JP2002501627A - アルカリ性現像剤組成物及びそのリソグラフィー印刷プレート処理のための使用方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 アルカリ金属ケイ酸塩、少なくとも６重量％のグリセリン等の増粘剤、及び非イオン性フッ素界面活性剤またはリン酸エステルハイドロトロープを含有する、リソグラフィー印刷プレートの処理のためのアルカリ性現像剤組成物。この組成物で現像できるリソグラフィ印刷プレートは、プジティブ-またはネガティブ-ワーキングのいずれかであり、プジティブ-及びネガティブ-ワーキングの感熱プレートも含む。

Description

【発明の詳細な説明】 アルカリ性現像剤組成物及び そのリソグラフィー印刷プレート処理のための使用方法 本発明は、一般的にはリソグラフィー、特にポジティブ・ワーキングまたはネ ガティブ・ワーキングのリソグラフィー印刷プレートに有用な水性アルカリ性現 像剤組成物に関する。また、この現像剤組成物の画像的(imagewise)露光された 印刷プレートの処理のための使用方法にも関する。 リソグラフィー印刷の技術は、油と水との不混和性に基づき、油性材料即ちイ ンクが選択的に画像領域に残り、水即ちファウンテン(fountain)溶液は選択的に 印刷プレートの非−画像領域に残る。適当に調製された表面を水で濡らし、次い でインクを適用すると、バックグラウンド即ち非−画像領域には水が残ってイン クをはじくが、画像領域はインクを受容して水をはじく。画像領域上のインクは 、次いで、紙、布及びプラスチック等の画像が再現されるべき材料の表面に写し 取られる。通常、インクは、ブランケットと呼ばれる中間材料に写し取られ、次 いでそのインクが画像が再現されるべき材料の表面に移される。 リソグラフィー印刷プレートは、ポジティブ・ワーキングまたはネガティブ・ ワーキングのいずれでもよく、金属またはポリマー支持体といった適当な基体上 に１又はそれ以上の感光層を具備する。感光層は、一般に１又はそれ以上の感光 成分を含み、それは好適なバインダー中に分散していてもよい。あるいは、感光 成分がバインダーであってもよい。ある種の有用な印刷プレートは、ポジティブ ・ワーキングまたはネガティブ・ワーキングのいずれでも使用できる。 ネガティブ・ワーキング印刷プレートは、一般に、適当な支持体の上に不飽和 樹脂等の感光成分からなる光感受性層を有する、光に露出されると、露光領域は 硬化し、非露光領域は現像中に除去される。従って、露光して硬化した領域は親 油性(oleophilic)でありインクを受容するが、非露光の基体の基盤領域は親水性 である。 ポジティブ・ワーキング印刷プレートは、一般に、o-ジアゾキノンまたはジア ゾナフトキノン化合物等の感光成分からなる光感受性層を有する。光に露出され ると、感光成分は対応するカルボン酸に変換される。アルカリ性の現像液を用い ると、感光層の露光領域のみが除去されて基体の表面が現れる。基体の表面は親 水性であるため、非被覆の非−画像領域は水を引きつけて油性インクをはじく。 現像後に残る画像領域は親油性であり、そのために水をはじき印刷インクを引き つける。 ポジティブ・ワーキング及びネガティブ・ワーキングの印刷プレートのための 現像液として用いるための種々の水性溶液が知られている。例えば、米国特許第 4,259,434号に記載されているような、ケイ酸塩(silicate)の分散液の使用が知 られている。これらの溶液は、アルカリ金属ケイ酸塩を含有し、（”Ｍ”をアル カリ金属としたとき）Ｍに対するＳｉＯ₂の比率が０．５から０．７５であり、 ＳｉＯ₂濃度が１−４％である。しかしながら、これらの現像液の多くは活性が 高すぎ、プレート上の露光していない画像まで攻撃あるいは除去してしまうこと がある。これらの現像液の作用範囲は極めて狭いので、現像液の補充速度は重要 (critical)である。 米国特許第4,452,880号は、ケイ酸塩含有現像液を記載しており、アルカリ金 属酸化物に対するＳｉＯ₂の比率は更に高く、１．