JP2002363323A - メタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーからなる多孔膜およびその製造方法 - Google Patents

メタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーからなる多孔膜およびその製造方法

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JP2002363323A JP2001170809A JP2001170809A JP2002363323A JP 2002363323 A JP2002363323 A JP 2002363323A JP 2001170809 A JP2001170809 A JP 2001170809A JP 2001170809 A JP2001170809 A JP 2001170809A JP 2002363323 A JP2002363323 A JP 2002363323A
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porous membrane
film
porosity
metaphenylene isophthalamide
amide
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JP2001170809A
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Takahisa Ono
隆央 大野
Tsutomu Nakamura
勤 中村
Jirou Sadanobu
治朗 定延
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マクミラン数および突刺し強度に優れたポリ
メタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーからなる電
池セパレーター用多孔膜およびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 メタフェニレンイソフタルアミド系ポリ
マーをアミド系溶媒に溶解したドープをフィルム状にキ
ャストし、該キャスト物を50〜70%のアミド系溶媒
中で凝固させ、水洗乾燥後、積層させて一軸もしくは二
軸方向に1.3倍以上10倍以下で熱板接触させて延伸
し、厚みが6〜25μm、多孔度が20〜80%の多孔
膜として突刺し強度が10〜25g/μm、マクミラン
数が3〜20の多孔膜を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリメタフェニレン
イソフタルアミド系ポリマーからなる多孔膜およびその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、電池用セパレーターとしてはポリ
プロピレンを始めとしたポリオレフィン系の多孔膜が知
られているがこれらは耐熱性に乏しく、例えば180℃
を超える用途などでは孔の熱収縮による寸法変化が大き
いため、セパレーターとしての機能が低下もしくはなく
なるなどの問題が発生していた。その問題に対処するた
め耐熱性に優れる多孔膜として芳香族ポリアミドからな
る多孔膜が特公昭59−14494号公報や特公昭59
−36939号公報において提案されている。しかし、
近年は耐熱性の他に、薄膜化及び薄膜時の機械物性の向
上が要求され、特開平11−198712号公報では薄
膜時の搬送性を向上させるべく延伸によりヤング率を向
上させた多孔膜、また特開平11−258734号公報
では溶剤結晶化により高温時の熱寸法変化率を軽減させ
た多孔膜について掲載されている。しかしながら、これ
らの多孔膜においては、電池用セパレーターに用いる多
孔膜の重要な要求特性であるマクミラン数と突刺し強度
について実用的な特性を兼ね備えた多孔膜には至ってい
ない。すなわち、電池用セパレーターに用いる多孔膜の
場合、上記の機械物性に加えて、電池組み立て時に電極
構成材の小片が剥がれ落ちてセパレーターに突き刺さる
ことがあるがこの突刺しに耐える機械的強度を有するこ
とが要求される。また、多孔膜の両面に配置される電極
間のイオンの透過性に優れることが必要であり、このイ
オンの透過性は電気抵抗によって評価され、電気抵抗は
マクミラン数により一般化される。このため、電池用セ
パレーターに用いる多孔膜においては、マクミラン数と
突刺し強度が重要な要求特性とされているが、前記多孔
膜においては、これらの特性について十分に実用的な特
性を有するには至っていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これに対し本発明は電
池用セパレーターの重要な要求特性であるマクミラン数
と突刺し強度に優れるポリメタフェニレンイソフタルア
ミド系ポリマーからなる多孔膜及びその製造方法を提供
するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意検討した結果、メタフェニレンイソフ
タルアミド系ポリマーの多孔膜を積層することで突刺し
強度を向上させ、マクミラン数の増加を最小限に抑えた
膜を達成できることを見出し本発明に至った。
【0005】すなわち本発明は次の通りである。
【0006】1.厚みが6〜25μm、多孔度が20〜
80%であり、突刺し強度が10〜25g/μm、マク
ミラン数が3〜20であることを特徴とするメタフェニ
レンイソフタルアミド系ポリマーからなる多孔膜。2.
メタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーをアミド系
溶媒に溶解したドープをフィルム状にキャストし、該キ
ャスト物を50〜70%のアミド系溶媒中で凝固し、水
洗乾燥後、該乾燥膜を2枚以上積層して一軸もしくはニ
軸方向に1.3倍以上10倍以下で延伸して厚みが6〜
25μm、多孔度が20〜80%の多孔膜とすることを
特徴とする突刺し強度が10〜25g/μmでマクミラ
ン数が3〜20であるメタフェニレンイソフタルアミド
系ポリマーからなる多孔膜の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に係るメタフェニレンイソ
フタルアミド系ポリマーとはメタ芳香族ジアミンとメタ
芳香族ジカルボン酸ジハライドとの重縮合によって得ら
れるポリマー、およびメタ芳香族ジアミンとメタ芳香族
ジカルボン酸ジハライドとの総量に対しモル基準で、ア
ミン成分またはカルボン酸成分としての共重合率がそれ
ぞれ40モル%以下の割合で、パラ芳香族ジアミン、パ
ラ芳香族ジカルボン酸ジクロライド、脂肪族ジアミン、
脂肪族ジカルボン酸や脂環族ジアミン、脂環族ジカルボ
ン酸を使用し重縮合して得られるポリマーである。
【0008】具体的にはメタ芳香族ジアミンとしては
1,3−フェニレンジアミン、1,6−ナフタレンジア
ミン、1,7−ナフタレンジアミン、2,7−ナフタレ
ンジアミン、3,4’−ビフェニルジアミン等、またメ
タ芳香族ジカルボン酸としてはイソフタル酸、1,6−
ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボ
ン酸、3,4−ビフェニルジカルボン酸等が挙げられ
る。
【0009】また共重合モノマーについては、具体的に
はパラ芳香族ジアミンとしてパラフェニレンジアミン、
4,4’−ジアミノビフェニル、2−メチル−パラフェ
ニレンジアミン、2−クロロ−パラフェニレンジアミ
ン、2,6−ナフタレンジアミン等を、パラ芳香族ジカ
ルボン酸ジクロライドとしてテレフタル酸ジクロライ
ド、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸ジクロライ
ド、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジクロライド等、
脂肪族ジアミンとしてヘキサンジアミン、デカンジアミ
ン、ドデカンジアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチ
レンジアミン等、また脂肪族ジカルボン酸としてエチレ
ンジカルボン酸、ヘキサメチレンジカルボン酸等を挙げ
ことができる。ただしいずれについてもこれらに限定さ
れるものではない。
【0010】本発明に関わるメタフェニレンイソフタル
アミド系ポリマーの多孔膜の好ましい製造方法は次の通
りである。
【0011】メタフェニレンイソフタルアミド系ポリマ
ーをアミド系溶媒で溶解した溶液(以下ドープという)
を支持体上にキャストし、当該キャスト物を支持体に載
せたままメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーに
対し非相溶性物質を含有するアミド系溶媒(以下凝固浴
という)に浸漬して凝固させ、これを水洗し乾燥するこ
とによってポリメタフェニレンイソフタルアミド系ポリ
マー多孔膜が製造される。なお支持体からの剥離は凝固
後であればどの段階でも構わない。さらに孔径を制御す
る目的で延伸、熱処理を追加しても構わない。
【0012】本発明に係るドープ中のポリマー濃度とし
ては好ましくは3〜30重量%、より好ましくは5〜2
0重量%である。
【0013】ドープ形成に使用できるアミド系溶媒とし
てはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルア
セトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性溶
媒が挙げられるがこれらに限定されるものではなく、本
