JP2002365810A - 分割逐次近接露光装置 - Google Patents

分割逐次近接露光装置

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フラットパネルディスプレイの多面取り露光
において、決められた大きさの基板に高精度且つ高スル
ープットでステップ露光する。 【解決手段】 ステージ送り機構7のステップ回数を2
回以上として各ステップ毎に基板Wより小さいマスクM
のマスクパターンPを基板W上に露光転写するようにし
た分割逐次近接露光装置において、マスクステージ1に
保持されるマスクMの大きさ及びステップ回数を、マス
クMの許容たわみ量、マスクMのパターン領域の大きさ
及び最もタクト時間が短く且つ必要な露光精度が得られ
る露光照度とレジスト感度との関係に基づいて設定し、
更に、基板Wにパターン露光用の光を照射する照射手段
3が、該設定ステップ回数での露光条件に応じて露光用
の光のステップ方向の照射領域を切替え可能な照射領域
切替手段200Aを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば液晶ディス
プレイやプラズマディスプレイ等の大型のフラットパネ
ルディスプレイに使用されるガラス等の材料の基板上に
マスクのマスクパターンを分割逐次露光方式で近接(プ
ロキシミティ)露光転写するのに好適な分割逐次近接露
光装置及び露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近接露光は、表面に感光剤を塗布した透
光性の基板(被露光材)を近接露光装置のワークステー
ジ上に保持すると共に、該基板をマスクステージに保持
されたマスクに接近させて両者のすき間を数10μm〜
数100μmにし、次いで、マスクの基板から離間する
側から照射装置によって基板上に露光用の光を照射する
ことにより該基板上に該マスクに描かれたマスクパター
ンを露光転写するようにしたものである。
【0003】ところで、最近では大型の液晶ディスプレ
イやプラズマディスプレイ等の量産化への対応が要請さ
れており、この場合、露光の高精度化及び高能率化が必
要となる。高能率化の一例としては、例えば、図8に示
すように、一枚の基板Wで複数のディスプレイを作る、
いわゆる多面取りという方法がある。この例では、10
00mm×1200mmの基板Wで18インチディスプ
レイ用材DPを9面分作れるようにしている。
【0004】また、同じ大きさの基板(1000mm×
1200mm)Wで例えば15インチディスプレイ用材
DPを12面分(長辺方向4×短辺方向3)作ることも
でき、更には、17インチのディスプレイ用材DPを9
面分、14インチのディスプレイ用材DPを12面分作
ることもできる。一方、マスク(例えば石英ガラス)の
大きさには、マスクパターンの精度やコスト面等から限
界があり、基板と同じ大きさにして一括で露光するよう
なマスクを作ることは現状では合理的とはいえない。
【0005】このような事情から、従来においては、基
板Wより小さいマスクを用い、該マスクを基板Wに近接
して対向配置した状態で該基板Wをマスクに対してステ
ップ移動させて各ステップ毎に基板Wに向けてパターン
露光用の光を照射し、これにより、マスクに描かれた複
数のマスクパターンを基板W上に露光転写して一枚の基
板Wに複数のディスプレイ用材DPを作成する、分割逐
次近接露光方式が提案されている(例えば特開2000
−35676号公報及び特開平9−127702号公報
参照)。
【0006】この場合のマスクMとしては、1000m
m×1200mmの基板Wとすると、図9(a)に示す
ように、基板Wの短手方向に3個のマスクパターンPが
描かれたものや、図9(b)に示すように、基板Wの短
手方向に3個描かれたマスクパターンPが基板Wの長手
方向に二列(合計6個)配置されたものが考えられ、前
者では基板Wのステップ回数(基板の長手方向)は3回
(一回目の露光位置を1ステップとする。)となり、後
者では2回となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
分割逐次近接露光装置においては、どのようなマスクの
大きさを選択し、どのような露光条件とした場合に露光
の高精度化と高スループット化を両立できるかについて
の開示はなく、更なる改良の余地があった。本発明はこ
のような技術的課題に着目してなされたものであり、フ
ラットパネルディスプレイの多面取り露光において、決
められた大きさの基板に高精度且つ高スループットでス
テップ露光する分割逐次近接露光装置及び露光方法を提
供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1に係る分割逐次近接露光装置は、被露光
材としての基板を保持するワークステージと、前記基板
に対向配置されて該基板より小さいマスクを保持するマ
スクステージと、前記基板に対してパターン露光用の光
を前記マスクを介して照射する照射手段と、該マスクの
マスクパターンを前記基板上の複数の所定位置に対向さ
せるように前記ワークステージと前記マスクステージと
を相対的にステップ移動させるワークステージ送り機構
と、前記マスクと前記基板との対向面間のすき間を調整
するギャップ調整手段とを備え、前記ワークステージ送
り機構のステップ回数を2回以上として各ステップ毎に
前記マスクパターンを前記基板上に露光転写するように
した分割逐次近接露光装置において、前記マスクの大き
さ及び前記ステップ回数を、前記マスクの許容たわみ
量、該マスクのパターン領域の大きさ及び最もタクト時
間が短く且つ必要な露光精度が得られる露光照度とレジ
スト感度との関係に基づいて設定し、更に、前記照射手
段が、該設定ステップ回数での露光条件に応じて露光用
の光のステップ方向の照射領域を切替え可能な照射領域
切替手段を備えたことを特徴とする。
【0009】請求項2に係る分割逐次近接露光装置は、
請求項1において、前記照射領域切替手段は、射出角の
異なる複数種のオプチカルインテグレータと、各オプチ
カルインテグレータの中心を前記照射手段の光軸に対し
て選択的に位置決め配置する切替え機構とを備えたこと
を特徴とする。請求項3に係る分割逐次近接露光方法
は、被露光材としての基板より小さいマスクを該基板に
近接して対向配置し、前記基板を前記マスクに対して相
対的にステップ移動させて該マスクのマスクパターンを
前記基板上の複数の所定位置に対向させると共に、ステ
ップ回数を2回以上として各ステップ毎に基板に対して
パターン露光用の光を前記マスクを介して照射して該マ
スクのマスクパターンを前記基板上に露光転写するよう
にした分割逐次近接露光方法において、前記マスクの大
きさ及び前記ステップ回数を、前記マスクの許容たわみ
量、該マスクのパターン領域の大きさ及び最もタクト時
間が短く且つ必要な露光精度が得られる露光照度とレジ
スト感度との関係に基づいて設定し、更に、該設定ステ
ップ回数での露光条件に応じて露光用の光のステップ方
向の照射領域を設定することを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図を
参照して説明する。図1は本発明の第1の実施の形態で
ある分割逐次近接露光装置を説明するための一部を分解
した説明的斜視図、図2はマスクステージ部分の拡大斜
視図、図3(a)は図2のIII − III線断面図、図3
(b)は(a)のb矢視で示す平面図、図4はアライメ
ントカメラと該アライメントカメラのピント調整機構の
基本構造を示す側面図、図5はワーク側アライメントマ
ークの照射光学系を説明するための説明図、図6はアラ
イメント画像のフォーカス調整機構を示す構成図、図7
はステップ露光を説明するための説明図、図8は18イ
ンチディスプレイ用材DPを9面取りした基板W(10
00mm×1200mm)の平面図、図9は図8の基板
に対向配置されるマスクを示す図であり、(a)は3ス
テップ露光の場合に用いるマスクの平面図、(b)は2
ステップ露光の場合に用いるマスクの平面図、図10は
15インチディスプレイ用材DPを12面取り(長辺方
向4×短辺方向3)した基板W(1000mm×120
0mm)に対向配置されるマスクを示す平面図、図11
はマスクの横(短辺)寸法を一定にした場合の該マスク
の縦(長辺)寸法と自重による最大たわみ量との関係を
示すグラフ図、図12は図9(a),(b)の各マスク
を用いた場合の光源照度とレジスト感度とステップ数と
タクト時間との関係を示すグラフ図、図13は図10の
マスクと図示しない4ステップ露光用マスクとを用いた
場合の光源照度とレジスト感度とステップ数とタクト時
間との関係を示すグラフ図、図14は照射領域切替手段
による照射領域の切替え操作を説明するための図、図1
5は二種類のオプチカルインテグレータを示す図、図1
6は照射領域切替手段の切替え機構の一例を説明するた
めの斜視図、図17は切替え機構の変形例を説明するた
めの斜視図、図18〜図21は本発明の他の実施の形態
である分割逐次近接露光装置を説明するための説明図で
ある。
