JP3742101B2 - 組換えPilCタンパク質、それらの製造方法及び使用方法 - Google Patents

組換えPilCタンパク質、それらの製造方法及び使用方法 Download PDF

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Description

本発明は、PilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質を合成するための組換え遺伝子配列に関する。本発明はさらに、PilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質を製造するためのDNA組換え方法、およびそれに必要な分子生理学的手段に関する。また本発明は、PilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質およびその抗体に関する。本発明のその他の態様は、前述のタンパク質または抗体を含む薬剤学的組成物である。好ましくは、これらの薬剤学的組成物は、4型繊毛を有する病原性細菌に対する免疫のためのワクチンとして提供される。本発明はまた、4型繊毛を有する細菌、または前述のタンパク質あるいは抗体を含む、それらに対する抗体に関する。最後に本発明は、4型繊毛を有する細菌に対する細胞受容体およびそのアナログに関する。
感染の発生および発現における非常に重要な段階は、宿主生物の特定の分子構造(受容体)への病原体の付着である。病原体の付着の原因となる構造を、付着因子(adhesins)と呼ぶ。病原体の付着因子と宿主生物の受容体との間の複数の分子相互作用が、感染の発生および/または発現に必要である可能性がある。一方、重要な付着因子と受容体との間のある単一の分子相互作用を阻害することにより、十分に感染を防ぐことが可能であると考えられる。
付着因子−受容体分子相互作用の阻害は、感染状態の予防および/または治療の一形態としての可能性がある。予防的方法には、例えば、付着因子に特異的な抗体を形成し、そして能動免疫(ワクチン接種)によりその受容体とのいかなる相互作用をも阻害することが含まれる。しかし原則的には、抗体またはその他の物質、例えば付着因子または受容体アナログ物質のような、一般的な用語で阻害剤と呼ばれるものを受動的に投与することによっても、予防的または治療的手法の意味で相互作用は原則的に妨げられる。
非常に多数あるグラム陰性病原体の重要な付着因子は繊毛(pili)(「fimbriae」または「fibrillae」とも呼ばれる)である。これらは重合体の構造で、細い糸状の付属体を細菌の表面に形成する。繊毛を有することにより、細菌は繊毛中に含まれている付着因子を介して宿主生物の特定の受容体に付着することができる。いくつかの場合において、繊毛の喪失が病原体の感染性の喪失を導くことが示されている。この感染性の喪失は付着を形成する能力の喪失によると考えられる。このように、繊毛付着因子と受容体との分子相互作用を阻害することで、宿主生物の感染を予防したり停止させたりすることが可能である。
グラム陰性菌では、異なる型の繊毛が知られている。既知の繊毛の大部分は、一つのメインサブユニットとほんの数コピーしか存在しないその他の下級のサブユニットという、いくつかのサブユニットから成るヘテロ重合体の構造である。いくつかのよく研究された場合では、下級サブユニットが実際の付着性構造(付着因子)であり、一方多数コピーが存在するメインサブユニットが枠組みとしての機能を担っている(Lindberg et al., Nature 328, 84-87, 1987)。
多数の病原性のグラム陰性菌種は、N-Me-PheまたはIV型繊毛とも呼ばれる、4型繊毛を形成する。それには病原性ナイセリア属の菌種、淋菌(N. gonorrhoeae)および髄膜炎菌(N.meningitidis)が含まれ、それぞれヒトに於いて淋病および細菌性髄膜炎を起こす。しかし、まだ淋菌に対して有孔なワクチンは全く存在ない。しかし髄膜炎菌のいくつかの血清型(sero group)に対する莢膜特異的ワクチンは入手可能である。残念なことにそれらは部分的な防御を提供するにすぎず、免疫学的には不確かなものであると考えられる。従って、これらの感染は通常、抗生物質を用いて治療する。しかし抗生物質に対する病原体の耐性がさらに増すと問題が生じる。従って、代替の治療方法の開発が急がれる。ヒトにおいて4型繊毛を形成するその他の重要な病原体は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)であり、それは嚢胞繊維症、免疫不全、および敗血症の患者にとっては重大な問題となる(Sastry et al., FEBS Letters 151, 253-255, 1983)。この病原体に対する効果的なワクチンおよび/または阻害剤はまだ得られていない。問題となるのはとりわけ多剤耐性株の蔓延の増大である。従ってこの分野でも代替の治療方法が緊急に必要とされている。4型繊毛を形成する重要な病原体の例を挙げると、腸管病原性大腸菌(enteropathogenic Escherichia coli)(EPEC;Giron et al., Science 254, 710-713, 1991)、コレラ菌(Vibrio cholerae)(Shaw etal., Infect.Immun. 58, 3042-3049, 1990)、バクテロイデス・ノドサス(Bacteroides nodosus)(McKern et al., FEBS Letters 164, 149-153, 1983)、モラクセラ・ボビス(Moraxella bovis)(Marrs et al.,J.Bacteriol. 163, 132-139, 1985)、およびヒトおよび動物に疾病を起こし、ワクチンが盛んに研究されているその他の病原体がある。4型繊毛は、通常ピリンと呼ばれるメインサブユニットの構造で定義される。また、ピリンメインサブユニットには、それぞれの細菌種に固有の名前がついている。例えば、淋菌にはPilE、緑膿菌にはPilAである。4型繊毛のピリンの構造は実質的に、パップ(pap)様繊毛のグループのような他の型の繊毛のメインサブユニットのそれとは異なっている(Bage et al., J. Bacteriol. 157, 330-333, 1984)。4型繊毛のピリンの特徴は、(a)短く、正に荷重した、ピリンのプレ型のアミノ末端シグナル配列(コレラ菌4型ピリンを除く)、(b)異なる4型ピリン間で強い配列相同性を示す成熟ピリンの疎水性アミノ末端領域、(c)N位置のメチル基による成熟ピリンのアミノ末端Phe残基の修飾(N-Me-Phe)、(d)ループを形成するピリンのカルボキシル末端領域の二つのCys残基、および(e)痙縮運動性と呼ばれる性質である。
