JP2002368565A - 集中定数フィルタ、アンテナ共用器、および通信装置 - Google Patents

集中定数フィルタ、アンテナ共用器、および通信装置

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JP2002368565A
JP2002368565A JP2002034374A JP2002034374A JP2002368565A JP 2002368565 A JP2002368565 A JP 2002368565A JP 2002034374 A JP2002034374 A JP 2002034374A JP 2002034374 A JP2002034374 A JP 2002034374A JP 2002368565 A JP2002368565 A JP 2002368565A
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resonator
capacitance
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた帯域通過特性を有する簡素な構造の集
中定数フィルタを構成する。 【解決手段】 アルミナ基板1上に形成された誘電体膜
の上には、入力端子2、出力端子3および接地電極4が
形成されており、入力端子2と接地電極4との間にスパ
イラルインダクタ5が接続されている。一方、出力端子
3と接地電極4との間にも、スパイラルインダクタ6が
接続されている。入力端子2とスパイラルインダクタ5
との間、および出力端子3とスパイラルインダクタ6と
の間にはMIMキャパシタ15,16がそれぞれ挿入さ
れている。また、スパイラルインダクタ5,6の間にス
パイラルインダクタ14が挿入されている。スパイラル
インダクタは、自己インダクタンスと、隣り合う電極間
にキャパシタンスとを有し、これらにより自己共振をし
て、並列LC共振器としての機能を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、誘電体基板の表
面にスパイラルインダクタを回路形成した集中定数フィ
ルタ、アンテナ共用器、および通信装置に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】従来の集中定数フィルタについて、図1
4を参照して説明する。
【0003】図14の(a)は集中定数フィルタの平面
図であり、図14の(b)はその等価回路図である。
【0004】図14の(a)において、1はアルミナ基
板、2は入力端子、3は出力端子、4は接地電極、5、
6はスパイラルインダクタ、7〜11はインターディジ
タルキャパシタ、12,13はLC共振器である。ま
た、アルミナ基板1上には下部電極、誘電体膜、上部電
極が順に積層されており、図中の実線で描かれた斜線部
は上部電極を、破線で囲まれた部分は下部電極をそれぞ
れ示している。また、図14の(b)において、GA
B は負荷コンダクタンス、L1 ,L 2 は並列インダク
タンス、C1 ,C2 は並列キャパシタンス、C01は入力
キャパシタンス、C23は出力キャパシタンス、C12は直
列キャパシタンスである。
【0005】アルミナ基板1上に形成された誘電体膜の
上には、入力端子2、出力端子3および接地電極4が形
成されている。また、スパイラル形状に上部電極を形成
したスパイラルインダクタ5と、対向する電極同士が櫛
歯状に形成したインターディジタルキャパシタ7とが並
列に形成されてLC共振器12が形成されている。この
LC共振器12は入力端子2と接地電極4との間に接続
されている。一方、出力端子3と接地電極4との間にも
同様に、スパイラルインダクタ6とインターディジタル
キャパシタ8とからなるLC共振器13が接続されてい
る。入力端子2とLC共振器12との間にはインターデ
ィジタルキャパシタ10が挿入されており、出力端子3
とLC共振器13との間にもインターディジタルキャパ
シタ11が挿入されている。また、LC共振器12とL
C共振器13との間にインターディジタルキャパシタ9
が挿入されている。
【0006】このように回路を構成することにより、図
14の(b)に示すようにL1 ,C 1 からなるLC共振
器とL2 ,C2 からなるLC共振器とをキャパシタンス
1 2 で容量結合し、入力キャパシタンスC01、出力キ
ャパシタンスC23を備えた、2段の共振器からなる集中
定数フィルタを構成する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
