JP2002363671A - 水素吸蔵合金および水素吸蔵部材 - Google Patents

水素吸蔵合金および水素吸蔵部材

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 単位重量当たりの水素吸蔵量の低下を招く
V、Mo、W及びAl等の含有量を皆無または極力少な
くし、しかも簡易な熱処理でBCC相を主相とする水素
吸蔵合金を得る。 【解決手段】 水素の吸蔵、放出が可能なBCC相を主
相とする水素吸蔵合金であって、その組成が一般式Ti
(100-a-b)Crab、但し20≦a(at%)≦80、0<b
(at%)≦10で表され、前記XがRu、Rh、Os、I
r、Pd、Pt、Reの各元素の少なくとも一種の元素
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素の吸蔵と放出
が可能な水素吸蔵合金、その中で特に、理論的に高容量
である体心立方型(BCC)結晶構造系水素吸蔵合金に
関して実用的な圧力域と温度範囲において優れた水素吸
放出量を示すとともに、単位重量当りにおける高水素吸
蔵量並びに高効率の工業生産が可能な、高い実用性を有
する水素吸蔵合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在、化石燃料の使用によって増大する
NOx(窒素酸化物)を原因とする酸性雨や、CO2によ
る地球温暖化が懸念されており、これらの環境破壊が深
刻な問題となってきている。その中でクリーンエネルギ
ーとして水素エネルギーの実用化が世界的に注目されて
きている。水素は地球上に無尽蔵に存在する水の構成元
素であって、種々の一次エネルギーを用いて作り出すこ
とが可能であるばかりか、副生成物が水だけであるため
に環境破壊の心配がなく、また電力に比べて貯蔵が比較
的容易であるなど優れた特性を有している。
【0003】このため、近年、これら水素の貯蔵および
輸送媒体として水素吸蔵合金の研究開発及び実用化検討
が活発に実施されている。これら水素吸蔵合金とは、適
当な条件で水素を吸収、放出できる金属・合金のことで
ある。この合金を用いる事により、従来の水素ガスボン
ベと比較して低い圧力でしかも高密度に水素を貯蔵する
ことが可能となる。そして、その体積密度は液体水素あ
るいは固体水素とほぼ同等かそれ以上であり、かつ取扱
い上の安全性も格段と優れている。
【0004】これら水素吸蔵合金としては、LaNi5
などのAB5型合金あるいはTiMn 2などのAB2型合
金が実用化されている。しかし、その水素吸蔵量は高々
1.4mass%前後であり、例えばWE−NET(国
際エネルギーネットワーク)が提唱する燃料電池等の水
素貯蔵用に用いる水素吸蔵合金の目標性能100℃以下
にて3mass%には到達できない。近年になり、例え
ば特開平10−110225号公報、特開平10−12
1180号公報や特開2000−345273号公報に
て提案されているように、水素吸蔵サイト数が多く、合
金の単位重量当りにおいて吸蔵できる理論水素量が約4
mass%、(H/M=2、H:吸蔵水素原子、M:合
金構成元素)と極めて大きい体心立方構造(以後「BC
C相」、「BCC型」あるいは「BCC」と呼称する)
を有するTi−Cr系合金が注目され、実用化を目指し
て数多くの検討が始まっている。
【0005】このTi−Cr二元系合金においては、水
素の吸蔵並びに放出を実用的な温度および圧力にて実施
可能となる混合比率が40≦Cr(at%) ≦60とさ
れている。しかし、40≦Cr(at%) ≦60の合金
は、図2のTi−Cr二元系状態図からも解るように、
合金の融点とC14型結晶構造(βTiCr2/ラーベ
ス相)またはC15型結晶構造(αTiCr2/ラーベ
ス相)が生成する温度との間にあるBCC相が生成する
温度領域の幅が、ごく小さなものとなる。したがって、
合金中にBCC相とは異なる別のC14型もしくはC1
5型ラーベス相が相当量形成され、BCC相を主相とす
る合金を得ることが困難である。このため、例えば特開
平10−110225号公報、特開平10−12118
0号公報あるいは特開2000−345273号公報に
おいて、TiとCrとの双方に対してBCC相の形成能
の高い元素としてV、Mo、W、Alをさらに加えるこ
とによって、より安定的かつ低温にてBCC相を主相と
することが提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
10−110225号公報に開示された合金は、所定組
成の合金を溶解、鋳造後に700〜1500℃で、1分
〜100時間加熱、保持した後に急冷する処理を行って
初めてBCC単相化が達成されており、しかもBCC単
相を得るためには10at%以上のVを含有せしめるこ
とが望ましいことが述べられている。特開平10−12
1180号公報は、高価なVの替わりにWおよび/また
はMoを含有せしめることを提案しているが、特開平1
0−110225号公報と同様に鋳造後に1200〜1
500℃で、1〜5時間加熱、保持した後に急冷する処
理を行ってBCC単相化を図っている。しかも、Wおよ
び/またはMoの含有量は5at%以下の可能性を示し
ているが、Ti41Cr563の組成の合金で得られた水
素吸蔵量は2.4mass%程度であり、さらなる水素
吸蔵量の増大が望まれる。また、特開2000−345
273号公報においては、3mass%に近い良好な水
素吸蔵特性を得ているが、第3元素を5at%以上含有
することを必要としている。さらに、これら合金の水素
吸蔵特性はWE−NET等が目標としている100℃以
下にて3mass%に近くなっているもののそれ以上に
は到達していない。一方で、水素吸蔵合金の実用性を考
えると、プラトー圧が所定の領域に存在することが望ま
れる。Ti−Cr二元系合金のプラトー圧は、特開平1
0−110225号公報にも開示されているように、T
iとCrの比率によって変動させることができる。しか
し、TiとCrの比率は、Ti−Cr二元系合金を構成
する組織に大きな影響を与え、所望するプラトー圧を得
ようとするとBCCの安定化を図りにくい組成となるこ
ともある。
【0007】また、Mo、Wは原子量が大きいために、
その含有量を増大させると、合金単位重量当たりの水素
吸蔵量の低下を招いてしまう。また、V、AlはMo、
Wほどではないものの含有量を増大させると水素吸蔵量
の低下が起こる。Ti−Cr二元系合金は従来のLaN
5などのAB5型合金あるいはTiMn2などのAB2
合金に比べて改良されてきているものの、3mass%
以上の水素吸蔵特性を実用上具備せず、これら水素貯蔵
合金を燃料電池などの水素ガス貯蔵タンクやニッケル水
素電池として自動車や自転車等のエネルギー源として使
用した場合に、必要とされる電力や水素供給能力を得よ
うとすると、その重量が増大してしまうという問題が十
分解決せず、かつ製造には熱処理として、高温度の加熱
処理及びその後の高速急冷処理が必要であり、大量の工
業生産には不向きであった。
【0008】よって、本発明は上記した問題点に着目し
てなされたもので、単位重量当たりの水素吸蔵量の低下
