JP2002365453A - 導波路 - Google Patents

導波路

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JP2002365453A JP2001172042A JP2001172042A JP2002365453A JP 2002365453 A JP2002365453 A JP 2002365453A JP 2001172042 A JP2001172042 A JP 2001172042A JP 2001172042 A JP2001172042 A JP 2001172042A JP 2002365453 A JP2002365453 A JP 2002365453A
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    • G02B6/10Light guides; Structural details of arrangements comprising light guides and other optical elements, e.g. couplings of the optical waveguide type
    • G02B6/12Light guides; Structural details of arrangements comprising light guides and other optical elements, e.g. couplings of the optical waveguide type of the integrated circuit kind
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 全反射閉じ込め型導波路とフォトニック結晶
線欠陥導波路とを高い光結合効率で接続することが可能
な導波路を提供する。 【解決手段】 導波路100は、フォトニック結晶線欠
陥導波路110の線欠陥部113の端面に全反射閉じ込
め型導波路120を接続して構成されている。フォトニ
ック結晶線欠陥導波路110は、高誘電率媒質1111
内にフォトニック結晶による孔112が三角格子状に2
つのグループに分けて配列され、その境界部には線欠陥
部113が形成されている。全反射閉じ込め型導波路1
20は、その幅が線欠陥部113の幅と同一又は略同一
の幅を有している。接続部の幅を合わせることで、幅の
不一致に起因して生じる反射による結合損失が低減さ
れ、光結合効率が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導波路に関し、特
に、フォトニック結晶線欠陥導波路と全反射閉じこめ型
導波路の接続部を有する構造の導波路にあって、その光
結合効率を高めるための導波路に関する。
【0002】
【従来の技術】フォトニック結晶(photonic crystal)
は、周期的に誘電率が大きく変調された人工光学結晶で
あり、一般に、光がそのフォトニック結晶内のどの方向
にも伝播できないフォトニック・バンド・ギャップ(P
BG)と呼ばれる角振動数帯域を有する。
【0003】図7は、2次元フォトニック結晶の構造例
を示す。この2次元三角格子フォトニック結晶体3は、
高誘電率媒質1の中に微細径のフォトニック結晶の孔2
を三角格子状に配列した構造を有している。高誘電率媒
質1には、通常、半導体(その多くは比誘電率が約1
2)が用いられる。この2次元三角格子フォトニック結
晶体3の場合、PBGが得られる孔のピッチ(または格
子定数)と孔径の組み合わせの目安は、例えば、「フォ
トニック・クリスタルズ・モデリング・ザ・フロー・オ
ブ・ライト」の125〜126頁(「J.D.Joan
nopoulos,R.D.Meade and J.
N.Winn,Photonic Crystals,
Modeling the Flowof Ligh
t」Princeton University Pr
ess、pp.125〜126)に開示されている。孔
の半径をr、フォトニック結晶の円孔のピッチをa、光
の角振動数をω、真空中の光速をcとするとき、例え
ば、誘電率11.4の誘電体基板に三角格子状にフォト