従来の集中定数フィルタについては、次に示す解決すべ
き課題があった。
【0008】図14に示す集中定数フィルタにおいて
は、フィルタを構成する回路素子数が多く、各回路素子
の構成要素である線路幅、線路間隔がフィルタの特性に
大きく影響する。それは、インターディジタルキャパシ
タでは櫛歯数、櫛歯を形成する線路幅、および線路間隔
であり、スパイラルインダクタでは、スパイラルの巻き
数、線路幅、および線路間隔である。このため、これら
複数の構成要素を所定の公差内で形成することは、構成
要素が増えるほど難しくなり、これらから構成されるフ
ィルタの歩留まりは悪かった。
【0009】また、所定の通過特性は得られるものの、
フィルタのQ値をさらに向上しようとする場合、通過周
波数帯域の高域側または低域側に減衰極を設ける方法が
ある。しかし、従来の集中定数フィルタにおいては、新
たに回路素子を形成しなければ、減衰極を設けることが
できなかった。
【0010】この発明の目的は、優れた帯域通過特性を
有する簡素な構造の集中定数フィルタ、アンテナ共用器
およびこれらを備えた通信装置を構成することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】この発明は、入力端子お
よび出力端子と接地電極間に接続される複数の並列素子
を、スパイラル形状に形成した電極のインダクタンスと
スパイラル形状に形成した電極の互いに隣接する電極同
士の間に生じるキャパシタンスとによる並列LC共振器
で構成する。また、並列素子間に挿入される複数の直列
素子を、スパイラル形状に形成した電極のインダクタン
スとスパイラル形状に形成した電極の互いに隣接する電
極同士の間に生じるキャパシタンスとによる並列LC共
振器で構成して、これらの回路素子を備えて集中定数フ
ィルタを構成する。
【0012】また、この発明は、直列素子を構成するス
パイラル形状に形成した電極の巻き数を所定の値に設定
することにより、並列LC共振器の自己共振により得ら
れる減衰極の周波数を定めて集中定数フィルタを構成す
る。
【0013】また、この発明は、直列素子を構成するス
パイラル形状に形成した電極の線路幅と線路間隔を所定
の値に設定することにより、並列LC共振器の自己共振
により得られる減衰極の周波数を定めて集中定数フィル
タを構成する。
【0014】また、この発明は、直列素子を構成するス
パイラル形状に形成した電極の巻き数を、直列素子に隣
り合う並列素子を構成するスパイラル形状に形成した電
極の巻き数よりも多くして集中定数フィルタを構成す
る。
【0015】また、この発明は、入力端子および出力端
子と並列素子との間に挿入される直列素子の少なくとも
一つを、誘電体セラミック基板上に下部電極、誘電体
膜、上部電極を順次形成してなるキャパシタンス素子と
して集中定数フィルタを構成する。
【0016】また、この発明は、スパイラル形状に形成
した電極を、超電導性を有する薄膜で形成して集中定数
フィルタを構成する。
【0017】また、この発明は、前記集中定数フィルタ
を備えてアンテナ共用器を構成する。
【0018】また、この発明は、前記集中定数フィルタ
または前記アンテナ共用器を備えて通信装置を構成す
る。
【0019】
【発明の実施の形態】第1の実施形態に係る集中定数フ
ィルタの構成について、図1〜図10を参照して説明す
る。
【0020】図1の(a)は集中定数フィルタの平面図
であり、図1の(b)はその等価回路図である。
【0021】図1において、1は誘電体セラミック基板
であるアルミナ基板、2は入力端子、3は出力端子、4
は接地電極、5,6,14はスパイラルインダクタ、1
5,16はアルミナ基板1の表面に下部電極、誘電体
膜、上部電極を順次形成してなるキャパシタ(以下「M
IMキャパシタ」という。)、12,13,17はLC
共振器である。また、アルミナ基板1上には下部電極、
誘電体膜、上部電極が順に積層されており、図中の実線
で描かれた斜線部は上部電極を、破線で囲まれた部分は
下部電極をそれぞれ示している。また、図1の(b)に
おいて、GA ,GB は負荷コンダクタンス、L'1,L'2
は並列インダクタンス、C'1,C'2は並列キャパシタン
ス、C'01 は入力キャパシタンス、C'23 は出力キャパ
シタンス、L'12 は直列インダクタンス、C'12は直列
キャパシタンスである。
【0022】アルミナ基板1上に形成した誘電体膜の上
には、入力端子2、出力端子3および接地電極4が形成
されている。また、上部電極をスパイラル形状に形成し
た4.75巻きのスパイラルインダクタ5が形成され、