【0011】まず、第1の実施の形態から説明すると、
図1〜図7において符号1はマスクMを保持するマスク
ステージ、2はガラス基板(被露光材)Wを保持するワ
ークステージ、3はパターン露光用の照射手段としての
照明光学系、4はマスクステージ1及びワークステージ
2を支持する装置ベースであり、ガラス基板W(以下、
単に基板Wという。)は、マスクMに対向配置されて該
マスクMに描かれたマスクパターンPを露光転写すべく
表面(マスクMの対向面)に感光剤が塗布されている。
【0012】説明の便宜上、照明光学系3から説明する
と、照明光学系3は、紫外線照射用の光源である例えば
高圧水銀ランプ31と、該高圧水銀ランプ31から照射
された光を集光する凹面鏡32と、凹面鏡32の焦点近
傍に切替え自在に配置された二種類のオプチカルインテ
グレータ33a,33bと、平面ミラー35,36及び
これらを経由して入射する光束を平行な光束として露光
面に導く曲面ミラー37と、平面ミラー36とオプチカ
ルインテグレータ33a,33bとの間に配置されて照
射光路を開閉制御する露光制御用シャッター34とを備
えている。
【0013】露光時に露光制御用シャッター34を開制
御されると、高圧水銀ランプ31から照射された光が、
図1に示す光路Lを経て、マスクステージ1に保持され
るマスクMひいてはワークステージ2に保持される基板
W(図1では共に図示せず。)の表面に対して垂直にパ
ターン露光用の平行光として照射され、これにより、マ
スクMのマスクパターンPが基板W上に露光転写される
ようになっている。
【0014】次に、マスクステージ1及びワークステー
ジ2の順に説明する。マスクステージ1はマスクステー
ジベース11を備えており、該マスクステージベース1
1は装置ベース4から突設されたマスクステージ支持台
12に支持されてワークステージの上方に配置されてい
る。マスクステージベース11は、図2に示すように、
長方形状とされて中央部に開口111を有しており、該
開口111にはマスク保持枠13がX,Y方向に移動可
能に装着されている。
【0015】図3(a)に示すように、マスク保持枠1
3はマスクステージベース11の開口111の内周との
間に所定のすき間を介して挿入されており、その上端外
周にフランジ131が設けられると共に、下端面にはフ
ランジ132が外側に張出して固着されており、各フラ
ンジ131,132間でマスクステージベース11の肉
厚を上下に挟むようにして前記すき間分だけX,Y方向
に移動可能に取り付けられている。マスク保持枠13の
下端面のフランジ132の内側に、マスクパターンPが
描かれているマスクMが真空式吸着装置(図示せず。)
を介して着脱自在に保持されるようになっている。かか
る保持状態では、マスクMの下面はマスクステージベー
ス11の下面より下に位置しているので、ワークステー
ジ2をY軸方向に移動させる場合、該ワークステージ2
のZ軸方向の退避を必要最小限とすることができる。
【0016】また、マスクステージベース11の上面に
は、マスク保持枠13をX,Y平面内で移動させて該マ
スク保持枠13に保持されたマスクMの基板Wに対する
位置を調整するマスク位置調整手段14が設けられてお
り、該マスク位置調整手段14は、マスク保持枠13の
Y軸方向に沿う一辺に取り付けられたX軸方向駆動装置
14xと、マスク保持枠13のX軸方向に沿う一辺に取
り付けられた二台のY軸方向駆動装置14yとを備えて
いる。
【0017】X軸方向駆動装置14xは、X軸方向に伸
縮するロッド141rを有する駆動用アクチュエータ
(例えば電動アクチュエータ)141と、マスク保持枠
13のY軸方向に沿う辺部に取り付けられたリニアガイ
ド(直動軸受案内)143とを備えており、該リニアガ
イド143の案内レール143rはY軸方向に延びてマ
スク保持枠13に固定され、該案内レール143rに移
動可能に取り付けられたスライダ143sはロッド14
1rの先端にピン支持機構142を介して連結されてい
る。
【0018】一方、Y軸方向駆動装置14yは、Y軸方
向に伸縮するロッド141rを有する駆動用アクチュエ
ータ(例えば電動アクチュエータ)141と、マスク保
持枠13のX軸方向に沿う辺部に取り付けられたリニア
ガイド(直動軸受案内)143とを備えており、該リニ
アガイド143の案内レール143rはX軸方向に延び
てマスク保持枠13に固定され、該案内レール143r
に移動可能に取り付けられたスライダ143sはロッド
141rの先端にピン支持機構142を介して連結され
ている。そして、X軸方向駆動装置14xによりマスク
保持枠13のX軸方向の調整を、二台のY軸方向駆動装
置14yによりマスク保持枠13のY軸方向及びθ軸方
向(Z軸まわりの揺動)の調整を行う。
【0019】マスク保持枠13のX軸方向に互いに対向
する二辺の内側には、マスクMと基板Wとの対向面間の
すき間を測定する手段としてのギャップセンサ15と、
マスクMと基板Wとの平面ずれ量を検出する手段として
のアライメントカメラ16とが配設されており、ギャッ
プセンサ15及びアライメントカメラ16は共に移動機
構17を介してX軸方向に移動可能とされている。
【0020】移動機構17は、マスク保持枠13のX軸
方向に互いに対向する二辺の上面側にはそれぞれギャッ
プセンサ15及びアライメントカメラ16を保持する保
持架台171がY軸方向に延びて配置されており、該保
持架台171の前記Y軸方向駆動装置14yから離間す
る側の端部はリニアガイド172によって支持されてい
る。リニアガイド172は、マスクステージベース11
上に設置されてX軸方向に沿って延びる案内レール17
2rと、該案内レール172r上を移動するスライダ
(図示せず。)とを備えており、該スライダに保持架台
171の前記端部が固定されている。
【0021】そして、スライダをモータ及びボールねじ
からなる駆動用アクチュエータ173によって駆動する
ことにより、、保持架台171を介してギャップセンサ
15及びアライメントカメラ16がX軸方向に移動する
ようになっている。なお、マスクステージベース11の
開口111のY軸方向の両端部にはマスクMの両端部を
必要に応じて遮蔽するマスキングアパーチャ(遮蔽板)
18がマスクMより上方に位置して配置されており、こ
のマスキングアパーチャ18はモータ,ボールねじ及び
リニアガイドよりなるマスキングアパーチャ駆動装置1
81によりY軸方向に移動可能とされてマスクMの両端
部の遮蔽面積を調整できるようになっている。
【0022】ワークステージ2は、装置ベース4上に設
置されており、マスクMと基板Wとの対向面間のすき間
を所定量に調整するZ軸送り台(ギャップ調整手段)6
と、該Z軸送り台6上に配設されてワークステージ2を
Y軸方向に移動させるワークステージ送り機構7とを備
えている。Z軸送り台6は、装置ベース4上に立設され
た上下粗動装置61によってZ軸方向に粗動可能に支持
されたZ軸粗動ステージ62と、該Z軸粗動ステージ6
2の上に上下微動装置63を介して支持されたZ軸微動
ステージ64とを備えている。上下粗動装置61には例
えば空圧シリンダが用いられ、単純な上下動作を行うこ
とによりZ軸粗動ステージ62を予め設定した位置まで
マスクMと基板Wとのすき間の計測を行うことなく昇降
させる。
【0023】一方、上下微動装置63は、モータとボー
ルねじとくさびとを組み合わせてなる可動くさび機構を
備えており、この実施の形態では、例えばZ軸粗動ステ
ージ62の上面に設置したモータ631によってボール
ねじのねじ軸632を回転駆動させるようにすると共に
ボールねじナット633をくさび状に形成してそのくさ
び状ナット633の斜面をZ軸微動ステージ64の下面
に突設したくさび641の斜面と係合させ、これによ
り、可動くさび機構を構成している。
【0024】そして、ボールねじのねじ軸632を回転
駆動させると、くさび状ナット633がY軸方向に水平
微動し、この水平微動運動が両くさび633,641の
斜面作用により高精度の上下微動運動に変換される。こ
の可動くさび機構からなる上下微動装置63は、Z軸微
動ステージ64のY軸方向の一端側(図1の手前側)に
2台、他端側に1台合計3台設置され、それぞれが独立
に駆動制御されるようになっており、これにより、上下
微動装置63は、マスクMと基板Wとのすき間を計測し
つつ目標値までZ軸微動ステージ64の高さを微調整す
る機能に加えて、水平面に対する傾斜の微調整を行うチ
ルト機能をも有するものになっている。
【0025】ワークステージ送り機構7は、Z軸微動ス
テージ64の上面にX軸方向に互いに離間配置されてそ
れぞれY軸方向に沿って延設された二組のリニアガイド
71と、該リニアガイド71のスライダ(図示せず。)
に取り付けられたY軸送り台72と、Y軸送り台72を
Y軸方向に移動させるY軸送り駆動装置73とを備えて
おり、Y軸送り駆動装置73のモータ731によって回
転駆動されるボールねじ軸732に螺合されたボールね
じナット(図示せず。)にY軸送り台72が連結されて
いる。
【0026】そして、このY軸送り台72の上には、ワ
ークステージ2が取り付けられ、また、該ワークステー
