JP2002371150A - インクジェット画像記録層を積層するのに適当なコーテッドフィルムベースおよびインクジェット記録媒体 - Google Patents

インクジェット画像記録層を積層するのに適当なコーテッドフィルムベースおよびインクジェット記録媒体

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JP2002371150A
JP2002371150A JP2001181632A JP2001181632A JP2002371150A JP 2002371150 A JP2002371150 A JP 2002371150A JP 2001181632 A JP2001181632 A JP 2001181632A JP 2001181632 A JP2001181632 A JP 2001181632A JP 2002371150 A JP2002371150 A JP 2002371150A
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Andrew Charles Street
チャールズ ストリート アンドルー
Noel Stephen Brabbs
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DuPont Teijin Films UK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 コーティングされた自己支持体性合成線状ポ
リエステルフィルム、特にインクジェット画像記録層を
積層するのに適当なコーテッドフィルムベース及びこれ
を用いたインクジェット記録媒体を提供する。 【解決手段】 自己支持体性の合成線状ポリエステルフ
ィルムの少なくとも一表面に連続下塗層を適用してなる
コーテッドフィルムベースであって、該下塗層は結晶性
の水性ポリエステル樹脂aが70〜90重量%と非結晶
性の水性複合樹脂bが30〜10重量%から導かれる水
性共重合体で構成され、該ポリエステル樹脂aがジカル
ボン酸成分として25モル%以上のテレフタル酸、及び
構造中にポリオキシアルキレングリコール3〜40重量
%を含み、且つ水性複合樹脂bが構造中にポリオキシア
ルキレングリコールを2重量%以上含む非結晶性の水性
ポリエステル樹脂bの存在下で、重合性単量体及び(又
は)それと共重合可能なその他の単量体を重合させて得
られることを特徴とするインクジェット画像記録層を積
層するのに適当なコーテッドフィルムベース。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コーティングされ
た自己支持体性合成線状ポリエステルフィルム、特にイ
ンクジェット画像記録層を積層するのに適当なコーテッ
ドフィルムベース及びこれを用いたインクジェット記録
媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】デジタル画像記録のためのインクジェッ
ト記録技術は、一般的な紙記録媒体でもある程度の実用
に耐え得る写真調の高品位画像が容易に得られることか
ら、民生用プリンターの用途で急激に普及してきた。し
かし、より高画質、より高耐久性を求められる工業用用
途では、ポリマーフィルムを基材とする記録媒体が求め
られてきた。
【0003】インクジェット記録に常用されるバインダ
ー成分としてカチオン性ポリビニルアルコール、シラノ
ール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコー
ル誘導体、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエ
チルセルロース等のセルロース誘導体、ポリビニルピロ
リドン誘導体、ポリウレタン誘導体、澱粉、カチオン化
澱粉、カゼイン、ゼラチン等の水溶性高分子、スチレン
ブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分
散性高分子等が挙げられる。これら水性の画像記録層用
バインダーは、合成線状ポリエステルのフィルムのよう
な熱可塑性フィルムから導かれる支持体表面に容易に接
着しないことが知られている。
【0004】従って、フィルム支持体とこれら親水性の
画像記録層材料との接着性を向上するために、画像記録
層を適用するに先立ってフィルム支持体表面を予備処理
すること、例えば、これらインクジェット記録用バイン
ダーとの易接着性向上のために、支持体表面に一または
二層以上の重合体層をコーティングすることが当業界に
おいて一般化している。このような層はしばしば下塗層
と呼ばれ、環境保護の観点及びインクジェット記録に常
用されるバインダー成分が水分散性若しくは水溶解性の
親水性材料である事から下塗り層用の加工剤としても水
系の物が多く提案されて来た。しかしながら、水系の下
塗り加工剤の場合、乾燥時接着に優れるものであって
も、湿潤時の接着性が悪いことに代表されるように、総
合性能に優れたものが十分に見出せていない。
【0005】最も広範に利用されているポリエステルフ
ィルムを対象とする場合、その分子構造との親和性と接
着性加工剤の変性の融通性とから、かかる易接着性を付
与する水系加工剤として従来水性ポリエステル系樹脂を
主成分とする系が多く提案されている。特開昭50−1
34086号公報にはエステル形成性スルホン酸アルカ
リ金属塩化合物をジカルボン酸成分の一部とした水性ポ
リエステルにおいて、ポリエチレングリコールを共重合
することにより、水分散性および接着性を向上させた加
工剤を塗布したポリエステルフィルムが開示されてい
る。類似の構成のポリエステルにより接着性を向上させ
るポリエステル構造としては、フィルムへの塗布を直接
の目的とするものではないが、技術的には古く、既に特
開昭47−040873号公報で開示されている。特許
第1464191号公報では更にエポキシ樹脂をかかる
類似構造のポリエステル樹脂と組み合わせる事を例示す
る水系水分散体がコーティング剤などの用途向けに開示
されている。
【0006】しかしながら、水性ポリエステル樹脂単独
での工夫では水分散性と耐ブロッキング性とのバランス
に限界があることから、アクリル樹脂の耐ブロッキング
性に注目して、この両者を配合する技術が特公平01−
030622号公報に開示された。
【0007】特開昭62−267310号公報は更にこ
れを進めて、単なる配合ではなく、水性ポリエステルを
アクリルモノマー等不飽和結合を有する単量体によって
変性することで、よりミクロな相溶化により異なるポリ
マー機能を統合する新しい概念での水分散体を開示して
いる。ここで、ポリエステルはポリエチレングリコール
を構造単位として含み、また変性にあたりエポキシ基を
含む単量体の使用も例示している。特公平03−067
625号公報、特公平03−067626号公報、特公
平03−067627号公報の一連の発明及び米国特許
第4880700号公報はこの同様概念の重合変性物の
水分散体をプライマーコート剤として用いた易接着性ポ
リエステルフィルムに関するものである。加えてこれら
には、これらの発明になる水分散体のインラインコート
により易接着性ポリエステルフィルムを得る方法も開示
している。一方、ポリエステル単独での機能の改善も継
続研究されており、例えば特許第3044960号公報
では接着性、帯電防止性、耐ブロッキング性などのの総
合機能のバランスを芳香族ジカルボン酸を主体とし、且
つエステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩とポリオキ
シアルキレングリコールとの配合比率を特定化すること
により実現する発明を開示している。
【0008】しかし、前記の方法では何れもフィルム延
伸時や架橋の為の熱処理、または寸法安定化のためのア
ニール工程での熱処理による性能低下がみられ、基本的
にポリエステルフィルムに対する密着性能及び/または