入力端子2と接地電極4との間に接続されている。一
方、出力端子3と接地電極4との間にも同様に、4.7
5巻きのスパイラルインダクタ6が接続されている。
【0023】入力端子2とスパイラルインダクタ5との
間にはMIMキャパシタ15が挿入されており、出力端
子3とスパイラルインダクタ6との間にもMIMキャパ
シタ16が挿入されている。また、スパイラルインダク
タ5,6の間に6.5巻きのスパイラルインダクタ14
が挿入されている。前記それぞれのスパイラルインダク
タのライン/スペース比(L/S)は20μm/20μ
mである。
【0024】スパイラルインダクタは、自己インダクタ
ンスを有するとともに、巻いている隣り合う電極間の静
電容量に起因するキャパシタンスを有する。よって、ス
パイラルインダクタは、自己の持つインダクタンス成分
とキャパシタンス成分とにより自己共振をして、並列L
C共振器としての機能を有している。
【0025】よって、図1の(a)に示した回路は、図
1の(b)に示すようにL'1,C'1からなる並列LC共
振器と、L'2,C'2からなる並列LC共振器とを、L'
12 ,C'12 からなる並列LC共振器で結合し、入力キ
ャパシタンスC'01 、出力キャパシタンスC'23 を備え
た、2段の並列LC共振器からなるチェビシェフフィル
タを構成する。
【0026】一般に、n段の帯域通過フィルタを構成す
る場合、Jインバータを用いて表示すると、図2のよう
に表される。図2はJインバータを用いたn段の帯域通
過フィルタ(BPF)の回路図である。また、Jインバ
ータの各素子値は、以下のように表される。
【0027】
【数1】
【0028】
【数2】
【0029】
【数3】
【0030】ここで、nはフィルタの段数、f0 は減衰
域の中心周波数、BWは通過帯域幅、gr はプロトタイ
プフィルタの素子値、Br (ω)は共振器のサセプタン
ス、GA は負荷コンダクタンスである。
【0031】並列LC共振器の場合、[ 数1] のサセプ
タンススロープbr は以下の式で表される。
【0032】
【数4】
【0033】ここで、並列共振器のキャパシタンスはC
r 、インダクタンスはLr としている。
【0034】一方、Jインバータを実現する回路とし
て、図3に示す回路が与えられる。
【0035】図3の(a)はJインバータを実現するイ
ンダクタンス素子を用いた回路を示した図であり、図3
の(b)はキャパシタンス素子を用いた回路を示した図
である。
【0036】共振器間の結合を誘導性結合として設計を
行うと、図2に示したJインバータは図3の(a)に示
した回路に置き換えられる。また、入出力部と共振器間
の結合を容量性結合として設計を行うと、図2に示した
Jインバータは図3の(b)に示した回路に置き換えら
れる。
【0037】図4は変換後の回路図である。
【0038】入出力部の並列容量−C01は負の値である
ため、このままでは実現することができない。ここで、
図4のA端から入力側をみたインピーダンスを等しくす
るように、以下に示す式で与えられる直列キャパシタン
スC’01と並列キャパシタンスC”01とに置き換える。
【0039】
【数5】
【0040】一段目の共振器では、入出力部の並列キャ
パシタンスC"01 は共振器を構成する並列キャパシタン
スC'1に合成することができ、共振器間の並列インダク
タンス−M1,2 は共振器を構成する並列インダクタンス
L'1に合成することができる。
【0041】よって、並列キャパシタンスC'1と並列イ
ンダクタンスL'1を以下の式のように与えることによ
り、2段のフィルタを構成できる。
【0042】
【数6】
【0043】ここで、[ 数6] から、M1,2 <L1 であ
ると、L'1<0となり、実際にフィルタを構成すること
ができない。よって、M1,2 >L1 の関係、すなわち、
直列素子を構成するスパイラルインダクタの巻き数を、
並列素子を構成するスパイラルインダクタの巻き数より
も多くしなければならない。
【0044】このような変換を行うことにより、図4に
示す回路を図5に示す等価回路に変換することができ
る。図5は2段の並列共振器を誘導性結合させた帯域通
過フィルタの回路図である。
【0045】このように構成した帯域通過フィルタは、
インダクタンス値が大きくなると、インダクタの影響を
受けやすくなり、高域通過フィルタとしての特性が強く
なる。このため、通過周波数帯域の高域側で減衰特性が
悪化する。
【0046】ここで、共振器間に接続されたインダクタ
ンスに並列にキャパシタンスを接続することにより、こ