６から２．０であり、ＳｉＯ₂ 濃度は２から９％である。これらの現像液は、比較的低い活性を持ち、実用の商 業的使用に必要な時間内では、遅くて不十分な現像しかできない。従って、より 多量のケイ酸塩を含有せしめる必要がある。このような多くの量は、コスト、プ レート上の残留、及び処理装置の閉塞の可能性のため不利になることがある。 共に係属し、共に譲り受けられた、MilleT及びFelkerによって1996年10月11日 に出願された米国特許出願第08/729,471号、並びに、Miller、Stuber及びFelker によって1996年10月11日に出願された米国特許出願第08/29,472号は、上記の問 題を解決し、この分野で有意な進歩を提供するアルカリ性現像剤組成物を記載し ている。両出願は、特定量のケイ酸塩を含有する組成物を記載し、好ましい組成 物は、少なくとも６％（重量）の水溶性又は水分散性増粘剤、例えばグリセリン も含有している。しかしながら、これらの組成物をさらに発展させ、赤外線感受 性（”感熱(thermal)”）リソグラフィー印刷プレートで最適な性能を与えるよ うにすることが必要である。特に、大きな処理ラチチュードを与え、アルカリ処 理の間プレートの画像領域をより良く保護することが望まれている。 上記の問題は、リソグラフィー印刷プレートの現像のための水性アルカリ性現 像剤組成物であって、当該組成物が、少なくとも１２のｐＨを有し、 ａ）アルカリ金属ケイ酸塩、及び、 ｂ）少なくとも６重量％の水溶性または水分散性の増粘剤を含み、 さらに、少なくとも０．０００５重量％の、非イオン性フッ素界面活性 剤、リン酸エステルハイドロトロープ(hydrotrope)、またはこれらの混合物を含 むことを特徴とする組成物によって解決される。 この現像剤組成物は、以下に詳細に述べるような、画像的に露光されたポジテ ィブ・ワーキングまたはネガティブ・ワーキングのリソグラフィー印刷プレート の現像を含む処理(processing)方法において有用である。さらに、この組成物は 、ポジティブ・ワーキング及びネガティブ・ワーキングの感熱プレート（即ち、 露光された領域を硬化するのに熱に曝すもの；あるいは、赤外線に感受性のもの ）を現像するのにも有用である。これらの利点により、使用者は、両方のタイプ のプレートを処理するのに１台の機械を設置すればよい。 この現像剤組成物は、拡張された有用性のために、まさに望まれる機能を有す る。これは、活性が高すぎず、現像が遅すぎず、腐食し難い。即ち、現像剤組成 物の機能は、その使用初期には攻撃的すぎず、廃棄されるまで好適な活性を維持 する。重要なのは、処理溶液として長期に渡る有用性を有することである。従っ て、使用者は、より一貫した写真スピード及び品質を、現像剤組成物が用いられ ている時間に渡って得ることができる。 この現像剤組成物は、従来の現像剤組成物より大きな処理ラチチュードを与え る。さらに、それ自体を補充液として用いることができ、従って、処理容器の有 用な期間を維持するために高い活性の補充溶液を特に処方する必要がなくなる。 補充液として用いる場合、本発明の組成物の補充速度は、増粘剤を含まない組成 物を用いた場合より格段に遅くてもよい。 これらの有利な点は、現像剤組成物が、少なくとも６重量％の範囲の水溶性ま たは水分散性の増粘剤を含有することによって与えられる。有用な増粘剤は、以 下に詳細に説明する。好ましい実施態様では、組成物中のアルカリ金属ケイ酸塩 の量も、以下に詳細に述べるような所定の範囲に維持される。即ち、ＳｉＯ₂／ Ｍ₂Ｏ（但し、”Ｍ”はアルカリ金属）の比率も、上記の利点を最適化するのに 重要である。 さらに、この現像剤組成物は、赤外線感受性ポジティブ・ワーキング印刷プレ ートで最適な性能を発揮する。この利点は、記載した非イオン性フッ素界面活性 剤(fluorosurfactant)またはリン酸エステルハイドロトロープを組成物中に含有 することによって達成される。