これまでに、PilCタンパク質が淋菌および髄膜炎菌の成分として検出された。現在のところ、繊毛の生物発生における構築機能は、これらPilCタンパク質の機能であると考えられている(Jonsson,Dissertation, New Series No. 322, University of Umea, ISSN 0346-6612)。しかしこれらの研究では、重要な付着因子としての役割の可能性を全く示唆していない。その他の実験において、科学者らが、繊毛を形成するが上皮細胞への付着を示さない淋菌の突然変異体を単離することに成功している(Rudel et al., Mol. Microbiol. 6, 3439-3450, 1992)。これらの突然変異体は、PilCタンパク質の形成を停止した位相変異(phase-variant)株であることが判明した。ナイセリア属のPilCタンパク質の直接の機能をこれらの実験から得ることはできなかった。しかし実験により、ナイセリア属の繊毛の構築はPilCの非存在下でも起こることが示された。科学者らは、大腸菌において単一のPilCタンパク質をコードする遺伝子のクローニングに成功した。これは、単離したナイセリア繊毛由来のPilCタンパク質をゲル電気泳動で精製することによって行われた(Jonsson et al., EMBO J. 10, 477-488, 1991)。ゲル電気泳動で精製したPilCタンパク質は、抗血清の回収に用いられた。ゲル電気泳動で精製したPilCタンパク質は、本発明に関しては生物学的活性を全く持たなかった。従って、対応する抗血清は繊毛を有するナイセリアが上皮細胞に付着するのを阻害するという、本発明の性質を有しない。抗血清を用いて、科学者らはまず部分的なPilCをコードする遺伝子を運搬する大腸菌ファージのクローンを同定することに成功した。損傷されていないPilCをコードする遺伝子を持つ大腸菌クローンは、DNAハイブリダイゼーションを用いて、部分的なPilCをコードする遺伝子により同定することができる(Jonsson et al., EMBO J. 10, 477-488, 1991)。この組換えPilCをコードする遺伝子はその変異性のホモ重合性の配列のため翻訳について不活性であり、生物学的活性を有するPilCタンパク質の合成は起こらなかった。この最初の淋菌MSl1株由来のPilCをコードする遺伝子(pilC1)のヌクレオチド配列は既知である。この株由来の第二の遺伝子(pilC2)の部分的な配列も同様に既知である(Jonsson et al., EMBO J. 10, 477-488, 1991; Jonsson, Dissertation, New Series No. 322, University of Umea, ISSN 0346-6612)。ところが、これらの遺伝子はいずれもPilCを産生することができない。
従って本発明は本質的に、PilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質を提供するための技術的な問題を解決するものである。
この技術的な問題は、請求の範囲で特徴づけられている態様を提供することにより、解決される。
このように、本発明は、PilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質を合成するための組換え遺伝子配列に関するものであり、その位相性変異シグナルペプチドをコードし、ホモ重合性ヌクレオチド配列を含む配列部分は、宿主細胞での組換え遺伝子配列の発現が位相変異によって影響されないものにするための
(a)不変のヘテロ重合ヌクレオチド配列を形成する、ホモ重合のヌクレオチド配列の修飾、または
(b)位相変異性シグナルペプチドをコードする配列部分の、PilCタンパク質の分泌が可能なシグナルペプチドをコードするその他の非位相変異性ヌクレオチド配列での置換、という二つの修飾によって特徴づけられる。
本発明のこれらのDNA配列は、PilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質の発現を提供する。
本発明において、「PilCタンパク質の生物学的活性」という用語は、タンパク質の4型繊毛の構築を支える能力、4型繊毛を有する細菌が細胞の受容体に付着するのを仲介する能力、または細菌の細胞受容体への付着と拮抗し、好ましくは付着を阻害する4型繊毛を有する細菌に対する抗体の誘導への免疫学的適合に関する。
本発明によると、「タンパク質」という用語は天然に存在するタンパク質または上述の生物学的活性を呈するそれらの修飾物または断片に関する。
本発明において用いられているように、「4型繊毛を有する病原性細菌」は、一方では疾病の病因となる関係にあり、他方ではその病原性の本質的な要素として、感染した宿主生物において細胞受容体への細菌の付着に必要な4型繊毛を形成する細菌をさす。
「ホモ重合体」は同一のヌクレオチドの配列(例えば、5'-CCCCCCC-3')を含むヌクレオチド配列である。本発明において、「ホモ重合性ヌクレオチド配列」は、自発的にまたは誘導されて、一つまたは複数の同一のヌクレオチドを、存在するホモ重合性ヌクレオチド配列に付加するか、またはそこから欠失されるという性質によって定義される。ホモ重合体のヌクレオチド配列における同一のヌクレオチドの付加および/または欠失は「位相変異」をもたらす。この位相変異は、実質的に自発的に起こるRecAタンパク質非依存的過程によってもたらされる(Robertson & Meyer, Trends Genet. 8, 422-427, 1992)。位相変化の基礎をなすヌクレオチド配列の変化は、遺伝子の翻訳のリーディングフレームに影響し、その結果無傷の遺伝子産物の形成に影響する。本発明において、位相変異は望ましくない。それは、強力なプロモーターの支配下では、PilCをコードしているDNAの位相変異がリーディングフレームの変化をもたらし、よってPilCタンパク質の生物学的活性を有する望ましいタンパク質が形成されなくなってしまうからである。従って本発明において「非変異性ヘテロ重合性ヌクレオチド配列」は、同一でないヌクレオチド(すなわち、5'-GGGGGGGGGGGGG-3'の配列の場合はヌクレオチドA, Cおよび/またはT)の付加または置換による、ホモ重合性ヌクレオチド配列由来のヌクレオチド配列であり、これらの修飾によって、位相変異性を呈しない「非位相変異性」になる。遺伝暗号によってコードされたアミノ酸配列が変化しないようにも変化するようにも、ホモ重合性ヌクレオチド配列を修飾することができる。
本発明において用いられているように、「シグナルペプチド」はグラム陰性菌から分泌されるタンパク質のプレ型のアミノ末端のアミノ酸配列である。シグナルペプチドは細菌の内膜の総排出路を経由したタンパク質の分泌を可能にする(Pugsley, Microbiol. Rev. 57, 50-108, 1993)。本発明の遺伝子配列の位相変異シグナルペプチドコーディング部分は、(a)そのホモ重合性ヌクレオチド配列(上記)の修飾、または(b)含まれているホモ重合性ヌクレオチド配列位相のために可変性である位相変異性シグナルペプチドをコードする部分の置換により修飾される。置換は、シグナルペプチドをコードする配列部分の一部または全部の、他のシグナルペプチドをコーディングする配列による交換であり、その配列は前述の総排出路を経由するPilCタンパク質の分泌を可能にし、位相変異性ホモ重合性ヌクレオチド配列を含まない、全体として非位相変異性ヌクレオチド配列である。その変化(修飾または置換)は、宿主細胞内での遺伝子配列の発現を可能にする目的で実行し、位相変異による影響なく、安定した条件下で大量の(過剰製造)PilCタンパク質の形成を保証しようとするものである。例えば淋菌の染色体DNAの、全長pilC遺伝子をプローブにしたハイブリダイゼーションでは、二つの関連のあるpilC遺伝子がこの種の染色体中に存在することを示した。ところが、pilC遺伝子の亜属の断片をプローブとして使用すると、それ以上のクロスハイブリダイズする遺伝子が見出され、それらもまた、遠い関係にはあるがpilC遺伝子である。このような遠い関係にある遺伝子の検出は、二つまたはそれ以上の関連性のあるpilC遺伝子の間のDNA配列の定常領域のクロスハイブリダイゼーションに基づく。DNA配列の定常領域は、関連のある二つの遺伝子の配列の比較により定義する。従ってDNA配列の定常領域の定義は、遠い関係にあるpilC遺伝子を同定する可能性をもたらす。このような遠い関係にある遺伝子の配列の比較を繰り返すと、DNA配列の新しい定常領域が見出され、それは再びpilC遺伝子の同定などに使用することができる。このようにして、細菌の種の内外でpilC遺伝子ファミリーのすべてのメンバーが徐々に検出された。