を招くV、Mo、W及びAl等の含有量を皆無または極
力少なくし、しかも簡易な熱処理でBCC相を主相とす
る水素吸蔵合金を得ることを目的とする。加えて本発明
は、3mass%以上の水素吸蔵量を有する合金の提供
を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は前記目的を解
決するためにTi−Cr二元系合金に対する添加元素を
検討した。その結果、Ru、Rh、Os、Ir、Pd、
PtおよびReは、Ti−Cr二元系合金においてラー
べス相の発生を抑制してBCC相単相化に有効であると
ともに、水素吸蔵量の増大効果およびプラトー圧上昇効
果を兼備した特異な元素であることを知見した。しか
も、これらの効果は、従来提案されているV、Mo、W
及びAlに比べて微量含有せしめるだけで所定の効果を
発揮することができる。本発明は以上の知見によりなさ
れたものであり、水素の吸蔵、放出が可能なBCC相を
主相とする水素吸蔵合金であって、その組成が一般式T
(100-a-b)Crab、但し20≦a(at%)≦80、0
<b(at%)≦10で表され、前記XがRu、Rh、O
s、Ir、Pd、Pt、Reの各元素の少なくとも一種
の元素であることを特徴とする水素吸蔵合金である。本
発明の水素吸蔵合金において、前記一般式Ti
(100-a-b)Crabにおいて、0<b(at%)≦7、さら
には0<b(at%)≦5とすることが望ましい。さらに
また、本発明は、0<b(at%)≦3という極めて少な
い含有量においても実用的なプラトー圧において高い水
素吸蔵量を実現することができる。また本発明の水素吸
蔵合金は、前記一般式Ti(100-a-b)Crabにおい
て、30≦a(at%)≦70、さらには45≦a(at%)
≦65の範囲とすることが望ましい。
【0010】本発明の水素吸蔵合金は、従来提案されて
いるV、Mo、W及びAlの少なくとも一種と複合添加
することができる。従って本発明は、水素の吸蔵、放出
が可能なBCC相を主相とする水素吸蔵合金であって、
その組成が一般式Ti(100-a -b-c)CrabX’c、但し
20≦a(at%)≦80、0<b(at%)≦10、0<c
(at%)≦30で表され、前記XがRu、Rh、Os、
Ir、Pd、Pt、Reの少なくとも一種の元素、前記
X’がV、Mo、W、Alの少なくとも一種の元素であ
ることを特徴とする水素吸蔵合金を提供する。この本発
明の水素吸蔵合金においても、0<b(at%)≦3、0
<c(at%)≦10とすることが望ましい。以上の本発
明の水素吸蔵合金は、その組織をBCC相単相とするこ
とができる。特に、特別な熱処理を行うことなくBCC
相単相合金を得られることが本発明の特徴である。本発
明の水素吸蔵合金において、XとしてはRuが最も望ま
しく、BCC安定化効果及びC14型、C15型等のラ
ーベス相の出現抑制効果が最も大きく、格段に優れた水
素吸蔵性能を実現できる。本発明の水素吸蔵合金におい
て、放出プラトー圧を0.1〜1.0MPaの範囲とする
ことが可能である。この範囲が実用的な範囲となるが、
この数値に特にこだわることではなく、燃料電池用の水
素タンクにおける各種使用を考慮すると、0.1MPa
以上の圧力範囲であれば良い。本発明の水素吸蔵合金に
おいて、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Ta、
BおよびCの少なくとも一種の元素を30at%以下
(0を含まず)含有することができる。また、Yおよび
ランタノイド系元素の少なくとも一種の元素を10at
%以下(0を含まず)含有することができる。
【0011】以上の本発明の水素吸蔵合金を用いれば、
BCC相の単相組織である水素の吸蔵、放出が可能なT
i−Cr系合金からなり、Tiおよび/またはCrの一
部が、TiおよびCrよりも電気陰性度が大きい元素で
置換され、放出プラトー圧が0.1〜1.0MPaの範囲
に存在し、かつ40℃で活性化処理した後、100℃で
真空脱気を行い、その後20℃で測定された圧力−組成
等温線(PCT線)による水素吸蔵量が2.5mass
%以上であることを特徴とする水素吸蔵部材を得ること
ができる。本発明の水素吸蔵部材は、粉末、ストリップ
等種々の形態で実現される。本発明の水素吸蔵部材は、
TiおよびCrが、Cr/Ti=1.0〜1.6の範囲に
あることが望ましい。また、TiおよびCrよりも電気
陰性度が大きい元素としては、その原子半径がTiの原
子半径とCrの原子半径との間の値を示す元素であるこ
とが望ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の水素吸蔵合金は、Ru、
Rh、Os、Ir、Pd、Ptつまり白金族元素または
ReをXとして、Xの一種以上をTi−Cr合金に微量
に含有させるだけで高いBCC相形成能を有し、鋳造の
状態または鋳造後の熱処理および簡易な冷却を行うこと
によって、有害なC14型、C15型等のラーベス相を
ほとんど含まないBCC単相合金を得ることができ、か
つ20≦Cr(at%)の従来よりTi過剰な合金組成領
域でプラトー圧を実用的な領域に設定可能であり、その
ため極めて高い水素吸蔵性能を有する合金を実現でき
る。
【0013】本発明の水素吸蔵合金は、一般式Ti
(100-a-b)Crab、但し20≦a(at%)≦80、0<
b(at%)≦10で表され、前記XがRu、Rh、O
s、Ir、Pd、Pt、Reの少なくとも一種の元素の
組成を有する。以下、この組成限定理由について説明す
る。Tiの原子半径(0.146nm)はCrの原子径
(0.125nm)より大きいので、合金中のTi含有量
を増し、Cr含有量を減じればBCC相の格子定数が大
きくなり、プラトー圧が低下する。つまり、Ti−Cr
系合金は、TiおよびCrの組成比を制御することによ
ってプラトー圧を制御することができる。したがって、
水素吸蔵合金のプラトー圧は合金動作温度により変化す
るが、目的とする動作温度に合致したCr/Ti比を選
択すればよい。
【0014】しかし、Cr含有量aが80at%を超え
るとプラトー圧が著しく上昇し、逆に20at%未満で
はプラトー圧は著しく低くなり実用性に乏しくなること
から、20≦a(at%)≦80の範囲とする。好ましく
は30≦a(at%)≦70の範囲、さらに好ましくは4
5≦a(at%)≦65で目的とする動作温度に適切なC
r/Ti比を選択すればよい。ある種の実用性を考える
と、20℃(293K)〜40℃(313K)において
適当なプラトー圧を有することが望ましく、その場合C
r/Tiを1.0〜1.6の範囲とすることが推奨され
る。具体的にはTi37〜50Cr63〜50の組成である。も
っとも本発明はこの組成に限定されるものではない。
【0015】次に本発明の水素吸蔵合金は、X元素、つ
まりRu、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、Reの少な
くとも一種を10at%以下(0%を含まず。以下同
様)の範囲で含有する。X元素は本発明の水素吸蔵合金
の最大の特徴部分である。本発明のX元素のように、少
