
て、ヘテロメリックタンパク質毒素と該方法を実施する際に有用な好適な支持器
からなるキット。
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