ジ2のY軸送り誤差を検出する送り誤差検出手段74と
してのレーザ干渉計743,744のミラー741,7
42が設置されている。ミラー741はY軸送り台72
の幅方向の一側でY軸方向に沿って延びており、ミラー
742はY軸送り台72のY軸方向の一端側にX軸方向
に互いに離間して二か所配置されている。
【0027】送り誤差検出手段74は、ミラー741に
対向配置されて装置ベース4に支持された真直度検出用
のレーザ干渉計743と、2個のミラー742にそれぞ
れ対向配置されて装置ベース4支持された2台の傾斜及
びY軸方向距離検出用のレーザ干渉計744とを備えて
いる。各レーザ干渉計743,744よりY軸送り台7
2ひいては第1の分割パターンの露光に続いて第2の分
割パターンをつなぎ露光する際に基板Wを次のエリアに
送る段階で発生するワークステージ2の送り誤差を検出
してその検出信号を補正制御手段(図示せず。)に出力
するようにしている。補正制御手段はこの検出信号に基
づいてつなぎ露光のための位置決め補正量を算出して、
その算出結果をマスク位置調整手段14(及び必要に応
じて上下微動装置63)の駆動回路に出力し、これによ
り、該補正量に応じてマスク位置調整手段14等が駆動
されて位置ずれが補正される。
【0028】次に、ワークステージ2の送り誤差につい
て説明すると、ワークステージ2をY軸方向に所定の距
離だけ送る場合の送り誤差としては、送り位置(距離)
の誤差以外に、真直度とワークステージ面の傾きとがあ
る。真直度とは、送り始点を通るY軸と実際の送り進行
方向直線との間の送り終点におけるずれ量(X−Z平面
内の)であり、X軸方向成分ΔXとZ軸方向成分ΔZと
からなる。一方、ワークステージ面の傾きは、ワークス
テージ2の移動時のヨーイング(Z軸回りの回動),ピ
ッチング(X軸回りの回動),ローリング(Y軸回りの
回動)等により発生するものであり、ヨーイングではワ
ークステージ面が水平のまま左右いずれかに首振りして
Y軸に対し角度θだけずれ、ピッチングではワークステ
ージ面が進行方向の前後に所定角度傾斜し、ローリング
ではワークステージ面が水平に対し左右に所定角度傾斜
する。これらの誤差は、例えば直動軸受案内装置である
リニアガイドの精度等に起因して発生する。
【0029】送り誤差のうち、ヨーイングと真直度のX
軸方向成分ΔXとは、送り誤差検出手段74により知る
ことができる。すなわち、Y軸方向の二台のレーザ干渉
計744,744の計測値の差からヨーイングを検出で
き、その結果とX方向のレーザ干渉計743により真直
度を求めることができる。また、Y軸方向位置の誤差
は、Y軸方向の二台のレーザ干渉計744,744の平
均値で求めることができる。その他、真直度のZ軸方向
成分ΔZ,ピッチング,ローリングは三台のギャップセ
ンサ15により知ることができる。
【0030】ところで、分割逐次露光を行う場合には、
仮にワークステージ2の送り誤差が全くないときでも、
マスクMのマスクパターンPの向きがワークステージ2
の送り方向(Y軸方向)とずれていると、つなぎ露光で
基板W上に分割形成されたパターン同士の継ぎ目がずれ
て整合しない。また、上述したようにマスクMは真空式
吸引装置を介してマスク保持枠13の下面に吸着保持さ
せるのであるが、この吸着保持させる際にマスクMのマ
スクパターンPの向きとワークステージ送り機構7によ
るワークステージ2の移動方向(Y軸方向)とを精度よ
く合わせることは困難である。
【0031】そこで、この実施の形態では、図7に示す
ように、ワークステージ2(実際にはワークステージ2
上に設置されているワークチャック)の上面の少なくと
も2か所に、例えば十字形状を有するワーク側アライメ
ントマーク75をX軸方向に互いに離間して形成し、一
方、マスクMの方にはワーク側アライメントマーク75
に対応させたマスク側アライメントマーク76を形成し
ている。
【0032】そして、X軸方向駆動装置14x及びY軸
方向駆動装置14yによってマスク保持枠13の位置を
調整することにより、ワーク側アライメントマーク75
とマスク側アライメントマーク76との中心同士が実質
的にXY平面内で一致して整合するようにしている。次
に、一層目のつなぎ露光で分割形成されたパターン同士
のアライメントの高精度化について述べる。
【0033】この実施の形態では、Y軸方向をX軸方向
のレ−ザ干渉計743用のミラー741の反射面に平行
な方向としてY軸方向の真直度の基準をミラー741に
よって定めている。そして、ワーク側アライメントマー
ク75とマスク側アライメントマーク76とを整合させ
た状態のときに、マスクMのマスクパターンPの向きが
Y軸方向、換言すればミラー741の反射面に平行な方
向に対し傾きがない状態となるように設定されている。
このため、2ヵ所のマスク側アライメントマーク76の
中心同士を結ぶ線と、Y軸方向と一致させるべき方向
(マスクパターンPの向き:図7の矩形のパターンPの
場合では短辺の方向)とがなす角度が、2ヵ所のワーク
側アライメントマーク75の中心同士を結ぶ線と、ミラ
ー741の反射面とのなす角度と等しくなるようにして
いる。
【0034】また、この実施の形態では、X軸方向のレ
ーザ干渉計743用のミラー741の反射面を、ワーク
ステージ2上の二か所のワーク側アライメントマーク7
5の中心同士を結んだ線と厳密に直交するように設定
し、二か所のマスク側アライメントマーク76の中心同
士を結んだ線とマスクパターンPの向きとの関係も同様
とした。そして、ワーク側アライメントマーク75を基
準にしてマスクMとのアライメントを行い、一回目のス
テップ露光が行われる。
【0035】なお、ワーク側アライメントマーク75と
マスク側アライメントマーク76との整合については、
アライメントマーク検出手段であるアライメントカメラ
16によって高精度に且つ容易に行えるようにしてい
る。アライメントカメラ16は、図4に示すように、マ
スクステージ1の下面に保持されているマスクMの表面
のマスクマーク76をマスク裏面側から光学的に検出す
るものであり、ピント調整機構161によりマスクMに
対して接近離間移動してピント調整がなされるようにな
っている。
【0036】ピント調整機構161はリニアガイド16
2,ボールねじ163,モータ164を備えており、リ
ニアガイド162の案内レール162rはマスクステー
ジ1の移動機構17の保持架台171に上下方向に延び
て取り付けられ、該リニアガイド162のスライダ16
2sにアライメントカメラ161がテーブル162tを
介して固定されている。そして、ボールねじ163のね
じ軸に螺合されたナットをテーブル162tに連結する
と共に、該ねじ軸をモータ164で回転駆動するように
している。
【0037】また、この実施の形態では、図5に示すよ
うに、ワークステージ2に設けてあるワークチャック8
の下方には、光源781及びコンデンサーレンズ782
を有してワーク側アライメントマーク75を下から投影
する投影光学系78がアライメントカメラ16の光軸に
合わせてZ軸微動ステージ64と一体に配設されてい
る。なお、ワークステージ2、Y軸送り台72には投影
光学系78の光路に対応する貫通孔が形成されている。
【0038】さらに、この実施の形態では、図6に示す
ように、マスクMのマスク側アライメントマーク76を
有する面(マスクマーク面Mm )位置を検出してアライ
メントカメラ16のピントずれを防止するアライメント
画像のベストフォーカス調整機構9を設けている。この
ベストフォーカス調整機構9は、アライメントカメラ1
6及びピント調整機構161に加えて、ピントずれ検出
手段としてギャップセンサ15を利用しており、このギ
ャップセンサ15で計測したマスク下面位置の計測値
を、計算機92で予め設定したピント位置と比較して差
を求め、その差から設定ピント位置からの相対ピント位
置変化量を計算し、該計算変化量に応じてピント調整機
構161のモータ164を制御してアライメントカメラ
16を移動させ、これにより、アライメントカメラ16
のピントを調整するようにしている。
【0039】このベストフォーカス調整機構9を用いる
ことにより、マスクMの板厚変化や板厚のばらつきとは
無関係に、アライメント画像の高精度のフォーカス調整
が可能となる。なお、ピント調整機構161、投影光学
系78、ベストフォーカス調整機構9等は、1層目分割
パターンのアライメントの高精度化に対応するものであ
るばかりでなく、2層目以降のアライメントの高精度化
にも寄与するものであり、また、マスクMの厚さがわか
っていれば、ベストフォーカス調整機構9を省略して厚
さに応じてピント調整機構を動かすようにしても良い。
【0040】ここで、この実施の形態では、マスクパタ
ーンPが描かれたマスクMの大きさ及びステップ露光す
る際の基板W(ワークステージ2)のステップ回数を次
のようにして定めている。まず、マスクMのたわみ量と
得るべき露光精度からマスクMの大きさを決定する。
【0041】即ち、マスクMの自重によるたわみの最大
値δmaxが許容値以内となるようなマスクMのステッ
