JP4339511B2 - 細胞毒性ヘテロメリックタンパク質組合せライブラリー - Google Patents
細胞毒性ヘテロメリックタンパク質組合せライブラリー Download PDFInfo
- Publication number
- JP4339511B2 JP4339511B2 JP2000530599A JP2000530599A JP4339511B2 JP 4339511 B2 JP4339511 B2 JP 4339511B2 JP 2000530599 A JP2000530599 A JP 2000530599A JP 2000530599 A JP2000530599 A JP 2000530599A JP 4339511 B2 JP4339511 B2 JP 4339511B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- protein
- toxin
- mutant
- cytotoxic
- subunit
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C07—ORGANIC CHEMISTRY
- C07K—PEPTIDES
- C07K14/00—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
- C07K14/195—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria
- C07K14/24—Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from bacteria from Enterobacteriaceae (F), e.g. Citrobacter, Serratia, Proteus, Providencia, Morganella, Yersinia
- C07K14/25—Shigella (G)
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61P—SPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
- A61P35/00—Antineoplastic agents
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
- C12N15/10—Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
- C12N15/1034—Isolating an individual clone by screening libraries
- C12N15/1055—Protein x Protein interaction, e.g. two hybrid selection
-
- A—HUMAN NECESSITIES
- A61—MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
- A61K—PREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
- A61K38/00—Medicinal preparations containing peptides
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- Zoology (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Medicinal Chemistry (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
- Bioinformatics & Computational Biology (AREA)
- Gastroenterology & Hepatology (AREA)
- Plant Pathology (AREA)
- Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
- Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
- General Chemical & Material Sciences (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Pharmacology & Pharmacy (AREA)
- Animal Behavior & Ethology (AREA)
- Public Health (AREA)
- Veterinary Medicine (AREA)
- Peptides Or Proteins (AREA)
- Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
- Enzymes And Modification Thereof (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
Description
関連出願の引照
本願は、1997年2月4日出願の、係属中のカナダ国特許出願第2,222,993号の優先権を主張するものである。
【0002】
発明の分野
本発明は、標的細胞に結合することができ治療または診断に役立つ新規タンパク質の同定法、およびそれら同定法の使用に関する。
【0003】
発明の背景
真核細胞の増殖制御に現在使用されている化学療法剤(例えば抗がん剤および抗真菌剤など)の多くは、単一タスクを比較的良好に遂行できる小分子、すなわち急速に分裂する細胞の増殖を絶つか、または停止させる小分子にとどまる傾向がある。残念ながら、これら化学療法剤の多くは、組織特異性がごく小さく、その生体分布プロフィルも最適ではない。また、悪性細胞の増殖を停止させるに十分量の細胞毒性剤または細胞増殖抑止剤を使用することは、薬剤耐性機序の出現に至り得るという選択圧力を呈することになる。
【0004】
多くの植物毒素および細菌毒素は、哺乳動物の細胞の深部に入ることができ、かつ細胞内のコンパートメントに局在し得るよう、タンパク質設計がうまくなされている。これらのタンパク質は、標的細胞を消失させるか、または細胞の非致死的プロセスを活性化するのに非常に有効である。このようなタンパク質がいかに構築されるかについて、その理解の深まりは近年めざましいものがある。
【0005】
多数の植物毒素および細菌毒素は、構造機構という一般的な題目のもとに分類することができる。それらは実際に2つ以上のポリペプチドドメインまたはサブユニットがそれぞれ全く異なる機能を担った状態にあるヘテロメリックである(1)。このようなタンパク質において、2つ以上のサブユニットまたはポリペプチドドメインはそれぞれAおよびBと呼ぶことができ、毒素はABx毒素と呼ぶことができよう(xは毒素中の同一または相同なBサブユニットの数を表す)。この枠組み構造に関連した毒素のファミリーには、志賀毒素、志賀様毒素、大腸菌易熱性エンテロトキシン、コレラ毒素、ジフテリア毒素、百日咳菌毒素、緑膿菌外毒素A(2、3)ならびにリシンおよびアルビンなどの植物毒素が含まれる。タンパク質合成を阻止する能力に基づき、志賀毒素、志賀様毒素ならびにリシン、アブリン、ゲロニン、クロチン、アメリカヤマゴボウ(pokeweed)抗ウイルスタンパク質、サポリン、モモルジン、モデシン、サルシン、ジフテリア毒素、外毒素Aなどのタンパク質はリボゾーム不活性化タンパク質(RIP)と呼ばれている。
【0006】
発明の概要
本発明は、志賀毒素や他のそれに関連したリボゾーム不活性化タンパク質(RIP)などの、多重タスクヘテロメリックタンパク質毒素を、標的細胞に特異的に結合できる強力な細胞毒性剤の開発における分子鋳型として用いるという概念を利用するものである。本発明によれば、毒素鋳型の受容体結合特異性にのみ影響を与えるアミノ酸残基を修飾することによって、すべての変異毒素に存在する毒素Aサブユニットを、毒素鋳型の組合せタンパク質ライブラリーのスクリーニングにおいて分子サーチエンジンとして使用し、特定の細胞または細胞型を殺す変異毒素を見つけることが可能である。
【0007】
本発明者等は、ヘテロメリックタンパク質毒素を選択すること、毒素の結合サブユニットをコードするDNAに変異を組み込むことによって変異タンパク質毒素を産生する微生物クローンのライブラリーを生成すること、ならびに変異タンパク質毒素を産生するクローンまたはクローンのプールを単離することによって標的細胞に対するライブラリーをスクリーニングし、クローンまたはクローンのプールによって産生された変異タンパク質毒素を用いて調製標的細胞を処理し、さらに標的細胞を阻害し、または殺す細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールを選択することによって、標的細胞に結合できる細胞毒性変異タンパク質を同定する方法を開発した。好ましい実施の形態においては、変異は、組合せカセット法を使用することによって、または特徴部位除去法によって結合サブユニットに組み込むことができる。
【0008】
1つの好ましい実施の形態では、従って、ライブラリーは、遺伝子工学的に操作された、変異タンパク質毒素を含有する細菌または細菌の上清を含む。また、別の好ましい実施の形態では、ライブラリーは、遺伝子工学的に操作された、前記変異タンパク質毒素を含有する酵母または酵母の上清で構成される。
【0009】
毒素は例えば、タンパク質の合成を阻止することができる原核タンパク質もしくは真核タンパク質またはタンパク質融合構築物を含む群から選択することができる。好ましい実施の形態では、毒素は志賀毒素、志賀様毒素、リシン、アブリン、ゲロニン、クロチン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、サポリン、モモルジン、モデシン、サルシン、ジフテリア毒素および緑膿菌外毒素Aを含む群から選択される。さらに好ましい実施の形態では、結合サブユニットは志賀毒素もしくは関連する志賀様毒素のいずれかのBサブユニット鋳型から誘導されるか、または大腸菌易熱性エンテロトキシン、コレラ毒素、百日咳毒素もしくはリシンの受容体結合ドメインの相同物から誘導される。標的細胞は、例えば乳癌細胞などの腫瘍細胞であることができる。
【0010】
本発明の一実施形態では、例えば志賀毒素または志賀様毒素1から得られる、関連した変異組合せ毒素のファミリーであって、本来の毒素に対しては不感受性であった乳癌細胞を殺すことができるようなファミリーを誘導することができることが明らかになっている。
【0011】
本発明はまた、本発明の方法によって選択した細胞毒性変異タンパク質またはそれらのプールを用いて標的細胞を処理することによって、その標的細胞を殺し、または阻害する方法も提供する。
【0012】
別の実施形態では、本発明は、ヘテロメリックタンパク質毒素を選択し、変異タンパク質毒素を産生する微生物クローンのライブラリーを生成し、本発明の方法を用いて標的細胞に対するライブラリーをスクリーニングし、さらに非標的細胞に対する細胞毒性変異タンパク質もスクリーニングすることで、非標的細胞を阻害し、または殺す効果が標的細胞を阻害するまたは殺す効果にくらべて小さいような治療上役立つ変異タンパク質または治療上役立つ変異タンパク質のプールを選択することによって、標的細胞に対して結合特異性を有する治療上役立つタンパク質の同定方法を提供する。
【0013】