本発明の組換え遺伝子配列は、PilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質のかなりの量の製造を可能にする。これにより4型繊毛の下級サブユニットの一般的な同定および接着因子としての確かな特徴づけが可能になる。本発明は特に病原性ナイセリア(淋菌および髄膜炎菌)のPilCタンパク質を、重要な付着因子としての機能から検出しようとするものである。さらに本発明は4型繊毛を形成するその他の細菌の種のPilCアナログタンパク質の検出を行おうとするものである。本発明による、4型繊毛の下級サブユニットおよび/またはPilCアナログタンパク質の付着因子機能の検出は、4型繊毛を有するどの細菌種についてもまだ開示されていない。「PilCアナログタンパク質」という用語は、病原性ナイセリアのPilCタンパク質との(ヌクレオチドおよびアミノ酸配列の)構造的な関係、および受容体結合付着因子としてのナイセリアPilCタンパク質とのアナログ機能のみに関する。本発明の4型繊毛を形成するその他の細菌種のPilCアナログタンパク質は、必ずしも文献でPilCとされているタンパク質と同一または関連があるものではない[例えば、既知の緑膿菌PilCタンパク質(Nunn et al., J.Bacteriol. 172, 2911-2919, 1990)は、本発明のPilCアナログタンパク質ではない]。
4型繊毛のメインサブユニットは、重要な付着因子と間違って認識されていることがある(Rothbard et al., PNAS (USA) 82, 919, 1985; Paranchych, In: The Bacteria Vol. XI,Molecular Basis of Bacterial Pathogenesis, Academic Press, 61-78, 1990 and citationstherein; Tramont,Clin. Microbiol. Rev. 2, 74-77, 1989 and citations therin)。これらの知見および/または仮説に基づいて、抗体および/または付着阻害剤を用いてヒトまたは動物細胞への細菌の付着を阻害しようとしたり、4型繊毛メインサブユニットを用いたワクチンによって細菌感染を止めたりしようとする無数の試みがなされてきた。一部の成功(Paranchych, In: The Bacteria Vol. XI, Molecular Basis of Bacterial Pathogenesis, Academic Press, 61-78, 1990 and citations therein; Tramont, Clin. Microbiol. Rev. 2, 74-77, 1989 and citations therein)にもかかわらず、4型繊毛のサブユニットに基づいた、広範に有効なワクチンまたは広範に有効な阻害剤は、いまだ開発されていない。可能性のある説として、(a)4型繊毛のメインサブユニットは、重要な付着機能を全くもたないため、受容体への繊毛の付着が阻害されないという説、および/または(b)ピリンメインサブユニットの構造的可変性のため、ワクチンまたは阻害剤が効果的でないか、または十分に広範に有効でないという説が存在する。
後者の説は、ピリンが付着因子であるかないかにかかわらず、ピリンに対するワクチン投与は繊毛の付着能力を完全に失わせるのではないかという仮説に関係している。ピリンに対する抗体は、ピリンの構造的機能に影響し、従って間接的に全体的なピリンの付着能力に影響するかもしれない。この方法では明らかに成功が導かれない(Johnson et al., J. Infect. Dis. 163,128-134, 1991)のは、主に前述のピリンの構造的可変性による。4型繊毛を形成する細菌種のピリンは、菌株間特異的および/または菌株内特異的な構造的な可変性を呈する。この構造的な可変性が、広範というよりはむしろ特定の菌株または変異株に限定して、可変性の繊毛メインサブユニットに対する抗体で間接的な付着の阻害が起こった原因である。このような理由により、繊毛メインサブユニット(ピリン)に基づいた、広範に有効なワクチンを開発することは不可能であった。
本発明の遺伝子配列を用いて今や製造が可能となったPilCタンパク質もまた、例えば病原性ナイセリアのそれのように、例えばコーディングヌクレオチド配列の比較から見られるような、構造的な可変性を示す(図4)。ところが繊毛の可変性に反して、PilC付着因子の可変性は明らかに低く、PilCタンパク質の機能、すなわち受容体との分子相互作用に対して全く(またはほとんど)影響をもたない。このことは、生物学的活性を有するPilCタンパク質との比較実験で裏付けられる(表2)。なぜなら、異なるピリンおよび/またはPilCタンパク質を形成する細菌は、同じPilCタンパク質を用いて置き換えられていくからである。従って、構造の変化したPilCタンパク質がある菌種で形成されても、宿主生物内ではある菌種のこれらPilCタンパク質は、同じまたはほんの少しだけ異なる受容体を認識するのである。そのため、ある菌種のほんの少数のPilCタンパク質の変異型にのみ基づいて、広範に有効なワクチンおよび/または広範に有効な付着阻害剤の開発が可能である。さらに本発明は、一つまたはほんの少数の受容体のみに基づいた、幅広く効果的な受容体アナログの開発を可能にする。
この可能性はナイセリア以外に属する4型繊毛形成細菌により形成されるPilCアナログ付着因子にもあてはまる。種の細胞、組織、および宿主に対する親和性は、接着因子とそれらに対応する細胞受容体との相互作用によって大幅に決定されると考えられる。これらの親和性は、多くの病原体、特に4型繊毛を形成する細菌においても非常に著明である。この事実から、固有の親和性を有するある種の、本発明によるPilCアナログ付着因子も、一つまたはほんの少数の細胞、組織、および宿主に特異的な受容体とのみ相互作用すると推断される。このことは、他の種のPilCアナログ接着因子に基づくナイセリアのPilC接着因子および/またはその受容体を使用することによる、感染に対する広範に有効なワクチンおよびその他の阻害剤の開発の可能性を含む。
本発明の重要な局面の一つは、感染の発生と関連して、重要な付着因子としてのPilCタンパク質の機能を検出することであった。そのために、生物学的活性を有するPilCタンパク質を純粋な形で回収し、適当な実験系でその生物学的活性を証明することが必要である。
本発明の組換え遺伝子配列を製造するために、淋菌MS1l菌株の全長pilC2遺伝子を、PilC1およびその遺伝子に関して得られる情報をもとに単離し、大腸菌へとクローニングした。この遺伝子から、ナイセリア属のPilCタンパク質の生物学的活性を有する本発明のタンパク質を製造するために、位相変異性で、シグナルペプチドをコードする、pilC2遺伝子のホモ重合性配列部分を修飾し、宿主細胞内での組換え遺伝子の発現が位相変異性による影響を受けないようにした。これは、適当なオリゴヌクレオチドを使用し、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いてホモ重合性配列部分を修飾し、ヘテロ重合性配列を形成することにより行った(実施例2)。
好ましい態様において、本発明の遺伝子配列は、4型繊毛を有する病原性細菌由来のDNA配列を修飾することによって得ることができる。この細菌群の特徴の詳細は前述した。このような細菌の例としては、ナイセリア、特に淋菌および髄膜炎菌、シュードモナス、特に緑膿菌、腸管病原性エシェリキア、特に大腸菌(EPEC)、コレラ菌、バクテロイデス・ノドサス、ならびにモラキセラ・ボビスがあげられる。
本発明のより好ましい態様としては、遺伝子配列は、ナイセリア属の細菌、好ましくは淋菌または髄膜炎菌由来のDNA配列を修飾して得られる。