れらが共振器となり、入出力間に直列に挿入される共振
器を設ける。この共振器の中心周波数でのインピーダン
スは、前述のインダクタンスのインピーダンスと一致す
るように設定する。
【0047】この共振器の自己共振周波数は以下の式で
与えられる。
【0048】
【数7】
【0049】ここで、fp は共振器の自己共振周波数で
ある。
【0050】この直列共振器の共振周波数を所定の周波
数となるように設定することにより、通過帯域特性を改
善することができる。
【0051】このように、図1の(b)に示す2段の共
振器を用いた集中定数フィルタを構成する。
【0052】一方、スパイラルインダクタの特性につい
て、以下に説明する。
【0053】図6はスパイラルインダクタの巻き数と無
負荷Qとの関係を示した図である。ここで、測定周波数
は2GHzであり、スパイラルインダクタはアルミナ基
板状にL/Sが20μm/20μmで形成されている。
【0054】また、このスパイラルインダクタを使用し
て並列LC共振器を構成した場合のインダクタの巻き数
とインダクタの面積と無負荷Qの関係を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】インダクタの巻き数を変化に対して、イン
ダクタの面積を変化させることでキャパシタンスを変化
させて、共振周波数を2GHzに固定して計算を行っ
た。これらの結果によれば、スパイラルインダクタの巻
き数が増加すると共振器の無負荷Qが増加することがわ
かる。
【0057】ここで、インダクタの巻き数が少ない領域
でも共振器の無負荷Qが増加しているが、この領域では
スパイラルインダクタの線路間による浮遊容量がとれ
ず、実現が不可能である。
【0058】次に、スパイラルインダクタの巻き数とイ
ンダクタンス、浮遊容量および自己共振周波数との関係
について示す。また、スパイラルインダクタの線間距離
とインダクタンス、浮遊容量および自己共振周波数との
関係について示す。
【0059】図7の(a)はスパイラルインダクタの巻
き数と浮遊容量およびインダクタンスとの関係を示した
図であり、図7の(b)はスパイラルインダクタの巻き
数と自己共振周波数との関係を示した図である。スパイ
ラルインダクタのL/Sはどの巻き数であっても同じ
(20μm/20μm)である。
【0060】また、図8の(a)はスパイラルインダク
タの線間距離と浮遊容量およびインダクタンスとの関係
を示した図であり、図8の(b)はスパイラルインダク
タの線間距離と自己共振周波数との関係を示した図であ
る。スパイラルインダクタの線幅は20μmである。
【0061】図7に示すように、L/Sが一定であれ
ば、スパイラルインダクタの巻き数が増加すると、浮遊
容量、インダクタンスともに増加する。よって、スパイ
ラルインダクタの自己共振周波数は変化する。
【0062】また、図8に示すように、線幅が20μm
と一定で、線間距離を広くすると、浮遊容量、インダク
タンスともに増加する。よって、スパイラルインダクタ
の自己共振周波数は変化する。
【0063】このように、スパイラルインダクタの巻き
数、L/Sを変化させることで、スパイラルインダクタ
の自己共振周波数を所望の特性となるように変化させる
ことができる。
【0064】よって、スパイラルインダクタを前述のフ
ィルタにおける直列素子として用い、L/Sを定めるこ
とにより、減衰極周波数を定めることができる。
【0065】前述の方法で所望の特性となるように設計
と構成とを行った2段の帯域通過フィルタの周波数特性
を図9および図10に示す。
【0066】図9は帯域通過フィルタの周波数特性のシ
ミュレーション結果であり、図10は本発明によるフィ
ルタの周波数特性を実測した結果である。
【0067】図9において、実線は直列素子がキャパシ
タンスのみのフィルタの特性曲線であり、破線は直列素
子が並列LC共振器であるフィルタの特性曲線である。
【0068】図9に示すように、直列素子がキャパシタ
ンスのみのフィルタは、通過帯域の高域側の特性曲線が
なだらかになってしまい、高域側の信号を減衰しないた
め、高域通過の特性を発生してしまう。一方、直列素子
が並列LC共振器であるフィルタは、通過帯域の高域側
に減衰極が発生するため、高域側の減衰量が増加し、帯
域通過フィルタとしての周波数特性が向上する。
【0069】また、前記減衰極は、直列素子である並列
LC共振器の自己共振周波数によって決定されるので、
この並列LC共振器を構成するスパイラルインダクタの
巻き数およびL/Sを所望の自己共振周波数が得られる
ように設定することにより、減衰極の位置を変化させ