本発明はさらに、本発明のスクリーニング法によって変異ヘテロメリックタンパク質毒素を選択し、微生物クローンのライブラリーから細胞毒性変異タンパク質を産生しているクローンを選択し、検出可能標識をコードする標識DNAを、選択したクローンの結合サブユニットDNA配列の中に組み込むことによって診断DNA配列を調製し、さらに診断DNA配列から診断プローブを生成することによって、細胞表面標識の存在を検出するための診断プローブの構築法を教示する。好ましい実施の形態では、標識DNAは緑色蛍光標識タンパク質(GFP)をコードする。
【0014】
本発明はまた、例えば、本発明の方法によって細胞毒性変異タンパク質を選択し、微生物クローンのライブラリーから細胞毒性変異タンパク質を産生しているクローンを選択し、薬効のあるポリペプチドをコードする薬効性ポリペプチドDNAを、選択したクローンの結合サブユニットDNA配列の中に組み込むことによって薬剤としてのDNA配列を調製し、さらに薬剤としてのDNAから薬剤を生成することによって、結合特異性を有する薬剤の構築法を教示する。本発明の薬剤は、薬剤の標的を被移植体の器官内に生じた標的細胞にしぼる必要があるような状態を治療するのに使用することができる。
【0015】
その他の実施形態では、本発明は、本発明の方法を実施するのに有効なキットを提供するが、そのキットには、選択されたヘテロメリックタンパク質毒素および本発明の方法を実施するのに役立つ好適な支持器が含まれる。
【0016】
好ましい実施の形態の詳細な説明
本発明者等は、本来の毒素に耐性のある標的に対して受容体特異性を有する毒素変異体の誘導に使用される、ヘテロメリックタンパク質毒素の構造鋳型を基にしたタンパク質組合せライブラリーを構築した。この新規方法の強みは、実際にこれらライブラリーの全てのメンバーが細胞毒性であるという事実に由来する。したがって、この全毒素変異体に共通の特性は、これらライブラリーの中に新規の受容体特異性を有する変異体を見出すサーチエンジンとして使用できることになる。スクリーニングの方策としては、単一の細胞に対する細胞毒性アッセイが主となるが、これによって治療上ならびに診断上役に立つ最適な薬剤が直ちに同定されることになり、したがって、それら薬剤の細胞への取り込み、細胞内プロセスおよび/または細胞毒性を強化するための先導化合物の再設計は不要となる。
【0017】
ヘテロメリックな植物毒素および細胞毒素は、それぞれが全く異なる機能を担いAおよびBと呼ばれる、2つ以上のポリペプチドドメインまたはサブユニットを有する構造機構を有している。その毒素はABxと呼ぶことができ、ここでxは毒素中の同一または相同のBサブユニットの数を表す。この枠組み構造に関連した毒素のファミリーには、志賀毒素、志賀様毒素、大腸菌易熱性エンテロトキシン、コレラ毒素、ジフテリア毒素、百日咳菌毒素、緑膿菌外毒素A(2、3)ならびにリシンおよびアルビンなどの植物毒素が含まれる。
【0018】
タンパク質合成を阻止する能力に基づき、志賀毒素、志賀様毒素ならびにリシン、アブリン、ゲロニン、クロチン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルスタンパク質、サポリン、モモルジン、モデシン、サルシン、ジフテリア毒素、外毒素Aなどのタンパク質はリボゾーム不活性化タンパク質(RIP)と呼ばれている。各RIPの力価は非常に高く、ジフテリア毒素A鎖(99)またはリシンA鎖(100)が1分子あれば真核細胞1個を十分殺し得ることが明らかになっている。現在ではこれら分子の多くについてその結晶構造が確証されており(4〜12)、それらの機能への洞察は、ほとんどがA鎖の触媒能に関わる残基の同定と受容体結合能に関わるBサブユニット残基の地図作製に集中している。
【0019】
本明細書において提示するデータは、組合せ志賀毒素ライブラリー(またはあらゆるヘテロメリック細胞毒性メンバーのライブラリー)の、潜在的に細胞特異性である細胞毒性であってかつ診断に役立つ薬剤の源としての、幅広い可能性を裏付けるものである。志賀毒素(Bサブユニットペンタマー)などの組合せタンパク質の受容体結合能はその細胞毒性Aサブユニットとは分離して考えることができるため、本発明はまた、有効な細胞表面標識の存在を検出するための非細胞毒性の診断プローブを開発する方法であって、ひいては治療方策の選択の助けとなるような方法をも提供するものである。さらに、組合せタンパク質の結合ユニットは遺伝子的に毒素サブユニットとは分離しているため、選択された変異結合ユニットは毒素サブユニットから独立して生産することができ、標識DNAまたは治療に役立つDNAと合併して診断プローブまたは細胞特異性であって治療に役立つタンパク質を作ることも可能である。
【0020】
したがって本発明は、標的細胞に特異的に結合することができる治療または診断に役立つタンパク質を同定および生産する方法であって、前記タンパク質が細胞表面結合サブユニットと細胞毒性サブユニットとを有する野生型ヘテロメリックタンパク質から誘導されるタンパク質であり、またa)細胞結合サブユニットが任意に変異させられている変異ヘテロメリックタンパク質のライブラリーを作る工程;及びb)全変異毒素中に存在する細胞毒性ドメインを、野生型タンパク質への感受性を引き起こす受容体をもたないか、またはその受容体が低レベルであるような標的細胞に対する固有サーチエンジンとして用いてライブラリーをスクリーニングし、その細胞を殺す変異体を同定する工程を含む方法を提供する。
【0021】
本発明はまた、正常な細胞に優先してヒトの腫瘍細胞に発現する表面標識(例えば糖脂質、糖タンパク質またはタンパク質)に結合する、治療上有効な毒素変異体を構築およびスクリーニングする方法を提供する。さらに本発明は、病原性真菌類などの規定された真核細胞集団を標的とする毒素変異体、または急速に増殖する細胞(例えば瘢痕の処置、組織再建または皮膚病に関与するもの)の成長を制御するのに使用することができる毒素変異体を構築およびスクリーニングする方法を教示する。さらに本発明は、有効な細胞表面標識の存在を検出するための治療に役立つ非細胞毒性の診断プローブを構築しスクリーニングする方法であって、ひいては治療方策の選択の助けとなるような方法を教示する。志賀毒素変異体は、変異体をその細胞毒性サブユニットから解離させるか、もしくは変異体の細胞毒性サブユニットを不活化することによって引き続き修飾することができ、または選択された変異体の結合サブユニットをコードするDNAを用いて種々の診断もしくは治療ツールを構築することができる。
【0022】
ヘテロメリックタンパク質毒素ライブラリーの構築によって、当業者には、受容体標的特性に変更が加えられた新規な細胞毒性/診断プローブを迅速に同定することが可能となる。志賀毒素のBサブユニットに対する天然の受容体は糖脂質であるため、そのループ(受容体特異性に関わる)の配列内の縮重が低レベルである志賀ライブラリーから誘導された変異Bサブユニットの特異性は、糖タンパク質または糖脂質に位置する特徴的な炭水化物構造体に向けられることになろう。仲介結合として知られる2本のループ領域内に高度に縮重した配列を含む毒素ライブラリーの場合、認識される潜在的に可能な表面構造は非常に多様であろうと予想される。抗体結合部位の場合のように、Bサブユニット変異体は、糖質または糖脂質にではなくむしろタンパク質、ペプチド、核酸または有機部位などの各種分子に結合することがある。
【0023】
細胞毒性ヘテロメリックライブラリーの構築には幾つかのまぎれもない利点がある。第一に、ライブラリーは永続的であって、無限にスクリーニングすることができ、新規治療薬または診断薬の不断の源を提供することができる。第二に、結果として得られる毒素変異体の真核細胞に対する致死特性によって、特徴的な細胞標的(癌細胞など)に特異性のある有用な構築物を容易にスクリーニングすることが可能となる。第三に、有用な変異Bサブユニットは細胞毒性A鎖がなくても生成することができ、各種細胞型上の特徴的な標識の存在を検出するためにインビトロまたはインビボのいずれにおいても使用できるような、非細胞毒性の診断薬を直ちに作ることが可能となる。
【0024】
より誘導的な治療法を提供することができ、かつ癌およびその他病気の患者のための診断ツールとして利用できるような多重タスク薬剤を開発するために、本発明の方法をイムノトキシンおよび関連した成長因子毒素抱合体にも適用し得ることは、当業者ならば理解できよう。
【0025】
例えば治療ツールに関しては、本発明は、新規のペプチド薬剤送達ビヒクルまたはタンパク質薬剤送達ビヒクルおよび標的システムを開発することを目的として、標的細胞に対して結合特異性を有する治療タンパク質を同定する方法を提供する。毒性サブユニットと結合サブユニットとを有する適切なヘテロメリックタンパク質毒素を選択した後、本明細書において教示する方法を、必要であれば本技術分野で知られている手段によって適合するように変更を加えて用い、微生物中の毒素をコードする結合サブユニットDNA内に変異を組み込むことによって、変異タンパク質毒素を産生する微生物のクローンのライブラリーを生成することができる。次いで、このライブラリーを、例えば前記した方法によってスクリーニングし、標的細胞を阻害し、または殺す細胞毒性変異タンパク質を産生するクローンまたはクローンのプールを選択する。この選択された細胞毒性変異タンパク質は、所望により本技術分野で知られている方法を用いて患者から取り出した細胞を使い、調製したこの細胞を、細胞毒性変異体を産生するクローンまたはクローンのプールで処理することによってさらにスクリーニングし、標的細胞を阻害し、または殺すのに有効であって、かつその患者とって安全であるような細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールを選択する。
【0026】
別の例として、毒性サブユニットを別の毒性サブユニットで修飾または置換することもできようし、毒素が活性化されるために補因子を必要とするように毒性サブユニットを選択することも、またはそれに工学的操作を加えることもできよう。このようにして、治療タンパク質は被移植体に投与され、治療タンパク質が標的細胞に結合し得るだけの十分な時間が経過した後、補因子が被移植体に導入され、結果として標的細胞を阻害または殺すことになる。
【0027】