発明の目的に反しない限り、本発明に係るメタフェニレ
ンイソフタルアミド系ポリマーを溶解するものであって
アミド基を含有するものであればどのようなものでも良
い。なおアミド系溶媒に限定されるのは本発明に係るメ
タフェニレンイソフタルアミド系ポリマーを溶解するた
めである。
【0014】また該ポリアミドの溶解性を向上させるた
め1価または2価陽イオン金属塩を用いることができ
る。金属塩はメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマ
ー100重量部に対し0〜50重量部となる割合で本発
明に係るアミド系溶媒中に存在させることができる。金
属塩としては、具体的には塩化カルシウム、塩化リチウ
ム、硝酸リチウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。
金属塩のアミド系溶媒中への溶解方法は通常の方法で良
く、メタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーの溶解
の前であっても途中であってもまた後であっても良い。
【0015】支持体としては金属ドラム、エンドレスの
金属ベルト、有機フィルム、例えばポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリエステルテレフタレート等のフィルム
が挙げられる。より好ましくはシリコン等の離形処理が
施されているものがよい。
【0016】キャストする場合におけるドープの温度に
ついては特に制限がないが、その粘度が1〜2,000
Poiseの間に選択するのが好ましく、望ましくは5
〜500Poiseの間になるよう選択する。またキャ
スト物の形状をシート状に保つため、支持体および支持
体周りの雰囲気温度範囲を選択し、また、支持体周りの
雰囲気を送風等によって調節することも本発明を実施す
る場合に有効であるが、これらの条件は試行錯誤によっ
て決めることができる。
【0017】凝固浴に使用するアミド系溶媒としては具
体的にはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙
げられ、好ましくはN−メチル−2−ピロリドンを使用
する。
【0018】また凝固液としてはメタフェニレンイソフ
タルアミド系ポリマーに対し非相溶性物質を含有するア
ミド系溶媒を使用し、かかる物質としてはメタフェニレ
ンイソフタルアミド系ポリマーおよびアミド系溶媒に対
して不活性でありメタフェニレンイソフタルアミド系ポ
リマーに相溶性を有さずかつ当該アミド系物質と相溶性
を有する物質が好ましく、具体的には、低級アルコー
ル、低級エーテル等各種の物を使用できるが、なかんず
く水を用いることが好ましい。これらの混合物を使用す
ることもできる。
【0019】凝固液中には孔径を調整する目的で金属塩
をアミド系凝固液に対し1〜10重量%用いることも可
能である。具体的には塩化カルシウム、塩化リチウム、
硝酸リチウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。
【0020】凝固液中のアミド系溶媒の濃度は凝固液全
体に対し50重量%以上70重量%以下が好ましく、よ
り好ましくは多孔膜の結晶化促進等の観点から55重量
%〜65重量%である。凝固液の温度は0℃以上98℃
以下が好ましく、より好ましくは20℃以上90℃以
下、結晶化促進の観点からは60℃以上が好ましい。ま
た、凝固処理の時間は5分以上が好ましく、8分以上が
より好ましい。
【0021】アミド系溶媒の濃度が50重量%未満で温
度が0℃未満の場合、作成されたポリアミド多孔膜の表
面にある孔の数が減ると共に、その孔径が小さくなり、
開孔率の低いポリアミド多孔膜となる傾向が生じる。ま
た濃度が70%を超え、温度が98℃を越える場合、ポ
リマーが粒状化しポリアミド多孔膜にはならない場合が
ある。また、温度と濃度とのいずれか一方が上記範囲を
超えている場合には両者が上記範囲を超えている場合ほ
どではないにしても用途によっては欠点となりうる。