被接着体に対する易接着性能において、加工剤本来の性
能を維持できないのが現状である。水性ポリエステル単
独で、或いはアクリルポリマーによる水性ポリエステル
の変性という機能の複合をもってしても、被接着体の該
下塗り層に対する濡れ性、乾燥時接着及び湿潤時の接着
性の総合的性能を達成するには不十分であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の問題を
解消し、合成線状ポリエステルからなるフィルム支持体
に対するインクジェット記録層に対する乾燥時及び湿潤
時の接着力を向上するのに有効な下塗層を備えたコーテ
ッドフィルムベース及びこれを用いたインクジェット記
録媒体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、自己支
持体性の合成線状ポリエステルフィルムの少なくとも一
表面に連続下塗層を適用してなるコーテッドフィルムベ
ースであって、該下塗層は結晶性の水性ポリエステル樹
脂aが70〜90重量%と非結晶性の水性複合樹脂bが
30〜10重量%から導かれる水性共重合体で構成さ
れ、該ポリエステル樹脂aがジカルボン酸成分として2
5モル%以上のテレフタル酸、及び構造中にポリオキシ
アルキレングリコール3〜40重量%を含み、且つ水性
複合樹脂bが構造中にポリオキシアルキレングリコール
を2重量%以上含む非結晶性の水性ポリエステル樹脂b
の存在下で、重合性単量体及び(又は)それと共重合可
能なその他の単量体を重合させて得られることを特徴と
するインクジェット画像記録層を積層するのに適当なコ
ーテッドフィルムベースにより達成できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】自己支持体性の合成線状ポリエステルフィ
ルムは、単層もしくは共押出し法によるAB、ABA、
ABCの如き多層の積層構造のポリマーフィルム(A、
B、Cは夫々異なるポリエステル層)であり、そして特
に、1種以上のカルボン酸またはその低級アルキル(6
個以下の炭素原子)ジエステル、例えば、テレフタル
酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−若し
くは2,7−ナフタレンジカルボン酸、琥珀酸、セバシ
ン酸、アジピン酸、アゼライン酸、4,4'−ジフェニ
ルジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ビス−
α、β(2−クロルフェノキシ)エタン4,4'−ジカ
ルボン酸または1,2−ビス−p−カルボキシフェノキ
シエタン(所望により、ピバル酸のようなモノカルボン
酸とともに)の少なくとも一種と、1種以上のグリコー
ル、特に脂肪族グリコール、例えば、エチレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、および1,4−シクロヘ
キサンジメタノール等のグリコールの少なくと一種とを
縮合することにより調整される合成線状ポリエステルを
含む。また、該ポリエステルには本発明の目的を阻害し
ない範囲内で多種ポリマーをブレンドしたり、共重合し
てもよいし、酸化防止剤、熱安定剤、滑剤、顔料、紫外
線吸収剤および/または色相を調整するための染料、蛍
光増白剤などが含まれていてもよい。ポリエステルとし
て、特にポリエチレンテレフタレートおよび/またはポ
リエチレンナフタレートは好ましい。
【0013】本発明に係わる自己支持体の合成線状ポリ
エステルフィルムのために適切な基材は、配向されてい
なくてもよく、または、好ましくは、配向されており、
例えば、一軸配向されており、または、より好ましく
は、機械特性および物理特性の満足できる組み合わせを
達成するために、フィルム平面の互いに垂直な2つの方
向に延伸することにより二軸延伸配向されている。例え
ば、ポリエチレンテレフタレートフィルムの場合、GB
−A−838708号公報に記載されているように、フ
ィルム形成性ポリマーは、スロットダイを通して押し出
され、そしてチルドキャスティング表面(ドラム)上で
急冷され、それにより、ポリマーは非晶質状態でクエン
チされる。その後、ポリマーのガラス転移温度より高い
温度で(通常、70℃〜140℃の範囲の温度で)少な
くとも一方向に、クエンチされた押し出し物を延伸する
ことにより配向は行われる。平らなクエンチされた押出
物を最初に1方向、通常には長手方向、即ち、フィルム
延伸機の進行方向に延伸すること、および、その後に、
横方向に延伸することにより逐次配向は行われることが
できる。押出物の進行方向の延伸は、通常、回転ロール
群上で、または、2組のニップロール間で行われ、そし
て、横方向の延伸は、その後、幅出機において行われ
る。延伸は、フィルム形成性ポリマーの性質によりある
程度決まって行われ、例えば、ポリエステルは、通常、
配向されたポリエステルの寸法が延伸方向において、そ
の初期寸法の2.5倍〜4.5倍になるように延伸され
る。延伸されたフィルムは、ポリマーの結晶化起こすた
めに、フィルム形成性ポリマーのガラス転移温度より高
いが、その融点より低い温度(通常、150℃〜250
℃の範囲の温度)で、寸法拘束下で熱固定することによ
り寸法安定化されてよく、そしてそれは好ましい。
【0014】本発明の一態様において、ポリマーフィル
ムは不透明であり、それは、好ましくは150μmの厚
さのフィルムに対して、0.75〜4.0および特に
1.2〜1.5の透過光学濃度(サクラ濃度計 タイプ
PDA65、透過モード)を示すフィルムとして規定さ
れる。基材層の合成ポリマー中に有効量の乳白剤を添加
することにより、ポリマーフィルムは不透明になる。し
かし、本発明の好ましい態様において、不透明の基材層
は空隙化されたものであり、即ち、少なくとも一部分に
離散した独立気泡を含む気泡構造を含むものである。そ
れ故、不透明な空隙化された基材層構造を生成できる薬
剤を有効量で基材ポリマー中に添加できることは好まし
い。適切な、不透明性をも付与する空隙化剤は、非相溶
性樹脂充填剤、粒状無機充填剤または2種以上のこのよ
うな充填剤の混合物を含む。
【0015】「非相溶性樹脂充填剤」とは、押出しおよ
びフィルム層の形成の間に遭遇する最高温度において、
溶融しないか、または、基剤ポリマーと実質的に不混和
性である樹脂を意味する。このような樹脂は、ポリエス
テルフィルム中への添加のためのポリアミドおよびオレ
フィンポリマー、特に、1分子内に6個以下の炭素原子
を含むモノ−α−オレフィンのホモ若しくはコポリマ
ー、または、ポリオレフィンフィルム中への添加のため
上記の種類のポリエステルを含む。ポリ−3−メチルブ
テン、ポリ−4−メチルペンテン−1、ポリプロピレ
ン、ポリビニル−t−ブタン、1,4−トランス−ポリ
−2,3−ジメチルブタジエン、セルローストリアセテ
ート、セルローストリプロピオネート、ポリクロロトリ
フルオロエチレン等が「非相溶性樹脂充填剤」として例
示される。
【0016】不透明の空隙化された基剤層を生成するた
めに適切な粒状無機充填剤は、従来の無機顔料および充
填剤を含み、そして特に、金属またはメタロイド酸化
物、例えば、アルミナ、シリカおよびチタニア、およ
び、アルカリ金属塩、例えば、カルシウムおよびバリウ
ムの炭酸塩および硫酸塩を含む。硫酸バリウムは空隙化
剤としても機能するので特に好ましい充填剤である。非
空隙化性粒状無機充填剤もフィルム形成性ポリマー基材
層に添加され得る。
【0017】適切な空隙化剤および/または非空隙化性
充填剤は均質であり、そして本質的に単一の充填剤また
は化合物、例えば、二酸化チタンまたは硫酸バリウム単
独からなる。または、充填剤の少なくとも一部分が不均
質であり、主充填剤材料が追加の変性成分と組み合わさ
れる。例えば、主充填剤粒子は、表面変性剤、例えば、
顔料、石鹸、界面活性剤、カップリング剤または他の変
性剤で処理されて、充填剤の基材ポリマーに対する相溶
性の程度を改善し、または変更されてもよい。満足でき
る程度の不透明性および好ましくは空隙性を有する基材
