JP2002363702A - 耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パーライト系レール - Google Patents

耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パーライト系レール

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重荷重鉄道で使用される高炭素含有のパーラ
イト組織のレールにおいて、柱部の偏析を軽減し、同時
に延性の低下を防止することにより、レール柱部の靭性
低下を防止し、レールの脆性破壊発生の危険性を低下さ
せ、レールの高寿命化を図る。 【解決手段】 質量%で、C:0.50〜1.40%を
含有する鋼レールであって、該鋼レールの頭部コーナー
部および頭頂部表面を起点として、少なくとも深さ30
mmの範囲がパーライト組織であり、かつ、前記パーラ
イト組織を呈する部分の圧延方向断面において、長径1
〜10μmのZrO2 介在物またはZrO 2 −MnS系
介在物が、被検面積100mm2 あたり10〜5000
個存在することを特徴とする耐摩耗性および延性に優れ
た低偏析性パーライト系レール。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重荷重鉄道のレー
ルに要求される耐摩耗性を向上させ、同時に、偏析を軽
減することにより、レール柱部の靱性低下を防止し、さ
らに、延性の向上を図ることを目的としたパーライト系
レールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】海外の重荷重鉄道では、鉄道輸送の高効
率化の手段として、列車速度の向上や列車積載重量の増
加が図られている。このような鉄道輸送の効率化はレー
ル使用環境の過酷化を意味し、レール材質の一層の改善
が要求されるに至っている。具体的には、曲線区間に敷
設されたレールでは、G.C.(ゲージ・コーナー)部
や頭側部の摩耗が急激に増加し、レールの使用寿命の点
で問題視されるようになった。
【0003】しかしながら、最近の高強度化熱処理技術
の進歩により、共析炭素鋼を用いた微細パーライト組織
を呈した下記に示すような高強度(高硬度)レールが発
明され、重荷重鉄道の曲線区間のレール寿命を飛躍的に
改善してきた。 頭部がソルバイト組織、または微細なパーライト組
織の超大荷重用の熱処理レール(特公昭54−2549
0号公報)。 圧延終了後、あるいは再加熱したレール頭部を、オ
ーステナイト域温度から850〜500℃間を1〜4℃
/secで加速冷却する130kgf/mm2 (1274MPa)
以上の高強度レールの製造法(特公昭63−23244
号公報)。
【0004】これらのレールの特徴は、共析炭素含有鋼
(炭素量:0.7〜0.8%)による微細パーライト組
織を呈する高強度レールであり、その目的はパーライト
組織中のラメラ間隔を微細化し、耐摩耗性を向上させる
ところにあった。しかし、近年海外の重荷重鉄道ではよ
り一層の鉄道輸送の高効率化のために、貨物の高積載化
を強力に進めており、特に急曲線のレールでは上記開発
のレールを用いてもG.C.部や頭側部の耐摩耗性が十
分確保できず、摩耗によるレール寿命の低下が問題とな
ってきた。このような背景から、現状の共析炭素鋼の高
強度レール以上の耐摩耗性を有するレールの開発が求め
られるようになってきた。
【0005】これらの問題を解決するため、本発明者ら
は下記に示すようなレールを開発した。 過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用い
て、パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を
増加させた耐摩耗性に優れたレール(特開平8−144
016号公報)。 過共析鋼(C:0.85超〜1.20%)を用い
て、パーライト組織中のラメラ中のセメンタイト密度を
増加させ、同時に硬さを制御した耐摩耗性に優れたレー
ル(特開平8−246100号公報)。 これらのレールの特徴は、鋼の炭素量を増加し、パーラ
イトラメラ中のセメタイト相の密度を増加させ、さらに
硬さを制御することにより、パーライト組織の耐摩耗性
を向上させるものであった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記、に示したパ
ーライト組織を呈する発明レールでは、高炭素化により
耐摩耗性の向上が図れる。しかし上記の発明レールは、
現行の共析炭素含有の高強度レールよりも炭素量が高い
ため、溶鋼の鋳造段階で、鋳片中心部に炭素や合金元素
が濃化した偏析帯が形成されやすい。特に、図1の斜線
部に示す圧延後のレール柱部では、偏析帯に沿って初析
セメンタイト組織が多量に生成し、特に柱部の靱性が大
きく低下するといった問題があった。また、高炭素化す
るとパーライト組織の延性が低下し、繰返し荷重を受け
るレール頭部や底部において、疲労き裂や微小な初期欠
陥が発生した場合、脆性破壊の発生する危険性が増加す
るといった問題があった。
【0007】このような背景から、高炭素含有のパーラ
イト組織のレールにおいて、偏析を軽減し、柱部の靭性
低下を防止し、同時に延性の低下を防止するレールの開
発が求められるようになってきた。すなわち本発明は、
重荷重鉄道で使用される高炭素含有のパーライト組織の
レールにおいて、偏析を軽減することにより、レール柱
部の靭性低下を防止し、さらに延性の低下を防止するこ
とにより、脆性破壊の発生に対する危険性を低下させる
ことを目的としたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するものであって、その要旨とするところは次の通りで
ある。 (1)質量%で、C:0.50〜1.40%を含有する
鋼レールであって、該鋼レールの頭部コーナー部および
頭頂部表面を起点として、少なくとも深さ30mmの範
囲がパーライト組織であり、かつ、前記パーライト組織
を呈する部分の圧延方向断面において、長径1〜10μ
mのZrO2 介在物またはZrO2 −MnS系介在物
が、被検面積100mm2 あたり10〜5000個存在
することを特徴とする耐摩耗性および延性に優れた低偏
析性パーライト系レール。 (2)上記レールは、さらに、長径1〜10μmのZr
2 介在物またはZrO2 −MnS系介在物のうち、Z
rO2 の表層にTiの炭化物、窒化物を有するものが、
被検面積100mm2 あたり5〜2500個存在させる
ことができる。 (3)上記レールは、さらに、長径1〜10μmのZr
2 −MnS系介在物のうち、MnSの表層にVの炭化
物、窒化物を有するものが、被検面積100mm 2 あた
り5〜2500個存在させることができる。 (4)上記レールは、さらに、長径10μm超の粗大Z
r系介在物の総数が、被検面積100mm2 あたり50
0個以下とすることができる。 (5)上記レールは、さらに、前記鋼レールの頭部コー
ナー部および頭頂部表面を起点として、少なくとも深さ
30mmの範囲が硬さHv320以上のパーライト組織
とすることができる。 (6)上記レールは、質量%でさらに、Zr:0.00
01〜0.2000%を含有し、残部がFeおよび不可
避的不純物とすることができる。 (7)上記レールは、質量%でさらに、C :0.85
超〜1.40%、Si:0.05〜2.00%、Mn:
0.05〜2.00%を含有し、残部がFeおよび不可
避的不純物とすることができる。 (8)また、上記(5)のレールには、質量%でさら
に、下記〜の成分を選択的に含有させることができ
る。 Ti:0.0050〜0.0500%、V :0.
005〜0.50%の1種または2種、 N :0.0050〜0.0500% Cr:0.01〜2.00%、 Mo:0.
01〜0.50%の1種または2種、 Nb:0.002〜0.050%、 B :0.0001〜0.0050%、の1種また
は2種、 Co:0.01〜2.00%、 Cu:0.
01〜1.00%の1種または2種、 Ni:0.01〜1.00%。 Mg:0.0005〜0.0300%、Ca:0.
0005〜0.0150%の1種または2種、 Al:0.0250〜3.00%を含有し、残部が
Feおよび不可避的不純物からなる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明について詳細に説明
する。本発明者らは、まず高炭素含有のパーライト組織
の鋼レールにおいて、レール柱部の偏析帯に沿って初析
セメンタイト組織が生成する原因を調査した。その結
果、溶鋼の鋳造段階で、鋳片中心部に炭素や合金元素が
濃化した偏析帯が形成され、これが熱間圧延後のレール
柱部に残存し、主に柱部偏析帯の炭素濃度が増加するこ
とにより、初析セメンタイト組織が生成することが確認
された。そこで、本発明者らは、この鋳片中心部に生成
する偏析帯の形成を防止する方法を検討した。その結
果、鋼片の凝固組織を微細化することにより、鋳片中心
部の偏析帯の形成が抑制され、レールの靱性に有害な初
析セメンタイト組織の生成が防止できることを確認し
た。
【0010】まず、本発明者らは鋼片の凝固組織を微細
化する方法を検討した。その結果、溶鋼が凝固する際に
凝固核となるものを添加し、凝固組織の等軸晶化率を高
めることが有効であることを確認した。さらに本発明者
らは、最適な凝固核を実験により検討した。その結果、
γ−Feが凝固初晶である高炭素(C>0.9mass%)
のレール鋼では、γ−Feとの格子整合性がよい凝固核
が最も有効であり、その中でもZrの酸化物(Zr
2)が極めて安定的に作用することを見いだした。
【0011】次に本発明者らは、高炭素化によるパーラ
イト組織の延性の低下を防止する方法を検討した。パー
ライト組織の延性を向上させるには、パーライト組織中
のフェライトの結晶方位が同じ領域であるパーライト組
織のブロックサイズを微細化する方法が知られている。
パーライト組織のブロックサイズを微細化する方法とし
ては、オーステナイト域からのパーライト変態時の変態
核を増す方法が有効であるが、この変態核として、凝固
核として作用するZrの酸化物(ZrO2 )の利用を検
討した。
【0012】ラボ圧延実験を行った結果、レール鋼片の
再加熱時に溶融したMnSが、その後の圧延冷却過程に
おいて、ある一定サイズの微細なZrの酸化物(ZrO
2 )の表面に再生成し、ZrO2 を核とする微細なMn
SやZrO2 と微細なMnSの複合体が生成し、MnS
の周囲のMnの希薄帯の焼入れ性の低下により、パーラ
イト組織の変態が促進され、パーライト組織のブロック
サイズの微細化により、延性が向上することを確認し
た。
【0013】さらに本発明者らは、高炭素のパーライト
鋼において、偏析帯の形成を防止し、同時に延性の向上
が可能な、ZrO2 介在物またはZrO2 を核とする微
細なMnS介在物や、ZrO2 と微細なMnSの複合体
介在物の最適な大きさと生成量について検討した。その
結果、ある被検面積において一定の大きさを有したZr
2 介在物またはZrO2 −MnS系介在物の存在量、
すなわちその数に最適な範囲があることが明らかとなっ
た。
【0014】次に本発明者らは、ZrO2 介在物または
ZrO2 −MnS系介在物のパーライト組織の変態核と
しての機能を調査した。その結果、MnSの周囲のMn
の希薄帯に加えて、ZrO2 介在物またはZrO2 −M
nS系介在物のZrO2 の表層にTiの炭化物や窒素物
が生成している介在物は、TiCやTiNがパーライト
組織の変態核として作用するため、ZrO2 −MnS系
介在物の生成によるMnSの希薄帯による変態核の作用
と相まって、パーライト変態の促進により、より一層パ
ーライトブロックサイズが微細化することが確認され
た。また、ZrO2 −MnS系介在物のMnSの表層に
Vの炭化物や窒素物が生成している介在物についても、
VCやVNがパーライト組織の変態核として作用するた
め、ZrO2 −MnS系介在物の生成によるMnSの希
薄帯による変態核の作用と相まって、パーライト変態の
促進により、より一層パーライトブロックサイズが微細
化することも確認された。
【0015】これらの検討に加え本発明者らは、Zrの
介在物を鋼中に分散させた場合のレールに対する有害性
を確認した。レールの転動疲労試験を行った結果、Zr
の介在物が分散した鋼ではレール頭部内部から疲労損傷
の発生し、レール使用寿命が低下することが確認され
た。そこでその原因を調査した結果、疲労損傷の起点部
には、ZrO2 やこれを核とするMnSの粗大Zr系介
在物が存在することが確認された。
【0016】次に本発明者らは、起点部に存在した粗大
Zr系介在物の形態について調査した。その結果、高炭
素含有のパーライト組織の鋼レールでは、粗大Zr系介
在物は、圧延方向断面では楕円または矩形の形状をして
おり、起点となった粗大Zr系介在物は、その長径があ
る一定長さを超えていることを確認した。
【0017】これらの知見に加えて本発明者らは、レー
ル鋼中のZr系介在物の大きさおよび量と内部疲労損傷
の発生の関係を確認した。その結果、粗大Zr系介在物
の長径がある一定長さを超えていても損傷は必しも発生
せず、損傷の発生の有無は、ある被検面積におけるZr
系介在物の存在量、すなわちその数に支配されているこ
とを見いだした。これらの実験室的な検討結果から、レ
ール頭部の疲労損傷を抑制するには、粗大Zr系介在物
の大きさと数の制御が必要であることを確認した。
【0018】以上の結果、高炭素含有のパーライト組織
の鋼レールにおいて、ある一定の大きさのZrO2 介在
物のまたはZrO2 −MnS系介在物の数をある一定範
囲に納めることにより、偏析による柱部の初析セメンタ
イト組織の生成を防止し、パーライト組織のブロックサ
イズを微細化し、耐摩耗性の向上に加えて、柱部の靭性
低下を防止し、さらに、延性が向上することを知見し
た。さらに、ZrO2 やこれを核とするMnSの粗大Z
r系介在物の大きさや数を制御することにより、耐内部
疲労損傷性も向上することを知見した。
【0019】すなわち本発明は、重荷重鉄道で使用され
る高炭素含有のパーライト組織の鋼レールにおいて、あ
る一定の大きさのZrO2 介在物またはZrO2 −Mn
S系介在物の数をある一定範囲に制御することにより、
偏析による柱部の初析セメンタイト組織の生成を防止
し、さらに、パーライト組織のブロックサイズを微細化
し、柱部の靭性低下の防止、パーライト組織の延性向上
を同時に達成することを目的としたものである。
【0020】次に、本発明の限定理由について詳細に説
明する。 (1)鋼レール中のZrO2 介在物またはZrO2 −M
nS系介在物の長径および総数の規定:まず、長径1〜
10μmのZrO2 介在物またはZrO2 −MnS系介
在物の総数を、被検面積100mm2 あたり10〜50
00個の範囲に限定した理由を説明する。ZrO2 介在
物またはZrO2 −MnS系介在物の総数が被検面積1
00mm 2 あたり10個未満になると、凝固核としての
効果が減少し、凝固組織の等軸晶化率を高めることが困
難となる。その結果、偏析帯の形成が抑制されず、レー
ルの靱性に有害な初析セメンタイト組織の生成の防止が
困難となる。さらに、変態核としての効果が減少し、パ
ーライト組織のブロックサイズが微細化せず、延性の向
上が図れない。また、ZrO2 介在物またはZrO2
MnS系介在物の総数が被検面積100mm2 あたり5
000個を超えると、鋳造時において介在物に起因した
ヘゲ疵等が発生し、レールの表面疵の発生を誘発する。
さらに、鋼の塑性変形能が低下し、パーライト組織の延
性が低下する。このため、長径1〜10μmのZrO2
介在物またはZrO2 −MnS系介在物の総数を被検面
積100mm2 あたり10〜5000個に限定した。
【0021】次に、ZrO2 介在物またはZrO2 −M
nS系介在物の長径を、1〜10μmの範囲に限定した
理由を説明する。ZrO2 介在物またはZrO2 −Mn
S系介在物の長径が1μm未満になると、γ−Feの凝
固核として働きが低下し、凝固組織の等軸晶化率を高め
ることが困難となる。その結果、偏析帯の形成が抑制さ
れず、レールの靱性に有害な初析セメンタイト組織の生
成の防止が困難となる。さらに、変態核としての働きが
低下し、パーライト組織のブロックサイズが微細化せ
ず、延性の向上が図れない。また、ZrO2 介在物また
はZrO2 −MnS系介在物の長径が10μmを超える
と、鋳造時に介在物を起点としたヘゲ疵が発生しやす
く、レールの表面疵の発生を誘発する。このため、Zr
2 介在物またはZrO2 −MnS系介在物の長径を1
〜10μmの範囲に限定した。
【0022】(2)長径1〜10μmのZrO2 介在物
およびZrO2 −MnS系介在物のうち、ZrO2 の表
層にTiの炭化物、窒化物を有する介在物の個数の規
定:長径1〜10μmのZrO2 介在物およびZrO2
−MnS系介在物のうち、ZrO2 の表層にTiの炭化
物、窒化物を有するものを被検面積100mm2 あたり
5〜2500個に限定した理由を説明する。ZrO2
表層にTiの炭化物や窒素物が生成すると、ZrO2
体がパーライト組織の変態核として作用し、ZrO2
らのパーライト変態が促進され、ZrO2 −MnS系介
在物の生成によるMnSの希薄帯による変態核の作用と
相まって、パーライト組織のブロックサイズの微細化に
より、延性がさらに向上する。
【0023】しかし、ZrO2 の表層にTiの炭化物や
窒素物が生成した介在物の総数が被検面積100mm2
あたり5個未満になると、Tiの炭化物や窒素物による
パーライト変態核としての作用が低下し、Tiの炭化物
や窒素物によるパーライト組織の延性改善効果はほとん
ど見られなくなる。また、ZrO2 の表層にTiの炭化
物や窒素物が生成した介在物の総数が被検面積100m
2 あたり2500個を超えると、硬質なTiCやTi
Nの密度が増加し、パーライト組織自体の延性が低下
し、延性の改善が図れない。このため、長径1〜10μ
mのZrO2 介在物およびZrO2 −MnS系介在物に
おいて、ZrO2 の表層にTiの炭化物、窒化物を有す
る介在物の総数を被検面積100mm2 あたり5〜25
00個に限定した。
【0024】(3)長径1〜10μmのZrO2 −Mn
S系介在物のうち、ZrO2 の表層にVの炭化物、窒化
物を有する介在物の個数の規定:長径1〜10μmのZ
rO2 −MnS系介在物のうち、MnSの表層にVの炭
化物、窒化物を有するものを被検面積100mm2 あた
り5〜2500個に限定した理由を説明する。MnSの
表層にVの炭化物や窒素物が生成すると、Vの炭化物や
窒素物がパーライト組織の変態核として作用し、ZrO
2 −MnS系介在物の生成によるMnSの希薄帯による
変態核の作用と相まって、パーライト組織のブロックサ
イズの微細化により、延性がさらに向上する。
【0025】しかし、MnSの表層にVの炭化物や窒素
物が生成した介在物の総数が被検面積100mm2 あた
り5個未満になると、Vの炭化物や窒素物によるパーラ
イト変態核としての作用が低下し、パーライト組織の延
性改善効果はほとんど見られなくなる。また、MnSの
表層にVの炭化物や窒素物が生成した介在物の総数が被
検面積100mm2 あたり2500個を超えると、Vの
炭化物や窒素物によるパーライト組織の延性改善効果が
飽和することや、析出物であるVCやVNの密度が増加
し、パーライト組織自体の延性が低下し、延性の改善が
図れない。このため、長径1〜10μmのZrO2 −M
nS系介在物において、MnSの表層にVの炭化物、窒
化物を有する介在物の総数を被検面積100mm2 あた
り5〜2500個に限定した。
【0026】ここで、上記のZrO2 介在物またはZr
2 −MnS系介在物の形態を図2(a)〜(c)に模
式的に示す。図2(a)はZrO2 介在物の例、図2
(b)はZrO2 を核にしたMnS介在物の例、図2
(c)はZrO2 とMnSの複合体介在物の例である。
ZrO2 含む介在物は様々な形態をとり得る。いずれの
ZrO2 を含む介在物においても働きには大きさ差は認
められず、凝固核、パーライト組織の変態核としての十
分な機能を有している。
【0027】また、図3(a)〜(c)は、ZrO2
MnS系介在物において、Ti,Vの炭化物、窒化物が
生成した介在物を形態を模式的に示したものである。図
3(a)はZrO2 の表層にTiの炭化物や窒素物が生
成した例、図3(b)はMnSの表層にVの炭化物や窒
素物が生成した例、図3(c)はZrO2 −MnS系介
在物において、ZrO2 の表層にTiの炭化物や窒素物
が生成し、MnSの表層にVの炭化物や窒素物が生成し
た例である。Ti,Vの炭化物および窒化物は様々な生
成形態をとり得る。いずれの生成形態においても働きに
は大きさ差は認められず、パーライト組織の変態核とし
ての十分な機能を有している。また、本図には示してい
ないが、Tiの炭化物や窒素物はZrO2 介在物にも生
成し、変態核として作用する場合もある。
【0028】(4)粗大Zr系介在物の大きさおよびそ
の総数の規定:まず、粗大Zr系介在物の長径を10μ
m超に限定した理由を説明する。Zr系介在物は、圧延
方向断面では楕円または矩形の形状をしている。内部疲
労損傷の起点となったZr系介在物を調査した結果、そ
の長径が10μm超であった。したがって、粗大Zr系
介在物の長径を10μm超に限定した。
【0029】次に、長径10μm超の粗大Zr系介在物
の総数を、被検面積100mm2 あたり500個以下に
限定した理由を説明する。長径10μm超の粗大Zr系
介在物の総数が500個を超えると、調査したほとんど
のレールにおいて頭部内部から疲労損傷が発生してお
り、レールの使用寿命が著しく低下する。このため、被
検面積100mm2 あたりの粗大Zr系介在物の総数を
500個以下に限定した。
【0030】ここで、上記の粗大ZrO2 系介在物の形
態を図3(a)〜(b)に模式的に示す。図3(a)は
ZrO2 の例、図3(b)はZrO2 とMnSの複合体
の例である。粗大Zr系介在物とは、主に、単体の楕円
状のZrO2 とZrO2 を核としたMnSの複合体であ
り、ZrO2 やMnSには、TiやVの炭化物および窒
化物が生成する場合もある。なお、これらのZrO2
ZrO2 −MnS系介在物または粗大Zr系介在物は、
光学顕微鏡や走査型顕微鏡で大きさやその数を測定し、
X線等による分析において、それぞれの介在物の詳細な
形態を確認することが可能である。また、長径とは介在
物の最大直径を示すものである。
【0031】また、これらのZrO2 、ZrO2 −Mn
S系介在物または粗大Zr系介在物の大きさやその数を
上記限定範囲内に制御するには、溶鋼中の酸素量をあ
る一定の範囲内に収め、Zr系介在物の生成を抑制す
る。精錬時に不活性ガス等で溶鋼をバブリングし、鋼
中に生成した粗大なZr系介在物をスラグ中に浮上させ
除去する方法、これらの方法の組み合わせ技術を適用す
ることが望ましい。
【0032】(5)ZrO2 介在物、ZrO2 −MnS
系介在物または粗大Zr系介在物の長径および総数を規
定したパーライト組織の呈する範囲およびその硬さ:ま
ず、Zrを含む上記の介在物の長径や総数を制御したパ
ーライト組織が呈する範囲を、頭部コーナー部および頭
頂部の該頭部表面を起点として深さ30mmの範囲に限
定した理由について説明する。この範囲が30mm未満
では、レール頭部の耐摩耗性や延性を必要とされている
領域としては小さく、十分な耐摩耗性や延性の改善効果
が得られないためである。また、Zrを含む上記の介在
物の長径や総数を制御したパーライト組織を呈する範囲
が、頭部コーナー部および頭頂部の該頭部表面を起点と
して、深さ40mm以上であれば、耐摩耗性や延性の改
善効果がさらに増し、より望ましい。
【0033】次に、頭部コーナー部および頭頂部の該頭
部表面を起点として深さ30mmの範囲のZrを含む上
記介在物の長径や総数を制御したパーライト組織の硬さ
を、Hv320以上に限定した理由について説明する。
本成分系では硬さがHv320未満になると、レールの
使用環境が過酷な場合はレール頭部の摩耗が著しく進行
し、さらに、場合によっては塑性変形起因の表面損傷が
発生する。さらに、粗大Zr系介在物の数を制御して
も、レール頭部内部から疲労損傷が発生しやすくなり、
重荷重鉄道で要求されている耐摩耗性、耐表面損傷性、
耐内部疲労損傷性を十分に確保することが困難となるた
め、パーライト組織の硬さをHv320以上に限定し
た。
【0034】ここで、図4に本発明のZrO2 介在物、
ZrO2 −MnS系介在物または粗大Zr系介在物の長
径や総数を制御したパーライト系レールの頭部断面表面
位置での呼称、および耐摩耗性と延性が必要とされる領
域を示す。レール頭部において1は頭頂部、2は頭部コ
ーナー部であり、頭部コーナー部2の一方は車輪と主に
接触するゲージコーナー(G.C.)部である。上記パ
ーライト組織は少なくとも図中の斜線内に配置されてい
れば、レールの耐摩耗性や延性の改善が可能となる。
【0035】さらに、図中の斜線内のパーライト組織の
硬さがHv320以上であれば、特に、重荷重鉄道で要
求されている耐摩耗性、耐表面損傷性、耐内部疲労損傷
性を十分に確保することが可能となる。したがって、Z
rO2 介在物、ZrO2 −MnS系介在物または粗大Z
r系介在物の長径や総数を制御したパーライト組織は、
車輪とレールが主に接するレール頭部表面近傍に配置す
ることが望ましく、それ以外の部分はパーライト組織以
外の金属組織であってもよい。
【0036】本発明レールの金属組織は、上記限定のよ
うなパーライト組織であることが望ましい。しかし、レ
ールの成分系や熱処理製造方法によっては、上記のZr
を含む介在物を添加したレールにおいても、レール柱
部、頭表部、頭部内部のパーライト組織中に、微量な初
析フェライト組織、初析セメンタイト組織、ベイナイト
組織やマルテンサイト組織が混入することがある。しか
し、これらの組織が混入しても、レールの耐摩耗性、靭
性、耐内部疲労損傷性等には大きな悪影響を及ぼさない
ため、耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パーライト
系レールの組織としては、若干の初析フェライト組織、
初析セメンタイト組織、ベイナイト組織、マルテンサイ
ト組織の混在も含んでいる。
【0037】(6)鋼レールの化学成分:まず、本発明
において鋼レールの化学成分を上記のように限定した理
由について説明する。Cは、パーライト変態を促進させ
て、かつセメンタイト相の密度を向上させ、耐摩耗性を
確保する元素である。しかしC量が0.50%未満で
は、パーライト組織中の初析フェライト組織が生成し、
レールに必要とされている最低限の強度を確保すること
が困難となり、レールとしての効能を損なう。また、セ
メンタイト相の密度の向上により確耐摩耗性をより一層
向上させ、延性の向上や柱部偏析帯の改善などのZr系
の介在物の効果を最も引き出すには、C量を0.85%
超とすることが望ましい。またC量が1.40%を超え
ると、ある一定の大きさのZrの介在物を数を制御した
鋼においても、レール柱部に加えて、頭表部や頭部内部
のパーライト組織中に初析セメンタイト組織が生成し、
レールの靭性が低下することや、頭部に内部疲労損傷が
発生しやすくなる。さらに、パーライト組織中のセメン
タイト相の密度が増加し、レールに必要とされる延性を
十分に確保できなくなるため、C量を0.85超〜1.
40%に限定した。
【0038】Zrは、ZrO2 介在物がγ−Feとの格
子整合性が良いため、γ−Feが凝固初晶である高炭素
レール鋼の凝固核となり、凝固組織の等軸晶化率を高め
ることにより鋳片中心部の偏析帯の形成を抑制し、レー
ルの靭性に有害な初析セメンタイト組織の生成を抑制す
る元素である。また、ZrO2 −MnS系介在物やZr
2 −MnS系介在物のMnSの表層にVの炭化物や窒
素物が生成している介在物、さらに、ZrO2 介在物ま
たはZrO2 −MnS系介在物のZrO2 の表層にTi
の炭化物や窒素物が生成している介在物がパーライト組
織の変態核として作用し、パーライト組織のブロックサ
イズを微細化し、延性を向上させる元素である。
【0039】しかし、Zr量が0.0001%未満で
は、ある一定の大きさを有するZrO 2 介在物の数が少
なく、凝固組織の等軸晶化率が低下し、初析セメンタイ
ト組織の生成によりレール柱部の靭性が低下する。ま
た、ある一定の大きさを有するZrO2 介在物、ZrO
2 −MnS系介在物、上記の様々な析出物が生成してい
るZrO2 −MnS系介在物の数が少なく、変態核とし
て十分な作用を示さない。その結果、パーライト組織の
ブロックサイズが微細化せず、パーライト組織の延性が
向上しない。また、Zr量が0.2000%を超える
と、粗大Zr系介在物が多量に生成し、レールの延性が
低下することや、粗大Zr系介在物を起点とした内部疲
労損傷が発生しやすくなり、レールの使用寿命が低下す
る。このため、Zr量を0.0001〜0.2000%
に限定した。
【0040】なお、ある一定の大きさを有するZrO2
介在物、ZrO2 −MnS系介在物、上記の様々な析出
物が生成しているZrO2 −MnS系介在物の数を確保
し、レールの延性の向上、偏析の低減を図り、さらに、
粗大Zr系介在物の生成の抑制より、内部疲労損傷の発
生を防止するには、Zr添加量0.0010〜0.01
00%の範囲とすることが最も望ましい。また、延性の
向上や柱部偏析帯の改善などのZr系の介在物の効果を
最も引き出すには、C量は高い方が望ましい。特に、C
量を0.85%超にすると、最もZr系の介在物の効果
が現れる。
【0041】Siは、パーライト組織中のフェライト相
への固溶体硬化によりレール頭部の硬度(強度)を上昇
させる元素であり、同時に初析セメンタイト組織の生成
を抑制し、レールの硬度や靭性を向上させる元素であ
る。しかし、0.05%未満ではその効果が十分に期待
できず、硬度や靭性の向上が認められない。また、2.
00%を超えると、熱間圧延時に表面疵が多く生成する
ことや、酸化物の生成により溶接性が低下する。さら
に、パーライト組織自体が脆化し、レールの延性が低下
するばかりでなく、スポーリング等の表面損傷が発生し
レールの使用寿命が低下する。このため、Si量を0.
05〜2.00%に限定した。
【0042】Mnは、焼き入れ性を高め、パーライトラ
メラ間隔を微細化することにより、パーライト組織の硬
度を確保し、耐摩耗性を向上させる元素である。しか
し、0.05%未満の含有量ではその効果が小さく、レ
ールに必要とされる耐摩耗性の確保が困難となる。また
2.00%を超えると、焼入性が著しく増加し、耐摩耗
性や延性に有害なマルテンサイト組織が生成し易くなる
ことや、ある一定の大きさのZrO2 介在物の数を制御
した鋼においても偏析が助長され、柱部などに初析セメ
ンタイト組織が生成し、レールの靭性が低下する。この
ためMn量を0.05〜2.00%に限定した。
【0043】また、上記の成分組成で製造されるレール
は、パーライト組織の強化による耐摩耗性の向上、初析
セメンタイト組織の生成抑制による靭性低下の防止、溶
接部熱影響部の軟化や脆化を防止、パーライト組織の延
性や靭性の向上、パーライト組織の強化と初析セメンタ
イトの生成の防止を図る目的で、Ti,V,N,Cr,
Mo,Nb,B,Co,Cu,Ni,Mg,Ca,Al
の元素を必要に応じて添加する。
【0044】ここで、Tiは、ZrO2 の表層にTiの
炭化物、窒化物を形成し、ZrO2がパーライト組織の
変態核として作用しすることにより、パーライト組織の
ブロックサイズを微細化し、レールの延性を向上させ
る。さらに、レール溶接時にオーステナイト域まで加熱
される熱影響部の組織を微細化し、溶接継ぎ手部の脆化
を防止する。
【0045】Vは、ZrO2 −MnS系介在物のMnS
の表層にVの炭化物、窒化物を形成し、Vの炭化物、窒
化物がパーライト組織の変態核として作用しすることに
より、パーライト組織のブロックサイズを微細化し、レ
ールの延性や靭性を向上させる。さらに、熱間圧延やそ
の後の冷却課程で生成した炭化物や窒化物により、オー
ステナイト粒の成長を抑制し、同時に、析出硬化により
パーライト組織の硬度を高め、パーライト組織の延性と
硬度を向上させる。また、再加熱時に炭化物や窒化物を
安定的に生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止す
る。
【0046】Nは、ZrO2 −MnS系介在物のMnS
の表層において、Vの窒化物の生成を促進させ、パーラ
イト組織のブロックサイズをさらに微細化し、レールの
延性を向上させる。Cr,Moは、パーライトの平衡変
態点を上昇させ、主にパーライトラメラ間隔を微細化す
ることによりパーライト組織の硬度を確保し、耐摩耗性
の向上を図る。Nbは、熱間圧延やその後の冷却課程で
生成した炭化物や窒化物により、オーステナイト粒の成
長を抑制し、さらに析出硬化によりパーライト組織の硬
度を高め、パーライト組織の靭性と硬度を向上させる。
また再加熱時に炭化物や窒化物を安定的に生成させ、溶
接継ぎ手熱影響部の軟化を防止する。
【0047】またBは、鉄炭ほう化物を生成し、初析セ
メンタイトの生成を抑制し、さらにパーライト変態を促
進させ、頭部の硬度分布を均一にし、レールの靭性低下
の抑制と高寿命化を図る。Co,Cuは、主に基地フェ
ライトの固溶強化により耐摩耗性の向上を図る。Ni
は、主に基地フェライトの固溶強化により耐摩耗性の向
上を図り、またレール溶接熱時の熱影響部の軟化抵抗を
高める。Tiは、レール溶接熱時にオーステナイト域ま
で加熱される熱影響部の組織を微細化し、溶接継ぎ手部
の脆化を防止する。
【0048】Mg,Caは、微細な酸化物や硫化物の生
成させることにより、MnSを微細分散させ、パーライ
ト変態の促進とパーライトブロックサイズの微細化によ
り、レールの延性を向上させる。Alは、共析変態温度
を高温側へ、同時に共析炭素濃度を高炭素側へ移動さ
せ、パーライト組織の高硬度(強度)化と初析セメンタ
イトの生成を抑制し、レールの耐摩耗性の向上と靭性低
下の防止を図ることが主な添加目的である。
【0049】それらの成分の個々について、以下に詳細
に説明する。Tiは、ZrO2 の表層にTiの炭化物、
窒化物を形成し、ZrO2 がパーライト組織の変態核と
して作用しすることにより、パーライト組織のブロック
サイズを微細化し、レールの延性を向上させる。さら
に、溶接時の再加熱においてTiの炭化物、Tiの窒化
物が溶解しないことを利用して、オーステナイト域まで
加熱される熱影響部の組織の微細化を図り、溶接継ぎ手
部の脆化を防止するのに有効な成分である。しかし、
0.0050%未満ではその効果が少なく、0.050
0%を超えて添加すると、粗大なTiCやTiNが生成
して、レールの靭性が低下することや、硬質なTiの炭
化物やTiの窒化物の密度が増加し、パーライト組織自
体の延性が低下し、延性の改善が図れない。このためT
i量を0.0050〜0.050%に限定した。
【0050】Vは、ZrO2 −MnS系介在物のMnS
の表層にVの炭化物、窒化物を形成し、Vの炭化物、窒
化物がパーライト組織の変態核として作用しすることに
より、パーライト組織のブロックサイズを微細化し、レ
ールの延性や靭性を向上させる。さらに、高温度に加熱
する熱処理が行われる場合に、Vの炭化物やVの窒化物
のピニング効果により、オーステナイト粒を微細化し、
パーライト組織の延性を向上させ、同時に、熱間圧延時
の冷却課程で生成したV炭化物、V窒化物による析出硬
化でパーライト組織の硬度(強度)を高め、パーライト
組織の延性と硬度を向上させるのに有効な元素である。
これに加えて、Ac1 点以下の温度域に再加熱された熱
影響部において、比較的高温度域でV炭化物やV窒化物
を生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止するのに
有効な元素である。しかし、0.005%未満ではその
効果が十分に期待できず、パーライト組織の延性や硬度
の向上は認められない。また、0.50%を超えて添加
すると、粗大なVの炭化物やVの窒化物が生成し、レー
ルの靭性や耐内部疲労損傷性が低下する。さらに、Vの
炭化物やVの窒化物の密度が増加し、パーライト組織自
体の延性が低下し、延性の改善が図れない。このためV
量を0.005〜0.50%に限定した。
【0051】Nは、ZrO2 −MnS系介在物のMnS
の表層において、Vの窒化物の生成を促進させ、パーラ
イト組織のブロックサイズをさらに微細化し、レールの
延性を向上させる元素である。しかし、0.005%未
満ではその効果が十分に期待できず、Vの窒化物の生成
の促進が図れない。また0.050%を超えて添加する
と、溶鋼中にブローホールなどの欠陥が生成して疲労損
傷の起点となり、レール使用寿命を低下させる。このた
めN量を0.005〜0.050%に限定した。
【0052】Crは、パーライトの平衡変態点を上昇さ
せ、結果としてパーライト組織を微細にして高硬度(強
度)化に寄与すると同時に、パーライト組織中のセメン
タイト相を強化することによって耐摩耗性を向上させる
元素であるが、0.01%未満ではその効果が小さく、
2.00%を超える過剰な添加を行うと、マルテンサイ
ト組織が多量に生成してレールの耐摩耗性や靭性を低下
させるため、Cr量を0.01〜2.00%に限定し
た。
【0053】Moは、Cr同様にパーライトの平衡変態
点を上昇させ、パーライトラメラ間隔を微細化すること
により、パーライト組織の高硬度(強度)化に寄与し、
耐摩耗性を向上させる元素であるが、0.01%未満で
はその効果が小さく、0.50%を超える過剰な添加を
行うと、ある一定の大きさのZrの介在物を数を制御し
た鋼においても偏析が助長され、さらに、パーライト変
態速度が低下し、柱部などにマルテンサイト組織が生成
してレールの靭性が低下するため、Mo量を0.01〜
0.50%に限定した。
【0054】Nbは、Vと同様に、高温度に加熱する熱
処理が行われる場合に、Nbの炭化物やNbの窒化物の
ピニング効果により、オーステナイト粒を微細化し、同
時に、熱間圧延時の冷却課程で生成したNbの炭化物、
Nbの窒化物による析出硬化でパーライト組織の硬度
(強度)を高め、パーライト組織の延性と硬度を向上さ
せるのに有効な元素である。これに加えて、Ac1 点以
下の温度域に再加熱された熱影響部において、低温度域
から高温度域までNbの炭化物やNb窒化物を安定的に
生成させ、溶接継ぎ手熱影響部の軟化を防止するのに有
効な元素である。しかしその効果は、0.002%未満
では期待できず、パーライト組織の硬度の向上や靭性の
改善は認められない。また0.050%を超える添加す
ると、粗大なNbの炭化物やNbの窒化物が生成し、レ
ールの靭性や耐内部疲労損傷性が低下する。このためN
b量を0.002〜0.050%に限定した。
【0055】Bは、鉄炭ほう化物を形成し、初析セメン
タイトの生成を抑制し、同時にパーライト変態温度の冷
却速度依存性を低減させ、頭部の硬度分布を均一にし、
レールの靭性低下を防止し、高寿命化を図る元素である
が、0.0001%未満ではその効果は十分でなく、レ
ール頭部の硬度分布には改善が認められない。また0.
0050%を超えて添加すると、粗大な鉄の炭ほう化物
が生成し、延性や靭性、さらには耐内部疲労損傷性が大
きく低下することから、B量を0.0001〜0.00
50%に限定した。
【0056】Coは、パーライト組織中のフェライトに
固溶し、固溶強化によりパーライト組織の硬度(強度)
を向上させる元素であり、さらに、パーライトの変態エ
ネルギーを増加させて、パーライト組織を微細にするこ
とにより靭性を向上させる元素であるが、0.01%未
満ではその効果が期待できない。また2.00%を超え
て添加すると、フェライト相の延性が著しく低下し、衝
撃値が低下し、レールの靭性向上が図れない。このため
Co量を0.01〜1.00%に限定した。
【0057】Cuは、パーライト組織中のフェライトに
固溶し、固溶強化によりパーライト組織の硬度(強度)
を向上させる元素であるが、0.01%未満ではその効
果が期待できない。また1.00%を超えて添加する
と、著しい焼入れ性向上により靭性に有害なマルテンサ
イト組織が生成しやすくなる。さらに、フェライト相の
延性が著しく低下し、レールの延性が向上しない。この
ためCu量を0.01〜1.00%に限定した。
【0058】Niは、パーライト鋼の靭性を向上させ、
同時にフェライトへの固溶強化によりパーライト鋼の高
硬度(強度)化を図る元素である。さらに、溶接熱影響
部においては、Tiと複合でNi3 Tiの金属間化合物
が微細に析出し、析出強化により軟化を抑制する元素で
あるが、0.01%未満ではその効果が著しく小さく、
また1.00%を超えて添加すると、フェライト相の延
性が著しく低下し、レールの延性が向上しない。このた
めNi量を0.01〜1.00%に限定した。
【0059】Mgは、O、またはSやAl等と結合して
微細な酸化物を形成し、レール圧延時の再加熱において
結晶粒の粒成長を抑制し、オーステナイト粒の微細化を
図り、パーライト組織の延性を向上させるのに有効な元
素である。さらに、MgO,MgSがMnSを微細に分
散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、パーラ
イト変態の生成に寄与する。その結果、パーライトブロ
ックサイズを微細化することにより、パーライト組織の
延性を向上させるのに有効な元素である。しかし、0.
0005%未満ではその効果は弱く、0.0300%を
超えて添加するとMgの粗大酸化物が生成し、レールの
延性、さらには耐内部疲労損傷性を低下させるため、M
g量を0.0005〜0.0300%に限定した。
【0060】Caは、Sとの結合力が強く、CaSとし
て硫化物を形成し、さらに、CaSがMnSを微細に分
散させ、MnSの周囲にMnの希薄帯を形成し、パーラ
イト変態の生成に寄与し、その結果、パーライトブロッ
クサイズを微細化することにより、パーライト組織の延
性を向上させるのに有効な元素である。しかし、0.0
005%未満ではその効果は弱く、0.0150%を超
えて添加すると、Caの粗大酸化物が生成し、レールの
延性、さらには耐内部疲労損傷性を低下させるため、C
a量を0.0005〜0.0150%に限定した。
【0061】Alは、脱酸材として必須の成分である。
また、共析変態温度を高温側へ、同時に共析炭素濃度を
高炭素側へそれぞれ移動させる元素であり、パーライト
組織の高強度化と、初析セメンタイト組織の生成抑制に
より、靭性低下を防止する元素であるが、0.0250
%未満ではその効果が弱く、3.00%を超えて添加す
ると、鋼中に固溶させることが困難となり、疲労損傷の
起点となる粗大なアルミナ系介在物が生成し、レールの
延性、さらには耐内部疲労損傷性が低下する。また溶接
時に酸化物が生成し、溶接性が著しく低下するため、A
l量を0.0250〜3.00%に限定した。
【0062】上記のような成分組成で構成されるレール
鋼は、転炉、電気炉などの通常使用される溶解炉で溶製
を行い、この溶鋼を造塊・分塊法あるいは連続鋳造法、
さらに熱間圧延を経てレールとして製造される。次に、
この熱間圧延した高温度の熱を保有するレール、あるい
は熱処理する目的で高温に再加熱されたレール頭部に熱
処理を施すことにより、レール頭部に硬さの高いパーラ
イト組織を安定的に生成させることが可能となる。
【0063】
【実施例】次に、本発明の実施例について説明する。表
1(表1−1)、表2(表1−2)に、本発明レール鋼
の化学成分、ミクロ組織(頭部、柱部)、長径1〜10
μmのZrO2 介在物またはZrO2 −MnS系介在物
の総数、長径1〜10μmのZrO2 介在物およびZr
2 −MnS系介在物のうち、ZrO2 の表層にTiの
炭化物、窒化物を有する介在物の総数、長径1〜10μ
mのZrO2 −MnS系介在物のうち、ZrO2 の表層
にVの炭化物、窒化物を有する介在物の総数、長径10
μm超の粗大Zr系介在物の総数、およびレール頭部の
硬さを示す。また同表には、図5に示す強制冷却条件下
における西原式摩耗試験での70万回繰り返し後のレー
ル頭部材料の摩耗量、頭部引張試験結果の全伸びの値、
柱部衝撃試験結果、図6に示す転動疲労試験結果も併記
した。
【0064】表3(表2−1)、表4(表2−2)に、
比較レール鋼の化学成分、ミクロ組織(頭部、柱部)、
長径1〜10μmのZrO2 介在物またはZrO2 −M
nS系介在物の総数、長径1〜10μmのZrO2 介在
物およびZrO2 −MnS系介在物のうち、ZrO2
表層にTiの炭化物、窒化物を有する介在物の総数、長
径1〜10μmのZrO2 −MnS系介在物のうち、Z
rO2 の表層にVの炭化物、窒化物を有する介在物の総
数、長径10μm超の粗大Zr系介在物の総数、および
レール頭部の硬さを示す。また同表には、図5に示す強
制冷却条件下における西原式摩耗試験での70万回繰り
返し後のレール頭部材料の摩耗量、頭部引張試験結果の
全伸びの値、柱部衝撃試験結果、図6に示す転動疲労試
験結果も併記した。
【0065】なお、レールの構成は以下のとおりであ
る。 ・本発明レール鋼(21本) 符号A1〜U1 上記成分範囲内で、鋼レールの頭部コーナー部および頭
頂部表面を起点として、少なくとも深さ30mmの範囲
がパーライト組織であり、かつ、前記パーライト組織を
呈する部分の圧延方向断面において、長径1〜10μm
のZrO2 介在物またはZrO2 −MnS系介在物が、
被検面積100mm2 あたり10〜5000個存在する
ことを特徴とする耐摩耗性および延性に優れた低偏析性
パーライト系レール。 ・比較レール鋼(11本) 符号A2〜K2 符号A2〜D2:C,Zr,SiおよびMnの添加量が
上記請求範囲外の比較レール鋼(4本)。 符号E2〜H2:化学成分が上記請求範囲内で、被検面
積100mm2 あたり、長径1〜10μmのZrO2
在物またはZrO2 −MnS系介在物の総数が上記請求
範囲外の比較レール鋼(4本)。 符号I2〜K2:化学成分が上記請求範囲内で、被検面
積100mm2 あたり、粗大Zr系介在物の総数が上記
請求範囲外の比較レール鋼(3本)。
【0066】ここで、本明細書中の図について説明す
る。図1は偏析帯に沿って初析セメンタイト組織が生成
する領域を示したものである。図2(a)〜(c)は、
ZrO2 介在物またはZrO2 −MnS系介在物の形態
を模式的に示したものである。図3(a)〜(c)は、
ZrO2 −MnS系介在物において、Ti,Vの炭化
物、窒化物が生成した介在物の形態を模式的に示したも
のである。また図4は、ZrO2 介在物、ZrO2 −M
nS系介在物または粗大Zr系介在物の長径および総数
を規定したパーライト組織が必要とされる領域を示した
ものである。
【0067】また図5は、西原式摩耗試験機の概略を示
したものである。図6は転動疲労試験機の概要を示した
ものである。図7は、表1(表1−1),表2(表1−
2)と表3(表2−1),表4(表2−2)に示すミク
ロ組織観察位置、頭部硬さ測定位置、引張試験位置を図
示したものである。図8は、表1〜表4に示す摩耗試験
における試験片採取位置を図示したものである。図9
は、表1〜表4に示す衝撃試験における試験片採取位置
を図示したものである。
【0068】さらに図10は、表1,表2に示す本発明
レール鋼(符号:G1〜M1)と、表3,表4に示す比
較レール鋼(符号:F2〜H2)の、長径1〜10μm
のZrO2 介在物およびZrO2 −MnS系介在物の総
数と引張試験の全伸び値の関係を図示したもの。図11
は表1,表2に示す本発明レール鋼(符号:G1〜M
1)と、表3,表4に示す比較レール鋼(符号:F2〜
H2)の長径1〜10μmの、ZrO2 介在物およびZ
rO2 −MnS系介在物の総数と柱部衝撃試験の衝撃値
の関係を図示したものである。図12は、表1,表2に
示す本発明レール鋼の摩耗試験結果における硬さと摩耗
量の関係を示したものである。なお、図5において、3
はレール試験片、4は相手材、5は冷却用ノズルであ
る。また図6において、6はレール移動用スライダーで
あり、この上にレール7が設置される。10はモーター
9で回転する車輪8の左右の動きおよび荷重を制御する
荷重負荷装置である。試験は左右に移動するレール7上
を車輪8が転動する。
【0069】各種試験は次のとおりとした。 ・摩耗試験 試験機 :西原式摩耗試験機(図5参照) 試験片形状 :円盤状試験片(外径:30mm、厚さ:8mm) 試験片採取位置:レール頭部表面下2mm(図6参照) 試験荷重 :686N(接触面圧640MPa) すべり率 :20% 相手材 :パーライト鋼(Hv380) 雰囲気 :大気中 冷却 :圧搾空気による強制冷却(流量:100Nl/min) 繰返し回数 :70万回 ・頭部引張試験 試験機 :万能小型引張試験機 試験片形状 :JIS4号相似 平行部長さ:25mm、平行部直径:6mm、 伸び測定評点間距離:21mm 引張速度 :10mm/min 試験温度 :常温(20℃)
【0070】 ・柱部衝撃試験 試験片 :JIS3号2mmUノッチシャルピー衝撃試験片 試験片採取位置:レール柱部(図9参照) 試験温度 :常温(+20℃) ・転動疲労試験 試験機:転動疲労試験機(図6参照) 試験片形状 レール:136ポンドレール×2m 車 輪:AARタイプ(直径920mm) 荷重条件(重荷重鉄道再現) ラジアル荷重:147000N(15トン) スラスト荷重: 9800N( 1トン) 潤滑条件 ドライ+油(間欠給油)
【0071】
【表1】
【0072】
【表2】
【0073】
【表3】
【0074】
【表4】
【0075】
【発明の効果】表1〜表4に示すように、本発明レール
鋼(符号:G1〜M1)は、比較レール鋼(符号:A2
〜C2)と比べて、C,Zr,Si,Mnの添加量をあ
る一定範囲内に納めることにより、レールの靭性や延性
さらには耐摩耗性に悪影響を与える初析セメンタイト組
織やマルテンサイト組織などを生成させず、パーライト
組織とすることができる。また図10に示すように、本
発明レール鋼(符号:G1〜M1)は、比較レール鋼
(符号:F2〜H2)と比べて、ZrO2 介在物および
ZrO2 −MnS系介在物の総数と制御することや、さ
らにVの炭化物や窒素物、Tiの炭化物や窒素物の数を
制御することにより、比較レール鋼(符号:E2〜H
2)と比べて、レール頭部の全伸び値が向上している。
【0076】さらに図11に示すように、本発明レール
鋼(符号:G1〜M1)は、比較レール鋼(符号:F2
〜H2)と比べて、ZrO2 介在物およびZrO2 −M
nS系介在物の総数と制御することや、さらにVの炭化
物や窒素物、Tiの炭化物や窒素物の数を制御すること
により、比較レール鋼(符号:E2〜H2)で確認とさ
れたような、レール柱部の初析セメンタイト組織生成を
抑え、レール柱部の衝撃値が向上している。これらに加
えて、表1〜表4に示すように、本発明レール鋼(符
号:G1〜M1)は、比較レール鋼(符号:I2〜K
2)と比べて、粗大ZrO2 系の介在物の生成量を抑制
することにより、内部疲労損傷性の発生を防止すること
ができる。また図12に示すように、本発明レール鋼
は、C量を0.85mass%以上とすることにより、耐摩
耗性がより一層向上する。
【0077】このように本発明によれば、重荷重鉄道で
使用される高炭素含有のパーライト組織の鋼レールにお
いて、ある一定の大きさのZrO2 介在物またはZrO
2 −MnS系介在物の数をある一定範囲に制御すること
により、パーライト組織のブロックサイズを微細化し、
さらに、偏析による柱部の初析セメンタイト組織の生成
を防止し、柱部の靭性低下の防止、パーライト組織の延
性向上を同時に達成する。従って、レール柱部の偏析を
軽減し、同時に延性の低下を防止することにより、レー
ル柱部の靭性低下を防止し、レールの脆性破壊発生の危
険性を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏析帯に沿って初析セメンタイト組織が生成す
る領域を示す図。
【図2】ZrO2 介在物またはZrO2 −MnS系介在
物の形態を模式的に示す図で、(a)はZrO2 介在物
の例、(b)はZrO2 を核にしたMnS介在物の例、
(c)はZrO2 とMnSの複合介在物の例である。
【図3】ZrO2 −MnS系介在物において、Ti、V
の炭化物、窒化物が生成した介在物の形態を模式的に示
す図で、(a)はZrO2 の表層にTiの炭化物や窒化
物が生成した例、(b)はZrO2 −MnS系介在物の
MnSの表層にVの炭化物や窒化物が生成した例、
(c)はZrO2 −MnS系介在物のZrO2 の表層に
Tiの炭化物や窒化物が生成し、MnSの表層にVの炭
化物や窒化物が生成した例である。
【図4】ZrO2 介在物、ZrO2 −MnS系介在物ま
たは粗大Zr系介在物の長径および総数を規定したパー
ライト組織が必要とされる領域を示す図。
【図5】西原式摩耗試験機の概略を示す図。
【図6】転動疲労試験機の概要を示す図。
【図7】ミクロ組織観察位置、頭部硬さ測定位置、引張
試験位置を示す図。
【図8】摩耗試験における試験片採取位置を示す図。
【図9】表1〜表4に示す衝撃試験における試験片採取
位置を示す図。
【図10】本発明レール鋼(符号:G1〜M1)と比較
レール鋼(符号:F2〜H2)の、長径1〜10μmの
ZrO2 介在物およびZrO2 −MnS系介在物の総数
と引張試験の全伸び値の関係を示す図。
【図11】本発明レール鋼(符号:G1〜M1)と比較
レール鋼(符号:F2〜H2)の、長径1〜10μmの
ZrO2 介在物およびZrO2 −MnS系介在物の総数
と柱部衝撃試験の衝撃値の関係を示す図。
【図12】本発明レール鋼の摩耗試験結果における炭素
量と摩耗量の関係を示す図。
【符号の説明】
1:頭頂部 2:頭部コーナー部 3:レール試験片 4:相手材 5:冷却用ノズル 6:レール移動用スライダー 7:レール 8:車輪 9:モーター 10:荷重負荷装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 本田 尚久 北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日本製鐵 株式会社八幡製鐵所内 (72)発明者 松下 公一郎 北九州市戸畑区飛幡町1−1 新日本製鐵 株式会社八幡製鐵所内

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 C :0.50〜1.40% を含有する鋼レールであって、該鋼レールの頭部コーナ
    ー部および頭頂部表面を起点として、少なくとも深さ3
    0mmの範囲がパーライト組織であり、かつ、前記パー
    ライト組織を呈する部分の圧延方向断面において、長径
    1〜10μmのZrO2 介在物またはZrO2 −MnS
    系介在物が、被検面積100mm2 あたり10〜500
    0個存在することを特徴とする耐摩耗性および延性に優
    れた低偏析性パーライト系レール。
  2. 【請求項2】 長径1〜10μmのZrO2 介在物また
    はZrO2 −MnS系介在物のうち、ZrO2 の表層に
    Tiの炭化物、窒化物を有する介在物の総数が、被検面
    積100mm2 あたり5〜2500個存在することを特
    徴とする請求項1記載の耐摩耗性および延性に優れた低
    偏析性パーライト系レール。
  3. 【請求項3】 長径1〜10μmのZrO2 −MnS系
    介在物のうち、MnSの表層にVの炭化物、窒化物を有
    する介在物の総数が、被検面積100mm2あたり5〜
    2500個存在することを特徴とする請求項1または2
    に記載の耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パーライ
    ト系レール。
  4. 【請求項4】 長径10μm超の粗大Zr系介在物の総
    数が、被検面積100mm2 あたり500個以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記
    載の耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パーライト系
    レール。
  5. 【請求項5】 前記鋼レールの頭部コーナー部および頭
    頂部表面を起点として、少なくとも深さ30mmの範囲
    が硬さHv320以上のパーライト組織であることを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の耐摩
    耗性および延性に優れた低偏析性パーライト系レール。
  6. 【請求項6】 質量%で、さらに、 Zr:0.0001〜0.2000% を含有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれ
    か1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パ
    ーライト系レール。
  7. 【請求項7】 質量%で、さらに、 C :0.85超〜1.40%、 Si:0.05〜2.00%、 Mn:0.05〜2.00% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなるこ
    とを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載
    の耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パーライト系レ
    ール。
  8. 【請求項8】 質量%で、さらに、 Ti:0.0050〜0.0500%、 V :0.005〜0.500%、 の1種または2種を含有することを特徴とする請求項7
    に記載の耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パーライ
    ト系レール。
  9. 【請求項9】 質量%で、さらに、 N :0.0050〜0.0500% を含有することを特徴とする請求項7または8に記載の
    耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パーライト系レー
    ル。
  10. 【請求項10】 質量%で、さらに、 Cr:0.01〜2.00%、 Mo:0.01〜0.50% の1種または2種を含有することを特徴とする請求項7
    〜9のいずれか1項に記載の耐摩耗性および延性に優れ
    た低偏析性パーライト系レール。
  11. 【請求項11】 質量%で、さらに、 Nb:0.002〜0.050% を含有することを特徴とする請求項7〜10のいずれか
    1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パー
    ライト系レール。
  12. 【請求項12】 質量%で、さらに、 B :0.0001〜0.0050% を含有することを特徴とする請求項7〜11のいずれか
    1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パー
    ライト系レール。
  13. 【請求項13】 質量%で、さらに、 Co:0.01〜2.00%、 Cu:0.01〜1.00% の1種または2種を含有することを特徴とする請求項7
    〜12のいずれか1項に記載の耐摩耗性および延性に優
    れた低偏析性パーライト系レール。
  14. 【請求項14】 質量%で、さらに、 Ni:0.01〜1.00% を含有することを特徴とする請求項7〜13のいずれか
    1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パー
    ライト系レール。
  15. 【請求項15】 質量%で、さらに、 Mg:0.0005〜0.0300%、 Ca:0.0005〜0.0150% の1種または2種を含有することを特徴とする請求項7
    〜14のいずれか1項に記載の耐摩耗性および延性に優
    れた低偏析性パーライト系レール。
  16. 【請求項16】 質量%でさらに、 Al:0.0250〜3.00% を含有することを特徴とする請求項7〜15のいずれか
    1項に記載の耐摩耗性および延性に優れた低偏析性パー
    ライト系レール。
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