【0022】凝固された多孔膜である該キャスト物は次
に水洗工程に移され、そこで水によって洗浄される。こ
の時の温度は多孔形状に影響をほとんど与えないため特
に限定されるものではない。またこの工程は省略するこ
とも可能である。省略できるかどうかは実験等によって
得られる結果を見て定めることができる。
【0023】乾燥は任意の程度に行えばよく、通常は水
切りと呼ばれる程度のニップロール処理による乾燥から
熱風乾燥機等による本格的乾燥までを含む。ただし、固
体高分子型燃料電池用イオン交換膜としては安定した各
物性を確保するために所定の乾燥度に維持することが好
ましく、そのため乾燥度の程度は絶乾状態の多孔膜10
0重量部に対して水分量が100重量部以下であること
が好ましく、より好ましくは30重量部以下、特に好ま
しくは5重量部以下である。
【0024】積層は乾燥後の多孔膜を2枚以上重ねるこ
とをいい、複数枚準備した多孔膜を一括して重ねたり、
1枚の多孔膜を折りたたんだりして多層化することまで
を含む。積層体の接着方法としては主に熱によるドット
状の溶融固定もしくは接着剤によるドット状の固定方
法、さらには延伸時の熱による溶融固定が考えられる
が、これらに限定されるものではない。また用途によっ
て積層間が接着されて一体化していなくとも問題がない
場合は、接着する必要がないが、搬送性から考えると一
体化されているほうが好ましい。さらに積層する枚数は
特に限定しない。積層体とすることにより、突刺し強度
に優れた多孔膜とすることができる。
【0025】延伸については乾式による方法が挙げら
れ、さらに一軸延伸、逐次二軸延伸、同時二軸延伸等の
いずれの方法であってもよいが、一軸延伸のみの場合延
伸倍率が大きくなると共に孔が変形し、通気性が低下す
るので二軸延伸のほうが好ましい。また延伸に際しては
延伸方向に対して両サイドを把持し、拘束しているほう
が、孔径制御およびマクミラン数増加抑制という点で好
ましい。延伸倍率は一軸方向に1.3〜5倍の倍率で、
または直交する二方向へ1.3〜10倍の倍率であるの
が開孔率、孔径分布、機械物性のバランスを適切なもの
とするために好ましい。ここで二軸延伸の場合には1.
3〜10倍の延伸倍率は両方向の延伸倍率の積(面積倍
率)として求めることができる。
【0026】乾式延伸の加熱方式は接触式、非接触式い
ずれの方式でもよい。延伸温度は270〜380℃であ
るのが適当であり、より好ましくは290〜360℃で
ある。延伸温度が270℃より低い場合には多孔膜は低
倍率で破断してしまい、380℃より高温であると多孔
構造がつぶれて孔が塞がり緻密化してしまうことがあ
る。
【0027】また所望により凝固処理後得られたポリア
ミド多孔膜をメタフェニレンイソフタルアミド系ポリマ
ーに対し非相溶性物質を含有するアミド系溶媒からなる
浴中に浸漬処理して結晶化を促進しても良い。浸漬処理
浴に有用なアミド系溶剤としては具体的にはN−メチル
−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられ、好ましく
はN−メチル−2−ピロリドンを使用する。またメタフ
ェニレンイソフタルアミド系ポリマーに対し非相溶性の
物質としては、メタフェニレンイソフタルアミド系ポリ
マーおよびアミド系溶媒に対して不活性でありメタフェ
ニレンイソフタルアミド系ポリマーに相溶性を有さずか
つ当該アミド系物質と相溶性を有する物質が好ましく、
かかる物質としては、低級アルコール、低級エーテル等
各種の物を使用できるが、なかんずく水を用いることが
好ましい。これらの混合物を使用することもできる。
【0028】浸漬処理浴中のアミド系溶剤の濃度は浸漬
処理浴全体に対して50〜80重量%であるのが好まし
く、より好ましくは60〜70重量%である。浸漬処理
浴の温度は50〜98℃であるのが好ましく、より好ま
しくは60〜90℃である。浸漬処理浴中のアミド系溶
剤の濃度が80重量%を超えるとポリアミド多孔膜の溶
解が起こり、多孔構造が破壊されることがあり、50重
量%未満では結晶化が十分に進行しないことがある。ま