この改良のメカニズムは不明であるが、以下に示 す実施例のように、非イオン性フッ素界面活性剤またはリン酸エステルハイドロ トロープは、非−画像領域における現像を過剰に抑制することなく、プレートの 画像領域を保護する。 上記したように、本発明の水性アルカリ性現像剤組成物は、水及び少なくとも １つのアルカリ金属ケイ酸塩、例えばリチウム、ナトリウム及びカリウムのケイ 酸塩を含む。ナトリウム及びカリウムのケイ酸塩が好ましく、カリウムケイ酸塩 が最も好ましい。必要に応じてアルカリ金属ケイ酸塩の混合物を用いることもで きる。 特に好ましい現像剤組成物は、”Ｍ”をアルカリ金属（カリウム等）としたと き、Ｍ₂Ｏに対するＳｉ₂Ｏの重量比が少なくとも０．３であるアルカリ金属ケイ 酸塩を含有する。好ましくは、この比率は０．３から１．２である。より好まし くは、この比率は０．６から１．１、最も好ましくは、０．７から１．０である 。 現像剤組成物中のアルカリ金属ケイ酸塩の量は、一般的に組成物1000グラム当た り少なくとも20グラムSiO₂(即ち、少なくとも２重量％)であり、好ましくは20から8 0グラムSiO₂／1000グラム組成物である。最も好ましくは、40から65グラムSiO₂／1000グラム 組成物である。ケイ酸塩の種々の商業的供給元が知られている。 現像剤組成物はアルカリ性のｐＨを持ち、それは少なくとも１２、好ましくは １２から１４である。アルカリケイ酸塩に加えて、アルカリ性は、適当な濃度の 水酸化物（例えば、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム及 び水酸化カリウム）といった適当な化学的塩基を用いて与えることができる。 本発明の現像剤組成物に有用な増粘剤は、水溶性または水分散性の多水素(pol yhydroxy)化合物である。代表的な化合物は、これらに限られないが、グリセリ ン(またはグリセロール)、ポリエチレングリコール、ポリプロヒレングリコール 及び他の複数のヒドロキシル基を持つ類似物質を含み、当業者は、ここの教示の 観点から容易に入手できるであろう。所望の性能を与える特定の増粘剤は、その 濃度、化学的塩基または用いるケイ酸塩の量、及び処理されるプレートのタイプ に依存する。即ち、与えられたタイプの印刷プレートに対し、与えられた増粘剤 の最適レベルを見つけるために、同じ日常的実験が必要とされる場合もある。ポ ジティブ・ワーキングの印刷プレートのみで有利な結果をあたえる増粘剤もあり 、ネガティブ・ワーキングの印刷プレートのみで有利な結果をあたえる増粘剤も ある。より好ましくは、増粘剤は全体的に有用であり、即ち、ポジティブ・ワー キングまたはネガティブ・ワーキングの感熱プレートで、開示した全濃度範囲に 渡って有効である。これらの予期しない全体的処理特性を与える増粘剤は、グリ セリン等の非−ポリマー性増粘剤を含む。必要ならば、増粘剤の混合物を用いる こともできる。 現像剤組成物で用いられる増粘剤の量は、少なくとも６重量％、好ましくは６ から３０重量％の量である。より好ましくは、増粘剤は７．５から１８重量％の 量で存在する。与えられた現像剤組成物で用いられる増粘剤の量は、処理される 印刷プレートのタイプ、及び印刷プレートの感光性材料のタイプによって変化す る。例えば、ポジティブ・ワーキングプレートの処理に有用な増粘剤の最適量は 、ネガティブ・ワーキング感熱プレートの処理に有用な増粘剤の最適量とは異な る場合がある。当業者は、与えられたタイプの印刷プレート及び感光性材料に対 して有用な量を日常的実験を用いて決定することができるであろう。本発明で最 も好ましい組成物は、グリセリンを８から１２重量％の濃度で含有する。 有用なフッ素界面活性剤は、典型的には水溶性で、少なくとも１つの水素原子 がフッ素原子で置換された１又はそれ以上のフルオロカーボン部分を持つ界面活 性剤である。各フルオロカーボン部分は、一般的に少なくとも４つの炭素原子を 持ち、飽和でも不飽和でもよい。 代表的な類のフッ素界面活性剤は以下の化学式：で表され、式中、Ｒ_fは下記： であり、ｚは４から２０である。 