本発明の図4に示した淋菌pilC2遺伝子および髄膜炎菌pilC A1493遺伝子の遺伝子配列は、特に好ましい。図に示した配列は、1位の最初のアミノ酸(Met)をコードしているコドンATGで始まっている。シグナルペプチドをコードする領域は、遺伝子pilC2によると1位から99位にわたる。位相変異性ホモ重合性配列部分はその中に含まれており、79位から91位にわたる。図に示した配列の定常領域は星印で印をつけた。遺伝子pilC1およびpilC2の個々の定常領域部分はそれぞれ表3に示した。
全長pilC1遺伝子、制限エンドヌクレアーゼを用いて得られたpilC1遺伝子断片、または淋菌MS1lのpilC2遺伝子のあらかじめ決定された遺伝子部分を用いたハイブリダイゼーション実験から、二つ(Jonsson et al., EMBO J. 10, 477-488, 1991)および/または最大三つの(Bihlmaier et al., Mol.Microbiol. 5, 2529-2539, 1991)の関連のあるpilC遺伝子がこの菌株内に示された。本発明の第二の全長pilC遺伝子(pilC2)のヌクレオチド配列の決定および二つのpilCヌクレオチド配列の比較(図4)から、本発明によりpilC遺伝子の保存された領域を決定することが可能である(表3)。対応するpilC遺伝子の亜属で保存されている断片および/またはオリゴヌクレオチドは、それから、全長遺伝子および/または大きな遺伝子断片とは異なり、保存されたヌクレオチド配列に関係する遺伝子との同一性に応じてハイブリダイゼーションのプローブとして使用され、このような関連のある遺伝子がすべて同定され、単離された。
このように本発明の遺伝子配列はその他の態様において、図4および/または表3のDNA配列の定常領域にハイブリダイズし、PilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質をコードするDNA配列の修飾によって入手が可能である。
従って本発明のその他の材料は、図4および/または表3に示した遺伝子配列の定常領域にハイブリダイズし、PilCタンパク質の生物学的活性をコードし、4型繊毛を有するナイセリア属以外の病原性細菌に由来する遺伝子配列である。
本発明によれば、ヘテロ重合性ヌクレオチド配列を形成するように修飾を受けるホモ重合性ヌクレオチド配列の長さは、5ヌクレオチド以上である。図4に示した配列例では、12G(pilC1),13 G(pilC2),9 G(pilC A1493)である。なお、79位から91位までは遺伝子配列pilC2に基づいている。
本発明のその他の好ましい態様においては、修飾された遺伝子配列がPilCタンパク質の生物学的活性を有し、精製に適したオリゴヒスチジン部分を呈するタンパク質をコードする。このオリゴヒスチジン部分は、好ましくは6ヒスチジン残基を含む(His6)。His6ペプチドの存在によって、本発明のPilCタンパク質をニツケル−NTA(Ni-ニトリロ三酢酸/Ni-nitrilo triacetic acid)−アガロースカラムに選択的に結合させ(Hochuli et al., J. Chromat. 411, 177-184 1987; Hochuli et al.,Bio/Techno. 6, 1321-1325, 1988)、純粋なPilCタンパク質の溶出物を得ることが可能である。
本発明のより好ましい態様においては、オリゴヒスチジン領域はコードされたタンパク質の成熟型のN末端またはC末端に位置する。このようにすることにより、空間的な構造がタンパク質を妨害しにくくなる。
その他の態様においては、本発明は、本発明の遺伝子配列を含む組換えベクターに関する。このようなベクターの例としては、大腸菌内で複製するベクターpBR322およびpBA、バクテリオファージM13、fdまたはラムダを由来とするベクター、広宿主域のベクター、ヘルメス(Hermes)ベクターに相当するシャトルベクターがあげられる(Kupsch et al., filled for publication)。クローニングされた遺伝子をこれらのベクターを用いてレシピエントのナイセリア細胞のDNAに組み込むことができる。またさらに、ナイセリア間で遺伝子の接合性転移に用いられるプラスミドptetM25.2が挙げられる(Kupsch et al., filled for publication)。
本発明のベクターの好ましい態様において、前述した遺伝子配列はプロモーターによって制御される。本発明による適切なプロモーターの例はグラム陰性菌で機能するプロモーターであり、特に誘導プロモーターである。本発明の特に好ましい態様としては、プロモーターはPtrcであり、それはナイセリアおよび大腸菌で制御され、発現しているlaclq遺伝子の存在下ではIPTGの存在下で誘導される。
その他の態様においては、本発明は、本発明の組換えベクターを一つまたはいくつか含む宿主細胞に関する。
本発明の宿主細胞は、本発明の遺伝子配列の複製、転写、および翻訳にはたらき、PilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質を合成する。それらは好ましくは、内膜を経由して合成したタンパク質を分泌し、正確にそれを折り畳むことのできるグラム陰性菌である。適当なクローニングベクターが入手できるので、大腸菌K12およびその他のグラム陰性菌が、このような宿主細胞の例としてあげられる。好ましくは、本発明の宿主細胞は繊毛を持たないナイセリア菌株で、淋菌N174のようにpilE遺伝子の欠如のため繊毛を形成する能力を失ったものである。pilE遺伝子は、ナイセリア繊毛のメインサブユニット(ピリン)をコードする。pilE遺伝子の欠如のため、ピリンが全く合成されず、完全にピリンがない形で生物学的活性を有するPilCタンパク質を回収できる。
その他の態様においては、本発明は、本発明の宿主細胞を適切な条件下で培養しタンパク質を精製することを含む、PilCタンパク質の生物学的活性を有する実質的に純粋なタンパク質を製造する方法に関する。
本発明の製造方法の好ましい態様において、PilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質の精製はアフィニティクロマトグラフィーで行い、好ましくは本発明のタンパク質に含まれるオリゴヒスチジン部分がタンパク質の吸着に用いられているアフィニティクロマトグラフィーで行われる。
その他の態様において、本発明は、開示された本発明の方法によって得ることができる、PilCタンパク質の生物学的活性を有する実質的に純粋なタンパク質に関する。さらに本発明は、本発明の遺伝子配列によってコードされる、PilCタンパク質の生物学的活性を有する、実質的に純粋なタンパク質に関する。
PilCタンパク質の生物学的活性を有する、本発明のタンパク質は、当業者が生物学的に活性であるというものとはかなり異なる。つまり当業者に既知のPilCタンパク質は、生物学的活性を有する形では供給されない。本発明のPilCタンパク質は高い純度を示し、特にピリンを含まない。その傍ら、PilCタンパク質の生物学的活性を有する本発明のタンパク質は、例えばワクチンの製造に十分な程度に大量に製造できる。このことは従来の製造方法および精製方法では不可能であった。発現系によって、本発明によって得られるPilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質はまた、生物学的に活性でない既知のPilCタンパク質と構造的にも異なる。
例えば組換えPilCタンパク質は、アミノ酸配列の付加、欠失、反転、またはその他の修飾によって標識することができる。
