JP2002501996A - 光透過性建築構造要素 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 本発明は、壁、屋根又は天井の部品などの光透過性建築構造要素（１０）に関する。この要素の外側には織物組織の形態の工業用の膜（１２）が取り付けられており、その内側は、工業用の膜（１２）からなる外側の層（１１）に対して所定距離を有して配置される光透過性の防音層（２１）と、赤外線を透過しない光透過層（３６）とによって形成されている。この建築構造要素は単位面積当たりの重量が軽く、気候に対する耐性、耐熱及び防音の要件を全て満たしている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】 本発明は、請求項１の前文に従って、壁、屋根又は天井の構成材などとして使
用するための、光透過性、特に半透明の建築用構成材に関する。

【０００２】 工業用の膜としては織物表面構造体があり、これらは例えば縦糸と横糸が直角
に交差する糸の組織から構成されるが、フォイルで構成されることも可能である
。建築材料として使用されるような工業用の膜は、主に広域の屋根支持構造体の
主荷重を低減する役割を果たす。工業用の膜は、引張り強さが高いと共に表面の
重量が軽いため、このような建築物に対して特に好適である。目下、その使用は
、湿度、風、雪及び放射線などの外的影響に対する保護としての機能に限定され
ている。特殊なコーティングが考えられた場合、これらの柔軟な屈曲材料は、例
えば埃に対して耐付着性があり、耐分解性が非常に高いといった性質を特徴とす
る。この材料を支持要素としてだけでなく部屋密閉構成材としても使用する計画
がある場合、これには、機械的特性のほかに、断熱及び防音に関する要件が関連
するであろう。しかしながら、工業用の膜は通常断熱特性に乏しく、これにより
、暖め及び冷却の問題が対応するエネルギーコストの問題と共に生じ、また、温
度の変動の結果として熱及び凝結水の蓄積の問題が生じる。内部及び外部の多様
な騒音源が構造体又は構成材に及ぼす影響のため、一般に、この騒音エネルギー
が質量の大きい部屋密閉構成材によって吸収される場合にしか部屋を使用するこ
とができない。前述の工業用の膜は、表面の重量が軽いために、当然防音特性に
乏しいことを特徴としている。

【０００３】 通常、工業用の膜を用いた部屋密閉構成材の構造デザインは、絶縁材料を用い
ると共に膜を場合によっては３乃至５層配置することによってこれらの問題を解
決しようとしている。このような構造体の質量が小さいため、あるとしても非常
に厚い防音層を用いることによってしか、満足のゆく結果を得ることができない
。このようなデザインのもう１つの不利な点は、光の透過を極めて僅かしか許さ
ないか又は殆ど許さないことであって、エネルギーコスト及び快適さを失うこと
に関する公知の不利益を有しながら、人工光の導入を必要とすることである。

【０００４】 本発明の目的は、冒頭で言及したタイプの壁、屋根又は天井の構成材などのた
めの、光透過性、具体的には半透明の建築用構成材を形成することである。この
構成材は、気候の影響に対する耐性のみでなく断熱及び防音特性にも関連する厳
しい要件を満たす一方で、表面の重量が軽いことを特徴とする。

【０００５】 この課題を解決するために、前述したタイプの壁、屋根又は天井の構成材とし
て機能する、光透過性、具体的には半透明の建築用構成材は、請求項１に示され
る特徴を有する。

【０００６】 ３層で構成され、このような光透過性構成材に必要な全ての機能を組み合わせ
た光透過性建築用構成材が、本発明に従ったステップによって得られるであろう
。外部に面する側にある工業用の膜の主な目的は、負荷の軽減と、気候の影響、
放射線及び湿度から保護する役割を果たすことである。更に、この工業用の膜は
高度の光透過性も確実にする。防音層は、外部及び内部双方の騒音源に対して有
効に作用する。内部に面する部屋密閉層は赤外線抑制効果を有し、部屋とこの層
との間における長波放射の交換の殆どを抑制する役割を果たす。この層によって
赤外線の透過がごく僅かになるため、部屋からこの層に当たる熱放射は部屋には
ね返される。即ち、赤外線がこの内層に反射されるため、室内の熱快適性は大幅
に向上し、外部に面する工業用の膜は加熱される。太陽光線を吸収し、結果的に
温度上昇するのは、影響はあるものの外部に面する工業用の膜ではなく、むしろ
室内の温度である。これにより、部屋密閉表面の計算平均温度が低下する。ファ
ンガー(Fanger)によると、密閉面の計算平均温度が大気温度のほかに一要因とし
て貢献する熱快適性が大幅に高められる。内部に面する層が短波の太陽放射によ
って加熱された場合、この熱は少量のみが部屋に伝達される。結果として、快適
性が向上すると共に、部屋から除去すべき冷却給気も著しく減少される。