ニック結晶の円孔を配列する場合であれば、(r/a)
が0.48で、{(ω×a)/(2π×c)}が0.5
程度のときに、電界の振動方向と孔が伸びている向きの
関係に依らず、PBGが生じる。
【0004】図8は図7の2次元三角格子フォトニック
結晶体3を用いて作られたフォトニック結晶線欠陥導波
路の一例を示す。このフォトニック結晶線欠陥導波路5
は、図7の2次元三角格子フォトニック結晶体3の2枚
を近接配置した構造を有している。高誘電率媒質1の中
には、多数の孔2が三角格子状に配列されている。この
多数の孔2の中間部に1列の無孔部分、すなわち、線欠
陥部4が形成されている。これにより、PBG内の角振
動数の光は、線欠陥部4以外の完全結晶部分を伝搬する
ことはできないが、線欠陥部4の部分は伝搬できるよう
になる。すなわち、この線欠陥部4は導波路として働く
ことになる。
【0005】図8に示したフォトニック結晶線欠陥導波
路5は、光を導くだけでなく、フォトニック結晶の性質
を反映して、小さな群速度、或いは群速度の波長分散な
どの性質を示すので、この性質を利用した光デバイスの
形成が考えられる。しかしながら、フォトニック結晶線
欠陥導波路5は、光を導く導波路としての性質にのみ着
目した場合、全反射閉じ込め型導波路に劣ることがあ
る。
【0006】図9は、全反射閉じ込め型導波路の構成を
示す。この全反射閉じ込め型導波路10は、光ファイバ
と同様に、一端に導入した光を他端に導くことができ
る。全反射閉じ込め型導波路10は表面の滑らかな誘電
体線路であり、構造が単純で、図8のフォトニック結晶
線欠陥導波路5よりも構造揺らぎが少ないため、設計通
りの形状を作製し易い。そのため、フォトニック結晶線
欠陥導波路5よりも損失の少ない導波路を作製し易い。
しかしながら、全反射閉じ込め型導波路10はフォトニ
ック結晶線欠陥導波路5が持つ小さい群速度、群速度の
波長分散などの性質は強くないので、全反射閉じ込め型
導波路10とフォトニック結晶線欠陥導波路5の互いの
利点を生かすため、フォトニック結晶線欠陥導波路5と
チャネル導波路を接続することが考えられる。
【0007】図10は、従来の導波路を示す。この導波
路は、図9に示した全反射閉じ込め型導波路と図8に示
したフォトニック結晶線欠陥導波路を接続した構造を有
している。図8に示した構造のフォトニック結晶線欠陥
導波路5の線欠陥部4の端面11には、チャネル導波路
としての全反射閉じ込め型導波路10の端面が接続され
ている。線欠陥部4の端面11は、線欠陥部4の部分と
これ以外の部分を含めて、線欠陥部の近傍で平面であ
る。全反射閉じ込め型導波路10の表面12,13とフ
ォトニック結晶線欠陥導波路5の端面11が接続する接
続部14,15の角度は90°である。全反射閉じ込め
型導波路10の材料は、フォトニック結晶線欠陥導波路
5の高誘電率媒質1と同一の高誘電率媒質16を用いて
いる。
【0008】全反射閉じ込め型導波路10は、高誘電率
媒質16で形成されているので、全反射閉じ込め型導波
路10における光の閉じ込めが強く、全反射閉じ込め型
導波路10を伝搬する光の横方向分布(プロファイル)
の幅は、ほぼ全反射閉じ込め型導波路10に等しくなる
が、フォトニック結晶線欠陥導波路5を伝搬する光の幾
らかは線欠陥部4の部分から横の孔の列に広がる。その
ため、この広がった光のプロファイルに全反射閉じ込め
型導波路10の伝搬光のプロファイルを合わせるため、
全反射閉じ込め型導波路10の幅はフォトニック結晶線
欠陥導波路5の幅に比べて大きく設定されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の導波路
によると、全反射閉じ込め型導波路10とフォトニック
結晶線欠陥導波路5の接続部は、全反射閉じ込め型導波
路10の幅がフォトニック結晶線欠陥導波路5の幅に比
べて広くとられているため、全反射閉じ込め型導波路1
0の中心付近では、フォトニック結晶線欠陥導波路5の
中心付近(線欠陥部4付近)との連続性が保たれるのに
対して、全反射閉じ込め型導波路10の中心から離れた
周辺付近では、全反射閉じ込め型導波路10側の一様な
構造からフォトニック結晶線欠陥導波路5側の孔の周期
配列構造への接続になるため、構造上の不連続が生じ