診断ツールの構築に関しては、本発明の方法によって、ヘテロメリックタンパク質毒素を選択すること、およびそのヘテロメリックタンパク質毒素から変異タンパク質毒素を産生する微生物のクローンのライブラリーを生成することが可能となり、また高度の感受性と選択性を有する変異毒素をスクリーニングし選択することが可能となる。次いで、標的細胞に対して、本発明の方法によってライブラリーをスクリーニングする。すなわち変異タンパク質毒素を産生するクローンまたはそのクローンのプールを単離し、調製した標的細胞を変異タンパク質毒素で処理し、さらに標的細胞を阻害し、または殺す細胞毒性変異タンパク質またはその細胞毒性変異タンパク質のプールを選択することによってライブラリーをスクリーニングする。毒素を緩和したい場合、例えば選択した診断ツールをインビボで使用しようという場合には、当業者ならば、結合サブユニットを毒性サブユニットから分離することによって、または細胞毒性変異タンパク質の毒性サブユニットを不活化することによって、細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールを修飾することができよう。必要ならばさらに、細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールを、検出可能な標識を用いて標識することもできる。別法として、細胞毒性変異タンパク質を産生する遺伝子を操作して、検出可能な標識を内生的に産生するようにする。例えば、先ず本明細書に教示する方法で細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールを同定し、次いで本技術分野で知られているいずれかの方法によって、細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールの結合サブユニットDNA配列に検出可能な標識をコードする標識DNAを組み込むことによって診断DNA配列を調製し、さらにこの診断DNA配列から診断プローブを生成することで、本発明を用いて細胞表面標識の存在を検出する診断プローブが構築される。本技術分野で知られている検出可能な標識としては、種々の酵素、蛍光物質、発光物質および放射性物質が挙げられる。好適なタンパク質としては、西洋ワサビペルオキシダーゼ、緑色蛍光タンパク質の変異体、ルシフェラーゼ、アルカリホスフォターゼまたはアセチルコリンエステラーゼが挙げられる。好適な蛍光物質としては、ウンベリフェロン、フルオレセイン、ダンシルクロリドまたはフィコエリトリンが挙げられる。好適な発光物質の一例としてはルミノールがある。好適な放射性物質としては、P−32、S−35、Cu−64、Ga−67、Zr−89、Ru−97、Tc−99m、In−111、I−123、I−125、I−131、Rc−186およびAu−199が挙げられる。また、タンパク質を標識してもよく、またはリガンド結合対の一方と結合させてもよい。代表的な例としては、アビジン−ビオチン結合タンパク質、リボフラビン−リボフラビン結合タンパク質が挙げられる。前述の代表的標識を用いて前述のようにタンパク質を結合または標識する方法は、従来の技術を用いて容易に達成することができる。
【0028】
さらに本発明は、被移植体の器官内に生じた標的細胞に対して薬剤を向ける必要があるような病状の治療方法を提供する。これは、結合特異性を有する治療タンパク質の選択において、また引き続き行われる、ペプチド/タンパク質薬剤送達ビヒクルを形成するための、タンパク質の結合サブユニットに薬剤(毒素などの)を結合させることによる治療タンパク質の修飾において、さらには、標的細胞に関連した疾病をもつ被移植体の器官へ有効量の前記薬剤を投与するにおいて、前述の方法を使用することによって達成することができる。ある病状を治療するために本発明を使用する場合、当業者ならば、所望により、本明細書で述べた様々な方法によって治療タンパク質にさらなる修飾を加えることもできよう。
【0029】
さらに本発明は、本発明の方法を実施する際に助けとなるキットをも包含している。本発明の方法を適用するための好適な試薬は、必要な物質を提供する便利なキットの中にひとまとめにすることができ、また本発明の方法を実施する際に有用な好適な支持器を任意に含む、好適な容器にまとめることもできる。
【0030】
志賀毒素および志賀様毒素の作用機序
志賀毒素(ShT)と志賀様毒素(SLT)は、細菌性赤痢、出血性大腸炎、溶血性尿毒性症候群および血栓性血小板減少性紫斑の病因にかかわる構造上関連した細菌毒素である(19〜21)。志賀毒素、すなわち1903年に報告されたこのファミリーの細胞毒素(22、23)の中で最初のメンバーは Shigella dysenteriae 1 によって産生される。志賀様毒素は、E. coli のエンテロヘモラジック菌株によって作られるビルレンス因子として最近同定されたものである(24〜28)。特に、志賀様毒素1を産生する E. coli菌株O157:H7は、日本および米国で最近食中毒の大発生を招いた原因因子として、最近になって同定されたものである。
【0031】
志賀毒素(ShT)と志賀様毒素(SLT)は、全ABx毒素中の最も小さい知られているBサブユニット(残基70未満)を有しており、そのAサブユニットはリシン中の対応するサブユニットとまったく同じ触媒能を有している。図1は、志賀様毒素1のAサブユニットおよびBサブユニットのアミノ酸配列を示している。パネルA(配列ID番号1に対応)は触媒Aサブユニットを示す。パネルB(配列ID番号2に対応)は、CD77に対する受容体結合切片の創造にかかわっていると仮定される残基をかくまうループを表している四角で囲まれた3つの領域を有するBサブユニットを示している。
【0032】
図2は、志賀毒素(ShT;パネルA、側面図)とそのBサブユニット(パネルBおよびC、底面図)の主鎖を表す図である。図2から分かるように、ShTとSLT−1は全く同じBサブユニットをもっている。触媒Aサブユニット(12、パネルA)では、そのC末端がBサブユニットペンタマー(14)の中央の穴に挿入されている。Bサブユニットペンタマー(14、パネルB)は、β−シートを含むサブユニット内およびサブユニット間インターフェースによって安定化している。図1において四角で囲まれたBサブユニットの3つのループ領域のうち2つのループ領域(残基15〜19および30〜33)は、A鎖自身およびBサブユニットのβ−ストランド構造に対するそれらの方向および位置を示すために黒で濃く表してある(16)。ループ58〜66は、ループ15〜19およびループ30〜33の同じ近傍に位置しているが、わかりやすくするためにあえて強調していない。パネルCでは、ペンタマーを生じる対称配列を説明するために、全く同じBサブユニットそれぞれについて異なるしかたで陰をつけてある。
【0033】
これらの毒素は6つのサブユニットから成るタンパクである。すなわち、タンパク合成の阻止にかかわる1つの触媒Aサブユニット(293アミノ酸;分子量32,317)と細胞に毒素を結合させるために必要な5つのBサブユニット(69アミノ酸;各分子量7600)(29〜35;図2)である。Bサブユニットは溶液中で自発的に会合してペンタマーとなる(図2、パネルBおよびC)。これらの毒素の構造は、コレラ毒素、大腸菌易熱性エンテロトキシン(6、7)および百日咳毒素(8)などのその他のより大きい細菌毒素がとる共通のモチーフの典型となっている。
【0034】
ShTおよびSLT−1の細胞特異性は、グリコリピドグロボトリアオシルセラミド(CD77またはGb3 と呼ばれる;Galα1−4Galβ1−4Glcβ1−1セラミド;36、37参照)を認識するBサブユニットによってコードされる。CD77の組織分布は比較的狭く、多数のヒトの癌上で発現する(13、102〜105)。この本来の毒素は、骨髄に由来するヒトのリンパ腫を除くのに有効であることが最近になって明らかになっている(13)。志賀毒素は、感受性細胞に結合した後、被包小窩から細胞内に取り込まれる(38〜40)。A鎖は処理されて、選択的ニッキングおよび本来鎖の縮小によってより小さい27kDaA1 フラグメントとなる。A1 フラグメントは、28SrRNAから1つのアデニン残基を分解する特異性の高いN−グリコシダーゼとして作用する真核リボゾーム(29)の不活化を担っている(41、42)。この部位での脱プリンにより、アミノアシルtRNAの60SリボゾームサブユニットへのEF−1依存結合が防止されることによって、ペプチドの伸長が阻害される(43〜45)。
【0035】
実施例1−定義された真核細胞個体群を標的とする有用な診断剤および治療剤を得るための志賀毒素ライブラリーの設計
本発明に従って、そのBサブユニットによりコードされる毒素の受容体特異性を、ランダム突然変異誘発により変化させた。Bサブユニットの突然変異は、そのA鎖の毒性、およびホロ毒素(holotoxin )の適切な折り畳みおよび組立(すなわち、Bサブユニットの五量体化、A2 ドメインのB五量体への挿入、プロテアーゼ感受性ループの曝露および配向、およびトランスロケーションドメインの充填環境)などの毒素の他の機能に対する負の効果を小さくするために最小限に保った。
【0036】
志賀および志賀様毒素1は、同一のBサブユニットを有する。Bサブユニットは、溶液中で自発的に五量体化するわずか69個のアミノ酸からなる小タンパク質である。(Bサブユニットの五量体としての)その結晶構造は、Aサブユニットの存在下および非存在下で解明され(4、5)、どちらの場合も同一であることが示された。五量体構造内の各Bサブユニット単量体は、6個のβ−鎖(β1、残基3〜8;β2、残基9〜14;β3、残基20〜24;β4、残基27〜31;β5、残基49〜53;β6、残基65〜68)からなり、その69個のアミノ酸の31個を含む(45%;図2)。1つのα−ヘリックス(残基36〜46)が、残りの構造の16%を占める。これらの二次構造の要素は、五量体完全性の維持およびA鎖のA2 ドメインとの会合に必須であるようである(図2)。従って、これらの領域の乱れは、折り畳み問題を生じることがある。2個以上のアミノ酸からなる3個のループ領域が残る。それらはそれぞれ、残基15〜19、32〜35、および54〜64で境界が定められる。Bサブユニット変異誘発研究により、16、17、30、33および60位を置換すると、得られる毒素の細胞毒性能は消失または減少し、一方、18位をAspからAsnに置換すると、毒素の受容体特異性が変化したことが示された(85〜89)。CD77(Gb3 )のBサブユニットへのドッキングを含む分子モデル研究は、これらのループに位置する残基に関係づけた(90、91)。Bサブユニット五量体上にはCD77に対する2つの潜在的な結合部位、すなわち、部位IおよびIIが存在すると仮定されている(90、91)。領域15〜19および30〜33、特にAsn15、Asp16、Asp17、およびPhe30に位置する残基は、推定上の結合部位Iのほとんどを形成する(91)。モデル研究から得られた相互作用エネルギーの計算により、部位Iは、CD77相互作用を媒介する主な部位でありそうなことが示唆された(91)。従って、部位特異的突然変異誘発およびドッキング実験の両方の結果により、ループ領域に見られる残基は、ランダム突然変異により受容体特異性の変化をもたらし得る部位であることが示唆される。本明細書で記載したように、残基は、2つのループ領域内、すなわち、残基15〜19(ループ1)および残基30〜33(ループ2;専門的に言えば、この領域はループではなく、むしろβ4鎖の末端および第二ループの始まりを示す)で乱れる。ループ3(残基58〜64;図2)中のランダム突然変異誘発もまた、本発明の目的の達成に有効であり得る。初期の研究は、前記の分子領域に焦点を当てていたが、この境界設定は、毒素の特異性を変化させる試みにおいて、任意のBサブユニット残基を標的化する可能性を除外するものではない。
【0037】
9個の残基がループ1および2に含まれ、209 のオーダーの潜在的なライブラリー複雑性を生み出す(全9個の残基が全体的にランダム化され、全てのタンパク質組合せを回収する場合、5×1011個の異なる突然変異タンパク質)。それ故、目的の9個の残基が完全にランダム化されないように、毒素ライブラリーの複雑さのレベルを減少させることが有利である。この目標は、ヌクレオチド「ドーピング」レベルが増加した突然変異方法に使用するためのオリゴヌクレオチドを合成することにより達成された。その後の突然変異に望ましいドーピングレベルを有するオリゴヌクレオチドの選択により、特定のオリゴヌクレオチドプールから作成したライブラリーの多様性レベルを直接制御することが可能となる。例えば、標的領域の9個中5個のアミノ酸位置での突然変異により、より満足できる多様性レベルである、205 のオーダーの多様性(3.2×106 個の突然変異毒素)がもたらされる。実際、106 個以上の化合物を有するライブラリーのスクリーニングは、化学またはペプチドライブラリーにおける、有用な「リード」化合物の同定(スクリーニングプロセスにおいて結合アッセイまたは機能アッセイを使用して)に、必要であると以前に証明されなかった。さらに、細胞表面上の潜在的な標的部位の数は多く、スクリーニング工程の必要が増えるだろう。
【0038】
実施例2−ヘテロマー細胞毒性タンパク質組合せライブラリーの突然変異誘発および作成