その他の態様において、PilCタンパク質の生物学的活性を有する、本発明のタンパク質は、一般的な方法で検出できるように標識することができる。組換えPilCタンパク質のこのような標識の例には、既知の生物学的および化学的方法を用いて同定できるアミノ酸配列がある。生物学的方法は、例えば、抗体を用いて検出できる配列に関し、化学的方法は、例えば、Ni-NTA複合体の形成によって検出できる配列に関する。
その他の態様において、本発明は、PilCタンパク質の生物学的活性を有する本発明のタンパク質に対する抗体に関し、その抗体は、対応する受容体へのタンパク質の付着を阻害する。本発明のこれらの抗体は、モノクローナルまたはポリクローナル抗体である。本発明は、例えばFabまたはF(ab)2断片のような、これらの抗体の一般的な断片にも関する。さらに本発明は、前述の付着活性を有する抗体に関し、それらは組換え手法によって製造できる抗体、および例えば二価の抗体である。さらに本発明は、抗イディオタイプ抗体に関する。それは細胞受容体へのPilCタンパク質の付着活性または、PilCタンパク質の免疫学的活性を有する。そしてその免疫学的活性により、タンパク質の対応する受容体への付着を阻害する、4型繊毛を有する細菌に対する抗体を誘導する。
その他の好ましい態様において、本発明は、本発明のタンパク質または本発明の抗体を含み、薬剤学的に許容される担体と任意で組み合わされる、薬剤学的組成物に関する。好ましくは、本発明の薬剤学的組成物はワクチンであり、より好ましくは、4型繊毛を有する病原性細菌に対するワクチンである。最も好ましくは、それらはナイセリア属の細菌、好ましくは淋菌または髄膜炎菌に対するワクチンである。これらの薬剤学的組成物により、淋病または髄膜炎の信頼性のある予防が可能となる。PilCタンパク質の生物学的活性を有する、本発明のタンパク質の、これら医薬品としての驚異的な有用性は、PilCタンパク質が4型繊毛を有する病原性菌の接着因子であり、淋菌におけるPilEのような、当業者に間違って認識されているピリンメインサブユニットではないという、本発明の新しい知見によるものである。
さらに、本発明は4型繊毛を有する細菌またはそれらに対する抗体を検出するキットに関し、それは本発明のタンパク質または本発明の抗体を含む。好ましくは、これらのキットはナイセリア属の細菌、好ましくは淋菌または髄膜炎菌の検出に適している。
本発明のキットを用いて行われるであろう検出方法の例は、ラジオイムノアッセイまたはELISA(酵素結合イムノアッセイ)である。
その他の態様において、本発明は本発明のタンパク質へと付着する能力を有する4型繊毛を有する細菌の細胞受容体に関する。このような受容体は、本発明のタンパク質を用いることによって単離および同定できる。この方法では、PilCタンパク質をマトリクスに結合させ、付着したPilCタンパク質にアフィニティクロマトグラフィーを施して受容体を精製し、受容体を純粋な形で維持することができる。本発明の精製した受容体と、本発明のPilCタンパク質とを用いて、二つの精製された成分の物理化学的相互作用を研究し、相互作用の型に関する結論を導くことが可能である。この二つの精製された成分は、PilCタンパク質とその受容体との間の相互作用の阻害剤を探索するのに特に有用である。これらの阻害剤は同時に、対応する細菌感染をも阻害する。このような阻害剤の例は、合成ペプチドまたはその他の化学物質であり、それらは(PilCおよび/またはPilCアナログタンパク質の)付着因子または受容体の構造および付着性質を呈するものである。後者は、受容体アナログである。本発明のPilCタンパク質を用いて、対応する受容体を遺伝的に同定することも可能である。例えば、受容体を形成しない動物/ヒト細胞を、受容体を形成する細胞のcDNAで形質転換することができる。受容体を形成するようになった形質転換細胞から、受容体をコードするcDNAが単離され、cDNAの構造解析を用いて、本発明の受容体の構造を認識することができる。本発明の受容体の構造は、既知の遺伝子工学的または化学的な方法による、予期された阻害剤の回収に関する情報を提供するものである。一方、受容体のcDNAの単離により、遺伝子工学的手法を用いて受容体を入手することが可能になる。好ましい態様においては、受容体は病原性ナイセリア由来である。
図面の説明
図1 プラスミドpTR27およびplS26の制限地図である。プラスミドpTR27は、淋菌MS1l-N133の天然のpilC2遺伝子を含む。このプラスミドを出発原料として、いくつかの段階を経て本発明の遺伝子配列を構築した(実施例2、図2)。その配列はプラスミドplS26にクローニングされた形で存在している。プラスミドplS26はヘルメス構造である(Kupsch et al., filed for publication)。その構造により、大腸菌内での複製、および本発明の組換え遺伝子配列の淋菌の接合性ptetM25.2プラスミドへの挿入の両方が可能である。シャトルボックス内に含まれている遺伝子配列を二重の相同組換えによって、ptetM25.2をもつplS26の二つの点領域に転移することで、挿入を行う。
図2 本発明のPilCタンパク質を合成するための組換え遺伝子配列の構造の略図。実施した操作は実施例2に記載した。この図に示したDNA領域は、pTR27に含まれているpilC2遺伝子の5'-末端に相当する(図1参照)。「TR...」という用語は、使用されているオリゴヌクレオチドをさす(実施例2)。(A)ホモ重合性ヌクレオチド配列を含む配列部分をコードする、位相変異性シグナルペプチドの修飾。(B)His6-ペプチドをコードするヌクレオチド配列の挿入。(C)それらについての説明(AおよびB)。
図3 淋菌野生型N137(1)およびPilC陰性淋菌二重突然変異体N474(2)の精製した繊毛のゲル電気泳動解析、ならびに本発明の生物学的活性を有するPilCタンパク質(3)。繊毛の単離は、「Jonsson et al.(1991)」に従って行った。本発明のPilCタンパク質の回収は、実施例3に記載した。
図4 天然pilC2遺伝子のヌクレオチド配列。(A)淋菌MS1l-N133の遺伝子pilC1およびpilC2のヌクレオチド配列の比較。(B)淋菌MS1l-N133のpilC1遺伝子のヌクレオチド配列と、髄膜炎菌A1493のpilC遺伝子の部分遺伝子配列との比較。(C)淋菌MS1l-N133のpilC2遺伝子のヌクレオチド配列と、髄膜炎菌A1493のpilC遺伝子の部分遺伝子配列との比較。本発明の保存領域の例を星印で示した。本発明の組換え遺伝子配列を構築するために行った修飾は、図2で示した。
実施例により、本発明をより詳細に説明する。
実施例1:淋菌のpilC2遺伝子の単離
Jonssonらによって発表されたpilC1およびpilC2の部分的な配列(EMBO J. 10, 477-488,1991)に基づき、特異的なオリゴヌクレオチドプローブを構築し(pilC1用: CG31 CGATGGCGCAAACCCATCAA、pilC2用: CG32 CGCAGGCGCAAACCCGTAAA)、両方のpilC遺伝子を淋菌MS1lのゲノムDNAのプラスミド遺伝子バンクから単離した。そのため、両プローブの5'末端をDNAキナーゼを用いて放射標識し、遺伝子バンクの約30000クローンに対してハイブリダイズさせた。陽性クローンを単離し、再び放射標識されたプローブをハイブリダイズさせ、最終的に特徴を決定した。得られたプラスミド(pTR27、図1を参照)の一つは、全長pilC2遺伝子を含んでいたが、PilCタンパク質を合成するプロモーターを欠いていた。pTR27は、pilC2遺伝子のDNA配列の決定、ならびにDNAおよびタンパク質の配列の遺伝子工学的手法を用いた修飾のための基本構造である(実施例2および実施例6を参照)。
実施例2: 過剰のPilCタンパク質を産生する淋菌株の構築