このタイプの有用なフッ素界面活性剤の代表例は、これらに限られないが、フル オロアルキルポリエチレンオキサイドアルコール、例えば、DuPontからのZONYL( 商標)FNS、ZONYL(商標)FS 300またはZONYL(商標)FSO非イオン性界面活性剤、Hoe chstからのFLURAD(商標)FC-430またはFLUOWET(商標)OT等の商業的に入手可能な ものを含む。ZONYL(商標)FNS非イオン性界面活性剤が最も好ましい。 リン酸エステルハイドロトロープは、少なくとも１つのリン酸エステル部分を 含むアニオン性リン酸エステル界面活性剤である。”ハイドロトローブ”は、他 の界面活性剤の可溶化を助け、それ自体が界面活性特性を有していてもよい化合 物を意味する。好ましいリン酸エステルハイドロトロープは、アルキルアリール アルコキシホスフェート、カリウム塩であり、Union CarbideからTRITON(商標)H -66として商業的に入手できる。他の有用な商業製品は、TRITON(商標)II-55、ア リールアルコキシリン酸エステル、カリウム塩を含む。即ち、有用な類のハイド ロトロープは、アリールアルコキシリン酸エステルであり、その分子のアリール 及びアルコキシ部分が複数回繰り返されてもよく、置換されていても置換されて いなくてもよい。 この発明の組成物で有用な非イオン性フッ素界面活性剤またはリン酸エステル ハイドロトロープの量は、溶液１０００グラム当たり少なくとも０．００５グラ ムで、溶液１０００グラム当たり４グラムまで（即ち、０．０００５から０．４ 重量％）である。好ましくは、いずれか一方又は両方のタイプの化合物を、溶液 １００グラム当たり０．５から３．０グラム（即ち、０．０５から０．３重量％ ）存在せしめる。 必要ならば、非イオン性フッ素界面活性剤、リン酸エステルハイドロトロープ 、または両方のタイプ化合物の混合物を、合計量が０．００５から０．４重量％ の 間である限り用いることができる。 この現像剤組成物の任意成分は、適量（例えば、組成物全重量に基づいて３％ まで）の１又はそれ以上の上記以外の非フッ素(nonfluorinated)界面活性剤(ア ニオン性、非イオン性及び両性)、殺生物剤(抗菌剤または抗真菌剤)、１又はそ れ以上の消泡剤、またはグルコン酸アルカリ等のキレート剤を含む。しかしなが ら、好ましい実施態様では、非フッ素界面活性剤、消泡剤及びキレート剤は、組 成物から除かれる。 一実施態様では、ポジティブ・ワーキング印刷プレートが適当な光源を用いて 露光され、露光領域をアルカリ溶解性に変える。従って、露光領域は、本発明の アルカリ性現像剤組成物で洗浄され、その下の親水性の基体が現れる。 本発明によるポジティブ・ワーキング印刷プレートの現像は、一般に１８から ２８℃の温度で５から６０秒の時間実施される。 本発明の実施により処理されるポジティブ・ワーキング印刷プレートは、この 分野で従来から用いられているものでよい。それらは、金属又はポリマー基体を 含み、好ましくはアルミニウム、アルミニウム合金、または処理されたアルミニ ウム基体である。このような基体は、例えば米国特許第4,259,434号、米国特許 第5,122,243号、及び米国特許第5,368,974号に記載されているように、この分野 で良く知られている。 基体上には、米国特許第4,927,741号及び英国特許第2,082,339号に記載されて いるようなo-ジアゾナフトキノン化合物を含むo-ジアゾキノン等の感光性成分を 含有する適当なポジティブ・ワーキング感光層がある。 これらの感光性化合物は単独で用いることができ、より典型的には、それらは アルカリ性現像剤組成物に可溶な適当な材料（またはその混合物）中に分散され る。このようなバインダー材料は、これらに限られないが、ノボラックタイプの フェノール樹脂を含み、その他のものは当業者が容易に理解できる。感光層組成 物に、染料、可塑剤、及び印刷特性を付与する成分を含むさらなる添加剤を含有 させることもできる。 