て、通過帯域特性を制御することができる。
【0070】このような構成とすることにより、少ない
回路素子で優れた特性を有する帯域通過フィルタを形成
することができる。
【0071】また、入出力部のキャパシタンス素子をM
IMキャパシタにすることにより、キャパシタンス素子
の面積を小さくすることができる。よって、フィルタ全
体を簡素で省スペースに形成することができる。
【0072】なお、本実施例では、減衰極を通過帯域の
高域側に形成するように設計したが、直列素子であるス
パイラルインダクタの浮遊容量を増加するように設計す
ることにより、通過帯域の低域側に減衰極を形成するこ
とができる。よって、低域側の特性を改善することがで
きる。
【0073】また、本実施例では、入出力部のキャパシ
タンス素子をMIMキャパシタとしたが、インターディ
ジタル型のキャパシタを使用してもよい。また、入出力
部のJインバータをインダクタ回路に変換し、そのイン
ダクタとしてスパイラルインダクタを用いてもよい。
【0074】また、本実施例では、方形状のスパイラル
インダクタを用いているが、円状のスパイラルインダク
タを用いてもよい。
【0075】また、上部電極および下部電極をYB2
3 7-x 等の酸化物超電導体で形成し、誘電体セラミ
ック基板および誘電体膜をMgO等の低誘電損失の基板
で形成することにより、超電導体を用いた集中定数フィ
ルタを構成することができる。このような集中定数フィ
ルタを、転移温度以下で使用することにより、電極の導
体損をなくすことができ、集中定数フィルタの挿入損失
を大幅に改善することができる。また、導体損失がなく
なることにより、スパイラルインダクタを小型化でき、
小型の集中定数フィルタを構成することができる。
【0076】次に、第2の実施形態に係るアンテナ共用
器について、図11を参照して説明する。
【0077】図11はアンテナ共用器の平面図である。
図11において、101はアルミナ基板、102はTX
端子、103はRX端子、104はアンテナ端子、10
5,106は接地電極、107〜112はスパイラルイ
ンダクタ、113〜116はMIMキャパシタ、11
7,118はフィルタ回路である。また、アルミナ基板
101の表面には下部電極、誘電体膜、上部電極が順に
積層されており、図中の実線で描かれた斜線部は上部電
極を、破線で囲まれた部分は下部電極をそれぞれ示して
いる。図11に示すアンテナ共用器は、二つのフィルタ
117,118と、これにそれぞれ接続するアンテナ端
子104と、フィルタ117に接続するTX端子102
と、フィルタ118に接続するRX端子103とから構
成される。アンテナ端子104、TX端子102、RX
端子103はそれぞれ上面電極で形成されている。
【0078】フィルタ117,118は、所望の特性が
得られるように、各スパイラルインダクタの巻き数、線
幅、線間距離が決められており。他の構成は第1の実施
形態に係るフィルタと同じ構成である。
【0079】TX端子102から入力された信号は、T
X側フィルタ117にて不要周波数成分が除去され、ア
ンテナ端子104を介してアンテナから発信される。一
方、アンテナで受信され、アンテナ端子104から入力
された信号は、RX側フィルタ118にて不要周波数成
分が除去されて、RX端子から外部回路に伝送される。
このようにして、一つの回路網でTX側、RX側の機能
を備えたアンテナ共用器を構成する。
【0080】ここで、TX側フィルタ117における並
列接続された2段の共振器を構成するスパイラルインダ
クタ107,108の巻き数は、RX側フィルタ118
のスパイラルインダクタ109,110の巻き数よりも
多く設定する。このことにより、TX側フィルタ117
の通過帯域の中心周波数をRX側フィルタ118よりも
低周波数側に設定する。
【0081】一方、TX側フィルタ117における直列
素子であるスパイラルインダクタ111は、そのインダ
クタンス値が小さくなるように巻き数を少なく設定する
ことにより、減衰極を通過帯域の高域側に形成し、通過
帯域の高域側の減衰曲線を急峻にする。また、RX側フ
ィルタ118における直列素子であるスパイラルインダ
クタ112は、その浮遊容量が大きくなるように巻き数
を多く設定することにより、減衰極を通過帯域の低域側
に形成し、通過帯域の低域側の減衰曲線を急峻にする。
【0082】図12はアンテナ共用器の周波数特性図で
ある。図12において、細線は直列素子がキャパシタン
スのみの場合であり、太線は直列素子が並列LC共振器
である場合である。
【0083】図12に示すように、TX側フィルタの通
過帯域が、RX側フィルタの通過帯域より低域となるよ
うに、TX側フィルタの通過帯域とRX側フィルタの通
過帯域とが隣り合って設定される。ここで、TX側フィ
ルタは、通過帯域の高域側に減衰極Aが存在するため、
高域側の減衰特性が急峻となり、RX側の信号を十分に
減衰する。一方、RX側フィルタは、逆に通過帯域の低
域側に減衰極Bが存在するため、低域側の減衰特性が急
峻となり、TX側の信号を十分に減衰する。
【0084】このような構成とすることに、TX側フィ
ルタとRX側フィルタとを備え、互いの通過帯域におけ
る周波数成分を十分に減衰するアンテナ共用器を構成す
ることができる。
【0085】また、各フィルタの共振器がスパイラルイ
ンダクタのみで構成されているので、簡素な構造でアン
テナ共用器を構成できる。
【0086】次に、第3の実施形態に係る通信装置につ
いて、図13を参照して説明する。図13は、通信装置
のブロック図である。
【0087】図13において、ANTは送受信アンテ
ナ、DPXはデュプレクサ、BPFa,BPFb,BP
Fcはそれぞれ帯域通過フィルタ、AMPa,AMPb
はそれぞれ増幅回路、MIXa,MIXbはそれぞれミ
キサ、OSCは発振器、DIVは分周器(シンセサイザ
ー)である。MIXaはDIVから出力される周波数信
号をIF信号で変調し、BPFaは送信周波数の帯域の
みを通過させ、AMPaはこれを電力増幅してDPXを
介しANTより送信する。AMPbはDPXから出力さ
れる信号を増幅させ、BPFbはAMPbからの出力信
号のうち受信周波数帯域のみを通過させる。MIXbは
BPFcより出力される周波数信号と受信信号とをミキ
シングして中間周波信号IFを出力する。
【0088】図13に示した帯域通過フィルタBPF
a,BPFb,BPFcは、図1に示した構造の集中定
数フィルタを用いることができ、デュプレクサは図11
に示した構造のアンテナ共用器を用いることができる。
このようにして全体に簡素な構造で優れた通信特性を有
する通信装置を構成することができる。
【0089】
【発明の効果】この発明によれば、入力端子および出力
端子と接地電極間に接続される複数の並列素子を、スパ
イラル形状に形成した電極のインダクタンスとスパイラ
ル形状に形成した電極の互いに隣接する電極同士の間に
生じるキャパシタンスとによる並列LC共振器で構成
し、また、並列素子間に挿入される複数の直列素子を、
スパイラル形状に形成した電極のインダクタンスとスパ
イラル形状に形成した電極の互いに隣接する電極同士の
間に生じるキャパシタンスとによる並列LC共振器で構
成して、これらの回路素子を備えることにより、簡素な
構造で優れた通過帯域特性を有する集中定数フィルタを
構成することができる。
【0090】また、この発明によれば、直列素子を構成
するスパイラル形状に形成した電極の巻き数、線路幅お
よび線路間隔を所定の値に設定することにより、所望の
位置に減衰極を生じさせて、所望の通過帯域特性を有す
る集中定数フィルタを構成することができる。
【0091】また、この発明によれば、直列素子を構成
するスパイラル形状に形成した電極の巻き数を、直列素
子に隣り合う並列素子を構成するスパイラル形状に形成
した電極の巻き数よりも多くすることにより、簡素な構
造で優れた通過帯域特性を有する集中定数フィルタを構
成することができる。
【0092】また、この発明によれば、入力端子および
出力端子と並列素子との間に挿入される直列素子の少な
くとも一つを誘電体セラミック基板上に下部電極、誘電
体膜、上部電極を順次形成してなるキャパシタンスとす
ることにより、簡素な構造の集中定数フィルタを構成す
ることができる。
【0093】また、この発明によれば、スパイラル形状
に形成した電極を、超電導性を有する薄膜で形成するこ
とにより、転移温度以下の環境で、挿入損失の非常に少
ない集中定数フィルタを構成することができる。また、
電極の導体損が殆どなくなることにより、小型の集中定
数フィルタを構成することができる。
【0094】また、この発明によれば、前記集中定数フ
ィルタを備えることにより、送信側と受信側とで互いの
通過帯域における減衰量を十分に得られる、優れた減衰
特性のアンテナ共用器を簡素な構造で構成することがで
きる。
【0095】また、この発明によれば、前記集中定数フ
ィルタまたは前記アンテナ共用器を備えることにより、
優れた通信特性を有する通信装置を簡素な構造で構成す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る集中定数フィルタの平面
図および等価回路図