クローニングされたpilC2遺伝子の場合13 G-ヌクレオチドからなる、ホモ重合性ヌクレオチド配列の修飾は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いた計画的な突然変異による二つの段階で行った。これらの反応において、プラスミドpTR27(実施例1、図1を参照)を鋳型として用いた。第一の段階(第一のPCR)は、TR12(TTGGATCCGACGTCCGAAAAGGAAATACGATG)とTR28(GCTCCACCACCTCCGCCGGTATGGGAAAAC)のプライマーの組と、TR27(ACCGGCGGAGGTGGTGGAGCGCAGGCGCAAACCCGT)とTR23(TGTGTCTCTGCATATGACG)のプライマーの組を有するpilC2遺伝子の二つの別々のPCR反応からなる(図1)。PCR反応(94℃で1分、50℃で2分、72℃で1分を25サイクル)は、「Perkin Elmer Cetus Thermal Cycler」で行い、そのとき、およそ100 pmoleのプライマー、1 ngのpTR27および2ユニットの「VentRTMポリメラーゼ」(New England Biolabs)をそれぞれ100μlずつ加えた。ホモ重合性ヌクレオチド配列領域に対して、オリゴヌクレオチドTR28を直前に、オリゴヌクレオチドTR27を直後にハイブリダイズし、PCRの第一の断片も、第二の断片もホモ重合性のヌクレオチド配列を含まないようにした。そのかわり、オリゴヌクレオチドTR28およびTR27の5'延長部によって、断片1および2は、もとのホモ重合性ヌクレオチド配列と同じアミノ酸をコードする、非変異性ヘテロ重合性ヌクレオチド配列を含んだ。第一のPCRの断片1および2は、アガロースゲル電気泳動を用いて分離し、「GENECLEAN」(BIO 101)で抽出した。精製した断片を第二のPCR反応に投入し、今度は反応中にオリゴヌクレオチドTR12およびTR23を増幅して断片を形成した(図2)。第二のPCRの条件は、以下のように選択した。100 pmoleのプライマー、等量(それぞれ50 ng)の断片1および2、ならびに2ユニットの「VentRTMポリメラーゼ」。第一のPCRと異なり、第二のPCRは同じ条件で15サイクル行った。非変異性ヘテロ重合性ヌクレオチド配列が正確に変異性ホモ重合性ヌクレオチド配列と置換したかどうかは、DNA配列の解析で確認した。
得られたPCR産物は、BamHI/NdeI消化断片として、対応するpTR27ベクターのBamHI/NdeI断片で置換し、プラスミドpTR81が得られた。
PilCタンパク質をニッケルキレートアフィニティクロマトグラフィーで精製できるようにするため(Hochuli et al., Journal of Chromatography 411, 177-184, 1987; Hochuli et al.,Bio/Technology 6, 1321-1325, 1988)、ヒスチジン残基を6つ含むペプチド(His6)をコードするDNA配列をpilC遺伝子に挿入した。His6をコードするDNA配列のクローニングを、上記の制御されたPCR突然変異と同様の手法で行った(図1)。第一のPCRでは、プラスミドpTR81を鋳型として用いた。別々の反応で、断片1はオリゴヌクレオチドの組、TR12とTR71(GTGATGATGGTGGTGATGGGTTTGCGCCTGCGCTCCA)で増幅し、断片2はオリゴヌクレオチドの組、TR23とRT70(CATCACCACCATCATCACCGTAAATACGCTATTATC)によって増幅した。Thr35のコドンと組になったオリゴヌクレオチドTR71は、(-)鎖から開始した。Arg36のコドンと組になったオリゴヌクレオチドTR70は、(+)鎖から開始した(図2を参照)。それらの5'延長部のため、二つのオリゴヌクレオチドは、第二のPCRによりpilC2のコドンThr35とArg36との間に挿入されたHis6をコードした(図2を参照)。BamHI/NdeIで消化した第二のPCRの産物は、対応するpTR27のBamHI/NdeI断片で置き換えた(実施例1参照)。この結果得られた構造を、plS25と呼ぶ。DNA配列解析によって、His6ペプチドがアミノ酸Thr35とArg3の間に正しく挿入されたことを確認した。
非位相変異性ヌクレオチド配列およびHis6をコードするヌクレオチド配列を有するpilC2遺伝子の誘導性過剰発現は、まずPtrcプロモーターの支配下にある大腸菌K12で、plS25からのBamHI/HindIII断片をヘルメス-8ベクター中にクローニングし(Kupsch et al., filled for publication)(plS26、図1を参照)、そしてPtrcプロモーター支配下の組換えpilC2遺伝子の、イソプロピル-β-D-チオガラクトシド(isopropyl-β-D-thiogalactoside)(IPTG)誘導性発現を行うことにより達成された。淋菌N219の形質転換および対立遺伝子交換により、組換えpilC2遺伝子を含むplS26のシャトルボックスを接合性プラスミドptetM25.2に挿入した。この方法では、組換え遺伝子をピリンを含まない淋菌N174株に接合により移すことができ、それはピリンをコードするpilE遺伝子の削除のため、形質転換されない。その結果生じる淋菌ISN19株は、大量のIPTG無ピリンPilC2タンパク質での誘導の後に合成された。
実施例3: 無ピリンで生物学的活性を有するPilCタンパク質の単離
本発明の生物学的活性を有するPilCタンパク質の回収には、菌株ISN19を、5μg/mlのテトラサイクリンおよび100μMのIPTGを添加した30個の小さなGC-寒天プレート(直径9cm)にまき、37℃、5%CO2で20時間インキュベートした。物質を含んだGC-寒天培地は、淋菌の成長に必須であり、特に36 gの「GC-Agar-Base」(Becton, Dickinson & Company)は、1lの水でオートクレーブしており、10 mlの滅菌し、フィルターにかけられたビタミン混合液が添加してある。ビタミン混合液は特に、0.01gのビタミンB12、1gのアデニン、0.03gのグアニン、10gのグルタミン、0.1gのコカルボキシラーゼ、0.03gのチアミン、25.9gのL-システイン、1.1gのL-シスチン、150mgのアルギニン、0.5gのウラシル、0.02gのFe(NO3)3、0.25のジホスフォピリジンヌクレオチド、0.013gのp-アミノ安息香酸、および100gのデキストローズを1lの水に溶かしたものを含む。細菌は、「30 ml 50 mM Tris. Cl, 0.15 M NaCl, pH8.0」に綿棒を用いて再懸濁し、SS34ローター(Sorval)で、4℃、4000回転/分(rpm)で15分間遠心分離した。ペレットを、「30ml 50 mM Tris. Cl, 0.15 M NaCl, pH8.0」に再懸濁し、スパーテル一さじのリゾチーム、および5 mMエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム二水和物(EDTA)を加え、超音波で処理して細菌を破壊した。溶解した細菌を、SS34ローターで、4℃、5000rpmで20分間遠心分離してペレットにした。その上清を4℃、2000rpmで60分間遠心分離して、膜をペレットにした。「10 ml 50 mM Tris. Cl、0.15 M NaCl、10%グリセリン、10 mM MgCl2、pH8.0、および2% Triton X 100」に再懸濁した。懸濁液を37℃で45分間インキュベートし、再び4℃、20,000rpmで、60分間遠心分離した。主に外膜を含む膜のペレットは、「10 ml 50 mM Tris.Cl、0.15 M NaCl, pH8.0」で洗浄し、20,000rpmで60分間遠心分離して再びペレットにした。