量の添加でBCC相の安定化効果が強く、かつプラトー
圧を上昇させる効果も強い元素はこれまで見出されてい
ない。この効果は、従来知られているV、Mo、W、A
lといったBCC安定化元素を凌駕している。このこと
は、従来知られているV、Mo、W、AlといったBC
C安定化元素によっては鋳造後の状態(以下、「as
cast」という)でBCC相を主相またはBCC単相
化がなされない組成であっても、本発明のX元素によれ
ばBCC単相化がなされるという後述する実施例から明
らかとなる。また、同様に後述する実施例によって、本
発明のX元素によれば、従来のBCC安定化元素に比べ
てより少ない含有量でプラトー圧を向上することができ
るという効果を有している。本発明におけるX元素の含
有量は、目的とする動作温度、動作圧力によって適宜選
択すればよい。しかし、10at%を超えると単位重量
当りの水素吸蔵量が低下し、かつ工業的に高価になりす
ぎる。したがって、その含有量を10at%以下とす
る。好ましくは7at%以下、さらに好ましくは5at
%以下の範囲で選択すればよく、3at%以下でも有用
な水素吸蔵合金を得ることができる。
【0016】本発明のX元素が以上のようにBCC相の
安定化効果およびプラトー圧上昇効果を高いレベルで兼
備する理由は明らかではない。BCC相の安定化につい
ては、原子半径がTi(原子半径:0.146nm)と
Cr(原子半径:0.125nm)の中間の値を示す元
素を含有せしめることが有効である。ラーべス相はAB
2型の組成で表され、これらの組成において理想的な幾
何学的構造をとるためには、A、B両原子の原子半径
(RA:RB)は約1.225:1である必要があるのに
対して、Tiの原子半径:Crの原子半径は1.17:
1であるから、理想的な幾何学的構造から離れている。
つまり、Ti−Cr二元系合金は理想的なラーべス相構
造を形成するのには不向きである。そして、Ti−Cr
二元系合金において、Tiの量を増大することにより、
見かけ上BサイトにTiがより多く侵入することによっ
てAサイトとBサイトの原子半径比が縮まり、一層ラー
べス相の理想的幾何学構造から離間させることができ
る。また、Aサイトより原子半径が小さく、かつBサイ
トよりも原子半径の大きな元素をTi−Cr二元系合金
に含有せしめれば、この元素がA,Bいずれのサイトに
入ってもRA:RBはさらに小さくなり、ラーべス相形成
を阻害、つまりBCC相の形成を促進するものと推測さ
れる。本発明のX元素は、以下に示すように、いずれも
その原子半径がTi(原子半径:0.146nm)とC
r(原子半径:0.125nm)の中間の値を示してい
る。したがって、本発明のX元素によるBCC相の安定
化効果は、上述した推測に則ったものではあるが、前記
従来のBCC相の安定化元素もその原子半径がTiとC
rの中間の値を示していることから、前記従来のBCC
相の安定化元素からは予期することのできない顕著な効
果を備えている。 Ru:0.133nm,Rh:0.134nm,Os:
0.134nm,Ir:0.135nm,Pd:0.13
8nm,Pt:0.138nm,Re:0.137nm
【0017】プラトー圧の上昇効果についても、その理
由は明確ではない。ただし、本発明のX元素について、
その物性値、特に電気陰性度について着目してみると、
以下に示すようにX元素はいずれもTi(電気陰性度:
1.5)、Cr(電気陰性度:1.6)よりも電気陰性度
が大きく、水素(電気陰性度:2.1)よりも大きい
か、それに近い。なお、ここでいう電気陰性度は、ポー
リングによる電気陰性度である。 Ru:2.2,Rh:2.2,Os:2.2,Ir:2.2 Pd:2.2,Pt:2.2,Re:1.9 しかも、X元素の電気陰性度は、以下に示す従来のBC
C相の安定化元素の電気陰性度よりも大きい。 V:1.6、Mo:1.8、W:1.7、Al:1.5 したがって、本発明のX元素によるプラトー圧上昇効果
は、合金中の金属元素の平均電気陰性度が水素の電気陰
性度に近くなり、水素原子をより不安定化させるという
意味で、一応、電気陰性度によって整理することができ
よう。しかし、後述する実施例から明らかなように、同
じ電気陰性度であってもプラトー圧上昇の効果には程度
の差があることから、前述のように、その理由を明確に
説明することができない。
【0018】本発明の水素吸蔵合金は、X元素に加えて
BCC相の安定化元素としてV、Mo、W、Alの少な
くとも一種を含有することができる。つまり、本発明
は、水素の吸蔵、放出が可能な体心立方構造型を主相と
する水素吸蔵合金であって、その組成が一般式Ti
(100-a-b-c)CrabX’c、但し20≦a(at%)≦8
0、0<b(at%)≦10、0<c(at%)≦30で表さ
れ、前記XがRu、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、R
eの各元素の少なくとも一種の元素、前記X’がV、M
o、W、Alのうち少なくとも一種の元素であることを
特徴とする水素吸蔵合金を提供する。このX’元素をX
元素と同時に含有させることにより、X元素の含有量を
さらに低く押さえ、また、X’元素も少量で済むことに
なるから、単位重量当たりの水素吸蔵量の低下を軽微な
ものに留めることができる。その結果、これらコストと
単位重量当りの水素吸蔵量においてバランスのとれた高
い実用性を有する水素吸蔵合金を得ることができる。本
発明において、X’元素は少量で所定の効果を発揮する
ことができるものの、従来と同程度の量を含有すること
を否定するものではない。したがって、30at%以下
(0%を含まず。以下同様)の範囲の含有を許容する。
しかし、その含有量は所定の効果が得られる範囲で少な
いほうが望ましく、したがって、本発明では、20at
%以下、さらには10at%以下の範囲の含有量を推奨
する。本発明ではX元素を含有しているため、X元素と
の組み合わせによっては、5at%以下の極めて少ない
含有量においても所定の効果を発揮することができる。
【0019】本発明の水素吸蔵合金は、他にMn、F
e、Co、Ni、Cu、Nb、Ta、BおよびCの少な
くとも一種の元素(以下、T元素)を30at%以下、
望ましくは20at%以下、さらに望ましくは10at
%以下の範囲で適宜含有させることができる。このT元
素を含有せしめることにより、プラトー圧の任意の制
御、プラトー圧の平坦性制御、製造工程の溶解温度制
御、熱処理温度の制御、合金の耐食性向上、二次電池電
極材料としての合金の集電特性等を制御することが可能
となる。本発明の水素吸蔵合金がT元素を含む場合の一
般式は以下のとおりである。 Ti(100-a-b-d)Crabd 但し20≦a(at%)≦80、0<b(at%)≦10、0
<d(at%)≦30で表され、前記XがRu、Rh、O
s、Ir、Pd、Pt、Reの各元素のうち少なくとも
一種の元素、前記TがMn、Fe、Co、Ni、Cu、
Nb、Ta、BおよびCの少なくとも一種の元素 Ti(100-a-b-c-d)CrabX’cd 但し20≦a(at%)≦80、0<b(at%)≦10、0