層の構造は、充填剤が微細分散されているべきであり、
その粒子径は0.01μm〜10μm、より好ましく
は、0.15μm〜3μm、そして特に0.2μm〜
0.75μmの範囲にあることを要求する。
【0018】乳白剤/空隙化剤の基材ポリマー中への添
加は、従来の技術により行われることができ、例えば、
ポリマーを得るためのモノマー反応体と混合すること、
フィルム形成前の粒状またはチップ形態のポリマーと乾
燥ブレンドすること、または、マスターバッチ技術を使
用することにより行われることができる。
【0019】基材層ポリマー中に添加される充填剤、特
に硫酸バリウムの量は、好ましくは、ポリマーの重量に
対して5〜50重量%の範囲である。特に満足できるレ
ベルの不透明度および光沢度は、充填剤の濃度が基材ポ
リマーに対して、8〜30重量%、より好ましくは15
〜20重量%の範囲であるときに達成される。
【0020】また、本発明の別の態様において、ポリマ
ーフィルムは透明であり、高い光学特性を示し、そして
低い曇り度を示し、好ましくは、標準ASTM D 1
003―61により測定して、75μmの厚さのフィル
ムに対して、8%以下、より好ましくは6%以下、特に
5%以下、そして更に特に3%以下の広角曇り度を有す
る。上記の光学特性は、適切には、基材中に粒状添加剤
を殆どまたは全く有しないことにより達成され得る。基
材は比較的に少量の充填剤材料を、例えば、5〜300
0ppm、好ましくは100〜1000ppmの範囲で
含むことができる。適切な充填剤は、シリカ、チャイナ
クレー、炭酸カルシウムのような無機材料、及びアクリ
ル樹脂微粒子、スチレン樹脂微粒子、シリコーン樹脂樹
脂微粒子のような有機材料を含む。球形の単分散充填剤
は使用されてよい。フィルム製造プロセスにおいて再生
フィルムを使用することが通常行われているので、基材
は充填材を含みうる。
【0021】下塗り組成物を構成する共重合体は実質的
に水不溶性である。水溶性共重合体は通常のインクジェ
ット記録に使用される水溶性インキに溶解し、その結果
インクジェット記録層のポリエステルフィルムに対する
接着力が損なわれることになるであろう。水不溶性共重
合体を含む下塗組成物は水性分散体としてまたは有機溶
剤に溶解せる溶液としてポリエステルフィルムに適用す
ることが出来る。
【0022】下塗り組成物を構成する共重合体は、
(A)テレフタル酸がジカルボン酸成分の25モル%以
上あり、構造中にポリオキシアルキレングリコール3〜
40重量%を含む結晶性の水性ポリエステル樹脂aを7
0〜90重量%と(B)構造中にポリオキシアルキレン
グリコールを2重量%以上含む非結晶性の水性ポリエス
テルの存在化にエポキシ基を含有する重合性単量体及び
(又は)これと共重合し得る単量体とを重合させて得ら
れた複合樹脂bが30〜10重量%とからなる樹脂組成
物であり、殊に複合樹脂bの重量当たりエポキシ基を含
有する単量体ユニットは10〜45重量%である樹脂組
成物をプライマー層用の加工剤としたものである。
【0023】本発明の水性ポリエステル樹脂とは、分子
中に親水性基あるいは親水性成分を導入することによっ
て水、又は水性溶媒を含む水への分散または溶解を可能
にしたポリエステル共重合体である。そして、本発明に
おいて特に水性ポリエステル樹脂a(以下『ポリエステ
ルa』と略記することがある)と複合樹脂bを構成する
水性ポリエステル樹脂b(以下『ポリエステルb』と略
記することがある)とを区別するための重要な要件であ
る「結晶性」とはDSC(示差走査熱量計)の熱分析で
結晶化熱あるいは融解熱の明確なピークを有するもので
あり、また「非結晶性」とは明確なピークを持たない樹
脂を意味するものである。
【0024】上記ポリエステルaおよびポリエステルb
の上位概念としての水性ポリエステルの代表的なものと
しては、芳香族ジカルボン酸および/または非芳香族ジ
カルボン酸、およびエステル形成性スルホン酸アルカリ
金属塩化合物からなるジカルボン酸とグリコールの重縮
合物である。具体的には芳香族ジカルボン酸としては、
テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−ジメ
チルテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
ビフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)
エタン−p,p'−ジカルボン酸、およびそれらのエス
テル形成性誘導体があり、非芳香族カルボン酸には、蓚
酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、
セバシン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、
1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロ
ヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカル
ボン酸およびそれらのエステル形成誘導体がある。この
中で特にテレフタル酸は、本発明の下塗り組成物のポリ
エステルフィルムとの密着性およびポリエステルaの結
晶性成分として不可欠であり、ポリエステルbのジカル
ボン酸成分中で少なくとも25モル%以上が必要であ
る。エステル形成性スルホン酸アルカリ金属塩化合物と
しては、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル
酸、4−スルホイソフタル酸、4−スルホナフタレン酸
−2,7−ジカルボン酸、スルホ−p−キシリレングリ
コール、2−スルホ−1,4−ビス(ヒドロキシエトキ
シ)ベンゼンなどのアルカリ金属塩(スルホン酸のアル
カリ金属塩)およびこれらのエステル形成性誘導体が挙
げられ、5−スルホイソフタル酸のナトリウム塩および
これらのエステル形成性誘導体がより好ましく用いられ
る。
【0025】グリコール成分としては、炭素数2〜8の
脂肪族または炭素数6〜12の脂環族グリコールであ
り、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、
1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサン
ジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、
1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサ
ンジオール、p−キシリレングリコール、ジエチレング
リコール、トリエチレングリコールなど及びこの数種を
組み合わせて用いられる。
【0026】特に、ポリエステルaではグリコール成分
の中に1,4−ブタンジオール(以下『BD』と略記す
ることがある)を含む事により、本発明の効果がより一
層発揮できる。BD以外の成分としては特に限定される
ものではないが、重合時の反応性や安価な点でエチレン
グリコールが好ましい。ポリエステル中のグリコール成
分に占めるBDの割合は30〜95モル%が好ましい。
BDが95モル%を超える場合は得られるポリエステル
の結晶性が高くなりすぎて、水への分散性や貯蔵性が悪
く好ましくない。また、30モル%に満たない場合は、
ポリエステルの結晶性が低くなり、接着性に欠け、皮膜
のブロッキングが顕著となる等の現象が生じる場合があ
る。
【0027】本発明のポリエステルaおよびポリエステ
ルbがその構造中に備えるべき必須の構造単位はポリオ
キシアルキレングリコール単位であり、その種類は特に
限定されることはないが、ポリエステルフィルム支持体
への接着性、画像記録層に対する易接着性と合成のしや
すさから数平均分子量200〜6000が好ましく、特
には数平均分子量400から4000が好ましい。具体
的にはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、ポリテトラメチレングリコール等を有用なものと