志賀および志賀様毒素1は、配列的に、それらのAサブユニットにおけるわずか1個のアミノ酸により異なり、同一のBサブユニットを有する。本明細書で記載したランダム突然変異誘発法は、SLT−1遺伝子を使用するが、志賀毒素構造鋳型から得られた突然変異タンパク質のアンサンブルの定義において、「志賀様毒素1ライブラリー」よりもむしろ、より簡単な用語の「志賀毒素ライブラリー」を使用した。
【0039】
簡潔には、組換えプラスミドpJLB28(32)を、突然変異誘発の鋳型として使用した。この作成物は、pUC19に挿入したバクテリオファージH−19BのBglII−BalIフラグメントを有し、これは、活性SLT−1ホロ毒素の産生を指定する。追加の作成物は、pJLB28により保有されるSLT−1遺伝子からなるPCR産物を、原核発現ベクターpTUGにクローン化することにより作成した(92)。後者の作成物であるpTGXHは、毒素変異体の精製を促進するためのA鎖のN末端に融合したヘキサ−ヒスチジン配列と共にSLT−1の産生をコードする。
【0040】
DNAにランダム突然変異を発生させるために使用できる数多くの方法がある。定義された縮重領域(93〜96)を有する合成オリゴヌクレオチドを使用した突然変異は、本発明の要求、すなわち、厳密に定義された突然変異原性窓および発生した突然変異の頻度および型を調節する必要性を満足する、確立された信頼のおける技術である。図3で示した配列を有する突然変異原性オリゴヌクレオチド(98−mers)を、アプライドバイオシステムズ392DNAシンセサイザーで合成した。ループ1およびループ2は、それぞれ、Bサブユニットの残基15〜19および30〜33を示す。プライマーA(図3A;配列ID番号3に対応)は、本文に記載したように、2つのループに調節されたランダム化レベルを有するように合成した。プライマーB(図3B;配列ID番号4に対応)は、その3’末端で15個の塩基がプライマーAと重複し、これを、プライマーAと共に使用して、相互に開始される合成により組合せカセットを創製した。ライブラリーのクローン化に使用した制限部位は太文字で示す。プライマーは、ループ1および2の両方を同時に突然変異させるように設計した。この2つの領域間に新たなSacI制限部位を導入するサイレント変異を、突然変異原性プライマーに取り込んで、形質転換体DNAのスクリーニングを容易にし、変異体間の領域の「混合」を可能とした。予測可能なサイズのライブラリーを産生できるように、ループ1および2の「ランダムさ」レベルの増加をもたらす、5個の異なる(98−mers)突然変異原性プライマーを合成した。この方策は、「NNS」形でループ領域にコドンを合成することにより達成され、ここで、Nは、一定の比率の3つの他の塩基で「ドーピング」した野生型塩基の混合物由来の成長鎖に加えた塩基であり、Sは、シトシンとグアニンの1:1混合物から加えた塩基である。後者の方法の態様により、コドンは全20個のアミノ酸を指定できるようになるが、DNAコードの縮重を減少させることにより1:20に近い一定のアミノ酸が観察される機会を与える。また、アンバー停止コドンTAGのみが、この方策を使用して産生でき、従って、不完全なタンパク質の産生は最小限となる。
【0041】
合成された5個の突然変異原性プライマーは、ドーピングレベルが、1.2%〜75%の範囲であり、ここで、75%は完全なランダムコドンを示す(すなわち、特定の塩基を配置するために使用したホスホルアミジト混合物は、25%の野生型塩基および25%の各々の他の塩基を含んだ)。12.5%のドーピングレベルで作成した突然変異原性プライマーを初期の研究に選択して、ライブラリーを産生し、ここで、潜在的に異なる配列の数(3.2×106 個の突然変異体、または1クローンあたり9個中約5個の置換の突然変異率)は、十分に大腸菌(Escherichia coli)形質転換効率の限界内にあった。
【0042】
これまで、2つの方策を使用して、突然変異原性オリゴヌクレオチドを毒素遺伝子に取り込み、特殊部位排除法(97)を使用して、または組合せカセットの創製により、変異タンパク質のライブラリーを創製した。一本鎖ランダム突然変異原性プライマーを、ファルマシアUSEキットを利用する特殊部位排除(USE)突然変異誘発法(97)を使用して、二本鎖プラスミドに取り込んだ。この方法により、突然変異誘発が制限部位の非存在下で任意の二本鎖プラスミド上で実施可能となる(97)。
【0043】
突然変異誘発法の効率を高め、得られたクローンの多様性を最大限にする試みにおいて、組換えカセット法を、毒素ライブラリーの産生にも使用した。この方法において、図3Aで示される同一のオリゴヌクレオチドプールを、図3Bで示される重複オリゴ配列にアニールさせた。二本鎖カセットは、相互に開始される合成により、すなわち、各オリゴヌクレオチドが反対のセンス鎖の形成をコードするように、DNAポリメラーゼおよびdNTP’sを、重複対と共に反応に含めることにより、創製した。その後、カセットをPCRを使用して増幅し、AccIおよびPstI部位に毒素遺伝子を含むベクターに直接クローン化した。
【0044】
突然変異誘発プロセスのさらなる改良は、当業者には知られている。例えば、ライブラリーは、ウラシルDNAグリコシラーゼ法を使用した完全にライゲーションのない系を使用して創製し得る(101)。特に、様々な異なる突然変異誘発法において同一のランダムオリゴヌクレオチドプールを使用する実証された能力は、系の柔軟性およびその高い適応能および迅速な改善を強調する。
【0045】
実施例3−乳癌細胞SK−BR−3に対するヘテロマー細胞毒性タンパク質組合 せライブラリーのスクリーニング
初期のライブラリーは、12.5%のドーピングレベルをもつ突然変異原性オリゴヌクレオチドと共にUSE法を使用して作成した。 E. coli JM101株を、ランダム化オリゴヌクレオチドを取り込んだベクターDNAを用いて形質転換した後、寒天プレートから拾ったコロニーを、円錐形のウェル底を有する96ウェルプレート中で増殖させ、個々のクローンを、単離株から拾い上げた。変異体は、リボソームを不活性化できるA鎖を有する毒素を産生していることを確認するために、ランダムに選択した17個のクローンにより産生された抽出物を集め、真核タンパク質合成を阻止する能力について評価した。この評価は、プロメガTnT共役転写/翻訳網状赤血球ライセート系を使用し、細菌抽出物の存在下および非存在下でルシフェラーゼ遺伝子の産物を測定することからなる。試験した全てのクローンの抽出物が、ルシフェラーゼタンパク質の翻訳を阻止した。これらの変異体の5つがシークエンスされ、ランダム化ループ領域のヌクレオチド配列を表1に示す。試験したクローンは、1クローンあたり9中約5という所望の突然変異率を反映した。
【0046】
【表1】
表1. ShT組合せライブラリー(12.5%のドーピングレベル)の1つおよび野生型志賀毒素から回収した、5つのShT突然変異クローンの変異原生ループ間のヌクレオチドとアミノ酸配列の比較。ループ1および2は、ShT(またはSLT−1)のBサブユニットのそれぞれ残基15〜19および30〜33を示す。
【0047】
ShT変異体の細胞殺滅能は、最も直接的で実践的な有用性の尺度を示す。この機能(全ての毒素変異体により保持される細胞毒性特性)は、各突然変異体に組込まれた検索エンジンを与え、かかる細胞を死滅できる新規な突然変異毒素を同定するために、任意の真核細胞に対して任意のShT組合せライブラリーをスクリーニングすることが可能となる。
【0048】
1つの例で、乳癌細胞系SK−BR−3を、最初の真核標的として使用する。SK−BR−3細胞は、米国基準菌株コレクション(American Type Culture Collection)から得られた。細胞を、10%ウシ胎児血清を補充したα−MEM培地中で増殖および維持した。細胞を37℃、5%CO2 で増殖させ、培地は2日毎に交換した。細胞密度は、各細胞系が、細胞毒性試験開始時にほぼ同程度の集密性となることが確実になるように選択した。
【0049】
毒素含有抽出物は、突然変異を起こさせたベクターDNAで形質転換した E. coli JM101株の個々のクローンの一晩培養物のペレットを凍結解凍[B.H.Johnson、M.H.Hecht、Bio/Technology 12、1357 (1994)]することにより産生された。クローンは、100mg/mlカルベニシリン(TB−carb)を補充した、200μl(SKBR−3上でスクリーンしたクローン)または800μl(CAMA−1上でスクリーンしたクローン)のテリフィックブロス中で増殖させた。抽出物で乳癌細胞を48時間中毒化させ、その後、細胞生存率を、テトラゾリウム塩WST−1(4−[3−(4−ヨードフェニル)−2−(4−ニトロフェニル)−2H−5−テトラゾリオ]−1,3−ベンゼンジスルホネート;ベーリンガーマンハイム)の使用により、またはダイスルホローダミンB(SRB)を使用して全細胞性タンパク質含量を測定することにより測定した[P. Skehan, et al.、J. Nat. Cancer Inst. 82、1107 (1990)]。姉妹選択法[M. McCormick、Meth. Enzmol. 151、445 (1987)]をShTクローンをスクリーニングする場合に使用した。標的細胞を死滅させるクローンが同定されれば、それらを3mlのTB−carbに接種し、一晩37℃で250rpmで振とうしながら増殖させ、その後、抽出して、細胞系に対する細胞毒性について再試験した。
【0050】
1000クローンのセットを、(12.5%ドーピング)ライブラリーから拾い、スクリーニング手法を試験した。8×8の姉妹選択グリッド系(98)を使用し、ここで、1つのクローンを、7個の別のものと共に、試験した各クローンが2つの別々のプールに存在する系中にプールした。8−クローンプールを増幅させ、その後、混合物由来の抽出物を、Vero細胞(野生型毒素に高度に感受性の細胞系)およびヒト乳癌細胞SK−BR−3細胞系(野生型毒素に感受性のない細胞系)に対する細胞毒性について試験した。生細胞におけるミトコンドリアデヒドロゲナーゼによるテトラゾリウム塩WST−1の開裂に基づく比色試験によって、細胞生存率を定量した。WST−1の開裂により、96ウェルプレート型式およびプレート解読器を使用して可視範囲(450nm)で容易に測定できる水溶性ホルマザンが生じ、これにより、高流量のスクリーニングアプローチの使用が可能となる。別のテトラゾリウム塩XTT、MTT、またはスルホローダミンBなどのダイといった、他の比色細胞生存率試験を使用したか、または使用し得る。さらに、スクリーニングは、細胞コロニー、または放射標識したヌクレオチドまたはアミノ酸の核酸またはタンパク質への取込みの計測により測定する細胞増殖試験を使用して実施できる。細胞殺滅毒素の産生に関与するクローンを、同一細胞系上で個々に再試験した。この予備のクローンのセットにより、これまで、野生型ShTと比べてSK−BR−3細胞を殺滅する能力の劇的な増大を示した少なくとも14個のクローンが得られた。いくつかのライセートは、生細胞を含む対照ウェル(毒素は全く存在せず)に比して≧90%のSK−BR−3細胞を抹消させることができた。プラスミドDNAを回収し、細胞毒性試験で一貫してSK−BR−3細胞を殺滅した単離株から配列させた。14個の突然変異毒素の突然変異B−サブユニットループ領域の配列アラインメントを、表2に提示する。
【0051】
いくつかのクローンが、Vero細胞に対して細胞毒性の減少を示したが、SK−BR−3毒性は増強を示した。本発明の目標が、毒素の天然特異性をCD77糖脂質から別の細胞表面マーカーへと変化させることであるので、後者のクローンは、非常に重要なものである。1000個以上の単一のクローンにまでスクリーンをスケールアップすることにより、スクリーニング手法は最適化される。