<c(at%)≦30、0<d(at%)≦30で表され、前
記XがRu、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、Reの各
元素のうち少なくとも一種の元素、前記X’がV、M
o、W、Alのうち少なくとも一種の元素、前記TがM
n、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、Ta、BおよびC
の少なくとも一種の元素
【0020】さらに本発明の水素吸蔵合金は、Yおよび
ランタノイド系元素(La,Ce,Pr,Nd,Pm,
Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Y
b,Lu 以下、Yを含めてL元素)の少なくとも一種
を10at%以下、望ましくは5at%以下、さらに望
ましくは3at%以下の範囲で含有させることができ
る。L元素は、酸素との親和力が強いため合金中に存在
する酸素をL元素酸化物として除去する効果を発揮す
る。その結果、水素吸蔵量を安定化させ、かつ比較的酸
素量の多い原料も工業的に有効に利用することも可能と
なる。本発明の水素吸蔵合金がL元素を含む場合の一般
式は以下のとおりである。 Ti(100-a-b-e)Crabe 但し20≦a(at%)≦80、0<b(at%)≦10、0
<e(at%)≦10で表され、前記XがRu、Rh、O
s、Ir、Pd、Pt、Reの各元素の少なくとも一種
の元素、前記Lがランタノイド元素の少なくとも一種の
元素 Ti(100-a-b-c-e)CrabX’ce 但し20≦a(at%)≦80、0<b(at%)≦10、0
<c(at%)≦30、0<e(at%)≦10で表され、前
記XがRu、Rh、Os、Ir、Pd、Pt 、Reの
各元素の少なくとも一種の元素、前記X’がV、Mo、
W、Alの少なくとも一種の元素、前記Lがランタノイ
ド元素の少なくとも一種の元素 Ti(100-a-b-d-e)Crabde 但し20≦a(at%)≦80、0<b(at%)≦10、0
<d(at%)≦30、0<e(at%)≦10で表され、前
記XがRu、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、Reの各
元素の少なくとも一種の元素、前記TがMn、Fe、C
o、Ni、Cu、Nb、Ta、BおよびCの少なくとも
一種の元素、前記Lがランタノイド元素の少なくとも一
種の元素 Ti(100-a-b-c-d-e)CrabX’cde 但し20≦a(at%)≦80、0<b(at%)≦10、0
<c(at%)≦30、0<d(at%)≦30、0<e(at
%)≦10で表され、前記XがRu、Rh、Os、I
r、Pd、Pt、Reの少なくとも一種の元素、前記
X’がV、Mo、W、Alのうち少なくとも一種の元
素、前記TがMn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、T
a、BおよびCの少なくとも一種の元素、前記Lがラン
タノイド元素の少なくとも一種の元素
【0021】本発明の水素吸蔵合金は、BCC相を主相
とする。合金がBCC相を主相とするか否かはX線回折
により判断することができる。本発明においても、X線
回折によってBCC相が主相か否かを判断する。より具
体的には、回折線の積分強度による以下の式による割合
(%)が50%以上のものをBCC相が主相の合金と定
義する。本発明の水素吸蔵合金は、BCC相の割合は高
いほど望ましく、70%以上、さらには90%以上がB
CC相からなることが望ましい。本発明は、BCC相が
100%、つまりBCC相が単相の場合をも包含するこ
とは言うまでもなく、水素吸蔵量、その他の特性にとっ
て最も望ましい形態である。 bcc(110)/[bcc(110)+{C14Laves(201)+C15Laves(31
1)}×2] 本発明において、BCC相のほかに存在し得る相は、ラ
ーべス相である。先にも述べたようにもラーべス相は、
C14型結晶構造(βTiCr2/ラーベス相)および
C15型結晶構造(αTiCr2/ラーベス相)、さら
に通常は観察されないがC36型結晶構造(γTiCr
2/ラーベス相)があり、このいずれかのラーべス相が
BCC相と混在する。
【0022】本発明の水素吸蔵合金は、as castの状態
でBCC単相化を達成することができる。従来の技術の
欄で説明したようにこれまで提案された合金が所定温度
に所定時間加熱、保持した後に急冷するという熱処理を
行わなければBCC単相の合金が得られなかったことに
鑑みれば、本発明の有用性が際立ったものであることが
判る。つまり、水素吸蔵特性の観点からすると合金がB
CC単相であることが望ましいが、このBCC単相合金
を前述のような熱処理を施すことなく、または熱処理を
施すとしても簡易な熱処理で得ることができるから、工
業的な生産性にとって本発明合金は望ましい。
【0023】次に本発明の水素吸蔵合金を得るための望
ましい製造方法について説明する。図1は、本発明の水
素吸蔵合金の製造方法の代表的な形態を示すフロー図で
ある。図1に示す製造方法は、合金元素の秤量、アーク
溶解、Arガス中加熱処理、急速冷却(以下、急冷)の
各工程から構成される。この水素吸蔵合金の製造方法
は、まず得たい水素吸蔵合金を構成する各金属、例えば
Ti−Cr−Ru合金を製造したい場合には、TiとC
rとRuとを組成比率に該当する量を秤量する。なお、
後述する実施例では、得られるインゴットの重量が12
gとなるように秤量した。
【0024】秤量された各金属はアーク溶解装置(図示
せず)に投入され、約50kPaのアルゴン雰囲気中で
溶融・撹拝・凝固を所定回数(実施例においては構成元
素の数によっても異なるが、およそ3〜5回)を繰り返
す。溶融・攪拌・凝固を繰り返すのは、合金の均質性を
高めるためである。本発明の水素吸蔵合金は、凝固後の
as castの状態でBCC単相化を図ることもできる。
【0025】均質化されたインゴットをその溶融点直下
の温度領域に所定時間保持する。このときの加熱温度
は、前記図2の状態図に示すように、得ようとする組成
の合金が有する溶融温度の直下領域にBCC型となる温
度領域が存在することから、BCC型となる溶融温度直
下の温度領域内で適宜選択すればよい。例えば、Crを
約60at%含む組成の場合には、1400℃程度の温
度に保持すればよい。但し、BCC型となる溶融温度直
下の温度領域の中でも、その温度が低い(約1000℃
以下)と熱処理時間を長くする必要がある。加熱温度が
高いと熱処理時間は短くて済むが加熱コストが増大する
ことから、これら観点を考慮して加熱温度を選択すれば
よい。
【0026】また、加熱保持する時間としては、短すぎ
ると十分なBCC相の形成が得られず、逆に長すぎると
熱処理コストが上昇するだけでなく、異相が析出して水
素吸蔵特性が劣化する副作用も現れるおそれがある。し
たがって、加熱温度を考慮して適宜選択すればよいが、
本発明の水素吸蔵合金は、BCC相の形成能の優れたX
元素を含有するため、1分〜1時間の範囲の加熱で足り
る。もっとも、1時間を超えて加熱保持することを妨げ
るものではない。加熱保持は、不活性ガス、例えばAr
ガス中または真空中で行われるのが望ましい。合金の酸
化防止のためである。
【0027】加熱、保持された合金は、急冷処理され
る。この急冷処理は、加熱保持で形成されたBCC相を
常温まで保持するためである。急冷処理の具体的手段と
しては、氷水中への投入または不活性ガスの吹き付けが
挙げられる。もっとも、氷水中への投入または不活性ガ
スの吹き付けは本発明の望ましい形態であるが、他の冷
却方法を排除するものではない。ここで、急冷処理にお
ける冷却速度によって合金中のBCC相の体積比が変化
する。つまり冷却速度が遅いとBCC相の体積比が低下
することから、100K/sec以上の冷却速度にて急
冷することが望ましい。
【0028】以上の実施形態においては、溶融・攪拌・
凝固してインゴットを得た後に、インゴットに対して加
熱保持−急冷からなる熱処理を実施したが、凝固と急冷
とを同時に行う急冷凝固プロセスによって本発明の水素
吸蔵合金を製造することもできる。例えば、溶融した合
金をストリップキャステング法、片ロール法、アトマイ
ズ法などの方法により、板状、リボン状または粉状の合
金を得るプロセスである。この急冷凝固プロセスを用い
ることにより、前述した加熱保持−急冷からなる熱処理
を施すことなく、BCC相を主相とする本発明の水素吸
蔵合金を効率よく得ることができる。急冷凝固により得
られた合金であっても、BCC相を主相としない場合
(ラーベス相(主相)+BCC相またはラーベス相)に
は、前述した加熱保持−急冷からなる熱処理を実施する
こともできる。もちろん、合金組成によっては、溶融し
た合金を急冷凝固した後に熱処理を加えなくともBCC
相が主相(単相も含む)になることもある。
【0029】得られた水素吸蔵合金は、圧力−組成等温
線(Pressure Composition Isotherms:PCT)を測定
することにより、その特性を知ることができる。PCT
線の測定法はJIS H7201に規定されており、最
も一般的なのが真空原点法(JIS H7003 30
03)である。水素吸蔵合金の水素吸蔵量は、この真空
原点法によって求めるのが一般的である。
【0030】
【実施例】以下本発明の水素吸蔵合金について、具体的
な実施例に基づいて説明する。 (実施例1)以下に示す組成(at%)の合金を前述し
たアーク溶解装置を用いた溶融・攪拌・凝固を繰り返す
ことによって合金(インゴット)を得た。なお、凝固は
合金溶湯を銅ハース上で自然冷却して行われる。得られ
た合金についてX線回折を行った結果を図3および図4
に示す。なお、合金Aは従来例であり、その他の合金B
〜合金Hは本発明に該当する合金である。 Ti55Cr45(合金A)・・・従来合金 Ti55Cr40Ru5(合金B)・・・本発明合金 Ti55Cr40Rh5(合金C)・・・本発明合金 Ti55Cr40Os5(合金D)・・・本発明合金 Ti55Cr40Ir5(合金E)・・・本発明合金 Ti55Cr40Pd5(合金F)・・・本発明合金 Ti55Cr40Pt5(合金G)・・・本発明合金 Ti55Cr40Re5(合金H)・・・本発明合金 図3および図4に示すように、Ti55Cr45(合金A)
は、ラーべス相が存在しているのに対して、X元素を含
有する合金B〜合金HはいずれもBCC相の単相合金で
ある。この結果より、Ru、Rh、Os、Ir、Pd、
Pt、Reの各元素は、強いBCC形成能及びラーベス
相出現抑制効果を有することが実証された。なお、合金
AのBCC相の比率を前述した式により求めたところ6
6%であった。実施例1で用いた合金A〜合金Hの組成
は、図2から判るようにラーベス相が析出しにくい組成
ではあるが、前述した加熱保持−急冷処理からなる熱処
理を施さないas castの状態でBCC単相化がなされて
いる点は非常に注目される。
【0031】(実施例2)実施例1と同様に以下の合金
I〜合金Mを作製して、as cast状態でX線回折を行っ
た。その結果を図5に示す。なお、合金I〜合金Mは、
プラトー圧が実用的な領域0.1〜0.2MPaになる
ようTi−Cr比を調整したものである。 Ti37Cr567(合金I)・・・従来合金 Ti40Cr57Mo3(合金J)・・・従来合金 Ti44Cr53Ru3(合金K)・・・本発明合金 Ti37Cr557Ru1(合金L)・・・本発明合金 Ti40Cr56Mo3Ru1(合金M)・・・本発明合金 図5から判るように、Ti37Cr567(合金I)およ
びTi40Cr57Mo3(合金J)は、ラーべス相が多く
観察されたのに対して、Ti44Cr53Ru3(合金K)
およびTi37Cr557Ru1(合金L)は、BCC単相
合金である。また、Ti40Cr56Mo3Ru1(合金M)
は、ラーべス相が観察されたが、Ti37Cr567(合
金I)およびTi40Cr57Mo3(合金J)は各々BC
C相の比率が4%、5%であるのに対して、BCC相が
90%とBCC相が主相をなしていることが確認され
た。以上のように、本発明のX元素は、従来から知られ
ていたV、MoといったBCC形成能を有する元素より
格段に優れたBCC形成能及びラーベス相抑制効果を有
することが実証された。
【0032】以上の合金I〜合金M(as cast)に活性
化処理を施した後、40℃における真空原点法による圧
力−組成等温線(PCT線)を測定した。なお、測定は
JIS H7201に従って行った(以下も同様)。そ
の結果を図6に示す。図6より、ラーベス相が出現して
いるTi37Cr567(合金I)、Ti40Cr57Mo
3(合金J)がプラトー(平坦動作部分)を示さないこ
とが判る。これに対して、Ruを単独または複合的に少
量含有させたBCC単相またはBCC相を主相とする合
金(Ti44Cr53Ru3(合金K)、Ti37Cr557
1(合金L)、Ti40Cr56Mo3Ru1(合金M))
は、各々0.07MPa、0.17MPa、0.20MP
aと実用的なプラトー圧を有し、優れた水素吸蔵放出性
能を有することが明らかとなった。なお、このプラトー
圧は、水素放出時のプラトー領域の中央値である。
【0033】(実施例3)Ti45Cr532(ただし、
M=Cr,Ru,Rh,Re,Os,Ir,Pd,P
t,V,Mo)の組成を有する合金を実施例1と同様に
して作製した後に、0.1MPaのAr雰囲気中(雰囲
気は、以下の実施例においても同様)、1400℃、1
0分間保持後、氷水中に投入して急冷することにより試
料を得た。X線回折により相同定を行ったところ、いず
れの試料もBCC単相組織であった。この試料に実施例
2と同様にして活性化処理を施した後に、40℃におけ
る圧力−組成等温線(PCT線)を測定した。その結果
を図7および図8に示す。M=Crの合金は実質的にT
i−Cr二元系合金であるが、この二元系合金は低いプ
ラトー圧となっている。これに対して、X元素を含有す
る合金のプラトー圧は、いずれもTi−Cr二元系合金
に比べて高い値を示すことが判る。また、本発明のX’
元素のみを含有する合金(M=V、Mo)は、X元素を
含有する本発明の合金に比べてプラトー圧は低い結果と
なっている。つまり、本発明のX元素がプラトー圧を上
昇させるのに極めて有効な元素であることが判った。
【0034】(実施例4)実施例2で用いたTi37Cr
567(合金I)、Ti40Cr57Mo3(合金J)、Ti
44Cr53Ru3(合金K)のas cast状態および1450
℃で5分間保持後、Arガスを吹き付けて冷却する熱処
理を施した後の状態の40℃における真空原点法による
圧力−組成等温線(PCT線)を測定した。その結果を
図9〜図11に示す。図9〜図11に示すように、熱処
理を施した状態のほうがas castの状態に比べて、プラ
トー領域の平坦性が向上して水素吸蔵放出性能が優れて
いる。しかし、as castの状態であっても実用上十分な
性能を有している。このことは、本発明の合金が、加熱
保持−急冷からなる熱処理を必要としないか、あるいは
ガスによる冷却が可能な簡易な熱処理工程を採用できる
ことを示唆している。
【0035】(実施例5)実施例1と同様にして以下に
示す組成の合金からなるインゴットを得た。このインゴ
ットを1380℃で30分間保持した後、氷水中に投入
して急冷処理する熱処理を施して試料を作製した。X線
回折により相同定を行ったところ、いずれの試料もBC
C単相組織であった。 Ti40Cr59Ru1(合金N)・・・本発明合金 Ti40Cr57.5Ru0.52(合金O)・・・本発明合金 Ti40Cr58.5Ru0.5Mo1(合金P)・・・本発明合
金 得られた試料について、40℃における真空原点法によ
る圧力−組成等温線(PCT線)を測定した。その結果
を図12に示す。図12に示すように、X元素としての
Ru含有量が少量であっても、X’元素(V、Mo)と
複合して含有せしめることにより、優れた水素吸蔵放出
性能を得ることができる。
【0036】Ti40Cr59Ru1(合金N)、Ti40
57.5Ru0.52(合金O)、Ti40Cr58.5Ru0.5
Mo1(合金P)のインゴットを1390℃で15分間
保持した後、氷水中に投入して急冷処理する熱処理を施
して試料を作製した。この試料に対して、100℃、2
0℃の温度差法で圧力−組成等温線(PCT線)を測定
した。その結果を図13に示す。なお、この温度差法
は、40℃で初期活性化後、100℃で真空脱気を行
い、その後20℃で圧力−組成等温線(PCT線)を測
定するものである。図13より、合金N〜合金Pは、1
00℃以下の実用的な温度域で、約3mass%の水素
吸蔵量を得ていることが判った。
【0037】合金N〜合金Pを凌ぐ水素吸蔵量が得られ
る可能性を追求するために、合金N〜合金Pの組成を変
動させた合金を作製し、1390℃、15分間保持した
後、氷水中に投入して急冷処理する熱処理を施した後
に、100℃、20℃の温度差法で圧力−組成等温線
(PCT線)を測定した。なお、合金組成は、以下のと
おりである。測定結果を図14に示す。 Ti40Cr60-XRuX(X=0,0.5,1,2,3) Ti40Cr58-XRuX2(X=0,0.5,1,2,
3) Ti40Cr59-XRuXMo1(X=0,0.5,1,2,
3) 図14によると、Ruを単独で含有する場合であって
も、1at%の含有量で3mass%の水素吸蔵量を得
ることができる。また、2at%含有した場合には、3
mass%を超える水素吸蔵量を得ている。RuとVま
たはMoとを複合で含有した場合には、0.5at%の
Ruの含有で3mass%の水素吸蔵量を得ることがで
きる。以上のように、Ruを含有する合金は、3mas
s%を超える格段に優れた水素吸蔵量を得ていることが
注目される。
【0038】(実施例6)実施例1と同様にして以下に
示す組成の合金からなるインゴットを得た。このインゴ
ットを1400℃で10分間保持した後、氷水中に投入
して急冷処理する熱処理を施して試料を作製した。X線
回折により相同定を行ったところ、Ruを含むいずれの
試料もBCC単相組織であった。その後、100℃、2
0℃の温度差法で圧力−組成等温線(PCT線)を測定
することにより、放出プラトー圧および水素吸蔵量を求
めた。放出プラトー圧の結果を図15に、また水素吸蔵
量の結果を図16に示す。 Ti42,45,50Cr58-X,55-X,50-XRuX (X=0,0.5,1,2,3,4,5,7,10) 図15より、TiおよびCrの組成比にかかわらず、R
uの含有量が多くなるに従ってプラトー圧が上昇するこ
とが判る。また、プラトー圧は、Ti含有量が少ないほ
ど(Cr含有量が多いほど)高くなっており、Cr/T
iを変動させることにより、プラトー圧力を制御できる
ことが判る。また、図16より、Ruを含有することに
より水素吸蔵量は増大することが判る。しかし、Ruを
過剰に含有しても水素吸蔵量の増大効果は減少し、10
at%を超えるとRuを含有しない合金よりも低下する
場合もある。したがって、Ru(X元素)は10at%
以下の含有量とすることが望ましい。X元素のコストも
考慮すれば、Ruは0.2〜7at%、さらには0.5〜
5at%の範囲が望ましい。
【0039】(実施例7)実施例1と同様にして以下に
示す組成の合金からなるインゴットを得た。このインゴ
ットを1350℃で40分間保持した後、氷水中に投入
して急冷処理する熱処理を施して試料を作製した。X線
回折により相同定を行ったところ、いずれの試料もBC
C単相組織であった。その後、40℃における真空原点
法による圧力−組成等温線(PCT線)を測定した。な
お、実施例7は、本発明のT元素を含有した合金につい
ての具体例である。 Ti36Cr45Ru27Mn82(合金Q)・・・本発明
合金 Ti43Cr42Ru17Fe5Nb1Ta1(合金R)・・
・本発明合金 Ti45Cr42Ru17Co3Cu2(合金S)・・・本発
明合金 Ti45Cr40Ru17Ni52(合金T)・・・本発明
合金
【0040】測定結果を図17に示すが、T元素を含有
する合金も、実用上優れた水素吸蔵放出特性を有するこ
とが判る。前述したように、T元素はプラトー圧の任意
の制御、プラトー圧の平坦性制御、製造工程の溶解温度
制御、熱処理温度の制御、合金の耐食性向上、二次電池
電極材料としての合金の集電特性制御を目的として含有
するものであり、T元素を含有する本発明の水素吸蔵合
金は、これら制御を可能とするとともに実用上優れた水
素吸蔵放出特性を有することになる。
【0041】(実施例8)実施例1と同様にして以下に
示す組成の合金からなるインゴットを得た。このインゴ
ットを1420℃で5分間保持した後、氷水中に投入し
て急冷処理する熱処理を施して試料を作製した。X線回
折により相同定を行ったところ、いずれの試料もBCC
単相組織であった。この試料について残留酸素量を測定
し、さらに40℃における真空原点法による圧力−組成
等温線(PCT線)を測定した。その結果を図18に示
す。 Ti40Cr58.5-XRu0.5Mo1LaX(X=0,1) まず残留酸素量について着目すると、Laを含有しない
合金が2200ppmであるのに対して、Laを含有す
る合金は400ppmと残留酸素量が1/4程度まで低
減している。これは、BCC相中の酸素とLaとが酸化
物を形成することにより残留酸素が除去されたためであ