プ方向寸法( Y軸方向寸法) を選択する。なお、マスク
Mの幅寸法(X軸方向寸法)は一定とする。また、たわ
みの最大値δmaxの計算はマスクステージ1へのマス
クMの保持の仕方によって異なる(4辺拘束、4辺支持
あるいはこれらの中間)が、この実施の形態では、マス
クMを4辺拘束で吸着保持しているため、4辺拘束した
場合の垂直等分布荷重を受ける長方形板のたわみの最大
値δmaxの計算例を次式(1)に示す。
【0042】 δmax=α×P×a4 /(E×t3 ) …(1) 但し、 α: 最大たわみ係数(長方形の固定辺の縦横比できまる
値で、マスクの縦横比が1.25の場合で、αは0.0
20であるが、この値は縦横比が多少変わっても殆ど変
化しないのでα=0.020としてよい。) P: 等分布荷重(=W/S) W:重量(=V×ρ=a×b×t×ρ) V: 体積 ρ: 材料密度(石英2.2g/cm 3) a: ステップ方向寸法 b:幅寸法(x軸方向寸法) t: 厚み E: 縦弾性係数係数(石英7413kg/mm 2) 図11及び表1にマスクMの厚みtを8mmとした場合
にステップ方向寸法aが500〜1200mm(100
mm毎で8種類))までのマスクMのたわみ最大値δm
axの計算結果を示す。そして、たわみ最大値δmax
が許容値以下のステップ方向寸法aのマスクMを選択す
る。
【0043】
【表1】
【0044】なお、この実施の形態では、基板Wとし
て、図8に示す1000mm×1200mmの基板Wで
18インチディスプレイ用材DPを9面取りするもの
と、図示は省略するが図8と同じ大きさの基板Wで15
インチディスプレイ用材DPを12面取り(ステップ方
向4×幅方向3)するものを用いる。図8に示す18イ
ンチディスプレイ用材DPを9面取りする基板Wに用い
るマスクM及び該マスクMのパターン領域の大きさとし
ては、図9(a)に示すように、基板Wの幅方向に3個
のマスクパターンP(18インチディスプレイ用材DP
に対応する)が描かれた1100mm×700mm(ス
テップ方向寸法a)のものや、図9(b)に示すよう
に、基板Wの幅方向に3個描かれたマスクパターンPが
基板Wのステップ方向に二列(合計6個)配置された1
100mm×900mm(ステップ方向寸法a)ものが
考えられ、前者では基板Wのステップ回数は3回(一回
目の露光位置を1ステップとする。)となり、後者では
基板Wのステップ回数は2回となる。
【0045】ここで、露光精度等の兼ね合いからたわみ
最大値δmaxの許容値を60μmとすると、図11及
び表1から、ステップ方向寸法aが900mmの図9
(b)のマスクMは適用できず、ステップ方向寸法aが
700mmの図9(a)のマスクMを選択することにな
る。一方、15インチディスプレイ用材DPを12面取
りする基板Wに用いるマスクM及び該マスクMのパター
ン領域の大きさとしては、図示は省略するが、基板Wの
幅方向に3個のマスクパターンP(15インチディスプ
レイ用材DPに対応する)が描かれたのものや、図10
に示すように、基板Wの幅方向に3個描かれたマスクパ
ターンPが基板Wのステップ方向に二列(合計6個)配
置された1100mm×700mm(ステップ方向寸法
a)ものや、図示は省略するが、基板Wの幅方向に3個
描かれたマスクパターンPが基板Wのステップ方向に三
列(合計9個)配置されたものが考えられ、前者では基
板Wのステップ回数は4回(1回目の露光位置を1ステ
ップとする。)、後者の2つでは基板Wのステップ回数
は2回となる。
【0046】ここで、上記同様に露光精度等の兼ね合い
からたわみ最大値δmaxの許容値を60μmとする
と、図11及び表1から、ステップ方向寸法aが900
mmを越える9個のマスクパターンPが描かれたマスク
Mは適用できず、ステップ回数が4回となるマスクMと
ステップ回数が2回となる図10のマスクの二種類を選
択することになる。
【0047】また、この実施の形態では、図10に示す
ように、基板Wの幅方向に3個描かれたマスクパターン
Pが基板Wのステップ方向に二列(合計6個)配置され
たマスクMの寸法を1100mm×700mm(ステッ
プ方向寸法a)とすることにより、18インチディスプ
レイ用材DPを9面取りする場合と15インチディスプ
レイ用材DPを12面取りする場合とで、基板W及びマ
スクMの大きさを同一にすることができる。
【0048】次に、選択されたマスクMの大きさ及び基
板Wのステップ回数について、最もタクトタイムが短く
なり、且つ、必要な露光精度が得られる露光条件を露光
照度とレジスト(基板に塗布された感光剤)感度との関
係に基づいて選択する。まず、タクトタイムの求め方に
ついて説明する。基板ロード・ アンロード時間をA(s
ec/cycle)=const、プロキシミティギャ
ップ制御時間及びパターンアライメント制御時間をB
(sec/ステップ) =const、ステップ時のワー
クテーブル移動時間をC(sec/ステップ) 、露光時
間をD(sec/ステップ) 、基板Wのステップ回数を
nとした場合に、ステップ回数がnのときのタクトタイ
ムTn は次式(2)で求められる。なお、AおよびBは
ステップ回数によらず一定値であり、CおよびDはステ
ップ回数により変化する。したがって、以下、ステップ
回数により異なるものには添字を付けて表す。
【0049】 Tn =A+B+Dn +Cn +B+Dn +Cn +……+Dn =A+B+Dn +( n−1)(Cn +B+Dn ) …(2) また、ステップ時のワークテーブル移動時間Cは次式
(3)で求められる。 C=2v/αw +(x−v2 /αw )/v=v/αw +x/v…(3) 但し、 v:ワークテーブル移動速度(const) αw :ワークテーブル加減速値(const) x:ステップ量(ステップ回数により異なる) 次に、図9(a)のマスクM(ステップ回数n=3)を
用いた場合のタクトタイムTn が図9(b)のマスクM
(ステップ回数n=2)を用いた場合のタクトタイムT
n より短くなる条件を次式(4)により求める。なお、
ステップ回数n=3の場合の基板Wのステップ量x3
377mm、ステップ回数n=2の場合の基板Wのステ
ップ量x2 は754mmとする。
【0050】 △Tn =T3 −T2 =( 2C3 −C2 ) +( 3D3 −2D2 ) +B =v/αw +1/v( 2x3 −x2 ) +3D3 −2D2 +B =3D3 −2D2 +v/αw +B …(4) ここで、△Tn =3D3 −2D2 +v/αw +B<0、
即ち、D2 >3/2D 3 +V/2αw +B/2の関係を
満足すれば、基板Wのステップ回数n=3となるマスク
Mの方が基板Wのステップ回数n=2となるマスクMよ
りタクトタイムTn が速くなる。
【0051】(4)式を用いてステップ回数n=2とな
るマスクMの方がタクトタイムTnが速くなる(△Tn
>0)場合とステップ回数n=3となるマスクMの方が
タクトタイムTn が速くなる(△Tn <0)場合の光源
照度とレジスト感度との関係を計算により求めた結果を
図12に示す。なお、プロキシミティギャップ制御時間
及びパターンアライメント制御時間Bを7sec、ワー
クテーブル移動速度vを350mm/sec、ワークテ
ーブル加減速値αw を1400mm/sec 2として計
算した。
【0052】図8に示す18インチディスプレイ用材D
Pを9面取りする基板Wに用いるマスクMとしては、既
に図9(a)のステップ回数n=3となるマスクM(ス
テップ方向寸法aが700mm)を選択しているので、
図12の3ステップ有利の領域内でできるだけ照度及び
レジスト感度の大きな組み合わせを選択する。照度及び
レジスト感度が定まれば対応する露光時間((4)式の
2 ,D3 ) が定まる。これにより、ステップ回数が3
回と多いにもかかわらず、タクトタイムTn も2ステッ
プの場合より短くすることができる。
【0053】一方、15インチディスプレイ用材DPを
12面取りする基板Wに用いるマスクMとしては、ステ
ップ回数が4回となるマスクMとステップ回数が2回と
なる図10のマスクMの二種類が選択されているが、上
記同様に(4)式を用いて光源照度とレジスト感度とス
テップ回数とタクトタイムとの関係を計算により求めた
ところ、図13に示すように、照度にかかわらずステッ
プ回数が2回となる図10のマスクMの方がステップ回
数が4回となるマスクMより常に有利であることが判っ
た。従って、ステップ回数が2回となる図10のマスク
Mを選択する。
【0054】次に、図9(a)のステップ回数n=3と
なるマスクMと図10のステップ回数n=2となるマス
クM毎にマスクM上の露光すべき領域の広さ(ステップ
方向)に応じてステップ露光の照射領域S(図9及び図
10で2点鎖線で示す)を確保し且つ照度が大きくなる
オプチカルインテグレータを選択する。そして、図1に
示すように、選択された二種類のオプチカルインテグレ
ータ33a,33bを照明光学系3の凹面鏡32の焦点
近傍に配置し、マスクMの種類の応じて照射領域切替手
段200Aを用いて互いに切替えて露光を行う。
【0055】なお、照射領域Sは図9(a)のマスクM
の場合で1000mm×400mm(ステップ方向寸