た浸漬処理浴の温度が50℃未満であるとポリアミド多
孔膜の結晶化が進行しないか、あるいは進行しにくくな
ることがあり、98℃を超えるとポリアミド多孔膜の溶
解が起こり、多孔構造が破壊されることがある。
【0029】浸漬処理後ポリアミド多孔膜は水中に導入
されて洗浄され、次いで乾燥されるのが良い。その水洗
及び乾燥は凝固処理後の水洗及び乾燥に関して前述した
方法と同様に行うのが好ましい。また浸漬処理後に得ら
れるポリアミド多孔膜においては20℃のジメチルホル
ムアミドに対する不溶部分が10%以上であることが好
ましい。
【0030】また熱処理を実施する場合、290℃〜3
80℃の温度で実施されるのが好ましく、より好ましく
は330〜360℃である。熱処理は結晶化の目的のた
めに行うものであり、290℃未満であると効果が十分
でないことがあり、380℃を超えるとポリマーの分解
が起こることがある。
【0031】この熱処理では得られる多孔膜の多孔度が
減少したりまたは孔が閉塞したりして電気伝導性が低下
することがあるが、凝固工程、浸漬処理工程により多孔
膜の結晶化を進行させておくとその影響を最小限度に抑
えることができる。
【0032】本発明の多孔膜は、延伸後の厚みを6〜2
5μm、多孔度を20〜80%とする。厚みが6μm未
満では実用の突刺し強度が不足し、一方25μmを超え
ると突刺し強度10g/μm以上を実現することができ
ない。多孔度は20〜80%とする。多孔度が20%未
満では電極間のイオンの透過性、電解液の保持力が不足
し、また実用マクミラン数の範囲を超える。一方80%
を超えると実用の突刺し強度が不足する。このような厚
みおよび多孔度を有する多孔膜は前記製造条件のうち、
凝固液中のアミド系溶媒の濃度、金属塩の添加量、凝固
液の温度、延伸条件等を好ましい範囲で適宜組み合わせ
ることによって製造することができる。
【0033】得られる多孔膜は、突刺し強度が10〜2
5g/μmであり、マクミラン数が3〜20である。突
刺し強度は電池用セパレーターの機械的強度の一指標で
あり、電池、特に円筒型電池の製造時に剥がれ落ちた電
極構成材による短絡等に対する強度を示す。この突刺し
強度は10〜25g/μm必要である。突刺し強度が1
0g/μm未満では、実用強度が不足する。一方、25
g/μmを超えると実用マクミラン数を達成できていな
い。本発明で規定する突刺し強度を実現するには単に多
孔膜の厚みを調整するのでなく、積層体を形成させるこ
とによる貢献が大である。
【0034】マクミラン数(N)はセパレーター用多孔膜
の電気抵抗を一般化する特性値で、電解液で飽和させた
多孔膜の抵抗R(ohm-cm2)/L(cm)と電解液の抵抗r
(ohm-cm)の比として下記式で表される。 N=R/(L・r) 具体的には後記の方法で測定する。本発明においては、
このマクミラン数は3〜20であり、この数が3未満の
多孔膜では実用の突刺し強度が不足し、一方、20を超
えると電気伝導性が低く実用性がない。
【0035】
【発明の効果】この発明により耐熱性を有し、マクミラ
ン数および突刺し強度に優れたメタフェニレンイソフタ
ルアミド系ポリマーからなる多孔膜が得られた。
【0036】
【実施例】(評価方法) [突刺し強度]カトーテック株式会社製ハンディー圧縮試
験機(KES−G5)を使用して、ニードル先端がφ1
mmの球状、突刺し受圧範囲φ10mm、突刺し速度
0.2m/minにて測定した時の破断強度とする。 [マクミラン数]プロピレンカーボネイトとエチレンカ
ーボネイトの1:1(重量比)の混合溶媒に四弗化ホウ
酸リチウム1モル/リットルを溶解した有機電解液を準
備し、これにセパレーター(多孔膜)を浸漬し、この湿
潤多孔膜をソーラトロン社製1260型インピーダンス
アナライザーで100kHzから1Hzの間で複素イン
ピーダンスを測定し、測定した高周波数側のデータ曲線
を実数軸に外挿することで実測抵抗値を求める。これか
ら湿潤多孔膜の電気伝導度を下記式(1)で求め、これ
と電解液の電気伝導度とから下記式(2)によりマクミ
ラン数を求める。ちなみに、実測抵抗値は専用のセルを
用いて測定するので湿潤多孔膜の電気伝導度も電解液の
それもこのセル中で測定する。 電気伝導度=膜厚/実測抵抗値/面積…・(1) マクミラン数=電解液の電気伝導度/湿潤多孔膜の電気伝導度…・(2)
【0037】[多孔度]乾燥後の多孔膜をA(mm)×
B(mm)の大きさにカットし、厚みC(mm)、重量
D(g)を測定する(A,B,C,Dは適宜選択す
る)。以上より見かけ密度Eを以下の式で求める。続い
て使用したポリマーの真密度Fを求め、以下の式から多
孔度を算出する。 見かけ密度E={D/(A*B*C)}*1000(g
/cm3) 多孔度={(F−E)/E}*100(%)
【0038】[表面開孔率]分解能4〜7nmの走査電子
顕微鏡で観察した倍率2000倍の表面写真を縦150
×横200mmで現像し、スキャナーを使用して10万
ピクセル/30000mm2の解像度で、直径0.01
μm以上の各孔についてピクセル数を算出し、その総和
を開孔部分のピクセル数とする。 表面開孔率=(各孔の総和ピクセル/10万ピクセル)
*100(%)
【0039】[平均開孔径]分解能4〜7nmの走査電子
顕微鏡で観察した倍率2000倍の表面写真を縦150
×横200mmで現像し、スキャナーを使用して10万
ピクセル/30000mm2の解像度で、直径0.01
μm以上の各孔についてピクセル数を算出し、その総和
を開孔部分のピクセル数とする。細孔側から各孔のピク
セル数を累積し、表面開孔率の1/2に達成した時のピ
クセル数を有する孔の径を平均開孔径とする。
【0040】実施例1 メタフェニレンジアミンとイソフタル酸ジクロライドを
当モルで、生成ポリマー濃度が10重量%となるように
N−メチル−2−ピロリドン(以下NMP)中で溶液重
合しドープを作成した。この時中和剤として水酸化カル
シウムを使用した。作成したドープをPPフィルム上に
40μmの厚みにキャストし、これをNMP/水=60
/40重量%、80℃からなる凝固浴に10min浸漬
し、水洗後150℃にて5min乾燥し、メタフェニレ
ンイソフタルアミドポリマーからなる多孔膜を得た。こ
の多孔膜は厚みが13μm、多孔度60%、表面開孔率
15%、平均開孔径2μmであった。この多孔膜を2枚
積層し、350℃の熱板に接触させながら一軸方向に2
倍延伸した。この多孔膜は厚みが12μmであり、多孔
度58%、表面開孔率35%、平均開孔径4μmであ
り、突刺し強度は150g(=12.5g/μm)、空
気透過性は80sec、マクミラン数は8であった。
【0041】比較例1 メタフェニレンジアミンとイソフタル酸ジクロライドを
当モルで、生成ポリマー濃度が10重量%となるように
N−メチル−2−ピロリドン(以下NMP)中で溶液重
合しドープを作成した。この時中和剤として水酸化カル
シウムを使用した。作成したドープをPPフィルム上に
80μmの厚みにキャストし、これをNMP/水=60
/40重量%、80℃からなる凝固浴に10min浸漬
し、水洗後150℃にて5min乾燥し、メタフェニレ
ンイソフタルアミドポリマーからなる多孔膜を得た。こ
の多孔膜は厚みが26μm、多孔度70%、表面開孔率
18%、平均開孔径3μmであった。この多孔膜を35
0℃の熱板に接触させながら一軸方向に2倍延伸した。
この多孔膜は厚みが13μmであり、多孔度65%、表
面開孔率40%、平均開孔径4μmであり、マクミラン
数は7、突刺し強度は65g(=5g/μm)、空気透
過性は70secであった。
【0042】比較例2 メタフェニレンジアミンとイソフタル酸ジクロライドを
当モルで、生成ポリマー濃度が15重量%となるように
N−メチル−2−ピロリドン(以下NMP)中で溶液重
合しドープを作成した。この時中和剤として水酸化カル
シウムを使用した。作成したドープをPPフィルム上に
50μmの厚みにキャストし、これをNMP/水=40
/60重量%、50℃からなる凝固浴に10min浸漬
し、水洗後150℃にて5min乾燥し、メタフェニレ
ンイソフタルアミドポリマーからなる多孔膜を得た。こ
の多孔膜は厚みが25μm、多孔度68%、表面開孔率
5%、平均開孔径0.5μmであった。この多孔膜を3