【0052】
この低レベルの縮重ライブラリーから同定されたクローンは、第一のループ(残基15〜19)の顕著な保存を示し、これは、CD77の受容体相同体に結合できるShT突然変異体に向けて回収した単離株の「ゆがみ」を反映していると考えられる。これに対し、同ライブラリーからランダムに拾ったクローンは、野生型配列の維持する傾向を全く示さず、予測した比率でその標的領域にアミノ酸置換を有した(結果は示していない)。いくつかの細胞毒性ShT変異体を過剰発現させ、精製して均一とし、SK−BR−3細胞に対するその細胞毒性について評価した。
【0053】
【表2】
表2 . SKBR−3細胞(12.5%のドーピングレベルのライブラリーから回収)およびCAMA−1(75%のドーピングレベルのライブラリーから回収したクローン)に対する細胞毒性活性を示すクローンのアミノ酸配列。ループ1および2は、表1で示したのと同一のBサブユニット残基を示す。
【0054】
実施例4−乳癌細胞系CAMA−1に対するヘテロマー細胞毒性タンパク質組合せライブラリーのスクリーニング
第二のライブラリー(今回は、より縮重した60%のドーピングレベルをもつオリゴヌクレオチドプールを使用した)を、以前に記載された組合せカセットライブラリーを使用して作成した。ライブラリーは、実質的に、最初にスルホローダミンB細胞生存率試験および細胞系CAMA−1を使用してスクリーニングした。この細胞系はまた、SKBR−3のような乳癌であるが、CD77マーカーを欠失していることが示され、天然SLT−1毒素に極度に耐性である。CAMA−1細胞は、米国基準菌株コレクションから得られた。細胞を、10%ウシ胎児血清を補充したα−MEM培地中で増殖および維持した。細胞を37℃、5%CO2 で増殖させ、培地は2日毎に交換した。細胞密度は、各細胞系が、細胞毒性試験開始時にほぼ同程度の集密性となることが確実になるように選択した。
【0055】
カセットライブラリー由来の600SK−BR−3の単一クローンのコレクションを、CAMA−1に対する細胞毒性効果についてスクリーニングし、SKBR−3の場合と同様、いくつかの有望な毒素変異体を同定し、その配列を表3に示す。この非常に多様なライブラリーから同定したクローンは、野生型毒素のものとはほとんど完全に異なる、アミノ酸配列を標的領域中に有することが判明した。このライブラリーの配列多様性は、非常に大きく(209 個までの突然変異体)、Escherichia coliの形質転換効率限界(〜1010)を超えている。このスクリーニングから得られた3個のShT突然変異体の細胞毒性曲線を、図6に提示する。100〜300nMの範囲のCD50値を、これらのShT変異体について計算した。(変異体122、126および824;細胞継代数13;記号:天然毒素(△);ShT変異体122(◆);ShT変異体126(●);ShT変異体824(■))。各点は、三回実施した実験の平均から計算した細胞生存率%を示す。
【0056】
【表3】
表3 . 細胞毒性活性CAMA−1を示すクローンのアミノ酸配列(60%のドーピングレベルライブラリーから回収したクローン)。ループ1および2は、表1に示したのと同一のBサブユニット残基を示す。
【0057】
実施例5−毒素変異体により標的化される細胞表面分子のサイクリングの評価
SK−BR−3細胞の様々な突然変異体に対する感受性は、細胞継代の関数として変化することが判明した。図4は、クローン506から得られた毒素変異体におけるこの現象を示す。図4は、継代34(◆)、40(■)、56(▲)、および68(▼)に対する変異体506の効果;および継代40(□)、56(△)、および59(○)に対する天然ShTの効果を示す。継代数は、米国基準菌株コレクションにより定義されるように、継代数24で開始した培養物における、SK−BR−3細胞系の継代数を示す。各点は、三回実施した実験の平均から計算した細胞生存率%を示す。このShT突然変異体のCD50の範囲の値は、SK−BR−3細胞系の継代数に応じて、3.5nM〜>290nMであった。このようにスクリーンは、比較的クローン性の細胞個体群の場合でさえも、SK−BR−3細胞上の選択した表面マーカーの迅速かつ一過性の性質を記録した。興味深いことに、ShT−506に対するSK−BR−3細胞の感受性の変化は、継代数に関連したランダムな事象である(図5)。標的化細胞系(継代数24で開始;ATTC)は、継代数32でShT変異体506に耐性、継代数34および40で感受性、継代数56までに再びほぼ耐性、最後に、継代数63および68までにShT変異体506の作用に対して感受性に復帰するというように循環した。これに対し、SK−BR−3細胞は、類似した範囲の細胞継代において、天然毒素の作用に対して耐性を維持し、これは、細胞表面分子CD77が、長い間安定を維持することを示唆する。例えば、図5は、SK−BR−3細胞を、様々な細胞継代数で、14nM溶液の天然ShT(●)またはShT変異体506(○)に曝露した場合に観察された細胞生存率の差を示す(各点は、三回実施した実験の平均から計算した細胞生存率%を示す)。
【0058】
この現象は、CD77の表面発現は、ShT変異体506により認識されるマーカーよりも、より調節されていることを示唆する。SK−BR−3細胞に対するShT−506の細胞毒性の差が、100継代以上の細胞系で観察され、全て同一の増殖条件下で実施した(結果は示していない)。よって、これらの変異体のライブラリーのスクリーニングにより、細胞表面分子の発現および迅速なサイクリングを研究するための、価値あるプローブ源が提供された。他の型の研究も、本発明のライブラリーのこの特徴を活用できる。例えば、ShT変異体のコレクションは、腫瘍細胞の転移能の獲得に至る分化事象を表現型的に定めるために、または造血細胞系統の発達の研究に役立ち得る。
【0059】
ほとんどの腫瘍が不均一であるという事実は、大量の候補毒素を、おそらく治療法にカクテルとして投与するために、同定すべきであることを示唆する。この事実は、記載のアプローチの威力を強調する。なぜなら、単一の毒素鋳型で、多くの潜在的な特異性についてスクリーニングでき、一方、免疫毒素などの他の薬剤は、その標的受容体を示す細胞にのみ特異性を有するからである。特異性の概念はまた、標的化細胞表面マーカーの発現が、細胞個体群内で一定して維持されることを想定する。図4に提示した結果は、この仮定の正当性に反対の主張をする。ここでの結果は、本発明の使用により、比較的均一な細胞個体群に対して細胞毒性である毒素突然変異体のコレクションを容易に同定できることを実証する。細胞毒性試験をもとにした探索は、高流量スクリーニング手法を受け入れられるので、変異毒素ライブラリーをより徹底的に探求して、かかる毒素突然変異体ファミリーを発見することが可能となる。生体外パージ条件の関連では、毒素変異体の有用性は、骨髄細胞または末梢幹細胞をこれらの薬剤に曝露させ、造血細胞系統の再構成レベルを、in vitroまたはin vivo設定下でフローサイトメトリを使用して観察することにより、容易に評価できる(例えば、SCID、NOD/SCIDマウスの移植実験;参考文献14)。ShTライブラリー探索の標的としての乳癌細胞系SK−BR−3およびCAMA−1を初めに選択したのは、ほとんどの自家骨髄移植(ABMTs)または末梢幹細胞移植は、現在、乳癌患者で実施されており、その幹細胞の生体外パージは、患者の長期生存の点で有益と判明し得るという事実に由来する(13、106−107)。in vivo治療計画の設計の主な関心事である、癌細胞に対して独特な選択的薬剤の要求は大きく減少する。なぜなら、1つ以上の突然変異毒素が、標的表面マーカーがヒト幹細胞上に存在しない限り、臨床的に有用であり得るからである。
【0060】
リガンド結合特性の点で、抗体とShT変異体の構造の間に相似を引き出すことができる。抗体は、2つの抗原結合部位を有しているが、一方、ShT Bサブユニット五量体は、少なくとも5つの同一のリガンド結合ドメインを有している。両方の構造実体が、ループ領域により連結された保存されたβ鎖骨格を有し、これは共に、その受容体結合ドメインを定める。抗体結合部位の場合と同様に、Bサブユニット変異体は、かくして、糖または糖脂質(例えばCD77)よりもむしろ、タンパク質、ペプチド、核酸またはさらには有機部分などの一連の分子実体に結合し得る。しかし、本発明のライブラリーから得られた毒素の多様性は、抗体レパートリを指図する遺伝子組換えおよび体細胞突然変異により偏らない。ライブラリーに存在する受容体結合多様性の莫大な可能性は、ライブラリーの縮重が増加するにつれて、突然変異Bサブユニットへのリガンドとして利用可能な分子表面上の分子の多様性も増加するという事実を強調する。
【0061】
実施例6−診断手段を開発するための突然変異毒素の使用
ヘテロマータンパク質毒素を選択し、ヘテロマータンパク質毒素から変異体タンパク質毒素を産生する微生物クローンのライブラリーを作成した後、次いで、ライブラリーを、標的細胞に対して、本発明の方法により、すなわち、変異タンパク質毒素を産生するクローンまたはクローンのプールを単離し、標的細胞の調製物を、変異タンパク質毒素で処理し、標的細胞を阻止または殺滅する細胞毒性突然変異タンパク質または細胞毒性突然変異タンパク質のプールを選択することによりスクリーニングする。細胞毒性突然変異タンパク質またはタンパク質のプールを産生する遺伝子を操作して、検出マーカーを内因的に産生させる。その後、当分野で公知の任意の手段により、検出マーカーをコードするマーカーDNAを、細胞毒性突然変異タンパク質またはタンパク質のプールの結合サブユニットDNA配列(群)に組込み、診断DNA配列から診断プローブを産生することにより、細胞表面マーカーの存在を検出するための診断プローブが作成される。本発明者は、かかる診断プローブの蛍光マーカーとして、クラゲエクオリアビクトリア(Aequorea victoria )由来のグリーン蛍光タンパク質(GFP)を使用した。このマーカーは、細菌から高等植物および動物までの範囲の様々な生物に有用である(Tsein, RY、1998、Annu Rev Biochem、67:509−44; Chalfie, M. 、Tu, Y.、Euskirchen, G. 、Ward, W. W. および Prasher, D. C. 、1994、Science、263:802−805 )。蛍光発色団の形成は、種に依存せず、遺伝子産物は、その強力な蛍光により容易に検出可能である(Prasher, DC、1995、Trends Genet、1995、8月、11(8):320−3)。それは、in vivo、in situ、およびリアルタイムで遺伝子発現を監視するのに有用である(Rizzuto R. et al.、1998、Trends Cell Biol、7月、8(7):288−92)。真核または原核細胞で発現させる場合、GFPは明るいグリーンの蛍光を発する。GFPは、任意の他の内因性または外因性タンパク質、基質または補因子の非存在下で蛍光を発する。蛍光は、安定で種に依存せず、ある場合には、生細胞および動物全体において非侵入的に監視できる(Chalfie, M., et al. 、上記)。
【0062】
本発明の実証された有用性に照らして、有用な治療および診断分子が同定されるという期待をもって、この方法を、他の細胞にも適用できることを当業者は理解するだろう。細胞上には数多くの標的部位があるので、細胞毒性活性を有する多くの突然変異毒素が発見されることが期待される。
【0063】
【0064】
【0065】
【図面の簡単な説明】
【図1】 志賀様毒素1のAサブユニット(図1A;配列ID番号1に対応)およびBサブユニット(図1B;配列ID番号2に対応)のアミノ酸配列を表す図である。