法)、図10のマスクMの場合で1000mm×600
mm(ステップ方向寸法)としている。また、二種類の
オプチカルインテグレータ33a,33bは、ステップ
方向(Y軸方向)のみの照射領域が変わるような関係と
なっており、従って、X軸方向の照射領域は一定であ
る。
【0056】図15に示すように、各オプチカルインテ
グレータ33a,33bの内で一方のオプチカルインテ
グレータ33aのレンズ面の曲率半径R1は、他方のオ
プチカルインテグレータ33bのレンズ面の曲率半径R
2より大きくされており(R1>R2)、オプチカルイ
ンテグレータ33aの射出角はオプチカルインテグレー
タ33bの射出角より大きくなっている。従って、オプ
チカルインテグレータ33aを用いた場合のステップ方
向(Y軸方向)の照射領域Sy1はオプチカルインテグレ
ータ33bを用いた場合のステップ方向(Y軸方向)の
照射領域Sy2より広くなり、前者が図10のステップ回
数が2回となるマスクMに対応し、後者が図9(a)の
ステップ回数n=3となるマスクMに対応している。
【0057】照射手段切替手段200Aは、二種類のオ
プチカルインテグレータ33a,33bと、切替機構2
00とによって構成されている。切替え機構200は、
図16に示すように、2種類のオプチカルインテグレー
タ33a,33bがそれぞれ支持部201a,201b
を介して固定される交換用ステージ202を備えてお
り、該交換用ステージ202はガイドレール203とス
ライダ204とを具備するリニアガイド205のスライ
ダ204に固定されてスライダ204と一体となってガ
イドレール203に沿って移動可能とされている。
【0058】交換用ステージ202の移動方向の一端に
は把手206が設けられており、該把手206を押し引
きすることにより、オプチカルインテグレータ33a又
はオプチカルインテグレータ33bの中心が照明光学系
3の光軸Lと一致するように位置決めされる。そして、
図10のステップ回数n=2となるマスクMの場合に
は、射出角の大きいオプチカルインテグレータ33aの
中心を照明光学系3の光軸Lに位置決めし、この状態で
露光を行うことにより、図14(a)に示すように、ス
テップ方向に広い照射領域Sy1が得られ、図9(a)の
ステップ回数n=3となるマスクMの場合には、射出角
の小さい側のオプチカルインテグレータ33bの中心を
照明光学系3の光軸Lに位置決めし、この状態で露光を
行うことにより、図14(b)に示すように、ステップ
方向に狭い照射領域Sy2が得られる。
【0059】なお、この実施の形態では、オプチカルイ
ンテグレータ33a,33bとしてフライアイレンズを
用いて、フライアイレンズ全体を切り替えるようにして
いるが、これに代えて、オプチカルインテグレータ33
a,33bとして組レンズ、あるいはフライアイレンズ
と組レンズの組合せ等を用いて、一部のレンズのみを切
り替えるようにしてもよい。
【0060】図17に切替え機構の変形例を示す。この
切り替え機構300は、互いに射出角の異なる4種類の
オプチカルインテグレータ33a〜33dを保持する回
転ホルダ301と、照明光学系3の本体(図示せず。)
に固定され回転ホルダ15を所定角ずつ回転させて各オ
プチカルインテグレータ33a〜33dをマスクサイズ
の変更に応じて照明光学系3の光軸Lと一致するように
位置決めする回転駆動モータ302とを備えたもので、
3種類以上のマスクMを用いる場合に有効なものであ
る。
【0061】次に、上記構成の分割逐次近接露光装置の
作動を説明する。例えば、カラーフィルタ形大型液晶デ
ィスプレイ用のRGBカラーフィルタに所定のパターン
を形成する場合、ガラス基板W上に先ず各画素間を仕切
るブラックマトリックスのパターンをレジスト塗布した
後に酸素遮断膜を塗布し、次いで、露光、現像の各工程
を経る。このようにブラックマトリックスのパターンが
形成された基板W上に、R(赤),G(緑),B(青)
の三原色の個々のパターンを各色毎にブラックマトリッ
クスのパターン形成と同様の工程を繰り返しながら形成
していく。ここでは、基板W上に最初に形成するブラッ
クマトリックスのパターンを「一層目」、一層目の上に
形成する三原色のいずれかのパターンを「二層目」、次
に形成する三原色の他のいずれかのパターンを「三層
目」、更にその次に形成する三原色の残りのパターンを
「四層目」という。
【0062】ここでは、一層目のステップ露光に際し
て、図8に示す18インチディスプレイ用材DPを9面
取りする基板Wでステップ回数n=3とし、マスクとし
て図9(a)のマスクMを用いる場合を例に取り、大型
液晶ディスプレイ用のカラーフィルタのガラス基板Wの
上に一層目のブラックマトリックスのパターンを三分割
逐次近接露光により形成する。
【0063】分割逐次近接露光装置のマスクステージ1
の下面には、一層目のパターンが描かれたマスクMが予
め真空吸着により装着されている。また、ワークステー
ジ2は、Y軸方向の前進限近傍に位置し且つZ軸方向の
最下限迄下降している。 (1)アライメントのためのギャップ調整 まず、ギャップ調整手段6を構成するZ軸送り台6の上
下粗動装置61を駆動してワークステージ2を予め設定
してある粗動上限目標位置(例えばマスクMの表面から
数mm程度の位置)まで急速上昇させる。この粗動時に
は、ギャップセンサ15によるワークチャック8の上面
(実際にはその上に固定されたガラス製の被検部8m上
面)とマスクMとのすき間間隔(ギャップ)の計測は行
わない。
【0064】次に、Z軸送り台6の3台の上下微動装置
63を駆動してそのクサビ作用によりワークステージ2
を微動で上昇させ、これにより、ワークステージ2とマ
スクMとを近接させる。この微動時には、図5に示すよ
うに、マスク側アライメントマーク76を有するマスク
Mの表面と、ワーク側アライメントマーク75を有する
ワークチャック8の面との間のギャップをギャップセン
サ15により計測し、その計測結果を上下微動装置63
の制御装置(図示せず。)に出力し、該制御装置は予め
設定してあるアライメント時の目標ギャップ量と一致す
るように上下微動装置63を制御してワークステージ2
を上昇させる。
【0065】このように、ギャップ調整手段6の上下動
の速度を二速に分けて、ワークステージ2の上昇距離の
大部分を上下粗動装置61で高速上昇させるとともに、
最終的には上下微動装置63でワークステージ2を微動
且つ高精度で上昇させるようにしているため、分割逐次
近接露光におけるギャップ調整作業の高速化と高精度化
を同時に達成することができる。 (2)アライメント調整 このようにして、ワークステージ2とマスクMとを近接
させた状態においては、基板Wのステップ方向(Y軸方
向)とマスクMとの相対位置及び姿勢が正しく整合して
いない場合、例えば図7(a)に示すように、ワークス
テージ2に対してマスクパターンPを有するマスクMが
角度θだけ傾斜している場合(ワークステージ2の向き
とY軸方向の向きとは一致しているとして)には、ワー
ク側アライメントマーク75とマスク側アライメントマ
ーク76とは整合せず、ずれてしまう。従って、このま
ま1ステップ目のマスクパターンPの露光転写を行う
と、次ステップ目で同一の基板W上に形成される分割パ
ターンPとのずれが生じて、精度の良いブラックマトリ
ックスのパターンが得られない。
【0066】そこで、ワーク側アライメントマーク75
とマスク側アライメントマーク76との整合作業(アラ
イメント)をアライメントカメラ16を用いて行い、こ
のときピント調整機構161によって両マーク75,7
6の双方にピントを合わせる。一層目のステップ露光で
は、アライメントの際に、図5を参照して、投影用光学
系78でワーク側アライメントマーク75を下から照射
すると共に、露光時に用いるギャップセンサ15を利用
してワーク側アライメントマーク75を有するワークチ
ャック8の表面(被検部)8mとマスク側アライメント
マーク76を有するマスクMの表面(マスクマーク面M
m )との間のギャップを設定することにより、両マーク
75,76にアライメントカメラ16のピントをほぼ合
わせて両マーク75,76のずれを検出する。
【0067】なお、通常、マスクMの板厚は5mm,8
mm,10mmなどと規格化されているため、従来のア
ライメントカメラのように一つの固定焦点を持つもので
はマスク厚の変更もしくはばらつきに対して即応でき
ず、アライメントマークの検出精度が低下するという問
題を有するが、この実施の形態では、ピント調整機構1
61に予め種々のマスク板厚に対応するアライメントカ
メラ16のフォーカス位置を予めセットしておくことに
より、マスクMの交換によるマスク厚の大幅な変化に即
応して、アライメントカメラ16のピントをベストフォ
ーカス位置であるマスクマーク面Mm に位置決めするこ
とができる。
【0068】また、ピントずれを検出するのにギャップ
センサ15で実際のマスク下限位置を計測し、その計測
値を計算機92に出力して予めマスク下面(マスクマー
ク面Mm )に設定しておいたピント位置(目標位置)か
らの相対ピント位置変化量を計算してその分だけピント