【０００７】 赤外線を抑制するこの光透過層を、例えば部屋に向かって内部に面する防音層
の表面に直接設けることができる。しかしながら、請求項２の特徴によると、赤
外線を抑制する光透過層の好適なデザインは、内部に面するプラスチックフォイ
ルの層である。請求項３に従った特徴が満たされると有益である。

【０００８】 請求項４に従った特徴では、適切な通気口により、暖かい空気の柱の熱上昇と
共に、３層構造の建築用構成材の後部からの通気が可能になる。これにより、結
露の蓄積及び湿度から生じる損傷など、このような中間の空間における物理的な
構造上の問題が回避される。

【０００９】 請求項５及び/又は６に従った特徴では、例えば、穿孔された支持体と組み合 わせて赤外線抑制層が設けられたプラスチックフォイルにより、室内で生じた音
波は殆ど減衰せずに通過することができ、これにより、これらの音波が赤外線抑
制層の上方に位置する防音層によって吸収されることが確実になる。

【００１０】 支持体、プラスチックフォイル及び赤外線抑制層の最も有益なデザインは請求
項７、８又は９の特徴に基づいており、これによって、光の透過及び安全上の問
題点が、層を非摩擦洗浄剤でその機能を失わせることなく洗浄できるという事実
と共に考慮に入れられる。

【００１１】 防音層の最も有益なデザインは、請求項１０乃至１６のうち１つ又はそれ以上
の特徴に基づいている。音響有効性は、中空の音響体又はこれらの衝撃面の曲げ
弾性によって得られる。適切な幾何学的形状により、これらの中空吸収体を自己
支持形式で設けることができる。より大きな広がりをもつ構造体に関しては、中
空吸収体を取り付けることができる補助の構造体を使用することが必要になりう
る。

【００１２】 外部に面する工業用の膜の有益なデザインを、請求項１７乃至２０のうち１つ
又はそれ以上の特徴に基づいて得ることができる。例えば、湿度による長期の損
傷を防ぐために、ファイバーガラスの糸又はシリコン化PVCの糸が、工業用の膜 を織るための基材として使用される。埃に対する耐付着性の作用及び耐分解性に
関する厳しい条件を満たすために、工業用の膜の支持組織はPVC、PTFE又はシリ コーンで被覆される。このデザインの１つの主な利点は、高度の光透過を許容し
続けることにある。

【００１３】 図に表されるサンプルのデザインに基づいて本発明をより詳しく説明する下記
の説明において、本発明に関する更なる詳細をみることができる。これは、以下
を含む。

【００１４】 図に表される光透過性、即ち半透明の建築用構成材１０は、屋根又は天井の構
成材の形態で建築物の支持構成材として機能するか、又は、具体的には外壁構成
材の形態で部屋密閉構成材として機能することができる。全ての用途において、
構成材は、気候の影響、放射線及び湿度からの保護を特徴とし、また、防音及び
断熱特性を有することが必要である。

【００１５】 建築用構成材１０は３層構造を有し、即ち、問題の建築物又は構造体の外部に
面する層１１、第２の中間層２１、及び内部に面する側の第３の層３１を有する
。

【００１６】 第１の層１１は工業用の膜１２によって形成されており、これは、本質的に横
糸組織又は編組織などの形態の織物組織からなる。この織物組織の基材は、ファ
イバーガラス糸、又はシリコン化PVC糸もしくはテフロン糸などのプラスチック 糸からなる。埃に対する耐付着性の作用及び耐分解性の厳しい条件を満たすため
に、この織物、編物、又は他の関連織物品には、PVC、PTFE、PUなどのプラスチ ック物質や、前述のようにシリコーンが被覆されている。機械的に、又は空気圧
によってプレストレスを施された工業用の膜１２は、主荷重を低減する役割を果
たし、高度の光透過性を確実にする。

【００１７】 工業用の膜１２から特定の距離で配置されている第２の中間層２１は、光透過
性で耐UV性及び耐火性の吸音体２２で構成されている。この吸音体ユニット２２
は、互いに対して方向づけられる２つの吸音体構造２３及び２４からなる。より
大きな広がりをもつ建築用構成材又は構造体の場合、本明細書においてプレート
又はフレーム２５の形態で表される補助の構造体があってもよい。これらの吸音
体構造２３、２４の各々は多数の二重中空体２６からなり、これらは行及び列を
なして設定されている。このサンプルのデザインでは、これらは基本的な矩形形
状を有し、その断面はおよそ台形である。各々の二重中空体２６は、同一の形状
であるが異なる寸法の外側中空体２７及び内側中空体２７、２８を有し、これら
はある間隔をおいて配置されている。構造２３又は２４の外側中空体２７の外側
表面２９又は２９'の形状は不規則である。第１の層に対して平行に配置される 外側表面２９、２９'のデザインは、外側中空体２７の曲げ弾性、そして結果的 にはその音響有効性に影響を与える。