る。そして、このように残留酸素量の少ない合金のほう
が、BCC主相が安定化していて、明らかに水素吸蔵性
能が向上していることが判る。また、残留酸素量が多い
合金は酸素が固溶しやすく、格子定数が小さくなり、水
素吸蔵性能が低下して、プラトー圧が上昇している。工
業的には、原料および製造工程中からの不純物酸素の混
入は避けられないが、最終合金中の残留酸素量は300
0ppm以下、望ましくは2000ppm以下、更に望
ましくは1000ppm以下が良い。
【0042】(実施例9)実施例1と同様にして以下に
示す組成の合金からなるインゴットを得た。このインゴ
ットを1360℃で20分間保持した後、Arガスを吹
き付けることにより急冷処理する熱処理を施して試料を
作製した。X線回折により相同定を行ったところ、いず
れの試料もBCC単相組織であった。この試料について
100℃、20℃の温度差法で圧力−組成等温線(PC
T線)を測定した。 Ti40Cr55Ru2Al2La1(合金X)・・・本発明
合金 Ti40Cr55Ru2Mn2La1(合金Y)・・・本発明
合金 その結果を図19に示すが、合金Xおよび合金Yとも
に、優れた水素吸蔵放出性能を示し、T元素を含有する
本発明の合金に対するランタノイド元素の含有が工業的
に有効であることが判る。また、動作圧力(プラトー
圧)の任意の制御、プラトー圧の平坦性制御、製造工程
の溶解温度制御、熱処理温度の制御、合金の耐食性向
上、二次電池電極材料としての合金の集電特性制御を行
う等の目的で、Mn等を含有させても、優れた水素吸蔵
放出性能を示すことが判る。なお、本実施例は、熱処理
における急冷処理をArガス吹き付けで行ったもので、
本発明の合金が冷却等の熱処理工程において、工業的に
有利な方法を採用可能であることが実証された。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、Ru、Rh、Os、I
r、Pd、Pt、Reの少なくとも一種の元素のTi−
Cr系合金への少量の含有により、従来の合金では実現
できなかった、実用的な動作圧力を有しながら、単位重
量当たりの大きな水素吸蔵量を有する合金が実現でき、
WE−NET等が燃料電池自動車の走行距離を実用的な
性能にする目的で提唱している、100℃以下の温度域
における水素吸蔵性能3mass%の目標値をクリアー
することが可能となった。X元素としてRuを選択する
ことにより、最も高いプラトー圧上昇効果、優れたBC
C形成能及びラーベス相抑制能による最も大きい水素吸
蔵量及び最も高い熱処理コスト低減効果等が得られ、安
価で、コストと単位重量当りの水素吸蔵量において、最
もバランスのとれた高い工業的実用性を有する水素吸蔵
合金を得ることができる。また、高価なX元素と同時
に、V、Mo、W、Alの少なくとも一種を含有させる
ことにより、さらに微量の白金族またはReの含有で
も、同様な効果が実現できる。また、従来のTi−Cr
系水素吸蔵合金製造上で必須であった、1400℃近傍
の高温加熱・急冷を伴う熱処理も不要または簡素化可能
であり、合金組成及び製法上、比較的安価で、コストと
単位重量当りの水素吸蔵量においてバランスのとれた高
い工業的実用性を有する水素吸蔵合金を得ることができ
る。
【0044】また、T元素(Mn、Fe、Co、Ni、
Cu、Nb、Ta、B、C)の少なくとも一種をさらに
含有させることにより、Cr/Ti比率やX元素の量を
適宜にしながら、動作圧力(プラトー圧)の制御が可能
であり、その他プラトー圧の平坦性制御、製造工程の溶
解温度制御、熱処理温度の制御、合金の耐食性向上、さ
らには二次電池電極材料としての合金集電特性等の制御
を行うことが可能となり、工業的な利用が極めて有効に
できる。
【0045】さらにL元素(Yおよびランタノイド系元
素の少なくとも一種)を含有させることにより、合金主
相であるBCC相中の酸素をL元素酸化物として除去す
ることができ、酸素量が多く、かつ酸素量のばらつきが
多い合金原料も工業的に有効に利用することが可能であ
る。さらに、生産工程中に混入する不純物酸素の影響を
最小限にとどめ、安定した水素吸蔵量が得られ、工業的
に極めて利用価値が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の水素吸蔵合金の製造方法を示すフロ
ーチャートである。
【図2】 Ti−Cr二元系合金の状態図である。
【図3】 Ti55Cr45、Ti55Cr40Ru5、Ti55
Cr40Rh5、Ti55Cr40Os5のアーク溶解後(as c
ast状態)のX線回折図である。
【図4】 Ti55Cr40Ir5、Ti55Cr40Pd5、T
55Cr40Pt5、Ti55Cr40Re5のアーク溶解後
(as cast状態)のX線回折図である。
【図5】 Ti37Cr567、Ti40Cr57Mo3、Ti
44Cr53Ru3、Ti37Cr557Ru1、Ti40Cr56
Mo3Ru1のアーク溶解後(as cast状態)のX線回折
図である。
【図6】 Ti37Cr567、Ti40Cr57Mo3、Ti
44Cr53Ru3、Ti37Cr557Ru1、Ti40Cr56
Mo3Ru1のアーク溶解後(as cast状態)の40℃に
おける真空原点法による圧力−組成等温線(PCT線)
である。
【図7】 Ti45Cr532(ただし、M=Cr,R
u,Rh,Re,Os,Ir,Pt)合金に熱処理(1
400℃ 10分保持、氷水中急冷)を施した後の40
℃における真空原点法による圧力−組成等温線(PCT
線)である。
【図8】 Ti45Cr532(ただし、M=Cr,V,
Mo)合金に熱処理(1400℃ 10分保持、氷水中
急冷)を施した後の40℃における真空原点法による圧
力−組成等温線(PCT線)である。
【図9】 Ti37Cr567のas cast状態および145
0℃で5分間保持後、Arガスを吹き付けて冷却する熱
処理を施した後の状態の40℃における真空原点法によ
る圧力−組成等温線(PCT線)である。
【図10】 Ti40Cr57Mo3のas cast状態および1
450℃で5分間保持後、Arガスを吹き付けて冷却す
る熱処理を施した後の状態の40℃における真空原点法
による圧力−組成等温線(PCT線)である。
【図11】 Ti44Cr53Ru3のas cast状態および1
450℃で5分間保持後、Arガスを吹き付けて冷却す
る熱処理を施した後の状態の40℃における真空原点法
による圧力−組成等温線(PCT線)である。
【図12】 Ti40Cr59Ru1、Ti40Cr57.5Ru
0.52、Ti40Cr58.5Ru0.5Mo1の各熱処理合金
(1380℃ 30分、氷水中急冷)の40℃における
真空原点法による圧力−組成等温線(PCT線)であ
る。
【図13】 Ti40Cr59Ru1、Ti40Cr57.5Ru
0.52、Ti40Cr58.5Ru0.5Mo1の各熱処理合金
(1390℃ 15分、氷水中急冷)の100℃−20
℃温度差法による圧力−組成等温線(PCT線)であ
る。
【図14】 Ti40Cr60-XRuX(X=0,0.5,
1,2,3)、Ti4 0Cr58-XRuX2(X=0,0.