【図2】 志賀毒素(ShT;パネルA、側面図)およびそのBサブユニット(パネルBおよびC、底面図)の主鎖を表す図である。
【図3】 ShTライブラリーを作るために合成されるプライマーA(図3A;配列番号3に対応)とプライマーB(図3B;配列ID番号4に対応)のオリゴヌクレオチド配列を表す図である。
【図4】 継代34(◆)、40(■)、56(▲)および68(▼)のShT変異体506がSK−BR−3細胞を殺す能力、ならびに継代40(□)、56(△)および59(○)の生ShTの効果を示す細胞毒性曲線を表すグラフである。
【図5】 細胞継代数を変えて、生ShT(●)またはShT変異体506(○)のいずれかの14nM溶液にSK−BR−3細胞を曝したときに観察された、細胞生存能力の違いを表すグラフである。
【図6】 同定された、CAMA−1細胞を殺す3つのShT変異体(本来の毒素(△);ShT変異体122(◆);ShT変異体126(●);ShT変異体824(■))の能力を表すグラフである。
【配列表】
Claims (12)
- 野生型とは異なる受容体結合特異性を有する細胞毒性変異タンパク質またはタンパク質のプールを野生型の細胞毒性タンパク質から作製する方法であって、以下の(A)〜(E)の工程からなる方法:
(A)毒性ドメインまたはサブユニットおよび結合ドメインまたはサブユニットを有するヘテロメリックタンパク質毒素を選択する工程、
(B)該ヘテロメリックタンパク質毒素の結合ドメインまたはサブユニットをコードするDNAの1またはそれ以上の残基に変異を組み込むことによって、複数の変異型ヘテロメリックタンパク質毒素を産生するようにする工程、
(C)複数の変異型ヘテロメリックタンパク質毒素を産生する微生物クローンのライブラリーを生成する工程、
(D)該ライブラリーの変異型ヘテロメリックタンパク質毒素を、当該スクリーニングに用いる毒素濃度では野生型のヘテロメリックタンパク質毒素に不感受性であるスクリーニング細胞集団に対してスクリーニングする工程であって、
(i)該複数の変異型ヘテロメリックタンパク質毒素を産生するクローンまたはクローンのプールを単離し、
(ii)単離されたクローンまたはクローンのプールにより産生された複数の変異型ヘテロメリックタンパク質毒素で該スクリーニング細胞集団の調製物を処理し、
(iii)処理された該スクリーニング細胞集団の調製物を毒性について観察し、
(iv)上記毒性の観察に基づき、該スクリーニング細胞集団を野生型の細胞毒性タンパク質より強く阻害するかまたは殺す、野生型の結合タンパク質とは異なる受容体結合特異性を有する細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールを選択することにより、当該スクリーニングを行なう工程、および
(E)選択された細胞毒性変異タンパク質またはタンパク質のプールのさらなるコピーを作製する工程。 - 該ヘテロメリックタンパク質毒素が、志賀毒素、志賀様毒素1を含む志賀様毒素、リシン、アブリン、ゲロニン、クロチン、アメリカヤマゴボウ抗ウイルス性タンパク質、サポリン、モモルジン、モデシン、サルシン、ジフテリア毒素および緑膿菌(Pseudomonasaeruginosa)外毒素Aからなる群より選択される請求項1に記載の方法。
- 該ヘテロメリックタンパク質毒素が志賀毒素または志賀様毒素1であり、該変異が配列ID番号2のアミノ酸残基15〜19番、30〜33番または58〜64番に相当するループ領域に組み込まれる請求項1に記載の方法。
- 該結合ドメインまたはサブユニットが、志賀毒素もしくは志賀様毒素のBサブユニット鋳型から誘導されるか、または大腸菌(E.coli)易熱製エンテロトキシン、コレラ毒素、百日咳毒素もしくはリシンの受容体結合ドメインから誘導される請求項1に記載の方法。
- 標的細胞を請求項1に記載の方法により作製された野生型とは異なる受容体結合特異性を有する細胞毒性変異タンパク質またはタンパク質のプールで処理することからなる標的細胞を殺すかまたは阻害する方法であって、該標的細胞が該細胞毒性変異タンパク質またはタンパク質のプールと特異的に結合する受容体を発現している方法。
- 標的細胞に対し結合特異性を有する治療タンパク質を同定する方法であって、以下の(A)〜(B)の工程からなる方法:
(A)請求項1に記載の方法によって細胞毒性変異タンパク質またはタンパク質のプールを作製する工程、および
(B)標的細胞の調製物および非標的細胞の調整物を該細胞毒性変異タンパク質またはタンパク質のプールで処理することにより、該標的細胞および該非標的細胞に対して該細胞毒性変異タンパク質をスクリーニングし、該標的細胞を阻害するかまたは殺すには有効であるが、該非標的細胞を阻害するかまたは殺すには該標的細胞を阻害したり殺したりするほど有効ではない治療タンパク質または治療タンパク質のプールを選択する工程。 - 結合特異性を有する薬剤の構築法であって、以下の(A)〜(C)の工程からなる方法:
(A)請求項6に記載の方法によって、結合特異性を有する治療タンパク質を選択する工程、
(C)該結合サブユニットに薬物を結合させて薬剤を形成する工程。 - さらに、(A)と(C)の間に(B)該毒性サブユニットを分離または不活化することによって、該治療タンパク質を修飾する工程を含む請求項7の方法。
- 細胞毒性サブユニットおよび結合サブユニットからなる細胞毒性ヘテロメリックタンパク質を含んでなる組成物であって、該細胞毒性ヘテロメリックタンパク質が志賀毒素または志賀様毒素の結合サブユニット内の1以上の部位における変異により誘導されたものであり、該部位がCD77の受容体結合裂部の生成に関与するアミノ酸残基を包含するループ内に位置し、該変異の結果、該細胞毒性タンパク質がCD77に結合せず、1以上の他の受容体に細胞毒性効果を伴って結合することを特徴とする組成物。
- 該志賀様毒素が志賀様毒素1であり、該変異が該結合サブユニットの配列ID番号2のアミノ酸残基15〜19番、30〜33番または58〜64番に相当する位置にある請求項9記載の組成物。
- 結合部および薬剤部からなる、細胞表面マーカーを有する標的細胞に送達するための標的指向薬剤を作製する方法であって、以下の(A)〜(B)の工程からなる方法:
(A)次のステップ(i)〜(v)からなるプロセスにより細胞表面マーカーに結合する結合サブユニットを同定する工程:
(i)毒性ドメインまたはサブユニットおよび結合ドメインまたはサブユニットを有するリボソーム不活化タンパク質であるヘテロメリックタンパク質毒素を選択するステップ、
(ii)該ヘテロメリックタンパク質毒素の結合ドメインまたはサブユニットをコードするDNAの1またはそれ以上の残基に変異を組み込むことによって、複数の変異型ヘテロメリックタンパク質毒素を産生するようにするステップ、
(iii)複数の変異型ヘテロメリックタンパク質毒素を産生する微生物クローンのライブラリーを生成するステップ、
(iv)該ライブラリーの変異型ヘテロメリックタンパク質毒素を、当該スクリーニングに用いる毒素濃度では野生型のヘテロメリックタンパク質毒素に不感受性であるスクリーニング細胞集団に対してスクリーニングするステップであって、
(a)該複数の変異型ヘテロメリックタンパク質毒素を産生するクローンまたはクローンのプールを単離し、
(b)単離されたクローンまたはクローンのプールにより産生された複数の変異型ヘテロメリックタンパク質毒素で該スクリーニング細胞集団の調製物を処理し、
(c)処理された該スクリーニング細胞集団の調製物を毒性について観察し、
(d)上記毒性の観察に基づき、該スクリーニング細胞集団を野生型の細胞毒性タンパク質より強く阻害するかまたは殺す、野生型の結合タンパク質とは異なる受容体結合特異性を有する細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールを選択することにより、当該スクリーニングを行なうステップ、および
(v)標的指向薬剤の結合部として用いるために選択された細胞毒性変異タンパク質の結合ドメインまたはサブユニットの配列を決定する工程、ならびに
(B)該結合部を該薬剤部に結合する工程。 - 野生型の細胞毒性タンパク質の変異体である、野生型とは異なる受容体結合特異性を有する細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールをコードする核酸配列または核酸配列のプールを作製する方法であって、以下の(A)〜(E)の工程からなる方法:
(A)毒性ドメインまたはサブユニットおよび結合ドメインまたはサブユニットを有するリボソーム不活化タンパク質であるヘテロメリックタンパク質毒素を選択する工程、
(B)該ヘテロメリックタンパク質毒素の結合ドメインまたはサブユニットをコードするDNAの一以上の残基に変異を組み込むことによって、複数の変異型ヘテロメリックタンパク質毒素を産生するようにする工程、
(C)複数の変異型ヘテロメリックタンパク質毒素を産生する微生物クローンのライブラリーを生成する工程、
(D)該ライブラリーの変異型ヘテロメリックタンパク質毒素を、当該スクリーニングに用いる毒素濃度では野生型のヘテロメリックタンパク質毒素に不感受性であるスクリーニング細胞集団に対してスクリーニングする工程であって、
(i)該複数の変異型ヘテロメリックタンパク質毒素を産生するクローンまたはクローンのプールを単離し、
(ii)単離されたクローンまたはクローンのプールにより産生された複数の変異型ヘテロメリックタンパク質毒素で該スクリーニング細胞集団の調製物を処理し、
(iii)処理された該スクリーニング細胞集団の調製物を毒性について観察し、
(iv)上記毒性の観察に基づき、該スクリーニング細胞集団を野生型の細胞毒性タンパク質より強く阻害するかまたは殺す、野生型の結合タンパク質とは異なる受容体結合特異性を有する細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールを選択することにより、当該スクリーニングを行なう工程、および
(E)選択された細胞毒性変異タンパク質または細胞毒性変異タンパク質のプールをコードする核酸配列または核酸配列のプールのさらなるコピーを作製する工程。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
CA2,222,993 | 1998-02-04 | ||
CA002222993A CA2222993A1 (en) | 1998-02-04 | 1998-02-04 | A method for using a ribosome-inactivating protein complex as a structural template and a molecular search engine in the design, construction and screening of combinatorial protein libraries |
PCT/CA1998/001137 WO1999040185A1 (en) | 1998-02-04 | 1998-12-08 | Cytotoxic heteromeric protein combinatorial libraries |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002503453A JP2002503453A (ja) | 2002-02-05 |
JP2002503453A5 JP2002503453A5 (ja) | 2006-02-02 |
JP4339511B2 true JP4339511B2 (ja) | 2009-10-07 |
Family
ID=4161822