調整機構161を操作してアライメントカメラ16の位
置を補正しているので、例えばマスク厚のばらつきによ
るピントずれを調整してマスクマーク76に対するベス
トフォーカスを保証することができる。
【0069】そして、ピントが適正に調整されたアライ
メントカメラ16によってワーク側アライメントマーク
75とマスク側アライメントマーク76との間にずれが
検出されると〔図7(a)〕、その検出信号をマスク位
置調整手段14の制御装置(図示せず。)に出力し、該
制御装置によってX方向駆動装置14x及び二つのY方
向駆動装置14yの駆動を制御することにより、マスク
保持枠13の姿勢を修正して両マーク75,76を図7
(b)に示すように整合させる。これにより、マスクM
とY軸方向との傾きθ(同図は、基板Wの長辺方向とY
軸方向と、マスクMの短辺方向とマスクパターンPの短
辺方向とが、それぞれ平行である場合を示している)が
解消される。 (3)基板Wの挿入及び1ステップ目の露光 アライメント終了後、ギャップ調整手段6により一旦ワ
ークステージ2を必要なだけ下降させる。この状態で、
ワークステージ2とマスクステージ1との間隔(例えば
60mm程度)を利用して、ワーク自動供給装置(図示
せず。)により基板Wをワークステージ2上に投入し、
該ワークステージ2上のワークチャック8に保持する。
その後、再度ギャップ調整手段6により、マスクMの下
面とワークW上面とのすき間を、露光する際に必要な所
定の値となるように調整する。その手順は、ギャップセ
ンサ15により計測されるのがマスクMの下面と基板W
上面とのギャップである点を除けば、前記(1)と同じ
手順である。
【0070】なお、ギャップ調整手段6によりワークス
テージ2を上下動させる際に、わずかではあるがワーク
ステージ2がXY平面内でも多少動いてしまう場合もあ
る。このような場合のために、上記(2)のアライメン
ト終了後での各レーザ干渉計743、744、744に
よる位置データを、前記補正制御手段により記憶してお
き、ギャップ調整後の位置データが記憶されているデー
タとは変わっている場合には、マスク位置調整手段14
で変化分だけ補正することにより、マスクMの向きとY
軸方向との傾きのない状態に戻すことができる。
【0071】次に、切替え機構200を操作して射出角
の小さい側のオプチカルインテグレータ33bの中心を
照明光学系3の光軸Lに位置決めし、この状態で照明光
学系3の露光制御用シャッター34を開制御して1ステ
ップ目の露光を行い、マスクMのマスクパターンPを基
板Wの所定位置に焼き付けて、基板W上に第1の分割パ
ターンP1 を得る。 (4)2ステップ目の露光位置へのワークステージ2の
移動 続いて、第2の分割パターンP2 のつなぎ露光を行うた
めに、ワークステージ送り機構7の送り駆動装置73を
駆動してワークステージ2を移動させることにより、ワ
ークステージ2をマスクMに対して図7(b)の矢印Y
方向に1ステップ量だけ送り、基板Wを2ステップ目の
露光位置に配置する。このとき、基板WとマスクMとの
干渉を避けるため、ワークステージ2を必要な分だけZ
軸方向に下降させるようにしてもよい。 (5)ワークステージ2の送り誤差によるアライメント
調整 上記のようにワークステージ2をマスクMに対して図7
(b)の矢印Y方向に1ステップ量だけ送る際には、先
にのべた要因による送り誤差が生じるため、そのまま2
ステップ目の露光をすると第2の分割パターンP2 がわ
ずかではあるが位置ずれをおこす。例えば、ワークステ
ージ2のステップ送り中にワークステージ2のヨーイン
グと真直度のエラーにより、図7(c)のように真直度
Δx、傾斜角度θ’だけ正規位置からずれてしまう。
【0072】そこで、基板W上に第2の分割パターンP
2 を露光転写する前に、基板Wの送り誤差を送り誤差検
出手段74で検出してその検出結果をつなぎ露光位置を
補正する補正制御手段に出力し、該補正制御手段では該
検出結果に基づいてつなぎ露光のための位置決め補正量
を算出し、その算出結果に基づいてマスク位置調整手段
14(及び送り時のピッチング補正など、必要に応じて
ギャップ調整を行うために上下微動装置63)のX軸方
向駆動装置14x及びY軸方向駆動装置14yを制御し
てマスク保持枠13の位置を調整し、マスクMの位置ず
れを補正するアライメント調整を行う。なお、ギャップ
調整手段6によるマスクMと基板Wとのギャップ調整を
行った場合は、その後の状態でのヨーイング及び真直度
のデータに基づいて前記アライメント調整を行う。 (6)2ステップ目の露光 その後、照明光学系3の露光制御用シャッター34を開
制御して2ステップ目の露光を行い、マスクMのマスク
パターンPを基板Wの所定位置に焼き付けて、基板W上
に位置ずれが修正された第2の分割パターンP2を得る
(図7(d)参照)。 (7)3ステップ目の露光 3ステップ目の露光については、前記(4),(5)及
び(6)ど同様にして2ステップ目の露光位置へのワー
クステージ2の移動、ワークステージ2の送り誤差によ
るアライメント調整及び3ステップ目の露光を行い、基
板W上に位置ずれが修正された第3の分割パターンP3
(図示せず。)を得る。
【0073】上記の説明から明らかなように、この実施
の形態では、マスクMの大きさ及び基板Wのステップ回
数を、マスクMのたわみ量、得るべき露光精度及びマス
クMのパターン領域の大きさから選択し、更に、選択さ
れたマスクMの大きさ及び基板Wのステップ回数につい
て、最もタクトタイムが短くなり、且つ、必要な露光精
度が得られる露光条件を露光照度とレジスト感度との関
係に基づいて選択し、更に、選択されたマスクM毎にマ
スクM上の露光すべき領域の広さ(ステップ方向)に応
じてステップ露光の照射領域Sを確保し且つ照度が大き
くなるオプチカルインテグレータを選択してステップ露
光を行うようにしているので、フラットパネルディスプ
レイの多面取り露光において、決められた大きさの基板
に高精度且つ高スループットでステップ露光することが
できる。
【0074】なお、上記実施の形態では、レーザ干渉計
743,744等の送り誤差検出手段74を備えた分割
逐次近接露光装置に本発明を適用した場合を例に採った
が、これに限定されず、送り誤差検出手段74を備えて
いない分割逐次近接露光装置にも本発明を適用できるの
は勿論である。また、上記実施の形態では、1層目のス
テップ露光を例に採ったが、これに限定されず、2層目
以降のステップ露光を主とするアライメントマークのみ
による位置決めを行うタイプにも本発明を適用してもよ
い。
【0075】図18は本発明の第2の実施形態を示す図
である。なお、このものは、本発明の分割逐次近接露光
装置におけるアライメントマークの投影結像に係わる構
造、特にワーク側アライメントマーク75をワークチャ
ックの下からマスクアライメントマーク面に投影する光
学系の変形例であり、その他の上記第1の実施形態と同
様の構成部分の重複する説明は省略する。即ち、本実施
形態の投影光学系78Aは、ワークチャック8の下方
に、光源781,コンデンサーレンズ782,ワーク側
アライメントマーク75を配設すると共に更にそのワー
ク側アライメントマーク75の上位に結像レンズ783
を配してある点が上記第1の実施形態の投影光学系78
と異なっている。
【0076】結像レンズ783を、その一方の焦点上に
ワーク側アライメントマーク75が位置し、他方の焦点
上にマスクMのマスクマーク面Mm が位置するように配
設することにより、ワーク側アライメントマーク75を
マスク側アライメントマーク76と同一レベルに投影結
像することができる。上記第2の実施形態によれば、こ
のように、アライメント時にワーク側アライメントマー
ク75を外部から光学的にマスク側アライメントマーク
76上に一致させてピントを合わせることができて、ワ
ーク側アライメントマーク75とマスク側アライメント
マーク76とが検出光学系からデフォーカスされること
が全くなく、理想的なパターンを検出できるので、より
高精度に1層目の分割逐次近接露光が可能になるという
効果がある。
【0077】図19は本発明の第3の実施形態を示す図
である。このものは、本発明の分割逐次近接露光装置に
おけるアライメントマークの投影結像に係わる構造のう
ち、特にアライメント画像のベストフォーカス調整機構
の変形例であり、その他の上記第1の実施形態と同様の
構成部分の重複する説明は省略する。即ち、本実施形態
のアライメント画像のベストフォーカス調整機構9A
は、アライメントカメラ16及びピント調整機構161
と計算機92Aからなり、アライメントカメラ16で撮
像されたマスクMのマスクマーク面Mm にあるマスク側
アライメントマーク76のパターンの像76zのコント
ラストを検出走査線で計測し、その画像コントラストの
微分波形77の波高D,D’が最大となる状態をピント
調整機構161でカメラ16を動かしながら探す。これ
により、パターン像76zが最もシャープに写るカメラ
位置を得て、より一層高精度のアライメントが実現でき
るという利点がある。また、上記第2の実施形態と同じ
く、任意のマスク厚及びマスク厚のばらつきに対しての
検出光学系への影響が全く無く、いずれのマスク厚に対
しても高精度の検出が可能という効果が得られる。
【0078】なお、以上のようにして一層目(すなわち
ブラックマトリックス)のパターン露光が終了すると、
現像などの所定の工程を経て、二層目、三層目…とそれ
ぞれのパターン露光を含む工程を経て仕上げられる。通
常、カラーフィルタ等はライン設備で生産され、露光装
置も一層目、二層目…とそれぞれ専用の装置が用いられ
る。
【0079】二層目以降のための露光装置としても勿
論、本発明の装置すなわちワーク側アライメントマーク
75を用いたマスク位置調整手段を備えて、ワークステ
ージの送り誤差を検出し、補正してつなぎ露光をする分
割逐次近接露光装置を用いることができる。しかし、一
層目の露光パターンの中に二層目以降のアライメントの
ために用いるマークのパターンを含ませておけば、二層
目以降の露光時には、ワークに形成されたこのマークを
基準にアライメントを行えばよく、この場合には、二層
目以降のための露光装置には、ワーク上のアライメント
マークとマスク上のアライメントマークとのアライメン
トを行う機能を備えた従来の露光装置であればよい。
【0080】しかしながら、このような従来の露光装置
では、前記のとおり一層目の分割パターン同士のつなぎ
目の高精度な整合のための仕組が考慮されていない。一
層目の露光装置として本発明のものを用いたライン設備
で生産することにより、高精度なつなぎ目の整合が実現
できるのである。すなわち、一層目の露光装置にワーク
側アライメントマークを用いた前記のようなマスク位置
調整装置手段を使用することにより、ワークステージの
送り方向とマスクパターンの向きとをそろえることがで
き、つなぎ目の整合が可能となる。そして、その際にワ
ークスデージの送り誤差を検出し、これを補正すること
で更に高精度なつなぎ目の整合が可能となる。
【0081】以下に、第4の実施形態として、二層目以
降の露光専用の機能を付加した本発明の分割逐次近接露
光装置により、二層目露光を行う場合のアライメント調
整について説明する。従来の露光装置を用いて二層目以
降のつなぎ露光を行う場合、第1ステップ目の露光のワ
ークアライメント完了後に、ワークステージ2を第2ス
テップ目の露光位置に向かってY方向に送り移動させる
際には、ワークステージ2の送り精度を頼りにしてその
まま送るか、もしくはワークステージ2の送り誤差(Y
軸の進行方向の傾き)に基板Wの搭載姿勢をできるだけ
合わせて送ってから、第2ステップ目のアライメントを
行うという方法がとられている。
【0082】しかし、そうした方法では、第2ステップ
目のワーク側アライメントマーク75を検出する際に、
ワークステージ2上に基板Wを投入して搭載した時の基
板Wの傾き精度(傾斜角θw の大きさ)とワークステー
ジ送り量yの大きさ如何によっては、第2ステップ目の
位置におけるワーク側アライメントマーク75がアライ
メントカメラ16の視野内に入らない場合があり、ワー
ク側アライメントマーク75を視野内に捕捉するのに時
間がかかりワークアライメントに相当長時間を要した
り、最悪の場合第2ステップ目のワークアライメントが
不可能になるという問題がある。
【0083】本実施形態は、二層目以降の露光における
このような問題を解決することができるものであり、図
20(a)〜(d)を参照しつつ具体的に説明する。装
置は、先に説明した本願発明の分割逐次近接露光装置を
適用する。なお、第2ステップ目までを説明している
が、それ以降のステップにおいても同様に適用できるも
のである。
【0084】第1工程〔図20(a)〕:二層目露光の
前準備の段階である。二層目露光用のマスクMをマスク
ステージ1に装着する。装着した二層目露光用のマスク
Mのマスクマーク76,76を、それぞれ各アライメン
トカメラ16の視野A,Aの中心に合わせる。そして、
ワークステージ2を第2ステップ目の位置へ送る前に、
ワークステージ2の実際の送り方向(Y’方向)に対す
るアライメントカメラ16の視野Aの中心軸(すなわ
ち、左右2台のアライメントカメラ16の視野A,Aの
中心同士を結んだ軸線)XA の直交度のずれ角θm (以
下マスクずれ角θm という)を予め求めておく。
【0085】このマスクずれ角θm は、マスクMのY軸
とその実際の相対的送り方向Y’とのずれ角度であり、
一層目の露光時においてのY軸の走り方向とワーク側ア
ライメントマーク75との傾き角θ(図7参照)と同様
であり、その場合のワーク側アライメントマーク75を
カメラ視野Aに置き換えたと同じである。マスクずれ角
θm の具体的な求め方の例を後述する。
【0086】第2工程〔図20(b)〕:一層目露光の
終わった基板Wを、ワークステージ2上に投入して装着
する。基板Wは通常、ワークステージ2の実際の送り方
向Y’に対して時計回り(プラス)又は反時計回り(マ
イナス)方向に相対的に傾斜した状態で装着される。図
20(b)はこの基板Wの装着直後の状態を示してい
る。送り方向Y’に対する基板Wの傾斜角θW は、十字
形のワーク側アライメントマーク77の中心同士を結ん
だ軸線(以下、ワークアライメント軸線という)XW と
ワークステージ2の実際の送り方向Y’に直交する軸X
Y とのなす角(以下、ワーク傾斜角θW という)であ
る。
【0087】この場合、ワーク側アライメントマーク7
7とマスク側アライメントマーク7676とは未だずれ
があり、そのずれ角度(マスク傾斜角度)αはワークア
ライメント軸線XW とカメラ視野Aの中心軸線XA との
なす角に相当している。すなわち、この場合のワーク傾
斜角θW はθW =θm +(マイナスα)となり、マスク
Mの前記ずれ角θm よりマスクMと基板Wとのずれ角α
だけ反時計方向に小さくなる。
【0088】第3工程〔図20(c)〕:二層目露光の
第1ステップ目である。装着した基板WとマスクMとの
アライメントを行い、両者のずれを無くす。すなわち、
基板Wに対してマスクMを移動しずれを解消する。具体
的には、マスク位置調整手段14の操作によりマスクM
をZ軸回りに反時計方向に旋回させて、十字のワーク側
アライメントマーク77に対し方形のマスク側アライメ
ントマーク76を合わせる。その時のマスクMの旋回角
度すなわちマスク傾斜角度αを露光位置補正制御手段の
記憶装置に記憶させる。図20(c)は、二層目露光に
おける第1ステップ目のワーク側アライメントマーク7
7とマスク側アライメントマーク76とのアライメント
完了時の状態を示している。この後、第1ステップ目の
露光が行われる。
【0089】第4工程〔図20(d)〕:第1ステップ
目の露光完了後、ワークステージ送り機構7により第2
ステップ目の露光位置にワークステージ2を送る。その
送り操作において、Y軸方向送りを検出するレーザ干渉
計744で送り量(距離)yが計測される。次いで、マ
スクMを反時計方向にワーク傾斜角θW だけ旋回させて
第2ステップ目のアライメントを開始するのであるが、
その前に、マスクステージ1のマスク位置調整手段14
によりマスクMの位置補正を行う。具体的には、前記ワ
ークステージ2の送り量(距離)y及び第1工程で求め
たマスクずれ角θm ,第3工程で求めたマスク傾斜角度
αを用いて、次式によりマスクステージ1のX軸方向の
補正量ΔXを算出する。
【0090】ΔX=y・sin(θm +α) そして、このΔXの距離だけマスクステージ1をX方向
に移動させてその位置を補正する。このマスク位置補正
により、第2ステップ目用の十字のワーク側アライメン
トマーク77及び方形のマスク側アライメントマーク7
6がアライメントカメラ16の視野内に必ず入ることに
なる。したがって、第2ステップ目以降のワーク側アラ
イメンントマークの検出において、基板W搭載時の傾斜
角θW の大きさや、Y方向送り量の如何にかかわらずア
ライメントエラーが全く発生しなくなる。かつまた、装
置のタクトタイムが大幅に短縮される。
【0091】さらに、理論的には、2ステップ目以降の
ワークアライメントは、上記計算とその補正を正確に行
うことにより、視野に入った時点でアライメント完了位
置にマスクステージが移動するので、第2ステップ目の
アライメントが必要なくなる(即ち、補正制御手段の指
令でマスク位置調整手段14を作動させて自動的にアラ
イメントが行われ、1回のアライメントで、2ステップ
更にはnステップの露光が可能となる。) かくして、第2ステップ目以降のワークアライメントが
必要でないグローバルアライメント露光が可能となり、
装置タクトタイムの一層の短縮と、精度向上との両立が
できる。
【0092】上記第4の実施の形態では、二層目露光に
おける第2ステップ目以降のワーク側アライメントマー
ク77を検出するに当たり、一層目露光時に予め求めて
おいたワークステージ2の実際の送り方向Y’と二層目
露光時の第1ステップ目のワークアライメントの結果か
ら基板W姿勢を認識して、マスクステージの位置を修正
することにより、二層目露光の第2ステップ目以降はワ
ーク側アライメントマークを必ずアライメントカメラの