【００１８】 吸音体構造２３及び２４の二重中空体２６は、フレーム又はプレート２５の上
に個々に配置され、保持されるものとして表されているが、吸音体構造２３及び
２４は単一部品からなっていてもよく、自己支持形式で設けられていてもよいこ
とが理解される。一方のセット２３の二重中空体２６の行及び列がもう一方の構
造２４に重なるように、二重中空体２６を有する吸音体構造２３及び２４は互い
に対してオフセットされている。

【００１９】 二重中空体２６のために選択される材料は、５０％の透過率を特徴としている
。本明細書には表されない態様で、断熱性を高める機能も果たすように吸音体ユ
ニット２２を変更することができる。

【００２０】 中間層２１から更に距離をおいて、第３の層３１が、部屋に向かう内部に面す
る側に配置されている。内側膜と呼ぶこともできるこの第３の層３１は、厚さ０
.０１mm乃至０.２mmにわたるプラスチックフォイル３２を特徴としている。この
プラスチックフォイルの表面は支持組織３３に取り付けられており、これは、例
えば穿孔の形状である多数の規則的な開口３４を特徴としている。これらの開口
３４は、支持組織３３の全体表面のうち大きな割合、例えば４０乃至６０％、好
ましくは５０％を占めている。支持組織３３は著しく厚く、例えば０.８mmであ る。支持組織を、コーティングされたファイバーガラス組織とすることができる
。支持組織の代わりに、耐火性の材料からなる穿孔された支持フォイルを用いる
ことも可能である。支持組織３３及びプラスチックフォイル３２は共に光透過性
であり、半透明であるか又は透明でさえあることが好ましい。

【００２１】 支持組織３３から離間される耐火性プラスチックフォイル３２の側には、光透
過性であるが赤外線を妨害するコーティングが低弾性コーティング(low-E coati
ng)３６の形態で塗布されている。放射熱による熱輸送は激しく減少されるため 、部屋に面するこの赤外線妨害コーティング３６は断熱効果を有する。これによ
り、問題の部屋と第３の層３１との間の長波放射の交換の殆どが抑制される。こ
の低弾性コーティング３６は、耐傷性(scratch-resistant)の赤外線透過保護コ ーティングの塗布によって耐摩耗性にされている。これを、通常の非摩耗性洗浄
法を用いてその機能を妨げることなく洗浄することができる。

【００２２】 穿孔された支持組織３３と組み合わされたプラスチックフォイル３２により、
室内で生じた音波が殆ど妨害されずに第２の層２１へ通過し、ここで吸収される
ことが可能になる。この第２の層２１は、結果として、部屋から生じた騒音と建
築物の外から入ってくる騒音とを吸収する。

【００２３】 本明細書に表されるサンプルのデザインでは、第１の層１１と第２の層２１と
の間の中間の空間１６、又は第２の層２１と第３の層３１との間の中間の空間１
７は、周囲の雰囲気又は部屋の中の空気に方向づけられた通気口によって、本明
細書には詳しく表されない態様で後方から換気される。これにより、結露の蓄積
や湿度による損傷などの、中間の空間１６及び１７における物理的な構造上の問
題が防止される。表されるサンプルのデザインでは、層１１、２１及び３１間の
距離はほぼ同一である。これらの距離を、所望の防音及び断熱特性、ならびに所
望の構成材の厚さによって変えてもよいことが理解される。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の好適なサンプルのデザインに基づいた、３層構造を有する光透過性建
築用構成材の破断断面図である。

【図２】 やや縮小された、図１のラインII-IIに沿った縦方向の断面図である。

【図３】 図１の円形部分IIIに基づいた部分の拡大図である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 トランスゾーラー エネルギーテクニーク ゲゼルシャフト ミット ベシュレンク テル ハフツング ドイツ連邦共和国 デー−70569 シュト ゥットガルト ノーベルシュトラーセ 15 (71)出願人 ヤーン、 ヘルムート アメリカ合衆国 80601 イリノイ州 シ カゴ イースト ワッカー ドライブ 35 スイート 300 (72)発明者 ゾーベク、 ヴェルナー ドイツ連邦共和国 デー−70180 シュト ゥットガルト プファッフェンヴェーク ５ アー． Ｆターム(参考） 2E002 EB11 EC08 FB10 2E162 CD04