して例示することができる。その必要な量は、ポリエス
テルaではポリマー全体の3〜40重量%、より好まし
くは、5〜25重量%であり、これより多い場合には樹
脂の粘着性が増し、塗工皮膜にブロッキングを起こした
りする。またこれより少ない場合には、接着性が不足し
本発明の効果が期待でき難い。
【0028】ポリエステルbではポリマー全体の2重量
%以上であり、好ましくは40重量%未満であり、より
好ましくは4重量%〜25重量%である。これより少な
い場合には、ポリエステルaに対するミクロレベルでの
相溶性に欠け、本発明の優れた効果を実現できない。
【0029】ポリエステルaおよびbが共にポリオキシ
アルキレングリコールを有することが本発明では不可欠
な要件である。但し、必ずしも同一の種類のものである
必要はなく、ポリエステルaがポリエチレングリコー
ル、ポリエステルbがポリプロピレングリコールといっ
た組み合わせでも有効である。ポリエステルa及びbが
ともにポリオキシアルキレン構造を分子内に有すること
により、これらポリエステルa及びbの配合、塗布、乾
燥/熱処理工程を通して両者のミクロレベルでの相溶が
高度となり、ポリエステルaの結晶部分にポリエステル
b部分の巻きこみの如き現象が生じることを通して、本
発明の優れた効果が発現するのではないかと推察され
る。
【0030】従って、ポリエステルa或いはbのいづれ
か一方がポリオキシアルキレングリコール単位を欠く場
合には、本発明の効果は期待できない。但しポリエステ
ルaおよび/またはbでその重合過程において、ポリオ
キシアルキレングリコール全部がポリマーに組み込まれ
ることなく、一部が単量体として最終ポリマーたるポリ
エステルaないしb中に残存することは十分にあり得る
ことであり、これは本発明の範囲を外れるものではな
い。
【0031】複合樹脂bの別の不可欠な要件は、ポリエ
ステルbがエポキシ基を含有する重合性単量体および/
または、これと共重合可能な単量体により重合変性され
ていることである。重合変性には、公知の方法が可能で
あるが、例えば特開昭62−267622号公報や特許
第291662号公報に記載された方法を用いることが
できる。
【0032】この目的に用いるエポキシ基を有する重合
性単量体としては、グリシジルアクリレート、グリシジ
ルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルを挙げる
ことができるが、これらの数種を混合して利用すること
も可能である。また、これと共重合可能な単量体として
は、不飽和結合を有する化合物として、ビニルエステ
ル、不飽和カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸アミ
ド、不飽和ニトリル、アリル化合物、不飽和炭化水素ま
たはビニルシラン化合物が用いられる。ビニルエステル
としてプロピオン酸、高級第三級ビニルエステル、塩化
ビニル、臭化ビニル、不飽和カルボン酸エステルとして
アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エ
チルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチ
ル、マレイン酸オクチル、フマル酸ブチル、フマル酸オ
クチオル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸
ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、
アクリル酸ヒドロキシプロピル、エチレングリコールジ
メタクリル酸エステル、エチレングリコールジアクリル
酸エステル、ポリエチレングリコールジメタクリル酸エ
ステル、ポリエチレングリコールジアクリル酸エステ
ル、不飽和カルボン酸アミドとしてアクリルアミド、メ
タクリルアミド、メチロールアクリルアミド、ブトキシ
メチロールアクリルアミド、不飽和ニトリルとしてアク
リロニトリル、アリル化合物として酢酸アリル、メタク
リル酸アリル、アクリル酸アリル、イタコン酸ジアリ
ル、不飽和炭化水素としてジエン、ビニルシラン化合物
としてジメチルビニルメトキシシラン、ジメチルエチル
エトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチ
ルビニルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメ
チルジメトキシシラン等を挙げることができる。
【0033】複合樹脂bの構造中でのエポキシ基を有す
る重合性単量体成分は複合樹脂bの重量当たり、10〜
45重量%が好ましい。10重量%未満の場合には、下
塗り層の膜としての均一性が劣り、また高温熱処理を受
けた場合には白化し、透明性、接着性や親水性塗布物に
対する濡れ性を劣化させる問題が生じる。45重量%を
超える場合には、アンカーコート層の延伸追従性の欠如
による皮膜の不均一化および上塗り層の接着性低下や、
下塗り組成物とした場合の保存期間に問題が生じる。
【0034】本発明におけるエポキシ基の作用は、従来
技術を構成するアミンやカルボン酸等の架橋対成分との
分子間の架橋反応による膜物性の強化よりもむしろ、複
合樹脂bと共にポリエステルaへのくい込みによるポリ
エステルaのエントロピー緩和と考えられる。
【0035】本発明の最大の要件は、ポリエステルaお
よび複合樹脂bを配合使用する点にある。ポリエステル
a単独では易接着性能を維持したまま如何に組成を選択
しても耐熱白化性を克服することが出来ない。
【0036】一方複合樹脂b単独では、如何なる組成で
あれ、両者配合時に得られる親水性の被覆層への接着力
さえ十分という汎用的な接着力を実現出来ないだけでは
なく、塗布後の耐水性、ブロッキング性が劣り実用に供
することが不可能である。但し両者の配合の比率は極め
て限定される。即ち、最終加工剤につき、ポリエステル
aが70〜90重量%であり、これに対して複合樹脂b
は30〜10重量%の配合比率のみ有効である。ポリエ
ステルaが70重量%未満では被覆層への接着性が並の
レベルに低下するし、90重量%を超えた場合には、高
温熱処理を受けた場合に塗膜の白化や熱による接着性低
下を受けるものとなる。この狭い範囲のポリエステルa
と複合樹脂bとが、前述したミクロな相溶により、あた
かも単一成分の物質の如く優れた機能を発揮したのでは
ないかと考えられる。なお、複合樹脂bに代えて、その
前駆体であるポリエステルbと重合性単量体の単独重合
物(多量の界面活性剤を用いなければ合成は不可能であ
るが)とポリエステルaとを上記比率になる様に混合し
ても本発明の効果は実現できない。
【0037】本発明のポリエステルaおよびポリエステ
ルbは、常法のポリエステル製造方法、すなわち前述の
酸成分及びグリコール成分をエステル化或いはエステル
交換触媒、重合触媒等の反応触媒を用いて溶融重縮合せ
しめることにより、所望のポリマーとして得られる。こ
れに水又は水性溶剤を含む水を混合し、撹拌下好ましく
は加熱撹拌下で水分散し、必要に応じて脱溶剤処理を施
す。こうして得られる水分散体は固形分濃度が高くなる
と均一分散体が得られにくく、ポリエステルbの重合変
性にも支障をきたすため、固形分濃度は30重量%以下
が好ましい。
【0038】次に、複合樹脂bは常法のラジカル重合に
よって進められる。すなわち、前述のポリエステル水分
散体中でエポキシ基を有する重合性単量体および(又
は)これと共重合可能な単量体をアゾ化合物、有機過酸
化物、過硫酸塩等のラジカル開始剤の存在下、必要に応
じてpH調整剤、安定剤を添加し、加温状態でポリマー
化を進める。これら各種添加剤はいずれも従来公知のも
のが広く使用される。
【0039】本発明の下塗り組成物の配合に際しては、
通常用いられる界面活性剤、安定剤、抗菌剤、紫外線吸
収剤などを配合しても良い。また、耐ブロッキング性を
更に高める目的で、有機あるいは無機のフィラーを配合