好ましい実施態様では、本発明の組成物は、ポジティブ・ワーキング赤外線感 受性印刷プレートに有用である。このような印刷プレートは、赤外線に感受性の 層を具備し、その層は少なくとも５０重量％のフェノール性バインダー樹脂(ノ ボラック樹脂等)、及び赤外線吸収性化合物［少なくとも７００ｎｍ、好ましく は８００から１１００ｎｍにおいて最大吸収波長（λ_max）を持つ染料又は顔料 ］を含む。この放射線感受性層は、１又はそれ以上の非−感光性の”分解阻害化 合物”も含む。このような化合物は、極性官能基を有し、それが（フェノール性 バインダー樹脂におけるような）芳香族環のヒドロキシル基との水素結合のため の受容体部位として供される。有用な極性基は、ケト基（ビニル性(vinylogous) エステル類）を含む。 これらの印刷プレートは、”直接プレート(direct-to-plate)”画像化の応用 に特に採用される。このような系は、コンピューターディスク、コンパクトディ スク、コンピューターテープまたは他のデジタル情報記憶媒体に記録されたデジ タル化画像情報、あるいはスキャナーから直接供給される印刷すべき情報を利用 する。デジタル化された記録の情報ビット数は、印刷すべき画像素子即ちピクセ ルに対応する。このピクセル記録が露光装置、即ち変調されたレーザービームの 制御に用いられる。レーザービームの位置は、この分野で知られた任意の適当な 手段を用いて制御され、印刷すべきピクセルに応じてオン及びオフに切り換えら れる。露光ビームは非露光印刷プレートに焦点を合わされる。従って、従来のリ ソグラフィー画像化処理のように、プレートの画像化に露光及び処理したフィル ムが必要とされることはない。 レーザー画像化は、任意の中または高強度レーザー書き込み(laser writing) 装置を用いて実施できる。特に、アブレーション無しに画像を生成するために素 子を横切って書き込みビームを走査させる機構を含むレーザー印刷装置が提供さ れる。印刷プレートにおけるレーザーダイオード源で生成される書き込みビーム の強度は、少なくとも０．２ｍＷａｔｔｓ／μｍ²である。操作中、露光される プレートは、書き込み装置の保持機構に配置され、書き込みビームがプレートを 横切って走査されて画像を生成させる。 レーザー画像化に従って、本発明の印刷プレートは、次いで本発明のアルカリ 性現像剤組成物中で、画像領域が除去されて所望のポジティブ画像が現れるまで 現像される。現像時間は、一般的には５から６０秒間である。 本発明の他の実施態様では、ネガティブ・ワーキング印刷プレートが適当な光 源を用いて画像的に露光され、露光領域が硬化する。従って、非−露光領域は本 発明のアルカリ性現像剤組成物で洗浄除去され、その下の親水性の基体が現れる 。特に有用なのはネガティブ・ワーキング感熱プレートであり、それは赤外線吸 収性化合物をさらに含有し、感光層に赤外線（即ち熱）感受性を付与している。 従って、ブレートの露光領域の溶解性を低下させるためにレーザーまたは他の赤 外線源を用いることができる。例えば、米国特許第5,340,699号、米国特許第5,4 66,557号、及び米国特許第5,491,046号に記載されているように、このようなプ レートのための種々の材料が知られている。 本発明のネガティブ・ワーキング印刷プレートの現像は、一般に、１８から２ ８℃の温度で、５から６０秒の時間で実施される。 本発明の実施により処理されるネガティブ・ワーキング印刷プレートは、典型 的には、上記のポジティブ・ワーキングプレートで記載したように、金属又はポ リマー基体を具備する。 基体上には適当なネガティブ・ワーキング感光層があり、それは感光性ポリマ ー等の感光性成分、及び任意にノボラックまたはレゾール(resole)樹脂または両 方といった適当なバインダーを含んでいる。これらの材料は、米国特許第5,372, 907号の教示から明らかなように、この分野で良く知られている。