そこでペレットを「10 ml 50 mM Tris. Cl、0.15 M NaCl、10%グリセリン、10 mM MgCl2,pH8.0および2%LDAO(N,N-dimethyl dodecyl amine-N-oxide)に懸濁し、37℃で60分間インキュベートした。SS34ローターで20,000rpmで60分間(4℃)遠心分離した後、生物学的活性を有するPilCタンパク質を含むその上清を溶解し、ニッケルキレートアフィニティクロマトグラフィーで精製した。このため、300μlのカラム容積をもつニッケル-NTA(Ni-ニトリロ四酢酸)-アガロースカラムを用意し、5倍容の二次蒸留水で洗浄し、抽出したPilCタンパク質とともに10mlの上清をのせた。カラムを「300μl 50 mM Tris、50 mMイミダゾール、10%グリセリン、pH8.0」で洗浄し、ニッケル-NTA-アガロースカラムに非特異的に結合したタンパク質を除去した。カラムを5〜10倍容の「20 mM NaxHxPO4、150 mM NaCl, pH 7.5(PBS)」で洗浄した後、クエン酸/燐酸緩衝液(10 mMクエン酸、1 M NaxHxPO4, pH 3.5、10%グリセリン、0.15 M NaCl)を用いて、生物学的活性を有するPilCタンパク質を溶出させた。溶出物は直ちに1M Na2HPO4溶液で中和した。溶出物中に純粋な形で含まれた本発明のPilCタンパク質は、液体窒素で急冷し、-70℃で保存した。
実施例4: ヒト上皮細胞のPilCの受容体の検出
繊毛結合蛍光「MX Covashere」粒子(FMP)を以下のようにして作成した。FMPs(Duke Scietific Corporation, Paolo Alto, California, U.S.A)は、活性基を含む表面をもち、直接的に自発的にタンパク質と結合することができる。一般に、直径が0.5 μmのFMPs 100 μlと、およそ2 μgの精製した繊毛(「Jonssonら、1991」による)を100μl PBSに溶解したものを回転円盤上で2時間、室温で混和した。繊毛で包まれた粒子をペレットにし、1mlの阻害緩衝液(20 mMTRIS. Cl、2%フェチュイン、pH 7.5)で洗浄し、未結合のカップリング基をブロックした。一回目の遠心分離後の上清中のタンパク質濃度を、使用した繊毛の量と比較し、カップリングによる収率を計算した。この反応では、使用した繊毛の80%以上がFMPsと共有結合した。粒子は再びペレットにし、100μl PBSに再懸濁した。FMPsは、付着淋菌野生型の精製された繊毛で包まれ(FMP-ピリン/PilC)、同様に、pilC1/2欠損突然変異体の精製繊毛(MS1l-N474: Facius et al., filed for publication)(FMP-ピリン)およびフェチュイン(FMP-フェチュイン;陰性対照)で包まれた。
ヒト上皮細胞のPilCタンパク質特異性受容体の欠損については、繊毛で覆われたFMPsの上皮細胞系への付着を調べた。これらの実験は、標準的な感染のプロトコールに類似した方法で淋菌で行った。上皮細胞を24ウェル細胞培養プレートで、5%ウシ胎児血清(FCS)を含むRPMI培養液中の滅菌したカバーグラス上で、37℃、5% CO2で培養した。凋密状態前の単層上皮細胞を、新鮮な培養液で洗浄してから、各ウェルに10μlずつ繊毛で覆われたFMP懸濁液を加えた。1時間付着させ、その間、培養基を37℃、5% CO2でインキュベートした。それから遊離のFMPsをPBSで5回洗浄して除去し、パラホルムアルデヒドの2%PBS溶液で30分間固定化した。最後に調製物を「Zeiss蛍光顕微鏡」下で観察した。表1に示した実験結果から、野生型の繊毛と対照的に、無PilC繊毛は上皮細胞への付着を全く仲介しないことがわかる。しかし無PilC繊毛の上皮細胞への付着は、本発明の生物学的活性を有するPilCタンパク質を添加することで補われるかもしれない。2μgの生物学的活性を有するPilCタンパク質を100μl PBSに添加したものを、既に覆われている100μlFMPピリンに加え、撹拌し続けながら20℃で2時間インキュベートした。粒子をペレットにし、1ml PBSで洗浄し、100μl PBSに再懸濁した。さらにPilCタンパク質で覆われたFMPピリンをFMP(ピリン+PilC)と呼ぶ。
Figure 0003742101
ヒト上皮細胞への蛍光粒子(FMPs)の付着。FMPフェチュインすなわちフェチュイン結合FMPs、FMP-ピリン/PilCすなわち淋菌N137株の精製繊毛と結合したFMPs、FMPピリンすなわち淋菌N474株の精製繊毛と結合したFMPs、FMP(ピリン+PilC)すなわち淋菌N474株の精製繊毛と結合したFMPsを、さらに本発明のPilCタンパク質とともにインキュベートした(実施例4)。付着の結果は、1上皮細胞当たりのFMPsの平均の量で表す。
実施例5: ヒト上皮細胞の受容体へのPilCの付着の直接的な検出
ヒト上皮細胞のPilCタンパク質特異的受容体の検出のために、本発明の生物学的活性を有するPilCタンパク質のME180細胞(ヒト子宮頚部癌(ATCC HTB33))への付着を調べた。上皮細胞は、37℃、5% CO2で、「4 Well Chamber SlidesTM」(Nunc)で、5%ウシ胎児血清(FCS)を添加したRPMI培養液中で培養した。およそ10μgの生物学的活性を有するPilCタンパク質を最大20μlで添加し、つづいて37℃、5% CO2で30分間インキュベートした。各ウェルを1ml PBSで3回洗浄し、それから上皮細胞および結合したPilCタンパク質をパラホルムアルデヒドの2%PBS溶液で30分間固定化した。結合したPilCタンパク質を可視化するため、本発明の生物学的活性を有するPilCタンパク質に対して特異的な抗血清を用いた免疫蛍光染色を行った。これらの抗血清は、Balb/cマウスを本発明の生物学的活性を有するPilCタンパク質て免疫することにより得られる。固定化した調製物を、1ml PBSで2回洗浄し、PBSで300倍に希釈した抗血清と1時間インキュベートした。得られたものを、0.05%ツイーン20を含むPBSで5回洗浄し、非特異的に結合した抗体(AK)を除去した。PilC AK複合体を可視化するため、ネズミ免疫グロブリンに対する蛍光色素FITCで標識した二次抗体AKを0.025%ツイーン20を含むPBSで2000倍に希釈したものを用いて、20℃で60分間インキュベーションを行った。再び得られた物質を0.05%ツイーン20を含むPBSで5回完全に洗浄した後、調製物を包理し、「Zeiss蛍光顕微鏡」で分析した。陰性対照として、(a)二次AKを添加しPilCを添加しない上皮細胞、(b)一次AKおよび二次AKを添加しPilCを添加しない上皮細胞、ならびに(c)PilCおよび二次AKを添加した上皮細胞を用いた。その他の全ての観察実験において、本発明の生物学的活性を有するPilCタンパク質と共にプレインキュベートした上皮細胞が、特異的PilC抗血清で染色した後強く蛍光を発したのに対し、陰性対照はわずかな蛍光を発しただけであった。さらに観察するため、MDCK細胞を用いて実験を行った。この細胞には、繊毛を有する淋菌が付着しない。同様に、本発明のPilCタンパク質の付着も検出されなかった。
実施例6: ヒト上皮細胞へのナイセリア感染の比較