するのは好ましいことである。また分散体の安定性を助
けるため、少量の有機溶剤を含んでいても良い。これら
各添加剤もやはり公知のものが適宜使用される。特にス
ルホコハク酸塩やフッ素系界面活性剤は少量添加で配合
液の疎水性フィルムに対する濡れ性を向上させるため有
効である。
【0040】本発明の組成物を塗布してコーテッドフィ
ルムベースを製造するには、公知の任意の塗工法を利用
することができる。なおプラスチックフィルムとしては
多様なものが利用可能であるが中でも、ポリエステルフ
ィルムが最も用途が広く有用なものである。
【0041】下塗り組成物は水性分散体としてまたは有
機溶剤に溶解せる溶液として常用され、ロールコート
法、グラビアコート法、リバースロールコート法、コン
マコート法、ビードコート法、ワイアーロッドコート
法、マイクログラビアリバースコート法、スロットダイ
コート法、浸漬コート法あるいはスプレーコート法な
ど、いかなるコーティング技法によってもポリエステル
フィルムに適用することができる。
【0042】この下塗層組成物はポリエステルフィルム
を製造するプロセスの途中(以下インライン工程と表示
省略できる)においてまたはプロセスが完了した後(以
下オフライン工程と表示省略できる)にポリエステルフ
ィルムに適用することができる。フィルムの製造が完了
した後に下塗層組成物を適用する場合にはポリエステル
フィルム表面に対する下塗層の接着力を向上するために
フィルムを予備処理またはコーティングすることができ
る。フィルムに対し膨潤、溶剤または酸化作用を示す溶
液を用いてフィルムの表面をコーティングする技法、コ
ロナ放電処理する技法、プラズマ処理する技法、紫外線
処理する技法または電子線処理する技法等の常用される
化学的または物理的予備処理技法を用いることができる
ことができる。あるいは、プラスチックに接着性向上重
合体層を形成して、その上に本発明の下塗層を適用する
ことも出来る。
【0043】一方、本発明の下塗層形成用組成物を合成
線状性のポリエステルフィルムべース製造過程において
適用する場合についても良好な接着力を示すことが判明
した。ポリエステルフィルム表面を予備処理したり接着
性向上層を介したりすることなくフィルム表面に直接下
塗層形成組成物を適用することによっても満足すべき接
着力が得られる。
【0044】ポリエステルフィルムは、通常互いに直交
する2方向に延伸することによって分子配向する方法に
よって製造される。この方法は一般に、平坦な非晶質ポ
リエステルフィルムをまず1方向に延伸し、次いで直角
方向に延伸することにより達成できる。該して、フィル
ムを最初にその長手方向、即ち延伸機械を縦断する方向
に延伸し、次いで横断方向に延伸することが望ましい。
延伸したフィルムは寸法変化を抑制する条件下に熱固定
することにより寸法的に安定化することができる。延伸
及び熱固定はフィルムを周囲温度より高い温度に加熱し
て行うのが一般である。本発明において使用するのに好
ましいポリエステルフィルムはそのような方法に従って
調整することができる。ポリエチレンテレフタレートフ
ィルムは、例えば英国特許第838708号公報明細書
に記載されるようについに逐次2軸配向し次いで熱固定
により製造することが望ましい。
【0045】インライン工程による下塗り層処理は、逐
次延伸により配向するポリエステルフィルムは第一方向
の延伸を行う前、または第一方向の延伸と第2方向の延
伸との中間段階において下塗層形成組成物でコーティン
グすることができる。本発明において下塗層形成組成物
は2つの延伸操作の中間段階でフィルムに適用すること
が望ましい。例えば、最初にフィルムを一連の回転ロー
ラー上で長手方向に延伸し、下塗層形成組成物でコーテ
ィングし、次いでテンターを用いて横断方向に延伸し、
さらに熱固定する。
【0046】ポリエステルフィルム表面に適用する下塗
層組成物は好ましくは0.3〜40重量%、より好まし
くは1〜25重量%不揮発分の水性分散体として適用す
る。引き続き延伸及び/又は熱固定を行う過程において
コーテッドフィルムを加温することは水性媒体または溶
剤(溶剤を使用した場合)の除去乾燥及び/またはコー
ティング層を凝集して連続した均一下塗層形成組成物の
架橋もまたそのような延伸及び/または熱固定工程にお
ける加温によって達成される。
【0047】下塗層は乾燥塗布量0.01g/m2 乃至
10g/m2 、特に0.2g/m2乃至5g/m2 にお
いてポリエステルフィルムに適用することが好ましい。
フィルムの両面に下塗層をコーティングする場合にはそ
れぞれのコーティング層がこの好ましい塗布量であるこ
とが望ましい。
【0048】本発明はその一面において、インクジェッ
ト記録層用の本発明の下塗り層上に更にゼラチン/ポリ
ビニルアルコール下塗層を介在せしめるても本発明の目
的を達成できる。しかしながら、ゼラチン/ポリビニル
アルコール下塗層を用いることなくインクジェット記録
層を直接、本発明の共重合体下塗層に接着せしめること
によって適切な膨潤及び乾燥接着力が得られることが判
明した。また、例えば、火炎処理、イオン衝撃処理、電
子ビーム処理、紫外線処理または好ましくはコロナ放電
処理によって共重合体下塗層の表面を変性すれば共重合
体下塗層上に適用するインクジェット記録層の接着力が
向上することができるため、望ましい。
【0049】好ましいコロナ放電処理は高周波数高電圧
発生機を用いた常用される設備で好ましくは出力1乃至
100KWにおいて大気圧の空気中で行うことができ
る。コロナ放電処理は放電ステーションにおいて誘電支
持ローラー上を好ましくは線速度1.0乃至500m/
分において通過せしめることにより行うのが有利であ
る。放電電極は移動フィルム表面から0.1乃至10.
0mmの位置に設置すればよい。
【0050】しかしながら、ある種の下塗層において
は、例えばコロナ放電処理のような予備表面変成処理を
行うことなく下塗層表面に直接適用するインクジェット
記録層用塗布材料との間に満足すべき接着力を得ること
ができる。
【0051】本発明のコーテッドフィルムベース上に
は、インクジェットインキを吸収し、かつ色材を発色及
び定着するインク吸収層を設ける事ができる。インクジ
ェット記録層用塗布材料とて、従来公知の材料を設ける
ことができる。下記のタイプA乃至Cに分類されるイン
クジェット記録層を本発明のインクジェット記録媒体を
得る上で、特に好適に適応する事ができる。
【0052】タイプA:インキ膨潤型インク吸収層 ポリビニルアルコール誘導体、ポリビニルピロリドン誘
導体、セルロース誘導体、ポリビニルアセタールのよう
な水溶性又は親水性ポリマーを主成分とするインク吸収
層をフィルム基材上に単層もしくは多層積層して設けた
記録媒体、または、フィルム基材上に微粉末状の多孔性
無定形シリカゲルを親水性ポリマー中に機械的に強制分
散させたインク保持層を設け、更に該インク保持層上に
親水性ポリマーを積層した記録媒体。例えば、これに属
する特許として、特開昭61―35275号公報、特開
昭61―35276号公報、特開昭61―35277号
公報、特開昭61―92885号公報、特開昭61―9
2886号公報、特開昭61―148091号公報、特
開昭61―148092号公報、特開昭61―1480
92号公報、特開昭61―135786号公報、特開昭
62―146674号公報、特開昭62―283172
号公報、特開昭09―39372号公報等に開示されて
いるインクジェット記録層を本発明のコーテッドフィル
ムベースに適応し、本発明のインクジェット記録媒体を
得る事が可能である。
【0053】タイプB:空隙吸収型インキ吸収層 ベーマイトアルミナゾルまたはコロイダルシリカゾルと
有機バインダーより形成された単層、若しくは積層皮膜
を付与し、インクジェットインキに対する溶媒吸収と色
素定着の両機能を付与した耐水性のインクジェット記録
層を本発明のコーテッドフィルム上に適応することが可
能である。この記録層の実用的乾燥膜厚は10μmから