感光層組成物 は、染料、可塑剤、ブレンステッド酸前駆体、赤外線吸収性化合物、増感剤、安 定剤、界面活性剤、及び印刷特性を与える成分を含むさらなる添加剤を含有する ことができ、それらもこの分野で良く知られている。 本発明の一つの好ましい現像剤組成物は、ポジティブ・ワーキングまたはネガ ティブ・ワーキングの感熱リソグラフィー印刷プレートのいずれかの現像におい て有用であり、当該組成物は１２から１４のｐＨを有し、 ａ）組成物１０００ｇ当たりのＳｉＯ₂を少なくとも４０から６５ｇ、 及び、Ｋ₂Ｏに対するＳｉＯ₂の比率を０．７から１．０とする量のケイ酸カリウ ム、 ｂ）６から１８重量％のグリセリン等の非ポリマー性増粘剤を含み、 ｃ）０．０００５から０．４重量％の非イオン性フッ素界面活性剤、リ ン酸エステルハイドロトロープ、またはこれらの混合物をさらに含むことを特徴 とする。 以下の実施例は本発明の実施の例示を意図するもので、何ら限定するものでは ない。全ての割合は、特に断らない限り重量による。 実施例のための材料と方法 ＳｉＯ₂／Ｋ₂Ｏ比率２．１（KASI 2130）で現像剤組成物を調製したが、この 比率は酸化カリウムを添加することにより調節できる。ＳｉＯ₂の量は、水を加 えることにより調節した。９％のグリセリン及び０から０．４重量％で非イオン 性フッ素界面活性剤であるZONYL(商標)FSNを含有し、種々のＳｉＯ₂／Ｋ₂Ｏ比率 及びＳｉＯ₂濃度を有する現像剤組成物を調製した。 各現像剤組成物は、水中に水密性容器内に封入し、温度調節（１９℃）した水 浴中に沈めて、一定処理温度を擬した。組成物温度が平衡に達した後、コットン スワブをそれに浸した後、画像的に露光したリソグラフィー印刷プレート(後述) の表面を軽く拭いた。一定温度を維持するためにプレートは手で処理した。 印刷プレートを、処理する前に、市販のGerber Crescent 42/T platesetter上 で、１０６４ｎｍ（赤外）で発光するレーザーを用いて放射に露出した。鏡回転 スピードは２００ｒｐｓ、出力設定は２２５（相対値）とし、２１７ｍＪ／ｃｍ² に等しい露光を与えた。 次いで印刷プレートを、アルカリ性現像剤組成物で３０秒間処理した。現像後 、印刷プレートをリンスし、従来の条件下で乾燥させた。 各現像剤組成物の性能を、各現像プレートのＤ_max、Ｄ_min、及びクリーンアウ ト(cleanout)時間によって４レベルで評価した。 ”最適性能”（全ての基準が上記の範囲内にあるもの）は”１”に等級分けし た。 ”良好な性能”(全ての基準が最適範囲に近いもの)は”２”に等級分けした。 ”機能的性能”（処理したプレートが最適な性能は示さないが、清浄な非−画 像領域を持つ画像が生成されたもの）は、”３”に等級分けした。 ”貧困な性能”(プレートが許容できる性能を示さず、現像剤組成物による画 像攻撃を示す、または処理活性に欠ける)は”４”に等級分けした。 レベル１(”１”)：Ｄ_max＞１５０、Ｄ_min＜３５、かつ クリーンアウト時間＜１６秒 レベル２(”２”)：Ｄ_max＞１４５、Ｄ_min＜３５、かつ クリーンアウト時間＜２１秒 レベル３(”３”)：Ｄ_max＞1４０、Ｄ_min＜３５、かつ クリーンアウト時間＜３１秒 レベル４(”４”)：Ｄ_max＜１４０、Ｄ_min＞３５、かつ クリーンアウト時間＞３１秒 実施例１：現像剤組成物及び処理 赤外線感受性、ポジティブ・ワーキング印刷プレートを、以下の放射感受性組 成物で調製した： α-ナフトフラボン ０．４６ｇ 4,6-ジメチル-N,N'-ジフェニル- 1,3-ベンゼンスルホンアミド ０．１１ｇ クレゾール-ホルムアルデヒドノボラック 樹脂、アセトン中(39.8％) １３．０６ｇ カーボンブラック分散物 (7.66％) ４．５２ｇ ＣＧ-２１-１００５染料^* ０．１１ｇ ＢＹＫ３０７^**（10％） 1-メトキシ- 2-プロパノール中 ０．１１ｇ 1-メトキシ-2-プロパノール ８１．