インビトロでの感染および/または阻害の実験を、24穴細胞培養プレート中のカバーガラス上で培養した凋密状態前のME180細胞(ヒト子宮頚部癌(ATCC HTB33))で行った。淋菌および髄膜炎菌の繊毛を介した付着の阻害のため、細胞を、生物学的活性を有するPilCタンパク質20μgを添加した、5% FCSを含む500μl RPMI培養液中で、37℃、5% CO2で30分間培養した。感染用には、細菌を37℃、5% CO2で一晩、GCプレート上でインキュベートし、それから5% FCSを含む500μlのRPMI培養液中に綿棒を用いて懸濁させた。細菌濃度の計算は、分光光度計を使用して行った。およそ2x105の凋密状態前の上皮細胞に、7x107の細菌を感染させ、37℃、5% CO2で1時間インキュベートした。あらかじめ加熱したPBSで5回洗浄し感染を停止し、パラホルムアルデヒドの2% PBS溶液で細胞を固定化した。それから固定した細胞を、クリスタルバイオレット(0.07% w/v)を用いて少なくとも15分間、室温で染色し、一つのME180当たりの付着細菌を決定した。表2にあるように、生物学的活性を有するPilCタンパク質が存在しない場合には、試験した繊毛を有するナイセリア株はすべて付着したが、繊毛のない淋菌株は付着しなかった。生物学的活性を有するPilC2タンパク質の存在下では、試験した繊毛を有するナイセリア株の付着は基線レベルにまで低下した。従って、上皮細胞への付着の減少は、細菌によって天然に形成されるPilCタンパク質の変異とは無関係に起こる(TRN289のPilC1、TRN290のPilC2との比較、髄膜炎菌N530の未知のPilCタンパク質との比較)。このことから、(i)PilCタンパク質が重要な細菌付着因子である(すなわち、感染の発生に不可欠である)ことが証明され、(ii)細胞受容体の認識に関して、異なるPilCタンパク質の多様性が低いことが確認された、よって(iii)PilCタンパク質とその細胞受容体との相互作用の阻害に関して、本発明の阻害剤が適当であることが証明される。
Figure 0003742101
ヒト上皮細胞への病原性ナイセリアの付着の競合。N137すなわち繊毛を有する淋菌MS1l株、N174すなわちpilE遺伝子を欠如した、淋菌MS1l由来の繊毛のない株、TRN289すなわちPilC1のみを形成する繊毛を有する淋菌MS1l株、TRN290すなわちPilC2のみを形成する繊毛を有する淋菌MS1l菌株、N530すなわち未知のPilCタンパク質を形成する髄膜炎菌株。20μl/mgの本発明のPilC2タンパク質での上皮細胞の前処理は、実施例6に記載する。競合実験の結果は、一上皮細胞当たりの付着した細胞の数の平均で表す。
実施例7: その他のPilCタンパク質をコードするDNA配列の同定
pilC2遺伝子のDNA配列の決定のために、pTR27のBamHI/EcoRI断片をブルースクリプトSKベクター(pTR34)の中にクローニングした。エキソヌクレアーゼIIIを用いて、pTR34の適当なオーバーラップ欠損クローンを作成し配列を決定した。コンピュータプログラム「PCGENE/ALGIN」を用いたpilC1(A.Jonsson, Umea University, New Series NO. 322, Department of Microbiology; ISSN 0346-6612)およびpilC2タンパク質をコードするDNA配列の比較(図4)では、84%の同一性を示した。同一配列の領域は、どちらの遺伝子も3'末端に明らかな偏りを見せながら島状に分布している。PilCタンパク質をコードする配列をより詳細に同定するため、PilC1とPilC2との間で同一の配列に対するオリゴヌクレオチドのプローブを作成した。オリゴヌクレオチドプローブの作成にあたっては特別な配慮をし、DNA(+)および(-)鎖由来のオリゴヌクレオチドを交互に誘導するようにし、必要であればPCRで該当する断片を増幅できるようにした。この方法では、PilC1およびPilC2遺伝子のDNA配列全体がおよそ400〜500bpのオーバーラップ断片に分割される。一方、各オリゴヌクレオチド(+)鎖には、「M13mp」プライマーハイブリダイゼーション配列が5'未満に添加されており、各オリゴヌクレオチド(-)鎖には「M13mp逆転」プライマーハイブリダイゼーション配列が5'末端に添加されていて(Vieira and Messing, Gene 19, 259-268, 1982)、PCR断片のDNA配列を直接同定することができる。
オリゴヌクレオチドプローブの選択は、DIGオリゴヌクレオチドテーリングキット(Boehringer Mannheim)の指示に従ってビオチンで標識し、ClaIおよびPvuIIで消化された淋菌の染色体DNAに対するハイブリダイゼーションに用いた。上述のオリゴヌクレオチドプローブを用いたサザンブロッティング(表3)は、淋菌MS1l株および髄膜炎菌A1493にさらなるpilC遺伝子(pilC1およびpilC2の他に)が存在することを明らかに示した。さらに、PilCアナログタンパク質の遺伝子が、これらのプローブを用いて緑膿菌で検出された。このように同定された遺伝子はクローニングすることができ、標準的な手法を用いて特徴を決定し、さらに処理することができる。この実験により、前述の方法がPilCおよび/またはPilCアナログタンパク質の未知の遺伝子を同定するのに適していることが証明された。
Figure 0003742101
さらなるPilCタンパク質をコードするヌクレオチド配列の同定のための、オリゴヌクレオチドプローブの具体例。例TR47-TR65は図4Aの淋菌遺伝子pilC1およびpilC2の配列の比較から得た。TR66は、pilC遺伝子のコーディング領域の下流の配列領域に相当する。pilC1および/またはpilC2遺伝子の位置番号は図4に示した。

Claims (14)

  1. PilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質の合成のための組換え遺伝子配列において、その位相変異性シグナルペプチドをコードしホモ重合性ヌクレオチド配列を含む配列部分が、宿主細胞内での組換え遺伝子配列の発現が位相の変化に影響されないようにするための非変異性ヘテロ重合性ヌクレオチド配列を生成するホモ重合性ヌクレオチド配列の修飾によって特徴づけられる遺伝子。
  2. 4型繊毛を有する病原性細菌由来のDNA配列を修飾することによって得られる、請求の範囲1記載の遺伝子。
  3. 病原性細菌がナイセリア属の細菌、好ましくは淋菌または髄膜炎菌である、請求の範囲2記載の遺伝子。
  4. 図4に示した遺伝子配列において、ホモ重合性位相変異性ヌクレオチド配列が、図2のC凡例に示したヘテロ重合性非位相変異性ヌクレオチド配列で置き換えられ、請求の範囲1から3のいずれかに記載の遺伝子。
  5. 少なくとも5ヌクレオチドを含むヘテロ重合性ヌクレオチド配列を生成するようにホモ重合性ヌクレオチド配列が修飾された、請求の範囲1からのいずれかに記載の遺伝子。
  6. PilCタンパク質の生物学的活性を有するタンパク質をコードし、その精製に適したオリゴヒスチジン部分を有する、請求の範囲1からのいずれかに記載の遺伝子。
  7. オリゴヒスチジン部分が、コードされた遺伝子の成熟型のN末端またはC末端に位置する、請求の範囲記載の遺伝子。
  8. 請求の範囲1からのいずれかに記載の遺伝子を含む、組換えベクター。
  9. 遺伝子配列がプロモーターの支配下にある、請求の範囲記載の組換えベクター。
  10. プロモーターがナイセリアの宿主細胞内で活性を有する、請求の範囲記載の組換えベクター。
  11. 請求の範囲8から10のいずれかに記載の組換えベクターを含む、宿主細胞。
  12. 繊毛を有さないナイセリア菌株である、請求の範囲11記載の宿主細胞。
  13. 請求の範囲11または12記載の宿主細胞が適切な条件下で培養され、タンパク質が精製される、PilCタンパク質の生物学的活性を有する実質的に純粋なタンパク質の製造方法。
  14. 精製がアフィニティクロマトグラフィーを含む、請求の範囲13記載の方法。
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