る。フォトニック結晶自体はPBG内の角振動数の光を
透過させないので、全反射閉じ込め型導波路10の線欠
陥部4の幅の外に分布する光の電磁界エネルギーは、フ
ォトニック結晶線欠陥導波路5の端面11の近傍で反射
してしまい、フォトニック結晶線欠陥導波路5に入射で
きない。そのため、全反射閉じ込め型導波路10とフォ
トニック結晶線欠陥導波路5では、伝搬光のプロファイ
ルが近いにも関わらず、光結合効率が悪いという問題が
あった。
【0010】したがって、本発明の目的は、全反射閉じ
込め型導波路とフォトニック結晶線欠陥導波路とを高い
光結合効率で接続することが可能な導波路を提供するこ
とにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の目的を
達成するため、第1の特徴として、高誘電率媒質内にフ
ォトニック結晶による孔が所定のパターンで2つのグル
ープに分けて配列され、前記2つのグループの境界部に
は前記孔を有しない線欠陥部が形成されたフォトニック
結晶線欠陥導波路と、前記フォトニック結晶線欠陥導波
路の前記線欠陥部の幅と同一又は略同一の幅を有して前
記線欠陥部の端面に接続される全反射閉じ込め型導波路
を備えることを特徴とする導波路を提供する。
【0012】この構成によれば、フォトニック結晶線欠
陥導波路上に形成された線欠陥部と、これに接続される
全反射閉じ込め型導波路の幅が同一又は略同一であるた
め、フォトニック結晶線欠陥導波路と全反射閉じ込め型
導波路の接続部における反射に起因する結合損失が低減
され、光結合効率を高めることが可能になる。
【0013】本発明は、上記の目的を達成するため、第
2の特徴として、高誘電率媒質内にフォトニック結晶に
よる孔を所定のパターンで2つのグループに分けて配列
され、前記2つのグループの境界部には前記孔を有しな
い線欠陥部が形成され、前記線欠陥部の一方の側面に沿
って配設された前記孔の内の一列のそれぞれの孔が半円
形をなすように切断加工されているフォトニック結晶線
欠陥導波路と、前記フォトニック結晶線欠陥導波路の前
記線欠陥部の幅と同一又は略同一の幅を有して前記線欠
陥部の端面に接続される全反射閉じ込め型導波路を備え
ることを特徴とする導波路を提供する。
【0014】この構成によれば、フォトニック結晶線欠
陥導波路上に形成された線欠陥部と、これに接続される
全反射閉じ込め型導波路の幅が同一又は略同一であるた
め、フォトニック結晶線欠陥導波路と全反射閉じ込め型
導波路の接続部における反射に起因する結合損失が低減
され、光結合効率を高めることが可能になる。更に、フ
ォトニック結晶線欠陥導波路は、全反射閉じ込め型導波
路を接続する側の側面に沿うフォトニック結晶の一列が
半円形に切断されているため、線欠陥部の端面が幅方向
に広がりを持たない構造になり、フォトニック結晶表面
への漏洩による損失が低減する。
【0015】本発明は、上記の目的を達成するため、第
3の特徴として、所定の幅と長さを有する全反射閉じ込
め型導波路と、高誘電率媒質内にフォトニック結晶によ
る孔が所定のパターンで2つのグループに分けて配列さ
れると共に、前記全反射閉じ込め型導波路の幅と同一又
は略同一な幅を有して前記孔を有しない線欠陥部が前記
2つのグループの境界部に形成され、前記線欠陥部に前
記全反射閉じ込め型導波路の一端が接続され、前記全反
射閉じ込め型導波路の両側に前記高誘電率媒質を突出さ
せて保護部が形成されているフォトニック結晶線欠陥導
波路を備えることを特徴とする導波路を提供する。
【0016】この構成によれば、フォトニック結晶線欠
陥導波路上に形成された線欠陥部と、これに接続される
全反射閉じ込め型導波路の幅が同一又は略同一であるた
め、フォトニック結晶線欠陥導波路と全反射閉じ込め型
導波路の接続部における反射に起因する結合損失が低減
され、光結合効率を高めることが可能になる。更に、全
反射閉じ込め型導波路の両側を埋める如くに保護部が形
成されているため、光結合損失が低減すると同時に、接
合部近傍のフォトニック結晶の機械的強度を増すことが
できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を基に説明する。図1は、本発明の第1の実施形
態を示す。本実施の形態による導波路は、2次元三角格
子フォトニック結晶による線欠陥導波路と全反射閉じ込
め型導波路を接続して構成されている。
【0018】本発明の導波路100は、フォトニック結
晶線欠陥導波路110と全反射閉じ込め型導波路120
からなり、全反射閉じ込め型導波路120はフォトニッ
ク結晶線欠陥導波路110の端面130に、これと一直
線上になる様に接続されている。フォトニック結晶線欠
陥導波路110は、母体媒質(高誘電率媒質)111
と、この中に三角格子状に配列された多数のフォトニッ
ク結晶の孔112が設けられた構成になっている。ただ
し、母体媒質111の中間部の所定幅には孔112は設
けられておらず、この部分には線欠陥部113が形成さ
れている。母体媒質111には、半導体(一般には、比
誘電率が約12のシリコン)が用いられる。全反射閉じ
込め型導波路120は母体媒質111と同一の材料が用
いられ、その幅Wは線欠陥部113とほぼ同一にされ
る。
【0019】全反射閉じ込め型導波路120は、その一
端面が線欠陥部113の側面(端面130)に接続され
るが、線欠陥部113とは一直線上(同一軸線上)にな
り、かつ同一平面になるように接続される。そして、全
反射閉じ込め型導波路120の表面(側面)121,1
22と端面130は直角または、ほぼ直角になってい
る。
【0020】図1の構成においては、全反射閉じ込め型
導波路120の幅Wとフォトニック結晶線欠陥導波路1
10の線欠陥部113の幅がほぼ等しく、かつ、材料が
同一で連続している。このため、全反射閉じ込め型導波
路120を伝搬してきた光は、殆ど全てがフォトニック
結晶線欠陥導波路110の線欠陥部113に入光する。
線欠陥部113の部分に入った光は、周囲に配列された
孔112で回折されるが、この回折によって全反射閉じ
込め型導波路120からの伝搬光の入射方向と逆向きに
回折され、全反射閉じ込め型導波路120に反射光とし
て戻る光の割合は、伝搬光のプロファイルを合わせるこ
とを優先した図9の構造よりも小さくなり、結果として
光結合効率は本発明の方が高くなる。
【0021】〔実施例〕ここで、第1の実施の形態に対
応した実施例について説明する。フォトニック結晶線欠
陥導波路110の母体材料(母体媒質111)として誘
電率11.4のシリコン(Si)を用い、三角格子(孔
112)のピッチを0.7μm、孔112の直径を0.
64μmとし、更に、線欠陥部113の幅を0.57μ
mとした。全反射閉じ込め型導波路120の幅Wは、線
欠陥部113の幅と同じ0.57μmとした。また、フ
ォトニック結晶線欠陥導波路110の端面130と、こ
の端面130に最も近い孔112との間の距離(領域1
14,115)を0.06μmとした。
【0022】上記した各部の寸法のもとに、数値計算シ
ミュレーションを実施した。その結果、PBG内の角振
動数を有する光に対して、フォトニック結晶線欠陥導波
路110と全反射閉じ込め型導波路120の結合損失と
して、0.5dBが得られた。全反射閉じ込め型導波路
120の幅を2.2μmとし、他の構造や数値は同じと
した従来構造の場合、同じ角振動数の光に対して2.3
dBの結合損失があり、このことから、本発明により、
1.8dB改善できることがわかった。
【0023】図2は、図1の導波路の変形例を示す。図
2においては、図1と同一であるものには同一引用数字
を用いたので、重複する説明は省略する。図1において
は、線欠陥部113と全反射閉じ込め型導波路120の
接続角は0°、すなわち一直線であったが、本実施の形
態では、或る角度θを持たせている。導波路の幅方向の
波数分布が、全反射閉じ込め型導波路120とフォトニ
ック結晶線欠陥導波路110で異なる場合、このように
角度θを設けることによって一致性が向上し、光結合効
率が向上する場合がある。
【0024】図3は、本発明の第2の実施の形態を示
す。本実施の形態においても、図3においては、図1と
同一であるものには同一引用数字を用いたので、ここで
は重複する説明を省略する。上記第1の実施の形態の構
造においては、フォトニック結晶線欠陥導波路110の
端面130と、この端面130に最も近い孔112a,
112bとの間の距離は、全反射閉じ込め型導波路12
0とフォトニック結晶線欠陥導波路110の光結合効率
を向上させるために重要である。この距離が大きくなる
と、全反射閉じ込め型導波路120とフォトニック結晶
線欠陥導波路110の線欠陥部113までの距離が遠く
なり、全反射閉じ込め型導波路120を伝搬してきた光
の一部が、端面130と最も近い孔112a,112b
の列との間の領域114,115に回り込み、光結合効
率を低下させる。この問題を解決するのが、図3に示す
第2の実施の形態である。
【0025】図3に示すように、線欠陥部113を含む
フォトニック結晶、即ち、フォトニック結晶線欠陥導波
路140の端面141は、線欠陥部113と交差し、か
つ、フォトニック結晶線欠陥導波路140の全反射閉じ
込め型導波路120に寄った各孔112を横切るように
切断する面である。全反射閉じ込め型導波路120は、
その端面141の線欠陥部113の部分に接続されてい
る。全反射閉じ込め型導波路120の幅Wは、線欠陥部
113の幅に等しくし、或いはほぼ等しくしている。端
面141の線欠陥部113の部分の両脇に位置する半円
孔の表面142,143は、全反射閉じ込め型導波路1
20の表面121,122と滑らかに接続されている。
【0026】図3の実施の形態によれば、フォトニック
結晶線欠陥導波路140の全反射閉じ込め型導波路12
0に接続される端面141が側面方向(線欠陥部113
の幅方向又は図の上下方向)に広がりを持たない構造に
なり、全反射閉じ込め型導波路120の伝搬光の一部が
フォトニック結晶線欠陥導波路140の線欠陥部113
の脇の結晶表面に漏れることがないため、光結合損失が
向上する。
【0027】図4は、図3の導波路の変形例を示す。図
4においては、図1〜図3に示したと同一であるものに
は同一引用数字を用いたので、ここでは重複する説明を
省略する。図3においては、線欠陥部113と全反射閉
じ込め型導波路120の接続角は0°、即ち一直線であ
るが、図4に示すように、角度θを持たせることによ
り、図2と同様に、導波路の幅方向の波数分布が、全反
射閉じ込め型導波路120とフォトニック結晶線欠陥導
波路140で異なる場合、このように角度θを設けるこ
とにより、光結合効率が向上する場合がある。
【0028】ここで、本発明の第2の実施の形態に対応
した実施例について説明する。フォトニック結晶線欠陥
導波路140の母体材料(母体媒質)として誘電率1
1.4のシリコン(Si)を用い、三角格子(孔11
2)のピッチを0.7μm、孔112の直径を0.64
μmとした。このとき、線欠陥部113の幅は0.57
μmとした。全反射閉じ込め型導波路120の幅Wは、
線欠陥部113の幅と同一の0.57μmとした。
【0029】上記した各部の寸法のもとに、数値計算シ
ミュレーションを実施した。PBG内の角振動数を有す
る光に対して、フォトニック結晶線欠陥導波路140と
全反射閉じ込め型導波路120の結合損失として、0.
3dBが得られた。上記第1の実施の形態で得られた結
合損失0.5dBに対し、本実施の形態では結合損失が
0.2dB改善されていた。
【0030】図3において、全反射閉じ込め型導波路1
20とフォトニック結晶線欠陥導波路140の接続部
は、端面141の線欠陥部113以外の部分においてフ
ォトニック結晶の劈開面が露出した構造になっている。
これは図4においても同様である。このように、フォト
ニック結晶の劈開面が露出した構造は、機械的強度が弱
いことが問題になることがある。これを解決する構造に
ついて次に説明する。
【0031】図5は、本発明の第3の実施の形態を示
し、フォトニック結晶の劈開面の機械的強度を高めた導
波路となっている。図5の構造は、図1(又は図3)の
構造において、全反射閉じ込め型導波路120との接続
部以外のフォトニック結晶の周囲に孔112の無い、母
体媒質111のみの周辺保護部151,152を付加し
てフォトニック結晶線欠陥導波路150を形成してい
る。この周辺保護部151,152の機械的強度は、孔
の有るフォトニック結晶部分よりも高いので、フォトニ
ック結晶部分を破損から保護することができる。
【0032】更に、図5の構造には、図3の接続部の構
造よりも光結合損失を低減するための工夫が施されてい
る。図5のA−A’面から右側は、図3に示すフォトニ
ック結晶線欠陥導波路140と同じであるが、図5で
は、A−A’面、即ち、全反射閉じ込め型導波路120
とフォトニック結晶線欠陥導波路150が接続されてい
る位置を通る面よりも全反射閉じ込め型導波路120の
側(図5の左側)にもフォトニック結晶の孔153の複
数個を周辺保護部151,152の付け根部に設けてい
る。
【0033】このようにすると、全反射閉じ込め型導波
路120からの光は、線欠陥部113に入った後、線欠
陥部113の周囲に配列された孔112で回折され、線
欠陥部113の両側に配列された孔112を通り抜け、
全反射閉じ込め型導波路120の側の表面から放射して
いく光の割合が低減される。これにより、フォトニック
結晶線欠陥導波路150と全反射閉じ込め型導波路12
0の接続部の光結合損失を低減できる。
【0034】ここで、本発明の図5の構造に対応した実
施例について説明する。フォトニック結晶線欠陥導波路
150の母体材料(母体媒質)を誘電率11.4のシリ
コン(Si)、三角格子(孔112)のピッチを0.7
μm、孔112の直径を0.64μm、線欠陥3の幅を
0.57μmとした。上記した各部の寸法のもとに、数
値計算シミュレーションを実施した。その結果、結合損
失として0.2dBが得られた。これは、先に述べた本
発明の第2の実施の形態における結合損失0.3dBか
ら、更に、結合損失を0.1dB低減できたことにな
る。
【0035】図5においても、全反射閉じ込め導波路1
20をフォトニック結晶線欠陥導波路150に対して図
2又は図4に示したように、斜めに接続し、更に結合損
失を低減することができる。
【0036】上記各実施の形態においては、2次元フォ
トニック結晶について述べたが、本発明は、擬似的な2
次元フォトニック結晶であるスラブ型フォトニック結晶
にも適用できることは言うもまでもない。このとき、全
反射閉じこめ型導波路も有限の厚みを持つので、特にチ
ャネル導波路と呼ばれる。
【0037】図6は、スラブ型フォトニック結晶の構造
を示す。図中、60は母体媒質であり、61は孔、62
は劈開面を示す。この様な有限の厚みを有するフォトニ
ック結晶の場合でも、本発明による全反射閉じ込め型導
波路とフォトニック結晶線欠陥導波路の接続部の断面
は、2次元フォトニック結晶の場合と同じである。
【0038】また、上記実施の形態においては、三角格
子フォトニック結晶について述べたが、正方格子や長方
格子や斜方格子などのフォトニック結晶の格子の形態が
三角格子から微妙に異なる格子のフォトニック結晶につ
いても本発明を適用できることは明らかである。
【0039】さらに、フォトニック結晶線欠陥導波路の
線欠陥部は、一列のみの線欠陥としたが、2列以上の幅
の広い線欠陥についても本発明が適用できることは言う
までもない。また、上記各実施例においては、シリコン
(Si)を母体材料(母体媒質)として用いたが、他の
材料、特に、化合物半導体を用いてもよいことは言うま
でもない。
【0040】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の導波路に
よれば、フォトニック結晶線欠陥導波路に全反射閉じ込
め型導波路を接続して構成される導波路において、フォ
トニック結晶線欠陥導波路上に形成された線欠陥部と、
これに接続される全反射閉じ込め型導波路の幅を同一又
は略同一にしたため、フォトニック結晶線欠陥導波路と
全反射閉じ込め型導波路の接続部における反射に起因す
る結合損失が低減され、光結合効率を高めることが可能
になる。
【0041】また、本発明の他の導波路によれば、フォ
トニック結晶線欠陥導波路上に形成された線欠陥部と、
これに接続される全反射閉じ込め型導波路の幅を同一又
は略同一にし、フォトニック結晶線欠陥導波路と全反射
閉じ込め型導波路の接続部における反射に起因する結合
損失を低減した構造にしたため、光結合効率を高めるこ
とが可能になる。更に、フォトニック結晶線欠陥導波路
は、全反射閉じ込め型導波路を接続する側の側面に沿う
フォトニック結晶の一列が半円形に切断された構造にし
たため、線欠陥部の端面が幅方向に広がりを持たない構
造になり、フォトニック結晶表面への漏洩による損失を
低減できる。
【0042】さらに、本発明の他の導波路によれば、フ
ォトニック結晶線欠陥導波路上に形成された線欠陥部
と、これに接続される全反射閉じ込め型導波路の幅が同
一であるため、フォトニック結晶線欠陥導波路と全反射
閉じ込め型導波路の接続部における反射に起因する結合
損失が低減され、光結合効率を高めることが可能にな
る。更に、全反射閉じ込め型導波路の両側を埋めるよう
に保護部を形成したことにより、光結合損失が低減する
と同時に、接合部近傍のフォトニック結晶の機械的強度
を増すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の導波路の変形例を示す断面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す断面図であ
る。
【図4】図3の導波路の変形例を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す断面図であ
る。
【図6】スラブ型フォトニック結晶を示す斜視図であ
る。
【図7】2次元フォトニック結晶の構造例を示す断面図
である。
【図8】フォトニック結晶線欠陥導波路の一例を示す断
面図である。
【図9】全反射閉じ込め型導波路の構成を示す断面図で
ある。
【図10】従来の導波路を示す断面図である。
【符号の説明】
1 高誘電率媒質 2 フォトニック結晶の孔 3 2次元三角格子フォトニック結晶 4 線欠陥部 5 フォトニック結晶線欠陥導波路 10 全反射閉じ込め型導波路 100 導波路 110,140,150 フォトニック結晶線欠陥導波
路 111 母体媒質(高誘電率媒質) 112,112a,112b,153 孔 113 線欠陥部 120 全反射閉じ込め型導波路 130,141 端面 151,152 周辺保護部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高誘電率媒質内にフォトニック結晶によ
    る孔が所定のパターンで2つのグループに分けて配列さ
    れ、前記2つのグループの境界部には前記孔を有しない
    線欠陥部が形成されたフォトニック結晶線欠陥導波路
    と、 前記フォトニック結晶線欠陥導波路の前記線欠陥部の幅
    と同一又は略同一の幅を有して前記線欠陥部の端面に接
    続される全反射閉じ込め型導波路を備えることを特徴と
    する導波路。
  2. 【請求項2】 前記全反射閉じ込め型導波路は、前記線
    欠陥部と同一軸線上に配置して接続され、或いは、前記
    線欠陥部の軸線に対して角度をもって接続されているこ
    とを特徴とする請求項1記載の導波路。
  3. 【請求項3】 高誘電率媒質内にフォトニック結晶によ
    る孔が所定のパターンで2つのグループに分けて配列さ
    れ、前記2つのグループの境界部には前記孔を有しない
    線欠陥部が形成され、前記線欠陥部の一方の側面に沿っ
    て配設された前記孔の内の一列のそれぞれの孔が半円形
    をなすように切断加工されているフォトニック結晶線欠
    陥導波路と、 前記フォトニック結晶線欠陥導波路の前記線欠陥部の幅
    と同一又は略同一の幅を有して前記線欠陥部の端面に接
    続される全反射閉じ込め型導波路を備えることを特徴と
    する導波路。
  4. 【請求項4】 前記全反射閉じ込め型導波路は、前記線
    欠陥部と同一軸線上に配置して接続され、或いは、前記
    線欠陥部の軸線に対して角度をもって接続されているこ
    とを特徴とする請求項3記載の導波路。
  5. 【請求項5】 所定の幅と長さを有する全反射閉じ込め
    型導波路と、 高誘電率媒質内にフォトニック結晶による孔を所定のパ
    ターンで2つのグループに分けて配列され、前記全反射
    閉じ込め型導波路の幅と同一又は略同一な幅を有して前
    記孔を有しない線欠陥部が前記2つのグループの境界部
    に形成され、前記線欠陥部に前記全反射閉じ込め型導波
    路の一端が接続され、前記全反射閉じ込め型導波路の両
    側に前記高誘電率媒質を突出させて保護部が形成されて
    いるフォトニック結晶線欠陥導波路を備えることを特徴
    とする導波路。
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