50μmに設定される。例えば、特開昭63―1048
78号公報、特開昭09―66664号公報、特開昭0
4―263981号公報、特開昭05―32037号公
報、特開昭06―199034号公報、特開昭06―2
70530号公報、特開昭06―48016号公報、特
開昭09―66660号公報、特開昭09―12359
3号公報、特開昭08―67065号公報等に開示され
ているインクジェット記録層を本発明のコーテッドフィ
ルムベースに適応し、本発明のインクジェット記録媒体
を得る事が可能である。
【0054】タイプC:インキ膨潤/空隙吸収併用型イ
ンキ吸収層 フィルム基材上に上記タイプAの親水性のポリマーを介
して、ベーマイトアルミナゾルまたはコロイダルシリカ
ゾルと有機バインダーより形成された積層皮膜を付与
し、インクジェットインキに対する溶媒吸収と色素定着
の両機能を付与した耐水性のインクジェット記録層を本
発明のコーテッドフィルム上に適応することが可能であ
る。この記録層の実用的乾燥膜厚は10μmから50μ
mに設定される。例えば、特開平05―16517号公
報、特開平05―50739号公報等に開示されている
インクジェット記録層を本発明のコーテッドフィルムベ
ースに適応し、本発明のインクジェット記録媒体を得る
事が可能である。
【0055】本発明のインクジェット記録媒体は、デジ
タルハードコピー、写真、印刷、ポスター、看板、反射
板、窓貼りフィルム等の用途に供する事が可能である。
特に、高い光学濃度、広い色再現性、良好な色バラン
ス、表面光沢の制御、透明性の制御、高い画像解像力、
画像滲み等の画像品質に係わる特性と色材マイグレーシ
ョン防止のための画像定着性、高い耐候性(耐水性、耐
湿性、耐紫外線性)等の画像耐久性を必要とする用途に
好適に用いることができる。
【0056】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれに限定されたものではない。文中
「部」および「%」は特にことわりのない限り重量部ま
たは重量%を示す。また実施例中に用いられた評価方法
及びサンプル試作条件は次の通りである。
【0057】(イ)オフライン工程により形成した下塗
り層のPETフィルム基材に対する接着性評価 実施例および比較例で調整した水性分散体を、市販の1
00μm厚みの帝人デュポンフィルム株式会社製、テト
ロン(登録商標)HS 2軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルム(PETフィルム)上にオフライン工程
で固形分換算3g/m2 になるよう塗布し、温風乾燥機
で110℃×3分乾燥した後、200℃×1分の熱処理
を施し、状態にて一昼夜放置した後PETフィルムの加
工層上に1mm×1mm×100ケのクロスカットを入
れ、その上にセロハンテープ(ニチバン株式会社製(登
録商標)CT405A−18)を空気が入らないように
貼り合わせ、180°方向に引き剥がした後の下塗り層
の残存程度を次の基準で判定した。 ◎:残存枡目100、○:残存枡目99〜95、△:残
存枡目94〜80、×:残存枡目79以下
【0058】(ロ)耐熱安定性 実施例および比較例で調整した水性分散体を、(イ)と
同様に2軸延伸ポリエステルフィルム上にオフライン工
程で固形分換算3g/m2 になるよう塗布し、温風乾燥
機で110℃×3分乾燥した後、200℃×1分の熱処
理を施し、常態にて一昼夜放置した後の表面状態を肉眼
で観察し、未加工フィルムのテトロン(登録商標)HS
と相対評価し次の基準で判定した。 ○:透明性に差なし、△:僅かに曇りが見られる、×:
白化
【0059】(ハ)オフライン工程によるコーテッドフ
ィルムベースのポリビニルアルコール易接着性能 実施例および比較例で調整した水性分散体を、市販の1
00μm厚みの帝人デュポンフィルム株式会社製、テト
ロン(登録商標)HS 2軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルム(PETフィルム)上にオフライン工程
で固形分換算固形分換算1.0g/m2 となるように塗
布し、温風乾燥機で110℃×3分乾燥した後、200
℃×1分の熱処理を施し室温まで冷却する。その上か
ら、インクジェット記録媒体の画像記録剤の重要なバイ
ンダー成分の一種であるポリビニルアルコール樹脂、例
えば日本合成化学株式会社製ゴーセノール(登録商標)
GM−14の水溶液を不揮発分換算10g/m2 塗布
し、温風乾燥機で110℃×3分乾燥し、常態にて一昼
夜放置した後、(イ)と同様に密着性評価を行った。
【0060】(ニ)インライン工程による下塗り層を具
備したコーテッドフィルムベースの製造方法 ポリエチレンテレフタレート(PET)の溶融ウェブを
スロットダイから、冷却された回転ドラムの磨き面上に
従来の方法で押出し、その上で、ウェブをポリマーのガ
ラス転移温度より低い温度に冷却し、非結晶性フィルム
を得た後、冷却されたフィルムを再加熱し、そして約8
0℃の温度で長手方向に3.5倍延伸、次いで、上記
(ハ)のオフライン工程によるコーテッドフィルムベー
スのポリビニルアルコール易接着性の良好な結果の得ら
れた下塗り層用水性分散体に関して、これを塗布、次い
で幅方向に逐次3.9倍軸延伸され、約240℃で熱固
定され、0.3g/m2 の下塗り層塗布した約100μ
m厚みの本発明のインライン工程によるコーテッドフィ
ルムベースを得た。
【0061】ポリエチレンナフタレート(PEN)の溶
融ウェブをスロットダイから、冷却された回転ドラムの
磨き面上に従来の方法で押出し、その上で、ウェブをポ
リマーのガラス転移温度より低い温度に冷却し、非結晶
性フィルムを得た後、冷却されたフィルムを再加熱し、
そして約120℃の温度で長手方向に3.5倍延伸、次
いで上記(ハ)のオフライン工程によるコーテッドフィ
ルムベースのポリビニルアルコール易接着性の良好な結
果の得られた下塗り層用水性分散体に関して、これを塗
布、次いで幅方向に逐次3.9倍軸延伸され、約240
℃で熱固定され、0.3g/m2 の下塗り層塗布した約
100μm厚みの本発明のインライン工程によるコーテ
ッドフィルムベースを得た。
【0062】(ホ)インクジェット記録媒体の作成方法 実施例および比較例で調整した下塗り層用水性分散体を
塗布した本発明のコーテッドフィルム下塗層表面上にア
プリケーター方式により、処方1乃至5からなるインク
記録層1乃至4を設けたインクジェット記録媒体を作成
した。
【0063】インク記録層1 ポリビニルアルコールと合成非晶質シリカを主成分とす
る処方1の塗料を下塗り層上に塗布し、120℃で2分
間、熱乾燥硬化させ、約40μmの乾燥厚み有するイン
クジェット記録層1を設けた本発明のインク記録媒体を
作成した。
【0064】処方1:カープレックス(登録商標)#8
0(合成非晶質シリカ粉末、塩野義製薬工業株式会社
製)を通常の方法にて10重量%の固形分にて湿式強制
分散した水系スラリー15重量部とPVA117(完全
けん化ポリビニルアルコール、重合度1750、けん化
度98.5モル%、クラレ株式会社製)の10重量%水
溶液85重量部を撹拌しながら混合し、インクジェット
記録層1用の加工剤を作成した。
【0065】インク記録層2 完全けん化ポリビニルアルコールを保護コロイドとする
酢酸ビニルと擬ベーマイト型のアルミナゾルを主成分と
する処方2の塗料を下塗り層上に塗布し、120℃で2
分間、乾燥硬化させ、約40μmの乾燥厚み有するイン
ク記録層2を設けたインクジェット記録媒体を作成し
た。
【0066】処方2:ニカゾールH−510(登録商標)
(酢酸ビニル、50重量%不揮発分、日本カーバイド工
業株式会社製)を5重量部とカタロイド(登録商標)A
P−3(擬ベーマイト型アルミナゾル、15.5重量%
不揮発分、触媒化成工業株式会社製)95重量部を撹拌
しながら混合し、インクジェット記録層2用の加工剤を
作成した。
【0067】インク記録層3 アクリルとアルカリ性コロイダルシリカを主成分とする
処方例3の水吸着層とカチオン化ポリウレタンおよび擬
ベーマイト型アルミナゾルを主成分とする処方4の色素
定着層を、乾燥厚みで其々、約15μm、約25μm順
次積層して設け、2層構成のインク記録層3を設けたイ
ンクジェット記録層媒体を作成した。この際、各層のイ
ンク記録層構成要素は夫々120℃で2分間乾燥させ
た。
【0068】処方例3:スノーテックス(登録商標)U
P(アルカリ性コロイダルシリカ、20重量%不揮発
分、日産化学株式会社製)を75重量部とプライマール
(登録商標)AC261(メチルメタクリレート/ブチ
ルメタクリレート共重合ポリマー、50重量%不揮発
分、ローム・アンド・ハースジャパン社製)25重量部
を撹拌しながら混合し、インクジェット記録層用の水吸
収層用加工剤を作成した。
【0069】処方例4:パテラコール(登録商標)97
05(カチオン化ポリウレタン、15重量%不揮発分、
大日本インキ化学工業株式会社製)を15重量部とカタ
ロイド(登録商標)AP−3(擬ベーマイト型アルミナ
ゾル、15.5重量%不揮発分、触媒化成工業株式会社
製)85重量部を撹拌しながら混合し、インクジェット
記録層用の色素定着層加工剤を作成した。
【0070】インク記録層4 処方4の代わりに処方5を用いる以外はインクジェット
記録層3の例と同様に2層構成のインク記録層4を設け
たインクジェット記録媒体を作成した。
【0071】処方5:RSポリマー(登録商標)RS−
117(完全けん化ポリビニルアルコール、重合度16
50、けん化度98.6モル%、クラレ株式会社製)の
10重量%水溶液を21重量部とカタロイド(登録商
標)AP−3(擬ベーマイト型アルミナゾル、15.5
重量%不揮発分、触媒化成工業株式会社製)79重量部
を撹拌しながら混合し、インクジェット記録層用の色素
定着層加工剤を作成した。
【0072】これら本発明の下塗り層有するコーテッド
フィルムベース上に、インクジェット記録層を積層した
本発明のインクジェット記録媒体に関し、以下の評価を
行った。
【0073】画像記録条件 日本規格協会発行のJIS X9201―1995準拠
の高精細カラーディジタル標準画像中、 画像認識記号
公報 N2(カフェテリア)または 画像認識記号公
報 N (階調 )の画像情報を用い、Adobe社製
Photoshop(登録商標) 4.0J 画像編
集ソフトウェアー中に取り込み、編集すること無しに、
エプソン株式会社製 PM−700C(登録商標)イン
クジェットカラープリンターのスパーファインモードの
印刷品質設定(高画質ハーフトーン、自動色補正モー
ド、専用光沢フィルム)で記録した。
【0074】加工層の接着性評価 インクジェット記録媒体の画像記録層上にセロハンテー
プ(ニチバン株式会社製CT405A−18)を空気が
入らないように貼り合わせ、180°方向に30mm/
minの速度で引き剥がした後の加工層の接着性を目視
で判定した。 ○:良好な接着性、△:部分的に剥離する、×:殆ど剥
離する
【0075】印画記録された被記録媒体の耐水接着性評
価 印画直後の被記録媒体を常温水に10分間浸せきし、印
画表面を指で数往復回擦り、そのダメージを目視にて、
観察した。 ○:良好な接着性、△:部分的に剥離する、×:殆ど剥
離する
【0076】印画記録された被記録媒体の画像品質評価 印画直後の被記録媒体の画像鮮明性を目視にて、以下の
基準で評価した。 ○:滲み無く、濃度も高い鮮明画像、△:部分的に滲み
があり、多少鮮明性が落ちる、×:滲みが生じ、不鮮明
な画像
【0077】ポリエステルのガラス転移温度、結晶化温
度及び融点 サンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封
入して示差熱量計(デュポン社製・V4.OB2000
型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で3
00℃まで昇温させ、300℃で5分間保持した後取出
し、直ちに氷の上に移して急冷する。このパンを再度示
差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で昇温
させてガラス転移温度(Tg:℃)、結晶化温度(T
c:℃)及び融点(Tm:℃)を測定する。
【0078】水性ポリエステル樹脂(ポリエステルa
1)の合成例 留出管、窒素導入管、温度計、撹拌機を備えた四つ口フ
ラスコに、テレフタル酸ジメチル0.3モル、5−ソジ
ウムスルホイソフタル酸ジメチル0.05モル、エチレ
ングリコール0.8モル、1,4−ブタンジオール1.
2モル、ポリテトラメチレングリコール(分子量100
0)0.03モル、及び触媒としてテトラブチルチタネ
ート0.3ミリモルを仕込み、130℃から170℃ま
で2時間かけて昇温し、生成するメタノールを留出させ
た。更に、アジピン酸0.7モルを添加し、170℃か
ら250℃まで3時間かけて昇温した後、フラスコ内を
除々に減圧し、過剰のグリコール成分を留去した。真空
度5mmHgで4時間反応後、常圧に戻し生成したポリ
エステルを取り出し冷却したところ淡黄白色不透明であ
った。DSCによる結晶融解熱のピークは101℃であ
った。以下同様の方法により、表1のモノマー組成(モ
ル)の水性ポリエステルを合成し、各々の樹脂について
DSCにより結晶融解熱のピーク温度を測定した。結果
を表1に併記した。
【0079】
【表1】
【0080】上記モノマー比率で重縮合された樹脂を固
形分濃度25%になるよう水分散した。但し、上記モノ
マー表示はTPA:テレフタル酸、IPA:イソフタル
酸、AA:アジピン酸、SIPA:5−ソジウムスルホ
イソフタル酸、EG:エチレングリコール、BD:1,
4−ブタンジオール、DEG:ジエチレングリコール、
PTMG1000:ポリテトラメチレングリコール(分
子量1000)、PEG1000:ポリエチレングリコ
ール(分子量1000)、PPG1000:ポリプロピ
レングリコール(分子量1000)、POAG:ポリオ
キシアルキレングリコルを示す。
【0081】複合樹脂bの合成 コンデンサー、モノマー滴下用ロート、温度計、撹拌機
を備えた四つ口フラスコに、ポリエステル樹脂b1の水
分散駅600部、イオン交換水299.5部、ラジカル
重合開始剤として過酸化コハク酸0.5部を仕込み、撹
拌し窒素パージを十分行った後加温を始め、75℃でM
MA75部/GMA25部の混合液を90分で滴下す
る。滴下終了後も液温を75〜85℃に維持しつつ反応
を進め4時間後冷却し内容物を取り出して、不揮発分2
5%、pH6.0の重合樹脂分散体を得た。
【0082】
【表2】
【0083】但し、上記各モノマー表示はMMA:メチ
ルメタクリレート、GMA:グリシジルメタクリレート
を示す。
【0084】(実施例1)表1の水性ポリエステルa1
を固形分濃度25%になるように水分散したものを75
部と、表2の複合樹脂b3の樹脂の固形分25%分散体
25部とを混合したものを作成し、これを下塗り層用の
加工剤として、市販の100μm厚みの帝人デュポンフ
ィルム株式会社製、テトロン(登録商標)HS 2軸延
伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィル
ム)の片面上に、オフライン工程で固形分換算固形分換
算1.0g/m2 となるように塗布し、温風乾燥機で1
10℃×3分乾燥した後、200℃×1分の熱処理を施
し室温まで冷却してPETコーテッドフィルムベースを
得た。このフィルムの評価結果を表3に示す。
【0085】(実施例2〜5及び比較例1〜10)表3
に示す水性ポリエステル(組成は表1に示す)と複合樹
脂(組成は表2に示す)を表3に示す割合で混合したも
のを作成した以外は実施例1と同様にPETコーテッド
フィルムベースを得た。このフィルムの評価結果を表3
に示す。尚、比較例10で用いたアクリル分散体b8
(アクリルb8)の合成は、下記の通り実施した。
【0086】アクリル分散体b8の合成 前記複合樹脂b3と同じ反応装置を用いて、イオン交換
水305.5部、界面活性剤としてエレミノール(登録