６３ｇ ^*Chiba-Geigyから入手可能なオキソノール染料^**BYK-Chemieから入手可能なポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン 界面活性剤 組成物を陽極化したアルミニウム基体に被覆し、上記のように露光した。次い で各プレートを以下の現像剤組成物で処理した。 現像剤組成物 成分（グラム） Ａ Ｂ Ｃ Ｄ 水 848.0 573.0 660.0 570.0 KASIL 2130(30％) 0 278.0 278.0 278.0 KOH(90％) 59.0 59.0 59.0 59.0 グリセリン 90.0 90.0 0 90.0 ZONYL(商標)FSN(40％） 3.0 0 3.0 3.0 SiO₂/K₂O比率 0 0.79 0.79 0.79 SiO₂ g/1000g 0 56.5 56.5 56.5 処理評価の結果は以下の通りである。 組成物Ａ ”４” 組成物Ｂ ”４” 組成物Ｃ ”４” 組成物Ｄ ”１” 即ち、グリセリン増粘剤及び非イオン性フッ素界面活性剤の両方を含有する組 成物Ｄのみが、プレート現像及び性能において所望の最適な結果を与えた。組成 物Ｄは、本発明の好ましい組成物である。 実施例２：代替的現像剤組成物 本発明の別の現像剤組成物を同様に調製したが、ZONYL(商標)FSNに換えてリン 酸エステルハイドロトロープTRITON(商標)H-66(50重量％)を有する。 水 549.0g KASIL 2130(30％) 276.4 KOH(90％) 58.5 グリセリン 112.1 TRITON(商標)H-66(40％) 4.0 SiO₂/K₂O比率 0.79 SiO₂ g/1000g 56.2 この現像剤組成物を、前記実施例１に記載したように画像的に露光した印刷プ レートの処理に用いた。処理評価の結果は”２”、即ち良好な性能に等級分けさ れた。 実施例３：化合物の混合物を含む現像剤組成物 本発明の現像剤組成物を同様に調製したが、ZONYL(商標)FSN非イオン性界面活 性剤(40重量％)及びリン酸エステルハイドロトロープTRITON(商標)H-66(50重量 ％)の両方を含ませた。 水 549.0g KASIL 2130(30％) 276.4 KOH(90％) 58.5 グリセリン 112.1 ZONYL(商標)FSN(40％) 3.0 TRITON(商標)H-66(40％) 1.0 SiO₂/K₂O比率 0.79 SiO₂ g/1000g 56.2 この現像剤組成物を実施例１に記載したように画像的に露光した印刷プレート の処理に用いたところ、結果は”１”と評価され、即ち最適な性能に等級分けさ れた。

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項 【提出日】平成１１年６月２８日（１９９９．６．２８） 【補正内容】 請求の範囲 １．リソグラフィー印刷プレートの現像のための水性アルカリ性現像剤 組成物であって、当該組成物が、少なくとも１２のｐＨを有し、 ａ）アルカリ金属ケイ酸塩、及び、 ｂ）少なくとも７．５重量％のグリセリンを含み、 さらに、少なくとも０．０００５重量％の、非イオン性フッ素界面活性 剤、リン酸エステルハイドロトロープ、またはこれらの混合物を含むことを特徴 とする組成物。 ２．アルカリ金属ケイ酸塩が、組成物１０００ｇ当たりのＳｉＯ₂を少 なくとも２０ｇ、及び、Ｍをアルカリ金属としたときのＭ₂Ｏに対するＳｉＯ₂の 比率を少なくとも０．３とする量で存在する請求項１記載の組成物。 ３．アルカリ金属ケイ酸塩が、組成物１０００ｇ当たりのＳｉＯ₂を少 なくとも２０から８０ｇ、及び、Ｍをアルカリ金属としたときのＭ₂Ｏに対する ＳｉＯ₂の比率を少なくとも０．３から１．２とする量で存在する請求項１また は２記載の組成物。 ４．グリセリンが７．５から１８重量％の量で存在する請求項１から３ のいずれかに記載の組成物。 ５．非イオン性フッ素界面活性剤が以下の化学式： （式中、ｚは４から２０であり、Ｒ_fは下記： である）で表され、０．４重量％までの量で存在する請求項１から４のいずれか に記載の組成物。 ６．