Claims (20)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外部に面する側に、例えば織物組織の形態である工業用の膜
   （１２）を有することを特徴とする、壁、屋根又は天井の構成材としての光透過
   性、特に半透明の建築用構成材（１０）であって、前記工業用の膜（１２）から
   なる外部に面する層（１１）からある距離で配置される光透過性の防音及び断熱
   層（２１）と、内部に面する側の、赤外線を妨害する光透過及び音伝達層（３６
   ）とを特徴とする建築用構成材。
2. 【請求項２】 前記赤外線を妨害する光透過性コーティング（３６）が、プ
   ラスチックフォイル（３２）の内部に面する側の内側コーティングとして設計さ
   れる、請求項１記載の建築用構成材。
3. 【請求項３】 前記プラスチックフォイル（３２）が、前記防音層（２１）
   からある距離で配置されている、請求項２記載の建築用構成材。
4. 【請求項４】 好ましくはほぼ同一のサイズである個々の層（１１、２１、
   ３１）間の空間（１６、１７）が室内の空気又は環境空気につながっている、請
   求項１及び３記載の建築用構成材。
5. 【請求項５】 前記赤外線を妨害するコーティング（３６）を有する前記プ
   ラスチックフォイル（３２）の表面が、好ましくは規則的な穿孔を特徴とする支
   持体（３３）に結合されている、請求項２及び４記載の建築用構成材。
6. 【請求項６】 前記プラスチックフォイル（３２）の厚さが前記支持体（３
   ３）の厚さよりも大幅に薄く、前記支持体（３３）はその表面のかなりの部分、
   好ましくは４０乃至６０％にわたる穿孔（３４）を特徴とする、請求項５記載の
   建築用構成材。
7. 【請求項７】 前記支持体（３３）がファイバーガラス組織からなる、請求
   項５又は６記載の建築用構成材。
8. 【請求項８】 前記プラスチックフォイル（３２）が耐火性材料からなる、
   請求項５乃至７記載の建築用構成材。
9. 【請求項９】 前記赤外線を妨害するコーティング（３６）が耐摩耗性であ
   る、請求項５乃至８のうち少なくとも１項記載の建築用構成材。
10. 【請求項１０】 前記防音層（２１）が、光透過性材料の中空体（２６）の
    構造（２３、２４）を特徴とし、これらの構造が互いに対して方向づけられてい
    る、前述の請求項のうち少なくとも１項記載の建築用構成材。
11. 【請求項１１】 各構造（２３、２４）に前記中空体（２６）の行及び列が
    設けられており、一方の構造（２３）の前記中空体（２６）はもう一方の構造（
    ２４）の前記中空体に対してオフセットされている、請求項１０記載の建築用構
    成材。
12. 【請求項１２】 前記中空体（２６）はほぼ矩形の形状を特徴とし、およそ
    台形の断面からなる、請求項１０又は１１の建築用構成材。
13. 【請求項１３】 各中空体（２６）は小容量の内側中空体（２８）を特徴と
    する、請求項１０乃至１２のうち少なくとも１項記載の建築用構成材。
14. 【請求項１４】 前記外層又は前記内層（１１、３１）に面し、これらに対
    して平行である中空体（２７）の表面（２９）が不規則な形状を有する、請求項
    １０乃至１３のうち１項記載の建築用構成材。
15. 【請求項１５】 前記中空体（２６乃至２８）が耐UV材料からなる、請求項
    １０乃至１４のうち１項記載の建築用構成材。
16. 【請求項１６】 前記中空体（２６乃至２８）が耐火性材料からなる、請求
    項１０乃至１５のうち１項記載の建築用構成材。
17. 【請求項１７】 前記外側の工業用の膜（１２）がプラスチックコーティン
    グを有する織物組織である、前述の請求項のうち少なくとも１項記載の建築用構
    成材。
18. 【請求項１８】 前記外側の工業用の膜（１２）がPTFEコーティングを有す
    るファイバーガラス組織である、請求項１７記載の建築用構成材。
19. 【請求項１９】 前記外側の工業用の膜（１２）にプレストレスが施されて
    いる、前述の請求項のうち少なくとも１項記載の建築用構成材。
20. 【請求項２０】 個々の層（１１、２１、３１）がフレーム構成材に固定し
    て取り付けられ、互いからある距離で保たれている、前述の請求項のうち少なく
    とも１項記載の建築用構成材。