00℃の熱板に接触させながら一軸方向に2倍延伸し
た。この多孔膜は厚みが13μmであり、多孔度65
%、表面開孔率7%、平均開孔径0.9μmであり、マ
クミラン数は30、突刺し強度は110g(=7.7g
/μm)、空気透過性は600secであった。
【0043】比較例3 メタフェニレンジアミンとイソフタル酸ジクロライドを
当モルで、生成ポリマー濃度が12重量%となるように
N−メチル−2−ピロリドン(以下NMP)中で溶液重
合しドープを作成した。この時中和剤として水酸化カル
シウムを使用した。作成したドープをPPフィルム上に
180μmの厚みにキャストし、これをNMP/水=5
5/45重量%、70℃からなる凝固浴に10min浸
漬し、水洗後150℃にて5min乾燥し、メタフェニ
レンイソフタルアミドポリマーからなる多孔膜を得た。
この多孔膜は厚みが48μm、多孔度55%、表面開孔
率8%、平均開孔径2μmであった。この多孔膜を2枚
積層し、340℃の熱板に接触させながら一軸方向に2
倍延伸した。この多孔膜は厚みが45μmであり、多孔
度58%、表面開孔率15%、平均開孔径3.5μmで
あり、突刺し強度は120g(=2.7g/μm)、空
気透過性は50sec、マクミラン数は7.5であっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 77:10 C08L 77:10 (72)発明者 定延 治朗 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4F074 AA72 CA02 CA03 DA08 DA23 DA24 DA49 4F100 AK46A AK46B BA02 BA06 BA16 EH90A EH90B EJ37A EJ37B EJ85A EJ85B EJ86A EJ86B GB48 JK01 YY00A YY00B 4F210 AA29 AE10 AG01 AG03 AG20 AH03 QC01 QC05 QD21 QG01 QG15 QG18 5H021 AA06 BB05 BB12 BB13 CC04 EE07 HH00 HH02 HH03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 厚みが6〜25μm、多孔度が20〜8
    0%であり、突刺し強度が10〜25g/μm、マクミ
    ラン数が3〜20であることを特徴とするメタフェニレ
    ンイソフタルアミド系ポリマーからなる多孔膜。
  2. 【請求項2】 メタフェニレンイソフタルアミド系ポリ
    マーをアミド系溶媒に溶解したドープをフィルム状にキ
    ャストし、該キャスト物を50〜70%のアミド系溶媒
    中で凝固し、水洗乾燥後、該乾燥膜を2枚以上積層して
    一軸もしくはニ軸方向に1.3倍以上10倍以下で延伸
    して厚みが6〜25μm、多孔度が20〜80%の多孔
    膜とすることを特徴とする突刺し強度が10〜25g/
    μmでマクミラン数が3〜20であることを特徴とする
    メタフェニレンイソフタルアミド系ポリマーからなる多
    孔膜の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112538162A (zh) * 2019-09-20 2021-03-23 青岛蓝科途膜材料有限公司 改性芳纶聚合体、芳纶铸膜液、锂电池隔膜及制备方法和锂电池

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN112538162A (zh) * 2019-09-20 2021-03-23 青岛蓝科途膜材料有限公司 改性芳纶聚合体、芳纶铸膜液、锂电池隔膜及制备方法和锂电池
CN112538162B (zh) * 2019-09-20 2023-10-31 青岛蓝科途膜材料有限公司 改性芳纶聚合体、芳纶铸膜液、锂电池隔膜及制备方法和锂电池

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