リン酸エステルハイドロトロープが、アルキルアリールアルコキシ またはアリールアルコキシリン酸エステル、アルカリ金属塩であり、０．４重量 ％までの量で存在する請求項１から５のいずれかに記載の組成物。 ７．請求項１から６のいずれかに記載の水性アルカリ性現像剤組成物で 、画像的露光したポジティブ・ワーキングまたはネガティブ・ワーキングのリソ グラフィー印刷プレートを現像することを含んでなる処理方法。 ８．印刷プレートが、ポジティブ・ワーキング印刷プレートであり、上 面にポジティブ・ワーキング感光性組成物を有するアルミニウムまたは処理した アルミニウム基体を具備し、当該ポジティブ・ワーキング感光性組成物が、感光 性成分としてo-ジアゾナフトキノンを含有する請求項７記載の方法。 ９．印刷プレートが、ネガティブ・ワーキング印刷プレートであり、上 面にネガティブ・ワーキング感光性組成物を有するアルミニウムまたは処理した アルミニウム基体を具備し、当該ネガティブ・ワーキング感光性組成物が、感光 性ポリマーを含有する請求項７記載の方法。 １０．印刷プレートが、ネガティブ・ワーキング感熱印刷プレートであ り、上面にネガティブ・ワーキング感光性組成物を有するアルミニウムまたは処 理したアルミニウム基体を具備し、当該感光性組成物が、赤外線吸収性化合物を さらに含有する請求項７記載の方法。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．リソグラフィー印刷プレートの現像のための水性アルカリ性現像剤 組成物であって、当該組成物が、少なくとも１２のｐＨを有し、 ａ）アルカリ金属ケイ酸塩、及び、 ｂ）少なくとも６重量％のグリセリンを含み、 さらに、少なくとも０．０００５重量％の、非イオン性フッ素界面活性 剤、リン酸エステルハイドロトロープ、またはこれらの混合物を含むことを特徴 とする組成物。 ２．アルカリ金属ケイ酸塩が、紐成物１０００ｇ当たりのＳｉＯ₂を少 なくとも２０ｇ、及び、Ｍをアルカリ金属としたときのＭ₂Ｏに対するＳｉＯ₂の 比率を少なくとも０．３とする量で存在する請求項１記載の組成物。 ３．アルカリ金属ケイ酸塩が、組成物１０００ｇ当たりのＳｉＯ₂を少 なくとも２０から８０ｇ、及び、Ｍをアルカリ金属としたときのＭ₂Ｏに対する ＳｉＯ₂の比率を少なくとも０．３から１．２とする量で存在する請求項１また は２記載の組成物。 ４．グリセリンが６から３０重量％の量で存在する請求項１から３のい ずれかに記載の組成物。 ５．非イオン性フッ素界面活性剤が以下の化学式： （式中、ｚは４から２０であり、Ｒ_fは下記： である）で表され、０．４重量％までの量で存在する請求項１から４のいずれか に記載の組成物。 ６．リン酸エステルハイドロトロープが、アルキルアリールアルコキシ またはアリールアルコキシリン酸エステル、アルカリ金属塩であり、０．４重量 ％までの量で存在する請求項１から５のいずれかに記載の組成物。 ７．請求項１から６のいずれかに記載の水性アルカリ性現像剤組成物で 、画像的露光したポジティブ・ワーキングまたはネガティブ・ワーキングのリソ グラフィー印刷プレートを現像することを含んでなる処理方法。 ８．印刷プレートが、ポジティブ・ワーキング印刷プレートであり、上 面にポジティブ・ワーキング感光性組成物を有するアルミニウムまたは処理した アルミニウム基体を具備し、当該ポジティブ・ワーキング感光性組成物が、感光 性成分としてo-ジアゾナフトキノンを含有する請求項７記載の方法。 ９．印刷プレートが、ネガティブ・ワーキング印刷プレートであり、土 面にネガティブ・ワーキング感光性組成物を有するアルミニウムまたは処理した アルミニウム基体を具備し、当該ネガティブ・ワーキング感光性組成物が、感光 性ポリマーを含有する請求項７記載の方法。 １０．印刷プレートが、ネガティブ・ワーキング感熱印刷プレートであ り、上面にネガティブ・ワーキング感光性組成物を有するアルミニウムまたは処 理したアルミニウム基体を具備し、当該感光性組成物が、赤外線吸収性化合物を さらに含有する請求項７記載の方法。