商標)RS−30(三洋化成工業株式会社製、アニオン
活性剤、有効成分50%)6部、過酸化コハク酸0.5
部を仕込み、撹拌しつつ窒素パージを充分行ったのち加
温を始め、75℃でMMA75部/GMA25部の混合
液を3時間かけて滴下する。滴下終了後も液温を75〜
85℃に維持しつつ反応を進め、4時間後冷却し内容物
を取り出して、不揮発分25%、pH5.5のアクリル
分散体を得た。
【0087】(実施例6〜10)ポリエチレンテレフタ
レート(PET:固有粘度0.63dl/g、融点25
5℃、ガラス転移温度78℃)の溶融ウェブをスロット
ダイから、冷却された回転ドラムの磨き面上に従来の方
法で押出し、その上で、ウェブをポリマーのガラス転移
温度より低い温度に冷却し、非結晶性フィルムを得た
後、冷却されたフィルムを再加熱し、そして約80℃の
温度で長手方向に3.5倍延伸して一軸延伸フィルムを
得た。、この一軸延伸フィルムの片面に、表4に示す水
性ポリエステル(組成は表1に示す)と複合樹脂(組成
は表2に示す)を表4に示す割合で混合した下塗り層用
加工剤を塗布し、次いで幅方向に逐次3.9倍軸延伸
し、更に約240℃で熱固定して0.3g/m2 の下塗
り層塗布した約100μm厚みのインライン工程による
コーテッドフィルムベースを得た。このフィルムの評価
結果を表4に示す。
【0088】(実施例11〜15)ポリエチレンナフタ
レート(PEN:固有粘度0.60dl/g、融点26
0℃、ガラス転移温度121℃)の溶融ウェブをスロッ
トダイから、冷却された回転ドラムの磨き面上に従来の
方法で押出し、その上で、ウェブをポリマーのガラス転
移温度より低い温度に冷却し、非結晶性フィルムを得た
後、冷却されたフィルムを再加熱し、そして約120℃
の温度で長手方向に3.5倍延伸して一軸延伸フィルム
を得た。この一軸延伸フィルムの片面に、表5に示す水
性ポリエステル(組成は表1に示す)と複合樹脂(組成
は表2に示す)を表5に示す割合で混合した下塗り層用
加工剤を塗布し、次いで幅方向に逐次3.9倍軸延伸
し、更に約240℃で熱固定して、0.3g/m2 の下
塗り層塗布した約100μm厚みのインライン工程によ
るコーテッドフィルムベースを得た。このフィルムの評
価結果を表5に示す。
【0089】表3から表5に示した評価結果より、下塗
り層用の本加工剤は、ポリエステル基材に対する密着性
に優れ、耐熱白化性が良好で、かつポリビニルアルコー
ル等のインクジェット記録層用の親水性バインダーに対
する密着性も良好で、インクジェット記録媒体用のコー
テッドフィルム基材として優れた性能を有していた。ま
た、この本発明のコーテッドフィルムベースにインクジ
ェット記録層を積層した本発明のインクジェット記録媒
体が易接着性能、耐水接着性および印画記録品質に優れ
ている事が確認できた。
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】尚、表3はオフライン工程によるPETコ
ーテッドフィルムベースの評価結果を、表4はインライ
ン工程によるPETコーテッドフィルムベースの評価結
果を、表5はインライン工程によるPENコーテッドフ
ィルムベースの評価結果をそれぞれ示す。また、表3か
ら表5における記載でポリエステルは水性ポリエステル
を示し、ポリエステルおよび複合樹脂の単位(数字)は
重量部を示す。
【0094】
【発明の効果】耐熱性に優れた接着性組成物を適応した
コーテッドフィルムベースを発明したことにより、耐久
性に優れたインクジェット記録媒体の設計が可能とな
り、利用性が著しく広がり、その産業上の効果は極めて
大きい。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C08L 67:00 C08L 67:00 (71)出願人 501241232 デュポン テイジン フィルムズ ユー. ケー.リミテッド DUPONT TEIJIN FILMS U.K. LIMITED イギリス国 スコットランド、ダンフリー ズ ディージー2 8ワイエイ デルバー ティ ロード ドランガンス、ピー.オ ー.ボックス 7558 P.O.Box 7558 Delbertt ie Road Drungans, D umfries DG2 8YA Sco ttland, U.K. (72)発明者 竹内 光 神奈川県相模原市小山3丁目37番19号 帝 人デュポンフィルム株式会社相模原研究セ ンター内 (72)発明者 クリストファー ファーグソン イギリス国 ミドルスブロウ ティーエス 90 8ジェイエフ ウイルトン ピーオー ボックス 2002 (72)発明者 デビッド ボイス イギリス国 ミドルスブロウ ティーエス 90 8ジェイエフ ウイルトン ピーオー ボックス 2002 (72)発明者 アンドルー チャールズ ストリート イギリス国 ミドルスブロウ ティーエス 90 8ジェイエフ ウイルトン ピーオー ボックス 2002 (72)発明者 ノエル ステフェン ブラブス ルクセンブルグ大公国 ルクセンブルグ エル−1016 ビーピー 1681 Fターム(参考) 4F006 AA35 AB34 AB35 AB52 BA01 CA01 4F100 AK41A AK41B AK41C AL01B AL01C BA02 BA03 BA06 BA07 BA15 EH46B GB90 JA11B JA11C JA12B JA12C JB09B JB09C YY00B YY00C 4J038 CE052 CG142 CH172 DD071 DD091 GA02 GA07 NA12 PB03 PB11 PC08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 自己支持体性の合成線状ポリエステルフ
    ィルムの少なくとも一表面に連続下塗層を適用してなる
    コーテッドフィルムベースであって、該下塗層は結晶性
    の水性ポリエステル樹脂aが70〜90重量%と非結晶
    性の水性複合樹脂bが30〜10重量%から導かれる水
    性共重合体で構成され、該ポリエステル樹脂aがジカル
    ボン酸成分として25モル%以上のテレフタル酸、及び
    構造中にポリオキシアルキレングリコール3〜40重量
    %を含み、且つ水性複合樹脂bが構造中にポリオキシア
    ルキレングリコールを2重量%以上含む非結晶性の水性
    ポリエステル樹脂bの存在下で、重合性単量体及び(又
    は)それと共重合可能なその他の単量体を重合させて得
    られることを特徴とするインクジェット画像記録層を積
    層するのに適当なコーテッドフィルムベース。
  2. 【請求項2】 ポリエステル樹脂aが更にその構造中
    に、1,4−ブタンジオールを含むことを特徴とする請
    求項1項記載のコーテッドフィルムベース。
  3. 【請求項3】 複合樹脂bを構成する非結晶性の水性ポ
    リエステル樹脂bの存在下で重合される重合性単量体及
    び(又は)それと共重合可能なその他の単量体がエポキ
    シ基を含有し、エポキシ基を有する重合性単量体が10
    〜45重量%であることを特徴とする請求項1項記載の
    コーテッドフィルムベース。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3記載のコーテッドフィル
    ムベースを使用したインクジェット記録媒体。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009152180A (ja) * 2007-12-18 2009-07-09 Samsung Electronics Co Ltd インクジェット印刷用電極組成物、これから得られた電極及び二次電池

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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