5,1,2,3)、Ti40Cr59-XRuXMo 1(X=
0,0.5,1,2,3)の各熱処理合金(1390℃
15分、氷水中急冷)の100℃−20℃温度差法に
よる圧力−組成等温線(PCT線)から求めた水素吸蔵
量とRuの含有量との関係を示すグラフである。
【図15】 Ti42,45,50Cr58-X,55-X,50-XRu
X(X=0,0.5,1,2,3,4,5,7,10)
の各熱処理合金(1340℃ 10分、氷水中急冷)の
100℃−20℃温度差法による圧力−組成等温線(P
CT線)から求めた放出プラトー圧とRuの含有量との
関係を示すグラフである。
【図16】 Ti42,45,50Cr58-X,55-X,50-XRu
X(X=0,0.5,1,2,3,4,5,7,10)
の各熱処理合金(1340℃ 10分、氷水中急冷)の
100℃−20℃温度差法による圧力−組成等温線(P
CT線)から求めた水素吸蔵量とRuの含有量との関係
を示すグラフである。
【図17】 Ti36Cr45Ru27Mn82、Ti43
42Ru17Fe5Nb1Ta1、Ti45Cr42Ru17
Co3Cu2、Ti45Cr40Ru17Ni52の各熱処理
合金(1350℃ 40分、氷水中急冷)の40℃にお
ける真空原点法による圧力−組成等温線(PCT線)で
ある。
【図18】 Ti40Cr58.5-XRu0.5Mo1LaX(X
=0,1)の各熱処理合金(1420℃ 5分、氷水中
急冷)の40℃における真空原点法による圧力−組成等
温線(PCT線)である。
【図19】 Ti40Cr55Ru2Al2La1、Ti40
55Ru2Mn2La1の各熱処理合金(1370℃ 2
0分、Arガス吹き付け冷却)の100℃−20℃温度
差法によるPCT吸蔵放出曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01M 8/04 H01M 8/04 J (72)発明者 長 勤 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 佐野 達二 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 岩村 努 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 ティ ーディーケイ株式会社内 (72)発明者 岡田 益男 宮城県仙台市太白区八木山南三丁目9の6 Fターム(参考) 4G040 AA43 5H027 AA02 BA14

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素の吸蔵、放出が可能な体心立方構造
    からなる相(BCC相)を主相とする水素吸蔵合金であ
    って、その組成が一般式Ti(100-a-b)Crab、但し
    20≦a(at%)≦80、0<b(at%)≦10で表さ
    れ、前記XがRu、Rh、Os、Ir、Pd、Pt、R
    eの各元素のうち少なくとも一種の元素であることを特
    徴とする水素吸蔵合金。
  2. 【請求項2】 前記一般式Ti(100-a-b)Crabにお
    いて、0<b(at%)≦7であることを特徴とする請求
    項1に記載の水素吸蔵合金。
  3. 【請求項3】 前記一般式Ti(100-a-b)Crabにお
    いて、0<b(at%)≦5であることを特徴とする請求
    項1に記載の水素吸蔵合金。
  4. 【請求項4】 前記一般式Ti(100-a-b)Crabにお
    いて、30≦a(at%)≦70であることを特徴とする
    請求項1〜3のいずれかに記載の水素吸蔵合金。
  5. 【請求項5】 水素の吸蔵、放出が可能な体心立方構造
    からなる相(BCC相)を主相とする水素吸蔵合金であ
    って、その組成が一般式Ti(100-a-b-c)Cra
    bX’c、但し20≦a(at%)≦80、0<b(at%)≦
    10、0<c(at%)≦30で表され、前記XがRu、
    Rh、Os、Ir、Pd、Pt、Reの各元素のうち少
    なくとも一種の元素、前記X’がV、Mo、W、Alの
    うち少なくとも一種の元素であることを特徴とする水素
    吸蔵合金。
  6. 【請求項6】 前記一般式Ti(100-a-b-c)Cra
    bX’cにおいて、0<b(at%)≦3、0<c(at%)≦
    10であることを特徴とする請求項5に記載の水素吸蔵
    合金。
  7. 【請求項7】 体心立方構造からなる相(BCC相)の
    単相組織からなることを特徴とする請求項1〜6のいず
    れかに記載の水素吸蔵合金。
  8. 【請求項8】 前記XがRuであることを特徴とする請
    求項1〜7のいずれかに記載の水素吸蔵合金。
  9. 【請求項9】 Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Nb、
    Ta、BおよびCの少なくとも一種の元素を30at%
    以下(0を含まず)含有することを特徴とする請求項1
    〜8のいずれかに記載の水素吸蔵合金。
  10. 【請求項10】 Yおよびランタノイド系元素の少なく
    とも一種の元素を10at%以下(0を含まず)含有す
    ることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の水
    素吸蔵合金。
  11. 【請求項11】 常温域で体心立方構造からなる相(B
    CC相)の単相組織を有する水素の吸蔵、放出が可能な
    Ti−Cr系合金からなり、 Tiおよび/またはCrの一部が、TiおよびCrより
    も電気陰性度が大きい元素で置換され、 放出プラトー圧が0.1〜1.0MPaの範囲に存在し、 かつ活性化処理した後、100℃で真空脱気を行い、そ
    の後20℃で測定された圧力−組成等温線(PCT線)
    による水素吸蔵量が2.5mass%以上であることを
    特徴とする水素吸蔵部材。
  12. 【請求項12】 TiおよびCrが、Cr/Ti=1.
    0〜1.6の範囲にあることを特徴とする請求項11に
    記載の水素吸蔵部材。
  13. 【請求項13】 TiおよびCrよりも電気陰性度が大
    きい元素は、その原子半径がTiの原子半径とCrの原
    子半径との間の値を示すことを特徴とする請求項11ま
    たは請求項12に記載の水素吸蔵部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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