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000530599A Expired - Fee Related JP4339511B2 (ja) | 1998-02-04 | 1998-12-08 | 細胞毒性ヘテロメリックタンパク質組合せライブラリー |
Country Status (8)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US7713915B1 (ja) |
EP (1) | EP1051482B1 (ja) |
JP (1) | JP4339511B2 (ja) |
AT (1) | ATE337396T1 (ja) |
AU (1) | AU769824B2 (ja) |
CA (1) | CA2222993A1 (ja) |
DE (1) | DE69835695T2 (ja) |
WO (1) | WO1999040185A1 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017019623A2 (en) | 2015-07-26 | 2017-02-02 | Molecular Templates, Inc. | Cell-targeting molecules comprising shiga toxin a subunit effectors and cd8+ t-cell epitopes |
WO2018106895A1 (en) | 2016-12-07 | 2018-06-14 | Molecular Templates, Inc. | Shiga toxin a subunit effector polypeptides, shiga toxin effector scaffolds, and cell-targeting molecules for site-specific conjugation |
WO2018140427A1 (en) | 2017-01-25 | 2018-08-02 | Molecular Templates, Inc. | Cell-targeting molecules comprising de-immunized, shiga toxin a subunit effectors and cd8+ t-cell epitopes |
EP3636660A1 (en) | 2015-05-30 | 2020-04-15 | Molecular Templates, Inc. | De-immunized, shiga toxin a subunit scaffolds and cell-targeting molecules comprising the same |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ATE467641T1 (de) * | 2004-03-26 | 2010-05-15 | Molecular Templates Inc | Bibliothek von toxin mutanten und deren verwendung |
WO2007033497A1 (en) * | 2005-09-26 | 2007-03-29 | University Health Network | Library from toxin mutants, and methods of using same |
EP2207793A2 (en) * | 2007-10-08 | 2010-07-21 | Rutgers, The State University | Nontoxic shiga-like toxin mutant compositions and methods |
CN104854455B (zh) * | 2012-12-04 | 2017-10-27 | 台湾神隆股份有限公司 | 筛选分子群的方法 |
WO2014164693A2 (en) | 2013-03-12 | 2014-10-09 | Molecular Templates, Inc. | Cytotoxic proteins comprising cell-targeting binding regions and shiga toxin a subunit regions for selective killing of specific cell types |
KR102500408B1 (ko) | 2014-01-27 | 2023-02-16 | 몰레큘러 템플레이츠, 인코퍼레이션. | 포유류에 적용하기 위한 탈면역된 시가 독소 a 서브유닛 작동체 폴리펩티드 |
WO2015120058A2 (en) * | 2014-02-05 | 2015-08-13 | Molecular Templates, Inc. | Methods of screening, selecting, and identifying cytotoxic recombinant polypeptides based on an interim diminution of ribotoxicity |
US11142584B2 (en) | 2014-03-11 | 2021-10-12 | Molecular Templates, Inc. | CD20-binding proteins comprising Shiga toxin A subunit effector regions for inducing cellular internalization and methods using same |
AU2015274647C1 (en) | 2014-06-11 | 2020-01-30 | Molecular Templates, Inc. | Protease-cleavage resistant, Shiga toxin a subunit effector polypeptides and cell-targeted molecules comprising the same |
JP6444486B2 (ja) * | 2015-02-05 | 2018-12-26 | モレキュラー テンプレーツ, インク.Molecular Templates, Inc. | 志賀毒素aサブユニットエフェクター領域を含む多価cd20結合分子及びそれらの強化組成物 |
AU2019257343A1 (en) | 2018-04-17 | 2020-09-10 | Molecular Templates, Inc. | HER2-targeting molecules comprising de-immunized, Shiga toxin A Subunit scaffolds |
Family Cites Families (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US4753894A (en) * | 1984-02-08 | 1988-06-28 | Cetus Corporation | Monoclonal anti-human breast cancer antibodies |
US5047513A (en) | 1986-07-10 | 1991-09-10 | Hoffmann-La Roche Inc. | Metal chelate resins |
CA1340522C (en) | 1987-03-10 | 1999-05-04 | Heinz Dobeli | Fusion proteins containing neighbouring histidines for improved purification |
US5223409A (en) | 1988-09-02 | 1993-06-29 | Protein Engineering Corp. | Directed evolution of novel binding proteins |
GB9109478D0 (en) * | 1991-05-02 | 1991-06-26 | Therapeutic Antibodies Inc | Antivenoms |
JP3398957B2 (ja) * | 1991-12-24 | 2003-04-21 | ザ・プレジデント・アンド・フエローズ・オブ・ハーバード・カレツジ | Dnaの特定部位の突然変異誘発 |
US5659123A (en) * | 1994-08-26 | 1997-08-19 | Plant Genetic Systems, N.V. | Diabrotica toxins |
US5869250A (en) * | 1996-12-02 | 1999-02-09 | The University Of North Carolina At Chapel Hill | Method for the identification of peptides that recognize specific DNA sequences |
US6086900A (en) | 1997-03-26 | 2000-07-11 | Board Of Regents, The University Of Texas Systems | Methods and compositions for using membrane-penetrating proteins to carry materials across cell membranes |
US5888750A (en) | 1997-05-30 | 1999-03-30 | Synsorb Biotech, Inc. | Method of recovering shiga-like toxins and vaccines comprising inactivated shiga-like toxin |
US20020161203A1 (en) * | 2000-08-14 | 2002-10-31 | Sheppard Paul O. | Rattlesnake venom gland proteins |
US20030188326A1 (en) * | 2000-11-03 | 2003-10-02 | Dana Farber Cancer Institute | Methods and compositions for the diagnosis of cancer susceptibilities and defective DNA repair mechanisms and treatment thereof |
-
1998
- 1998-02-04 CA CA002222993A patent/CA2222993A1/en not_active Abandoned
- 1998-12-08 EP EP98959689A patent/EP1051482B1/en not_active Expired - Lifetime
- 1998-12-08 AT AT98959689T patent/ATE337396T1/de not_active IP Right Cessation
- 1998-12-08 DE DE69835695T patent/DE69835695T2/de not_active Expired - Lifetime
- 1998-12-08 US US09/601,644 patent/US7713915B1/en not_active Expired - Fee Related
- 1998-12-08 JP JP2000530599A patent/JP4339511B2/ja not_active Expired - Fee Related