視野内に捕捉するように制御する場合を説明したが、こ
のような制御方法は必ずしも二層目露光以降にのみ適用
するとは限らない。ワークステージ2の実際の送り方向
Y’を予め試験的に把握しておくことで、一層目露光の
ワーク側アライメントマークの傾斜角θとワークステー
ジの走り方向の傾きθの場合にも適用可能である。
【0093】ここで、前記マスクずれ角θm の求め方の
一例を述べる。図21(a)は、二層目露光における第
1ステップ目の状態である。すなわち、前記図20
(a)と同じく、マスクMのマスク側アライメントマー
ク(□印)77A ,77B を、それぞれ各アライメント
カメラの視野CA,CB(○印)の中心に合わせる。こ
の時の、ワークステージの実際の走り方向Y’と直交す
る軸XY に対するカメラの視野中心軸線XA のずれ角θ
m を、予め次の方法で測定する。
【0094】ワークステージを送り、マスクMを第2
ステップ目の位置に相対移動させる。その実際の送り方
向はY’方向であるから、第1ステップ目の位置Iにあ
るワーク側アライメントマーク77AI及び77BIは、
Y’方向に沿った位置IIに移動してワーク側アライメ
ントマーク77AII 及び77BII になる〔図21
(b)〕。
【0095】測定基準を77BI−77BII を結ぶ線L
sとし、この基準線LsがX方向になるように基板Wを
水平旋回する。そして、基準線Lsに対する直線77BI
−77AI及び77BII −77AII の傾き角θm1,θm2を
求める〔図21(c)〕。 θm =(θm1+θm2)/2 =(tan-1g1 /G1 +tan-1g2 /G2 )/2 である。
【0096】なお、高精度化のために、nステップまで
行ってその平均をとっても良い。 θm =(θm1+θm2+……+θmn)/n なお、上記各実施形態では、マスクステージ1をマスク
ステージ支持台12で装置ベース4に固定して取り付
け、ワークステージ2の方のみギャップ調整手段6で昇
降させる構造を示したが、これに限らず、例えばマスク
ステージ支持台12をシリンダで構成してマスクステー
ジ1の方を昇降させる構造にしてもよい。その場合に
は、上下粗動装置を有するZ軸粗動ステージ62を省略
することができる。
【0097】また、上記各本実施の形態ではワークステ
ージをY軸方向に移動可能な構成としたが、代わりにマ
スクステージと露光手段とをY軸方向に移動可能な構成
としても良い。
【0098】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
によれば、フラットパネルディスプレイの多面取り露光
において、決められた大きさの基板に高精度且つ高スル
ープットでステップ露光することができるという効果が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態である分割逐次近接
露光装置を説明するための一部を分解した説明的斜視図
である。
【図2】マスクステージ部分の拡大斜視図である。
【図3】(a)は図2のIII − III線断面図、(b)は
(a)のb矢視で示す平面図である。
【図4】アライメントカメラと該アライメントカメラの
ピント調整機構の基本構造を示す側面図である。
【図5】ワーク側アライメントマークの照射光学系を説
明するための説明図である。
【図6】アライメント画像のフォーカス調整機構を示す
構成図である。
【図7】ステップ露光を説明するための説明図である。
【図8】18インチディスプレイ用材DPを9面取りし
た基板W(1000mm×1200mm)の平面図であ
る。
【図9】図8の基板に対向配置されるマスクを示す図で
あり、(a)は3ステップ露光の場合に用いるマスクの
平面図、(b)は2ステップ露光の場合に用いるマスク
の平面図である。
【図10】15インチディスプレイ用材DPを12面取
り(長辺方向4×短辺方向3)した基板W(1000m
m×1200mm)に対向配置されるマスクを示す図で
あり、2ステップ露光の場合に用いるマスクの平面図で
ある。
【図11】マスクの横(短辺)寸法を一定にした場合の
該マスクの縦(長辺)寸法と自重による最大たわみ量と
の関係を示すグラフ図である。
【図12】図9(a),(b)の各マスクを用いた場合
の光源照度とレジスト感度とステップ数とタクト時間と
の関係を示すグラフ図である。
【図13】図10のマスクと図示しない4ステップ露光
用マスクとを用いた場合の光源照度とレジスト感度とス
テップ数とタクト時間との関係を示すグラフ図である。
【図14】照射領域切替手段による照射領域の切替え操
作を説明するための図であり、(a)は照射領域を広げ
た状態を示す図、(b)は照射領域を狭めた状態を示す
図である。
【図15】二種類のオプチカルインテグレータを示す図
であり、(a)はレンズ面の曲率半径が大きいタイプの
側面図、(b)はレンズ面の曲率半径が小さいタイプの
側面図である。
【図16】照射領域切替手段の切替え機構の一例を説明
するための斜視図である。
【図17】切替え機構の変形例を説明するための斜視図
である。
【図18】本発明の第2の実施の形態である分割逐次近
接露光装置を説明するための説明図である。
【図19】本発明の第3の実施の形態である分割逐次近
接露光装置を説明するための説明図である。
【図20】本発明の第4の実施の形態である分割逐次近
接露光装置を説明するための図であり、(a)は露光前
準備とマスクロード後のアライメントを示す模式図、
(b)はワークロード直後を示す模式図、(c)は第1
ステップ目のアライメントメント完了状態を示す模式
図、(d)は第2ステップ目のアライメントメントに移
動後の状態を示す模式図である。
【図21】マスクずれ角θm の求め方を説明する図で、
(a)は二層目露光における第1ステップ目の状態を示
す平面図、(b)はマスクMを第2ステップ目の位置に
相対移動させた状態を示す平面図、(c)はマスクずれ
角θm1,θm2の測定時の状態を示す平面図である。
【符号の説明】
W…基板 M…マスク P…マスクパターン 1…マスクステージ 2…ワークステージ 3…照明光学系(照射手段) 6…ギャップ調整手段 7…ワークステージ送り機構 33a,33b…オプチカルインテグレータ 200A…照射領域切替手段 200…切替え機構

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被露光材としての基板を保持するワーク
    ステージと、前記基板に対向配置されて該基板より小さ
    いマスクを保持するマスクステージと、前記基板に対し
    てパターン露光用の光を前記マスクを介して照射する照
    射手段と、該マスクのマスクパターンを前記基板上の複
    数の所定位置に対向させるように前記ワークステージと
    前記マスクステージとを相対的にステップ移動させるワ
    ークステージ送り機構と、前記マスクと前記基板との対
    向面間のすき間を調整するギャップ調整手段とを備え、
    前記ワークステージ送り機構のステップ回数を2回以上
    として各ステップ毎に前記マスクパターンを前記基板上
    に露光転写するようにした分割逐次近接露光装置におい
    て、 前記マスクの大きさ及び前記ステップ回数を、前記マス
    クの許容たわみ量、該マスクのパターン領域の大きさ及
    び最もタクト時間が短く且つ必要な露光精度が得られる
    露光照度とレジスト感度との関係に基づいて設定し、更
    に、前記照射手段が、該設定ステップ回数での露光条件
    に応じて露光用の光のステップ方向の照射領域を切替え
    可能な照射領域切替手段を備えたことを特徴とする分割
    逐次近接露光装置。
  2. 【請求項2】 前記照射領域切替手段は、射出角の異な
    る複数種のオプチカルインテグレータと、各オプチカル
    インテグレータの中心を前記照射手段の光軸に対して選
    択的に位置決め配置する切替え機構とを備えたことを特
    徴とする請求項1記載の分割逐次近接露光装置。
  3. 【請求項3】 被露光材としての基板より小さいマスク
    を該基板に近接して対向配置し、前記基板を前記マスク
    に対して相対的にステップ移動させて該マスクのマスク
    パターンを前記基板上の複数の所定位置に対向させると
    共に、ステップ回数を2回以上として各ステップ毎に基
    板に対してパターン露光用の光を前記マスクを介して照
    射して該マスクのマスクパターンを前記基板上に露光転
    写するようにした分割逐次近接露光方法において、 前記マスクの大きさ及び前記ステップ回数を、前記マス
    クの許容たわみ量、該マスクのパターン領域の大きさ及
    び最もタクト時間が短く且つ必要な露光精度が得られる
    露光照度とレジスト感度との関係に基づいて設定し、更
    に、該設定ステップ回数での露光条件に応じて露光用の
    光のステップ方向の照射領域を設定することを特徴とす
    る分割逐次近接露光方法。
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