【図2】Jインバータを用いたn段の帯域通過フィルタ
の回路図
【図3】Jインバータ回路を実現するインダクタンス素
子を用いた回路およびキャパシタンス素子を用いた回路
の回路図
【図4】Jインバータ回路をインダクタンス素子および
キャパシタンス素子に置き換えたn段の帯域通過フィル
タの回路図
【図5】2段の並列共振器が誘導性結合した帯域通過フ
ィルタの回路図
【図6】スパイラルインダクタの巻き数と無負荷Qとの
関係を示した図
【図7】スパイラルインダクタの巻き数と浮遊容量およ
びインダクタンスとの関係を示した図、およびスパイラ
ルインダクタの巻き数と自己共振周波数との関係を示し
た図
【図8】スパイラルインダクタの線間距離と浮遊容量お
よびインダクタンスとの関係を示した図、およびスパイ
ラルインダクタの線間距離と自己共振周波数との関係を
示した図
【図9】帯域通過フィルタの周波数特性のシミュレーシ
ョン結果を示した図
【図10】帯域通過フィルタの周波数特性を実測した結
果を示した図
【図11】第2の実施形態に係るアンテナ共用器の平面
【図12】アンテナ共用器の周波数特性図
【図13】第3の実施形態に係る通信装置のブロック図
【図14】従来の集中定数フィルタの平面図および等価
回路図
【符号の説明】
1,101−アルミナ基板 2−入力端子 3−出力端子 4,105,106−接地電極 5,6,14,107〜112−スパイラルインダクタ 7〜11−インターディジタルキャパシタ 12,13,17−LC共振器 15,16,113〜116−MIMキャパシタ 102−TX端子 103−RX端子 104−アンテナ端子 117,118−フィルタ回路

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体セラミック基板の表面に複数のイ
    ンダクタンス素子、、キャパシタンス素子、入力端子、
    出力端子および接地電極を回路形成してなる集中定数フ
    ィルタにおいて、 前記入力端子および出力端子と前記接地電極間に接続さ
    れる複数の並列素子を、スパイラル形状に形成した電極
    のインダクタンスと、該スパイラル形状に形成した電極
    の互いに隣接する電極同士の間に生じるキャパシタンス
    とによる並列LC共振器として構成し、 前記並列素子間に挿入される複数の直列素子を、スパイ
    ラル形状に形成した電極のインダクタンスと、該スパイ
    ラル形状に形成した電極の互いに隣接する電極同士の間
    に生じるキャパシタンスとによる並列LC共振器として
    構成した集中定数フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記直列素子を構成するスパイラル形状
    に形成した電極の巻き数を所定の値に設定することによ
    り、前記並列LC共振器の自己共振により得られる減衰
    極の周波数を定めた請求項1に記載の集中定数フィル
    タ。
  3. 【請求項3】 前記直列素子を構成するスパイラル形状
    に形成した電極の線路幅と線路間隔を所定の値に設定す
    ることにより、前記並列LC共振器の自己共振により得
    られる減衰極の周波数を定めた請求項1または請求項2
    に記載の集中定数フィルタ。
  4. 【請求項4】 前記直列素子を構成するスパイラル形状
    に形成した電極の巻き数を、該直列素子に隣り合う二つ
    の前記並列素子を構成するスパイラル形状に形成した電
    極の巻き数よりも多くした請求項1〜3のいずれかに記
    載の集中定数フィルタ。
  5. 【請求項5】 前記入力端子および出力端子と前記並列
    素子との間に挿入される前記直列素子の少なくとも一つ
    を、前記誘電体セラミック基板上に下部電極、誘電体
    膜、上部電極を順次形成してなるキャパシタンス素子で
    構成した請求項1〜4のいずれかに記載の集中定数フィ
    ルタ。
  6. 【請求項6】 前記スパイラル形状に形成した電極が、
    超電導性を有する薄膜である請求項1〜5のいずれかに
    記載の集中定数フィルタ。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の集中定
    数フィルタを備えたアンテナ共用器。
  8. 【請求項8】 請求項1〜6のいずれかに記載の集中定
    数フィルタまたは請求項7に記載のアンテナ共用器を備
    えた通信装置。
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