- 1998-12-08 AU AU15530/99A patent/AU769824B2/en not_active Ceased
- 1998-12-08 WO PCT/CA1998/001137 patent/WO1999040185A1/en active IP Right Grant
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP3636660A1 (en) | 2015-05-30 | 2020-04-15 | Molecular Templates, Inc. | De-immunized, shiga toxin a subunit scaffolds and cell-targeting molecules comprising the same |
EP3660035A1 (en) | 2015-05-30 | 2020-06-03 | Molecular Templates, Inc. | De-immunized, shiga toxin a subunit scaffolds and cell-targeting molecules comprising the same |
WO2017019623A2 (en) | 2015-07-26 | 2017-02-02 | Molecular Templates, Inc. | Cell-targeting molecules comprising shiga toxin a subunit effectors and cd8+ t-cell epitopes |
WO2018106895A1 (en) | 2016-12-07 | 2018-06-14 | Molecular Templates, Inc. | Shiga toxin a subunit effector polypeptides, shiga toxin effector scaffolds, and cell-targeting molecules for site-specific conjugation |
EP3608333A1 (en) | 2016-12-07 | 2020-02-12 | Molecular Templates, Inc. | Shiga toxin a subunit effector polypeptides, shiga toxin effector scaffolds, and cell-targeting molecules for site-specific conjugation |
WO2018140427A1 (en) | 2017-01-25 | 2018-08-02 | Molecular Templates, Inc. | Cell-targeting molecules comprising de-immunized, shiga toxin a subunit effectors and cd8+ t-cell epitopes |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
EP1051482A1 (en) | 2000-11-15 |
WO1999040185A1 (en) | 1999-08-12 |
JP2002503453A (ja) | 2002-02-05 |
CA2222993A1 (en) | 1999-08-04 |
ATE337396T1 (de) | 2006-09-15 |
DE69835695T2 (de) | 2007-08-23 |
US7713915B1 (en) | 2010-05-11 |
AU769824B2 (en) | 2004-02-05 |
DE69835695D1 (de) | 2006-10-05 |
EP1051482B1 (en) | 2006-08-23 |
AU1553099A (en) | 1999-08-23 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4339511B2 (ja) | 細胞毒性ヘテロメリックタンパク質組合せライブラリー | |
US10018618B2 (en) | Stabilizied bioactive peptides and methods of identification, synthesis and use | |
Russel et al. | Filamentous phage assembly: variation on a protein export theme | |
Braun et al. | Fuctional organization of the outer membrane of Escherichia coli: phage and colicin receptors as components of iron uptake systems | |
Lai et al. | Identification of genes induced in vivo during Klebsiella pneumoniae CG43 infection | |
Nienaber et al. | Discovery of a haem uptake system in the soil bacterium Bradyrhizobium japonicum | |
JPH07501923A (ja) | 小型タンパク質 | |
KR20020002354A (ko) | 안정화된 생활성 펩티드 및 이들을 동정, 합성 및이용하는 방법 | |
Zunino et al. | Proteus mirabilis fimbriae (PMF) are important for both bladder and kidney colonization in mice | |
JPH07503857A (ja) | アフィディダエ科の害虫を抑制するためのバシラス・チューリンゲンシス単離体の用途 | |
AU2004317555B2 (en) | Library of toxin mutants, and methods of using same | |
Reynolds et al. | Identification of the binding protein which may be the target of penicillin action in Bacillus megaterium | |
Saltman et al. | A region of the Yersinia pseudotuberculosis invasin protein that contributes to high affinity binding to integrin receptors | |
Moeck et al. | Genetic insertion and exposure of a reporter epitope in the ferrichrome-iron receptor of Escherichia coli K-12 | |
Olsnes et al. | Abrin and ricin—two toxic lectins | |
US5571688A (en) | Method of detecting gene expression | |
CA2319720A1 (en) | Cytotoxic heteromeric protein combinatorial libraries | |
JP2002541820A (ja) | 抗菌性化合物を同定する新規な方法 | |
EP1210456A1 (en) | Antibiotics based upon bacteriophage lysis proteins | |
White | Possible Application of Biotechnology to the Development of Biological Agents by Potential Enemies | |
Lim | Construction and screening of a combinatorial shiga toxin library | |
WO2001079257A2 (en) | Multidrug resistance (mdr) efflux pump polypeptides | |
Scott | Mechanism of ferric enterobactin transport through Escherichia coli FepA: The evolution of a bacterial venus flytrap | |
Acetyl-coenzyme | Subject Index Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86 (1989) 10181 | |
Sojda III | A biochemical and molecular genetic analysis of an integration host factor binding site and its effect on the expression of the Rhizobium leguminosarum dctA promoter |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20051208 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051208 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080331 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20080630 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20080707 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080930 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20081110 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20090210 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20090218 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090511 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090608 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090702 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120710 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130710 Year of fee payment: 4 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R3D02 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130710 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |